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特許7429238動的乗り物車両構成を有する乗り物システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】動的乗り物車両構成を有する乗り物システム
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/02 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
A63G31/02
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021544151
(86)(22)【出願日】2020-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-03-22
(86)【国際出願番号】 US2020015249
(87)【国際公開番号】W WO2020163106
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】16/269,946
(32)【優先日】2019-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ホワイト ナサナエル ジー
(72)【発明者】
【氏名】プリム ケヴィン ビー
(72)【発明者】
【氏名】フリードマン ダニエル
【審査官】関口 英樹
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106608309(CN,A)
【文献】特開2007-001489(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G1/00-33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗り物システムであって、
第1の乗り物車両と、
第2の乗り物車両と、
制御システムと、
を備え、
前記第1の乗り物車両は、該第1の乗り物車両の第1の外側部に沿って露出した第1の磁石と、前記第1の乗り物車両の第1のさらなる外側部に沿って露出した第1のさらなる磁石とを有し、
前記第2の乗り物車両は、該第2の乗り物車両の第2の外側部に沿って露出した第2の磁石と、前記第2の乗り物車両の第2のさらなる外側部に沿って露出した第2のさらなる磁石とを有し、
前記制御システムは、前記第1及び第2の乗り物車両の一方又は両方の操作を制御して、
前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の結合を第1の構成で確立し、
前記第1の磁石と前記第2のさらなる磁石との間の結合を第2の構成で確立し、
前記第1のさらなる磁石と前記第2の磁石との間の結合を第3の構成で確立し、
前記第1のさらなる磁石と前記第2のさらなる磁石との間の結合を第4の構成で確立する、
ように構成される、
ことを特徴とする乗り物システム。
【請求項2】
前記制御システムは、前記第1及び第2の乗り物車両の一方又は両方の操作を、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両の完全な分離が存在する第5の構成に制御するように構成される、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項3】
前記第1の乗り物車両は、前記第1の外側部と前記第1のさらなる外側部との間に配置された第1の客室を含み、前記第2の乗り物車両は、前記第2の外側部と前記第2のさらなる外側部との間に配置された第2の客室を含む、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項4】
前記第1の外側部は、前記第1のさらなる外側部と実質的に平行に延び、前記第2の外側部は、前記第2のさらなる外側部と実質的に平行に延びる、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項5】
前記第1の外側部は、前記第1の乗り物車両の第1のフロントバンパーであり、前記第2の外側部は、前記第2の乗り物車両の第2のフロントバンパーであり、前記第1の構成は、反対方向を向いて互いに向き合った前記第1のフロントバンパー及び前記第2のフロントバンパーを含み、前記第2の構成は、結合されずに同じ方向を向いた前記第1のフロントバンパー及び前記第2のフロントバンパーを含み、前記第4の構成は、反対方向を向いて互いに離れた前記第1のフロントバンパー及び前記第2のフロントバンパーを含む、
請求項4に記載の乗り物システム。
【請求項6】
前記第1の外側部は、前記第1のさらなる外側部を横切って延び、前記第2の外側部は、前記第2のさらなる外側部を横切って延びる、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項7】
前記第1の外側部は、前記第1のさらなる外側部に対して実質的に垂直に延び、前記第2の外側部は、前記第2のさらなる外側部に対して実質的に垂直に延びる、
請求項6に記載の乗り物システム。
【請求項8】
第3の乗り物車両を備え、該第3の乗り物車両は、該第3の乗り物車両の第3の外側部に沿って露出した第3の磁石と、前記第3の乗り物車両の第3のさらなる外側部に沿って露出した第3のさらなる磁石とを有し、前記制御システムは、前記第1、第2及び/又は第3の乗り物車両を操作して、
前記第1の磁石と前記第3の磁石との間の結合を第5の構成で確立し、
前記第1の磁石と前記第3のさらなる磁石との間の結合を第6の構成で確立し、
前記第1のさらなる磁石と前記第3の磁石との間の結合を第7の構成で確立し、
前記第1のさらなる磁石と前記第3のさらなる磁石との間の結合を第8の構成で確立し、
前記第2の磁石と前記第3の磁石との間の結合を第9の構成で確立し、
前記第2の磁石と前記第3のさらなる磁石との間の結合を第10の構成で確立し、
前記第2のさらなる磁石と前記第3の磁石との間の結合を第11の構成で確立し、
前記第2のさらなる磁石と前記第3のさらなる磁石との間の結合を第12の構成で確立する、
ように構成される、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項9】
前記制御システムは、前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両及び前記第3の乗り物車両が3車両クラスターを形成するように、前記第1の乗り物車両及び前記第3の乗り物車両の両方に対する前記第2の乗り物車両の磁気的結合を確立するように構成される、
