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特許7429412遺物のマーキング装置、および遺物のマーキング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】遺物のマーキング装置、および遺物のマーキング方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240201BHJP
   B41J 3/407 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 109
B41J3/407
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019206947
(22)【出願日】2019-11-15
(65)【公開番号】P2021079573
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】391058336
【氏名又は名称】第一合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】河野 良子
(72)【発明者】
【氏名】中澤 正行
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄太
【審査官】高松 大治
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3012536(JP,U)
【文献】特開2006-069104(JP,A)
【文献】特開2018-183920(JP,A)
【文献】国際公開第2019/163852(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
B41J 3/407
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遺物を載置する表面を有するテーブルと、
前記テーブル上の前記遺物の表面に対して、一方向に延びる印字予定範囲の始点となる印字始端および終点となる印字終端を示す範囲表示部と、
前記テーブル上の前記遺物の表面に前記印字始端から前記印字終端に向かって前記一方向へ、前記印字予定範囲に印字を行うプリンタと、
を備え
前記範囲表示部は、前記印字始端に相当する表示始端および前記印字終端に相当する表示終端へ光を照射することで前記遺物の表面に前記印字始端および前記印字終端を表示するポインタを有する遺物のマーキング装置。
【請求項2】
前記範囲表示部は、前記ポインタとして、
前記表示始端に光を照射する始点ポインタと、
前記表示終端に光を照射する終点ポインタと、
を有し、
前記始点ポインタおよび前記終点ポインタは、前記テーブルの表面に対して垂直な方向に投光する請求項に記載の遺物のマーキング装置。
【請求項3】
前記範囲表示部は、前記ポインタとして、前記始点ポインタと前記終点ポインタとの間に、前記始点ポインタおよび前記終点ポインタと前記一方向に並んで配置された中間点ポインタをさらに有し、
前記中間点ポインタは、前記表示始端と前記表示終端との間に光を照射する請求項に記載の遺物のマーキング装置。
【請求項4】
前記始点ポインタ、前記中間点ポインタ、および前記終点ポインタの各々が光を照射する範囲が等間隔で前記一方向に並んでいる請求項に記載の遺物のマーキング装置。
【請求項5】
前記範囲表示部は、前記ポインタからの光を減光するフィルタを有する請求項のいずれか一項に記載の遺物のマーキング装置。
【請求項6】
前記印字終端と前記表示終端とが前記一方向にずれた位置に配置されている請求項1~のいずれか一項に記載の遺物のマーキング装置。
【請求項7】
前記印字始端が、前記表示始端よりも前記一方向に前記表示終端寄りの位置に配置されている請求項1~のいずれか一項に記載の遺物のマーキング装置。
【請求項8】
遺物を載置する表面を有するテーブルと、
前記テーブル上の前記遺物の表面に対して、一方向に延びる印字予定範囲の始点となる印字始端に相当する表示始端、および、終点となる印字終端に相当する表示終端を示す範囲表示部と、
前記テーブル上の前記遺物の表面に前記印字始端から前記印字終端に向かって前記一方向へ、前記印字予定範囲に印字を行うプリンタと、
を備え、
前記範囲表示部を制御するための処理信号を生成して送信する情報処理部と、
前記処理信号に基づいて制御信号を生成し、前記範囲表示部の動作を制御する制御部と、
をさらに備え、
前記情報処理部は、
複数の文字の各々の幅寸法に対応する横ドット数を記憶する記憶部と、
前記遺物に印字する文字を入力する入力部と、
前記入力部で入力された文字列の前記横ドット数を記憶部から読み出して、前記文字列の前記横ドット数の総和を算出する算出部と、
前記文字列の前記横ドット数の総和に基づいて前記印字予定範囲を決定する範囲決定部と、
前記範囲決定部で決定された前記印字予定範囲に基づいて前記表示始端および前記表示終端を決定する表示位置決定部と、
前記処理信号として、前記表示位置決定部で決定された前記表示始端および前記表示終端に基づく信号を前記制御部に送信する信号送信部と、
を有し、
前記範囲表示部は、前記制御信号によって制御されて、前記表示始端および前記表示終端を前記遺物の表面上に表示す遺物のマーキング装置。
【請求項9】
前記情報処理部は、
前記入力部の入力によって前記範囲表示部の使用の有無を切り替える切替部と、
前記文字列、前記印字予定範囲、前記表示始端、および前記表示終端を表示する表示画面部と、
をさらに有し、
前記表示画面部は、前記切替部によって前記範囲表示部が使用されない状態とされた際に前記印字予定範囲、前記表示始端、および前記表示終端を表示せず、前記切替部によって前記範囲表示部が使用される状態とされた際に前記印字予定範囲、前記表示始端、および前記表示終端を表示する請求項に記載の遺物のマーキング装置。
【請求項10】
前記情報処理部は、前記入力部への入力によって隣り合う前記横ドット同士の間隔を変更するドット間隔変更部をさらに有する請求項またはに記載の遺物のマーキング装置。
【請求項11】
前記テーブルは、
テーブル本体と、
前記テーブル本体を前記一方向に動作させる操作部と、
を有し、
前記プリンタは、前記一方向に移動不能に設けられており、
前記制御部は、前記操作部による前記テーブル本体の前記印字始端側から前記印字終端側への移動に応じて前記遺物に対して印字を行うように前記プリンタを制御する請求項10のいずれか一項に記載の遺物のマーキング装置。
【請求項12】
遺物をテーブル上に載置する載置工程と、
前記テーブル上に載置された前記遺物の表面上に一方向に延びる印字予定範囲の始点となる印字始端および終点となる印字終端を示す範囲表示工程と、
前記テーブル上の前記遺物の表面に前記印字始端から前記印字終端に向かって前記一方向へ、前記印字予定範囲に印字を行う印字工程と、
を含み、
