(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】RFタグ読取装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/10 20060101AFI20240201BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240201BHJP
G07G 1/12 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G06K7/10 128
G06K7/10 240
G07G1/00 301G
G07G1/00 311D
G07G1/12 331D
(21)【出願番号】P 2023180910
(22)【出願日】2023-10-20
【審査請求日】2023-10-23
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】706000975
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】南 俊宏
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-021380(JP,A)
【文献】特開2021-028788(JP,A)
【文献】特開2020-077408(JP,A)
【文献】特開2022-024662(JP,A)
【文献】特開2019-049841(JP,A)
【文献】国際公開第2021/161921(WO,A1)
【文献】国際公開第2023/199698(WO,A1)
【文献】特許第7280583(JP,B1)
【文献】特許第7381032(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/10
G07G 1/00
G07G 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッシブ型のRFタグが取り付けられた物品を出し入れ可能な開口を上部に有する収容部を備え、当該開口が開いた状態で当該収容部の内部に収容されている物品に取り付けられたRFタグから情報を読み取るRFタグ読取装置であって、
底面部と、
前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されていない正面部と、
一端が前記正面部の一端に固着されている第1の側面部であって、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されていない当該第1の側面部と、
前記正面部に対向しており、一端が前記第1の側面部の他端に固着されている背面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該背面部と、
前記第1の側面部に対向しており、一端と他端がそれぞれ前記背面部の他端と前記正面部の他端に固着されている第2の側面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該第2の側面部と、
前記正面部と前記背面部との間に位置する第1の収容制限部であって、前記物品が収容されない第1の減衰空間である前記正面部と当該第1の収容制限部の間の空間と、前記物品を収容可能な収容空間である当該第1の収容制限部と前記背面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第1の収容制限部と、
前記底面部の上面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された底面アンテナと、
を備えるRFタグ読取装置。
【請求項2】
前記第1の側面部が、電波吸収層を含み、
前記第1の側面部の上端が、前記正面部の上端より高く、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記第1の側面部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の側面部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項1に記載のRFタグ読取装置。
【請求項3】
前記第1の側面部と前記第2の側面部との間に位置する第2の収容制限部であって、前記物品が収容されない第2の減衰空間である前記第1の側面部と当該第2の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第2の収容制限部と前記第2の側面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第2の収容制限部を備え、
前記底面アンテナが、前記収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されており、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間および前記第2の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項1に記載のRFタグ読取装置。
【請求項4】
前記底面部の上方に位置する第3の収容制限部であって、前記物品が収容されず、前記底面アンテナから放射された電波が広がりながら伝搬する前記底面部と当該第3の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第3の収容制限部の上の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第3の収容制限部を備える請求項1に記載のRFタグ読取装置。
【請求項5】
パッシブ型のRFタグが取り付けられた物品を出し入れ可能な開口を上部に有する収容部を備え、当該開口が開いた状態で当該収容部の内部に収容されている物品に取り付けられたRFタグから情報を読み取るRFタグ読取装置であって、
電波吸収層および/または電波反射層を含む底面部と、
前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されていない正面部と、
一端が前記正面部の一端に固着されている第1の側面部と、
前記正面部に対向しており、一端が前記第1の側面部の他端に固着されている背面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該背面部と、
前記第1の側面部に対向しており、一端が前記背面部の他端に固着されている第2の側面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該第2の側面部と、
前記正面部と前記背面部との間に位置する第1の収容制限部であって、前記物品が収容されない第1の減衰空間である前記正面部と当該第1の収容制限部の間の空間と、前記物品を収容可能な収容空間である当該第1の収容制限部と前記背面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第1の収容制限部と、
前記第1の側面部と前記第2の側面部との間に位置する第2の収容制限部であって、前記物品が収容されない第2の減衰空間である前記第1の側面部と当該第2の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第2の収容制限部と前記第2の側面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第2の収容制限部と、
前記底面部の上面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された底面アンテナと、
前記第1の側面部の内面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度の小さな電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された側面アンテナと、
を備えるRFタグ読取装置。
【請求項6】
前記第1の側面部が下部と中部と上部から成り、当該下部が前記底面部の縁から立設しており、当該下部に前記側面アンテナが設置されており、当該下部と当該中部が電波吸収層および/または電波反射層を含み、当該上部が前記第2の収容制限部の上端から立設しており、当該上部が電波吸収層を含み、当該上部の上端が前記正面部の上端より高く、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項5に記載のRFタグ読取装置。
【請求項7】
前記第1の側面部が少なくとも下部を有しており、当該下部が前記底面部の縁から立設しており、当該下部に前記側面アンテナが設置されており、前記第1の側面部における前記第2の収容制限部側の端部と前記第2の収容制限部との間に所定の隙間があり、
前記底面アンテナが、前記収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されており、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間および前記第2の減衰空間に含まれる前記端部と第2の収容制限部との間の空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項5に記載のRFタグ読取装置。
【請求項8】
前記第2の側面部の他端が前記正面部の他端に固着されており、
前記側面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記側面アンテナの上縁より高く、前記側面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記側面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項6または7に記載のRFタグ読取装置。
【請求項9】
前記第2の側面部の他端が前記正面部よりも正面側に所定の長さ張り出しており、前記第2の側面部の他端と一端との間に前記正面部の他端が固着されており、
前記側面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、前記第2の側面部の他端が前記正面部よりも正面側に所定の長さ張り出していること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記側面アンテナの上縁より高く、前記側面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記側面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項6または7に記載のRFタグ読取装置。
【請求項10】
前記底面部の上方に位置する第3の収容制限部であって、前記物品が収容されず、前記底面アンテナから放射された電波が広がりながら伝搬する前記底面部と当該第3の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第3の収容制限部の上の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第3の収容制限部を備える請求項5に記載のRFタグ読取装置。
【請求項11】
パッシブ型のRFタグが取り付けられた物品を出し入れ可能な開口を上部に有する収容部を備え、当該開口が開いた状態で当該収容部の内部に収容されている物品に取り付けられたRFタグから情報を読み取るRFタグ読取装置であって、
電波吸収層および/または電波反射層を含む底面部と、
正面部と、
一端が前記正面部の一端に固着されている第1の側面部と、
前記正面部に対向しており、一端が前記第1の側面部の他端に固着されている背面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該背面部と、
前記第1の側面部に対向しており、一端が前記背面部の他端に固着されている第2の側面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該第2の側面部と、
前記正面部と前記背面部との間に位置する第1の収容制限部であって、前記物品が収容されない第1の減衰空間である前記正面部と当該第1の収容制限部の間の空間と、前記物品を収容可能な収容空間である当該第1の収容制限部と前記背面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第1の収容制限部と、
前記第1の側面部と前記第2の側面部との間に位置する第2の収容制限部であって、前記物品が収容されない第2の減衰空間である前記第1の側面部と当該第2の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第2の収容制限部と前記第2の側面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第2の収容制限部と、
前記底面部の上面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された底面アンテナと、
前記第1の側面部の内面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度の小さな電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された側面アンテナと、
前記正面部の内面に設置された正面アンテナと、
を備えるRFタグ読取装置。
【請求項12】
前記第1の側面部が下部と中部と上部から成り、当該下部が前記底面部の縁から立設しており、当該下部に前記側面アンテナが設置されており、当該下部と当該中部が電波吸収層および/または電波反射層を含み、当該上部が前記第2の収容制限部の上端から立設しており、当該上部が電波吸収層を含み、当該上部の上端が前記正面部の上端より高く、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となり、
前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端とが前記正面アンテナの上縁より高く、前記正面アンテナから放射された電波が前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記正面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項11に記載のRFタグ読取装置。
【請求項13】
前記第1の側面部が少なくとも下部を有しており、当該下部が前記底面部の縁から立設しており、当該下部に前記側面アンテナが設置されており、前記第1の側面部における前記第2の収容制限部側の端部と前記第2の収容制限部との間に所定の隙間があり、
前記底面アンテナが、前記収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されており、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間および前記第2の減衰空間に含まれる前記端部と第2の収容制限部との間の空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となり、
前記正面アンテナが、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されており、
前記正面アンテナから放射された電波が前記第2の減衰空間に含まれる前記端部と第2の収容制限部との間の空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面アンテナの上縁より高く、前記正面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記正面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項11に記載のRFタグ読取装置。
【請求項14】
前記第2の側面部の他端が前記正面部の他端に固着されており、
前記側面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記側面アンテナの上縁より高く、前記側面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記側面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項12または13に記載のRFタグ読取装置。
【請求項15】
前記第2の側面部の他端が前記正面部よりも正面側に所定の長さ張り出しており、前記第2の側面部の他端と一端との間に前記正面部の他端が固着されており、
前記側面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、前記第2の側面部の他端が前記正面部よりも正面側に所定の長さ張り出していること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記側面アンテナの上縁より高く、前記側面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記側面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる、
請求項12または13に記載のRFタグ読取装置。
【請求項16】
前記底面部の上方に位置する第3の収容制限部であって、前記物品が収容されず、前記底面アンテナから放射された電波が広がりながら伝搬する前記底面部と当該第3の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第3の収容制限部の上の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第3の収容制限部を備える請求項11に記載のRFタグ読取装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッシブ型のRF(Radio Frequency)タグから情報を読み取るRFタグ読取装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、物品に付されたRFタグから情報を読み取る据置式の読取装置が記載されている。この読取装置は、アンテナとシールド部を備える。アンテナは、シールド部の内部に収容されており、RFタグと交信するための電波を放射する。シールド部は、物品を囲む。シールド部には、その物品よりも広い開口が上向きに形成されている。そして、この読取装置は、シールド部が上向きに開口した状態で、RFタグから情報を読み取る。
【0003】
特許文献1の
図3に、読取装置の一例が示されている。この例では、読取装置は4つの壁板および底板によって形成されており、上向きに開口した方形の筐体を有する。底板の各縁にはその底板に対して垂直に立設された4つの壁板が接合されている。筐体の内側には、2つの水平板が上下に設けられている。上方の水平板は棚受によって着脱可能に支持されている。下方の水平板は各壁板の内壁面に接着されている。この下方の水平板上にはリーダライタのアンテナが配されている。
