(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】車両内装部材
(51)【国際特許分類】
B60R 7/04 20060101AFI20240131BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20240131BHJP
【FI】
B60R7/04 C
B60N2/90
(21)【出願番号】P 2023009459
(22)【出願日】2023-01-25
(62)【分割の表示】P 2018081588の分割
【原出願日】2018-04-20
【審査請求日】2023-02-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100158067
【氏名又は名称】江口 基
(74)【代理人】
【識別番号】100147854
【氏名又は名称】多賀 久直
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 文俊
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-512564(JP,A)
【文献】特開2006-321336(JP,A)
【文献】特開2006-049271(JP,A)
【文献】特開2013-016437(JP,A)
【文献】特開2004-006315(JP,A)
【文献】特開2014-162289(JP,A)
【文献】米国特許第6483048(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 7/04
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内装部材に加わる荷重を支え
、透光性を有する基材と、
前記基材の表側に重ねて車両内装部材の表面を構成するように配置され、
前記基材との積層方向へ圧縮変形可能な表皮材と、
前記基材と前記表皮材との
間に配置されて、
前記表皮材を介する人の操作に伴う静電容量の変化を検出可能な静電容量式スイッチを有する操作手段と、を備え
、
前記表皮材は、前記静電容量式スイッチと重なる位置に、前記積層方向へ貫通する、または光を透過可能な残存部を表側に残して裏側へ開口するように形成された孔部を備えている
ことを特徴とする車両内装部材。
【請求項2】
車両内装部材に加わる荷重を支え、透光性を有する基材と、
前記基材の表側に重ねて車両内装部材の表面を構成するように配置され、前記基材との積層方向へ圧縮変形可能な表皮材と、
前記基材の裏側に配置されて、前記表皮材を介する人の操作に伴う静電容量の変化を検出可能な静電容量式スイッチを有する操作手段と、を備え、
前記表皮材は、前記静電容量式スイッチと重なる位置に、前記積層方向へ貫通する、または光を透過可能な残存部を表側に残して裏側へ開口するように形成された孔部を備えている
ことを特徴とする車両内装部材。
【請求項3】
前記表皮材は、軟質発泡体のクッション層を備え、
前記クッション層は、前記静電容量式スイッチと重なる位置に、前記積層方向へ貫通する前記孔部を備えている請求項1または2記載の車両内装部材。
【請求項4】
前記クッション層における前記孔部の開口が、前記表皮材の裏側から表側へ向かうにつれて小さくなっている請求項
3記載の車両内装部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作手段を備えた車両内装部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車には、室内における運転席と助手席との間に、コンソールボックスが設置されているものがある(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示のコンソールボックスは、空調装置やオーディオ装置等の車載装置を操作するためのスイッチユニットが、コンソールボックスのリッドに設けられている。特許文献1では、アームレストとしても用いられるリッドに腕を置いた状態のまま、スイッチユニットを操作して、車載装置を一括操作することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したリッドに設けられたスイッチユニットは、可動部分を乗員が直接触って機械的に接点を開閉するジョブダイヤルやスイッチなどが用いられている。このため、スイッチユニットの上に腕を載せると感触が悪く、リッドの上面においてアームレストとして使用できる領域が狭くなってしまう難点がある。
【0005】
本発明は、従来の技術に係る前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、操作手段を備えていても、表面の感触が良好である車両内装部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本発明は、
