(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】垂直圧延スタンドの垂直ローラを自動的に較正する方法及び方法を実施する較正装置
(51)【国際特許分類】
B21B 13/06 20060101AFI20240131BHJP
B21B 27/02 20060101ALI20240131BHJP
B21B 37/00 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
B21B13/06
B21B27/02 G
B21B37/00 261A
(21)【出願番号】P 2022547869
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 EP2021052778
(87)【国際公開番号】W WO2021156424
(87)【国際公開日】2021-08-12
【審査請求日】2022-09-08
(31)【優先権主張番号】102020201445.0
(32)【優先日】2020-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102020213239.9
(32)【優先日】2020-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390035426
【氏名又は名称】エス・エム・エス・グループ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ヴェント・シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ゼッツァー・ラルフ
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-192203(JP,A)
【文献】特開昭57-142718(JP,A)
【文献】特開昭62-148001(JP,A)
【文献】国際公開第2010/109637(WO,A1)
【文献】特開2012-218060(JP,A)
【文献】特開2019-013973(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0231679(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第110026440(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21B 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直圧延スタンド(1)の垂直ローラ(7)を自動的に較正する方法であって、垂直ローラがそれぞれ垂直ローラユニット(3)において支持されており、垂直ローラユニットは、圧延ラインに配置された複数の構成要素の所定の中心線(2)に関して調整可能であり、以下の方法ステップ:
a)中心線(2)に関する所定の既知の位置を有する垂直圧延スタンド(1)の少なくとも1つの位置固定されたストッパに対して、中心線(2)に対して横方向に較正箇所へ垂直ローラユニット(3)を調整するステップと、
b)圧延材又は中心線(2)へ向いた垂直ローラの外側エッジ部(13)と較正箇所における中心線(2)との間の較正された初期ギャップA
kalを演算するステップと、
c)垂直ローラユニット(3)を所定の動作箇所へ調節するステップと
を含む方法。
【請求項2】
第1の垂直ローラユニット(3)のために、及び対向して配置された第2の垂直ローラユニット(3)のために、それぞれ較正過程が行われ、較正過程後に、第1及び第2の垂直ローラユニット(3)が、圧延材へ向いた垂直ローラ(7)の外側エッジ部(13)が中心線(2)に対して同一のギャップを有するように、中心線(2)に関して動作箇所へ移動されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
各垂直ローラ(7)のための較正過程が、対向する垂直ローラ(7)のための較正過程から分離して、かつ、独立して行われることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
較正された初期ギャップA
kalの演算が、それぞれ垂直ローラ(7)の所定の直径D
Wに基づいて行われることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
垂直ローラ(7)の直径D
Wが、圧延プロセス中の摩耗による変化を考慮して目標直径を基礎として演算され、較正された初期ギャップA
kalの演算の基礎とされることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
方法ステップa)による垂直ローラユニット(3)の調整が、少なくとも1つの調節システムを用いて、及び/又は少なくとも1つのリターンシステムを用いて行われることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
所定の動作箇所への到達が、少なくとも1つの調節システム及び/又は少なくとも1つのリターンシステムの少なくとも1つの油圧式のピストン-シリンダ機構における少なくとも1つ
の位置センサPGを用いて監視されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
