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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G08B 27/00 20060101AFI20240131BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20240131BHJP
   G08B 21/10 20060101ALI20240131BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G08B27/00 C
B64C39/02
G08B21/10
G08G5/00 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022082441
(22)【出願日】2022-05-19
(65)【公開番号】P2023170586
(43)【公開日】2023-12-01
【審査請求日】2022-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和人
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-036356(JP,A)
【文献】特開2022-025162(JP,A)
【文献】特開2021-166074(JP,A)
【文献】特開2021-179718(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64B1/00-1/70
B64C1/00-99/00
B64D1/00-47/08
B64F1/00-5/60
B64G1/00-99/00
G01C21/00-21/36
23/00-25/00
G05D1/00-1/12
G08B19/00-31/00
G08G1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、
いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、
前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部とを備え、
前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、
前記飛行可否判断部は、前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体の現在位置及び電力残量、並びに、当該1の飛行体が充電可能な充電設備の位置及び当該1の飛行体が当該充電設備にて充電する電力量に基づいて、当該1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、
いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、
前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部と、
災害の原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報を取得する取得部と、
前記防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュであって、人間の密集度に応じて異なる大きさのメッシュを抽出するメッシュ抽出部とを備え、
前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、さらに、前記防災情報が示す災害に関する報知を行う飛行体が抽出された複数の前記メッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、
いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、
前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部と、
災害の原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報を取得する取得部と、
前記防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュであって、前記飛行体が報知を行う方法に応じて異なる大きさのメッシュを抽出するメッシュ抽出部とを備え、
前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、さらに、前記防災情報が示す災害に関する報知を行う飛行体が抽出された複数の前記メッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項4】
飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、
いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、
前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部と、
災害の原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報を取得する取得部と、
前記防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュであって、前記飛行体が報知を行う日又は時に応じて異なる大きさのメッシュを抽出するメッシュ抽出部とを備え、
前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、さらに、前記防災情報が示す災害に関する報知を行う飛行体が抽出された複数の前記メッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項5】
飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、
いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、
前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部と、
災害の原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報を取得する取得部と、
前記防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュであって、前記防災情報が示す災害の種類又は規模に応じて異なる大きさのメッシュを抽出するメッシュ抽出部とを備え、
前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、さらに、前記防災情報が示す災害に関する報知を行う飛行体が抽出された複数の前記メッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項6】
記飛行可否判断部は、前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体の電力残量に基づいて、当該1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記飛行経路決定部は、前記飛行体が複数の前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、前記飛行体が最も短い期間で当該複数の未飛行区間を飛行可能な飛行経路を決定する
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体の飛行経路を決定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
災害時の避難を促進する技術が知られている。例えば特許文献1には、複数のドローンが避難方向を示す隊形で飛行することで人々を避難場所に誘導する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-56899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
災害を受ける地域(これから災害を受けることが予測される地域及び既に災害を受け始めている地域の両方を含む)は同時期において極めて広範囲にわたることがあるので、一度に複数のドローンを用いて災害に関する報知を行うという仕組みが有効である。