車両内装部材に加わる荷重を支える基材と、
前記基材の表側に重ねて車両内装部材の表面を構成するように配置され、該基材との積層方向へ圧縮変形可能な表皮材と、
前記基材と前記表皮材との間または前記基材の裏側に配置されて、該表皮材を介する人の操作に伴う静電容量の変化を検出可能な静電容量式スイッチを有する操作手段と、を備えていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両内装部材によれば、操作手段を備えていても、表面の感触が良好である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の好適な実施例に係るコンソールボックスが設けられた自動車の車内を示す概略斜視図である。
【
図2】実施例に係るコンソールボックスのリッドを、
図1のA-A線に対応する位置で切断した要部断面図である。
【
図3】
図2に示すリッドを分解して示す断面図である。
【
図4】実施例に係るコンソールボックスのリッドを、
図1のB-B線に対応する位置で切断した要部断面図である。
【
図5】基材と表皮材の組み付けを示す説明図である。
【
図6】実施例のリッドの要部を分解して示す概略斜視図である。
【
図8】変更例1の車両内装部材を示す断面図である。
【
図9】変更例2の車両内装部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明に係る車両内装部材につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、実施例では、車両内装部材として、コンソールボックスのリッドを挙げている。
【実施例】
【0010】
実施例に係るコンソールボックス10は、自動車における乗員室の運転席と助手席との間に設置されている。
図1に示すように、コンソールボックス10は、上方へ開口した収納部を有するボックス本体12と、後部がボックス本体12の上部後縁に図示しないヒンジ機構を介して接続され、収納部の上部開口を開閉可能なリッド14とを備えている。コンソールボックス10は、ボックス本体12の上部に載置して収納部の上部開口を塞いだリッド14の閉成状態において、運転席および/または助手席に座った乗員がリッド14の上に腕を置いてアームレストとしても使用される。なお、以下の説明において、車両を基準として、閉成状態にあるリッド14の前後左右上下を指称する。
【0011】
図2および
図4に示すように、リッド14は、リッド14に加わる荷重を支える基材16と、基材16の表側(上側)に重ねて配置された表皮材18とを備え、閉成状態にあるリッド14において外部に露出する表面を表皮材18で構成している。また、リッド14は、リッド14またはリッド14とは別(実施例)に設けられた車載装置等を操作するための操作手段20を備えている。操作手段20は、空調装置やオーディオ装置やナビゲーション装置やその他の車載装置、あるいは携帯電話等の情報機器や音楽プレイヤーなどの外部から持ち込まれる外部装置等に対して、配線または電波等の非接触型の情報伝達手段を介して接続可能になっている。リッド14は、操作手段20を表皮材18の表側から操作して、車載装置などの操作対象装置を制御し得るように構成されている。なお、以下の説明では、表皮材18において操作手段20(後述の静電容量式スイッチ22)に対応する部位を入力部24と指称して区別する場合がある。実施例では、リッド14の前部に操作手段20が配置されており(
図1参照)、リッド14に腕を載置した状態で入力部24を介して操作手段20を指先で操作できるようになっている。なお、符号26は、リッド14の下面を構成するカバー部材である。
【0012】
図2および
図4に示すように、基材16は、表皮材18の裏側(下側)に重ねて配置されて、可撓性を有する表皮材18を支持している。基材16は、インジェクション成形等によって所定形状に形成された硬質な合成樹脂からなる成形品であり、例えば2.5mm程度の厚さに設定されている。また、基材16は、透明や半透明など、光を透過可能な合成樹脂で構成された導光部を備えていてもよい。基材16において導光部は、操作手段20(静電容量式スイッチ22)が設置される設置位置および当該設置位置に向けた光源28aからの光の通り道に少なくとも設ければよいが、実施例では、基材16全体が導光部として機能するように、基材16が光を透過可能に構成されている。光を透過可能な基材16(導光部)としては、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネートなどの硬質な合成樹脂を用いることができる。
