(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】木質部材の接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/26 20060101AFI20240201BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E04B1/26 G
E04B1/58 509J
(21)【出願番号】P 2019192316
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】519378768
【氏名又は名称】株式会社ホルツストラ一級建築士事務所
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(73)【特許権者】
【識別番号】391004207
【氏名又は名称】齋藤木材工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】稲山 正弘
(72)【発明者】
【氏名】中西 祐季奈
(72)【発明者】
【氏名】花井 厚周
(72)【発明者】
【氏名】金田 崇興
(72)【発明者】
【氏名】梁田 真史
(72)【発明者】
【氏名】麻生 直木
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 徹
(72)【発明者】
【氏名】栗原 嵩明
(72)【発明者】
【氏名】梅津 佳奈子
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 健
【審査官】兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-301596(JP,A)
【文献】特開2004-285655(JP,A)
【文献】特開平11-050534(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/38-1/61
E04B 1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質柱の側面と木質梁の側面とが接合された仕口部と、
前記仕口部における前記木質柱の側面及び前記木質梁の側面の少なくとも一方に形成された切欠部と、
前記仕口部で重ね合わされた前記木質柱及び前記木質梁の重ね合わせ面
の少なくとも外周部分に塗布した接着材で形成され、前記重ね合わせ面同士を接着接合し前記仕口部
における前記重ね合わせ面の面内方向に作用する回転モーメントに抵抗す
る接着層と、
前記木質柱及び前記木質梁に跨って前記重ね合わせ面に埋設され、前記仕口部
における前記重ね合わせ面の面内方向に作用するせん断力に対してせん断抵抗する抵抗部材と、
を備えた木質部材の接合構造。
【請求項2】
前記木質梁は、前記木質柱を両側から挟む対を成す二つの分割部材で構成され、
前記切欠部は、
前記仕口部における前記木質柱の両面に形成された第一切欠部と、
対を成す二つの前記分割部材の挟み込み側の面にそれぞれ形成され、前記第一切欠部に係合する第二切欠部と、
を有している、
請求項1に記載の木質部材の接合構造。
【請求項3】
前記抵抗部材は、前記木質梁の側面及び前記木質柱の側面の両方に対して面内方向を板厚方向として配置された板状部材である、
請求項1又は請求項2に記載の木質部材の接合構造。
【請求項4】
前記抵抗部材は、前記木質梁の側面の面外方向を軸方向として配置された管状部材である、
請求項1又は請求項2に記載の木質部材の接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質部材の接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、木製の柱と木製の梁を補強しながら互いに接合するための木製柱と木製梁の接合構造に関する技術が開示されている。この先行技術では、ボルト及びナットによって柱と梁を接合している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のように、ボルト等の金物で木質部材同士を接合した仕口部は、金物のせん断剛性で初期剛性を確保している。しかし、多数の金物が必要であり、部品コスト及び施工コストが高くなる。
【0005】
本発明は、上記事実に鑑み、木質部材同士を接合した仕口部に初期剛性を容易に確保することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様は、第一木質部材と第二木質部材とが接合された仕口部と、前記仕口部における前記第一木質部材及び前記第二木質部材の少なくとも一方に形成された切欠部と前記仕口部で重ね合わされた前記第一木質部材及び前記第二木質部材の重ね合わせ面同士を接着接合する接着層と、前記第一木質部材及び前記第二木質部材に跨って前記重ね合わせ面に埋設された抵抗部材と、を備えた木質部材の接合構造である。
