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特許7429240流体管理構造体を有するフィルタカートリッジ組立品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】流体管理構造体を有するフィルタカートリッジ組立品
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/94 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
A61B17/94
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021559439
(86)(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-08
(86)【国際出願番号】 US2020023328
(87)【国際公開番号】W WO2020209995
(87)【国際公開日】2020-10-15
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】16/749,371
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/836,116
(32)【優先日】2019-04-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/831,933
(32)【優先日】2019-04-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500103074
【氏名又は名称】コンメッド コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ ジェイコブ
(72)【発明者】
【氏名】アレン ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ティムリ ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】レトゥレタ ステファニー
(72)【発明者】
【氏名】クレイン ロドニー
(72)【発明者】
【氏名】クリシュナムールティー マヘーシュ
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0150101(US,A1)
【文献】実開昭63-105824(JP,U)
【文献】特開2007-237552(JP,A)
【文献】国際公開第2019/005383(WO,A1)
【文献】特表2013-541972(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)ガス戻り経路を通ってハウジングに入る流体を収集するための貯蔵部を含む前記ハウジングと、
b)前記貯蔵部内の流体レベルを検出するための、前記貯蔵部内に位置する流体レベルセンサと、
c)前記貯蔵部に対する入口ポートに隣接して前記ハウジング内に位置付けられたバッカープレートであって、前記入口ポートを通って前記ガス戻り経路から前記貯蔵部に入り、前記貯蔵部中の前記流体レベルの偽表示を引き起こす流体から前記流体レベルセンサを保護するための流体管理構造体を含むバッカープレートと、
を備え
前記バッカープレートは、
前記貯蔵部からの出口ポートと、
前記貯蔵部に入る流体を前記出口ポートから離れる方向に前記貯蔵部内へと逸らすための、前記バッカープレートの前面から前記貯蔵部内へと延在する半径方向ガード壁と、
を含み、
前記流体管理構造体は、前記貯蔵部に入る流体から前記流体レベルセンサを保護するための、前記バッカープレートの前面から延在しかつ前記流体レベルセンサに隣接する板状のバッフル壁を含む、フィルタカートリッジ組立品。
【請求項2】
前記バッフル壁が、
細長い一次壁セクションと、
前記一次壁セクションから離れる方向に角度をなして延在する二次壁セクションと、を含む、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項3】
前記バッフル壁の前記一次壁セクションおよび前記第二壁セクションが、前記流体レベルセンサから均等に離間している、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項4】
前記流体管理構造体が、前記半径方向ガード壁から前記バッフル壁に向かって延在する、複数の離間した平面ルーバーをさらに含む、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項5】