方法ステップa)が、まず、垂直ローラユニット(3)又は垂直ローラユニット(3)に隣接し、該垂直ローラユニット(3)と共に移動可能な部材における所定の位置の少なくとも1つの第1の基準面が
、調節力を加えつつ、垂直圧延スタンド(1)における所定の位置の、中心線(2)に関して位置固定された少なくとも1つの第2の基準面と接触されることを含むことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
方法ステップa)による垂直ローラユニット(3)の調整が、第1及び第2の基準面が互いに接触するまで、第1のストローク区間にわたって高められた速度で、及び第2のストローク区間にわたって低減された速度で行われることを特徴とする請求項8に記載の方法。
【請求項10】
互いに接触する基準面の調節力が、少なくとも1つの圧力センサ(DG)を用いて
、油圧式の調節システム及び/又は油圧式のリターンシステムの少なくとも1つのピストン-シリンダ機構において監視され、所定の最大値に制限されることを特徴とする請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
所定の動作箇所への垂直ローラユニット(3)の調節が、少なくとも1つの油圧式の調節システムを用いて、及び/又は少なくとも1つの油圧式のリターンシステムを用いて行われ、所定の動作箇所への到達が、少なくとも1つの油圧式の調節システム及び/又は少なくとも1つの油圧式のリターンシステムの少なくとも1つの油圧式のピストン-シリンダ機構において、少なくとも1つ
の位置センサPGを用いて監視されることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
当該方法が、垂直圧延スタンド(1)のアイドリング時に行われることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
圧延ギャップを規定するとともに、少なくとも1つ
の油圧式の調節システム及び/又は少なくとも1つ
の油圧式のリターンシステムによって、圧延ラインに配置された複数の構成要素の所定の中心線(2)に関して調整可能な、それぞれ垂直ローラユニット(3)において支持された少なくとも2つの垂直ローラ(7)を有する、金属製品を圧延する圧延ラインでの垂直圧延スタンド(1)におけ
る請求項1~12のいずれか1項の特徴を有する方法を実行する較正装置であって、該較正装置が、少なくとも1つの垂直ローラユニット(3)又は該垂直ローラユニットと共に移動可能な部材における所定の位置の、垂直ローラユニット(3)と共に移動可能である少なくとも1つの第1の基準面と、中心線(2)に関して不動な少なくとも1つの第2の基準面及び制御部Sを含んでおり、制御部によって、較正された初期位置を算出するための、及び圧延材又は中心線(2)へ向けられた垂直ローラ(7)の外側エッジ部(13)と中心線の間の較正された初期ギャップA
kalを演算するための、垂直圧延スタンド(1)の位置固定されたストッパとしての第2の基準面に対する、中心線(2)に対して横方向の垂直ローラユニットの調整と、所定の圧延位置への垂直ローラユニット(3)の調節とを、調節システム及び/又はリターンシステムの少なくとも1つの位置センサPGによりもたらすことが可能であることを特徴とする較正装置。
【請求項14】
少なくともそれぞれ垂直ローラ(7)の上側及び/若しくは下側のチョック(8A,8B)において、並びに/又は垂直ローラユニット(3)と共に移動可能な隣接する部材において、少なくとも1つの第1の基準面が設けられていることを特徴とする請求項13に記載の較正装置。
【請求項15】
垂直圧延スタンド(1)の少なくとも上側及び/若しくは下側のレストバー(6)において、並びに/又は垂直圧延スタンド(1)のクロスヘッド(4)において、少なくとも1つの不動の第2の基準面が設けられていることを特徴とする請求項13又は14に記載の較正装置。
【請求項16】
第1及び/又は第2の基準面のうち少なくとも1つが、その位置に関して調整可能であることを特徴とする請求項13~15のいずれか1項に記載の較正装置。
【請求項17】
少なくとも1つの第1の基準面及び/又は少なくとも1つの第2の基準面が、調整可能あるいは設定可能及び/又は交換可能な測定プレート(12A,12B;14A,14B)として形成されていることを特徴とする請求項13~16のいずれか1項に記載の較正装置。
【請求項18】
較正装置が、垂直ローラユニット(3)の位置を監視するための少なくとも1つの位置センサPGを含んでいることを特徴とする請求項13~17のいずれか1項に記載の較正装置。
【請求項19】
少なくとも1つの圧力センサDGが設けられており、該圧力センサを介して、少なくとも1つの第2の基準面に対する少なくとも1つの第1の基準面の調節力を制限可能であることを特徴とする請求項13~18のいずれか1項に記載の較正装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属製の平坦な製品を圧延する、特に鋼及び非鉄金属を圧延する垂直圧延スタンドの垂直ローラあるいは垂直ロール(以下「垂直ローラ」という)を自動的に較正する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
