(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】吊下具
(51)【国際特許分類】
A47F 5/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A47F5/00 D
A47F5/00 E
(21)【出願番号】P 2019191762
(22)【出願日】2019-10-21
【審査請求日】2022-10-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】394016874
【氏名又は名称】河淳株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002538
【氏名又は名称】弁理士法人あしたば国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】真野 浩太
【審査官】宮部 愛子
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-287628(JP,A)
【文献】登録実用新案第3121946(JP,U)
【文献】特開2013-013643(JP,A)
【文献】特開平10-085094(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0367049(US,A1)
【文献】米国特許第10016070(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F5/00-5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
孔部を有する基部と、
前記孔部に対して着脱可能に構成され、商品が吊り下げられる支軸と、
前記孔部に装着された前記支軸に沿って前記基部から延びるレール状部材と、
前記レール状部材上を進退可能に構成されるとともに、前記孔部から取り外された状態の前記支軸の端部を、前記支軸の荷重を負担させた状態で前記孔部に向けて案内可能なガイド部材と、
を備え
、
前記支軸は、第1軸部と、前記孔部に差し込まれる前記端部の近傍に前記第1軸部と連続して設けられ前記第1軸部の直径よりも大きい直径を有する第2軸部と、を有し、
前記ガイド部材は、前記支軸が通される第1貫通孔を有し、前記第1貫通孔は、前記第2軸部の直径よりも大きい直径を有する第1部分と、前記第1部分と連通するように前記第1部分の下側に設けられ、前記第2軸部の直径よりも小さい幅を有する第2部分と、を有する吊下具。
【請求項2】
前記第1貫通孔の前記第2部分は、前記孔部に重なる位置に設けられる請求項
1に記載の吊下具。
【請求項3】
前記基部と前記ガイド部材との間に設けられ、前記ガイド部材を前記基部に近づく方向に付勢する第1付勢部材を備える請求項
1に記載の吊下具。
【請求項4】
前記ガイド部材に対して移動可能に取り付けられるストッパー部材であって、前記レール状部材の先端部に設けられた係合部と係合して前記レール状部材に対する前記ガイド部材の移動を規制する規制位置と、前記レール状部材に対する前記ガイド部材の移動を許容する解除位置と、の間で移動可能なストッパー部材を備える請求項
3に記載の吊下具。
【請求項5】
前記ストッパー部材は、前記ガイド部材に対して移動可能なストッパー部材本体と、前記ストッパー部材本体と前記ガイド部材との間に介在され前記ストッパー部材本体を前記係合部に向けて付勢する第2付勢部材と、を備える請求項
4に記載の吊下具。
【請求項6】
前記ストッパー部材は、前記支軸が通される第2貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記ストッパー部材が前記解除位置にあるときに、前記第2部分に重なる位置に配置される請求項
4に記載の吊下具。
【請求項7】
前記係合部は、前記レール状部材の先端面である請求項
4に記載の吊下具。
【請求項8】
前記ガイド部材は、前記基部に対向する面において前記第1貫通孔の周囲を規定する第1縁部であって、前記基部から遠ざかる
につれて上方に行くように斜めになった第1縁部を有する請求項
4に記載の吊下具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陳列棚に装着され、吊下げ式の商品を吊り下げることが可能な吊下具に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の商店において、商品を吊り下げて陳列する商品吊下具が開示されている。商品吊下具は、商品が吊り下げられるフック部材と、吊下棒が着脱可能に装着される取付部と、を有する。この商品吊下具は、商品の補充を行う際に、吊下棒を取付部から取り外して、後方から商品を補充することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、商店においては、陳列棚に所狭しと商品が並べられているケースが多い。このため、商品を補充した後に吊下棒を取付部に再装着する際に、狭い隙間の中に手を伸ばして取付部にアクセスする必要がある。このため、吊下棒を装着する際に、作業者に労力がかかる場合がある。
【0005】
従って、本発明の課題の一つは、支軸を着脱する際の作業性を向上した吊下具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題は、以下の本発明により解決される。すなわち、本発明(1)の吊下具は、
孔部を有する基部と、
前記孔部に対して着脱可能に構成され、商品が吊り下げられる支軸と、
前記孔部に装着された前記支軸に沿って前記基部から延びるレール状部材と、
前記レール状部材上を進退可能に構成されるとともに、前記孔部から取り外された状態の前記支軸の端部を前記孔部に向けて案内可能なガイド部材と、
を備える。
【0007】
また、本発明(2)の吊下具は、(1)記載の吊下具であって、
前記支軸は、第1軸部と、前記孔部に差し込まれる前記端部の近傍に前記第1軸部と連続して設けられ前記第1軸部の直径よりも大きい直径を有する第2軸部と、を有し、
前記ガイド部材は、前記支軸が通される第1貫通孔を有し、前記第1貫通孔は、前記第2軸部の直径よりも大きい直径を有する第1部分と、前記第1部分と連通するように前記第1部分の下側に設けられ、前記第2軸部の直径よりも小さい幅を有する第2部分と、を有する。
【0008】
また、本発明(3)の吊下具は、(2)記載の吊下具であって、
前記第1貫通孔の前記第2部分は、前記孔部に重なる位置に設けられる。
【0009】
また、本発明(4)の吊下具は、(2)記載の吊下具であって、
前記基部と前記ガイド部材との間に設けられ、前記ガイド部材を前記基部に近づく方向に付勢する第1付勢部材を備える。
【0010】
また、本発明(5)の吊下具は、(4)記載の吊下具であって、