【0004】
各壁板において、下方の水平板よりも上方に延在している内壁面には、電波反射シートが貼着されている。電波反射シートは、その表面で電波を反射させる電波反射層として機能している。電波反射シートの内側全面には電波吸収シートが貼着されている。電波吸収シートは、その内部で電波を吸収する電波吸収層として機能している。また、下方の水平板の上面にも、同様に、電波反射シートが貼着され、さらに電波反射シートの上に電波吸収シートが貼着されている。
【0005】
このように、特許文献1の
図3の読取装置では、各壁板および下方の水平板に設けられた電波反射シートと電波吸収シートによって上向きに開口が形成されたシールド部が構成され、シールド部の底面にアンテナが設置されている。シールド部と上方の水平板は、買物カゴを収容する収容部として機能している。
【0006】
この読取装置において、アンテナから放射される電波は読取装置の外部では上方にのみ放射される。特許文献1には、
図3の読取装置では、RFタグとの交信領域が収容部とその上方に制限され、読取装置の周りにある商品のRFタグのタグ情報を誤読してしまうといった問題が生じないと記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、リーダ(リーダアンテナ)とトランスポンダ(ICタグ)とを備える通信装置の通信環境を改善するための通信改善装置が記載されている。各ICタグは、リーダアンテナの通信可能領域に存在する場合、リーダアンテナからの要求信号に応答して、物品の情報を表す応答信号を送信する。一般にUHF帯RFIDタグシステムは、長距離通信を想定しており、通信可能距離もより遠くまで到達し、通信可能領域もより広くなる。
【0008】
特許文献2に記載の物品情報取扱設備は、各物品を搬送する搬送装置と、各物品にそれぞれ装着される複数のICタグおよびICタグとの間で無線通信可能なリーダアンテナを有する通信装置と、通信装置の通信環境を良好にするための通信改善装置とを備える。リーダアンテナは、たとえば搬送装置の上方に、搬送装置に対向するようにして、たとえば支持装置によって支持されて、定位置に設けられる。リーダアンテナは、要求信号を搬送装置に向けて送受信する。
【0009】
通信改善装置は、支持装置によって支持されて、搬送装置におけるICタグ配置領域と、リーダアンテナとの間に設けられる。この通信改善装置は、電波吸収体または電波遮蔽体に周波数選択表面(Frequency Selective Surface;略称F.S.S)技術を組み合わせたものである。これは電波の透過領域をスロットアンテナとして動作させて、そのアンテナ部分で再放射される電波でICタグと通信しようとするものである。例えば、電波吸収体に用いた導体層に周波数に合わせた切り込みを入れることでこれを実現できる。ただし、切り込み部分は厳密にアンテナ化していなくても隙間部分から漏れる電波を利用することで通信することも可能である。電波吸収体は、電波を吸収する吸収体であるが、電波を遮蔽する機能も併せて有している。
【0010】
通信改善装置は、例えば、中央部に利用電波を透過可能な透過領域を有する電波吸収体である。透過領域は、透孔部を形成することによって実現され、透孔部が透過領域となる。リーダアンテナと各ICタグとは、透過領域を介して無線通信するように配置される。電波吸収体が設けられると、リーダアンテナは、各ICタグの内、透過領域に臨む位置に配置される各ICタグとだけ、通信可能である。
そして、特許文献2には、リーダアンテナの電波の指向性を増すために透過領域を狭めた場合に、狭めすぎるとその透過領域を通過した後に回折波が発生することになり、かえって指向性が制御できない場合がでてきたと記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2018-190255号公報
【文献】特開2008-99266号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述したように、特許文献1には、
図3の読取装置では、RFタグとの交信領域が収容部とその上方に制限され、読取装置の周りにある商品のRFタグのタグ情報を誤読してしまうといった問題が生じないと記載されている。
【0013】
しかし、日本の携帯電話システムでは、700MHzから900MHzの周波数帯はゴールデンバンドまたはプラチナバンドと呼ばれる。この周波数帯の電波は回折により障害物を回り込むことが知られている。そして、例えば工場における商品の在庫管理(検品や棚卸)、中間物流における商品の検品や棚卸、店舗におけるセルフレジ等でRFIDシステムが使用される。このRFIDシステムで用いられる電波は、一般的に860~960MHzのUHF帯である。860~960MHzのUHF帯の電波も、回折により障害物を回り込みやすいと考えられる。
【0014】
また、上述したように、特許文献2には、リーダアンテナの電波の指向性を増すために透過領域を狭めた場合に、狭めすぎるとその透過領域を通過した後に回折波が発生することになり、かえって指向性が制御できない場合がでてきたと記載されている。
【0015】
以上より、実際には、特許文献1に記載されている
図3の読取装置において、アンテナとRFタグが例えば860~960MHzのUHF帯の電波で交信すると、開口の周縁で回折した電波によってシールド外のRFタグが動作し、読取装置の周りにある商品のRFタグのタグ情報を誤読するおそれがある。
【0016】
また、アンテナに対するRFタグの向きによってはRFタグが受信する電波の強度が弱まる。更に、シールド内に複数のRFタグが存在する場合にそれら相互の位置関係によってはRFタグが受信する電波の強度が弱まることも知られている。このため、特許文献1に記載されている
図3の読取装置では、開口の周縁で回折する電波の強度を小さくするために、アンテナから放射される電波を弱めると、シールド内のRFタグから情報を読み落とすおそれがある。
【0017】
従って、特許文献1に記載の読取装置で使用される電波の周波数が860~960MHzまたはより低い場合、アンテナから放射される電波が強いと、読取装置の周りにあるRFタグのタグ情報を誤読する可能性が大きくなる。一方、アンテナから放射される電波を弱くすると、読取装置の周りにあるRFタグのタグ情報を誤読する可能性は小さくなるが、シールド内のRFタグから情報を読み落とす可能性が大きくなる。このため、アンテナから放射される電波を弱くすることには限界がある。
【0018】
本発明の目的は、収容部の上部に開口を有し、開口が開いた状態で収容部の内部にあるパッシブ型のRFタグから情報を取得するRFタグ読取装置であって、開口周縁における電波の回折に起因して収容部の外部にあるRFタグから情報を誤って取得することを防ぐことができるRFタグ読取装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的を達成するために、本発明のRFタグ読取装置は、
パッシブ型のRFタグが取り付けられた物品を出し入れ可能な開口を上部に有する収容部を備え、当該開口が開いた状態で当該収容部の内部に収容されている物品に取り付けられたRFタグから情報を読み取るRFタグ読取装置であって、
底面部と、
前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されていない正面部と、
一端が前記正面部の一端に固着されている第1の側面部であって、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されていない当該第1の側面部と、
前記正面部に対向しており、一端が前記第1の側面部の他端に固着されている背面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該背面部と、
前記第1の側面部に対向しており、一端と他端がそれぞれ前記背面部の他端と前記正面部の他端に固着されている第2の側面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該第2の側面部と、
前記正面部と前記背面部との間に位置する第1の収容制限部であって、前記物品が収容されない第1の減衰空間である前記正面部と当該第1の収容制限部の間の空間と、前記物品を収容可能な収容空間である当該第1の収容制限部と前記背面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第1の収容制限部と、
前記底面部の上面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された底面アンテナと、
を備える。
【0020】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第1の側面部が、電波吸収層を含み、
前記第1の側面部の上端が、前記正面部の上端より高く、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記第1の側面部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の側面部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0021】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第1の側面部と前記第2の側面部との間に位置する第2の収容制限部であって、前記物品が収容されない第2の減衰空間である前記第1の側面部と当該第2の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第2の収容制限部と前記第2の側面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第2の収容制限部を備え、
前記底面アンテナが、前記収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されており、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間および前記第2の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0022】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記底面部の上方に位置する第3の収容制限部であって、前記物品が収容されず、前記底面アンテナから放射された電波が広がりながら伝搬する前記底面部と当該第3の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第3の収容制限部の上の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第3の収容制限部を備える。
【0023】
また、本発明のRFタグ読取装置は、
パッシブ型のRFタグが取り付けられた物品を出し入れ可能な開口を上部に有する収容部を備え、当該開口が開いた状態で当該収容部の内部に収容されている物品に取り付けられたRFタグから情報を読み取るRFタグ読取装置であって、
電波吸収層および/または電波反射層を含む底面部と、
前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されていない正面部と、
一端が前記正面部の一端に固着されている第1の側面部と、
前記正面部に対向しており、一端が前記第1の側面部の他端に固着されている背面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該背面部と、
前記第1の側面部に対向しており、一端が前記背面部の他端に固着されている第2の側面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該第2の側面部と、
前記正面部と前記背面部との間に位置する第1の収容制限部であって、前記物品が収容されない第1の減衰空間である前記正面部と当該第1の収容制限部の間の空間と、前記物品を収容可能な収容空間である当該第1の収容制限部と前記背面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第1の収容制限部と、
前記第1の側面部と前記第2の側面部との間に位置する第2の収容制限部であって、前記物品が収容されない第2の減衰空間である前記第1の側面部と当該第2の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第2の収容制限部と前記第2の側面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第2の収容制限部と、
前記底面部の上面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された底面アンテナと、
前記第1の側面部の内面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度の小さな電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された側面アンテナと、
を備える。
【0024】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第1の側面部が下部と中部と上部から成り、当該下部が前記底面部の縁から立設しており、当該下部に前記側面アンテナが設置されており、当該下部と当該中部が電波吸収層および/または電波反射層を含み、当該上部が前記第2の収容制限部の上端から立設しており、当該上部が電波吸収層を含み、当該上部の上端が前記正面部の上端より高く、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0025】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第1の側面部が少なくとも下部を有しており、当該下部が前記底面部の縁から立設しており、当該下部に前記側面アンテナが設置されており、前記第1の側面部における前記第2の収容制限部側の端部と前記第2の収容制限部との間に所定の隙間があり、
前記底面アンテナが、前記収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されており、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間および前記第2の減衰空間に含まれる前記端部と第2の収容制限部との間の空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0026】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第2の側面部の他端が前記正面部の他端に固着されており、
前記側面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記側面アンテナの上縁より高く、前記側面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記側面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0027】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第2の側面部の他端が前記正面部よりも正面側に所定の長さ張り出しており、前記第2の側面部の他端と一端との間に前記正面部の他端が固着されており、
前記側面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、前記第2の側面部の他端が前記正面部よりも正面側に所定の長さ張り出していること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記側面アンテナの上縁より高く、前記側面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記側面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0028】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記底面部の上方に位置する第3の収容制限部であって、前記物品が収容されず、前記底面アンテナから放射された電波が広がりながら伝搬する前記底面部と当該第3の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第3の収容制限部の上の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第3の収容制限部を備える。
【0029】
また、本発明のRFタグ読取装置は、
パッシブ型のRFタグが取り付けられた物品を出し入れ可能な開口を上部に有する収容部を備え、当該開口が開いた状態で当該収容部の内部に収容されている物品に取り付けられたRFタグから情報を読み取るRFタグ読取装置であって、
電波吸収層および/または電波反射層を含む底面部と、
正面部と、
一端が前記正面部の一端に固着されている第1の側面部と、
前記正面部に対向しており、一端が前記第1の側面部の他端に固着されている背面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該背面部と、
前記第1の側面部に対向しており、一端が前記背面部の他端に固着されている第2の側面部であって、電波吸収層を含み、前記RFタグと交信するためのアンテナが設置されておらず、前記正面部の上端より上端が高い当該第2の側面部と、
前記正面部と前記背面部との間に位置する第1の収容制限部であって、前記物品が収容されない第1の減衰空間である前記正面部と当該第1の収容制限部の間の空間と、前記物品を収容可能な収容空間である当該第1の収容制限部と前記背面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第1の収容制限部と、
前記第1の側面部と前記第2の側面部との間に位置する第2の収容制限部であって、前記物品が収容されない第2の減衰空間である前記第1の側面部と当該第2の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第2の収容制限部と前記第2の側面部の間の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第2の収容制限部と、
前記底面部の上面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された底面アンテナと、