前記流体管理構造体が、前記バッカープレートから外向きに延在し、前記半径方向ガード壁と前記バッフル壁との間に配設される、複数の離間したポストをさらに含む、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項6】
前記流体管理構造体が、前記半径方向ガード壁から前記バッフル壁に向かって延在する、複数の離間した三角形ルーバーをさらに含む、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項7】
前記流体レベルセンサが、前記ハウジングの内壁から前記貯蔵部内へと半径方向内向きに延在する、一次および二次光学プリズムを含む、請求項1に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項8】
少なくとも一つのフィルタ要素が、前記貯蔵部からの前記出口ポートから下流に前記ハウジング内に位置する、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項9】
外科手術ガス送達システムのためのフィルタカートリッジ組立品であって、
a)患者の身体からガス戻り経路を通って前記ハウジングに入る流体を収集するための貯蔵部を含むハウジングと、
b)前記貯蔵部内の流体レベルを検出するための、前記貯蔵部内に位置する一対のセンサと、
c)前記貯蔵部に対する入口ポートに隣接して前記ハウジング内に位置付けられ、前記貯蔵部からの出口ポートを含む、バッカープレートであって、前記バッカープレートが、前記入口ポートを通って前記ガス戻り経路から前記貯蔵部に入る流体を、前記出口ポートから離れる方向に逸らすための、前記バッカープレートの前面から前記貯蔵部内に延在する半径方向ガード壁を有し、さらに、前記入口ポートを通って前記ガス戻り経路から前記貯蔵部に入り、前記貯蔵部内の前記流体レベルの偽表示を引き起こす流体から前記センサを保護するための、前記バッカープレートの前面から延在しかつ前記半径方向ガード壁から離間する板状のバッフル壁を有する、バッカープレートと、
を備える、フィルタカートリッジ組立品。
【請求項10】
前記バッフル壁が、
細長い一次壁セクションと、
前記一次壁セクションから離れる方向に角度をなして延在する二次壁セクションと、を含む、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項11】
前記バッフル壁の前記一次および二次壁セクションが、前記センサから均等に離間している、請求項10に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項12】
複数の離間した平面ルーバーが、前記半径方向ガード壁から前記バッフル壁に向かって延在する、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項13】
前記バッカープレートから外向きに延在する複数の離間したポストが、前記半径方向ガード壁と前記バッフル壁との間に配設される、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項14】
複数の離間した三角形ルーバーが、前記半径方向ガード壁から前記バッフル壁に向かって延在する、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項15】
前記センサが、前記ハウジングの内壁から前記貯蔵部内へと半径方向内向きに延在する一次および二次光学プリズムを含む、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項16】
少なくとも一つのフィルタ要素が、前記貯蔵部の前記出口ポートから下流に前記ハウジング内に位置する、請求項に記載のフィルタカートリッジ組立品。
【請求項17】
フィルタカートリッジ組立品のためのバッカープレートであって、円形ディスクを備えており、
前記円形ディスクは、
前記フィルタカートリッジ組立品のガス戻り経路と連通するための、その半径方向外周部に隣接した出口ポートと、
前記ディスクの前面から外向きにかつ前記出口ポートから半径方向に延在して、前記出口ポートから離れる方向に、前記フィルタカートリッジ組立品で画定された貯蔵部内へと流体を逸らす、ガード壁と、
前記ディスクの前面から外向きに延在しかつ前記ガード壁から離間し、前記貯蔵部に対する入口ポートを通って前記貯蔵部に入る流体から前記貯蔵部内に位置する流体レベルセンサを保護する、板状のバッフル壁と、
を含む、バッカープレート。
【請求項18】
