(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】機能性プロペラファン
(51)【国際特許分類】
F04D 25/08 20060101AFI20240201BHJP
F04D 29/52 20060101ALI20240201BHJP
F04D 29/70 20060101ALI20240201BHJP
F04D 29/34 20060101ALI20240201BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20240201BHJP
A01M 1/00 20060101ALI20240201BHJP
A01G 7/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F04D25/08 307E
F04D25/08 305H
F04D29/52 E
F04D29/70 N
F04D29/34 L
A61L9/16 Z
A01M1/00 G
A01G7/00 604D
(21)【出願番号】P 2022509774
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2020012674
(87)【国際公開番号】W WO2021191960
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】594103862
【氏名又は名称】松井 嗣光
(74)【代理人】
【識別番号】240000039
【氏名又は名称】弁護士法人 衞藤法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松井 嗣光
【審査官】山崎 孔徳
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-011140(JP,U)
【文献】特開2011-045354(JP,A)
【文献】特開2017-089479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 25/08
F04D 29/52
F04D 29/70
F04D 29/34
A61L 9/16
A01M 1/00
A01G 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転駆動軸に取付けられるハブの周囲に複数の翼ブレードを固着してなるプロペラファンにおいて、
前記ハブ
は蓋体にて塞がれる前面凹所を有する非磁性体製の筒状に形成され、その外周部には径方向に延びる翼ブレードが周方向等間隔に固着され、当該凹所に任意の間隔をおいて穿設された複数の磁石嵌装孔に永久磁石が各々嵌合固着されてバブの円周に沿って等間隔に放射状に配置
されると共に、
プロペラファン全体を覆うアルミニウム製の格子カバーを介して前記ハブと対峙する位置に設けた開口に円盤状加熱金属体を着脱可能に設け、温風の送風の際には、円盤状加熱金属体を格子カバーの開口に取り付けた状態で当該ハブを回動すること、
涼風の送風の際には当該円盤状加熱金属体を格子カバーの開口から取り外した状態で当該ハブを回動することで、N極、S極の交番磁界を創出しながら送風する
こと、さらに、
前記翼ブレードの表面に、軸芯に対して翼ブレードの回転方向に対する前側の縁から後側の縁に向かって、内側又は外側に傾斜するように複数の溝条を設け、送風の拡散又は収束を行うことを特徴とする機能性プロペラファン。
【請求項2】
ハブと連結されるモーターの回転軸方向における一対の翼ブレードの取付角αと同じ角度で逆向き、すなわち、角度(-α)で、他方の翼ブレードが、ハ
ブを起点に、その傾斜方向が前後に相対向するように取付けたことを特徴とする請求項1記載の機能性プロペラファン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機能性プロペラファンに関し、特に、屋内においては空調設備、飛散有機物の分解機能による消臭、空気浄化、害虫、細菌及びウィルスの忌避及び除菌、屋外においては圃場の植物育成に資すると共に、害虫駆除等の各種機器又はその一部として好適に用いられる機能性プロペラファンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅、事務所や工場の作業空間等のワークスペースはもとより、病院及び高齢者収容施設等の病室や居室においては、扇風機、エアーコンディショナー(以下、エアコンと称す)等の各種冷暖房空調設備が設けられており、雰囲気中の脱臭等の空気清浄を兼ねたものや空気清浄、除菌消臭に特化した設備が設けられている。その中に、磁場あるいは磁気の機能性を採用した装置がある。
