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特許7429330膨張ラッチ機構を有する展開型アンテナ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-30
(45)【発行日】2024-02-07
(54)【発明の名称】膨張ラッチ機構を有する展開型アンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 15/20 20060101AFI20240131BHJP
   H01Q 1/28 20060101ALI20240131BHJP
   H01Q 9/16 20060101ALI20240131BHJP
   H01Q 15/14 20060101ALI20240131BHJP
   H01Q 21/24 20060101ALI20240131BHJP
【FI】
H01Q15/20
H01Q1/28
H01Q9/16
H01Q15/14 Z
H01Q21/24
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2023522403
(86)(22)【出願日】2021-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 US2021054985
(87)【国際公開番号】W WO2022081844
(87)【国際公開日】2022-04-21
【審査請求日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】63/091,909
(32)【優先日】2020-10-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】513180451
【氏名又は名称】ヴィアサット,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ViaSat,Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】110001302
【氏名又は名称】弁理士法人北青山インターナショナル
(72)【発明者】
【氏名】ウィットウァー,デイビッド シー.
(72)【発明者】
【氏名】グリーニッジ,デイビッド ディー.
(72)【発明者】
【氏名】クレッチ,マイケル ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウス,ケビン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フォスラー,マーク ディー.
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0231479(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0052757(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/00- 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
人工磁気導体(AMC)アンテナ装置(100)であって、
導電性基材面(119)を含む基層(110)と、
前記基層上方の周波数選択性表面(FSS)層(120)であって、互いに分離された複数の導電性パッチ(121)を備える、周波数選択性表面(FSS)層(120)と、
各々が、前記導電性パッチのうちの1つを前記導電性基材面に電気的に接続する、複数の可撓性導体(115)と、を備える、接地面(105)と、
少なくとも1つのアンテナ素子(135)を含む、前記FSS層上方の可撓性アンテナ素子層(130)と、
ラッチ解除状態からラッチ状態に移行するように構成された、前記基層と前記FSS層との間のラッチ機構(L)であって、前記ラッチ状態では、所定の距離だけ前記導電性基材面が前記FSS層から固定して分離されている、ラッチ機構(L)と、
前記基層と前記FSS層との間の膨張可能なブラダシステム(103a、103b)であって、前記AMCアンテナ装置の展開中にガス入力を受け取り、かつ、前記ラッチ機構を、前記ラッチ解除状態から前記ラッチ状態に移行させるのに、十分な力を生成するよう膨張するように構成されている、膨張可能なブラダシステム(103a、103b)と、を含む、人工磁気導体(AMC)アンテナ装置(100)。
【請求項2】
前記膨張可能なブラダシステムが、
前記基層の第1の周辺部分(110c)と、前記FSS層の第1の周辺部分(120c)との間で長手方向に延在する、第1の膨張可能なブラダ部分(103a)と、
前記基層の第2の周辺部分(110d)と、前記FSS層の第2の周辺部分(120d)との間で長手方向に延在する、第2の膨張可能なブラダ部分(103b)と、を含み、
前記基層の前記第2の周辺部分は、前記基層の前記第1の周辺部分の反対側にあり、前記FSS層の前記第2の周辺部分は、前記FSS層の前記第1の周辺部分の反対側にある、請求項1に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項3】
保持構造体(20)であって、前記AMCアンテナ装置が収納されたとき、(i)前記アンテナ素子層と、(ii)前記FSS層が前記基材面に向かって折り畳まれた状態の前記接地面と、(iii)前記膨張可能なブラダシステムと、を保持するように構成された、保持構造体(20)を更に備える、請求項1又は2に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項4】
