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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】動物の遠隔診療装置
(51)【国際特許分類】
   G16H 80/00 20180101AFI20240201BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20240201BHJP
   G16H 10/60 20180101ALI20240201BHJP
【FI】
G16H80/00
G06Q50/10
G16H10/60
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022195226
(22)【出願日】2022-12-06
【審査請求日】2022-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】503335571
【氏名又は名称】ペットコミュニケーションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075557
【弁理士】
【氏名又は名称】西教 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】南埜 紀雄
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特許第6944230(JP,B1)
【文献】特許第6990000(JP,B1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0294908(US,A1)
【文献】特開2011-036327(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0342963(US,A1)
【文献】特許第7132668(JP,B1)
【文献】特開2021-111104(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 第1動物病院に備えられる第1診療医のための第1制御処理装置と、
(b) 第2動物病院に備えられる第2診療医のための第2制御処理装置と、
(c) 前記第1制御処理装置と前記第2制御処理装置とに通信回線を介して接続されるサーバとを含み、
(d) 前記第1制御処理装置は、
(d1) 第1メモリであって、
診療される1または複数の各動物毎に設けられる第1カルテであって、前記各動物の飼主に関する飼主情報と、前記各動物に関する識別情報と、前記第1診療医による診療データと、画像を含む検査データとを含む第1カルテと、
前記第1カルテから前記飼主情報の少なくとも一部を削除した第2カルテと、
前記第1カルテと前記第2カルテとを作成し、出力するためのマスタアプリケーションプログラムとがストアされる第1メモリと、
(d2) 前記マスタアプリケーションプログラムを実行して、前記第1カルテと前記第2カルテとを作成して前記第1メモリにストアする第1処理回路と、
(d3) 前記第1診療医によって選択された前記第2動物病院の前記第2診療医に診断を依頼する前記各動物の依頼信号と、その診断を依頼する前記各動物の前記第2カルテと、前記マスタアプリケーションプログラムとを前記サーバに出力し、
診断が依頼された前記各動物の前記第2診療医による承諾信号と診断レポートとを前記サーバから受信して前記第1メモリにストアする第1制御通信回路とを含み、
(e) 前記サーバは、
(e1) 前記第1制御通信回路と前記第2制御処理装置とに前記通信回線を介して接続されるサーバ制御通信回路と、
(e2) サーバメモリと、
(e3) サーバ処理回路であって、
前記サーバメモリに、前記サーバ制御通信回路が受信した前記第1制御通信回路からの前記依頼信号と前記第2カルテと前記マスタアプリケーションプログラムとをストアして、前記サーバ制御通信回路によって前記第2制御処理装置に送信し、
前記サーバメモリに、前記サーバ制御通信回路が受信した前記第2制御処理装置からの前記承諾信号と前記診断レポートとをストアして、前記サーバ制御通信回路によって前記第1制御通信回路に送信する前記サーバ処理回路とを含み、
(f) 前記第2制御処理装置は、
(f1) 前記サーバ制御通信回路からの前記依頼信号を受信し、前記各動物毎の診療依頼を承諾するとき、前記各動物毎の前記承諾信号を前記サーバに送信する第2制御通信回路と、
(f2) 前記承諾信号に対応した前記各動物毎の、前記サーバからダウンロードした前記第2カルテと前記マスタアプリケーションプログラムとをストアする第2メモリと、
(f3) 前記第2メモリにストアされる前記マスタアプリケーションプログラムを実行して、
前記第2診療医による前記第2カルテに基づく前記診断レポートを作成する第2処理回路とを含み、
(f4) 前記第2制御通信回路は、前記第2処理回路からの前記診断レポートを前記サーバに送信することを特徴とする動物の遠隔診療装置。
【請求項2】
(a) 請求項1に記載の前記動物の前記遠隔診療装置を準備し、
(b) 前記第1動物病院の前記第1診療医は、1または複数の前記第2動物病院の前記第2診療医と、その診断を依頼する前記動物とを選択して、前記第1制御処理装置の前記第1メモリにストアされている、診断を依頼する前記動物の前記第2カルテと前記マスタアプリケーションプログラムとを、選択した前記第2動物病院のために前記第1制御通信回路によって送信し、
(c) 前記第2動物病院の前記第2診療医は、前記第2制御処理装置において、依頼された前記動物の診断を承諾し、その診断を依頼された前記動物の前記第2カルテに基づく前記第2診療医による前記診断レポートを作成し、その前記診断レポートを前記第1動物病院のために前記第2制御通信回路によって送信し、
(d) 前記第1動物病前記第1診療医は、前記第1制御処理装置にダウンロードされた前記第2診療医による前記診断レポートに基づいて治療方針を決定することを特徴とする動物の遠隔診療方法。
【請求項3】
(a) 第1動物病院に備えられる第1診療医のための第1制御処理装置と、
(b) 第2動物病院に備えられる第2診療医のための第2制御処理装置と、
(c) 前記第1制御処理装置と前記第2制御処理装置とに通信回線を介して接続されるサーバとを含み、
(d) 第1制御処理装置は、
(d1) 第1メモリであって、
診療される1または複数の各動物毎に設けられる第1カルテであって、前記各動物の飼主に関する飼主情報と、前記各動物に関する識別情報と、前記第1診療医による診療データと、画像を含む検査データとを含む第1カルテと、
前記第1カルテから前記飼主情報の少なくとも一部を削除した第2カルテと、
追加要求信号に対応して前記第1診療医によって追加される追加検査データと、
前記第1カルテと前記第2カルテと前記追加検査データとを作成し、出力するためのマスタアプリケーションプログラムとがストアされる第1メモリと、
(d2) 前記マスタアプリケーションプログラムを実行して、前記第1カルテと前記第2カルテと前記追加検査データとを作成して前記第1メモリにストアする第1処理回路と、
(d3) 前記第1診療医によって選択された前記第2動物病院の前記第2診療医に診断を依頼する前記各動物の依頼信号と、その診断を依頼する前記各動物の前記第2カルテと、前記マスタアプリケーションプログラムと、前記追加要求信号に対応する前記追加検査データとを前記サーバに出力し、
診断が依頼された前記各動物の前記第2診療医による承諾信号と診断レポートとを前記サーバから受信して前記第1メモリにストアする第1制御通信回路とを含み、
(e) 前記サーバは、
(e1) 前記第1制御通信回路と前記第2制御処理装置とに前記通信回線を介して接続されるサーバ制御通信回路と、
(e2) サーバメモリと、
(e3) サーバ処理回路であって、
前記サーバメモリに、前記サーバ制御通信回路が受信した前記第1制御通信回路からの前記依頼信号と前記第2カルテと前記追加検査データと前記マスタアプリケーションプログラムとをストアして、前記サーバ制御通信回路によって前記第2制御処理装置に送信し、
前記サーバメモリに、前記サーバ制御通信回路が受信した前記第2制御処理装置からの前記承諾信号と前記追加要求信号と前記診断レポートとをストアして、前記サーバ制御通信回路によって前記第1制御通信回路に送信するサーバ処理回路とを含み、
(f) 第2制御処理装置は、
(f1) 前記サーバ制御通信回路からの前記依頼信号を受信し、前記各動物毎の診療依頼を承諾するとき、前記各動物毎の前記承諾信号を前記サーバ制御通信回路に送信する第2制御通信回路と、
(f2) 前記承諾信号に対応した前記各動物毎の、前記サーバ3からダウンロードした前記第2カルテと前記追加検査データと前記マスタアプリケーションプログラムとをストアする第2メモリと、
(f3) 前記第2メモリにストアされる前記マスタアプリケーションプログラムを実行して、
前記第2カルテに含まれていない前記検査データを、前記追加検査データとして要求する前記追加要求信号を出力し、
前記第2診療医による前記追加検査データに基づく前記診断レポートを作成する第2処理回路とを含み、
(f4) 前記第2制御通信回路は、前記第2処理回路からの前記追加要求信号と前記診断レポートとを前記サーバに送信することを特徴とする動物の遠隔診療装置。
【請求項4】
(a) 請求項3に記載の動物の遠隔診療装置を準備し、
(b) 前記第1動物病院の前記第1診療医は、1または複数の前記第2動物病院の前記第2診療医と、その診断を依頼する前記動物とを選択して、前記第1制御処理装置の前記第1メモリにストアされている、診断を依頼する前記動物の前記第2カルテと前記マスタアプリケーションプログラムとを、選択した前記第2動物病院のために前記第1制御通信回路によって送信し、
(c) 前記第2動物病院の前記第2診療医は、前記第2制御処理装置において、依頼された前記動物の診断を承諾し、その診断を依頼された前記動物の前記第2カルテに含まれていない検査データを、前記追加検査データとして前記第1診療医に要求する前記追加要求信号を、前記第2処理回路によって出力し、前記第2制御通信回路によって送信し、
(d) 前記第1動物病前記第1診療医は、前記追加要求信号による前記追加検査データを作成して、選択した前記第2動物病院のために前記第1制御通信回路によって送信し、
(e) 前記第2動物病院の前記第2診療医は、前記第2制御処理装置において、前記追加検査データに基づく前記第2診療医による前記診断レポートを作成し、その前記診断レポートを前記第1動物病院のために前記第2制御通信回路によって送信し、
(f) 前記第1動物病前記第1診療医は、前記第1制御処理装置にダウンロードされた前記第2診療医による前記診断レポートに基づいて前記治療方針を決定することを特徴とする動物の遠隔診療方法。
【請求項5】
(a) 第1動物病院に備えられる第1診療医のための第1制御処理装置と、
