(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】サンプルを画像化およびアブレーションするためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G02B 21/00 20060101AFI20240131BHJP
G02B 21/36 20060101ALI20240131BHJP
G02B 21/26 20060101ALI20240131BHJP
G01N 27/62 20210101ALI20240131BHJP
G01N 21/64 20060101ALI20240131BHJP
G01N 1/22 20060101ALI20240131BHJP
G01N 1/00 20060101ALI20240131BHJP
H01J 49/00 20060101ALI20240131BHJP
H01J 49/26 20060101ALI20240131BHJP
H01J 49/04 20060101ALI20240131BHJP
H01J 49/16 20060101ALN20240131BHJP
【FI】
G02B21/00
G02B21/36
G02B21/26
G01N27/62 F
G01N21/64 E
G01N1/22 R
G01N1/00 101R
H01J49/00 040
H01J49/26
H01J49/04 630
H01J49/16 500
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022085925
(22)【出願日】2022-05-26
【審査請求日】2022-09-21
(32)【優先日】2021-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522206744
【氏名又は名称】エフエーイー ドイチュラント ゲセルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(73)【特許権者】
【識別番号】508306565
【氏名又は名称】サーモ フィッシャー サイエンティフィック (ブレーメン) ゲーエムベーハー
(73)【特許権者】
【識別番号】502221282
【氏名又は名称】ライフ テクノロジーズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100123630
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー エイ マカロフ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル デニス ウォード
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ダウム
【審査官】瀬戸 息吹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第05208451(US,A)
【文献】国際公開第2019/246033(WO,A1)
【文献】特開2017-097301(JP,A)
【文献】特開2012-159854(JP,A)
【文献】特開2021-028072(JP,A)
【文献】特開2002-321080(JP,A)
【文献】特開平06-265773(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 19/00 - 21/36
G01N 21/62 - 21/74
G01N 1/00 - 1/44
G01N 27/60 - 27/70
G01N 27/92 - 27/92
B23K 26/00 - 26/70
H01J 40/00 - 49/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルのアブレーションされた部分の分析を可能にする、前記サンプルを画像化およびアブレーションするためのデバイスであって、
サンプルの載置のために構成された第1の側と、前記第1の側とは反対に配置された第2の側と、を有するサンプルステージと、
対物レンズを含む光学アセンブリであって、前記対物レンズが、前記サンプルステージの前記第2の側に配置されており、かつ前記サンプルステージに載置された前記サンプルの顕微鏡画像化を可能にするように構成されており、前記光学アセンブリがまた、アブレーションレーザを含み、
前記アブレーションレーザが、前記サンプルステージの前記第2の側に配置されており、前記アブレーションレーザが、前記対物レンズを通して、前記サンプルステージを通して、および前記サンプル内に、レーザ光を方向付けて、前記サンプルの少なくとも一部分を選択的にアブレーションするように構成されている、光学アセンブリと、
前記サンプルステージの前記第1の側に配置されたレシーバであって、前記サンプルから排出されたアブレーションされた材料を受容して、前記アブレーションされた材料のさらなる分析を可能にするように構成されている、レシーバと、を備え、
前記光学アセンブリがまた、レーザ焦点検出ユニットを含み、前記レーザ焦点検出ユニットが、
少なくとも1つの参照レーザを含み、前記少なくとも1つの参照レーザが、前記サンプルステージの前記第2の側に配置されており、かつ前記対物レンズを通して、前記サンプルステージを通して、および前記サンプル内に、レーザ光を方向付けるように構成されており、
前記レーザ焦点検出ユニットが、少なくとも1つの光検出器をさらに含み、前記少なくとも1つの光検出器が、前記少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出することによって少なくとも1つの検出信号を生成するように構成されており、前記少なくとも1つの検出信号が、その少なくとも一部分がアブレーションされている間の前記サンプルの1つ以上の特性を示し、および/または前記対物レンズから前記サンプルステージまでの距離を示し、および/または前記対物レンズから前記サンプルの表面までの距離を示し、
前記レーザ焦点検出ユニットが、前記少なくとも1つの検出信号をコントローラに送信するようにさらに構成されており、前記コントローラが、連続的又はリアルタイムの調整、又は、アブレーションプロセスの制御を提供するために、前記少なくとも1つの検出信号に基づいて、前記アブレーションレーザの1つ以上のパラメータ、および/または前記対物レンズの位置、および/または前記レシーバの位置、をリアルタイムで動的に制御するように構成されている、デバイス。
【請求項2】
前記レーザ焦点検出ユニットが、1~10ナノ秒以下の時間分解能で前記少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出し、かつ前記少なくとも1つの検出信号を前記コントローラに送信するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記サンプルの1つ以上の特性が、前記アブレーションレーザからの前記レーザ光によって引き起こされる前記サンプル内の空洞の形成と、前記サンプルから排出されたアブレーションされた材料に起因するアブレーションプルームの形成と、前記サンプルの厚さの変化と、のうちの少なくとも1つを含む、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記コントローラが、レーザパルスエネルギーおよび/またはレーザパルス周波数を含む前記アブレーションレーザの1つ以上のパラメータを制御するように構成されている、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記コントローラが、前記少なくとも1つの検出信号に基づいて、前記対物レンズの位置および/または前記レシーバの位置を連続的に調整するように構成されている、請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記少なくとも1つの光検出器が、前記サンプルステージおよび/もしくは前記サンプルの少なくとも1つの表面から反射された、ならびに/または前記サンプルステージおよび/もしくは前記サンプルの少なくとも1つの表面を透過した、前記少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された高速光検出器を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前
記高速光検出器が、前記サンプルステージの表面から反射され、かつ前記対物レンズを通して方向付けられて戻った、前記少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された光検出器を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記少なくとも1つの光検出器が、前記レシーバに対向する前記サンプルの表面から反射され、かつ前記対物レンズを通して方向付けられて戻った、前記少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された光検出器を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項9】
前記光検出器が、ピーク検出のためのアレイ検出器を含む、請求項7に記載のデバイス。
【請求項10】
前記少なくとも1つの光検出器が、前記サンプルの前記第1の側に配置されており、かつ前記サンプルを透過した前記少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成されている、光検出器を含む、請求項6に記載のデバイス。
【請求項11】
少なくとも1つの光検出器が、サブナノ秒の時間分解能で前記少なくとも1つの検出信号を分解するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項12】
前記少なくとも1つの参照レーザが、前記対物レンズの光軸からオフセットされた軸に沿って第1のレーザ光を前記対物レンズに方向付けるように構成された少なくとも第1の参照レーザを含み、前記少なくとも1つの光検出器が、前記対物レンズの前記光軸からオフセットされた軸に沿って前記対物レンズを通して反射されて戻った第1のレーザ光を検出するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記少なくとも1つの参照レーザが、前記対物レンズ
の光軸に沿って第2のレーザ光を前記対物レンズに方向付けるように構成された少なくとも第2の参照レーザを含み、前記少なくとも1つの光検出器が、前記対物レンズの前記光軸に沿って前記対物レンズを通して反射されて戻った第2のレーザ光を検出するように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記対物レンズの前記光軸に沿って反射されて戻った第2のレーザ光を検出するように構成された前記少なくとも1つの光検出器が、干渉計の一部を形成する、請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
前記対物レンズの前記光軸に沿って反射されて戻った第2のレーザ光が、前記アブレーションレーザからの前記レーザ光によって前記サンプルに形成された空洞から干渉信号を同時に提供する、請求項14に記載のデバイス。
【請求項16】
前記サンプルの前記第1の側に配置された光源をさらに備え、前記光源が、前記サンプルの透過照明のために構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項17】
前記サンプルの落射蛍光画像化および/または分析のために構成された蛍光励起源をさらに備え、前記蛍光励起源が、好ましくは、前記サンプルの前記第2の側に配置されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項18】
前記サンプルからの蛍光またはラマン放出をスペクトル分解および/または時間分解するように構成された分光計をさらに備え、前記分光計が、好ましくは、前記サンプルの前記第2の側に配置されている、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記アブレーションレーザが、フェムト秒レーザ、好ましくは、近赤外線レーザである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項20】
前記少なくとも1つの参照レーザが、好ましくはフォトニック集積回路の形態のダイオードレーザである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項21】
前記光学アセンブリが、約50μm以下、または約30μm以下、または約10μm以下、または約5μm以下、または約3μm以下、または約1.5μm以下、または約1μm以下の直径を有する標的領域のアブレーションを可能にするように構成されている、請求項1に記載のデバイス。
【請求項22】
サンプルの標的領域をアブレーションおよび分析するためのシステムであって、
請求項1に記載の画像化およびアブレーションデバイスと、
前記レシーバによって受容された前記アブレーションされた材料の少なくとも一部分を受容および分析するように構成された分析器と、を備える、システム。
【請求項23】
前記分析器が、PCR機、配列決定機、光学分光計、および質量分析計のうちの1つ以上を備える、請求項22に記載のシステム。
【請求項24】
前記質量分析計が、飛行時間(TOF)質量分析計、Orbitrap質量分析計、線形イオントラップ質量分析計、四重極質量分析計、四重極イオントラップ質量分析計、磁気セクター質量分析計、またはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析計として構成されている、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記分析器に関連する液体クロマトグラフィーカラムをさらに備え、前記液体クロマトグラフィーカラムが、前記分析器に送達される前に、前記アブレーションされた材料を受容するように構成されている、請求項22に記載のシステム。
【請求項26】
サンプルのアブレーションされた部分の分析を可能にするために、前記サンプルを画像化およびアブレーションする方法であって、
請求項1に記載の画像化およびアブレーションデバイス、ならびに/または請求項22に記載のシステムを提供することと、
前記サンプルの画像を取得することと、
前記サンプル内の関心領域を選択することと、
前記関心領域の少なくとも一部分をアブレーションするために、前記関心領域に、前記アブレーションレーザからのレーザ光を送達することと、
レシーバ上の前記アブレーションされた材料の少なくとも一部分を捕捉することと、
任意選択的に、前記アブレーションされた材料の少なくとも一部分を前記レシーバから分析器に渡すことと、
レーザ焦点検出ユニットからの少なくとも1つの検出信号に基づいて、前記アブレーションレーザの1つ以上のパラメータ、および/または対物レンズの位置、および/または前記レシーバの位置、を動的に調整することと、を含む、方法。
【請求項27】
複数のレーザパルスが、前記アブレーションレーザから前記サンプルに印加され、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギーレベル、またはレーザパルス深さのうちの1つ以上が、前記複数のレーザパルスにわたって動的に変化する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
空間分解能値が、前記サンプルの前記画像を取得するために利用され、前記レーザ光が、前記空間分解能値のR倍以下である、前記サンプルの上面から測定される深度で集束され、Rが、約5~約30の値である、請求項26に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、サンプルを画像化およびアブレーションするためのシステム、デバイス、および方法に関する。特に、本開示は、細胞内の細部にアクセスすることを可能にし、かつ標的を過度に分解することなく、アブレーションされた標的をレシーバに移して、追加の上流分析を可能にすることができる生物学的サンプルを画像化およびアブレーションするためのシステム、デバイス、および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
「-omics」分野は、標的生物または生物のグループの構造、機能、またはダイナミクスに関連する生物学的分子のセットを特徴付け、定量化し、または別様に分析しようとしている。各-omic分野は、関連する「-ome」の研究に関連している。-omics分野には、ゲノムの研究である、ゲノミクス、DNAバインダーおよびDNAの化学修飾を含むゲノムの支持構造の研究であるエピゲノミクス、mRNA、miRNA、rRNA、tRNAを含む標的生物によって生成されるRNA分子のセットの研究であるトランスクリプトミクス、標的生物によって生成されるタンパク質の補体の研究であるプロテオミクス、ならびに標的生物の細胞プロセスを通して生成される代謝物のコレクションの研究であるメタボロミクス、といった分野が含まれる。
【0003】
「マルチオミクス」(統合オミクスとも称される)には、そのような-omeのうちの1つ以上の分析が関わる。マルチオミクス分析の目標は、複雑な生物学的データを収集および/または分析して、例えば、疾患のマーカをより正確に特定することができる方法で様々な-omeにわたる関連を発見し、遺伝子型と、表現型と、特定の状態に対する環境への影響との間の区分けのよりよい理解を可能にし、様々な-omeが相互に調節および影響を与える方法についてのより深い洞察を提供する。
【0004】
