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特許7429277レーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置および測定方法
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  • 特許-レーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置および測定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】レーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置および測定方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/06 20060101AFI20240131BHJP
   G01J 3/447 20060101ALI20240131BHJP
   G01N 21/21 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
G01B11/06 101G
G01J3/447
G01N21/21 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022168467
(22)【出願日】2022-10-20
【審査請求日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】202210957257.0
(32)【優先日】2022-08-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522412013
【氏名又は名称】シャンハイ インスティテュート オブ メジャメント アンド テスティング テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リファ レイ
(72)【発明者】
【氏名】チェンミン カオ
(72)【発明者】
【氏名】ヤオチオン シェン
(72)【発明者】
【氏名】ユーチン グアン
(72)【発明者】
【氏名】ウェンヂゥー ゾウ
(72)【発明者】
【氏名】ユンシア フー
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-056247(JP,A)
【文献】特開2011-102731(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/06
G01J 3/447
G01N 21/21
G01N 21/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー光源、フィルターホイール、光アイソレータ、リフレクターセット、ポラライザー変調モジュール、サンプルテーブル、検出変調モジュールおよび信号収集処理モジュールを含み、前記ポラライザー変調モジュールは第1ダイヤフラム、ポラライザー、均一に回転する第1位相補償器および第2ダイヤフラムを含み、前記検出変調モジュールは第3ダイヤフラム、均一に回転する第2位相補償器、偏光検出器、第4ダイヤフラムおよびシリコン検出器を含み、前記第1位相補償器、第2位相補償器およびシリコン検出器はそれぞれ前記信号収集処理モジュールに接続され、前記信号収集処理モジュールは互いに接続された信号収集ユニットおよびPCホストコンピューターを含み、
前記第1ダイヤフラム、前記第2ダイヤフラム、前記第3ダイヤフラム及び前記第4ダイヤフラムは、絞りであり、
前記レーザー光源は平行光レーザービームを放出し、前記平行光レーザービームは順に前記フィルターホイール、光アイソレータおよびリフレクターセットを通過してポラライザー変調モジュールに入射され、その後順に前記第1ダイヤフラム、ポラライザー、第1位相補償器および第2ダイヤフラムを通過して変調直線偏光を形成し、入射角θで被測定サンプルに入射され、前記変調直線偏光が被測定サンプルで反射された後順に前記第3ダイヤフラム、第2位相補償器、偏光検出器および第4ダイヤフラムを通過して偏光復調を行って、最後に前記シリコン検出器で受信され、前記信号収集ユニットが前記シリコン検出器に設置された後、前記シリコン検出器で受信した光強度信号をデジタル信号に変換し、コンピューターに送信しデータ処理して被測定膜厚を得る、