【0007】
第一態様の木質部材の接合構造では、仕口部における第一木質部材及び第二木質部材との重ね合わせ面同士を接着層で接着接合することで、仕口部に作用する回転モーメントに抵抗する高い初期剛性が容易に確保される。接着層が降伏した後は、切欠部のめり込み及び抵抗部材のせん断耐力によって、回転モーメントに抵抗する。また、接着層が降伏した後は、切欠部のめり込みによって靱性を確保する。
【0008】
ここで、仮に抵抗部材が設けられていない場合、接着層の降伏時に急激な荷重低下が起きる虞がある。
【0009】
しかし、本発明の接合構造では、抵抗部材のせん断耐力によって仕口部の耐力が確保されるので、接着層の降伏時の急激な荷重低下が防止又は抑制される。
【0010】
したがって、第一木質部材と第二木質部材とを接着層で接合することによる高い初期剛性の確保と終局耐力の向上とを両立させることができる。
【0011】
第二態様は、前記第二木質部材は、前記第一木質部材を両側から挟む対を成す二つの分割部材で構成され、前記切欠部は、前記仕口部における前記第一木質部材の両面に形成された第一切欠部と、対を成す二つの前記分割部材の挟み込み側の面にそれぞれ形成され、前記第一切欠部に係合する第二切欠部と、を有している、第一態様に記載の木質部材の接合構造である。
【0012】
第二態様の木質部材の接合構造では、切欠部を複数にすることよって、切欠部が一つの場合と比較し、めり込み耐力が高くなり、靱性が高くなる。
【0013】
第三態様は、前記抵抗部材は、前記重ね合わせ面の面内方向を板厚方向として配置された板状部材である、第一態様又は第二態様に記載の木質部材の接合構造である。
【0014】
第三態様の木質部材の接合構造では、抵抗部材を、重ね合わせ面の面内方向を板厚方向として配置された板状部材とすることで、仕口部に作用する回転モーメントにせん断抵抗する。
【0015】
第四態様は、前記抵抗部材は、前記重ね合わせ面の面外方向を軸方向として配置された管状部材である、第一態様又は第二態様に記載の木質部材の接合構造である。
【0016】
第四態様の木質部材の接合構造では、重ね合わせ面の面外向を軸方向として配置された管状部材のせん断剛性に加え、管状部材が木質繊維を拘束することにより、仕口部に作用する回転モーメントに抵抗させることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、木質部材同士を接合した仕口部に初期剛性を容易に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態の接合構造が適用された仕口部の分解斜視図である。
【
図2】
図2の仕口部の(A)は(B)の2A-2A線に沿った縦断面図であり、(B)は(A)の2B-2B線に沿った水平断面図である。
【
図3】仕口部における柱と梁との回転角度(RAD)と予想荷重との関係を模式的に示したグラフである。
【
図4】第一変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図5】第二変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図6】第三変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図7】第四変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図8】第五変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図9】第六変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図10】第七変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図11】第八変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図12】第九変形例の接合構造が適用された仕口部の
図2(A)に対応する縦断面図である。
【
図13】第十変形例の接合構造が適用された仕口部の(A)は(B)の13A-13A線に沿った
図2(A)に対応する縦断面図であり、(B)は(A)の13B-13B線に沿った
図2(B)に対応する水平断面図である。
【
図14】本発明の十一変形例の接合構造が適用された仕口部の
図1に対応する分解斜視図である。
【
図15】本発明の十二変形例の接合構造が適用された仕口部の
図1に対応する分解斜視図である。
【
図16】本発明の十三変形例の接合構造が適用された仕口部の
図1に対応する分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
【0020】