(b) 第2動物病院に備えられる第2診療医のための第2制御処理装置と、
(c) 前記第1制御処理装置と前記第2制御処理装置とに通信回線を介して接続されるサーバとを含み、
(d) 前記第1制御処理装置は、
(d1) 第1メモリであって、
診療される1または複数の各動物毎に設けられる第1カルテであって、前記各動物の飼主に関する飼主情報と、前記各動物に関する識別情報と、前記第1診療医による診療データと、画像を含む検査データとを含む第1カルテと、
前記第1カルテから前記飼主情報の少なくとも一部を削除した第2カルテと、
前記第2カルテに、追加要求信号に対応して前記第1診療医によって追加される追加検査データを含む第3カルテと、
前記第1~第3カルテを作成し、出力するためのマスタアプリケーションプログラムとがストアされる第1メモリと、
(d2) 前記マスタアプリケーションプログラムを実行して、前記第1~第3カルテを作成して前記第1メモリにストアする第1処理回路と、
(d3) 前記第1診療医によって選択された前記第2動物病院の前記第2診療医に診断を依頼する前記動物の依頼信号と、その診断を依頼する前記動物の前記第2カルテと、前記マスタアプリケーションプログラムと、前記追加要求信号に対応する前記第3カルテとを前記サーバに出力し、
診断が依頼された前記動物の前記第2診療医による承諾信号と診断レポートとを前記サーバから受信して前記第1メモリにストアする第1制御通信回路とを含み、
(e) 前記サーバは、
(e1) 前記第1制御通信回路と前記第2制御処理装置とに前記通信回線を介して接続されるサーバ制御通信回路と、
(e2) サーバメモリと、
(e3) サーバ処理回路であって、
前記サーバメモリに、前記サーバ制御通信回路が受信した前記第1制御通信回路からの前記依頼信号と前記第2カルテと前記第3カルテと前記マスタアプリケーションプログラムとをストアして、前記サーバ制御通信回路によって前記第2制御処理装置に送信し、
前記サーバメモリに、前記サーバ制御通信回路が受信した前記第2制御処理装置からの前記承諾信号と前記追加要求信号と前記診断レポートとをストアして、前記サーバ制御通信回路によって前記第1制御通信回路に送信するサーバ処理回路とを含み、
(f) 前記第2制御処理装置は、
(f1) 前記サーバ制御通信回路からの前記依頼信号を受信し、前記各動物毎の診療依頼を承諾するとき、前記各動物毎の前記承諾信号を前記サーバ制御通信回路に送信する前記第2制御通信回路と、
(f2) 前記承諾信号に対応した前記各動物毎の、前記サーバからダウンロードした前記第2カルテと前記第3カルテと前記マスタアプリケーションプログラムとをストアする第2メモリと、
(f3) 前記第2メモリにストアされる前記マスタアプリケーションプログラムを実行して、
前記第2カルテに含まれていない前記検査データを、前記追加検査データとして要求する前記追加要求信号を出力し、
前記第2診療医による前記第3カルテに基づく前記診断レポートを作成する第2処理回路とを含み、
(f4) 前記第2制御通信回路は、前記第2処理回路からの前記追加要求信号と前記診断レポートとを前記サーバに送信することを特徴とする動物の遠隔診療装置。
【請求項6】
(a) 請求項5に記載の動物の遠隔診療装置を準備し、
(b) 前記第1動物病院の前記第1診療医は、1または複数の前記第2動物病院の前記第2診療医と、その診断を依頼する前記動物とを選択して、前記第1制御処理装置の前記第1メモリにストアされている、診断を依頼する前記動物の前記第2カルテと前記マスタアプリケーションプログラムとを、選択した前記第2動物病院のために前記第1制御通信回路によって送信し、
(c) 前記第2動物病院の前記第2診療医は、前記第2制御処理装置において、依頼された前記動物の診断を承諾し、その診断を依頼された前記動物の前記第2カルテに含まれていない前記検査データを、前記追加検査データとして前記第1診療医に要求する前記追加要求信号を、前記第2処理回路によって出力し、前記第2制御通信回路によって送信し、
(d) 前記第1動物病前記第1診療医は、前記追加要求信号による前記追加検査データを作成して前記第2カルテに含めた前記第3カルテを、選択した前記第2動物病院のために前記第1制御通信回路によって送信し、
(e) 前記第2動物病院の前記第2診療医は、前記第2制御処理装置において、前記第3カルテに基づく前記第2診療医による前記診断レポートを作成し、その前記診断レポートを前記第1動物病院のために前記第2制御通信回路によって送信し、
(f) 前記第1動物病前記第1診療医は、前記第1制御処理装置にダウンロードされた前記第2診療医による前記診断レポートに基づいて治療方針を決定することを特徴とする動物の遠隔診療方法。
【請求項7】
前記飼主情報は、飼主の名前および住所のうち、少なくとも1つを含み、
前記動物に関する前記識別情報は、動物を識別するための数字および記号のうち、少なくとも1文字を含み、
前記診療データは、診察、診断、治療のためのワクチン、フィラリアおよびノミ予防のうち、少なくとも1つに関するデータを含み、
画像を含む前記検査データは、動物の身体のレントゲンに関する写真、血液検査および血液化学スクリーニング検査のうち、少なくとも1つに関するデータを含み、
前記第2カルテは、飼主の名前および住所を含まないことを特徴とする請求項1、3または5に記載の動物の遠隔診療装置。
【請求項8】
コンピュータによって、請求項1、3または5に記載の動物の遠隔診療装置を機能させるコンピュータプログラム。
【請求項9】
請求項8のコンピュータプログラムがストアされる記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターネットなどの通信回線(ネットワーク)を利用して、複数の各動物病院の獣医師である診療医の間で動物の診療のための医療情報の授受を行なうことができる動物の遠隔診療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
動物病院の獣医師は、犬、猫などの愛玩動物(すなわち、ペット)などの飼育動物またはその他の動物の身体を調べて病状を判断して「診察」し、診察の結果および検査データに基づいて「診断」を行なって治療方針を決定し、病気の治癒、症状の軽快のための「治療」を行なう。本件明細書中、診療は、これらの診察、診断、治療のうち、いずれか1または複数を指すことがある。
【従来の技術】
【0003】
近年、動物病院の獣医師が担う役割は大きく、動物病院が扱う情報も年々増加してきている。動物医療では、獣医師は多種類の動物に対する全科診療をする、いわゆる一般医が建て前となっているが、獣医師は医療分野により、得手・不得手がどうしても存在する。そのため、一般医だけでは円滑、迅速な高度の診療を行なうことができないことがある。この問題を解決するために、他国では、獣医師の専攻する診療科目毎の専門医の制度が定められているところもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-44667
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
飼主と獣医師との相互の間で、ペットなどの動物の正確な遠隔診察のために、飼主がカメラで撮像した動物の身体の画像と相互の間の音声との品質を向上して支援するシステムが提案される(特許文献1)。この従来の技術によれば、たとえば、或る獣医師である一般医の不得手な医療分野の診療を、他の獣医師である専門医の得意な医療知識で補完できず、動物のもっと高度な診療が要望される。
【0006】
本発明の目的は、動物の円滑、迅速な高度の診療を行なうことができる動物の遠隔診療装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
構成要素の参照符について、簡潔のために、総括してA、B、CをAのみで、D、EをDのみで示すことがあり、数字の個別的な添え字a、bなどを省略して総括的に1a、1b、1cを1で、2d、2eを2で、5a、5b、5c;6d、6eを5、6などで示す
ことがある。以下の各発明の説明において、同一の各用語は同一のものを指し、複数回記載されている各用語には、2回目以降において「前記」の記載を省略する。
【0008】
本発明は、
(a) 第1動物病院A、B、Cに備えられる第1診療医のための第1制御処理装置1a、1b、1cと、
(b) 第2動物病院D、Eに備えられる第2診療医のための第2制御処理装置2d、2eと、
(c) 第1制御処理装置1と第2制御処理装置2とに通信回線5a、5b、5c;6d、6eを介して接続されるサーバ3とを含み、
(d) 第1制御処理装置1は、
(d1) 第1メモリ10であって、
診療される1または複数の各動物毎に設けられる第1カルテ11であって、各動物の飼主に関する飼主情報と、各動物に関する識別情報と、第1診療医による診療データと、画像を含む検査データとを含む第1カルテ11と、
第1カルテ11から飼主情報の少なくとも一部を削除した第2カルテ12と、
第1カルテ11と第2カルテ12とを作成し、出力するためのマスタアプリケーションプログラム14とがストアされる第1メモリ10と、
(d2) マスタアプリケーションプログラム14を実行して、第1カルテ11と第2カルテ12とを作成して第1メモリ10にストアする第1処理回路17と、
(d3) 第1診療医によって選択された第2動物病院Dの第2診療医に診断を依頼する動物の依頼信号44と、その診断を依頼する動物の第2カルテ12と、マスタアプリケーションプログラム14とをサーバ3に出力し、
診断が依頼された動物の第2診療医による承諾信号46と診断レポート15とをサーバ3から受信して第1メモリ10にストアする第1制御通信回路18とを含み、
(e) サーバ3は、
(e1) 第1制御通信回路18と第2制御処理装置2とに通信回線5、6を介して接続されるサーバ制御通信回路38と、
(e2) サーバメモリ30と、
(e3) サーバ処理回路37であって、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第1制御通信回路18からの依頼信号44と第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第2制御処理装置2に送信し、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第2制御処理装置2からの承諾信号46と診断レポート15とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第1制御通信回路18に送信するサーバ処理回路37とを含み、
(f) 第2制御処理装置2は、
(f1) サーバ制御通信回路38からの依頼信号44を受信し、各動物毎の診療依頼を承諾するとき、各動物毎の承諾信号46をサーバ3に送信する第2制御通信回路28と、
(f2) 承諾信号46に対応した各動物毎の、サーバ3からダウンロードした第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とをストアする第2メモリ20と、
