(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】メモリセルのマルチステートプログラミング
(51)【国際特許分類】
G11C 11/56 20060101AFI20240131BHJP
G11C 13/00 20060101ALI20240131BHJP
H10B 63/00 20230101ALI20240131BHJP
H10B 63/10 20230101ALI20240131BHJP
H10N 70/20 20230101ALI20240131BHJP
【FI】
G11C11/56 450
G11C13/00 210
G11C13/00 480B
G11C13/00 270G
H10B63/00
H10B63/10
H10N70/20
(21)【出願番号】P 2022540311
(86)(22)【出願日】2020-12-10
(86)【国際出願番号】 US2020064202
(87)【国際公開番号】W WO2021138016
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-25
(32)【優先日】2019-12-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】595168543
【氏名又は名称】マイクロン テクノロジー,インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100074099
【氏名又は名称】大菅 義之
(72)【発明者】
【氏名】ハースト ジェレミー エム.
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン シャンキー ケー.
(72)【発明者】
【氏名】カストロ ハーナン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ダッジ リチャード ケー.
(72)【発明者】
【氏名】メルトン ウィリアム エー.
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0164611(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0115079(US,A1)
【文献】特表2014-529838(JP,A)
【文献】特表2021-504869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0044539(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/56
G11C 13/00
H10B 63/00
H10B 63/10
H10N 70/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリセルを有するメモリ、及び
回路、
を含む装置であって、
前記回路は、前記複数のメモリセルのうちの1つのメモリセルを、
電圧パルスを前記メモリセルに印加することと、
前記印加された電圧パルスに応答して前記メモリセルがスナップバックすると決定することと、
前記メモリセルがスナップバックすると決定すると、前記メモリセルへの電流をオフにすることと、
前記メモリセルへの前記電流をオフにした後、前記メモリセルにいくつかの追加の電圧パルスを印加することと、
によって、複数の可能なデータ状態のうちの1つにプログラムするように構成される、
前記装置。
【請求項2】
前記回路は、前記印加された電圧パルスに応答して前記メモリセルの前記スナップバックを感知するように構成されるセンスアンプを有するセンス回路を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数のメモリセルのそれぞれは、単一の材料が選択素子及びストレージ素子として機能する自己選択メモリセルである、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記回路は、前記メモリセルがスナップバックすると決定した直後、前記メモリセルへの前記電流をオフにするように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項5】
前記回路は、前記メモリセルがスナップバックすると決定する際、特定の時間が経過した後に前記メモリセルへの前記電流をオフにするように構成される、請求項1または2に記載の装置。
【請求項6】
前記回路は、
異なる電圧のシーケンスを前記メモリセルへ印加することを、前記シーケンスの前記印加された電圧のうちの1つに応答して前記メモリセルがスナップバックすると決定するまで
行うことによって
、前記メモリセルがプログラムされる、前記複数の可能なデータ状態のうちの前記1つを決定するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
メモリを動作させる方法であって、
メモリセルを少なくとも3つの可能なデータ状態のうちの1つに、
電圧パルスを前記メモリセルに印加することと、
前記印加された電圧パルスに応答して前記メモリセルがスナップバックすると決定することと、
前記メモリセルがスナップバックすると決定すると、前記メモリセルへの電流をオフにすることと、
前記メモリセルへの前記電流をオフにした後、前記メモリセルにいくつかの追加の電圧パルスを印加することと、
によって、プログラムすることを含む、
前記方法。
【請求項8】
前記いくつかの追加の電圧パルスを前記メモリセルに印加することは、前記メモリセルの閾値電圧をインクリメントに変化させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記印加された電圧パルスに応答して前記メモリセルがスナップバックすると決定することは、前記印加された電圧パルスに応答して前記メモリセルに関連する電圧変化を感知することを含み、
前記メモリセルに関連する前記電圧変化を感知することは、前記メモリセルに結合される信号線上の電圧が特定の電圧閾値を満たす、または超えることを感知することを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記方法は、前記メモリセルに結合されるドライバをオフにすることによって、前記メモリセルへの前記電流をオフにすることを含む、請求項7または8に記載の方法。
【請求項11】
複数のメモリセルを有するメモリ、及び
回路、
を含む装置であって、
前記回路は、前記複数のメモリセルのうちの1つのメモリセルを、
電圧パルスを前記メモリセルに印加することと、
前記印加された電圧パルスに応答して前記メモリセルがスナップバックすると決定することと、
前記メモリセルがスナップバックすると決定すると、前記メモリセルへの電流をオフにすることと、
前記メモリセルへの前記電流をオフにした後、第一極性を有する単一の追加の電圧パルス、または前記第一極性と反対の第二極性を有する単一の追加の電圧パルスを、前記メモリセルに印加することと、
によって、3つの可能なデータ状態のうちの1つにプログラムするように構成される、
前記装置。
【請求項12】
前記3つの可能なデータ状態は、
前記第一極性についての振幅が前記第二極性よりも大きい、第一閾値電圧分布に関連する第一データ状態と、
前記第二極性についての振幅が前記第一極性よりも大きい、第二閾値電圧分布に関連する第二データ状態と、
前記第一極性及び前記第二極性についての振幅が実質的に等しい、第三閾値電圧分布に関連する第三データ状態と、
を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
メモリを動作させる方法であって、
メモリセルを4つの可能なデータ状態のうちの1つに、
電圧パルスを前記メモリセルに印加することと、
前記印加された電圧パルスに応答して前記メモリセルがスナップバックすると決定することと、
前記メモリセルがスナップバックすると決定すると、前記メモリセルへの電流をオフにすることと、
前記メモリセルへの前記電流をオフにした後に第一の数の追加の電圧パルスを前記メモリセルに印加することであって、前記第一の数の追加の電圧パルスのそれぞれは第一極性を有する、もしくは前記第一の数の追加の電圧パルスのそれぞれは前記第一極性と反対の第二極性を有する、前記印加することと、または
前記メモリセルへの前記電流をオフにした後に第二の数の追加の電圧パルスを前記メモリセルに印加することであって、前記第二の数の追加の電圧パルスのそれぞれは前記第一極性を有する、もしくは前記第二の数の追加の電圧パルスのそれぞれは前記第二極性を有する、前記印加することと、
によって、プログラムすることを含む、
前記方法。
【請求項14】
前記第一の数の追加の電圧パルスは、1つの追加の電圧パルスを含み、
前記第二の数の追加の電圧パルスは、2つの追加の電圧パルスを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第一の数の追加の電圧パルスを前記メモリセルに印加することは、前記1つの追加の電圧パルスが負極性を有する場合に前記4つの可能なデータ状態のうちの第一データ状態に前記メモリセルをプログラムし、前記1つの追加の電圧パルスが正極性を有する場合に前記4つの可能なデータ状態のうちの第二データ状態に前記メモリセルをプログラムし、
前記第二の数の追加の電圧パルスを前記メモリセルに印加することは、前記2つの追加の電圧パルスのそれぞれが負極性を有する場合に前記4つの可能なデータ状態のうちの第三データ状態に前記メモリセルをプログラムし、前記2つの追加の電圧パルスのそれぞれが正極性を有する場合に前記4つの可能なデータ状態のうちの第四データ状態に前記メモリセルをプログラムする、請求項