【0003】
例えば、特許文献1には、有機溶剤を使用する化学工場、ゴム加工工場、塗装工場等において発生する炭化水素成分排気の脱臭を行うために、臭気ガスを磁場が形成され、加熱された酸化銅粉及び鉄粉中を通過させる方法及びその装置が開示されている。当該文献によれば、ドラム内に発生した磁場により臭気ガスを伴う空気中の酸素が臭気成分を酸化分解するとされている。また、特許文献2には、空気通路内に磁気発生手段(永久磁石)を設けて、空気中の酸素を磁気により活性化させて清浄化する空気浄化装置が提案されている。
【0004】
他にも、空気調和機内部の熱交換器の底部に備られた凝縮水を受けるドレンパンの表面、さらに、送風ファン及び送風口に備えられた送風フラップを磁性体素材で構成して磁気を発生させ雑菌の発生を防ぐことができる空気清浄器が(特許文献3参照)。空気が流通する筒状体で囲繞される空気経路に設けられ、空気経路の中心側から外周に向けて放射状に設けられた複数の磁性体で構成されるコアを備え、コアを筒状体に嵌着可能に形成し、空気経路を流通する空気に磁場を付与させる空気清浄装置(特許文献4参照)等が提案されている。
【0005】
また、室内空気を磁場装置を通過させ、一般細菌および真菌について「浮遊微生物」、「床面落下微生物」を時間単位で採取測定した試験において、空気を流動させると、床面に存在していた微生物が舞い上がることにより初期は増加するが、以降は磁場の存在が浮遊一般細菌数、浮遊真菌数を共に減少させる結果を得られたことが報告されている(本明細書に添付の
図6及び
図7のグラフ参照)。
【0006】
このような空調機で使用するプロペラファンとしては、例えば特許文献5に記載のものを挙げることができる。これはモーターの回転軸に円筒状のボス部を取付けると共に、このボス部の外周部に所定の間隔を置いて円筒状のハブ部を配置し、ボス部とハブ部とを複数のブリッジリブにて連結し、さらにハブ部の外周部に羽根を装着した構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平2-194811号公報
【文献】特開2001-201169号公報
【文献】特開2006-175167号公報
【文献】特開平5-133610号公報
【文献】特開平5-256299号公報
【文献】磁場が流動する気層中の微生物に及ぼす影響[岩手県工61業技術センター食品技術部 山本忠 他:岩手県工業技術センター報告報告-第12号(2005)]
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、本発明者は、施設園芸においては、常に一定の風圧よりも風圧や振幅が強弱変化するパルス状あるいは波状の送風を行うことがハウス内の植物育成に効果的であること及び、農作物に群棲する病害虫の磁性細菌に磁石の特性であるN極とS極の磁場を交互に反復して発生させ、病害虫の生活行動圏内に、N、Sの交互磁場を造り出すことにより、地磁気対応感覚を麻痺又は迷走させ、栄養摂取行動を撹乱させる。あるいは、繁殖行動を阻害し、生命維持活動を妨害する要因を創出できることをすでに知得している。
【0009】
本発明もまた、上記従来技術に鑑み、交互磁力線により、飛散有機物の分解機能による消臭、空気浄化、害虫等の磁性細菌保有体を忌避するために、目的とする雰囲気内で、交互磁力線を放射して、害虫の生活圏内の磁界を攪乱してその活動を妨害し、曳いては細菌やウィルスを死滅又は減滅する機能性プロペラファンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る機能性プロペラファンは、回転駆動軸に取付けられるハブの周囲に複数の翼ブレードを固着してなるプロペラファンにおいて、
前記ハブは蓋体にて塞がれる前面凹所を有する非磁性体製の筒状に形成され、その外周部には径方向に延びる翼ブレードが周方向等間隔に固着され、当該凹所に任意の間隔をおいて穿設された複数の磁石嵌装孔に永久磁石が各々嵌合固着されてバブの円周に沿って等間隔に放射状に配置されると共に、
