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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】地図変化データの生成
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/00 20060101AFI20240131BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20240131BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240131BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240131BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20240131BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240131BHJP
【FI】
G09B29/00 Z
G01C21/26 A
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/20
G16Y40/60
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2022547156
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-06
(86)【国際出願番号】 EP2021054225
(87)【国際公開番号】W WO2021165505
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-10-03
(31)【優先権主張番号】2002409.7
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(31)【優先権主張番号】2002410.5
(32)【優先日】2020-02-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】509097563
【氏名又は名称】トムトム グローバル コンテント ベスローテン フエンノートシャップ
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ミクサ, クシシュトフ
(72)【発明者】
【氏名】シュアーマン, キース, コルネリス ピーテル
(72)【発明者】
【氏名】ロシキーウィクズ, ミカル
【審査官】鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/104188(WO,A1)
【文献】特表2019-508677(JP,A)
【文献】特開2011-197560(JP,A)
【文献】特開2017-181870(JP,A)
【文献】特開2017-041070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 29/00-10
G01C 21/26
G16Y 10/40
G16Y 20/00-40
G16Y 40/00-60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サーバシステムにおいてコンピュータにより実施される方法であって、前記サーバシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを記憶し、前記HD地図データは、前記道路システムの前記複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含み、前記HD地図データは、自律車両での自動運転システムによる使用のために提供され、前記方法は、
前記道路システムの観測データを受信することであって、前記観測データは、前記道路システムの1つ以上の観測値を含む、ことと、
前記複数のオブジェクトのうちの1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することと、
前記道路システムの前記1つ以上のオブジェクトに対応する前記HD地図データの1つ以上の地図特徴を識別することと、
前記決定された変化及び前記識別された1つ以上の地図特徴に基づいて、前記1つ以上のオブジェクトの前記決定された変化を反映する1つ以上の更新された地図特徴を提供するために前記1つ以上の地図特徴に適用されるべき1つ以上の変化を示す地図変化データを生成することと、
前記自動運転システムによる使用のために前記地図変化データを提供することであって、前記地図変化データは、前記HD地図データの提供とは独立して前記自動運転システムに提供される、ことと、
を含む方法。
【請求項2】
前記観測データは、
センサ搭載乗用車からのデータ、
車両ユーザにより提供された観測報告、及び
地震情報サービスプロバイダからのデータ、
のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することは、
絶対位置の変化を決定すること、
相対位置の変化を決定すること、
幾何学的形状の変化を決定すること、
オブジェクトのタイプの変化を決定すること、および、
オブジェクトの存在の変化を決定すること、
のうちの1つ以上のために前記観測データを使用することを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することは、前記HD地図データを更新するための変化地図要件を満たす前記1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することを含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記地図変化データは、前記サーバシステム内に記憶された前記HD地図データに対する前記1つ以上の地図特徴の変化を含み、それにより前記1つ以上の地図特徴の前記変化を記述する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記地図変化データは、前記HD地図データの前記1つ以上の地図特徴を直接置換するために1つ以上の置換地図特徴を含み、それにより前記1つ以上の地図特徴の前記変化を記述する、請求項1乃至4の何れか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記地図変化データは、前記1つ以上の地図特徴の新しい又は更新された属性を含む、請求項1乃至6の何れか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記新しい又は更新された属性は、
新しい又は更新された絶対位置、
新しい又は更新された相対位置、
新しい又は更新された幾何学的形状、および、
新しい又は更新された道路標識のクラス、
うちの1つ以上を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記HD地図データは、指定された地理的エリアをカバーし、複数のレイヤを含み、各レイヤは、前記指定された地理的エリアのための異なるタイプの地図データを含み、前記地図変化データは、それが前記HD地図データのレイヤであるかのように処理されるように、同じ指定された地理的エリアをカバーする、請求項1乃至8の何れか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記地図変化データのサイズは、前記HD地図データのサイズよりも桁違いに小さい、請求項1乃至9の何れか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記サーバシステムは、HD地図メタデータをさらに記憶し、前記メタデータは、前記複数の地図特徴に対する前記HD地図データにおける信頼度レベルを含み、前記方法は、
前記地図変化データ内の前記識別された1つ以上の地図特徴における更新された信頼度レベルを、前記HD地図メタデータ内の前記識別された1つ以上の地図特徴のそれぞれの信頼度レベルと比較して反映するために、前記観測データに基づいて、前記識別された1つ以上の地図特徴の更新されたメタデータを生成することと、
前記自動運転システムによる使用のために前記更新されたメタデータを提供することであって、前記更新されたメタデータは、前記HD地図データの提供とは独立して前記自動運転システムに提供される、ことと、
をさらに含む、請求項1乃至10の何れか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記観測データが地図特徴と一致する場合、前記更新されたメタデータを生成することは、
(a)前記識別された1つ以上の地図特徴における信頼度レベルを増加または維持することと、
(b)当該地図特徴についての前記メタデータにおける確認日付フィールドを前記観測データの日付に更新することと、
(c)当該地図特徴についての前記メタデータにおける確認信頼度フィールドを、前記観測データに関連付けられた信頼度レベルに基づいて更新することと、
のうちの1つ以上を含む、請求項1乃至11の何れか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記観測データが地図特徴と矛盾し、当該矛盾がHD地図データを更新するための変化地図要件を満たすのに十分である場合、前記方法は、
(a)前記観測データを使用して、当該地図特徴に対応するオブジェクトの変化を決定することと、
(b)前記決定された変化に基づいて、前記対応するオブジェクトの前記決定された変化を反映するように、当該地図特徴の変化を記述する地図変化特徴を生成することと、
(c)当該地図変化特徴を、前記識別された1つ以上の特徴についての他の地図変化特徴と照合して、前記地図変化データを形成することと、
をさらに含む、請求項1乃至12の何れか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記観測データが地図特徴と矛盾するが、当該矛盾がHD地図データを更新するための変化地図要件を満たすには不十分である場合、前記更新されたメタデータを生成することは、
当該地図特徴における信頼度レベルを低下させることを含む、請求項1乃至13の何れか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記更新されたメタデータは、前記識別された1つ以上の地図特徴の観測時間に対する経過時間の関数として、潜在的な変化を示す、請求項11、12及び14の何れか1項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか1項に記載の方法を実行するように構成されたサーバシステム。
【請求項17】
1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、請求項1乃至15の何れか1項に記載の方法を実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項18】
請求項17に記載のコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自律車両における自動運転システムに関する方法、システム、コンピュータプログラム等に関する。特に、本発明は、自律車両における自動運転システムで使用される高精度地図に関する。
【背景技術】
【0002】
自動化車両と呼ばれることもある自律車両は一般に、車両が完全にまたは部分的に自律的に運転することができるように、自動運転システム(ADS)を含む。ADSは、車両の環境のモデルを維持するための入力データの2つのキーセット、すなわち、センサ由来観測値(SDO)および高精度(HD)地図に依存する。
【0003】
SDOは、車両の現在の環境の車両センサ由来観測値である。車両センサは、位置センサ(例えば、GPS)と環境センサ(例えば、カメラ、RADAR、LIDAR)の両方を含むことができる。多くの場合、これらの車両センサは、インテリジェントであり、地理空間オブジェクト、例えば交通標識を検出および分類するための埋め込み知覚能力を備えている。車両センサは、静止オブジェクトと動的オブジェクトの両方を観察する。
【0004】
HD地図は、車両が効果的かつ安全に操縦できるように道路環境についての十分に正確な情報を車両に与えるために、ADSによる使用に適した高レベル精度を有する非常に詳細な3D地図である。HD地図は、車両の視界範囲を効果的に拡張し、より滑らかで、より安全で、より効率的な運転シナリオを可能にする。HD地図は、ADSの一部として、幅広い高度な運転アプリケーションを満たすために活用することができる。HD地図は、車線マーキング、車線中心線及び道路境界の幾何学的形状を含む車線モデルのような、道路システム及びその付属物の非常に正確な表現を必要とする。したがって、自動運転に適したHD地図は、車両衛星ナビゲーションまたはスマートフォン地図アプリに使用される地図と比較して、かなり高いレベルの精度を有する。
【0005】
HD地図は、道路システムの地理空間現実の運転自動化関連モデルと考えることができ、静止オブジェクトの抽象化とそれらの関係を含む。静止オブジェクトは、現実特徴と呼ばれることがあり、一方、HD地図におけるそれらの表現は、地図特徴と呼ばれることがある。地図特徴の3つの幾何学的クラス、すなわち、点特徴(例えば、交通標識)、線特徴(例えば、道路境界)、およびエリア特徴(例えば、道路表面エリア)が区別される。地図特徴は、関連する属性、例えば、道路もしくは車線に関連する速度制限、または交通標識に関連する標識タイプを有することができる。SDOとは対照的に、HD地図は、静止オブジェクトのみを表す特徴を含み、HD地図内の地図特徴の基礎をなす観測は履歴的である(すなわち、過去に作成された)。
【0006】
HD地図は、タイルおよびレイヤに細分され得る。地図タイルは例えば、地図のエリアに関連する地図データを含む矩形の地図エリアを記述する。地図レイヤは、利用可能な地図データのサブセットを含む。例えば、HD地図は、HD道路レイヤ、速度制限レイヤ、及び道路チェックレイヤを含むことができる。HD道路レイヤは、アーク(ジャンクションエリアおよび車線グループを表す)およびノード(アークを接続する)に関する地図データを含む。速度制限レイヤの地図データは、速度制限を記述する。道路チェックレイヤは、運転自動化制限を表す地図データを含む。HD地図は、追加のレイヤを含むことができる。要約すると、HD地図データは、タイルのレイヤに構造化される。
