(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】部品装着装置、三次元造形機および部品装着システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
H05K13/04 A
(21)【出願番号】P 2022563528
(86)(22)【出願日】2020-11-20
(86)【国際出願番号】 JP2020043411
(87)【国際公開番号】W WO2022107317
(87)【国際公開日】2022-05-27
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲柳▼ 雅和
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-236010(JP,A)
【文献】特許第3466153(JP,B2)
【文献】特許第4933351(JP,B2)
【文献】国際公開第2015/037099(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に装着される部品を保持可能な保持部材を搭載する保持部材搭載ユニットを、前記部品を供給する部品供給装置の一部に具備可能な部品装着装置
であって、
前記保持部材搭載ユニットは、前記部品を収容するキャリアテープが巻回されるリールを保持するフィーダと交換可能に設けられ、
前記部品装着装置は、前記保持部材を用いて前記基板に前記部品を装着する装着ヘッドと前記保持部材搭載ユニットとの間で前記保持部材を交換するときに、前記キャリアテープをピッチ送りさせる送り信号を前記保持部材搭載ユニットに送信して、前記保持部材搭載ユニットを駆動制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記保持部材を収容する収容部を上昇させ、前記保持部材搭載ユニットにおいて前記保持部材の脱落を規制する遮蔽部材による規制を解除させて、前記装着ヘッドに前記保持部材を交換させる部品装着装置。
【請求項2】
基板に装着される部品を保持可能な保持部材を搭載する保持部材搭載ユニットを、前記部品を供給する部品供給装置の一部に具備可能な部品装着装置
であって、
前記保持部材搭載ユニットは、前記部品を収容するキャリアテープが巻回されるリールを保持するフィーダと交換可能に設けられ、
前記部品装着装置は、前記保持部材を用いて前記基板に前記部品を装着する装着ヘッドと前記保持部材搭載ユニットとの間で前記保持部材を交換するときに、前記キャリアテープをピッチ送りさせる送り信号を前記保持部材搭載ユニットに送信して、前記保持部材搭載ユニットを駆動制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記装着ヘッドに装備されている前記保持部材であって前記部品の採取率が許容値未満の前記保持部材と、前記保持部材搭載ユニットに搭載されている前記保持部材であって前記採取率が許容値以上の前記保持部材とを前記装着ヘッドに交換させる部品装着装置。
【請求項3】
前記保持部材搭載ユニットは、
前記部品供給装置のスロットに着脱可能に設けられる本体部と、
前記本体部の上部に設けられ前記保持部材を収容する収容部と、
を備える請求項1
または請求項2に記載の部品装着装置。
【請求項4】
前記収容部は、前記本体部に着脱可能に設けられる請求項
3に記載の部品装着装置。
【請求項5】
前記保持部材搭載ユニットの使用可否を使用者に設定させる設定部を備える請求項1~請求項
4のいずれか一項に記載の部品装着装置。
【請求項6】
前記設定部は、基板製品の生産において必要な前記保持部材および前記部品の種類を案内する請求項
5に記載の部品装着装置。
【請求項7】
前記設定部は、前記保持部材搭載ユニットを使用するときに、搭載可能な前記保持部材の種類数が異なる複数種類の前記保持部材搭載ユニットの中から、基板製品の生産において必要な前記保持部材を搭載可能な前記保持部材搭載ユニットを案内する請求項
5または請求項
6に記載の部品装着装置。
【請求項8】
造形パレットに三次元の造形物を形成する三次元造形装置と、
前記造形物に回路パターンを形成する回路形成装置と、
前記造形物に形成された前記回路パターンに前記部品供給装置から供給された前記部品を装着する請求項1~請求項
7のいずれか一項に記載の部品装着装置と、
を備える三次元造形機。
【請求項9】