前記範囲表示工程では、ポインタによって、前記印字始端に相当する表示始端および前記印字終端に相当する表示終端へ光を照射することで前記遺物の表面に前記印字始端および前記印字終端を表示する遺物のマーキング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は遺物のマーキング装置、および遺物のマーキング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、石器片や土器片などの遺跡から出土した遺物に対し、発掘日時や出土地点などを印字するマーキング装置が知られている。このようなマーキング装置の一例は特許文献1に記載されている。この種のマーキング装置では、インクジェットプリンタが遺物の表面に向けてインクを噴射することで遺物の表面に印字を行うようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】登録実用新案第3012536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、出土する遺物毎に形状や大きさは様々である。また遺物毎に印字する内容も異なる。しかしながら特許文献1に記載されたマーキング装置を用いて遺物に印字する際、印字しようとするすべての文字が遺物内に収まるか否かの判断が非常に難しい。多くの文字を含む文字列を遺物に印字しようとした場合には、文字列の一部が遺物からはみ出してしまい、すべての文字を遺物に印字できず、印字のやり直しの作業が発生して作業効率が悪化してしまうといった問題がある。
【0005】
本発明はこのような実情に鑑み、遺物の形状や大きさの差異によらず、効率的に遺物への印字が可能な遺物のマーキング装置、および遺物のマーキング方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様に係る遺物のマーキング装置は、遺物を載置する表面を有するテーブルと、前記テーブル上の前記遺物の表面に対して、一方向に延びる印字予定範囲の始点となる印字始端および終点となる印字終端を示す範囲表示部と、前記テーブル上の前記遺物の表面に前記印字始端から前記印字終端に向かって前記一方向へ、前記印字予定範囲に印字を行うプリンタと、を備えている。
【0007】
(2)また、上記(1)に記載の遺物のマーキング装置では、前記範囲表示部は、前記印字始端に相当する表示始端および前記印字終端に相当する表示終端へ光を照射することで前記遺物の表面に前記印字始端および前記印字終端を表示するポインタを有していてもよい。
【0008】
(3)また、上記(2)に記載の遺物のマーキング装置では、前記範囲表示部は、前記ポインタとして、前記表示始端に光を照射する始点ポインタと、前記表示終端に光を照射する終点ポインタと、を有し、前記始点ポインタおよび前記終点ポインタは、前記テーブルの表面に対して垂直な方向に投光してもよい。
【0009】
(4)また、上記(3)に記載の遺物のマーキング装置では、前記範囲表示部は、前記ポインタとして、前記始点ポインタと前記終点ポインタとの間に、前記始点ポインタおよび前記終点ポインタと前記一方向に並んで配置された中間点ポインタをさらに有し、前記中間点ポインタは、前記表示始端と前記表示終端との間に光を照射してもよい。
【0010】
(5)また、上記(4)に記載の遺物のマーキング装置では、前記始点ポインタ、前記中間点ポインタ、および前記終点ポインタの各々が光を照射する範囲が等間隔で前記一方向に並んでいてもよい。
【0011】
(6)また、上記(2)から(5)のいずれかに記載の遺物のマーキング装置では、前記範囲表示部は、前記ポインタからの光を減光するフィルタを有していてもよい。
【0012】
(7)また、上記(1)に記載の遺物のマーキング装置では、前記範囲表示部は、前記印字始端に相当する表示始端から、前記印字終端に相当する表示終端までの前記一方向に連続した画像を前記遺物の表面に投影することで前記遺物の表面に前記印字始端および前記印字終端を表示するプロジェクタを有していてもよい。
【0013】
(8)また、上記(1)から(7)のいずれかに記載の遺物のマーキング装置では、前記印字終端と前記表示終端とが前記一方向にずれた位置に配置されていてもよい。
【0014】
(9)また、上記(1)から(8)のいずれかに記載の遺物のマーキング装置では、前記印字始端が、前記表示始端よりも前記一方向に前記表示終端寄りの位置に配置されていてもよい。
【0015】
(10)また、上記(1)から(9)のいずれかに記載の遺物のマーキング装置は、前記範囲表示部を制御する処理信号を生成して送信する情報処理部と、前記処理信号に基づいて制御信号を生成し、前記範囲表示部の動作を制御する制御部と、をさらに備え、前記情報処理部は、複数の文字の各々の幅寸法に対応する横ドット数を記憶する記憶部と、前記遺物に印字する文字を入力する入力部と、前記入力部で入力された文字列の前記横ドット数を記憶部から読み出して、前記文字列の前記横ドット数の総和を算出する算出部と、前記文字列の前記横ドット数の総和に基づいて前記印字予定範囲を決定する範囲決定部と、前記範囲決定部で決定された前記印字予定範囲に基づいて前記表示始端および前記表示終端を決定する表示位置決定部と、前記処理信号として、前記表示位置決定部で決定された前記表示始端および前記表示終端に基づく信号を前記制御部に送信する信号送信部と、を有し、前記範囲表示部は、前記制御信号によって制御されて、前記表示始端および前記表示終端を前記遺物の表面上に表示してもよい。
【0016】
(11)また、上記(10)に記載の遺物のマーキング装置では、前記情報処理部は、前記入力部の入力によって前記範囲表示部の使用の有無を切り替える切替部と、前記文字列、前記印字予定範囲、前記表示始端、および前記表示終端を表示する表示画面部と、をさらに有し、前記表示画面部は、前記切替部によって前記範囲表示部が使用されない状態とされた際に前記印字予定範囲、前記表示始端、および前記表示終端を表示せず、前記切替部によって前記範囲表示部が使用される状態とされた際に前記印字予定範囲、前記表示始端、および前記表示終端を表示してもよい。
【0017】
(12)また、上記(10)または(11)に記載の遺物のマーキング装置では、前記情報処理部は、前記入力部への入力によって隣り合う前記横ドット同士の間隔を変更するドット間隔変更部をさらに有していてもよい。
【0018】
(13)また、上記(1)から(12)のいずれかに記載の遺物のマーキング装置では、前記テーブルは、テーブル本体と、前記テーブル本体を前記一方向に動作させる操作部と、を有し、前記プリンタは、前記一方向に移動不能に設けられており、前記制御部は、前記操作部による前記テーブル本体の前記印字始端側から前記印字終端側への移動に応じて前記遺物に対して印字を行うように前記プリンタを制御してもよい。
【0019】
(14)また、本発明の一態様に係る遺物のマーキング方法は、遺物をテーブル上に載置する工程と、前記テーブル上に載置された前記遺物の表面上に一方向に延びる印字予定範囲の始点となる印字始端および終点となる印字終端を示す工程と、前記テーブル上の前記遺物の表面に前記印字始端から前記印字終端に向かって前記一方向へ、前記印字予定範囲に印字を行う工程と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0020】
上記態様に係る遺物のマーキング装置、および遺物のマーキング方法によれば、遺物の形状や大きさの差異によらず、効率的に遺物への印字が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第一実施形態に係るマーキング装置の正面図である。
図2】上記マーキング装置の側面図である。
図3】上記マーキング装置におけるテーブル本体を下方から見た図である。