前記アンテナ素子層、前記接地面及び前記膨張可能なブラダシステムを、前記保持構造体から取り外すように構成された、少なくとも1つのアクチュエータ(275、260)を更に備える、請求項3に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項5】
前記保持構造体が、前記アンテナ素子層、前記接地面及び前記膨張可能なブラダシステムをコイル状態に保持する、請求項4に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項6】
前記保持構造体が、対向する端部(216、218)にそれぞれ一対のらせん状の溝(214)を含む、円筒構造であり、前記接地面の対向する縁部が、前記一対のらせん状の溝内に巻かれた状態に保持されている、請求項5に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項7】
前記FSS層が、第1の誘電体シート(154)を含み、前記複数の導電性パッチが、前記第1の誘電体シート上のプリント導電性パッチであり、
前記少なくとも1つのアンテナ素子が、第2の誘電体シート(174)上の、少なくとも1つのプリント導電性素子(132、134)であり、
前記第1の誘電体シート及び前記第2の誘電体シートの各々が可撓性である、請求項1~6のいずれか一項に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項8】
可撓性アンテナ給電装置(310、320)であって、前記少なくとも1つのアンテナ素子に電気的に接続された第1の端部と、前記基層の下の反対側の端部と、前記FSS層の少なくとも1つの開口部(375)を通って、前記基材面と前記少なくとも1つのアンテナ素子との間に延在する、中央部分と、を有する、可撓性アンテナ給電装置(310、320)を更に備える、請求項1~7のいずれか一項に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項9】
前記基層の下に配設され、前記アンテナ給電装置の前記反対側の端部に接続された、バラン(350)を更に備える、請求項8に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアンテナ素子が、少なくとも1つの交差ダイポールアンテナ素子(135)を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項11】
前記基層が、可撓性誘電体基板(144)を更に含み、前記導電性基材面が、前記可撓性誘電体基板上のプリント導電性材料である、請求項1~10のいずれか一項に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項12】
各々が、前記基層と前記FSS層との間に配設され、各々が、前記複数の可撓性導体(115)の群を含む、複数の可撓性プリント基板(PCB)(107)を更に備え、前記可撓性PCBの各々が、前記ラッチ機構が前記ラッチ状態にあるとき、前記基層及び前記FSS層に対して略直角に方向付けられ、前記ラッチ機構がラッチ解除されているとき、前記基層及び前記FSS層の各々の隣接部分に対して非直角に方向付けられている、請求項1~11のいずれか一項に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項13】
前記ラッチ機構が、前記FSS層の少なくとも2つの周辺部分(120a、120b)と、前記基層の少なくとも2つの対応する周辺部分(110a、110b)との間に分散された、複数の個々のラッチ(L~L)を備える、請求項1~12のいずれか一項に記載のAMCアンテナ装置(100)。
【請求項14】
無人搬送車(285)上で人工磁気導体(AMC)アンテナ(10)を収納及び展開する方法(1300)であって、前記方法は、
前記AMCアンテナを保持構造体に収納すること(S1310)であって、前記AMCアンテナは、(i)アンテナ素子層と、(ii)周波数選択性表面(FSS)層、前記FSS層の下の基層、及び導電性基材面を含む接地面と、(iii)前記基層と前記FSS層との間のラッチ機構と、(iv)前記基層と前記FSS層との間の膨張可能なブラダシステムと、を含む、収納すること(S1310)と、
前記AMCアンテナの展開中に、
アクチュエータを使用して、前記保持構造体から前記AMCアンテナを取り外すこと(S1330)と、
前記ラッチ機構をラッチ解除状態からラッチ状態に移行させるのに十分な力を生成するために、前記膨張可能なブラダを膨張させること(S1330)と、を含み、前記ラッチ状態では、所定の距離で前記導電性基材面が前記FSSから固定して分離されている、方法(1300)。
【請求項15】
前記無人搬送車が、軌道衛星である、請求項14に記載の方法(1300)。
【請求項16】
前記保持構造体が、前記AMCアンテナをコイル状態に保持し、前記アクチュエータが、前記AMCアンテナを、前記保持構造体からプレート形状で水平展開させる、請求項14又は15に記載の方法(1300)。
【請求項17】
前記AMCアンテナが、前記保持構造体内にコイル状に格納された、可撓性アンテナ給電装置(132、134)を更に備え、前記可撓性アンテナ給電装置は、前記AMCアンテナの前記取り外し中に広がる、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法(1300)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年10月14日に米国特許商標庁に出願の米国仮出願第63/091,909号に対する優先権を主張し、その全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に、接地面を有するアンテナ用の格納及び展開技術、並びに、人工磁気導体(AMC)アンテナに関する。