14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、半導体メモリ及び方法に関し、より具体的には、メモリセルのマルチステートプログラミングに関する。
【背景技術】
【0002】
メモリデバイスは典型的には、コンピュータまたは他の電子デバイスにおいて内部半導体、集積回路、及び/または外部リムーバブルデバイスとして提供される。揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含む多くの様々なタイプのメモリが存在する。揮発性メモリはそのデータを保持するために電力が必要であり得、特に、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)、及び同期ダイナミックランダムアクセスメモリ(SDRAM)を含み得る。不揮発性メモリは、電力供給のない時も記憶データを保持することで永続的データを提供することができ、不揮発性メモリは、数ある中でも、NANDフラッシュメモリ、NORフラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、ならびに、相変化ランダムアクセスメモリ(PCRAM)、抵抗ランダムアクセスメモリ(RRAM)、磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM)、及びプログラム可能導体メモリなどの抵抗可変メモリを含み得る。
【0003】
メモリデバイスは、高メモリ密度、高信頼性、及び低電力消費を必要とする広範囲な電子的用途の揮発性メモリ及び不揮発性メモリとして、利用することができる。不揮発性メモリは、電子デバイスの中でも特に、例えば、パーソナルコンピュータ、ポータブルメモリスティック、ソリッドステートドライブ(SSD)、デジタルカメラ、携帯電話、MP3プレイヤなどの携帯型ミュージックプレイヤ、及びムービープレイヤにおいて使用され得る。
【0004】
抵抗可変メモリデバイスは、ストレージ素子(例えば、可変抵抗を有するメモリ素子)の抵抗状態に基づいてデータを格納することができる抵抗可変メモリセルを含み得る。従って、抵抗可変メモリセルは、メモリ素子の抵抗レベルを変化させることによって、標的データ状態に対応するデータを格納するようにプログラムすることができる。セルに対し(例えばセルのメモリ素子に対し)、特定の持続時間、正または負の電気パルス(例えば正または負の電圧または電流パルス)などの電界またはエネルギーのソースを印加することにより、抵抗可変メモリセルを標的データ状態(例えば特定の抵抗状態に対応する)標的データ状態にプログラムすることができる。抵抗可変メモリセルの状態は、印加された呼掛け電圧に応答してセルを流れる電流を検知することにより、特定され得る。検知電流は、セルの抵抗レベルに基づいて変化し、セルの状態を示し得る。
【0005】
様々なメモリアレイは、セルにアクセスするために使用される第1及び第二信号線の交点(例えば、ワード線とビット線の交点)に配置されるメモリセル(例えば、抵抗可変セル)を備えたクロスポイントアーキテクチャで編成できる。いくつかの抵抗可変メモリセルは、ストレージ素子(例えば、異なる抵抗レベルにプログラム可能な、相変化材料、金属酸化物材料、及び/またはいくつかの他の材料)と直列で、選択素子(例えば、ダイオード、トランジスタ、または他のスイッチングデバイス)を含むことができる。自己選択メモリセルと称される場合があるいくつかの抵抗可変メモリセルは、メモリセルの選択素子及びストレージ素子の両方として機能することができる単一の材料を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】本開示の一実施形態による、メモリアレイの一例の三次元図である。
【
図2A】本開示の一実施形態による、メモリセルのメモリ状態に関連する閾値電圧分布を示す。
【
図2B】本開示の一実施形態による、
図2Aのメモリ状態に対応する電流対電圧曲線の一例である。
【
図2C】本開示の一実施形態による、
図2Aの別のメモリ状態に対応する電流対電圧曲線の一例である。
【
図3A】本開示の一実施形態による、メモリセルのメモリ状態に関連する閾値電圧分布を示す。
【
図3B】本開示の一実施形態による、メモリセルのメモリ状態に関連する閾値電圧分布を示す。
【
図4】本開示の一実施形態による、メモリアレイの一部及び関連回路の一例を示す。
【
図5】本開示の一実施形態による、メモリアレイの一部及び関連回路の一例を示す。
【
図6】本開示の一実施形態による、メモリセルに印加される電圧、及びメモリセルを通した電流の流れの一例を示す。
【
図7】本開示の一実施形態による、装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、メモリセルのマルチステートプログラミングのための装置、方法、及びシステムを含む。一実施形態は、複数のメモリセルを有するメモリ、及び回路を含み、この回路は、複数のメモリセルのうちの1つのメモリセルを、このメモリセルに電圧パルスを印加することと、印加された電圧パルスに応答してメモリセルがスナップバックすると決定することと、メモリセルがスナップバックすると決定すると、メモリセルへの電流をオフにすることと、メモリセルへの電流をオフにした後にいくつかの追加の電圧パルスをメモリセルに印加することと、によって、複数の可能なデータ状態のうちの1つにプログラムするように構成される。
【0008】
本開示の実施形態は、以前のメモリデバイスと比較して、密度の上昇、コストの削減、パフォーマンスの向上、消費電力の削減、及び/またはより高速及び/またはより複雑な動作などの利点を提供することができる。例えば、自己選択メモリセルなどの抵抗可変メモリセルをプログラムするための以前のアプローチは、セルに対して2つの異なる状態を生成することができる場合があるため、これらのセルは、2つの可能なデータ状態(例えば、状態0または状態1)のうちの1つにプログラムされることができる。ただし、本開示による抵抗可変メモリセルのプログラミングアプローチは、セルに対して追加の(例えば、2つより多い)データ状態を生成することができるため、これらのセルは、少なくとも3つの可能なデータ状態のうちの1つにプログラムされることができる。
【0009】
そのようなマルチステートプログラミングは、複数の閾値電圧を利用して、複雑なメモリ動作、例えば、データが符号化され、マッチング関数または部分マッチング関数(例えば、ハミング距離)が計算される機械学習アプリケーションなどをサポートすることができる。例えば、そのようなマルチステートプログラミングは、効率的な方法で多くのベクトルが格納されている、入力ベクトルパターンのマッチング関数または部分マッチング関数の計算をサポートすることができる。
【0010】
さらに、そのようなマルチステートプログラミングは、コストを削減する、及び/または標準的なメモリアプリケーションの密度を上げるのに有用であることができる。例えば、そのようなマルチステートプログラミングは、以前の二状態プログラミングアプローチを利用して、同等の数のデータ状態を符号化するために必要なビット数を減少させることができる。これらの余分なビットは、例えば、誤り訂正符号(ECC)及び/またはデータ冗長性操作に使用されることができる。
【0011】
さらに、そのようなマルチステートプログラミングは、メモリのパフォーマンスを向上させるのに有用であることができる。例えば、そのようなマルチステートプログラミングを使用して、メモリセル(例えば、抵抗可変メモリセル)を、メモリアレイ内でより低いリークを提供する状態に置くことができる。さらに、そのようなマルチステートプログラミングを使用して、アレイのセルを選択することを困難にすることなく、アレイ上でより高い抑制電圧を使用することを可能にする状態にメモリセルを置くことができる。これは、例えば、アレイの初期化(例えば、最初の起動)中に、より高い電圧をアレイに印加する必要があり得る場合に有用であり得る。
【0012】
本明細書で使用されるように、「a」、「an」、または「いくつかの(a number of)」は、1つ以上のあるものを指すことができ、「複数の(a plurality of)」は、2つ以上のそのようなものを指すことができる。例えば、メモリデバイスは、1つ以上のメモリデバイスを指すことができ、複数のメモリデバイスは、2つ以上のメモリデバイスを指すことができる。加えて、指示子「N」及び「M」は、特に図面における参照符号に関して本明細書で使用されるように、そのように指定されたいくつかの特定の特徴が、本開示のいくつかの実施形態に含まれてもよいことを示す。
【0013】
本明細書の図は、最初の一桁または複数桁の数字が図面の図番号に対応し、残りの桁の数字が図面の要素または構成要素を識別する、番号付け規則に従う。異なる図面において類似する要素または構成要素は、類似の数字を使用することによって識別され得る。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態による、メモリアレイ100(例えば、クロスポイントメモリアレイ)の一例の三次元図である。メモリアレイ100は、ワード線110-0から110-Nと称される場合がある複数の第一信号線(例えば、第一アクセス線)と、互いに交差する(例えば、異なる平面で交差する)ビット線120-0から120-Mと称される場合がある複数の第二信号線(例えば、第二アクセス線)とを含み得る。例えば、ワード線110-0から110-Nのそれぞれは、ビット線120-0から120-Mと交差してもよい。メモリセル125は、ビット線とワード線の間に(例えば、各ビット線/ワード線の交差点に)あり得る。