請求項8に記載の乗り物システム。
【請求項10】
前記第1の乗り物車両は、第1の近接センサを含み、前記第2の乗り物車両は、第2の近接センサを含み、
前記制御システムは、前記第1の近接センサ及び前記第2の近接センサからセンサフィードバックを受け取るように構成され、
前記制御システムは、前記センサフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の磁石と前記第2の磁石又は前記第2のさらなる磁石との間の適切な結合を決定して該結合を引き起こすように構成される、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項11】
相互作用的ショー要素を備え、前記制御システムは、前記相互作用的ショー要素と、前記第1の磁石、前記第1のさらなる磁石、前記第2の磁石、前記第2のさらなる磁石、又はこれらのいずれかの組み合わせとの結合を可能にする、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項12】
前記第1の乗り物車両は第1の無人搬送車(AGV)を含み、前記第2の乗り物車両は第2のAGVを含む、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項13】
実質的にスムーズな乗り物経路面を備え、前記第1のAGVは、前記実質的にスムーズな乗り物経路面に沿った前記第1のAGVの動きを可能にするように構成された第1の車輪セットを含み、前記第2のAGVは、前記実質的にスムーズな経路面に沿った前記第2のAGVの動きを可能にするように構成された第2の車輪セットを含む、
請求項12に記載の乗り物システム。
【請求項14】
前記第1の磁石は第1の電磁石を含み、前記第2の磁石は第2の電磁石を含み、前記第1及び第2の電磁石の各々の動作は、前記制御システムによって制御される、
請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項15】
乗り物システムであって、
実質的にスムーズな乗り物経路面と、
第1の無人搬送車(AGV)と、
第2のAGVと、
第3のAGVと、
制御システムと、
を備え、
前記第1のAGVは、第1の磁石と、前記実質的にスムーズな乗り物経路面に沿った前記第1のAGVの動きを可能にするように構成された第1の車輪セットとを有し、
前記第2のAGVは、第2の磁石と、前記実質的にスムーズな乗り物経路面に沿った前記第2のAGVの動きを可能にするように構成された第2の車輪セットとを有し、
前記第3のAGVは、第3の磁石と、前記実質的にスムーズな乗り物経路面に沿った前記第3のAGVの動きを可能にするように構成された第3の車輪セットとを有し、
前記制御システムは、前記第1のAGV、前記第2のAGV、前記第3のAGV、又はこれらの組み合わせを操作して、前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の第1の構成での結合、前記第1の磁石と前記第3の磁石との間の第2の構成での結合、及び前記第2の磁石と前記第3の磁石との間の第3の構成での結合を可能にするように構成され、
前記第1のAGVは、前記第1の磁石とは異なる前記第1のAGVの側面に沿って露出した第1のさらなる磁石を含み、前記第2のAGVは、前記第2の磁石とは異なる前記第2のAGVの側面に沿って露出した第2のさらなる磁石を含み、
前記制御システムは、前記第1及び第2の乗り物車両の一方又は両方の操作を制御して、
前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の結合を第1の構成で確立し、
前記第1の磁石と前記第2のさらなる磁石との間の結合を第2の構成で確立し、
前記第1のさらなる磁石と前記第2の磁石との間の結合を第3の構成で確立し、
前記第1のさらなる磁石と前記第2のさらなる磁石との間の結合を第4の構成で確立する、
ように構成される、
ことを特徴とする乗り物システム。
【請求項16】
前記第3のAGVは、前記第3の磁石とは異なる前記第3のAGVの側面に沿って露出した第3の磁石を含む、
請求項15に記載の乗り物システム。
【請求項17】
前記制御システムは、前記スムーズな乗り物経路の異なるセグメントにおいて、前記実質的にスムーズな乗り物経路面の終点に対する前記第1のAGV、前記第2のAGV及び前記第3のAGVの車両順が変化するように、前記第1のAGV、前記第2のAGV及び前記第3のAGV間の磁気的結合を可能にするように構成される、
請求項15に記載の乗り物システム。
【請求項18】
前記制御システムは、前記スムーズな乗り物経路の異なるセグメントにおいて、前記第1のAGV、前記第2のAGV及び前記第3のAGVの配向が移動方向に対して変化するように、前記第1のAGV、前記第2のAGV及び前記第3のAGV間の磁気的結合を可能にするように構成される、
請求項15に記載の乗り物システム。
【請求項19】
前記第1のAGV上に配置された第1の近接センサと、前記第2のAGV上に配置された第2の近接センサと、前記第3のAGV上に配置された第3の近接センサとを備え、前記制御システムは、前記第1の近接センサ、前記第2の近接センサ及び前記第3の近接センサからセンサフィードバックを受け取るように構成され、前記制御システムは、前記センサフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両、及び/又は前記第3の乗り物車両間の適切な磁気的結合を決定して該磁気的結合を引き起こすように構成される、
請求項15に記載の乗り物システム。
【請求項20】
乗り物システムであって、
第1の乗り物車両と、
第2の乗り物車両と、
制御システムと、
を備え、
前記第1の乗り物車両は、該第1の乗り物車両の第1の外側部から延びる第1の複数の磁石を有し、
前記第2の乗り物車両は、該第2の乗り物車両の第2の外側部から延びる第2の複数の磁石を有し、
前記制御システムは、前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両、又はこれらの両方を操作して、前記乗り物経路の最中に乗り物車両構成が変化するように、前記乗り物システムの乗り物経路に沿った前記第2の複数の磁石のうちの特定の第2の磁石に対する前記第1の複数の磁石のうちの特定の第1の磁石の動的結合及び分離を可能にするように構成され、前記乗り物車両構成は、前記乗り物経路の終点に対する車両移動順、車両移動方向、又は該車両移動方向に対する車両配向のうちの少なくとも1つを含