前記バッフル壁が、
細長い一次壁セクションと、
前記一次壁セクションから離れる方向に角度をなして延在する二次壁セクションと、を含む、請求項17に記載のフィルタカートリッジ組立品のためのバッカープレート。
【請求項19】
a)ガス戻り経路を通ってハウジングに入る流体を収集するための貯蔵部を含む前記ハウジングと、
b)前記貯蔵部内の流体レベルを検出するための、前記貯蔵部内に位置する流体レベルセンサと、
c)前記貯蔵部に対する入口ポートに隣接して前記ハウジング内に位置付けられたバッカープレートであって、前記入口ポートを通って前記ガス戻り経路から前記貯蔵部に入り、前記貯蔵部中の前記流体レベルの偽表示を引き起こす流体から前記流体レベルセンサを保護するための流体管理構造体を含むバッカープレートと、
を備え、
前記バッカープレートは、
前記貯蔵部からの出口ポートと、
前記貯蔵部に入る流体を前記出口ポートから離れる方向に前記貯蔵部内へと逸らすための、前記バッカープレートから前記貯蔵部内へと延在する半径方向ガード壁と、
を含み、
前記流体管理構造体は、
前記貯蔵部に入る流体から前記流体レベルセンサを保護するために、前記流体レベルセンサに隣接する板状のバッフル壁と、
前記バッカープレートから外向きに延在し、前記半径方向ガード壁と前記バッフル壁との間に配設される、複数の離間したポストと、
を含む、フィルタカートリッジ組立品
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年4月10日出願の米国仮特許出願第62/831,933号、2019年4月19日出願の米国仮特許出願第62/836,116号、および2020年1月22日出願の米国仮特許出願第16/749,371号に対する優先権を主張するものであり、その開示はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、腹腔鏡または内視鏡外科手術の実施で使用するための機器に関し、より具体的には、外科手術ガス循環システムで使用するためのフィルタカートリッジ組立品に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の説明
腹腔鏡下または「最小侵襲性」外科的手術技術は、胆嚢摘出、虫垂切除術、ヘルニア修復および腎摘出などの手術の実施において普及している。そのような処置の利点には、患者への外傷の減少、感染の機会の低減、および回復時間の短縮が含まれる。腹部(腹膜)空洞内のこのような手術は、典型的には、トロカールまたはカニューレとして知られる装置を通して実施され、これは腹腔鏡器具の患者の腹腔内への導入を促進する。
【0004】
さらに、このような処置は、一般に、二酸化炭素などの加圧流体で腹腔の充填または腹腔に「送気」して、気腹と呼ばれる手術空間を作り出すことを含む。送気は、送気用流体を送達するように装備されたトロカールなどの手術用アクセス装置、または送気用(ベレス)ニードルなどの別個の送気用装置によって、実施され得る。気腹を維持するために、送気ガスの実質的な損失なしに、外科手術器具の気腹への導入が望ましい。
【0005】
典型的な腹腔鏡下処置中に、外科医は、通常各々約12ミリメートル以下の三、四個所の小さな切開を行い、これは通常、外科用アクセス装置自体を用いて、しばしばその中に配置された別個の挿入器または閉塞具を使用して行われる。挿入後、閉塞具が取り外され、トロカールは腹腔内に挿入される器具に対するアクセスを可能にする。典型的なトロカールは、外科医が作業する開放内部空間を持つように、腹腔に送気する経路を提供する。
【0006】
トロカールは、トロカールと使用されている外科手術器具の間の密封によって空洞内の圧力を維持する方法を提供しつつも、なお外科手術器具の少なくとも最小量の移動の自由を可能にしなければならない。このような器具には、例えば、はさみ、把持器具および閉塞具、焼灼ユニット、カメラ、光源およびその他の外科手術器具が含まれ得る。密封要素または機構は通常、腹腔からの送気用ガスの漏れを防ぐためにトロカールに提供される。これらの密封機構は多くの場合、トロカールを通過する外科手術器具の外側表面の周りに密封するために、比較的柔軟な材料で作られたダックビル型弁を含む。
【0007】
ConMed Corporationの完全子会社であるSurgiQuest,Inc.は、例えば米国特許第7,854,724号に記載されるように、従来の機械的弁シールを必要とせずに、送気された外科手術腔にすぐにアクセスできる、独自のガス密封外科手術アクセス装置を開発しており、その開示は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。これらの装置は、内側管状体部分および同軸外側管状体部分を含むいくつかのネストされた構成要素から構築される。内側管状体部分は、従来の腹腔鏡外科手術器具を患者の腹腔に導入するための中央ルーメンを画定し、外側管状体部分は、患者の腹腔に送気用ガスを送達し、腹圧の定期的な感知を促進するための内側管状体部分を囲む環状ルーメンを画定する。
