(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】抗シワ組成物、抗シワマイクロニードルパッチおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/728 20060101AFI20240201BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20240201BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240201BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240201BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240201BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240201BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240201BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240201BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240201BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240201BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240201BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20240201BHJP
A61M 37/00 20060101ALI20240201BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240201BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240201BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61K31/728
A61K8/02
A61K8/73
A61K9/70
A61K47/02
A61K47/10
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/18
A61K47/22
A61K47/36
A61K47/46
A61M37/00 505
A61M37/00 530
A61P17/00
A61Q19/00
A61Q19/08
(21)【出願番号】P 2022108482
(22)【出願日】2022-07-05
【審査請求日】2022-07-05
(32)【優先日】2022-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】519452046
【氏名又は名称】怡定興科技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】劉 大佼
(72)【発明者】
【氏名】葉 修鋒
(72)【発明者】
【氏名】徐 英華
【審査官】松元 麻紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-080243(JP,A)
【文献】特表2020-535129(JP,A)
【文献】Intense Hyaluronic Filler Ampoule, MINTEL GNPD [ONLINE], 2021.03,[検索日 2023.08.23],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.8561799)
【文献】Vitamin ACE Brightening Serum, MINTEL GNPD [ONLINE], 2021.09,[検索日 2023.08.23],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.8992934)
【文献】Serum, MINTEL GNPD [ONLINE], 2021.10,[検索日 2023.08.23],インターネット:<URL:https://www.gnpd.com/sinatra>(Database accession no.9063620)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/728
A61K 8/02
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A61K 47/22
A61K 47/36
A61K 47/46
A61M 37/00
A61P 17/00
A61Q 19/00
A61Q 19/08
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS/KOSMET(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースおよび複数のニードルを含み、前記ベースが上側の表面を有し、前記複数のニードルが前記上側の表面に形成され、各ニードルの材料が抗シワ組成物を含み、
前記抗シワ組成物が、低分子ヒアルロン酸、修飾ヒアルロン酸および架橋ヒアルロン酸を含む抗シワ組成物であって、修飾ヒアルロン酸の低分子ヒアルロン酸に対する重量比が0.1以上、4以下であり、修飾ヒアルロン酸の架橋ヒアルロン酸に対する重量比が30未満である、抗シワ組成物
であり、
前記低分子ヒアルロン酸の平均分子量が1kDa以上、10kDa未満であり、
前記修飾ヒアルロン酸がヒスチジン修飾ヒアルロン酸である、
抗シワマイクロニードルパッチ。
【請求項2】
前記抗シワ組成物が、p-ヒドロキシアセトフェノン、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、サリチル酸、安息香酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、デヒドロ酢酸、クロルフェネシン、ベヘントリモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸ブチル、ジメチルオキサゾリジン、ブロモクロロフェン、ジクロロベンジルアルコール、エチルラウロイルアルギン酸塩酸塩、7-エチルビシクロオキサゾリジン、ギ酸、グルタラール、ヘキサミジン、亜硫酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、メチルイソチアゾリノン、ブチルパラベン、メチルパラベン、フェノキシイソプロパノール、酢酸フェニル水銀、トリクロカルバン、ウンデシレン酸、亜鉛ピリチオン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、ベンジルヘミホルマール、1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン、ジアゾリジニルウレア、イミダゾリジニルウレア、メテナミン、クオタニウム-15、ヒドロキシメチルグリシンナトリウム、リューコノストック属/ダイコン根発酵ろ液、ラクトバチルス属発酵液、アメリカヤマナラシ樹皮抽出物、クロフサスグリ抽出物またはこれらの任意の組合せをさらに含む、請求項1に記載の
抗シワマイクロニードルパッチ。
【請求項3】
請求項
1に記載の抗シワマイクロニードルパッチの製造方法であって、以下のステップ:
ステップ(a):基準面および複数の穴を有するマスター型を準備するステップであって、前記複数の穴が前記基準面からの溝加工により形成されるステップ、