本発明の一実施形態の木質部材の接合構造について説明する。なお、水平方向の直交する二方向をX方向及びY方向とし、それぞれ矢印X及び矢印Yで示す。X方向及びY方向に直交する鉛直方向をZ方向とし、矢印Zで示す。また、Y方向から見た場合を正面視とする。
【0021】
(構造)
まず、木質部材の接合構造が適用された仕口部の構造について説明する。
【0022】
図1及び
図2に示すように、接合構造100は、第一木質部材の一例としての柱10と第二木質部材の一例としての梁20とが接着接合された仕口部50、第一切欠部70A、70B(
図1及び
図2(B)参照)、第二切欠部80A、80B(
図1及び
図2(B)参照)、接着層SA、SB(
図1参照)及び管状部材150A、150B(
図1、
図2(B)参照)を有している。
【0023】
図1及び
図2(B)に示すように梁20は、柱10をY方向の両側から挟む対を成す二つの分割部材22A、22Bで構成されている。
【0024】
図1に示すように、第一切欠部70A、70Bは、仕口部50における柱10のY方向の両側の側面11A、11Bに形成されている。分割部材22A、22Bの挟み込み側の側面23A、23Bには、それぞれ第一切欠部70A、70Bに係合する第二切欠部80A、80Bが形成されている(
図2(B)も参照)。
【0025】
図1及び
図2(B)に示すように、柱10の第一切欠部70A、70Bの柱側接合面72A、72Bと、梁20を構成する分割部材22A、22Bの第二切欠部80A、80Bの梁側接合面82A、82Bと、が接着剤を塗布して形成された接着層SA、SB(
図1参照)によって接着接合されている。なお、接着層SA、SB(
図1参照)は、判りやすくするため、実際よりも層厚を厚く図示している。
【0026】
図2(B)に示すように、抵抗部材の一例としての円筒状の管状部材150A、150Bは、柱10と梁20の分割部材22A、22Bとに跨って、柱側接合面72A、72Bと梁側接合面82A、82Bに埋設されている。なお、管状部材150A、150Bは、金属製とされ、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向であるX方向を板厚方向として配置されると共に面外方向であるX方向を軸方向として配置されている(
図1も参照)。また、管状部材150A、150Bは、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに形成された図示が省略されている溝に嵌め込まれている。
【0027】
図2(A)に示すように、本実施形態の柱10及び梁20は、耐火集成材を用いている。本実施形態の耐火集成材で構成された柱10及び梁20は、荷重を支持する木質の荷重支持部30、31、モルタルバー等が埋設された燃止層32、33及び木質の燃代層34、35の3層で構成されている。なお、燃止層32、33及び木質の燃代層34、35は、実際よりも層厚が薄く図示されている。
【0028】
荷重支持部30、31は、柱10及び梁20の中心部分に設けられている。燃止層32、33は、荷重支持部30、31の外側に荷重支持部30、31を取り囲むように設けられている。燃代層34、35は、燃止層32、33の外側に燃止層32、33を取り囲むように設けられている。そして、火災時に外側の燃代層34、35が燃焼し炭化して炭化層となることで断熱効果を発揮すると共に燃止層32、33を構成するモルタルバー等が熱を吸収しながら燃焼を停止させることで、中心部にある荷重を支持する荷重支持部30、31を火災から保護する。
【0029】
なお、柱10及び梁20は、このような構造の耐火集成材に限定されない。どのような構造の耐火集成材であってもよい。また、柱10及び梁20は、耐火集成材以外の通常の集成材で構成されていてもよいし、無垢材で構成されていてもよい。
【0030】
分割部材22A、22Bにおける仕口部50以外の部位は、両者をボルト等で接合されていてもよいし、両者が接合されていなくてもよい。また、分割部材22A、22Bにおける仕口部50以外の部位は、間隔があいていてもよい。
【0031】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0032】
仕口部50における柱10の第一切欠部70A、70Bの柱側接合面72A、72Bと、梁20を構成する分割部材22A、22Bの第二切欠部80A、80Bの梁側接合面82A、82Bと、を接着層SA、SBで接着接合することで、仕口部50に作用する回転モーメントに抵抗する高い初期剛性が容易に確保される。
【0033】
接着層SA、SBが降伏した後は、第一切欠部70A、70B及び第二切欠部80A、80Bのめり込み及び管状部材150A、150Bのせん断耐力によって、回転モーメントに抵抗する。また、接着層SA、SBが降伏した後は、第一切欠部70A、70B及び第二切欠部80A、80Bのめり込みによって靱性を確保する。
【0034】
このように管状部材150A、150Bのせん断耐力によって仕口部50の耐力が確保されるので、接着層SA、SBの降伏時の急激な荷重低下が防止又は抑制される。