前記三次元造形装置、前記回路形成装置および前記部品装着装置は、一モジュール化されている請求項
8に記載の三次元造形機。
【請求項10】
基板に装着される部品を保持可能な保持部材を搭載する保持部材搭載ユニット
と、
前記保持部材搭載ユニットを、前記部品を供給する部品供給装置の一部に具備可能な部品装着装置
と、
を備える部品装着システムであって、
前記保持部材搭載ユニットは、前記保持部材を収容する収容部を備え、
前記収容部が上昇され、前記保持部材搭載ユニットにおいて前記保持部材の脱落を規制する遮蔽部材による規制が解除されて、前記保持部材を用いて前記基板に前記部品を装着する装着ヘッドにより前記保持部材が交換される部品装着システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、部品装着装置および三次元造形機に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の部品装着装置は、機内にノズルステーションを備えている。ノズルステーションは、ロータリヘッドに保持された吸着ノズルと交換する複数本の吸着ノズルを収容することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ノズルステーションに収容可能な吸着ノズルの数には、上限がある。基板製品の生産において、ノズルステーションの収容数を超える吸着ノズルが必要な場合があり、部品装着装置において、使用可能な吸着ノズルの数を増加させたいという要請がある。
【0005】
このような事情に鑑みて、本明細書は、部品装着装置において使用可能な保持部材の数を増加可能な部品装着装置および三次元造形機を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
部品装着装置は、基板に装着される部品を保持可能な保持部材を搭載する保持部材搭載ユニットを、前記部品を供給する部品供給装置の一部に具備可能である。
【発明の効果】
【0007】
上記の部品装着装置は、部品供給装置の一部に保持部材搭載ユニットを具備可能であるので、部品装着装置において使用可能な保持部材の数を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】保持部材収容装置および保持部材搭載ユニットの収容部の一例を示す斜視図である。
【
図4】保持部材収容装置および保持部材搭載ユニットの収容部の他の一例を示す斜視図である。
【
図5】部品供給装置の一部に保持部材搭載ユニットを具備する部品装着装置の一例を示す平面図である。
【
図6】部品供給装置の一部に装備された保持部材搭載ユニットの一例を示す斜視図である。
【
図7】着脱部から収容部が取り外された状態を示す斜視図である。
【
図8】部品装着装置の制御ブロックの一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.実施形態
1-1.部品装着装置10の構成例
部品装着装置10は、基板91に部品92を装着する。
図1に示すように、部品装着装置10は、基板搬送装置11、部品供給装置12、部品移載装置13、部品カメラ14、基板カメラ15、制御装置16、入出力装置17および保持部材収容装置40を備えている。なお、本明細書では、基板91の搬送方向をX軸方向とする。水平面においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。X軸方向およびY軸方向と直交する方向をZ軸方向とする。
【0010】
基板搬送装置11は、例えば、ベルトコンベアなどにより構成され、基板91を搬送方向(X軸方向)に搬送する。基板91は、回路基板であり、電子回路、電気回路、磁気回路などの種々の回路が形成される。基板搬送装置11は、部品装着装置10の機内に基板91を搬入して、機内の所定位置に基板91を位置決めする。基板搬送装置11は、部品装着装置10による部品92の装着処理が終了した後に、基板91を部品装着装置10の機外に搬出する。
【0011】
部品供給装置12は、基板91に装着される部品92を供給する。部品供給装置12には、複数のスロット12aが設けられている。複数のスロット12aの少なくとも一部には、フィーダ12fを装備することができる。フィーダ12fは、部品92を収容するキャリアテープ12cが巻回されるリール12rを保持する。フィーダ12fは、キャリアテープ12cをピッチ送りさせて、フィーダ12fの先端側に位置する供給位置12sにおいて部品92を採取可能に供給する。また、複数のスロット12aの少なくとも一部には、トレイユニット12tを装備することもできる。トレイユニット12tは、トレイを備えている。トレイには、チップ部品などと比べて比較的大型の電子部品(例えば、リード部品など)が配列されている。