ステップ(b):前記複数の穴にニードル溶液を充填して、前記ニードル溶液の表面を基準面のレベルにそろえるステップであって、前記ニードル溶液が低分子ヒアルロン酸、修飾ヒアルロン酸および架橋ヒアルロン酸を含み、前記修飾ヒアルロン酸の前記低分子ヒアルロン酸に対する重量比が0.1以上、4以下であり、前記修飾ヒアルロン酸の前記架橋ヒアルロン酸に対する重量比が30未満であ
り、前記低分子ヒアルロン酸の平均分子量が1kDa以上、10kDa未満であり、前記修飾ヒアルロン酸がヒスチジン修飾ヒアルロン酸である、ステップ、
ステップ(c):ニードル溶液を乾燥させて、複数のニードルを形成するステップであって、各ニードルの表面が前記基準面より低いステップ、
ステップ(d):前記複数の穴にベース溶液を充填するステップであって、前記ベース溶液が前記ニードルおよび前記基準面の表面を覆うステップ、
ステップ(e):前記ベース溶液を乾燥させて、前記ベースが前記複数のニードルと接着するようにベースを形成するステップ、ならびに
ステップ(f):互いに接着した前記ニードルおよび前記ベースを前記マスター型から離型して、前記抗シワマイクロニードルパッチを得るステップ、
を含む、方法。
【請求項4】
1000gの前記ニードル溶液中の前記低分子ヒアルロン酸の重量、前記修飾ヒアルロン酸の重量、および前記架橋ヒアルロン酸の重量の合計が20g以上、70g以下である、請求項
3に記載の製造方法。
【請求項5】
ニードル溶液の粘度が2cP以上、50cP以下である、請求項
3に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は組成物、マイクロニードルパッチおよびその製造方法、より具体的には抗シワ組成物、抗シワマイクロニードルパッチ、およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
2.従来技術の説明
最近では、経皮薬物送達は、薬物またはワクチンなどの活性成分の効果を発揮する薬物投与の、皮膚吸収による高プロファイル、非侵襲的方式となっている。経皮薬物送達は、消化器系により引き起こされる薬物分解および経口投与の結果として生じる主要な肝臓代謝を回避することができ、また皮下注射から生じる不安および疼痛を排除することができるが、従来の経皮薬物送達は、皮膚角質層の疎水性および負に帯電した特性により、水溶性薬物または水溶性ワクチンに適したものではない。
【0003】
上述の弱点に対して、従来の技術は複数のミクロンサイズのマイクロニードル構造をその基材上に有するマイクロニードルパッチを開発した。これらマイクロニードル構造は、皮膚の角質層を貫通し、薬物またはワクチンを表皮に送達および放出することができる。マイクロニードルパッチを用いた薬物投与は、経口投与または皮下注射により引き起こされる多くの問題を解決するばかりでなく、前述の異なる種類の薬物またはワクチンがいかなる疼痛を引き起こすことなく、マイクロニードルパッチのマイクロニードル構造により表皮または真皮へと直接送達および放出され得るように、送達される薬物またはワクチンの種類を脂溶性および水溶性へとさらに拡大させることもできる。
【0004】
マイクロニードルパッチの利点に基づき、医薬品およびワクチン分野に加えて、マイクロニードルパッチはまた美容医療関連分野、例えば、スキンケア美容にも徐々に適用されている。
【0005】
ヒアルロン酸(HA)は極めて親水性および保水性があり、ヒトの身体の軟骨組織、体液または表皮組織に広く存在して、弾性および潤滑性を提供する。したがって、HAはスキンケア美容製品として公知であり、皮膚の保湿およびしわの減少などの効果を有する。現在では、HA含有スキンケア美容製品の大部分は、皮膚への直接的塗布、経口ドリンク剤および錠剤、または皮下注射によりHAを補充するという目的をさらに達成している。しかし、上述されているように、皮膚への直接塗布も経口投与も、良好な吸収効果を有することができず、皮下注射は、例えば、疼痛を引き起こすこと、および操作が困難であること、という制限を有する。加えて、HAは投与のためにマイクロニードルパッチにすることができるが、そのニードルの強度は普通、HAの特性により不十分であるため、皮膚を穿刺する場合、ニードルは簡単に曲がり、破壊され、表皮または真皮にHAを実際に送達および放出することができない。
【0006】
前述の問題のため、CN107207784Aは、ニードルの主要材料として架橋したHAを採用して、構造的強度を増強し、これによって、皮膚を穿刺する際にニードルの曲がりを減少させるHA含有マイクロニードルパッチを開示している。しかし、マイクロニードルパッチが皮膚を穿刺した後、放出HAの溶解速度は皮膚美容効果、例えば、皮膚の保湿およびしわの減少などと密接に関連しており、CN107207784Aで開示されたHA含有マイクロニードルパッチは放出HAの溶解速度が高くない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【0008】
したがって、皮膚美容効果、例えば、皮膚の保湿およびしわの減少などが加速され得るように、ニードルが皮膚を穿刺するように良好な構造的強度を有し、同時に放出HAの溶解速度が高いHA含有マイクロニードルパッチの開発および研究に対するさらなる必要性が存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の技術の上述された弱点に基づき、本発明の目的は抗シワ組成物を提供することにあり、抗シワ組成物は、抗シワマイクロニードルパッチをさらに生産するためのニードルの材料であることができ、そのニードルは、皮膚を穿刺することが可能な機械的強度を有し、同時に放出HAの溶解速度が高く、よって皮膚の保湿、皮膚の厚さおよび強度の増加、しわ伸ばしおよびしわの減少などの効果を発揮する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述された目的を達成するため、本発明は、抗シワ組成物であって、低分子HA、修飾HAおよび架橋HAを含み、修飾HAの低分子HAに対する重量比が0.1以上、4以下であり、修飾HAの架橋HAに対する重量比が30未満である抗シワ組成物を提供する。
【0011】
特定の種類のHAを同時に取り入れ、互いに相対するこれらの含有量を制御することにより、本発明の抗シワ組成物は、マイクロニードルパッチのニードルの材料として使用され、この材料は皮膚の穿刺のために良好な機械的強度を有するニードルを生成し、またHAを急速に溶解し、放出して、皮膚の保湿ならびに皮膚の厚さおよび強度の増加などの効果を発揮し、しわ伸ばしおよびしわの減少という目的を達成する。
【0012】
好ましくは、低分子HAの平均分子量は1キロダルトン(kDa)以上、10kDa以下である。低分子HAが1重量パーセント(重量%)の含有量で水に溶解した後、pH値は5.0~7.0であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は2センチポアズ(cP)未満である。
【0013】
好ましくは、修飾HAは、HAがヒスチジンで修飾されてもよいことを示唆している。具体的には、前記「ヒスチジンで修飾されたHA」とは、ヒスチジンがHAのヒドロキシル基に結合していることを示している。より具体的には、修飾HAは、ヒスチジンで修飾されたHA、HAおよびヒスチジンを含んでもよく、修飾後、前記HAおよび前記ヒスチジンは未反応の物質である。
【0014】
好ましくは、修飾HAが1重量%の含有量で水に溶解した後、pH値は5.0~7.0であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は2cP~9cPである。
【0015】
本発明に従い、架橋HAは、架橋反応のためにHAを架橋剤に供することにより製造される。具体的に、架橋剤は1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、ジビニルスルホン(DVS)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、1-エチル(ehtyl)-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)またはメタクリル酸グリシジル(glycidyl methacylate)(GMA)である。