垂直圧延スタンドの較正は、垂直ローラの位置を圧延ライン(ロール列)の中心に関して特定し、必要であれば補正するために必要であり、その結果、圧延ラインの中心へ向けられた垂直ローラの外側エッジ部が圧延ラインの中心線に対して同一のギャップ(間隔)を有する。較正は、例えば、垂直圧延スタンドが修理後に再び起動されるとき、圧延ラインが静止後若しくは制御部の信号損失後に再び始動されるとき、又は圧延結果が垂直ローラの位置の補正を促すものであるときには、常に必要である。
【0003】
従来技術では、垂直圧延スタンドを較正する様々な方法が知られている。従来技術において知られた方法では、垂直圧延スタンドにおける垂直ローラの較正は、例えば巻尺、レーザ距離計、又は機械における操作者によって使用されるか、若しくは当該機械における較正のために設けられる他の測定装置のような測定補助手段を用いて行われる。このとき、通常、垂直ローラの位置を特定し、必要であれば補正するために、機械における固定点から各垂直ローラ若しくは垂直ローラに割り当てられた点へのギャップが測定されるか、又は両垂直ローラ間若しくはこれら垂直ローラに割り当てられた点の間のギャップが測定される。当該過程は、特に、較正過程中に人が機械範囲に、したがって危険範囲にとどまる必要があるという欠点を有している。
【0004】
垂直圧延スタンドにおいて較正する公知の方法の別の欠点は、公知の方法が自動化可能でないとともに比較的時間がかかるものであるため、設備利用性が大幅に低下されることにある。
【0005】
機械範囲における必要な寸法のような問題が特許文献1に記載されており、当該文献では、垂直ローラのハブ状のヘッド部に巻き付けられたワイヤを用いて行われる較正方法が提案されている。
【0006】
特許文献2から、同様に垂直圧延スタンドの垂直ロールギャップを較正する方法が知られている。当該方法は、それぞれ垂直ローラの上端部及び下端部についての圧延ラインの中心線を特定及びマークすること、マークされた中心線に対する垂直ローラの軸線のギャップを特定すること、並びにマークされた中心線へ垂直ローラの端部を向き調整することを含んでいる。つづいて、マークされた中心線の下端部に対する垂直ローラの下端部のギャップが、マークされた中心線の上端部に対する垂直ローラの上端部のギャップと比較される。これを介して、ロールギャップの幅の測定を介して較正を行うために、垂直ローラの垂直方向の向き及びセンタリングが調整される。ギャップの測定がどのくらいの精度で行われるかは、当該文献には記載されていない。
【0007】
特許文献3には、垂直圧延スタンドにおける垂直ローラの箇所がセンサあるいは位置センサを用いてのみ特定される方法が記載されており、センサあるいは位置センサは、垂直ローラユニットの調節シリンダ及びプルバックシリンダに配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】中国特許出願公開第102688904号明細書
【文献】中国特許出願公開第102989792号明細書
【文献】特開2012-218060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、垂直圧延スタンドの較正の可能な限りの自動化を、このために人員がスタンド範囲にとどまる必要なく行うことができる、方法及び方法を実施する装置を提供するという問題を基礎とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
当該課題は、請求項1及び13の特徴によって解決される。本発明の有利な構成は、従属請求項から明らかである。
【0011】
請求項1による方法ステップは、好ましくは、その列挙の順番において実行される。
【0012】
本発明の観点によれば、垂直圧延スタンドの垂直ローラを自動的に較正する方法が提案され、垂直ローラはそれぞれ垂直ローラユニットにおいて支持されており、当該垂直ローラユニットは、圧延ラインに配置された圧延ラインの複数の構成要素、例えば圧延スタンド、側方ガイド部、ロールテーブルなどの所定の中心線に関して調整可能であり、当該方法では、まず、中心線に関する所定の既知の位置を有する垂直圧延スタンドの少なくとも1つの位置固定されたストッパに対して、中心線に対して横方向に垂直ローラユニットが移動され、あるいは調整される。垂直ローラユニットの当該箇所を、以下では較正箇所という。ストッパは、例えば、垂直圧延スタンドの圧延ラインにおける到達時に中心線に関して測定及び向き調整された基準面として形成されることができる。このように特定される垂直ローラユニットの箇所に基づき、圧延材へ向けられた垂直ローラの外側エッジ部と較正箇所における中心線との間の初期ギャップが演算される。その後、垂直ローラユニットは、較正箇所から動作箇所へ移動する。このとき、戻るべき調整距離は、各調整ローラあるいは各調整ローラユニットについて、較正された初期ギャップを考慮して設定あるいは演算される。
【0013】
当該過程は、完全に自動化して実行されることができるとともに、垂直圧延スタンドの危険範囲における手動の測定過程を必要としない。本発明による方法は、垂直圧延スタンドにおいて、一方では、基準面が、可動の垂直ローラユニットにおいて、又はこれに隣接するか、これに結合された部材に設けられ、他方では、測定面あるいは基準面が垂直圧延スタンドの不動の部材に設けられるようになっている。圧延材の外側エッジ部又は圧延材へ向いた垂直ローラの外側エッジ部の位置に対する当該基準面の位置は、互いに対する基準面の位置及び圧延ラインの中心線に対する位置と同様に、比較的容易に特定されることが可能である。垂直圧延スタンドの可動のアセンブリにおける基準面は、不動のアセンブリの基準面に対する更なる調整移動のための所定の初期箇所を特定する目的で移動することができ、その結果、当該基準面は互いに接触し、更なる位置変更はもはや不可能である。
