(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】表示板配列構造体
(51)【国際特許分類】
G09B 1/10 20060101AFI20240201BHJP
G09B 19/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G09B1/10
G09B19/02 F
(21)【出願番号】P 2021156752
(22)【出願日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-02
(73)【特許権者】
【識別番号】595057465
【氏名又は名称】大日工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高野 宏治
【審査官】岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】実開昭51-139074(JP,U)
【文献】実開昭56-164267(JP,U)
【文献】特開2018-089523(JP,A)
【文献】実開昭59-041375(JP,U)
【文献】実開昭63-120276(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B 1/00-9/56
G09B 17/00-19/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の数字
または記号が表裏
のそれぞれに、または表裏のいずれか一方に数字、他方に記号が付された複数の表示板を、縦方向
および横方向に設けられた複数の凹部にランダムに落とし込み、該凹部に落とし込まれた表示板に付された数字
または記号を利用して暗算またはゲームを行うことにより暗算学習能力向上
および認知機能の改善を図る表示板配列構造体であって、
前記表示板を面一状態で落とし込む凹部が形成されたケース本体と、該ケース本体の縁部にヒンジを介して揺動可能に保持され、該ヒンジを起点とする揺動にて該ケース本体の開閉を行う蓋体とを備え、
前記ケース本体に、該ケース本体の閉状態で該蓋体との相互間に前記表示板を位置させ、該ケース本体の振り込み動作を誘導することにより該表示板をかき混ぜて前記凹部にランダムに落とし込む隙間を設け、該隙間に、該凹部に落とし込まれた表示板の該凹部からの抜け出しを防止するスペース板を着脱自在に配設してなることを特徴とする表示板配列構造体。
【請求項2】
前記ケース本体
および前記蓋体
の少なくとも一方と、前記スペース板
とが、前記表示板に付された数字
または記号の目視が可能な透明または半透明部材からなることを特徴とする請求項1に記載した表示板配列構造体。
【請求項3】
前記スペース板は、前記蓋体または前記ケース本体にヒンジを介して揺動可能に保持されたものであることを特徴とする請求項1または2に記載した表示板配列構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、暗算学習能力の向上、認知機能の維持、改善を図るのに有用な表示板配列構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電卓等の計算機器の普及により、便利な時代になってはいるものの、小中学生はもとより高校生、大学生、成人(高齢者を含む)においても加減乗除の四則計算を暗算で行うのを苦手とする人が増加する傾向にあり、電卓等の計算機器の普及は暗算能力、認知機能を阻害する原因になっている。
【0003】
この点に関する先行技術として、例えば、特許文献1には、暗算ゲームを楽しみながら暗算学習できるように構成された暗算学習兼ゲーム用具が提案されている。
【0004】
ところで、かかる暗算学習兼ゲーム用具は、数字や加減乗除の算式符号が表記された牌の並び変えが面倒であり、使い勝手がよいとはいえないものであり、しかも、構造が複雑で製造コストの上昇が避けられない不利があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、構造が簡素化され、数字や記号が付された表示板の入れ替えを簡便に行い得る表示板配列構造体を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、任意の数字または記号が表裏のそれぞれに、または表裏のいずれか一方に数字、他方に記号が付された複数の表示板を、縦方向および横方向に設けられた複数の凹部にランダムに落とし込み、該凹部に落とし込まれた表示板に付された数字または記号を利用して暗算またはゲームを行うことにより学習能力の向上および認知機能の維持、改善を図る表示板配列構造体であって、