【0016】
好ましくは、架橋HAが1重量%~5重量%の含有量で水に溶解した後、pH値は5.0~7.5であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は4000cP~8000cPである。
【0017】
好ましくは、抗シワ組成物は、防腐剤をさらに含むことができる。具体的に、防腐剤は、これらに限定されないが、p-ヒドロキシアセトフェノン、ペンチレングリコール、ヘキサンジオール、カプリリルグリコール、フェノキシエタノール、ベンジルアルコール、サリチル酸、安息香酸、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、プロピオン酸、デヒドロ酢酸、クロルフェネシン(chlorophenesin)、ベヘントリモニウムクロリド、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、安息香酸ブチル、ジメチルオキサゾリジン、ブロモクロロフェン、ジクロロベンジルアルコール、エチルラウロイルアルギン酸塩酸塩、7-エチルビシクロオキサゾリジン、ギ酸、グルタラール、ヘキサミジン、亜硫酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、メチルイソチアゾリノン、ブチルパラベン、メチルパラベン、フェノキシイソプロパノール、酢酸フェニル水銀、トリクロカルバン、ウンデシレン酸、亜鉛ピリチオン、5-ブロモ-5-ニトロ-1,3-ジオキサン、ベンジルヘミホルマール、1,3-ジメチロール-5,5-ジメチルヒダントイン(DMDMヒダントイン)、ジアゾリジニルウレア、イミダゾリジニルウレア、メテナミン、クオタニウム-15、ヒドロキシメチルグリシンナトリウム、リューコノストック属(Leuconostoc)/ダイコン根発酵ろ液、ラクトバチルス属(Lactobacillus)発酵液、アメリカヤマナラシ(Populus Tremuloides)樹皮抽出物、クロフサスグリ抽出物またはこれらの任意の組合せであってよい。より好ましくは、防腐剤はp-ヒドロキシアセトフェノン、ペンチレングリコール、ラクトバチルス属発酵液またはこれらの任意の組合せを含む。
【0018】
本発明の一部の実施形態では、抗シワ組成物は界面活性剤をさらに含み得る。具体的に、界面活性剤は、これらに限定されないが、ポリソルベート20(Tween-20)、アラキジルグルコシド、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、C12~20アルキルグルコシド、PEG-6カプリル酸/カプリン酸グリセリズ、カプリン酸ポリグリセリル-3、ステアリン酸ポリグリセリル-4、ジステアリン酸ポリグリセリル-10、ラウリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、ヤシ油脂肪酸PEG-7グリセリル、ポリエチレングリコール、オリーブ油脂肪酸ソルビタン、パルミチン酸ソルビタンまたはこれらの任意の組合せを含み得る。
【0019】
本発明の一部の実施形態では、抗シワ組成物は、p-ヒドロキシアセトフェノンおよびペンチレングリコールを含み、抗シワ組成物の総重量に対して、p-ヒドロキシアセトフェノンの含有量は0.05重量%以上、1重量%以下であり、ペンチレングリコールの含有量は0.05体積重量パーセント(v/w%)以上、1v/w%以下である。好ましくは、抗シワ組成物の総重量に対して、p-ヒドロキシアセトフェノンの含有量は、0.05重量%以上、0.5重量%以下であり、ペンチレングリコールの含有量は0.05v/w%以上、0.5v/w%以下である。
【0020】
本発明の一部の実施形態では、本発明の抗シワ組成物の効果に影響を与えることなく、抗シワ組成物は、これらに限定されないが、ホワイトニング成分、保湿成分、抗酸化剤、抗シワ成分またはこれらの任意の組合せをさらに含むことができる。例えば、ホワイトニング成分は、これらに限定されないが、コウジ酸、アルブチン、ナトリウムアスコルビルリン酸塩、リン酸マグネシウムアスコルビル、アスコルビルグリコシド、エラグ酸、カモミールET、トラネキサム酸セチルHCl、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、3-O-エチルアスコルビン酸またはノナペプチドであってよい。保湿成分は、これらに限定されないが、セラミド、レシチン、グリセロール、多糖、タンパク質、コラーゲン、エラスチン、ペプチド、アミノ酸、クエン酸塩、尿酸、ウレア、グルコース、スクロース、フルクトース、グリコーゲン、グルコサミン、ムコ多糖体、乳酸、リン酸塩またはエチル-dl-2-ピロリドン-5-カルボキシレートである。抗酸化剤は、これらに限定されないが、ブドウ抽出物、緑茶抽出物、イチョウ抽出物、ダイズ抽出物、ザクロ抽出物、ショウガ抽出物、酵母抽出物、コイックス抽出物、R-アルファ-リポ酸、グルカン、補酵素Q10、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、ビタミンCおよびその誘導体またはビタミンEおよびその誘導体であってよい。抗シワ成分は、これらに限定されないが、レチノールおよびその誘導体、銅ペプチド(GHK-Cu)、ペンタペプチドまたはヘキサペプチドであってよい。
【0021】
好ましくは、修飾HAの低分子HAに対する重量比は、0.1以上、3以下である。より好ましくは、修飾HAの低分子HAに対する重量比は0.1以上、2以下である。
【0022】
好ましくは、修飾HAの架橋HAに対する重量比は2以上、25以下である。より好ましくは、修飾HAの架橋HAに対する重量比は2以上、23以下である。
【0023】
加えて、上述された目的を達成するため、本発明は、ベースおよび複数のニードルを含む抗シワマイクロニードルパッチであって、ベースが上側の表面を有し、複数のニードルが上側の表面に形成され、各ニードルの材料が上述された抗シワ組成物を含む、抗シワマイクロニードルパッチをさらに提供する。
【0024】
抗シワマイクロニードルパッチのニードルの材料として特定の組成を有する抗シワ組成物を導入することによって、ニードルは皮膚を穿刺するための良好な機械的強度を有し、さらにHAは急速に溶解され、放出されて、皮膚の保湿ならびに皮膚の厚さおよび強度の増加などの効果を発揮し、しわ伸ばしおよびしわの減少という目的を達成することができる。
【0025】
本発明に従い、ベースの材料は溶解性または膨潤性のあるポリマー材料であってよい。具体的には、ポリマー材料は生体適合性材料または生分解性の材料であってよい。例えば、ベースの材料は、これらに限定されないが、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル(PVP/VA)またはこれらの組合せであってよい。
【0026】
本発明の一部の実施形態では、ベースの材料は、HPMC、PVP/VA、Tween-20、ラクトバチルス属発酵液、p-ヒドロキシアセトフェノンおよびペンチレングリコールを含有する防腐剤、ならびに有機シリコーン消泡剤を含む。
【0027】
本発明に従い、抗シワマイクロニードルパッチのニードルの機械的強度は、本発明の抗シワマイクロニードルパッチは破損せずに角質層を貫通することができるよう、0.058N/ニードルを超える。好ましくは、抗シワマイクロニードルパッチのニードルの機械的強度は0.08N/ニードルを超える。より好ましくは、抗シワマイクロニードルパッチのニードルの機械的強度は0.1N/ニードルを超える。
【0028】