【0015】
メモリセル125は、例えば、抵抗可変メモリセルであり得る。メモリセル125は、異なるデータの状態にプログラム可能な材料を含み得る。いくつかの例では、各メモリセル125は、選択素子(例えば、スイッチング材料)及びストレージ素子として機能し得る単一材料を含み得、その結果、各メモリセル125は、セレクタデバイス及びメモリ素子の両方として機能し得る。そのようなメモリセルは、本明細書では自己選択メモリセルと称される場合がある。例えば、各メモリセルは、さまざまなドープ材料または非ドープ材料から形成され得る、相変化材料であっても、なくてもよい、及び/またはメモリセルを読み込み中に、及び/または書き込み中に相変化を受ける場合、あるいは受けない場合もある、カルコゲナイド材料を含み得る。一部の例では、各メモリセル125は、セレン(Se)、ヒ素(As)、及びゲルマニウム(Ge)を含み得る三元組成、シリコン(Si)、Se、As、及びGeを含み得る四元組成などを含み得る。
【0016】
様々な実施形態において、メモリセル125の閾値電圧は、それらの閾値電圧を超える、それらに印加された電圧差の振幅に応答して、スナップバックし得る。そのようなメモリセルはスナップバックメモリセルと呼ぶ場合がある。例えば、メモリセル125は、印加された電圧差が閾値電圧を超えることに応答して、非導電性(例えば、高インピーダンス)の状態から導電性(例えば、より低いインピーダンス)の状態に変化する(例えば、スナップバックする)し得る。例えば、メモリセルのスナップバックは、メモリセルにわたり印加される電圧差がメモリセルの閾値電圧よりも大きいことに応答して、高インピーダンス状態から低インピーダンス状態へのメモリセルの遷移と称される場合がある。スナップバックするメモリセルの閾値電圧は、例えば、スナップバックイベントと呼ばれる場合がある。
【0017】
図2Aは、本開示の一実施形態による、
図1に示されるメモリセル125などのメモリセルの様々な状態に関連する閾値分布を示す。例えば、
図2Aに示されるように、メモリセルは3つの可能なデータ状態(例えば、状態0、状態1、または状態T)のうちの1つにプログラムされることができる。すなわち、
図2Aは、メモリセルがプログラムされることができる3つの可能なデータ状態に関連する閾値電圧分布を示す。
【0018】
図2Aでは、電圧VCELLは、ビット線電圧(VBL)とワード線電圧(VWL)との間の差(例えば、VCELL=VBL-VWL)のような、メモリセルに(例えば、それにわたり)印加される電圧差に対応し得る。閾値電圧分布(例えば、範囲)200-1、200-2、201-1、201-2、202-T1、及び202-T2は、特定の状態にプログラムされたメモリセルの閾値電圧の統計的な変動を表し得る。
図2Aに示す分布は
図2B及び
図2Cに関連してさらに説明する電流対電圧曲線に対応し、それらは割り当てられたデータの状態に関連するスナップバックの非対称性を示している。
【0019】
いくつかの例では、
図2A、
図2B及び
図2Cに示されるように、特定の状態におけるメモリセル125の閾値電圧の振幅は、異なる極性に対して非対称であり得る。例えば、状態0または状態1にプログラムされるメモリセル125の閾値電圧は、1つの極性で反対の極性と異なる振幅を有し得る。例えば、
図2Aに示される例では、第一データ状態(例えば、状態0)は、負極性についての振幅が正極性よりも大きい第一非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布201-1及び201-2)に関連付けられ、第二データ状態(例えば、状態1)は、正極性についての振幅が負極性よりも大きい第二非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布200-1及び200-2)に関連付けられる。そのような例では、メモリセル125にスナップバックさせるのに十分な印加された電圧の振幅は、一方の印加された電圧の極性に対して、他方の極性とは異なる(例えば、他方の極性よりも高い、または低い)場合がある。
【0020】
いくつかの例では、
図2Aに示されるように、特定の状態におけるメモリセル125の閾値電圧の振幅は、異なる極性に対して対称であり得る。例えば、状態Tにプログラムされるメモリセル125の閾値電圧は、反対の極性で同じ振幅を有し得る。例えば、
図2Aに示される例では、第三データ状態(例えば、状態T)は、正極性及び負極性の両方についての振幅が実質的に等しい(例えば、高い)対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布202-T1及び202-T2)に関連付けられる。そのような例では、メモリセル125にスナップバックさせるのに十分な印加された電圧の振幅は、異なる印加された電圧の極性に対して同じであることができる。
【0021】
図2Aは、メモリセルの状態を決定する(例えば、読み出し動作の一部として状態間の区別をする)ために使用されることができる境界電圧VDM1及びVDM2を示す。この例では、VDM1は、状態0(例えば、閾値電圧分布201-2)のセルを、状態1(例えば、閾値電圧分布200-2)または状態T(例えば、閾値電圧分布202-T2)のセルと区別するために使用される正電圧である。同様に、VDM2は、状態1(例えば、閾値電圧分布200-1)のセルを、状態0(例えば、閾値電圧分布201-1)または状態T(例えば、閾値電圧分布202-T1)のセルと区別するために使用される負電圧である。
図2A~
図2Cの例では、正の状態1のメモリセル125は、VDM1を印加することに応答してスナップバックしない。正の状態0のメモリセル125は、VDM1を印加することに応答してスナップバックする。負の状態1のメモリセル125は、VDM2を印加することに応答してスナップバックする。また、負の状態0のメモリセル125は、VDM2を印加することに応答してスナップバックしない。
【0022】
実施形態は、
図2Aに示される例に限定されない。例えば、状態0と状態1の指定を交換できる(例えば、分布201-1と201-2を状態1として指定することができ、分布200-1と200-2を状態0として指定することができる)。さらに、実施形態は、本明細書で(例えば、
図3A~3Bに関連して)さらに説明されるように、メモリセルをプログラムすることができる3つより多い可能なデータ状態を含むことができる。
【0023】
図2B及び
図2Cは、本開示の一実施形態による、
図2Aのメモリ状態に対応する電流対電圧曲線の例である。このように、この例では、
図2Bと
図2Cの曲線は、特定の極性(この例では正極性の方向)で状態1がより高い閾値電圧状態として指定され、状態0は、反対の極性(この例では負極性の方向)での閾値電圧が高い状態として指定されるセルに対応する。上記のように、状態の指定は、状態0が正極性の方向のより高い閾値電圧状態に対応し、状態1が負の方向のより高い閾値電圧状態に対応し得るように交換することができる。
【0024】
図2B及び
図2Cは、本明細書に記載されるようなメモリセルのスナップバックを示す。VCELLは、メモリセルにわたり印加された電圧を表すことができる。例えば、VCELLは、セルに対応する上部電極に印加される電圧から、セルに対応する下部電極に印加される電圧(例えば、それぞれのワード線及びビット線を介して)を引いた電圧であり得る。
図2Bに示すように、印加された正極性電圧(VCELL)に応答して、状態1(例えば、閾値電圧分布200-2)にプログラムされたメモリセルは、VCELLが電圧Vtst02に到達するまで非導電状態になり、その時点でセルが導電性(例えば、より低い抵抗)状態に遷移する。この遷移は、(特定の極性で)セルに印加された電圧がセルの閾値電圧を超えたときに発生するスナップバックイベントと呼ばれ得る。したがって、電圧Vtst02は、スナップバック電圧と呼ぶことができる。
図2Bでは、電圧Vtst01は、状態1(例えば、閾値電圧分布200-1)にプログラムされたセルのスナップバック電圧に対応する。すなわち、
図2Bに示されるように、メモリセルは、VCELLが負極性方向にVtst01を超えると、導電状態に遷移する(例えば、スイッチする)。
【0025】
同様に、
図2Cに示すように、印加された負極性電圧(VCELL)に応答して、状態0(例えば、閾値電圧分布201-1)にプログラムされたメモリセルは、VCELLが電圧Vtst11に達するまで非導電状態にある。その時点で、セルは導電(例えばより低い抵抗)の状態にスナップバックする。
図2Cでは、電圧Vtst12は、状態0(例えば、閾値電圧分布201-2)にプログラムされたセルのスナップバック電圧に対応する。つまり、
図2Cに示すように、VCELLが正極性方向にVtst12を超えると、メモリセルは高インピーダンスの非導電状態から低インピーダンスの導電状態にスナップバックする。
【0026】
様々な例において、スナップバックイベントは、メモリセルスイッチング状態をもたらす可能性がある。例えば、Vtst02を超えるVCELLが状態1のセルに印加された場合、結果のスナップバックイベントにより、セルの閾値電圧がVDM1未満のレベルに低下し、セルが状態0(例えば、閾値電圧分布201-2)として読み取られることになる。したがって、いくつかの実施形態では、スナップバックイベントを使用して、セルを反対の状態に(例えば、状態1から状態0に、またはその逆に)書き込むことができる。
【0027】
図3A及び
図3Bは、本開示の一実施形態による、
図1に示されるメモリセル125などのメモリセルの様々な状態に関連する閾値分布をそれぞれ示す。例えば、