ことを特徴とするレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置。
【請求項2】
前記信号収集処理モジュールが受信した光強度信号をデジタル信号に変換した後、前記PCホストコンピューターでデータ処理して単一波長における被測定サンプルの楕円偏光パラメータ振幅比角度ψおよび位相差角度Δを求め、さらに被測定膜厚dを求め、膜厚dの表現式が、
【数1】
であり、
【数2】
は楕円偏光パラメータ振幅比角度ψおよび位相差角度Δに関する関数であり、λはレーザー光源の入射光波長であり、
【数3】
は被測定サンプルの屈折率であり、θは空気媒体から被測定サンプルに入射する変調直線偏光の屈折角であり、jは虚数である、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置。
【請求項3】
前記レーザー光源の入射光波長が固定波長632.8nmである、ことを特徴とする、
請求項1に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置。
【請求項4】
前記ポラライザー変調モジュールと検出変調モジュールはサンプルテーブルの中心線を軸線として左右対称に設けられ、前記第1位相補償器と前記第2位相補償器はそれぞれモータで駆動されて固定回転速度比5:1で連続的に同期回転する、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置。
【請求項5】
前記第1位相補償器および第2位相補償器は、複合型アクロマティック位相リターダー波長板である、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置。
【請求項6】
前記第1ダイヤフラム、第2ダイヤフラム、第3ダイヤフラムおよび第4ダイヤフラムはそれぞれ光路中心軸上に固定される、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置。
【請求項7】
前記レーザー光源はヘリウムネオンレーザーから放出されるレーザー光源である、
ことを特徴とする請求項1に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置の測定方法であって、
ステップ1:レーザーからレーザービームを放出し、フィルターホイールを通過した後出射ビームの光量値を変調し、その後アイソレータを介して周波数の安定したレーザービームを出力するステップと、
ステップ2:前記レーザービームがリフレクターセットでポラライザー変調モジュールに連続的に反射され、最初にポラライザー変調モジュールを通過した第1ダイヤフラムがビームを限られたサイズのスポットに変換され、その後ポラライザーに垂直に入射し、アラインメント後の平行光がポラライザーを通過して直線偏光を得、次に第1位相補償器によって直線偏光を位相変調するステップと、
ステップ3:位相変調後の変調直線偏光が第2ダイヤフラムを介してサンプルテーブル上の被測定サンプルに入射され、被測定サンプル表面で反射され偏光検出変調モジュールに入り、第3ダイヤフラムを介して第2位相補償器に入射して位相復調を行った後、偏光検出器で偏光検出し、第4ダイヤフラムを通過した後シリコン検出器に入り、シリコン検出器で測定光路の光強度信号を収集して電気信号に変換するステップと、
ステップ4:シリコン検出器は前記電気信号を信号収集ユニットに送信し、信号収集ユニットは電気信号を収集した後、コンピューターに転送し、コンピューターは単一波長における楕円偏光パラメータの振幅比角度ψおよび位相差角度Δを算出することによって、被測定薄膜の膜厚を算出するステップと、を含む、ことを特徴とするレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置の測定方法。
【請求項9】
ステップ3において、被測定サンプルに入射する前記変調直線偏光の入射角θが45°~90°である、
ことを特徴とする請求項8に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置の測定方法。
【請求項10】
ステップ2およびステップ3において、前記変調直線偏光、ポラライザーの透過軸および偏光検出器の透過軸が同一平面上にある、
ことを特徴とする請求項8に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置の測定方法。
【請求項11】
ステップ2およびステップ3において、前記第1位相補償器と第2位相補償器の位相遅延量の値が0°~360°である、
