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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】挟持工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 7/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B25B7/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022122364
(22)【出願日】2022-07-30
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】391013634
【氏名又は名称】株式会社ツノダ
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 剛
(72)【発明者】
【氏名】角田 健二
(72)【発明者】
【氏名】三浦 雄児
(72)【発明者】
【氏名】土田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 路一
(72)【発明者】
【氏名】小池 歩
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-233965(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0139515(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0010032(US,A1)
【文献】国際公開第2021/124606(WO,A1)
【文献】特開2006-247826(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 5/00 - 9/04
B25B 25/00 - 27/30
B25J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の半体同士を回動自在に連結し、この半体同士の連結部の後端側に設けられ開閉操作部の操作により前端側に設けられ挟持作業部を開閉動させる挟持工具であって、前記挟持作業部を構成する挟持部夫々の対向する挟持面には、方形底面部とこの方形底面部の四辺から立ち上がる4つの三角側面部とから成る四角錐形状の先鋭凸部が前記挟持面の前後左右方向に格子状に多数並設され、また、前記挟持面の前端部位における前記先鋭凸部は、平面方向から見た場合に頂点が前記方形底面部の中心位置Pよりも前記挟持面の後端側に片寄った位置にある形状であることを特徴とする挟持工具。
【請求項2】
請求項記載の挟持工具において、前記片寄った位置は、前記方形底面部における後端縁5の鉛直面上に位置するように構成されていることを特徴とする挟持工具。
【請求項3】
請求項1,2いずれか1項に記載の挟持工具において、前記挟持面の左右端部位における前記先鋭凸部は、平面方向から見た場合に頂点が前記方形底面部の中心位置よりも前記挟持面の中央側に片寄った位置にある形状であることを特徴とする挟持工具。
【請求項4】
請求項記載の挟持工具において、前記片寄った位置は、前記方形底面部における中央側縁の鉛直面上に位置する形状であることを特徴とする挟持工具。
【請求項5】
請求項1記載の挟持工具において、前記挟持面は、前端側に設けられる平坦面部と、この平坦面部の後端側に連設される凹湾曲面部とを有するものであることを特徴とする挟持工具
【請求項6】
一対の半体同士を回動自在に連結し、この半体同士の連結部の後端側に設けられた開閉操作部の操作により前端側に設けられた挟持作業部を開閉動させる挟持工具であって、前記挟持作業部を構成する挟持部夫々の対向する挟持面4aには、方形底面部とこの方形底面部の四辺から立ち上がる4つの三角側面部とから成る四角錐形状の先鋭凸部が前記挟持面の前後左右方向に格子状に多数並設され、また、前記挟持面の左右端部位における前記先鋭凸部は、平面方向から見た場合に頂点が前記方形底面部の中心位置よりも前記挟持面の中央側に片寄った位置にある形状であることを特徴とする挟持工具
【請求項7】
請求項記載の挟持工具において、前記片寄った位置は、前記方形底面部における中央側縁の鉛直面上に位置する形状であることを特徴とする挟持工具。
【請求項8】
請求項6記載の挟持工具において、前記挟持面は、前端側に設けられる平坦面部と、この平坦面部の後端側に連設される凹湾曲面部とを有するものであることを特徴とする挟持工具
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挟持工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本出願人は、被挟持物を挟持する挟持工具として特許文献1に開示されるプライヤー(以下、「従来例」という。)を提案している。