【背景技術】
【0003】
接地面上の従来のアンテナでは、反射信号との建設的な干渉を達成し、それによって指向性を高めるために、放射素子は、接地面から四分の一波長(λ/4)だけ離間されている。しかしながら、比較的低い周波数では、λ/4距離は所望よりも長い場合があり、厚いアンテナプロファイル(例えば、300MHzで25cm)をもたらす。
【0004】
人工磁気導体(AMC)接地面では、接地面と放射素子との間の間隔が著しく小さく、アンテナに対して、同等の指向性能が実現され得る。AMC接地面は、導電性基材面と、互いに分離された複数の導電性パッチから構成されている、「周波数選択性表面」(FSS)と、を含み得る。導電性パッチは、典型的には、低損失誘電体内に埋設されたそれぞれのワイヤを通して、基材面に電気的に接続されてもよい。結果として生じる構造体は、従来の接地面ベースのアンテナよりも薄いが、特に1GHz未満の周波数用に構成された大口径アンテナの場合、堅くて運搬が面倒である。
【発明の概要】
【0005】
本開示の一態様では、人工磁気導体(AMC)アンテナ装置は、接地面と、接地面上方の少なくとも1つのアンテナ素子を含む、可撓性アンテナ素子層と、を含む。接地面は、導電性基材面、複数の可撓性導体、及び基材面上方の周波数選択性表面(FSS)層を含み、FSS層は、互いに分離された複数の導電性パッチを含む。可撓性導体の各々は、導電性パッチのうちの1つを基材面に電気的に接続する。ラッチ機構は、基層とFSS層との間に配置されている。膨張可能なブラダシステムは、基層とFSS層との間に配設され、アンテナ装置の展開中にガス入力を受け取り、かつ、ラッチ機構を、ラッチ解除状態から、所定の距離で導電性基材面がFSS層から固定して分離されているラッチ状態に移行させるのに、十分な力を生成するよう膨張するように構成されている。
【0006】
AMCアンテナ装置は、保持構造体であって、AMCアンテナ装置が収納されたとき、(i)アンテナ素子層と、(ii)FSS層が基材面に向かって折り畳まれた状態の接地面と、(iii)膨張可能なブラダシステムと、を保持するように構成された、保持構造体を更に含み得る。保持構造体は、アンテナ素子層、接地面及び膨張可能なブラダシステムをコイル状態に保持し得る。
【0007】
AMCアンテナ装置は、アンテナ素子層、接地面及び膨張可能なブラダシステムを、保持構造体から取り外すように構成された、少なくとも1つのアクチュエータを更に含み得る。
【0008】
別の態様では、無人搬送車上でAMCアンテナを展開する方法が提供される。AMCアンテナは、(i)アンテナ素子層と、(ii)接地面であって、導電性基材面と、FSS層と、導電性基材面をFSS層に電気的及び機械的に結合する、複数の可撓性導体と、を有する、接地面と、を含む。本方法は、AMCアンテナの展開中に、アクチュエータを使用して、保持構造体からAMCアンテナを取り外すことと、ラッチ機構をラッチ解除状態からラッチ状態に移行させるのに十分な力を生成するために、膨張可能なブラダを膨張させることと、を含む。ラッチ状態では、所定の距離だけ導電性基材面がFSS層から固定して分離されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
開示される技術の上記及び他の態様及び特徴は、同様の参照文字が同様の要素又は特徴を示す添付の図面と併せて、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。同一の又は類似の種類の様々な要素は、同一/類似の要素(例えば、_1、_2)の中で区別する下線/ダッシュ及び第2のラベルで参照ラベルを付加することによって、又は第2のラベルで参照ラベルを直接付加することによって区別され得る。しかしながら、所与の説明が第1の参照ラベルのみを使用する場合、このラベルは、第2のラベルに関係なく、同じ第1の参照ラベルを有する同一/類似の要素のうちのいずれか1つに適用可能である。要素及び特徴は、図面で縮尺どおりに描画されていない場合がある。
【0010】
図1図1は、一実施形態による、動作構成における、例示的なAMCアンテナ装置の斜視図である。
図2図2は、図1のAMCアンテナ装置の一部の例示的な構造を示す、切断斜視図である。
図3図3は、収納中にコイル構成で図1のAMCアンテナを保持する、AMCアンテナ装置の保持構造体を示す斜視図である。
図4図4は、展開中における保持構造体からのAMCアンテナの取り外しの直後の、図1のAMCアンテナ装置を示す斜視図である。
図5図5は、収納中の折り畳まれた状態の様々な構造を示す、図1のAMCアンテナ装置の一部分の断面図である。
図6図6は、図1のAMCアンテナ装置内に含まれる、例示的な可撓性プリント基板(PCB)の平面図である。
図7図7は、可撓性PCBの例示的な層状構造体を示す、図6の線7-7に沿う断面図である。
図8図8は、AMCアンテナ装置の例示的な層間構造を示す、図1の線8-8に沿う断面図である。
図9図9は、図1のAMCアンテナ装置のアンテナ素子に接続された、例示的なアンテナ給電装置を示す概略図である。
図10図10は、例示的なアンテナ給電装置の一部分を示す、図1のAMCアンテナの上部の中央部分の斜視図である。
図11図11は、AMCアンテナ内でのアンテナ給電装置の例示的な統合を示す、図10の線11-11に沿う断面図である。
図12図12Aは、AMCアンテナの例示的なラッチ(折り畳まれた状態)を示す、図1のAMCアンテナの部分端面図である。図12Bは、展開後のAMCアンテナの例示的なラッチ(動作状態中のラッチ状態)を示す、図1のAMCアンテナの部分端面図である。