【0035】
したがって、柱10と梁20とを接着層SA、SBで接着接合することによる高い初期剛性の確保と終局耐力の向上とを両立させることができる。
【0036】
また、本実施形態では、第一切欠部70A、70B及び第二切欠部80A、80Bを有しているので、切欠部が一つの場合と比較し、めり込み耐力が高くなり、靱性が高くなる。
【0037】
また、管状部材150A、150Bを、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82B面内方向(X方向)を板厚方向として配置することで、仕口部50のせん断剛性が高くなる。よって、仕口部50に作用する回転モーメントに抵抗する抵抗力が効果的に高くなる。
【0038】
更に、管状部材150A、150Bのせん断剛性に加え、管状部材150A、150Bが埋設した柱10及び梁20の木質繊維を拘束することによっても仕口部50に作用する回転モーメントに抵抗する。
【0039】
ここで、
図3は、仕口部50における柱10と梁20との回転角度(rad)と予想荷重との関係を模式的に示したグラフである。線K1は、本実施形態の仕口部50の場合を示している。線K3は、管状部材150A、150Bが設けられていない比較例の仕口部の場合を示している。また、線K2は、接着層SA、SBの接着破壊強度を示している。
【0040】
管状部材150A、150Bが設けられていない比較例の仕口部の場合、線K3で示すように、接着層SA、SBの降伏時に急激な荷重低下が起きる。
【0041】
これに対して、本実施形態の仕口部50では、管状部材150A、150Bのせん断剛性によって耐力が確保されるので、接着層SA、SBの降伏時の急激な荷重低下が防止されていることが判る。
【0042】
<変形例>
次に、上記実施形態の変形例について説明する。なお、下記の変形例では、上記実施形態と異なる部分のみを説明し、説明部分以外は上記実施形態と同様の構造である。なお、各変形を示す図で図示されていない部材等は、適宜、
図1及び
図2等を参照すること。
【0043】
[第一変形例]
図4に示す第一変形例の接合構造101では、抵抗部材の一例として、金属製で円筒状の第一管状部材210及び第二管状部材212が柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。第一管状部材210の内側に、第一管状部材210よりも小径の円筒状の第二管状部材212が設けられている。これら第一管状部材210及び第二管状部材212は、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されると共に面外方向(Y方向)を軸方向として配置されている。
【0044】
[第二変形例]
図5に示す第一変形例の接合構造102では、抵抗部材の一例として、金属製で四角筒状の第一角筒部材220及び第二角筒部材222が柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。第一角筒部材220の内側に、第一角筒部材220よりも小さい四角筒状の第二角筒部材222が45°回転して設けられている。これら第一角筒部材220及び第二角筒部材222は、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されると共に面外方向(Y方向)を軸方向として配置されている。
【0045】
[第三変形例]
図6に示す第三変形例の接合構造103では、抵抗部材の一例として、正面視で板面が円弧状に湾曲した四枚の金属製の湾曲板材230が柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。四枚の湾曲板材230は、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの角部の内側近傍に、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されている。
【0046】
[第四変形例]
図7に示す第四変形例の接合構造104では、抵抗部材の一例として、四枚の金属製の板状部材240が柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。四枚の板状部材240は、正面視で柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに辺部に沿って正方形状に配置されると共に柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されている。
【0047】
[第五変形例]