図3Aに示される例では、メモリセルは4つの可能なデータ状態(例えば、状態0、状態1、状態2、または状態3)のうちの1つにプログラムされることができる。すなわち、
図3Aは、メモリセルがプログラムされることができる4つの可能なデータ状態に関連する閾値電圧分布を示す。
図3Bに示される例では、メモリセルは6つの可能なデータ状態(例えば、状態0、状態1、状態2、状態3、状態4、または状態5)のうちの1つにプログラムされることができる。すなわち、
図3Bは、メモリセルがプログラムされることができる6つの可能なデータ状態に関連する閾値電圧分布を示す。
【0028】
図3A及び3Bでは、電圧VCELLは、
図2Aに関連して前述されるように、メモリセルに(例えば、両端に)印加される電圧差(例えば、VCELL=VBL-VWL)に対応し得る。閾値電圧分布(例えば、範囲)303-1、303-2、305-1、305-2、307-1、307-2、309-1、309-2、311-1、311-2、313-1、313-2、315-1、315-2、317-1、317-2、318-1、318-2、319-1、及び319-2は、特定の状態にプログラムされるメモリセルの閾値電圧の統計的ばらつきを表し得る。
【0029】
いくつかの例では、
図3A及び
図3Bに示されるように、特定の状態におけるメモリセル125の閾値電圧の振幅は、異なる極性に対して非対称であり得る。例えば、
図3Aに示される例では、第一データ状態(例えば、状態2)は、負極性についての振幅が正極性より大きい第一非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布303-1及び303-2)に関連付けられ、第二データ状態(例えば、状態1)は、正極性についての振幅が負極性よりも大きい第二非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布305-1及び305-2)に関連付けられ、第三データ状態(例えば、状態0)は、正極性についての振幅が負極性よりも大きい第三非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布307-1及び307-2)に関連付けられ、第四データ状態(例えば、状態3)は、負極性についての振幅が正極性よりも大きい第四非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布309-1及び309-2)に関連付けられる。さらに、
図3Aに示されるように、閾値電圧分布303-1及び309-1の振幅は、実質的に等しくてもよく、閾値電圧分布305ー1の振幅よりも大きくてもよく、今度は、この閾値電圧分布305-1の振幅は、閾値電圧分布307-1の振幅よりも大きくてもよく、そして、閾値電圧分布305-2及び307-2の振幅は、実質的に等しくてもよく、閾値電圧分布309-2の振幅よりも大きくてもよく、今度は、この閾値電圧分布309-2の振幅は、閾値電圧分布303-2の振幅よりも大きくてもよい。
【0030】
さらに、
図3Bに示される例では、第一データ状態(例えば、状態3)は、負極性についての振幅が正極性より大きい第一非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布311-1及び311-2)に関連付けられ、第二データ状態(例えば、状態2)は、正極性についての振幅が負極性よりも大きい第二非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布313-1及び313-2)に関連付けられ、第三データ状態(例えば、状態1)は、正極性についての振幅が負極性よりも大きい第三非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布315-1及び315-2)に関連付けられ、第四データ状態(例えば、状態0)は、正極性についての振幅が負極性よりも大きい第四非対称電圧分布(例えば、閾値電圧分布317-1及び317-2)に関連付けられ、第五データ状態(例えば、状態5)は、負極性についての振幅が正極性よりも大きい第五非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布318-1及び318-2)に関連付けられ、第六データ状態(例えば、状態4)は、負極性についての振幅が正極性よりも大きい第六非対称閾値電圧分布(例えば、閾値電圧分布319-1及び319-2)に関連付けられる。さらに、
図3Bに示されるように、閾値電圧分布311-1、318-1、及び319-1の振幅は、実質的に等しくてもよく、閾値電圧分布313-1の振幅より大きくてもよく、今度は、この閾値電圧分布313-1の振幅は、閾値電圧分布315-1の振幅よりも大きくてもよく、今度は、この閾値電圧分布315-1の振幅は、閾値電圧分布317-1の振幅よりも大きく、そして、閾値電圧分布313-2、315-2、及び317-2の振幅は、実質的に等しくてもよく、閾値電圧分布318-2の振幅よりも大きくてもよく、今度は、この閾値電圧分布318-2の振幅は、閾値電圧分布319-2の振幅よりも大きくてもよく、今度は、この閾値電圧分布319-2の振幅は、閾値電圧分布311-2の振幅よりも大きくてもよい。
【0031】
図3Aは、
図3Aに示される4つのデータ状態のうちの1つにプログラムされるメモリセルの状態を決定する(例えば、読み出し動作の一部として状態間の区別をする)ために使用されることができる境界電圧VDM1、VDM2、VDM3、及びVDM4を示す。この例では、VDM1及びVDM2は、状態2または3(例えば、閾値電圧分布303-2及び309-2)でのセルを、状態1または0(例えば、閾値電圧分布305-2または307-2)でのセルと区別するために使用される、振幅が異なる(例えば、VDM2の振幅がVDM1の振幅よりも大きい)正電圧である。同様に、VDM3及びVDM4は、状態0または1(例えば、閾値電圧分布307-1または305-1)でのセルを、状態2または3(例えば、閾値電圧分布303-1または309-1)でのセルと区別するために使用される、振幅が異なる(例えば、VDM4の振幅がVDM3の振幅よりも大きい)負電圧である。
【0032】
図3Aの例では、状態0でのメモリセル125は、VDM3を印加することに応答してスナップバックし、状態1でのメモリセル125は、VDM4を印加することに応答してスナップバックし、状態2でのメモリセル125は、VDM1を印加することに応答してスナップバックし、状態3でのメモリセル125は、VDM2を印加することに応答してスナップバックする。したがって、メモリセル125がプログラムされた状態は、印加された境界電圧の1つに応答してセルがスナップバックするまで、セルに境界電圧を順次印加する(例えば、セルに最初にVDM3、次にVDM4、次にVDM1、次にVDM2を印加する)ことによって決定される(例えば、読み出される)ことができる。
【0033】
図3Bは、
図3Bに示される6つのデータ状態のうちの1つにプログラムされるメモリセルの状態を決定する(例えば、読み出し動作の一部として状態間の区別をする)ために使用されることができる境界電圧VDM1、VDM2、VDM3、VDM4、VDM5、及びVDM6を示す。この例では、VDM1、VDM2、及びVDM3は、状態3、4、または5(例えば、閾値電圧分布311-2、319-2、または318-2)でのセルを、状態2、1、または0(例えば、閾値電圧分布313-2、315-2、または317-2)でのセルと区別するために使用される、振幅が異なる(例えば、VDM3の振幅がVDM2の振幅よりも大きく、VDM2の振幅がVDM1の振幅よりも大きい)正電圧である。同様に、VDM4、VDM5、及びVDM6は、状態0、1、または2(例えば、閾値電圧分布317-1、315-1、または313-1)でのセルを、状態3、4、または5(例えば、閾値電圧分布311-1、319-1、または318-1)でのセルと区別するために使用される、振幅が異なる(例えば、VDM6の振幅がVDM5の振幅よりも大きく、VDM5の振幅がVDM4の振幅よりも大きい)負電圧である。
【0034】
図3Bの例では、状態0のメモリセル125は、VDM4を印加することに応答してスナップバックし、状態1のメモリセル125は、VDM5を印加することに応答してスナップバックし、状態2のメモリセル125は、VDM6を印加することに応答してスナップバックし、状態3のメモリセル125は、VDM1を印加することに応答してスナップバックし、状態4のメモリセル125は、VDM2を印加することに応答してスナップバックし、状態5のメモリセルは、VDM3を印加することに応答してスナップバックする。したがって、メモリセル125がプログラムされた状態は、印加された境界電圧の1つに応答してセルがスナップバックするまで、セルに境界電圧を順次印加する(例えば、セルに最初にVDM4、次にVDM5、次にVDM6、次にVDM1、次にVDM2、次にVDM3を印加する)ことによって決定される(例えば、読み出される)ことができる。
【0035】
実施形態は、
図3A及び
図3Bに示される例に限定されない。例えば、さまざまな状態の数値指定は交換されることができる。
【0036】
本開示の一実施形態では、
図1に示されるメモリセル125などのメモリセルは、複数の可能なデータ状態のうちの1つにプログラムされることができる。例えば、メモリセルは、
図2Aに関連して説明される3つの可能なデータ状態のうちの1つ、
図3Aに関連して説明される4つの可能なデータ状態のうちの1つ、または