図4】上記マーキング装置におけるレーザーポインタによって遺物が照射されている様子を示す斜視図である。
図5】上記マーキング装置における制御部および情報処理部の機能ブロック図である。
図6】上記マーキング装置のプリンタの動作を説明する図であって、(a)は印字する文字の例を示し、(b)は印字の手順を示す。
図7】上記マーキング装置における表示画面部に表示される画面イメージであって、範囲表示部が使用されている場合を示す図である。
図8】上記マーキング装置における表示画面部に表示される画面イメージであって、範囲表示部が使用されていない場合を示す図である。
図9】上記マーキング装置における横ドットの数値を変更するための表示画面部に表示される設定画面のイメージである。
図10】上記マーキング装置によるマーキング方法の手順を示すフロー図である。
図11】第一実施形態の第一変形例に係るマーキング装置における表示画面部に表示される画面イメージであって、範囲表示部が使用されている場合を示す図である。
図12】(a)第一実施形態の第二変形例に係る印字予定範囲の表示方法を示す図であり、(b)は第三変形例に係る印字予定範囲の表示方法を示す図であり、(c)は第四変形例に係る印字予定範囲の表示方法を示す図である。
図13】(a)は第一実施形態の第五変形例に係る印字予定範囲の表示方法を示す図であり、(b)は第六変形例に係る印字予定範囲の表示方法を示す図である。
図14】(a)は第七変形例に係る印字予定範囲の表示方法を示す図であり、(b)は第八変形例に係る印字予定範囲の表示方法を示す図である。
図15】(a)は本発明の第二実施形態に係るマーキング装置の範囲表示部の正面図であり、(b)は第二実施形態に係るマーキング装置の範囲表示部の側面図である。
図16】第二実施形態の変形例に係るマーキング装置の範囲表示部および収容棚の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[第一実施形態]
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1図10は本発明の第一実施形態に係るマーキング装置1を示す。図1に示すようにマーキング装置1は、遺跡から出土した遺物100に対して印字を行う装置である。図1および図2に示すようにマーキング装置1は、遺物100を載置するテーブル2と、テーブル2の上方に設けられた範囲表示部3およびプリンタ4と、範囲表示部3およびプリンタ4を制御する制御部5と、制御部5へ処理信号を送信する情報処理部6とを備えている。
【0023】
(テーブル)
テーブル2は平板状をなして水平面に沿った一方向Dxに移動可能なテーブル本体11と、テーブル本体11を支持する支持部12と、テーブル本体11を一方向Dxに動作させる操作部13とを有している。テーブル本体11は遺物100を載置可能な表面(上面)を有する。図2および図3に示すようにテーブル本体11の裏面(下面)には、一方向Dxに直交する奥行方向Dyの奥側に寄った位置で、一方向Dxに延びる棒状の接触レール14が設けられている。また、接触レール14の奥側でテーブル本体11の裏面には位置決め板15が固定されている。位置決め板15は例えばアルミ板等の金属板であって、表面に光沢を有する。
【0024】
図1および図2に示すように、支持部12は、テーブル本体11の下方に配置された一対の支持脚18と、支持脚18に支持された支持棒19と、一対の支持脚18の間に配置されて支持棒19が貫通するとともにテーブル本体11の裏面に固定された支持棒ガイド20とを有している。
【0025】
支持脚18はテーブル本体11における一方向Dxの両端部にそれぞれ配置されている。一対の支持脚18の間には位置センサ21が設けられている。この位置センサ21は例えばレーザーセンサ等の非接触センサである。位置センサ21はテーブル本体11の裏面の位置決め板15に向けて光を投光するとともに、その反射光を受光することでテーブル本体11の基準位置を検知する。この基準位置とは、詳しくは後述するが位置センサ21の受光量が変動した位置のことである。さらに、一対の支持脚18の間には位置センサ21に干渉しない位置でテーブル本体11の一方向Dxへの移動距離を検知する移動距離センサ22が設けられている。本実施形態では移動距離センサ22として、接触レール14に接触してテーブル本体11の一方向Dxへの移動に応じて回転し、テーブル本体11の移動距離を検知するロータリエンコーダを採用しているが、移動距離センサ22はロータリエンコーダに限定されることはない。
【0026】
支持棒19は、一対の支持脚18の間にわたって延びている。支持棒ガイド20は、支持棒19の上下方向Dzおよび奥行方向Dyへの移動を規制しつつ、支持棒19に沿って一方向Dxに移動可能となっている。これにより支持棒ガイド20とともにテーブル本体11が一方向Dxに移動可能となっている。支持棒ガイド20はテーブル本体11を一方向Dxの退避側X1と進出側X2との間で移動させる。本実施形態では図1の紙面に向かって右側を進出側X2とし、図1の紙面に向かって左側を退避側X1とする。
【0027】
操作部13は、テーブル本体11の奥行方向Dyの手前側の側面から手前側に突出するように設けられて棒状をなしている。操作部13が作業者によって把持されて一方向Dxに引っ張られることでテーブル本体11が一方向Dxに移動可能になっている。本実施形態ではテーブル本体11における一方向Dxの進出側X2に寄った位置に操作部13が設けられているが、操作部13の設置位置は特に限定されない。
【0028】
支持部12には不図示のストッパーが設けられている。ストッパーはテーブル本体11が基準位置よりもさらに退避側X1の退避位置に配置された状態で、テーブル本体11を退避位置からさらに退避側X1には移動できないようにする。テーブル本体11が基準位置に配置されると、上記の位置センサ21によって位置決め板15における進出側X2の端部15aが検知される(図3参照)。位置決め板15は光沢を有するため、位置決め板15の端部15aが位置センサ21の位置に到達すると、位置決め板15とテーブル本体11の裏面との間の光の反射率の差異によって、位置センサ21が受光する反射光の受光量に変動が生じる。この受光量の変動により位置決め板15の端部15aを検知可能となっている。また、テーブル本体11が基準位置から進出側X2に移動した際には、位置センサ21によってテーブル本体11の移動が開始されたこと、および、基準位置からの進出側X2へのテーブル本体11の移動量〔mm〕を検知可能となっている。位置センサ21の検知信号は後述の制御部5に送信される。
【0029】
(範囲表示部)
図1および図2に示すように範囲表示部3は、テーブル本体11の表面に向けてレーザー光を投光可能な複数のレーザーポインタ30と、これらレーザーポインタ30を収容する筐体35と、筐体35が固定されて筐体35を進出側X2から支持する支持板36とを有している。
【0030】
図4に示すようにレーザーポインタ30は、一方向Dxに等間隔をあけて複数(本実施形態では10個)設けられている。最も進出側X2に設けられたレーザーポインタ30を始点ポインタ31とする。すべてのレーザーポインタ30は奥行方向Dyの略同じ位置にレーザー光を照射する。さらに、これらレーザーポインタ30はテーブル本体11の表面に対して垂直にレーザー光を投光する。
【0031】
