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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/70 20060101AFI20240131BHJP
【FI】
F04D29/70 M
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023039913
(22)【出願日】2023-03-14
(62)【分割の表示】P 2019135058の分割
【原出願日】2019-07-23
(65)【公開番号】P2023063453
(43)【公開日】2023-05-09
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 広紀
【審査官】松浦 久夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-250226(JP,A)
【文献】特開2007-177625(JP,A)
【文献】特開2002-106500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸から放射状に突出する複数の羽を有するファンと、
前記ファンが収容される開口部を有し、前記ファンの外周部に間隙を介して配置されるシュラウドと、
を備え、
前記シュラウドは、
前記回転軸と同軸な筒状で前記開口部を形成する筒部と、
前記筒部における前記ファンによる風の上流側の一端部に接続され、前記筒部から前記回転軸の軸方向に沿って離間するにつれて内径が拡大する縮流部と、
前記縮流部を避けて形成されるとともに、前記筒部の前記一端部とは反対側の他端部側から前記縮流部との境界部に至る間に形成されたドレインと、
を有し、
前記ドレインは、前記筒部を前記筒部の径方向の外側に向かって凹ませるとともに前記筒部の前記他端部側を切り欠いて前記開口部と連通するように形成されており、
前記筒部は、前記筒部への前記羽の前記径方向の投影領域において、前記軸方向の中央部から前記投影領域を超えて前記他端部側に延びるように形成されていることを特徴とする送風装置。
【請求項2】
前記ファンは、複数の前記羽同士を前記回転軸の周方向に連結するリング部材を有し、
前記リング部材は、前記回転軸と同軸な筒状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に搭載され、ファンが回転することによりエンジン等の内燃機関やラジエータに冷却風を送風する送風装置の構成が知られている。送風装置では、寒冷地や冬季において、ファンに付着した雨水や洗車時の水等が凍ってファンとシュラウドとが接合される現象(ファンロック)を防ぐための水抜き構造を設ける場合がある。
【0003】
例えば特許文献1には、ファン及びシュラウドを有し、シュラウドの下方には、凹部と、シュラウドの厚み方向の両端面に設けられた縦溝と、が形成されたファンの水抜き構造が開示されている。特許文献1に記載の技術によれば、凹部の近傍においてファンとシュラウドとの間隙に滞留しようとする水滴を縦溝に導くことにより、間隙から水滴を排出することができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-106500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ファンとシュラウドとの間隙に下方へ凹む凹部(ドレイン)を設けて水滴を排出する構成は一般に知られている。
図9は、従来技術に係るドレイン137の近傍を示す拡大斜視図である。
図9に示すように、シュラウド3の径方向外側に向かってドレイン137を設ける場合、モータが作動して羽23が回転した際、送風装置101の前方から後方へ送風される空気Wの一部がドレイン137を通過する。これにより、モータの作動時にドレイン137からの風漏れにより騒音が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、本発明は、ファンロックを抑制するとともに、風漏れによる騒音の発生を抑制した送風装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明に係る送風装置は、回転軸から放射状に突出する複数の羽を有するファンと、前記ファンが収容される開口部を有し、前記ファンの外周部に間隙を介して配置されるシュラウドと、を備え、前記シュラウドは、前記回転軸と同軸な筒状で前記開口部を形成する筒部と、前記筒部における前記ファンによる風の上流側の一端部に接続され、前記筒部から前記回転軸の軸方向に沿って離間するにつれて内径が拡大する縮流部と、前記縮流部を避けて形成されるとともに、前記筒部の前記一端部とは反対側の他端部側から前記縮流部との境界部に至る間に形成されたドレインと、を有し、前記ドレインは、前記筒部を前記筒部の径方向の外側に向かって凹ませるとともに前記筒部の前記他端部側を切り欠いて前記開口部と連通するように形成されており、前記筒部は、前記筒部への前記羽の前記径方向の投影領域において、前記軸方向の中央部から前記投影領域を超えて前記他端部側に延びるように形成されていることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る送風装置において、前記ファンは、複数の前記羽同士を前記回転軸の周方向に連結するリング部材を有し、前記リング部材は、前記回転軸と同軸な筒状に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ファンロックを抑制するとともに、風漏れによる騒音の発生を抑制した送風装置及びこの送風装置の取り付け構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る送風装置を搭載した車体の前方を示す斜視図。
図2】第1実施形態に係る送風装置の正面図。
図3】第1実施形態に係る送風装置の背面図。
図4図2のIV部を示す拡大斜視図。
図5】第1実施形態に係るファンとドレインとを径方向から見た説明図。
図6図3のV部拡大図。
図7】第1実施形態に係るドレインの長さ寸法と騒音との関係を示すグラフ。
図8】第2実施形態に係る送風装置の正面図。
図9】従来技術に係るドレイン近傍を示す拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
(第1実施形態)
(送風装置)
図1は、第1実施形態に係る送風装置1を搭載した車体10の前方を示す斜視図である。以下の説明において、前後方向は車体10の前後方向と一致し、上下方向(請求項の鉛直方向)は車体10の上下方向と一致している。
車体10は、例えばエンジン車やハイブリッド車等の内燃機関(エンジン11)を備えたものである。送風装置1は、車体10の前方に設けられたエンジンルーム内に配置されている。送風装置1よりも後方には、エンジン11等の熱源が配置されている。送風装置1は、車体10の前方から取り入れた空気Wを後方へ向かって送風することにより、エンジン11を空冷している。
【0013】
送風装置1は、回転軸21(図2参照)回りに回転して前方から後方へ向かう空気Wの流れを発生させる2個のファン2,2と、各ファン2の周りを覆うように囲む矩形状のシュラウド3と、を備える。2個のファン2,2は、車幅方向に並んでいる。
【0014】
(ファン)
図2は、第1実施形態に係る送風装置1を前方から見た正面図である。図3は、第1実施形態に係る送風装置1を後方から見た背面図である。
2個のファンは同等の構成であるため、図2及び図3では1個のファン2のみ図示し、もう1個のファン2の図示を省略している。また、以下の説明において、1個のファン2の回転軸21の軸線Cに沿う方向を軸方向といい、軸線Cに直交する方向を径方向といい、軸線C回りの方向を周方向ということがある。
ファン2は、樹脂材料により形成されている。ファン2は、モータ15(図3参照)の回転軸21に固定されるボス部22と、ボス部22から径方向の外側に突出する複数の羽23と、複数の羽23同士を周方向に連結するリング部材25と、を有する。ファン2は、モータ15の回転軸21回りに回転することにより、軸線Cの軸方向に沿って空気Wを送風する軸流ファンである。図3に示すように、モータ15は、ボス部22の後方に配置されている。モータ15は、詳しくは後述するシュラウド3に固定され、シュラウド3に対してファン2が回転するようにファン2とシュラウド3とを接続している。モータ15の回転軸21は、軸方向が水平方向と平行かつ車体10の前後方向と一致するように配置されている。
【0015】
ボス部22は、モータ15よりも前方に設けられている。ボス部22は、回転軸21と同軸な有底円筒状に形成されている。
羽23は、ボス部22の外周面から放射状に突出している。羽23は、ボス部22と一体に形成されている。羽23は、周方向において等間隔に複数(本実施形態では7枚)設けられている。軸方向から見て、羽23は、径方向の内側から外側へ向かうにつれて周方向の幅寸法が増加するとともに、周方向の一方に凸となるように湾曲した形状に形成されている。