図2に示すように、導光部としての基材16には、表皮材18が重なる表面と交差するように延在する端面に、光入射部30が設けられ、光入射部30に向けて照射される光によって、少なくとも操作手段20の設置位置に対応する表面が面発光可能に構成されている。導光部の面発光を可能とする構成としては、例えば、光透過可能な合成樹脂中に光を拡散する微細な拡散材を分散させる構成がある。また、導光部の裏面に光を反射する金属箔や金属蒸着膜等の反射面を形成する構成や、導光部の表面に梨地等の凹凸を形成するなどにより該表面を粗面化する構成なども、導光部の面発光可能な構成として採用可能であり、前述した構成を組み合わせてもよい。
【0013】
図2に示すように、実施例のリッド14には、LEDなどの光源28aを有する発光手段28がカバー部材26に設置されている。基材16は、光入射部30と対向配置された光源28aから該光入射部30に向けて照射した光によって、操作手段20の設置位置が面発光するようになっている。
【0014】
図2~
図4に示すように、表皮材18は、基材16との積層方向へ圧縮変形可能なクッション層32を備えている。また、表皮材18は、クッション層32の表側に積層され、リッド14において外側に露出する意匠面を形作る表層34を備えており、クッション層32と表層34とからなる積層構造になっている。表皮材18は、表層34とクッション層32とをフレームラミや接着剤などで貼り合わせて接合することや、表層34上でクッション層32を発泡成形することなどで、表層34とクッション層32とが一体化されている。そして、表皮材18は、積層方向(厚み方向)に押した際に撓み、元の形状に戻ろうとする弾力性を有している。
【0015】
クッション層32としては、発泡体が用いられている。クッション層32は、発泡体の中でも軟質発泡体を用いることが好ましく、例えば、ポリウレタンフォームや、ポリプロピレンフォームや、ポリエチレンフォームなどの発泡体を用いることができる。発泡体の気泡構造は、気泡が互いに連通する連続気泡構造または気泡が互いに独立している独立気泡構造の何れも用いることができるが、操作手段20による操作の検出し易さや操作手段20に対応した表皮材18の入力部24の光の通り易さの観点から連続気泡構造のほうが好ましい。また、クッション層32をなす発泡体は、操作手段20による操作の検出し易さや入力部24の光の通り易さの観点から低密度品であることが望ましく、例えば、9kg/m3~80kg/m3の範囲にあるような低い密度(JIS K 7222)であるとよい。更に、クッション層32をなす発泡体は、骨格が比較的細く、気泡を区切る膜がある場合でも膜が薄いことが好ましい。
【0016】
表層34は、光を透過しないソリッドの合成樹脂が用いられ、例えば、オレフィン系熱可塑性エラストマ(TPO)や熱可塑性ポリウレタン(TPU)や塩化ビニル樹脂(PVC)等の柔軟性を有する合成樹脂から形成される。表層34は、例えば、0.5mm~1.0mm程度の厚みとされ、表層34を介してクッション層32の弾力性などの特性が発揮されるように設定される。
【0017】
図2および
図4に示すように、操作手段20は、基材16と表皮材18との間に配置されて、表皮材18に覆われている。操作手段20は、人による操作に伴う表皮材18を介した静電容量の変化を検出可能な静電容量式スイッチ(以下、単にスイッチという。)22を有しており、スイッチ22の検出に基づいて、操作対象装置を制御し得るようになっている。操作手段20は、静電容量式スイッチの中でも、スイッチ22に指等が直接触れなくても、表皮材18が介在した状態でスイッチ22に指等が近づいたことを検出し得る静電容量式近接スイッチを用いることが好ましい。ここで、指先等の人体を用いて操作手段20を操作して人体による静電容量の変化をスイッチ22で検出しても、人がタッチペン等の導電体を有する入力具を用いて操作手段20を操作して導電体による静電容量の変化をスイッチ22で検出してもよい。このように、操作手段20の操作は、指や入力具等で表皮材18においてスイッチ22に対応する入力部24を触れるまたは押すなどによって、スイッチ22において静電容量の変化が生じるようにすればよい。操作手段20は、操作の有無をスイッチ22で検出するだけでなく、タッチパッドのように操作された位置や向きをスイッチ22で検出するようにしてもよく、1つのスイッチ22で複数の操作を検出し得るマルチタッチ式であってもよい。実施例の操作手段20は、表皮材18の入力部24を積層方向へ所定量を越えて圧縮するように操作したとき、スイッチ22が該操作を検出するように構成されている(
図7参照)。
【0018】
図4~
図6に示すように、スイッチ22は、基材16の表面に設置されている。スイッチ22は、光を透過可能なシートまたは板状であり、導光部として面発光する基材16の光を表側へ透過可能になっている。スイッチ22には、配線36が繋がっており、基材16の表面から裏面に巻き込まれて裏面に接合される表皮材18の末端と共に配線36が基材16の裏面に引き回されている(
図4および
図5参照)。配線36は、フラットケーブル等のケーブルや、フィルム上に印刷されたパターンからなるものを用いることができる。