ここで始点ポインタ31によってレーザー光が照射される領域を始点ポインタ照射領域A1とする。また始点ポインタ照射領域A1における最も進出側X2の端部を表示始端Aaとする。また遺物100の表面における一方向Dxに延びる範囲であって、実際に印字が行われる予定の範囲を印字予定範囲Bとする。表示始端Aaは印字予定範囲Bにおける印字開始点である印字始端Baに相当する。詳細は後述するが、表示始端Aaの位置と印字始端Baの位置との多少のずれは許容される。
【0032】
始点ポインタ31よりも退避側X1に配置されたレーザーポインタ30のうち、印字予定範囲Bの印字終了点である印字終端Bbに相当する表示終端Abへレーザー光を照射するレーザーポインタ30を、終点ポインタ32と定義する。この表示終端Abを含み、終点ポインタ32によってレーザー光が照射される領域を終点ポインタ照射領域A2とする。終点ポインタ照射領域A2における最も退避側X1の端部が表示終端Abとなっている。終点ポインタ32は、始点ポインタ31よりも退避側X1に配置されたレーザーポインタ30のうちのいずれか一つであり、印字終端Bbの位置に応じて始点ポインタ31を除くいずれかのレーザーポインタ30が終点ポインタ32として機能する。終点ポインタ32とされたレーザーポインタ30と始点ポインタ31との間に他のレーザーポインタ30が存在する場合には、このレーザーポインタ30を中間点ポインタ33とする。中間点ポインタ33によってレーザー光が照射される領域を中間点ポインタ照射領域A3とする。始点ポインタ照射領域A1と始点ポインタ照射領域A1に隣接する中間点ポインタ照射領域A3との間の間隔、隣接する中間点ポインタ照射領域A3同士の間隔、および、終点ポインタ照射領域A2と終点ポインタ照射領域A2に隣接する中間点ポインタ照射領域A3との間隔はいずれも一定であり、いずれの領域A1、A2、A3もほぼ同じ大きさとなっている。ここで、終点ポインタ32から投光されるレーザー光のみを点滅させてもよい。なお、印字予定範囲Bが非常に短い場合、始点ポインタ31が終点ポインタ32としても機能する場合もある。
【0033】
図1および図2に示すように筐体35は複数のレーザーポインタ30を収容する箱体である。筐体35からは各レーザーポインタ30に接続された配線37が延びている。支持板36は筐体35の奥行方向Dyの位置を調整可能に、筐体35を支持している。さらに支持板36には、筐体35の下方で高さセンサ38が固定されて設けられている。本実施形態では例えば高さセンサ38としてレーザーセンサが用いられる。高さセンサ38はレーザー光をテーブル本体11の表面に向けて投光し、反射光を検知することで高さセンサ38自身の上下方向Dzの位置を検知する。高さセンサ38およびレーザーポインタ30はともに支持板36に固定されているため、レーザーポインタ30と高さセンサ38との上下方向Dzの相対位置関係を用いて、高さセンサ38によってレーザーポインタ30の上下方向Dzの位置を検知し、遺物100の大きさに合わせてレーザーポインタ30の位置を調整することが可能となっている。レーザーポインタ30からのレーザー光と高さセンサ38からのレーザー光との区別のため、高さセンサ38からのレーザー光で照射される領域の中心と、レーザーポインタ30からのレーザー光で照射される領域の中心とは奥行方向Dyにずれている。高さセンサ38の光の色は、レーザーポインタ30の光の色と異なっていてもよいし、同じであってもよい。また高さセンサ38として超音波センサ等の他の形式のセンサを用いてもよい。
【0034】
(プリンタ)
図1および図2に示すように、プリンタ4はインクジェット式のプリンタである。このプリンタ4はプリンタヘッド4Xを有し、範囲表示部3の支持板36の進出側X2に固定されて設けられている。テーブル本体11の表面に対してプリンタヘッド4Xからドット状のインク滴を垂直に噴出し、プリンタヘッド4Xに対して相対移動する遺物100の表面における印字予定範囲Bへ、一方向Dxに進出側X2から退避側X1に向かって印字を行う。より具体的には図6(a)に示すように、例えば「F」という文字を遺物100に印字する際には、遺物100には進出側X2(紙面に向かって右側)から退避側X1(紙面に向かって左側)に向かって印字が行われる。すなわち印字はテーブル本体11の移動方向とは逆方向に行われる。ロータリエンコーダである移動距離センサ22の信号(パルス)がカウントされ、予め設定されたパルス数Np毎に奥行方向Dyに並ぶ一列分のドットを印字していく。例えば図6(b)に示すように、まず「F」の文字の一列目のドットを印字するために奥行方向Dyの一方から他方に向けて順次プリンタヘッド4Xからインクを噴射していく。プリンタヘッド4Xによって奥行方向Dyへ順次インクを噴射していく速度は、テーブル本体11の移動速度よりも十分に速い速度に設定されている。次いで一列目の印字を行ったタイミングから、予め設定したパルス数Npをカウントした後に二列目のドットを印字するためにインクを噴射する。同様に二列目の印字を行ったタイミングから、予め設定したパルス数Npをカウントする毎に三列目、四列目、および五列目のドットを印字するためにインクを噴射する。図6(b)では、一例としてパルスNp=4である場合を記載している。図6(a)中のWdは、後述する隣り合う横ドット同士の間隔を示す。プリンタ4では、上記の退避位置から基準位置までのテーブル本体11の移動距離、および、基準位置から一列目の印字を開始する位置までのテーブル本体11の移動距離に相当するパルス数をマージンとして予め設定(記憶)可能となっている。このマージンは、後述する表示画面部45の不図示の設定画面で任意の数値に設定可能としてもよい。
プリンタ4は支持柱10に支持されて、テーブル本体11に対して上下方向Dzに位置調整可能になっている。これにより、プリンタ4と遺物100の表面との距離をできる限り一定に保つことが可能となっている。プリンタ4と範囲表示部3とは支持板36を介して固定されているため、プリンタ4の位置が調整されると、プリンタ4と一体に範囲表示部3のレーザーポインタ30の位置も調整される。プリンタ4は配線4aによって後述する制御部5のプリンタ制御部5aに接続されている。
【0035】
(情報処理部)
情報処理部6は、図1に示すように例えばPC(Personal Computer)等のコンピュータに設けられている。図5に示すように情報処理部6は、記憶部40と、入力部41と、算出部42と、範囲決定部43と、表示位置決定部44と、表示画面部45と、切替部46と、ドット間隔変更部47と、信号送信部48とを有している。
【0036】
記憶部40は、遺物100へ印字するための複数の文字を記憶しているとともに、これら文字の各々の幅寸法に対応する横ドット数を記憶している。横ドット数とは、その文字を構成するドット数のうち、文字の幅方向(本実施形態では一方向Dxに一致する)に並ぶ最大ドット数を意味する。記憶部40はPCのハードディスクや、CD-ROMおよびSDカード等の外部メモリである。
【0037】
入力部41は、遺物100の表面に印字する文字を入力する。入力部41はPCのマウスやキーボードであって、記憶部40に記憶された文字を選択して入力することを可能とする。入力部41では、記憶部40に記憶された文字を直接入力することも可能である。
【0038】