本発明に従い、抗シワマイクロニードルパッチのニードルの水中での5分間の溶解速度は60%を超える。好ましくは、抗シワマイクロニードルパッチのニードルの水中での5分間の溶解速度は、65%以上、90%以下である。より好ましくは、抗シワマイクロニードルパッチのニードルの水中での5分間の溶解速度は75%以上、90%以下である。さらにより好ましくは、抗シワマイクロニードルパッチのニードルの水中での5分間の溶解速度は80%以上、90%以下である。
【0029】
本発明の一部の実施形態では、ニードルの厚さ、すなわち、ニードルのニードル長は、270マイクロメートル(μm)以上、330μm以下である。
【0030】
本発明の一部の実施形態では、ベースの厚さは40μm以上、90μm以下である。
【0031】
本発明に従い、各ニードルのニードル形状は、これらに限定されないが、円錐形、ピラミッド形状または尖塔形状であってよい。
【0032】
本発明に従い、ニードルの密度は1ニードル/cm2~1000ニードル/cm2の範囲、好ましくは、1ニードル/cm2~500ニードル/cm2の範囲であってよい。
【0033】
加えて、本発明は前述の抗シワマイクロニードルパッチの製造方法であって、以下のステップ:ステップ(a):基準面および複数の穴を有するマスター型を準備するステップであって、複数の穴が基準面からの溝加工により形成されるステップ、ステップ(b):複数の穴にニードル溶液を充填して、ニードル溶液の表面を基準面のレベルにそろえるステップであって、ニードル溶液が低分子HA、修飾HAおよび架橋HAを含み、修飾HAの低分子HAに対する重量比が0.1以上、4以下であり、修飾HAの架橋HAに対する重量比が30未満であるステップ、ステップ(c):ニードル溶液を乾燥させて、複数のニードルを形成するステップであって、各ニードルの表面が基準面より低いステップ、ステップ(d):複数の穴にベース溶液を充填するステップであって、ベース溶液がニードルおよび基準面の表面を覆うステップ、ステップ(e):ベース溶液を乾燥させて、ベースが複数のニードルと接着するようにベースを形成するステップ、ならびにステップ(f):互いに接着したニードルおよびベースをマスター型から離型して、抗シワマイクロニードルパッチを得るステップ、
を含む、方法。
【0034】
本発明の製造方法に従い、この方法により作製された抗シワマイクロニードルパッチは皮膚を穿刺することが可能な良好な機械的強度を有し、またHAを急速に溶解および放出させて、皮膚の保湿ならびに皮膚の厚さおよび強度の増加などの効果を発揮し、しわ伸ばしおよびしわの減少という目的を達成する。
【0035】
好ましくは、1000グラム(g)のニードル溶液中の低分子HAの重量、修飾HAの重量、および架橋HAの重量の合計は、20g以上、70g以下である。より好ましくは、1000gのニードル溶液中の低分子HAの重量、修飾HAの重量、および架橋HAの重量の合計は25g以上、60g以下である。
【0036】
好ましくは、ニードル溶液の粘度は、25℃で、剪断速度1秒-1で測定され、ニードル溶液の粘度は2cP以上、50cP以下である。より好ましくは、ニードル溶液の粘度は、25℃で、剪断速度1秒-1で測定され、ニードル溶液の粘度は3cP以上、30cP以下である。
【0037】
本発明の一部の実施形態では、ニードル溶液は、前述の抗シワ組成物および水を均一に混合することにより製造される。
【0038】
本発明の一部の実施形態では、ニードル溶液は、低分子HA、修飾HA、架橋HA水溶液および水を均一に混合することにより製造され、架橋HA水溶液の固形分は4.4重量%~4.6重量%であり、架橋HA水溶液の粘度は、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、4000cP以上、8000cP以下である。
【0039】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(b)は、ステップ(b1):ニードル溶液をマスター型上に形成し、基準面および複数の穴を覆うように、ニードル溶液を複数の穴へと流れるようにするステップ;およびステップ(b2):基準面の上のニードル溶液を除去して、ニードル溶液の表面を基準面のレベルにそろえるステップをさらに含むこともできる。
【0040】
好ましくは、ニードル溶液を複数の穴に充填する方式はステップ(b)で真空排気および遠心分離を含むことができる。本発明の一部の実施形態では、ニードル溶液およびマスター型は、排気のためにオーブン内に配置して、ニードル溶液が基準面および複数の穴を覆うようにすることができる。本発明の別の実施形態では、ニードル溶液およびマスター型は一緒に遠心分離して、ニードル溶液が基準面および複数の穴を覆うようにすることもできる。ここで、オーブンの圧力は-700mmHg~-760mmHgであってよく、遠心分離の回転速度は20xg~20000xg、好ましくは、20xg~12000xgであってよい。より好ましくは、ニードル溶液を複数の穴に充填する方式はステップ(b)の真空排気である。
【0041】
好ましくは、ベース溶液を複数の穴に充填する方式はステップ(d)で真空排気および遠心分離を含むことができる。本発明の一部の実施形態では、ベース溶液およびマスター型は、排気のためにオーブン内に配置して、ベース溶液が基準面および複数の穴を覆うようにすることができる。本発明の別の実施形態では、ベース溶液およびマスター型は一緒に遠心分離して、ベース溶液が基準面および複数の穴を覆うようにすることもできる。ここで、オーブンの圧力は-700mmHg~-760mmHgであってよく、遠心分離の回転速度は20xg~20000xg、好ましくは、20xg~12000xgであってよい。より好ましくは、ベース溶液を複数の穴に充填する方式はステップ(d)の真空排気である。
【0042】
本発明の一部の実施形態では、マスター型は硬質マスター型であってよく、硬質マスター型の材料は、これらに限定されないが、ガラス、石英、ケイ素ウエハー、金属、金属酸化物または金属合金であってよい。前記金属は、これらに限定されないが、アルミニウム、銅またはニッケルであってよい。本発明の別の実施形態では、マスター型は軟質マスター型であってよく、軟質マスター型の材料は、これらに限定されないが、ポリマー、金属ホイルまたはフレキシブルガラスである。前記ポリマーは、これらに限定されないが、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMS)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート(PC)またはポリエーテルスルホン(PES)であってよい。
【0043】
好ましくは、ステップ(b)およびステップ(d)において、ニードル溶液およびベース溶液はそれぞれ、これらに限定されないが、スリットまたはスロットダイコーティング、ブレードコーティング、スライドコーティング、ディップコーティング、インクジェットプリンティング、ノズルプリンティング、ディスペンサーまたはこれらの任意の組合せにより、マスター型上に形成することができる。ステップ(b)のニードル溶液およびステップ(d)のベース溶液は、同じ方式または異なる方式でマスター型上に形成することができる。好ましくは、本発明の製造方法において、ニードル溶液およびベース溶液は、スリットまたはスロットダイコーティングによりマスター型上に逐次的に形成することができる。より好ましくは、本発明の製造方法において、ニードル溶液およびベース溶液は、ディスペンサーによりマスター型上に逐次的に形成することができる。
【0044】
本発明の一部の実施形態では、スリットまたはスロットダイコーティングがステップ(b)においてニードル溶液のコーティングに採用された場合、コーティングギャップは1μm~5000μmであってよく、コーティングスピードは1メートル/分(m/min)~100m/minであってよい。このプロセスのパラメーターは、ニードル溶液の特性およびマイクロニードルパッチの仕様に応じて調節可能である。スリットまたはスロットダイコーティングがステップ(d)においてベース溶液のコーティングに採用された場合、コーティングギャップは1μm~3000μmであってよく、コーティングスピードは1m/min~100m/minであってよい。このプロセスのパラメーターは、ベース溶液の特性およびマイクロニードルパッチの仕様に応じて調節可能である。