【0014】
方法の合目的な一態様においては、第1の垂直ローラユニットのために、及び対応する第2の垂直ローラユニットのために、それぞれ較正過程が行われ、較正過程後に、第1及び第2の垂直ローラユニットが、圧延材へ向いた第1及び第2の垂直ローラの外側エッジ部が中心線に対して同一のギャップを有するように、中心線に関して動作箇所へ移動される。
【0015】
本願の範囲では、垂直ローラユニットの動作箇所と較正箇所の間は区別される。本願の意味合いでは、動作箇所は、垂直圧延スタンドが動作中であるときに垂直ローラユニットが目標箇所として占める垂直ローラユニットの箇所であると理解されるべきである。本願の意味合いでは、較正箇所は、上述のように、垂直圧延スタンドが圧延動作中でないときに、垂直圧延スタンドの不動の、あるいは位置固定された部分の基準面に対して垂直圧延スタンドの可動の部分における少なくとも1つの基準面が接触する、垂直ローラユニットの箇所と理解されるべきである。
【0016】
好ましくは、各垂直ローラについての較正過程は、それぞれ別の垂直ローラの較正過程から分離して(別々に)、かつ、独立して行われる。
【0017】
本発明による有利な一態様においては、較正された初期ギャップの演算が、それぞれ垂直ローラの所定の直径を考慮して行われるようになっている。当該所定の直径は、圧延プロセス中の摩耗による変化を考慮して目標直径を基礎として演算されることができるとともに、較正された初期ギャップの演算を基礎とすることが可能である。
【0018】
垂直圧延スタンドの可動の部材における各基準面には、垂直圧延スタンドの不動の部材における基準面が割り当てられている。垂直圧延スタンドの不動の部材は、例えばクロスヘッド、ロールハウジングポスト並びに上側及び下側のレストバーである。
【0019】
垂直圧延スタンドの可動の部材における基準面の位置は、圧延材へ向いた垂直ローラの外側エッジ部のギャップに関して特定されているとともに、既知である。垂直圧延スタンドの不動の部材における基準面の位置は、圧延ラインの中心線に対するギャップに関して既知であるとともに、特定されている。
【0020】
不動の基準面も、また可動の基準面も垂直ローラの圧延材に対向する側にある場合については、圧延ラインの中心線から圧延材へ向いた垂直ローラの外側エッジ部までの実際の較正されるべきギャップが以下の式を介して演算されることが可能である:
Akal=f(Astat,Abew,DW)
Akal=Astat+Abew-DW/2
【0021】
ここで、Akalは、圧延ラインの中心線に対する圧延材へ向いた垂直ローラの外側エッジ部の較正された初期ギャップを表し、Astatは、圧延ラインの中心線からの不動の基準面のギャップを表し、Abewは、垂直ローラの中心線からの可動の基準面のギャップを表し、DWは、垂直ローラの直径を表す。
【0022】
垂直圧延スタンドの較正された全体開口は、第1の側、例えば駆動側と、第2の側、例えば垂直圧延スタンドの操作側とについての個別較正結果の合計に基づき得られる。
【0023】
上述の演算は、較正箇所が垂直ローラにおける圧延材に対向する側にあることを前提としている。本発明の範囲では、それぞれ垂直圧延スタンドの外側の範囲にある較正箇所が機能的及び技術的に同様に可能である。この場合、基準面は、それぞれ垂直圧延スタンドの外側の範囲にある。そして、例えば一方ではクロスヘッドにおいて不動に、他方ではクロスビームにおいて可動に設けられ得る基準面が互いに接触する。
【0024】
較正箇所への垂直ローラユニットの調整及び/又は所定の動作箇所への垂直ローラユニットの調節は、合目的には、少なくとも1つの調節システム及び/又は少なくとも1つのリターンシステムを用いて行われる。
【0025】
調節システムは、並進的に移動する少なくとも1つの要素、例えば調節シリンダ又は調節ネジを含み得る。同様に、リターンシステムは、ネジ動作部又はリターンシリンダの形態の、並進的に移動する少なくとも1つの要素を含み得る。
【0026】
調節システム及び/又はリターンシステムは、基本的には機械的なシステムとして形成されることができるものの、好ましくは、対応するピストン-シリンダ機構を含む油圧式のシステムとして形成されている。
【0027】
所定の動作箇所への垂直ローラユニットの調節は、合目的には、少なくとも1つの調節システム及び/又は少なくとも1つのリターンシステムを用いて行われる。
【0028】
好ましくは、較正過程は、垂直ローラの実際の位置と所望の位置の目標/実際の比較を行うことができるように、測定要素、例えば位置センサを介して監視される。このために、調節システム内には、及び/又は調節システムには、少なくとも1つの位置センサを設けることが可能である。
【0029】
例えば、所定の動作箇所への垂直ローラユニットの到達は、少なくとも1つの測定要素を用いて、少なくとも1つの位置センサを用いて、好ましくは少なくとも1つの油圧式の調節システム及び/又は少なくとも1つの油圧式のリターンシステムの少なくとも1つの油圧式のピストン-シリンダ機構において監視されることが可能である。
【0030】