ただし、マルチオミクスの分野をさらに前進させるには、いくつかの課題が残っている。特に、ゲノムからトランスクリプトーム、次いでプロテオームおよびメタボロームへと遺伝子型から表現型への経路に沿って移動すると、化学的多様性および複雑さのレベルが指数関数的に増加する。その複雑さの増加に伴い、関連する生体分子の取得および分析がますます困難になる。
【0005】
また、標的生体分子が存在する関連する関心領域は、しばしば細胞内レベルにある。したがって、生体分子の効果的な下流分析を可能にする方法で標的生体分子を取得することは困難である。しかしながら、ピコ秒赤外線LAESI(PIR LAESI)を含むレーザアブレーションエレクトロスプレーイオン化(LAESI)などの従来の方法では、細胞内レベルでの生体分子の収集はできない。LAESIでは、レーザアブレーションされた材料は、エレクトロスプレーイオン源からのナノメートルサイズの液滴によってイオン化され、分析のために質量分析計に送られる。しかしながら、従来のLAESIシステムには、開口数(NA)の低い光学系につながる固有の空間的制約がある。サンプルのアブレーションに使用される低NA光学系は、大きなアブレーションスポットサイズにつながる。例えば、最小スポットサイズは典型的には、生細胞全体よりもはるかに大きく、細胞内の関心領域の標的アブレーションを可能にするのに十分なほど小さくはない。
【0006】
生細胞の細胞内および/または細胞間生物学的材料への直接アクセスも、リアルタイム条件下でそのような細胞の生化学的側面を効果的に分析するための鍵である。しかしながら、さらなる下流分析のために標的細胞材料を得る従来の方法は、典型的には、サンプルを固定し、しばしば乾燥させることに依拠している。例えば、マトリックス支援レーザ脱離/イオン化飛行時間型(MALDI TOF)は、分子成分のイオン化にマトリックスを使用する。サンプルを固定する必要があるため、MALDI TOFは、生細胞のモニタリングとの互換性がない。
【0007】
したがって、得られた物質の効果的な下流分析を可能にする方法で、細胞内レベルで生細胞から細胞物質を得ることができるシステム、デバイス、および方法が継続的に必要とされている。レーザアブレーションへの様々なアプローチは、WO2021/104855A1、US2021/0118661A1、US2015/0018807A1、US8199321B2、WO2014/079802A2、W.Muller他による、2体積レーザアブレーションセルに結合された新しくカスタム設計されたArFエキシマLA-ICPMSシステムの初期性能測定基準、J.Anal.At.Spectrom.、2009、24、209-214、K.Fowble他による、「Laser Ablation Direct Analysis in Real Time Imaging」質量分析の開発:植物組織内のアトロピンとスコポラミンの合成につながる生合成カスケードに沿った代謝物の空間分布マッピングへの応用、Anal.Chem.2017、89、6、3421-3429、およびY.Cui他による、超短パルスレーザアブレーション飛行時間型質量分析計の深度プロファイリングおよび画像化能力、Rev.Sci.Instrum.83、093702(2012)が見い出されるが、これらのアプローチには1つ以上の欠点がある。
【発明の概要】
【0008】
本明細書に記載の実施形態は、生物学的材料を過度に分解せず、得られた材料の効果的な下流分析を可能にする方法で、サンプルからの標的生物学的材料の収集を可能にする。特定の実施形態では、サンプルは、生細胞を含み得、標的生物学的材料は、通常の周囲条件下で(例えば、圧力制御、湿度制御などなしで)得られ得る。特定の実施形態では、サンプルの標的関心領域は、細胞内サイズを有し得る。特定の実施形態では、標的生物学的材料は、細胞が生存することさえ可能にして、任意選択的にさらなる試験に使用され得る方法で、残りの細胞構造への影響を最小限に抑えて細胞から除去され得る。特定の実施形態では、サンプルアブレーションの特徴は、アブレーション中にリアルタイムでモニタリングされ、空間的および時間的情報を含む。これにより、アブレーションデバイスのパラメータをリアルタイムにそれに応じて動的に調整でき、アブレーションの最適化および/または質量分析画像化などのサンプル分析の一定条件の維持が可能になり、MS画像化の品質を向上させることができる。
【0009】
一実施形態では、サンプルのアブレーションされた部分の分析を可能にする、サンプルを画像化およびアブレーションするためのデバイスであって、サンプルの載置のために構成された第1の側(例えば、上側)と、第1の側とは反対に配置された第2の側(例えば、下側)と、を有するサンプルステージを備える、デバイスが提供される。このデバイスは、対物レンズを含む光学アセンブリを含み、対物レンズが、サンプルステージの第2の側に配置されており、かつサンプルステージに載置されたサンプルの顕微鏡画像化を可能にするように構成されており、光学アセンブリがまた、アブレーションレーザを含む。アブレーションレーザは、サンプルステージの第2の側に配置されており、アブレーションレーザは、対物レンズを通して、サンプルステージを通して、およびサンプル内に、レーザ光を方向付けて、サンプルの少なくとも一部分(例えば、サンプルの標的関心領域)を選択的にアブレーションするように構成されている。サンプルステージは、典型的には、レーザおよびその他の光を通過させることができる透明窓を有する。サンプルは、透明窓の上面に載置され得る。透明窓は、例えば、ガラスまたはプラスチックで作製され得る。透明窓は、例えば、スライドまたはカバースリップであり得る。透明窓は、概して、光学アセンブリ、例えば、対物レンズの視野(FOV)を画定する。サンプルステージの第1の側にレシーバが配置されており、このレシーバは、サンプルから排出されたアブレーションされた材料を受容して、アブレーションされた材料のさらなる分析を可能にするように構成されている。
【0010】
一実施形態では、光学アセンブリは、少なくとも1つの参照レーザを含むレーザ焦点検出ユニット(FDU)も含み、この少なくとも1つの参照レーザは、サンプルステージの第2の側に配置されており、対物レンズを通るレーザ光を、サンプルステージを経てサンプルへと方向付けるように構成されている。FDUは、屈折率の異なる媒体間の界面を検出または観察することができる。このようにして、例えば、雰囲気/サンプルステージの界面、サンプルステージ/サンプルの界面、またはサンプル/雰囲気の界面といった、1つ以上の界面の軸方向(z)位置。これにより、例えば、対物レンズの相対位置(距離)およびサンプルの厚さをサンプリングすることが可能になり、それぞれをリアルタイムでモニタリングすることができる。レーザ焦点検出ユニットは、少なくとも1つの光検出器をさらに含み、少なくとも1つの光検出器は、少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出することによって少なくとも1つの検出信号を生成するように構成されており、この検出信号は、その少なくとも一部分がアブレーションされている間のサンプルの1つ以上の特性を示し、および/または対物レンズからサンプルステージまでの距離を示し、および/または対物レンズからサンプルの表面までの距離を示す。サンプルの場合、サンプルの空洞サイズ(およびアブレーションレーザパルスに対する遅延)、例えば、サンプルステージまたは対物レンズに対するサンプル/雰囲気の界面の高さまたは位置(、およびサンプルから雰囲気への軸方向プルームの形成、のうちの1つ以上を観察することができる。
【0011】
レーザ焦点検出ユニットは、少なくとも1つの検出信号をコントローラに送信するようにさらに構成されており、コントローラは、少なくとも1つの検出信号に基づいて、アブレーションレーザの1つ以上のパラメータ、および/または対物レンズの位置、および/またはレシーバの位置、を動的に制御するように構成されている。これにより、対物レンズの位置および/またはレシーバの位置が、サンプルの位置に対して調整される。
【0012】
一実施形態では、レーザ焦点検出ユニットは、少なくとも1つの光検出器を使用して少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を連続的にまたは高周波で検出し、少なくとも1つの検出信号をコントローラに送信するように構成されている。このようにして、少なくとも1つの検出信号は、アブレーション中のサンプル、ならびに/またはサンプルに対する対物レンズおよび/もしくはレシーバの位置のリアルタイムモニタリングを可能にすることができる。少なくとも1つの光検出器は、好ましくは、100マイクロ秒または100マイクロ秒未満の時間分解能を有する。一実施形態では、少なくとも1つの参照レーザは、他の光源または励起源との衝突およびサンプルからの画像の検出を回避するために、オンおよびオフに変調することができる。少なくとも1つの光検出器は、好ましくは、ナノ秒の時間分解能またはサブナノ秒の時間分解能(少なくとも1つの参照レーザからの光は、次の時間分解能で検出される)、例えば、1ナノ秒または1ナノ秒未満などの1~10ナノ秒以下の時間分解能を有する。サブナノ秒の時間分解能を有する光検出器を使用して、連続的にアブレーションプルーム膨張のダイナミクスを精査することができる。この機能のために、サブナノ秒の時間分解能を有する光検出器を常にオンにする、すなわちアクティブにすることができる。しかしながら、サブナノ秒の時間分解能を有する光検出器によって検出される少なくとも1つの参照レーザは、オンおよびオフに変調することができる。
【0013】
一実施形態では、サンプルの1つ以上の特性には、アブレーションレーザからのレーザ光によって引き起こされるサンプル内の空洞の形成、サンプルから排出されたアブレーションされた材料に起因するアブレーションプルームの形成、サンプルの厚さの変化、のうちの1つ以上が含まれる。多くの例では、サンプル上またはサンプル内に存在する水の表面張力に起因して、サンプルの厚さの変化は、1ミリ秒の時間範囲の後に消失する。非常に薄いサンプル(細胞の単層)のいくつかの例では、アブレーション後に「ディップ」が表面に残ることがある。
【0014】
一実施形態では、コントローラは、レーザパルスエネルギーおよび/またはレーザパルス周波数を含む、少なくとも1つの検出信号に基づいたアブレーションレーザの1つ以上のパラメータを制御するように構成されている。一実施形態では、少なくとも1つの検出信号を使用して、アブレーションプルームがサンプル表面(すなわち、サンプル空気表面)に形成されているかどうかをモニタリングし得る。アブレーションプルームがサンプル表面に形成されていない場合は、レーザパルスエネルギーおよび/またはレーザパルス周波数をコントローラで調整し得る。好ましくは、アブレーションプルームが表面に形成されるまで、レーザパルスエネルギーを増加させ得、および/またはレーザパルス周波数を増加させ得る。
【0015】
一実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの検出信号に基づいて、対物レンズの位置および/またはレシーバの位置を、連続的に、すなわち、高いデジタル周波数でリアルタイムに調整するように構成されている。1つ以上のアクチュエータが対物レンズを駆動してもよい。同様に、1つ以上のアクチュエータがレシーバステージを駆動してもよい。アクチュエータは、コントローラによってリアルタイムで制御され得る。アクチュエータは、サブミリ秒の範囲の応答時間、例えば、1ミリ秒または1ミリ秒未満の応答時間を有し得、位置のリアルタイム制御を可能にする。対物レンズの位置および/または調整されるレシーバの位置は、軸方向位置(ここではz位置と呼ばれる)であり得、これは、対物レンズとサンプルステージとの間、またはレシーバステージとサンプルステージとの間の距離を変える。このようにして、例えば、サンプル中のアブレーションレーザからのレーザ光の焦点深度は、対物レンズの位置を調整することによって連続的に調整することができる。これは、サンプルの厚さが時間とともに変化する際に有利である。さらに、サンプル表面からのレシーバの距離は、一定に、および/または最適な範囲に保つことができる。
【0016】
一実施形態では、少なくとも1つの光検出器は、サンプルステージおよび/またはサンプルの少なくとも1つの表面または界面から反射された、および/またはそこを透過した、少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された光検出器を含む。一実施形態では、少なくとも1つの光検出器は、サンプルステージの表面または界面から反射され、かつ対物レンズを通して方向付けられて戻った、少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された光検出器を含む。一実施形態では、少なくとも1つの光検出器は、レシーバに対向するサンプルの表面または界面から反射され、かつ対物レンズを通して方向付けられて戻った、少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成されている、光検出器を含む。そのような実施形態では、光検出器は、アレイ検出器を含むことができる。アレイ検出器は、少なくとも1つの参照レーザのピーク検出を可能にすることができる。ピークは、FDUの観察量であり、異なる屈折率を持つサンプルの(軸方向の)界面に由来する。アレイ検出器は、複数の個別の光検出器またはピクセルを含むことができる。アレイ検出器をFPGAおよびコントローラと組み合わせて、高速信号分析(例えば、マイクロ秒の時間範囲でのピーク検出)を達成することができる。
【0017】
一実施形態では、少なくとも1つの光検出器は、サンプルの第1の側に配置されており、かつサンプルを透過した少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成されている、光検出器を含む。好ましくは、この光検出器の信号は、サンプルのアブレーションと同時にモニタリングされる。
【0018】
一実施形態では、少なくとも1つの光検出器は、サブナノ秒の時間分解能で少なくとも1つの検出信号を分解するように構成されている。これにより、対物レンズによってサンプルに集束されたレーザ光によってサンプルに形成された空洞の位置を経時的にモニタリングすることが可能になる。このような空洞は、典型的には、サンプル媒体内の音速で移動する。
【0019】
一実施形態では、少なくとも1つの参照レーザは、好ましくはフォトニック集積回路の形態のダイオードレーザである。一実施形態では、少なくとも1つの参照レーザは、複数の参照レーザ、すなわち、少なくとも第1の参照レーザおよび第2の参照レーザを含む。複数の参照レーザは、フォトニック集積回路(PIC)のレーザ出力開口として提供され得る。
【0020】
一実施形態では、少なくとも1つの参照レーザは、対物レンズの光軸からオフセットされた軸に沿って第1のレーザ光を対物レンズに方向付けるように構成された少なくとも第1の参照レーザを含み、少なくとも1つの光検出器は、対物レンズの光軸からオフセットされた軸に沿って対物レンズを通して反射されて戻った第1のレーザ光を検出するように構成されている。検出された第1のレーザ光は、対物レンズからサンプルステージまでの距離および/または対物レンズからサンプル-空気の界面までの距離に関する情報を提供することができる。三角測量の方法を使用して、これらの距離を決定することができる。このアプローチにより、サンプル媒体/空気の界面を高い時間分解能でさらにモニタリングすることができる。例えば、高速フォトダイオードを使用すると、アブレーションのタイミング、サンプル表面への空洞の伝播、および空洞のプルームを雰囲気中に放出することをモニタリングすることが可能になる。
【0021】
一実施形態では、少なくとも1つの参照レーザは、対物レンズの光軸に沿って第2のレーザ光を対物レンズに方向付けるように構成された少なくとも第2の参照レーザを含み、少なくとも1つの光検出器は、対物レンズの光軸に沿って対物レンズを通して反射されて戻った第2のレーザ光を検出するように構成されている。対物レンズの光軸に沿って反射されて戻った第2のレーザ光を検出するように構成された少なくとも1つの光検出器は、干渉計の一部を形成し得、それ自体が光コヒーレンストモグラフィー(OCT)セットアップの一部であり得る。好適なOCT技術は、Wang他、Optics Letters、Vol.42、No.17、2017、3466-3469頁に記載されている。それにより、対物レンズの光軸に沿って反射されて戻った第2のレーザ光は、アブレーションレーザからのレーザ光によってサンプルに形成された空洞から干渉信号を、例えば、同時に提供することができる。干渉計またはOCTセットアップは、好ましくは、サンプル内のレーザ誘起空洞から、および/またはアブレーションプルーム/サンプルの界面から反射された第1のレーザ光によって干渉信号を生成することを可能にする。干渉信号は、媒体中の空洞および/または雰囲気中のプルーム形成に関する正確な時間分解位置情報を提供することができる。空洞および/またはプルームの形成に関する情報は、リアルタイムで、サブナノ秒の分解能(1ns以下)で提供することができる。干渉計を使用すると、観察体積をサンプル媒体からアブレーションされた材料のプルーム体積にのみ膨張して、サンプルを雰囲気中に残すことができる。OCTセットアップの一部として、干渉信号は、空洞および/またはプルームの形成の断層撮影測定を提供することができる。
【0022】
一実施形態では、デバイスは、サンプルの第1の側に配置された光源をさらに備えてもよく、光源は、サンプルの透過照明のために構成されている。この目的のために、フラッシュライトまたはランプを利用し得る。フラッシュライトまたはランプは、好ましくは、ナノ秒(例えば、1~10ns)またはサブナノ秒(1ns未満)の幅の光パルスを放出することができる。このため、スナップショット画像は、フラッシュライト/ランプを使用して取得され得、これはすなわち、アブレーションレーザでサンプルをパルスした後の時間遅延tでの空洞のスナップショット画像である。カメラなどの検出器をサンプルの第2の側に配置して、透過照明された光を検出し、サンプルの画像を形成し得る。透過照明光は、例えば、使用中の対物レンズの焦点深度の任意の軸方向位置で、サンプルの空洞サイズの決定に使用され得る。