【0007】
上述のように、自律車両のADSは、車両の現在の環境をモデル化するために、SDOとHD地図からのデータとの両方を使用する。したがって、ADSは、対応する静止オブジェクトを正確に表すために、地図特徴に依存することができる程度を決定する必要がある。これは、車載ロジックが、車両環境モデルに存在する静止オブジェクト表現の品質を定量化することを可能にする地図品質メタ情報の必要性を高める。
【0008】
HD地図の品質は、ISO19157:13規格で定義されている品質指標(完全性、論理的一貫性、位置精度、テーマ精度、時間精度)を使用して指定される。HD地図の品質は、ソースデータの時間、品質、量、および適用される地図作成プロセスの品質に依存する。現在、HD地図を作成するためのソースデータの大部分は、高品質の調査車両に由来する。しかしながら、変化を捕捉するための調査車両を用いて道路を頻繁に調査することは経済的に非現実的である。現実の特徴は多くの理由で連続的に変化し、HD地図に表される全ての道路が同じ日に調査されているわけではないので、全てのHD地図特徴が現在の現実を正確に反映するHD地図を提供することは、実際には不可能である。国際公開第2017/021473号、国際公開第2017/021474号、国際公開第2017/021475号、および国際公開第2017/021778号で議論されているように、通常の乗用車からの車両センサデータは、HD地図を作成するためのソースデータとして使用することもできる。
【0009】
安全に動作するために、自律車両は、上述したように、信頼性の高いHD地図を必要とする。したがって、関連する現実の変化は、HD地図更新によって、自動化車両に迅速に知らされるべきである。しかしながら、現実の変化から、関連するHD地図更新を車両に配信するまでの時間はかなり長い。調査車両が変化された位置を訪れ、高品質の環境センサデータを提供するか、または、通常の乗用車が十分に中程度の品質の環境センサ由来観測値を提供するかのいずれかの前に、時間がかかる。
【0010】
通常、コンテンツ配信ネットワーク(CDN)は、既知のコンテンツ配信技術および通信ネットワークインフラストラクチャを使用して、HD地図をHD地図クライアントへ配信する。CDNコンテンツ配信モデルは、運転時に特定の地図タイルを要求するHD地図クライアントにコンテンツが近いことを保証するために、コンテンツキャッシング記憶設備を使用する。このCDNアプローチは、通信オーバヘッドおよびコンテンツ配信遅延を低減する。また、比較的安定したコンテンツが、CDN効率を改善する高キャッシュヒット率を達成することができることも意味する。
【0011】
本出願は、自律車両においてADSによって使用されるHD地図に関連して現在の方法およびシステムを改善しようとするものである。特に、本出願は、現実の特徴の変化(または変化の欠如)および関連するメタ情報をより良く処理するための方法およびシステムを提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1の態様によれば、サーバシステムにおいてコンピュータにより実施される方法であって、前記サーバシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを記憶し、前記HD地図データは、前記道路システムの前記複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含み、前記HD地図データは、自律車両での自動運転システムによる使用のために提供され、前記方法は、前記道路システムの観測データを受信することであって、前記観測データは、前記道路システムの1つ以上の観測値を含む、ことと、前記複数のオブジェクトのうちの1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することと、前記道路システムの前記1つ以上のオブジェクトに対応する前記HD地図データの1つ以上の地図特徴を識別することと、前記決定された変化及び前記識別された1つ以上の地図特徴に基づいて、前記1つ以上のオブジェクトの前記決定された変化を反映するために前記1つ以上の地図特徴の変化を記述する地図変化データを生成することと、前記自動運転システムによる使用のために前記地図変化データを提供することであって、前記地図変化データは、前記HD地図データの提供とは独立して前記自動運転システムに提供される、ことと、を含む方法が提供される。
【0013】
本発明の第1の態様のいくつかの実施形態では、前記サーバシステムは、HD地図メタデータをさらに記憶し、前記メタデータは、前記複数の地図特徴に対する前記HD地図データにおける信頼度レベルを含み、前記方法は、前記地図変化データ内の前記識別された1つ以上の地図特徴における更新された信頼度レベルを、前記HD地図メタデータ内の前記識別された1つ以上の地図特徴のそれぞれの信頼度レベルと比較して反映するために、前記観測データに基づいて、前記識別された1つ以上の地図特徴の更新されたメタデータを生成することと、前記自動運転システムによる使用のために前記更新されたメタデータを提供することであって、前記更新されたメタデータは、前記HD地図データの提供とは独立して前記自動運転システムに提供される、ことと、をさらに含む。
【0014】
本発明の第2の態様によれば、サーバシステムであって、前記サーバシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを記憶し、前記HD地図データは、前記道路システムの前記複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含み、前記HD地図データは、自律車両での自動運転システムによる使用のために提供され、前記サーバシステムは、前記道路システムの観測データを受信することであって、前記観測データは、前記道路システムの1つ以上の観測値を含む、ことと、前記複数のオブジェクトのうちの1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することと、前記道路システムの前記1つ以上のオブジェクトに対応する前記HD地図データの1つ以上の地図特徴を識別することと、前記決定された変化及び前記識別された1つ以上の地図特徴に基づいて、前記1つ以上のオブジェクトの前記決定された変化を反映するために前記1つ以上の地図特徴の変化を記述する地図変化データを生成することと、前記自動運転システムによる使用のために前記地図変化データを提供することであって、前記地図変化データは、前記HD地図データの提供とは独立して前記自動運転システムに提供される、ことと、を行うように構成された1つ以上のプロセッサを備えるサーバシステムが提供される。
【0015】
第2の態様のいくつかの実施形態では、前記サーバシステムは、HD地図メタデータをさらに記憶し、前記メタデータは、前記複数の地図特徴に対する前記HD地図データにおける信頼度レベルを含み、前記1つ以上のプロセッサは、前記地図変化データ内の前記識別された1つ以上の地図特徴における更新された信頼度レベルを、前記HD地図メタデータ内の前記識別された1つ以上の地図特徴のそれぞれの信頼度レベルと比較して反映するために、前記観測データに基づいて、前記識別された1つ以上の地図特徴の更新されたメタデータを生成することと、前記自動運転システムによる使用のために前記更新されたメタデータを提供することであって、前記更新されたメタデータは、前記HD地図データの提供とは独立して前記自動運転システムに提供される、ことと、を行うようにさらに構成されている。
【0016】
第1および第2の態様のいくつかの実施形態では、前記観測データは、センサ搭載乗用車からのデータ、車両ユーザなどの人間によって提供される観測報告、および地震情報サービスプロバイダからのデータのうちの1つ以上を含んでもよい。
【0017】
第1および第2の態様のいくつかの実施形態では、前記1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することは、絶対位置の変化を決定すること、相対位置の変化を決定すること、幾何学的形状の変化を決定すること、タイプの変化を決定すること、および、存在の変化を決定すること、のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0018】
第1および第2の態様のいくつかの実施形態では、前記1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することは、前記HD地図データを更新するための変化地図要件を満たす前記1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために前記観測データを使用することを含んでもよい。
【0019】
本発明の第3の態様によれば、自律車両におけるクライアントコンピュータシステムでコンピュータにより実施される方法であって、前記クライアントコンピュータシステムは自動運転システムを備え、前記クライアントコンピュータシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを受信して記憶するように構成され、前記HD地図データは前記道路システムの前記複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含み、前記HD地図データは前記自動運転システムによる使用のためのものであり、前記方法は、前記HD地図データの前記複数の地図特徴のうちの1つ以上の地図特徴の変化を記述する地図変化データを受信することであって、前記地図変化データは、前記HD地図データの受信とは独立して受信される、ことと、前記道路システムの指定された部分に関連付けられた前記1つ以上の地図特徴のうちのいくつかである更新された地図特徴を識別するために前記地図変化データを処理することと、前記更新された地図特徴に関する前記地図変化データに基づいて、前記自動運転システムによる前記更新されたHD地図データの使用を可能にするように、前記道路システムの前記指定された部分のための更新されたHD地図データを生成することと、を含む方法が提供される。
【0020】
第3の態様のいくつかの実施形態では、前記方法は、前記更新されたHD地図データの少なくとも一部を、前記車両内の少なくとも1つの電子制御部へ配信することをさらに含んでもよい。
【0021】
第3の態様のいくつかの実施形態では、前記方法は、地図変化データの要求をサーバへ送信することをさらに含んでもよく、前記地図変化データは、前記要求に応答して前記サーバから受信される。前記要求は、前記クライアントコンピュータシステムに記憶された前記HD地図データと同じ地理的エリアをカバーする地図変化データの要求であってもよい。あるいは、前記要求は、前記クライアントコンピュータシステムに記憶された前記HD地図データによってカバーされる地理的エリアのサブエリアをカバーする地図変化データの要求であってもよい。前記要求は、前記サブエリアを明示的に示すこと、前記車両の近傍を示すことと、前記サーバが適切なサブエリアを決定することができるように、前記車両の現在位置及び前記車両の移動の履歴を示すことと、のうちの1つによって前記サブエリアを示してもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、前記要求は、前記複数の地図特徴のうちの特定の地図特徴に関する地図変化データの要求である。
【0022】
第3の形態のいくつかの実施形態では、前記クライアントコンピュータシステムは、HD地図メタデータを受信して記憶するようにさらに構成され、前記メタデータは、記複数の地図特徴に対する前記HD地図データにおける信頼度レベルを含み、前記方法は、前記HD地図データの前記複数の地図特徴のうちの1つ以上についての更新されたメタデータを受信することであって、前記更新されたメタデータは、前記HD地図データの受信とは独立して受信される、ことをさらに含み、前記更新された地図特徴は、前記道路システムの前記指定された部分に関連付けられた前記1つ以上の地図特徴のうちのいくつかを識別するために前記更新されたメタデータを処理することによってさらに識別され、前記更新されたHD地図データを生成することは、前記更新された地図特徴に関する前記更新されたメタデータにさらに基づくものである。
【0023】
本発明の第4の態様によれば、自律車両のためのクライアントコンピュータシステムであって、前記クライアントコンピュータシステムは自動運転システムを備え、前記クライアントコンピュータシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを受信して記憶するように構成され、前記HD地図データは、前記道路システムの前記複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含み、前記HD地図データは、前記自動運転システムによる使用のためのものであり、前記クライアントコンピュータシステムは、前記HD地図データの前記複数の地図特徴のうちの1つ以上の地図特徴の変化を記述する地図変化データを受信することであって、前記地図変化データは、前記HD地図データの受信とは独立して受信される、ことと、前記道路システムの指定された部分に関連付けられた前記1つ以上の地図特徴のうちのいくつかである更新された地図特徴を識別するために前記地図変化データを処理することと、前記更新された地図特徴に関する前記地図変化データに基づいて、前記自動運転システムによる前記更新されたHD地図データの使用を可能にするように、前記道路システムの前記指定された部分のための更新されたHD地図データを生成することと、を行うように構成された1つ以上のプロセッサを備える、クライアントコンピュータシステムが提供される。
【0024】
第4の態様のいくつかの実施形態では、前記1つ以上のプロセッサは、前記更新されたHD地図データの少なくとも一部を、前記車両内の少なくとも1つの電子制御部へ配信するようにさらに構成されてもよい。
【0025】