【0019】
図2~
図6に示すように、表皮材18は、操作手段20(スイッチ22)の表側に重なる位置に、表層34およびクッション層32を貫通するように形成された孔部38を有している。表皮材18は、孔部38により圧縮変形し易くなり、スイッチ22が人の操作に伴う静電容量の変化を検出し易くなっている。また、表皮材18は、基材16が面発光してスイッチ22を透過した光を、孔部38を介して厚み方向へ通過を許容し、表層34で阻んで孔部38以外から光が漏れないようになっている。換言すると、表皮材18は、入力部24に孔部38が設けられ、孔部38の発光によりスイッチ22の位置が表示される。孔部38は、円形などの開口形状で形成されている。また、孔部38は、基材16からの光が入射していない状態において視認しにくい開口寸法で形成され、例えば、直径1mm~1.5mm程度に設定される。孔部38は、表皮材18の厚み方向へ亘って同じ開口寸法で形成しても、裏側が表側と比べて大きくなるように開口しても、表側が裏側と比べて大きくなるように開口しても、何れであってもよい。この中でも、裏側から表側に向かうにつれて開口が小さくなる孔部38は、表側から内側が見えることを防止できると共に、孔部38に基材16からの光を集めやすいので好ましい。孔部38は、表皮材18に複数設けられ、何れの孔部38も同じ開口寸法であっても、異なる開口寸法の孔部38を組み合わせても、何れであってもよい。
【0020】
表皮材18には、複数の孔部38が所定パターンの配列またはランダムに配置されている。複数の孔部38の配置は、例えば、縦横に規則的に並ぶ態様や、三角形等の多角形状や円形状などの図形状に並ぶ態様や、数字や文字などの情報を表すように並ぶ態様など、様々な態様を選択可能である。表皮材18は、複数の孔部38の配置に応じて、孔部38が光ることによる単なる発光装飾だけでなく、例えば、孔部38の発光によりスイッチ22の機能を表示するなどを行うことができ、発光装飾の自由度が高い。このように、リッド14は、操作手段20を備えているだけでなく、発光手段28、基材16、スイッチ22および表皮材18の孔部38により、リッド14の表面を飾る装飾装置あるいはリッド14の表面に情報を表示する表示装置を備えているともいえる。
【0021】
前述したリッド14は、表皮材18を介して人の操作を検出し得る静電容量式スイッチ22を有する操作手段20であるので、操作手段20を基材16と表皮材18との間に配置することができる。リッド14は、操作手段20が表皮材18で覆われているので、操作手段20の設置箇所であっても操作手段20の感触が表面に現れることを防止でき、操作手段20を備えていても表皮材18に由来して表面の感触が良好である。しかも、スイッチ22が表皮材18で覆われて表側から見えないので、表皮材18で構成されたリッド14の意匠面の風合いをスイッチ22で損なわず、リッド14の見栄えをよくすることができる。そして、リッド14は、操作手段20の設置箇所にも腕を置くことができるから、アームレストとして使用可能な領域を広くすることができる。また、スイッチ22に対応した入力部24が圧縮変形可能な表皮材18で構成されているので、スイッチ22に向けて押し込むように入力部24を操作することで、スイッチ22で人の操作を検出し易くすることができる(
図7参照)。しかも、入力部24が圧縮変形することで、スイッチ22を押しているような疑似的な操作感を与えることができる。
【0022】
リッド14は、気泡が互いに連通する連続気泡構造の軟質発泡体からなるクッション層32を備える表皮材18を用いているので、表面の感触が良好である。リッド14は、連続気泡構造の軟質発泡体からなるクッション層32を備える入力部24が、積層方向へ圧縮変形し易いので、入力部24を押し込むように操作した際に、指先とスイッチ22との間隔を近くすることができる。これにより、人の操作に伴う静電容量の変化をスイッチ22で確実に検出することができる。
【0023】
操作手段20は、導電体である指先で入力部24を積層方向へ所定量を越えて圧縮するように操作したとき、スイッチ22が人の操作を検出する構成であると、着衣状態の腕をリッド14の上面に置いたアームレストとして使用しているときなど、意図しないときにスイッチ22が人の操作を検出することを防止できる。そして、入力部24を押すように意図的に指先で操作したときには、スイッチ22が人の操作を検出して、当該操作に応じて操作対象装置を適宜制御し得る。
【0024】
表皮材18は、スイッチ22と重なる位置(入力部24)に、積層方向へ貫通するように形成された孔部38を備えていることで、入力部24を圧縮変形し易くすることができる。入力部24を積層方向へ圧縮変形し易くすることで、入力部24を押し込むように操作した際に、指先とスイッチ22との間隔を近くすることができ、スイッチ22に人の操作をより確実に検出させることができる。
【0025】