【0003】
この従来例は、一対の半体同士を回動自在に連結し、この半体同士の連結部の後端側に設けられる開閉操作部の操作により前端側に設けられる挟持作業部を開閉動させるものであり、挟持作業部を構成する挟持部夫々の対向する挟持面には、該挟持面の左右方向に長さを有する先鋭凸条(条歯)が挟持面の前後方向に多数並設されている。
【0004】
従って、例えば木材に打ち込まれた釘やダボなどを引き抜く際など、先鋭凸条が被挟持物に対して噛んだ状態で挟持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】実用新案登録第3168225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者等は、前述した挟持工具について更なる研究開発を進めた結果、従来にない非常に実用的な挟持工具を開発した。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
一対の半体1,2同士を回動自在に連結し、この半体1,2同士の連結部の後端側に設けられ開閉操作部3の操作により前端側に設けられ挟持作業部4を開閉動させる挟持工具であって、前記挟持作業部4を構成する挟持部4’夫々の対向する挟持面4aには、方形底面部5bとこの方形底面部5bの四辺から立ち上がる4つの三角側面部5aとから成る四角錐形状の先鋭凸部5が前記挟持面4aの前後左右方向に格子状に多数並設され、また、前記挟持面4aの前端部位における前記先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が前記方形底面部5bの中心位置Pよりも前記挟持面4aの後端側に片寄った位置P’にある形状であることを特徴とする挟持工具に係るものである。
【0009】
また、請求項記載の挟持工具において、前記片寄った位置P’は、前記方形底面部5bにおける後端縁5b’の鉛直面上に位置するように構成されていることを特徴とする挟持工具に係るものである。
【0010】
また、請求項1,2いずれか1項に記載の挟持工具において、前記挟持面4aの左右端部位における前記先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が前記方形底面部5bの中心位置Pよりも前記挟持面4aの中央側に片寄った位置P”にある形状であることを特徴とする挟持工具に係るものである。
【0011】
また、請求項記載の挟持工具において、前記片寄った位置P”は、前記方形底面部5bにおける中央側縁の鉛直面上に位置する形状であることを特徴とする挟持工具に係るものである。
【0012】
また、請求項1記載の挟持工具において、前記挟持面4aは、前端側に設けられる平坦面部4a’と、この平坦面部4a’の後端側に連設される凹湾曲面部4a”とを有するものであることを特徴とする挟持工具に係るものである。
【0013】
また、一対の半体1,2同士を回動自在に連結し、この半体1,2同士の連結部の後端側に設けられた開閉操作部3の操作により前端側に設けられた挟持作業部4を開閉動させる挟持工具であって、前記挟持作業部4を構成する挟持部4’夫々の対向する挟持面4aには、方形底面部5bとこの方形底面部5bの四辺から立ち上がる4つの三角側面部5aとから成る四角錐形状の先鋭凸部5が前記挟持面4aの前後左右方向に格子状に多数並設され、また、前記挟持面4aの左右端部位における前記先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が前記方形底面部5bの中心位置Pよりも前記挟持面4aの中央側に片寄った位置P”にある形状であることを特徴とする挟持工具に係るものである。
【0014】
また、請求項記載の挟持工具において、前記片寄った位置P”は、前記方形底面部5bにおける中央側縁5b”の鉛直面上に位置する形状であることを特徴とする挟持工具に係るものである。
【0015】
また、請求項6記載の挟持工具において、前記挟持面4aは、前端側に設けられる平坦面部4a’と、この平坦面部4a’の後端側に連設される凹湾曲面部4a”とを有するものであることを特徴とする挟持工具に係るものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明は上述のように構成したから、被挟持物を堅固に挟持することができるなど、従来にない非常に実用的な挟持工具となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施例の要部を示す斜視図である。
図2】本実施例の要部を示す側面図である。
図3】本実施例の要部を示す正面図である。
図4】本実施例の要部の説明図である。
図5】本実施例の要部の説明図である。
図6】本実施例の要部の説明図である。