前記ガイド部材に対して移動可能に取り付けられるストッパー部材であって、前記レール状部材の先端部に設けられた係合部と係合して前記レール状部材に対する前記ガイド部材の移動を規制する規制位置と、前記レール状部材に対する前記ガイド部材の移動を許容する解除位置と、の間で移動可能なストッパー部材を備える。
【0011】
また、本発明(6)の吊下具は、(5)記載の吊下具であって、
前記ストッパー部材は、前記ガイド部材に対して移動可能なストッパー部材本体と、前記ストッパー部材本体と前記ガイド部材との間に介在され前記ストッパー部材本体を前記係合部に向けて付勢する第2付勢部材と、を備える。
【0012】
また、本発明(7)の吊下具は、(5)に記載の吊下具であって、
前記ストッパー部材は、前記支軸が通される第2貫通孔を有し、
前記第2貫通孔は、前記ストッパー部材が前記解除位置にあるときに、前記第2部分に重なる位置に配置される。
【0013】
また、本発明(8)の吊下具は、(5)に記載の吊下具であって、
前記係合部は、前記レール状部材の先端面である。
【0014】
また、本発明(9)の吊下具は、(5)に記載の吊下具であって、
前記ガイド部材は、前記基部に対向する面において前記第1貫通孔の周囲を規定する第1縁部であって、前記基部から遠ざかるつれて上方に行くように斜めになった第1縁部を有する。
【0015】
また、本発明(10)の吊下具は、
孔部を有する基部と、
前記孔部に対して端部が着脱可能に構成されるとともに商品が吊り下げられる支軸と、
前記孔部に装着された前記支軸に沿って前記基部から延びる延びるレール状部材と、
前記レール状部材上を進退可能に構成されるとともに、前記孔部から取り外された状態の前記支軸の前記端部を前記孔部に向けて案内可能なガイド部材と、
前記ガイド部材に設けられ前記支軸が通される第1貫通孔と、
前記ガイド部材に設けられ前記基部に対向する面とは反対側の面において前記第1貫通孔の周囲を規定するとともに、前記第1貫通孔を頂点とするように略錐形に窪んだ第2縁部と、
を備える。
【0016】
また、本発明(11)の吊下具は、(10)に記載の吊下具であって、
前記基部に前記孔部の周囲を規定するように設けられる拡径部であって、前記孔部を頂点とするように略錐形に窪んだ拡径部を備える。
【0017】
また、本発明(12)の吊下具は、(11)に記載の吊下具であって、
前記支軸は、半径方向に突出するリブ部を有し、
前記孔部は、前記リブ部を受容可能な溝部を含み、前記溝部は、前記孔部の底から遠ざかるにつれて内径が拡開した。
【0018】
また、本発明(13)の吊下具は、(12)に記載の吊下具であって、
前記基部と前記ガイド部材との間に設けられ、前記ガイド部材を前記基部に近づく方向に付勢する第1付勢部材と、
前記ガイド部材に対してスライド移動可能に取り付けられるストッパー部材であって、前記レール状部材の先端部に設けられた係合部と係合して前記レール状部材に対する前記ガイド部材の移動を規制する規制位置と、前記レール状部材に対する前記ガイド部材の移動を許容する解除位置と、の間で移動可能なストッパー部材と、
を備え、
前記ストッパー部材は、前記第1貫通孔よりも前記基部に近い位置に設けられ前記支軸が通される第2貫通孔と、前記第1貫通孔に対向する面において前記第2貫通孔の周囲を規定するとともに前記第2貫通孔を頂点とするように略錐形に窪んだ第1枠部と、を有する。
【0019】
また、本発明(14)の吊下具は、(13)に記載の吊下具であって、
前記ストッパー部材は、前記基部に対向する面において前記第2貫通孔の周囲を規定するとともに前記基部に向けて突出した第2枠部を有し、
前記第2枠部は、前記ストッパー部材が前記基部に突き当った際に前記拡径部の内側に差し込まれる。
【0020】
また、本発明(15)の吊下具は、
基部と、
前記基部から突出するとともに商品を吊り下げ可能な支軸と、
前記支軸に沿って前記基部から延びるレール状部材と、
前記レール状部材に沿って細長く形成され、前記レール状部材上を進退可能に設けられるスライダー部材と、
前記スライダー部材に固定されるガイド部材であって、前記支軸が通される第1貫通孔を有するとともに、前記スライダー部材の移動に伴って移動して前記商品を前記支軸の先端付近に送ることが可能なガイド部材と、
前記スライダー部材の先端部に固定される表示部材と、
前記基部と前記スライダー部材との間に設けられ、前記スライダー部材を前記基部に近づく方向に付勢する第1付勢部材と、
を備える。
【0021】
また、本発明(16)の吊下具は、(15)に記載の吊下具であって、
前記レール状部材は、その先端部から半径方向に延びる突起部を有し、
前記スライダー部材は、前記突起部に倣って窪む第1凹部を有し、
前記第1凹部は、前記スライダー部材の長手方向に沿って形成され、前記スライダー部材の前記レール状部材の軸方向への移動を許容するとともに、前記スライダー部材の前記レール状部材回りの回転を規制する。
【0022】
また、本発明(17)の吊下具は、(16)に記載の吊下具であって、
前記スライダー部材は、前記第1凹部の前記基部側の端部を規定する突当部を有する。
【0023】
また、本発明(18)の吊下具は、(17)に記載の吊下具であって、
前記突当部は、前記スライダー部材の前記基部側の端部に設けられ前記レール状部材を取り囲む環状をなし、
前記スライダー部材は、前記基部から見て前記突当部よりも遠い位置に設けられた本体部を有し、前記本体部は、前記レール状部材を取り囲むとともに、一部を開放した開放部を含む略C字状断面を有する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、支軸を着脱する際の作業性を向上した吊下具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図2】
図1に示す支持具の基部を拡大して示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す基部周辺をレール状部材の中心軸を通る面で切断して示す断面図である。
【
図4】
図1に示す支持具の支軸を示す側面図である。
【
図5】
図4に示す支軸を背面から示す背面図である。
【
図6】
図1に示す支持具のスライダー部材のF6-F6線の位置に沿った断面図である。
【
図7】
図1に示す支持具のガイド部材およびストッパー部材を前方向から示す斜視図である。
【
図8】
図7に示すガイド部材およびストッパー部材を背面方向から示す斜視図である。
【
図9】
図7に示すガイド部材およびストッパー部材を分解して前方向から示す斜視図である。
【
図10】
図7に示すガイド部材およびストッパー部材を分解して背面方向から示す斜視図である。
【
図11】
図7に示すガイド部材およびストッパー部材を正面方向から示し、ストッパー部材が解除位置にある状態を示した正面図である。
【
図12】
図7に示すガイド部材およびストッパー部材を正面方向から示し、ストッパー部材が規制位置にある状態を示した正面図である。
【
図13】
図1に示す支持具のレール状部材の突起部およびスライダー部材の突当部の第2凹部を示す斜視図である。
【
図14】
図1に示す支持具のスライダー部材の本体部および突当部の縦方向に沿った断面図である。
【
図15】
図1に示す支持具の縦方向に沿った断面図である。
【
図16】
図15に示す支持具の縦方向に沿った断面図であって、支軸を手前方向に引き出した状態で、ストッパー部材が解除位置にある状態を示す断面図である。
【
図17】
図16に示す支持具の縦方向に沿った断面図であって、支軸を手前方向に引き出した状態で、ストッパー部材が規制位置になり、支軸がガイド部材およびストッパー部材から脱落した状態を示す断面図である。
【
図18】
図16に示す支持具の解除位置にあるストッパー部材およびその周辺構造を示す断面図である。
【
図19】
図17に示す支持具の規制位置にあるストッパー部材およびその周辺構造を示す断面図である。
【
図20】
図1に示す支持具において、商品の補充のために作業者が支軸を手前方向に引き出した状態を示す斜視図である。
【
図21】
図20に示す支持具において、ストッパー部材が規制位置になった状態で、支軸をガイド部材およびストッパー部材から取り外す工程を示す側面図である。
【
図22】
図21に示す支持具において、支軸の後側から商品を補充する工程を示す斜視図である。
【
図23】
図22に示す支持具において、商品が補充された支軸を再びガイド部材およびストッパー部材に差し込む工程を示す斜視図である。
【
図24】
図23に示す支持具において、商品が補充された支軸を再びガイド部材およびストッパー部材に差し込む工程においてガイド部材周辺を拡大して示す斜視図である。
【
図25】
図24に示す支持具において、ガイド部材によって案内された支軸が基部の孔部に差し込まれた状態を示す斜視図である。
【
図26】第2実施形態の支持具を示す側面図である。
【
図27】
図26に示す支持具のガイド部材を正面から示す正面図である。
【
図28】
図26に示す支持具において、ガイド部材を用いて支軸を基部の孔部にまで案内する工程を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の吊下具の実施形態について説明する。吊下具は、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の商店の陳列棚において、吊り下げ式の商品を吊り下げて陳列することができるものである。
[第1実施形態]
【0027】
図1に示すように、吊下具11は、陳列棚のフレーム12に固定されるとともに孔部13を有する基部14と、孔部13に対して着脱可能に構成され商品10が吊り下げられる支軸15と、孔部13に装着された支軸15に沿って基部14から延びるロッド状のレール状部材16と、レール状部材16上を進退可能に構成されるガイド部材17と、ガイド部材17に対してスライド移動可能に取り付けられるストッパー部材18(
図8参照)と、レール状部材16に隣接して設けられレール状部材16の軸方向にスライド移動可能に設けられるスライダー部材21と、スライダー部材21の先端部に設けられる表示部材22と、スライダー部材21と基部14との間に掛け渡される第1付勢部材23と、を備える。第1付勢部材23は、例えば、引張コイルばねで構成される。第1付勢部材23は、スライダー部材21、ガイド部材17、およびストッパー部材18を基部14に押し付ける方向にスライダー部材21を付勢することができる。第1付勢部材23は、基部14とガイド部材17との間に設けられていてもよい。
【0028】
図2、
図3に示すように、基部14は、基部本体24と、基部本体24に設けられた孔部13と、基部本体24に設けられた第2孔部25と、基部本体24に設けられた第3孔部26と、基部本体24に固定されるとともに陳列棚のフレーム12を間に挟んで保持できるU字形をなした固定具27と、孔部13と連通するように孔部13から外側(横方向)に向けて形成された一対の第1溝部31と、孔部13と連通するように孔部13から外側(下方向)に向けて形成された第2溝部32と、孔部13の周囲を規定する拡径部33と、を有する。基部14は、例えば、合成樹脂材料によって一体的に成形されることが好ましい。
【0029】
拡径部33は、孔部13を頂点とする略錐形(すり鉢状)に窪んでいる。拡径部33の形状は任意であり、拡径部33は、多角形の角錐形に窪んでいても良いし、円錐形に窪んでいてもよいし、本実施形態のように円錐形と角錐形を組み合わせた形状に窪んでいてもよい。
【0030】
図2、
図3に示すように、孔部13は、横方向に延び、且つ円形で有底の穴として形成される。第1溝部31は、入口部31Aを有し、入口部31Aは、孔部13の底13Aから遠ざかるにつれて内径が拡開している。第1溝部31は、途中の位置に孔部13の中心に向けて突出した山部31Bを有する。山部31Bは、これを乗り越えて孔部13の底13A側に移動した支軸15のリブ部37(
図4参照)をその位置で保持することができる。この山部31Bによってリブ部37が保持されることで、孔部13に対して支軸15をしっかりと固定することができる。第2溝部32に対しては、支軸15の後述する位置決め部38(
図4参照)が差し込まれる。
【0031】
第2孔部25は、横方向に基部本体24を貫通する円形の孔として形成される。第2孔部25は、孔部13よりも上側に設けられている。第2孔部25の内側に第1付勢部材23が通される。
【0032】
第3孔部26は、横方向に基部本体24を貫通する円形の孔として形成される。第3孔部26は、第2孔部25よりも上側に設けられている。第3孔部26の内側にレール状部材16が通される。
【0033】
図4、
図5に示すように、支軸15は、細長いロッド状をなしており、中実の丸棒状に形成される。支軸15は、例えば、金属材料によって形成されることが好ましい。支軸15は、吊下げ式の商品が吊下げられる支軸本体34と、支軸本体34の先端側で支軸本体34と一体的に設けられたフック部35と、支軸本体34に設けられフック部35とは反対側に位置する端部36(基部)と、端部36の近傍に設けられる一対のリブ部37および位置決め部38と、を有する。
【0034】
支軸本体34は、直線的に形成される。フック部35は、支軸本体34に対して斜めに配置するように設けられる。支軸本体34とフック部35とは、滑らかな円弧で接続される。一対のリブ部37および位置決め部38は、支軸本体34に対する絞り加工等によって支軸本体34と一体的に形成される。支軸本体34(端部36およびその近傍を除く)およびフック部35は、第1軸部の一例である。
【0035】
一対のリブ部37は、支軸本体34から半径方向における外側に(支軸15が孔部13に差し込まれた状態では横方向に)、小片状に突出するように設けられる。一対のリブ部37は、位置決め部38よりも、端部36に近い位置に配置されている。位置決め部38は、支軸本体34から半径方向における外側に(支軸15が孔部13に差し込まれた状態では下方向に)、小片状に突出するように設けられる。一対のリブ部37およびそれらが形成される支軸本体34の一部は、第1軸部の直径よりも大きい直径を有する第2軸部の一例である。