(f3) 第2メモリ20にストアされるマスタアプリケーションプログラム14を実行して、
第2診療医による第2カルテ12に基づく診断レポート15を作成する第2処理回路27とを含み、
(f4) 第2制御通信回路28は、第2処理回路27からの診断レポート15をサーバ3に送信することを特徴とする動物の遠隔診療装置である。
【0009】
本発明は、
(a) 前述の動物の遠隔診療装置100を準備し、
(b) 第1動物病院Aの第1診療医は、1または複数の第2動物病院Dの第2診療医と、その診断を依頼する動物とを選択して、第1制御処理装置1の第1メモリ10にストアされている、診断を依頼する動物の第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とを、選択した第2動物病院Dのために第1制御通信回路18によって送信し、
(c) 第2動物病院Dの第2診療医は、第2制御処理装置2において、依頼された動物の診断を承諾し、その診断を依頼された動物の第2カルテ12に基づく第2診療医による診断レポート15を作成し、その診断レポート15を第1動物病院Aのために第2制御通信回路28によって送信し、
(d) 第1動物病Aの第1診療医は、第1制御処理装置1にダウンロードされた第2診療医による診断レポート15に基づいて治療方針を決定することを特徴とする動物の遠隔診療方法である。
【0010】
本発明は、
(a) 第1動物病院A、B、Cに備えられる第1診療医のための第1制御処理装置1a、1b、1cと、
(b) 第2動物病院D、Eに備えられる第2診療医のための第2制御処理装置2d、2eと、
(c) 第1制御処理装置1と第2制御処理装置2とに通信回線5a、5b、5c;6
d、6eを介して接続されるサーバ3とを含み、
(d) 第1制御処理装置1は、
(d1) 第1メモリ30であって、
診療される1または複数の各動物毎に設けられる第1カルテ11であって、各動物の飼主に関する飼主情報と、各動物に関する識別情報と、第1診療医による診療データと、画像を含む検査データとを含む第1カルテ11と、
第1カルテ11から飼主情報の少なくとも一部を削除した第2カルテ12と、
追加要求信号47に対応して第1診療医によって追加される追加検査データ16と、
第1カルテ11と第2カルテ12と追加検査データ16とを作成し、出力するためのマスタアプリケーションプログラム14とがストアされる第1メモリ10と、
(d2) マスタアプリケーションプログラム14を実行して、第1カルテ11と第2カルテ12と追加検査データ16とを作成して第1メモリ10にストアする第1処理回路17と、
(d3) 第1診療医によって選択された第2動物病院Dの第2診療医に診断を依頼する動物の依頼信号44と、その診断を依頼する動物の第2カルテ12と、マスタアプリケーションプログラム14と、追加要求信号47に対応する追加検査データ16とをサーバ3に出力し、
診断が依頼された動物の第2診療医による承諾信号46と診断レポート15とをサーバ3から受信して第1メモリ10にストアする第1制御通信回路18とを含み、
(e) サーバ3は、
(e1) 第1制御通信回路18と第2制御処理装置2とに通信回線5、6を介して接続されるサーバ制御通信回路38と、
(e2) サーバメモリ30と、
(e3) サーバ処理回路37であって、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第1制御通信回路18からの依頼信号44と第2カルテ12と追加検査データ16とマスタアプリケーションプログラム14とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第2制御処理装置2に送信し、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第2制御処理装置2からの承諾信号46と追加要求信号47と診断レポート15とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第1制御通信回路18に送信するサーバ処理回路37とを含み、
(f) 第2制御処理装置2は、
(f1) サーバ制御通信回路38からの依頼信号44を受信し、各動物毎の診療依頼を承諾するとき、各動物毎の承諾信号46をサーバ制御通信回路38に送信する第2制御通信回路28と、
(f2) 承諾信号46に対応した各動物毎の、サーバ3からダウンロードした第2カルテ12と追加検査データ16とマスタアプリケーションプログラム14とをストアする第2メモリ20と、
(f3) 第2メモリ20にストアされるマスタアプリケーションプログラム14を実行して、
第2カルテ12に含まれていない検査データを、追加検査データ16として要求する追加要求信号47を出力し、
第2診療医による追加検査データ16に基づく診断レポート15を作成する第2処理回路27とを含み、
(f4) 第2制御通信回路28は、第2処理回路27からの追加要求信号47と診断レポート15とをサーバ3に送信することを特徴とする動物の遠隔診療装置である。
【0011】
本発明は、
(a) 前述の動物の遠隔診療装置100を準備し、
(b) 第1動物病院Aの第1診療医は、1または複数の第2動物病院Dの第2診療医と、その診断を依頼する動物とを選択して、第1制御処理装置1の第1メモリ10にストアされている、診断を依頼する動物の第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とを、選択した第2動物病院Dのために第1制御通信回路18によって送信し、
(c) 第2動物病院Dの第2診療医は、第2制御処理装置2において、依頼された動物の診断を承諾し、その診断を依頼された動物の第2カルテ12に含まれていない検査データを、追加検査データ16として第1診療医に要求する追加要求信号47を、第2処理回路27によって出力し、第2制御通信回路28によって送信し、
(d) 第1動物病Aの第1診療医は、追加要求信号47による追加検査データ16を作成して、選択した第2動物病院Dのために第1制御通信回路18によって送信し、
(e) 第2動物病院Dの第2診療医は、第2制御処理装置2において、追加検査データ16に基づく第2診療医による診断レポート15を作成し、その診断レポート15を第1動物病院Aのために第2制御通信回路28によって送信し、
(f) 第1動物病Aの第1診療医は、第1制御処理装置1にダウンロードされた第2診療医による診断レポート15に基づいて治療方針を決定することを特徴とする動物の遠隔診療方法である。
【0012】
本発明は、
(a) 第1動物病院A、B、Cに備えられる第1診療医のための第1制御処理装置1a、1b、1cと、
(b) 第2動物病院D、Eに備えられる第2診療医のための第2制御処理装置2d、2eと、
(c) 第1制御処理装置1と第2制御処理装置2とに通信回線5a、5b、5c;6
d、6eを介して接続されるサーバ3とを含み、
(d) 第1制御処理装置1は、
(d1) 第1メモリ10であって、
診療される1または複数の各動物毎に設けられる第1カルテ11であって、各動物の飼主に関する飼主情報と、各動物に関する識別情報と、第1診療医による診療データと、画像を含む検査データとを含む第1カルテ11と、
第1カルテ11から飼主情報の少なくとも一部を削除した第2カルテ12と、
第2カルテ12に、追加要求信号47に対応して第1診療医によって追加される追加検査データ16を含む第3カルテ13と、
第1~第3カルテ11~13を作成し、出力するためのマスタアプリケーションプログラム14とがストアされる第1メモリ10と、
(d2) マスタアプリケーションプログラム14を実行して、第1~第3カルテ11~13を作成して第1メモリ10にストアする第1処理回路17と、
(d3) 第1診療医によって選択された第2動物病院Dの第2診療医に診断を依頼する動物の依頼信号44と、その診断を依頼する動物の第2カルテ12と、マスタアプリケーションプログラム14と、追加要求信号47に対応する第3カルテ13とをサーバ3に出力し、
診断が依頼された動物の第2診療医による承諾信号46と診断レポート15とをサーバ3から受信して第1メモリ10にストアする第1制御通信回路18とを含み、
(e) サーバ3は、
(e1) 第1制御通信回路18と第2制御処理装置2とに通信回線5、6を介して接続されるサーバ制御通信回路38と、
(e2) サーバメモリ30と、
(e3) サーバ処理回路37であって、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第1制御通信回路18からの依頼信号44と第2カルテ12と第3カルテ13とマスタアプリケーションプログラム14とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第2制御処理装置2に送信し、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第2制御処理装置2からの承諾信号46と追加要求信号47と診断レポート15とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第1制御通信回路18に送信するサーバ処理回路37とを含み、
(f) 第2制御処理装置2は、
(f1) サーバ制御通信回路38からの依頼信号44を受信し、各動物毎の診療依頼を承諾するとき、各動物毎の承諾信号46をサーバ制御通信回路38に送信する第2制御通信回路28と、
(f2) 承諾信号46に対応した各動物毎の、サーバ3からダウンロードした第2カルテ12と第3カルテ13とマスタアプリケーションプログラム14とをストアする第2メモリ20と、
(f3) 第2メモリ20にストアされるマスタアプリケーションプログラム14を実行して、
第2カルテ12に含まれていない検査データを、追加検査データ16として要求する追加要求信号47を出力し、
第2診療医による第3カルテ13に基づく診断レポート15を作成する第2処理回路27とを含み、
(f4) 第2制御通信回路28は、第2処理回路27からの追加要求信号47と診断レポート15とをサーバ3に送信することを特徴とする動物の遠隔診療装置である。
【0013】
本発明は、
(a) 前述の動物の遠隔診療装置100を準備し、
(b) 第1動物病院Aの第1診療医は、1または複数の第2動物病院Dの第2診療医と、その診断を依頼する動物とを選択して、第1制御処理装置1の第1メモリ10にストアされている、診断を依頼する動物の第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とを、選択した第2動物病院Dのために第1制御通信回路18によって送信し、
(c) 第2動物病院Dの第2診療医は、第2制御処理装置2において、依頼された動物の診断を承諾し、その診断を依頼された動物の第2カルテ12に含まれていない検査データを、追加検査データ16として第1診療医に要求する追加要求信号47を、第2処理回路27によって出力し、第2制御通信回路28によって送信し、