前記第1の側面部の内面において、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度の小さな電波を前記第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置された側面アンテナと、
前記正面部の内面に設置された正面アンテナと、
を備える。
【0030】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第1の側面部が下部と中部と上部から成り、当該下部が前記底面部の縁から立設しており、当該下部に前記側面アンテナが設置されており、当該下部と当該中部が電波吸収層および/または電波反射層を含み、当該上部が前記第2の収容制限部の上端から立設しており、当該上部が電波吸収層を含み、当該上部の上端が前記正面部の上端より高く、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となり、
前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端とが前記正面アンテナの上縁より高く、前記正面アンテナから放射された電波が前記上部の上端と前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記正面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0031】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第1の側面部が少なくとも下部を有しており、当該下部が前記底面部の縁から立設しており、当該下部に前記側面アンテナが設置されており、前記第1の側面部における前記第2の収容制限部側の端部と前記第2の収容制限部との間に所定の隙間があり、
前記底面アンテナが、前記収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されており、
前記底面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間および前記第2の減衰空間に含まれる前記端部と第2の収容制限部との間の空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面部の上端より高く、前記底面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記底面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となり、
前記正面アンテナが、前記収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ当該収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を前記第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されており、
前記正面アンテナから放射された電波が前記第2の減衰空間に含まれる前記端部と第2の収容制限部との間の空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記正面アンテナの上縁より高く、前記正面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記正面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0032】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第2の側面部の他端が前記正面部の他端に固着されており、
前記側面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記側面アンテナの上縁より高く、前記側面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記側面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0033】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記第2の側面部の他端が前記正面部よりも正面側に所定の長さ張り出しており、前記第2の側面部の他端と一端との間に前記正面部の他端が固着されており、
前記側面アンテナから放射された電波が前記第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、前記第2の側面部の他端が前記正面部よりも正面側に所定の長さ張り出していること、および前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端が前記側面アンテナの上縁より高く、前記側面アンテナから放射された電波が前記背面部の上端と前記第2の側面部の上端に到達したときに減衰していることにより、前記側面アンテナから放射されて前記開口から前記収容部の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、前記収容空間の内部にあるRFタグから情報を取得することが可能となる。
【0034】
好ましくは、本発明のRFタグ読取装置は、
前記底面部の上方に位置する第3の収容制限部であって、前記物品が収容されず、前記底面アンテナから放射された電波が広がりながら伝搬する前記底面部と当該第3の収容制限部の間の空間と、前記収容空間である当該第3の収容制限部の上の空間とに前記収容部の内部を分ける当該第3の収容制限部を備える。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、収容部の上部に開口を有し、開口が開いた状態で収容部の内部にあるパッシブ型のRFタグから情報を取得するRFタグ読取装置において、開口周縁における電波の回折に起因して収容部の外部にあるRFタグから情報を誤って取得することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の斜視図である。
【
図4】
図1のRFタグ読取装置における収容部の一例の平面図である。
【
図5】
図1のRFタグ読取装置において、正面部が電波遮蔽層を含む場合に、底面アンテナから放射された電波の一例を示す図である。
【
図6】
図1のRFタグ読取装置において、正面部が電波遮蔽層を含まない場合に、底面アンテナから放射された電波の一例を示す図である。
【
図7】背面部が電波反射層を含む、
図1のRFタグ読取装置の比較例であるRFタグ読取装置を示す図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の縦断面図である。
図8は、
図1のA-A線断面図に相当する。
【
図9】本発明の第3の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の斜視図である。
【
図12】
図9のRFタグ読取装置における収容部の一例の平面図である。
【
図13】本発明の第5の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の斜視図である。
【
図16】
図13のRFタグ読取装置における収容部の一例の平面図である。
【
図17】
図13のRFタグ読取装置を背面側から見た図である。
【
図18】
図13のRFタグ読取装置において、側面アンテナから放射される電波の一例を示す図である。
【
図19】
図13のRFタグ読取装置において、側面アンテナから放射されて右側面部に到達する電波をRFタグ読取装置の右側から見た場合の一例を示す図である。
【
図20】本発明の第6の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の縦断面図である。
図20は、
図13のE-E線断面図に相当する。
【
図21】本発明の第7の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の斜視図である。
【
図24】
図21のRFタグ読取装置における収容部の一例の平面図である。
【
図26】
図21のRFタグ読取装置において、底面アンテナから放射される電波の一例を示す図である。
【
図27】
図21のRFタグ読取装置において、側面アンテナから放射される電波の一例を示す図である。
【
図28】本発明の第9の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の斜視図である。
【
図31】
図28のRFタグ読取装置における収容部の一例の平面図である。
【
図32】第9の実施形態に係るRFタグ読取装置による効果の一例を説明するための図である。
【
図33】本発明の第10の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の縦断面図である。
図33は、
図28のJ-J線断面図に相当する。
【
図34】本発明の第11の実施形態に係るRFタグ読取装置の一例の斜視図である。
【
図37】
図34のRFタグ読取装置における収容部の一例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態に係るRFタグ読取装置について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0038】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1の一例の斜視図である。
図2は、
図1のA-A線断面図である。
図3は、
図1のB-B線断面図である。
図4は、
図1のRFタグ読取装置1における収容部100の一例の平面図である。
RFタグ読取装置1は、収容部100と、制御部200とを有する。収容部100の上部には開口110がある。
【0039】
RFタグ読取装置1の収容部100の開口110は、RFタグ301が取り付けられた物品300を出し入れ可能である。収容部100の内部の収容空間は物品300を収容可能である。なお、収容空間については後述する。
【0040】
また、開口110は、物品300が内部に入った買物カゴ400を出し入れ可能である。収容部100の内部の収容空間は買物カゴ400の一部または全部を収容可能である。
例えば、RFタグ読取装置1がセルフレジに組み込まれて店舗において使用される場合、RFタグ301が取り付けられた物品300は、店舗内の棚やテーブルに陳列されている。顧客は気に入った物品300を選択して買物カゴ400に入れる。そして、顧客は、買物カゴ400の一部または全部を開口110から収容空間に入れる。
【0041】
物品300は、例えば、書籍、衣料品、食料品等の商品である。商品は箱詰めされていてもよい。物品300は、電波を透過させやすい物が望ましい。例えば、物品300は、金属や水分を含まない物が望ましい。
RFタグ301は、例えば、生産、中間物流、販売を含むサプライチェーン全体において複数の物品300を一括管理するために使用される。RFタグ301は、例えば、工場における商品の在庫管理(検品や棚卸)、中間物流における商品の検品や棚卸、店舗におけるセルフレジ等で使用される。
【0042】
RFタグ301は、例えば、物品300を一意に識別できるように定められた固有のタグID(IDentifier)を記憶している。RFタグ読取装置1は、RFタグ301が取り付けられた物品300が収容部100の内部に収容されているときに、RFタグ301からタグIDを含む情報を読み取る。RFタグ301は、パッシブ型の周知のRFタグである。RFタグ読取装置1は、例えば、周波数860~960MHzのUHF帯の電波でRFタグ301と交信する。
【0043】
図1~
図4に示すように、収容部100は、底面部120と、正面部121と、左側面部122と、背面部123と、右側面部124と、載置板150と、正面収容制限板151と、正面ガイド部153と、底面アンテナ160とを有する。
底面部120は、収容部100の底部を構成する。底面部120は、例えば方形の平板である。底面部120は、平板130と電波遮蔽層140とを含む。電波遮蔽層140は、例えば、平板130の上面を覆っている。底面部120は、必ずしも電波遮蔽層140を含んでいなくてもよいが、例えば外部から収容部100の内部に侵入する電波を抑制するために、底面部120は電波遮蔽層140を含んでいることが望ましい。
なお、電波遮蔽層は、電波吸収層または電波反射層である。電波遮蔽層は、電波吸収層と電波反射層の両方を含んでいても良い。電波吸収層は、電波を吸収する。電波吸収層は、例えば、電波吸収シートで構成される。電波吸収シートは、例えばゴム材に磁性金属粉が混合された素材から成るシートである。また、電波反射層は電波を反射する。電波反射層は、例えば、金属で構成される。
なお、本発明では、収容部100の内面側(または上面側)に電波吸収層、外面側(または下面側)に電波反射層が重ねられた構造も電波吸収層の一種とみなす。
【0044】
収容部100の側部は、正面部121と、左側面部122と、背面部123と、右側面部124とで構成されている。
正面部121は、例えば方形である。正面部121は、底面部120の正面側の縁から底面部120に対して垂直に立設する。正面部121は、平板131と電波遮蔽層141とを含む。電波遮蔽層141は、例えば、平板131の内面を覆っている。正面部121は、必ずしも電波遮蔽層141を含んでいなくてもよいが、例えば外部から収容部100の内部に侵入する電波を抑制するために、正面部121は電波遮蔽層141を含んでいることが望ましい。正面部121の上端は、左側面部122の上端と背面部123の上端と右側面部124の上端よりも低い。
【0045】
左側面部122の一端と他端は、それぞれ正面部121の一端と背面部123の一端に固着されている。左側面部122は、例えば方形である。左側面部122は、平板132と電波吸収層142とを含む。電波吸収層142は、例えば、平板132の内面を覆っている。左側面部122は、底面部120の左側の縁から底面部120に対して垂直に立設する。左側面部122の上端は正面部121の上端より高い。
【0046】
背面部123は、正面部121に対向している。背面部123の一端と他端は、それぞれ左側面部122の他端と右側面124の一端に固着されている。背面部123は、例えば方形である。背面部123は、平板133と電波吸収層143とを含む。電波吸収層143は、例えば、平板133の内面を覆っている。背面部123は、底面部120の背面側の縁から底面部120に対して垂直に立設する。背面部123の上端は正面部121の上端より高い。
【0047】
右側面部124は、左側面部122に対向している。右側面部124の一端と他端は、それぞれ背面部123の他端と正面部121の他端に固着されている。右側面部124は、例えば方形である。右側面部124は、平板134と電波吸収層144とを含む。電波吸収層144は、例えば、平板134の内面を覆っている。右側面部124は、底面部120の右側の縁から底面部120に対して垂直に立設する。右側面部124の上端は正面部121の上端より高い。
【0048】
正面部121の下端と左側面部122の下端と背面部123の下端と右側面部124の下端とは、それぞれ底面部120の各縁に固着されている。
底面部120と正面部121と左側面部122と背面部123と右側面部124とによって、上向きに開口した収容部100が形成される。この開口が上述した開口110である。
【0049】
なお、正面部121に含まれる電波遮蔽層141は、平板131の内面を覆うのではなく、平板131の外面を覆っていてもよいし、2つの平板に挟まれていてもよい。
左側面部122に含まれる電波吸収層142は、平板132の内面を覆うのではなく、平板134の外面を覆っていてもよいし、2つの平板に挟まれていてもよい。ただし、この場合、電波吸収層142の内面側にある平板は電波を透過させる材質でなければならない。背面部123と右側面部124も、左側面部122と同様である。
底面部120に含まれる電波遮蔽層140も、平板130の上面を覆うのではなく、平板130の下面を覆っていてもよいし、2つの平板に挟まれていてもよい。
左側面部122は本発明の第1の側面部の例であり、右側面部124は本発明の第2の側面部の例である。
【0050】
底面アンテナ160は、底面部120の上面に設置されたアンテナである。底面アンテナ160は、RFタグ301と交信するための電波を上方に向けて放射するとともにRFタグ301から送信される応答電波を受信する。底面アンテナ160は、例えば、平面アンテナやシートアンテナ等である。底面アンテナ160は、例えば、円偏波された電波を放射するか、または水平偏波と垂直偏波を切り替えながら電波を放射する。
なお、応答電波は、RFタグ301が底面アンテナ160の電波を受信したときに、RFタグ301が情報を載せて送信する電波である。後述する側面アンテナ161と正面アンテナ162についても同様である。
なお、正面部121と左側面部122と背面部123と右側面部124には、RFタグ301と交信するための電波を放射するアンテナは設置されていない。
【0051】
載置板150は、例えば方形の平板である。載置板150は底面部120の上方に位置する。載置板150は、底面部120から所定の間隔だけ離れて、例えば正面部121と左側面部122と背面部123と右側面部124の内面に、底面部120と並行に固着されている。載置板150は、電波を透過させる。
正面収容制限板151は、例えば方形の平板である。正面収容制限板151は、正面部121から所定の間隔だけ離れて、正面部121と背面部123との間に、載置板150の上面から垂直に立設している。正面収容制限板151は、電波を透過させる。
正面ガイド部153は、例えば平板である。正面ガイド部153の下端は正面収容制限板151の上端に固着されている。正面ガイド部153は斜め上方に向かって延び、その上端は正面部121の上端に固着されている。正面ガイド部153の一端と他端は、それぞれ左側面部122の内面と右側面部124の内面に固着されている。正面ガイド部153は、電波を透過させる。
なお、正面ガイド部153は、正面収容制限板151の上端から斜め上方に向かって延びるのではなく、載置板150と平行であってもよい。また、正面ガイド部153は無くてもよい。
【0052】
載置板150の上方の空間であって正面収容制限板151と左側面部122と背面部123と右側面部124とに囲まれる空間は、収容空間である。収容空間は物品300および/または買物カゴ400の一部または全部を収容可能な空間である。物品300や買物カゴ400は載置板150の上に載置される。
載置板150は、底面部120と載置板150の間の空間と、載置板150の上の空間とに収容部100の内部を分ける。ここで、底面部120と載置板150の間の空間には物品300や買物カゴ400は収容されない。この空間は、底面アンテナ160から放射された電波が広がりながら伝搬する空間である。載置板150の上の空間は、物品300や買物カゴ400を収容可能な収容空間である。