第4の態様のいくつかの実施形態では、前記1つ以上のプロセッサは、地図変化データの要求をサーバへ送信するようにさらに構成されてもよく、前記地図変化データは、前記要求に応答して前記サーバから受信される。前記要求は、前記クライアントコンピュータシステムに記憶された前記HD地図データと同じ地理的エリアをカバーする地図変化データの要求であってもよい。あるいは、前記要求は、前記クライアントコンピュータシステムに記憶された前記HD地図データによってカバーされる地理的エリアのサブエリアをカバーする地図変化データの要求であってもよい。前記要求は、前記サブエリアを明示的に示すことと、前記車両の近傍を示すことと、前記サーバが適切なサブエリアを決定し得るように、前記車両の現在位置および前記車両の移動履歴を示すことと、のうちの1つによって、前記サブエリアを示してもよい。あるいは、いくつかの実施形態では、前記要求は、前記複数の地図特徴のうちの特定の地図特徴に関する地図変化データの要求である。
【0026】
第4態様の一部の実施形態において、前記クライアントコンピュータシステムは、HD地図メタデータを受信して記憶するようにさらに構成され、前記メタデータは、記複数の地図特徴に対する前記HD地図データにおける信頼度レベルを含み、前記1つ以上のプロセッサは、前記HD地図データの前記複数の地図特徴のうちの1つ以上の地図特徴の更新されたメタデータを受信するようにさらに構成され、前記更新されたメタデータは、前記HD地図データの受信とは独立して受信され、前記更新された地図特徴は、前記道路システムの前記指定された部分に関連付けられた前記1つ以上の地図特徴のうちのいくつかを識別するために前記更新されたメタデータを処理することによってさらに識別され、前記更新されたHD地図データを生成することは、前記更新された地図特徴に関する前記更新されたメタデータにさらに基づくものである。
【0027】
第3および第4の態様のいくつかの実施形態では、前記道路システムの前記指定された部分は、前記車両の前記近傍における前記道路システムの一部であってもよく、前記車両の前記近傍は、前記車両の現在位置に基づいて決定される。前記車両の前記近傍は、前記車両の予測される移動方向または移動エリアに基づいてさらに決定されてもよい。
【0028】
第1から第4の態様のいくつかの実施形態では、前記地図変化データは、前記サーバシステム内に記憶された前記HD地図データに対する前記1つ以上の地図特徴の変化を含んでもよく、それにより前記1つ以上の地図特徴の前記変化を記述する。あるいは、前記地図変化データは、前記HD地図データの前記1つ以上の地図特徴を直接置換するために1つ以上の置換地図特徴を含んでもよく、それにより前記1つ以上の地図特徴の前記変化を記述する。
【0029】
第1から第4の態様のいくつかの実施形態では、前記地図変化データは、前記1つ以上の地図特徴の新しい又は更新された属性を含んでもよい。前記新しい又は更新された属性は、新しい又は更新された絶対位置、新しい又は更新された相対位置、新しい又は更新された幾何学的形状、新しい又は更新されたクラス、および、前記1つ以上の地図特徴の暗号ハッシュ、のうちの1つ以上を含んでもよい。
【0030】
第1から第4の態様のいくつかの実施形態では、前記HD地図データは、指定された地理的エリアをカバーし、複数のレイヤを含んでもよく、各レイヤは、前記指定された地理的エリアのための異なるタイプの地図データを含み、前記地図変化データは、それが前記HD地図データのレイヤであるかのように処理され得るように、同じ指定された地理的エリアをカバーする。
【0031】
第1から第4の態様のいくつかの実施形態では、前記地図変化データのサイズは、前記HD地図データのサイズよりも1桁以上小さくてもよい。
【0032】
本発明の第5の態様によれば、1つ以上のプロセッサによって実行されると、前記1つ以上のプロセッサに、本発明の上述の第1の態様(またはその実施形態)または本発明の上述の第3の態様(またはその実施形態)による方法を実行させるコンピュータプログラムが提供される。前記コンピュータプログラムは、コンピュータ可読媒体に記憶されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照して例として説明する。
図1図1は、一実施形態によるクライアント-サーバシステムアーキテクチャを概略的に示す。
図2図2は、地図変化データを生成するためのサーバ側システムを概略的に示す。
図3図3は、更新されたメタデータを生成するためのサーバ側システムを概略的に示す。
図4a】、
図4b図4aおよび4bは、クライアント側システムの2つの例を概略的に示す。
図5図5は、オンラインAPIサーバの使用を概略的に示す。
図6図6は、地図変化データを生成するためのサーバによって実施される方法を概略的に示す。
図7図7は、更新されたメタデータを生成するためのサーバによって実施される方法を概略的に示す。
図8図8は、道路システムの指定された部分の地図変化データに基づいて、更新されたHD地図データを生成するためのクライアントによって実施される方法を概略的に示す。
図9図9は、道路システムの指定された部分の更新されたメタデータに基づいて、更新されたHD地図データを生成するためのクライアントによって実施される方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
現実の変化
道路システムに関連する地理空間現実は、連続的に変化する。このような現実の変化には、以下のようないくつかの原因がある。
●交通規制の変化:例えば、2020年3月、オランダの高速道路の速度規制は、1日の特定の期間で120/130km/hから100km/hに変化する。関連する現実の変化は、交通標識の追加、除去、または変化、並びに、道路面上の標識の再塗装を含む。
●道路標示および舗装の摩耗および断裂:これは、アスファルトおよび道路塗料の耐久性、天候条件および使用強度に依存する。関連する現実の変化は、道路工事および/または路面再塗装を含む。
●交通量の変化:このような変化は、道路ネットワークの拡張又は変更の必要性を引き起こす可能性がある。したがって、関連する現実の変化は、道路工事を含む。
●降水:例えば、雨や雪は、汚れた交通標識や舗装路面のくぼみ(ポットホール)を引き起こすことがある。関連する現実の変化は、標識のわずかな意図しない向きの変化の可能性を伴う交通標識維持活動(例えば、清掃)、および舗装路面のくぼみを修理するための道路工事を含む。
●破壊行為:例えば、落書き、ステッカー、および/または射撃は、交通標識を損傷させる可能性がある。関連する現実の変化は、交通標識の交換を含む。
●地震:地震は、道路、交通標識、信号機などの変位および/または損傷を引き起こす可能性がある。関連する現実の変化は、現実の特徴の位置の変化、および/または損傷を修復するための道路工事を含む。
【0035】
多くの現実の変化は、空間的及び時間的に相関しており、例えば、道路標示の塗り直し、及び速度制限の変化による交通標識の変化である。現実の変化は定期的であってもよく、例えば、定期的な道路整備の一部として道路標示を再塗装することであってもよい。高速道路では、定期的な保守の周期性が通常、4~8年ごとに1回行われる。これは、道路ネットワークの12.5~25%が毎年再塗装されることを意味する。いくつかの現実の変化は、他のものよりも頻繁であり、例えば、速度制限による交通標識の変化は、破壊行為による交通標識の交換よりも頻繁である。
【0036】
現実の特徴の変化は、年間約5~20%の割合で起こる。これは、地図の特徴の5~20%は、1年間に更新される必要があることを意味する。これらの変化は一般に、均等に配信されず、例えば、主要な道路工事の間、現実の特徴における実質的な変化は、比較的短い期間において、小さな領域において起こり得る。そのような道路工事の後、その同じ期間の変化率は、実質的に低下し得る。
【0037】
現実の変化観測値
現実の変化の観測値は、以下のような様々なソースから得られる。
●高品質の調査車両。
●位置センサおよび環境センサ、特にカメラ、RADARおよび/またはLIDAR、の両方を装備した多数の通常の乗用車。
●人間、特に車両ユーザによって提供される現実観測報告を含むアクティブコミュニティ入力(ACI)。
●https://earthquake.usgs.gov/fdsnws/event/1/で利用可能なUSGS地震ハザードプログラムなどの地球物理情報ソース。
●従来のナビゲーションクライアントによって提供される位置(ロケーション)データは、道路区分(セグメント)に対する変化を検出するために使用されてもよい(例えば、新しい道路、変化した道路工事、一時的変化道路など)。
【0038】
調査車両から得られる現実変化観測値は、それらに関連する高品質インデックスを自動的に有する。他のデータソースに関連する品質インデックスは、(例えば、特定の現実の変化の独立した観測の数、観測の精度/正確さ、観測のタイプなどに依存して)低減される。
【0039】
概要
本出願は、現実の特徴の正確かつ現在の表現を含む地図特徴を、HD地図クライアントに提供するための技法を扱う。
【0040】
現在、HD地図コンパイラは、例えば、新しいHD地図データを生成する際に、調査車両または乗用車からの現実観測値を使用することができる。新しいHD地図データは、CDNを介してHD地図クライアントに配信される。これは、現実特徴の非常にわずかな変化であっても、大量の地図データのコンパイルおよび配信を引き起こすことを意味する。これには、かなりの地図コンパイルリソースと地図配信リソースが必要である。オーバヘッドは、新しい地図データを提供する際に、変化集約遅延をもたらし得る。したがって、新しいHD地図データ(すなわち、HD地図特徴)は、更新が必要であると考えられるとき、サーバ側(観測データが受信される)からクライアント側(すなわち、自律車両内のHD地図クライアント)に断続的に配信される。
【0041】
加えて、HD地図品質メタデータをHD地図特徴に含めることは、HD地図データのサイズを増加させる(ただし、これは比較的小さいかもしれない)。また、HD地図品質メタデータがもはや十分に正確であると見なされない場合、新しいHD地図データをコンパイルすることも必要である。これは、地図データのわずかな部分における不正確さが、実質的に大量のデータのコンパイルおよび配信を引き起こすことを意味する。これにより、地図コンパイルリソースおよび地図配信リソースが増える。それはまた、HD地図品質メタデータの比較的静的な表現をもたらし、それは、HD地図品質メタデータに含まれる信頼度インジケータのための何らかの所定のエージングを使用することができる。
【0042】
本願によれば、地図変化データはサーバ側で生成され、HD地図特徴とは独立して(すなわち、HD地図データ自体とは独立して)HD地図クライアントに配信される。これにより、更新の配信に関連するオーバヘッドが大幅に低減される。クライアント側では、地図変化データが、車両に記憶されている(古い)HD地図データの関連部分を更新するように受信されて処理される。これは、HD地図特徴および/または関連する属性を作成すること、更新すること、または除去することを含み得る。従って、地図変化(変更)データは、地図データを変更するための命令を含む。そして、更新された地図データは、自動運転システムによって使用される。
【0043】
同様に、本願によれば、更新されたメタデータ(1つ以上の地図特徴における更新された信頼度レベルを含む)はサーバ側で生成され、HD地図特徴とは独立して(すなわち、HD地図データ自体とは独立して)HD地図クライアントに配信される。この場合も、これは、更新を配信することに関連するオーバヘッドを大幅に低減する。クライアント側では、更新されたメタデータが、車両に記憶されている(より古い)HD地図データの関連部分を更新するように受信されて処理される。そして、更新された地図データは、自動運転システムによって使用される。更新された地図データの一部として更新されたメタデータを有することは、自動運転システムが運転時に(古い)HD地図データ及び(現行の)SDOデータをどのように最良に重み付けするかを決定することができることを意味する。
【0044】
明らかに、本願のこれらの2つの態様(すなわち、地図変化データおよび更新されたメタデータ)は、任意の地図特徴変化が関連するメタデータ更新を有する場合に、組み合わせることができる。しかしながら、地図特徴の変化は、メタデータの更新がない場合に起こり得、メタデータの更新は、地図特徴の変化がない場合に起こり得ることも想定される。
【0045】
システムアーキテクチャ
図1は、一実施形態によるシステムアーキテクチャ100を概略的に示す。アーキテクチャ100のサーバ側は、HD地図サーバ110を備え、アーキテクチャ100のクライアント側は、電子制御部(ECU)プラットフォーム170に結合されたHD地図クライアント160を含むクライアントコンピュータシステム150を備える。HD地図クライアントはさらに、地図特徴調整モジュール190を介してHD地図アプリケーション180に結合される。アーキテクチャ100のクライアント側は、自律車両内のクライアントコンピュータシステム(1つ以上のコンピュータを含む)と見なすことができる。自律車両はADSを有する。
【0046】
HD地図サーバ110は、1つ以上のサーバを含むサーバシステムである。HD地図サーバ110は、道路システムの複数のオブジェクトに関する地図ソースデータを記憶する第1の記憶媒体120(例えば、データベース)を備える。第1の記憶媒体は、地図ソースデータに基づいて地図データを生成するように構成された地図生成モジュール122に結合される。地図生成モジュール122は、地図データを、複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴、ならびに関連する品質指標にコンパイルするように構成された地図コンパイラ124に結合される。地図コンパイラ124は、地図データサービス126および地図メタデータサービス128の両方に結合される。地図データサービス126は、複数の地図特徴を含むデジタルHD地図データを提供するように構成される。上述のように、HD地図データは、タイルのレイヤに構造化され得る。地図メタデータサービス128は、HD地図データの複数の地図特徴に関連する品質指標(または信頼度レベル)を含む地図メタデータを提供するように構成される。HD地図データおよび地図メタデータは、自律車両における自動運転システムによる使用に適している。
【0047】