【0008】
SurgiQuest,Inc.はまた、米国特許第9,375,539号に記載されるように、送気、ガス再循環、および煙排出を容易にする、そのガス密封外科手術アクセス装置で使用するためのマルチモードガス送達装置も開発した。マルチモードガス送達装置は、同一出願人による米国特許第9,067,030号に記載されるように、使い捨ての単回使用のフィルタ付きマルチルーメン管セットを通して、ガス密封アクセス装置および他の従来の外科手術アクセス装置と空気圧により連通する。
【0009】
フィルタ付きマルチルーメン管セットは、それに接続された外科手術アクセス装置によって煙排出処置中に管セット内に引き込まれた流体を捕捉および収集するための内部貯蔵部を画定するハウジングを有する、フィルタカートリッジを含む。ハウジングと一体的に形成された一対の光学センサプリズムは、貯蔵部内の液体レベルを感知するために貯蔵部内に位置する。これらは、貯蔵部内の第一の流体レベルを検出するための第一の光学プリズムと、貯蔵部内の第二の流体レベルを検出するための第二の光学プリズムとを含む。これらの光学プリズムは、ガス送達装置内に位置する赤外線エミッタおよびフォトダイオード制御回路と併せて反射センサとして機能し、貯蔵部内の流体レベルが特定の閾値に達したことを示す視覚的および/または可聴信号を生成する。
【0010】
臨床およびラボの両方の設定において、使用中の先行技術のフィルタカートリッジ組立品が図示される本明細書の図2に図示するように、管セットのガス戻りルーメンを通ってカートリッジハウジングに入る高速の流体の噴霧および水はねのために、液滴が光学プリズム上に形成され得ることが観察された。事実、これは、ただ最小量の液体が実際にその中に蓄積された時に、貯蔵部内の流体レベルのエラーメッセージまたは偽表示をもたらす。この偽陽性エラーは、外科手術スタッフに混乱を生じさせるものとなり得、外科手術処置の中断または遅延を引き起こす可能性がある。
【0011】
試験および評価を通して、これらの偽陽性エラーメッセージの根本原因は、流体が貯蔵部の底部内に蓄積する機会を有する前に貯蔵部内に位置する光学プリズムから離れる方向に液滴を適切に逸らさない、従来のフィルタカートリッジハウジングの貯蔵部への入口経路の設計によると判断されている。
【0012】
本発明は、この流体管理の問題に対処し、それによって、現在使用されている既存のフィルタカートリッジ設計を改善することを意図している。
【発明の概要】
【0013】
本発明は、内視鏡および腹腔鏡外科手術処置中に使用される外科手術ガス送達システムのための新規かつ有用なフィルタカートリッジ組立品を対象とする。カートリッジ組立品は、患者の体腔からガス戻り経路を通ってハウジングに入る流体を収集するための内部貯蔵部を有する円筒状ハウジングと、その中の流体レベルを検出するための、貯蔵部内に位置するセンサと、貯蔵部に対する入口ポートに隣接してハウジング内に位置付けられ、入口ポートを通ってガス戻り経路から貯蔵部に入り、外科手術処置中に問題となり得る、貯蔵部内の流体レベルの偽表示を引き起こす可能性がある流体からセンサを保護する流体管理構造体を含む、円形バッカープレートと、を含む。
【0014】
円形バッカープレートは、プレートの外周部に隣接して位置する、貯蔵部からの出口ポートを含む。バッカープレートは、貯蔵部に入る流体を出口ポートから離れる方向に貯蔵部内へと逸らすための、バッカープレートから貯蔵部内へと延在する半径方向ガード壁をさらに含む。
【0015】
流体管理構造体は、流体レベルセンサに隣接して位置して、貯蔵部に入る流体から流体レベルセンサを保護するバッフル壁を含むことが好ましい。バッフル壁は、細長い一次壁セクションと、一次壁セクションから離れる方向に角度をなして延在する二次壁セクションとを含む。バッフル壁の一次および第二の壁セクションは、センサから均等に離間している。
【0016】
本発明の一実施形態では、流体管理構造体は、ガイド壁からバッフル壁に向かって延在して、貯蔵部内で流体がセンサと接触する可能性を低減するように流体含有ガス流のモーメントに対して影響を与える、複数の離間した平面ルーバーを含む。本発明の別の実施形態では、流体管理構造体は、バッカープレートから外向きに延在し、かつガード壁とバッフル壁との間に配設されて、貯蔵部に入る流体含有ガスのモーメントにさらに影響を与える、複数の離間したポストまたは突起部を含む。本発明のさらに別の実施形態では、流体管理構造体は、ガイド壁からバッフル壁に向かって延在する複数の離間した三角形ルーバーを含む。