複数の羽23同士を周方向に連結するリング部材25は、軸線Cと同軸な環状に形成されている。リング部材25は、羽23の径方向の最も外側に位置する先端部26より径方向の内側にオフセットした位置を環状に連結している。
【0016】
(シュラウド)
このように形成されたファン2の周りを覆うように囲むシュラウド3は、軸方向と交差する平面を有する覆い面32と、覆い面32の中央の大部分に設けられた開口部31と、覆い面32と開口部31との間に設けられた筒部33及び縮流部34と、を有する。シュラウド3は、ファン2から吹き出された空気Wが再度ファン2に吸引されるのを抑制している。シュラウド3は、樹脂材料により形成されている。
【0017】
覆い面32は、軸方向を厚み方向とする矩形板状に形成されている。
開口部31は、覆い面32を軸方向に貫通する孔である。開口部31には、ファン2が収容されている。開口部31は、軸方向から見て、ファン2の回転軸21の軸線Cと同軸な円形状に形成されている。シュラウド3は、ファン2の外周部に間隙Sを介して配置されている。
【0018】
図4は、図2のIV部を斜め方向から見た拡大斜視図である。図5は、第1実施形態に係るファン2とドレイン37とを径方向から見た説明図である。
シュラウド3のうち開口部31の外周部に対応する位置には、筒部33と、縮流部34と、が設けられている。
筒部33は、開口部31の外周部を形成している。具体的に、筒部33は、回転軸21の軸線Cと同軸な筒状に形成されている。図5に示すように、筒部33は、径方向から見て少なくとも一部が羽23と軸方向に重なる。
【0019】
筒部33における空気Wの上流側(前方)に位置する前端部には、縮流部34が接続されている。筒部33と縮流部34との接続部分は境界部35となっている。縮流部34は、軸方向に沿って筒部33から離間するにつれて内径が拡大するテーパ状に形成されている。縮流部34の前端部には、覆い面32が接続されている。
【0020】
シュラウド3のうち筒部33には、軸方向に沿うドレイン37が形成されている。ドレイン37は、開口部31と連通している。ドレイン37は、開口部31の外周部から径方向の外側に向かって凹んでいる。ドレイン37は、シュラウド3とファン2との間隙Sに入り込んだ水滴を間隙Sの外へ排出している。
【0021】
ここで、ドレイン37は、筒部33と縮流部34との間に位置する境界部35から、筒部33への羽23の径方向の投影領域における羽23の後端部27(請求項の他端部。図5参照)に至る間に形成されている。換言すれば、ドレイン37は、筒部33にのみ形成され、縮流部34には形成されていない。
【0022】
図6は、図3のV部拡大図である。
シュラウド3のうち後方を向く背面には、ドレイン37の外周を囲うように補強部39が設けられている。補強部39は、軸方向から見て、開口部31側に開口するU字状に形成されている。具体的に、補強部39は、周方向においてドレイン37の両端に配置される2個の側壁部41と、各側壁部41のうち開口部31とは反対側の端部に跨るように配置される底壁部42と、を有する。
側壁部41は、径方向に沿う板状に形成されている。側壁部41は、筒部33及び縮流部34からシュラウド3における径方向の外側及び後方に向かって突出するとともに、シュラウド3の覆い面32から起立している。
底壁部42は、2個の側壁部41における径方向の外側端部同士を接続している。底壁部42は、周方向に沿う板状に形成されている。底壁部42は、ドレイン37より径方向の外側に配置されている。底壁部42は、覆い面32から後方へ向かって起立している。
【0023】
図3に示すように、このように形成されたドレイン37及び補強部39は、回転軸21を中心として上下方向で対向して一対設けられている。
【0024】
(送風装置の取り付け構造)
上述した送風装置1は、ファン2の軸方向と車体10の前後方向とが一致するとともに、車体10の前方から後方へ向かって空気Wを送風するように車体10に取り付けられる。このとき、送風装置1は、上下方向の下方にドレイン37を向けて車体10に固定される。すなわち、一対のドレイン37のうち一方は、開口部31の下端部に配置され、一対のドレイン37のうち他方は、開口部31の上端部に配置されている。
【0025】
(作用、効果)
次に、上述した送風装置1及び送風装置1の取り付け構造の作用、効果について説明する。