(d) 第1動物病Aの第1診療医は、追加要求信号47による追加検査データ16を作成して第2カルテ12に含めた第3カルテ13を、選択した第2動物病院Dのために第1制御通信回路18によって送信し、
(e) 第2動物病院Dの第2診療医は、第2制御処理装置2において、第3カルテ13に基づく第2診療医による診断レポート15を作成し、その診断レポート15を第1動物病院Aのために第2制御通信回路28によって送信し、
(f) 第1動物病Aの第1診療医は、第1制御処理装置1にダウンロードされた第2診療医による診断レポート15に基づいて治療方針を決定することを特徴とする動物の遠隔診療方法である。
【0014】
本発明は、
飼主情報は、飼主の名前および住所のうち、少なくとも1つを含み、
動物に関する識別情報は、動物を識別するための数字および記号のうち、少なくとも1文字を含み、
診療データは、診察、診断、治療のためのワクチン、フィラリアおよびノミ予防のうち、少なくとも1つに関するデータを含み、
画像を含む検査データは、動物の身体のレントゲンに関する写真、血液検査および血液化学スクリーニング検査のうち、少なくとも1つに関するデータを含み、
第2カルテ12は、飼主の名前および住所を含まないことを特徴とする。
【0015】
本発明は、コンピュータによって、前述の動物の遠隔診療装置を機能させるコンピュータプログラムである。
【0016】
本発明は、前述のコンピュータプログラムがストアされる記録媒体である。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、動物の円滑、迅速な高度の診療を行なうことができる動物の遠隔診療装置100と、それを用いた遠隔診療方法とが実現できる。たとえば、1または複数の第1動物病院A、B、C(以下、総括してAのみで示す)の一般医である第1診療医は、1または複数の第2動物病院D、E(以下、総括してDのみで示す)の専門医である第2診療医に、診断を依頼する動物の第2カルテ12を送信し、第2診療医が、第2カルテ12に基づいて診断して、その診断結果を文字、図形、写真などで記載したデータである高度の診療の診断レポート15を作成し、第1診療医はその診断レポート15を得て診断、治療できる。さらに、第2診療医は、動物を診断して診断レポート15を作成するために、第2カルテ12だけでは足りないとき、追加検査データ16を第1診療医に追加要求でき、これによって第2診療医は、第2カルテ12とともに追加検査データ16を含むデータに基づいて、さらに高度の診療の診断レポート15を作成して、第1診療医に提供できる。
【0018】
本発明の実施の一形態では、第1制御処理装置1は第2診療医から追加要求された追加検査データ16だけを送信してもよいが、または、第2カルテ12とともに追加検査データ16を含む第3カルテを作成して送信してもよい。
【0019】
第1動物病院Aの第1制御処理装置1と第2動物病院Dの第2制御処理装置2とは、通信回線5、6を介してサーバ3に接続されるので、動物の高度の診療を円滑、迅速に行なうことができる。
【0020】
第1動物病院Aの第1制御処理装置1から第2動物病院Dの第2制御処理装置2には、第2カルテ12と、追加要求による追加検査データ16または第3カルテ13だけでなく、マスタアプリケーションプログラム14も同時に送信される。したがって、或る1つの第1制御処理装置1で実行されているマスタアプリケーションプログラム14が、たとえ、他の第2制御処理装置2で既に実行されているものと異なっていても、第2制御処理装置2では、第1制御処理装置1と同一のマスタアプリケーションプログラム14を新たに実行することによって、第2カルテ12を読み取ることができ、追加要求による追加検査データ16または第3カルテ13も読み取ることができ、また、診断レポート15を作成でき、その診断レポート15を第1制御処理装置1で受信して読み取ることができる。第2動物病院D、Eに送信されるマスタアプリケーションプログラム14は、第2診療医が診断レポート15を作成するために、また、追加検査データ16を第1診療医に追加要求するために必要な演算処理のためのプログラムだけでもよいが、さらに、その他のプログラムを含んでもよく、たとえば、各第1動物病院A、B、C毎の全ての実行環境のための演算処理のプログラムを含んでもよい。
【0021】
このことによって、たとえば、国が異なる不特定多数の第1制御処理装置1と不特定多数の第2制御処理装置2とがサーバ3に共通に接続される構成を実現できる。こうして、多数の第1診療医のうちの1人が多数の第2診療医のうちの1人または複数人から診断レポート15を受取ることができ、したがって、診断レポート15による高度の診療を得ることが確実である。
【0022】
本発明の実施の一形態では、第1制御処理装置1は、第2制御処理装置2に第2カルテ12を送信する際、併せてマスタアプリケーションプログラム14も送信しているので、その後、第1制御処理装置1から第2制御処理装置2に追加検査データ16を送信し、または第3カルテを送信する際、マスタアプリケーションプログラム14を併せて送信してもよいが、マスタアプリケーションプログラム14を送信しなくてもよい。
【0023】
第2診療医の第2制御処理装置2には、第1診療医の第1制御処理装置1から第2カルテ12が与えられ、この第2カルテ12は、第1カルテ11から顧客情報の少なくとも一部(たとえば、特定の飼主個人を識別できる名前、住所などの情報)を削除した情報である。したがって、第2診療医からの客観的な診断評価が得られやすくできる。第1カルテ11は、多くの顧客情報、ペット情報などを含み、第1処理回路17による第1動物病院Aの診療のために、また、各種の情報の検索などのために用いられる。
【0024】
第1カルテ11は、好ましくは、診療および検査の日付けを含んで診療および検査の結果の経過を観察して診療に用いることができるが、日付けを含まなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施の一形態を示す動物の遠隔診療装置100の構成を示すブロック図である。
図2】第1制御処理装置1の構成を示すブロック図である。
図3】第1メモリ10の一部の構成を示すブロック図である。
図4】第1制御処理装置1の入出力装置41によって目視表示される各画面をそれぞれ示す正面図である。
図5】第1処理回路17、第1制御通信回路18の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】サーバ3の構成を示すブロック図である。
図7】サーバ処理回路37、サーバ制御通信回路38の動作を説明するためのフローチャートである。
図8】第2制御処理装置2の構成を示すブロック図である。
図9】第2処理回路27、第2制御通信回路28の動作を説明するためのフローチャートである。
図10】DM発行装置4の構成を示すブロック図である。
図11】第1処理回路17、第1制御通信回路18の動作を説明するための図5に続くフローチャートである。
図12】サーバ処理回路37、サーバ制御通信回路38の動作を説明するための図7に続くフローチャートである。
図13】DM発行装置4のDM発行処理回路77、DM発行制御通信回路78、DM発行部79の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本件明細書中、動物の飼主を動物病院側からみて顧客ということがある。飼主である顧客およびペットなどの動物に関する情報、データなどの集合体をカルテと呼び、また、各カルテは、多くの情報、データなどの中から検索の演算処理によって得られたものを含み、たとえば、紙カルテで書く内容をパーソナルコンピューターなどで入出力し管理するシステムで用いられる、いわゆる電子カルテで実現されてもよい。本発明の精神は、顧客、ペットに限定されず、広範囲に解釈されるべきである。
【0027】
図1は、本発明の実施の一形態を示す、ダイレクトメールの発行を委託可能な動物の遠隔診療装置100の構成を示すブロック図である。
【0028】
ダイレクトメールの発行を委託可能な動物の遠隔診療装置100は、動物の円滑、迅速な高度の診療を行なうことを可能にする。
【0029】
動物の遠隔診療装置100は、(a)複数の各第1動物病院A、B、Cに備えられる、たとえば一般医である第1診療医のための第1制御処理装置1a、1b、1cと、(b)
複数の各第2動物病院D、Eに備えられる、たとえば専門医である第2診療医のための第2制御処理装置2d、2eと、(c)第1制御処理装置1と第2制御処理装置2とに通信回線5a、5b、5c;6d、6eを介してそれぞれ接続されるサーバ3とを含んで構成
される。さらにサーバ3には、第1動物病院Aの委託先Fに設置されるダイレクトメール(略称DM)発行装置4が通信回線7を介して接続される。
【0030】
図2は、第1制御処理装置1の構成を示すブロック図である。第1制御処理装置1は、第1メモリ10と、第1処理回路17と、第1制御通信回路18とを含む。第1処理回路17には、診療データなどのための入力キーボードなどと出力表示のための入出力装置41が接続され、診療および検査の各データの日付け、入力日時などの現在の時刻を表す信号を出力する時計回路42が備えられる。第1処理回路17には、検査装置8による検査データなどが与えられる。検査装置8は、たとえば、後述のとおり、血液に関する検査データ、レントゲン写真・エコー写真・顕微鏡による病理状態などの写真の検査データ、その他の検査データを出力して第1処理回路17に与え、第1メモリ10にストアされる。
【0031】
図3は、第1メモリ10の一部の構成を示すブロック図である。第1メモリ10には、第1カルテ11と、第2カルテ12と、第3カルテ13と、マスタアプリケーションプログラム14と、第2診療医による診断レポート15とを含んでストアされる。第1カルテ11は、診療される1または複数の各動物であるペット毎に設けられ、各ペットの飼主である顧客に関する顧客情報と、各動物であるペットに関する識別情報であるペット情報と、第1診療医による診療関連情報19とを含み、さらに、第1動物病院Aの名前などの、いわゆるヘッダ情報、および第2動物病院Dがあればその名前などを含む。顧客情報は、顧客の名前、住所、電子メールアドレスおよび顧客コードを含む。ペット情報は、ペットの名前、予め定めるダイレクトメール(略称DM)対象か否か、およびペットコードを含む。顧客コードおよびペットコードは、第1診療医以外の第2診療医などが特定の顧客個人および特定のペットを識別できないようにした、たとえば数字だけから成る識別コードである。診療関連情報19は、診察・診断・治療についての後述の診療データ52、53、55~57など、画像を含む検査データ54、予防接種・診療・検査の日付け・履歴などを含む。
【0032】