算出部42は、入力部41で入力された複数の文字(文字列)における各々の文字の横ドット数を記憶部40から読み出して、入力された文字列の横ドット数の総和を算出する。文字列の横ドット数の総和とは、文字列を構成するすべての文字の横ドット数の和と、予め設定された文字間隔の横ドット数の和とを加えたものである。ここで仮に文字間隔が存在しない場合には、文字列の横ドット数の総和は、文字列を構成するすべての文字の横ドット数の和に一致する。
【0039】
範囲決定部43は、文字列の横ドット数の総和に基づいて上記の印字予定範囲Bを決定する。
【0040】
表示位置決定部44は、範囲決定部43で決定された印字予定範囲Bに基づいて表示始端Aaおよび表示終端Abの位置を決定する。表示位置決定部44は、図4及び図7に示すように表示始端Aaが印字始端Baよりも一方向Dxの進出側X2に位置するように表示始端Aaの位置を決定する。言い換えると印字始端Baが表示始端Aaよりも一方向Dxに表示終端Ab寄りに配置される。なお、表示始端Aaは、必ずしも印字始端Baよりも進出側X2に配置されなくともよい。
【0041】
表示位置決定部44では、例えば以下の数式(1)および(2)によって表示始端Aaから表示終端Abまでの範囲に収まるレーザーポインタ30の数量、すなわちレーザーポインタ30の点灯個数Nを決定する。
【0042】
Na=(Sd×Wd)/Li+1・・・(1)
N=ROUND(Na,0)・・・(2)
ただし、ROUND(Na,0)はNaの小数点以下の数値を四捨五入することを意味する。
N:レーザーポインタの点灯個数
Sd:文字列の横ドット数の総和
Wd:横ドット間隔〔mm〕(図6(a)参照)
Li:レーザー間隔〔mm〕(隣接するレーザーポインタにおける照射領域の中心同士の間隔)
Sd×Wdで算出される数値が印字予定範囲Bの長さ〔mm〕である。
【0043】
表示画面部45は、図1に示すPCのモニタである。図7に示すように表示画面部45に表示される画像は、表示画面部45の上部エリアU、中部エリアM、および下部エリアLに分かれている。上部エリアUの左側には、入力部41で入力された文字列が上下に並んで複数行(本実施形態では三行)表示される。上部エリアUの右側には、「情報送信」ボタンが表示される。
【0044】
中部エリアMの左側には、表示位置決定部44で決定されたレーザーポインタ30の点灯個数(投光個数)Nと、範囲決定部43で決定された印字予定範囲Bの長さ〔mm〕をレーザーポインタ30の個数で換算した「ポインタ換算文字長さ(個分)」とが表示される。図中では「ポインタ換算文字長さ」を単に「文字長さ」としている。この「ポインタ換算文字長さ」は上記数式(1)で算出されるNaである。中部エリアMの左側ではレーザーポインタ30の点灯個数Nの下にポインタ換算文字長さNaが示される。レーザーポインタ30の点灯個数Nの示し方は、例えば実際の各々のレーザーポインタ30の照射範囲に対応するように円形のマークを一列に並べ、使用するレーザーポインタ30に対応するマークを赤色等で点灯させる。入力部41によって複数行に文字列が入力されている場合には、最も長い文字列が入力された行に対して上記印字予定範囲B(ポインタ換算文字長さNa)、およびレーザーポインタ30の点灯個数Nが決定される。
【0045】
本実施形態では一例として表示画面部45にポインタ換算文字長さNaが6.5個分であり、レーザーポインタ30の数量が7個である場合を示している。この場合、上記の通り印字始端Baは始点ポインタ照射領域A1における一方向Dxの略中央の位置に配置され、印字終端Bbは終点ポインタ照射領域A2と、終点ポインタ32に隣接する中間点ポインタ33による中間点ポインタ照射領域A3との間に配置されている。すなわち表示終端Abと印字終端Bbとが一方向Dxずれた位置に配置される。本実施形態では表示終端Abが印字終端Bbよりも退避側X1に位置している。言い換えると、印字終端Bbが表示終端Abよりも一方向Dxに表示始端Aa寄りに配置されている。
【0046】
下部エリアLには、入力部41によって選択可能な文字が複数表示されている。これらの文字は例えばカテゴリー毎に順番に並んで配置されてもよいし、使用頻度の順番に並んで配置されていてもよい。
【0047】
図5に戻って、切替部46は、入力部41の入力によって範囲表示部3の使用の有無を切り替える。例えば表示画面部45には、切替部46によって範囲表示部3の使用の有無を切り替え可能な設定画面(不図示)が表示される。範囲表示部3が使用されない状態とされた際には、切替部46は図8に示すように表示画面部45の中部エリアMを非表示とすることで印字予定範囲B(ポインタ換算文字長さNa)、表示始端Aa、および表示終端Abを非表示とする。一方で範囲表示部3が使用される状態とされた際には、切替部46は図7に示すように表示画面部45の中部エリアMを表示することで印字予定範囲B(ポインタ換算文字長さNa)、表示始端Aa、および表示終端Abを表示させる。
【0048】
ドット間隔変更部47は、隣り合う横ドット同士の間隔を変更する。隣り合う横ドット同士の間隔が小さくなると一方向Dxに細くつぶされたような文字が遺物100に印字され、隣り合う横ドット同士の間隔が大きくなると一方向Dxに引き伸ばされたような文字が遺物100に印字される。ドット間隔変更部47においては、上記のWd(隣り合う横ドット同士の間隔〔mm〕)は以下の数式(3)により変更される。なおWdは図6(a)に示すように、一方向Dxに隣り合う横ドット同士の中心間距離である。以下、Wdを単に横ドット間隔と呼称する。
【0049】
Wd=(0.1×Np)×(α/100)・・・(3)
Np:パルス数(図6(b)参照、例えばNp=2~4の整数、文字幅微調整値に相当)
α/100:補正係数(例えばα=50~150の整数、αの初期値は100)
【0050】
図9に示すように表示画面部45には、横ドット間隔Wdの数値を変更するための設定画面が表示可能となっている。設定画面で入力部41によってNp、およびαの数値が入力されることでドット間隔変更部47は横ドット間隔Wdを変更することが可能となっている。本実施形態では0.2~0.4〔mm〕の範囲でWdを変更可能であるとともに、このWdの範囲を補正係数によって微調整可能となっている。補正係数は、テーブル本体11の移動量〔mm〕を検知して出力する移動距離センサ22の出力誤差を補正する際に利用される。横ドット間隔Wdを変更するための設定画面は、例えば表示画面部45の下部エリアLに表示される。ドット間隔変更部47は、文字の1ドットあたりの幅寸法だけでなく、文字同士の空隙である間隔ドット数も変更可能であってもよい。
【0051】
信号送信部48は、表示位置決定部44で決定された表示始端Aaおよび表示終端Abに基づく処理信号を制御部5に送信する。図5に示すように本実施形態の信号送信部48は、プリンタ4を制御するための処理信号を制御部5に送信するプリンタ信号部48aと、範囲表示部3を制御するための処理信号を制御部5に送信する表示信号部48bとを別体で有しているが、プリンタ信号部48aと表示信号部48bとは一体であってもよい。
【0052】
(制御部)