前記表示板を面一状態で落とし込む凹部が形成されたケース本体と、該ケース本体の縁部にヒンジを介して揺動可能に保持され、該ヒンジを起点とする揺動にて該ケース本体の開閉を行う蓋体とを備え、
前記ケース本体に、該ケース本体の閉状態で該蓋体との相互間に前記表示板を位置させ、該ケース本体の振り込み動作を誘導することにより該表示板をかき混ぜて前記凹部にランダムに落とし込む隙間を設け、該隙間に、該凹部に落とし込まれた表示板の該凹部からの抜け出しを防止するスペース板を着脱自在に配設してなることを特徴とする表示板配列構造体である。
【0008】
上記の構成からなる表示板配列構造体において、前記ケース本体および前記蓋体の少なくとも一方と、前記スペース板とが、前記表示板に付された数字または記号の目視が可能な透明または半透明部材からなること、また、前記スペース板は、前記蓋体または前記ケース本体にヒンジを介して揺動可能に保持されたものであること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケース本体の裏側あるいは蓋体を通して目視される表示板の数値をもとに、例えば、縦方向あるいは横方向で加減乗除のいずれか1つを選択して暗算することにより手軽に暗算学習をすることが可能であり、これを日々繰り返すことにより暗算能力の向上あるいは認知機能の維持、改善を図ることができる。
【0010】
また、本発明によれば、スペース板を取り外し、ケース本体の振り込み動作(ケース本体を閉じた状態で揺すること)を誘導することによりケース本体と蓋体との相互間に形成される隙間内で表示板をかき混ぜ、そのまま、凹部にランダムに落とし込むことにより表示板を簡単に並び替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明にしたがう表示板配列構造体を、その上面を上にして示した外観斜視図である。
【
図2】本発明にしたがう表示板配列構造体を、その底面を上にして示した外観斜視図である。
【
図3】ケース保体を開放するとともに凹部から表示板を取り出した状態で示した本発明にしたがう表示板配列構造体の外観斜視図である。
【
図4】本発明にしたがう表示板配列構造体の平面を示した図である。
【
図5】本発明にしたがう表示板配列構造体の底面を示した図である。
【
図9】本発明にしたがう表示板配列構造体の他の実施の形態を示した外観斜視図である。
【
図10】
図9に示した表示板配列構造体の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の表示板配列構造体を、暗算学習具として使用する場合につき、図面を参照してより具体的に説明する。
【0013】
図1は、本発明にしたがう表示板配列構造体を、その上面を上にして示した外観斜視図であり、
図2は、本発明にしたがう表示板配列構造体を、その底面を上にして示した外観斜視図である。また、
図3は、ケース本体を開放するとともに凹部から表示板を取り出した状態で示した本発明にしたがう表示板配列構造体の外観斜視図であり、
図4は、本発明にしたがう表示板配列構造体の平面を示した図であり、
図5は、本発明にしたがう表示板配列構造体の底面を示した図であり、さらに、
図6は、
図5のA-A断面を示した図である。
【0014】
図1~6における符号1は、任意の数字が表面、裏面において付された円形状をなす表示板、符号2は、ケース本体である。ケース本体2は、矩形状をなす底板2aと、該底板2aを取り囲む周壁2bから構成されており、底板2aの上面には、表示板1を面一状態で落とし込む円形状の凹部2cが縦方向、横方向に沿い等間隔に複数形成されたものとなっている。なお、ケース本体2の内側四隅には、アールrを設けておくことができ、このアールrにより表示板1をかき混ぜる際、該表示板1の凹部2cへの落とし込みを容易にすることができる。また、符号3は、ケース本体2の縁部にヒンジhを介して揺動可能に保持され、ヒンジhを起点とする揺動にてケース本体2の開閉を行う蓋体である。蓋体3は、ケース本体2の底壁2aに対面する本体部分3aと、該本体部分3aの縁部に一体連結してケース本体2の周壁2bに合わさる周壁3bと、該周壁3bに設けられ、ケース本体2の縁部に着脱自在に連係して該ケース本体2を閉状態に維持するフック3cから構成されている。ヒンジhは、ケース本体2および蓋体3に一体形成されたものでもよいし、ケース本体2または蓋体3に設けられた枢軸を、蓋体3またはケース本体2に設けられた開口に挿入して蓋体3をケース本体2に対して揺動可能に支持するものであってもよく、この点については限定されない。
【0015】