【0005】
ただし、各ドローンが報知を行うべきエリアの広さやその報知に要する時間は、様々な条件によって変わり得る。このため、例えば1つのドローンが災害報知のための飛行を終えたとしても、他のドローンはまだ災害報知のための飛行を継続している場合がある。このような場合は、全てのドローンを有効かつ効率的に利用できていないと言える。
【0006】
そこで、本発明は、複数の飛行体が災害に関する報知を行うための飛行経路を適切に決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部とを備え、前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、前記飛行可否判断部は、前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体の現在位置及び電力残量、並びに、当該1の飛行体が充電可能な充電設備の位置及び当該1の飛行体が当該充電設備にて充電する電力量に基づいて、当該1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断することを特徴とする情報処理装置を提供する。
また、本発明は、飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部と、災害の原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報を取得する取得部と、前記防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュであって、人間の密集度に応じて異なる大きさのメッシュを抽出するメッシュ抽出部とを備え、前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、さらに、前記防災情報が示す災害に関する報知を行う飛行体が抽出された複数の前記メッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定することを特徴とする情報処理装置を提供する。
また、本発明は、飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部と、災害の原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報を取得する取得部と、前記防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュであって、前記飛行体が報知を行う方法に応じて異なる大きさのメッシュを抽出するメッシュ抽出部とを備え、前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、さらに、前記防災情報が示す災害に関する報知を行う飛行体が抽出された複数の前記メッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定することを特徴とする情報処理装置を提供する。
また、本発明は、飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部と、災害の原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報を取得する取得部と、前記防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュであって、前記飛行体が報知を行う日又は時に応じて異なる大きさのメッシュを抽出するメッシュ抽出部とを備え、前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、さらに、前記防災情報が示す災害に関する報知を行う飛行体が抽出された複数の前記メッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定することを特徴とする情報処理装置を提供する。
また、本発明は、飛行中に災害に関する報知を行う複数の飛行体について、各々の飛行経路を決定する飛行経路決定部と、いずれか1の前記飛行体について決定された飛行経路を当該1の前記飛行体が飛行し終わったときに、他の飛行体について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する未飛行区間判断部と、前記未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わった前記1の飛行体が当該未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する飛行可否判断部と、災害の原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報を取得する取得部と、前記防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュであって、前記防災情報が示す災害の種類又は規模に応じて異なる大きさのメッシュを抽出するメッシュ抽出部とを備え、前記飛行経路決定部は、前記1の飛行体が前記未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、当該1の飛行体について、当該未飛行区間を含む飛行経路を決定し、さらに、前記防災情報が示す災害に関する報知を行う飛行体が抽出された複数の前記メッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定することを特徴とする情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数の飛行体が災害に関する報知を行うための飛行経路を適切に決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る防災情報報知システム1の構成の一例を示すブロック図である。
図2】同実施形態に係るドローン10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】同実施形態に係るサーバ装置30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】サーバ装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】同実施形態における小メッシュのメッシュサイズと報知エリアとの関係を例示する図である。
図6】同実施形態における中メッシュのメッシュサイズと報知エリアとの関係を例示する図である。
図7】同実施形態における大メッシュのメッシュサイズと報知エリアとの関係を例示する図である。
図8】同一地域におけるメッシュサイズの変化を例示する図である。
図9】サーバ装置30の記憶部32に記憶されるメッシュサイズ決定テーブルを例示する図である。
図10】サーバ装置30の記憶部32に記憶されるメッシュサイズ決定テーブルを例示する図である。
図11】サーバ装置30の記憶部32に記憶されるメッシュサイズ決定テーブルを例示する図である。
図12】サーバ装置30の記憶部32に記憶されるメッシュデータを例示する図である。
図13】サーバ装置30による最初の飛行経路決定処理の手順を例示するフローチャートである。
図14】サーバ装置30による飛行経路の再決定処理の手順を例示するフローチャートである。
図15】複数のドローン10の飛行経路をそれぞれ例示する図である。
図16】複数のドローン10の飛行経路をそれぞれ例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る防災情報報知システム1の構成の一例を示すブロック図である。防災情報報知システム1は、複数(図1では2つ)のドローン10a,10bと、これら複数のドローン10a,10bの飛行計画を決定する情報処理装置として機能するサーバ装置30と、これらの各装置を通信可能に接続する通信網20とを備える。通信網20は、無線通信を実現するシステム、例えば第4世代移動通信システム又は第5世代移動通信システム等を含む。
【0011】
ドローン10a,10bは、空中を飛行する無人の飛行体である。ドローン10は、災害の原因となる事象が発生した場合に、その事象により人々が災害に遭うことを防ぐための装置、すなわち防災のための装置である。災害の原因となる事象とは、例えば地震、津波、土砂崩れ、洪水及び火事等であり、人々が被害を受ける事象のことである。災害の原因となる事象には、地震等の自然現象だけでなく、失火等の人為的な原因で発生した事象も含まれる。以下では、複数のドローン10a,10bをドローン10と総称する