正面収容制限板151は、正面部121と正面収容制限板151の間の空間と、正面収容制限板151と背面部123の間の空間とに収容部100の内部を分ける。ここで、正面部121と正面収容制限板151の間の空間には物品300や買物カゴ400は収容されない。この空間は、底面アンテナ160から放射された電波が減衰しながら伝搬する第1の減衰空間である。正面収容制限板151と背面部123の間の空間は、収容空間である。
底面アンテナ160は、底面部120の上面において、収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置されている。
なお、正面収容制限板151は本発明の第1の収容制限部の例であり、載置板150は本発明の第3の収容制限部の例である。
【0053】
制御部200は、送受信部211と、取得部212と、I/F(インタフェース)213とを有する。
送受信部211は、底面アンテナ160に円偏波された電波を放射させるか、または直線偏波を用いる場合には水平偏波と垂直偏波を高速に切り替えながら電波を放射させる。
また、送受信部211は、底面アンテナ160が応答電波を受信したときにその応答電波からタグIDを含む情報を取得する。
【0054】
RFタグ301は、底面アンテナ160から送信される電波を受信することによって、動作するために必要な電力を得る。RFタグ301が受信した電波が所定の強度より小さい場合、RFタグ301は動作せず、応答電波を送信しない。
【0055】
図5は、正面部121が電波遮蔽層141を含む場合に、底面アンテナ160から放射された電波の一例を示す。
図5において、右上がりで斜めの破線の範囲の電波を受信したRFタグ301は動作し、応答電波を送信する。
RFタグ読取装置1における正面部121の上端は低い。しかし、底面アンテナ160から放射された電波は正面部121と正面収容制限板151の間の第1の減衰空間を伝搬する間に減衰する。減衰した電波は正面部121の上端(すなわち、開口110の周縁)で回折し、正面部121の上端を越えて開口110から収容部100の外部に漏れる。送受信部211は、第1の減衰空間に向けて、正面部121の上端で回折して開口110から収容部100の外部に漏れる電波によって収容部100の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。正面部121の上端で回折した回折波は、強度が小さいため、収容部100の外部にあるRFタグ301は動作しない。
【0056】
図6は、正面部121が電波遮蔽層141を含まない場合に、底面アンテナ160から放射された電波の一例を示す。
図6において、右上がりで斜めの破線の範囲の電波を受信したRFタグ301は動作し、応答電波を送信する。
底面アンテナ160から放射された電波は正面部121と正面収容制限板151の間の第1の減衰空間を伝搬する間に減衰する。送受信部211は、第1の減衰空間に向けて、正面部121に到達したときにRFタグ301を動作させない強度に低下する電波を、底面アンテナ160に放射させる。従って、正面部121の側から収容部100の外部に漏れる電波によって収容部100の外部にあるRFタグ301は動作しない。この場合、正面部121は電波遮蔽層141を含まなくてもよい。
【0057】
なお、底面アンテナ160から正面収容制限板151と背面部123の間の収容空間に放射される電波の強度は大きいため、収容空間にあるRFタグ301から情報を読み落とす可能性は低い。一方、底面アンテナ160から正面部121と正面収容制限板151の間の第1の減衰空間に放射される電波の強度は小さい。仮にRFタグ301が第1の減衰空間にあると、そのRFタグ301から情報を読み落とす可能性が高くなる。しかし、第1の減衰空間にRFタグ301が置かれることはない。
【0058】
また、左側面部122の上端と背面部123の上端と右側面部124の上端は、正面部121の上端よりも高い。底面アンテナ160から放射された電波は、左側面部122の上端と背面部123の上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。減衰した電波はこれらの上端(すなわち、開口110の周縁)で回折し、これらの上端を越えて開口110から収容部100の外部に漏れる。送受信部211は、これらの上端で回折して開口110から収容部100の外部に漏れる電波によって収容部100の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
【0059】
また、底面アンテナ160から放射された電波が天井で反射し、収容部100の外部にあるRFタグ301に到達する場合がある。しかし、その電波は天井に到達するまでに減衰し、さらに反射波は収容部100の外部にあるRFタグ301に到達するまでに減衰する。送受信部211は、天井で反射した電波によって収容部100の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
RFタグ301が動作しなければ、応答電波を送信することもないため、RFタグ読取装置1が収容部100の外部にあるRFタグ301から情報を取得することはない。このため、RFタグ読取装置1は、底面アンテナ160がRFタグ301からの応答電波を受信したとき、収容部100の内部にあるRFタグ301から読み取られた情報のみを取得することが可能となる。すなわち、RFタグ読取装置1は、底面アンテナ160から放射されて開口110から収容部100の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、収容空間の内部にあるRFタグ301から情報を取得することが可能となる。
【0060】
取得部212は、底面アンテナ160が受信した応答電波に含まれるRFタグ301の情報を取得する。
I/F213は、取得部212によって取得された各RFタグ301の情報を外部の装置(会計装置等)に送信したり、外部の装置からRFタグ読取装置1に対する操作の指示を受信したりする。
【0061】
(比較例)
図7は、背面部123Aが電波反射層143Aを含む、
図1のRFタグ読取装置1の比較例であるRFタグ読取装置2を示す。
図7のRFタグ読取装置2は、背面部123Aが、電波吸収層ではなく、電波反射層143Aを含む点が
図1のRFタグ読取装置1と異なる。その他の点では、RFタグ読取装置2の構成はRFタグ読取装置1の構成と同一である。
RFタグ読取装置2における収容部101の側部は、正面部121と、左側面部122と、背面部123Aと、右側面部124とで構成されている、背面部123Aは、平板133と電波反射層143Aとを含む。電波反射層143Aは、例えば、平板133の内面を覆っている。
【0062】
図7の例では、正面部121の側で収容部101の近くの外部においてRFタグ301が人等によって保持されており、そのRFタグ301は正面部121の上端よりも少し高い位置に存在している。
底面アンテナ160から放射された電波は、電波反射層143Aで反射する。この反射波の強度は大きい場合が有り得る。この反射波が正面部121の上端を超えて開口110から外部に漏れたとき、正面部121側で収容部101の近くの外部にあるRFタグ301がこの反射波により動作する場合がある。この場合、この外部のRFタグ301から送信される応答電波も電波反射層143Aで反射されて底面アンテナ160に届く。このため、取得部212は、RFタグ301が収容部101の外部にあるにも関わらず、RFタグ301の情報を取得する場合があり得る。
【0063】
一方、本実施形態に係るRFタグ読取装置1では、底面アンテナ160から放射された電波は電波吸収層143で吸収される。このため、その電波は
図7に示すような位置にあるRFタグ301には届かない。このため、本実施形態に係るRFタグ読取装置1では、取得部212は、収容部100の外部にあるRFタグ301の情報を取得することはない。
【0064】
従って、本実施形態に係るRFタグ読取装置1では、背面部123は電波吸収層143を含むことが必須である。背面部123と同様の理由により、左側面部122と右側面部123も電波吸収層を含むことが必須である。
ただし、RFタグ読取装置1の正面部121は、電波吸収層ではなく、電波反射層を含んでいてもよい。底面アンテナ160から放射された電波が正面部121で反射されたとしても、その電波は背面側に向かう。その電波が正面部121の上端を越えて開口110から外部に漏れることは起こり得ないからである。
ただし、正面部121が電波反射層を含んでいる場合には、底面アンテナ160によって放射された電波(直接波)が正面部121で反射し、直接波と反射波によってマルチパスが生じる可能性がある。マルチパスが生じると、底面アンテナ160から放射された直接波と反射波が干渉し、収容部の内部に電波の強度が小さくなる領域が生じるおそれがある。そして、この領域にRFタグ301があると、RFタグ301が動作せず、取得部212はそのRFタグ301から情報を取得できない場合が有り得る。このため正面部121は、電波吸収層を含むことが望ましい。
【0065】
(第2の実施形態)
図8は、本発明の第2の実施形態に係るRFタグ読取装置3の一例の縦断面図である。
図1のA-A線断面図に相当する。
RFタグ読取装置3は、収容部100と、制御部201とを有する。
第2の実施形態に係るRFタグ読取装置3の収容部100の構成は、第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1の収容部100の構成と同一である。
第2の実施形態に係るRFタグ読取装置3における底面アンテナ160の電波出力は、第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1のものに比べて大きい。第2の実施形態に係るRFタグ読取装置3では、開口110から外部に漏れる電波により、収容部100の外部にあるRFタグ301が動作する場合がある。
【0066】
制御部201は、送受信部214と、判別部215と、取得部216と、I/F(インタフェース)217とを有する。
RFタグ301がRSSI(Received Signal Strength Indicator,受信電波強度インジケーター)を送信する機能を持つ場合、送受信部214は、底面アンテナ160が応答電波を受信したときにその応答電波からRSSIとタグIDを含む情報とを取得する。この場合、RSSIは、底面アンテナ160から放射されてRFタグ301が受信した電波の強度を示す。
または、送受信部214は、底面アンテナ160が応答電波を受信したときにその応答電波から応答電波の強度とタグIDを含む情報とを取得する。
【0067】
RFタグ301がRSSIを送信する機能を持つ場合、判別部215は、底面アンテナ160が受信した応答電波から取得されたRSSIに基づいて、このRSSIが取得されたRFタグが収容部100の内部にあるかまたは外部にあるかを判別する。例えば、判別部215は、底面アンテナ160が受信した応答電波から取得されたRSSIが所定の第1の閾値以上である場合にそのRFタグ301が収容部100の内部(すなわち、収容空間の内部)にあると判別する。
【0068】
または、判別部215は、底面アンテナ160が受信した応答電波から取得された応答電波の強度に基づいて、この応答電波の強度が取得されたRFタグ301が収容部100の内部にあるかまたは外部にあるかを判別する。例えば、判別部215は、底面アンテナ160が受信した応答電波から取得された応答電波の強度が所定の第2の閾値以上である場合にそのRFタグ301が収容部100の内部(すなわち、収容空間の内部)にあると判別する。
【0069】
第2の実施形態に係るRFタグ読取装置3における収容部100の構成は第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1における収容部100の構成と同一である。このため、以下では、
図5と
図6を参照して制御部201の動作を説明する。ただし、上述した
図5と
図6の説明とは異なり、判別部215は、
図5と
図6における右上がりで斜めの破線の範囲の電波を受信したRFタグ301によって送信される応答電波から取得されたRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部100の内部にあると判別する。
図5は、正面部121が電波遮蔽層141を含む場合の例である。
図5に示すように、RFタグ読取装置3における正面部121の上端は低い。しかし、底面アンテナ160から放射された電波は正面部121と正面収容制限板151の間の第1の減衰空間を伝搬する間に減衰する。減衰した電波は正面部121の上端(すなわち、開口110の周縁)で回折し、正面部121の上端を越えて開口110から収容部100の外部に漏れる。送受信部211は、第1の減衰空間に向けて、正面部121の上端で回折して開口110から収容部100の外部に漏れる電波によって動作したRFタグ301から放射される応答電波に基づいてそのRFタグ301が収容部100の外部にあると判別できる強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
正面部121の上端で回折した回折波は強度が小さいため、それを受信したRFタグ301から送信される応答電波に含まれるRSSIは小さい。また、それを受信したRFタグ301から送信される応答電波は正面部121の上端で回折して底面アンテナ160に届くが、その応答電波の強度も小さい。このため、判別部215は、底面アンテナ160が受信した応答電波から取得されたRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部100の外部にあると判別することができる。
【0070】
図6は、正面部121が電波遮蔽層141を含まない場合の例である。
図6に示すように、RFタグ読取装置3における正面部121の上端は低い。しかし、底面アンテナ160から放射された電波は正面部121と正面収容制限板151の間の第1の減衰空間を伝搬する間に減衰する。送受信部211は、第1の減衰空間に向けて、正面部121の側から収容部100の外部に漏れる電波によって動作したRFタグ301から放射される応答電波に基づいてRFタグ301が収容部100の外部にあると判別できる強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
正面部121の側から収容部100の外部に漏れる電波の強度は小さいため、それを受信したRFタグ301から送信される応答電波に含まれるRSSIは小さい。また、それを受信したRFタグ301から送信される応答電波の強度も小さい。このため、判別部215は、底面アンテナ160が受信した応答電波から取得されたRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部100の外部にあると判別することができる。
【0071】
また、左側面部122の上端と背面部123の上端と右側面部124の上端は、正面部121の上端よりも高い。底面アンテナ160から放射された電波は、左側面部122の上端と背面部123の上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。減衰した電波はこれらの上端(すなわち、開口110の周縁)で回折し、これらの上端を越えて開口110から収容部100の外部に漏れる。RFタグ読取装置3では、これらの上端で回折して開口110から収容部100の外部に漏れる電波によってRFタグ301が動作したとしても、そのRFタグ301から送信された応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301は収容部100の外部にあると判別部215は判別することができる。
【0072】
また、底面アンテナ160から放射された電波が天井で反射し、収容部100の外部にあるRFタグ301に到達する場合がある。しかし、その電波は天井に到達するまでに減衰し、更に反射波は収容部100の外部にあるRFタグ301に到達するまでに減衰する。RFタグ読取装置3では、天井で反射した電波によって収容部100の外部にあるRFタグ301が動作したとしても、そのRFタグ301から送信された応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部100の外部にあると判別部215は判別することができる。
【0073】
このため、RFタグ読取装置3は、底面アンテナ160がRFタグ301からの応答電波を受信したとき、収容部100の内部にあるRFタグ301から読み取られた情報のみを取得することが可能となる。すなわち、RFタグ読取装置3は、底面アンテナ160から放射されて開口110から収容部100の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、収容空間の内部にあるRFタグ301から情報を取得することが可能となる。
【0074】
取得部216は、例えば、RFタグ301が収容部100の内部にあると判別部215が判別したときに、そのRFタグ301から読み取られた情報を取得する。これにより、RFタグ読取装置3は収容空間の内部にあるRFタグ301の情報を取得することが可能となる。
I/F217は、取得部216によって取得された情報を外部の装置(会計装置等)に送信したり、外部の装置から操作の指示を受信したりする。
【0075】
なお、取得部216は、収容部100の外部にあると判別部215が判別したRFタグ301の情報も取得し、I/F217は、収容部100の内部にあるRFタグ301であるか、外部にあるRFタグ301であるかを示す情報とともに、RFタグ301の情報を外部の装置に送信することとしてもよい。
【0076】
(第3の実施形態)
図9は、本発明の第3の実施形態に係るRFタグ読取装置1Aの一例の斜視図である。
図10は、
図9のC-C線断面図である。
図11は、
図9のD-D線断面図である。
図12は、
図9のRFタグ読取装置1Aにおける収容部100Aの一例の平面図である。
RFタグ読取装置1Aは、収容部100Aと、制御部200とを有する。
第3の実施形態に係るRFタグ読取装置1Aの制御部200の構成は、第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1の制御部200の構成と同一である。
制御部200の送受信部211は、収容部100Aの外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を底面アンテナ160に放射させる。
【0077】
収容部100Aは、底面部120と、正面部121と、左側面部122Cと、背面部123と、右側面部124と、載置板150と、正面収容制限板151と、側面収容制限板152と、正面ガイド部153と、側面ガイド部154と、底面アンテナ160とを有する。
第1の実施形態に係る収容部100の左側面部122と異なり、第3の実施形態に係る収容部100Aにおける左側面部122Cの上端は正面部121の上端と同一の高さである。また、収容部100Aは側面収容制限板152と側面ガイド部154を有する点が第1の実施形態に係る収容部100と異なる。その他の点では、収容部100Aの構成は収容部100の構成と同一である。