送風装置1のシュラウド3は、モータ15の回転軸21における軸線Cと同軸な筒状に形成され、径方向から見て少なくとも一部がファン2の羽23と重なる筒部33と、筒部33から軸方向に沿って離間するにつれて内径が拡大する縮流部34と、を有し、筒部33にのみドレイン37が設けられている。ドレイン37は開口部31と連通するとともに径方向の外側に凹んでいるので、ファン2とシュラウド3との間隙Sに入り込んだ水滴が筒部33とファン2との間に溜まることなく、水滴をドレイン37から速やかに排出することができる。これにより、例えば寒冷地や冬季であっても、水滴が凍結することによるファンロックの発生を抑制できる。
【0026】
ここで、図9に示すように、シュラウド3の筒部33から縮流部34までに亘ってドレイン137が形成された従来技術にあっては、モータ15の作動時にドレイン37内を空気Wが通過することにより、ドレイン37からの風漏れにより騒音が発生するおそれがあった。
図7は、第1実施形態に係るドレイン37の長さ寸法Lと騒音の大きさPとの関係を示すグラフである。図7の横軸はシュラウド3の後端部からドレイン37の前端部までの長さLを表し、縦軸はドレイン37の長さLに応じた風切り音の大きさPを表す。また、グラフの下方の図は、上から順にシュラウド3に形成されたドレイン37の上面図及び側面図である。
図7の領域Aに示すように、ドレイン37の前端部が境界部35よりも筒部33側に位置している場合、風切り音の大きさPは、ドレイン37を設けない場合と比較して同等またはそれ以下の大きさとなる。一方、領域Bに示すように、ドレイン37の前端部が境界部35よりも縮流部34側に位置している場合、ドレイン37が軸方向に長くなるにしたがい風切り音の大きさが大きくなる。よって、風切り音の発生を抑制するためには、ドレイン37の前端は、境界部35よりも筒部33側に位置するのが望ましい。
【0027】
本発明の送風装置1によれば、ドレイン37は筒部33にのみ設けられているので、軸方向から見たドレイン37の断面形状を小さくすることができる。これにより、モータ15の作動時に軸方向に沿って送風される空気Wがドレイン37を通過するのを抑制し、ドレイン37からの風漏れ音の発生を抑制できる。ここで、ファン2とシュラウド3の筒部33との間隙Sは、ファン2とシュラウド3の縮流部34との間隙Sよりも狭いため、縮流部34と比較して筒部33には水滴が溜まりやすい。このため、水滴が溜まりやすい筒部33にドレイン37を設けることにより、間隙Sに入り込んだ水滴を効率的に排出できる。また、縮流部34は、筒部33から離間するにつれてファン2との距離が離間するので、縮流部34に入り込んだ水滴は、表面張力により筒部33へ移動し、筒部33に設けられたドレイン37から排出される。よって、筒部33にのみドレインを設けた場合であっても、水滴の排出効率を低下させることなく、モータ15の作動時における騒音を抑制することができる。
したがって、ファンロックを抑制するとともに、風漏れによる騒音の発生を抑制した送風装置1を提供できる。
【0028】
縮流部34は、軸方向に沿って筒部33から離間するにつれて内径が拡大するテーパ状に形成されている。このため、縮流部34とファン2との間の距離を、筒部33とファン2との間の距離よりも大きく確保できる。このため、縮流部34にドレイン37が形成されていなくても水滴が溜まってしまうことが防止できる。
【0029】
シュラウド3は補強部39を有し、補強部39は、ドレイン37の周方向の両端に設けられる側壁部41と、側壁部41の筒部33とは反対側の端部に跨って設けられる底壁部42と、を有する。このように補強部39は、ドレイン37の周囲を囲うようにシュラウド3と一体に設けられるので、補強部39によりドレイン37近傍の部分を補強できる。また、ドレイン37から径方向の外側に排出された水滴が飛散するのを抑制できる。
【0030】
補強部39は、軸方向から見て、開口部31側に開口するU字状に形成されているので、ドレイン37の周囲を囲うことができる。これにより、補強部39によりドレイン37近傍の部分を補強し、かつドレイン37から排出された水滴が飛散するのを抑制できる。
【0031】
ドレイン37は、径方向から見て、筒部33と縮流部34との境界部35から、筒部33への羽23の投影領域における羽23の後端部27に至る間に形成されている。このようにドレイン37は、筒部33のうち、ファン2の投影領域と対応する位置にのみ形成されるので、ドレイン37の軸方向に沿う長さ寸法Lが短縮される。これにより、ドレイン37を通過する空気W量を低減し、風漏れ音の発生をより抑制できる。また、筒部33のうちファン2の投影領域と対応する部分は、他の筒部33と比較して水滴が溜まりやすい。よって、この水滴が溜まりやすい部分にドレイン37を設けることにより、水滴の排出効率を低下させることなく風漏れ音の発生を抑制できる。
【0032】