【0017】
また、本発明は、フィルタカートリッジ組立品内で使用するためのバッカープレートを対象としており、バッカープレートは、フィルタカートリッジ組立品のガス戻り経路と連通するための、その半径方向外周部に隣接した出口ポートと、出口ポートから半径方向に延在して、出口ポートから離れる方向に、フィルタカートリッジ組立品で画定された貯蔵部内へと流体を逸らす、ガード壁と、ガード壁から離間し、貯蔵部に対する入口ポートを通って貯蔵部に入る流体から貯蔵部内に位置する流体レベルセンサを保護する、バッフル壁とを含む円形ディスクを備える。
【0018】
本発明のフィルタカートリッジ組立品のこれらおよびその他の特徴は、以下の図面の簡単な説明と併せてなされた好ましい実施形態の詳細な説明から、本発明に関連する当業者にはより容易に明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
当業者は、必要以上の実験無しに、本発明のフィルタカートリッジ組立品を製造および使用する方法を容易に理解するであろうゆえに、その好適な実施形態を、図面を参照しながら以下に詳細に説明する。
【0020】
図1図1は、本発明の好ましい実施形態に従って構築されたマルチモード外科手術ガス送達装置およびトリルーメンフィルタ付き管セットを含むガス循環システムの斜視図である。
図2図2は、カートリッジハウジングの外壁の一部分が切り取られて、貯蔵部に入る流体がその内部に位置する流体レベルセンサと接触して、貯蔵部内の流体レベルの偽表示を引き起こす時に生じる問題が図示された、図1に示される外科手術ガス送達装置で使用される従来のフィルタカートリッジ組立品の斜視図である。
図3図3は、カートリッジハウジング壁の外壁の一部分が切り取られて、カートリッジハウジングの貯蔵部内に位置する流体レベルセンサを保護するバッカープレート上の流体管理構造体が図示された、本発明のフィルタカートリッジ組立品の斜視図である。
図4図4は、図示しやすいように部品が分離されており、バッカープレートが流体管理バッフルと共に図示された、図3に示されるフィルタカートリッジ組立品の分解斜視図である。
図5図5は、図4に示されるバッカープレートの斜視図である。
図6図6は、カートリッジハウジングの外壁の一部分が切り取られて、バッカープレート上の流体管理バッフルが貯蔵部に入る流体から流体レベルセンサを保護する方法が図示された、本発明のフィルタカートリッジ組立品の斜視図である。
図7図7は、カートリッジハウジングの外壁の一部分が切り取られて、バッカープレートの流体管理構造体の別の実施形態が図示された、本発明のフィルタカートリッジの斜視図である。
図8図8は、バッフル壁およびガード壁に関連付けられた平面ルーバーを含む流体管理構造体が図示された、図7に示されるバッカープレートの斜視図である。
図9図9は、カートリッジハウジングの外壁の一部分が切り取られて、バッカープレートの流体管理構造体のさらに別の実施形態が図示された、本発明のフィルタカートリッジの斜視図である。
図10図10は、バッフル壁、ガード壁に関連付けられた平面ルーバー、およびバッフル壁と平面ルーバーとの間に配設される複数の離間したポストを含む流体管理構造体が図示された、図9に示されるバッカープレートの斜視図である。
図11図11は、カートリッジハウジングの外壁の一部分が切り取られて、バッカープレートの流体管理構造体のさらなる別の実施形態が図示された、本発明のフィルタカートリッジの斜視図である。
図12図12は、バッフル壁およびガード壁に関連付けられた三角形ルーバーを含む流体管理構造体が図示された、図11に示されるバッカープレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
ここで、同様の参照番号が、本発明の類似の構造要素および特徴を特定する図面を参照し、患者の外科手術腔内で内視鏡外科手術処置を実施するための、より具体的には、患者の腹腔内で腹腔鏡外科手術処置を実施するためのガス循環システム10が図1に図示されている。
【0022】
ガス循環システム10は、プログラム可能なマルチモードガス送達装置12を含む。このタイプのガス送達装置12は、同一出願人による米国特許第9,375,539号に記載されており、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。ガス送達装置12は、患者の外科手術腔への送気用ガスの導入、およびフィルタ付き管セット16による患者の外科手術腔に対する加圧ガスの再循環を容易にするよう動作パラメータを設定するためのグラフィカルユーザーインターフェース14を含む。また、装置は、外科手術処置中に患者の体腔からの煙排出を容易にするように設計される。