【0036】
図15に示すように、レール状部材16は、孔部13に差し込まれた状態の支軸15に沿って基部14から延びている。レール状部材16は、細長いロッド状をなしており、中実の丸棒状に形成される。レール状部材16は、例えば、金属材料によって形成されることが好ましい。
図17、
図15に示すように、レール状部材16は、レール状部材本体41と、先端部39(先端面)と、先端部39に設けられる突起部42と、レール状部材本体41の先端とは反対側に位置して基部14に固定される固定部43(
図2、
図3参照)と、を有する。レール状部材本体41は、直線的に形成される。先端部39は、ストッパー部材18と係合する係合部の一例である。なお、ストッパー部材18と係合する係合部は、種々の形態をとることが可能であり、例えば、先端部39の近傍に設けられた窪み部で構成されてもよい。
【0037】
図15に示すように、突起部42は、レール状部材本体41の先端から半径方向における外側に突出するように設けられる。位置決め部38は、レール状部材本体41に対する絞り加工等によってレール状部材本体41と一体的に形成される。
【0038】
図2、
図3に示すように、固定部43は、「U」字状に折れ曲がって形成されている。固定部43の一部は、基部14の第3孔部26内を通されるとともに、固定部43の他の一部は、固定具27に対して金具等を用いて固定される。
【0039】
図1、
図6、
図15に示すように、スライダー部材21は、レール状部材16(レール状部材本体41)に沿って細長く形成される。スライダー部材21は、断面C字状をなしてレール状部材16を取り囲んだ本体部44と、本体部44の先端とは反対側に設けられ環状をなした突当部45と、本体部44に設けられレール状部材16の下側を露出させた開放部46と、本体部44の長手方向における複数個所に所定間隔を空けて設けられる複数の隆起部47と、本体部44の内周面に設けられ本体部44の長手方向に沿って延びる第1凹部48と、本体部44および突当部45の内周面に設けられる第2凹部51(
図13、
図14)と、を有する。スライダー部材21は、例えば合成樹脂材料によって一体的に成形されることが好ましい。
【0040】
本体部44は、その先端部に表示部材22の設置角度を変更可能に支持するヒンジ部52を有する。第1凹部48は、本体部44の長手方向の略全長に亘って設けられる。第1凹部48は、突起部42に倣う形状を有し、この第1凹部48の内側に突起部42が差し込まれている。したがって、スライダー部材21は、第1凹部48と突起部42の作用によって、レール状部材16の軸方向にはスライド移動可能であるが、レール状部材16回りの回転(レール状部材16を中心とする円周方向への回転)は規制される。
【0041】
図13、
図14に示すように、第2凹部51は、突起部42の形状に倣って形成される。第2凹部51は、第1凹部48に対して、レール状部材16回りに90°回転した位置に設けられる。第2凹部51は、スライダー部材21の長手方向に延びる第1経路53と、第1経路53の先端から長手方向と交差する方向で開放部46に向けて延びる第2経路54と、を有する。第1経路53は、レール状部材16を軸方向から見たときの、突起部42の形状に倣って細長く形成される。第2経路54は、レール状部材16を半径方向の外側から見たときの、突起部42の形状に倣って幅広に形成される。
【0042】
図7から
図12に示すように、ガイド部材17は、スライダー部材21に対して着脱可能に構成される。このため、レール状部材16に対するスライダー部材21の移動に伴い、レール状部材16上を進退移動することができる。また、ガイド部材17は、スライダー部材21上の任意の場所に装着することができる。さらに、ガイド部材17は、孔部13から取り外された状態の支軸15の端部36を、第1付勢部材23の作用によって孔部13に向けて案内することができる。ガイド部材17は、例えば、合成樹脂材料によって一体に成形されている。
【0043】
ガイド部材17は、ガイド部材本体55と、ガイド部材本体55を厚さ方向(横方向)に貫通するようにガイド部材本体55の中央部に設けられる第1貫通孔56と、基部14に対向する面において第1貫通孔56の周囲を規定する第1縁部57と、基部14に対向する面とは反対側の面において第1貫通孔56の周囲を規定する第2縁部58と、スライダー部材21に引っかけるための引っかけ部61と、ストッパー部材18を収納するための収納部62と、収納部62に設けられストッパー部材18をガイド部材17に対してスライド移動可能に保持する複数の爪部63と、収納部62に設けられ第1付勢部材23が固定される支柱64と、を有する。
【0044】
ガイド部材本体55は、長方形の板状をなした平板部65と、平板部65の中央部に基部14から遠ざかる方向に向けて円柱形に突出した突出部66と、を有する。この突出部66の中央に第1貫通孔56が設けられている。
【0045】
収納部62は、ガイド部材17の基部14に対向する面から窪むように設けられている。収納部62は、底部62Aと、底部62Aから立ち上がった一対の横壁部62Bと、底部62Aから立ち上がった下壁部62Cと、を含む。一対の横壁部62Bのそれぞれは、底部62Aから最も遠い位置に、複数の爪部63を有する。複数の爪部63は、収納部62の中央部に向けて突出するように設けられている。下壁部62Cは、円柱形の支柱64を有する。支柱64は、収納部62の中央部に向けて突出するように設けられている。収納部62は、その内部でストッパー部材18(ストッパー部材本体67)が上下方向にスライド移動できる高さを有する。
【0046】
第1貫通孔56には、支軸15が通すことができる。第1貫通孔56は、円形の第1部分56Aと、第1部分56Aと連通するように第1部分56Aの下側に長円形に設けられる第2部分56Bと、を有する。第1部分56Aは、支軸本体34の一対のリブ部37が形成された部分(第2軸部)の直径よりも大きい直径を有する。第2部分56Bは、第1部分56Aから下方に直線的に延びるように形成されている。第2部分56Bは、支軸本体34の一対のリブ部37が形成された部分(第2軸部)の直径よりも小さい幅(横幅)を有する。第2部分56Bは、孔部13に重なる位置に設けられる。
【0047】
図10に示すように、第1縁部57は、スロープ状に形成されており、基部14から遠ざかるつれて上方に行くように斜めになっている。第1縁部57に対して、支軸15の一対のリブ部37が引っ掛かるようになっている。また、例えば、ストッパー部材18が作動してレール状部材16に対するガイド部材17の移動が規制されている状態で、ユーザによって支軸15に対して引き抜き方向に大きな力が加えられたときに、支軸15がスロープ状の第1縁部57を擦り上がることができる。
【0048】