方法の好ましい一態様は、方法ステップa)が、まず、垂直ローラユニット又は垂直ローラユニットに隣接し、該垂直ローラユニットと共に移動可能な部材における所定の位置の少なくとも1つの第1の基準面が、好ましくは調節力を加えつつ、垂直圧延スタンドにおける所定の位置の、中心線に関して位置固定された少なくとも1つの第2の基準面と接触されることを含むことを特徴とする。このような可動の部材は、例えば垂直圧延スタンドのクロスビーム又はチョックであり得る。
【0031】
方法ステップa)による垂直ローラユニットの調整は、第1及び第2の基準面が互いに接触するまで、第1のストローク区間にわたって高められた速度で、及び第2のストローク区間にわたって低減された速度で行われることが可能である。
【0032】
その後、好ましくは、所定の負荷解除された位置への割り当てられた可動の部材を有する垂直ローラユニットのリターンにつづき、互いに接触し互いに割り当てられた測定面での調節力の増大が設定されている。調節力の増大及び作用の継続時間は、それぞれ別々に制限されている。
【0033】
互いに接触する基準面の調節力は、少なくとも1つの圧力センサを用いて、油圧式の調節システム及び/又は油圧式のリターンシステムの少なくとも1つのピストン-シリンダ機構において監視され、所定の最大値に制限されることが可能である。圧力センサは、リミットスイッチのように作用する。機械的な調節システムが設けられていれば、ロードセルの態様の少なくとも1つの圧力センサが、調節力の監視及び制限のために設けられることが可能である。
【0034】
垂直圧延スタンドの可動の部材及び不動の部材における基準面が、更なる位置変更が不可能であるように当該基準面が互いに接触する位置に到達するように互いに対して配置されていれば、圧延材へ向けられた垂直ローラの外側エッジ部の実際位置を目標位置と比較することが可能である。
【0035】
圧延材が垂直圧延スタンドを離れるとき、例えば圧延中断中、修理動作中又はメンテナンス中に、較正方法を実行することが可能である。較正箇所への垂直ローラユニットの調整が、圧延スタンドのクロスヘッドに設けられた垂直圧延スタンドのストッパに対して、圧延ラインの中心線に対して横方向になされる場合には、圧延材が圧延スタンド内にある場合でも較正方法を実行することが可能である。
【0036】
本発明の別の観点は、圧延ギャップを規定するとともに、少なくとも1つの、好ましくは油圧式の調節システム及び/又は少なくとも1つの、好ましくは油圧式のリターンシステムによって、圧延ライン(圧延ロール列)に配置された、圧延ラインの複数の構成要素の所定の中心線に関して調整可能な、それぞれ垂直ローラユニットにおいて支持された少なくとも2つの垂直ローラを有する、金属製品を圧延する圧延ラインでの垂直圧延スタンドにおける較正装置、好ましくは上述の方法を実行する較正装置であって、該較正装置が、少なくとも1つの垂直ローラユニット又は該垂直ローラユニットに隣接するか、若しくは該垂直ローラユニットに結合された部材における所定の位置の少なくとも1つの第1の基準面を含んでおり、該較正装置が、垂直ローラユニットと共に移動可能であるとともに、中心線に関して不動な少なくとも1つの第2の基準面及び制御部を含んでおり、制御部によって、較正された初期ギャップを算出するための、及び圧延材又は中心線へ向けられた垂直ローラの外側エッジ部と中心線の間の較正された初期ギャップを演算するための、垂直圧延スタンドの位置固定されたストッパとしての第2の基準面に対する、中心線に対して横方向の垂直ローラユニットの調整と、所定の圧延位置への垂直ローラユニットの調節とを、調節システム及び/又はリターンシステムの少なくとも1つの位置センサによりもたらすことが可能である。
【0037】
本発明による方法が設定され、本発明による較正装置が設けられた垂直圧延スタンドは、必ずしもリターンシステムを含む必要はない。
【0038】
リターンシステムは、調節システムがクロスビーム又はチョックに固結されていない場合にのみ必要である。そして、中心線に対して横方向の調節システムの移動により、チョックの移動も引き起こされる。しかし、クロスヘッドの方向への移動は、チョックの対応する移動を引き起こさない。このような場合には、チョックを調節システムの移動に伴わせないリターンシステムが設けられる。垂直圧延スタンドにおいては、調節システムをクロスビーム又はチョックに固結することが可能である。このような場合には、別々のリターンシステムは不要である。そして、調節システムは、リターンシステムの機能も担う。
【0039】
本発明による較正装置の合目的な一形態では、少なくともそれぞれ垂直ローラの上側及び/又は下側のチョックに少なくとも1つの第1の基準面が設けられており、好ましくは少なくとも垂直圧延スタンドの上側及び/又は下側のレストバーに少なくとも1つの第2の不動の基準面が設けられているようになっている。
【0040】
較正装置の別の合目的な一形態は、垂直ローラユニットに隣接するか、又はこれに結合された部材、例えばクロスビームに少なくとも1つの第1の基準面が配置されており、垂直圧延スタンドの対応する各クロスヘッドに少なくとも1つの第2の基準面が設けられているようになっている。
【0041】
好ましくは、第1及び/又は第2の基準面のうち少なくとも1つは、その位置に関して調整可能である。
【0042】
合目的には、少なくとも1つの第1の基準面及び/又は少なくとも1つの第2の基準面は、調整可能な、あるいは設定可能な、及び/又は交換可能な測定プレートとして形成されている。