以下、収容部100Aと収容部100の異なる点について説明する。
【0078】
左側面部122Cの一端と他端は、それぞれ正面部121の一端と背面部123の一端に固着されている。
左側面部122Cは、方形の平板である。左側面部122Cは、底面部120の左側の縁から底面部120に対して垂直に立設する。左側面部122Cの上端は、例えば正面部121の上端と同一の高さである。
左側面部122Cは、平板132Aと電波遮蔽層142Aを含む。電波遮蔽層142Aは、例えば、平板132Aの内面を覆っている。左側面部122Cは、必ずしも電波遮蔽層142Aを含んでいなくてもよいが、例えば外部から収容部100Aの内部に侵入する電波を抑制するために、左側面部122Cは電波遮蔽層142Aを含んでいることが望ましい。
【0079】
側面収容制限板152は、例えば方形の平板である。側面収容制限板152は、左側面部122Cから所定の間隔だけ離れて、左側面部122Cと右側面部124との間に、載置板150の上面から垂直に立設している。側面収容制限板152は、電波を透過させる。
側面ガイド部154は、例えば平板である。側面ガイド部154の下端は側面収容制限板152の上端に固着されている。側面ガイド部154は斜め上方に向かって延び、その上端は左側面部122Cの上端に固着されている。側面ガイド部154の一端と他端は、それぞれ正面ガイド部153の一端と背面部123の内面に固着されている。正面ガイド部153の他端は右側面部124の内面に固着されている。側面ガイド部154は、電波を透過させる。
なお、側面ガイド部154は、側面収容制限板152の上端から斜め上方に向かって延びるのではなく、載置板150と平行であってもよい。また、側面ガイド部154は無くてもよい。
【0080】
載置板150の上方の空間であって正面収容制限板151と側面収容制限板152と背面部123と右側面部124とに囲まれる空間は、収容空間を形成する。収容空間は物品300および/または買物カゴ400の一部または全部を収容可能な空間である。物品300や買物カゴ400は載置板150の上に載置される。
側面収容制限板152は、左側面部122Cと側面収容制限板152の間の空間と、側面収容制限板152と右側面部124の間の空間とに収容部100Aの内部を分ける。ここで、側面部122Cと側面収容制限板152の間の空間には物品300や買物カゴ400は収容されない。この空間は、底面アンテナ160から放射された電波が減衰しながら伝搬する第2の減衰空間である。側面収容制限板152と右側面部124の間の空間は、収容空間である。
底面アンテナ160は、収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されている。
なお、側面収容制限板152は本発明の第2の収容制限部の例である。
【0081】
背面部123は、正面部121に対向している。背面部123の一端と他端は、それぞれ左側面部122Cの他端と右側面部124の一端に固着されている。
【0082】
収容部100Aの構造と収容部100の構造の違いによって、第3の実施形態に係るRFタグ読取装置1Aの左側面部122Cに関する動作と第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1の左側面部122に関する動作に違いが生じる。以下では、RFタグ読取装置1Aの動作がRFタグ読取装置1の動作と異なる点について説明する。なお、RFタグ読取装置1Aにおいて、左側面部122Cに関する動作は、第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1の説明の中で
図5と
図6を参照して説明した正面部121に関する動作と同様である。
【0083】
左側面部122Cは、電波遮蔽層142Aを含んでいても含んでいなくてもよい。
まず、左側面部122Cが電波遮蔽層142Aを含む場合について説明する。RFタグ読取装置1Aにおける左側面部122Cの上端は低い。しかし、底面アンテナ160から放射された電波は左側面部122Cと側面収容制限板152の間の第2の減衰空間を伝搬する間に減衰する。減衰した電波は左側面部122Cの上端(すなわち、開口110の周縁)で回折し、左側面部122Cの上端を越えて開口110から収容部100Aの外部に漏れる。送受信部211は、第2の減衰空間に向けて、左側面部122Cの上端で回折して開口110から収容部100Aの外部に漏れる電波によって収容部100Aの外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。左側面部122Cの上端で回折した回折波は、強度が小さいため、収容部100Aの外部にあるRFタグ301は動作しない。
【0084】
次に、左側面部122Cが電波遮蔽層142Aを含まない場合について説明する。底面アンテナ160から放射された電波は左側面部122Cと側面収容制限板152の間の第2の減衰空間を伝搬する間に減衰する。送受信部211は、第2の減衰空間に向けて、左側面部122Cに到達したときにRFタグ301を動作させない強度に低下する電波を、底面アンテナ160に放射させる。従って、左側面部122Cの側から収容部100Aの外部に漏れる電波によって収容部100Aの外部にあるRFタグ301は動作しない。
【0085】
なお、底面アンテナ160から側面収容制限板152と右側面部124の間の収容空間に放射される電波の強度は大きいため、収容空間にあるRFタグ301から情報を読み落とす可能性は低い。一方、底面アンテナ160から左側面部122Cと側面収容制限板152の間の第2の減衰空間に放射される電波の強度は小さい。仮にRFタグ301が第2の減衰空間にあると、そのRFタグ301から情報を読み落とす可能性が高くなる。しかし、第2の減衰空間にRFタグ301が置かれることはない。
【0086】
また、背面部123の上端と右側面部124の上端は、正面部121の上端よりも高い。底面アンテナ160から放射された電波は、背面部123の上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。減衰した電波はこれらの上端(すなわち、開口110の周縁)で回折し、これらの上端を越えて開口110から収容部100Aの外部に漏れる。送受信部211は、これらの上端を越えて開口110から収容部100Aの外部に漏れる電波によって収容部100Aの外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
【0087】
RFタグ301が動作しなければ、応答電波を送信することもないため、RFタグ読取装置1Aが収容部100Aの外部にあるRFタグ301から情報を取得することはない。このため、RFタグ読取装置1Aは、底面アンテナ160がRFタグ301からの応答電波を受信したとき、収容部100Aの内部にあるRFタグ301から読み取られた情報のみを取得することが可能となる。すなわち、RFタグ読取装置1Aは、底面アンテナ160から放射されて開口110から収容部100Aの外部に漏れる電波の強度が低下することによって、収容空間の内部にあるRFタグ301の情報を取得することが可能となる。
【0088】
なお、本実施形態に係るRFタグ読取装置1Aでは、左側面部122Cは電波吸収層ではなく、電波反射層を含んでいてもよい。底面アンテナ160から放射された電波は左側面部122Cと側面収容制限部152の間の第2の減衰空間を伝搬する間に減衰する。このため、この電波が左側面部122Cに到達したとき、その強度は低下している。左側面部122Cと側面収容制限部152の間隔が十分に大きければ、この電波が左側面部122Cに当たって反射し、例えば正面部121の上端を越えて開口110から外部に漏れても、漏れた電波によって収容部100Aの外部にあるRFタグ301は動作しない。
【0089】
(第4の実施形態)
図示しないが、第4の実施形態に係るRFタグ読取装置は、収容部100Aと、制御部201とを有する。
収容部100Aの構成は、第3の実施形態に係るRFタグ読取装置1Aの収容部100Aの構成と同一である。また、制御部201の構成は、第2の実施形態に係るRFタグ読取装置3の制御部201の構成と同一である。
第3の実施形態に係るRFタグ読取装置1Aでは、底面アンテナ160から放射されて開口110から収容部100Aの外部に漏れる電波によって収容部100Aの外部にあるRFタグ301は動作しない。
これに対し、第4の実施形態に係るRFタグ読取装置における底面アンテナ160の電波出力は、第3の実施形態に係るRFタグ読取装置1Aのものに比べて大きい。第4の実施形態に係るRFタグ読取装置では、底面アンテナ160から放射されて開口110から収容部100Aの外部に漏れる電波により、収容部100Aの外部にあるRFタグ301が動作する場合がある。判別部215は、RFタグ301の応答電波を受信したときに、その応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部100Aの内部にあるか、または外部にあるかを判別する。
【0090】
(第5の実施形態)
図13は、本発明の第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4の一例の斜視図である。
図14は、
図13のE-E線断面図である。
図15は、
図13のF-F線断面図である。
図16は、
図13のRFタグ読取装置4における収容部102の一例の平面図である。
RFタグ読取装置4は、収容部102と、制御部200Aとを有する。
【0091】
図13~
図16に示すように、収容部102は、底面部120と、正面部121と、左側面部122Aと、背面部123Bと、右側面部124と、載置板150と、正面収容制限板151と、側面収容制限板152と、正面ガイド部153と、底面アンテナ160と、側面アンテナ161とを有する。
第5の実施形態に係る収容部102は、側面収容制限板152と側面アンテナ161を有する点が第1の実施形態に係る収容部100と異なる。これに伴い、収容部102の左側面部122Aと背面部123Bの構成が収容部100の左側面部122と背面部123の構成と異なる。その他の点では、第5の実施形態に係る収容部102の構成は第1の実施形態に係る収容部100の構成と同一である。以下、収容部102と収容部100の異なる点について説明する。
【0092】
左側面部122Aの一端と他端は、それぞれ正面部121の一端と背面部123Bの一端に固着されている。
左側面部122Aは、下部1221と中部1222と上部1223とから成る。下部1221は、底面部120の左側の縁から底面部120に対して垂直に立設する。中部1222は、下部1221の上端から底面部120と平行に右側面部124の方向に延びる。上部1223は、中部1222の右側の縁から中部1222(および底面部120)に対して垂直に立設している。
下部1221と中部1222と上部1223は、それぞれ方形の平板1321と方形の平板1322と方形の平板1323とを含む。電波遮蔽層142Aが平板1321と平板1322の内面を覆っている。電波吸収層142が平板1323の内面を覆っている。すなわち、下部1221と中部1222は電波遮蔽層142Aを含み、上部1223は電波吸収層142を含む。
中部1222は正面部121の上端と同じ高さである。上部1223の上端は、一定の高さであって、背面部123Bの上端と同じ高さである。従って、左側面部122Aの上端(すなわち、上部1223の上端)は、正面部121の上端より高い。
【0093】
背面部123Bは、正面部121に対向している。背面部123Bの一端と他端は、それぞれ左側面部122Aの他端と右側面部124の一端に固着されている。
背面部123Bは、底面部120の背面側の縁から底面部120に対して垂直に立設する。
図17に示すように、背面部123Bの一端側は左側面部122Aの他端(すなわち、背面側)の形状に合った形状である。このため、背面部123BはL字状である。すなわち、背面部123Bは他端寄りの高い部分と一端寄りの低い部分で構成される。一端寄りの低い部分の上端は、左側面部122Aの中部1222と同じ高さである。他端寄りの高い部分の上端は、左側面部122Aの上部1223の上端と同じ高さである。背面部123Bの上端は、一定の高さであって、正面部121の上端より高い。ここで、背面部123Bの上端とは、低くなっている背面部123Bの一端寄りの部分を除く他端寄りの部分をいう。
背面部123Bは、L字状の平板133Aと電波吸収層143とを含む。電波吸収層143は、例えば、L字状の平板133Aの内面を覆っている。
【0094】
右側面部124は、左側面部122Aに対向している。右側面部124の一端と他端はそれぞれ背面部123Bの他端と正面部121の他端に固着されている。右側面部124の上端の高さは背面部123Bの上端の高さと同じである。右側面部124の上端は、一定の高さであって、正面部121の上端より高い。
【0095】
なお、背面部123Bに含まれる電波吸収層143は、L字状の平板133Aの内面を覆うのではなく、L字状の平板133Aの外面を覆っていてもよいし、2つのL字状の平板に挟まれていてもよい。ただし、この場合、電波吸収層143の内面側にあるL字状の平板は電波を透過させる材質でなければならない。
左側面部122Aは本発明の第1の側面部の例であり、右側面部124は本発明の第2の側面部の例である。
【0096】
側面アンテナ161は、左側面部122Aにおける下部1221の内面(すなわち、左側面部122Aの内面)に設置されたアンテナである。側面アンテナ161は、RFタグ301と交信するための電波を右側面部124の方向に向けて放射するとともに、RFタグ301から送信される応答電波を受信する。側面アンテナ161は、例えば、平面アンテナやシートアンテナ等である。側面アンテナ161は、例えば、円偏波された電波を放射するか、または水平偏波と垂直偏波を切り替えながら電波を放射する。
背面部123Bの上端と右側面部124の上端は、側面アンテナ161の上縁よりも高い。ここで、側面アンテナ161の上縁とは、側面アンテナ161において電波を放射する部分の最も高い位置をいう。
側面アンテナ161から放射された電波が底面部120から収容部102の外部に漏れることを防ぐために、底面部120は電波遮蔽層140を含むことが望ましい。
なお、正面部121と背面部123Bと右側面部124には、RFタグ301と交信するための電波を放射するアンテナは設置されていない。
【0097】
側面収容制限板152は、例えば方形の平板である。側面収容制限板152は、左側面部122Aの下部1221から所定の間隔だけ離れて、側面アンテナ161と底面アンテナ160との間に、載置板150の上面から垂直に立設している。側面収容制限板152の上端は、例えば左側面部122Aにおける上部1223の下端に固着されている。上部1223は側面収容制限板152の上端から垂直に立設している。側面収容制限板152の高さは載置板150の上面と左側面部122Aにおける中部1222の下面との間隔と同一である。側面収容制限板152の一端と他端は、例えばそれぞれ正面部121と背面部123Bに固着されており、側面収容制限板152の幅は正面部121と背面部123Bの間隔と同一である。側面収容制限板152は、電波を透過させる。
【0098】
側面収容制限板152は、左側面部122Aと側面収容制限板152の間の空間と、側面収容制限板152と右側面部124の間の空間とに収容部102の内部を分ける。ここで、左側面部122Aと側面収容制限板152の間の空間には物品300や買物カゴ400は収容されない。この空間は、側面アンテナ161から放射された電波が広がりながら伝搬する第2の減衰空間である。側面収容制限板152と右側面部124の間の空間は、収容空間である。
側面アンテナ161は、左側面部122Aにおける下部1221の内面において、収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を、正面部121と正面収容制限板151の間の第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置されている。
なお、側面収容制限板152は本発明の第2の収容制限部の例である。
【0099】
なお、底面アンテナ160から放射された電波は左側面部122Aと側面収容制限板152の間の第2の減衰空間を減衰しながら伝搬する。しかし、この電波は左側面部122Aにおける中部1222の下面と下部1221の内面で反射または吸収される。RFタグ読取装置4では、底面アンテナ160から放射されて下部1221と中部1222で反射または吸収される電波は、収容部102の外に漏れることはない。
【0100】
第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4の制御部200Aは、側面アンテナ161を制御する点が第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1の制御部200と異なる。その他の点では、制御部200Aの動作は制御部200の動作と同一である。
制御部200Aは、送受信部211Aと、取得部212Aと、I/F(インタフェース)213Aとを有する。
送受信部211Aは、底面アンテナ160に加えて、側面アンテナ161を制御する。送受信部211Aは、底面アンテナ160と側面アンテナ161に、それぞれ、例えば、円偏波された電波を放射させるか、または直線偏波を用いる場合には水平偏波と垂直偏波を高速に切り替えながら電波を放射させる。
また、送受信部211Aは、底面アンテナ160と側面アンテナ161とが応答電波を受信したときにその応答電波からタグIDを含む情報を取得する。
送受信部211Aは、底面アンテナ160と側面アンテナ161にそれぞれ別々のタイミングで電波を放射させてもよいし、底面アンテナ160と側面アンテナ161から放射される電波の相互干渉を無視できる場合には底面アンテナ160と側面アンテナ161から同時に電波を放射させてもよい。
【0101】
RFタグ301は、底面アンテナ160と側面アンテナ161の1つ以上から送信される電波を受信することによって、動作するために必要な電力を得る。RFタグ301が受信した電波が所定の強度より小さい場合、RFタグ301は動作せず、応答電波を送信しない。
第1の実施形態に係るRFタグ読取装置1と同様に、RFタグ読取装置4でも、底面アンテナ160から放射された電波は正面部121と正面収容制限部151の間の空間を伝搬する間に減衰する。RFタグ読取装置4でも、送受信部211Aは、正面部121の上端から収容部102の外部に漏れる電波によって収容部102の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
また、RFタグ読取装置4でも、左側面部122Aの上端(上部1223の上端)と背面部123Bの上端と右側面部124の上端は、正面部121の上端よりも高い。底面アンテナ160から放射された電波は、上部1223の上端と背面部123Bの上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。送受信部211Aは、これらの上端で回折して収容部102の外部に漏れる電波によって収容部102の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