図7に示すように、第2縁部58は、円柱形に突出した突出部66の頂面に設けられる。第2縁部58は、第1貫通孔56を頂点とするように略錐形(すり鉢状)に窪んでいる。
【0049】
図7~
図10に示すように、ストッパー部材18は、平板状をなしガイド部材17に対して移動可能なストッパー部材本体67と、ストッパー部材本体67とガイド部材17との間に介在されストッパー部材本体67をレール状部材16(係合部)に近づく方向に付勢する第2付勢部材68(
図18参照)と、ストッパー部材本体67を厚さ方向(横方向)に貫通するようにストッパー部材本体67の中央部に設けられる第2貫通孔71と、ガイド部材17の第1貫通孔56に対向する面で第2貫通孔71の周囲を規定する第1枠部72と、基部14に対向する面で第2貫通孔71の周囲を規定する第2枠部73と、ストッパー部材本体67からレール状部材16のある方向(上方向)に向けてロッド状に突出するように設けられた第1当接部74と、複数の爪部63と当接する一対の軌条部75と、ガイド部材17と当接可能にガイド部材17に向けて突出する第2当接部76と、を備える。ストッパー部材本体67は、例えば、合成樹脂材料によって一体に成形されている。
【0050】
図11、
図12、
図18、
図19に示すように、ストッパー部材18(ストッパー部材本体67)は、第1当接部74においてレール状部材16の先端部39(係合部)に係合してスライダー部材21の移動を規制した規制位置P1と、第1当接部74においてレール状部材16の側面に当接しレール状部材16に対してスライダー部材21(ガイド部材17)の移動の自由が確保されている解除位置P2と、の間で移動することができる。
図11に示すように、規制位置P1では、ストッパー部材18の第2貫通孔71は、第1貫通孔56の第1部分56Aに対応する位置に配置される。
図12に示すように、解除位置P2では、ストッパー部材18の第2貫通孔71は、第1貫通孔56の第2部分56Bに対応する位置に配置される。
【0051】
図10に示すように、第2貫通孔71は、上方に向けて凸になるアーチ状の頂部と、平坦な底部と、を有する砲弾形に形成されている。第2貫通孔71は、第1貫通孔56よりも基部14に近い位置に設けられる。第2貫通孔71の内側に支軸15を通すことができる。
図9に示すように、第1枠部72は、その下部内側に、基部14から遠ざかるにつれて下方に行くように斜めになった大斜面72Aを有する。第1枠部72は、第2貫通孔71を頂点とする略錐形(すり鉢状)に窪んでいるとも言い換えられる。第2付勢部材68は、例えば、圧縮コイルばねで構成される。
【0052】
図10に示すように、第2枠部73は、その下部内側に、基部14から遠ざかるにつれて上方に行くように斜めになった小斜面73Aを有する。第2枠部73は、ストッパー部材本体67の周囲の部分よりも基部14に向けて突出して設けられる。第2枠部73は、ガイド部材17およびストッパー部材18が基部14に接触した位置に配置されるときに、拡径部33の内側に差し込まれる。これによって、ストッパー部材18(ガイド部材17)を、基部14に対して位置決めすることができる。
【0053】
続いて、
図13、
図14等を参照して、本実施形態の吊下具の組み立て方法について説明する。作業者は、レール状部材16を基部14の第3孔部26の内側に通し、レール状部材16の固定部43を基部14の固定具27に金具等を用いて固定する。これによって、レール状部材16が基部14に対して固定される。この状態のレール状部材16に対してスライダー部材21を固定する。
図13に示すように、作業者は、レール状部材16の突起部42に対して、スライダー部材21の突当部45の第2凹部51を位置合わせして、突当部45の内側の孔にレール状部材16を差し込む。突起部42が第2凹部51の第1経路53の奥部にまで到達すると、作業者はスライダー部材21を回転させる。これによって、突起部42が第2凹部51の第2経路54を通って開放部46内に到達する。
【0054】
作業者は、この状態でスライダー部材21に対してレール状部材16をさらに押し込む。突起部42がレール状部材16の中ほどに配置された位置関係で、作業者は、スライダー部材21の撓みを利用して、本体部44および隆起部47で囲まれた位置から開放部46を経由してレール状部材16を外側に取り出す。その状態で、作業者は、第1凹部48に突起部42が対向するようにレール状部材16に対してスライダー部材21を回転させ、第1凹部48内に突起部42を差し込むように、本体部44および隆起部47で囲まれた位置にレール状部材16を戻す。これによって、
図1、
図15に示すような位置関係で、レール状部材16に対してスライダー部材21が装着される。
【0055】
続いて、スライダー部材21と基部14(レール状部材16の固定部43)との間に第1付勢部材23を掛け渡す。一方、ガイド部材17の収納部62にストッパー部材18(ストッパー部材本体67、第2付勢部材68)を装着して一体的にする。さらに、スライダー部材21に対してガイド部材17およびストッパー部材18を固定する。そのガイド部材17の第1貫通孔56に支軸15を通し、さらに支軸15の端部36を基部14の孔部13に対して差し込む。最後にスライダー部材21のヒンジ部52に表示部材22を固定して、吊下具11の組み立てを完了する。
【0056】
図15~
図25を参照して、本実施形態の吊下具11の作用について説明する。まず、日常の店舗管理業務として行う商品10の前出し作業(フェイスアップ工程)について説明する。支軸15には、
図25に示すような状態で、1以上の商品10が吊下げられている。本実施形態では、レール状部材16に対してスライド移動可能なスライダー部材21にガイド部材17が固定されている。また、支軸15は、ガイド部材17の第1貫通孔56の内側に遊び(クリアランス)を持った状態で通されるとともに、ストッパー部材18の第2貫通孔71の内側に持った状態で通されている。したがって、店舗管理を行う作業者は、表示部材22が固定されたスライダー部材21を手前側に引き出すだけで、スライダー部材21とともにガイド部材17が手前側に移動させることができる。ガイド部材17は、1以上の商品を後ろ側から手前側に押し出すことになるので、これによって、作業者は、商品10の前出しを簡単に行うことができる。また、作業者がスライダー部材21から手を離せば、第1付勢部材23の引張作用によって、スライダー部材21およびガイド部材17が元の位置に戻される。
【0057】
続いて、店舗管理作業のうちの商品補充について説明する。商品10の日付管理のため、作業者は、支軸15の後方から新しい商品10を補充する。その際、作業者は、
図15、
図16、
図20に示すように、商品10が吊下げられた支軸15を手指を用いて手前側に引き出す。このとき、支軸15は、基部14の孔部13から抜き出されるが、支軸15のリブ部37の周辺はガイド部材17とストッパー部材18によって保持されている。すなわち、ストッパー部材18は、レール状部材16の先端部39に係合した規制位置P1に移動するまでは、解除位置P2に保持される。そして、解除位置P2では、