図3Bに関連して説明される6つの可能なデータ状態のうちの1つにプログラムされることができる。セルは、本明細書でさらに説明されるように、例えば、セルの閾値電圧を複数の可能な値のうちの1つに変更する(例えば、調整する)ことによって、複数の可能なデータ状態のうちの1つにプログラムされることができる。
【0037】
例えば、電圧パルスをメモリセルに印加することができる。電圧パルスは、例えば、メモリセルにスナップバックさせる(例えば、スナップバックさせることができる)のに十分に振幅が高いバイアス電圧パルス(例えば、VCELL)であることができる。バイアス電圧パルスは、本明細書で前述されるように、例えば、第一極性を有する電圧パルス、及び/または第一極性と反対の第二極性を有する電圧パルスを含むことができる。例えば、バイアス電圧パルスを印加することは、正の5.5ボルト(V)パルス及び/または負の5.5Vパルスをメモリセルに印加することを含むことができる。さらに、バイアス電圧パルスは、本明細書で前述されるように、セルに結合されるワード線(例えば、VWL)に印加される電圧と、セルに結合されるビット線(例えば、VBL)に印加される電圧とを含むことができる。そのような電圧パルス(例えば、VWL及びVBL)を説明する一例は、本明細書で(例えば、
図6に関連して)さらに説明される。
【0038】
印加されたバイアス電圧パルスに応答してメモリセルが導電状態にスナップバックすると(例えば、そうする場合)、電流(例えば、過渡電流)のパルスがメモリセルを通して流れる場合がある。特定の時間が経過すると、セルを通した過渡電流が損失し得、セルの両端にDC電流が確立され得る。そのようなメモリセルを通した電流の流れを説明する一例は、本明細書で(例えば、
図6に関連して)さらに説明される。
【0039】
電圧パルス(例えば、バイアス電圧パルス)がメモリセルに印加された後、印加された電圧パルスに応答して(例えば、正または負のパルスに応答して)メモリセルがスナップバックした(例えば、感知した、及び/または検知した)と決定することができる。この決定は、例えば、印加された電圧パルスに応答して発生した、メモリセルに関連する(例えば、セルに結合される信号線上の)電圧変化を感知することによって行われることができる。例えば、そのような電圧変化を感知することは、セルに結合される信号線(例えば、ワード線)上の電圧が特定の電圧閾値(例えば、0.45V)を満たす、または超えることを感知することを含んでもよい。そのような決定をさらに説明する一例、及びそのような決定を実行するために使用されることができる回路は、本明細書で(例えば、
図4及び6に関連して)さらに説明される。
【0040】
メモリセルがスナップバックしたと決定すると、メモリセルへの電流(例えば、メモリセルに結合される信号線を通して流れる電流)がオフになる(例えば、抑制される)ことができる。メモリセルへの電流は、本明細書で(例えば、
図5に関連して)さらに説明されるように、例えば、メモリセルに結合されるドライバ(例えば、セルに結合される、ワード線及び/またはビット線にそれぞれ結合されるワード線ドライバ及び/またはビット線ドライバ)をオフにする(例えば、無効にする)ことによって、オフにされることができる。
【0041】
メモリセルへの電流は、セルのスナップバックが公称スナップバック通電イベントよりも低い(例えば、過渡電流がメモリセルを通ることにより、完全に損失してセルの両端にDC電流を確立することができた場合よりも低い)ように、十分に迅速にオフにされることができる。例えば、電流は、メモリセルがスナップバックしたと決定すると即時に(例えば、遅延なく)オフにされることができる、またはメモリセルがスナップバックしたと決定すると、特定の時間(例えば、短い遅延)が経過した後にオフにされることができる。この遅延、及びそのような遅延を提供するために使用されることができる回路は、本明細書で(例えば、
図5及び6に関連して)さらに説明される。
【0042】
メモリセルへの電流がオフにされた後、いくつかの短い追加の電圧パルスがメモリセルに順次印加されることができる。本明細書で使用される場合、短いパルスは、バイアス電圧の持続時間よりも短い持続時間を有するパルスを指すことができる。例えば、追加の電圧パルスのそれぞれの持続時間は、5ナノ秒(ns)であることができる。追加の電圧パルスのそれぞれの振幅は、バイアス電圧の振幅と同じであることができる。追加の一例として、追加の電圧パルスの振幅は異なる(例えば、変わる)ことができることにより、メモリセル(例えば、セルの閾値電圧)でのそれぞれの追加のパルスごとの衝撃が変化することができる。さらに、追加の電圧パルスは、セルに結合されるワード線(例えば、VWL)に印加される電圧と、セルに結合されるビット線(例えば、VBL)に印加される電圧とを各含むことができる。そのような追加の電圧パルス(例えば、VWL及びVBL)を示す一例は、本明細書で(例えば、
図6に関連して)さらに説明される。
【0043】
いくつかの追加の電圧パルスをメモリセルに印加すると、メモリセルの閾値電圧がインクリメントに変化する(例えば、調整される)ことができる。例えば、短い追加の第一電圧パルスが印加されると、第一閾値電圧分布内にある第一値にセルの閾値電圧が変化することができ、短い追加の第二電圧パルスが印加されると、第二閾値電圧分布内にある第二値にセルの閾値電圧が変化することができるなどである。そのような方法では、メモリセルは、複数の可能なデータ状態のうちの1つにプログラムされることができる。追加の電圧パルスがセルに印加されるときに電流がメモリセルを通して流れることを示す一例は、本明細書で(例えば、
図6に関連して)さらに説明される。
【0044】
一例として、
図2Aを参照すると、
図2Aに示される状態Tにメモリセルをプログラムするために、第一極性、または第一極性と反対の第二極性を有する単一の短い追加の電圧パルスがメモリセルに印加されることができる。例えば、
図2Aに示される状態0でのメモリセルに負極性を有する単一の短い電圧パルスが印加されると、セルが状態Tにプログラムされることができる(例えば、セルの状態が0からTに変化することができる)。例えば、単一の短い負極性電圧パルスは、負の方向での高い振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧を変化させない場合があるが、正の方向での低い振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を高い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布201-2から閾値電圧分布202-T2まで)上昇させ得る。
図2Aに示される状態1でのメモリセルに正極性を有する単一の短い電圧パルスが印加されると、セルが状態Tにプログラムされることができる(例えば、セルの状態が1からTに変化することができる)。例えば、単一の短い正極性電圧パルスは、正の方向での高い振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧を変化させない場合があるが、負の方向での低い振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を高い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布200-1から閾値電圧分布202-T1まで)上昇させ得る。
【0045】
追加の一例として、
図3Aを参照すると、第一極性、または第一極性と反対の第二極性を有する1つの短い追加の電圧パルスがメモリセルに印加されることができる。例えば、
図3Aに示される状態2でのメモリセルに負極性を有する1つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態1にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が2から1に変化することができる)。例えば、1つの短い負極性電圧パルスは、負の方向での最高の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布303-1から閾値電圧分布305-1まで)低下させ得、正の方向での最低の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布303-2から閾値電圧分布305-2まで)上昇させ得る。
図3Aに示される状態0でのメモリセルに正極性を有する1つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態3にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が0から3に変化することができる)。例えば、1つの短い正極性電圧パルスは、負の方向で最低の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布307-1から閾値電圧分布309-1まで)上昇させ得、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布307-2から閾値電圧分布309-2まで)低下させ得る。
【0046】
追加の一例として、
図3Aを参照すると、第一極性、または第一極性と反対の第二極性を各有する2つの短い追加の電圧パルスがメモリセルに印加されることができる。例えば、