【0043】
さらに、本発明による較正装置は、好ましくは、垂直ローラユニットの位置を監視する少なくとも1つの位置センサを含んでいる。
【0044】
加えて、少なくとも1つの圧力センサを設けることができ、該圧力センサを介して、少なくとも1つの第2の基準面に対する少なくとも1つの第1の基準面の調節力を制限可能である。
【0045】
以下に、本発明を、図面に図示された実施例に基づいて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】部分的に圧延材の断面及び通過方向において見た、本発明による較正装置を有する垂直圧延スタンドを概略的に示す図である。
【
図2】部分的に断面で示す、
図1に図示された垂直圧延スタンドの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
本発明による較正装置を有する垂直圧延スタンド1は、位置固定されたロールハウジングに調整可能に配置された2つの垂直ローラユニット3を含んでいる。ロールハウジングは、圧延ラインに配置された圧延ラインの複数の構成要素、例えば圧延スタンド、側方ガイド部、ロールテーブルなどの中心線2に関して向き調整されている。図面には、垂直圧延スタンド1のクロスヘッド4、ロールハウジングポスト5並びに上側及び下側のレストバー6A,6Bが図示されている。垂直ローラユニット3はそれぞれ1つの垂直ローラ7を含んでおり、当該垂直ローラは、上側のチョック8A及び下側のチョック8Bにおいて支持されている。チョック8A,8Bは、それぞれクロスビーム9を介して互いに結合されているとともに、クロスビーム9によって互いに対して相対的に中心線2に関して調整可能である。垂直ローラユニット3の調整は、調節システム及びリターンシステムを介して行われる。調節システムは、垂直圧延スタンド1の各側(操作側及び駆動側)において、上側及び下側の調節シリンダ10A,10Bを含んでおり、当該上側及び下側の調節シリンダは、それぞれ上側及び下側のチョック8A,8Bに作用する。
【0048】
リターンシステムは各側でリターンシリンダ11を含んでおり、当該リターンシリンダは、それぞれクロスビーム9と作用結合されている。クロスビーム9は、チョック8A,8Bと共通に移動可能である。
【0049】
図1には、圧延動作中でないが、垂直ローラユニット3が較正箇所にある垂直ローラユニット3の位置を有する垂直圧延スタンド1が示されており、較正箇所では、垂直ローラユニット3は、垂直圧延スタンド1の位置固定されたストッパに対して、圧延ラインの中心線2の方向へ移動している。位置固定されたストッパは不動の基準面によって形成され、当該基準面は、中心線2に対して所定かつ既知の位置を有し、当該位置に対して、
図1に示された箇所において可動の基準面が垂直ローラユニット3に接触する。ここで説明する実施例では、ストッパは、位置固定された、あるいは不動の測定プレート12A,12Bによって形成され、当該測定プレートは、それぞれ上側のレストバー6A及び下側のレストバー6Bの両側に設けられている。較正装置の機能のためには、不動の測定プレート12が上側のレストバー6A又は下側のレストバー6Bに設けられるだけで十分である。
【0050】
垂直ローラユニット3の上側のチョック8A及び下側のチョック8Bには、チョック8A,8Bのそれぞれ中心線2へ向いた側において、可動の基準面として上側及び下側の可動の測定プレート14A,14Bが設けられている。当該可動の測定プレートは、それぞれのチョック8A,8Bにおいて、場合によっては調整可能であり、固定されており、及びチョック8A,8Bと共に可動となっている。不動の測定プレート12A,12Bは、中心線2に関して所定の既知の位置を有しており、可動の測定プレート14A,14Bは、圧延材へ向いた、垂直ローラ6の外側エッジ部13に関して既知で所定の位置を占めている。
【0051】
冒頭で既に述べたように、中心線2へ向けられた垂直ローラ7の外側エッジ部13は、垂直圧延スタンド1の動作時に、すなわち垂直ローラユニット3の動作箇所において、圧延ラインの中心線2に対する同一のギャップ(間隔)を有するべきである。この目的のために、垂直圧延スタンド1の較正が必要である。
【0052】
本発明によれば、垂直圧延スタンド1の調節システム及びリターンシステムを含む自動的な較正が設定されている。調節システム及びリターンシステムあるいはこれに含まれる調節シリンダ10A,10Bとリターンシリンダ11は、制御部Sを介して制御(作動)される。調節シリンダのうち少なくとも1つ10Aは位置センサPGを含んでおり、当該位置センサを介して、制御部Sにおいて、実際の位置と該当する垂直ローラ7の制御された位置の目標/実際の比較が行われる。さらに、圧力センサDGが設けられており、当該圧力センサは、リターンシリンダ11の圧力負荷を監視することが可能である。これに代えて、又はこれに加えて、それぞれ1つの圧力センサDGは、1つ又は複数の調節シリンダ10A,10Bに設けられることが可能である。本発明による自動的な較正は、垂直圧延スタンド1の各側(操作側及び駆動側)について、別々かつそれぞれ他の側から独立して行われる。これに必要なセンサ類は、垂直圧延スタンド1の各側に設けられている。しかし、
図1では、1つの側について、1つの制御部、1つの位置監視部及び1つの圧力監視部のみが示されている。本実施例は、このような制御部、位置監視部及び圧力監視部が垂直圧延スタンド1の全ての側について設けられていると理解されるべきである。