【0045】
好ましくは、ステップ(b)では、コーティングギャップは100μm~5000μmであってよく、ステップ(d)ではコーティングスピードは1m/min~100m/minであってよく、コーティングギャップは100μm~3000μmであってよく、コーティングスピードは1m/min~100m/minであってよい。
【0046】
好ましくは、ステップ(c)は室温乾燥または加熱により達成することができる。より好ましくは、ステップ(c)は室温乾燥で達成され、乾燥温度は20℃~35℃であり、周辺相対湿度(RH)は10%~40%であり、時間は0.5時間(hr)~3hrである。
【0047】
好ましくは、ステップ(e)は室温乾燥または加熱で達成することができる。より好ましくは、ステップ(e)は室温乾燥で達成され、乾燥温度は20℃~35℃であり、周辺RHは50%~80%であり、時間は20hr~72hrである。
【0048】
本発明の一部の実施形態では、ステップ(e)は2ステップ乾燥で達成される。具体的には、第1の乾燥ステップでは、乾燥温度は20℃~35℃であり、周辺RHは30%~50%であり、時間は10hr~24hrであり、第2の乾燥ステップでは、乾燥温度は20℃~35℃であり、周辺RHは50%~80%であり、時間は10hr~72hrである。
【0049】
本発明に従い、マスター型の複数の穴の形状は、これらに限定されないが、円錐体、ピラミッド形状または尖塔形状であってよい。マスター型は基準面および複数の穴を有し、各穴は基準面から溝加工により形成される。各穴の深さは75μm~1500μm、好ましくは、150μm~1200μm;より好ましくは、175μm~1000μm;さらにより好ましくは、200μm~1000μm;さらにより好ましくは270μm~900μmの範囲である。各穴の最大幅は38μm~800μm;好ましくは、75μm~650μm;より好ましくは、85μm~550μmの範囲である。
【0050】
明細書では、前記「ヒアルロン酸」とは、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩またはその組合せを示し、前記「ヒアルロン酸塩」はヒアルロン酸ナトリウム、ヒアルロン酸カリウム、ヒアルロン酸マグネシウムまたはヒアルロン酸カルシウムを含み得る。
【0051】
明細書では、「下端点値から上端点値」で表される範囲は、特に特定されていない場合、この範囲が下端点値以上であり、上端点値以下であることを示す。例えば、「ニードルの密度は1ニードル/cm2~1000ニードル/cm2の範囲であってもよい」とは、ニードルの密度が「1ニードル/cm2以上、1000ニードル/cm2以下」であることを示す。
【0052】
本発明の他の目的、利点および新規の特徴は以下の詳細な説明からより明らかとなる。
【発明を実施するための形態】
【0053】
実施形態のいくつかの製造方法は、本発明の実施を例示するために以下に例示されている。当業者であれば、明細書に開示された含有量による、本発明の利点および効果を簡単に理解することができる。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、本発明を実施または適用するために様々な修正および変化形が可能である。
【0054】
試薬の説明
1.低分子HA:Kewpie corporationから購入;平均分子量は約2kDaである。1重量%で水に溶解後、pH値は5.0~7.0であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は2cP未満である。
2.ヒスチジン-修飾HA:Industrial Technology Research Instituteから購入;1重量%で水に溶解後、pH値は5.0~7.0であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は約4cP~5cPである。
3.架橋HA水溶液1:Industrial Technology Research Instituteから購入;BDDEは架橋剤として使用される。固形分は約4.5重量%であり、pH値は5.0~7.5であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は約5000cP~8000cPである。
4.架橋HA水溶液2:Bloomage Biotechnology Corporation Limited.から購入;BDDEは架橋剤として使用される。固形分は約5重量%であり、pH値は5.0~7.5であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は250000cP以上である。
5.ヒアルロン酸:Kewpie corporationから購入;平均分子量は10kDaである。0.1重量%で水に溶解後、pH値は2.0~4.0であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は1.5cP未満である。
6.カルボキシメチルセルロース(CMC):Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.から購入;平均分子量は約90kDaである、4重量%で水に溶解後、pH値は6.5~8.5であり、25℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は50cP以上200cP以下である。
7.p-ヒドロキシアセトフェノン:Symrise corporationから購入。
8.ペンチレングリコール:ACTIVON Corporationから購入。
9.ポリソルベート20(Tween-20):CRODA Corporationから購入。
10.第1のHPMC:Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.から購入;製品名称:60SH-4000;2重量%で水に溶解後、20℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は約3000cP~5000cPである。
11.第2のHPMC:Shin-Etsu Chemical Co.,Ltd.から購入;製品名称:PHARMACOAT645;2重量%で水に溶解後、20℃で、剪断速度1秒-1で測定した場合、粘度は約3.6cP~5.1cPである。
12.ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル(PVP/VA):BASF Corporationから購入。
13.ラクトバチルス属発酵液:ACTIVE MICRO Corporationから購入;製品名称:Leucidal(登録商標)SF MAX。
14.有機シリコーン消泡剤:Dow Corning Corporationから購入;製品名称:DOWSIL(商標)62 Additive。
【実施例】
【0055】
実施例1~8:抗シワマイクロニードルパッチ
最初に、基準面および複数の穴を有するマスター型を採用した。複数の穴を基準面からの溝加工により形成し、マスター型上に整列配置した。マスター型の材料はポリジメチルシロキサン(PDMS)であり、複数の穴の密度は75.08穴/cm2であり、複数の穴は辺長1cmの正方配列で配置し、各穴はピラミッド形状であった。各穴の深さ、すなわち各穴の先端と基準面との間の垂直距離は約270μm~330μmであり、各穴の最大幅、すなわち基準面に整列した各穴の断面の最大内径は約130μm~170μmであった。
【0056】