図13図13は、一実施形態による、無人搬送車上でAMCアンテナを展開する、例示的な方法の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
説明の目的で本明細書に開示される技術の特定の例示的な実施形態の包括的な理解を支援するために、添付の図面を参照しながら以下の説明が提供される。説明は、当業者が技術を理解するのを助けるための様々な具体的な詳細を含むが、これらの詳細は、単なる例示とみなされるべきである。単純化及び明確化の目的で、周知の機能及び構造の説明は、それらの包含が、当業者による技術の理解を曖昧にする可能性がある場合には、省略される場合がある。
【0012】
図1は、一実施形態による、動作構成における、例示的な人工磁気導体(AMC)アンテナ装置100の斜視図である。AMCアンテナ装置100は、AMCアンテナ10と、収納中のAMCアンテナ10を保持するための保持構造体20と、を含み得る。(本明細書において、AMCアンテナ100はまた、互換的に、AMCアンテナ装置と称されることもあり得ることに留意されたい。)図1は、保持構造体20から取り外された後、及び、折り畳まれた構成から、後述する、拡張された動作構成に構造を変換する動作の後の構成のAMCアンテナ10を示す。
【0013】
図2は、図1のAMCアンテナ装置の一部の例示的な構造を示す、切断斜視図である。図1及び図2を集合的に参照すると、AMCアンテナ10は、接地面105、少なくとも1つのアンテナ素子135を有するアンテナ素子層130、及びアンテナ給電装置(例えば、図11の300、明確にするために図1及び図2から省略)を含み得る。接地面105は、導電性基材面を有する基層110と、周波数選択性表面(FSS)層120と、FSS層120を導電性基材面に電気的に接続する、複数の可撓性導体115と、を含み得る。導体115は、金属などの導電性材料を含むことができる。導体115は、様々な可能な形態のいずれかであり得る。例えば、導体115は、ワイヤ、カラム、ばね、トレースなどであり得る。
【0014】
導電形状特徴のそのようなテクスチャ面形状を有する接地面105は、表面波モードが、滑らかな金属表面上のものと著しく異なる、所与の周波数帯域内の「高インピーダンス面」として理解され得る。(「周波数選択面(FSS)」という用語は、高インピーダンス面の周波数に敏感な性質を強調していることに留意されたい。)接地面105はまた、表面波が抑制された、「同相反射器」としても理解され得る。接地面105のテクスチャ構造は、AMCアンテナ10を、従来の接地面アンテナ、すなわち、放射素子が接地面上でλ/4だけ離間された非AMCアンテナよりも、実質的に薄くすることを可能にする。
【0015】
AMCアンテナ10は、基層110とFSS層120との間のラッチ機構L(例えば、個々のラッチL~Lを含む)を更に含む。ラッチ機構Lは、AMCアンテナ10が収納構成から展開されたとき、ラッチ解除状態からラッチ状態に移行するように構成されている。図1及び図2に示されるラッチ状態では、基層110は、所定の距離だけFSS層120から固定して分離されている。AMCアンテナ10は、基層110とFSS層120との間の、例えば、第1のブラダ103a(「第1のブラダ部分」)及び第2のブラダ103b(「第2のブラダ部分」)を有する、膨張可能なブラダシステムを更に含む。以下に更に記載されるように、膨張可能なブラダシステムが収縮され、ラッチ機構Lがラッチ解除されると、FSS層120は基層110に対して折り畳まれ得、結果として生じるAMCアンテナ10構造を、非常に薄くする。これにより、AMCアンテナ10を、保持構造体20内にコイル構成で収納することができる。AMCアンテナ10が、軌道衛星などの搬送車の表面285上の保持構造体20から取り外されると、ブラダシステムは、AMCアンテナ10を動作構成で設置するための、ガス入力を受け取る。この目的のために、ブラダシステムは、ラッチ解除状態からラッチ状態にラッチ機構Lを移行させるのに、十分な力を生成するよう膨張し、それによって、FSS層120は、所望の所定の距離だけ基層110から適切に分離されている。
【0016】
複数の可撓性プリント基板(PCB)107は、それぞれ基層110とFSS層120との間に配設され得、各PCB107は、可撓性導体115の群を含む。図2に示すように、各PCB107は、ラッチ機構がラッチ状態にあるとき、基層110及びFSS層120に対して略直角に方向付けられ得る。下記で論じられる図5に示すように、各PCB107は、ラッチ機構Lがラッチ解除されると、基層110及びFSS層120に対して少なくとも部分的に折り畳まれ得る。この状態では、各PCB107の主表面は、基層110に向かって傾斜し得、基層110とFSS層120との間の空隙を塞ぎ、収納のためのコンパクトな構成を提供する。ここで、他の実施形態では、可撓性導体115は、PCB107(PCB107は省略される)内に埋設されることなく、独立型の導体として、FSS層120と基層110との間に設けられていることに留意すべきである。
【0017】
FSS層120は、狭い分離領域(「通り」)123によって互いに分離された、複数の導電性パッチ121_1~121_nを含む。各導電性パッチ121は、ポリイミドフィルム(例えば、Kapton(登録商標))などの薄い誘電体シートに印刷された、導電面を含み得、分離領域123は、印刷導体を含まない、誘電体シートの領域であり得る。したがって、導電性パッチ121_1~121_nは、誘電体シートとともに(場合によっては、印刷導体の反対側に追加の誘電体シート)、連続シート状構造体又はサンドイッチ型構造体を集合的に形成し得る。分離領域123の幅は、導電性パッチ121の面積に対して小さいため、高インピーダンス面の形成に寄与する、隣接する導電性パッチ121間に静電容量を生成する。各導体115は、(PCB107の誘電体で補強された)「インサーキットテスタ」構造が、基層110とFSS層120との間に提供されるように、z(垂直)方向に方向付けられ得、導電性パッチ121のうちの1つを、基層110の導電性基材面に電気的に接続し得える。基層110、FSS層120及びアンテナ素子層130のそれぞれは、x-y平面内に方向付けられた主表面を有する、可撓性シート状構造体であり得る。