図11に示すように、ストッパー部材18の第2貫通孔71は、第2部分56Bに重なる位置に配置されている。したがって、支軸15は、第1貫通孔56の第2部分56Bに対応する位置に配置される。このため、支軸15のリブ部37は、ガイド部材17の第1縁部57に対して確実に引っ掛かることとなる。このため、作業者が支軸15を手前側に引いた場合でも、支軸15からガイド部材17およびストッパー部材18が脱落せずに、支軸15に対してガイド部材17およびストッパー部材18が追従する。
【0058】
図16、
図17に示すように、作業者が支軸15をさらに手前側に引っ張ると、ガイド部材17およびストッパー部材18がレール状部材16の先端部39に至った位置で、ストッパー部材18が解除位置P2から規制位置P1に移動する。このとき、
図18、
図19に示すように、ストッパー部材18(ストッパー部材本体67)は、レール状部材16の側面に対する第1当接部74の突当りが解除されて、第2付勢部材68の作用によって上方に移動して、ストッパー部材18の第2当接部76がガイド部材17に当接する。これと同時に、ストッパー部材18の第1当接部74は、レール状部材16の先端部39に係合する。これによって、ガイド部材17は、レール状部材16の先端部39に対応する位置で固定された状態となり、第1付勢部材23の作用によって基部14に近づく方向に戻されてしまうことがない。これと同時に、
図12に示すように、ストッパー部材18の第2貫通孔71は、第1貫通孔56の第1部分56Aに対応する位置に移動する。これによって、支軸15のリブ部37と第1縁部57との係合が解除され、支軸15がガイド部材17およびストッパー部材18から解放される。
【0059】
図21に示すように、ストッパー部材18が規制位置P1に移動した後に、作業者は、両手で支軸15を保持して、支軸15をガイド部材17およびストッパー部材18から取り外すことができる。その際、支軸15を水平に保持して支軸15から商品10が脱落しないようにすることが好ましい。ガイド部材17およびストッパー部材18から取り外された支軸15に対して、
図22に示すように、端部36側(後方)から商品10を補充するようにする。
【0060】
図23に示すように、作業者は、商品10を補充した支軸15を再びガイド部材17の第1貫通孔56と、ストッパー部材18の第2貫通孔71と、に差し込むようにする。作業者が支軸15を第1貫通孔56および第2貫通孔71に通す際には、略錐形に窪んだ第2縁部58が支軸15の端部36を第1貫通孔56まで案内する。これによって、多少位置ずれして支軸15が第2縁部58に突き当てられた場合でも、支軸15の端部36が第1貫通孔56および第2貫通孔71の内側にまで案内される。このとき、ガイド部材17およびストッパー部材18は、ストッパー部材18が規制位置P1にあるために、レール状部材16に対してスライド移動することがない。このため、作業者は、陳列棚の奥部であって、他の商品によって埋もれてしまった位置ではなく、陳列棚の手前の位置であって、他の商品10から突出された手前の位置で支軸15の取付作業を行うことができる。
【0061】
作業者が第1貫通孔56および第2貫通孔71に対して支軸15を差し込み、ガイド部材17及びストッパー部材18に商品10が吊下げられた支軸15の荷重を負担させると、ストッパー部材18が押し下げられて規制位置P1から解除位置P2にまで移動する。これと同時に、支軸15のリブ部37が第1縁部57のスロープと係合し、支軸15の端部36付近がガイド部材17およびストッパー部材18に把持された状態となる。この状態で、第1付勢部材23が作動して支軸15とともにガイド部材17およびストッパー部材18を基部14に引き寄せる。これによって、半自動的に支軸15が陳列棚の奥部にまで引き寄せられる。奥部に引き寄せられたストッパー部材18は、第1枠部72が拡径部33の内側に嵌り込むことで基部14に対して正対するように位置合わせされる。これによって、基部14の孔部13に対してガイド部材17の第1貫通孔56およびストッパー部材18の第2貫通孔71が正しく整合(正対)される。この状態で、作業者が支軸15を奥側に差し込むことで、孔部13に対して支軸15の端部36が円滑に差し込むことができる。その際、
図2、
図3に示すように、第1溝部31の入口部31Aに対してリブ部37が差し込まれて、入口部31Aでリブ部37が案内されることで、支軸15が正しい角度で孔部13に差し込まれる。作業者が支軸15の押し込みをそのまま継続すると、支軸15が孔部13の底13Aに当接するとともに、リブ部37が第1溝部31の途中にある山部31Bを乗り越えて山部31Bによって保持される。これによって、
図25に示すように、孔部13に対して支軸15が完全に差し込まれた状態となり、商品10の補充作業が完了する。
【0062】
本実施形態によれば、以下のことがいえる。吊下具11は、孔部13を有する基部14と、孔部13に対して着脱可能に構成され、商品10が吊り下げられる支軸15と、孔部13に装着された支軸15に沿って基部14から延びるレール状部材16と、レール状部材16上を進退可能に構成されるとともに、孔部13から取り外された状態の支軸15の端部36を孔部13に向けて案内可能なガイド部材17と、を備える。
【0063】
この構成によれば、支軸15を孔部13に装着する際に、ガイド部材17によって支軸15を孔部13に向けて案内することができる。これによって、作業者の作業負担を低減できる。
【0064】
支軸15は、第1軸部と、孔部13に差し込まれる端部36の近傍に第1軸部と連続して設けられ第1軸部の直径よりも大きい直径を有する第2軸部と、を有し、ガイド部材17は、支軸15が通される第1貫通孔56を有し、第1貫通孔56は、第2軸部の直径よりも大きい直径を有する第1部分56Aと、第1部分56Aと連通するように第1部分56Aの下側に設けられ、第2軸部の直径よりも小さい直径を有する第2部分56Bと、を有する。
【0065】
支軸15を孔部13から取り外す際には、支軸15には残存する商品10が吊下げられている。もし支軸15に商品10が残存しない場合には、支軸15を孔部13から取り外すことなく作業者が前方から商品10を補充することとなる。この構成によれば、商品10の荷重がかけられた支軸15は下側に下がって第2部分56Bの周囲の縁部に係合する。このため、作業者が支軸15を孔部13から取り外す際には、支軸15とともに手前側にガイド部材17を引き出すことができる。これによって、商品10を支軸15に補充した後に、作業者が再び支軸15を孔部13に差し込む際に、手前側に引き出されたガイド部材17を用いて支軸15を孔部13にまで案内させることができ、支軸15を孔部13に差し込む作業を簡単に行うことができる。
【0066】