前記第1の乗り物車両は、前記第1の磁石とは異なる前記第1の乗り物車両の側面に沿って露出した第1のさらなる磁石を含み、前記第2の乗り物車両は、前記第2の磁石とは異なる前記第2の乗り物車両の側面に沿って露出した第2のさらなる磁石を含み、
前記制御システムは、前記第1及び第2の乗り物車両の一方又は両方の操作を制御して、
前記第1の磁石と前記第2の磁石との間の結合を第1の構成で確立し、
前記第1の磁石と前記第2のさらなる磁石との間の結合を第2の構成で確立し、
前記第1のさらなる磁石と前記第2の磁石との間の結合を第3の構成で確立し、
前記第1のさらなる磁石と前記第2のさらなる磁石との間の結合を第4の構成で確立する、
ように構成される、
ことを特徴とする乗り物システム。
【請求項21】
前記乗り物車両構成は、前記乗り物経路の終点に対する前記車両移動順、前記車両移動方向、又は該車両移動方向に対する前記車両配向のうちの少なくとも2つを含む、
請求項20に記載の乗り物システム。
【請求項22】
第3の乗り物車両を備え、該第3の乗り物車両は、該第3の乗り物車両の第3の外側部から延びる第3の複数の磁石を有し、前記制御システムは、前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両、前記第3の乗り物車両、又はこれらの組み合わせを操作して、前記乗り物経路の最中に前記乗り物車両構成が変化するように、前記乗り物システムの前記乗り物経路に沿った前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両及び前記第3の乗り物車両の動的磁気的結合及び分離を可能にするように構成される、
請求項20に記載の乗り物システム。
【請求項23】
前記第1の乗り物車両上に配置された第1の近接センサと、
前記第2の乗り物車両上に配置された第2の近接センサと、
を備え、前記制御システムは、前記第1の近接センサ及び前記第2の近接センサからセンサフィードバックを受け取るように構成され、前記制御システムは、前記センサフィードバックに少なくとも部分的に基づいて前記第1の複数の磁石及び前記第2の複数の磁石の少なくとも一部を動的に結合及び分離するように構成される、
請求項20に記載の乗り物システム。
【請求項24】
前記乗り物経路は実質的にスムーズな乗り物経路を含み、前記第1の乗り物車両は第1の自動乗り物車両(AGV)を含み、前記第2の乗り物車両は第2のAGVを含み、前記第1のAGVは、前記実質的にスムーズな乗り物経路に沿った前記第1のAGVの動きを可能にするように構成された第1の車輪セットを有し、前記第2のAGVは、前記実質的にスムーズな乗り物経路に沿った前記第2のAGVの動きを可能にするように構成された第2の車輪セットを有する、
請求項20に記載の乗り物システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本節は、以下で説明及び/又は特許請求する本技術の様々な態様に関連し得る技術の様々な態様を読者に紹介するためのものである。本考察は、読者に背景事情を示して本開示の様々な態様のより良い理解を促す上で役立つと考えられる。従って、これらの記載は、先行技術を認めるものとしてではなく、上記の観点から読むべきものであると理解されたい。
【0002】
テーマパーク又は遊園地の乗り物アトラクションは、ますますその人気が高まってきている。多くの場合、遊園地の乗り物は、経路に沿って移動する乗り物車両を含む移動乗り物、モーションベースを含むことができる固定乗り物、又はこれらの組み合わせを含む。移動乗り物の経路は、異なる環境内(例えば、山頂、トンネル内、水中)に位置することができる。この経路沿いには、動くアクションフィギュア(例えば、アニマトロニクス)、ビデオスクリーンプロジェクション、音響効果及び水効果などの異なるタイプのショーイベントが存在することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
いくつかの従来の乗り物アトラクションでは、乗客の視点又は体験の調整可能性に対する制限によってユーザ体験が影響を受けることがある。例えば、いくつかの従来の実施形態では、各乗り物の最中に乗り物体験が同一又は実質的に同様のものになることがある。さらに、いくつかの従来の実施形態では、実質的に停滞した乗客の視点又は配向によって、軌道上又は軌道周囲に存在するショー要素などのいくつかの乗り物特徴の効果が制限されることがある。従って、今では、改善された乗り物システム及びその乗り物車両が望ましいと認識されている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を限定するものではなく、むしろいくつかの開示する実施形態の概要を示すものにすぎない。実際には、本開示は、以下に示す実施形態と類似し得る又は異なり得る様々な形態を含むことができる。
【0005】
本開示の1つの態様によれば、乗り物システムが、第1の乗り物車両の第1の外側部に沿って露出した第1の磁石と、第1の乗り物車両の第1のさらなる外側部に沿って露出した第1のさらなる磁石とを有する第1の乗り物車両を含む。乗り物システムは、第2の乗り物車両の第2の外側部に沿って露出した第2の磁石と、第2の乗り物車両の第2のさらなる外側部に沿って露出した第2のさらなる磁石とを有する第2の乗り物車両を含む。乗り物システムは、第1及び第2の乗り物車両の一方又は両方の操作を制御して、第1の磁石と第2の磁石との間の結合を第1の構成で確立し、第1の磁石と第2のさらなる磁石との間の結合を第2の構成で確立し、第1のさらなる磁石と第2の磁石との間の結合を第3の構成で確立し、第1のさらなる磁石と第2のさらなる磁石との間の結合を第4の構成で確立するように構成された制御システムを含む。
【0006】
本開示の別の態様によれば、乗り物システムが、実質的にスムーズな乗り物経路面を含む。乗り物システムは、第1の磁石と、実質的にスムーズな乗り物経路面に沿った第1の無人搬送車(AGV)の動きを可能にするように構成された第1の車輪セットとを有する第1のAGVをさらに含む。T乗り物システムは、第2の磁石と、実質的にスムーズな乗り物経路面に沿った第2のAGVの動きを可能にするように構成された第2の車輪セットとを有する第2のAGVをさらに含む。乗り物システムは、第3の磁石と、実質的にスムーズな乗り物経路面に沿った第3のAGVの動きを可能にするように構成された第3の車輪セットとを有する第3のAGVをさらに含む。乗り物システムは、第1のAGV、第2のAGV、第3のAGV、又はこれらのいずれかの組み合わせを操作して、第1の磁石と第2の磁石との間の第1の構成での結合、第1の磁石と第3の磁石との間の第2の構成での結合、及び第2の磁石と第3の磁石との間の第3の構成での結合を可能にするように構成された制御システムを含む。
【0007】