HD地図サーバ110は、道路システムの複数のオブジェクトに関する現実変化観測(値)を記憶する第2の記憶媒体142(例えば、データベース)をさらに備える。現実変化観測は、結合現実変化観測マネージャ140から受信される。第2の記憶媒体142はまた、HD地図データを更新するための変化地図要件を満たす道路システムの1つ以上のオブジェクトにおける現実の変化を検出するように現実変化観測を分析するように構成された現実変化検出モジュール144に結合される。現実変化検出モジュール144は、検出された現実変化を表す現実変化トークンを生成することができる。現実変化検出モジュール144は、検出された現実変化によって影響を受ける地図特徴(すなわち、1つ以上の変化されたオブジェクトに関連付けられた地図特徴)を決定することによって、検出された現実変化をコンパイルするように構成された地図変化コンパイラ146に結合される。地図変化コンパイラ146は、検出された現実の変化を道路システムの1つ以上のオブジェクトに反映するために、関連する地図特徴の変化を記述する地図変化データを生成する。地図変化データは、変化が観察された道路システムの1つ以上のオブジェクトに対応する1つ以上の地図特徴の変化から構成される。本質的に、地図変化データは、現実の「何」、「どこで」、および「いつ」が変化するかを捕捉すると考えることができる。地図変化コンパイラ146は、地図変化データを提供するように構成された地図変化サービス148に結合される。
【0048】
地図変化データ(すなわち、地図変化サービス148)のための配信機構は、HD地図特徴(すなわち、地図データサービス126)のための配信機構とは別個である。これにより、地図変化データの更新は、HD地図特徴の更新を同時に必要とすることなく、はるかに高速に行われることが可能になる。地図変化データは、HD地図特徴に対する変化を記述するので、各地図特徴変化は、HD地図特徴の作成、変化、または除去を記述する。
【0049】
図1の実施形態では、HD地図クライアント160は、HTTPSクライアント161と、クライアントライブラリ162と、地図データ検証器163と、永続地図データキャッシュ164と、地図インタフェースアダプタ165と、コントローラ166とを備える。しかしながら、これらのモジュールのうちの少なくともいくつかの機能は、代替の実装形態において組み合わせられ得ることが理解されよう。HTTPSクライアント161は、地図データサービス126からHD地図データ(すなわち、複数の地図特徴)を受信するように構成される。HTTPSクライアント161は、地図メタデータサービス128から地図メタデータを受信するようにさらに構成される。HTTPSクライアント161は、地図変化サービス148から地図変化データを受信するようにさらに構成される。データのこれらのセットの各々は、互いに独立して受信されてもよい。クライアントライブラリ162は、HTTPSクライアント161、地図データ検証器163、永続地図データキャッシュ164、および地図インタフェースアダプタ165に結合される。地図データ検証器163は、受信した任意の地図データ(例えば、HD地図データ、地図変化データ及び/又は地図メタデータ)を検証するように構成される。検証されると、受信された地図データは、永続地図データキャッシュ164に記憶される。
【0050】
HD地図クライアント160のコントローラ166は、ECUプラットフォーム170に結合される。地図インタフェースアダプタ165は、地図特徴調整モジュール190を介してHD地図アプリケーション180に結合される。地図インタフェースアダプタ165は、様々なデータを地図特徴調整モジュール190に提供するように構成される。例えば、地図インタフェースアダプタ165は、HD地図データ(すなわち、永続地図データキャッシュ164に記憶された地図特徴データ)および現実変化(すなわち、地図変化データ)を地図特徴調整モジュール190に提供することができる。地図特徴調整モジュール190は、道路システムの指定された部分に関連付けられた地図変化データ内の地図特徴を識別するために、受信されたデータを処理するように構成される。次いで、地図特徴調整モジュール190は、道路システムの指定された部分のための更新されたHD地図データを生成する。更新されたHD地図データは、地図変化データに従って更新されたHD地図データの関連部分を含む。地図特徴調整モジュール190は、更新されたHD地図データを地図クライアントサービスとしてHD地図アプリケーション180に提供するように構成される。更新されたHD地図データは、アーキテクチャ100のクライアント側に関連付けられた自律車両のADSによって使用されるように構成される。ADSは、図1には明示的に示されていないが、コントローラ166、ECUプラットフォーム170、およびHD地図アプリケーション180などのモジュールによって具体化される。
【0051】
初期HD地図データおよび関連HD地図メタデータの生成
初期HD地図データの生成は、HD地図サーバ110において、第1の記憶媒体120に記憶された地図ソースデータを用いて行われる。初期HD地図データは、高品質の位置センサおよび車両環境センサを備えたHDマッピング車両によって収集されたデータに主に基づいて生成される。これにより、収集されたデータは、第1の記憶媒体120に記憶される。図1を参照して上述したように、地図生成モジュール122および地図コンパイラ124は、HD地図データを生成し、地図データサービス126を介して利用可能にする。同様に、地図生成モジュール122および地図コンパイラ124は、対応するHD地図メタデータを生成し、地図メタデータサービス128を介してそれを利用可能にする。HDマッピング車両によって収集されたデータに関連する品質指標は、一般に非常に高く(通常、100%)、これは、初期HD地図データに関連するHD地図メタデータに反映される。
【0052】
デジタル地図の品質は、ISO19157:13規格で定義された品質指標(インジケータ)(完全性、論理的整合性、位置精度、主題精度、時間精度)を用いて規定されている。従って、HD地図メタデータは、これらの品質指標(インジケータ)のそれぞれに関する信頼度指標(インジケータ)を含む。精度に関しては、HD地図メタデータは、静止オブジェクトの絶対位置精度及び/又は静止オブジェクト群の相対位置精度の信頼度指標(インジケータ)を含んでいてもよい。クラウドソースデータから生成された地図特徴は、HDマッピング車両データから生成された地図特徴とは異なる位置精度を有するだろう。
【0053】
HD地図データ内の各地図特徴および属性は、HDマッピング車両が基礎データを収集したデータである関連観測日を有する。観測日は、HD地図メタデータの一部を形成する。HD地図メタデータはまた、各地図特徴または属性についての確認日付および確認信頼度を含む。確認日は観測の確認日であり、HDマッピング車両データの観測日と同じ日付に設定される。確認信頼度は、確認日に関連付けられた基礎となるデータにおける信頼度レベルを反映する。したがって、確認信頼度の値は、HDマッピング車両データについて100%の信頼度を表す値に設定される。
【0054】
地図変化データの生成
図2は、地図変化データを生成することを担うHD地図サーバ110の部分200、すなわち、現実変化観測マネージャ140、第2の記憶媒体142、現実変化検出モジュール144、地図変化コンパイラ146、および地図変化サービス126を示す。図2はまた、現実変化観測が受信されるデータソースである現実変化ソース210を示すが、これらのデータソース210は、実際には現実変化地図サーバ200の一部を形成せず、代わりに、現実変化地図サーバ200に入力を提供することが理解されよう。地図変化データを生成するために使用されるデータソース210は一般に、データの二次ソース(すなわち、HDマッピング車両以外のデータソース)である。データの二次ソースの例は、センサ搭載乗用車、人々(例えば、車両ユーザ)によって提供される観測報告、および地震情報サービスプロバイダである。他の例は、衛星データソース、地球物理学的データソース、および道路工事情報ソースなどである。したがって、図1を参照して上述したように、現実変化観測マネージャ140は、これらすべての二次ソース210から収集されたデータを照合し、すべてを現実変化観測として第2の記憶媒体142に記憶する。次に、現実変化検出モジュール144および地図変化コンパイラ146は、地図変化データを生成し、地図変化サービス126を介してそれを利用可能にする。
【0055】
図6に示されるように、地図変化データは、サーバシステム(例えば、HD地図サーバ110)におけるコンピュータ実施方法600に従って生成され得る。サーバシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを記憶する(例えば、地図データサービス126を介して利用可能にされるHD地図データを参照されたい)。HD地図データは、道路システムの複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含む。HD地図データは、自律車両における自動運転システムによる使用に適している。
【0056】
方法600は、道路システムの観測データを受信する第1のステップS602を含む。観測データ(例えば、第2の記憶媒体142に記憶された現実変化観測値)は、道路システムの1つ以上の観測値を含む。上述のように、観測データは、現実変化観測マネージャ140を介して受信され得る。
【0057】
方法600は、複数のオブジェクトのうちの1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために観測データを使用する第2のステップS604を含む。上述のように、1つ以上のオブジェクトの変化は、現実変化検出モジュール144によって決定され得る。
【0058】
1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために観測データを使用することは、典型的には第2の記憶媒体142に記憶された少量の現実変化観測値に基づくものである。しかしながら、変化は、統計的な性質のものであってもよく、大量の履歴現実変化観測値に基づくものであってもよい。
【0059】
観測データを使用して1つ以上のオブジェクトの変化を決定することは、1つ以上のオブジェクトの絶対位置および/または相対位置および/または幾何学的形状および/またはタイプおよび/または存在の変化を決定することを含み得る。
【0060】
1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために観測データを使用することは、HD地図データを更新するための変化地図要件を満たす1つ以上のオブジェクトの変化を決定するために観測データを使用することを含み得る。例えば、決定された変化は、閾値レベルを上回る位置および/または相対位置および/または幾何学的形状の変化(例えば、10cmを超えるオブジェクトの移動)を伴い得る。或いは、オブジェクトの除去、または新しいオブジェクトの追加を含む任意の変化が、変化地図要件を満たすと見なされ得る。同様に、オブジェクトのタイプの変化は変化地図要件を満たすと考えられ、例は、以前に識別されたオブジェクトが道路標識であると考えられたが、観測データは現在、それが道路標識以外の何かであることを示唆している。
【0061】
上述したように、現実変化検出モジュール144は、検出された現実変化を表す現実変化トークンを生成することができる。現実変化トークンは、少数の現実変化観測値に基づくことができるが、大量の(履歴的である)現実変化情報から導出される現実変化を記述することもできる。
【0062】
方法600は、道路システムの1つ以上のオブジェクトに対応するHD地図データの1つ以上の地図特徴を識別する第3のステップS606を含む。上述のように、1つ以上の地図特徴は、地図変化コンパイラ146によって識別され得る。
【0063】
1つ以上のオブジェクトの変化が関係し得る。例えば、変化は、地震による所与のエリア内の多数の物体(道路、標識など)の10cmのシフトを示し得る。前述のように、地図特徴の3つの幾何学的クラス、すなわち、点特徴(例えば、交通標識)、線特徴(例えば、道路境界)、およびエリア特徴(例えば、道路表面エリア)が存在する。したがって、所与のエリア内のすべてのオブジェクトに影響を及ぼす変化は、エリア地図特徴を使用して効率的に表され得る。これは、変化されたオブジェクトの個数(すなわち、1つ以上のオブジェクトの個数)が、識別された1つ以上の特徴の個数よりも大きくなり得ることを意味する。明らかに、これは、変化を表すために必要とされるデータの量に関して、より効率的である。
【0064】
方法600は、決定された変化および識別された1つ以上の地図特徴に基づいて、1つ以上のオブジェクトの決定された変化を反映するために、1つ以上の地図特徴の変化を記述する地図変化データを生成する、第4のステップS608を含む。上述のように、地図変化データは、地図変化コンパイラ146によって生成されてもよい。
【0065】
上述のように、地図変化データは、1つ以上の地図変化特徴(1つ以上の識別された地図特徴の各々に対応する)から構成される。各地図変化特徴は、HD地図特徴または多数のHD地図特徴(例えば、エリア内のHD地図特徴)の作成、変化、または除去を記述する。
【0066】
上述のように、エリア関連現実変化情報は、エリア地図特徴変化によってコンパクトに表され得る。したがって、そのような変化は、低いセルラネットワークコストでHD地図クライアントに配信することができる。HDクライアントによって受信されると、エリア地図特徴変化は、ADASISV2/V3などの車両水平プロトコルを使用して車両ネットワーク上でこの情報の転送を可能にするために、道路システムの関連部分に、変化を関連付けるように依然として処理され得る。
【0067】
地図変化データは、HD地図データの1つ以上の地図特徴(例えばX)を直接置き換えるための1つ以上の置換地図特徴(例えばX')を含むことができ、それによって、1つ以上の地図特徴の変化を記述する。この例では、地図変化データは、1つ以上の地図特徴のより最新のバージョンを効果的に提供する。あるいは、地図変化データは、サーバシステムに記憶されたHD地図データに対する1つ以上の地図特徴の変化を含むことができ、それによって、1つ以上の地図特徴の変化を記述する。言い換えれば、HD地図データにおける地図特徴Xについて、地図変化データは、元の地図特徴Xに適用され、更新された地図特徴X'を提供することができる変化ΔXを示すことができ、ここで、X'=X+ΔXである。一例として、交通標識はしばしば回転させられることが知られている。その場合、地図変化データは、交通標識の地図特徴に符号化された交通標識の形状ジオメトリに対する回転ベクトルを含んでもよい。従って、地図変化データに具体化される「変化(変更)命令」の提供は多岐に亘ることが明らかである。その命令は、割り当て(すなわち、地図特徴の属性に新しい値を付与すること)、差分(更新された地図特徴の属性を得るために差分値が地図特徴の属性に加えられるべきである)、並進(すなわち、差分の特別なタイプ)、回転または同様の3Dオブジェクト変形、または、地図特徴の(属性の)作成または削除であり得る。