第2カルテ12は、第1カルテ11の顧客情報およびペット情報のうち、顧客コードおよびペットコードを含み、さらに第1カルテ11の診療関連情報19などを含む。
【0033】
第3カルテ13は、第2カルテ12に、後述の第2診療医による第2制御処理装置2からの追加要求信号47(図8を参照)に対応して第1診療医によって追加される追加検査データ16を含む。
【0034】
第1メモリ10にはさらに、帳票情報48とDM発行情報49などがストアされる。帳票情報48は、会計について顧客の料金、および薬剤についてペットの投薬(処方、調剤)、フード・食品、毛のトリミングなどを含む。
【0035】
DM発行情報49は、第1動物病院Aから、各顧客宛てにDMを発行して送付する作業を委託する会社などの委託先Fに供給する情報である。DM発行情報49の主な内容を挙げると、図3のとおり、たとえば、委託先Fの電子メールアドレス、文面、暑中見舞状、年賀状、ペットの写真などを含み、DMを送付するために必要な顧客の名前、住所、電子メールアドレスなどをさらに含む。文面は、予め定めるDM対象になっている顧客に送付する電子メール、はがき、暑中見舞状、年賀状などに記載する内容であり、たとえば、ペットのためのワクチン、フィラリア、ノミなどの予防のお知らせ、フィラリアのお知らせなどである。
【0036】
DM発行情報49のさらに詳細な内容の一例は、次の表1に示される。DM発行情報49は、合計3区分I、II、IIIの項目、すなわち、I予防毎、II顧客毎、およびIIIペット毎に分類される。DM発行情報49は、少なくとも、複数の動物の飼主の送付先である名前および住所72a(図4(10))、72b(図4(11))と、各動物毎の日付けを含む予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))と、飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))とを含む。
【0037】
第1処理回路17は、さらに第2制御処理装置2からサーバ3を介する診断レポート15に基づいて、予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))を適切に変更、訂正し、その結果、第1処理回路17は、たとえば、最後の接種日から予め定める日数が経過する日を演算して、DM発行予定日67g(図4(12))を求め、さらにDM発行情報49の飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))などを適切に変更、訂正する。したがって、動物病院Aに診療される各動物毎の予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))が記載されたDMが、DM発行予定日67g(図4(12))に発行される。さらに、DM発行情報49の飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))が第1処理回路17によって診断レポート15に基づいて変更されることもできる。DMの文面の内容は、このように、予防接種のお知らせ、フィラリアのお知らせ、診療問合せ、予後・手術後の経過など、投薬(処方、調剤)、フード・食品、毛のトリミング、およびその他を含んでもよい。これによって、動物病院Aにおける動物の飼主へのダイレクトメール(DM)を発行、送付する作業を可及的大きくに軽減することができる。
【0038】
【表1】
【0039】
図4は、第1制御処理装置1の入出力装置41によって目視表示される各画面をそれぞれ示す正面図である。各画面に表示されるペット毎の内容は、第1メモリ10にストアされる。これらの各画面のうち、図4(1)~図4(8)は第1~第3カルテ11~13に含まれる診療関連情報19の一部の具体例をそれぞれ示し、図4(9)~図4(11)はDM発行情報49の具体例をそれぞれ示し、図4(12)はDM発行情報49のDM発行装置4に送信する状態を示す。図4(12)のデータの一部は、DM発行装置4から送信されて第1制御処理装置1に受信された情報を含む。これらの図中、顧客、ペットの名前などは理解の便宜のための仮名である。
【0040】
図4(1)において、診療・検査の日付け51、診療データ52、53、レントゲン写真およびエコー画像などの画像の検査データ54などが含まれる。図4(2)において、診療データ55~57、使用される薬剤58などが含まれる。図4(3)において、ペットの血液の検査データ59およびその日付け59aなどが含まれる。図4(4)において、ペットの画像の検査データである身体の外観の写真60およびレントゲン写真61などが含まれ、さらにエコー検査のデータである写真が含まれ得る。図4(5)において、ペットの血液化学クリーニング検査のデータ62、身体の外観の写真63および病理検査の顕微鏡データである写真64などが含まれ、治療方針である診療データ65、さらにそれらの日付け67cなどが含まれる。図4(6)において、ペットの診療データなど、その日付け67d、治療期間67e、ペットの写真68a、ペットの種類(たとえば、犬)、品種(たとえば、ダックスフンド)、ペットの名前、飼主の名前、住所などが含まれる。図4(7)において、ペットの骨折などの診療データとその日付け67fなどが含まれる。図4(8)において、予防接種の日付け67aを含む履歴66および予防接種の予約67bなどが含まれる。図4(9)において、DM発行のためにDM発行情報49として、理解の便宜のための記載内容73のとおり、図4(10)の郵便はがき70の裏面70bに記載されるペットの選択される写真68bが含まれ、また、理解の便宜のためのデータである記載内容71のとおり、飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))を選択できる。図4(10)において、DMの郵便はがき70の宛名面70aにフィラリアのお知らせの予防接種を促す文面71aと、飼主の宛先である名前、住所72aが記載され、裏面70bに顧客のペットの写真またはその他のペットの写真が記載され、さらにDM発行の委託先Fによる費用、郵便はがき70の枚数などのデータ73などが記載される。図4(11)において、DMの電子メールのための文面71bであるフィラリアのお知らせとともにペットの診療問合せをする予め定める文面71bともに、飼主の宛先であるメールアドレス72bなどが記載される。図4(12)において、ダイレクトメール70を発行する業務の委託先FによるDM発行予定日である郵便はがき70の投函予定日67g、費用、枚数などのデータが記載される。
【0041】
図2図3を再び参照して、第1処理回路17は、第1メモリ10にストアされているマスタアプリケーションプログラム14を実行して、第1~第3カルテ11~13を作成して第1メモリ10にストアする。第1制御通信回路18は、第1診療医によって選択された第2動物病院Dの第2診療医に診断を依頼する動物の依頼信号44と、その診断を依頼するペットの第2カルテ12と、マスタアプリケーションプログラム14と、追加要求信号47(図8)に対応する第3カルテ13とをサーバ3に出力し、診断が依頼されたペットの第2診療医による承諾信号46(図8)と診断レポート15とをサーバ3から受信して第1メモリ10にストアする。第1処理回路17、第1制御通信回路18は、マスタアプリケーションプログラム14などを実行するコンピュータによって実現される。
【0042】
図5は、第1処理回路17、第1制御通信回路18の動作を説明するためのフローチャートである。ステップr1からr2に移り、診療するペットの第1カルテ11を作成する。ステップr3において、第1診療医が入出力装置41によって遠隔診療の指示がなければ、ステップr4でDM発行の業務委託の指示があるかどうかを判断する。ステップr3で遠隔診療の指示があることが判断されると、ステップr5で第2カルテ12を作成する。ステップr6で第1診療医による診療の依頼先である1または複数の第2動物病院Dの第2診療医が指定されると、第1制御通信回路18は、サーバ3に、その指定された第2動物病院Dのためにステップr7で依頼信号44を出力し、ステップr8で第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とを出力する。
【0043】
指定された第2動物病院Dの第2制御処理装置2で、サーバ3を介する依頼信号44を受信し、マスタアプリケーションプログラム14を実行して第2診療医が第2カルテ12を検討し、その結果、診療の依頼を承諾するとき、第2制御処理装置2から承諾信号46が送信される(後述の図9のステップu5を参照)。承諾信号46はサーバ3を介して第1制御通信回路18に与えられ、ステップr9で受信され、ステップr10で依頼信号44の出力が停止される。本発明の実施の他の形態では、診療を依頼した複数の各第2動物病院Dのそれぞれの承諾によって各診断レポート15を得たいとき、各第2動物病院Dからの承諾信号46の受信回数を計数して診療を依頼した数に到達した時点で、依頼信号44の出力が停止されるように構成してもよい。
【0044】
ステップr11で、第2動物病院Dの第2制御処理装置2からのサーバ3を介する追加要求信号47を受信したかが判断される。第2制御処理装置2において、第2診療医が第2カルテ12だけでは不足であり、ペットの正確な診断のために第1診療医から追加検査データ16の追加送付を要求するとき、その追加検査データ16の追加要求信号47が送信され、サーバ3を介して第1制御通信回路18で受信される。
【0045】
ステップr11で追加要求信号47が受信されなければ、ステップr12で、第2制御処理装置2からの第2診療医による第2カルテ12だけに基づいて作成された診断レポート15を受信し、ステップr13で第1メモリ10にストアする。第1診療医は、第2診療医による診断レポート15に基づいてペットのための治療方針を決定して高度な診療を行なうことができる。次のステップr14で動作を終了する。
【0046】
ステップr11で追加要求信号47が受信されると、ステップr15で第1診療医は、追加要求信号47によって要求される追加検査データ16を作成して入力し、ステップr16で第1処理回路17によって第1メモリ10にストアされ、第1処理回路17は、第2カルテ12に追加検査データ16を含む第2診療医のための第3カルテ13を作成する。ステップr17で第1制御通信回路18は、第3カルテ13とマスタアプリケーションプログラム14とを、サーバ3を介して第2制御処理装置2に送信し、ステップr12で第2診療医による第2カルテ12に追加検査データ16を含む第3カルテ13に基づいて作成された診断レポート15を受信し、ステップr13で第1メモリ10にストアされる。こうして、第1診療医は、第3カルテ13に基づいて作成された第2診療医による診断レポート15からペットのための治療方針を決定して高度な診療を行なうことができる。
【0047】