図3Aに示される状態2でのメモリセルに負極性を各有する2つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態0にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が2から0に変化することができる)。例えば、2つの短い負極性電圧パルスのうちの第一のものは、負の方向で最高の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布303-1から閾値電圧分布305-1まで)低下させ得、正の方向で最低の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布303-2から閾値電圧分布307-2まで)上昇させ得、そして、2つの短い負極性電圧パルスのうちの第二のものは、負の方向で観測されたセルの閾値電圧を最低の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布305-1から閾値電圧分布307-1まで)さらに低下させ得るが、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を変化させ得ない。
【0047】
追加の一例として、
図3Aに示される状態0でのメモリセルに正極性を各有する2つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態2にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が0から2に変化することができる)。例えば、2つの短い正極性電圧パルスのうちの第一のものは、負の方向で最低の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布307-1から閾値電圧分布303-1まで)上昇させ得、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布307-2から閾値電圧分布309-2まで)低下させ得、そして、2つの短い正極性電圧パルスのうちの第二のものは、正の方向で観測されたセルの閾値電圧を最低の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布309-2から閾値電圧分布303-2まで)さらに低下させ得るが、負の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を変化させ得ない。
【0048】
追加の一例として、
図3Bを参照すると、第一極性、または第一極性と反対の第二極性を各有する2つの短い追加の電圧パルスがメモリセルに印加されることができる。例えば、
図3Bに示される状態3でのメモリセルに負極性を各有する2つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態2にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が3から2に変化することができる)。例えば、2つの短い負極性電圧パルスは、負の方向で最高の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布311-1から閾値電圧分布313-1まで)低下させ得、正の方向で最低の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布311-2から閾値電圧分布313-2まで)上昇させ得る。
図3Bに示される状態0でのメモリセルに正極性を各有する2つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態5にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が0から5に変化することができる)。例えば、2つの短い正極性電圧パルスは、負の方向で最低の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布317-1から閾値電圧分布318-1まで)上昇させ得、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布317-2から閾値電圧分布318-2まで)低下させ得る。
【0049】
追加の一例として、
図3Bを参照すると、第一極性、または第一極性と反対の第二極性を各有する4つの短い追加の電圧パルスがメモリセルに印加されることができる。例えば、
図3Bに示される状態3でのメモリセルに負極性を各有する4つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態1にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が3から1に変化することができる)。例えば、4つの短い負極性電圧パルスのうちの第一及び第二のものは、負の方向で最高の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布311-1から閾値電圧分布313-1まで)低下させ得、正の方向で最低の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布311-2から閾値電圧分布315-2まで)上昇させ得、そして、4つの短い負極性電圧パルスのうちの第三及び第四のものは、負の方向で観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布313-1から閾値電圧分布315-1まで)さらに低下させ得るが、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を変化させ得ない。
【0050】
追加の一例として、
図3Bに示される状態0でのメモリセルに正極性を各有する4つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態4にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が0から4に変化することができる)。例えば、4つの短い正極性電圧パルスのうちの第一及び第二のものは、負の方向で最低の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布317-1から閾値電圧分布319-1まで)上昇させ得、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布317-2から閾値電圧分布318-2まで)低下させ得、そして、4つの短い正極性電圧パルスのうちの第三及び第四のものは、正の方向で観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布318-2から閾値電圧分布319-2まで)さらに低下させ得るが、負の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を変化させ得ない。
【0051】
追加の一例として、
図3Bを参照すると、第一極性、または第一極性と反対の第二極性を各有する6つの短い追加の電圧パルスがメモリセルに印加されることができる。例えば、
図3Bに示される状態3でのメモリセルに負極性を各有する6つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態0にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が3から0に変化することができる)。例えば、6つの短い負極性電圧パルスのうちの第一及び第二のものは、負の方向で最高の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布311-1から閾値電圧分布313-1まで)低下させ得、正の方向で最低の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布311-2から閾値電圧分布317-2まで)上昇させ得、6つの短い負極性電圧パルスのうちの第三及び第四のものは、負の方向で観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布313-1から閾値電圧分布315-1まで)さらに低下させ得るが、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を変化させ得ず、6つの短い負極性電圧パルスのうちの第五及び第六のものは、負の方向で観測されたセルの閾値電圧を最低の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布315-1から閾値電圧分布317-1まで)さらに低下させ得るが、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を変化させ得ない。
【0052】
追加の一例として、
図3Bに示される状態0でのメモリセルに正極性を各有する6つの短い電圧パルスが印加されると、セルが状態3にプログラムされることができる(例えば、セルの状態が0から3に変化することができる)。例えば、6つの短い正極性電圧パルスのうちの第一及び第二のものは、負の方向で最低の振幅閾値として観測された(例えば、測定された)セルの閾値電圧を最高の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布317-1から閾値電圧分布311-1まで)上昇させ得、正の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布317-2から閾値電圧分布318-2まで)低下させ得、6つの短い正極性電圧パルスのうちの第三及び第四のものは、正の方向で観測されたセルの閾値電圧をより低い振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布318-2から閾値電圧分布319-2まで)さらに低下させ得るが、負の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を変化させ得ず、6つの短い正極性電圧パルスのうちの第五及び第六のものは、正の方向で観測されたセルの閾値電圧を最低の振幅閾値まで(例えば、閾値電圧分布319-2から閾値電圧分布311-2まで)さらに低下させ得るが、負の方向で最高の振幅閾値として観測されたセルの閾値電圧を変化させ得ない。