ことを特徴とする請求項8に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置の測定方法。
【請求項12】
ステップ3において、前記第1位相補償器および第2位相補償器はそれぞれステッピングモータで駆動および制御され、固定の回転速度比5:1の回転速度で連続的に同期に回転し、前記第1位相補償器および第2位相補償器は第2位相補償器の光軸位置をモータ信号を介して信号収集ユニットに同時に転送し、信号収集ユニットは受信したモータ信号をコンピューターに送信し、前記第1位相補償器と第2位相補償器が同期に回転して安定状態に達すると、第1位相補償器と第2位相補償器のステッピングモータコントローラーはシリコン検出器にトリガパルス信号を放出し、シリコン検出器の同期状態下の光強度信号をリアルタイムで収集する、
ことを特徴とする請求項8に記載のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、楕円偏光光学測定システムに関し、特にレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置および測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新しい薄膜材料の発展に伴って、ナノ薄膜技術が幅広く適用され、ナノ薄膜構造のサイズ加工精度が半導体などのデバイスの性能指標に大きく影響するため、ナノ薄膜材料の膜厚を迅速かつ低コストで、非破壊的に精度よく測定することは、ナノテクノロジーの発展に非常に重要な意義を有する。
【0003】
楕円偏光計測は、偏光を用いて薄膜の厚みや光学定数を測定する光学計測技術であり、高速かつ正確な測定と、非破壊の非接触測定が可能であり、近年、ナノメトロジーは広く活用され、今後の主流となりつつあるトレンドである。
【0004】
様々な種類の膜厚測定器を使用するナノ薄膜にとって、より高い精度を持つエリプソメトリは重要な将来性を持っている。膜厚は光学定数を基準として測定されるため、エリプソメトリック方式では膜厚測定の直接的なトレーサビリティは得られない。現在、エリプソメーターの校正はナノ薄膜標準試料で行うのが一般的で、そのほとんどが国外から輸入した標準試料で校正されており、コストがかかり、サイクルタイムも長く効率が悪いだけでなく、機器のトレーサビリティの問題を根本的に解決することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術における楕円偏光測定方法が膜厚測定量の値を直接トレーサビリティできないという問題を克服して、膜厚の値の高精度を実現し、可トレーサビリティ測定のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置および測定方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は以下のように実現される。レーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置は、レーザー光源、フィルターホイール、光アイソレータ、リフレクターセット、ポラライザー変調モジュール、サンプルテーブル、検出変調モジュールおよび信号収集処理モジュールを含み、前記ポラライザー変調モジュールは第1ダイヤフラム、ポラライザー、均一に回転する第1位相補償器および第2ダイヤフラムを含み、前記偏光検出変調モジュールは第3ダイヤフラム、均一に回転する第2位相補償器、偏光検出器、第4ダイヤフラムおよびシリコン検出器を含み、前記第1位相補償器、第2位相補償器およびシリコン検出器はそれぞれ前記信号収集処理モジュールに接続され、前記信号収集処理モジュールは互いに接続された信号収集ユニットおよびコンピューターを含み、前記レーザー光源は平行光レーザービームを放出し、前記レーザービームは順に前記フィルターホイール、光アイソレータおよびリフレクターセットを通過してポラライザー変調モジュールに入射され、その後順に前記第1ダイヤフラム、ポラライザー、第1位相補償器および第2ダイヤフラムを通過して変調直線偏光を形成し、入射角θで被測定サンプルに入射され、前記変調直線偏光が被測定サンプルで反射された後順に前記第3ダイヤフラム、第2位相補償器、偏光検出器および第4ダイヤフラムを通過して偏光復調を行って、最後に前記シリコン検出器で受信され、前記信号収集ユニットが前記シリコン検出器に設置された後、前記シリコン検出器で受信した光強度信号をデジタル信号に変換し、コンピューターに送信しデータ処理して被測定膜厚を得る。