本発明の実施の他の形態では、ステップr16、r17に代えて、先にステップr8で送信した第2カルテ12の情報とマスタアプリケーションプログラム14との送信を省略して第3カルテ13を作成、送信することなく、追加検査データ16だけを、またはその追加検査データ16を特定するためのペットコードなどとともに送信してもよい。
【0048】
依頼信号44はそれを送信した第1制御処理装置1を特定するコード信号などを含み、承諾信号46、追加要求信号47はそれらを送信した第2制御処理装置2を特定するコード信号などを含んで構成し、これによって、第1制御処理装置1と第2制処理装置2とは相互に情報、データなどの信号の授受を正確に行なうことができる。
【0049】
図6は、サーバ3の構成を示すブロック図である。サーバ3は、サーバ制御通信回路38と、サーバメモリ30と、サーバ処理回路37とを含む。サーバ制御通信回路38は、第1制御通信回路18と第2制御処理装置2とに通信回線5、6を介して接続される。
【0050】
サーバ処理回路37は、サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第1制御通信回路18からの依頼信号44と第2カルテ12と第3カルテ13とマスタアプリケーションプログラム14とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第2制御処理装置2に送信する。また、サーバ処理回路37は、サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第2制御処理装置2からの承諾信号46と追加要求信号47と診断レポート15とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第1制御通信回路18に送信する。サーバ処理回路37、サーバ制御通信回路38は、マスタアプリケーションプログラム14などを実行するコンピュータによって実現される。
【0051】
図7は、サーバ処理回路37、サーバ制御通信回路38の動作を説明するためのフローチャートである。ステップs1からs1aに移り、第1制御処理装置1からのDM発行を委託するための信号を受信していなければ、次のステップs1bに移り、第1制御通信回路18からの前述の図5のステップr7の実行による依頼信号44を受信したことが判断されると、ステップs2で第1制御通信回路18からの前述の図5のステップr8の実行による第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とを受信して、サーバ処理回路37はサーバメモリ30にストアする。次のステップs3でサーバメモリ30にストアされている依頼信号44と第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とを、サーバ制御通信回路38から第2制御処理装置2に送信する。
【0052】
ステップs4で第2制御処理装置2からの承諾信号46をサーバ制御通信回路38が受信したかが判断される。第1診療医によって指定された第2動物病院Dの第2制御処理装置2で、前述のとおり、サーバ3からの依頼信号44を受信し、マスタアプリケーションプログラム14を実行して第2診療医が第2カルテ12を検討した結果、診療の依頼を承諾するとき、第2制御処理装置2から承諾信号46がサーバ3に送信される。サーバ制御通信回路38が承諾信号46を受信しなければ、ステップs5で動作を終了する。
【0053】
ステップs4で第2制御処理装置2からの承諾信号46をサーバ制御通信回路38が受信すれば、サーバ処理回路37はサーバメモリ30にストアし、ステップs6でその承諾信号46を第1制御処理装置1に送信し、前述の図5のステップr9が実行される。
【0054】
ステップs7で第2制御処理装置2からの追加要求信号47をサーバ制御通信回路38が受信したかが判断される。ステップs7で追加要求信号47を受信しなければ、次のステップs11で第2制御処理装置2からの第2診療医による第2カルテ12だけに基づいて作成された診断レポート15を受信すると、ステップs12でサーバ処理回路37は診断レポート15をサーバメモリ30にストアし、サーバ制御通信回路38は、その診断レポート15を第1制御処理装置1に送信する。これによって第1制御処理装置1では、前述の図5のステップr12が実行される。
【0055】
第2診療医が、ペットの正確な診断のためには第2カルテ12だけでは不足であって、第1診療医から追加検査データ16の追加送付を要求するために、第2制御処理装置2から追加検査データ16の追加要求信号47が送信される。
【0056】
ステップs7で追加要求信号47をサーバ制御通信回路38が受信すると、サーバ処理回路37はサーバメモリ30にストアする。サーバ制御通信回路38は、その追加要求信号47をステップs8で第1制御処理装置1に送信し、前述の図5のステップr11が実行される。これによって、第1診療医は、追加要求信号47によって要求される追加検査データ16を作成し、前述の図5のステップr16、r17で第2カルテ12に追加検査データ16を含む第2診療医のための第3カルテ13が作成、送信される。
【0057】
ステップs9でサーバ制御通信回路38が第1制御通信回路18からの第3カルテ13を受信すると、サーバ処理回路37はサーバメモリ30にストアし、ステップs10でサーバ制御通信回路38が第2制御処理装置2に送信する。したがって、第2診療医は、第2カルテ12に追加検査データ16を含む第3カルテ13に基づいて診断レポート15を作成することができる。第2制御処理装置2からの第3カルテ13に基づく診断レポート15が、前述と同じように、ステップs11でサーバ制御通信回路38によって受信されると、サーバ処理回路37はサーバメモリ30にストアし、サーバ制御通信回路38は、その診断レポート15を第1制御処理装置1に送信する。したがって、第1診療医は、第3カルテ13に基づいて作成された第2診療医による診断レポート15から高度な診療を行なうことができる。
【0058】
図8は、第2制御処理装置2の構成を示すブロック図である。第2制御処理装置2は、第2制御通信回路28と、第2メモリ20と、第2処理回路27とを含む。第2メモリ20は、承諾信号46に対応した各ペット毎の、サーバ3からダウンロードした第2カルテ12と第3カルテ13とマスタアプリケーションプログラム14とをストアする。第2制御通信回路28は、サーバ制御通信回路38との間で、依頼信号44を受信し、第2診療医が各ペット毎の診療依頼を承諾するとき、各ペット毎の承諾信号46を送信し、第2カルテ12に含まれていない検査データを追加検査データ16として第2診療医が要求する第2処理回路27からの追加要求信号47を送信し、追加要求信号47に対応する第1診療医による追加検査データ16を受信し、第2処理回路27からの診断レポート15を送信する。第2処理回路27は、第2メモリ20にストアされるマスタアプリケーションプログラム14を実行して、第2カルテ12に含まれていない検査データを、追加検査データ16として要求する追加要求信号47を出力し、第2診療医による第3カルテ13に基づく診断レポート15を作成する。
【0059】
図9は、第2処理回路27、第2制御通信回路28の動作を説明するためのフローチャートである。ステップu1からu2に移り、サーバ3を介して、第1制御通信回路18からの前述の図5のステップr7の実行による依頼信号44を受信したことが判断されると、ステップu3で第1制御通信回路18からの前述の図5のステップr8の実行による第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とを受信して、第2処理回路27は第2メモリ20にストアする。マスタアプリケーションプログラム14を実行することによって、第2診療医が第2カルテ12を検討することができる。その検討の結果、第2診療医が診療の依頼を承諾するとき、ステップu4で入出力装置43を操作して第2処理回路27から承諾信号46の送信が判断されると、ステップu5で第2制御通信回路28が承諾信号46をサーバ3に送信する。第1制御処理装置1における承諾信号46の受信は、前述の図5のステップr9で判断される。第2診療医が第2カルテ12を検討するなどした結果、診療の依頼を承諾しないとき、承諾信号46を送信せず、ステップu4からu12に移って動作を終了する。
【0060】
第2診療医が第2カルテ12を検討して追加検査データ16無しでペットを診断できるならば、ステップu6で第1診療医への追加検査データ16の追加送付を要求せずに、したがって、追加要求信号47を送信しない。次のステップu10で第2診療医は第2カルテ12に基づいて診断レポート15を作成、入力し、ステップu11で第2制御通信回路28は診断レポート15を送信し、サーバ3を介して第1制御処理装置1において前述の図5のステップr12で受信され、第1診療医が受け取ることができる。
【0061】
ステップu6で第2診療医が第2カルテ12だけでは不足であり、ペットの正確な診断のために第1診療医から追加検査データ16の追加送付を要求するとき、ステップu7でその追加検査データ16の追加要求信号47が送信される。
【0062】
この追加要求信号47は、サーバ3を介して第1制御通信回路18において前述の図5のステップr11で受信される。第1診療医は、追加要求信号47によって要求される追加検査データ16を作成する。ステップr17で第2カルテ12に追加検査データ16を含む第2診療医のための第3カルテ13は、マスタアプリケーションプログラム14とともに第1制御通信回路18によって送信される。
【0063】
第2制御通信回路28は、サーバ3を介する第3カルテ13とマスタアプリケーションプログラム14との受信をステップu8で判断してステップu9で受信して第2メモリ20にストアする。第2診療医は、第2カルテ12に追加検査データ16を含む第3カルテ13に基づいて診断レポート15を作成する。ステップu10で入力された診断レポート15は、ステップu11で第2制御通信回路28から送信され、サーバ3を介して第1制御通信回路18におけるステップr12で受信され、第1診療医に得られる。1診療医は、第2診療医による診断レポート15によって高度な診療を行なうことができる。
【0064】
図10は、DM発行装置4の構成を示すブロック図である。DM発行装置4は、DM発行制御通信回路78とDM発行メモリ76とDM発行部79とを含む。DM発行制御通信回路78は、第1制御通信回路18からのサーバ3を介するDM発行情報49を受信する。DM発行メモリ76は、DM発行制御通信回路78によって受信されたDM発行情報49をストアする。DM発行部79は、DM発行メモリ76にストアされるDM発行情報49によって、各動物毎に飼主の送付先にDM発行予定日67g(図4(12))にDMを発行する。
【0065】