【0053】
図4は、本開示の一実施形態による、スナップバックイベントを検知するためのメモリアレイ400の一部及び関連回路の一例を示す。メモリアレイ400は、
図1に関連して前述されたメモリアレイ100の一部であり得る。メモリセル425は、ワード線410及びビット線420に結合され、本明細書に記載されるように動作し得る。
【0054】
図4に示される例では、ワード線410に結合されるドライバ450(例えば、ワード線ドライバ450)を含む。ワード線ドライバ450は、双極(例えば、正及び負)の電流及び/または電圧信号をワード線410に供給し得る。交差結合ラッチを含み得るセンスアンプ430は、ワード線ドライバ450に結合され、ワード線410上で正及び負の電流及び/または正及び負の電圧を検知し得る。いくつかの例では、センスアンプ430は、ワード線ドライバ450の一部(例えば、それに含まれる)であってもよい。例えば、ワード線ドライバ450は、センスアンプ430の感知機能を含み得る。ビット線ドライバ452は、正及び/または負の電流及び/または電圧信号をビット線420に供給するためビット線420に結合される。
【0055】
センスアンプ430及びワード線ドライバ450は、ラッチ440に結合され、このラッチは、印加された電圧差に応答してセル425のスナップバックイベントが発生したかどうかを示すデータ値を格納するために使用されることができる。例えば、センスアンプ430の出力信号454はラッチ440に結合されるため、メモリセル425がスナップバックするというセンスアンプ430を介した検知に応答して、出力信号454は適切なデータ値(例えば、検知されたスナップバックイベントを示すために使用されるデータ値に応じて、「1」または「0」のデータ値)をラッチ440にラッチさせる。一例として、「1」というラッチされたデータ値を使用して検知されたスナップバックイベントを示す場合、信号454は、ラッチ440に、セル425の検知されたスナップバックに応答して論理1のデータ値をラッチさせ、逆もまた同様である。また、センスアンプ430の出力信号454は、本明細書で(例えば、
図5に関連して)さらに説明されるように、遅延回路に結合されることができる。
【0056】
正の電圧差VDM1がメモリセル425に印加され(例えば、ワード線電圧VWL1が低く、ビット線電圧VBL1が高く)、メモリセル425が状態0を格納する場合、電圧差VDM1は、閾値電圧Vtst12(
図2C)よりも大きくなり得、メモリセル425は、導電状態にスナップバックし、
図2Cに示されるように、ビット線420からメモリセル425を介してワード線410に正の電流の流れを引き起こし得る。センスアンプ430は、例えば、この電流及び/またはそれに関連する電圧を検知し得、この電流及び/または電圧を検知することに応答して、出力信号454をラッチ440に出力し得る。例えば、信号454は、電流が正であること(例えば、論理でハイの値を有することによる)、したがって、ワード線の電圧が高いことをラッチ440に示し得る。ワード線電圧が高いことを示す信号454に応答して、ラッチ440は、ワード線410、したがってメモリセル425を通る電流の流れをオフにする(例えば、抑制する)信号456(例えば電圧)を、ワード線ドライバ450の、またはこれに結合される回路458に出力し得る。
【0057】
これらの例では、負の電圧差VDM2がメモリセル425に印加され(例えば、ワード線電圧VWL2がハイであり、ビット線電圧VBL2がローであり)、メモリセル425が状態1を格納する場合、電圧差VDM2は(負の意味では)閾値電圧Vtst01(
図2B)よりも大きく、メモリセル428は導電状態にスナップバックし、
図2Bに示されるように、ワード線410からメモリセル425を経てビット線420に負の電流の流れを引き起こし得る。センスアンプ430は、例えば、この電流及び/またはそれに関連する電圧を検知し得、この電流及び/または電圧を検知することに応答して、信号454をラッチ440に出力し得る。例えば、信号454は、電流が負であること(例えば、論理でローの値を有することによる)、したがって、ワード線の電圧が低いことをラッチ440に示し得る。ワード線の電圧が低いことを示す信号454に応答して、ラッチ440は、ワード線410を通る電流の流れをオフにする信号460(例えば電圧)をワード線ドライバ450の、またはこれに結合される回路462に出力し得る。いくつかの例では、回路458及び462と組み合わせたセンスアンプ430は、検知回路と称される場合がある。
【0058】
図5は、本開示の一実施形態によるメモリアレイ500の一部の一例を示す。メモリアレイ500は、
図1及び4に関連してそれぞれ前述されたメモリアレイ100及び/または400の一部であり得る。例えば、メモリアレイ500は、複数の交差するワード線510-1から510-N及びビット線520-1から520-Mを含んでもよく、メモリセル525は、ワード線510-N及びビット線520-Mに結合されることで、本明細書に記載されるように動作し得る。
【0059】
異なるそれぞれのワード線ドライバは、
図4に関連して説明され、
図5にワード線ドライバ550として合わせて示されるドライバ450に各類似しており、それぞれのワード線510-1から510-Nに各結合され得る。同様に、異なるそれぞれのビット線ドライバは、
図4に関連して説明され、
図5にビット線ドライバ552として合わせて示されるドライバ452に各類似しており、それぞれのビット線520-1から520-Mに各結合され得る。それぞれのワード線ドライバ550によってワード線510-1から510-Nに供給される電流は、
図5に示される電流制御回路574によって制御されることができ、それぞれのビット線ドライバ552によってビット線520-1から520-Mに供給される電流は、
図5に示される電流制御回路576によって制御されることができる。
【0060】
図5に示されるように、センスアンプ530は、ワード線及びビット線ドライバ550及び552に、及び/または電流制御回路574及び576にそれぞれ結合されてもよい。センスアンプ530は、例えば、
図4に関連して説明されるセンスアンプ430であることができ、本明細書で前述されたように、メモリセル525で発生するスナップバックイベントを感知することができる。センスアンプ530がメモリセル525内のスナップバックイベントを感知すると、センスアンプ530(例えば、センスアンプ530の出力)は、フィードバックを提供することができ、このフィードバックは、ワード線510-N及び/またはビット線520-Mにそれぞれ結合されるワード線ドライバ550及び/またはビット線ドライバ552をオフにし(例えば、無効にし)、及び/またはワード線ドライバ550及び/またはビット線ドライバ552にそれぞれ結合される電流制御回路574及び/または576をオフにし、メモリセル525への電流をオフにすることができる。メモリセル525への電流がオフにされた後、本明細書で前述されたように、いくつかの短い電圧パルスがメモリセル525に印加されることにより、セルが複数の可能なデータ状態のうちの1つにプログラムされることができる。
【0061】
図5に示されるように、遅延回路572は、センスアンプ530に(例えば、センスアンプ530の出力に)結合されてもよい。遅延回路572を使用して(例えば、プログラムして)、センスアンプ530がメモリセル525内のスナップバックイベントを感知する時間と、メモリセル525への電流をオフにするフィードバックが提供される時間との間に、例えば4nsなどの短い遅延を提供することができる。そのような遅延は、電流がオフにされた後にメモリセル525に印加される短い電圧パルスがメモリセル(例えば、セルの閾値電圧)に与える場合がある衝撃を変化させることができる。あるいは、遅延回路572をバイパスすることができることで、そのような遅延が提供されず、メモリセル525への電流を可能な限り迅速に(例えば、センスアンプがセル内のスナップバックイベントを感知した直後)オフにするフィードバックが提供される。
【0062】
図6は、本開示の一実施形態による、メモリセルに印加される電圧、及びメモリセルを通した電流の流れの一例をグラフ635の形式で示す。例えば、グラフ635は、本開示による複数の可能なデータ状態のうちの1つにメモリセルをプログラムするための動作中に、メモリセルに印加される電圧、及びメモリセルを通した電流の流れを示すことができる。メモリセルは、例えば、
図1、4、及び5に関連してそれぞれ前述されたメモリセル125、425、及び/または525とすることができる。
【0063】
図6に示される時間t1の前に、メモリセルにスナップバックさせるのに十分に振幅が高いバイアス電圧パルスがメモリセルに印加される。バイアス電圧パルスは、メモリセルに結合されるビット線(例えば、VBL)に印加される電圧パルス641と、メモリセルに結合されるワード線(例えば、VWL)に印加される電圧パルス643とを含むことができる。
図6に示される例では、グラフ635の中間レベルの電圧は2.75Vとすることができ、グラフ635の高レベルの電圧は5.5Vとすることができる。
【0064】