【0012】
ドローン10は、サーバ装置30によって決定された飛行経路に従って自律的に飛行を行う飛行体であり、本実施例では、1以上の回転翼を備え、それらの回転翼を回転させて飛行する回転翼機型の飛行体である。ドローン10は、自機の位置、高度及び姿勢を測定する機能を有しており、これらの測定値に基づいて飛行速度及び飛行方向を制御することで、飛行経路に沿って飛行する。ドローン10は、地震等の発生により災害を受ける(地震等の事象により被害を受けること。災害に遭う又は災害を被るとも言う)ことが予測される地域(以下「被害予測地域」という)にある施設又はその被害予測地域まで飛行可能な距離にある施設に配置される。例えばドローン10は、津波警報等(大津波警報、津波警報又は津波注意報)が発令された場合に、飛行経路を飛行して津波被害予測地域にいる人々に避難を呼びかけるメッセージ音声の出力等を行う。また、ドローン10は、土砂災害の警報が発令された場合に、飛行経路を飛行して土砂崩れ被害予測地域にいる人々に避難を呼びかけるメッセージ音声の出力等を行う。
【0013】
サーバ装置30は通信網20経由で防災情報を通取得する。この防災情報は、少なくとも、上述した地震等の災害の原因となる事象の発生及びその事象により災害を受ける地域(以下「災害地域」という)を示す情報である。ここでいう事象の発生とは、その事象が既に発生したことと、その事象がこれから発生することの両方を含む。例えば津波であれば、地震の震源地及び規模等から津波の発生が予測され、津波が届く前から防災情報が提供されるし、当然ながら津波が届いた後も引き続き防災情報が提供される。津波に限らず、その事象自体が発生する前に災害の発生が予測される場合(例えば降水量又は河川の水位が基準を超えた場合に土砂崩れ又は洪水が予測される場合等)には、その事象がこれから発生することと、その事象により災害を受けることが予測される地域(災害地域)とを示す情報が防災情報として提供される。
【0014】
図2は、ドローン10のハードウェア構成の一例を示す図である。ドローン10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、測位装置1007、センサ1008、飛行装置1009及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ドローン10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0015】
ドローン10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したり、測位装置1007、センサ1008及び飛行装置1009を制御することによって実現される。
【0016】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0017】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。ドローン10の機能ブロックは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、通信網20経由でドローン10に送信されてもよい。
【0018】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAMなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0019】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。ストレージ1003は、各種のプログラムやデータ群を記憶する。
【0020】
以上のプロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003は、ドローン10の飛行を制御する制御装置として機能する。
【0021】
通信装置1004は、通信網20を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、周波数分割複信及び時間分割複信を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されている。送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、通信装置1004によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0022】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイスであり、例えばキーやスイッチ、マイクなどを含む。
【0023】
出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイスである。出力装置1006は、外部への音、光又は映像等の出力を実施する報知装置10061(スピーカ、LED(Light Emitting Diode)及びディスプレイ等)を含む。報知装置10061は、例えば避難を呼びかけるメッセージ音声をスピーカから出力(放音)し、避難を呼びかけるメッセージ文字列の映像をディスプレイで出力(表示)し、又は、それらのメッセージ音声・メッセージ文字列への注意を惹きつけるための光をLEDで出力(発光)するなどの報知を行う。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成であってもよい。
【0024】
測位装置1007は、ドローン10の位置を測定するハードウェアであり、例えばGPS(Global Positioning System)デバイスである。
【0025】
センサ1008は、測距センサ、ジャイロセンサ、方位センサ、高度センサ、Lidar(Light Detection and Ranging)センサ又はイメージセンサ等を備える。ドローン10は測位装置1007による測位及びセンサ1008によるセンシング結果に基づいて飛行を行う。
【0026】
飛行装置1009は、ローターと、ローターを回転させるモーター等の駆動手段とを備える。飛行装置15は、空中においてあらゆる方向にドローン10を移動させたり静止(ホバリング)させたりするなど、ドローン10の飛行を司る装置である。
【0027】
プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。また、ドローン10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、そのハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0028】
図3は、サーバ装置30のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置30のハードウェア構成は、図3に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、それぞれ筐体が異なる複数の装置が通信接続されて、サーバ装置30を構成してもよい。
【0029】
サーバ装置30は、物理的には、プロセッサ3001、メモリ3002、ストレージ3003、通信装置3004、及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。サーバ装置30における各機能は、プロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信を制御したり、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。これらの各装置は図示せぬ電源から供給される電力によって動作する。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。
【0030】
プロセッサ3001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ3001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ3001によって実現されてもよい。
【0031】