プロペラファン全体を覆うアルミニウム製の格子カバーを介して前記ハブと対峙する位置に設けた開口に円盤状加熱金属体を着脱可能に設け、温風の送風の際には、円盤状加熱金属体を格子カバーの開口に取り付けた状態で当該ハブを回動すること、涼風の送風の際には当該円盤状加熱金属体を格子カバーの開口から取り外した状態で当該ハブを回動することで、N極、S極の交番磁界を創出しながら送風すること、さらに、
前記翼ブレードの表面に、軸芯に対して翼ブレードの回転方向に対する前側の縁から後側の縁に向かって、内側又は外側に傾斜するように複数の溝条を設け、送風の拡散又は収束を行うことを第1の特徴とする。また、ハブと連結されるモーターの回転軸方向における一対の翼ブレードの取付角αと同じ角度で逆向き、すなわち、角度(-α)で、他方の翼ブレードが、ハブを起点に、その傾斜方向が前後に相対向するように取付けたことを第2の特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係る機能性プロペラファンの一実施例を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明に係る機能性プロペラファンのハブ内の永久磁石の配置例を示す(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図3】本発明に係る機能性プロペラファンの設置例を示す斜視図である。
【
図4】本発明に係る機能性プロペラファンの一実施例を示す(a)は正面図、(b)は(a)のA-A線断面図である。
【
図5】本発明に係るプロペラファンのブレード翼に溝条を(a)は軸芯に対して内向きに(b)は外向きに形成した場合を示す正面図である。
【
図6】実験結果を示し、経過時間ごとの大気中の一般細菌数を示すグラフである。
【
図7】実験結果を示し、経過時間ごとの大気中の真菌数を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に本発明に係る機能性プロペラファンの好ましい実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【実施例】
【0013】
図1及び
図2に本発明の第1の実施形態を示す。同図において、1は前面に凹所1bを有する筒状のハブであり、その外周部には径方向に延びる4枚の翼ブレード4が各々対向して周方向等間隔に固着されている。 ハブ1は、円盤状のプラスチック又はアルミニウム等の非磁性体製で電動モーター2の回転軸2aに連結されている。尚、後述する溝条9等の刻設による翼ブレード4の耐久性を考慮すると、材質としては、剛性の高いものが好ましい。尚、本実施例において電動モーター2の電源は商用電源としているが、太陽光、水力、風力等の自然界のエネルギーを用いて電源とすることが有益なことは言うまでもない。
【0014】
ハブ1の凹所1bには、任意の間隔をおいて複数の磁石嵌装孔3aが穿設され、この磁石嵌装孔3aに永久磁石3が各々嵌合固着され、ハブ1の凹所1bはその蓋体1aがボルト1cにて締結されて塞がれる。永久磁石3は好ましくは、ハブ1の円周に沿って等間隔に放射状に配置する。永久磁石3は、それぞれN極とS極とが交互に位置するように配置しても良いし、同極同士が隣接するように配置しても良い。配置する個数も任意である。ハブ1は、電動モーター2に連結された回転軸2aにより高速回転する。尚、図中5は、電磁誘導により熱を発生する円盤状の過熱金属板であり、アルミニウム製である。
【0015】
すなわち、磁気誘導加熱現象を利用し、必要に応じてハブ1と対峙する位置に、円盤状過熱金属体5を設けて熱源とする。この場合、
図3に示すように、アルミニウム製の格子カバー6を介して一般的な扇風機様に温風を送風する。円盤状過熱金属体5は格子カバー6の開口6aに着脱可能とされ、涼風の送風時には取り外すかまたは開口6aの無いものと交換する。また、害虫の嗜好色を選別し、翼ブレードの着色あるいは装置の後方近傍に嗜好色電球8を付設することで、蚊などの害虫の捕集効果が向上する。吸引された害虫は翼ブレードで打殺される。
【0016】