図7】本実施例の製造工程説明図である。
図8】本実施例の製造工程説明図である。
図9】本実施例の使用状態説明図である。
図10】本実施例の使用状態説明図である。
図11】本実施例の使用状態説明図である。
図12】本実施例の使用状態説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
開閉操作部3の操作により挟持作業部4を閉動させて被挟持物Kを挟持すると、挟持面4aに設けられた先鋭凸部5が被挟持物Kの表面に対して差し込まれる(食い付く)ことになる。
【0020】
従って、例えば木材に打ち込まれた釘やダボなど被挟持物Kの引き抜き作業が良好に行われることになる。
【実施例
【0021】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施例は、一対の半体1,2同士を回動自在に連結し、この半体1,2同士の連結部の後端側に設けられる開閉操作部3の操作により前端側に設けられる挟持作業部4を開閉動させる挟持工具Tである。
【0023】
具体的には、半体1,2は、図1に図示したように適宜な金属製の部材で形成した棒状体であり、後述する枢着部を構成する板状の重合部1a,2a同士を交叉重合させた際、夫々の前端部に設けられた挟持部4’(挟持面4a)が対向位置に配される。
【0024】
また、半体1,2の挟持部4夫々の対向する内面は、被挟持物Kを挟持する平面方向から見て方形状の挟持面4aとして構成され、この挟持面4aは、前端側に設けられる平坦面部4a’と、この平坦面部4a’の後端側に連設される凹湾曲面部4a”とを有し、挟持作業部4を閉塞状態とした際、この対向する凹湾曲面部4a”により挟持作業部4を側面方向から見た際に楕円形状の孔が形成されるように構成されている。
【0025】
尚、本実施例に係る挟持工具Tは、例えばボルトなどの被挟持物Kを堅固に挟持するプライヤー(コンビネーションプライヤー)として構成されているが、上記の他にもウォーターポンププライヤーや凹湾曲面部4a”の無いペンチでも良い。
【0026】
また、挟持面4a(平坦面部4a’及び凹湾曲面部4a”)には、多数の角錐形状の先鋭凸部5が設けられている。
【0027】
具体的には、各挟持面4aには、図2~4に図示したように四角錐形状の先鋭凸部5が該挟持面4aの前後方向(図4中の矢印X方向)及び左右方向(図4中の矢印Y方向)に格子状に多数(複数列)並設されている。
【0028】
この先鋭凸部5は、図5に図示したように方形底面部5bとこの方形底面部5bの四辺から立ち上がる4つの三角側面部5aとから成る四角錐形状であり、この先鋭凸部5のうち、挟持面4aの前端中央部位における左右方向(図5中の矢印Y方向)に並設され且つ該挟持面4aの前後方向(図5中の矢印X方向)に複数列(第2列目以降の4列)を構成する先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が方形底面部5bの中心位置Pよりも挟持面4aの後端側に片寄った位置P’にある形状である。
【0029】
更に詳述すると、第2列目~第4列目の先鋭凸部5は、方形底面部5bの前端縁及び後端縁の二辺が挟持面4aの前端縁と平行状態となるように設けられ、且つ、方形底面部5bの左端縁及び右端縁の二辺が挟持面4aの左右端縁と平行状態となるように設けられており、片寄った位置P’(頂点5’)は、方形底面部5bにおける後端縁5b’の鉛直面上に位置するように構成されている。尚、本明細書で言う鉛直面とは垂直に近い若干傾斜した面も含まれる。
【0030】
つまり、図5中の(A)の通り、後端側の三角側面部5aは鉛直面であり、また、前端側の三角側面部5aは後端側の三角側面部5aよりも大きく、左右端側の三角側面部5aは同じ大きさである。尚、第5列目の先鋭凸部5は、片寄った位置P’(頂点5’)が方形底面部5bの中心位置Pと後端縁5b’の鉛直面上との間にある形状である。
【0031】
従って、この挟持面4aの前端中央部位に設けられる先鋭凸部5は、挟持作業部4の前端面を下方に向けた場合において、下面が谷部から山部へ上り傾斜状で上面が水平状となる上向き歯として構成されており(図2参照)、この上向き歯は、被挟持物Kを挟持して引き抜く際、被挟持物Kの周面に対してより堅固に食い付くことになる。
【0032】
尚、本実施例では、挟持作業部4の前端面を下方に向けた場合において、最下端に設けられる先鋭凸部5は、下面が水平状で上面が谷部から山部へ向けて下り傾斜状となる下向き歯として構成されており(図2参照)、この下向き歯は、被挟持物Kを挟持する際、被挟持物Kと該被挟持物Kが打ち込まれた打ち込み面との間に差し込み係止機能を発揮する。
【0033】