【0023】
一実施形態では、デバイスは、落射蛍光画像化および/またはサンプルの分析のために構成された蛍光励起源をさらに備え得る。蛍光励起源は、好ましくは、サンプルの第2の側に配置される。蛍光励起は、アブレーションレーザの後で遅れて適用され得る。蛍光励起源は、サンプル中の関心蛍光(マーカ)分子の量を精査するために、蛍光励起波長に一致する、好ましくは約nsのパルス長のパルス光源を備え得る。
【0024】
アブレーションレーザの印加後(蛍光励起源をオフにして)の、またはアブレーションレーザの印加後の時間遅延t’での蛍光励起源による照射後の、自動蛍光に応答してサンプルからの蛍光発光をスペクトル分解および/または時間分解(すなわち、リアルタイムで検出)し、かつ蛍光画像または信号を提供するように構成された、カメラなどの検出器、または(高速)光検出器を備えた分光計、を提供し得る。蛍光発光の検出は、サブミリ秒の露光時間で発生し得る。蛍光発光用の検出器は、好ましくは、サンプルの第2の側に配置される。蛍光発光を検出するために使用されるカメラなどの検出器は、透過照明を検出するために使用されるものと同じ検出器またはカメラであり得る。このシステムでは、サンプル媒体の空洞の形成は、アブレーションレーザパルス後の時間tでフラッシュライトを使用して透過照明で画像化され、後の時間t’で蛍光励起後に蛍光画像化され得る。これにより、時間遅延スナップショット画像化情報もまた、透過照明および蛍光の異なる光源から取得することができる。十分な動的強度範囲を有するカメラを使用すると、画像は、2種類のコントラストを示すことができる。典型的には、透過照明と蛍光画像のコントラスト領域は同じではない。透過照明画像から高いコントラストが見える場合があり、(より)弱い信号を蛍光として識別することができる。
【0025】
検出された落射蛍光信号または画像は、好ましくは時間分解され、サンプル内、すなわち対物レンズの焦点位置における空洞特性および分子断片化に関する情報を提供するために使用され得る。スペクトル画像スプリッタを使用して、蛍光光を分光計と組み合わせた(より)高速な光検出器(例えば、アレイ)に導いて、蛍光画像から透過照明画像をスペクトル的に分離することができる。
【0026】
一実施形態では、測定された蛍光の枯渇は、典型的にはレーザパルスエネルギーが高すぎるために、アブレーションによって引き起こされたサンプル中の分子の断片化を示す。その場合、次のレーザパルスをより低いエネルギーで印加する必要がある。したがって、蛍光信号を使用して、レーザパルスエネルギーを調整し得る。定量的蛍光強度分析は、レシーバへの、そしてそれによる質量分析計などの分析器への材料の移動効率の推定を可能にすることができる。
【0027】
一実施形態では、アブレーションレーザの焦点からのラマン信号を追加的または代替的に検出し得る。ラマン信号は、蛍光信号に補足的な情報を提供する。ラマン信号は、一般に蛍光よりも感度が低いが、サンプルをフルオロフォア標識で修飾する必要がないという利点がある。アブレーションされた材料からのラマン信号は、例えば、蛍光を検出するために使用されるのと同じ検出器または分光計によって検出され得る。ラマン信号は、アブレーションされた分子の振動および回転バンドを提供する。ラマン信号の発生により、例えば、分析器(例えば、質量分析計)に送信される分子の予想される質量に関する情報が明らかになる一方、振動/回転バンドの強度分布は、分子の熱状態(内部エネルギー)を示す。ラマンスペクトルは、分析器(質量分析計)で検出された分子のピーク強度と相関させることができる。このため、ラマン信号の最適化は、分析器(質量分析計)で検出された分子のより定量的なキャリブレーションに使用され得る。
【0028】
次に、アブレーションデバイスおよびシステムの様々なさらなる特徴について説明する。
【0029】
一実施形態では、レーザ光が対物レンズを通して方向付けられており、レーザ光がサンプルのアブレーションから生じるアブレーションプルームの意図された移動方向において、実質的に伝播するように配向されるように、アブレーションレーザおよび対物レンズが構成されている。これは、拡大するアブレーションプルームが、レーザ光に逆らうのではなく、伝播するレーザ光の方向に実質的に平行な線に沿ってレシーバに向かって効果的に移動することを有益に可能にする。
【0030】
光学アセンブリは、明視野画像化、セクショニング(例えば、共焦点顕微鏡を介して)、落射蛍光画像化、2光子画像化、またはそれらの組み合わせを可能にするように構成され得る。対物レンズは、約0.5以上、または約0.65以上、または約0.75以上、または約0.8以上の開口数(NA)を有し得る。
【0031】
アブレーションレーザは、好ましくはパルスレーザである。アブレーションレーザは、フェムト秒の赤外線レーザであることが好ましい。レーザおよび他の光学アセンブリ構成要素は、サンプルの1μm3当たり約1nJ~約10μJのパルスエネルギーを送達するように構成され得る。アブレーションされる標的関心領域は、約50μm以下、または約30μm以下、または約10μm以下、または約5μm以下、または約3μm以下、または約1.5μm以下、または約1μm以下の「スポットサイズ」直径を有し得る。体積的に言えば、アブレーションされる標的関心領域は、約500μm3以下、約250μm3以下、約100μm3以下、約50μm3以下、約25μm3以下、または約10μm3以下、約5μm3以下、または約2μm3以下の体積を有し得る。したがって、光学アセンブリを利用して、複数の全細胞、単一の全細胞、または標的細胞小器官もしくは他の細胞内構造などの細胞内体積、または細胞外の細胞外体積をアブレーションすることができる。
【0032】
一実施形態では、レシーバは、マイクロウェルプレートまたはチップなどのアブレーションされた材料の個々のサブサンプルの非重複空間的分化のために構成された媒体を含む。一実施形態では、レシーバは、ナノ液滴アレイを含む。一実施形態では、レシーバは、アブレーションされたサブサンプルを収集し、それらをイオン化液滴の形態で質量分析計の入口に送るように構成されたエレクトロスプレープローブを含む。エレクトロスプレープローブは、エレクトロスプレープローブの外面を濡らすための溶媒を提供する毛細管と関連付けられ得る。
【0033】
一実施形態では、サンプルの標的領域をアブレーションおよび分析するためのシステムは、画像化およびアブレーションデバイスと、レシーバによって受容されたアブレーションされた材料の少なくとも一部分を受容し、分析するように構成された分析器と、を含む。分析器は、例えば、1つ以上のPCR機、配列決定機、光学分光計、核磁気共鳴(NMR)分光計、質量分析計、クロマトグラフィーデバイス、遠心分離機、電気泳動デバイス、放射性標識および放射性標識検出デバイス、他の分析生化学デバイス、またはそれらの組み合わせを含み得る。システムは、サンプルをサンプルステージ上に位置付ける前に、サンプルを選別または別様に処理するように構成されている、電気液滴選別機、選別遠心分離機などの上流プロセッサをさらに含み得る。
【0034】
一実施形態では、サンプルのアブレーションされた部分の分析を可能にするためにサンプルを画像化およびアブレーションする方法は、画像化およびアブレーションデバイスを提供するステップと、サンプルの画像を取得するステップと、サンプル内の関心領域を選択するステップと、関心領域の少なくとも一部分をアブレーションするために、関心領域にレーザ光を送達するステップと、を含む。そして、レシーバ上のアブレーションされた材料の少なくとも一部分を捕捉すること。
【0035】
一実施形態では、この方法は、レーザ焦点検出ユニットからの少なくとも1つの検出信号に基づいて、アブレーションレーザの1つ以上のパラメータ、および/または対物レンズの位置、および/またはレシーバの位置、を動的に(例えば、ミリ秒以上の時間分解能でリアルタイムに)調整することを含む。
【0036】
一実施形態では、アブレーションは、周囲雰囲気中で実施される。一実施形態では、サンプルは、生細胞を含む。一実施形態では、アブレーションされたサブサンプルは、標的細胞を殺すことなく標的細胞から除去される。
【0037】
一実施形態では、複数のレーザパルスがサンプルに印加される。複数のレーザパルスを印加して、1つのサブサンプルをアブレーションし得る。複数のアブレーションされたサブサンプルは、複数のアブレーションイベントから形成され得、非重複空間的分化された位置でレシーバで収集され得る。レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギーレベル、またはレーザパルス深度のうちの1つ以上は、複数のレーザパルスにわたって動的に変化し得る。例えば、ある動作モードでは、レーザパルス強度は、初期の高レベルに設定され、関心領域を覆っているサンプル中の材料を除去し、次いで、関心領域の少なくとも一部分のアブレーションのために、より低レベルに設定される。
【0038】
本概要は、以下の詳細な説明でさらに説明される簡略化された形式で一連の概念を導入するために提供されている。本概要は、請求された主題の主要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、請求された主題の範囲を示すものとして使用されることも意図されていない。
【0039】
本開示の追加の目的および利点は、以下の説明に部分的に記載され、その一部は、その説明から明らかになり、または本開示の実施によって習得することができる。本開示の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲で特に指摘されている機器および組み合わせによって実現および取得することができる。本開示のこれらおよび他の特徴は、以下の説明および添付の特許請求の範囲からより完全に明らかになるか、または以下に記載されるように開示の実施によって習得され得る。
【0040】
本開示の上記および他の利点および特徴を得ることができる方法を説明するために、添付の図面に示されるその特定の実施形態を参照することにより、上記で簡単に説明した本開示のより具体的な説明を行う。これらの図面は、本開示の典型的な実施形態のみを示しており、したがって、その範囲を限定するものとみなされるべきではないことが理解される。本開示は、次の添付の図面を使用して、さらなる特異性および詳細を伴って記載および説明される。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】従来のレーザ支援エレクトロスプレーイオン化(LAESI)システムを示す。
【
図2】従来の画像化およびアブレーションシステムに比べて1つ以上の利点を提供する、サンプルの画像化およびアブレーションのためのシステムの概略概要を示し、このシステムは、光学アセンブリ、サンプルステージ、およびレシーバを備えた画像化/アブレーションデバイスを含む。
【
図3】上流電気液滴選別機の形態の例示的な上流プロセッサを示す。
【
図4】本明細書に記載の画像化/アブレーションデバイスに利用され得る光学アセンブリの例を示す。
【
図5】マイクロウェルプレートなどの空間的分化した媒体を含むレシーバの例を示す。
【
図6A】ナノ液滴アレイを含むレシーバの例を示す。
【
図6B】ナノ液滴アレイを形成するための例示的なプロセスを示す。
【
図7】エレクトロスプレープローブを含み、かつ質量分析計の入口に送信するためのアブレーションされたサブサンプルを含有するイオン化液滴を生成するように構成されたレシーバの実施形態を示す。
【
図8】1つ以上の試薬をレシーバの空間的に分離された区画に追加し得る、および/または1つ以上のサブサンプルを、イオン化されたサンプルを質量分析計に渡すためのエレクトロスプレープローブに結合された液体クロマトグラフィーカラムに渡し得る下流プロセスの一例を示す。
【
図9】レシーバ上のアブレーションされたサブサンプルの位置を、アブレーションイベントに、およびサンプルスライド上の標的関心領域に、相関させるための例示的な方法を示す。
【
図10】サンプルの長方形のxy領域が走査され、アブレーションされる、例示的な画像化/アブレーションデバイスの動作モードをグラフで示す。
【
図11】印加されるレーザパルスの位置およびパルスエネルギーレベルを動的に調整することにより、標的関心領域を覆う組織、媒体、または他の妨害物質の層を除去するために利用され得る画像化/アブレーションデバイスの動作モードの例をグラフで示す。
【
図12】レーザ焦点検出ユニットを含む例示的な画像化/アブレーションデバイスを示す。
【
図13】画像化/アブレーションデバイスおよびレーザ焦点検出ユニットを組み込んだ例示的な光学システムを概略的に示す。
【
図14】干渉計を含むレーザ焦点検出ユニットを組み込んだ例示的な光学システムのさらなる詳細を示す。
【
図15A】レーザ焦点検出ユニットのアレイ検出器で受光した参照レーザビームの位置を示す。
【
図15B】ビームスプリッタで反射され、かつ高速光検出器で検出されたビームの1つを示す。
【
図16】レーザ焦点検出ユニットを組み込んださらなる例示的な光学システムを示す。
【
図17】サンプルステージ下面(ΔZ
1)および上面(ΔZ
1’)から反射されたレーザビームからのアレイ検出器上のピクセル強度の例示的なデータを示す。
【
図18】既知の対物レンズ位置に対するアレイ検出器の検出ピクセルのキャリブレーションを示す。
【
図19】異なる水位またはサンプル高さa、b、c、dのサンプルステージ(ΔZ
1)およびサンプル表面(ΔZ
2)からの反射ビームによるアレイ検出器のピクセル強度の例示的なデータを示す。
【
図20】
図19のデータと、サンプルがサンプルステージで乾燥するときのアレイ検出器のピクセル強度の追加の例示的なデータを示す。
【
図21】空洞の形成およびプルーム-サンプルの界面からのレーザ光の反射に由来するレーザ焦点検出ユニットの光検出器での参照レーザからの干渉信号(I)の時間(t)依存性を示す。
【
図22】アブレーションモニタリングのための光学系の動作を概略的に示す。
【
図23A】リアルタイム(t)でのアブレーションパラメータのキャリブレーションまたは制御の効果を示す(i)パルス当たりのパルスエネルギーE
0である。
【
図23B】リアルタイム(t)でのアブレーションパラメータのキャリブレーションまたは制御の効果を示す(ii)空洞の拡張である。
【
図23C】リアルタイム(t)でのアブレーションパラメータのキャリブレーションまたは制御の効果を示す(iii)サンプル媒体から雰囲気への遷移の位置である。
【
図23D】リアルタイム(t)でのアブレーションパラメータのキャリブレーションまたは制御の効果を示す(iv)落射蛍光信号である。
【
図24】画像化/アブレーションデバイスの制御パラメータのリアルタイム最適化のためのプロセスのフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
序論
本開示の実施形態を詳細に説明する前に、本開示は、当然変わり得る、特に例示されたデバイス、システム、方法、装置、製品、プロセス、および/またはキットのパラメータに限定されないことを理解されたい。したがって、本開示の特定の実施形態は、特定の構成、パラメータ、構成要素、要素などを参照して詳細に説明されるが、説明は例示であり、特許請求される発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。加えて、本明細書で使用される用語は、実施形態を説明することを目的としており、必ずしも特許請求される発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0043】
さらにまた、別段、暗黙的または明示的に理解または記載しない限り、本明細書において説明される任意の所与の構成要素または実施形態について、その構成要素について列挙された可能な候補または代替物のいずれかが、一般に個々にまたは互いに組み合わせて使用され得ることが理解される。さらに、別段、暗黙的または明示的に理解または記載されない限り、かかる候補または代替物のいかなる列挙も、単なる図示であり、限定ではないことが理解されよう。
【0044】
加えて、別段の指示がない限り、明細書および特許請求の範囲において使用された量、成分、距離、または他の測定値を表す数は、「約(about)」という用語によって修飾されるものとして理解されるべきである。それに応じて、矛盾して示されない限り、明細書および添付の特許請求の範囲において記載された数値パラメータは、本明細書中に提示された主題によって得られることが求められる、所望の特性に応じて変化することがある近似値である。最低でも、かつ特許請求の範囲に対する均等の原則の適用を限定することを企図しないように、各数値パラメータは、少なくとも、報告された有意な数字の数に照らして、かつ通常の丸め技術を適用することによって解釈されるべきである。本明細書中に提示された主題の広範な範囲を記載している数値範囲およびパラメータは近似値であるにも関わらず、特定の例に記載された数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、いかなる数値も、本質的に、それぞれの試験的測定において見られた標準偏差から必然的に生じる一定の誤差を含有する。
【0045】
本明細書で使用されている見出しおよび小見出しは、構造的な目的のみであり、説明またはクレームの範囲を制限するために使用されることを意図したものではない。
【0046】