制御部5は、図1に示すように、プリンタヘッド4Xから延びる配線4aおよび情報処理部6が設けられたPCから延びる配線6aに接続されたプリンタ制御部5aと、範囲表示部3の筐体35から延びる配線37およびPCから延びる配線6bに接続された表示制御部5bとを有している。プリンタ制御部5aはPCのプリンタ信号部48aに接続され、表示制御部5bはPCの表示信号部48bに接続されている。プリンタ制御部5aおよび表示制御部5bはプロセッサ等を有するコンピュータである。プリンタ制御部5aは情報処理部6からの処理信号を受信するとともに、処理信号に基づいて制御信号を生成してプリンタヘッド4Xの動作を制御する。同様に、表示制御部5bは情報処理部6からの処理信号を受信するとともに、処理信号に基づいて制御信号を生成して範囲表示部3の動作を制御する。具体的には表示制御部5bが、表示位置決定部44で決定されて表示画面部45に表示されたマークに基づき、使用するレーザーポインタ30のスイッチをONにする。これにより退避位置でテーブル本体11に載置された遺物100の表面にレーザー光を照射する。そして移動距離センサ22が検知したテーブル本体11の一方向Dxへの移動距離に基づき、遺物100の印字始端Baがプリンタ4の直下に位置していることをプリンタ制御部5aで判断し、プリンタ制御部5aがプリンタ4によって遺物100への印字を開始させる。プリンタ制御部5aと表示制御部5bとは一体であってもよいが、本実施形態では別体で設けられている。また制御部5と情報処理部6とは一体のコンピュータとして設けられていてもよい。
【0053】
(マーキング方法)
次に図10を参照して、遺物100のマーキング方法の手順について説明する。まず作業者が事前にテーブル本体11を退避位置に配置し(ステップS1)、遺物100を載置する(ステップS2)。この際、作業者は範囲表示部3およびプリンタ4の上下方向Dzの位置を遺物100の高さ寸法に合わせて調整する。そして作業者は遺物100に印字する文字列を入力する(ステップS3)。また範囲表示部3を使用するか否かを決定する(ステップS4)。ステップS4では切替部46によって、作業者が不図示の設定画面で範囲表示部3の使用の有無を選択し決定する。切替部46で決定されたに範囲表示部3の使用の有無の情報は設定ファイルとして記憶され、以降、図10に示す手順を開始する際に自動的に読み込まれるようになっていてもよい。なおステップS4はステップS3の前段階のいずれのタイミングで実行されてもよい。その後、表示画面部45に表示された「情報送信ボタン」を作業者がONにして、入力した文字列の情報をプリンタ4に送信する(ステップS5)。次に範囲表示部3の使用の有無が、ステップS4の結果に基づき判断される(ステップS6)。ステップS6で範囲表示部3を使用するとされた場合(YES)には、ステップS3で入力された文字列に対応する印字予定範囲B(ポインタ換算文字長さNa)、表示始端Aa、および表示終端Abを表示画面部45に表示する(ステップS7)。またステップS7の実行とともに、レーザーポインタ30が点灯して表示画面部45に表示された印字予定範囲Bが退避位置に位置するテーブル本体11上の遺物100の表面に表示される(ステップS8)。すなわちステップS8では、始点ポインタ31、終点ポインタ32、および中間点ポインタ33が遺物100の表面にレーザー光を投光し、遺物100の表面における始点ポインタ照射領域A1、終点ポインタ照射領域A2、および中間点ポインタ照射領域A3が照射される。そしてこれら領域A1、A2、A3、すなわち印字予定範囲Bが遺物100の表面に表示されるように、作業者が遺物100を動かして印字予定範囲Bと遺物100との相対位置を手動で調整する。この際、作業者は遺物100に表示された印字予定範囲Bを確認し、文字列が遺物100に収まるか否かを判断する(ステップS9)。ステップS9で文字列が遺物100に収まらないと判断された場合(NO)には、ステップS3に戻って再び文字列を入力しなおす。例えば文字列を構成する文字数が10文字である場合に、10文字を一行で入力せずに、5文字ずつ二行に分けて入力するようにすることで、文字列が遺物100に収まるように文字列を入力しなおす。一方、ステップS9で文字列が遺物100に収まると判断された場合(YES)には、作業者がテーブル本体11を操作部13によって徐々に進出側X2に移動させると(ステップS10)、テーブル本体11が基準位置を通過する際にテーブル本体11が移動したことが検知されて自動的に印字の実行のトリガーがONになり(ステップS11)、テーブル本体11の移動量に応じてプリンタ4が遺物100への印字が行われる(ステップS12)。プリンタ4では上述のように退避位置と基準位置との間のテーブル本体11の移動距離が予め記憶されているため、遺物100への実際の印字位置が印字予定範囲Bからずれないようになっている。
【0054】
一方、ステップS6で範囲表示部3を使用しないとされた場合(NO)には、ステップS10に進み、テーブル本体11の移動と印字とが行われる。
【0055】
遺物100への印字が完了したら印字後の遺物100をテーブル本体100から取り除き、作業者がテーブル本体11を退避側X1に移動させてテーブル本体11を、基準位置を経由して退避位置に再び配置する(ステップS13)。ステップS13を実行することでテーブル本体11が基準位置を通過する際には、位置決め板15の端部15aが検知され、自動的に印字の実行のトリガーがOFFとなりレーザーポインタ30が消灯し、印字開始前のスタンバイ状態に戻る(ステップS14)。そして、次に印字する新たな遺物100をテーブル本体11に載置する(ステップS15)。その後、遺物100に印字する文字列を変更するか否かを作業者が判断する(ステップS16)。ステップS16において作業者が印字する文字列を変更する場合(YES)、ステップS3に進み作業者が新たな文字列を入力する。一方で、ステップS16で作業者が印字する文字列を変更しない場合(NO)には、ステップS4に進み、再び範囲表示部3の使用の有無を決定した後に印字を行う。なお、ステップS16で作業者が印字する文字列を変更しない(NO)場合には、図10に破線で示すようにステップS9に進み、次の遺物100に対して文字列が収まるか否かを判断し、文字列が遺物100に収まる場合にはステップS10に進んで印字を開始し、文字列が遺物100に収まらない場合にはステップS3に戻って文字列を修正する。
【0056】
(作用効果)
以上説明した本実施形態のマーキング装置1によれば、遺物100の表面への印字を行う前に、レーザーポインタ30を有する範囲表示部3によって印字予定範囲Bの印字始端Baに相当する表示始端Aa、および印字終端Bbに相当する表示終端Abを遺物100の表面に示すことができる。このため印字を行う際に、遺物100に印字する文字列のすべてが収まりきらずに文字列の一部が遺物100からはみ出してしまうことを回避できる。よって、レーザーポインタ30を用いた簡易な構成によって遺物100の形状や大きさの差異によらず、効率的に遺物100への印字が可能となる。
【0057】
さらに本実施形態では、中間点ポインタ33によって中間点ポインタ照射領域A3を照射することができる。このため、表示始端Aaおよび表示終端Abだけでなく表示始端Aaと表示終端Abとの間の位置も遺物100に示すことができる。よって文字列の全体が遺物100に印字された後の状態を作業者がイメージし易くなる。特に中間点ポインタ33が複数ある場合には、等間隔で中間点ポインタ照射領域A3が示されるため、作業者が印字予定範囲Bを把握し易い。
【0058】