【0018】
導電性パッチ121の数、幾何学形状及びレイアウト、アンテナ層130の少なくとも1つのアンテナ素子、導体115の長さ、並びに、アンテナ素子層130とFSS120との間の間隔の適切な設計を通して、AMC現象が実現可能である。前述のように、AMC現象は、AMCアンテナ10が、接地面上でλ/4だけ離間された放射素子を有する、従来のアンテナよりも著しく薄くなることを可能にする。例えば、AMC現象は、λ/4より非常に小さい、例えば、λ/40~λ/10の範囲の、アンテナ素子層130と基材面119の間の間隔を有する、効率的なアンテナ性能を可能にする。そのような効率は、同相反射、及び表面波の抑制により、実現され得る。したがって、層間の密接な間隔にも関わらず、アンテナ素子層130によって自由空間に直接放射された信号と、最初に接地面105に向かって伝播し、次に接地面105から反射された同じ信号との間で、建設的な干渉が生じる。
【0019】
図1の実施形態では、例示的なアンテナ素子135は、第1のダイポール素子132、及び第1のダイポール素子132に直交する第2のダイポール素子134を含む、交差ダイポールとして図示されている。単一のダイポール、ループアンテナ、マイクロストリップパッチ素子の配列などの、他の種類のアンテナ素子に置き換えられ得る。交差ダイポール135は、図1のFSS層120及び基層110のそれぞれよりも小さい表面積を占める六角形で示された、誘電体シート上に印刷されてもよい。他の実施例では、アンテナ素子層130は、FSS層120及び基層110のそれぞれと、x-y平面内で、同一の広がりをもつ。接地面105の例示的な構造は、導体115の下端部の追加の構造支持のために、各々がy方向又はx方向に長手状に方向付けられた、複数の誘電体リブ又は金属リブ117を含み得る。例えば、リブ117は、(例えば、図2のx軸に沿って、又は略平行に方向付けられた)複数のリブの行及び(例えば、図2のy軸に沿って、又は略平行に方向付けられた)複数のリブの列を含む、格子パターンに配置され得る。別の例として、図2に示すように、各リブ117は、基層110の(例えば、図2のy軸に沿って、又は略平行に方向付けられた)長さにわたって実質上延在し得る。更に別の例として、基層110は、1つ以上の連続リブ117を含んでもよい。更に別の例として、基層110は、リブ117を含み得ない。導電性パッチ121_1~121_nは、それぞれ格子状に配置され得、同一の幾何学形状、例えば、図示のような全て長方形若しくは全て正方形、又は代替的に、全て六角形、全て円形若しくは他の好適な形状を有し得る。いくつかの実施形態では、導電性パッチ121_1~121_nは、同一又は実質的に同一の寸法(例えば、製造公差内)で構成され得る。各導電性パッチ121は、その中心位置の接続128を通して、それぞれの導体115に電気的に接続し得る。
【0020】
図3は、収納中にコイル構成でAMCアンテナ10を保持する、AMCアンテナ装置100の保持構造体20を示す斜視図である。図1及び図2に示されるAMCアンテナ10の全ての要素は、保持構造体20内に巻かれた状態に保持され得る。加えて、後述するAMCアンテナ10の他の要素、例えば、アンテナ給電装置及びバランは、保持構造体20内に巻かれた状態に格納され得る。バランは、保持構造体20内に巻き取られ、AMCアンテナ10が保持構造体20から取り外されると巻き戻される部分を有する、可撓性ケーブルを通して、保持構造体20の外側に位置するRFフロントエンドに配線接続され得る。
【0021】
図4は、展開中における保持構造体20からの取り外し直後の、AMCアンテナ10を示す斜視図である。図4の図はまた、中に挿入する前の保持構造体20に対する、AMCアンテナ10の例示的な配置を示す。このような条件では、ブラダ103a及び103bは、FSS層120が基層110に対して折り畳まれ得るように、収縮される(ラッチ機構Lは、ラッチ解除され、ブラダシステムの収縮状態の間、FSS層120と基層110との間に横たわっていてもよい)。結果として生じるAMCアンテナ10の構造は、最初の収納中にAMCアンテナが保持構造体20内に容易に挿入され、巻かれた状態になり得、その後、展開中に取り外すために、巻かれていない状態になり得るように、平坦化される。ブラダ103aは、ガスライン104aに結合された、ガス挿入ポート102aを含み得る。ブラダ103bは、ガスライン104bに結合された、ガス挿入ポート102bを含み得る。保持構造体20から取り外された後、ガスは、ガスライン104a及び104bのそれぞれに挿入され、ブラダ103a及び103bを、図1に示されるような膨張状態に膨張させることができる。ここで、ブラダシステムの少なくとも1つの追加のブラダ部分、例えば、周辺部分110aと周辺部分120aとの間に長手方向に配置された長方形のブラダが、AMCアンテナ10内に設けられ得ることに留意すべきである。追加のブラダは、AMCアンテナ10の3つの側面に沿って配置された連続ブラダシステムを提供するために、独自の挿入ポート及びガスラインを有してもよく、あるいは、ブラダ103a及び103bのそれぞれに結合されてもよい。後者の場合、1つのポート及びガスライン、例えば、102a及び104aのみが、ブラダシステムに含まれ得る。図示されたブラダシステムは、一例である。ブラダシステムは、ブラダの異なる構成及び配置を有することができる。
【0022】