ファン2は、複数の羽23同士を周方向に接続するリング部材25を有する。これにより、羽23の強度を高めることができる。リング部材25は、径方向において羽23の中間部に設けられているので、羽23の径方向の外側に位置する先端部26にリング部材25が設けられる場合と比較して、リング部材25とシュラウド3との間隙Sに水滴が溜まるのを抑制できる。よって、ファンロックを抑制した送風装置1とすることができる。
【0033】
ドレイン37は、回転軸21の軸線Cを点中心として一対設けられるので、各ドレイン37から水滴を排出することができる。特に、シュラウド3が車体10に設置された状態において鉛直方向の下方及び上方のそれぞれにドレイン37が設けられた場合は、重力により間隙Sに最も水滴が溜まりやすい下端部と、2番目に水滴が溜まりやすい上端部と、にドレイン37を配置することができる。よって、ドレイン37の個数を最小限に抑えつつドレイン37による水滴の排出効率を高めることができる。
【0034】
送風装置1の取り付け構造において、送風装置1は、鉛直方向の下方にドレイン37を向けた状態で車体10に固定される。これにより、重力により最も水滴が溜まりやすい下端部にドレイン37を配置することができるので、ドレイン37による水滴の排出効率を高めることができる。
したがって、上述の送風装置1を用いることにより、ファンロックを抑制するとともに、風漏れによる騒音の発生を抑制した送風装置1の取り付け構造を提供できる。
【0035】
(第2実施形態)
次に、図8に基づいて、本発明に係る第2実施形態について説明する。
図8は、第2実施形態に係る送風装置1の正面図である。以下の説明において、上述した第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する。また、図8に記載のない符号については、適宜図1から図7を参照されたい。
本第2実施形態と前述の第1実施形態との相違点は、本第2実施形態では、リング部材225が羽23の先端部26に設けられている点で上述した第1実施形態と相違している。
【0036】
本実施形態において、複数の羽23同士を周方向に連結するリング部材225は、羽23の径方向の最も外側に位置する先端部26同士を環状に連結している。これにより、シュラウド3は、リング部材225の外周部に間隙Sを介して配置されている。
ドレイン237の幅寸法は、筒部33へのリング部材225の投影領域における軸方向に沿う投影幅の寸法と一致するように形成されている。
【0037】
本実施形態によれば、リング部材225は、羽23の径方向の外側に位置する先端部26同士を周方向に接続するので、羽23の強度を高めることができる。また、リング部材225によりファン2が回転した際の騒音を低減できる。
また、筒部33のうち水滴が溜まりやすいリング部材225の投影領域に対応する部分にドレイン237が設けられるので、水滴の排出効率を低下させることなくドレイン237の軸方向に沿う寸法を縮小し、風漏れ音の発生を抑制できる。
【0038】
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、ドレイン37が開口部31の上端部及び下端部に設けられる構成について説明したが、これに限らない。開口部31の下端部にのみドレイン37が設けられてもよい。また、上端部と下端部の他に周方向に複数のドレイン37を設ける構成としてもよい。但し、間隙Sに最も水滴が溜まりやすい下端部及び2番目に水滴が溜まりやすい上端部にそれぞれドレイン37を設ける本実施形態の構成は、最小限のドレイン37で効率的に水滴を排出できる点で優位性がある。
【0039】
送風装置1は車体10の前方に設けられたエンジンルーム内に配置される構成について説明したが、送風装置1の配置は上述の実施形態に限定されない。また、ファン2の軸方向は、車体10の前後方向と交差していてもよい。
【0040】
軸方向から見た補強部39の形状は、三角形状や矩形状等、U字状以外の形状に形成されてもよい。また、補強部39はなくてもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1…送風装置
2…ファン
3…シュラウド
10…車体
21…回転軸
23…羽
25,225…リング部材
26…先端部
27…後端部(他端部)
31…開口部
32…覆い面
33…筒部
34…縮流部
35…境界部
37,237…ドレイン
39…補強部
41…側壁部
42…底壁部
S…間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9