【0068】
地図変化データは、1つ以上の地図特徴の新しい属性または更新された属性を含んでもよい。新しいまたは更新された属性は、1つ以上の新しいまたは更新された絶対位置および/または相対位置および/または幾何学的形状および/またはクラスおよび/または1つ以上の地図特徴の暗号ハッシュ、のうちの1つ以上を含むことができる。例えば、HD地図データにおいて道路標識として識別された地図特徴を考えるが、元のHDマッピング車両データは(例えば、マッピングプロセス中に部分的に不明瞭になったため)道路標識のクラスを決定することができなかった。この場合、道路標識のクラスを定義する新しい属性が、地図変化データの一部として提供され得る。新しいまたは更新された暗号ハッシュの場合、これは、耐故障性地図実装のために使用され得る特定の変化された特徴のための地図変化データの暗号化であり得る。
【0069】
HD地図データは、指定された地理的エリアをカバーする。前述のように、HD地図データは、複数のレイヤを含むことができ、各レイヤは、指定された地理的エリアのための異なるタイプの地図データを含む。このシナリオでは、地図変化データは、それがHD地図データのレイヤであるかのように処理され得るように、同じ指定された地理的エリアをカバーするように生成され得る。地図変化データは、地理空間的現実変化のアプリケーション関連モデルであり、それらの現実変化の抽象化を含む。地図変化データに表される現実変化は、HD地図データに存在する地理空間オブジェクト表現に直接的または間接的に関連する。したがって、別々に作成、更新、および配信することができるHD地図データへのレイヤとして地図変化データを実装することは、技術的に実用的である。例えば、この種のレイヤ実装は、データのクライアント側処理をより単純化する。
【0070】
方法600は、自動運転システムによる使用のための地図変化データを提供する第5のステップS610を含み、地図変化データは、HD地図データの提供とは独立して自動運転システムに提供される。このように、地図変化サービス148は、地図データサービス126によるHD地図データの提供とは独立して、また、地図メタデータサービス128によるHD地図メタデータの提供とは独立して、地図変化データを提供されてもよい。
【0071】
方法600は、地図変化データを1つ以上のクライアントコンピュータに配信するステップをさらに含むことができる。地図変化データは、地図データサービス126によるHD地図データの配信とは独立して、また、地図メタデータサービス128によるHD地図メタデータの配信とは独立して、地図変化サービス148によって配信されてもよい。
【0072】
一例では、配信の前に、地図変化データは、道路システムの指定された部分に関連付けられた地図変化データのみを含むように、サーバシステムによって処理されてもよい。言い換えれば、地図変化データのサブセット(すなわち、道路システムの指定された部分に関連する部分)のみが、特定のクライアントコンピュータに送信される。この送信は、特定のクライアントコンピュータからの要求に応答して行うことができる。これは、利用可能になったときにすべてのクライアントコンピュータにデータを送信する「プッシュ」データ配信方法とは対照的に、地図変化データの「プル」データ配信方法である。要求は、地図変化データによってカバーされる地理的エリアのサブエリアをカバーする地図変化データの要求であってもよい。要求は、サブエリアを明示的に示すことによって、サブエリアを示してもよい。あるいは、要求は、要求に関連付けられた車両の近傍を示すことによって、サブエリアを示してもよい。さらなる代替形態では、要求は、サーバシステムが適切なサブエリアを決定することができるように、車両の現在位置および車両の移動履歴によってサブエリアを示すことによって、サブエリアを示してもよい。この場合、方法600は、要求を受信したことに応答して、現在位置および移動履歴に基づいてサブエリアを決定することをさらに含む。別の例では、要求は、複数の地図特徴のうちの特定の地図特徴に関する地図変化データの要求であってもよい。
【0073】
上述の地図変化データの「プル」配信に関して、図5は、地図サーバ110、地図クライアント160、およびAPIサーバ500を含む適切なシステムアーキテクチャを概略的に示す。地図サーバ110およびAPIサーバ500は両方とも、同じサーバシステムの一部と見なされ得る。地図サーバ110およびAPIサーバ500は、図5では異なるサーバとして示されているが、それらは実際には単一のサーバにおいて具体化され得ることが理解されよう。「プッシュ」配信システムの下で、地図サーバ110は、地図変化データが利用可能になると、地図変化データを1つ以上の地図クライアント160に配信する(510)ことができる。「プル」配信システムの下では、地図サーバ100が代わりに、地図変化データが利用可能になると、APIサーバに地図変化データを送信してもよく(512)、各地図クライアント160は、必要になると、および必要なときに、APIサーバから地図変化データを要求してもよい(514)。そのような要求に応答して、関連する地図変化データが、要求側地図クライアント160に送り返されてもよい(514)。
【0074】
上述のように、HDマッピング車両は、所与の道路システムオブジェクトの観測を断続的に行うことしかできない。HD地図更新頻度の増大にもかかわらず、現実の変化と新しいHD地図データの問題との間にはかなりの時間が依然として存在し得る。一方、多くのセンサ搭載乗用車は、同じ物体を観察することができる。したがって、所与のオブジェクトについて第2の記憶媒体142に記憶された現実変化観測値は一般に、同じオブジェクトについて第1の記憶媒体120に記憶されたHDマッピング車両データよりも最新である(すなわち、より最新である)ことが理解されるだろう。また、地図変化データのサイズは一般に、HD地図データのサイズよりも桁違いに小さい。したがって、地図変化データを生成し、HD地図データおよび関連するHD地図メタデータと比較して比較的頻繁に利用可能にすることができる。したがって、方法600は、十分な品質のHD地図更新を配信することができる前に、利用可能な地図変化データを作成することができる。言い換えれば、現実の変化と、関連する現実の変化情報を車両に配信する間の時間は、典型的には方法600に従ってより短い。したがって、自律車両は、検出された直後に現実の変化を認識し、例えば自動化機能を有効(又は無効)にすることによって、または保守的な運転行動方針をより少なく(又はより多く)採用することによって、それらに適切に作用することができる。いずれにせよ、現実の変化をより定期的に提供することによって、車両が利用できるHD地図データを改善することができる。この情報がなければ、より古い地図情報のみが車両に利用可能である。より最新の情報にアクセスできるADSは、改善されたADSとなる。
【0075】
上述のように、地図変化データは、1つ以上の地図特徴変化を含むと考えることができる。言い換えれば、地図変化データは、識別された1つ以上の地図特徴の各々についての地図特徴変化のバンドル(束)から構成される。関連する地図属性変化を含む、地図特徴変化のいくつかの例が、以下に与えられる。
【0076】
第1の例では、特定の地震の影響を考える。地震の中心付近のエリアは、それぞれが関連する地図属性変化および信頼度レベルを有するサブエリアに分割される。サブエリアは、地図変化データ内のエリア特徴である。サブエリアのうちの1つについての第1の地図属性変化は、「エリア内の道路が損傷され得る」および/または「エリア内の道路が10cmを超えてシフトしている可能性がある」と述べることができる。そのサブエリアについての第2の地図属性変化は、70%の信頼度レベルを示し得る。そのサブエリアの第3の地図属性変化は、2020年1月12日から2020年1月15日の間である変化の期間を示し得る。
【0077】
第2の例では、道路の特定のストレッチ(区間)の速度制限が変化したことを考える。地図属性変化は、HD地図の既存の特徴、すなわち、典型的にはレーングループの一部(例えば、レーングループのレーンの一部)に関連付けられる。地図属性変化は、速度制限が70%の関連信頼度レベルで減少したことを示すことができる。
【0078】
第3の例では、交通標識の交換を考える。大量の履歴観測値に基づいて、交通標識の交換は、オランダの特定の道路クラスの道路に沿って交換された交通標識の1%がそれらの位置及び向きを変えることにつながることが知られている。この情報は、地図変化データにおけるエリア地図特徴変化としてキャプチャされ得る。HD地図データの年齢は既知であるので(例えば、HD地図メタデータに与えられた観測日に基づいて)、関連する交通標識地図特徴に関連する信頼度レベルは、現在の現実をより厳密に反映するように(下方に)調整され得る。これは、次のセクションで説明する更新されたメタデータの生成に密接に関連している。
【0079】
サーバシステムは、HD地図メタデータをさらに記憶することができ、メタデータは、複数の地図特徴についてのHD地図データにおける信頼度レベルを含む。地図変化データはまた、様々な程度の特異性を有することができ、典型的には、関連する信頼度インジケーションを有することができる。概要セクションで論じられるように、地図変化データの生成は、更新されたメタデータの生成を伴ってもよい。この場合、方法600は、(a)観測データに基づいて、識別された1つ以上の地図特徴についての更新されたメタデータを生成して、HD地図メタデータ内の識別された1つ以上の地図特徴についてのそれぞれの信頼度レベルと比較して、地図変化データ内の識別された1つ以上の地図特徴における更新された信頼度レベルを反映することと、(b)自動運転システムによって使用するために更新されたメタデータを提供することとをさらに含み、更新されたメタデータは、HD地図データの提供とは独立して自動運転システムに提供される。
【0080】
地図変化データおよび更新されたメタデータは、同じ観測データに関して、タンデムに(すなわち、効果的に同時に)生成され、提供され得る。続いて、方法600は、地図変化データおよび更新されたメタデータを1つ以上のクライアントコンピュータシステムに配信するステップをさらに含むことができる。地図変化データおよび更新されたメタデータの配信は、一緒に行われてもよい。一緒に配信することは、異なる通信チャネルを介した同時配信、または同じ通信チャネルを介して一緒に配信することを含みうる。
【0081】
観測データは、特定のオブジェクトに関する複数の観測値を含むことができる。この場合、特定のオブジェクトについての更新された信頼度レベルは、複数の観察値に関連付けられた統計的信頼度に基づくことができる。このことは、統計的現実変化情報が、現実に関連する地図データの信頼度を連続的に調整するために、車両によって適用することができることを意味する。
【0082】
更新されたメタデータの生成のより詳細な説明は、「更新されたメタデータの生成」と題するセクションに続く。
【0083】
図6を参照して上述した方法600と同様に、本出願は、この方法を実行するように構成されたサーバシステムも想定している(例えば、図1および図2を参照)。対応するコンピュータプログラムおよびコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体も想定される。
【0084】
更新されたメタデータの生成
地図変化データを生成するだけでなく、HD地図サーバ110を使用して、更新されたメタデータを生成することができる。HD地図データ更新の頻度が増加しているにもかかわらず、それは依然として更新の間にはかなりの時間があり得る。したがって、自律車両によって使用されるHD地図データおよびHD地図メタデータは、かなり古くなる可能性がある。本出願は、車両によって使用される既存のHD地図データに関連する更新されたメタデータを提供するために、より最近の観測データを使用することを提案する。これにより、車両は、HD地図データを履歴現実に関連付けるときのHD地図データの品質とは対照的に、HD地図データを現在現実に関連付けるときのHD地図データの品質を決定することができる。
【0085】
以下の表は、本出願に従って更新され得る例示的なメタデータフィールドを提供する。これらのフィールドは例示的なものであり、決して限定することを意図するものではない。
【0086】
【表1】
【0087】
上記の表中の品質指標(インデックス)は単純な整数であり、したがって、(地図更新のための)セルラネットワークの効率的な使用を可能にする地図品質メタ情報のコンパクトな表現を可能にする。
【0088】
図3は、更新されたメタデータ、すなわち、第1の記憶媒体120および第2の記憶媒体142を生成することを担うHD地図サーバ110の一部300を示す。図3はまた、地図品質関連付けを記憶する第3の記憶媒体310、地図品質メタデータコンパイラ312、および地図品質メタデータサービス314を描写する。図3のこれらの追加の要素は、図1のHD地図サーバにも存在するが、簡略化のためにその図からは省略されている。
【0089】
前述のように、第1の記憶媒体120は、道路システムの複数のオブジェクトに関する地図ソースデータを記憶し、第2の記憶媒体142は、道路システムの複数のオブジェクトに関する現実変化観測値を記憶する。現実変化観測値は、現実の変化があったことを示す観測値と、現実の変化がなかったことを示す観測値とを含むことができる。第3の記憶媒体310(たとえば、データベース)は、第1および第2の記憶媒体120、142に記憶されたデータの異なるソースに関連付けられるべき信頼度レベルを示し得る地図品質関連付けを記憶する。地図品質関連付けはまた、異なるデータソースに対して経時的に適用される信頼度レベルの変化率を示してもよい。3つの記憶媒体120、142、310は、HD地図メタデータ内の同じ地図特徴に対するそれぞれの信頼度レベルと比較して、1つ以上の地図特徴における更新された信頼度レベルを反映するために、1つ以上の地図特徴に対する更新されたメタデータをコンパイルするように構成された地図品質メタデータコンパイラ312に結合される。コンパイルは、入力データの様々なソースに対する地図品質の関連付けを考慮に入れる。地図品質メタデータコンパイラ312は、更新されたメタデータを提供するように構成された地図品質メタデータサービス314に結合される。