本発明にしたがう表示板配列構造体において、ケース本体2および蓋体3の少なくとも一方は、ケース本体2を閉じた状態で表示板1に付された数字が目視できるように、透明または半透明からなる合成樹脂製部材にて構成することができる。
【0016】
また、
図1~6における符号4は、ケース本体2の閉状態で蓋体3との相互間に表示板1を位置させ、ケース本体2の振り込み動作を誘導することにより表示板1をかき混ぜて凹部2cにランダムに落とし込む隙間(
図8参照)、符号5は、透明または半透明の合成樹脂製部材からなり、ケース本体2の縁部にヒンジh1を介して揺動可能に保持されさたスペース板である。スペース板5は、隙間4に配設される形状、サイズを有するものであって、凹部2cに落とし込まれた表示板1の凹部2cからの抜け出しを防止する機能を有している(
図6参照)。
【0017】
スペース板5は、ここでは、ケース本体2にヒンジh1を介して設けたものを例として示したが、蓋体3に設けることも可能であり、ケース本体2あるいは蓋体3から切り離された別部材とすることもできる。
【0018】
本発明にしたがう表示板配列構造体を暗算学習具として用いるには、蓋体3を上面にするか、ケース本体2の底面を上面とする。そしてその面において目視される表示板1の数字を横方向あるいは縦方向に沿い一行、一列ずつ順に加減乗除のいずれか1つを選択して暗算すればよい。
【0019】
暗算学習を行う場合において、加減乗除の記号、暗算結果は表示板配列構造体そのものには表示されることはないが、加減乗除の何れを行うか、その暗算結果がどのような値になるかは、暗算する本人の頭の中で認識する。とくに、暗算結果については、同じ行あるいは列において少なくとも2回の暗算を行い、同じ値になることで正解とする。
【0020】
暗算すべき数字の入れ替えを行うために表示板1の配列を変更するには、
図7に示すように、スペース板5を引き起こしのち、蓋体3を被せてケース本体2を閉状態にし、
図8に示すように、ケース本体2の複数回にわたる振り込み動作により隙間4の中で表示板1をかき混ぜ、かき混ぜにかかわる表示板1を適宜凹部2cにランダムに落とし込めばよく、これにより表示板1の配列を簡単に変更することができる。
【0021】
なお、凹部2cに落とし込まれた表示板1の数字の向きはランダムになるが、数字の向きがランダムになっていてもその数字が何であるかを認識するための訓練にもなるという効果が得られるため、とくに、認知機能の改善を図るのに役立つ。また、本発明にしたがう表示板配列構造体において形成される隙間4は、表示板1の厚さよりも若干大きな寸法に設定されるものであって、これによれば、隙間4の中で表示板1をかき混ぜる際に、表示板1の表面と裏面が逆転することがなく、例えば、表示板1の表面に数字を表示し、裏面に記号を表示する場合に数字と記号が混在するのを避けることができる。
【0022】
本発明にしたがう表示板配列構造体は、表示板1の並び替えが簡単であるだけでなく、ケース本体2、蓋体3、スペース板5を射出成形法等を適用して一体物として成形することができ、部品点数が少なくてすみ構造の簡素化が可能であり、製造コストの軽減をも図り得る。
【0023】
図9は、本発明にしたがう表示板配列構造体の他の例を模式的に示した図であり、
図10は、
図9の分解状態を示した図である。本発明の表示板配列構造体は、ケース本体2を、合成樹脂や紙製の枠体6と、表示板1を落とし込む開口が形成された合成樹脂あるいは紙製の中皿7と該中皿7の裏面および枠体6の裏面に貼着する透明または半透明の合成樹脂製の薄肉フィルム8とで構成し、蓋体3、スペース板5を、合成樹脂や紙製の枠体9と、透明または半透明の合成樹脂製の薄肉フィルム10とで構成することもできる。なお、枠体6と蓋体3を構成する枠体9は、ヒンジhを介して一体連結したものを用いてもよいし、別体物としてもよい。
【0024】
本発明の実施の形態では、表示板1に数字を付して暗算学習具する場合を例にして説明したが、認知機能の改善を図るため、例えば、表示板1に記号や絵文字等を付して同一の記号や絵文字等がどこにあるかを認識させるゲームとしての使い方をすることもでき、暗算学習具に限定されることない。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、構造が簡素化され、表示板の入れ替えを簡単に行い得る表示板配列構造体を提供することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 表示板
2 ケース保体
2a 底板
2b 周壁
2c 凹部
3 蓋体
3a 本体部分
3b 周壁
3c フック
4 隙間
5 スペース板
h ヒンジ
h1 ヒンジ