図3に示すように、本実施態様では、ハブ1と連結される電動モーター2の回転軸2a方向における任意の一対の翼ブレード4a,4aの取付角度を、他の一対の翼ブレード4b,4bの取付角度と相違させたものである。つまり一対の翼ブレード(4a,4a又は4b,4b)を、周方向に背中合わせになるように配置し、一方の羽根板一対の翼ブレード4a,4aの取付角α、と同じ角度逆向き、すなわち角度β(-α)で他方の翼ブレード4b,4bをハブ1に取付け、プロペラファンが回転すると、拡散方向と収束方向との送風方向の異なる送風を行うことができる。尚、翼ブレード(4a,4a又は4b,4b)の取付角度とは、ハブ1の回転軸芯方向と翼ブレード(4a,4a又は4b,4b)との成す角度のことである。
【0017】
以上の構成により、植物育成や人体の指圧に効果的なパルス状あるいは波状の送風を行うことができる。また、特段の手段を付加することなく、ファンの回転のみで送風の拡散又は収束を行うことができ、室内全体への送風やピンポイントでの送風が可能になる。
【0018】
尚、上記実施例では、翼ブレード(4a,4a又は4b,4b)の取付角度を軸方向の前後対称に設けたが、これに限定されるものではなく、例えば、一方の翼ブレード(4a,4a)の取付角度αを他の翼ブレード(4b,4b)の取付角度βよりも小さく、その逆としてもよい。
【0019】
図5に示すものは、翼ブレード4の表面に電動モーターの回転軸(ハブ1の軸芯)2aに対して内向き又は外向きに複数の溝条9を設けている。これにより、特段の手段を付加することなく、ファンの回転のみで送風の拡散又は収束を行うことができる。
【0020】
上記実施例のプロペラファンは、波数制御方式、位相制御方式等によって制御される回転数制御が可能な電動モーター2に装着して使用するのが好ましいが、特にこれに限られるものではない。また、装填する永久磁石としては、例えば、永久磁石としては、例えば、ネオジウム系磁石、サマリウム系磁石などの表面200ミリテスラ(mT)以上のものを使用するのが好ましい。ハブ1は数100rpm以上で回転させる。
【0021】
本実施例装置では、このように強力な磁力を有する永久磁石を配置した平盤状回転体を高速回転させることによって、人の生活行動圏内(例えば、室内)の生活雰囲気中にN、Sの交互磁場を持った送風を造り出すことができる。
【0022】
血液成分中には、プラスイオンとマイナスイオンに電離するものが含まれている。これが、血管中を流れるということは、電流が流れるのに等しい。ここに磁石によって磁場を加えると、「フレミングの左手の法則」によりローレンツ力が発生する。この力がイオンの流れを活発にし、血行を促進して肩凝りなどの症状をやわらげると考えられる。
【0023】
細胞液は細胞膜を挟んで、細胞外液と細胞内液に分けられる。細胞膜はリン脂質の二重層とタンパク質からなる生体膜で、内外の細胞液の電解質濃度の差が一定に保たれることにより、イオン化した溶質の輸送が行われている。この電解質濃度の変化は体液の表面張力や粘性、電気抵抗などの物理化学的な差となって現れ、人体の生理作用にも微妙な影響を与える。すなわち、血液は生命活動に必要な様々なイオンを含む電解質溶液の流れであり、それは微弱な電流とみなすことができる。
【0024】
本発明装置は、磁力線の放射距離が延びる。このため、人体内部の頸動脈や大動脈等の循環系の経路に効果的に磁力線が浸透到達し、血管内を流れる血液、リンパ系を流れるリンパ液に対して磁気作用を及ぼすことにより、血液等のイオン化を促進するとともに磁石のS極とN極が交番する際に発生する振動(脈動)を伝播して局部マッサージ効果を促し、血液等の流れを良くし、例えば、肩こり等の筋肉の凝りをほぐすといった磁気治療効果を奏する。
【0025】
また、本発明者は地球上に生息する生物は、多かれ少なかれ地磁気に反応する羅針盤的機能を持ち合わせていることに着目した。例えば、1960年に磁気感知細菌が発見されているように、磁気細菌はマグネタイト微粒子を体内に保持している。そして、北半球に生息する磁気細菌はS極を指標として、南半球に生息する磁気細菌はN極を指標として行動することが判明している。面白いことに、北半球の磁性細菌は北(磁石のS極)指向性、南半球の磁性細菌は南(磁石のN極)指向性という傾向をしめす。また、回遊魚、生誕魚、昆虫、渡り鳥等の帰巣本能も内在する磁気物質が関与しているものと考察できる。
【0026】
したがって、農作物に群棲する病害虫も磁性細菌を保有し、行動している可能性がある。そこで、磁石の特性であるN極とS極の磁場を交互に反復して発生させ、病害虫の生活行動圏内に、N、Sの交互磁場を造り出すことにより、地磁気対応感覚を麻痺又は迷走させ、栄養摂取行動を撹乱させる。あるいは、繁殖行動を阻害し、生命維持活動を妨害する要因を創出することができることを知得した。