【0090】
図7に示されるように、更新されたメタデータは、サーバシステム(例えば、HD地図サーバ110または地図品質メタデータサーバ300)におけるコンピュータ実施方法700に従って生成されてもよい。サーバシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを記憶する(例えば、地図データサービス126を介して利用可能にされるHD地図データを参照されたい)。HD地図データは、道路システムの複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含む。サーバシステムはさらに、HD地図メタデータを記憶する(例えば、地図メタデータサービス128を介して利用可能にされるHD地図メタデータを参照されたい)。HD地図メタデータは、複数の地図特徴に対するHD地図データにおける信頼度レベルを含む。HD地図データ及びメタデータは、自律車両における自動運転システムによる使用に適している。
【0091】
複数の地図特徴のうちの少なくとも1つの地図特徴は、1つ以上の関連する属性を有してもよく、少なくとも1つの地図特徴のHD地図メタデータは、1つ以上の属性における信頼度レベルを含んでもよい。
【0092】
信頼度レベルは、データに関連付けられた精度のレベルに関連し得る。例えば、HDマッピング車両は、高レベルの精度で観測を行うので、関連する地図特徴におけるレベルの信頼度は一般に、精度の低いデータソースから導出された地図特徴の場合よりも高くなる。
【0093】
方法700は、道路システムの観測データを受信する第1のステップS702を含む。観測データは、道路システムの1つ以上の観測値を含む。
【0094】
HD地図データおよびHD地図メタデータは、少なくともHDマッピング車両からのセンサデータ(すなわち、第1の記憶媒体120内の地図ソースデータ)に基づくことができ、観測データは、HDマッピング車両以外のデータソース(すなわち、第2の記憶媒体142内の現実変化観測値)に基づくことができる。
【0095】
観測データ(すなわち、第2の記憶媒体142内の現実変化観測値)は、センサ搭載乗用車からのデータ、車両ユーザなどの人間によって提供される観測報告、および地震情報サービスプロバイダからのデータのうちの1つ以上を含みうる。
【0096】
方法700は、観測データに関連付けられた複数のオブジェクトのうちの1つ以上のオブジェクトを識別(特定)する第2のステップS704を含む。1つ以上のオブジェクトは、地図品質メタデータコンパイラ312によって識別(特定)されてもよい。
【0097】
方法700は、道路システムの1つ以上のオブジェクトに対応するHD地図データの1つ以上の地図特徴を識別(特定)する第3のステップS706を含む。1つ以上の特徴は、地図品質メタデータコンパイラ312によって識別(特定)されてもよい。
【0098】
方法700は、HD地図メタデータ内の識別された1つ以上の地図特徴についてのそれぞれの信頼度レベルと比較して、識別された1つ以上の地図特徴における更新された信頼度レベルを反映するために、識別された1つ以上の地図特徴についての更新されたメタデータを、観測データに基づいて生成する第4のステップS708を含む。上述のように、更新されたメタデータは、地図品質メタデータコンパイラ312によって生成されてもよい。
【0099】
更新されたメタデータは、地図変化データについて上述したのと同じ「変化(変更)命令」アプローチ(追加、削除、更新命令)をとってもよい。したがって、更新されたメタデータは、クライアントコンピュータシステムが時間の関数としてメタデータを調整することを可能にするパラメータに更新を提供することもできる(例えば、特定のデータの品質が時間とともに低下し、最新でなくなることを想定したものである)。このオプションは、場合によっては、更新されたメタデータをそれほど頻繁に生成し、配信する必要がないことを意味する。
【0100】
更新された信頼度レベルは、観測データのデータソースに関連付けられてもよい。上述のように、これは、第3の記憶媒体310に記憶された地図品質関連付けを参照することによって達成されてもよい。
【0101】
更新されたメタデータはまた、識別された1つ以上の地図特徴における更新された信頼度レベルに適用されるべき経時的な変化率を反映してもよい。言い換えれば、更新されたメタデータは、識別された1つ以上の地図特徴の観測時間に対する経過時間の関数として、潜在的な変化を示す。
【0102】
観測データは、特定のオブジェクトに関する複数の観測値を含むことができる。この場合、特定のオブジェクトについての更新された信頼度レベルは、複数の観察値に関連付けられた統計的信頼度に基づくことができる。
【0103】
更新されたメタデータを生成することは、HD地図データに関連付けられたHD地図メタデータ(すなわち、地図データサービス126によって提供された最新のHD地図データ)にさらに基づいてもよい。
【0104】
HD地図データは、指定された地理的エリアをカバーする。前述のように、HD地図データは複数のレイヤを含むことができ、各レイヤは、指定された地理的エリアのための異なるタイプの地図データを含む。このシナリオでは、HD地図メタデータおよび更新されたメタデータは、それらがHD地図データのレイヤであるかのように処理され得るように、同じ指定された地理的エリアをカバーする。HD地図データは、地理空間現実のアプリケーション関連モデルであり、現実オブジェクトの抽象化を含む。更新されたメタデータは、HD地図データ内に表された1つ以上の特徴に直接または間接的に関連する。したがって、更新されたメタデータを、別々に作成、更新、および配信することができるHD地図データへのレイヤとして実装することは、技術的に実用的である。例えば、この種のレイヤ実装は、データのクライアント側処理をより簡単にする。
【0105】
識別された1つ以上の地図特徴の各地図特徴について、観測データがその地図特徴と一致する場合、更新されたメタデータを生成することは、(a)識別された1つ以上の地図特徴における信頼度レベルを増加または維持することと、(b)その地図特徴についてのメタデータにおける確認日付フィールドを観測データの日付に更新することと、(c)その地図特徴についてのメタデータにおける確認信頼度フィールドを、観測データに関連付けられた信頼度レベルに基づいて更新することと、のうちの1つ以上を含んでもよい。これは、現実が変化していない状況に対処する方法を説明する。この場合、地図特徴が依然として現実を反映しているという確認が生成される。定期的に(典型的な現実変化挙動に依存する頻度で)、これらの特徴関連確認および属性関連確認は、更新されたメタデータを介して配信することができ、例えば、確認日および確認信頼度を更新することができる。確認情報は、特徴および属性品質の判定において、自律車両によって考慮され得る。観察データが十分に高い品質を有する場合、確認信頼度は100%に更新されてもよい。このような場合、観察日も更新される。確認日は、地図特徴が道路システムの関連オブジェクトを依然として正確に表すことを確認した観測データの最新の日付を示す。確認信頼度は、地図特徴が依然として道路システムの関連オブジェクトを正確に表すことを確認した観測データに関連付けられた信頼度レベルを示す。前の表で述べたように、所与の地図特徴または属性に関連するいくつかの異なる確認信頼度フィールドが存在し得る。さらに、確認データが存在しない場合、確認日および確認信頼度は、ヌルフィールドであり得る。
【0106】
あるいは、観測データがその地図特徴と矛盾し(不一致・不整合であり)、その矛盾がHD地図データを更新するための変化地図要件を満たすのに十分である場合、方法700は、(a)観測データを使用して、その地図特徴に対応するオブジェクトの変化を決定(判定)することと、(b)決定された変化に基づいて、対応するオブジェクトの決定された変化を反映するように、その地図特徴の変化を記述する地図変化特徴を生成することと、(c)地図変化特徴を、識別された1つ以上の特徴についての他の地図変化特徴と照合して、地図変化データを形成することと、(d)地図変化データを、自動運転システムによって使用するために提供することと、をさらに含んでもよく、地図変化データは、HD地図データの提供とは独立して自動運転システムに提供される。言い換えれば、これは、更新されたメタデータと、変化地図データとの組合せを含む。これは、現実が変化した状況を処理する方法を説明する。一般に、変化地図データは、変化を保証するのに十分に大きい(または十分に確かである)変化が提供される場合にのみ提供される。この場合、前のセクションで説明した地図変化データによって、変化情報が生成され、配信される。自律車両は、関連する現実が変化したことが十分に明らかであるHD地図データ内の特徴/属性に依拠することができない。現実が変化した後、(例えば、地図変化サービス148を介して)関連する地図変化データを提供するために利用可能な十分なセンサ由来観測値が存在することがある。この地図変化データは、クラウドソースの観測値に関連付けられた品質レベルのものであってもよく、したがって、クラウドソースのデータのための適切な品質指標(インデックス)を関連付けている。その後、HDマッピング車両が変化された位置を訪れた後、HDマッピング車両からのデータに基づいて、HD地図データの新しいバージョンを(例えば、地図コンパイラ124によって再び)コンパイルすることができ、したがって、HDマッピング車両データのための適切な品質指標(インデックス)(例えば、100%)を関連付けることができる。地図変化データおよび更新されたメタデータは同じ観測データに関して、タンデムに(すなわち、効果的に同時に)生成され、提供され得る。続いて、方法700は、地図変化データおよび更新されたメタデータを1つ以上のクライアントコンピュータシステムに配信するステップをさらに含むことができる。地図変化データおよび更新されたメタデータの配信は、一緒に行われてもよい。一緒に配信することは、異なる通信チャネルを介した同時配信、または同じ通信チャネルを介して一緒に配信することを含み得る。
【0107】
さらなる代替形態では、観測データがその地図特徴と矛盾するが、矛盾がHD地図データを更新するための変化地図要件を満たすには不十分である(すなわち、地図変化データがその地図特徴について生成されない)場合、更新されたメタデータを生成することは、その地図特徴における信頼度レベルを低下させることを含んでもよい。したがって、変化が、変化を保証するのに十分に大きくない(または十分に確実でない)場合、変化地図データは生成されず、代わりに、更新されたメタデータが、関連する地図特徴における信頼度レベルを低減するために使用され得る。
【0108】
方法700は、自動運転システムによる使用のために、更新されたメタデータを提供する第5のステップS710を含み、更新されたメタデータは、HD地図データの提供とは独立して自動運転システムに提供される。上述のように、更新されたメタデータは、地図品質メタデータサービス314によって提供され得る。
【0109】
上述のように、HDマッピング車両は、所与の道路システムオブジェクトの観測を断続的に行うことしかできない。一方、多くのセンサ搭載乗用車は、同じオブジェクトを観測することができる。これらの観測値は、オブジェクトがHD地図データの地図特徴によって依然として良好に表されていることを示してもよく、逆に、オブジェクトがHD地図データの地図特徴によってもはや良好に表されていないことを示してもよい。したがって、所与のオブジェクトについて第2の記憶媒体142に記憶された現実変化観測値は一般に、同じオブジェクトについて第1の記憶媒体120に記憶されたHDマッピング車両データよりも最新である(すなわち、より最新である)ことが理解されよう。さらに、更新されたメタデータのサイズは一般に、HD地図データのサイズよりも桁違いに小さい。したがって、HD地図データおよび関連するHD地図メタデータと比較して比較的頻繁に、更新されたメタデータを生成して利用可能にすることができる。したがって、方法700は、十分な品質のHD地図更新が配信され得る前に、利用可能な更新されたメタデータを十分に作成することができる。したがって、自律車両は、関連する観測が行われた直後に、更新されたメタデータを認識することができ(例えば、自律車両は新しい地図更新がなくても、時間が経過する不確実性の増加を回避するための確認を提供され得る)、適切に、例えば、自動化機能を無効化/有効化することによって、または多かれ少なかれ保守的な運転行動方針を採用することによって、それらに作用することができる。
【0110】
方法700は、更新されたメタデータを1つ以上のクライアントコンピュータへ配信するステップをさらに含むことができる。更新されたメタデータは、地図品質メタデータサービス314によって、地図データサービス126によるHD地図データの配信とは独立して、および地図メタデータサービス128によるHD地図メタデータの配信とは独立して、配信され得る。
【0111】
一例では、配信の前に、地図更新メタデータは、道路システムの指定された部分に関連付けられた更新メタデータのみを含むように、サーバシステムによって処理される。言い換えれば、更新されたメタデータのサブセット(すなわち、道路システムの指定された部分に関連する部分)のみが、特定のクライアントコンピュータに送信される。この送信は、特定のクライアントコンピュータからの要求に応答して行うことができる。これは、利用可能になったときにすべてのクライアントコンピュータへデータを送信する「プッシュ」型データ配信方法とは対照的に、地図変化データの「プル」型データ配信方法である。「プッシュ」および「プル」配信システムの実施に関する図5および上記の説明を参照されたい。要求は、更新されたメタデータによってカバーされる地理的エリアのサブエリアをカバーする更新されたメタデータの要求であってもよい。要求は、サブエリアを明示的に示すことによって、サブエリアを示し得る。あるいは、要求は、要求に関連付けられた車両の近傍を示すことによって、サブエリアを示してもよい。さらなる代替形態では、要求は、サーバシステムが適切なサブエリアを決定することができるように、車両の現在位置および車両の移動履歴によってサブエリアを示すことができる。この場合、方法700は、要求を受信したことに応答して、現在位置および移動履歴に基づいてサブエリアを決定することをさらに含む。別の例では、要求は、複数の地図特徴のうちの特定の地図特徴に関する更新されたメタデータの要求であってもよい。