プロセッサ3001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ3003及び通信装置3004の少なくとも一方からメモリ3002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。ドローン10の機能ブロックは、メモリ3002に格納され、プロセッサ3001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ3001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ3001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ3001は、1以上のチップによって実装されてもよい。
【0032】
メモリ3002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM、EPROM、EEPROM、RAMなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ3002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ3002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0033】
ストレージ3003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROMなどの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ3003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。ストレージ3003は、少なくとも、後述するような各種処理を実行するためのプログラム及びデータ群を記憶している。
【0034】
通信装置3004は、通信網20を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。
【0035】
プロセッサ3001、メモリ3002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0036】
サーバ装置30は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、ASIC、PLD、FPGAなどのハードウェアを含んで構成されてもよく、そのハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ3001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0037】
図4は、サーバ装置30の機能構成の一例を示す図である。サーバ装置30においては、前述した各ハードウェアが協働することにより、取得部31、記憶部32、メッシュ抽出部33、飛行経路決定部34、及び出力部35という機能が実現される。
【0038】
取得部31は、サーバ装置30の外部から情報を取得する手段であり、例えば災害の原因となる事象の発生及びその災害を受ける地域を示す防災情報を取得する。また、取得部31は、各ドローン10から、そのドローンに関する情報(例えばドローン10の位置、速度、高度、電力残量又はその他の動作状況等)を取得する。
【0039】
メッシュ抽出部33は、防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅し、且つ、条件に応じて異なる大きさの複数のメッシュを抽出する。ここでメッシュとは、例えば日本全土などの広範囲な地域を或る形状で或るサイズの小地域に区分したときの、それぞれの小地域のことを指す。このメッシュには複数のサイズがあり、本実施形態では、最も小さい小メッシュ、最も大きい大メッシュ、及び、小メッシュ及び大メッシュの中間のサイズとなる中メッシュという3種類のメッシュを想定する。例えば小メッシュは数メートルから数十メートルを一辺とした矩形であり、中メッシュは数十メートルから数百メートルを一辺とした矩形であり、大メッシュは数百メートルから数キロメートルを一辺とした矩形であるが、必ずしもこの例に限定されない。なお、本実施形態では、小メッシュ、中メッシュ、及び大メッシュのいずれも同じ矩形形状としているが、メッシュの形状は矩形以外であってもよいし、メッシュのサイズに応じて異なっていてもよい。また、メッシュのサイズは、本実施形態で例示する3種類に限らず、少なくとも2種類以上であればよい。
【0040】
図5は、小メッシュのメッシュサイズとドローン10による報知エリアとの関係を例示する図である。図5は、ドローン10が小メッシュM1の中心(矩形の重心に相当する位置)に居るときに、その小メッシュM1内の人間がドローン10からの報知を認知し得る範囲を報知エリアA1としている。つまり、ドローン10は小メッシュM1において、その小メッシュM1を含む報知エリアA1内に到達し得る程度の小音量で避難を呼びかけるメッセージ音声をスピーカから出力(放音)したり、避難を呼びかけるメッセージ文字列の映像をディスプレイで出力(表示)したり、又は、それらのメッセージ音声・メッセージ文字列への注意を惹きつけるための光をLEDで出力(発光)したりするなどの報知を行う。つまり、ドローン10は、小メッシュにおいて、比較的近距離における情報伝達に適したメッセージ音声、映像及びLEDを用いて、災害に関する報知を行う。
【0041】
図6は、中メッシュのメッシュサイズとドローン10による報知エリアとの関係を例示する図である。図6は、ドローン10が中メッシュM2の中心(矩形の重心に相当する位置)に居るときに、その中メッシュM2内の人間がドローン10からの報知を認知し得る範囲を報知エリアA2としている。つまり、ドローン10は中メッシュM2において、その中メッシュM2を含む報知エリアA2内に到達し得る程度の中音量でメッセージ音声をスピーカから出力(放音)したり、そのメッセージ音声への注意を惹きつけるための光をLEDで出力(発光)したりするなどの報知を行う。つまり、ドローン10は、中メッシュにおいて、中程度の距離における情報伝達に適したメッセージ音声及びLEDを用いて、災害に関する報知を行う。
【0042】
図7は、大メッシュのメッシュサイズとドローン10による報知エリアとの関係を例示する図である。図7は、ドローン10が大メッシュM3の大心(矩形の重心に相当する位置)に居るときに、その大メッシュM3内の人間がドローン10からの報知を認知し得る範囲を報知エリアA3としている。つまり、ドローン10は大メッシュM3において、その大メッシュM3を含む報知エリアA3内に到達し得る程度の大音量でメッセージ音声をスピーカから出力(放音)したり、そのメッセージ音声への注意を惹きつけるための光をLEDで出力(発光)したりするなどの報知を行う。つまり、ドローン10は、大メッシュにおいて、比較的長距離における情報伝達に適したメッセージ音声を用いて、災害に関する報知を行う。
【0043】
図8は、同一地域におけるメッシュサイズの変化を例示する図である。図8に例示するように、同一地域においてドローン10が報知を行うとき、諸条件に応じて適切なサイズのメッシュが決定され、ドローン10の飛行経路はそのメッシュ単位で決定される。より具体的には、メッシュのサイズは、ドローン10が災害に関する報知を行う方法、人間の密集度、又は、ドローン10が災害に関する報知を行う日又は時に応じて異なる。
【0044】
メッシュサイズを決定するために、記憶部32は、図9図11に例示するようなメッシュサイズ決定テーブルを記憶している。図9は、ドローン10が報知を行う報知方法に応じてメッシュサイズを決定するためのメッシュサイズ決定テーブルを例示している。図9に例示するように、報知方法α(例えば比較的近距離における情報伝達に適したメッセージ音声、映像及びLEDを用いた報知)のときは小メッシュを採用し、報知方法β(例えば中程度の距離における情報伝達に適したメッセージ音声及びLEDを用いた報知)のときは中メッシュを採用し、報知方法γ(例えば比較的長距離における情報伝達に適したメッセージ音声を用いた報知)のときは大メッシュを採用するようになっている。取得部31によって取得される防災情報やドローン10の仕様によっては、ドローン10が報知を行う報知方法が決められている場合があり、このような場合は、ドローン10が報知を行う報知方法に応じたメッシュサイズが決定される。
【0045】