図6に示される時間t1では、メモリセルは、印加されたバイアス電圧パルスに応答してスナップバックする。メモリセルがスナップバックする場合、本明細書で前述されたように、電流のパルス637がセルを通して流れるため、このセルを使用して、スナップバックイベントを検知することができる。例えば、電流の流れが時間t1の後に損失すると、
図6に示されるように、メモリセルに結合されたワード線(例えばVWL)上の電圧が上昇する。
図6に示される時間t2では、VWLは電圧閾値レベルに達する。VWLが電圧閾値レベルに達する場合、メモリセルがスナップバックしたと決定することができる。例えば、センスアンプ(例えば、
図4及び5に関連してそれぞれ前述されたセンスアンプ430及び/または530)は、本明細書で前述されたように、VWLが電圧閾値レベルに達したことを感知することができる。
図6に示される例では、電圧閾値レベルは0.45 Vとすることができる。さらに、t1とt2との間の時間は1nsとすることができる。
【0065】
メモリセルがスナップバックしたと決定すると、本明細書で前述されたように、メモリセルへの電流をオフにする(例えば、抑制する)ことができる。例えば、
図6に示される例では、メモリセルへの電流は時間t3でオフになる。すなわち、
図6に示される例では、メモリセルがスナップバックしたと決定する時間t2と、メモリセルへの電流がオフになる時間t3との間に短い遅延がある。この遅延(例えば、t2とt3との間の時間)は、例えば4nsとすることができる。
図6に示されるように、メモリセルへの電流がオフになる場合、電流はセルを通して流れない。
【0066】
メモリセルへの電流がオフにされた後、本明細書で前述されたように、いくつかの(例えば、N個の)追加の電圧パルスをメモリセルに順次印加することができる。それぞれの追加の電圧パルスは、メモリセルに結合されるビット線(例えば、VBL)に印加される電圧パルスと、メモリセルに結合されるワード線(VWL)に印加される電圧パルスとを含むことができる。例えば、
図6に示される例では、ビット線に印加される電圧パルス645-1、及びワード線に印加される電圧パルス647-1を含む追加の第一電圧パルスは、メモリセルに時間t4で印加され、ビット線に印加される電圧パルス645-2、及びワード線に印加される電圧パルス647-2を含む追加の第二電圧パルスは、メモリセルに時間t6で印加され、ビット線に印加される電圧パルス645-N、及びワード線に印加される電圧パルス647-Nを含む追加の第N電圧パルスは、メモリセルに時間tN-1で印加される。
【0067】
さらに、それぞれの追加の電圧パルスは、
図6に示されるように、メモリセルに短時間印加される(例えば、追加の第一パルスは時間t4から時間t5まで印加され、追加の第二パルスは時間t6から時間t7まで印加され、追加の第Nパルスは時間tN-1から時間Nまで印加される)。例えば、それぞれの追加の電圧パルスの持続時間(例えば、時間t4からt5の間の時間、時間t6からt7の間の時間、及び時間tN-1から時間tNの間の時間)は5nsとすることができる。
【0068】
それぞれの追加の電圧パルスがメモリセルに印加される場合、電流の追加のパルスはメモリセルを通して流れる。例えば、
図6に示される例では、追加の第一電圧パルスがセルに印加される場合、電流のパルス639-1はメモリセルを通して流れ、追加の第二電圧パルスがセルに印加される場合、電流のパルス639-2はメモリセルを通して流れ、追加の第N電圧パルスがセルに印加される場合、電流のパルス639-Nはメモリセルを通して流れる。電流の追加のパルスを使用して、本明細書で前述されたように、メモリセルを複数の可能なデータ状態のうちの1つにプログラムすることができる。
【0069】
図7は、本開示の一実施形態による、電子メモリシステム700などの装置の一例を示すブロック図である。メモリシステム700は、メモリデバイス702などの装置と、メモリコントローラ(例えば、ホストコントローラ)などのコントローラ704とを含む。コントローラ704は、例えば、プロセッサを含んでもよい。コントローラ704は、例えば、ホストに結合されてもよく、ホストからコマンド信号(またはコマンド)、アドレス信号(またはアドレス)、及びデータ信号(またはデータ)を受信し得、データをホストに出力してもよい。
【0070】
メモリデバイス702は、メモリセルのメモリアレイ706を含む。例えば、メモリアレイ706は、本明細書に開示されるメモリセルの、クロスポイントアレイなど、1つ以上のメモリアレイを含み得る。
【0071】
メモリデバイス702は、I/O接続710を介してI/O回路712から提供されるアドレス信号をラッチするアドレス回路708を含む。アドレス信号は、メモリアレイ706にアクセスするためにロウデコーダ714及びカラムデコーダ716によって受信及びデコードされる。例えば、ロウデコーダ714及び/またはカラムデコーダ716は、
図4及び5に関連して前述されたように、ドライバ450、452、550、及び/または552などのドライバを含んでもよい。
【0072】
メモリデバイス702は、いくつかの例では読み出し/ラッチ回路720であり得る感知/バッファ回路を使用してメモリアレイのカラムでの電圧及び/または電流の変化を感知することにより、メモリアレイ706のデータを感知してもよい(例えば、読み出してもよい)。読み出し/ラッチ回路720は、メモリアレイ706からデータを読み出し、ラッチしてもよい。I/O回路712は、コントローラ704とのI/O接続710を介した双方向でのデータ通信のために含まれる。書き込み回路722は、データをメモリアレイ706に書き込むために含まれる。
【0073】
制御回路724は、コントローラ704からの制御接続726によって提供される信号をデコードし得る。これらの信号は、データ読み出し及びデータ書き込み操作を含む、メモリアレイ706の操作を制御するために使用されるチップ信号、書き込みイネーブル信号、及びアドレスラッチ信号を含み得る。
【0074】
制御回路724は、例えば、コントローラ704に含まれてもよい。コントローラ704は、単独または組み合わせであるかに関わらず、他の回路、ファームウェア、またはソフトウェアなどを含んでもよい。コントローラ704は、外部コントローラ(例えば、全体的もしくは部分的であるかに関わらず、メモリアレイ706からの別個のダイ内の)または内部コントローラ(例えば、メモリアレイ706と同一のダイに含まれる)であってもよい。例えば、内部コントローラは、ステートマシン又はメモリシーケンサであり得る。
【0075】
いくつかの例では、コントローラ704は、アレイ706のメモリセルを複数の可能なデータ状態のうちの1つにプログラムするなど、本明細書に開示される方法をメモリデバイス702に少なくとも実行させるように構成されてもよい。いくつかの例では、メモリデバイス702は、
図4及び/または5と併せて前述された回路を含んでもよい。例えば、メモリデバイス702は、センスアンプ回路及びラッチ、例えば、本明細書に開示されるセンスアンプ430及び/または530、ラッチ440、及び/または遅延回路572を含んでもよい。
【0076】
本明細書で使用される場合、「結合された」という用語は、介在要素なしで(例えば、直接的な物理的接触によって)電気的に結合、直接結合、及び/または直接接続され、または介在要素に間接的に結合及び/または接続されることを含み得る。「結合された」という用語は、さらに、(例えば、原因及び結果の関係にあるように)互いに協働または相互作用する2つ以上の要素を含み得る。
【0077】
追加の回路及び信号を提供できること、及び
図7のメモリシステム700が簡略化されていることは、当業者には理解されよう。
図7を参照して説明された様々なブロックコンポーネントの機能は、集積回路デバイスの別個のコンポーネントまたはコンポーネント部分に必ずしも分離されなくてもよいことが認識されるべきである。例えば、集積回路デバイスの単一のコンポーネントまたはコンポーネント部分は、
図7の1つより多いブロックコンポーネントの機能を実行するように適合されることができる。あるいは、集積回路デバイスの1つ以上のコンポーネントまたはコンポーネント部分が組み合わされることで、
図7の単一のブロックコンポーネントの機能が実行されることができる。
【0078】
本明細書では特定の実施形態が示され説明されたが、示される特定の実施形態は、同じ結果を達成するように意図された構成と置き換えられてもよいことを当業者は理解するであろう。本開示は、本開示のいくつかの実施形態の適応形態または変形形態を含めることを意図する。上記の説明は、例示的なものであり、限定的なものではないことを理解されたい。上記の実施形態と、本明細書に具体的に説明されていない他の実施形態との組み合わせは、上記の説明を考察すれば当業者にとって明らかとなるであろう。本開示のいくつかの実施形態の範囲は、上記の構造及び方法が使用される他の用途を含む。従って、本開示のいくつかの実施形態の範囲は、添付の特許請求の範囲を、添付の特許請求の範囲が権利を有する均等物の全範囲と併せて参照して、特定されるべきである。
【0079】
前述の発明を実施するための形態では、本開示を簡素化する目的で、いくつかの特徴が単一の実施形態にまとめられている。本開示のこの手法は、本開示の開示された実施形態が、各請求項に明示的に列挙された特徴より多くの特徴を使用する必要があるという意図を反映したものとして、解釈されるべきではない。むしろ、以下の特許請求の範囲が反映するように、発明の主題は、単一の開示される実施形態の全ての特徴にあるわけではない。従って、以下の特許請求の範囲は、詳細な説明に組み込まれ、各請求項は、別個の実施形態としてそれ自体で成り立っている。