【0023】
フィルタ付き管セット16は、トリルーメン部分18および同一出願人による、米国特許第9,067,030号に開示されるタイプのフィルタカートリッジ組立品20を含み、その開示の全体が参照により本明細書に組み込まれる。フィルタカートリッジ組立品20のトリルーメン部分18は、送気/感知ルーメン18a、ガス送達ルーメン18b、およびガス戻りルーメン18cを含む。フィルタ付き管セット16のフィルタカートリッジ組立品20は、ガス送達装置12の前面の受容ポート22と相互作用するように適合および構成される。
【0024】
図3および図4を参照すると、フィルタ付き管セット16のフィルタカートリッジ組立品20は、前方端部キャップ26、中央本体部分28および後方端部キャップ30を含む、概して円筒状のフィルタハウジング24を有する。ハウジング24の中央本体部分28は、必要に応じてカートリッジの内部の目視検査を可能にするよう、透明な材料から作製され得る。ハウジング24の前方端部キャップ26は、トリルーメン管セット18に関連付けられた嵌合部34を受容するためのマニホールド接続部32を有する。図面には示されていないが、ハウジング24の後方端部キャップ30は、カートリッジ組立品20に流入および流出するガスを収容するための、その中に形成された複数のポートを有する。
【0025】
ハウジング24の中央本体部分28は、前方端部キャップ26に隣接した、ひだ付き前方フィルタ要素35、任意選択の中央カーボンフィルタ要素36、および後方端部キャップ30に隣接した、ひだ付き後方フィルタ要素38を収容する。また、追加的なフィルタ要素が、フィルタカートリッジ組立品20のハウジング24内に提供されてもよい。
【0026】
フィルタハウジング24の中央本体部分28はまた、内部流体トラップまたは貯蔵部40を画定する。貯蔵部40は、カートリッジハウジング24を通って延在するガス戻り経路によってトリルーメン部分18のガス戻りルーメン18cと連通する上流入口ポート25を有する。貯蔵部40は、流体含有ガスまたは加湿ガスとしてハウジング24内に引き込まれた体液を収集するように設計される。これは、ガス送達装置12が、ガス再循環モードまたは煙排出モードで動作している時に行われ得る。
【0027】
円形バッカープレート44は、貯蔵部40に対する上流入口ポート25に隣接して、ハウジング24の中央本体部分28内に位置付けられる。貯蔵部40の下流出口ポート47は、その半径方向外周部に隣接して、バッカープレート44内に形成される。出口ポート47は、バッカープレート44の出口通路46と連通し、貯蔵部からのガスを、カートリッジハウジング24を通って延在するガス戻り経路内に戻すように方向付ける。
【0028】
バッカープレート44は、バッカープレート44の出口通路46から貯蔵部40の中へと下方に延在する、半径方向に延在するガード壁48の形態の流体管理機構45をさらに含む。ガード壁48は、貯蔵部40に入る流体を、出口通路46および出口ポート47から離れる方向に、貯蔵部40の底部へと下方に逸らすよう位置付けられる。これは、流体が、貯蔵部40を通って横切り、ガス戻り経路に戻るよう移動して、ひだ付き後方フィルタ要素35に向かって下流へと進むことを阻止する。
【0029】
一対の三角形光学プリズム42a、42bは、フィルタハウジング24の内壁から半径方向内向きに延在し、貯蔵部40内の液体のレベルを感知するために貯蔵部40内に位置する。第一のまたは下部プリズム42aは、感知システムの第一の設定点レベルを画定し、第二のまたは上部プリズム42bは、感知システムの第二の設定点レベルを画定することが好ましい。より具体的には、米国特許第9,067,030号に開示されるように、第一のプリズム42aは、貯蔵部40内の第一の液体レベルを検出するように位置付けられ、第二のプリズム42bは、貯蔵部40内の第二の液体レベルを検出するように位置付けられる。
【0030】
動作において、赤外線信号が光学プリズム42a、42bへと方向付けられる。プリズムが貯蔵部40の液体で覆われていない場合、プリズムは赤外線信号の100%を戻し、システムは警報なしに動作し続ける。しかしながら、プリズムが貯蔵部40の液体によって覆われる場合、赤外線光の一部分は流体中に散乱され、プリズムは赤外線信号の100%未満を戻す。この場合、貯蔵部40内の液体レベルが閾値レベルに達したことを示す視覚的および/または可聴警告が外科手術スタッフに提供され得る。