本開示の別の態様によれば、乗り物システムが、第1の乗り物車両の第1の外側部から延びる第1の磁石を有する第1の乗り物車両と、第2の乗り物車両の第2の外側部から延びる第2の磁石を有する第2の乗り物車両と、制御システムとを含む。制御システムは、第1の乗り物車両、第2の乗り物車両、又はこれらの両方を操作して、乗り物経路の最中に乗り物車両構成が変化するように、乗り物システムの乗り物経路に沿った第2の磁石の一部に対する第1の磁石の一部の動的結合及び分離を可能にするように構成され、乗り物車両構成は、乗り物経路の終点に対する車両移動順、車両移動方向、又は車両移動方向に対する車両配向のうちの少なくとも1つを含む。
【0008】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の態様による、無人搬送車(AGV)などの複数の乗り物車両と、複数の乗り物車両を制御する制御システムとを有する乗り物システムの概略図である。
図2】本開示の態様による、図1の乗り物システムにおいて使用される結合磁石を有するAGVの正面図である。
図3】本開示の態様による、図2のAGVの側面図である。
図4】本開示の態様による、図2のAGVの上面図である。
図5】本開示の態様による、図1の乗り物システムにおいて使用される複数のAGVの潜在的結合操作の上面図である。
図6】本開示の態様による、6車両クラスターで結合された図1の乗り物システムの複数のAGVの斜視図である。
図7】本開示の態様による、AGVのペアが2車両クラスターで結合された図6の複数のAGVの斜視図である。
図8】本開示の態様による、各AGVが複数のうちの他のAGVから完全に分離された図6の複数のAGVの斜視図である。
図9】本開示の態様による、各AGVが複数のうちの他のAGVから分離された状態で独立して操作される図6の複数のAGVの斜視図である。
図10】本開示の態様による、各AGVが複数のうちの他のAGVから分離された状態で独立して操作される図6の複数のAGVの斜視図である。
図11】本開示の態様による、図8のペアとは異なるAGVのペアが2車両クラスターで結合された図6の複数のAGVの斜視図である。
図12】本開示の態様による、8車両クラスターで結合された図1の乗り物システムの複数のAGVの斜視図である。
図13】本開示の態様による、車両分離後にショー要素結合を開始する図12の複数のAGVの斜視図である。
図14】本開示の態様による、乗り物システムのショー要素に結合中の図12の複数のAGVの斜視図である。
図15】本開示の態様による、乗り物システムのショー要素に結合された図12の複数のAGVの斜視図である。
図16】本開示の態様による、乗り物システムのショー要素から分離中の図12の複数のAGVの斜視図である。
図17】本開示の態様による、結合して8車両クラスターを形成する図12の複数のAGVの斜視図である。
図18】本開示の態様による、図1の乗り物システムの動作方法を示すプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示による実施形態は、動的乗り物車両構成を有する乗り物車両に関する。具体的には、本実施形態は、数ある再構成の中でもとりわけ、乗り物システムの乗り物経路全体を通じて様々なサイズの乗り物車両クラスターを形成し、乗り物経路全体を通じて乗り物車両の配向を移動方向に対して変化させ、乗り物経路に沿って移動する乗り物車両の順序を乗り物経路の起点又は終点に対して変化させ、乗り物経路に沿って配置された様々なショー要素と相互作用するように制御できるモジュール式乗り物車両に関する。
【0011】
テーマパーク又は遊園地の乗り物アトラクションは、ますますその人気が高まってきている。多くの場合、遊園地の乗り物は、経路に沿って移動する乗り物車両を含む移動乗り物、モーションベースを含むことができる固定乗り物、又はこれらの組み合わせを含む。移動乗り物の経路は、異なる環境内(例えば、山頂、トンネル内、水中)に位置することができる。この経路沿いには、動くアクションフィギュア(例えば、アニマトロニクス)、ビデオスクリーンプロジェクション、音響効果及び水効果などの異なるタイプのショーイベントが存在することができる。
【0012】
いくつかの従来の乗り物アトラクションでは、乗客の視点又は体験の調整可能性に対する制限によってユーザ体験が影響を受けることがある。例えば、いくつかの従来の実施形態では、各乗り物の最中に乗り物体験が同一又は実質的に同様のものになることがある。さらに、いくつかの従来の実施形態では、実質的に停滞した乗客の視点又は配向によって、軌道上又は軌道周囲に存在するショー要素などのいくつかの乗り物特徴の効果が制限されることがある。従って、今では、改善された乗り物システム及びその乗り物車両が望ましいと認識されている。
【0013】
本開示によれば、乗り物システムが、乗り物車両の乗り物構成を変化させるように結合及び分離が可能な、例えば無人搬送車(AGV)などの乗り物車両を含むことができる。AGVは、例えばマーカー、磁石、センサ又はこれらの組み合わせの支援を介して実質的にスムーズな乗り物経路に沿って個々の運動及び移動の自由を有するポータブル又はロボット車両とすることができる。開示する乗り物システムの乗り物車両(例えば、AGV)は、異なる乗り物構成を形成する乗り物車両の互換性を高めるようにモジュール式(例えば、実質的に同様のもの)とすることができる。例えば、各乗り物車両は、1又は2以上の磁石を備えることができる。いくつかの実施形態では、各乗り物車両が、乗り物車両の外周又は外面に配置された複数の磁石を含むことができる。これらの磁石は、乗り物車両の異なるユニット又はクラスターなどの異なる乗り物構成、乗り物車両の異なる移動方向、乗り物車両の互いに対する及び/又は移動方向に対する異なる配向(すなわち、ロール、ピッチ、ヨー)、(例えば、乗り物経路の終点、又は乗り物経路に沿った別の固定基準フレームに対する)乗り物車両の異なる移動順、及び乗り物車両間の異なる分離距離などを促すように、乗り物車両(例えば、AGV)が互いに及び/又はショー要素に対して結合及び分離することを可能にすることができる。なお、いくつかの実施形態では、磁石が、恒久的に、又は特定の組み合わせが隣接する乗り物車両の磁力の反発を引き起こすようなコントローラ又は制御システムによる磁石の制御に基づいて、逆の極性を含むことができる。例えば、制御システムは、電磁石を通る電流を反転させて極性を反転させることができ、或いは棒磁石を回転させて、乗り物車両から外側を向いた磁石の部分の極性を変化させることができる。
【0014】