図1は、従来のLAESIシステム60を示す。示されるように、レーザ光40は、サンプルスライド30上に配置されたサンプル10に方向付けられる。レーザ光40は、サンプル10の一部分のアブレーションを引き起こすように調整され、その結果、レーザ光の伝播方向と反対の方向に上方に伝播するアブレーションプルーム20が生じる。エレクトロスプレーニードル50は、サンプルスライド30とレーザ光40が通過する光学系との間の高さで、サンプルスライド30の上方に配置される。エレクトロスプレーニードル50は、アブレーションプルーム20の経路を横切ってエレクトロスプレー液滴52を放出する。これらの液滴52の一部は、アブレーションプルーム20の液滴と相互作用して、イオン化されたサンプル液滴54を形成する。質量分析計の入口56は、典型的には、エレクトロスプレーニードル50と位置合わせされ、分析のためにイオン化されたサンプル液滴54の一部を受容するように位置付けられる。
【0047】
システム60などの従来のLAESIシステムは、サンプル10のアブレーションされた部分の収集および分析を可能にするが、いくつかの制限が存在する。特に、固有の空間的制約は、レーザ光40がサンプル10に印加され得る解像度を厳しく制限し、これは、スポットサイズが比較的大きく、典型的には細胞全体よりもはるかに大きいことを意味する。エレクトロスプレー液滴52の流れがアブレーションプルーム20を横切るために、エレクトロスプレーニードル50および質量分析計の入口56は、サンプルスライド30と、レーザ光40が伝播される光学アセンブリとの間に位置付けられなければならない。これにより、システムの焦点電位が制限され、光学系のNAが望ましくなくなる。空間的制約に加えて、サンプル10に焦点を合わせるために、エレクトロスプレー液滴52の流れを通して焦点を合わせる光学系も必要とし得る。
【0048】
そのような従来のLAESIシステム60の別の欠点は、レーザ光40の伝播方向(すなわち、レーザ光のkベクトル)が、エレクトロスプレー液滴52の交差経路に到達するためにアブレーションプルーム20が移動しなければならない方向に対して延びているということである。これは、アブレーションされた材料を質量分析計の入口56に輸送する効率を低下させる。加えて、構成要素の空間的位置付けは、アブレーションプルーム20からの破片が光学系および他の重なる構成要素を汚し、システムの性能をさらに低下させ、洗浄および/または部品交換のための運用コストを増加させる可能性があることを意味する。
【0049】
画像化およびアブレーションシステムの概要
図2は、サンプルの画像化およびアブレーションのためのシステム100の概略概要を示している。図示のシステム100は、上記のような従来のLAESIシステム60の制限のうちの1つ以上を改善し得る。システム100は、画像化/アブレーションデバイス110を含む。画像化/アブレーションデバイス110は、光学アセンブリ112、サンプルステージ114、およびレシーバ116を含む。示されるように、光学アセンブリ112は、光が光学アセンブリ112を通ってサンプルステージ114内に上方に伝播するように、サンプルステージ114の下方の反転位置に配置される。光学アセンブリ112の対物レンズが、反転位置でサンプルステージの下方に配置されるように、サンプルステージ114の第1の側は、上側であり、かつサンプルステージ114の第2の側は、下側である。
【0050】
動作中、画像化および/またはアブレーションのための光は、光学アセンブリ112を通過し、次いでサンプルステージ114を通過し、サンプルステージ114上に位置付けられたサンプル10(例えば、それ自体がサンプルステージ114上に位置付けられたサンプルスライド上)に入る。同じ光学アセンブリ112は、サンプル10の画像化と、サンプル10内の標的関心領域のアブレーションと、の両方に使用し得る。アブレーション中、サンプル10内の関心領域が標的にされ、レーザ光が光学アセンブリ112を通って関心領域に方向付けられる。方向付けられたレーザ光は、関心領域をアブレーションさせ、サンプルステージ114からレシーバ116に向かって延在するアブレーションプルーム20を形成するように調整され得る。レシーバ116は、延在するアブレーションプルーム20の少なくとも一部分がレシーバ116で捕捉され得るように、サンプルステージ114の上に位置付けられる。サンプルステージ114、レシーバ116、またはその両方は、それらが少なくとも2つの軸方向において、好ましくは、3つの軸方向すべてに選択的に移動することを可能にする位置付けシステムを含み得る。
【0051】
従来のLAESIシステム60とは対照的に、図示された画像化/アブレーションデバイス110は、光学アセンブリ112を反転位置で提供する。これは、サンプルステージ114に対して光学アセンブリ112を位置付ける際により大きな自由を有益に提供し、より高いNA光学系の使用を可能にする。より高いNA光学系は、次に、より小さな関心領域とより小さなアブレーションスポットサイズに焦点を合わせることが可能になる。以下でより詳細に説明するように、いくつかの実施形態は、細胞内レベルでのアブレーションスポットサイズを可能にし得る。
【0052】
図示された画像化/アブレーションデバイス110はまた、レーザ光をアブレーションプルーム20の延在の方向に向けるように構成されている。図示の画像化/アブレーションデバイス110では、アブレーションプルーム20は、従来のLAESIシステム60のようにそれに対してではなく、伝播するレーザ光と同じ方向に延在するように意図されている。したがって、図示の画像化/アブレーションデバイス110は、アブレーションプルーム20が伝播するレーザ光の方向に逆らって移動することを必要とせずに、アブレーションされたサンプル材料をレシーバ116に効果的に移送することができる。
【0053】
加えて、図示の画像化/アブレーションデバイス110の構成は、光学アセンブリ112を、延在するアブレーションプルーム20の経路から取り除く。これは、光学アセンブリ112に接触または集まるアブレーションされた破片に起因する光学的劣化および/または構成要素の損傷を有益に制限する。
【0054】
レシーバ116は、アブレーションされた材料(すなわち、各アブレーションイベントにそれぞれ対応する材料)の受容された個々のサブサンプルを空間的および/または時間的に分化するように構成され得る。いくつかの実施形態では、レシーバ116は、マイクロウェルプレートまたはナノ液滴アレイなどの、個々のサブサンプルの空間的分化のために構成された媒体を含む。そのような媒体は、アブレーションされた材料内の核酸のPCRまたはアブレーションされた材料内の核酸の配列決定など、収集されて、空間的分化されたサブサンプルの後続の分析を可能にする。
【0055】
レシーバ116は、追加的または代替的に、エレクトロスプレープローブを含み得る。エレクトロスプレープローブを利用して、質量分析計の入口に送るためのイオン化されたサンプル液滴を生成し得る。レシーバ116はまた、溶媒で湿潤された表面として構成され得る。溶媒は、受容されアブレーションされたサブサンプルが、それらが時間的にいつアブレーションされて受容されたかに基づいて空間的に分化されるような流量を有し得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、エレクトロスプレープローブと湿潤された表面とが組み合わされている。例えば、以下でより詳細に説明されるように、エレクトロスプレープローブは、毛細管の外に延在し、かつ先端で終端する遠位部分が露出した、毛細管内に部分的に配置され得る。露出した遠位部分は、サンプルステージからアブレーションされたサブサンプルを受容するように位置付けられる(すなわち、サンプルステージの上に位置付けられる)。毛細管は、溶媒が露出した遠位部分の外面に沿ってエレクトロスプレープローブの先端に向かって流れるように、エレクトロスプレープローブの外面に溶媒を適用するように構成されている。このようにして、アブレーションされたサブサンプルが露出した遠位部分によって捕捉されると、それらは次にプローブの先端に向かって流れ、そこでイオン化されて質量分析の入口に向かって送られる。
【0057】
レシーバ116、特にアブレーションプルーム20に最初に接触して受容するレシーバの部分は、サンプルステージの上面から約1mm以下、または約500μm以下、または約350μm以下、または約250μm以下、または約200μm以下、または約150μm以下の距離だけ離間され得る。前述の範囲内の寸法は、レシーバによるアブレーションされた材料の効果的な収集を提供することが見出された。
【0058】
サンプルと、アブレーションプルーム20を最初に受容するレシーバ116の部分との間の距離もまた、レシーバ116へのアブレーションされた材料の効果的な移送を提供するように調整され得る。アブレーションされた材料は、運動エネルギー(速度の二次方程式)でサンプルから変位するが、材料を減速して運動エネルギーを除去する抗力(速度の二次方程式)を経験する。すべての運動エネルギーは、およそ次の距離Lにわたって除去される。
【数1】
式中、hは、サンプルのアブレーションされた部分の厚さ/高さ、ρsは、サンプル密度、ρgは、ガス密度、Cは、抗力係数(通常は約1)である。典型的には、Lは、約700時間になる。したがって、サンプルの上面とレシーバとの間の距離は、好ましくは、L未満であり、言い換えれば、好ましくは、サンプルのアブレーションされた部分の高さの約700倍未満である。
【0059】
いくつかの実施形態では、画像化/アブレーションデバイス110は、サンプルステージ114とレシーバ116との間に配置されるようなサイズおよび形状に構成されており、かつサンプルステージ114上に載置されたサンプル10にインキュベーション環境を提供するように構成されたた、インキュベーション容器(図示せず)を含む。
【0060】
図示のシステム100はまた、サンプルステージ114上にサンプルを位置付ける前に、サンプルを選別し、空間的に配向し、および/または別様に処理するように構成されている、上流プロセッサ120を含み得る。例えば、上流プロセッサ120は、細胞または他のサンプル成分をサンプルスライド上に選別するための電気液滴選別機などの選別デバイスを含み得、サンプルスライドは、サンプルステージ114上への後続の載置のために構成されている。上流プロセッサ120は、追加的または代替的に、Cytospin(商標)遠心分離機などの遠心分離機を含み得る。遠心分離機は、例えば、細胞懸濁液をスライド上に回転させるように構成され得、スライドは、サンプルステージ114上への後続の載置のために構成されている。サンプルおよび/または細胞を選別および位置付けるための当技術分野で知られている他の上流処理コンポーネントは、追加的または代替的に、上流プロセッサ120に含まれ得る。
【0061】
上流プロセッサの一例は、
図3に示されるような電気液滴選別機220である。一連の液滴11は、細胞12を含有する液滴などの関心液滴を選択的に偏向させるように動作するデフレクタ222(例えば、1つ以上の電極)の近くを通過し得る。細胞12は、応答ステージ213上に位置付けられた画像化スライド215に方向付けられ得る。応答ステージ213は、追加の液滴がスライド215上に選別されるときに、スライド215上に空間を提供するために順次移動し得る。スライド215は、個々の選別された液滴の空間的位置を参照することを可能にする参照マークを有し得る。カメラ224は、個々の選別された液滴の位置を記録することを可能にし、これはまた、液滴流データ(例えば、個々の選別された液滴が液滴の流れからいつ選別されたかを示すタイミングデータ)と相関し得る。
【0062】
所望の数の液滴がスライド215上に選別された後、スライド215は、
図2に示されるように、サンプルステージ114に移送され得る。カメラ224によって記録された、スライド215上の個々の選別された液滴の位置は、画像化/アブレーションデバイス110を使用して得られた画像と相関させ得る。したがって、アブレーションされたサブサンプルは、画像化/アブレーションデバイス110を使用して得られた画像にさかのぼって、次にスライド215上の空間的位置に戻り、最終的には液滴流データに戻り得る。
【0063】
追加または代替の上流処理動作には、細胞をスライドに固定することが含まれ得る。しかしながら、上で説明したように、本明細書に記載のシステム、デバイス、および方法は、周囲条件下で生細胞の画像化およびアブレーションを実行することが可能であり、したがって、細胞の固定は、必要な前処理ステップではない。他の追加または代替の上流処理動作には、サンプルの染色、および/またはサンプルへの標識の付与が含まれ得る。
【0064】
再び
図2を参照すると、図示のシステム100はまた、さらなる分析のために、レシーバ116からアブレーションされたサンプルを受容するように構成された下流分析器130を含み得る。下流分析器130は、例えば、PCR機、配列決定機、光学分光計、質量分析計、またはそれらの組み合わせを含み得る。当技術分野で知られている他の生体分子分析デバイスが、追加的または代替的に含まれ得る。質量分析計が含まれる場合、分析器130は、例えば、飛行時間(TOF)質量分析計、Orbitrap(商標)質量分析計、線形イオントラップ質量分析計、四重極質量分析計、四重極イオントラップ質量分析計、磁気セクター質量分析計、またはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析計のうちの1つ以上を含み得る。
【0065】
図示のシステム100はまた、システム100の制御および/またはフィードバックを提供するために、システムの他の構成要素のうちの1つ以上に通信可能に結合されたコントローラ140を含み得る。コントローラ140は、1つ以上のプロセッサ142、メモリ144(例えば、1つ以上のハードウェアストレージデバイス上)、およびコントローラと、コントローラ140が結合されたシステム100の様々なコンポーネントと、の間のデータの送受信を制御するための通信モジュール146と、を含む。コントローラ140はまた、ユーザからの入力を受信するため、および/またはユーザに情報を表示するための当技術分野で知られている入力/出力ハードウェア148を含み得る。
【0066】
システム100に関連する追加の詳細および実施形態を以下に説明する。以下に記載される実施形態は、任意の組み合わせで提供され、上記のようにシステム100全体と併せて利用され得ることが理解されよう。以下に説明する実施形態では、同様の番号を使用して、同様の構成要素を指す場合がある。
【0067】
光学アセンブリ
図4は、上記のシステム100などの画像化およびアブレーションシステムで利用され得る光学アセンブリ312の一例を概略的に示している。いくつかの実施形態では、光学アセンブリ312は、落射蛍光画像化を提供するように構成されている。光学アセンブリ312は、好ましくは、約0.5以上、または約0.65以上、または約0.75以上、または約0.8以上のNAを有する対物レンズ318を含み得る。光学アセンブリ312はまた、画像化光源356、アブレーション光源354(すなわち、アブレーションレーザ源354)、およびカメラ352(例えば、電荷結合デバイス(CCD)またはCMOSカメラ)を含む。
【0068】
光学アセンブリ312はまた、ダイクロイック355および357などの1つ以上のダイクロイックビームスプリッタ/ミラーを含み得る。例えば、ダイクロイック357は、励起光またはその一部分を、画像化光源356から対物レンズ318に向けて反射し、サンプルによって対物レンズ318に放出された放出光の通過を可能にするように構成されている。次に、放出された光は、ダイクロイック355によってカメラ352に向かって反射され得る。また、特定の用途の必要性に応じて、光源光および/または反射励起光をフィルタリング/遮断するために、1つ以上のフィルタが光路に沿って位置付けられ得る。例えば、1つ以上の励起フィルタを利用して、励起光源からの不要なバックグラウンドを抑制し、1つ以上の発光フィルタを利用して、サンプルから発する不要な蛍光バックグラウンド、および/または必要に応じて他の既知のフィルタ要素を抑制し得る。ダイクロイック355はまた、アブレーション光源354から対物レンズ318に向かってアブレーション光を通過させるように機能し得る。光源354と対物レンズ318との間の光路に沿ってレーザ光を操作するために、1つ以上のミラー/フィルタ353も含まれ得る。
【0069】
画像化光源356は、例えば、キセノンアークランプ、水銀灯、またはLEDを含み得る。アブレーション光源354は、好ましくは、赤外線レーザ(例えば、近赤外線または「NIR」)を含む。アブレーションレーザはまた、好ましくは、フェムト秒レーザである。レーザはまた、対物レンズ318を使用して、2光子画像化を可能にするように構成され得る。アブレーション光源354は、画像化の目的およびアブレーションのために、光源356に加えて、またはその代替として使用され得る。例えば、以下に説明するように、NIR光源は、画像化情報を取得するために低パルスエネルギーで、およびアブレーションのために高パルスエネルギーで利用され得る。
【0070】
アブレーション光源354からのNIRの使用は、特に紫外線(UV)光の使用と比較して、意図されたアブレーション動作にとって特に有利であり得る。例えば、アブレーション光と標的の生物学的サンプルとの有意義な相互作用は、生物学的材料の構造での光の散乱(例えば、膜、核、小胞などでの屈折率の変化)によって制限される。これにより情報が失われ、対象となる情報を意味のある方法で検出器に集中させることが困難になる可能性がある。印加されるアブレーション光は、生物学的構造の位相シフトおよび損失、ならびに生物学的構造による光の吸収によっても影響を受けることになる。これらの制限は主に印加される光の波長の関数であるため、NIR光を利用すると制限が緩和される。したがって、アブレーション光源354をNIR光源として構成することにより、UV適用(UV MALDI適用など)と比較して、解像度およびサンプル侵入深度がより良好になる。
【0071】