吊下具11は、基部14とガイド部材17との間に設けられ、ガイド部材17を基部14に近づく方向に付勢する第1付勢部材23を備える。この構成によれば、ガイド部材17を基部14に向けて移動させることができる。これによって、ガイド部材17を用いて支軸15を孔部13に向けて案内させている状態で、第1付勢部材23の駆動によって支軸15を半自動的に孔部13に導くことができる。これによって、作業者が支軸15を押し込むという手間を省くことができ、作業者が作業負担を低減できる。
【0067】
吊下具11は、ガイド部材17に対して移動可能に取り付けられるストッパー部材18であって、レール状部材16の先端部39に設けられた係合部と係合してレール状部材16に対するガイド部材17の移動を規制する規制位置P1と、レール状部材16に対するガイド部材17の移動を許容する解除位置P2と、の間で移動可能なストッパー部材18を備える。
【0068】
ストッパー部材18がレール状部材16の先端部に移動したときに規制位置P1になってガイド部材17の移動を規制できるため、第1付勢部材23を設けた場合でも、第1付勢部材23の作用によってガイド部材17が基部14側に戻されてしまうことがない。これによって、作業者が手前側において支軸15をガイド部材17に引っ掛ける作業を行うことができ、作業者の作業効率を向上できる。
【0069】
ストッパー部材18は、ガイド部材17に対して移動可能なストッパー部材本体67と、ストッパー部材本体67とガイド部材17との間に介在されストッパー部材本体67を前記係合部に向けて付勢する第2付勢部材68と、を備える。この構成によれば、第2付勢部材68とストッパー部材本体67とを用いた簡単な構造によって、ストッパー部材18を構成できる。これによって、吊下具11の製造コストを低減できる。
【0070】
ストッパー部材18は、支軸15が通される第2貫通孔71を有し、第2貫通孔71は、ストッパー部材18が解除位置P2にあるときに、第2部分56Bに重なる位置に配置される。この構成によれば、ストッパー部材18が解除位置P2にあるときに、支軸15の第2軸部からガイド部材17が脱落してしまうことがない。これによって、例えば、支軸15を孔部13から引き出す際や支軸15を孔部13に再び差し込む際に、支軸15からガイド部材17が脱落して、第1付勢部材23の作用によってガイド部材17のみが基部14の近傍に戻されてしまう不具合を生じることを防止できる。
【0071】
前記係合部は、レール状部材16の先端面である。この構成によれば、レール状部材16に凹部等を設ける必要がなく、加工コストを低減できる。
【0072】
ガイド部材17は、基部14に対向する面において第1貫通孔56の周囲を規定する第1縁部57であって、基部14から遠ざかるつれて上方に行くように斜めになった第1縁部57を有する。この構成によれば、ストッパー部材18の作用で移動規制がされた際に、第1縁部57によって支軸15を第1貫通孔56の第1部分56Aに向けて円滑に案内することができる。これによって、第1貫通孔56の第2部分56Bと支軸15の第2軸部との間の係合が解除されないまま、作業者が支軸15を強く引くことでガイド部材17が破損してしまうような不具合を生じることを防止できる。
【0073】
吊下具11は、孔部13を有する基部14と、孔部13に対して端部36が着脱可能に構成されるとともに商品10が吊り下げられる支軸15と、孔部13に装着された支軸15に沿って基部14から延びるレール状部材16と、レール状部材16上を進退可能に構成されるとともに、孔部13から取り外された状態の支軸15の端部36を孔部13に向けて案内可能なガイド部材17と、ガイド部材17に設けられ支軸15が通される第1貫通孔56と、ガイド部材17に設けられ基部14に対向する面とは反対側の面において第1貫通孔56の周囲を規定するとともに、第1貫通孔56を頂点とするように略錐形に窪んだ第2縁部58と、を備える。
【0074】
この構成によれば、略錐形に窪んだ第2縁部58によって、孔部13から取り外された状態の支軸15を第1貫通孔56内に通しやすくすることができる。これによって、作業者が支軸15をガイド部材17の第1貫通孔56に通す作業を簡単に行うことができる。
【0075】
吊下具11は、基部14に孔部13の周囲を規定するように設けられる拡径部33であって、孔部13を頂点とするように略錐形に窪んだ拡径部33を備える。この構成によれば、ガイド部材17の第1貫通孔56を通り、基部14の孔部13に向かう支軸15を孔部13に対して通しやすくすることができる。これによって、作業者が手前側から支軸15を操作する場合であっても、孔部13への支軸15の差し込み作業を円滑に行うことができる。
【0076】
支軸15は、半径方向に突出するリブ部37を有し、孔部13は、リブ部37を受容可能な溝部を含み、前記溝部は、孔部13の底13Aから遠ざかるにつれて内径が拡開した。この構成によれば、孔部13に対してレール状部材16を正しい角度で固定することができる。その際、内径が拡開している溝部の形状によって、リブ部37を溝部内に入りやすくすることができる。
【0077】
吊下具11は、基部14とガイド部材17との間に設けられ、ガイド部材17を基部14に近づく方向に付勢する第1付勢部材23と、ガイド部材17に対してスライド移動可能に取り付けられるストッパー部材18であって、レール状部材16の先端部39に設けられた係合部と係合してレール状部材16に対するガイド部材17の移動を規制する規制位置P1と、レール状部材16に対するガイド部材17の移動を許容する解除位置P2と、の間で移動可能なストッパー部材18と、を備え、ストッパー部材18は、第1貫通孔56よりも基部14に近い位置に設けられ支軸15が通される第2貫通孔71と、第1貫通孔56に対向する面において第2貫通孔71の周囲を規定するとともに第2貫通孔71を頂点とするように略錐形に窪んだ第1枠部72と、を有する。
【0078】
この構成によれば、第1付勢部材23およびガイド部材17によって支軸15が基部14の近くまで案内されるので、商品10を補充した後に支軸15を孔部13に戻す際に作業者の手間を低減できる。また、ストッパー部材18の作用によって、第1付勢部材23によってガイド部材17が基部14側に戻されてしまうことがない。これによって、作業者が手前側で作業でき、作業者の作業負担を低減できる。さらに、第1枠部72によって、孔部13から取り外された状態の支軸15を第2貫通孔71内に通しやすくすることができる。これによって、ストッパー部材18の規制位置P1から解除位置P2への移動も容易となり、支軸15を基部14の孔部13に向けて円滑に案内することができる。
【0079】
ストッパー部材18は、基部14に対向する面において第2貫通孔71の周囲を規定するとともに基部14に向けて突出した第2枠部73を有し、第2枠部73は、ストッパー部材18が基部14に突き当った際に拡径部33の内側に差し込まれる。この構成によれば、ガイド部材17によって案内された支軸15を基部14の孔部13に確実に案内することができる。
【0080】