図10は、人間の密集度に応じてメッシュサイズを決定するためのメッシュサイズ決定テーブルを例示している。図10に例示するように、密集度大(例えば1平方キロメートルあたりの人口密度が閾値th1以上)のときは、1メッシュ内において報知先となる人間の数を少なくして確実に報知するという観点から小メッシュを採用し、密集度中(例えば1平方キロメートルあたりの人口密度が閾値th2以上閾値th1未満、閾値th2<閾値th1)のときは中メッシュを採用し、密集度小(例えば1平方キロメートルあたりの人口密度が閾値th2未満)のときは大メッシュを採用するようになっている。前述したように、取得部31によって取得される防災情報は災害を受ける地域を示しているので、この地域における人間の密集度(人口密度)に応じたメッシュサイズが決定される。
【0046】
図11は、時間帯に応じてメッシュサイズを決定するためのメッシュサイズ決定テーブルを例示している。図11に例示するように、時間帯X(例えば24:00~4:00)のときは就寝している人間に対しても確実に報知するという観点から小メッシュを採用し、時間帯Y(4:00~6:00及び21:00~24:00)のときは中メッシュを採用し、時間帯Z(例えば6:00~21:00)のときは大メッシュを採用するようになっている。前述したように、取得部31によって取得される防災情報は災害の原因となる事象の発生を示すので、その発生時期に応じたメッシュサイズが決定される。
【0047】
なお、上述した図9図11のメッシュサイズ決定テーブルを組み合わせたテーブルを用いてメッシュサイズを決定してもよい。例えば報知方法α、密集度大又は時間帯Xのうちいずれか1つの条件を満たす場合には小メッシュを採用するとか、報知方法α、密集度大及び時間帯Xの全ての条件を満たす場合には小メッシュを採用するとか、報知方法αで且つ密集度大でありさえすれば小メッシュを採用するなどである。つまり、ドローン10が報知を行う方法、人間の密集度、又は、ドローン10が防災情報の報知を行う日又は時といった各条件の充足性と、メッシュサイズとの対応関係については、任意に決めることができる。
【0048】
さらに、記憶部32は、図12に例示するように、各メッシュの位置のほか、どのような災害の防災情報を取得したときにどのメッシュにおいて防災情報を報知するかといったメッシュデータを記憶している。図12の例では、小メッシュ、中メッシュ、大メッシュの識別情報であるメッシュIDを対応付けることにより、同一地域における小メッシュ、中メッシュ及び大メッシュの包含関係が定義されている。例えばメッシュID「M00001」の中メッシュは、メッシュID「S00001」~「S00004」の小メッシュを含んでいる。
【0049】
メッシュの位置は、小メッシュの中心位置が例えば緯度及び経度で表現されている。中メッシュ及び大メッシュの位置は、上記の小メッシュの中心位置のほか、各メッシュサイズ及び各メッシュの包含関係から計算により求めることが可能である。
【0050】
図12において、メッシュID「S00001」~「S00003」の小メッシュは、災害Aの原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報が取得されたときに、その防災情報が示す災害に関する報知が行われるメッシュである。この場合、メッシュID「S00001」~「S00003」の小メッシュの少なくともいずれか1つを含むメッシュID「M00001」の中メッシュ及びメッシュID「B00001」の大メッシュも、災害Aの原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報が取得されたときに、その防災情報が示す災害に関する報知が行われるメッシュとなる。
【0051】
図4の説明に戻り、飛行経路決定部34は、防災情報が示す災害に関する報知を行うドローン10が抽出された複数のメッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定する。特に本実施形態おいて、飛行経路決定部34は、複数のドローン10について、各々のドローン10の飛行経路を決定する。このとき、飛行経路決定部34は、複数のドローン10が抽出された複数のメッシュを重複せずに飛行する順番を含む飛行経路を、各々のドローン10についてそれぞれ決定する。図12の例で、災害Aの原因となる事象の発生及び当該災害を受ける地域を示す防災情報が取得された場合に、前述した諸条件によりメッシュサイズが小メッシュに決定された場合は、メッシュID「S00001」「S00002」「S00003」…の小メッシュの位置を経由する飛行経路が決定されることになり、メッシュサイズが中メッシュに決定された場合は、メッシュID「M00001」「M00002」…の中メッシュの位置を経由する飛行経路が決定されることになり、メッシュサイズが大メッシュに決定された場合は、メッシュID「B00001」…の大メッシュの位置を経由する飛行経路が決定されることになる。
【0052】
出力部35は、飛行経路決定部34によって決定された飛行経路とともに、ドローン10が報知する内容を示す報知情報を通信網20経由でドローン10に出力する。ドローン10は、出力されてくる飛行経路に沿って、自身の位置、高度及び姿勢に基づいて飛行の制御を行う。そして、ドローン10の報知装置10061は、出力されてくる報知情報に基づいて災害に関する報知を行う。報知装置10061は、例えば人々に避難を呼びかけるメッセージ音声を示す音声データが報知情報に含まれる場合、そのメッセージ音声をスピーカから放音させることで、人々に避難の必要があることを伝える報知を災害に関する報知として行う。例えば「地震」という災害の原因となる事象については、「地震が発生しました。揺れがおさまったら近くの広域避難場所まで避難してください。」というメッセージが考えられる。同様に、「津波」、「土砂崩れ」、「火事」という災害の原因となる事象に、「津波の恐れがあります。海岸から離れるか、高台に避難してください。」、「土砂崩れの恐れがあります。土砂災害警戒区域の外に移動してください。」、「火事が発生しました。延焼の恐れがあるので、建物から出て避難してください。」というメッセージが考えられる。いずれも、各事象が起きたときに災害を受けないようにするために避難を呼びかけるメッセージである。避難方法は発生した事象によって異なるので、メッセージも事象ごとに異なっている。
【0053】
また、例えば地方公共団体等によって災害の原因となる事象が発生した場合に鳴らすサイレンの音が定められており、住民にもそのことが周知されているものとする。その場合に、報知装置10061は、そのサイレンの音を示す音データが報知情報に含まれている場合、その報知データが示すサイレンの音をスピーカから放音させることで、災害の原因となる事象が発生したことを人々に伝える報知を、災害に関する報知として行う。また、報知装置10061は、例えば人々に避難を呼びかけるメッセージ文字列を示す文字列データが報知情報に含まれる場合、その報知情報が示すメッセージ文字列をディスプレイに表示させることで、人々に避難の必要があることを伝える報知を災害に関する報知として行う。報知装置10061は、飛行装置1009が行う飛行制御による自機の飛行中にこの報知を行う。これにより、被害予測地域にいる人々に災害に関する報知をすることができる。また、報知装置10061は、LEDの点滅パターンを示すパターンデータが報知情報に含まれる場合、その報知情報が示す点滅パターンでLEDを点滅させる。報知装置10061は、LEDの点滅を他の報知と共に行う。これにより、ドローン10から離れていて出力される音が聞こえなかったり表示されるメッセージ文字列の映像が見えなかったりする人でも、LEDの点滅は遠くからでも分かるので、ドローン10に近付いて音及び映像を確認するように仕向けることができる。また、ドローン10の進行方向にいる人が先にLEDの点滅に気付いていれば、ドローン10に注目するのでドローン10が近付いてきたときにメッセージ音声等に気付きやすくなる。このように、報知装置10061は、LEDを点滅させることで、災害に関する報知の効果を高めることができる。
【0054】
ところで、飛行経路決定部34が各ドローン10について決定した飛行経路をそれぞれ飛行するのに要する所要時間は、例えばその飛行経路を決定するときの単位となるメッシュのサイズ、各ドローン10の飛行能力、又は、風や雨等の天候等によって異なる。このため、例えば1つのドローン10が災害報知のための飛行を終えたとしても、他のドローン10はまだ災害報知のための飛行を継続している場合がある。図4の未飛行区間判断部36は、取得部31によって取得された各ドローン10の位置と各ドローン10について決定された飛行経路とに基づいて、いずれか1のドローン10について決定された飛行経路をそのドローン10が飛行し終わったときに、他のドローン10について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する。なお、ここでいう未飛行区間とは、ドローン10が災害に関する報知を行うべきであるが、まだ飛行していないがゆえにその災害に関する報知も終えていない区間のことである(以下において同じ)。