さらにレーザーポインタ30は、テーブル本体11の表面に対して垂直にレーザー光を投光する。このため、表示画面部45に示された表示始端Aaおよび表示終端Abのイメージと、実際にレーザーポインタ30によって表示始端Aaおよび表示終端Abを照射した場合のイメージとの間のずれを回避できる。すなわち、表示画面部45に示された印字予定範囲Bを複雑な三次元形状となりうる遺物の表面上に確実に示すことができる。また、プリンタ4からはテーブル本体11の表面に対して垂直にインク滴が噴出されるため、レーザーポインタ30がテーブル本体11の表面に対して垂直にレーザー光を投光することで、レーザーポインタ30によって照射される表示始端Aaおよび表示終端Abの位置と、実際に遺物100に印字される位置とを近づけることができる。
【0059】
また「情報送信」ボタンを押しただけでは、レーザーポインタ30からレーザー光が投光されて遺物100の表面に印字予定範囲Bが表示されるがプリンタ4は動作しない。そしてこの状態でテーブル本体11を進出側X2に移動させることでプリンタ4が動作可能となる。このため遺物100の表面に印字予定範囲Bが示されないまま印字が開始されてしまうような誤作動の発生を回避できる。
【0060】
また文字毎の横ドット数が記憶部40に記憶されており、算出部42で印字する文字列の横ドット数の総和を算出する。このため、横ドット数が互いに異なる複数の文字からなる文字列を遺物100へ印字しようとする際にも、正確に印字予定範囲Bを遺物100の表面に示すことができる。
【0061】
また切替部46によって範囲表示部3の使用の有無を切り替えることができ、範囲表示部3が使用されない場合には印字する印字予定範囲B(ポインタ換算文字長さNa)およびレーザーポインタ30の点灯個数Nが表示画面部45に表示されない。このため範囲表示部3が使われているかいないかの差異を作業者が認識でき、作業者の混乱を避けることができる。
【0062】
またドット間隔変更部47によって横ドット間隔を変更することができる。このため印字しようとする文字列の文字数が多く、遺物100からはみ出すような場合であっても、ドット間隔変更部47でドットの幅寸法を小さくすれば、文字列のすべての文字を遺物100に印字することができる。同様にドット間隔変更部47で文字間隔(間隔ドット数)を小さくすることで文字を詰めて印字でき、より多くの文字を含む文字列を遺物100に印字することができる。そしてドット間隔変更部47では、補正係数(α/100)を入力することで、マーキング装置1の機械誤差等による横ドット間隔のずれを調整可能であり、より正確に印字予定範囲Bを遺物100に示すことが可能となる。
【0063】
また本実施形態では、作業者が操作部13を操作することでテーブル本体11を移動させて印字を行う。よって作業者は自分の裁量で印字のスピードを調整できる。また、ボタン操作をすることなく作業者は遺物100を手で押さえながらテーブル本体11を移動させて印字を行うことができるため、印字中に遺物100の位置がずれてしまうことがなくなる。よって遺物100への印字を正確に行うことができる。
【0064】
また本実施形態では、表示始端Aaが印字始端Baよりも進出側X2に配置されている。このため表示始端Aaが遺物100に表示されていれば印字始端Baも必ず遺物100上に配置される。したがって印字の開始点が遺物100からはみ出してしまうことがなくなる。また、表示終端Abが印字終端Bbよりも退避側X1に配置されている。よって表示終端Abが遺物100に表示されていれば、必ず印字終端Bbも遺物100上に配置される。このため、印字の終了点が遺物100からはみ出してしまうことがなくなる。すなわち、印字予定範囲Bが表示始端Aaと表示終端Abとの間に収まる。よって、表示始端Aaと表示終端Abとが遺物100の表面上に表示されてさえいれば文字列のすべての文字を確実に遺物100に印字することができ、印字の際に文字列の一部が遺物100からはみ出してしまうような失敗がなくなる。
【0065】
本実施形態では遺物100へ印字を行っている最中にもレーザーポインタ30が継続して投光を行ってもよい。またテーブル本体11の移動が開始されたタイミングで制御部5がレーザーポインタ30による投光を停止させてもよい。この場合テーブル本体11の進出側X1への移動に応じて、始点ポインタ31から終点ポインタ32に向かって順に投光を停止させていってもよい。この場合、遺物100の移動に対して印字予定範囲Bが連動するイメージを創出できる。
【0066】
また、テーブル本体11の移動開始によりレーザーポインタ30の投光が停止し、印字終了後にテーブル本体11を退避位置に戻す途中で基準位置をテーブル本体11が通過した際に、位置センサ21でテーブル本体11が基準位置に配置されたことを検知して制御部5によって再度レーザーポインタ30からの投光を行ってもよい。すなわち、テーブル本体11が基準位置に戻って印字の実行のトリガーがOFFとなった際に自動的にレーザーポインタ30が投光を開始してもよい。
【0067】
また入力部41への入力によって高さセンサ38からの投光を開始させたり停止させたりしてもよい。またレーザーポインタ30からの投光が開始された時点で高さセンサ38からの投光を停止させてもよく、この場合、レーザーポインタ30からの光と、高さセンサ38からの光とを作業者が混同してしまうことを回避できる。また、レーザーポインタ30からの光と高さセンサ38からの光との混同を回避するため、レーザーポインタ30からの光を点滅させてもよい。
【0068】
また、テーブル本体11を退避位置から基準位置へ移動させた際に自動で印字の実行のトリガーがONとならず、退避位置でもう一度「情報送信」ボタンを押すことによってプリンタ4が動作可能となるようにしてもよい。
【0069】
また、表示画面部45の設定画面では、入力部41による入力によって印字方向や印字行数を選択可能となっていてもよい。
【0070】
(第一変形例)
上記数式(2)に代えて以下の数式(4)を用いてレーザーポインタ30の点灯個数Nを算出してもよい。
N=ROUNDUP(Na,0)・・・(4)
ROUNDUP(Na,0)はNaの小数点以下の数値を切り上げることを意味する。
この場合、図11に示すように例えば印字予定範囲B(ポインタ換算文字長さNa)が6.4個分である場合でもレーザーポインタ30の点灯個数Nは7個となる。ポインタ換算文字長さNaが6.4個分である場合に仮に上記数式(2)を用いてレーザーポインタに30の点灯個数Nを算出すると、点灯個数Nは6個になってしまい、印字終端Bbが表示終端Abよりも退避側X1に配置されてしまい、実際に印字を行った際に印字の終了点が遺物100からはみ出してしまう可能性がある。しかし、上記数式(4)によって点灯個数Nを算出すれば、文字列のすべての文字を確実に遺物100に印字することができ、印字の際に文字列の一部が遺物100からはみ出してしまうような失敗がなくなる。
本実施形態ではレーザーポインタ30の点灯個数Nの算出に数式(2)と数式(4)とのうちのいずれを使用するのかを、例えば表示画面部45の不図示の設定画面で、入力部41の入力によって切替え可能となっていてもよい。
また、レーザーポインタ30による照射領域の半径M〔mm〕があらかじめわかっている場合には、数式(2)、(4)ではなく照射領域の半径M〔mm〕をレーザーポインタ30の数Mp(個分)で換算しておき、Naの小数点以下の数値がMpを超える場合は小数点以下の数値を切り上げ、Mp以下となる場合には小数点以下の数値を切り捨てるようにしてもよい。
【0071】
(第二変形例)