吊下具11は、基部14と、基部14から突出するとともに商品10を吊り下げ可能な支軸15と、支軸15に沿って基部14から延びるレール状部材16と、レール状部材16に沿って細長く形成され、レール状部材16上を進退可能に設けられるスライダー部材21と、スライダー部材21に固定されるガイド部材17であって、支軸15が通される第1貫通孔56を有するとともに、スライダー部材21の移動に伴って移動して商品10を支軸15の先端付近に送ることが可能なガイド部材17と、スライダー部材21の先端部39に固定される表示部材22と、基部14とスライダー部材21との間に設けられ、スライダー部材21を基部14に近づく方向に付勢する第1付勢部材23と、を備える。
【0081】
この構成によれば、表示部材22が設けられたスライダー部材21を操作することで商品10を前出しすることができ、フェイスアップ等の店舗管理作業を簡単に行うことができる。
【0082】
レール状部材16は、その先端部から半径方向に延びる突起部42を有し、スライダー部材21は、突起部42に倣って窪む第1凹部48を有し、第1凹部48は、スライダー部材21の長手方向に沿って形成され、スライダー部材21のレール状部材16の軸方向への移動を許容するとともに、スライダー部材21のレール状部材16回りの回転を規制する。この構成によれば、第1凹部48および突起部42によって、スライダー部材21のレール状部材16回りの回転を規制できるために、表示部材22が回転してしまう不具合を生じることを防止できる。
【0083】
スライダー部材21は、第1凹部48の基部14側の端部を規定する突当部45を有する。この構成によれば、突当部45を設けることによって、レール状部材16からスライダー部材21が脱落してしまう不具合を防止できる。
【0084】
突当部45は、スライダー部材21の基部14側の端部に設けられレール状部材16を取り囲む環状をなし、スライダー部材21は、基部14から見て突当部45よりも遠い位置に設けられた本体部44を有し、本体部44は、レール状部材16を取り囲むとともに、一部を開放した開放部46を含む略C字状断面を有する。この構成によれば、スライダー部材21を軽量化できる。また、スライダー部材21とレール状部材16との間の摩擦面の面積を小さくして、スライダー部材21の移動時の抵抗を小さくできる。
【0085】
以下の実施形態では、主として第1実施形態と異なる部分について説明し、第1実施形態と共通する点については、図示および説明を省略する。
[第2実施形態]
【0086】
図26~
図28を参照して、第2実施形態の吊下具11について説明する。本実施形態では、ストッパー部材18、スライダー部材21、および第1付勢部材23が省略されている。
【0087】
吊下具11は、陳列棚のフレーム12に固定されるとともに孔部13を有する基部14と、孔部13に対して着脱可能に構成される支軸15と、孔部13に装着された支軸15に沿って基部14から延びるロッド状のレール状部材16と、レール状部材16上を進退可能に構成されるガイド部材17と、レール状部材16の先端部に設けられる表示部材22と、を備える。
【0088】
基部14は、基部本体24と、基部本体24に設けられた孔部13と、基部本体24に固定されるとともに陳列棚のフレーム12を間に挟んで保持できるU字形をなした固定具27と、を有する。本実施形態において孔部13は、上下方向に延びており、上方に向けて開口している。
【0089】
支軸15は、中実の丸棒状に形成される。支軸15は、例えば、金属材料によって形成されることが好ましい。支軸15は、吊下げ式の商品10が吊下げられる支軸本体34と、支軸本体34の先端側で支軸本体34と一体的に設けられたフック部35と、フック部35とは反対側に設けられ支軸本体34と交差する方向に延びる端部36(基部)と、を有する。本実施形態では、支軸15は、一対のリブ部37および位置決め部38を有しない。
【0090】
レール状部材16は、L字形に折り曲げられた中実の丸棒状をなしており、溶接等によって固定具27と一体的に形成されている。
【0091】
図27に示すように、ガイド部材17は、正面から見て長方形の平板状をなしている。ガイド部材17は、レール状部材16が通される通孔81と、支軸15が通される第1貫通孔56と、を有する。第1貫通孔56は、上下方向に細長く延びる長穴状をなしている。ガイド部材17は、例えば、金属材料によって形成されていることが好ましい。
【0092】
本実施形態の吊下具11を用いた商品補充作業について説明する。商品の日付管理のため、作業者は、支軸15の後方から新しい商品を補充する。その際、作業者は、商品10が吊下げられた支軸15を手指を用いて孔部13から取り外す。本実施形態では、作業者は、支軸本体34の端部36付近を上方に持ち上げて、両手で支軸15を保持することで、支軸15を手前側に引き出すことができる。このとき、ガイド部材17も一緒にレール状部材16上で手前の位置に引き出しておくことが好ましい。取り外された支軸15に対して、
図28に示すように、端部36側(後方)から商品10を補充するようにする。
【0093】
図28に示すように、作業者は、商品10を補充した支軸15の後端をガイド部材17の第1貫通孔56に差し込むようにする。作業者は、陳列棚の奥部であって、他の商品10によって埋もれてしまった奥部ではなく、陳列棚の手前の位置であって、他の商品から突出された手前の位置で支軸15の取付作業を行うことができる。作業者は、支軸15を陳列棚の奥部まで移動させる際に、商品10が吊下げられた支軸15の荷重をガイド部材17に負担させることができる。
【0094】
作業者が第1貫通孔56に対して支軸15を差し込み、支軸15を奥部に向けて押し込むと、ガイド部材17の案内によって、支軸15の端部36が基部14の孔部13付近にまで誘導される。ガイド部材17がレール状部材16の奥部にまで到達したときに、作業者が支軸15の端部36付近を持ち上げて、上方から端部36を孔部13に対して差し込むようにする。これによって、孔部13に対して支軸15が完全に差し込まれた状態となり、商品10の補充作業が完了する。
【0095】
上記した実施形態は、種々の置き換えや変形を加えて実施できる。また、上記実施形態同士を適宜に組み合わせて発明を実現することも当然にできる。
【符号の説明】
【0096】
10 商品
11 吊下具
12 フレーム
13 孔部
13A 底
14 基部
15 支軸
16 レール状部材
17 ガイド部材
18 ストッパー部材
21 スライダー部材
22 表示部材
23 第1付勢部材
31 第1溝部
33 拡径部
36 端部
37 リブ部
38 位置決め部
39 先端部
42 突起部
45 突当部
46 開放部
48 第1凹部
51 第2凹部
56 第1貫通孔
56A 第1部分
56B 第2部分
57 第1縁部
58 第2縁部
71 第2貫通孔
72 第1枠部
72A 大斜面
73 第2枠部
73A 小斜面
74 第1当接部
75 軌条部
P1 規制位置
P2 解除位置