個々の乗り物車両の様々な領域のモジュール性(例えば、個々の乗り物車両の2又は3以上の同様の側面に沿って同様の位置に配置された磁石)に加え、乗り物車両のモジュール性は、従来の実施形態に比べて乗り物システムの拡張構成(例えば、改善された構成の量、及び改善された構成のタイプ又はカテゴリー)を可能にすることができる。拡張構成を可能にすることによって、乗り物の最中の乗客体験が改善され、乗客体験が乗車毎に異なることができる。以下、図面を参照しながらこれらの及びその他の特徴について詳細に説明する。
【0015】
図1は、無人搬送車(AGV)などの複数の乗り物車両13と、乗り物車両13を制御する制御システム26とを有する乗り物システム10の実施形態の概略図である。乗り物車両13は、1つの乗り物車両13当たりに1人又は2人の乗客などの乗客を収容するように構成することができるが、他の実施形態は、1つの乗り物車両13当たりに異なる数の乗客を含むことができる。乗り物車両13は、第1の乗り物車両14、第2の乗り物車両16、第3の乗り物車両18、第4の乗り物車両20、第5の乗り物車両22、及び第6の乗り物車両24を含む。しかしながら、乗り物システム10には、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10個又は11個以上の乗り物車両13などのあらゆる数の乗り物車両13を含めることができる。
【0016】
図示の乗り物車両13は、実質的にスムーズな乗り物経路などの乗り物経路12に沿って移動することができる。すなわち、乗り物経路12は、乗り物車両13が配置される軌道を含まないことができる。代わりに、乗り物車両13は、実質的にスムーズな乗り物車両経路12に沿った乗り物車両13の動きを可能にする車輪セット(wheel sets)(図示せず)を含むことができる。なお、「実質的にスムーズな」とは、乗り物経路12が乗り物車両13を導く軌道又は構造要素を含まないことを意味することができるが、実質的にスムーズな乗り物経路12は、乗り物車両13が移動する勾配などの曲面を含むことができる。乗り物車両13の動きは、少なくとも部分的に制御システム26によって制御することができる。制御システム26は、プロセッサ28と、メモリ30と、制御システム26と乗り物車両13との間の通信(例えば、遠隔又は無線通信)を可能にする通信回路32とを含むことができる。メモリ30は、プロセッサ28によって実行された時に、乗り物車両13に関連する決定を下し、通信回路32を介して乗り物車両13と通信することをプロセッサ28に行わせる命令を記憶することができる。
【0017】
いくつかの実施形態では、プロセッサ28がセンサフィードバックに少なくとも部分的に基づいて乗り物車両13に関する決定を下せるように、各乗り物車両13が、制御システム26にセンサフィードバックを伝えることができる近接センサなどのセンサ68を含むことができる。例えば、センサ68は、乗り物車両13と、隣接する乗り物車両13及び/又はショー要素40、42などの乗り物システム10の他の特徴との近接性を検出することができる。さらに、制御システム26は、図示のような遠隔制御装置又は遠隔制御システム、及び/又は各乗り物車両13上に設置された個々のコントローラを含むことができ、これによって乗り物車両13上の制御機能と離れて位置する制御機能とが、以下の説明に従って乗り物車両13の操作を容易にするように通信することができる。
【0018】
乗り物車両13は、乗り物車両13の外部に沿って配置され又は露出した磁石25を含むこともできる。磁石25は、例えば制御システム26(又は個々の乗り物車両コントローラ)によって制御可能な電流を介して磁化される電磁石とすることができ、又は磁石25は永久磁石とすることができる。磁石25が電磁石であるいくつかの実施形態では、制御システム26が、1又は2以上の磁石25内の電流を反転させて1又は2以上の磁石25の極性を反転させることにより、磁力の反発を引き起こすことができる。他の実施形態では、棒磁石を回転させて、乗り物車両13から外側を向いた棒磁石の極性を変化させることができる。磁力の反発を利用して磁石同士を磁気的に分離し、及び/又は1又は2以上の乗り物車両13の動きを引き起こすことができる。
【0019】
図示のように、各乗り物車両13は矩形形状を含むが、他の実施形態では乗り物車両13の形状が異なることができる。具体的には、各乗り物車両13は、乗り物車両13のバンパーによって形成された実質的に矩形のバンパー形状23を含むことができ、磁石25は、実質的に矩形のバンパー形状の各側面に配置される。すなわち、1つの(又はそれよりも多くの)磁石25をフロントバンパー上に配置し、別の(又はそれよりも多くの)磁石25をバックバンパー上に配置し、別の(又はそれよりも多くの)磁石25をサイドバンパー上に配置し、別の(又はそれよりも多くの)磁石25を逆のサイドバンパー上に配置することができる。磁石25は、隣接する乗り物車両13の様々なバンパーの結合を可能にすることができ、これについては後の図面を参照しながら詳細に説明する。「フロントバンパー」、「バックバンパー」及び「サイドバンパー」についての言及は、乗り物車両13内の乗客が向いている方向を示す相対的用語とすることができる。例えば、図示のように、乗り物車両13内の乗客は、方向矢印27によって示すようにショー要素40、42に向かって前方を向くことができる。従って、図示の実施形態では、通常のバンパー形状のうちのショー要素40、42に最も近いバンパーセグメントを「フロントバンパー」とすることができる。なお、乗り物車両13は、矩形のバンパー形状23の各バンパー上に1つずつ存在する4つの磁石を含むが、他の実施形態では、実質的に矩形バンパー形状23の各側面が、互いに離れた2又は3以上の磁石を含むこともできる。
【0020】
図示の実施形態の車両13は、互いに離れて乗り物経路12上に配置される。後の図面のビュー及び対応する説明で理解されるように、車両13の磁石25は、(例えば、制御システム26によって、及び/又は制御システム26が受け取ることができる乗り物車両13の相対的近接性に関するセンサフィードバックの支援を介して)選択的に結合及び分離を行うことができる。従来のロック機構が乗り物車両13をロックして係合させるのに乗り物車両13の減速又は停止を必要とし得るのに対し、磁石25は接触するだけでよいので、磁石25は従来のロック機構の結合の改善を促すことができる。
【0021】
乗り物車両13は、乗り物経路12に沿って方向34(又はその逆)及び方向36(又はその逆)に操作することができる。さらに、乗り物車両13は、円周方向38(又はその逆)にヨーイングすることができる。従って、図示の実施形態では各乗り物車両13の配向方向27が実質的に同様であるが、乗り物車両13は、(例えば、乗り物経路12の起点又は終点、乗り物経路12のショー要素40、42、又は他の何らかの実質的に静止した基準点に対して)異なる配向方向27を含むように操作することもできる。上述したように、制御システム26は、乗り物車両13の動きを制御するように動作することができる。いくつかの実施形態では、乗り物車両13が、単独で又は制御システム26と連動して乗り物車両13を操作するように動作する(例えば、特定の乗り物車両13上に配置された)個々のコントローラを含むことができる。