【0012】
部品移載装置13は、ヘッド駆動装置13aおよび移動台13bを備えている。ヘッド駆動装置13aは、直動機構によって移動台13bを、X軸方向およびY軸方向に移動可能に構成されている。移動台13bには、クランプ部材によって装着ヘッド20が着脱可能(交換可能)に設けられている。装着ヘッド20は、保持部材30を用いて基板91に部品92を装着する。具体的には、装着ヘッド20は、少なくとも一つの保持部材30を用いて部品供給装置12によって供給された部品92を採取し保持して、基板搬送装置11によって位置決めされた基板91に部品92を装着する。
【0013】
保持部材30は、例えば、吸着ノズル、チャックなどを用いることができる。
図2に示すように、本実施形態の保持部材30は、部品92を吸着する吸着ノズルであり、ノズル本体部31と、フランジ部32と、識別部33と、把持部34と、可動部35とを備えている。ノズル本体部31は、基部であり、フランジ部32、把持部34および可動部35が設けられる。識別部33は、把持部34が設けられる側のフランジ部32の表面に設けられている。部品装着装置10は、識別部33を読み取ることにより、保持部材30を識別することができる。識別部33は、例えば、二次元コードなどを用いることができる。
【0014】
装着ヘッド20は、ヘッド本体に昇降可能に保持される昇降部材を備えており、昇降部材は、保持部材30を保持することができる。装着ヘッド20は、昇降部材を用いて、保持している保持部材30と、保持部材収容装置40または後述する保持部材搭載ユニット50に収容されている保持部材30とを交換することができる。把持部34は、装着ヘッド20の昇降部材が保持部材30を保持可能に形成される。把持部34は、昇降部材によって保持可能であれば良く、形状等は、限定されない。
図2に示すように、本実施形態の把持部34は、保持部材30の軸方向と直交する方向に、ノズル本体部31から突出するように形成されている。
【0015】
可動部35は、ノズル本体部31に対して摺動可能な部位であり、部品92を吸着可能なノズル先端部35aを備えている。保持部材30が昇降部材によって保持されているときに、可動部35は、昇降部材に設けられる圧縮ばねによって、下方に付勢されている。可動部35は、ノズル先端部35aが部品92に接触して部品92を吸着するときに、圧縮ばねの弾性力に抗して上方へ移動して、ノズル先端部35aが部品92と接触するときの衝撃が低減される。
【0016】
部品カメラ14および基板カメラ15は、公知の撮像装置を用いることができる。部品カメラ14は、光軸がZ軸方向の上向き(鉛直上方方向)になるように、部品装着装置10の基台に固定されている。部品カメラ14は、保持部材30によって保持されている部品92を下方から撮像することができる。基板カメラ15は、光軸がZ軸方向の下向き(鉛直下方方向)になるように、部品移載装置13の移動台13bに設けられている。基板カメラ15は、基板91を上方から撮像することができる。部品カメラ14および基板カメラ15は、制御装置16から送出される制御信号に基づいて撮像を行う。部品カメラ14および基板カメラ15によって撮像された画像データは、制御装置16に送信される。
【0017】
制御装置16は、公知の演算装置および記憶装置を備えており、制御回路が構成されている。制御装置16には、部品装着装置10に設けられる各種センサから出力される情報、画像データなどが入力される。制御装置16は、制御プログラムおよび予め設定されている所定の装着条件などに基づいて、各装置に対して制御信号を送出する。例えば、制御装置16は、基板搬送装置11によって位置決めされた基板91を基板カメラ15に撮像させる。制御装置16は、基板カメラ15によって撮像された画像を画像処理して、基板91の位置決め状態を認識する。また、制御装置16は、部品供給装置12によって供給された部品92を保持部材30に採取させて、保持部材30によって保持されている部品92を部品カメラ14に撮像させる。制御装置16は、部品カメラ14によって撮像された画像を画像処理して、部品92の保持姿勢を認識する。
【0018】