【0112】
図7を参照して上述した方法700と同様に、本出願は、この方法を実行するように構成されたサーバシステムも想定している(例えば、図1および3を参照されたい)。対応するコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体も想定される。
【0113】
地図変化データのクライアント処理
システムのクライアント側は、図1のクライアントコンピュータシステム150を参照してある程度既に説明されている。例えば、地図インタフェースアダプタ165は、HD地図データ(すなわち、永続地図データキャッシュ164に記憶された地図特徴データ)および現実変化(すなわち、地図変化データ)を、地図特徴調整モジュール190へ提供することができる。地図特徴調整モジュール190は、道路システムの指定された部分に関連付けられている地図変化データ内の地図特徴を識別するために、受信されたデータを処理するように構成される。地図特徴調整モジュール190は、道路システムの指定された部分のための更新されたHD地図データを生成する。更新されたHD地図データは、地図変化データに従って更新されたHD地図データの関連部分を含む。地図特徴調整モジュール190は、更新されたHD地図データを、地図クライアントサービスとしてのHD地図アプリケーション180へ提供するように構成される。更新されたHD地図データは、アーキテクチャ100のクライアント側に関連付けられた自律車両のADSによって使用されるように構成される。ADSは、図1には明示的に示されていないが、コントローラ166、ECUプラットフォーム170、およびHD地図アプリケーション180などのモジュールによって具体化される。ここで、図4aおよび図4bを参照して、さらなる詳細について説明する。
【0114】
図4aは、複数のHD地図アプリケーション180が同じ地図特徴調整モジュール190に関連付けられている実施形態を示している。
【0115】
図4bは、自律車両内の各ECUプラットフォーム170がそれ自体の関連する地図特徴調整モジュール190およびHD地図アプリケーション180を有する代替実施形態を示す。例えば、図4bは、第1のECUプラットフォーム170aが第1の地図特徴調整モジュール190aと第1のHD地図アプリケーション180aとを有し、第2のECUプラットフォーム170aが第2の地図特徴調整モジュール190aと第2のHD地図アプリケーション180とaを有することを描写している。このような構成は、異なるECUプラットフォーム170が地図データの異なるエリアへのアクセスを必要とする場合に(すなわち、道路システムの指定された部分が、第1の及び第2のECU170a、170bについて異なる場合に)有利でありうる。例えば、第1のECUは、車両の周囲の地図データのかなり局所的なエリアへのアクセスを必要とする自動駐車に関連し得る。対照的に、第2のECUは、自動車道路上の自動運転(車線制御)に関連してもよく、これは、車両の前方の道路のより広いエリアへのアクセスを必要とする。
【0116】
図8に示されるように、更新されたHD地図データは、クライアントコンピュータシステム(例えば、クライアントコンピュータシステム150)におけるコンピュータ実施方法800に従って生成されてもよい。クライアントコンピュータシステムは、自動運転システムを備える。クライアントコンピュータシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを受信し、記憶するように構成される(例えば、地図データサービス126を介して利用可能にされるHD地図データを参照されたい)。HD地図データは、道路システムの複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含む。HD地図データは、自動運転システムによる使用に適している。
【0117】
方法800は、HD地図データの複数の地図特徴のうちの1つ以上の地図特徴の変化を記述する地図変化データを(例えば、HTTPSクライアント161によって)受信する第1のステップS802を含む。地図変化データは、HD地図データの受信とは独立して受信される。
【0118】
方法800は、道路システムの指定された部分に関連する1つ以上の地図特徴のうちのいくつかである更新された地図特徴を識別するために地図変化データを(例えば、地図特徴調整モジュール190によって)処理する第2のステップS804を含む。
【0119】
特に、この処理ステップは、(例えば、地図変化データのための「プッシュ」配信モデルにおいて)地図変化データが受信された後にかなり行われ得る。あるいは、地図変化データがクライアントコンピュータシステムからの要求に応答して(すなわち、「プル」配信モデルにおいて)受信される場合、処理ステップは、要求された地図変化データの受信から直接続く可能性が高い。
【0120】
道路システムの指定された部分は、車両の近傍の道路システムの部分であってもよく、車両の近傍は車両の現在位置に基づいて決定される。車両の近傍はさらに、車両の予測される移動方向または移動エリアに基づいて決定されてもよい。換言すれば、車両の近傍に関連する地図変化データの部分を識別することは、地平線プロトコル(例えば、(ADASIS V2、V3))が、地図データを適用するECUに車両ネットワークを介して地図データを配信する前に、データの適切な処理を可能にする。特に、地図データは、地平線プロトコルを使用して転送可能であるように、道路区間(ストレッチ)に関連付けられる必要がある。前述のように、地図変化データは、点、線、および/またはエリア地図特徴に関連し得る。したがって、地図変化データ内のこれらの点、線、および/またはエリア地図特徴のうちのどれが、特定の道路区間(すなわち、道路システムの指定された部分)に関連付けられているかを識別(特定)することが必要である。地図変化データにおける地図エリア特徴変化内の道路は、その後に道路に関連付けられるこの地図エリア特徴から現実変化情報を継承する。この処理は、適用された地平線プロトコルを使用して車載配信に先立って行われる。言い換えると、変化(例えば、地震による衛星測位に対して、地図エリア特徴がある方向にシフトした)は、(例えば、地図特徴調整モジュール190において)最初に処理される。HD地図特徴に対するECUからの要求がある場合、地図特徴データ(すなわち、HD地図データ)は、(HD地図クライアント160において)取得され、地図変化データと共に地図特徴調整モジュール190へ渡される。地図特徴調整モジュール190は、地震地図エリア特徴に対する地図変化データを使用して、更新されたHD地図データをECUへ送信する前に、HD地図データに対して行われる必要がある変更(変化)を見つける(以下を参照されたい)。
【0121】
特に、永続地図データキャッシュメモリ164に記憶されるときに、記憶されたHD地図データに地図変化データを適用することは、2つのデータストリームの独立性を破壊する。したがって、元の(すなわち、未加工/未処理の)HD地図データ(およびHD地図メタデータ)が、永続データキャッシュメモリ164に記憶されることが望ましい。(道路システムの指定された部分が道路システム全体である)代替として、HD地図データ全体および変化地図データを処理して、道路システム全体の更新されたHD地図データを取得することができる。この更新されたHD地図データは、要求された地図特徴が取得される元のHD地図データとは別個に記憶される必要がある。この変形例は、少数の変化のみが地図変化データに表される場合であっても、永続地図データキャッシュメモリ164に必要とされるストレージの量を2倍にするので、準最適である。したがって、道路システムの指定された部分は、道路システム全体の比較的小さい部分(例えば、車両の近傍)であり、更新されたHD地図データは、様々なECUに対してオンデマンドで生成されることが好ましい。
【0122】
方法800は、更新された地図特徴に関する地図変化データに基づいて、自動運転システムによる更新されたHD地図データの使用を可能にするように、道路システムの指定された部分の更新されたHD地図データを(例えば、地図特徴調整モジュール190によって)生成する第3のステップS806を含む。
【0123】
方法800は、更新されたHD地図データの少なくとも一部を車両内の少なくとも1つの電子制御部へ配信することをさらに含むことができる。
【0124】
図5に関して上述したAPIサーバ500の実施形態に関して、方法800は、地図変化データの要求をサーバ(例えば、サーバシステムのAPIサーバ500)へ送信することをさらに含むことができ、地図変化データは、要求に応答してサーバから受信される。要求は、クライアントコンピュータシステムに記憶されたHD地図データと同じ地理的エリアをカバーする地図変化データの要求であってもよい。代替的に、要求は、クライアントコンピュータシステムに記憶されたHD地図データによってカバーされる地理的エリアのサブエリアをカバーする地図変化データの要求であってもよい。要求は、サーバが適切なサブエリアを決定することができるように、(a)サブエリアを明示的に示すこと、(b)車両の近傍を示すこと、および(c)車両の現在位置および車両の移動履歴を示すことのうちの1つによってサブエリアを示すことができる。さらなる代替例では、要求は、複数の地図特徴のうちの特定の地図特徴に関する地図変化データの要求であってもよい。
【0125】
サブエリアの地図変化データを要求することは可能であるが、そのようなモデルは、地図特徴がHD地図データ内の他の地図特徴へのリンクを含み得るので、(地図特徴データを含む)実際のHD地図データに関して適用することができない。したがって、リンクされたデータが存在することを保証するために、HD地図データの全データセットを有することが必要である。対照的に、地図変化データは、地図特徴変化間のリンクを含まず、したがって、地図変化データの一部分のみを用いて動作することが可能である。これは、地図変化データに関連してAPIモデルの実装を実現可能にする。したがって、地図変化データは、指定された地図エリアについて取得され、次いで、処理され、元のHD地図データのストリーム編集のために使用され得る。
【0126】
前述のように、本出願の地図変化データおよび更新されたメタデータの態様を組み合わせることが可能である。この点に関して、クライアントコンピュータシステムは、HD地図メタデータを受信し、記憶するようにさらに構成され得る。メタデータは、複数の地図特徴に対するHD地図データの信頼度レベルを含む。この場合、方法800は、HD地図データの複数の地図特徴のうちの1つ以上の地図特徴についての更新されたメタデータを受信することをさらに含むことができ、更新されたメタデータは、HD地図データの受信とは独立して受信される。更新された地図特徴は、道路システムの指定された部分に関連する1つ以上の地図特徴のうちのいくつかを識別するために、更新されたメタデータを処理することによってさらに識別される。更新されたHD地図データを生成することは、更新された地図特徴に関する更新されたメタデータにさらに基づくものである。
【0127】
したがって、方法800は、HD地図更新が受信される前に、地図変化データを十分に使用することができる。言い換えれば、現実の変化と、関連する現実変化情報を車両が受信することとの間の時間は、典型的には方法800に従ってより短い。したがって、自律車両は、検出された直後に現実の変化を認識し、例えば自動化機能を無効にすることによって、または保守的な運転行動方針を採用することによって、それらに適切に作用することができる。
【0128】
図8を参照して上述した方法800と同様に、本出願は、この方法を実行するように構成されたクライアントコンピュータシステムも想定している(例えば、図1および図4a~図4b参照)。対応するコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体も想定される。
【0129】
更新されたメタデータのクライアント処理
システムのクライアント側は、図1のクライアントコンピュータシステム150を参照して既にある程度説明されている。上述のように、地図インタフェースアダプタ165は、様々なデータを地図特徴調整モジュール190へ提供するように構成される。更新されたメタデータのクライアント処理に関して、地図インタフェースアダプタ165は、HD地図データ(地図データサービス126から受信され、永続地図データキャッシュメモリ164に記憶される)、HD地図メタデータ(地図メタデータサービス128から受信され、永続地図データキャッシュメモリ164に記憶される)、更新されたメタデータ(地図品質メタデータサービス314から受信され、永続地図データキャッシュメモリ164に記憶される)、および任意の関連する現実の変化(すなわち、地図変化サービス148から受信され、永続地図データキャッシュメモリ164に記憶される地図変化データ)を提供することができる。地図特徴調整モジュール190は、道路システムの指定された部分に関連付けられている更新されたメタデータ内の地図特徴を識別するために、受信されたデータを処理するように構成される。地図変化データ内の対応する地図特徴も識別されてもよい。地図特徴調整モジュール190は、道路システムの指定された部分のための更新されたHD地図データを生成する。更新されたHD地図データは、更新されたメタデータ(および関連する地図変化データ)に従って更新されたHD地図データの関連部分を含む。地図特徴調整モジュール190は、更新されたHD地図データを、地図クライアントサービスとしてのHD地図アプリケーション180へ提供するように構成される。更新されたHD地図データは、アーキテクチャ100のクライアント側に関連付けられた自律車両のADSによって使用されるように構成される。ADSは、図1には明示的に示されていないが、コントローラ166、ECUプラットフォーム170、およびHD地図アプリケーション180などのモジュールによって具体化される。さらに、前のセクションの図4aおよび4bの説明を参照されたい。
【0130】