さらに、局在化によって約20nmよりも優れた超解像度を達成するために、典型的な固定された生物学的サンプルの厚さの約1μmの侵入深度に制限される。標準の可視(VIS)範囲の解像度または約250nmの場合、侵入深度は、最大で約10~20μmである。NIRの場合、侵入深度は、2光子励起の場合にはるかに深くなる(最大約100μmなど)。したがって、NIRを使用すると、標的サンプル組織へのより深い侵入が有益に可能になり、比較的複雑な組織(例えば、脳)でもアブレーションが可能になる。強化された深度の侵入および解像度はまた、レーザ操作後に残りの材料が生存する可能性を高め、および/または構造情報を保持する。さらに、より厚いサンプルの画像化はVIS範囲では実行できないが、低NIRパルスエネルギーを使用した2光子画像化は、より深い深度での画像化を有益に可能にし、したがってより良い体積情報を可能にする。
【0072】
例示的な光学システム312が本明細書に示されているが、他のダイクロイック、フィルタ、ミラー、光源、カメラ、および/または当技術分野で知られている他の光学部品を含む、画像化および/またはアブレーションのための他の光学部品が、他の画像化モダリティを提供するために、追加的または代替的に含まれ得ることが理解されよう。光学アセンブリ312はまた、例えば、明視野画像化および/またはセクショニングを可能にするように構成され得る(例えば、共焦点画像化コンポーネントを使用して)。本明細書に記載の光学アセンブリは、画像化およびアブレーションのそれぞれに独立した焦点制御を提供するように構成され得る。すなわち、1つ以上の補償光学アセンブリを含めて、例えば、所与の画像化視野内のアブレーションスポットサイズの動的制御を提供し得る。
【0073】
関心領域のアブレーションに使用される場合、レーザは、所与の1μm×1μm×2μmのボクセルに対して約1nJ~約20μJのパルスエネルギーを送達するように構成され得る。より大きな関心領域は、より多くのエネルギーを吸収することができ、したがって、より大きな絶対プルエネルギーに耐えることができる。言い換えれば、レーザは、1μm3当たり約0.5nJ~約10μJのパルスエネルギーを送達するように構成され得る。
【0074】
1μm
3当たり10μJの上限は、断片化とイオン化が過度に発生すると予想される前の上限を表し、したがって、アブレーションされた関心領域の保存が望まれる上限を表す。しかしながら、以下でより詳細に説明するように、いくつかの実装形態では、1μm
3当たり10μJの上限を超える1つ以上のパルスを送達することによって、標的領域を断片化/イオン化することが望ましい場合がある。簡単に言えば、例えば、細胞内の関心領域の上方にある媒体の体積にレーザを集束させ、次に細胞内の関心領域をアブレーションする前に、上にある媒体を吹き飛ばすことが望ましい場合がある。このプロセスにより、アブレーションされた関心領域がサンプルステージからレシーバに移動するためのクリアランスが大きくなる可能性がある(
図11に対応する関連する考察を参照)。
【0075】
上記のように、本明細書に記載の画像化/アブレーションデバイスは、比較的小さな関心領域を標的とすることが有益に可能である。光学アセンブリは、例えば、約50μm以下、または約30μm以下、または約10μm以下、または約5μm以下、または約3μm以下、約1.5μm以下、または約1μm以下の標的領域のスポットサイズ直径を提供するように構成され得る。体積的に言えば、光学アセンブリは、約500μm3以下、約250μm3以下、約100μm3以下、約50μm3以下、約25μm3以下、約10μm3以下、約5μm3以下、または約2μm3以下の標的領域をアブレーションするように構成され得る。
【0076】
いくつかの実装形態では、光学アセンブリは、細胞全体または複数の細胞の集合をアブレーションするように構成され得る。他の実装形態では、光学アセンブリは、特定の細胞小器官もしくは他の細胞内領域、または特定の細胞外領域などの細胞内サイズの標的領域をアブレーションするように構成され得る。
【0077】
アブレーションされたサンプルレシーバ
図5は、マイクロウェルプレート、マイクロウェルチップ、ナノ液滴アレイ、または個々のアブレーションされたサブサンプルを受容し、異なる空間的に分離された区画に別々のサブサンプルを維持することができる他の構造などの空間的分化した媒体を含むレシーバ416の例を示している。レシーバ416は、少なくとも2つの軸方向において、より好ましくは、3つの軸方向すべてに選択的に移動することができるレシーバステージ417に取り付けられ得る。
【0078】
上記の他の実施形態に関連して説明したように、光学アセンブリ412は、サンプルステージ414上に載置されたサンプル10の画像化および/またはアブレーションを提供するように構成されている。アブレーション中、結果として生じるアブレーションプルーム20は、レシーバ416に向かって上方に延在し、そこで収集され、他のアブレーションされたサブサンプルから空間的に分化される。所望の数のサブサンプルが収集されると、またはレシーバ416がいっぱいになると、それはレシーバステージ417から取り出され、収集されたサブサンプルのさらなる処理および/または分析のために分析器に渡され得る。
【0079】
図6Aは、レシーバ516がナノ液滴アレイとして構成される特定の実施形態を示している。他の実施形態と同様に、光学アセンブリ512は、サンプルステージ514上に載置されたサンプル10の画像化および/またはアブレーションを提供するように構成されている。アブレーション中、結果として生じるアブレーションプルーム20は、レシーバ516に向かって上方に延在し、そこで、対応するナノ液滴519または一連のそのようなナノ液滴519に収集され得る。したがって、別個のナノ液滴519は、別個のアブレーションイベントから異なるアブレーションサブサンプルを空間的に分離するように機能する別個の区画を形成する。上記のように、所望の数のサブサンプルが収集されると、またはレシーバ516がいっぱいになると、それはレシーバステージから取り出され、収集されたサブサンプルのさらなる処理および/または分析のために分析器に渡され得る。
【0080】
図6Bは、レシーバ516に含まれるようなナノ液滴アレイを形成するための例示的なプロセスを示している。音響変換器562を利用して、音響エネルギーを適用して、バーコードアレイ560内のバーコードソリューションを分離し得る。得られたナノ液滴は、バーコードアレイ560から上にあるスライド515に送られる。ナノ液滴519は、異なるバーコードを含み得、したがって、後続のPCRまたは捕捉された核酸の配列決定など、ナノ液滴によって捕捉されたアブレーションされたサブサンプルの後続の分析の準備ができている。バーコードは、スライド515上のナノ液滴519の空間的位置に相関され得る。
【0081】
図7は、エレクトロスプレープローブ670を含むレシーバ616の実施形態を示している。このタイプのレシーバは、質量分析による分析のために、アブレーションされたサブサンプルを含有するイオン化液滴を生成するのに特に有用であり得る。エレクトロスプレープローブ670は、毛細管674を通過する。プローブ670の露出した遠位部分676は、毛細管674の遠位端を超えて延在する。溶媒672は、毛細管674内に配置され、流出して、露出した遠位部分676の表面を濡らす。毛細管674は、溶媒672が、露出した遠位部分676の外面に沿ってエレクトロスプレープローブ670の先端に向かって流れるように、溶媒672を適用するように構成されている。エレクトロスプレープローブ670の先端は、エレクトロスプレー液滴を形成し、それらを質量分析計の入口678へと方向付ける。溶媒は、例えば、水および/またはメタノール、アセトニトリル、酢酸などの1つ以上の揮発性有機化合物を含み得る。
【0082】
示されるように、露出された遠位部分676の湿潤された表面は、光学アセンブリ612を使用するサンプル10のアブレーション中に、アブレーションされたサブサンプルが湿潤された表面上に収集されるように、アブレーションプルーム20の上に位置付けられ得る。サンプルステージ614およびレシーバステージ617の位置付けシステムは、アブレーションプルーム20を露出した遠位部分676と位置合わせするように調整し得る。溶媒672の流量は、露出した遠位部分676の湿潤された表面上で流れる溶媒672によって捕捉された連続するサブサンプルの効果的な空間的分離を確実にするために、アブレーション頻度に従って制御され得る。
【0083】
アブレーションされた材料の比較的小さな部分をイオン化する従来のLAESIシステムとは対照的に、図示の構成は、約20%以上、約35%以上、約50%以上、約65%以上、約80%以上、約90%以上、約95%以上、または約99%以上の効率でアブレーションされた材料をイオン化できることが見出された。
【0084】
アブレーションされたサンプル分析器
上記のように、下流分析器を利用して、レシーバによって収集されたアブレーションされたサブサンプルをさらに処理および/または分析し得る。所望の処理および/または分析のタイプに応じて、下流分析器は、例えば、1つ以上のPCR機、配列決定機、光学分光計、核磁気共鳴(NMR)分光計、質量分析計、クロマトグラフィーデバイス、遠心分離機、電気泳動デバイス、放射性標識および放射性標識検出デバイス、他の分析生化学デバイス、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0085】
質量分析計が含まれる場合、分析器は、例えば、飛行時間(TOF)質量分析計、Orbitrap質量分析計、線形イオントラップ質量分析計、四重極質量分析計、四重極イオントラップ質量分析計、磁気セクター質量分析計、またはフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FTICR)質量分析計のうちの1つ以上を含み得る。
【0086】
配列決定が利用される場合、配列決定機は、ハイスループットシーケンシングとも称される次世代シーケンシング(NGS)を実行するように構成され得る。好適な配列決定モダリティには、454パイロシーケンシング、イオントレントシーケンシング、ナノポアシーケンシング、合成シーケンシング(すなわち、イルミナシーケンシング)、および/または当技術分野で知られている、または開発される他の配列決定方法が含まれる。より伝統的なチェーンターミネーション法(例えば、Sangerシーケンシング)も利用し得る。
【0087】
図8は、レシーバ716の空間的に分離された区画(この例ではナノ液滴719)に1つ以上の試薬を加え得る下流プロセスの一例を示している。1つ以上の試薬を加えて、例えば、細胞溶解、タンパク質抽出、還元、アルキル化、消化、および/または収集されたサブサンプルを調製するための他の所望の反応を実行し得る。
【0088】
図8は、サブサンプルを追加的または代替的に液体クロマトグラフィー質量分析(LC MS)システムに移送できることも示している。例えば、サブサンプルは、イオン化されたサンプルを質量分析計730に渡すためにエレクトロスプレープローブ770に結合された液体クロマトグラフィーカラム780に渡され得る。
【0089】
動作モード
本明細書に記載のデバイスおよびシステムは、様々な画像化および/またはアブレーションプロセスを実行するように構成され得る。
図9は、レシーバ上のアブレーションされたサブサンプルの位置を、アブレーションイベントに、およびサンプルスライド上の標的関心領域に、相関させるための例示的な方法800を示している。上記のように、サンプルスライド上の関心領域は、上流の選別/フローデータとさらに相関され得る(例えば、
図3および関連する説明を参照)。方法800は、システム100に関連して上述したコントローラ140などの、システムの特定の構成要素に通信可能に結合されたコントローラを使用して実行され得る。
【0090】
図示の方法では、コントローラは、最初に、サンプルの収集された画像データを使用して、関心領域の空間的位置を記録し得る(ステップ810)。画像化は、例えば、明視野画像化、セクショニング、落射蛍光画像化、および/または2光子画像化のうちの1つ以上を使用して行い得る。さらに、画像化は、標的関心領域をアブレーションするためにアブレーションレーザパルスが続いて通過するのと同じ対物レンズを使用して成し遂げられ得る。
【0091】
次に、コントローラは、関心領域の空間的位置を、関心領域の少なくとも一部分のアブレーションをもたらすアブレーションイベントと関連付け得、アブレーションイベントは、関心領域からのアブレーションされた材料のアブレーションされたサブサンプルをレシーバに運ぶアブレーションプルームを形成する(ステップ820)。したがって、このステップは、アブレーションイベントの時間的情報を、サンプルスライド上の関心領域の空間的位置に関連付け得る。
【0092】
次に、コントローラは、レシーバ上のアブレーションされたサブサンプルの位置を記録し(ステップ830)、次いで、アブレーションイベントをレシーバ上のアブレーションされたサブサンプルの位置に関連付け、それによってレシーバ上のアブレーションされたサブサンプルの位置が、アブレーションイベントと関心領域の空間的位置との両方に関連付けられる(ステップ840)。したがって、これらのステップは、レシーバ上のアブレーションされたサブサンプルの空間的位置を、アブレーションイベントの対応する時間的情報と、およびサンプルスライド上の関心領域の空間的位置に、関連付けることを可能にし得る。したがって、一連の相関により、サブサンプルデータにつながる対応する時間的イベントおよび空間的位置へのサブサンプルデータの後続の追跡を可能にする。
【0093】
アブレーション中、レーザパルス周波数、レーザパルスエネルギーレベル、およびレーザパルス深度を独立して変化させて、所望の動作能力を提供し得る。標準的な実装形態では、例えば、単一のパルスは固定焦点位置に方向付けられ得る。パルスエネルギーは、アブレーションを最適化し、プルーム形成を最適化し、および/または移送されたサブサンプルの劣化を最小化するように選択し得る。
【0094】
他の実装形態では、印加されるレーザパルスの深度および/またはパルスエネルギーレベルを動的に変化させて、所望の効果を提供し得る。
図10は、長方形のxy領域が走査およびアブレーションされる例示的な動作モードをグラフで示している。レーザパルス周波数は、滞留時間とパルス間のオーバーラップのバランスをとるように調整され得る。このタイプの実装形態は、空間的に調整された方法で、構造全体(例えば、細胞内の様々な細胞小器官)、またはその所望の部分をアブレーションするために利用され得る。なお、グラフの軸に沿った単位は、説明のみを目的としており、必ずしも明確な縮尺であるとは限らない。
【0095】
図11は、標的関心領域を覆う組織、媒体、またはその他の妨害物質の層がある場合に利用し得る動作モードの別の例をグラフで示している。「zドライブ」線は、軸方向/垂直方向のチャネルに沿って(すなわち、x軸とy軸によって画定されるサンプルステージの平面に垂直にあるz軸に沿って)印加されたレーザパルスの動きを示す。「焦点位置」の線は、標的の関心ゾーンが存在する深度を示している。示されているように、上層は、最初に、より高いエネルギーのレーザパルスを受け、それは、上にある材料を除去し、軸方向のチャネルを開くためによりよく調整され得る。動的に移動するレーザパルスが関心領域の深度に達すると、レーザパルスエネルギーレベルは、関心領域のアブレーションにより適したレベルまで減少され得る。次に、アブレーションされた材料は、形成されたチャネルが関心領域上で崩壊する前に、サンプルからレシーバに向かって移動し得る。なお、グラフの軸に沿った単位は、説明のみを目的としており、必ずしも明確な縮尺であるとは限らない。
【0096】
図11に示すような動作モードでは、上面から測定した場合に、サンプル内のやや深い位置にある標的領域のアブレーションが有利に可能になる例えば、最初に上にある材料の一部を除去せずに、残りの上にある材料を介して結果として生じるプルームをレシーバに上向きに輸送する必要があるため、状況によってはアブレーションがサンプルの上部2~10μmに制限され得る。
図11のように動作モードを動的に構成することにより、上にある組織の量を除去または減らすことができるため、より深い関心領域からのアブレーションプルームを効果的にレシーバに輸送することが可能になる。
【0097】
本明細書に記載の画像化およびアブレーションデバイスはまた、空間分解能値(すなわち、依然として区別することができる標本上の2点間の最短距離)に関連するサンプルの上面からの深度でアブレーションレーザの焦点を合わせるように動作され得る。すなわち、必要な空間分解能値が比較的小さい場合、アブレーションレーザが集束される最大深度も小さくなり、必要なおよび/または利用される空間分解能値が大きい場合、アブレーションレーザが集束される最大深度も大きくなる。このアプローチでは、関心領域を効果的に標的にするために必要な空間分解能値が十分に大きい場合に焦点深度を大きくすることが可能になるが、必要な空間分解能値が小さい場合は焦点深度が制限されるため、結果として生じるアブレーションプルームがサンプルからレシーバにうまく輸送する可能性が高くなる。
【0098】
例えば、アブレーションレーザは、サンプルの上面から測定された、空間分解能のR倍以下である、深度に集束され得る。ここで、Rは、約10、15、20、または25の値などの約5~約30の値である。しかしながら、Rの値によって決定される深度よりも深い深度は、
図11に示される動作のように動的レーザ動作が利用される場合など、少なくともいくつかの用途でアブレーションされ得ることが理解されよう。
【0099】
サンプルの底面とレーザ焦点の点との間に配置されたサンプルの少なくとも一部分は、アブレーションされないままであることがある。したがって、特定の深度での特定のサブサンプル体積は、結果として生じるアブレーションプルームをレシーバにうまく輸送することを可能にする方法で、アブレーションの標的となり得る。
【0100】
レーザ焦点検出ユニット
図12は、レーザ焦点検出ユニット(FDU)1000を含む例示的な画像化/アブレーションデバイスを示している。FDUは、
図2~