制御装置16は、制御プログラムなどによって予め設定される装着予定位置の上方に向かって、保持部材30を移動させる。また、制御装置16は、基板91の位置決め状態、部品92の保持姿勢などに基づいて、装着予定位置を補正して、実際に部品92を装着する装着位置を設定する。装着予定位置および装着位置は、位置(X軸座標およびY軸座標)の他に回転角度を含む。制御装置16は、装着位置に合わせて、保持部材30の目標位置(X軸座標およびY軸座標)および回転角度を補正する。制御装置16は、補正された目標位置において補正された回転角度で保持部材30を下降させて、基板91に部品92を装着する。制御装置16は、上記のピックアンドプレースサイクルを繰り返すことによって、基板91に複数の部品92を装着する装着処理を実行する。
【0019】
1-2.保持部材収容装置40の構成例
保持部材収容装置40は、装着ヘッド20の移動可能領域において着脱可能に設けられる。保持部材収容装置40は、複数の収容凹部41と、遮蔽部材42とを備えており、保持部材30を収容することができる。
図3に示す保持部材収容装置40では、3つの収容凹部41および遮蔽部材42が図示されている。
図4に示す保持部材収容装置40では、8つの収容凹部41が図示されており、収容凹部41の全体を視認可能にするため、説明の便宜上、遮蔽部材42が取り外されている。
【0020】
複数の収容凹部41は、保持部材収容装置40において、所定ピッチで複数列に形成されている。複数の収容凹部41は、保持部材収容装置40の内部に形成されており、例えば、
図2に示す可動部35を収容することができる。遮蔽部材42は、保持部材収容装置40の上面において、例えば、保持部材収容装置40の長手方向(本実施形態では、X軸方向)に沿ってスライド可能に設けられている。
【0021】
遮蔽部材42は、遮蔽部材駆動装置によって駆動制御される。遮蔽部材駆動装置は、例えば、エアシリンダなどの直動機構を用いることができる。遮蔽部材駆動装置は、部品装着装置10の稼働中に遮蔽部材42を開放位置にスライドさせて、保持部材30の収容および取り出しを許容する。遮蔽部材駆動装置は、部品装着装置10の生産停止中、保持部材収容装置40の交換作業時などに遮蔽部材42を閉鎖位置にスライドさせて、保持部材30の収容および取り出しを規制する。
【0022】
1-3.保持部材搭載ユニット50の構成例
保持部材収容装置40に収容可能な保持部材30の数には、上限がある。基板製品の生産において、保持部材収容装置40の収容数を超える保持部材30が必要な場合があり、部品装着装置10において、使用可能な保持部材30の数を増加させたいという要請がある。そこで、本実施形態の部品装着装置10は、部品92を供給する部品供給装置12の一部に保持部材搭載ユニット50を具備可能である。
【0023】
図5に示す部品装着装置10は、部品供給装置12の一部に保持部材搭載ユニット50を具備している。
図5および
図6に示すように、保持部材搭載ユニット50は、本体部51と、収容部52とを備えている。本体部51は、部品供給装置12のスロット12aに着脱可能に設けられる。具体的には、本体部51は、フィーダ12fの本体部と同様の形状に形成されており、フィーダ12fと同様にスロット12aに装備することができ、スロット12aから取り外すことができる。よって、本実施形態の保持部材搭載ユニット50は、部品92を収容するキャリアテープ12cが巻回されるリール12rを保持するフィーダ12fと交換可能に設けられる。
【0024】
収容部52は、本体部51の上部に設けられ保持部材30を収容する。具体的には、収容部52は、保持部材搭載ユニット50が部品供給装置12に装着されたときに、装着ヘッド20の移動可能領域に設けられる。また、収容部52は、保持部材収容装置40と同様の構成にすることができる。収容部52は、複数の収容凹部52aと、遮蔽部材52bとを備えている。
【0025】
収容凹部52aは、保持部材収容装置40の収容凹部41に相当する。遮蔽部材52bは、保持部材収容装置40の遮蔽部材42に相当する。
図6に示す保持部材搭載ユニット50は、
図4に示す保持部材収容装置40の収容凹部41と同様の収容凹部52aを備えている。
図6に示す保持部材搭載ユニット50においても、収容凹部52aの全体を視認可能にするため、説明の便宜上、遮蔽部材52bが取り外されている。なお、保持部材搭載ユニット50は、
図3に示す保持部材収容装置40と同様の収容部52を備えることもできる。