【0007】
前記信号収集処理モジュールが受信した光強度信号をデジタル信号に変換した後、前記コンピューターでデータ処理して単一波長における被測定サンプルの楕円偏光パラメータ振幅比角度ψおよび位相差角度Δを求め、さらに被測定膜厚dを求め、膜厚dの表現式が、
【数1】
であり、
【数2】
は楕円偏光パラメータ振幅比角度ψおよび位相差角度Δに関する関数であり、λはレーザー光源の入射光波長であり、
【数3】
は被測定サンプルの屈折率であり、θは空気媒体から被測定サンプルに入射する変調直線偏光の屈折角であり、jは虚数である。
【0008】
前記レーザー光源の入射光波長が固定波長632.8nmである。
【0009】
前記ポラライザー変調モジュールと検出変調モジュールはサンプルテーブルの中心線を軸線として左右対称に設けられ、前記第1位相補償器と前記第2位相補償器はそれぞれモータで駆動されて固定回転速度比5:1で連続的に同期回転する。
【0010】
前記第1位相補償器および第2位相補償器は、複合型アクロマティック位相リターダー波長板であり、顕著な位相遅延量を生成することができる。
【0011】
前記第1ダイヤフラム、第2ダイヤフラム、第3ダイヤフラムおよび第4ダイヤフラムはそれぞれ光路中心軸上に固定され、出射ビームができるだけシリコン検出器で受信されるのを保証する。
【0012】
前記レーザー光源はヘリウムネオンレーザーから放出されるレーザー光源である。
【0013】
前記レーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置の測定方法は、
ステップ1:レーザーからレーザービームを放出し、フィルターホイールを通過した後出射ビームの光量値を変調し、その後ビームアイソレータを介して周波数の安定したレーザービームを出力するステップと、
ステップ2:前記レーザービームがリフレクターセットでポラライザー変調モジュールに連続的に反射され、最初にポラライザー変調モジュールを通過した第1ダイヤフラムがビームを限られたサイズのスポットに変換され、その後ポラライザーに垂直に入射し、アラインメント後の平行光がポラライザーを通過して直線偏光を得、次に第1位相補償器によって直線偏光を位相変調するステップと、
ステップ3:位相変調後の変調直線偏光が第2ダイヤフラムを介してサンプルテーブル上の被測定サンプルに入射され、被測定サンプル表面で反射され偏光検出変調モジュールに入り、第3ダイヤフラムを介して第2位相補償器に入射して位相復調を行った後、偏光検出器で偏光検出し、第4ダイヤフラムを通過した後シリコン検出器に入り、シリコン検出器で測定光路の光強度信号を収集して電気信号に変換するステップと、
ステップ4:シリコン検出器は前記電気信号を信号収集ユニットに送信し、信号収集ユニットは電気信号を収集した後、コンピューターに転送し、コンピューターは単一波長における楕円偏光パラメータの振幅比角度ψおよび位相差角度Δを算出することによって、被測定薄膜の膜厚を算出するステップと、を含む。
【0014】
ステップ3において、被測定サンプルに入射する前記変調直線偏光の入射角θが45°~90°である。
ステップ2およびステップ3において、前記変調直線偏光、ポラライザーの透過軸および偏光検出器の透過軸が同一平面上にある。
【0015】
ステップ2およびステップ3において、前記第1位相補償器と第2位相補償器の位相遅延量の値が0°~360°であり、好ましい値が127°、131.81°である。
【0016】
ステップ3において、前記第1位相補償器および第2位相補償器はそれぞれステッピングモータで駆動および制御され、固定の回転速度比5:1の回転速度で連続的に同期に回転し、前記第1補償器および第2位相補償器は第2位相補償器の光軸位置をモータ信号を介して信号収集ユニットに同時に転送し、信号収集ユニットは受信したモータ信号をコンピューターに送信し、前記第1位相補償器と第2位相補償器が同期に回転して安定状態に達すると、第1位相補償器と第2位相補償器のステッピングモータコントローラーはシリコン検出器にトリガパルス信号を放出し、シリコン検出器の同期状態下の光強度信号をリアルタイムで収集する。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以下の有益な効果を有する。従来の楕円偏光測定技術に比べると、本発明は、マルチバンド範囲内のスペクトルフィッティング方法を利用して、単一レーザー波長における楕円偏光パラメータ振幅比角度ψおよび位相差角度Δの正確な計算を実現できるため、被測定薄膜の膜厚値を求め、レーザー光源のトレーサビリティ研究を行い、システムが直接トレーサビリティを持ち、ナノ薄膜の高精度の計測を実現することができる。