図11を参照して上で言及した画像化/アブレーションデバイスのいずれかで利用することができる。最適な対物レンズ1020(デバイスは、複数の異なる対物レンズ、例えば、最大5つの対物レンズを装備することができる)が、サンプルステージ1001の透明窓を通してサンプル1002に光を集束させる。システムの光軸は、矢印1008で示されている。サンプルステージ1001は、ガラスもしくはプラスチックの窓などの透明窓、例えば、透明なスライドもしくはカバースリップ、または他の透明なガラスもしくはプラスチックの支持体を備え、その上にサンプルが取り付けられる。透明窓は、顕微鏡または光学アセンブリの雰囲気からサンプルを保護し得る。サンプル1002は、1つ以上の細胞のサンプルとすることができる。サンプル1002は、水1002bの最上層を有し、すなわち、細胞を覆っている。空気などの雰囲気1007がサンプルを取り囲んでいる。雰囲気は、生細胞実験のための湿度/CO
2フロー制御を含み得る。
【0101】
矢印Cは、入射する光ビームの経路または直径を表し、これは、落射照明ビーム、アブレーション用のレーザパルス、または蛍光発光用の励起光であり得る。アブレーション用のレーザ光などの光ビームCは、サンプル内の焦点1003で対物レンズによって集束される。直径1009を有する空洞は、最初に、アブレーションレーザ光のパルスによって焦点1003でサンプル内に生成される。続いて、アブレーションされたサンプル材料を含むアブレーションプルーム1004が生成され、これは、サンプルから、その表面で雰囲気とともに、典型的にはcos2分布で膨張する。アブレーションプルーム1004は、例えば、レシーバプレート、エレクトロスプレープローブ、または質量分析計への入口など、サンプルの上に位置付けられたレシーバ1005に向かって膨張する。領域1006は、レシーバ1005上のプルーム1004の投影を表す。
【0102】
(パルス)透過照明スナップショット画像化を可能にする、フラッシュランプなどの光源1011が、サンプルの上に位置付けられている。レンズ1014は、光源からの光をサンプル1002にコリメートするために提供される。
【0103】
いくつかの光路が示されている。アブレーションレーザからのレーザ光は、波面AとエネルギーPのパルス波形で示されており、経路Cをたどる。経路Cは、通常、アブレーションレーザからの光および蛍光発光用の励起光を含む、下からサンプルに向かう光の落射照明ビーム経路を表している。焦点検出ユニット(FDU)の参照レーザビームは、ビーム経路Bで示されている。経路Dは、後方反射光および蛍光発光の光路を示している。
図12に示されていないカメラ(CCDなど)または分光計は、経路Dからの光を受け取り、時間分解および/またはスペクトル分解が可能な情報を生成する。
【0104】
動作中のFDUの参照レーザからのレーザ光は、サンプルの表面1010から反射されて戻る。サンプル1002を透過したFDUの参照レーザからの透過レーザ光B//が示されている。高速光検出器1012は、透過されたレーザ光B//を検出するように位置付けられている。
【0105】
図12に概略的に示されているFDUを含むアブレーションシステムは、
図13に示されている例示的な光学システムを使用して実施され得る。
図13に示されている光学システムは、
図4に概略的に示されている光学システムと同じコンポーネントの多くを備え、これらの同じコンポーネントは同じ参照番号を使用している。
図13に示されている光学システムは、少なくとも1つの参照レーザ2002を含むFDUをさらに備える。
図12に示されているシステムでは、2つの参照レーザが利用される。概して、矢印Bで示される参照レーザビームは、FDUダイクロイックビームスプリッタ/ミラー2004によって反射されて、対物レンズ318に入る。FDUの参照レーザは、好ましくは、近赤外線または「NIR」レーザである。示されている実施形態では、参照レーザビームは、905nmのレーザ光からなる。参照レーザ光は、対物レンズの後側焦点面(BFP)に集束され、サンプル空間にコリメートされた光を形成する。ダイクロイック2004は、905nmのレーザ光のみを反射し、他の波長(例えば、UV、可視光、他のNIRなど)はダイクロイックを通過する。これにより、参照レーザ波長は、ダイクロイック2004とともに、落射顕微鏡のセットアップがFDUから独立することを可能にする。生成された空洞またはアブレーションプルームからの反射を含み得る、サンプルステージおよび/またはサンプルから逆反射された反射参照レーザビームは、光検出器2006によって検出される。FDU参照レーザおよび検出の詳細については、以下の
図14と
図15を参照して説明される。
図13の光学システムは、コントローラ2050の制御下にあり、コントローラ2050は、上記のシステム100について説明したコントローラ140のように、1つ以上のプロセッサ、メモリ(例えば、1つ以上のハードウェアストレージデバイス上)、およびコントローラと、コントローラが結合されたシステムの様々な構成要素と、の間のデータの送受信を制御するための通信モジュールと、を備える。コントローラとの間のデータの送受信は矢印で示されている。コントローラはまた、ユーザからの入力を受信するため、および/またはユーザに情報を表示するための当技術分野で知られている入力/出力(I/O)ハードウェアを含み得る。
【0106】
図12を参照すると、アブレーションプロセス中にモニタリングされるべきシステム内のいくつかの距離が示されている。ΔZ
1は、対物レンズ1020からサンプルステージ1001(すなわち、その透明窓)までの距離であり、ΔZ
2は、対物レンズ1020からサンプル/雰囲気界面でのサンプルの反射面1010までの距離であり、ΔZ
3は、サンプルステージ1001からレシーバ1005までの距離である。
【0107】
図12を参照すると、F
1、F
2、F
3は、FDUの参照レーザビームを示している。FDUの第1の参照レーザ(レーザ#1)からの第1の参照レーザビームF
1は、光軸からオフセットされた光学系の対物レンズに方向付けられる。対物レンズ1020は、第1の参照レーザビームF
1を、対物レンズに対して角度αでサンプルステージに向けて集束させる。角度αは、使用する対物レンズによって異なる。第1の参照レーザビームF
1は、対物レンズに焦点を合わせて、角度αで物体空間に平行光を形成する。角度αは、サンプルステージ1001に対する対物レンズ1020の相対距離ΔZ
1、およびサンプル表面1010に対する対物レンズ1020の相対距離ΔZ
2を測定および/または制御するための三角測量に使用することができる。
【0108】
第1の参照レーザビームF
1の一部は、サンプルステージから(すなわち、サンプルステージの透明窓から)反射され、第1の反射された参照レーザビームF’
2をもたらす。反射された参照レーザビームF’
2は、半径方向距離R
1を有する入射する第1の参照レーザビームF
1に対して、対物レンズ内で半径方向に変位する。
図14および
図15を参照してより詳細に示されるように、第1の参照レーザビームF
1および反射された参照レーザビームF’
2のビーム位置、したがってそれらの間の距離R
1は、光検出器2006のアレイ検出器によって検出される。参照ビーム間の距離R
1は、距離ΔZ
1の関数であり、したがって、サンプルステージ1001までの対物レンズ1020の距離を測定するために使用される。
【0109】
第1の参照レーザビームF
1の一部はまた、雰囲気を伴うサンプル表面から反射され、これは、細胞のサンプルの上方の水位であり得、第2のまたはさらなる反射された参照レーザビームF
3をもたらす。反射された参照レーザビームF
3は、半径方向距離R
2を有する入射する第1の参照レーザビームF
1に対して、対物レンズ内で半径方向に変位する。
図14および
図15を参照してより詳細に示されるように、第1の参照レーザビームF
1および反射された参照レーザビームF
3のビーム位置、したがってそれらの間の距離R
2は、光検出器2006のアレイ検出器によって検出される。参照ビーム間の距離R
2は、距離ΔZ
2の関数であり、したがって、雰囲気を伴うサンプル表面1010までの対物レンズ1020の距離を測定するために使用される。
【0110】
FDUの第2の参照レーザ(レーザ#2)からの第2の参照レーザビームF
2は、光軸1008に沿って、すなわち、対物レンズに垂直に、対物レンズの内外に方向付けられる。第2の参照レーザビームF
2は、干渉計の一部を形成するビームスプリッタを介して対物レンズに方向付けられる(
図14、
図15、および
図16を参照して以下で説明する)。FDUの第1および第2の参照レーザは、同時に(時間遅延なしで)または順次に(すなわち、時間遅延を伴って)印加され得る。FDUの第1および第2の参照レーザは、アブレーションレーザパルスのタイミングに同時にまたは順次に、好ましくはアブレーションレーザパルスと同時に印加され得る。言い換えれば、ΔZ
1および/またはΔZ
2および/またはΔZ
3の測定は、アブレーションレーザパルスのタイミングと同時にまたは順次に(好ましくは同時に)行うことができる。ΔZ
1および/またはΔZ
2および/またはΔZ
3の測定は、好ましくは、アブレーションレーザパルスの前に開始することができ、好ましくは同時に継続することができる。ΔZ
1および/またはΔZ
2および/またはΔZ
3の測定は、アブレーションレーザパルスを含む期間にわたって実質的に連続的に実行することができる。
【0111】
図15は、アレイ検出器2006で受光されたときの参照レーザビームF
2、F
2’、およびF
3の位置をAに示している。簡単にするために、参照レーザビームF
1は示されていない。アレイ検出器上のビームF
1に対する参照ビームF
2’とF
3の位置は、対物レンズに対するサンプルステージおよびサンプル表面のそれぞれのz軸位置の測定値である。参照ビームは、
図14に示すように、ビームスプリッタ2010を介してアレイ検出器2006に到達する。ビームスプリッタ2010は、50:50のビームスプリッタである。他の実施形態では、異なる比率、例えば10:90(透過:反射)で光を分割するビームスプリッタを使用し得る。
図14では、簡単にするために第2の参照ビームF
2のみが示されている。
【0112】
光検出器2006のアレイ検出器は、リアルタイムのピーク検出を有する、すなわち、少なくともkHzのフレームレート(>1kHz)で動作する光検出器である。アレイ検出器の時間分解能は、好ましくは、1ms以上または1μs以上、例えば、1ms~1ps、または1ms~1ns、または1ms~1μs、または1μs~1nsの範囲である。一実施形態では、FDUの光検出器は、説明されているようなアレイ検出器と、1つ以上の単一要素の光検出器と、を備える。単一要素の光検出器は、可能な限り最高の時間分解能、例えば1ns以上または1ps以上を達成するために使用される。一実施形態では、中心光軸に沿って対物レンズに出入りする少なくともビームF
2は、アレイ検出器よりも高い時間分解能、例えば、少なくとも10ns、または少なくとも1ns、または少なくとも1psの時間分解能、例えば、1ns~1psの分解能を有する、(単一要素の)検出器、またはアレイのピクセルによって検出される。
図15は、ビームスプリッタ2010を通過し、次に反射されて、単一要素の高速光検出器Zによって検出されるビームF
2を概略的にBに示している。反射されたF
2ビームのこの検出から生じる干渉パターン2011も示されている。これにより、サンプル表面、例えば、水位のリアルタイム検出を可能にする。
【0113】
図14に概略的に示されるように、検出器2006は、干渉計2014の一部を形成し、これはまた、FDU(簡単にするためにレーザ#2のみを示している)の第1の参照レーザ(#1)3002および第2の参照レーザ(#2)3004の形態の光源とともに、ビームスプリッタ2010およびミラー2016を含む。FDUのさらなる図は、
図16に概略的に示されており、この図でも、アレイ検出器2006、ビームスプリッタ2010、ダイクロイック2004が、第1の参照レーザ(#1)3002および第2の参照レーザ(#2)3004とともに示されている。
【0114】
説明したように、参照レーザ#1は、システム内の距離ΔZ
1およびΔZ
2を確認するための三角測量測定に使用される。
図17に、サンプルステージ(例えば、スライドまたはカバースリップ)の表面ΔZ
1(下面)およびΔZ
1’(ステージ上面)から反射されたビームによるアレイ検出器のピクセル強度のデータを示している。典型的には、ΔZ
1測定は、アブレーションレーザのレーザ焦点の深度の制御を提供するサンプルステージに対して対物レンズを位置付けるzドライブメカニズムの調整または制御に使用される。ΔZ
1,1’のピクセル距離は、使用する対物レンズの倍率とNAの関数である。アレイ検出器の検出ピクセルは、
図18に示すように、既知の対物レンズ位置(ΔZ
1値ならびにΔZ
2値)に対してキャリブレーションすることができる。キャリブレーションは、アレイ検出器のピクセルとΔZ
1値との間に線形相関を提供する。
【0115】
説明したように、参照レーザ#1は、システム内の距離ΔZ
2を確認するための三角測量測定にも使用され、例えば、使用中の対物レンズのタイプに応じて、サブマイクロメートルの精度で使用される。
図19に、異なる水位(すなわち、サンプル高さ)a、b、c、dのサンプルステージ(ΔZ
1)およびサンプル表面(ΔZ
2)からの反射されたビームによるアレイ検出器のピクセル強度のデータを示す。
図20には、同じデータが示されているが、サンプルがサンプルステージで乾燥するときの検出器からのデータが追加されている。ΔZ
2値はまた、アブレーションレーザのレーザ焦点の深度の制御を提供するサンプル表面に対して対物レンズを位置付けるzドライブメカニズムの調整または制御に使用される。
【0116】
FDUの参照レーザ#2(ビームF
2)は、アブレーション空洞とプルームの伝播、すなわち、z軸方向の干渉測定に使用される。
図21は、光検出器でのレーザ#2からの干渉信号(I)の時間(t)依存性を示しており、これは、空洞の形成とプルーム-サンプルの界面からの反射に由来する。干渉信号は、空洞およびプルームの形成に関する正確な位置および時間分解情報を提供する。信号の強め合うおよび弱め合う極値は、関数X(t,n.λ/2).ΔX(t)/Δt)から軌道座標を定義し、これにより、レシーバに向かう空洞の速度を正確にモニタリングすることが可能になる。極値は、n*λ/2(nは整数)で発生し、プルームの移動方向がわかっており、λ/2ごとにデータポイントがあり、時間tで極値Xを検出するため、ΔX(t)/Δtは速度となる。
【0117】
記載された実施形態から、FDUは、対物レンズの光軸からオフセットされた軸に沿って第1のレーザ光を対物レンズに方向付けるように構成された少なくとも第1の参照レーザを含み、少なくとも1つの光検出器は、対物レンズの光軸からオフセットされた軸に沿って対物レンズを通して反射されて戻った第1のレーザ光を検出するように構成されている、ということがわかる。さらに、記載された実施形態から、FDUは、対物レンズの光軸に沿って第2のレーザ光を対物レンズに方向付けるように構成された少なくとも第2の参照レーザを含み、少なくとも1つの光検出器は、対物レンズの光軸に沿って対物レンズを通して反射されて戻った第2のレーザ光を検出するように構成されている、ということがわかる。さらに、一実施形態では、対物レンズの光軸に沿って反射されて戻った第2のレーザ光を検出するように構成された少なくとも1つの光検出器は、干渉計の一部を形成する。一実施形態では、対物レンズの光軸に沿って反射されて戻った第2のレーザ光は、アブレーションレーザからのレーザ光によってサンプルに形成された空洞から干渉信号を同時に提供する。一実施形態では、対物レンズの光軸に沿って反射されて戻った第2のレーザ光は、アブレーションレーザからのレーザ光によってサンプルに形成された空洞から干渉信号を同時に提供する。
【0118】
再び
図12を参照すると、光B’’は、FDUの透過参照レーザビームである。対物レンズのNAに対応する角度αで、サンプルの上方に位置付けられた高速光検出器1012は、サンプルの表面を通過する空洞をモニタリングする。空洞が表面に伝播すると、空洞は透過した参照レーザビームB’’を乱し、したがって光検出器1012上の信号も変化し、それによって空洞の形成およびサンプル表面への空洞の移動のダイナミクスに関する情報を提供する。アブレーション空洞およびプルーム伝播のこのモニタリングは、ΔZ
2をモニタリングするために参照レーザ#2を使用することに追加するか、またはその代替になり得る。
【0119】
アブレーション空洞およびプルーム形成のダイナミクスの検出は、高速光検出器(サブナノ秒(ns)の分解能)を介して実行され、サンプルの表面反射特性、すなわち、時間の関数としてのサンプルの高さH(t)をモニタリングする。検出器1012を使用する検出信号D(H
t)のモニタリングは、時間t’において、空洞がサンプル/雰囲気の表面を通過するときを示す。時間t’からt’’まで、プルームは表面を通過している。空洞/プルームの軸方向の長さは、Δt=t’’-t’および音速によって定義され、これは、この時点でのサンプル媒体と雰囲気との両方の影響を受け、推定することができる。
図22は、アブレーションモニタリング用の光学系の動作を概略的に示している。サンプル表面の高さHは、t
1<t
2<t
3<t
4からt’’でのプルーム形成までの経時的な空洞の伝播を伴って発達することが示されている。上述したように、FDUの参照レーザビームF
1、F
2、およびF
3を使用して空洞の伝播とプルームの形成をモニタリングすることが示されている。
【0120】