図11は、図2に示される第1処理回路17、第1制御通信回路18の動作を説明するための図5に続くフローチャートである。前述の図5のステップr4で入出力装置41によるDM発行の業務委託の指示があることが判断されると、図11のステップr20に移り、第1メモリ10からペットの名前、予め定めるDM対象か否かなどのペット情報を読み出し、ステップ21で顧客の名前、住所、電子メールアドレスなどを読み出す。ステップ22で各動物毎の日付けを含む予防接種の履歴67a、67b(図4(8))を読み出し、ステップ23で日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))を読み出す。
【0066】
ステップ24で、日付けを含む予防接種の履歴67a、67b(図4(8))から次回の予防接種の予定日を、したがって、その次回の予防接種の予定日の前に対応する適切なDM発行予定日を、第1処理回路17の演算によって、または入出力装置41によって、決定する。また、診断レポート15に基づく適切に変更、訂正されることもあり得る、日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))についても同じように、動物の診療問合せをするための適切なDM発行予定日を決定する。ステップ25で、飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))を、第1処理回路17の演算によって、または入出力装置41によって、決定する。こうしてステップ26で第1メモリ10のDM発行情報49を作成して、ステップ27で第1制御通信回路18によって、サーバ3に送信し、図5のステップr14に戻る。
【0067】
図12は、図2に示されるサーバ処理回路37、サーバ制御通信回路38の動作を説明するための図7に続くフローチャートである。前述の図7のステップs1aで入出力装置41によるDM発行の業務委託の指示があることが判断されると、図12のステップs20に移り、DM発行情報49を受信してサーバメモリ30にストアして、ステップs21でDM発行装置4に送信する。その後、図5のステップs5に戻る。
【0068】
図13は、DM発行装置4のDM発行処理回路77、DM発行制御通信回路78、DM発行部79の動作を説明するためのフローチャートである。ステップq1からq2に移り、DM発行制御通信回路78がDM発行情報49を受信したかを判断し、DM発行情報49を受信したとき、ステップq3でDM発行メモリ76にストアする。ステップq4でDM発行の業務委託を、たとえば前述の図4(12)のとおり、受けると、その委託の確認を、DM発行制御通信回路78からサーバ3を介して第1制御処理装置1に返信する。ステップq5で、DM発行部79はDM75を発行し、たとえば、図4(10)のとおり、郵便はがき70にプリンタによって印刷して投函し、また、インターネットなどの通信回線9を介する電子メールなどで、図4(11)のとおり、たとえば、飼主の端末装置に送信する。
【0069】
本発明の実施の他の形態では、第1制御処理装置1とDM発行装置4とのサーバ3を介する構成に代えて、サーバ3を省略して第1制御処理装置1とDM発行装置4とが通信回線を介して接続されてもよい。
【0070】
本発明は、次の実施の形態(1)~(5)が可能である。
【0071】
構成要素の参照符について、簡潔のために、総括してA、B、CをAのみで、D、EをDのみで示すことがあり、数字の個別的な添え字a、bなどを省略して総括的に1a、1b、1cを1で、2d、2eを2で、5a、5b、5c;6d、6eを5、6などで示す
ことがある。
【0072】
(1) 実施の形態は、
(a) 動物病院Aに設けられる制御処理装置1と、ダイレクトメール75を発行する業務の委託先Fに設けられるDM発行装置4とが通信回線5、7を介して接続され、
(b) 制御処理装置1は、
(b1) 第1メモリ10であって、
複数の動物の飼主の送付先である名前および住所72a(図4(10))、72b(図4(11))と、
各動物毎の日付けを含む予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))と、
飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))とを含むDM発行情報49をストアする第1メモリ10と、
(b2) 第1処理回路17であって、
予防接種の日付け67a、67b(図4(8))または診療データの日付け51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))に基づいてDM発行予定日67g(図4(12))を演算し、そのDM発行予定日と、DM発行予定日に対応する予防接種または診療問合せの文面71a(図4(10))、71b(図4(11))とを含むDM発行情報49(図3、表1)を作成して第1メモリ10にストアする第1処理回路17と、
(b3) 第1メモリ10のDM発行情報49をDM発行装置4に通信回線5、7を介して送信する第1制御通信回路18とを含み、
(c) DM発行装置4は、
(c1) 第1制御通信回路18からのDM発行情報49を受信するDM発行制御通信回路78と、
(c2) DM発行制御通信回路78によって受信されたDM発行情報49をストアするDM発行メモリ76と、
(c3) DM発行メモリ76にストアされるDM発行情報49によって、各動物毎に飼主の送付先にDM発行予定日67g(図4(12))にDMを発行するDM発行部79とを含むことを特徴とするダイレクトメール発行業務を委託可能な動物の診療装置。
【0073】
(2) 実施の形態は、
DM発行部79は、各飼主宛て72a(図4(10))、72b(図4(11))に、郵便はがき70に印刷し、または通信回線9(図2図10)を介してメール(図4(11))を送信することを特徴とする。
【0074】
(3) 実施の形態は、
DM発行情報49は、各動物の同一種類の予め定める複数の写真68a(図4(6))、68b(図4(9))のうちの1つを含むことを特徴とする。
【0075】
(4) 実施の形態は、
(a) 第1動物病院Aに備えられる第1診療医のための第1制御処理装置1と、
(b) 第2動物病院Dに備えられる第2診療医のための第2制御処理装置2と、
(c) ダイレクトメール75を発行する業務の委託先Fに設けられるDM発行装置4と、
(d) 第1制御処理装置1と第2制御処理装置2とDM発行装置4とに通信回線5、6、7を介して接続されるサーバ3とを含み、
(e) 第1制御処理装置1は、
(e1) 第1メモリ10であって、
診療される1または複数の各動物毎に設けられる第1カルテ11であって、各動物の飼主に関する飼主情報と、各動物に関する識別情報と、第1診療医による診療データと、画像を含む検査データとを含む第1カルテ11と、
第1カルテ11から飼主情報の少なくとも一部を削除した第2カルテ12と、
第1カルテ11と第2カルテ12とを作成し、出力するためのマスタアプリケーションプログラム14とがストアされ、さらに
DM発行情報49がストアされ、このDM発行情報49は、
複数の動物の飼主の送付先である名前および住所72a(図4(10))、72b(図4(11))と、
各動物毎の日付けを含む予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))と、
飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))とを含み、
第2制御処理装置2からサーバ3を介する診断レポート15とその診断レポート15に基づく予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))が変更されてストアされる第1メモリ10と、
(e2) マスタアプリケーションプログラム14を実行して、第1カルテ11と第2カルテ12とを作成して第1メモリ10にストアする第1処理回路17と、
(e3) 第1診療医によって選択された第2動物病院Dの第2診療医に診断を依頼する動物の依頼信号44と、その診断を依頼する動物の第2カルテ12と、マスタアプリケーションプログラム14と、さらにDM発行情報49とをサーバ3に出力し、
診断が依頼された動物の第2診療医による承諾信号46と診断レポート15とをサーバ3から受信して第1メモリ10にストアする第1制御通信回路18とを含み、
(f) サーバ3は、
(f1) 第1制御通信回路18と第2制御処理装置2とに通信回線5、6を介して接続されるサーバ制御通信回路38と、
(f2) サーバメモリ30と、
(f3) サーバ処理回路37であって、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第1制御通信回路18からの依頼信号44と第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第2制御処理装置2に送信し、さらに
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第1制御通信回路18からのDM発行情報49をストアして、サーバ制御通信回路38によってDM発行情報49をDM発行装置4に送信し、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第2制御処理装置2からの承諾信号46と診断レポート15とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第1制御通信回路18に送信するサーバ処理回路37とを含み、
(g) 第2制御処理装置2は、
(g1) サーバ制御通信回路38からの依頼信号44を受信し、各動物毎の診療依頼を承諾するとき、各動物毎の承諾信号46をサーバ3に送信する第2制御通信回路28と、
(g2) 承諾信号46に対応した各動物毎の、サーバ3からダウンロードした第2カルテ12とマスタアプリケーションプログラム14とをストアする第2メモリ20と、
(g3) 第2メモリ20にストアされるマスタアプリケーションプログラム14を実行して、
第2診療医による第2カルテ12に基づく診断レポート15を作成する第2処理回路27とを含み、
(g4) 第2制御通信回路28は、第2処理回路27からの診断レポート15をサーバ3に送信し、
(h) DM発行装置4は、
(h1) 第1制御通信回路18からサーバ制御通信回路38を介してDM発行情報49を受信するDM発行制御通信回路78と、
(h2) DM発行制御通信回路78によって受信されたDM発行情報49をストアするDM発行メモリ76と、
(h3) DM発行メモリ76にストアされるDM発行情報49によって、各動物毎に飼主の送付先にDM発行予定日67g(図4(12))にDMを発行するDM発行部79とを含むことを特徴とするダイレクトメール発行業務を委託可能な動物の診療装置。
【0076】
(5) 実施の形態は、
(a)第1動物病院Aに備えられる第1診療医のための第1制御処理装置1と、
(b) 第2動物病院Dに備えられる第2診療医のための第2制御処理装置2と、
(c) ダイレクトメール75を発行する業務の委託先Fに設けられるDM発行装置4と、