【0018】
本発明は、第1位相補償器および第2位相補償器から構成される二重回転補償器楕円偏光測定システムに基づいて行われ、本発明の装置はレーザービームを光源として使用し、国際メートルで定義される波長633.0nmのレーザー比長計標準を使ってレーザービームの波長を校正し、国際メートルに基づく定義により、現在の楕円偏光測定方法が直接トレーサビリティできない問題を克服するだけでなく、薄膜パラメータのより高精度の非破壊測定を実現することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の装置の光路構造を示す模式図である。
図2】本発明のレーザー光源から放出されたレーザービームが入射角θで被測定サンプル媒体に反射される場合の伝搬経路を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1および図2によれば、本発明のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置は、レーザー光源1、フィルターホイール2、光アイソレータ3、リフレクターセット4、ポラライザー変調モジュール5、サンプルテーブル6、検出変調モジュール7および信号収集処理モジュール8を含み、前記ポラライザー変調モジュール5は第1ダイヤフラム501、ポラライザー502、第1位相補償器503および第2ダイヤフラム504を含み、前記検出変調モジュール7は第3ダイヤフラム701、第2位相補償器702、偏光検出器703、第4ダイヤフラム704およびシリコン検出器705を含み、前記第1位相補償器503、第2位相補償器702およびシリコン検出器705はそれぞれ前記信号収集処理モジュール8に連結され、前記信号収集処理モジュール8は互いに接続された信号収集ユニット801およびコンピューター802を含む。
【0021】
前記レーザー光源1は平行光レーザービーム101を放出し、レーザービーム101は順に前記フィルターホイール2、光アイソレータ3およびリフレクターセット4を通過してポラライザー変調モジュール5に入射され、前記入射角θが45°~90°であり、好ましくは65°であり、その後順に前記第1ダイヤフラム501、ポラライザー502、第1位相補償器503および第2ダイヤフラム504を通過して変調直線偏光を形成し、入射角θでサンプルテーブル6上の被測定サンプル601に入射され、前記変調直線偏光が被測定サンプル601で反射された後順に前記第3ダイヤフラム701、第2位相補償器702、偏光検出器703および第4ダイヤフラム704を通過して偏光復調を行って、最後に前記シリコン検出器705で受信され、前記信号収集ユニット801が前記シリコン検出器705に設置された後、前記シリコン検出器705で受信した光強度信号をデジタル信号に変換し、コンピューター802に送信しデータ処理して被測定膜厚を得る。
【0022】
前記信号収集処理モジュール8は受信した光強度信号をデジタル信号に変換した後、前記コンピューターでデータ処理して単一波長における被測定サンプルの楕円偏光パラメータ振幅比角度ψおよび位相差角度Δを求め、さらにサンプルの膜厚値dを求め、膜厚値dの表現式が、
【数4】
であり、
【数5】
は楕円偏光パラメータ振幅比角度ψおよび位相差角度Δに関する関数であり、λはレーザー光源の入射光波長であり、
【数6】
は被測定サンプルの屈折率であり、θは空気媒体から被測定サンプルに入射する変調直線偏光の屈折角であり、jは虚数である。
【0023】
前記レーザー光源の入射光波長が固定波長の632.8nmである。
【0024】
前記ポラライザー変調モジュール5と検出変調モジュール7はサンプルテーブル6の中心線を軸線として左右対称に設けられる。前記第1位相補償器503と第2位相補償器702はそれぞれ複合型アクロマティック位相リターダー波長板であり、顕著な位相遅延量を生成することができる。前記第1位相補償器503および第2位相補償器702は対向して取り付けられ、レーザービーム101が前記第1位相補償器503および第2位相補償器702に入射され、複数回全反射した後位相遅延量が生成される。
【0025】
前記第1位相補償器503と第2位相補償器702の位相遅延量の値が0°~360°であり、好ましい値が127°、131.81°であり、動作帯域における位相遅延量の最適値が127°付近であり、前記第1位相補償器503および第2位相補償器703はそれぞれステッピングモータで駆動および制御され、固定の回転速度比5:1の回転速度で連続的に同期回転する。