前述のことから、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの光検出器は、サンプルステージおよび/またはサンプルの少なくとも1つの表面から反射された、および/またはそこを透過した、少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された高速光検出器を含む、ということがわかる。本明細書の高速光検出器は、好ましくは、サブnsの時間分解能、すなわち、少なくとも1ns、例えば、1ns~1psの分解能を有する。さらに、いくつかの実施形態では、少なくとも1つの高速光検出器は、異なる屈折率を有するサンプルの(軸方向)界面から発生した、例えばサンプルステージの表面から反射され、かつ対物レンズを通して方向付けられて戻った、少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された光検出器を含む。少なくとも1つの光検出器は、レシーバに対向する、雰囲気を伴うサンプルの表面から反射され、かつ対物レンズを通して方向付けられて戻った、少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された光検出器を含むことができる。光検出器は、ピーク検出のためのアレイ検出器を含むことができる。一実施形態では、少なくとも1つの光検出器は、サンプルの第1の側(上側)に配置されており、かつサンプルを透過した少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出するように構成された光検出器を含む。少なくとも1つの高速光検出器は、好ましくは、サブナノ秒の時間分解能で少なくとも1つの検出信号を分解するように構成されている。少なくとも1つの高速光検出器は、好ましくは、少なくとも1つのフォトダイオードである。
【0121】
特にフラッシュランプとして構成された、光源1011からのサンプルのパルス透過照明、およびカメラによる透過照明の検出(例えば、
図4および
図13のCCD検出器352)は、空洞の形成、表面媒体への空洞の移動、およびプルームの形成のダイナミクスのスナップショット画像化を可能にする。透過照明画像はまた、空洞サイズの決定を可能にする。
【0122】
落射蛍光などの蛍光発光、および/またはラマン発光も、画像化/アブレーションデバイスを使用して測定することができる。蛍光励起源(例えば、光源356、
図4または
図13)からの光は、例えば、アブレーションレーザ後の遅延の有無にかかわらず、印加され得る。遅延t=0(すなわち、アブレーションレーザに関して遅延がない)では、例えば、https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6788598(Lee et al,Simultaneous label-free autofluorescence and multi-harmonic imaging reveals in vivo structural and metabolic changes in murine skin,Biomed Opt Express.2019,10(10),5431-5444、https://www.nature.com/articles/s41467-018-04470-8(You et al,Intravital imaging by simultaneous label-free autofluorescence-multiharmonic microscopy,Nature Communications 9,Article number:2125(2018)、およびhttps://aip.scitation.org/doi/full/10.1063/1.5098349(S.A.Boppart et al,Simultaneous label-free autofluorescence-multiharmonic microscopy他に記載されているように、蛍光のためのアブレーションレーザの非線形効果を使用することが可能である。ラマン発光の場合、別の励起レーザを採用することができる(図示せず)。発光は、スペクトルおよび/または時間分解することができる。そのような発光は、アブレーションレーザの焦点からの信号として、例えば、スナップショット画像から得ることができる。透過照明を検出するために使用されるカメラなどの同じ検出器を使用して、蛍光発光画像を検出することができる。しかしながら、好ましくは、蛍光発光またはラマン発光(少なくともラマン)は、分光計を備えた高速光検出器(例えば、アレイ光検出器)に導かれて、サンプルのアブレーション体積の蛍光またはラマン発光の時間分解された、およびスペクトル分解された、検出を可能にする。そのようなシステムを使用して、サンプルの空洞の形成は、アブレーションレーザパルス後の時間tでフラッシュライト1011を使用して透過照明で画像化され得、蛍光は、後の時間t’で材料の励起後に画像化され得る。したがって、時間分解能は、透過照明および蛍光の異なる光源を使用することからも取得することもできる。
図22を参照すると、レーザ焦点1009からのエピ信号(落射蛍光および/またはラマン信号)は、スプリッタによって、分光計と組み合わされた高速光検出器(例えば、アレイ光検出器)に方向付けられて、蛍光スペクトルまたはラマンスペクトル、例えば、I(λ)の時間分解およびスペクトル分解された検出を可能にする。
【0123】
検出された落射蛍光信号または画像は、好ましくは時間分解され、サンプル内、すなわち対物レンズの焦点位置における空洞特性および分子断片化に関する情報を提供するために使用され得る。蛍光枯渇の検出は、例えば、アブレーションレーザパルスエネルギーが高すぎる場合、分子の断片化が起こっていることを示し得る。次いで、一実施形態では、次のアブレーションレーザパルスがより低いエネルギーで印加される。定量的蛍光強度分析により、分析器(例えば、質量分析計)へのアブレーションされた材料の移動効率を推定することが可能である。一方、ラマン信号の振動/回転バンドの分析は、分析器(例えば、質量分析計)に送信される分子の予想される質量に関する情報を明らかにし、振動/回転バンドの強度分布は、分子の熱状態(内部エネルギー)を示す。ラマンピーク強度は、質量分析計によって検出された分子のピーク強度と相関させることができる。
【0124】
図23は、アブレーションパラメータであるアブレーションレーザパルスエネルギーE
0のキャリブレーションを実行する方法を示している。パルスエネルギーE
0および対物レンズからのサンプルの高さΔZ
2は、空洞がサンプル/雰囲気の界面を通過してアブレーションプルームを形成できるかどうかを決定する。閾値のパルスエネルギーE
maxで、アブレーションされた分子は、変性、すなわち、断片化し、これは、蛍光の枯渇として検出される。したがって、実効パルスエネルギーE
0>E
maxの場合、パルスエネルギーEのΔZ2を下げる必要がある。Δz2の値は、蒸発により低下する可能性がある。ただし、これには時間がかかる。任意選択的に、または追加的に、プルーム濃度のcos2発散のために、Δz3の低下を使用し得る。検出器1012上の信号Dの変化は、関数H(t)である。一実施形態では、グラフ(i)に示されるように、パルス当たりのパルスエネルギーE
0および/またはパルス周波数は、検出信号D(H(t))が、グラフ(ii)に示されるように、時間t’で空洞の膨張を示すまで、増加する。時間t’は、音速とΔZ
3の関数である。t’-t’’から、界面媒体/空気を通過するプルームの軸方向の高さを見出すことができる。グラフ(iii)に示すように、参照ビームF
3(H
t)は、媒体から雰囲気への遷移(界面)の正確な位置と、例えば質量分光計のイオン化モジュールとすることができるレシーバに向かって伝播する雰囲気中の粒子を測定する。グラフ(iv)に示されている(時間)分解された落射蛍光信号は、対物レンズの焦点位置での空洞特性および分子断片化に関する情報を提供する。
【0125】
前述のことから、実施形態では、光学アセンブリは、レーザ焦点検出ユニットを含み、レーザ焦点検出ユニットは、少なくとも1つの参照レーザを含み、少なくとも1つの参照レーザは、サンプルステージの第2の側に配置されており、かつ対物レンズを通して、サンプルステージを通して、およびサンプル内に、レーザ光を方向付けるように構成されており、レーザ焦点検出ユニットは、少なくとも1つの光検出器をさらに含み、少なくとも1つの光検出器が、少なくとも1つの参照レーザからのレーザ光を検出することによって少なくとも1つの検出信号を生成するように構成されており、この検出信号は、その少なくとも一部分がアブレーションされている間のサンプルの1つ以上の特性を示し、および/または対物レンズからサンプルステージまでの距離を示し、および/または対物レンズからサンプルの表面までの距離を示す、ということがわかる。
【0126】
実施形態では、レーザ焦点検出ユニットは、少なくとも1つの検出信号をコントローラに送信するようにさらに構成されており、コントローラは、少なくとも1つの検出信号に基づいて、アブレーションレーザの1つ以上のパラメータ、および/または対物レンズの位置、および/またはレシーバの位置、を動的に制御するように構成されている。コントローラは、上記のコントローラ140もしくはコントローラ2050、または同様のコントローラであり得る。一般に、コントローラは、マイクロコントローラとFPGAまたはコンピュータシステムを備え、システムの他のコンポーネントのうちの1つ以上に通信可能に結合されて、以下でさらに説明するように、システムの制御および/またはフィードバックを提供する。コントローラは、レーザ焦点検出ユニットに通信可能に結合されて、1つ以上の検出信号を受信する。一実施形態では、コントローラは、対物レンズに通信可能に結合されている(例えば、z軸方向の対物レンズ位置を制御するためのドライブを介して)。一実施形態では、コントローラはまた、レシーバステージに通信可能に結合されている(例えば、x、y、および/またはz軸方向のレシーバ位置を制御するためのドライブを介して)。一実施形態では、コントローラはまた、アブレーションレーザに通信可能に結合されている(例えば、レーザパルスエネルギーおよび/またはパルス周波数を制御するために)。
【0127】
コントローラは、1つ以上のプロセッサ、メモリ(例えば、1つ以上のハードウェアストレージデバイス上)、およびコントローラと、コントローラが結合されたシステムの様々な構成要素と、の間のデータの送受信を制御するための通信モジュールと、を含み得る。コントローラはまた、ユーザからの入力を受信するため、および/またはユーザに情報を表示するための当技術分野で知られている入力/出力ハードウェアを含み得る。
【0128】
説明したデバイスおよびシステムを使用して、アブレーションプロセス、特にレーザパルスエネルギー、パルス周波数、および/またはサンプル内のレーザ焦点位置の連続的またはリアルタイムの調整または制御の手段を提供することができる。一実施形態では、コントローラは、FDUからの少なくとも1つの検出信号に基づいて、アブレーションレーザの1つ以上のパラメータ、および/または対物レンズの位置、および/またはレシーバの位置、を動的に制御するように構成されている。一実施形態では、コントローラは、少なくとも1つの検出信号に基づいて、対物レンズの位置および/またはレシーバの位置を連続的に調整するように構成されている。したがって、FDUからの少なくとも1つの検出信号は、アブレーションプロセスの連続的なリアルタイム制御のための制御ループの基礎を形成する。
【0129】
一実施形態では、FDUによって測定されたΔZ1(およびΔZ2)に基づいて、対物レンズとサンプルステージとの間の軸方向(z)距離は、サンプル内のレーザ焦点が移動するにつれて、連続的に、すなわち、高周波でリアルタイムに調整される。対物レンズの軸方向位置の調整は、ΔZ1(およびΔZ2)のフィードバックに応答してコントローラによって制御される可動ドライブ/アクチュエータを介して達成され得る。ΔZ1およびΔZ2に基づいて、レーザ焦点とレシーバとの間、またはサンプル表面とレシーバとの間の距離が連続的に補正される。レシーバの軸方向位置の調整は、ΔZ1およびΔZ2のフィードバックに応答してコントローラによって制御される可動レシーバステージを介して達成され得る。
【0130】
一実施形態では、送信された参照ビームB’ ’を検出する高速光検出器からの検出信号、および/または対物レンズの光軸に沿って参照ビームF2を検出する高速光検出器からの検出信号は、好ましくは、レーザ誘起空洞がサンプル媒体を介して供給されることを保証するために、アブレーションレーザのパルス列(パルス周波数)のパルス数を制御するのに使用される。パルス数およびパルス強度は、それぞれ制御ループパラメータにすることができる。参照ビームF2を検出する高速光検出器からの検出信号の干渉は、軸方向(z)方向の空洞の相対的な移動をモニタリングするために使用される。
【0131】
一実施形態では、透過した参照ビームB’’を検出する高速光検出器からの検出信号(D)は、好ましくは、アブレーションレーザのパルスエネルギーを制御するために使用される。さらに、蛍光/ラマン信号はまた、それに応じてレーザパワーを制御することにより、サンプル内の分子の断片化をモニタリングおよび制御することができる、あるいは、可能にする。
【0132】
一実施形態では、スナップショット落射蛍光画像化は、プルーム形成および熱検出を解釈することを可能にする。このようにして、アブレーションされた関心領域(ROI)、レーザパワー、および/またはパルス列の特性をそれに応じて適合させることができる。
【0133】
一実施形態では、コントローラは、サンプルのアブレーションされた部分を分析する質量分析計に通信可能に結合され、その結果、コントローラによって制御されるシステムの制御パラメータのうちの1つ以上が質量分析計信号にリンクされる。FDUの観察量とMS信号との相関により、質量分析計の応答の定性的な補正が可能である。質量分析計信号のスナップショット画像化により、MS検出のために質量分析計信号を一定に保つことが可能である。
【0134】
図24を参照すると、画像化/アブレーションデバイスの制御パラメータのリアルタイム最適化のためのプロセスのフロー図が示されている。
【0135】
説明した画像化機能を使用して、x、y、z座標でサンプルステージに位置付けられたサンプルの関心領域ROIがステップ4010で選択される。サンプルステージからレシーバまでの最小距離は、レシーバとサンプルとの間に接触がないことを保証するデバイスによってステップ4020で設定される。ステップ4030で、ΔZ1、ΔZ2、ΔZ3について焦点検出ユニット(FDU)を使用する三角測量の説明された方法を使用して、サンプルステージの上方のサンプル媒体の厚さを測定することができ、コントローラとのループ内のフィードバックによって、質量分析計の測定中、例えばサンプルに影響を与える凝縮または蒸発を補償するために、サンプル媒体からレシーバまでの距離を一定に保つことができる。ステップ4040で、対物レンズの焦点位置は、サンプル媒体からレシーバまでの距離とともに連続的に補正される。
【0136】
アブレーションレーザパルスは、ステップ4050でエネルギーE0で印加される。次いで、高速光検出器で、透過した参照FDUレーザビームF1(B’’)の信号が、ステップ4060で反射されたFDUレーザビームF2の干渉信号とともにモニタリングされる。これらの信号から、アブレーションプルームがサンプルと雰囲気との界面を通過したかどうかが判断される。「いいえ」の場合、ステップ4050が繰り返され、アブレーションレーザパルスエネルギーは、E0,i+1=E0+ΔEに調整される。「はい」の場合、ステップ4070で、アブレーションパルスおよび/または蛍光発光および/またはラマン信号が測定された後、遅延時間t’で透過照明光源を用いて画像が捕捉される。一方、レシーバを介して質量分析計に導入されたアブレーションされた材料の質量分析計測定値は、ステップ4080で取得される。蛍光発光強度をステップ4090での画像化と比較して、レーザパルスによるサンプル内の分子の断片化の程度が許容レベルであるかどうかを確認する。「いいえ」の場合、ΔZ3およびレーザパルスエネルギーE0が低下するか、または新しい焦点位置および/もしくはROIが選択される。「はい」の場合、ステップ4100で、完全なROIに対してアブレーションされたサンプル材料の質量分析計の測定値が取得される。ステップ4060、4070、4080および4100からのデータは、ステップ4200で、空洞体積および蛍光信号などの入力パラメータを使用して、質量分析計で検出されたサンプルからの分子の透過を定量的に解釈するために提供される。
【0137】
コンピュータ/コントローラシステム
コンピュータシステムがますます多種多様な形態をとっていることが理解されるであろう。この説明および特許請求の範囲において、「コントローラ」、「コンピュータシステム」、または「コンピューティングシステム」という用語は、少なくとも1つの物理的かつ有形のプロセッサと、プロセッサによって実行され得るコンピュータ実行可能命令を有することが可能な物理的かつ有形のメモリと、を有する任意のデバイスまたはシステムまたはその組み合わせを含むものとして広義に定義される。例として、限定ではなく、本明細書で使用される場合の「コンピュータシステム」または「コンピューティングシステム」という用語は、パーソナルコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ラップトップコンピュータ、タブレット、ハンドヘルドデバイス(例えば、携帯電話、PDA、ページャー)、マイクロコンピュータベースのもしくはプログラム可能な家電製品、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、マルチプロセッサシステム、ネットワークPC、分散コンピューティングシステム、データセンター、メッセージプロセッサ、ルータ、スイッチ、さらにはウェアラブル(例:メガネ)などの従来はコンピューティングシステムとは見なされていなかったデバイスを含むことを意図している。
【0138】
メモリは、任意の形式をとることができ、コンピューティングシステムの性質と形式に依拠し得る。メモリは、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、またはその2つの組み合わせを含む物理システムメモリとすることができる。「メモリ」という用語は、本明細書では、物理記憶媒体などの不揮発性大容量記憶デバイスを指すために使用され得る。
【0139】