(d) 第1制御処理装置1と第2制御処理装置2とDM発行装置4とに通信回線5、6、7を介して接続されるサーバ3とを含み、
(e) 第1制御処理装置1は、
(e1) 第1メモリ10であって、
診療される1または複数の各動物毎に設けられる第1カルテ11であって、各動物の飼主に関する飼主情報と、各動物に関する識別情報と、第1診療医による診療データと、画像を含む検査データとを含む第1カルテ11と、
第1カルテ11から飼主情報の少なくとも一部を削除した第2カルテ12と、
追加要求信号47に対応して第1診療医によって追加される追加検査データ16と、
第1カルテ11と第2カルテ12と追加検査データ16とを作成し、出力するためのマスタアプリケーションプログラム14とがストアされ、さらに
DM発行情報49がストアされ、このDM発行情報49は、
複数の動物の飼主の送付先である名前および住所72a(図4(10))、72b(図4(11))と、
各動物毎の日付けを含む予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))と、
飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))とを含み、
第2制御処理装置2からサーバ3を介する診断レポート15とその診断レポート15に基づく予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))が変更されてストアされる第1メモリ10と、
(e2) マスタアプリケーションプログラム14を実行して、第1カルテ11と第2カルテ12と追加検査データ16とを作成して第1メモリ10にストアする第1処理回路17と、
(e3) 第1診療医によって選択された第2動物病院Dの第2診療医に診断を依頼する動物の依頼信号44と、その診断を依頼する動物の第2カルテ12と、マスタアプリケーションプログラム14と、追加要求信号47に対応する追加検査データ16と、さらにDM発行情報49とをサーバ3に出力し、
診断が依頼された動物の第2診療医による承諾信号46と診断レポート15とをサーバ3から受信して第1メモリ10にストアする第1制御通信回路18とを含み、
(f) サーバ3は、
(f1) 第1制御通信回路18と第2制御処理装置2とに通信回線5、6を介して接続されるサーバ制御通信回路38と、
(f2) サーバメモリ30と、
(f3) サーバ処理回路37であって、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第1制御通信回路18からの依頼信号44と第2カルテ12と追加検査データ16とマスタアプリケーションプログラム14とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第2制御処理装置2に送信し、さらに
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第1制御通信回路18からのDM発行情報49をストアして、サーバ制御通信回路38によってDM発行情報49をDM発行装置4に送信し、
サーバメモリ30に、サーバ制御通信回路38が受信した第2制御処理装置2からの承諾信号46と追加要求信号47と診断レポート15とをストアして、サーバ制御通信回路38によって第1制御通信回路18に送信するサーバ処理回路37とを含み、
(g) 第2制御処理装置2は、
(g1) サーバ制御通信回路38からの依頼信号44を受信し、各動物毎の診療依頼を承諾するとき、各動物毎の承諾信号46をサーバ制御通信回路38に送信する第2制御通信回路28と、
(g2) 承諾信号46に対応した各動物毎の、サーバ3からダウンロードした第2カルテ12と追加検査データ16とマスタアプリケーションプログラム14とをストアする第2メモリ20と、
(g3) 第2メモリ20にストアされるマスタアプリケーションプログラム14を実行して、
第2カルテ12に含まれていない検査データを、追加検査データ16として要求する追加要求信号47を出力し、
第2診療医による追加検査データ16に基づく診断レポート15を作成する第2処理回路27とを含み、
(g4) 第2制御通信回路28は、第2処理回路27からの追加要求信号47と診断レポート15とをサーバ3に送信し、
(h) DM発行装置4は、
(h1) 第1制御通信回路18からサーバ制御通信回路38を介してDM発行情報49を受信するDM発行制御通信回路78と、
(h2) DM発行制御通信回路78によって受信されたDM発行情報49をストアするDM発行メモリ76と、
(h3) DM発行メモリ76にストアされるDM発行情報49によって、各動物毎に飼主の送付先にDM発行予定日67g(図4(12))にDMを発行するDM発行部79とを含むことを特徴とするダイレクトメール発行業務を委託可能な動物の診療装置。
【0077】
前記実施の形態(1)~(5)の効果
本件明細書中、顧客情報における飼主の名前、住所72a(図4(10))、72b(図4(11))は、インターネットの電子メールなどのメールアドレスなどをも含み、メールアドレスは、たとえば、「アカウント名@(アットマーク)ドメイン名」の形式で表わされる。
【0078】
前記実施の形態によれば、動物病院Aに設けられる制御処理装置1の第1メモリ10にストアされるDM発行情報49が通信回線5、7を介して、さらにサーバ3を介して送信され、ダイレクトメール75を発行する業務の委託先Fに設けられるDM発行装置4のDM発行メモリ76にストアされ、DM発行部79が、DM発行情報49によって、各動物毎に飼主の送付先72a(図4(10))、72b(図4(11))にDM75を発行する。DM75は、典型的には郵便はがき70であり、電子メールなども含む概念である。DM発行情報49は、各動物毎の日付けを含む予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))とを含み、さらに第2制御処理装置2からサーバ3を介する診断レポート15に基づく予防接種の履歴67a、67b(図4(8))および日付けを含む診療データの履歴51(図4(1))、67c(図4(5))、67d、67e(図4(6))、67f(図4(7))が変更され、その結果、第1処理回路17はDM発行予定日67g(図4(12))を演算する。したがって、動物病院Aに診療される各動物毎の予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))が記載されたDMが、DM発行予定日67g(図4(12))に発行される。さらに、DM発行情報49の飼主への予防接種を促す予め定める文面71a(図4(10))および動物の診療問合せをする予め定める文面71b(図4(11))が第1処理回路17によって診断レポート15に基づいて変更されることもできる。これによって、動物病院における動物の飼主へのダイレクトメール(DM)75を発行、送付する作業を可及的大きくに軽減することができる。
【0079】
また、前記実施の形態によれば、動物の円滑、迅速な高度の診療を行なうことができる動物の遠隔診療装置100と、それを用いた遠隔診療方法とが実現できる。たとえば、第1動物病院Aの一般医である第1診療医は、第2動物病院Dの専門医である第2診療医に、診断を依頼する動物の第2カルテ12を送信し、第2診療医が、第2カルテ12に基づいて診断して、その診断結果を文字、図形、写真などで記載したデータである高度の診療の診断レポート15を作成し、第1診療医はその診断レポート15を得て診断、治療できる。さらに、第2診療医は、動物を診断して診断レポート15を作成するために、第2カルテ12だけでは足りないとき、追加検査データ16を第1診療医に追加要求でき、これによって第2診療医は、第2カルテ12とともに追加検査データ16を含むデータに基づいて、さらに高度の診療の診断レポート15を作成して、第1診療医に提供できるようにしてもよい。
【0080】
第2診療医の第2制御処理装置2には、第1診療医の第1制御処理装置1から第2カルテ12が与えられ、この第2カルテ12は、第1カルテ11から顧客情報の少なくとも一部(たとえば、特定の飼主個人を識別できる名前、住所などの情報)を削除した情報であり、動物の飼主の宛て先、すなわち送付先である名前および住所72a(図4(10))、72b(図4(11))は、第2診療医の第2制御処理装置2には送信されない。したがって、第2診療医からの客観的な診断評価が得られやすくできる。
【0081】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、改良等が可能である。前述の実施の各形態をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 第1制御処理装置
2 第2制御処理装置
3 サーバ
4 DM発行装置
5、6、7、9 通信回線
8 検査装置
10 第1メモリ
11 第1カルテ
12 第2カルテ
13 第3カルテ
14 マスタアプリケーションプログラム
15 診断レポート
16 追加検査データ
17 第1処理回路
18 第1制御通信回路
20 第2メモリ
27 第2処理回路
28 第2制御通信回路
30 サーバメモリ
37 サーバ処理回路
38 サーバ制御通信回路
44 依頼信号
46 承諾信号
47 追加要求信号
49 DM発行情報
51、67c、67d、67e、67f 診療データの日付け、履歴
67a、67b 予防接種の日付け、履歴
67g DM発行予定日
68a、68b 写真
70 郵便はがき
71a、71b 文面
72a、72b 名前および住所
75 ダイレクトメール
76 DM発行メモリ
78 DM発行制御通信回路
79 DM発行部
A、B、C 第1動物病院
D、E 第2動物病院
F DM発行業務の委託先
【要約】
【課題】
動物病院Aにおける一般医の第1診療医が、不得手な医療分野について、他の動物病院Dにおける専門医の第2診療医から診断レポート15を得て、専門医の得意な医療知識で補完し、円滑、迅速な高度の診療を行なう。
【解決手段】
第1動物病院Aの第1診療医は第1制御処理装置1から、第2動物病院Dの第2診療医の第2制御処理装置1に、サーバ3を介して、動物の飼主の名前、住所を含まない第2カルテ12を送信し、第2診療医が、第2カルテ12に基づいて診断して診断レポート15を作成し、第1診療医はその診断レポート15を得て診断、治療できる。さらに第2診療医は、追加検査データ16を第1診療医に追加要求し、第2カルテ12と追加検査データ16とに基づいて、診断レポート15を作成することもできる。
【選択図】 図1
図1
図2
図3
図4-1】
図4-2】
図4-3】
図4-4】
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図5-1】
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図6
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