【0022】
図示のように、乗り物車両13はモジュール式であり、すなわち各乗り物車両13は、別の乗り物車両13との互換性を有することができる。換言すれば、第1の乗り物車両14は、第2の乗り物車両16、第3の乗り物車両18、第4の乗り物車両20、第5の乗り物車両22及び第6の乗り物車両24と実質的に同様である。乗り物車両13がモジュール式であり、各乗り物車両13の複数の外面に沿って配置された磁石25を含み、方向34、36、38(又はその逆)に操作可能であることに少なくとも部分的に起因して、乗り物車両13の構成は、乗り物経路12に沿って動的に変化することができる。例えば、上述したように、移動方向を変化させ、配向を変化させ、乗り物車両13のグループ分けを変化させ、(例えば、乗り物経路12の起点又は終点などの乗り物経路12に沿った基準点に対する)移動順を変化させ、個々の乗り物車両13又は乗り物車両13のグループ(例えば、「クラスター」)間の距離を変化させ、乗り物システム10のショー要素40、42との相互作用を開始することなどができる。以下、図面を参照しながらこれらの及びその他の特徴について詳細に説明する。
【0023】
図2は、図1の第1の乗り物車両14の実施形態の正面図である。上述したように、図1の乗り物車両13はモジュール式とすることができ、又はモジュール式の結合特徴を含むことができ、すなわち図2に示す第1の乗り物車両14は、図1の他の乗り物車両13と実質的に同様とすることができ、又は図1の他の乗り物車両13と実質的に同様の結合特徴を含むことができる。このモジュール性は、可能な再構成タイプの量を従来の実施形態に比べて増強する。以下では、図示の乗り物車両14をAGVと呼ぶ。AGV14は、それぞれが乗客を収容するように構成された2つの乗客席63を含む。さらに、AGV14は、2つの乗客席63に対応する2つのヘッドレスト62、及び2つの安全拘束バー60を含む。図示の実施形態では、AGV14が、第1の外側部(例えば、フロントバンパー66)と、第1の外側部から延びる2つの第2の外側部(例えば、2つのサイドバンパー71、72)と、第4の外側部(例えば、バックバンパー[図示せず])とを含む。フロントバンパー66は2つの磁石25を含み、対向するサイドバンパー71、72はそれぞれ2つの磁石25を含むことができるが、図の視点に起因してサイドバンパー71、72沿いには1つの磁石25しか示していない。
【0024】
上述したように、第1のAGV14の磁石25は、乗り物経路12の様々なセグメントに沿って他の乗り物車両の他の磁石に対して結合及び分離することができる。図示のAGV14は、乗り物経路12に沿ったAGVの動きを容易にする車輪セット70も含む。さらに、AGV14は、例えばAGV14の外部に沿って配置された少なくとも1つの(例えば、1つ、2つ、3つ、4つ、又はそれよりも多くの)近接センサ68を含む。図示の実施形態の近接センサ68は、フロントバンパー66とサイドバンパー71、72との間のエッジに隣接して配置される。近接センサ68は、隣接する乗り物車両の近接性を検出して、図1に示す制御システム26に近接性データを送信することができ、制御システム26は、センサフィードバックに少なくとも部分的に基づいて、第1のAGV14を隣接するAGVに対して結合及び分離することができる。近接センサ68は、例えばレーザー近接センサ、赤外線近接センサ、ドップラー効果近接センサ、磁気近接センサ、ホール効果近接センサ、又は他の何らかの好適な近接センサとすることができる。
【0025】
図3は、図2のAGV14の側面図である。図示のように、AGV14は、フロントバンパー66と、2つのサイドバンパー71、72(図の視点に起因して1つしか図示せず)と、バックバンパー74とを含む。図示のように、図示のサイドバンパー71、72とフロント及びバックバンパー66、74との間に形成されるエッジ間には、近接センサ68を配置することができる。
【0026】
図4は、図2のAGV14の上面図である。図示のように、AGV14は、フロントバンパー66、バックバンパー74及び2つのサイドバンパー71、72(例えば、4つの外側部)によって形成された実質的に矩形のバンパー形状23を含む。実質的に矩形のバンパー形状23の4つのコーナー69には近接センサ68が配置される。図示のように、フロントバンパー66、第1のサイドバンパー71、第2のサイドバンパー72及びバックバンパー74には、それぞれ2つの磁石25が配置される。フロントバンパー66上の磁石25は、バックバンパー74上の磁石25の離間距離、第1のサイドバンパー71上の磁石25の離間距離、及び第2のサイドバンパー72上の磁石25の離間距離と等しい距離だけ離間する。従って、図示の第1の乗り物車両14の4つのバンパー66、71、72、74のいずれかは、他の乗り物車両(例えば、図1の第2の乗り物車両16、第3の乗り物車両18、第4の乗り物車両20、第5の乗り物車両22、及び第6の乗り物車両24)の4つのバンパーのいずれかに結合することができる。
【0027】
例えば、図5は、図1の乗り物システム10において使用される複数のAGVの潜在的結合操作の実施形態の上面図である。第1のAGV14、第2のAGV16、第3のAGV18、第4のAGV20及び第5のAGV22を含む5つのAGVを示しているが、別の実施形態では、より多くの又は少ないAGVを含めることができる。図示のように、第1のAGV14は、第2のAGV16、第3のAGV18、第4のAGV20及び第5のAGV22によって実質的に取り囲まれている。矢印は、第1のAGV14のフロントバンパー66がどのように第2のAGV16のバックバンパー74に磁気的に結合できるか、第1のAGV14のサイドバンパー72がどのように第3のAGV18のバックバンパー74に磁気的に結合できるか、第1のAGV14のバックバンパー74がどのように第4のAGV20のバックバンパー74に磁気的に結合できるか、及び第1のAGV14のサイドバンパー71がどのように第5のAGV22のフロントバンパー66に磁気的に結合できるかを示す。同様に、曲線矢印は、第2のAGV16のサイドバンパー72がどのように第3のAGV18のサイドバンパー72に磁気的に結合できるか、第3のAGV18のサイドバンパー72がどのように第4のAGV20のサイドバンパー71に磁気的に結合できるか、第4のAGV20のサイドバンパー72がどのように第5のAGV22のサイドバンパー72に磁気的に結合できるか、及び第5のAGV22のサイドバンパー71がどのように第2のAGV16のサイドバンパー71に磁気的に結合できるかを示す。当然ながら、AGV14の位置を変更することもでき、従って、例えばAGV14、16、18、20、22のうちのいずれか1つを図示の実施形態の中央に配置することも、或いは結合されたAGV14、16、18、20、22の異なる配置又は累積形状(cumulative shape)も可能である。さらに、あらゆる数のAGV14、16、18、20、22を結合して又は結合せずに、異なるサイズの車両クラスター又はグループを形成することもできる。すなわち、AGV14、16、18、20、22を磁気的に結合して、数ある構成変更の中でもとりわけ、異なるグループ、異なる順序及び異なる配向を形成することができる。