【0102】
図18は、
図13のRFタグ読取装置4において、側面アンテナ161から放射される電波の一例を示す。右上がりで斜めの破線の範囲の電波を受信したRFタグ301は動作し、応答電波を送信する。
側面アンテナ161から放射された電波は背面部123Bの上端と右側面部124の上端(すなわち、開口110の周縁)を越えて開口110から収容部102の外部に漏れる。しかし、背面部123Bの上端と右側面部124の上端は、側面アンテナ161の上縁より高い。側面アンテナ161から放射された電波は、背面部123Bの上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。送受信部211Aは、これらの上端を越えて開口110から収容部102の外部に漏れる電波によって収容部102の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、側面アンテナ161に放射させる。
【0103】
また、側面アンテナ161から放射された電波は左側面部122Aの中部1222の右端で上方に回折し、更に上部1223の上端で回折して収容部102の左方向に伝搬する。しかし、収容部102の左方向に伝搬する電波の強度は、側面アンテナ161から放射された電波の強度に比べて低下している。RFタグ読取装置4では、側面アンテナ161から放射されて収容部102の左方向に伝搬する電波の強度は、収容部102の外部にあるRFタグ301を動作させないレベルである。
【0104】
図19は、
図13のRFタグ読取装置4において、側面アンテナ161から放射されて右側面部124に到達する電波をRFタグ読取装置4の右側から見た場合の一例を示す。右上がりで斜めの破線の範囲の電波を受信したRFタグ301は動作し、応答電波を送信する。
側面アンテナ161から放射された電波は、正面部121と正面収容制限部151の間の第1の減衰空間を伝搬する。この電波は、正面部121の上端(すなわち、開口110の周縁)で回折し、正面部121の上端を越えて開口110から収容部102の外部に漏れる。また、この電波は、右側面部124の他端から(すなわち、開口110から)収容部102の外部に漏れる。しかし、側面アンテナ161から放射された電波は、正面部121と正面収容制限部151の間の第1の減衰空間を伝搬する間に減衰する。送受信部211Aは、正面部121の上端と右側面部124の他端から収容部102の外部に漏れる電波によって収容部102の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、側面アンテナ161に放射させる。
【0105】
RFタグ301が動作しなければ、応答電波を送信することもないため、RFタグ読取装置4が収容部102の外部にあるRFタグ301から情報を取得することはない。このため、RFタグ読取装置4は、側面アンテナ161がRFタグ301からの応答電波を受信したとき、収容部102の内部にあるRFタグ301から読み取られた情報のみを取得することが可能となる。
【0106】
取得部212Aは、底面アンテナ160と側面アンテナ161がそれぞれ受信した応答電波から取得されたRFタグ301の情報に含まれるタグIDに基づいて各RFタグ301を識別し、RFタグ301毎の情報を取得する。
I/F213Aは、取得部212Aによって識別された各RFタグ301の情報を外部の装置(会計装置等)に送信したり、外部の装置からRFタグ読取装置4に対する操作の指示を受信したりする。
【0107】
なお、右側面部124は電波吸収層144を含むが、仮に右側面部124が電波反射層を含んでいると、側面アンテナ161から収容空間に向けて放射された強い電波が右側面部124で反射し、反射波が正面部121の上端を越えて収容部102の外部に漏れるおそれがある。この反射波の強度は大きい可能性があるため、右側面部124は電波吸収層144を含むことが必須である。
【0108】
(第6の実施形態)
図20は、本発明の第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5の一例の縦断面図である。
図20は、
図13のE-E線断面図に相当する。
RFタグ読取装置5は、収容部102と、制御部201Aとを有する。
第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5の収容部102の構成は、第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4の収容部102の構成と同一である。
第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5における底面アンテナ160と側面アンテナ161の電波出力は、第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4のものに比べて大きい。第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5では、開口110から外部に漏れる電波により、収容部102の外部にあるRFタグ301が動作する場合がある。
【0109】
第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5の制御部201Aは、側面アンテナ161を制御する点が第2の実施形態に係るRFタグ読取装置3の制御部201と異なる。底面アンテナ160の制御については、制御部201Aの動作は制御部201の動作と同一である。
制御部201Aは、送受信部214Aと、判別部215Aと、取得部216Aと、I/F(インタフェース)217Aとを有する。
送受信部214Aは、底面アンテナ160に加えて、側面アンテナ161を制御する。送受信部214Aは、底面アンテナ160と側面アンテナ161に、それぞれ、例えば、円偏波された電波を放射させるか、または直線偏波を用いる場合には水平偏波と垂直偏波を高速に切り替えながら電波を放射させる。
また、送受信部214Aは、底面アンテナ160と側面アンテナ161とが応答電波を受信したときにその応答電波からタグIDを含む情報を取得する。
送受信部214Aは、底面アンテナ160と側面アンテナ161にそれぞれ別々のタイミングで電波を放射させてもよいし、底面アンテナ160と側面アンテナ161から放射される電波の相互干渉を無視できる場合には底面アンテナ160と側面アンテナ161から同時に電波を放射させてもよい。
【0110】
第2の実施形態に係るRFタグ読取装置3と同様に、RFタグ読取装置5でも、底面アンテナ160から放射された電波は正面部121と正面収容制限部151の間の第1の減衰空間を伝搬する間に減衰する。RFタグ読取装置5でも、正面部121の上端を越えて開口110から収容部102の外部に漏れる電波によってRFタグ301が動作したとしても、そのRFタグ301が収容部102の外部にあると判別部215Aは判別することができる。
また、RFタグ読取装置5でも、左側面部122Aの上端と背面部123Bの上端と右側面部124の上端は、正面部121の上端よりも高い。底面アンテナ160から放射された電波は、左側面部122Aの上端と背面部123Bの上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。RFタグ読取装置5でも、これらの上端を越えて開口110から収容部102の外部に漏れる電波によってRFタグ301が動作したとしても、そのRFタグ301が収容部102の外部にあると判別部215Aは判別することができる。
【0111】
RFタグ読取装置5の収容部102の構成とRFタグ読取装置4の収容部102の構成とは同一である。このため、以下では、
図18と
図19を参照してRFタグ読取装置5の制御部201Aの動作を説明する。ただし、上述した
図18と
図19の説明とは異なり、判別部215Aは、
図18と
図19における右上がりで斜めの破線の範囲の電波を受信したRFタグ301によって送信される応答電波から取得されたRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部102の内部にあると判別する。
図18に示す右上がりで斜めの破線の範囲の電波を受信したRFタグ301から送信された応答電波を側面アンテナ161が受信したときに、判別部215AはRSSIまたは応答電波の強度に基づいてそのRFタグ301が収容部102の内部にあると判別する。
側面アンテナ161から放射された電波は背面部123Bの上端と右側面部124の上端(すなわち、開口110の周縁)を越えて開口110から収容部102の外部に漏れる。しかし、背面部123Bの上端と右側面部124の上端は、側面アンテナ161の上縁より高い。側面アンテナ161から放射された電波は、背面部123Bの上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。RFタグ読取装置5では、背面部123Bの上端と右側面部124の上端で回折して開口110から収容部102の外部に漏れる電波によってRFタグ301が動作したとしても、そのRFタグ301から受信した応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部102の外部にあると判別部215Aは判別することができる。
【0112】
また、側面アンテナ161から放射された電波は左側面部122Aの中部1222の右端で上方に回折し、更に上部1223の上端で回折して収容部102の左方向に伝搬する。しかし、収容部102の左方向に伝搬する電波の強度は、側面アンテナ161から放射された電波の強度に比べて低下している。RFタグ読取装置5では、側面アンテナ161から放射されて収容部102の左方向に伝搬する電波によってRFタグ301が動作したとしても、そのRFタグ301から受信した応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部102の外部にあると判別部215Aは判別することができる。
【0113】
図19に示す右上がりで斜めの破線で示す範囲の電波を受信したRFタグ301から送信された応答電波を側面アンテナ161が受信したときに、判別部215AはRSSIまたは応答電波の強度に基づいてそのRFタグ301が収容部102の内部にあると判別する。
側面アンテナ161から放射された電波は、正面部121と正面収容制限部151の間の第1の減衰空間を伝搬する。この電波は、正面部121の上端(すなわち、開口110の周縁)で回折し、正面部121の上端を越えて開口110から収容部100の外部に漏れる。また、右側面部124の他端(すなわち、開口110)から収容部102の外部に漏れる。しかし、側面アンテナ161から放射された電波は、正面部121と正面収容制限部151の間の第1の減衰空間を伝搬する間に減衰するため、収容部102の外部に漏れる電波の強度は小さい。RFタグ読取装置5では、正面部121の上端や右側面部124の他端から収容部102の外部に漏れる電波によってRFタグ301が動作したとしても、そのRFタグ301から受信した応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部102の外部にあると判別部215Aは判別することができる。
【0114】
取得部216Aは、底面アンテナ160と側面アンテナ161がそれぞれ受信した応答電波から取得されたRFタグ301の情報に含まれるタグIDに基づいて各RFタグ301を識別し、RFタグ301毎の情報を取得する。
取得部216Aは、例えば、RFタグ301が収容部102の内部にあると判別部215Aが判別したときに、そのRFタグ301から読み取られた情報を取得する。これにより、RFタグ読取装置5は収容部102の内部にあるRFタグ301の情報を取得することが可能となる。
I/F217Aは、取得部216Aによって取得された情報を外部の装置(会計装置等)に送信したり、外部の装置から操作の指示を受信したりする。
【0115】
なお、取得部216Aは、収容部102の外部にあると判別部215Aが判別したRFタグ301の情報も取得し、I/F217Aは、収容部102の内部にあるRFタグ301であるか、外部にあるRFタグ301であるかを示す情報とともに、RFタグ301の情報を外部の装置に送信することとしてもよい。
【0116】
(第7の実施形態)
図21は、本発明の第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6の一例の斜視図である。
図22は、
図21のG-G線断面図である。
図23は、
図21のH-H線断面図である。
図24は、
図21のRFタグ読取装置6における収容部103の一例の平面図である。
RFタグ読取装置6は、収容部103と、制御部200Aとを有する。
第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6の制御部200Aの構成は、第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4の制御部200Aの構成と同一である。
制御部200Aの送受信部211Aは、収容部103の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を底面アンテナ160と側面アンテナ161に放射させる。
【0117】
収容部103は、底面部120と、正面部121と、左側面部122Bと、背面部123Cと、右側面部124Aと、載置板150と、正面収容制限板151と、側面収容制限板152と、正面ガイド部153と、側面ガイド部154と、底面アンテナ160と、側面アンテナ161とを有する。
第7の実施形態に係る収容部103は、左側面部122Bと右側面部124Aの構造が第5の実施形態に係る収容部102の左側面部122Aと右側面部124の構造と異なる。左側面部122Bと左側面部122Aの構造が異なるのに伴い、背面部123Cの構造が収容部102の背面部123Bの構造と異なると共に、収容部103に側面ガイド部154が付加される。その他の点では、第7の実施形態に係る収容部103の構成は第5の実施形態に係る収容部102の構成と同一である。以下、収容部103と収容部102の異なる点について説明する。
【0118】
左側面部122Bの一端と他端は、それぞれ正面部121の一端と背面部123Cの一端に固着されている。
左側面部122Bは、下部1221と、中部1222Aとから成る。左側面部122Bは、上部1223が無い点、および中部1222Aの幅が収容部102の中部1222より狭い点が収容部102の左側面部122Aと異なる。
下部1221は、底面部120の左側の縁から底面部120に対して垂直に立設する。中部1222Aは、下部1221の上端から底面部120と平行に右側面部124Aの方向に延びる。
左側面部122Bにおける下部1221の内面には、側面アンテナ161が設置されている。
下部1221と中部1222Aは、それぞれ平板1321と平板1322Aを含む。電波遮蔽層142Aが、例えば、平板1321の内面と平板1322Aの下面を覆っている。下部1221と中部1222Aは、必ずしも電波遮蔽層142Aを含んでいなくてもよいが、例えば外部から収容部102の内部に侵入する電波を抑制するために、下部1221と中部1222Aは電波遮蔽層142Aを含んでいることが望ましい。
【0119】
図23に示すように、中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間には所定の隙間がある。その隙間を塞ぐために、側面ガイド部154が設けられている。側面ガイド部154は、下端が側面収容制限板152の上端に固着されており、斜め上方に向かって延び、上端が側部アンテナ161の上縁より高い位置で中部1222Aの右端(すなわち、左側面部122B)に固着されている。側面ガイド部154は電波を透過させる。
【0120】
背面部123Cは、正面部121に対向している。背面部123Cの一端と他端は、それぞれ左側面部122Bの他端と右側面部124Aの一端に固着されている。
図17に示した背面部123Bと同様に、背面部123CはL字状であって、他端寄りの高い部分と一端寄りの低い部分から成る。ただし、一端寄りの低い部分の長さは、中部1222Aの幅と同一である。すなわち、背面部123Cにおける一端寄りの低い部分の長さは、背面部123Bにおける一端寄りの低い部分より短い。
背面部123Cは、L字状の平板133Bと電波吸収層143とを含む。電波吸収層143は、例えば、L字状の平板133Bの内面を覆っている。
【0121】
右側面部124Aは、左側面部122Bに対向している。
図25にRFタグ読取装置6を右側から見た場合における右側面部124Aの形状の一例を示す。右側面部124Aの一端は背面部123Cの他端に固着されている。右側面部124Aの他端は、正面部121よりも正面側に所定の長さ張り出しており、右側面部124Aの一端と他端との間に正面部121の他端が固着されている。右側面部124Aは、底面部120の右側の縁から底面部120に対して垂直に立設する部分と、正面部121よりも正面側に所定の長さ張り出す部分とを有する。
右側面部124Aは、平板134Aと電波吸収層144とを含む。電波吸収層144は、例えば、平板134Aの内面を覆っている。
右側面部124Aの上端はその一端から他端まで一定の高さであり、その高さは背面部123Cにおける他端側の上端の高さと同じである。従って、右側面部124Aの上端は正面部121の上端より高い。
【0122】
収容部103の構造と収容部102の構造の違いによって、第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6の動作と第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4の動作に違いが生じる。以下では、RFタグ読取装置6の動作がRFタグ読取装置4の動作と異なる点について説明する。
図26は、RFタグ読取装置6において、底面アンテナ160から放射される電波の一例を示す。ただし、
図26は、下部1221と中部1222Aが電波遮蔽層142Aを含んでおらず、それぞれ平板1321と平板1322Aのみで構成されている例である。
底面アンテナ160から上方に放射される電波は、左側面部122Bと側面収容制限板152の間の第2の減衰空間を広がりながら伝搬する。中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の空間は、第2の減衰空間に含まれる。底面アンテナ160から上方に放射される電波は、中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の空間を伝搬する間に減衰する。RFタグ読取装置6では、送受信部211Aは、例えば、中部1222Aの右端に到達した電波によって収容部103の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
なお、