【0055】
飛行可否判断部37は、未飛行区間判断部36により未飛行区間があると判断された場合には、飛行経路を飛行し終わったドローン10がその未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する。具体的には、飛行可否判断部37は、飛行経路を飛行し終わったドローン10の電力残量に基づいて、そのドローン10がその未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する。つまり、飛行可否判断部37は、飛行経路を飛行し終わったドローン10の電力残量が、上記未飛行区間を飛行するのに要する電力以上であれば、そのドローン10は未飛行区間を飛行可能と判断する一方、飛行経路を飛行し終わったドローン10の電力残量が、上記未飛行区間を飛行するのに要する電力未満であれば、そのドローン10が未飛行区間を飛行可能ではないと判断する。なお、ここでは、飛行経路を飛行し終わったドローン10が上記未飛行区間のうち少なくとも一部(少なくとも1以上のメッシュに相当する区間)を飛行可能であれば、そのドローン10は未飛行区間を飛行可能と判断される。
【0056】
また、飛行経路を飛行し終わったドローン10、充電設備を備える発着基地、及び、未飛行区間の位置が互いに近い場合には、そのドローン10が上記充電設備で充電してから、上記未飛行区間に対する飛行を開始することも可能である。そこで、飛行可否判断部37は、未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わったドローン10の現在位置及び電力残量、並びに、そのドローン10が充電可能な充電設備の位置及びそのドローン10がその充電設備にて充電する電力量に基づいて、そのドローン10がその未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する。
【0057】
飛行経路決定部34は、上記のように飛行を終えたドローン10が他のドローン10の未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、そのドローン10について、その未飛行区間の少なくとも一部を含む飛行経路を決定する。そして、出力部35は、飛行経路決定部34によって決定された飛行経路とともに、ドローン10が報知する内容を示す報知情報を通信網20経由でドローン10に出力する。ドローン10は、出力されてくる飛行経路に沿って、自身の位置、高度及び姿勢に基づいて飛行の制御を行うとともに、報知情報に従って災害に関する報知を行う。
【0058】
[動作]
次に、図13を参照して、サーバ装置30が各ドローン10について最初に飛行経路を決定する動作について説明する。図13において、取得部31は、災害の原因となる事象の発生及びその災害を受ける地域を示す防災情報を取得する(ステップS11)。
【0059】
メッシュ抽出部33は、前述した諸条件に応じたメッシュの大きさ(メッシュサイズ)を決定する(ステップS12)。
【0060】
そして、メッシュ抽出部33は、防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアを網羅する複数のメッシュを、ステップS12で決定したメッシュサイズに従って抽出する(ステップS13)。
【0061】
次に、飛行経路決定部34は、防災情報が示す災害に関する報知を行うドローン10が抽出された複数のメッシュを飛行する順番を含む飛行経路を決定する(ステップS14)。
【0062】
出力部35は、飛行経路決定部34によって決定された飛行経路とともに、ドローン10が防災情報の示す災害に関する報知を行うための報知情報を通信網20経由でドローン10に出力する(ステップS15)。この出力に応じて、ドローン10は、この飛行経路に沿って、自身の位置、高度及び姿勢に基づいて飛行の制御を行いつつ、報知装置10061から上記報知情報に応じた報知を行う。
【0063】
次に、図14を参照して、サーバ装置30が、最初に決定された飛行経路を飛行し終わったドローン10の飛行経路を再び決定する動作について説明する。図14において、未飛行区間判断部36は、取得部31によって取得された各ドローン10の位置と各ドローン10について決定された飛行経路とに基づいて、いずれかのドローン10について決定された飛行経路をそのドローン10が飛行し終わったか否かを判断する(ステップS21)。
【0064】
未飛行区間判断部36は、いずれかのドローン10について決定された飛行経路をそのドローン10が飛行し終わったと判断すると(ステップS21;YES)、他のドローン10について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があるか否かを判断する。(ステップS22)。
【0065】
そして、他のドローン10について決定された飛行経路のうち飛行していない未飛行区間があると判断された場合(ステップS22;YES)、飛行可否判断部37は、飛行経路を飛行し終わったドローン10がその未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する(ステップS23)。
【0066】
ここで、図15は、複数のドローン(ここではドローン10a,10b)の飛行経路をそれぞれ例示する図である。図15において、発着基地B1から飛行を開始したドローン10aが、メッシュm1からメッシュm2に至る合計16個のメッシュを経由する飛行経路R1(図中の実線矢印)を飛行し終えたとする。このとき、発着基地B2から飛行を開始したドローン10bは、メッシュm3からメッシュm6に至る合計16個のメッシュを経由する飛行経路のうち、メッシュm3からm4までの合計5個のメッシュを経由する飛行区間R2(図中の破線矢印)を飛行し終えているとする。この場合において、メッシュm3からメッシュm6に至る飛行経路のうち、メッシュm5からメッシュ6に至る合計11個のメッシュを経由する飛行区間が、ドローン10bがまだ飛行していない未飛行区間に該当する。
【0067】
飛行可否判断部37は、飛行経路R1を飛行し終わったドローン10aの電力残量が、メッシュm2からメッシュm6に向かう飛行区間、上記未飛行区間のうちのいずれか1以上のメッシュを経由する飛行区間、及びいずれかの発着基地に帰還するための飛行区間を飛行するのに要する電力以上であれば、そのドローン10aが未飛行区間を飛行可能と判断する。図15の例では、飛行経路R1を飛行し終わったドローン10aの電力残量は、メッシュm2からメッシュm6に向かう飛行区間、上記未飛行区間のうちのメッシュm6からm8に至る合計5個のメッシュを経由する飛行区間、及び、メッシュm8の位置から発着基地B1に至る飛行区間を全て含む飛行経路R3(図中の一点鎖線矢印)を飛行するのに要する電力以上であるとする。
【0068】
ただし、ドローン10aが上記未飛行区間のうちのいずれか1以上のメッシュ(図15ではメッシュm6からm8の5個の各メッシュ)に到達する時期は、ドローン10bがそのメッシュに到達する時期よりも前である必要がある。このため、飛行可否判断部37は、ドローン10a,10bの現在位置、飛行速度及び電力残量と、未飛行区間に含まれる各メッシュの位置と、発着基地の位置とに基づいて、上記判断を行う。これらのことを考慮した判断を行うことで、例えばドローン10aがメッシュm8に到達したときに、ドローン10bが未飛行区間で最後に残るメッシュm7に到達するというような、時間的に無駄のない飛行計画となり得る。
【0069】