コンピューティングシステムはまた、「実行可能コンポーネント」と呼ばれることが多い複数の構造を有する。例えば、コンピューティングシステムのメモリには実行可能コンポーネントを含めることができる。「実行可能コンポーネント」という用語は、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせであることができる構造であるとして、コンピューティングの分野の当業者によく理解されている構造の名前である。
【0140】
例えば、ソフトウェアに実装される場合、当業者は、実行可能コンポーネントの構造が、コンピューティングシステム上の1つ以上のプロセッサによって実行され得るソフトウェアオブジェクト、ルーチン、メソッドなどを含み得、そのような実行可能コンポーネントがコンピューティングシステムのヒープに存在するかどうか、または実行可能コンポーネントがコンピュータで読み取り可能なストレージメディアに存在するかどうかについて理解するであろう。実行可能コンポーネントの構造は、コンピューティングシステムの1つ以上のプロセッサによって実行されたときに、コンピューティングシステムに本明細書に記載の機能および方法などの1つ以上の機能を実行させるように動作可能であるような形でコンピュータ可読媒体上に存在する。このような構造は、実行可能コンポーネントがバイナリである場合のように、プロセッサによって直接コンピュータで読み取り可能であり得る。あるいは、その構造は、プロセッサによって直接解釈可能なそのようなバイナリを生成するように、インタープリタ形式および/またはコンパイル形式であるように(単一の段階であろうと複数の段階であろうと)構造化され得る。
【0141】
「実行可能コンポーネント」という用語はまた、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラム特定標準製品(ASSP)、システムオンチップシステム(SOC)、複合グラマブルロジックデバイス(CPLD)、またはその他の特殊な回路の内部など、ハードウェアロジックコンポーネントに排他的またはほぼ排他的に実装される構造を含むものとして、当業者によってよく理解されるであろう。したがって、「実行可能コンポーネント」という用語は、ソフトウェア、ハードウェア、またはそれらの組み合わせで実装されているかどうかにかかわらず、コンピューティングの当業者によってよく理解されている構造の用語である。
【0142】
「コンポーネント」、「サービス」、「エンジン」、「モジュール」、「制御」、「発電機」などの用語も、この説明で使用され得る。この説明で使用される場合におよびこの場合において、これらの用語はまた、修飾句の有無にかかわらず、「実行可能コンポーネント」という用語と同義であることが意図されており、したがって、コンピューティングの分野の当業者によく理解されている構造を有する。
【0143】
すべてのコンピューティングシステムがユーザインターフェースを必要とするわけではないが、いくつかの実施形態では、コンピューティングシステムは、ユーザとの間で情報を通信する際に使用するためのユーザインターフェースを含む。ユーザインターフェースには、入力メカニズムだけでなく出力メカニズムも含まれ得る。本明細書で説明される原理は、正確な出力メカニズムまたは入力メカニズムに限定されず、それ自体はデバイスの性質に依存する。ただし、出力メカニズムには、例えば、スピーカー、ディスプレイ、触覚出力、投影、ホログラムなどが含まれる場合がある。入力メカニズムの例には、例えば、マイク、タッチスクリーン、投影、ホログラム、カメラ、キーボード、スタイラス、マウス、またはその他のポインタ入力、任意のタイプのセンサなどが含まれる。
【0144】
したがって、本明細書に記載の実施形態は、特別な目的または汎用のコンピューティングシステムを含むか、または利用し得る。実施形態はまた、コンピュータ実行可能命令および/またはデータ構造を担持または記憶するための物理的および他のコンピュータ可読媒体を含む。そのようなコンピュータ可読媒体は、汎用または特殊目的のコンピュータシステムによってアクセス可能な任意の利用可能な媒体とすることができる。コンピュータ実行可能命令を記憶するコンピュータ可読媒体は、物理的記憶媒体である。コンピュータ実行可能命令を担持するコンピュータ可読媒体は、伝送媒体である。したがって、例として(限定ではない)、本明細書で開示または想定される実施形態は、少なくとも2つの明確に異なる種類のコンピュータ可読媒体、すなわち記憶媒体および伝送媒体を含むことができる。
【0145】
コンピュータで読み取り可能な記憶媒体には、RAM、ROM、EEPROM、ソリッドステートドライブ(「SSD」)、フラッシュメモリ、位相変化メモリ(「PCM」)、CD-ROMもしくはその他の光ディスクストレージ、磁気ディスクストレージもしくはその他の磁気ストレージデバイス、またはコンピュータで実行可能な命令もしくはデータ構造の形式で所望のプログラムコードを格納するために使用でき、かつ本発明の開示された機能を実装するために汎用または特殊目的のコンピューティングシステムによってアクセスおよび実行できるその他の物理的および有形の記憶媒体が含まれる。例えば、コンピュータ実行可能命令は、コンピュータプログラム製品を形成するために、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体上に具体化され得る。
【0146】
伝送媒体は、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形で所望のプログラムコードを担持することができ、かつ汎用または特殊目的のコンピュータによってアクセスおよび実行できる、ネットワークおよび/またはデータリンクを含むことができる。上述の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものとする。
【0147】
さらに、様々なコンピュータシステムコンポーネントに到達すると、コンピュータ実行可能命令またはデータ構造の形式のプログラムコードを、伝送媒体からコンピュータ記憶媒体に(またはその逆に)自動的に転送することができる。例えば、ネットワークまたはデータリンクを介して受信したコンピュータ実行可能命令またはデータ構造は、ネットワークインターフェイスモジュール(例えば、「NIC」)内のRAMにバッファリングされ、最終的にコンピュータシステムRAMおよび/またはコンピュータシステムのより揮発性の低いコンピュータ記憶媒体に転送することができる。したがって、記憶媒体は、伝送媒体も(または主に)利用するコンピューティングシステムコンポーネントに含めることができることを理解されたい。
【0148】
当業者であれば、コンピューティングシステムが、例えば、ネットワークを介して他のコンピューティングシステムと通信することを可能にする通信チャネルも含み得ることをさらに理解するであろう。したがって、本明細書で説明する方法は、多くのタイプのコンピューティングシステムおよびコンピューティングシステム構成を備えたネットワークコンピューティング環境で実施され得る。実施形態は、ネットワークを通して(有線データリンク、無線データリンク、または有線データリンクと無線データリンクの組み合わせのいずれかによって)リンクされるローカルおよびリモートコンピュータシステムが両方ともタスクを実行する分散型システム環境において実施され得る。分散システム環境では、処理、メモリ、および/またはストレージ機能も分散され得る。
【0149】
当業者はまた、開示された方法がクラウドコンピューティング環境で実施され得ることを理解するであろう。クラウドコンピューティング環境は分散され得るが、これは必須ではない。クラウドコンピューティング環境を分散させると、組織内で国際的に分散され、および/または複数の組織にわたってコンポーネントが所有され得る。この説明および以下の特許請求の範囲において、「クラウドコンピューティング」は、構成可能なコンピューティングリソース(例えば、ネットワーク、サーバ、ストレージ、アプリケーション、およびサービス)の共有プールへのオンデマンドネットワークアクセスを可能にするためのモデルとして定義される。「クラウドコンピューティング」の定義は、適切にデプロイされたときにそのようなモデルから得ることができる他の多くの利点のいずれにも限定されない。
【0150】
クラウドコンピューティングモデルは、オンデマンドセルフサービス、広範なネットワークアクセス、リソースプーリング、迅速な弾力性、測定されたサービスなど、様々な特性で構成することができる。クラウドコンピューティングモデルは、例えば、Software as a Service(「SaaS」)、Platform as a Service(「PaaS」)、Infrastructure as a Service(「IaaS」)など、様々なサービスモデルの形式で提供され得る。クラウドコンピューティングモデルはまた、プライベートクラウド、コミュニティクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウドなどの異なるデプロイモデルを使用してデプロイされ得る。
【0151】
定義された用語の省略リスト
この書面による説明と添付のクレームの範囲と内容を理解しやすくするために、いくつかの用語をすぐ下に定義する。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が関係する当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。
【0152】
本明細書で使用される「ほぼ」、「約」、および「実質的に」という用語は、依然として所望の機能を実行するか、または所望の結果を達成する、特定の記載された量または条件に近い量または状態を表す。例えば、「ほぼ」、「約」、および「実質的に」という用語は、具体的に記載された量または条件から、10%未満、または5%未満、または1%未満、または0.1%未満、または0.01%未満だけ偏差する量または状態を指す場合がある。
【0153】
本明細書で使用される場合、「アブレーション」という用語は、標的領域内の生体分子を周囲の構造から解放するために、標的領域にエネルギーを選択的に適用することを指す。アブレーションされた材料は、典型的には、標的領域の初期位置から離れて移動する材料の「プルーム」を形成する。
【0154】
本明細書で使用される場合の「関心領域」という用語は、収集、処理、および/または分析されることが望まれる、1つ以上の生体分子が存在する画像化/アブレーションデバイスの視野内の任意の領域として理解されることを意図する。関心領域は、視野全体を含み得るが、より典型的には、視野の一部分であり、例えば、細胞または細胞の集合、細胞内の小器官などの細胞内/細胞下領域、または細胞外領域であり得る。
【0155】
本明細書で使用される場合の「サブサンプル」という用語は、レシーバ上で互いに空間的に分離されることによって、および/または異なるアブレーションイベントから異なる時間にレシーバによって受容されることによってなど、互いに空間的および/または時間的に分離されるアブレーションされた材料の個々の部分を指すことを意図する。したがって、サブサンプルという用語は、収集されたアブレーションされた材料の別個の部分を、画像化および選択的にアブレーションされ得るスライド/ステージ上に位置付けられるより大きな全体的な「サンプル」と区別することを意図している。
【0156】
デバイス、システム、および方法を含む本開示の様々な態様は、本質的に例示的な1つ以上の実施形態または実装形態を参照して例示し得る。本明細書で使用される場合、「例示的な」という用語は、「例、事例、または実例として機能する」を意味し、必ずしも本明細書に開示される他の実施形態よりも好ましいまたは有利であると解釈されるべきではない。加えて、本開示または本発明の「実装形態」への言及は、その1つ以上の実施形態への特定の言及を含み、逆もまた同様であり、以下の説明というよりも、添付の特許請求の範囲に示される、本発明の範囲を限定することなく例示的な例を提供することを意図している。
【0157】
本明細書中で使用される際、別段、暗黙的または明示的に理解または記載されない限り、単数で現れる単語は、その複数の同等のものを包含し、複数で現れる単語は、その単数の同等のものを包含する。よって、本明細書および添付の特許請求の範囲に用いられる単数形「a」「an」および「the」は、その内容が明確に指示されていない限り複数の対象を含むことに留意されたい。例えば、単一の指示対象(例えば、「ウィジェット」)への参照には、暗黙的または明示的に理解または明示されていない限り、1つ、2つ、またはそれ以上の指示対象が含まれる。同様に、複数の指示対象への言及は、内容および/または文脈が明確に指示しない限り、単一の指示対象および/または複数の指示対象を含むものとして解釈されるべきである。例えば、複数形の指示対象(例えば、「ウィジェット」)への参照は、必ずしも複数のそのような指示対象を必要としない。代わりに、推定される指示対象の数とは無関係に、特に明記しない限り、1つ以上の指示対象が本明細書で企図されることが理解されよう。
【0158】
本明細書で使用される場合、「頂(top)」、「底(bottom)」、「左(left)」、「右(right)」、「上(up)」、「下(down)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「近位(proximal)」、「遠位(distal)」などの方向を示す用語は、相対的な方向を示すためのみに本明細書で使用され、また他の点で、本開示または請求された発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0159】
おわりに
本明細書で使用されている用語および表現は、説明の用語として使用され、限定ではなく、そのような用語および表現を使用するに際して、示され、説明されている特徴またはその一部分の同等物を除外する意図はないが、請求された発明の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。したがって、本発明は、好ましい実施形態、例示的な実施形態、および任意の特徴によって部分的に具体的に開示されてきたが、本明細書に開示される概念の変更および変形は、当業者に頼ることが可能であり、添付の特許請求の範囲によって定義されるように、そのような変更および変形は、本発明の範囲内であると見なされる、ということを理解されたい。本明細書で提供される特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の例、ならびに本明細書に示される本発明の特徴の様々な改変および/または変更であり、関連技術に熟練しかつ本開示を所有する者に生じる本明細書に示される原理の追加の用途を、特許請求の範囲によって定義される本発明の精神および範囲から逸脱することなく、図示の実施形態に対してなすことができ、本開示の範囲内であると見なされるべきである。
【0160】
本開示の特定の実施形態による、システム、デバイス、製品、キット、方法、および/またはプロセスは、本明細書に開示および/または記載されている他の実施形態に記載されている特性または特徴(例えば、構成要素、部材、要素、部品、および/または部分)を含む、組み込む、または他の方法で含むことができることも理解されよう。したがって、特定の実施形態の様々な特徴は、本開示の他の実施形態と互換性があり、組み合わされ、含まれ、および/または組み込まれ得る。したがって、本開示の特定の実施形態に関連する特定の特徴の開示は、特定の実施形態に対する該特徴の適用または包含を制限するものとして解釈されるべきではない。むしろ、他の実施形態は、必ずしも本開示の範囲から逸脱することなく、該特徴、部材、要素、部品、および/または部分を含み得ることが理解されよう。
【0161】
さらに、ある特徴が、それと組み合わせて別の特徴を必要とするものとして説明されない限り、本明細書の任意の特徴は、本明細書に開示される同じまたは異なる実施形態の他の任意の特徴と組み合わせることができる。さらに、例示的なシステム、方法、装置などの様々な周知の態様は、例示的な実施形態の態様が曖昧になることを回避するために、本明細書では特に詳細に説明されていない。しかしながら、そのような態様は、本明細書でも企図されている。
【0162】
本出願で引用されたすべての参考文献は、それらが本出願の開示と矛盾しない範囲で、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。本明細書に具体的に記載されているもの以外の方法、デバイス、デバイス要素、材料、手順、および技術が、過度の実験に頼ることなく、本明細書に広く開示されている本発明の実施に適用できることは当業者には明らかであろう。本明細書に具体的に記載されている方法、デバイス、デバイス要素、材料、手順、および技術のすべての当技術分野で知られている機能的同等物は、本発明に包含されることが意図されている。
【0163】
材料、組成物、成分、または化合物のグループが本明細書に開示される場合、それらのグループのすべての個々のメンバーおよびそのすべてのサブグループが別々に開示されることが理解される。マーカッシュグループまたは他のグループが本明細書で使用される場合、グループのすべての個々のメンバー、およびグループの可能なすべてのコンビネーションおよびサブコンビネーションは、個別に本開示に含まれることが意図されている。本明細書に記載または例示されている成分のすべての配合物または組み合わせは、特に明記しない限り、本発明を実施するために使用することができる。ある範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、または組成範囲が明細書に示されている場合は常に、すべての中間範囲およびサブ範囲、ならびに与えられた範囲に含まれるすべての個々の値は、本開示に含まれることが意図されている。
【0164】
特許請求の範囲と等価な意味および範囲に入るすべての変更は、それらの範囲に包含されるべきである。