次に、以下の表1に列挙された組成に従い、適切な量の低分子HA、ヒスチジン-修飾HA、架橋HA水溶液1、p-ヒドロキシアセトフェノンおよびペンチレングリコールを水に加え、均一に混合して、ニードル溶液を得た。その後、ディスペンサーにより、約5g~7gのニードル溶液をマスター型に滴下し、その複数の穴を覆った。次いで、ニードル溶液を有するマスター型を排気のために真空オーブン内に配置して、圧力を-700mmHg~-760mmHgに減少させて、ニードル溶液が基準面から複数の穴へと下向きに流れ、基準面およびすべての穴を覆うようにした。次に、基準面の上のニードル溶液を完全に除去して、ニードル溶液の表面を基準面のレベルにそろえ、ニードル溶液を有するマスター型を30℃およびRH10%~30%の環境に1hr配置して、ニードル溶液を乾燥させて複数のニードルを作った。ニードルの表面はすべて基準面より低く、複数のニードルを有するマスター型を得た。実施例1~8のニードル溶液の粘度を粘度計(モデル:MCR302;Anton Paarから購入)により、25℃で、剪断速度1秒-1で測定し、結果を以下の表1に列挙した。加えて、実施例1~8の総重量1000gのニードル溶液に対する、低分子HAの重量、ヒスチジン修飾HAの重量および架橋HAの重量の合計(「ニードル溶液中の3種HAの総量」と略記)もまた以下の表1に列挙し、単位はg/kgであった。前記架橋HAの重量は固体の重量を示し、これは架橋HA水溶液1の重量にその固形分(4.5重量%)を乗じることによって算出することができた。例えば、実施例1では、ニードル溶液は6.72重量%の架橋HA水溶液1を含有し、これは、1000gのニードル溶液が67.2gの架橋HA水溶液1を含有することを示すものであった。次いで、架橋HA水溶液1の重量にその固形分4.5重量%を乗じることによって、架橋HAの重量、すなわち、3.024gを得た。したがって、実施例1では、総重量1000gのニードル溶液に対する、低分子HAの重量、ヒスチジン修飾HAの重量および架橋HAの重量の合計は、1000g×4.03重量%、1000g×1.34重量%および3.024gの合計であり、56.72gに等しかった。加えて、ヒスチジン修飾HAの低分子HAに対する重量比およびヒスチジン修飾HAの架橋HAに対する重量比もまた以下の表1に列挙した。架橋HAの重量は、架橋HA水溶液1の重量にその固形分(4.5重量%)を乗じることによって得られ、ヒスチジン修飾HAの架橋HAに対する重量比は、ヒスチジン修飾HAの重量の架橋HAの重量に対する比により算出することができることを理解されたい。例えば、実施例1では、ニードル溶液は6.72重量%の架橋HA水溶液1を含有し、これは、ニードル溶液が0.3024重量%の架橋HAを含有することを示すものであった。次いで、架橋HAをさらにヒスチジン修飾HA(1.34重量%)と比較してヒスチジン修飾HAの架橋HAに対する重量比を得、これは約4.43であった。
【0057】
次に、適切な量の第1のHPMC、第2のHPMC、PVP/VA、p-ヒドロキシアセトフェノン、ペンチレングリコール、Tween-20、ラクトバチルス属発酵液および有機シリコーン消泡剤を水に加え、均一に混合して、ベース溶液を得た。ここで、ベース溶液の総重量に対して、第1のHPMCの含有量は約0.96重量%であり、第2のHPMCの含有量は約0.48重量%であり、PVP/VAの含有量は約1.92重量%であり、Tween-20の含有量は約0.02v/w%であり、ラクトバチルス属発酵液の含有量は約0.8重量%であり、p-ヒドロキシアセトフェノンの含有量は約0.25重量%であり、ペンチレングリコールの含有量は約0.16v/w%であり、有機シリコーン消泡剤の含有量は約0.02重量%であった。その後、約7g~8.5gのベース溶液を、複数のニードルを有するマスター型にディスペンサーで滴下し、その複数の穴を覆った。次いで、ベース溶液を有するマスター型を排気のために真空オーブン内に配置し、圧力を-700mmHg~-760mmHgに減少させて、ベース溶液が基準面から複数の穴へと下向きに流れ、基準面および穴の中のすべてのニードルを覆うようにした。次に、ベース溶液を有するマスター型を23℃およびRH30%~50%の環境に24hr配置し、続いて23℃およびRH55%~75%の環境に60hr配置して、ベース溶液を乾燥させてベースを作った。ベースをマスター型のニードルおよび基準面に接着し、複数のニードルおよびベースを有するマスター型を得た。
【0058】
最後に、最終生成物を複数のニードルおよびベースを有するマスター型から離型して、実施例1~8の抗シワマイクロニードルパッチを得た。
【0059】
比較例1~3:抗シワマイクロニードルパッチ
比較例1~3の抗シワマイクロニードルパッチを製造する方法は実施例のものと類似していた。主な違いは、ニードル溶液が以下の表1に列挙された比較例1~3の組成に従い製造されたことであり、残りの製造は実施例の記載に従うことで、比較例1~3の抗シワマイクロニードルパッチを得た。比較例1~3のニードル溶液の粘度を25℃で、剪断速度1秒-1で、粘度計により測定し、結果を以下の表1に列挙した。加えて、比較例1~3のニードル溶液中の3種HAの総量の結果もまた以下の表1に列挙した。また、ヒスチジン修飾HAの低分子HAに対する重量比およびヒスチジン修飾HAの架橋HAに対する重量比も以下の表1に列挙した。
【0060】
比較例4~7:抗シワマイクロニードルパッチ
比較例4~7の抗シワマイクロニードルパッチの製造方法は実施例のものと類似していた。主な違いは、ニードル溶液が以下の表2に列挙された比較例4~7の組成に従い製造されたことであり、残りの製造は実施例の記載に従うことで、比較例4~7の抗シワマイクロニードルパッチを得た。ニードル溶液の固形分、および25℃で、剪断速度1秒-1で、粘度計により測定した比較例4~7のニードル溶液の粘度も以下の表2に列挙した。
【0061】
【0062】
【0063】
試験例1:ニードル長の評価
実施例1~8および比較例1~7の抗シワマイクロニードルパッチをこの試験例に採用した。具体的には、ニードルが形成されたベースから、ニードル先端までの垂直距離を、顕微鏡で観察することにより直接測定した。各グループの5本のニードルをランダムに拾って測定し、結果を平均して、実施例1~8および比較例1~7の抗シワマイクロニードルパッチのニードル長を得た。これを以下の表3に列挙した。
【0064】
試験例2:機械的強度の評価
実施例1~8および比較例1~7の抗シワマイクロニードルパッチをこの試験例に採用した。具体的には、実施例1~8および比較例1~7の抗シワマイクロニードルパッチを万能試験機器(モデル:3343、INSTRONから購入)内に配置し、次いで各マイクロニードルパッチのニードルの機械的強度を測定した。この試験例では、10ミリメートル(mm)に設定した変位および66mm/分に設定した速度で圧縮試験を行い、500圧縮応力値を毎秒同時に受け取った。実施例1~8および比較例1~7のマイクロニードルパッチのニードルの機械的強度を以下の表3に列挙した。
【0065】
【0066】
表3の結果によると、抗シワ実施例1~8および比較例1~7のマイクロニードルパッチのニードル長はすべて約300μmであり、本発明の方法で製造したマイクロニードルパッチのニードル長が一貫性を有し、品質が安定しているという利点を有することが示された。さらにニードルの機械的強度の結果を参照すると、実施例1~8の抗シワマイクロニードルパッチのニードルの機械的強度はすべて0.058N/ニードルより高く、よって破損せずに角質層を貫通することができた。したがって、本発明の抗シワマイクロニードルパッチは、曲がりまたは破損なしに角質層を貫通し、これによって、皮膚下へのニードルの穿刺が確実となり、所望の効果を発揮した。
【0067】
試験例3:溶解速度の評価