また、前述したように、飛行経路を飛行し終わったドローン10と、充電設備を備える発着基地と、未飛行区間の位置が比較的近い場合には、そのドローン10が上記充電設備で充電してから、上記未飛行区間の飛行を開始することも可能である。そこで、飛行可否判断部37は、未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わったドローン10の現在位置及び電力残量、並びに、そのドローン10が充電可能な充電設備の位置及びそのドローン10がその充電設備にて充電する電力量に基づいて、そのドローン10がその未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する。また、充電設備が複数あり、かつ、充電を行いたい時間帯において予約がされておらずこれらの充電設備に空きがある場合は、飛行可否判断部37は、未飛行区間があると判断された場合に、飛行経路を飛行し終わったドローン10の現在位置及び電力残量、並びに、そのドローン10が充電可能な複数の充電設備の位置及びそのドローン10が各充電設備にて充電する電力量に基づいて、そのドローン10がその未飛行区間を飛行可能か否かについて判断する。さらに、飛行可否判断部37は、ドローン10が充電を行う時間として、そのドローンが次の未飛行区間を飛行し得るだけの最小量の電力を充電し得るような充電時間を計算し、計算した充電時間を含めた飛行経路を決定するよう飛行経路決定部34に指示してもよい。
【0070】
図16の例は、図15と同様に、ドローン10aがメッシュm1からメッシュm2に至る合計16個のメッシュを経由する飛行経路R1を飛行し終えたとき、ドローン10bはメッシュm3からメッシュm6に至る合計16個のメッシュを経由する飛行経路のうち、メッシュm3からm4までの合計5個のメッシュを経由する飛行区間R2を飛行し終えているとする。このときの未飛行区間は、前述したとおり、メッシュm5からメッシュ6に至る合計11個のメッシュを経由する飛行経路である。
【0071】
このような場合、飛行可否判断部37は、飛行経路R1を飛行し終わったドローン10aの電力残量と、発着基地B2の充電設備で充電することで得られる電力量との和が、メッシュm2からメッシュm6に向かう飛行区間、上記未飛行区間のうちのいずれか1以上のメッシュを経由する飛行区間、及びいずれかの発着基地に帰還するための飛行区間を飛行するのに要する電力以上であれば、そのドローン10aが未飛行区間を飛行可能と判断する。図15の例では、飛行経路R1を飛行し終わったドローン10aの電力残量と、発着基地B2の充電設備で充電することで得られる電力量との和が、メッシュm2から発着基地B2に向かう飛行区間、発着基地B2からメッシュm6に向かう飛行区間、上記未飛行区間のうちのメッシュm6からm8に至る合計5個のメッシュを経由する飛行区間、及び、メッシュm8の位置から発着基地B1に至る飛行区間を含む飛行経路R4(図中の一点鎖線矢印)を飛行するのに要する電力以上であるとする。
【0072】
なお、図16の例において、図15と同様に、ドローン10aが上記未飛行区間のうちのいずれか1以上のメッシュ(図15ではメッシュ6からm8の5個の各メッシュ)に到達する時期は、ドローン10bがそのメッシュに到達する時期よりも前である必要がある。このため、飛行可否判断部37は、ドローン10a,10bの現在位置、飛行速度及び電力残量と、未飛行区間に含まれる各メッシュの位置と、発着基地の位置と、発着基地の充電設備にて充電するときの充電速度乃至充電時間とに基づいて、上記判断を行う。これらのことを考慮した判断を行うことで、例えばドローン10aがメッシュm8に到達したときに、ドローン10bが未飛行区間で最後に残るメッシュ7に到達するというような、時間的に無駄のない飛行計画となり得る。
【0073】
図14の説明に戻り、飛行経路決定部34は、上記のようにドローン10が未飛行区間について飛行可能と判断された場合に(ステップS23;YES)、そのドローン10について、その未飛行区間を含む飛行経路を決定する(ステップS24)。つまり、図15の例の場合は、飛行経路R1の飛行を終えたドローン10aについて、メッシュm2からメッシュm6に向かう飛行区間、未飛行区間のうちメッシュm6からm8に至る飛行区間、及び、メッシュm8から発着基地B1に至る飛行経路R3(一点鎖線矢印)が決定される。また、図16の例の場合は、飛行経路R1の飛行を終えたドローン10aについて、メッシュm2から発着基地B2に至る飛行区間、発着基地B2からメッシュm6に向かう飛行区間、未飛行区間のうちメッシュm6からm8に至る飛行区間、及び、メッシュm8から発着基地B1に至る飛行経路R4(一点鎖線矢印)が決定される。
【0074】
飛行経路決定部34は、上記のようにドローン10が未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、そのドローン10について、その未飛行区間を含む飛行経路を決定する。そして、出力部35は、飛行経路決定部34によって決定された飛行経路とともに、ドローン10が防災情報の示す災害に関する報知を行うための報知情報を通信網20経由でドローン10に出力する(ステップS25)。この出力に応じて、ドローン10は、この飛行経路に沿って、自身の位置、高度及び姿勢に基づいて飛行の制御を行いつつ、報知装置10061から上記報知情報に応じた報知を行う。
【0075】
以上の実施形態によれば、複数のドローン10が災害に関する報知を行うための飛行経路をそれぞれ適切に決定することが可能となる。
【0076】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0077】
[変形例1]
メッシュは、防災情報が示す災害の種類又は規模に応じて異なる大きさであってもよい。例えば広域且つ瞬時にわたって発生しやすい災害(例えば地震や津波)の場合は大メッシュとし、狭域且つ或る程度の時間にわたって発生しやすい災害(例えば洪水や火事)の場合は小メッシュとし、それ以外の災害の場合は中メッシュとする、といった例が考えられる。
【0078】
[変形例2]
サーバ装置30は、ドローン10が行う報知の内容をメッシュ単位で決定する報知内容決定部を備えていてもよい。例えば災害の原因となる事象の規模及び組合せによって避難場所が異なる場合がある。そこで、記憶部32は、各メッシュのメッシュIDと、そのメッシュにおいて報知する内容を対応付けて記憶してもよい。
【0079】
[変形例3]
例えば風速や雨量等の気象条件がそのドローン10の飛行許容範囲となるレベルを超えたメッシュを飛行した場合、例えばドローン10の落下や故障等のリスクが大きくなるから、そのようなメッシュはドローン10の飛行経路から除外することが望ましい。そこで、メッシュ抽出部33は、防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアに含まれるメッシュであっても、気象条件が或るレベルよりも悪いメッシュについては抽出対象から除外する。各メッシュの気象条件は、例えば各地の気象情報(予報を含む)をインターネット上で公開するWebサイト等からサーバ装置30が取得すればよい。
【0080】
このとき、抽出対象から除外されたメッシュにおいては、災害に関する報知が行われないことになる。そこで、飛行経路決定部34は、防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアに含まれるメッシュのうち、気象条件に基づいて除外されたメッシュに隣接するメッシュ(隣接メッシュ)が抽出された場合は、その隣接メッシュにおいて災害に関する報知を行うときに、より広範囲に報知を行い得るような方法(例えば他のエリアにまで到達し得るような大音量で避難を呼びかけるメッセージ音声をスピーカから出力する方法等)で報知を行うことを指示する報知情報を含む飛行経路を決定する。
【0081】
以上のように、メッシュ抽出部33は、防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアに含まれるメッシュであっても、気象条件が或るレベルよりも悪いメッシュについては抽出対象から除外し、さらに、飛行経路決定部34は、防災情報が示す災害に関する報知の対象となるエリアに含まれるメッシュのうち、気象条件に基づいて除外されたメッシュに隣接するメッシュ(隣接メッシュ)が抽出された場合は、その隣接メッシュにおいて災害に関する報知を行うときに、より広範囲に報知を行うことが可能な方法で報知を行うよう指示する報知情報を含む飛行経路を決定するようにしてもよい。このようにすれば、悪天候下において、ドローン10の安全を確保しつつ、災害に関する報知が可能となる。
【0082】
[変形例4]
飛行経路決定部34は、複数の未飛行区間に含まれるメッシュを経由する飛行経路について全ての条件下でシミュレーションを逐次行い、最も短い時間で飛行が完了するような飛行経路を決定するようにしてもよい。ここでいう全ての条件とは、例えば風速や機体劣化によるドローン10の電力残量の予想外の消耗、ドローン10の故障、その故障による予想外のドローン10の落下、風速や雨量からドローン10が飛行出来ないメッシュの発生による間引き飛行等を含む。このように、飛行経路決定部34は、ドローン10が複数の未飛行区間について飛行可能と判断された場合に、ドローン10が最も短い期間でその複数の未飛行区間を飛行可能な飛行経路を決定するようにしてもよい。このようにすれば、災害に関する報知が最短時間で完了する。