【0026】
前記光源1はヘリウムネオンレーザーから放出されるレーザービームである。前記レーザー光源1から放出されるレーザービームの固定波長λが632.8nmであり、国際的に規定された633.0nmのレーザー比長計標準を用いて、ヘリウムネオンレーザーのビート周波数実験を行うことにより校正する。前記第1ダイヤフラム501、第2ダイヤフラム504、第3ダイヤフラム701および第4ダイヤフラム704はそれぞれ光路中心軸上に固定され、出射ビームができるだけシリコン検出器で受信されるのを保証する。
【0027】
好ましくは、本発明の前記信号収集ユニットはSTM32F107RCT6モデルのSTM32システムマイクロプロセッサを使用することができる。
【0028】
本発明のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置の測定方法は、以下のステップを含む。
ステップ1:ヘリウムネオンレーザーからレーザー光源の出射光を放出し、フィルターホイールを通過して出射光の光量の値を変調し、その後ビームアイソレータを介して周波数の安定したレーザービームを出力する。
【0029】
ステップ2:前記レーザービームがリフレクターセットでポラライザー変調モジュールに連続的に反射され、最初にポラライザー変調モジュールを通過した第1ダイヤフラムがビームを限られたサイズのスポットに変換され、その後ポラライザーに垂直に入射し、アラインメント後の平行光がポラライザーを通過して直線偏光を得、次に第1位相補償器によって直線偏光を位相変調することで、偏光状態を変更し、具体的には、偏光の入射面に平行なp光と入射面に垂直なs光の成分が一定の位相遅延量を生成する。その中で、前記ポラライザーの透過軸の方位角が0°方向である。
【0030】
ステップ3において被測定サンプルに入射する前記変調直線偏光の入射角θが45°~90°であり、好ましい入射角θが65°である。特に、シリコン薄膜を測定対象として使用するとき、シリコン薄膜の屈折率が2.0未満であるため、異なる光源の入射角による偏光検出角の誤差によると、光源入射角が65oのとき、偏光検出角の測定精度が高い。
【0031】
ステップ3:位相変調後の変調直線偏光が第2ダイヤフラムを介してサンプルテーブル上の被測定サンプルに入射され、被測定サンプル表面で反射され偏光検出変調モジュールに入り、第3ダイヤフラムを介して第2位相補償器に入射して位相復調を行った後、偏光検出器で偏光検出し、第4ダイヤフラムを通過した後シリコン検出器に入り、シリコン検出器で測定光路の光強度信号を収集して電気信号に変換し、その中で、前記変調直線偏光、ポラライザーの透過軸および偏光検出器の透過軸が同一平面上にある。
【0032】
前記第1位相補償器と第2位相補償器の位相遅延量の値が0°~360°であり、好ましい値が127°または131.81°である。
【0033】
その中で、前記第1位相補償器および第2位相補償器はそれぞれステッピングモータで駆動および制御され、固定の回転速度比5:1の回転速度で連続的に同期回転する。前記第1補償器および第2位相補償器は同時に第2位相補償器の光軸位置をモータ信号を介して信号収集ユニットに送信し、信号収集ユニットは受信したモータ信号をコンピューターに送信し、前記第1位相補償器と第2位相補償器が同期回転し徐々に安定状態に達すると、第1位相補償器と第2位相補償器のステッピングモータコントローラーがシリコン検出器にトリガパルス信号を送信し、シリコン検出器が同期状態で光強度信号をリアルタイムで収集する。
【0034】
その中で、前記第1補償器および第2補償器の4つの回転方位角がそれぞれ31°、74.88°、105.12°、141.69°として選択される。
【0035】
ステップ4:シリコン検出器は前記電気信号を信号収集ユニットに送信し、信号収集ユニットは電気信号を収集した後、コンピューターに転送し、コンピューターは単一波長における楕円偏光パラメータの振幅比角度ψおよび位相差角度Δを算出することによって、被測定薄膜の膜厚を算出する。コンピューターでサンプルの実際構造および特性に基づいて薄膜モデルを構築し、数値反転アルゴリズムを用いて被測定膜厚パラメータを解け、楕円偏光測定システム全体がコンピューターで自動統合制御を行い、測定が完了する。
【0036】