【0027】
本発明装置を使用して病害虫の生活行動圏内に、N、Sの交互磁場を造り出すことにより、地磁気対応感覚を麻痺又は迷走させ、栄養摂取行動を撹乱、あるいは、繁殖行動を阻害し、生命維持活動を妨害することも判明している。
【0028】
すなわち、交互磁力線は害虫等の磁性細菌保有体を忌避することを目的とする雰囲気内に、交互磁力を放射して、害虫の生活圏内の磁界を攪乱しその活動を妨害し、農作物に寄生し食害をもたらす害虫に適用することから、交互磁力線により、細菌やウィルスを減滅又は滅菌することが十分推測できる。目的とする大気中に交互磁力線を放射し、細菌やウィルス源体に磁力擦化の過熱現象を生じせしめ減滅あるいは滅菌することが可能である。
【0029】
以下、本発明装置による各種機能性の検証及び実験結果を記す。
【0030】
[検証1:翼ブレードの位相の作用について]
(1)4枚の翼ブレードの空気進入角の一方側の一対を同位相とし、対角する他方側一対の翼ブレードの空気進入角度に差異を設けることにより、振動、振幅風を発生させる。この振動、振幅風は農作物の成長を促進し、人体の体表には指圧効果をもたらす。また、振動共振連鎖作用により、送風距離も伸長する。
(2)植物の受粉には何らかの媒介を要する。とくに、施設温室農法でのトマト、イチゴ等の栽培には、ミツバチ類の関与が必要とされているが、本装置から発生する振動、振動風により自然受粉が可能となる。
(3)羽根を持った小昆虫は、本装置から発生する振動、振動風により飛行不能となる。
(4)盛夏時、室内温度32℃、湿度71%の環境下で本装置を稼働した送風が合流する「送風合流焦点」を前方翼ブレードから前方70cm、後方翼ブレードから100cmに設定したところ2~3℃室温が低下した。
【0031】
[検証2:翼ブレードの溝条の作用について]
ブレードの溝条9によって輪状拡散風を送風することができ、室内の隅々まで空気を対流させることができた。逐次送出される輪状風が、室内の内壁に到達する時間差によって反射風が逐次発生して室内空気を乱流拡散させることで満遍なく均一化できる。
【0032】
[検証3:大気の常磁性化作用について]
空気中の静磁場(磁気モーメントが基底)に交番磁界を付与し、空気を励起させ、空気の活性化を促す。室内衰退空気を活性化させると、有機性腐敗臭は消滅する。本作用は、臭いの分子を拡散化+炭素のアルファ化作用、又は空気合体分子間に臭いの分子を可逆化成する反応作用ではないかと推測する。有機性腐敗臭とは、例えば、高齢者施設に特有の悪臭である(生活体臭、排泄物臭)。
【0033】
[検証4:大気の境界域の区画化作用について]
密閉室内で本装置を稼働させると、室内常圧が外気常圧より高圧に保持する。したがって、外部から汚染大気が室内に流入することを防止する。
【0034】
[検証5:交互磁力線の作用について]
(1)人体に磁力線を付与すると、水素原子や酸素原子の原子核に磁気共鳴が生じて体内エネルギー状態に変化が起き血行が促進される。本作用は、交互磁場の発生する電磁波受射によるものと考察される。
(2)交互磁力線は害虫等の磁性細菌保有体を忌避する。目的とする雰囲気内で、交互磁力を放射して、害虫の生活圏内の磁界を攪乱しその活動を妨害する。農作物に寄生し食害をもたらす害虫にも適用できる。
(3)目的とする大気中に交互磁力線を放射し、細菌やウィルス源体に磁力擦化の過熱現象を生じせしめ減滅あるいは滅菌する。
(4)体内に入った細菌やウィルスについては、本装置稼働中の送風口から交互磁力線を帯びた風を直接鼻腔や口腔を介して深呼吸して肺まで送り込む、(例えば、大きく口から息を吸って、いったん息を止め、ゆっくり鼻から吐き出す動作を行う又はこれと逆の動作を行う)。ことでインフルエンザ発症者が快方する結果を得た。このことは、体内の活性酸素内の善玉因子及び悪玉因子に異変が生じ、細胞質内を介して出芽するウィルスの増殖になんらかの妨害を加えることと、交互磁場の磁力線受射による体温の上昇作用で免疫機能の向上活性化によるもの等が考察される。
【0035】
以下、磁場の有無による空気中に浮遊する一般微生物及び真菌に与える影響について、非特許文献1で報告されている実験例を細菌やウィルスの減滅又は死滅の根拠として示す。
【0036】