図8に示す第五変形例の接合構造105では、抵抗部材の一例として、四枚の金属製の板状部材241が柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。四枚の板状部材240は、正面視で柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに辺部に対して45°回転した正方形状に配置されると共に柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されている。
【0048】
[第六変形例]
図9に示す第六変形例の接合構造106では、抵抗部材の一例として、複数の金属製の板状部材242が、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。複数の板状部材242は、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに正面視で放射状に配置されると共にそれぞれ柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されている。
【0049】
[第七変形例]
図10に示す第七変形例の接合構造107では、抵抗部材の一例として、八枚の金属製の板状部材243が、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。八枚の金属製の板状部材243は、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに正面視で八角形状に配置されると共に柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されている。
【0050】
[第八変形例]
図11に示す第八変形例の接合構造108では、抵抗部材の一例として、金属製の板状部材250及び板状部材252が、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。板状部材250及び板状部材252は、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されている。
【0051】
三枚の板状部材250は、正面視で左右方向に沿って配置され、且つ上下方向に並んで配置されている。そして、これら三枚の板状部材250の上下に、それぞれ三枚の板状部材252が上下方向に沿って配置され、且つ左右方向に間隔をあけて並んで配置されている。
【0052】
[第九変形例]
図12に示す第九変形例の接合構造109では、抵抗部材の一例として、金属製の板状部材260、板状部材262及び板状部材263が、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。また、板状部材260及び板状部材262は、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を板厚方向として配置されている。
【0053】
二枚の板状部材260は、正面視で左右方向に沿って配置され、且つ上下方向に並んで配置されている。更に、これら二つの板状部材260の間、上側及び下側及びにそれぞれ二枚の板状部材262、263が上下方向に沿って配置され、且つ左右方向に間隔をあけて並んで配置されている。
【0054】
[第十変形例]
図13(A)及び
図13(B)に示す第十変形例の接合構造110では、抵抗部材の一例として、鉄筋で構成された四つの棒状部材270が、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bに設けられている。また、四つの棒状部材270は、柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向(X方向)を軸方向として配置されている。四つの棒状部材270は、正面視で柱側接合面72A、72B及び梁側接合面82A、82Bの面内方向辺部に沿って正方形状に配置されている。
【0055】
[第十一変形例]
図14に示す第十一変形例の接合構造111では、柱10には、切欠部(
図1の第一切欠部70A、70Bを参照)が形成されていない。仕口部51における梁20を構成する二つの分割部材22A、22Bの挟み込み側の側面23A、23Bには、それぞれ切欠部81A、81Bが形成されている。そして、柱10の側面11A、11Bの柱側接合面73A、73Bと、梁20を構成する分割部材22A、22Bの切欠部81A、81Bの梁側接合面83A、83Bと、が接着剤で構成された接着層SA、SBによって接着接合されている。
【0056】
また、柱10と梁20の分割部材22A、22Bとに跨って、柱側接合面73A、73Bと梁側接合面83A、83Bに円筒状の管状部材150A、150Bが埋設されている。
【0057】
[第十二変形例]
図15に示す第十二変形例の接合構造112では、仕口部52において、柱10には、第一切欠部76が形成されている。また、仕口部52において、梁25には、第一切欠部76に係合する第二切欠部86が形成されている。そして、柱10の第一切欠部76の柱側接合面78と、梁25の第二切欠部86の梁側接合面88と、が接着剤で構成された接着層SAによって接着接合されている。