図1図4を引き続き参照すると、ラッチ機構Lは、AMCアンテナ10の対向する周辺部分に沿って分散された、複数のラッチL~L(例えば、図示のようなN=6)を含むものとして例示される。例えば、FSS層120は、ブラダシステムが膨張すると、対応する周辺部分110a、110b、110c及び110dをそれぞれ覆い得る、第1から第4の長方形の周辺部分(ストリップ)120a、120b、120c及び120dを含み得る。第1の群のラッチL、L及びLは、周辺部分110bと120bとの間に分散され得、第2の群のラッチL、L及びLは、周辺部分110aと120aとの間に分散され得る。ブラダ103aは、周辺部分110cと120cとの間に配設され、ブラダ103bは、周辺部分120dと110dとの間に配設されている。他の実施形態では、1つ以上の追加のラッチが、周辺部分110cと120cとの間のブラダ103aに隣接して分散され得、1つ以上の更なるラッチが、周辺部分110dと120dとの間のブラダ103bに隣接して配設され得る。
【0023】
本実施形態における保持構造体20は、対向する第1の端壁216及び第2の端壁218と、端壁216と端壁218との間の主軸225と、端壁216及び218を互いに結合する支持ロッド228と、を有する、略円筒形の構造体である。端壁216、218の各々は、AMCアンテナ10をコイル構成に誘導し、保持することを容易にするために、それぞれの内面212上にらせん状の溝214を有し得る。少なくとも接地面105の対向する縁部は、収納中は、一対のらせん状の溝214内にコイル状に保持されている。アンテナ層130が接地面105と同一の広がりをもつように構成される場合、アンテナ層130の対向する縁部もまた、らせん状の溝214内に保持され得る。
【0024】
主軸225は、基層110の周辺部分110aへの(概略的に示された)機械的リンク272を有し得る。最初にAMCアンテナ10を保持構造体20内に保持するために、AMCアンテナ10は、図4に示すように、折り畳まれた状態に配置され得る。折り畳まれた状態では、導体115は湾曲し、FSS層120は、折り畳まれた構造体の少なくとも縁部の厚さが溝214の幅よりも薄くなるように、基層110に向かって折り畳まれる。折り畳まれた状態では、FSS層120が基層110に対してオフセットされるように、FSS層120が+x方向に基層110に向かって折り畳まれ得ることに留意されたい。折り畳まれた状態では、2つの層がオフセットされるため、基層110の周辺部分110aは、FSS層120の対応する周辺部分120aによって、これ以上重ねられない。
【0025】
主軸225は、保持構造体210内にAMCアンテナ10を引き込むために(例えば、時計回りに)回転され得る。一例として、手回しクランク(図示せず)、又はリンク273を有するアクチュエータ275は、主軸225の端部219に結合されて、保持構造体210内にAMCアンテナ10を引き込むための回転力を付与し得る。AMCアンテナ10がそのように保持されると、AMCアンテナ装置100は、打ち上げ前に、軌道衛星などの搬送車に運搬され、搬送車の表面285に固定され得る。保持構造体20は、(別様に保護なしで表面285上に取り付けられる場合の)AMCアンテナ10自体よりも、環境条件及び動きに対して堅牢であるため、表面285上にAMCアンテナ10を展開する前に、保持構造体20を表面285に固定することは、展開が成功する可能性を改善し得る。別の例として、表面285は、惑星表面、又は惑星上の人工建造物の表面である。この場合、AMCアンテナ10が中に固定された状態の保持構造体20は、ドローンによって運搬され得、その後の無人展開のために、表面285上に落下され得る。
【0026】
保持構造体20からAMCアンテナ10を展開するために、主軸225は、アクチュエータ275によって(例えば、反時計回りに)回転され得、それによって、AMCアンテナ10は、+x方向にその折り畳まれた状態にある間、プレート状の構成で滑り出ることができる。代替的に又は追加的に、表面285上に配置された別のアクチュエータ260は、保持構造体20からAMCアンテナ10を自動的に引き出すことができる。この目的のために、AMCアンテナ10は、アクチュエータ260のリンク262がAMCアンテナ10に取り付けることができる、周辺部分120bの開口部129を有し得る。アクチュエータ260及び/又はアクチュエータ275は、表面285に固定されたロボットアームであり得ることに留意されたい。
【0027】
図5は、収納中の折り畳まれた状態の様々な構造を示す、図10のAMCアンテナの一部分の断面図である。折り畳まれた状態では、PCB107は、断面図では、各PCB107が基層110と鋭角を形成するように、FSS層120及び基層110に対してそれぞれ傾斜していることがわかる。各導体115は、下記で論じられる、下端116b及び上端116aを含み得る。
【0028】
図6は、例示的な可撓性PCB107の平面図である。図7は、可撓性PCB107の例示的な層状構造体を示す、図6の線7-7に沿う断面図である。PCB107は、一般に、矩形プロファイルを有し得る。各PCB107は、その中に埋設され、縁から縁まで幅方向に延在する、導体115の群を有し得る。各導体115は、上端116a及び下端116bを含み得、それぞれは、長方形又は正方形のタブの形態である。導体115は、第1の誘電体フィルム111と第2の誘電体フィルム112(例えば、Kapton(登録商標)又はFR4)との間に挟まれ得る。
【0029】