図26の例と異なり、下部1221と中部1222Aが電波遮蔽層142Aを含んでいる場合、送受信部211Aは、中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の空間を伝搬し、中部1222Aの右端で回折して収容部103の左側に漏れる電波によって、収容部103の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
【0123】
また、背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端は、正面部121の上端よりも高い。底面アンテナ160から放射された電波は、背面部123Bの上端と右側面部124Aの上端に到達したときには減衰している。送受信部211Aは、これらの上端で回折して収容部103の外部に漏れる電波によって収容部103の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、底面アンテナ160に放射させる。
【0124】
従って、RFタグ読取装置6では、底面アンテナ160から放射された電波が正面部121と正面収容制限部151の間の第1の減衰空間および中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の空間を伝搬する間に減衰すること、および背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端が正面部121の上端より高く、底面アンテナ160から放射された電波が背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端に到達したときに減衰していることにより、底面アンテナ160から放射されて開口110から収容部103の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、収容部103の内部にあるRFタグ301の情報を取得することが可能となる。
【0125】
また、RFタグ読取装置6では、右側面部124Aの他端が正面部121よりも正面側に所定の長さ張り出している。側面アンテナ161から放射され、右側面部124Aの他端に到達する電波は減衰している。送受信部211Aは、右側面部124Aの他端を回り込む電波によって収容部103の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、側面アンテナ161に放射させる。
従って、RFタグ読取装置6では、側面アンテナ161から放射された電波が正面部121と正面収容制限部151の間の第1の減衰空間を伝搬する間に減衰すること、右側面部124Aの他端が正面部121よりも正面側に所定の長さ張り出していること、および背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端が側面アンテナ161の上縁より高く、側面アンテナ161から放射された電波が背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端に到達したときに減衰していることにより、側面アンテナ161から放射されて開口110から収容部103の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、収容部103の内部にあるRFタグ301の情報を取得することが可能となる。
【0126】
なお、左側面部122Bの中部1222Aの幅は狭い。
図27に示すように、側面アンテナ161から放射された電波が十分に広がる前に中部1222Aの右端に到達するならば、中部1222Aの右端で回折し、収容部102の左方向に回り込む電波の強度は小さい。また、底面アンテナ160から放射された電波は、中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の空間を伝搬する間に減衰する。このため、RFタグ読取装置6の収容部103では左側面部122Bに上部1223が無い。
【0127】
本実施形態では、左側面部122Bが下部1221と中部1222Aとから成る例を示したが、この場合、中部1222Aの右端が本発明の第1の側面部における第2の収容制限部側の端部の例であり、本発明における第2の収容制限部側の端部と第2の収容制限部との間の所定の隙間は、中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の隙間である。
ただし、本実施形態に係る左側面部122Bは下部1221と中部1222Aに加えて上部1223を有していてもよい。この場合、上部1223の内面(これは、中部1222Aの右端でもある。)が本発明の第1の側面部における第2の収容制限部側の端部であり、本発明における第2の収容制限部側の端部と第2の収容制限部との間の所定の隙間は、上部1223の内面と側面収容制限板152との間の隙間である。
また、左側面部122Bは中部1222Aを有していなくてもよい。すなわち、左側面部122Bは下部1221のみで構成されていてもよい。この場合、下部1221の内面が本発明の第1の側面部における第2の収容制限部側の端部であり、本発明における第2の収容制限部側の端部と第2の収容制限部との間の所定の隙間は、下部1221の内面と側面収容制限板152との間の隙間である。
【0128】
(第8の実施形態)
図示しないが、第8の実施形態に係るRFタグ読取装置は、収容部103と、制御部201Aとを有する。
第8の実施形態に係るRFタグ読取装置の収容部103の構成は、第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6の収容部103の構成と同一である。また、第8の実施形態に係るRFタグ読取装置の制御部201Aの構成は、第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5の制御部201Aの構成と同一である。
第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6では、底面アンテナ160と側面アンテナ161から放射されて開口110から収容部103の外部に漏れる電波によって収容部103の外部にあるRFタグ301は動作しない。
これに対し、第8の実施形態に係るRFタグ読取装置における底面アンテナ160と側面アンテナ161の電波出力は、第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6のものに比べて大きい。第8の実施形態に係るRFタグ読取装置では、底面アンテナ160と側面アンテナ161から放射されて開口110から収容部103の外部に漏れる電波により、収容部103の外部にあるRFタグ301が動作する場合がある。判別部215Aは、RFタグ301の応答電波を受信したときに、その応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部103の内部にあるか、または外部にあるかを判別する。
【0129】
なお、第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4と第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5の収容部102では、右側面部124の他端が正面部121の他端に固着されていた。これに対し、第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6と第8の実施形態に係るRFタグ読取装置の収容部103と同様に、収容部102も、右側面部124の他端が正面部121よりも正面側に所定の長さ張り出しており、右側面部124の他端と一端との間に正面部121の他端が固着されている構成とすることもできる。
また、第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6と第8の実施形態に係るRFタグ読取装置の収容部103では、右側面部124Aの他端が正面部121よりも正面側に所定の長さ張り出しており、右側面部124Aの他端と一端との間に正面部121の他端が固着されていた。これに対し、第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4と第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5の収容部102と同様に、収容部103も、右側面部124Aの他端が正面部121の他端に固着されている構成とすることもできる。
【0130】
(第9の実施形態)
図28は、本発明の第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7の一例の斜視図である。
図29は、
図28のI-I線断面図である。
図30は、
図28のJ-J線断面図である。
図31は、
図28のRFタグ読取装置7における収容部104の一例の平面図である。
第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7は、第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4に正面アンテナ162を追加したものである。
RFタグ読取装置7は、収容部104と、制御部200Bとを有する。
【0131】
図28~
図31に示すように、収容部104は、底面部120と、正面部121と、左側面部122Aと、背面部123Bと、右側面部124と、載置板150と、正面収容制限板151と、側面収容制限板152と、正面ガイド部153と、底面アンテナ160と、側面アンテナ161と、正面アンテナ162とを有する。
第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7の収容部104は、正面アンテナ162を有する点が第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4の収容部102と異なる。その他の点では、第9の実施形態に係る収容部104の構成は第5の実施形態に係る収容部102の構成と同一である。以下、収容部104と収容部102の異なる点について説明する。
【0132】
正面アンテナ162は、正面部121の内面に設置されたアンテナである。正面アンテナ162は、RFタグ301と交信するための電波を背面部123Bの方向に向けて放射するとともに、RFタグ301から送信される応答電波を受信する。正面アンテナ162は、例えば、平面アンテナやシートアンテナ等である。正面アンテナ162は、例えば、円偏波された電波を放射するか、または水平偏波と垂直偏波を切り替えながら電波を放射する。
【0133】
左側面部122Aの上端(すなわち、上部1223の上端)と背面部123Bの上端と右側面部124の上端は、正面アンテナ162の上縁よりも高い。ここで、正面アンテナ162の上縁とは、正面アンテナ162において電波を放射する部分の最も高い位置をいう。
なお、背面部123Bと右側面部124には、RFタグ301と交信するための電波を放射するアンテナは設置されていない。
【0134】
第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7の制御部200Bは、正面アンテナ162を制御する点が第5の実施形態に係るRFタグ読取装置4の制御部200Aと異なる。その他の点では、制御部200Bの動作は制御部200Aの動作と同一である。
制御部200Bは、送受信部211Bと、取得部212Bと、I/F(インタフェース)213Bとを有する。
送受信部211Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161に加えて、正面アンテナ162を制御する。送受信部211Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162に、それぞれ、例えば、円偏波された電波を放射させるか、または直線偏波を用いる場合には水平偏波と垂直偏波を高速に切り替えながら電波を放射させる。
また、送受信部211Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162が応答電波を受信したときにその応答電波からタグIDを含む情報を取得する。
送受信部211Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162にそれぞれ別々のタイミングで電波を放射させてもよいし、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162から放射される電波の相互干渉を無視できる場合には底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162から同時に電波を放射させてもよい。
【0135】
RFタグ301は、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162の1つ以上から送信される電波を受信することによって、動作するために必要な電力を得る。RFタグ301が受信した電波が所定の強度より小さい場合、RFタグ301は動作せず、応答電波を送信しない。
正面アンテナ162から放射された電波は左側面部122Aの上端(すなわち、上部1223の上端)と背面部123Bの上端と右側面部124の上端(すなわち、開口110の周縁)を越えて開口110から収容部104の外部に漏れる。しかし、左側面部122Aの上端と背面部123Bの上端と右側面部124の上端は、正面アンテナ162の上縁より高い。正面アンテナ162から放射された電波は、左側面部122Aの上端と背面部123Bの上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。従って、正面アンテナ162から放射されて開口110から収容部104の外部に漏れる電波の強度は低下している。送受信部211Bは、これらの上端を越えて開口110から収容部104の外部に漏れる電波によって収容部104の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、正面アンテナ162に放射させる。これにより、RFタグ読取装置7では、収容部104(すなわち、収容空間)の内部にあるRFタグ301の情報を取得することが可能となる。
【0136】
図32は、第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7による効果の一例を説明するための図である。
図32の例では、収容部104の内部に6個のRFタグ301が存在する。各RFタグ301は底面アンテナ160と平行であって上下に重なっており、かつ、それらの長手方向は正面アンテナ162に向いている。
この場合、上側に位置する各RFタグ301ほど底面アンテナ160から放射される電波を受信しにくくなる。そして、各RFタグ301はその長手方向が正面アンテナ162に向いているため、正面アンテナ162から放射される電波も受信しにくい。
しかし、各RFタグ301は側面アンテナ161から放射される電波を受信し、側面アンテナ161に応答電波を送信する。このため、取得部212Bは、側面アンテナ161によって受信された応答電波から6個のRFタグ301の情報を取得することができる。
複数のRFタグ301が底面アンテナ160と平行であって上下に重なっており、かつ、それらの長手方向が側面アンテナ161または正面アンテナ162に向いているという状況は、例えば、衣類や封筒のように薄い物品300にRFタグ301が取り付けられている場合に起こる可能性がある。第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7によれば、互いに垂直な3方向からアンテナの電波を収容部104の中のRFタグ301に放射する。このため、RFタグ読取装置7は、収容部104の中にあるRFタグ301の情報を読み落とす可能性が低い。
【0137】
なお、背面部123Bは電波吸収層143を含むが、仮に背面部123Bが電波反射層を含んでいると、正面アンテナ162から放射された電波が背面部123Bで反射し、反射波が正面部121の上端を越えて収容部104の外部に漏れるおそれがある。正面部121の上端は低い。このため、この反射波の強度は大きい可能性がある。従って、背面部123Bは電波吸収層143を含むことが必須である。
【0138】
(第10の実施形態)
図33は、本発明の第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8の一例の縦断面図である。
図33は、
図28のJ-J線断面図に相当する。
第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8は、第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5に正面アンテナ162を追加したものである。
RFタグ読取装置8は、収容部104と、制御部201Bとを有する。
第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8の収容部104の構成は、第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7の収容部104の構成と同一である。
第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8における底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162の電波出力は、第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7のものに比べて大きい。第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8では、開口110から外部に漏れる電波により、収容部104の外部にあるRFタグ301が動作する場合がある。
【0139】
第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8の制御部201Bは、正面アンテナ162を制御する点が第6の実施形態に係るRFタグ読取装置5の制御部201Aと異なる。底面アンテナ160と側面アンテナ161の制御については、制御部201Bの動作は制御部201Aの動作と同一である。
制御部201Bは、送受信部214Bと、判別部215Bと、取得部216Bと、I/F(インタフェース)217Bとを有する。
送受信部214Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161に加えて、正面アンテナ162を制御する。送受信部214Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162に、それぞれ、例えば、円偏波された電波を放射させるか、または直線偏波を用いる場合には水平偏波と垂直偏波を高速に切り替えながら電波を放射させる。