実施例1~8および比較例1~7の抗シワマイクロニードルパッチのニードルと同じ組成を有する試料を、溶解速度評価のため、上述の製造方法に従い製造した。次に、実施例1~8および比較例1~7の試料を、これら試料が同じ重量を有するように同じサイズに切断し、秤量した。次いで、試料を水に5分間浸漬した後、試料を取り出し、再度秤量した。浸漬前の試料の重量に対する、浸漬前の試料と浸漬後の試料との間の重量の差異をパーセンテージで水中での5分間の溶解速度として設定した。ここでは、水中での5分間の溶解速度が高いほど、HAがより急速に溶解し、放出されたことを示した。実施例1~8および比較例1~7の水中での5分間の溶解速度を以下の表4に列挙した。
【0068】
【0069】
表4の結果によると、実施例1~8の水中での5分間の溶解速度はすべて60%より高かった。この結果の中で、実施例2および8の水中での5分間の溶解速度は70%より高く、実施例3および6の水中での5分間の溶解速度は75%より高く、実施例4、5および7の水中での5分間の溶解速度は80%より高かった。対照的に、比較例1~7の水中での5分間の溶解速度はすべて60%より低く、比較例5(56.25%、比較例で最も高い)と実施例1(69.3%、実施例で最も低い)の間の溶解速度の差異は20%までにもなった。したがって、本発明の抗シワマイクロニードルパッチは特定の組成を有するニードルを採用したので、HAは実際に急速に溶解し、放出することができ、よって、皮膚の保湿ならびに皮膚の厚さおよび強度の増加などの効果を発揮し、しわ伸ばしおよびしわの減少という目的を達成した。
【0070】
試験例4:抗シワ評価
実施例7の抗シワマイクロニードルパッチをこの試験例に対して採用した。具体的には、眼窩周囲にしわがある20人の対象(男性6人;女性14人;年齢:31~57才)を集めた。対象に実施例7の抗シワマイクロニードルパッチを適用した後、抗シワ効果を完全に評価するために、皮膚刺激、皮膚の保湿、皮膚の厚さ、皮膚の強度およびしわの数について試験を行った。
【0071】
(1)皮膚刺激試験
この試験では、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチを試験群として2.5cm2のサイズに切断し、次いで対象の前腕の内側に平らに貼り付けた。加えて、0.9重量%の塩化ナトリウム溶液(TUNGHSIN BIOSCIENCE CO.、LTD.から購入)を対照群として設定し、次いで0.2mlの塩化ナトリウム溶液を2.5cm2のサイズの滅菌ガーゼに吸着させた。滅菌ガーゼもまた対象の前腕の内側に平らに貼り付け、耐水性および通気性のあるテープで固定した。皮膚刺激の評価は、対象に試験群および対照群を連続的に24時間適用した後、試験群が適用された領域に皮膚刺激の症状が出現するかどうかを観察することによって達成した。ISO 10993-10:2010により示された皮膚刺激のスコア基準によると、スコア0は刺激反応なしを示した;スコア1は弱い陽性反応を示した(軽度の紅斑および/または皮膚の乾燥);スコア2は中程度の陽性反応物を示した(明らかな紅斑および/または皮膚の乾燥、および適用された領域を超えて広がる可能性あり);ならびにスコア3は強い反応を示した(浮腫および/または痂皮形成を伴う強い、びまん性紅斑)。次いで、各対象により提供された皮膚刺激のスコアを加算し、次いで対象の数で割って、試験群の皮膚刺激指数を得た。5より低い皮膚刺激指数は安全なレベルと考えられた。5~15の間の皮膚刺激指数は許容レベルと考えられ、15より高い皮膚刺激指数は軽度の刺激レベルと考えられた。
【0072】
前述の24hrの皮膚刺激試験の後、20人の対象から取得した、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチの皮膚刺激のスコアはすべて0、すなわち、いかなる刺激反応もなかった。したがって、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチの皮膚刺激指数もまた0であり、これは皮膚刺激なしの安全なレベルに相当した。
【0073】
(2)皮膚の保湿試験
この試験例では、前述の皮膚刺激試験を完了した対象を、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチの皮膚の保湿効果についてさらに試験した。具体的には、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチを試験群と設定し、右目の下の領域から右目の目尻まで貼り付け、実施例7のニードル溶液を対照群と設定し、左目の下の領域から左目の目尻まで直接塗布した。各グループの塗布頻度は1週当たり2時間を4週間、これらの群を塗布する時間は毎回約6hrであった。これらが群が未だ塗布されていない時点、すなわち、0週において、これらの群を連続的に2週間塗布した時点、およびこれらの群を連続的に4週間適用した時点で、眼窩周囲の表面皮膚における含水量および保湿能力を、生体電気に基づきCorneometer(登録商標)(Courage+Khazaka electronic GmbHから購入)で測定した。実施例7の抗シワマイクロニードルパッチおよび実施例7のニードル溶液を異なる期間塗布した後、眼窩周囲の皮膚における含水量の結果を測定し、以下の表5に列挙した。表では、値が高いほど、保湿能力が良いことを示し、単位はA.C.U(任意のキャパシタンス単位)で表した。表5では、「0週に対する差異」は、特定の週の含水量から0週の含水量を差し引き、次いで0週の含水量で割ったものを示し、パーセンテージで提示し、含水量の上昇度を表した。
【0074】
【0075】
表5の結果によると、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチを塗布した4週間の間、眼窩周囲の皮膚において測定された含水量は徐々に上昇した。2週の測定された含水量は0週と比較して3.3%上昇し、4週の測定された含水量は0週と比較してさらに5.8%上昇した。実施例7のニードル溶液の結果に関しては、2週の測定された含水量は0週と比較して1.8%上昇したが、4週の測定された含水量は0週と比較して上昇しなかった。さらに2週または4週に関わらず、眼窩周囲の皮膚において含水量を上昇させる効果は、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチよりも明らかに悪かった。したがって、実施例7のニードル溶液をマイクロニードルパッチへとさらに作り替えることは、眼窩周囲の皮膚における含水量の上昇というより良い効果を実際にもたらすことができ、より良い保湿能力を有した。
【0076】
(3)皮膚の厚さおよび強度試験
この試験および前述の(2)皮膚の保湿試験は同時に行った。実施例7の抗シワマイクロニードルパッチおよび実施例7のニードル溶液が未だ対象に塗布されていない時点、すなわち、0週において、これらの群を2週間連続的に塗布し、これらの群を4週間連続的に塗布し、DermaLab(登録商標)(Cortex Technologyから購入)により、目の下および目尻の皮膚の超音波画像の記録に基づき、眼窩周囲の真皮における構造的変化を評価した。前記DermaLab(登録商標)は真皮の超音波画像のプローブであり、超音波画像では、超音波エコーの強度を表すために色が使用された。濃い色は低い強度を示し、白色/黄色は高い強度を示した。一般的に、表皮は高い強度(白色および黄色)を有した。真皮は異なる色の組合せ、例えば、緑色、赤色および黄色(コラーゲンおよびエラスチンの構造を含む色領域)を有した。真皮の下の脂肪、筋肉および血管は低い強度(濃い緑色および黒色)を有した。実施例7の抗シワマイクロニードルパッチおよび実施例7のニードル溶液を異なる期間塗布した後の目の下および目尻の皮膚の厚さの測定結果を以下の表6に列挙した。値が高いほど、厚さが厚いことを示し、単位はμmで表された。目の下および目尻の皮膚の強度の測定結果を以下の表7に列挙した。値が高いほど強度がより高いことを示し、単位は強度スコアで表された。表6および表7では、「0週に対する差異」は、特定の週の結果から0週の結果を差し引き、次いで0週の結果で割ったものを示し、パーセンテージで提示し、結果の上昇度を表した。
【0077】
【0078】