【0026】
収容部52は、本体部51と一体に形成することができる。また、収容部52は、本体部51に着脱可能に設けることもできる。例えば、
図7に示すように、保持部材搭載ユニット50は、接続部53を備えている。接続部53は、本体部51の上部に設けられ、固定部53aと、押付部53bとを備えている。固定部53aおよび押付部53bは、収容部52の長手方向(X軸方向)に離間して配置されている。押付部53bは、接続部53に固定されている固定部53aに対して、収容部52の長手方向(X軸方向)に移動可能に支持されている。押付部53bは、弾性部材によって固定部53aに接近する方向に付勢されている。
【0027】
収容部52を接続部53に固定する場合、収容部52の下面に設けられる係合部が、固定部53aと押付部53bとの間に挟み込まれて、収容部52は、接続部53に固定される。収容部52を接続部53から取り外す場合、押付部53bが固定部53aから離間する方向に弾性部材の弾性力に抗して移動されて、収容部52は、接続部53から取り外される。なお、接続部53は一例であり、接続部53は、種々の形態をとり得る。
【0028】
1-4.保持部材搭載ユニット50に関する制御例
部品装着装置10は、設定部61を備えることができる。部品装着装置10は、制御部62を備えることもできる。
図8に示すように、本実施形態の部品装着装置10は、設定部61と、制御部62とを備えている。また、設定部61および制御部62は、部品装着装置10の制御装置16に設けられている。
【0029】
設定部61は、保持部材搭載ユニット50の使用可否を使用者に設定させる。設定部61は、例えば、入出力装置17を用いて、保持部材搭載ユニット50の使用可否を使用者に設定させることができる。入出力装置17は、例えば、タッチパネルなどの公知の入出力装置を用いることができる。入出力装置17は、部品装着装置10および基板製品の生産に関する種々の情報を表示し、使用者による種々の操作を受け付ける。また、設定部61は、既述した制御プログラムの作成時に、保持部材搭載ユニット50の使用可否を使用者に設定させることができる。
【0030】
例えば、
図5に示すように、保持部材収容装置40および保持部材搭載ユニット50には、それぞれ最大8つの保持部材30が収容可能であるとする。基板製品の生産において必要な保持部材30の種類数が、保持部材収容装置40に収容可能な最大収容数(この場合、8)を超える場合、使用者は、保持部材搭載ユニット50を使用可に設定する。この場合、
図5に示すように、部品供給装置12の一部に保持部材搭載ユニット50が装備されて、部品装着装置10は、最大16個の保持部材30を使用することができる。
【0031】
基板製品の生産において必要な保持部材30の種類数が、保持部材収容装置40に収容可能な最大収容数(この場合、8)以下の場合、使用者は、保持部材搭載ユニット50を使用不可に設定する。この場合、
図1に示すように、保持部材搭載ユニット50は装備されず、部品装着装置10は、最大8個の保持部材30を使用することができる。また、基板製品の生産において必要な部品92の種類数が増加するほど、部品供給装置12に装備するフィーダ12fなどの部品供給媒体の数が増加し易い。よって、保持部材搭載ユニット50が装備されていない部品供給装置12の空きスロット12aには、フィーダ12fなどの部品供給媒体を装備することができる。
【0032】
このように、使用者は、基板製品の生産において必要な保持部材30および部品92の種類に応じて、保持部材搭載ユニット50の使用可否を設定する。よって、設定部61は、基板製品の生産において必要な保持部材30および部品92の種類を案内すると良い。これにより、使用者は、当該案内に基づいて、保持部材搭載ユニット50の使用可否を設定することができる。
【0033】
また、保持部材搭載ユニット50は、搭載可能な保持部材30の種類数が増加するほど大型化し易く、部品供給装置12における占有領域が増大し易い。例えば、上記の例において、基板製品の生産において必要な保持部材30の種類数が11(=8+3)であったとする。この場合、保持部材30の最大収容数が3の保持部材搭載ユニット50を装備すれば十分であり、保持部材30の最大収容数が8の保持部材搭載ユニット50を装備する必要はない。保持部材30の最大収容数が3の保持部材搭載ユニット50を装備すると、保持部材30の最大収容数が8の保持部材搭載ユニット50を装備する場合と比べて、部品供給装置12における占有領域を低減し易い。