【0028】
図6図11は、乗り物車両を磁気的に結合及び分離して様々な構成を形成する乗り物シーケンスの実施形態の斜視図である。単純化のために、以下では乗り物車両をAGVと呼ぶ。さらに、図面及び対応する説明を単純化するために、図6図11では、図示のAGVの番号付きの態様の多く、特に磁石には番号を付していない。
【0029】
図6では、第1のAGV14が第2のAGV16に横並びで磁気的に結合され、第3のAGV18が第4のAGV20に横並びで磁気的に結合され、第5のAGV22が第6のAGV24に横並びで磁気的に結合される。さらに、第6のAGV24は第4のAGV20に前後関係で磁気的に結合され、第5のAGV22は第3のAGV18に前後関係で磁気的に結合され、第4のAGV20は第2のAGV15に前後関係で磁気的に結合され、第3のAGV18は第1のAGV14に前後関係で磁気的に結合される。従って、第1のAGV14、第2のAGV16、第3のAGV18、第4のAGVC20、第5のAGV22及び第6のAGV24は、3行及び2列を有する6車両クラスターを形成する。図7では、これらの行が互いに磁気的に分離されている。例えば、第1のAGV14は第3のAGV18から磁気的に分離され、第2のAGV16は第4のAGV20から磁気的に分離され、第3のAGV18は第5のAGV22から磁気的に分離され、第4のAGV20は第6のAGV24から磁気的に分離される。すなわち、AGVは、磁気的に分離して3つの2車両クラスターを形成する。この磁気的分離は、例えばAGV14、16、18、20、24の磁石を互いに磁気的に引き付け合わないように、いくつかの実施形態では磁石同士が反発し合うように制御することを伴うことができる。上述したように、磁石は、制御システム(例えば、図1の制御システム26)によって制御される電磁石とすることができ、磁石を通る電流を反転させることによって1又は2以上の磁石の極性を変化させることができる。これに加えて又はこれに代えて、棒磁石又は同様の磁石を使用してこれらを回転させ、反対の極性が車両から外側に向くことを可能にすることもできる。
【0030】
図8では、第1のAGV14が第2のAGV16から磁気的に分離され、第3のAGV18が第4のAGV20から磁気的に分離され、第5のAGV22が第6のAGV24から磁気的に分離されている。従って、図8では、AGV14、16、18、20、22、24の各々が磁気的結合から独立して操作されている。
【0031】
図9及び図10は、互いに分離した状態で独立して操作されているAGV14、16、18、20、22、24の斜視図を含む。AGV14、16、18、20、22、24は、制御システム(例えば、図1の制御システム26)によって操作することができる。図示のように、図10では、AGV14、16、18、20、22、24をさらなる結合が可能になる位置に向けて操作することができる。図11は、3つの2車両クラスターを形成するように磁気的に結合されたAGV14、16、18、20、22の斜視図である。すなわち、第1のAGV14は第4のAGV20に横並びで磁気的に結合され、第2のAGV16は第5のAGV22に横並びで磁気的に結合され、第3のAGV18は第6のAGV24に横並びで磁気的に結合される。なお、図11のペアリングは図7のものとは異なる。さらに、図示のペアは、図6と同様に前後関係で結合することもでき、この前後関係のペアリングも、図6に示す前後関係のペアリングとは異なることができる。図6図11には、開示する実施形態に従って実施可能な1つのタイプの乗り物実行を示しているが、他の乗り物実行も可能である。例えば、AGV14、16、18、20、22、24は、図5に示すような異なる方向を向く(例えば、その配向を変化させる)ように、また異なる数及びサイズの車両クラスターを形成するように磁気的に結合することができる。
【0032】
図12図17に、図1の乗り物システム10の可能な乗り物実行の実施形態の別の例を示す。図12は、8車両クラスターで結合された図1の乗り物システムのAGVの斜視図である。図面及び対応する説明を単純化するために、図12図17では、図示のAGVの番号付きの態様の多く、特に磁石には番号を付していない。
【0033】
図12のイラストは、第1のAGV14、第2のAGV16、第3のAGV18、第4のAGV20、第5のAGV22、第6のAGV24、第7のAGV100、及び第8のAGV102を含む。AGV14、16、18、20、22、24、100、102は、4行及び2列を有する8車両クラスターを形成するように横並びかつ前後関係で結合される。図12にはショー要素40、42も示す。第1のショー要素40は第1の矩形ベース41を含み、第2のショー要素42は第2の矩形ベース43を含む。ショー要素40、42の矩形ベース41、43は、それぞれ磁気を帯びることができ、或いはAGV又は乗り物車両の磁石に別様に結合することができる。図13及び図14では、AGV14、16、18、20、22、24、100、102が磁気的に分離されてショー要素40、42に近づいており、第1のAGV14及び第2のAGV16がショー要素40、42の矩形ベース41、43にそれぞれ磁気的に結合され、第3のAGV18及び第4のAGV20が矩形ベース41、43に磁気的に結合しつつある。図15は、8つのAGV14、16、18、20、22、24、100、102が全てショー要素40、42の矩形ベース41、43にそれぞれ磁気的に結合された乗り物システムの斜視図である。図示のように、第1のショー要素40の矩形ベース41には、第1のAGV14のバックバンパー、第4のAGV20のバックバンパー、第5のAGV22のバックバンパー及び第8のAGV102のバックバンパーが磁気的に結合されているのに対し、第2のショー要素42の矩形ベース43には、第2のAGV16のフロントバンパー、第3のAGV18のフロントバンパー、第6のAGV24のフロントバンパー及び第7のAGV100のフロントバンパーが磁気的に結合されている。