表6の結果によると、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチを塗布した4週間の間、目の下および目尻の皮膚の厚さは両方とも鮮明な上向き傾向にあった。この結果の中で、目の下の皮膚の厚さに対して、2週の結果は、0週と比較して18.7%上昇し、4週の結果はさらに33.1%上昇した。目尻の皮膚の厚さに対して、2週の結果は、0週と比較して11.9%上昇し、4週の結果は、0週と比較してさらに30.0%上昇した。実施例7のニードル溶液の結果に関しては、目の下の皮膚の厚さに対して、2週および4週の結果は、0週と比較して7.0%および22.4%それぞれ上昇した。目尻の皮膚の厚さに対して、2週および4週の結果は、0週と比較して5.0%および17.1%それぞれ上昇した。したがって、目の下および目尻の皮膚の厚さを上昇させるための実施例7のニードル溶液の効果は、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチより明らかに悪かった。すなわち、実施例7のニードル溶液をマイクロニードルパッチへとさらに作り替えることは、眼窩周囲の皮膚の厚さの上昇というより良い効果を実際にもたらすことができた。
【0079】
【0080】
表7の結果によると、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチを塗布した4週間の間、目の下および目尻の皮膚の強度は両方とも鮮明な上向き傾向にあった。この結果の中で、目の下の皮膚の強度に対して、2週の結果は、0週と比較して15.5%上昇し、4週の結果はさらに34.8%上昇し、目尻の皮膚の強度に対して、2週の結果は、0週と比較して10.3%上昇し、4週の結果は、0週と比較してさらに18.0%上昇した。実施例7のニードル溶液の結果に関しては、目の下の皮膚の強度に対して、2週および4週の結果は、0週と比較して13.0%および12.3%それぞれ上昇し、目尻の皮膚の強度に対して、2週および4週の結果は、0週と比較して10.2%および14.8%それぞれ上昇した。したがって、目の下および目尻の皮膚の強度を上昇させるための実施例7のニードル溶液の効果は、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチより明らかに悪かった。すなわち、実施例7のニードル溶液をマイクロニードルパッチへとさらに作り替えることは、眼窩周囲の皮膚の強度の上昇というより良い効果を実際にもたらすことができた。
【0081】
(4)しわの減少試験
この試験および前述の(2)皮膚の保湿試験は同時に行った。実施例7の抗シワマイクロニードルパッチおよび実施例7のニードル溶液が未だ対象に塗布されていない時点、すなわち、0週において、これらの群を2週連続的に塗布し、およびこれらの群を4週間連続的に塗布し、目尻の皮膚の高分解能(1,200万ピクセル)画像に基づき、目尻のしわの数をVISIA(登録商標)Evolution ver.7.0.1(Canfield Scientific、Inc.から購入)で分析した。実施例7の抗シワマイクロニードルパッチおよび実施例7のニードル溶液を異なる期間塗布した後、目尻のしわの数を以下の表8に列挙した。値が低いほど、しわの数が少ないことを示し、単位はカウント数で表された。表8では、「0週に対する差異」は、特定の週のしわの数から0週のしわの数を差し引き、次いで0週のしわの数で分ったものを示し、パーセンテージで提示し、しわの減少の度合を表した。
【0082】
【0083】
表8の結果によると、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチを塗布した4週間の間、目尻に測定されたしわの数は徐々に低減した。この結果の中で、2週の測定されたしわの数は、0週と比較して1.4%低減し、4週の測定されたしわの数は、0週と比較してさらに4.4%低減した。実施例7のニードル溶液の結果に関して、2週および4週のしわの数は、0週と比較して1.0%および2.0%それぞれ低減し、これは明確に実施例7のニードル溶液が2週間または4週間塗布されていたかに関わらず、目尻のしわの数の減少効果は、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチよりも明らかに悪いことを示した。したがって、実施例7のニードル溶液をマイクロニードルパッチへとさらに作り替えることは、より良いしわ伸ばし効果を実際にもたらすことができ、しわの減少のより良い能力を有した。
【0084】
試験例5
抗シワマイクロニードルパッチと公知の抗シワ材料との間の比較
この試験例は、試験例4に示された、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチの眼窩周囲の皮膚の保湿の上昇、目の下の皮膚の厚さおよび強度の上昇ならびに目尻のしわの数の減少効果を採用し、さらに市販の抗シワ製品:La Mer(登録商標)クリーム(本明細書でこれより以下対照群1と呼ぶ)および公知の抗シワ物質:レチノイン酸レチニル(本明細書でこれより以下対照群2と呼ぶ)と比較した。具体的には、0週と比較して、皮膚の保湿およびしわの数に対する影響を示すために、対照群1を1日1回4週間塗布し、0週と比較して、厚さおよび強度に対する影響を示すために、対照群2を1日2回、12週間塗布した。異なる群の間で効果の差異を比較するため、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチ、対照群1および対照群2の皮膚の保湿、皮膚の厚さおよび強度ならびにしわの数の測定結果を以下の表9に列挙した。
【0085】
【0086】
表9の結果によると、対照群1と比較して、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチは皮膚の保湿の上昇効果は同等であり、同時にしわの数の減少効果はより良かった。特に、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチの塗布頻度が対照群1より明らかに低い状況において、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチは、対照群1よりも、皮膚の保湿の上昇およびしわの数の減少効果が実質的に優れているはずである。さらに、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチは、対照群2と比較して、皮膚の厚さおよび強度の上昇効果が同時により良かった。加えて、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチの塗布頻度は、対照群2の塗布頻度より明らかに低かった。すなわち、実施例7の抗シワマイクロニードルパッチはまた、対照群2と比較して、皮膚の厚さおよび強度の上昇効果が実質的に優れているはずである。したがって、公知の抗シワ材料と比較して、本発明の抗シワマイクロニードルパッチは皮膚の保湿の上昇、皮膚の厚さおよび強度の上昇、ならびにしわの数の減少というより良い効果を実際に有した。
【0087】
結論として、本発明の抗シワ組成物の各成分の組成および比率を制御することにより、さらにこの抗シワ組成物をマイクロニードルパッチのニードルの材料として取り込むことにより、製造した抗シワマイクロニードルパッチは、マイクロニードルパッチを適用することによる良好な機械的強度を有するばかりでなく、HAを急速に溶解および放出させて、皮膚の保湿ならびに皮膚の厚さおよび強度の増加効果も発揮し、しわ伸ばしおよびしわの減少という目的も達成し、よって重大な商業的価値を有する。
【0088】
本発明の多くの特徴および利点が、本発明の構造および特徴の詳細と一緒に前述の説明に記載されてきたが、本開示は単なる例示にすぎない。本発明の原理内で、添付の特許請求の範囲に表現されている用語の広範な一般的意味により示される全範囲内で、細部、特に部材の形状、サイズ、および配置の点で変更が可能である。