図8は、動作(展開)状態中のAMCアンテナ10の例示的な層間構造を示す、図1の線8-8に沿う断面図である。図8は、アンテナ素子層130の下にあるPCB107の単一の導体115に関する例示的な接続構造を示し、同じ接続構造が、アンテナ素子層130の下にある、AMCアンテナ10の全ての導体115に対して適用され得る。アンテナ素子層130の領域の外側のそれらの導体115については、上部構造が異なる場合がある(下記で論じられる)。(また、図8、及び本明細書の他の断面図では、明確にするために、図示されたものの背後に位置する特徴は省略され得ることにも留意されたい。)基層110は、構造的完全性のために、並びに、導体115への電気的及び機械的接続を容易にするために、可撓性誘電体シート144の底面に接着又は印刷された、導電性基材面119を含み得る。誘電体リブ117は、誘電体シート144の上面に接着され得、導体115の基材面119への接続を支持し得る。めっきされた貫通孔158は、リブ117及び基層110を通って形成されていてもよい。導体115の下端部116bは、貫通孔158内に挿入され、貫通孔158内の下端部116b周囲の導電性接着剤157、例えば、溶融及び冷却されたはんだで、導電性基材面119に電気的に接続されていてもよい。
【0030】
FSS層120は、下部誘電体シート154と上部誘電体シート164との間に挟まれた、導電性パッチ121_1~121_nを含み得る。代替的に、FSS層120は、導電性パッチ121が上に印刷された、単一の誘電体シート154又は164で構成されている。導体115の上部とFSS層120との間の機械的及び電気的接続128は、めっきされた貫通孔168、上端116a、及び貫通孔168内の導電性接着剤167を含み得る。図8は、隣接する導電性パッチ121_(j-1)及び121_(j+1)から、それぞれの分離領域123によって隔てられた、導体115と所与の導電性パッチ121_jとの間の単一の接続128を示す。分離領域123を含む誘電体シート164は、誘電体シート154の上面への導電性パッチ121の堆積の後で、導電性パッチ121上への誘電体材料の層状堆積によって形成されていてもよい。しかしながら、誘電体シート164が省略された場合、分離領域123は、空隙又は誘電性充填剤であってもよい。誘電体シート144、154、164及び174のそれぞれは、Kapton(登録商標)などのポリイミドフィルムであり得る。
【0031】
AMCアンテナ10全体にわたる電気的接続128は、各々、(ラッチ状態のラッチ機構Lで)誘電体シート144上方の固定距離で提供され得る。このようにして、FSS層120は、その下面が、基層110からの固定距離だけ、全体にわたって均一に離間された状態で、支持されている。空隙191は、導体115周囲の領域に存在し得る。
【0032】
アンテナ素子層130は、誘電体層174上に印刷された、少なくとも1つのアンテナ素子132を含み得る。アンテナ素子層130とFSS層120との間の例示的な機械的接続は、誘電体シート164の上面上方に延在する、導体115の上端116aの剛性の延長部分176と、誘電体シート174の下面にある、めっきされたブラインドビア178と、はんだなどの導電性接着剤177と、を含み得る。延長部176の上端は、ビア178内に挿入されていてもよく、接着剤177を溶融及び冷却することによって、誘電体シート174に接着されていてもよい。アンテナ素子層130の下にある導体115の全て又は大部分は、同様に、このような方式で誘電体シート174に接着された、延長部176を含み得る。結果として、アンテナ素子層130は、導体115によって完全に支持され得、FSS層120の上面から離れた近距離で、均一に離間され得る。図1の実施例のように、アンテナ層130がFSS層120に対してのみ中心に位置する場合、アンテナ層130の領域の外側に位置する導体115は、延長部176を省略し得ることに留意すべきである。これら周辺の導体115は、全て、同じ長さ又は実質的に同じ長さ(例えば、製造公差内)で設計されてもよく、上端部は、誘電体シート164の上面と面一であってもよい。同じように、アンテナ層130の下にある導体115の各々は、同じ又は実質的に同じ長さの延長部176を有する(例えば、製造公差内で)、同じ設計又は実質的に同じ設計であってもよい。FSS層120とアンテナ素子層130との間の上記機械的接続により、層120と層130との間に狭い空隙171が存在し得る。代替構成では、導体115上の延長部176は、AMCアンテナ100全体にわたって省略され、誘電体シート164及び174は、単一の誘電体シートとして融合又は形成され、FSS層120とアンテナ素子層130との間に空隙171は存在しない。
【0033】
図9は、AMCアンテナ10のアンテナ素子135に接続し得る、例示的なアンテナ給電装置300を示す概略図である。アンテナ給電装置300は、一対のバラン350と、バラン350に接続された第1の端部を有し、外側導体313及び内側導体311を有する、第1の可撓性同軸ケーブル310と、バラン350に接続された第1の端部を有し、外側導体323及び内側導体321を有する、第2の可撓性同軸ケーブル320と、それぞれの第1の相互接続317、第2の相互接続319、第3の相互接続327及び第4の相互接続329と、を含み得る。第1のダイポール素子132は、ダイポールアーム132a及び132bを含み、第2のダイポール素子134は、ダイポールアーム134a及び134bを含む。第1の同軸ケーブル310の第2の端部は、第1のダイポール素子132に接続し、相互接続317は、外側導体313をダイポールアーム132aに接続し、相互接続319は、内側導体311をダイポールアーム132bに接続する。第2の同軸ケーブル310の第2の端部は、第2のダイポール素子134に接続し、相互接続327は、外側導体323をダイポールアーム134aに接続し、相互接続329は、内側導体321をダイポールアーム134bに接続する。
【0034】