楕円偏光測定に基づく本発明の基本原理は以下の通りである。図1および図2を参照すると、図2では、空気1の屈折率をn、サンプル薄膜601の屈折率をn、基板10の屈折率をnとする。楕円偏光システム中の直線偏光11を第1位相補償器503を通過させた後サンプル薄膜601の表面に入射させ、サンプル薄膜601の異なる媒体の相互作用によって界面反射または透過し、最終的に直線偏光11をサンプル薄膜601で反射させた後の偏光状態を楕円偏光に変更させる。この楕円偏光は入射面に平行なp偏光成分と入射面に垂直なs偏光成分からなり、変更した後の偏光は振幅の大きさが変わるだけでなく、2つの偏光成分間に一定の位相差が生じ、p偏光成分およびs偏光成分の全反射係数
【数7】
および
【数8】
を得、その表現式はそれぞれ以下のとおりであり、
【数9】
その中で、
【数10】
は空気層と薄膜媒体層の全反射係数であり、
【数11】
はサンプル薄膜媒体層と珪素基板層の全反射係数であり、
【数12】
は透過ビーム成分と反射ビーム成分の位相差であり、jは虚数である。
【0037】
p偏光成分およびs偏光成分の全反射係数を組み合わせて、楕円偏光パラメータψおよびΔを導入し、偏光がサンプルに入射する前後の偏光状態の変化を測定して、楕円偏光基本方程式を得る。
【数13】
その中で、楕円偏光パラメータψおよびΔはそれぞれp偏光成分およびs偏光成分の振幅比および位相差を示す。実際に、振幅比ψおよび位相差Δは、入射角、屈折率およびサンプル薄膜に関連する光学パラメータの関数として表し、iは虚数であり、i=-j:
【数14】
実際に、ψおよびΔはエリプソメーターで直接測定できる2つのパラメータであり、薄膜サンプルの光学定数および膜厚パラメータは、直接測定で得られた1組の楕円偏光パラメータψおよびΔを用いて導き出す必要がある。
【0038】
好ましい実施例では、所定の入射角および波長で1組の楕円偏光パラメータを測定すると、薄膜の膜厚が一意に未知であり、環境、薄膜および基板の屈折率が知られていると仮定すると、方程式を解くことで膜厚の一意の解析解は具体的に以下の式によって決定でき、
【数15】
その中で、
【数16】
この2次方程式を解くことで楕円偏光方程式に含まれるパラメータのパラメータXの解は、
【数17】
であり、パラメータを含むパラメータXを決定した後膜厚を算出することができる。楕円偏光パラメータの計算について、サンプル薄膜の屈折率が既知で真の決定値であれば、繰り返して楕円偏光パラメータの解を求める。この繰り返し過程中、
【数18】

【数19】
を満たすまで変化し続ける。
【数20】
であり、位相変化量
【数21】
は透過ビームおよび反射ビームの位相差によって以下のように示され、
【数22】
明らかに、好ましい実施例では、膜厚の計算には1つの解のみが有効であり、決定された薄膜屈折率
【数23】
が与えられれば、楕円偏光パラメータXが得られ、膜厚dが以下のように計算され得、
【数24】
誤差を考慮すると、膜厚の計算は複雑になるが、その場合に、虚数部の小さい解を選択すればよい。
【0039】
本発明で使用するエリプソメーター測定システムは、その光源がレーザー光源であり、好ましいスペクトルは固定波長632.8nmのレーザービームであり、最適な構成では入射角が65°である。
【符号の説明】
【0040】
1 レーザー光源、101 レーザービーム、2 フィルターホイール、3 光アイソレータ、4 リフレクターセット、5 ポラライザー変調モジュール、501 第1ダイヤフラム、502 ポラライザー、503 第1位相補償器、504 第2ダイヤフラム、6 サンプルテーブル、601 サンプル薄膜、7 検出変調モジュール、701 第3ダイヤフラム、702 第2位相補償器、703 偏光検出器、704 第4ダイヤフラム、705 シリコン検出器、8 信号収集処理モジュール、801 信号収集ユニット、802 コンピューター、9 空気、10 基板、11 直線偏光。
【要約】
【課題】膜厚の値の高精度を実現し、可トレーサビリティ測定のレーザーエリプソメトリックシステムに基づく膜厚測定装置および測定方法を提供すること。
【解決手段】レーザー光源は平行光レーザービームを放出し、レーザービームは順にフィルターホイール、光アイソレータおよびリフレクターセットを通過してポラライザー変調モジュールに入射され、その後順に前記第1ダイヤフラム、ポラライザー、第1位相補償器および第2ダイヤフラムを通過して変調直線偏光を形成して入射角θで被測定サンプルに入射され反射されて偏光検出変調モジュールで偏光状態に変調され、最後に信号収集処理モジュールに入ってシリコン検出器で受信され、信号収集ユニットは前記シリコン検出器で受信した光強度信号をデジタル信号に変換してデータ処理を行う。
【選択図】図1
図1
図2