【0053】
較正されたギャップ(間隔)あるいは初期ギャップAkalを特定するために、制御部Sは、圧延動作にない垂直圧延スタンド1において、まず、可動の測定プレート14A,14Bが不動の測定プレート12A,12Bに対して接触するまで、調節シリンダ10A,10B及びリターンシリンダ11を用いて、中心線2の方向への上側及び下側のチョック8A,8Bの調整をもたらす。当該調整移動は、所定の調節力を加えつつ、第1のストローク区間にわたって比較的高い速度で、及び第2のストローク区間にわたって比較的低い速度で行われ、調節力の上昇は、圧力センサDGを介して監視される。当該過程は、圧力センサDGによって検出される圧力が所定の値を超過すると終了される。これにより、較正箇所での垂直ローラユニット3の最終位置が検出される。当該位置では、ギャップAstat及びAbewが特定され、既知であるため、これに基づき、数式Akal=Astat+Abew-DW/2により、圧延材あるいは中心線へ向いた垂直ローラ6の外側エッジ部13から中心線2への較正された初期ギャップAkalを演算することが可能である。当該演算には、垂直ローラの直径DWが導入され、当該直径は、好ましくは圧延プロセス中の摩耗による変化を考慮して目標直径を基礎として演算され、制御部Sにメモリされている。
【0054】
当該構成された初期ギャップに基づき、垂直ローラユニット3の動作箇所について設定される、中心線2に対する同一のギャップをそれぞれ設定(調整)することが可能である。
【0055】
本発明の範囲では、冒頭で既に言及したように、代替的に、又は追加的に、それぞれ垂直圧延スタンド1の外側の範囲にある較正箇所を設けることが機能的及び技術的に同様に可能である。この場合、基準面は、それぞれ垂直圧延スタンド1の外側の範囲にある。このことは、各図においては破線で示唆的にのみ図示されている。当該代替的な構成における上側及び下側の可動の測定プレートは、符号14A’,14B’で示されている。当該代替的な構成において、上側及び下側の不動の測定プレートは、符号12A’,12B’で示されている。代替的な構成において、上側及び下側の可動の測定プレート14A’,14B’は、クロスビーム9における垂直ローラ7とは反対側に設けられている。これに対して、上側及び下側の不動の測定プレート12A’,12B’は、垂直圧延スタンド1のクロスヘッド4における垂直ローラ7へ向いた側に設けられている。これにより、較正箇所は、垂直ローラ7が互いに完全に離れた箇所であることとなる。
なお、本発明は、以下の態様も包含し得る:
1.垂直圧延スタンド(1)の垂直ローラ(7)を自動的に較正する方法であって、垂直ローラがそれぞれ垂直ローラユニット(3)において支持されており、垂直ローラユニットは、圧延ラインに配置された複数の構成要素の所定の中心線(2)に関して調整可能であり、以下の方法ステップ:
a)中心線(2)に関する所定の既知の位置を有する垂直圧延スタンド(1)の少なくとも1つの位置固定されたストッパに対して、中心線(2)に対して横方向に較正箇所へ垂直ローラユニット(3)を調整するステップと、
b)圧延材又は中心線(2)へ向いた垂直ローラの外側エッジ部(13)と較正箇所における中心線(2)との間の較正された初期ギャップA
kal
を演算するステップと、
c)垂直ローラユニット(3)を所定の動作箇所へ調節するステップと
を含む方法。
2.第1の垂直ローラユニット(3)のために、及び対向して配置された第2の垂直ローラユニット(3)のために、それぞれ較正過程が行われ、較正過程後に、第1及び第2の垂直ローラユニット(3)が、圧延材へ向いた垂直ローラ(7)の外側エッジ部(13)が中心線(2)に対して同一のギャップを有するように、中心線(2)に関して動作箇所へ移動されることを特徴とする上記1.に記載の方法。
3.各垂直ローラ(7)のための較正過程が、対向する垂直ローラ(7)のための較正過程から分離して、かつ、独立して行われることを特徴とする上記1.又は2.に記載の方法。
4.較正された初期ギャップA
kal
の演算が、それぞれ垂直ローラ(7)の所定の直径D
W
に基づいて行われることを特徴とする上記1.~3.のいずれか1つに記載の方法。
5.垂直ローラ(7)の直径D
W
が、圧延プロセス中の摩耗による変化を考慮して目標直径を基礎として演算され、較正された初期ギャップA
kal
の演算の基礎とされることを特徴とする上記1.~4.のいずれか1つに記載の方法。
6.方法ステップa)による垂直ローラユニット(3)の調整が、少なくとも1つの調節システムを用いて、及び/又は少なくとも1つのリターンシステムを用いて行われることを特徴とする上記1.~5.のいずれか1つに記載の方法。
7.所定の動作箇所への到達が、少なくとも1つの調節システム及び/又は少なくとも1つのリターンシステムの少なくとも1つの油圧式のピストン-シリンダ機構における少なくとも1つの測定要素を用いて、好ましくは位置センサPGを用いて監視されることを特徴とする上記1.~6.のいずれか1つに記載の方法。
8.方法ステップa)が、まず、垂直ローラユニット(3)又は垂直ローラユニット(3)に隣接し、該垂直ローラユニット(3)と共に移動可能な部材における所定の位置の少なくとも1つの第1の基準面が、好ましくは調節力を加えつつ、垂直圧延スタンド(1)における所定の位置の、中心線(2)に関して位置固定された少なくとも1つの第2の基準面と接触されることを含むことを特徴とする上記1.~7.のいずれか1つに記載の方法。