また、本実施例は、先鋭凸部5のうち、挟持面4aの左端部位及び右端部位夫々における前後方向(図5中の矢印X方向)に並設され且つ該挟持面4aの左右方向(図5中の矢印Y方向)に複数列(第2列目以降の4列)を構成する先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が方形底面部5bの中心位置Pよりも挟持面4aの中央側(内側)に片寄った位置P”にある形状である。
【0034】
更に詳述すると、第2列目~第4列目の先鋭凸部5は、方形底面部5bの左端縁及び右端縁の二辺が挟持面4aの左右端縁と平行状態となるように設けられ、且つ、方形底面部5bの前端縁及び後端縁の二辺が挟持面4aの前端縁と平行状態となるように設けられており、片寄った位置P”(頂点5’)は、方形底面部5bにおける中央側縁5b”(内側縁)の鉛直面上に位置するように構成されている。
【0035】
つまり、図5中の(B)の通り、中央側(内側)の三角側面部5aは鉛直面であり、また、外側の三角側面部5aは中央側(内側)の三角側面部5aよりも大きく、前後端側の三角側面部5aは同じ大きさである。尚、第5列目の先鋭凸部5は、片寄った位置P”(頂点5’)が方形底面部5bの中心位置Pと中央側縁5b”(内側縁)の鉛直面上との間にある形状である。
【0036】
従って、この挟持面4aの左右端部位に設けられる先鋭凸部5は、挟持作業部4の左右端面を下方に向けた場合において、下面が谷部から山部へ上り傾斜状で上面が水平状となる上向き歯として構成されており(図3参照)、この上向き歯は、被挟持物Kを挟持して引き抜く際、被挟持物Kの周面に対してより堅固に食い付くことになる。
【0037】
尚、本実施例では、挟持作業部4の左右端面を下方に向けた場合において、最下端に設けられる先鋭凸部5は、下面が水平状で上面が谷部から山部へ向けて下り傾斜状となる下向き歯として構成されており(図3参照)、この下向き歯は、被挟持物Kを挟持する際、被挟持物Kと該被挟持物Kが打ち込まれた打ち込み面との間に差し込み係止機能を発揮する。
【0038】
また、本実施例では、先鋭凸部5としては、前述した種類の先鋭凸部5の他、例えば平面方向から見た場合に頂点5’が方形底面部5bの中心位置Pにある形状としたタイプ(図5中の(C)参照)や、頂点5’が方形底面部5bの四つの角部のうちの一つの角部上にある形状としたタイプがある。
【0039】
尚、先鋭凸部5は四角錐形状に限らず三角錐形状や五角錐形状などでも良いが、製品としての強度性(耐久性)や後述する製造性(量産性及びコスト性)を考慮すると四角錐形状が望ましい。
【0040】
また、前述した各先鋭凸部5は後述のようにして挟持面4aに設けられる。
【0041】
先ず、図6に図示したように所定形状(前述した先鋭凸部5を想定した形状)の凸条歯20aが複数形成された切削工具20を軸回転させながら挟持面4aの左右方向に移動させて半体1,2夫々の前端内面を切削する。
【0042】
次に、図7に図示したように所定形状(前述した先鋭凸部5を想定した形状)の凸条歯21aが複数形成された切削工具21を軸回転させながら挟持面4aの前後方向に移動させて半体1,2夫々の前端内面を切削すると、半体1,2夫々の前端内面には前述した四角錐形状の先鋭凸部5が多数形成される。
【0043】
図8は先鋭凸部5の方形底面部5bを、図5に図示した先鋭凸部5の方形底面部5bの状態から45度水平回動させた状態に設けた場合、即ち、方形底面部5bの前端縁及び後端縁の二辺が挟持面4aの前端縁と平行状態でなく45度交差状態(交差した関係)となるように設けられ、且つ、方形底面部5bの左端縁及び右端縁の二辺が挟持面4aの左右端縁と平行状態でなく45度交差状態(交差した関係)となるように設けられた場合である。
【0044】
図8中の(D)の先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が方形底面部5bの中心位置Pにある形状としたタイプである。
【0045】
また、図8中の(E)の先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が方形底面部5bの中心位置Pよりも挟持面4aの後端側に片寄った位置P’(方形底面部5bにおける後端角部5b’’’の鉛直面上の位置)にある形状としたタイプである。
【0046】
従って、三角側面部5a同士が連設する後端縁5a’は鉛直であり、この先鋭凸部5は、挟持作業部4の前端面を下方に向けた場合において、下縁(三角側面部5a同士が連設する前端縁5a”)が谷部から山部へ上り傾斜状で上縁(三角側面部5a同士が連設する後端縁5a’)が水平状となる上向き歯として構成されている。
【0047】
尚、図8中の矢印X方向は該挟持面4aの前後方向であり、矢印Y方向は該挟持面4aの左右方向である。
【0048】
また、半体1,2は、夫々の重合部1a,2a同士が交叉重合枢着されており、この枢着部には、対向する挟持部4’の対向間隔を可変するスライド構造が具備せしめられている。
【0049】