[実験例]
微生物試験は、衛生試験法(例えば、日本薬学会編:衛生試験法・注解、金原出版(2000)に記載)に準じて行った。また、微生物の試験の吸引は、エアサンプラーを用い、熱交換器の送出口から3m離れた高さ1.5mの地点で行った。
一般細菌は、空気を200リットル吸引したあとアガーストリップTC(バイオテスト株式会社製)を用いて、30℃で2日間の培養で測定した。真菌の生育は、空気を1000リットル吸引したあとアガーストリップYM(バイオテスト株式会社製)を用いて25℃で5日間の培養で測定した。この実験において、熱交換器として、東芝株式会社製熱交換・換気ユニットVN-350SS2を用いた。
【0037】
(1)経過時間ごとの室内の空気(1000ml)中の一般細菌の個数の増減
図6のグラフに結果を示す。磁場を設けないで空気を流した場合、開始時菌数に対して、3時間で2.5倍以上になり、以降減少に転じ、24時間後には開始時の同数以上に戻っていた。一方、磁場を設けて空気を流した場合、開始時菌数に対して、1時間で2倍近くになり磁場なしと類似の関係であったが、3時間後には大幅に減少し、24時間後でも減少を維持していた。このように、空気を流動させると、磁場の存在が浮遊一般細菌数を減少させる結果となった。
【0038】
(2)経過時間ごとの室内の空気(1000ml)中の真菌の個数
図7に結果を示す、浮遊真菌類については、初発菌数自体が多くなったが、磁場を設けないで空気を流した場合には、3時間で2倍近くになり、その後若干減少したが、24時間後には開始時の菌数以上になった。一方、磁場を設けて空気を流した場合には、1時間後には半減し、9時間以降には真菌は検出されなかった。このように、空気を流動させると、磁場の存在が浮遊真菌数を減少させる結果となった。
【0039】
以上の結果より、磁性体で形成した磁場の中に空気を通過させた場合、浮遊一般微生物は、磁場を通過させないものに比べ大きく減少し、極めて効果が高いことが判った。また、空気中に浮遊している微生物が磁場の影響を受け、その繁殖が抑制される可能性が大きいということも分かった。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明装置によれば、以下の優れた効果が得られる。したがって、屋内においては空調設備、飛散有機物の分解機能による消臭、空気浄化、害虫、細菌及びウィルスの忌避及び除菌、屋外においては圃場の植物育成に資すると共に、害虫駆除等の各種機器又はその一部として各種産業分野で好適に用いられる。
(1)放射される交互磁力線により害虫等の磁性細菌保有体を忌避する。
(2)放射される交互磁力線により、細菌やウィルス源体に磁力擦化の過熱現象を生じせしめ死滅あるいは減滅させる。
(3)高齢者施設に特有の悪臭である(生活体臭、排泄物臭)等の有機性腐敗臭を消滅させる。
(4)密閉室内で本装置を稼働させると、室内常圧が外気常圧より高圧に保持することによって、外部からの汚染大気の室内への流入を防止できる。
(5)交互磁場の発生する電磁波受射により、人体中の水素原子や酸素原子の原子核に磁気共鳴が生じて体内エネルギー状態に変化が起き血行が促進され、健康な状態を保持できる。
(6)ブレードの空気進入角度に差異を設けることにより、振動、振幅風を発生させる。この振動、振幅風は農作物の成長を促進し、人体の体表には指圧効果をもたらす。また、振動共振連鎖作用により、送風距離も伸長する。
(7)本装置から発生する振動、振動風によりミツバチ等の媒介者を要することなく、自然受粉が可能となる。
(8)羽根を持った小昆虫は、本装置から発生する交互磁界、振動及び振動風により飛行不能となる。
(9)ブレードからの送風が合流する焦点距離を操作することにより、涼風が得られる。
(10)使用する電力は回転体の回動にのみ使用するものであり、電力消費量が少なくて済みランニングコストが小さくて済む。
(11)平盤状回転体に永久磁石を配置し、回転させるだけの簡単な構造なので、人体にも無害で、故障し難く、メンテナンスもし易い。
【符号の説明】
【0041】
1 ハブ(非磁性回転体)
1a ハブの蓋体
1b ハブ凹所
1c 締結ボルト
2 電動モーター
2a モーターの回転軸
3 永久磁石
3a 磁石嵌装孔
4 翼ブレード
4a 翼ブレード
4b 翼ブレード
5 電磁誘導板
6 金属製格子カバー
6a 開口
7 脚立
8 捕虫用ランプ
9 溝条