【0034】
そこで、設定部61は、保持部材搭載ユニット50を使用するときに、搭載可能な保持部材30の種類数が異なる複数種類の保持部材搭載ユニット50の中から、基板製品の生産において必要な保持部材30を搭載可能な保持部材搭載ユニット50を案内すると良い。これにより、使用者は、当該案内に基づいて、保持部材搭載ユニット50を選択することができる。
【0035】
既述したように、本実施形態の保持部材搭載ユニット50は、部品92を収容するキャリアテープ12cが巻回されるリール12rを保持するフィーダ12fと交換可能に設けられる。この場合、キャリアテープ12cをピッチ送りさせる送り信号を用いて、保持部材搭載ユニット50を駆動制御すると、部品供給装置12の側の制御回路は、フィーダ12fの駆動制御と共用でき、制御回路を簡素化することができる。
【0036】
そこで、部品装着装置10は、制御部62を備えていると良い。制御部62は、装着ヘッド20と保持部材搭載ユニット50との間で保持部材30を交換するときに、キャリアテープ12cをピッチ送りさせる送り信号を保持部材搭載ユニット50に送信して、保持部材搭載ユニット50を駆動制御する。
【0037】
例えば、制御部62は、保持部材30を収容する収容部52を上昇させ、保持部材搭載ユニット50において保持部材30の脱落を規制する遮蔽部材52bによる規制を解除させて、装着ヘッド20に保持部材30を交換させる。
図8に示すように、本実施形態の保持部材搭載ユニット50は、収容部52を昇降させる収容部昇降装置50aと、遮蔽部材52bを既述した開放位置または閉鎖位置にスライドさせる遮蔽部材駆動装置50bとを備えている。収容部昇降装置50aおよび遮蔽部材駆動装置50bは、例えば、エアシリンダなどの直動機構を用いることができる。
【0038】
図6に示すように、本実施形態の保持部材搭載ユニット50は、エア送出部54を備えている。エア送出部54は、エアを送出する管であり、外部に設けられるエア源から本体部51に供給されたエアを、収容部52の内部に設けられる収容部昇降装置50aおよび遮蔽部材駆動装置50bに送出する。保持部材搭載ユニット50は、制御部62から送り信号を受信すると、エア送出部54から供給されるエアを用いて収容部昇降装置50aを駆動して、収容部52を上昇させる。
【0039】
また、保持部材搭載ユニット50は、制御部62から送り信号を受信すると、エア送出部54から供給されるエアを用いて遮蔽部材駆動装置50bを駆動して、遮蔽部材52bを開放位置にスライドさせる。これらにより、保持部材搭載ユニット50の収容部52と装着ヘッド20との間の距離が、保持部材30を交換可能な距離に保持され、且つ、遮蔽部材52bによる規制が解除されて、装着ヘッド20による保持部材30の交換が可能になる。
【0040】
保持部材搭載ユニット50を具備する部品装着装置10は、保持部材搭載ユニット50を具備しない場合と比べて、搭載可能な保持部材30の数が増加する。そのため、保持部材搭載ユニット50は、基板製品の生産において必要な保持部材30の必要数を超える保持部材30を搭載することもできる。この場合、制御部62は、装着ヘッド20に装備されている保持部材30であって部品92の採取率が許容値未満の保持部材30と、保持部材搭載ユニット50に搭載されている保持部材30であって採取率が許容値以上の保持部材30とを装着ヘッド20に交換させることもできる。
【0041】
部品92の採取率は、部品92を正常に採取できた正常回数と、当該部品92を採取した採取回数(部品92を正常に採取できなかった異常回数および正常回数の合計)との比であり、逐次、記憶装置に記憶される。保持部材30が生産に使用されるにつれて、例えば、
図2に示す可動部35の摺動不良、ノズル先端部35aの劣化などが生じて、部品92の採取率が許容値よりも低下する可能性がある。
【0042】
制御部62は、装着ヘッド20に装備されている保持部材30の部品92の採取率を記憶装置から取得して、部品92の採取率が許容値未満であるか否かを判断する。部品92の採取率が許容値未満の保持部材30が発見されると、制御部62は、例えば、生産の空き時間などに、当該保持部材30と、保持部材搭載ユニット50に搭載されている保持部材30であって採取率が許容値以上の保持部材30とを装着ヘッド20に交換させることができる。これにより、部品装着装置10は、保持部材30の不良に起因する部品92の装着不良を未然に抑制することができる。