図10は、例示的なアンテナ給電装置300の一部分を示す、AMCアンテナ10の上部の、例示的な中央部分を示す斜視図である。交差ダイポールアンテナ素子135の中央部分は、中心に集められた隣接する導電性パッチ121_i、121_(i+1)、121_(i+2)及び121_(i+3)の交差領域を覆い得る。FSS層120内の開口部375は、導電性パッチ121_i~121(i+3)のそれぞれのコーナーピースを取り外すことによって、集中領域内に形成されてもよい。別の開口部385は、アンテナ素子層130の集中領域に形成されていてもよい。同軸ケーブル310及び320は、AMCアンテナ10の展開状態の間、アンテナ素子層130と基層110との間に垂直(z方向)に延在し得る。収納状態の間、同軸ケーブルは、アンテナ素子層130と基層110との間で折り畳まれ得る。
【0035】
同軸ケーブル310及び320の第2の端部は、開口部375を貫通してもよく、開口部385を少なくとも部分的に貫通してもよい。相互接続317及び327はそれぞれ、ワイヤボンドとして具現化され得る。代替的に、相互接続317及び327は、導電性延長部と統合された、漏斗形状の金属部の形態である。漏斗状の金属部は、それぞれの外側導体313又は323にはんだ付けされるか、又は別様に電気的に接続され、導電性延長部は、ダイポールアーム132a又は134aの入力点にはんだ付けされるか、又は別様に電気的に接続されている。相互接続319及び329は、それぞれ、ダイポールアーム132b及び134bの入力点への、直接はんだ接続であってもよい。
【0036】
図11は、AMCアンテナ10内でのアンテナ給電装置300の例示的な統合を示す、図10の線11-11に沿う断面図である。本図は、バラン350が、AMCアンテナ10の下面に隣接して配設されてもよく、同軸ケーブル310及び320の下端が、基層100の開口部365を貫通し、バラン350に接続してもよいことを示す。同軸ケーブル310及び320は、交差ダイポールアンテナ素子135への電気的接続を容易にするために、同軸ケーブルの上端が、FSS層120の開口部375と、アンテナ層130の誘電体シート174の開口部385とを貫通した状態で、垂直に並んで走行し得る。収納状態では、同軸ケーブル310及び320は、導体115(図5に示される折り畳まれた状態)と同様に折り畳まれ得る。
【0037】
図12Aは、AMCアンテナ10の例示的なラッチLi(折り畳まれた、ラッチ解除状態)を示す、AMCアンテナ10の部分端面図である。図12Bは、展開後のラッチされた動作状態にある、AMCアンテナ10の同じ部分端面図である。AMCアンテナ10のラッチL~Lのいずれかは、上部ロッド405と、下部ロッド403と、上部ロッド405及び下部ロッド403を結合する、中央ラッチカプラ401を含み得る、ラッチLiの構造を有し得る。上端支持体407は、FSS層120に取り付けられ得、上部ロッド405の上部との可動ジョイントを形成し得る。下端支持体409は、基層層110に取り付けられ得、下部ロッド403との可動ジョイントを形成し得る。したがって、ラッチ解除状態では、上部ロッド405は、FSS層120と鋭角を形成し、下部ロッド403は、基層110と鋭角を形成し、それにより、FSS層120及び基層110が、AMCアンテナ10の最適な収納のために密に離間されている。ラッチ状態では、上部ロッド405及び下部ロッド403は垂直に整列され、それによって、基層110とFSS層120との間の所定の固定間隔を提供する。
【0038】
図13は、一実施形態による、無人搬送車上でAMCアンテナ10を展開する、例示的な方法1300の動作を示すフローチャートである。方法1300では、AMCアンテナ10は、まず、折り畳まれた状態で、保持構造体、例えば、上述の保持構造体20に格納される(S1310)。保持構造体は、次に、中に格納されたAMCアンテナ10とともに、無人搬送車に運搬され得る(S1320)。前述のように、無人搬送車(例えば、表面285を含む搬送車)のいくつかの実施例は、軌道衛星、惑星表面、又は、惑星表面上の人工建造物を含む。
【0039】
次に、AMCアンテナは、上述のように、アクチュエータ(例えば、275及び/又は260)を使用して、保持構造体から同じものを取り外し、ラッチ機構(例えば、「L」)をラッチ解除状態からラッチ状態に移行させるのに、ブラダシステム(例えば、ブラダ103a及び103b)を十分に膨張させることによって、展開され得る(S1330)。ラッチの結果として、FSS層120は、基層110から適切に離間され、AMCアンテナ10は、例えば、図1に示される上記構成で、動作用に設置される。
【0040】
AMCアンテナが動作構成にある状態で、ロボットアームなど(例えば、リンク262を有するアクチュエータ260)は、搬送車の表面285にAMCアンテナを固定し得る。一実施形態では、バラン350は、例えば、収納中に保持構造体20内に巻かれ、AMCアンテナ10が取り外されると巻かれていない状態になる部分を有する、可撓性ケーブル(図示せず)を通して、通信システムのRFフロントエンドに既に配線接続されている。バラン350がそのように配線接続されていない場合、ロボットアームなどは、バラン350をRFフロントエンドに電気的に接続し得る。いずれの場合にも、AMCアンテナによる信号の能動通信は、RFフロントエンドのバラン350への接続が確立されると、開始され得る。
【0041】
本明細書に記載される技術は、その例示的な実施形態を参照しながら特に示され、説明されているが、当業者であれば、以下の特許請求の範囲及びそれらの等価物によって定義される特許請求の範囲の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の様々な変更がその中で行われ得ることを理解するであろう。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図13