メタデータは、常にHD地図データとは独立して符号化され、配信されることに留意されたい。これは、地図メタデータサービス128によって提供される初期HD地図メタデータと、地図品質メタデータサービス314によって提供される更新されたメタデータとに当てはまる。これらのメタデータデータセットは、それぞれ「更新」として符号化することができる(例えば、新しいメタデータ属性を作成し、それをデフォルト値または指定値に設定する)。これは、地図変化データがHD地図クライアントで使用される方法と同様である(「変化(変更)命令」に関する上記の議論を参照されたい)。このアプローチによって、地図特徴のグループ化参照(例えば、エリアに関する)を使用することができる。また、メタデータをHD地図データから分離することで、HD地図データのデータサイズを小さくすることができる。HD地図アプリケーションの中には、メタデータを必要としないものもあり、メタデータをダウンロードする必要がないので、これは有用である。
【0131】
図9に示されるように、更新されたHD地図データは、クライアントコンピュータシステム(例えば、クライアントコンピュータシステム150)におけるコンピュータ実施方法900に従って生成されてもよい。クライアントコンピュータシステムは、自動運転システムを備える。クライアントコンピュータシステムは、複数のオブジェクトを有する道路システムを表すHD地図データを受信し、記憶するように構成される(例えば、地図データサービス126を介して利用可能にされるHD地図データを参照されたい)。HD地図データは、道路システムの複数のオブジェクトを表す複数の地図特徴を含む。クライアントコンピュータシステムは、HD地図メタデータを受信し、記憶するようにさらに構成される。メタデータは、複数の地図特徴に対するHD地図データの信頼度レベルを含む。HD地図データおよびメタデータは、自動運転システムによる使用に適している。
【0132】
方法900は、HD地図データの複数の地図特徴のうちの1つ以上の地図特徴のための更新されたメタデータを(たとえば、HTTPSクライアント161によって)受信する第1のステップS902を含む。更新されたメタデータは、HD地図データの受信とは独立して受信される。
【0133】
方法900は、道路システムの指定された部分に関連する1つ以上の地図特徴のうちのいくつかである更新された地図特徴を識別するために、更新されたメタデータを(たとえば、地図特徴調整モジュール190によって)処理する第2のステップS904を含む。
【0134】
特に、この処理ステップは、更新されたメタデータが(例えば、更新されたメタデータの「プッシュ」配信モデルにおいて)受信された後にかなり行われ得る。代替的に、更新されたメタデータがクライアントコンピュータシステムからの要求に応答して(すなわち、「プル」配信モデルにおいて)受信される場合、処理ステップは、要求された更新されたメタデータの受信から直接続く可能性が高い。
【0135】
道路システムの指定された部分は、車両の近傍の道路システムの部分であってもよく、車両の現在位置に基づいて車両の近傍が決定される。車両の近傍はさらに、車両の予測される移動方向または移動エリアに基づいて決定されてもよい。言い換えれば、車両の近傍に関連する更新されたメタデータの部分を識別することは、地平線プロトコル(例えば、(ADASIS V2、V3))が、地図データを適用するECUへ車両ネットワークを介して地図データを配信する前に、データの適切な処理を可能にする。特に、地図データは、地平線プロトコルを使用して転送可能であるように、道路の区間(ストレッチ)に関連付けられる必要がある。前述のように、更新されたメタデータは、点、線、および/またはエリア地図特徴に関連し得る。したがって、更新されたメタデータ内のこれらの点、線、および/またはエリア地図特徴のうちのどれが、特定の道路区間(すなわち、道路システムの指定された部分)に関連付けられているかを識別することが必要である。更新されたメタデータ内の地図エリア特徴内の道路は、後に道路に関連付けられるこの地図エリア特徴から更新されたメタデータを継承する。この処理は、適用された地平線プロトコルを使用して車載配信に先立って行われる。
【0136】
特に、永続地図データキャッシュメモリ164に記憶されるときに、更新されたメタデータを、記憶されたHD地図メタデータに適用することは、2つのデータストリームの独立性を破壊する。したがって、元の(すなわち、未加工の/未処理の)HD地図メタデータが、永続データキャッシュメモリ164に記憶されることが望ましい。(道路システムの指定された部分が道路システム全体である)代替として、HD地図メタデータ全体および更新されたメタデータを処理して、道路システム全体の更新されたHD地図メタデータを取得することができる。この更新されたHD地図データは、元のHD地図データおよびHD地図メタデータとは別個に記憶される必要がある。この変形例は、少しの数の変化しか更新されたメタデータに表されていない場合であっても、メタデータのために永続地図データキャッシュメモリ164において必要とされるストレージの量を2倍にするので、準最適である。したがって、道路システムの指定された部分は、道路システム全体の比較的小さい部分(例えば、車両の近傍)であり、更新されたHD地図データは、様々なECUに対してオンデマンドで生成されることが好ましい。
【0137】
方法900は、更新された地図特徴に関する更新されたメタデータに基づいて、自動運転システムによる更新されたHD地図データの使用を可能にするように、道路システムの指定された部分の更新されたHD地図データを(例えば、地図特徴調整モジュール190によって)生成する第3のステップS906を含む。
【0138】
方法900は、更新されたHD地図データの少なくとも一部を、車両内の少なくとも1つの電子制御部へ配信することをさらに含むことができる。
【0139】
したがって、クライアントコンピュータシステムは、最初にHD地図品質メタデータ(すなわち、更新されたメタデータ)を処理し、次いで、それを使用して、車両内のHD地図アプリケーション(180)によって要求されたHD地図特徴に、更新された品質属性を挿入するモジュール(例えば、地図特徴調整モジュール190)を有する。
【0140】
図5に関して上述したAPIサーバ500の実施形態に関して、方法900は、更新されたメタデータの要求をサーバ(例えば、サーバシステムのAPIサーバ500)へ送信することをさらに含むことができ、更新されたメタデータは、要求に応答してサーバから受信される。要求は、クライアントコンピュータシステムに記憶されたHD地図データと同じ地理的エリアをカバーする更新されたメタデータの要求であってもよい。代替的に、要求は、クライアントコンピュータシステムに記憶されたHD地図データによってカバーされる地理的エリアのサブエリアをカバーする更新されたメタデータの要求であってもよい。要求は、サーバが適切なサブエリアを決定することができるように、(a)サブエリアを明示的に示すこと、(b)車両の近傍を示すこと、および(c)車両の現在位置および車両の移動履歴を示すこと、のうちの1つによってサブエリアを示すことができる。さらなる代替例では、要求は、複数の地図特徴のうちの特定の地図特徴に関する更新されたメタデータの要求であってもよい。
【0141】
サブエリアの更新されたメタデータを要求することは可能であるが、そのようなモデルは、地図特徴がHD地図データ内の他の地図特徴へのリンクを含み得るので、(地図特徴データを含む)実際のHD地図データに関して適用することができない。したがって、リンクされたデータが存在することを保証するために、HD地図データの全データセットを有することが必要である。対照的に、更新されたメタデータは、メタデータ特徴間のリンクを含まないので、更新されたメタデータの一部分のみを用いて動作することが可能である。これは、更新されたメタデータに関連してAPIモデルの実装を実現可能にする。したがって、更新されたメタデータは、指定された地図エリアについて取得され、次いで、処理され、元のHD地図メタデータのストリーム編集のために使用され得る。
【0142】
前述のように、本出願の地図変化データおよび更新されたメタデータの態様を組み合わせることが可能である。この点に関して、方法900は、HD地図データの複数の地図特徴のうちの1つ以上の地図特徴の変化を記述する地図変化データを受信することをさらに含むことができ、地図変化データは、HD地図データの受信とは独立して受信される。更新された地図特徴はさらに、地図変化データを処理して、道路システムの特定された部分に関連付けられた1つ以上の地図特徴のうちのいくつかを識別することによって識別される。更新されたHD地図データを生成することは、更新された地図特徴に関する地図変化データにさらに基づいている。
【0143】
「更新されたメタデータの生成」セクションで述べたように、メタデータは、観測日、確認日、および確認信頼度フィールドを含むことができる。これらのフィールドは、現在の時間と、HD地図の基礎となる観測値の時間との間の連続的に変化する差について、地図品質インジケータを連続的に補正するために、自律車両のADSが変化統計情報を適用することを可能にする。これは、ADSが現在の現実のより正確な表現を提供するHD地図データおよびメタデータを使用することを可能にする。したがって、SDOと地図データとを組み合わせるとき、ADSは、これら2つのキーデータソースからの相対入力を重み付けする際に使用するために、より多くの最新のメタデータを有する。更新されたメタデータは、環境モデルにおける静止地理空間オブジェクト表現の信頼度指標(インジケーション)を決定するためにADSによって使用される。したがって、自律車両は、関連する観測が行われた直後に、更新されたメタデータを認識することができ(例えば、自律車両は、新しい地図更新がなくても、時間が経過する不確実性の増加を回避するための確認を提供され得る)、適切に、例えば、自動化機能を無効化/有効化することによって、または、多かれ少なかれ保守的な運転行動方針を採用することによって、それらに作用することができる。
【0144】
特に、このセクションでは、更新されたメタデータとしてメタデータの符号化について主に記述したが、メタデータの符号化は、HD地図データの地図特徴内、またはHD地図データの別レイヤとして代替的に行われてもよいことが理解されるだろう。
【0145】
図9を参照して上述した方法900と同様に、本出願は、この方法を実行するように構成されたクライアントコンピュータシステムも想定している(例えば、図1および図4a~図4b参照)。対応するコンピュータプログラムおよびそのコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体も想定される。
【0146】
修正
記載された方法は、特定の順序で実行される個々のステップとして示されていることが理解されるのであろう。しかしながら、当業者は、これらのステップが所望の結果を依然として達成しながら、異なる順序で組み合わされ、または実行され得ることを理解するのであろう。
【0147】
本発明の実施形態は、様々な異なる情報処理システムを使用して実施され得ることが理解されよう。特に、図およびその説明は、例示的なコンピューティングシステムおよび方法を提供するが、これらは単に、本発明の様々な態様を説明する際に有用な参照を提供するために提示される。本発明の実施形態は、パーソナルコンピュータ、ラップトップ、パーソナルデジタルアシスタント、移動電話、セットトップボックス、テレビ、サーバコンピュータなどの任意の適切なデータ処理デバイス上で実行され得る。もちろん、システムおよび方法の説明は議論の目的のために簡略化されており、それらは、本発明の実施形態のために使用され得る多くの異なるタイプのシステムおよび方法のうちの1つにすぎない。論理ブロック間の境界は単なる例示であり、代替実施形態は論理ブロックまたは要素をマージすることができ、または様々な論理ブロックまたは要素に機能の代替分解を課すことができることが理解されよう。
【0148】
上述の機能は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアとして1つ以上の対応するモジュールとして実装され得ることが理解されよう。たとえば、上述の機能は、システムのプロセッサによって実行されるための1つ以上のソフトウェア構成要素として実装され得る。代替として、上述の機能は、1つ以上のフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、および/または1つ以上の特定用途向け集積回路(ASIC)、および/または1つ以上のデジタル信号プロセッサ(DSP)、および/または1つ以上のグラフィカル処理部(GPU)、および/または他のハードウェアアレンジメント上などのハードウェアとして実装され得る。本明細書に含まれるフローチャートで実施される方法ステップ、または上述の方法ステップは、それぞれ対応するそれぞれのモジュールによって実施されてもよく、本明細書に含まれるフローチャートで実施されるか、または上述のように、複数の方法ステップは、単一のモジュールによって一緒に実施されてもよい。
【0149】
本発明の実施形態がコンピュータプログラムによって実施される限り、1つ以上の記憶媒体および/またはコンピュータプログラムを記憶または搬送する1つ以上の伝送媒体は、本発明の態様を形成することが理解されよう。コンピュータプログラムは、1つ以上のプロセッサ(または1つ以上のコンピュータ)によって実行されると本発明の実施形態を実行する、1つ以上のプログラム命令またはプログラムコードを有することができる。本明細書で使用される「プログラム」という用語は、コンピュータシステム上で実行するために設計された命令のシーケンスであってもよく、サブルーチン、機能、プロシージャ、モジュール、オブジェクトメソッド、オブジェクト実装、実行可能アプリケーション、アプレット、サーブレット、ソースコード、オブジェクトコード、バイトコード、共有ライブラリ、動的リンクライブラリ、および/またはコンピュータシステム上で実行するために設計された他の命令のシーケンスを含んでもよい。記憶媒体は、磁気ディスク(ハードディスクドライブまたはフロッピーディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVD-ROMまたはブルーレイディスクなど)、またはメモリ(ROM、RAM、EEPROM、EPROM、フラッシュメモリ、またはポータブル/リムーバブルメモリデバイスなど)などであり得る。伝送媒体は、通信信号、データブロードキャスト、2つ以上のコンピュータ間の通信リンクなどであり得る。
【0150】
本発明の好ましい実施形態を説明してきたが、これらは例示に過ぎず、種々の変形が考えられることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4a
図4b
図5
図6
図7
図8
図9