前述したリッド14は、光入射部30に向けて光源28aから光が照射されると、基材16におけるスイッチ22の設置位置が面発光し、面発光による光が透明なスイッチ22を通って前側に重なるクッション層32および表層34を貫通する孔部38に入り、孔部38が発光する。孔部38の発光により、スイッチ22の設置位置を示すことができ、使用者が操作手段20を操作し易くできる。しかも、孔部38の配置パターンによってスイッチ22の機能等の情報を表示するようにすれば、操作手段20を使い易くすることができる。クッション層32は、多数の気泡で構成された発泡体であるので、入射した光の一部を孔部38に入射するように通したり、孔部38に入った光の一部がクッション層32に入ったりするなど、光を拡散するように作用する。このように、リッド14は、面発光する基材16の光がクッション層32によって拡散されるので、孔部38から前側に漏れる光を弱めて、孔部38を淡く光らせることができる。従って、リッド14によれば、乗員の目を刺すような強い発光ではなく、眩しさを抑えた独特の風合いの発光装飾が得られる。特に、連続気泡構造の発泡体からなるクッション層32を用いることで、クッション層32において光を拡散し易くすることができるので好適である。
【0026】
前述したように、導光部としての基材16は、該基材16における表皮材18が重なる表面と交差するように延在する端面に設けられた光入射部30に向けて照射される光によって、該表面が面発光可能に構成されている。これにより、スイッチ22の設置位置に対応する基材16の裏側スペースをあけることができる。また、少ない光源28aによって、基材16の表面の広い範囲を効率よく面発光させることができる。
【0027】
(変更例)
前述した実施例の構成に限らず、例えば以下のように変更してもよい。
(1)実施例では、車両内装部材としてコンソールボックスのリッドを挙げて説明したが、これに限らず、アームレスト、ドアアームレスト、インストルメントパネル等であってもよい。
(2)実施例は、発光手段、基材の導光部および表皮材の孔部によって入力部を発光させる構成であるが、当該構成を省略してもよい。入力部を発光させる構成に加えて、または入力部を発光させる構成に代えて、入力部(スイッチの位置)に、印刷や表皮材に設けた凹部や凸部等の形状を設けるなどにより、入力部を判り易くしてもよい。表皮材への凹部や凸部等の形成は、熱プレスによるエンボス加工で施すことができる。
(3)実施例では、基材全体を導光部としたが、基材において必要な範囲のみに導光部を設け、その他の部分をポリプロピレン等の不透明な硬質樹脂で構成してもよい。
(4)実施例では、表皮材の表層をソリッドの合成樹脂で形成したが、表層に本革を使用してもよい。
(5)表皮材は、導電性フィラーを含んでいてもよい。
【0028】
(6)実施例では、基材の端面に光入射部を設けたが、これに限らず、入力部(孔部)を発光できるなら他の箇所であってもよい。例えば
図8に示すように、基材16における静電容量式スイッチ22の設置位置裏面を光入射部30として、基材16における導光部16aの裏側に配置された発光手段28の光源28aから照射した光によって静電容量式スイッチ22の設置位置を発光させる構成であってもよい。このような構成によれば、入力部24(孔部38)を明るく発光させることができる。
図8の変更例は、基材16において必要な範囲(静電容量式スイッチ22の設置位置)に導光部16aを設け、その他の部分をポリプロピレン等の不透明な硬質樹脂で構成している例である。なお、
図8において実施例と同様の構成には、同じ符号を付してある。
(7)実施例では、孔部を表皮材に積層方向へ貫通するよう形成したが、これに限らない。
図8に示すように、表皮材18において光を透過可能な残存部18aを表側に残して裏側へ開口するように孔部38を形成してもよい。この場合、孔部38は、表皮材18において、クッション層32を貫通して表層34まで達するように形成することが好ましい。このように表皮材18を貫通しない孔部38としても、入力部24を圧縮変形し易くすることができ、また、車両内装部材14の意匠面に孔部38が現れないので見栄えをよくすることができる。なお、
図9に示すように、表皮材18に孔部を設けなくてもよい。
【0029】
(8)実施例では、表皮材と基材との間に静電容量式スイッチを配置したが、これに限らず、
図9に示すように、静電容量式スイッチ22を基材16の裏側に配置してもよい。静電容量式スイッチ22を基材16の裏側に配置しても、表皮材18が圧縮変形可能であるから、導電体としての指先等で表皮材18を押し込んで圧縮させて、指先等を静電容量式スイッチ22に近づけることができる。なお、
図9において実施例と同様の構成には、同じ符号を付してある。
【符号の説明】
【0030】
14 リッド(車両内装部材),16 基材,18 表皮材,20 操作手段,
22 スイッチ(静電容量式スイッチ),30 光入射部,32 クッション層