【0043】
1-5.三次元造形機90の構成例
三次元造形機90は、三次元造形装置70と、回路形成装置80と、部品装着装置10とを備えている。
図9に示すように、本実施形態の三次元造形機90では、三次元造形装置70、回路形成装置80および部品装着装置10は、一モジュール化されている。
【0044】
三次元造形装置70は、造形パレット90mに三次元の造形物90fを形成する。三次元造形装置70は、造形パレット90mに三次元の造形物90fを形成することができれば良く、公知の三次元造形装置を用いることができる。例えば、三次元造形装置70は、紫外線の照射により重合して固化する重合性化合物を含む造形インクを原料として、造形パレット90mに三次元の造形物90fを形成することができる。
【0045】
回路形成装置80は、造形物90fに回路パターン90cを形成する。回路形成装置80は、造形物90fに回路パターン90cを形成することができれば良く、公知の回路形成装置を用いることができる。例えば、回路形成装置80は、溶剤中に銀などの金属微粒子を含む導電性インクを用いて、造形物90fに回路パターン90cを描画することができる。回路形成装置80は、造形途中または造形後の造形物90fに回路パターン90cを形成することができる。
【0046】
部品装着装置10は、既述したいずれの形態であっても良い。なお、部品装着装置10は、ペースト供給ユニットを備えることができる。ペースト供給ユニットは、回路パターン90cの部品92の装着位置と部品92の接続部を電気的および機械的に接続するペースト状の導電性材料を供給する。導電性インクよりも粘度の高いペースト状の導電性接着剤、溶融したはんだなどは、導電性材料に含まれる。部品装着装置10は、部品92を装着する前に、回路パターン90cの部品92の装着位置に導電性材料を塗布することができる。
【0047】
また、本実施形態の三次元造形機90には、パレット移動装置90pが設けられている。パレット移動装置90pは、三次元造形装置70、回路形成装置80および部品装着装置10の間で、造形パレット90mを移動する。パレット移動装置90pによって三次元造形装置70、回路形成装置80および部品装着装置10の順に造形パレット90mが移動して、既述した造形物90fの形成、回路パターン90cの形成、部品92の装着が行われる。パレット移動装置90pは、例えば、ベルトコンベアなどにより構成される搬送装置、ロボットハンドで造形パレット90mを把持して移動させる搬送装置などを用いることができる。
【0048】
三次元造形装置70、回路形成装置80および部品装着装置10が一モジュール化されている三次元造形機90では、部品装着装置10は、多品種の基板製品の生産を一モジュールで実行する必要がある。そのため、部品装着装置10は、複数の部品装着装置10を用いて部品92の装着処理を分散可能な場合と比べて、搭載する保持部材30の数が増加し易い。また、大型の部品92の装着を考慮して、大型の保持部材30を収容可能にする必要があり、一つの保持部材収容装置40に収容可能な保持部材30の数が少なくなり易い。さらに、一モジュール化されている三次元造形機90では、空きスペースが少なく、保持部材収容装置40を増設することが困難な場合が多い。
【0049】
そこで、部品供給装置12の一部に保持部材搭載ユニット50を具備可能な部品装着装置10は、三次元造形装置70、回路形成装置80および部品装着装置10が一モジュール化されている三次元造形機90に用いられると好適である。本実施形態の三次元造形機90は、部品供給装置12の一部に保持部材搭載ユニット50を具備可能な部品装着装置10を備えるので、部品装着装置10において使用可能な保持部材30の数を増加させることができる。
【0050】
2.実施形態の効果の一例
部品装着装置10は、部品供給装置12の一部に保持部材搭載ユニット50を具備可能であるので、部品装着装置10において使用可能な保持部材30の数を増加させることができる。
【符号の説明】
【0051】
10:部品装着装置、12:部品供給装置、12a:スロット、
12c:キャリアテープ、12r:リール、12f:フィーダ、
20:装着ヘッド、30:保持部材、50:保持部材搭載ユニット、
51:本体部、52:収容部、52b:遮蔽部材、61:設定部、
62:制御部、70:三次元造形装置、80:回路形成装置、
90:三次元造形機、91:基板、92:部品、90c:回路パターン、
90f:造形物、90m:造形パレット。