【0083】
[変形例5]
各メッシュには、日本語以外の言語を使用する住民が多数居る場合がある。そこで、災害に関する報知を行うときの言語を、例えばNTTドコモのモバイル空間統計(登録商標)のような人口動向の統計手法を用いて特定される外国人の滞在データに基づいて決めるようにしてもよい。このような統計手法により各メッシュにおいて報知を行うときの言語を1又は複数決めておき、飛行経路決定部34は各メッシュにおいて使用される言語での報知情報を含む飛行経路を決定する。このようにすれば、各メッシュに居る人々が使用する言語に応じた報知が可能となる。
【0084】
[変形例6]
例えば津波発生時には海岸線に近いほど津波の到達が早いという傾向があり、自治体等が作成するハザードマップでは、これを考慮して海岸線に近い方から津波エリアが設定され、それよりも内陸に大津波エリアが設定されていることがある。津波が早く到達する海岸縁において、災害に関する報知を早く行うことは人名救助の観点から有効であると考えられる。そこで、飛行経路決定部34は、ハザードマップを参照して、津波注意報エリアを最優先とし、次に津波警報エリアを優先し、その次に大津波警報エリアを優先して飛行経路を決定するようにしてもよい。なお、各メッシュについて決められた優先度は、上記の例に限らず、例えば人口密度が大きいほど優先度を高くしてもよい。このようにすれば、津波発生時に有効な災害報知を実現することができる。
【0085】
[変形例7]
上記実施の形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現手段は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的及び/又は論理的に結合した1つの装置により実現されてもよいし、物理的及び/又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的及び/又は間接的に(例えば、有線及び/又は無線)で接続し、これら複数の装置により実現されてもよい。要するに、図4に例示した各機能は、防災情報報知システム1を構成する装置のいずれかが備えていればよい。
【0086】
[変形例8]
本発明の対象となる飛行体は、ドローンと呼ばれるものに限らず、飛行体であればどのような構造や形態のものであってもよい。
【0087】
[そのほかの変形例]
本明細書で説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G、5G、FRA(Future Radio Access)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi)、IEEE 802.16(WiMAX)、IEEE802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及び/又はこれらに基づいて拡張された次世代システムに適用されてもよい。
【0088】
本明細書で説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本明細書で説明した方法については、例示的な順序で様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。本明細書で説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
【0089】
本明細書で説明した情報又はパラメータなどは、絶対値で表されてもよいし、所定の値からの相対値で表されてもよいし、対応する別の情報で表されてもよい。
【0090】
本明細書で使用する「判定(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判定」、「決定」は、例えば、判断(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判定」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判定」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判定」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判定」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、決定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判定」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判定」「決定」は、何らかの動作を「判定」「決定」したとみなす事を含み得る。
【0091】
本発明は、情報処理方法として提供されてもよいし、プログラムとして提供されてもよい。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることが可能である。
【0092】
ソフトウェア、命令などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア及びデジタル加入者回線(DSL)などの有線技術及び/又は赤外線、無線及びマイクロ波などの無線技術を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び/又は無線技術は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0093】
本明細書で説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
【0094】
本明細書で使用する「第1の」、「第2の」などの呼称を使用した要素へのいかなる参照も、それらの要素の量又は順序を全般的に限定するものではない。これらの呼称は、2つ以上の要素間を区別する便利な方法として本明細書で使用され得る。したがって、第1及び第2の要素への参照は、2つの要素のみがそこで採用され得ること、又は何らかの形で第1の要素が第2の要素に先行しなければならないことを意味しない。
【0095】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0096】
「含む(including)」、「含んでいる(comprising)」、及びそれらの変形が、本明細書或いは特許請求の範囲で使用されている限り、これら用語は、用語「備える」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本明細書或いは特許請求の範囲において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0097】
本開示の全体において、例えば、英語でのa、an、及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、これらの冠詞は、文脈から明らかにそうではないことが示されていなければ、複数のものを含むものとする。
【0098】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0099】
1:防災情報報知システム、10a,10b:ドローン、20:無線通信網、30:サーバ装置、31:取得部、32:記憶部、33:メッシュ抽出部、34:飛行経路決定部、35:出力部、36:未飛行区間判断部、37:飛行可否判断部、1001:プロセッサ、1002:メモリ、1003:ストレージ、1004:通信装置、1005:入力装置、1006:出力装置、10061:報知装置、1007:測位装置、1008:センサ、1009:飛行装置、3001:プロセッサ、3002:メモリ、3003:ストレージ、3004:通信装置、M1,M2,M3、M11,M12,M13,M14:メッシュ、A1,A2,A3:報知エリア、R1,R3,R4:飛行経路、R2:飛行区間、B1,B2:発着基地、m1,m2,m3,m4,m5,m6,m7:メッシュ。
図1
図2
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図5
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