【0031】
臨床およびラボの両方の設定において、図2に図示されるフィルタカートリッジ組立品100などの先行技術のフィルタカートリッジにおいて、入口ポート25によってガス戻りルーメン18cを通ってカートリッジハウジング24に入る高速の流体含有ガスの噴霧および水はねのために、液滴が光学プリズム42a、42b上に形成され得ることが観察された。実際には、これは、ただ最小量の液体が実際にその中に蓄積された時に、貯蔵部40内の流体レベルのエラーメッセージまたは偽表示をもたらす。この偽陽性エラーは、外科手術スタッフに混乱を生じさせるものとなり得、外科手術処置の中断または遅延を引き起こす可能性がある。
【0032】
試験および評価を通して、これらの偽陽性エラーメッセージの根本原因は、図2に図示されるように、流体が貯蔵部40の底部内に蓄積する機会を有する前に貯蔵部40内に位置する光学プリズム42a、42bから離れる方向に液滴を適切に逸らさない、従来のフィルタカートリッジ組立品100の貯蔵部40への入口経路の設計によると判断されている。
【0033】
この問題に対処するために、図3図6に示される本発明のフィルタカートリッジ組立品20では、円形バッカープレート44に、上流入口ポート25を通って貯蔵部40に入り、貯蔵部40内の流体レベルの偽表示を引き起こす可能性がある流体から光学プリズム42a、42bを保護する、流体管理構造体が提供される。より具体的には、バッカープレート44は、図6に最もよく見られるように、光学プリズム42a、42bに隣接して位置し、入口ポート25を通って貯蔵部40に入る流体から光学プリズム42a、42bを保護するバッフル壁50を含む。要するに、バッフル壁50は、光学センサ42a、42bが、その中に位置して、バッカープレート44またはガード壁48の内面から離れる方向に逸らされ得る流入流体噴霧から保護される、貯蔵部40内の別個のチャンバーを生成する。
【0034】
バッフル壁50は、細長い一次壁セクション52と、一次壁セクション52から離れる方向に角度をなして延在する二次壁セクション54とを含む。バッフル壁50の一次壁セクション52および第二の壁セクション54は、光学プリズム42a、42bから均等に離間していることが好ましい。しかしながら、この間隔、およびバッフル壁セクションの軸方向の高さおよび半径方向の長さは、設計最適化により変化し得る。
【0035】
図7および図8に示される本発明の別の実施形態では、参照番号144として指定されるバッフルプレートの流体管理構造体は、ガード壁48からバッフル壁50に向かって離れる方向に角度をなして延在する、複数の離間した平面ルーバー60を含む。ルーバー60は、入口ポート25から貯蔵部に入る流体を、バッフル壁50から離れる方向に、貯蔵部40の底部へと下方に逸らすように、あるいは再配向するように設計されている。
【0036】
図9および図10に示す本発明のさらに別の実施形態では、参照番号244として指定されるバッフルプレートの流体管理構造体は、ルーバー60とバッフル壁50との間に配設される複数の離間したポストまたは突起部62を含む。ポスト62は、流れのモーメントを有利に低減し、流体が、光学プリズム42a、42b上に噴霧されることなく貯蔵部40の底部で収集される可能性を高めるように、入口ポート25を通って貯蔵部に入る流体含有ガス流に乱流を生成するように設計される。
【0037】
図11および図12に示される本発明のさらに別の実施形態では、参照番号344として指定されるバッフルプレートの流体管理構造体は、ガード壁48からバッフル壁50に向かって離れる方向に角度をなして延在する、複数の離間した三角形ルーバー64を含む。これらの三角形ルーバー64は、光学プリズム42a、42b上に噴霧されて偽陽性エラーメッセージを引き起こすことなく、入口ポート25を通って貯蔵部に入る流体を、バッフル壁50から離れる方向に、貯蔵部40の底部へと下方により効果的に逸らせる、あるいは再配向するように設計される。
【0038】
対象開示が好ましい実施形態を参照して示され、記述されてきたが、当業者であれば、変更および/または修正が、対象開示の範囲から逸脱することなく作成され得ることを容易に理解するであろう。
図1
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図7
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図10
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図12