また図12(a)に示すように、範囲表示部3は始点ポインタ照射領域A1(表示始端Aa)および終点ポインタ照射領域A3(表示終端Ab)のみを表示してもよい。すなわち中間点ポインタ33からの投光は行わなくともよい。範囲表示部3が表示始端Aaおよび表示終端Abのみを表示するか、表示始端Aaおよび表示終端Abに加えて中間点ポインタ照射領域A3を照射するかは、表示画面部45の不図示の設定画面にて設定可能となっていてもよい。
【0072】
(第三変形例)
また図12(b)に示すように、範囲表示部3では複数行の文字列に対応してレーザーポインタ30が設けられていてもよい。例えば複数行の文字列に対応してレーザーポインタ30も奥行方向Dyに間隔をあけて複数行に設ける。そして一行目のレーザーポインタ30としては始点ポインタ31、終点ポインタ32、および中間点ポインタ33を設けるが、一方で二行目以降のレーザーポインタ30としては始点ポインタ31のみを設け始点ポインタ照射領域A1のみを照射する。また一行目のレーザーポインタ30は、入力部41で入力した一行目から最終行目までの文字列のうち、最も長い文字列の印字予定範囲Bを表示する。最も長い文字列の印字予定範囲Bを表示するレーザーポインタ30は、必ずしも一行目のレーザーポインタ30でなくともよい。すなわち、少なくとも一つの行のレーザーポインタ30が最も長い文字列の印字予定範囲Bを表示すればよい。いずれの行のレーザーポインタ30が、複数行に入力された文字列のうちの最も長い文字列の印字予定範囲Bを表示するようにするかは、表示画面部45の不図示の設定画面で設定可能となっていてもよい。
【0073】
(第四変形例)
図12(c)に示すように、複数行の文字列に対応してレーザーポインタ30が設けられている場合には、例えばすべての行において、始点ポインタ31および終点ポインタ32だけでなく、中間点ポインタ33も設けてもよい。これによって作業者が印字予定範囲Bのイメージを掴み易くなり、作業者が正確に印字予定範囲Bを把握し、印字作業をスムーズにすることができる。
【0074】
(第五変形例)
図13(a)に示すように、レーザーポインタ30は円形状の範囲を照射するものではなく、奥行方向Dyに延びるスリット光を投光して、棒状の範囲を照射するものであってもよい。本変形例では始点ポインタ31および終点ポインタ32に加え、中間点ポインタ33も投光を行うようになっている。
【0075】
(第六変形例)
図13(b)に示すように、レーザーポインタ30は上記第五変形例と同様に棒状の範囲を照射するものであって、始点ポインタ31および終点ポインタ32のみが投光を行い、中間点ポインタ33は投光を行わないようにしてもよい。
【0076】
(第七変形例)
図14(a)に示すように、範囲表示部3はレーザーポインタ30に替えてプロジェクタ30Aを有していてもよい。プロジェクタ30Aは、表示始端Aaから表示終端Abまでの一方向Dxに連続した画像を遺物100の表面に投影することで遺物100の表面に印字予定範囲Bを表示する。本変形例では印字予定範囲Bを枠線で示している。
【0077】
(第八変形例)
図14(b)に示すように、プロジェクタ30Aは印字予定範囲Bを枠線ではなく棒線で示してもよい。
【0078】
[第二実施形態]
次に図15(a)および図15(b)を参照して本発明の第二実施形態に係るマーキング装置51について説明する。マーキング装置51における範囲表示部53は、筐体35の下端部に設けられたフィルタ60をさらに有していてもよい。フィルタ60としては例えばNDフィルタ(Neutral Density Filter)が用いられる。筐体35の下面に第一端板65が固定され、第一端板65の下面に対向するように第二端板66が設けられている。第一端板65には上下方向Dzに第一端板65を貫通する貫通孔65aが設けられている。また第二端板66には上下方向Dzに第二端板66を貫通する貫通孔66aが設けられている。レーザーポインタ30から投光されたレーザー光はこれらの貫通孔65a、66aを通過可能となっている。第一端板65と第二端板66との間にはスペーサ61が設けられていることで第一端板65と第二端板66との間には隙間が形成されている。フィルタ60は第一端板65と第二端板66との間の隙間に抜き差し可能に設けられている。
【0079】
フィルタ60はレーザーポインタ30から投光されるレーザー光の光量を低減する。フィルタ60を交換することで、レーザーポインタ30から投光されるレーザー光の減光量を調整可能となっている。
【0080】
例えば、フィルタ60は手動で交換してもよいし、図16に示すように減光量の異なるフィルタ60を複数配置する収容棚70を設け、例えば制御部5でフィルタ60の自動交換を行ってもよい。
【0081】
以上説明した本実施形態に係るマーキング装置51によれば、遺物100の形状や大きさの差異によらず、効率的に遺物100への印字が可能であるとともに、レーザーポインタ30から投光されるレーザー光の強度を変更できる。このため作業者の好みに合わせて表示始端Aaおよび表示終端Abの明るさを調整できる。
【0082】
本実施形態においても範囲表示部53がレーザーポインタ30ではなく図14(a)および図14(b)に示すようなプロジェクタ30Aを有していてもよい。
【0083】
以上、本発明の実施形態および各変形例について図面を参照して詳述したが、上記実施形態および変形例における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0084】
例えば制御部5によってレーザーポインタ30から投光される光の強度を電気的に変更してもよい。これにより、容易にレーザーポインタ30から投光されるレーザー光の強度を変更できる。このため作業者の好みに合わせて表示始端Aaおよび表示終端Abの明るさを調整できる。
【0085】
テーブル本体11は、手動ではなく自動で一方向Dxに移動させてもよい。また、上記実施形態および変形例では範囲表示部3およびプリンタ4の位置は固定で、テーブル本体11を一方向Dxに移動させることで遺物100に印字を行っているが、これとは逆に、テーブル本体11の位置を固定し、範囲表示部3およびプリンタ4を一方向Dxに移動させて印字を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の遺物のマーキング装置、および遺物のマーキング方法によれば、遺物の形状や大きさの差異によらず、効率的に遺物への印字が可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1、51 マーキング装置
2 テーブル
3、53 範囲表示部
4 プリンタ
5 制御部
6 情報処理部
30 レーザーポインタ
30A プロジェクタ
31 始点ポインタ
32 終点ポインタ
33 中間点ポインタ
40 記憶部
41 入力部
42 算出部
43 範囲決定部
44 表示位置決定部
45 表示画面部
46 切替部
47 ドット間隔変更部
48 信号送信部
60 フィルタ
A1 始点ポインタ照射領域
A2 終点ポインタ照射領域
A3 中間点ポインタ照射領域
Aa 表示始端
Ab 表示終端
Ba 印字始端
Bb 印字終端
B 印字予定範囲
Dx 一方向
Dy 奥行方向
Dz 上下方向
図1
図2
図3
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図15
図16