当然ながら、様々なAGV14、16、18、20、22、24、100、102の異なるバンパーがそれぞれショー要素40、42のベース41、43の異なる方に異なる順序で結合することもできる。さらに、いくつかの実施形態では、AGV14、16、18、20、22、24、100、102のうちのいくつかのみをショー要素40、42に結合することもできる。上述したように、AGV14、16、18、20、22、24、100、102間のモジュール的関係、並びにAGV14、16、18、20、22、24、100、102のうちの特定のAGVの側面のモジュール性及び対応する磁石は、乗り物車両(例えば、AGV14、16、18、20、22、24、100、102)の移動方向、グループ分け(例えば、サイズ及び一致)、配向、分離距離などに関する複数の動的に調整可能な乗り物構成を可能にする。
【0034】
図18は、図1の乗り物システムの動作方法200の実施形態を示すプロセスフロー図である。図示の実施形態では、方法200が、第1の乗り物構成を形成するように乗り物車両を磁気的に結合すること(ブロック202)を含む。上述したように、各乗り物車両は、例えば乗り物車両の外部に沿って配置され又は露出した複数の磁石などの1又は2以上の磁石を含むことができる。乗り物車両は、上記で図5図17に関して図示し説明したような様々な方法で結合することができる。乗り物車両は、背面同士、側面同士、前面同士又は前面と背面とを磁気的に結合することができる。乗り物車両は、あらゆる数の乗り物車両のグループ又はクラスターで磁気的に結合することができる。これらのグループ又はクラスターは、同様の又は異なる方向に移動することができ、互いに異なるように配向又は結合することができる。いくつかの実施形態では、近接センサが、制御システムによる適切な結合の決定及び/又は促進を可能にすることができる。例えば、制御システムは、近接センサからのセンサフィードバックを使用して、どの乗り物車両のどの磁石が互いに隣接しているかを判定し、これらの磁石及び対応する乗り物車両を共に磁気的結合係合(magnetically coupled engagement)に導くことができる。上述したように、磁石は、インターロック機構を使用せずに結合できることにより、乗り物車両を停止又は実質的に減速させる必要なく互いに磁気的に結合することができる。
【0035】
方法200は、乗り物車両の少なくともいくつかを、第1の乗り物構成とは異なる第2の乗り物構成を形成するように磁気的に分離すること(ブロック204)も含む。例えば、上述したように、結合された乗り物車両のクラスターを分離又は部分的に分離することにより、乗り物車両又はより小さな乗り物車両のクラスターをそれまでの大きなクラスターから独立して操作することができる。磁石が電磁石である実施形態では、電磁石を通る電流を妨げ、(例えば、制御システムの支援を通じて)乗り物車両の互いに離れた異なる方向への操作を可能にすることによって、分離を開始することができる。さらに、いくつかの操作では、電流を反転させて電磁石の極性を変化させることにより、隣接する乗り物車両の2つの磁石間の磁力の反発を促すことができる。磁力の反発を利用して乗り物車両を分離し、及び/又は乗り物車両の動きを引き起こすことができる。磁力の反発は、回転可能な棒磁石を利用し、制御システムによる制御コマンドに基づいて棒磁石が回転して、車両から外側を向いた磁石部分の極性の変化を引き起こすことによって達成することもできる。
【0036】
方法200は、少なくともいくつかの他の乗り物車両を、第1の乗り物構成及び第2の乗り物構成とは異なる第3の乗り物構成を形成するように磁気的に結合すること(ブロック206)も含む。例えば、図6図11に示す乗り物シーケンスに関して上述したように、乗り物車両は、乗り物の第1の時点で、車両の移動順、車両のクラスターサイズ又は形状、車両の一致、移動方向などに関する第1の構成で磁気的に結合することができ、乗り物の第2の時点で、車両の移動順、車両のクラスターサイズ又は形状、車両の一致、移動方向などに関する第2の構成で磁気的に結合することができ、第2の構成は、少なくとも1つの態様が第1の構成と異なる。
【0037】
方法200は、第1、第2及び第3の構成とは異なる第4の乗り物構成を形成するように、少なくともいくつかの乗り物車両にショー要素を磁気的に結合すること(ブロック208)も含む。例えば、図12図17に示す乗り物シーケンスに関して上述したように、乗り物車両は、乗り物経路に沿って存在する様々なショー要素に向かって操作されてこれらに磁気的に結合するように制御することができる。乗り物車両は、ショー要素から磁気的に分離して乗り物経路に沿って進み続けるように制御することもできる。
【0038】
本開示によれば、本乗り物システムは、乗り物システム及びその乗り物車両の改善された構成を可能にするように制御可能な乗り物車両を含む。乗り物車両がモジュール式であることができ、各乗り物車両の複数の外面に沿って配置された磁石を含むことができ、様々な方向に操作可能であって物理的軌道に従う必要がないことに少なくとも部分的に起因して、乗り物車両構成を乗り物経路に沿って動的に変化させることができる。例えば、上述したように、車両の移動方向を変化させ、車両配向を変化させ、乗り物車両のグループ分けを変化させ、(例えば、乗り物経路の起点又は終点などの乗り物経路に沿った基準点に対する)車両の移動順を変化させ、個々の乗り物車両又は乗り物車両のグループ(例えば、「クラスター」)間の距離を変化させ、乗り物システムのショー要素との相互作用を開始することなどができる。
【0039】
本明細書では、いくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が思い浮かぶであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に該当する全てのこのような修正及び変更を含むものであると理解されたい。
【符号の説明】
【0040】
10 乗り物システム
12 乗り物経路
13 乗り物車両
14 第1の乗り物車両
16 第2の乗り物車両
18 第3の乗り物車両
20 第4の乗り物車両
22 第5の乗り物車両
23 バンパー形状
24 第6の乗り物車両
25 磁石
26 制御システム
27 前方
28 プロセッサ
30 メモリ
32 通信回路
34 方向
36 方向
38 円周方向
40 ショー要素
42 ショー要素
68 センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18