また、送受信部214Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162とが応答電波を受信したときにその応答電波からタグIDを含む情報を取得する。
送受信部214Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162にそれぞれ別々のタイミングで電波を放射させてもよいし、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162から放射される電波の相互干渉を無視できる場合には底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162から同時に電波を放射させてもよい。
【0140】
正面アンテナ162から放射された電波は左側面部122Aの上端(すなわち、上部1223の上端)と背面部123Bの上端と右側面部124の上端を越えて開口110から収容部104の外部に漏れる。しかし、上部1223の上端と背面部123Bの上端と右側面部124の上端は、正面アンテナ162の上縁より高い。正面アンテナ162から放射された電波は、上部1223の上端と背面部123Bの上端と右側面部124の上端に到達したときには減衰している。このため、正面アンテナ162から放射されて開口110から収容部104の外部に漏れる電波の強度は低下する。RFタグ読取装置8では、上部1223の上端と背面部123Bの上端と右側面部124の上端を越えて開口110から収容部104の外部に漏れる電波によってRFタグ301が動作したとしても、そのRFタグ301から受信した応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部104の外部にあると判別部215Bは判別することができる。
【0141】
取得部216Bは、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162がそれぞれ受信した応答電波から取得されたRFタグ301の情報に含まれるタグIDに基づいて各RFタグ301を識別し、RFタグ301毎の情報を取得する。
取得部216Bは、例えば、RFタグ301が収容部104の内部(すなわち、収容空間の内部)にあると判別部215Bが判別したときに、そのRFタグ301から読み取られた情報を取得する。これにより、RFタグ読取装置8は収容空間の内部にあるRFタグ301の情報を取得することが可能となる。
I/F217Bは、取得部216Bによって取得された情報を外部の装置(会計装置等)に送信したり、外部の装置から操作の指示を受信したりする。
【0142】
なお、取得部216Bは、収容部104の外部にあると判別部215Bが判別したRFタグ301の情報も取得し、I/F217Bは、収容部104の内部にあるRFタグ301であるか、外部にあるRFタグ301であるかを示す情報とともに、RFタグ301の情報を外部の装置に送信することとしてもよい。
【0143】
(第11の実施形態)
図34は、本発明の第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9の一例の斜視図である。
図35は、
図34のK-K線断面図である。
図36は、
図34のL-L線断面図である。
図37は、
図34のRFタグ読取装置9における収容部105の一例の平面図である。
第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9は、第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6に正面アンテナ162を追加したものである。
RFタグ読取装置9は、収容部105と、制御部200Bとを有する。
第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9の制御部200Bの構成は、第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7の制御部200Bの構成と同一である。制御部200Bの送受信部211Bは、収容部105の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162に放射させる。
【0144】
図34~
図37に示すように、収容部105は、底面部120と、正面部121と、左側面部122Bと、背面部123Cと、右側面部124Aと、載置板150と、正面収容制限板151と、側面収容制限板152と、正面ガイド部153と、側面ガイド部154と、底面アンテナ160と、側面アンテナ161、正面アンテナ162とを有する。
第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9の収容部105は、正面アンテナ162を有する点が第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6の収容部103と異なる。その他の点では、第11の実施形態に係る収容部105の構成は第7の実施形態に係る収容部103の構成と同一である。以下、収容部105と収容部103の異なる点について説明する。
【0145】
正面アンテナ162は、正面部121の内面に設置されたアンテナである。正面アンテナ162は、収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を、左側面部122Bと側面収容制限板152の間の第2の減衰空間に向けて放射する位置に設置されている。正面アンテナ162は、RFタグ301と交信するための電波を背面部123Cの方向に向けて放射するとともに、RFタグ301から送信される応答電波を受信する。正面アンテナ162は、例えば、平面アンテナやシートアンテナ等である。正面アンテナ162は、例えば、円偏波された電波を放射するか、または水平偏波と垂直偏波を切り替えながら電波を放射する。
【0146】
背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端は、正面アンテナ162の上縁よりも高い。
なお、背面部123Cと右側面部124Aには、RFタグ301と交信するための電波を放射するアンテナは設置されていない。
【0147】
第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9の制御部200Bは、正面アンテナ162を制御する点が第7の実施形態に係るRFタグ読取装置6の制御部200Aと異なる。その他の点では、RFタグ読取装置9の制御部200Bの動作はRFタグ読取装置6の制御部200Aの動作と同一である。
また、第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9の制御部200Bの構成と第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7の制御部200Bの構成は同一であるが、収容部105の構成と収容部104の構成の違いによって、正面アンテナ162から放射される電波の伝搬に違いが生じる。以下では、この違いについて説明する。
【0148】
正面アンテナ162から背面部123Cに向かって放射される電波は、左側面部122Bと側面収容制限板152の間の第2の伝搬空間を広がりながら伝搬する。中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の空間は、第2の減衰空間に含まれる。正面アンテナ162から背面部123Cに向かって放射される電波は、中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の空間を伝搬する間に減衰する。そして、下部1221と中部1222Aが電波遮蔽層142Aを含んでいる場合、この電波は、左側面部122Bの中部1222Aの右端で回折して収容部105の左側に漏れる。送受信部211Bは、収容部105の左側に漏れる電波によって収容部105の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、正面アンテナ162に放射させる。
一方、下部1221と中部1222Aが電波遮蔽層142Aを含んでいない場合、ずなわち、下部1221と中部1222Aがそれぞれ平板1321と平板1322Aのみで構成されている場合、送受信部211Bは、例えば、正面アンテナ162から放射されて中部1222Aの右端に到達した電波によって収容部105の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、正面アンテナ162に放射させる。
【0149】
また、正面アンテナ162から背面部123Cに向かって放射される電波は、背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端(すなわち、開口110の周縁)を越えて開口110から収容部105の外部に漏れる。しかし、背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端は、正面アンテナ162の上縁より高い。正面アンテナ162から放射された電波は、背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端に到達したときには減衰している。送受信部211Bは、正面アンテナ162から放射されて背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端から収容部105の外部に漏れる電波よって収容部105の外部にあるRFタグ301が動作しない強度の電波を、正面アンテナ162に放射させる。
【0150】
従って、RFタグ読取装置9では、正面アンテナ162から放射された電波が中部1222Aの右端と側面収容制限板152との間の空間を伝搬する間に減衰すること、および背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端が正面アンテナ162の上縁より高く、正面アンテナ162から放射された電波が背面部123Cの上端と右側面部124Aの上端に到達したときに減衰していることにより、正面アンテナ162から放射されて開口110から収容部105の外部に漏れる電波の強度が低下することによって、収容部105の内部にあるRFタグ301の情報を取得することが可能となる。
【0151】
本実施形態では、左側面部122Bに上部1223が無い例を示したが、左側面部122Bは下部1221と中部1222Aに加えて上部1223を有していてもよい。また、左側面部122Bは中部1222Aを有していなくてもよい。すなわち、左側面部122Bは下部1221のみで構成されていてもよい。
【0152】
(第12の実施形態)
図示しないが、第12の実施形態に係るRFタグ読取装置は、収容部105と、制御部201Bとを有する。
収容部105の構成は、第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9の収容部105の構成と同一である。また、制御部201Bの構成は、第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8の制御部201Bの構成と同一である。
第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9では、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162から放射されて開口110から収容部105の外部に漏れる電波によって収容部105の外部にあるRFタグ301は動作しない。
これに対し、第12の実施形態に係るRFタグ読取装置における底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162の電波出力は、第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9のものに比べて大きい。第12の実施形態に係るRFタグ読取装置では、底面アンテナ160と側面アンテナ161と正面アンテナ162から放射されて開口110から収容部105の外部に漏れる電波により、収容部105の外部にあるRFタグ301が動作する場合がある。判別部215Bは、RFタグ301の応答電波を受信したときに、その応答電波に含まれるRSSIまたは応答電波の強度に基づいて、そのRFタグ301が収容部105の内部にあるか、または外部にあるかを判別する。
【0153】
なお、第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7と第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8の収容部104では、右側面部124の他端が正面部121の他端に固着されていた。これに対し、第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9と第12の実施形態に係るRFタグ読取装置の収容部105と同様に、収容部104も、右側面部124の他端が正面部121よりも正面側に所定の長さ張り出しており、右側面部124の他端と一端との間に正面部121の他端が固着されている構成とすることもできる。
また、第11の実施形態に係るRFタグ読取装置9と第12の実施形態に係るRFタグ読取装置の収容部105では、右側面部124Aの他端が正面部121よりも正面側に所定の長さ張り出しており、右側面部124Aの他端と一端との間に正面部121の他端が固着されていた。これに対し、第9の実施形態に係るRFタグ読取装置7と第10の実施形態に係るRFタグ読取装置8の収容部104と同様に、収容部105も、右側面部124Aの他端が正面部121の他端に固着されている構成とすることもできる。
【0154】
なお、本発明に係るRFタグ読取装置では、収容部の外部にあるRFタグ301が動作せず、応答電波を送信しない構成と、収容部の外部にあるRFタグ301が動作して応答電波を送信するが、RSSIまたは応答電波の強度に基づいて判別部がそのRFタグ301は外部にあると判別する構成とを適宜組み合わせることができる。
例えば、底面アンテナ160から放射される電波に対して収容部の外部にあるRFタグ301が動作せず、応答電波を送信しない構成とし、正面アンテナ162と側面アンテナ161から放射される電波に対して収容部の外部にあるRFタグ301が動作して応答電波を送信するが、判別部がそのRFタグ301は外部にあると判別する構成とすることができる。
【0155】
また、上述した実施形態では底面部に底面アンテナが1つ設置されている例を示したが、底面部に2つ以上の底面アンテナを設置してもよい。同様に、正面部に2つ以上の正面アンテナを設置してもよいし、左側面部に2つ以上の側面アンテナを設置してもよい。
【0156】
また、上述した実施形態では左側面部を本発明における第1の側面部とし、右側面部を本発明における第2の側面部とする例を示したが、右側面部を本発明における第1の側面部とし、左側面部を本発明における第2の側面部としてもよい。
【0157】
また、上述した実施形態では、RFタグ読取装置とRFタグとは周波数860~960MHzのUHF帯の電波で交信するとしたが、RFタグ読取装置とRFタグとはそれ以外の周波数の電波で交信してもよい。
【0158】
また、上述した実施形態では、商品を例として説明したが、物品は、商品に限られず、見本品や書類、薬剤など他の物であってもよい。本発明に係るRFタグ読取装置はセルフレジに限らず、他の用途で使用することもできる。
【0159】
以上説明したように、本発明によれば、収容部の上部に開口を有し、開口が開いた状態で収容部の内部にあるパッシブ型のRFタグから情報を取得するRFタグ読取装置において、開口周縁における電波の回折に起因して収容部の外部にあるRFタグから情報を誤って取得することを防ぐことができる。
【0160】
また、本発明に係るRFタグ読取装置は、正面部の上端が左側面部の上端と右側面部の上端よりも低いにもかかわらず、左側面部または右側面部に側面アンテナを設置しても正面部を超えて開口から収容部の外部に強い電波が漏れることはなく、収容部の外部にあるRFタグから情報を誤って読み出すことはない。
【0161】
更に、本発明に係るRFタグ読取装置は収容部における正面部の上端が低いため、物品や買物カゴを正面側から出し入れすると、それらを収納部に容易に出し入れすることができる。収容部の正面部と左側面部にそれぞれ正面ガイド部と側面ガイド部を設けることにより、物品や買物カゴの出し入れが更に容易になる。
【0162】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計または製造上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0163】
1,1A、3,4,5,6,7,8,9…本発明のRFタグ読取装置、2…比較例のRFタグ読取装置、100,100A,102,103,104,105…本発明の収容部、101…比較例の収容部、110…開口、120…底面部、121…正面部、122、122A,122B,122C…左側面部、1221…左側面部の下部、1222,1222A…左側面部の中部、1223…左側面部の上部、123,123B,123C…背面部、123A…比較例の背面部、124,124A…右側面部、130,131,132,132A,133,133A,133B,134,134A…平板、1321,1322,1322A,1323…左側面部に含まれる平板、140,141,142A…電波遮蔽層、142,143,144…電波吸収層、143A…電波反射層、150…載置板、151…正面収容制限板、152…側面収容制限板、153…正面ガイド部、154…側面ガイド部、160…底面アンテナ、161…側面アンテナ、162…正面アンテナ、200,200A,200B,201,201A,201B…制御部、211,211A,211B,214,214A,214B…送受信部、215,215A,215B…判別部、212,212A,212B,216,216A,216B…取得部、213,213A,213B,217,217A,217B…I/F(インタフェース)、300…物品、301…RFタグ、400…買物カゴ
【要約】
【課題】収容部100の上部に開口を有し、開口が開いた状態で収容部100の内部にあるパッシブ型のRFタグから情報を取得するRFタグ読取装置において、開口周縁における電波の回折に起因して収容部100の外部にあるRFタグから情報を取得することを防ぐ。
【解決手段】左側面部122と背面部123と右側面部124は、それぞれ電波吸収層142,143,144を含んでおり、正面部121よりも高い。収容部100の内部は、物品が収容されない正面部121と正面収容制限部151の間の第1の減衰空間と、RFタグが取り付けられた物品を収容可能な正面収容制限部151と背面部123の間の収容空間とに分かれる。底面アンテナ160が、底面部の上面において、収容空間に向けて強度の大きな電波を放射し、かつ収容空間に向けて放射される電波よりも強度が小さい電波を第1の減衰空間に向けて放射する位置に設置されている。
【選択図】
図4