【0058】
また、柱10と梁20とに跨って、柱側接合面78と梁側接合面88に円筒状の管状部材151が埋設されている。
【0059】
[第十三変形例]
図16に示す第十三変形例の接合構造113では、梁26は、片持ち構造になっている。梁26は、柱10をY方向の両側から挟む対を成す二つの分割部材28A、28Bで構成されている。仕口部53において、分割部材28A、28Bの挟み込み側の側面29A、29Bには、それぞれ第一切欠部70A、70Bに係合する第二切欠部90A、90Bが形成されている。
【0060】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態及び変形例に限定されない。
【0061】
例えば、上記実施形態及び変形例では、梁20が二つの分割部材22A、22Bで構成されていたが、これに限定されない。柱が、梁を両側から挟む二つの分割部材で構成されていてもよい。
【0062】
また、抵抗部材の一例である管状部材、板状部材及び棒状部材の配置は、上記実施形態及び変形例の配置に特定されない。抵抗部材の配置は、適宜決定すればよい。
【0063】
また、上記実施形態及び変形例では、抵抗部材の一例である管状部材、板状部材及び棒状部材の材質は金属であったが、これに限定されない。抵抗部材は、例えば、木製であってもよい。但し、抵抗部材は、第一木質部材と第二木質部材よりも高強度であることが望ましい。
【0064】
また、上記実施形態及び変形例では、抵抗部材は、管状部材、板状部材及び棒状部材であったが、これら以外であってもよい。例えば、Y方向を軸方向として配置された一又は複数の軸状部材であってもよい。
【0065】
また、抵抗部材は、仕口部50、51、52、53を貫通してもよい。但し、抵抗部材が、実施形態の管状部材状のように円筒状の場合は、貫通しない方が望ましい。
【0066】
また、上記実施形態及び変形例では、柱側接合面及び梁側接合面の全面又は略全面に接着剤を塗布して接着層SA、SBを形成したが、これに限定されない。作用する回転モーメントが小さい柱側接合面及び梁側接合面の中央部分には、接着層を形成しなくてもよい。
【0067】
また、上記実施形態及び変形例では、柱10と梁20、25、26とが正面視で十字状又は横T字状に接合した仕口部50、51、52、53に本発明を適用したが、これらに限定されない。例えば、柱の上端部に梁が接合された正面視でT字形状又は逆L字状の仕口部にも本発明を適用することができる。
【0068】
更に、柱と梁とが接合された仕口部以外、例えば、トラスを構成する第一木質部材と第二木質部材とが接着接合された仕口部に本発明を適用してもよい。
【0069】
また、実施形態及び複数の変形例は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【0070】
また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0071】
10 柱
20 梁
22A 分割部材
22B 分割部材
25 梁
26 梁
28A 分割部材
28B 分割部材
50 仕口部
51 仕口部
52 仕口部
53 仕口部
70A 第一切欠部
72A 柱側接合面(重ね合わせ面の一例)
72B 柱側接合面(重ね合わせ面の一例)
73A 柱側接合面(重ね合わせ面の一例)
73B 柱側接合面(重ね合わせ面の一例)
76 第一切欠部
78 柱側接合面(重ね合わせ面の一例)
80A 第二切欠部
80B 第二切欠部
81A 切欠部
81B 切欠部
82A 梁側接合面(重ね合わせ面の一例)
82B 梁側接合面(重ね合わせ面の一例)
83A 梁側接合面(重ね合わせ面の一例)
83B 梁側接合面(重ね合わせ面の一例)
86 第二切欠部
88 梁側接合面(重ね合わせ面の一例)
90A 第二切欠部
90B 第二切欠部
100 接合構造
101 接合構造
102 接合構造
103 接合構造
104 接合構造
105 接合構造
106 接合構造
107 接合構造
108 接合構造
109 接合構造
110 接合構造
111 接合構造
112 接合構造
113 接合構造
150A 管状部材(抵抗部材の一例)
150B 管状部材(抵抗部材の一例)
151 管状部材(抵抗部材の一例)
210 第一管状部材(抵抗部材の一例)
212 第二管状部材(抵抗部材の一例)
220 第一角筒部材(抵抗部材の一例)
222 第二角筒部材(抵抗部材の一例)
230 湾曲板材(抵抗部材の一例)
240 板状部材(抵抗部材の一例)
241 板状部材(抵抗部材の一例)
242 板状部材(抵抗部材の一例)
243 板状部材(抵抗部材の一例)
250 板状部材(抵抗部材の一例)
252 板状部材(抵抗部材の一例)
260 板状部材(抵抗部材の一例)
262 板状部材(抵抗部材の一例)
263 板状部材(抵抗部材の一例)
270 棒状部材(抵抗部材の一例)
接着層 SA
接着層 SB