具体的には、一方の半体1の重合部1aは、図1に図示したように窓部1bが形成され、この窓部1bには、他方の半体2の重合部2aに設けられた枢着軸2bがスライド自在に設けられており、挟持部4’同士の対向間隔が可変するように構成されている。
【0050】
具体的には、窓部1bは、一対の円形の径大孔を直線状の径小孔を介して連設した正面視ダルマ形状に形成されている。
【0051】
枢着軸2bは、適宜な金属製のピン杆であり、互いに重合状態とした一方の半体1の重合部1aと他方の半体2の重合部2aとに貫挿し、一端部をカシメることで他方の半体2の重合部2aに回り止め状態に設けられている。
【0052】
従って、一方の半体1の重合部1aに、他方の半体2の重合部2aを重合配設するとともに、半体1の重合部1aに設けた窓部1bに、半体2の重合部2aに設けた枢着軸2bをスライド自在に枢着することで、挟持部4’は開閉回動自在にして該挟持部4’の対向間隔が可変する。
【0053】
本実施例は上述のように構成したから、開閉操作部3の操作により挟持作業部4を閉動させて被挟持物Kを挟持すると、挟持面4aに設けられた先鋭凸部5が被挟持物Kの表面に対して差し込まれる(食い付く)ことになる。
【0054】
図9,10は挟持作業部4の前端面を下方に向けて木材Wに打ち込まれた被挟持物K(釘)を挟持して引き抜く場合であり、図11,12は挟持作業部4の左右端面を下方に向けて被挟持物Kを挟持した場合である。
【0055】
よって、本実施例によれば、例えば木材Wに打ち込まれた釘やダボなど被挟持物Kの引き抜き作業が良好に行われることになる。
【0056】
また、本実施例は、先鋭凸部5は挟持面4aの前後左右方向に格子状に並設されているから、この点においても被挟持物Kに対する良好な挟持が行われる。
【0057】
また、本実施例は、先鋭凸部5は方形底面部5bとこの方形底面部5bの四辺から立ち上がる4つの三角側面部5aとから成る四角錐形状であり、また、挟持面4aの前端部位における先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が方形底面部5bの中心位置Pよりも挟持面4aの後端側に片寄った位置P’にある形状であるから、挟持作業部4の前端面を下方に向けた状態(挟持工具Tを縦にした状態)で被挟持物Kを挟持して引き抜く場合に有効となる。
【0058】
また、本実施例は、片寄った位置P’は、方形底面部5bにおける後端縁5b’の鉛直面上に位置するように構成されているから、より一層、挟持作業部4の前端面を下方に向けた状態(挟持工具Tを縦にした状態)で被挟持物Kを挟持して引き抜く場合に有効となる。
【0059】
また、本実施例は、挟持面4aの左右端部位における先鋭凸部5は、平面方向から見た場合に頂点5’が方形底面部5bの中心位置Pよりも挟持面4aの中央側に片寄った位置P”にある形状であるから、挟持作業部4の左右端面を下方に向けた状態(挟持工具Tを横にした状態)で被挟持物Kを挟持して引き抜く場合に有効となる。
【0060】
また、本実施例は、片寄った位置P”は、方形底面部5bにおける中央側縁5b”の鉛直面上に位置する形状であるから、より一層、挟持作業部4の左右端面を下方に向けた状態(挟持工具Tを横にした状態)で被挟持物Kを挟持して引き抜く場合に有効となる。
【0061】
以上のように、本実施例は、前述した先鋭凸部5を挟持面4aの前端部位及び左右端部位に設けることで、挟持作業部4(挟持工具T)を縦にした状態でも横にした状態でも挟持物Kを良好に挟持して引き抜くことができ、ひいては、挟持作業部4(挟持工具T)をこの間の斜めにした状態(挟持面4aの前端部位における左右部位で挟持する状態)でも挟持物Kを良好に挟持して引き抜くことができ、そして更に、被挟持物Kが例えば壁際部分(コーナー部分)にある場合であっても当該部分に挟持作業部4を添わせることで挟持物Kを良好に挟持して引き抜くことができる(例えば挟持工具Tを縦にした状態とし、挟持面4aの前端部位における左右部位で良好に挟持できる)。
【0062】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0063】
P 中心位置
P’ 片寄った位置
P” 片寄った位置
1 半体
2 半体
3 開閉操作部
4 挟持作業部
4’ 挟持部
4a 挟持面
4a” 凹湾曲面部
5 先鋭凸部
5’ 頂点
5a 三角側面部
5b 方形底面部
5b’ 後端縁
5b” 中央側縁
【要約】
【課題】本発明は、従来にない非常に実用的な挟持工具を提供することを目的とする。
【解決手段】一対の半体1,2同士を回動自在に連結し、この半体1,2同士の連結部の後端側に設けられる開閉操作部3の操作により前端側に設けられる挟持作業部4を開閉動させる挟持工具であって、前記挟持作業部4を構成する挟持部4’夫々の対向する挟持面4aには、角錐形状の先鋭凸部5が多数設けられたものである。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12