9.方法ステップa)による垂直ローラユニット(3)の調整が、第1及び第2の基準面が互いに接触するまで、第1のストローク区間にわたって高められた速度で、及び第2のストローク区間にわたって低減された速度で行われることを特徴とする上記8.に記載の方法。
10.互いに接触する基準面の調節力が、少なくとも1つの圧力センサ(DG)を用いて、好ましくは油圧式の調節システム及び/又は油圧式のリターンシステムの少なくとも1つのピストン-シリンダ機構において監視され、所定の最大値に制限されることを特徴とする上記8.又は9.に記載の方法。
11.所定の動作箇所への垂直ローラユニット(3)の調節が、少なくとも1つの油圧式の調節システムを用いて、及び/又は少なくとも1つの油圧式のリターンシステムを用いて行われ、所定の動作箇所への到達が、少なくとも1つの油圧式の調節システム及び/又は少なくとも1つの油圧式のリターンシステムの少なくとも1つの油圧式のピストン-シリンダ機構において、少なくとも1つの測定要素を用いて、好ましくは位置センサPGを用いて監視されることを特徴とする上記1.~10.のいずれか1つに記載の方法。
12.当該方法が、垂直圧延スタンド(1)のアイドリング時に行われることを特徴とする上記1.~11.のいずれか1つに記載の方法。
13.圧延ギャップを規定するとともに、少なくとも1つの、好ましくは油圧式の調節システム及び/又は少なくとも1つの、好ましくは油圧式のリターンシステムによって、圧延ラインに配置された複数の構成要素の所定の中心線(2)に関して調整可能な、それぞれ垂直ローラユニット(3)において支持された少なくとも2つの垂直ローラ(7)を有する、金属製品を圧延する圧延ラインでの垂直圧延スタンド(1)における較正装置、特に上記1.~12.のいずれか1つの特徴を有する方法を実行する較正装置であって、該較正装置が、少なくとも1つの垂直ローラユニット(3)又は該垂直ローラユニットと共に移動可能な部材における所定の位置の、垂直ローラユニット(3)と共に移動可能である少なくとも1つの第1の基準面と、中心線(2)に関して不動な少なくとも1つの第2の基準面及び制御部Sを含んでおり、制御部によって、較正された初期位置を算出するための、及び圧延材又は中心線(2)へ向けられた垂直ローラ(7)の外側エッジ部(13)と中心線の間の較正された初期ギャップA
kal
を演算するための、垂直圧延スタンド(1)の位置固定されたストッパとしての第2の基準面に対する、中心線(2)に対して横方向の垂直ローラユニットの調整と、所定の圧延位置への垂直ローラユニット(3)の調節とを、調節システム及び/又はリターンシステムの少なくとも1つの位置センサPGによりもたらすことが可能であることを特徴とする較正装置。
14.少なくともそれぞれ垂直ローラ(7)の上側及び/若しくは下側のチョック(8A,8B)において、並びに/又は垂直ローラユニット(3)と共に移動可能な隣接する部材において、少なくとも1つの第1の基準面が設けられていることを特徴とする上記13.に記載の較正装置。
15.垂直圧延スタンド(1)の少なくとも上側及び/若しくは下側のレストバー(6)において、並びに/又は垂直圧延スタンド(1)のクロスヘッド(4)において、少なくとも1つの不動の第2の基準面が設けられていることを特徴とする上記13.又は14.に記載の較正装置。
16.第1及び/又は第2の基準面のうち少なくとも1つが、その位置に関して調整可能であることを特徴とする上記13.~15.のいずれか1つに記載の較正装置。
17.少なくとも1つの第1の基準面及び/又は少なくとも1つの第2の基準面が、調整可能あるいは設定可能及び/又は交換可能な測定プレート(12A,12B;14A,14B)として形成されていることを特徴とする上記13.~16.のいずれか1つに記載の較正装置。
18.較正装置が、垂直ローラユニット(3)の位置を監視するための少なくとも1つの位置センサPGを含んでいることを特徴とする上記13.~17.のいずれか1つに記載の較正装置。
19.少なくとも1つの圧力センサDGが設けられており、該圧力センサを介して、少なくとも1つの第2の基準面に対する少なくとも1つの第1の基準面の調節力を制限可能であることを特徴とする上記13.~18.のいずれか1つに記載の較正装置。
【符号の説明】
【0056】
1 垂直圧延スタンド
2 圧延ラインの中心線
3 垂直ローラユニット
4 垂直圧延スタンドのクロスヘッド
5 ロールハウジングポスト
6A 上側のレストバー
6B 下側のレストバー
7 垂直ローラ
8A 上側のチョック
8B 下側のチョック
9 クロスビーム
10A 上側の調節シリンダ
10B 下側の調節シリンダ
11 リターンシリンダ
12A 上側の不動の測定プレート
12B 下側の不動の測定プレート
12A’ 代替的な配置での上側の不動の測定プレート
12B’ 代替的な配置での下側の不動の測定プレート
13 垂直ローラにおける圧延材へ向いた外側エッジ部
14A 上側の可動の測定プレート
14B 下側の可動の測定プレート
14A’ 代替的な配置での上側の可動の測定プレート
14B’ 代替的な配置での下側の可動の測定プレート
S 制御部
PG 位置センサ
DG 圧力センサ
Akal 較正された初期ギャップ
Astat 圧延ラインの中心線からの不動の基準面のギャップ
Abew 圧延ラインの中心線からの可動の基準面のギャップ
DW 垂直ローラの直径