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特許7429469深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 43/00 20060101AFI20240201BHJP
   E21B 21/14 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E21B43/00 A
E21B21/14
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023024999
(22)【出願日】2023-02-21
(65)【公開番号】P2023126160
(43)【公開日】2023-09-07
【審査請求日】2023-02-21
(31)【優先権主張番号】202210185932.2
(32)【優先日】2022-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518411338
【氏名又は名称】山東科技大学
(74)【代理人】
【識別番号】100145470
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 健一
(72)【発明者】
【氏名】公彬
(72)【発明者】
【氏名】蒋宇静
【審査官】荒井 良子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第109577924(CN,A)
【文献】特開2021-139269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21B 43/00
E21B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
然ガスハイドレートが所在する区域を決定し、前記区域内の天然ガスハイドレートの地層透水係数、地層温度及び粒度組成地質パラメータを分析するS1と、
前記区域内の掘削場所を決定し、海上採掘プラットフォームを架設し、前記海上採掘プラットフォームは、主立坑を介して覆蔽層を貫通し、前記区域内に引き伸ばすS2と、
採掘推進工法及び採掘区の長さを決定し、前記主立坑を中心として、前記区域内に対称にストリップ採掘区を開設するS3と、
前記ストリップ採掘区において採掘立坑掘削施工手順を完成し、且つ採掘装置、砂防装置及び配管を配置するS4と、
前記ストリップ採掘区の回収方式を決定し、採掘方式を選択するS5と、
前記ストリップ採掘区内の先行採掘区域のガス生産量が低下すると、前記ストリップ採掘区を切り替えて未採掘区域の採掘作業を行うS6、
以上の手順を含み、
前記ストリップ採掘区は、上回収水平坑井、下エネルギー供給水平坑井及び採掘立坑を含み、前記上回収水平坑井と下エネルギー供給水平坑井は、それぞれ前記天然ガスハイドレートの貯蔵層の上下境界位置に配置されることを特徴とする深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法。
【請求項2】
S2において、前記覆蔽層は海水層の下にあり、前記主立坑は、前記覆蔽層を貫通して且つデザイン層位に配置されることを特徴とする請求項1に記載の深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法。
【請求項3】
S5において、前記採掘方式は、降圧採掘または熱注入採掘であることを特徴とする請求項に記載の深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法。
【請求項4】
前記降圧採掘は、具体的に、前記下エネルギー供給水平坑井を通じて前記採掘立坑の周囲を降圧し、分解によって発生した天然ガスは、前記上回収水平坑井及び主立坑を通じて前記海上採掘プラットフォームに輸送されることを特徴とする請求項に記載の深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法。
【請求項5】
前記熱注入採掘は、具体的に、前記下エネルギー供給水平坑井を通じて前記採掘立坑に高温流体を注入し、水蒸気刺激法を実行し、分解によって発生した天然ガスは、前記上回収水平坑井及び主立坑を通じて前記海上採掘プラットフォームに輸送されることを特徴とする請求項に記載の深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法。
【請求項6】
S5において、前記回収方法の手順は、前記ストリップ採掘区が前記主立坑を中心として、両側採掘区を同時に順次前進式採掘し、両側採掘区を同時に順次後退式採掘し、両側採掘区を同時に間隔前進式採掘し、両側採掘区を同時に間隔後退式採掘し、片側交互に順次前進式採掘し、片側交互に順次後退式採掘し、片側交互に間隔前進式採掘または片側交互に間隔後退式採掘することを特徴とする請求項に記載の深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法。
【請求項7】
前記順次前進式採掘は、前記採掘立坑から徐々に前記主立坑から離れた方向に順次採掘することであり、前記順次後退式採掘は、前記採掘立坑から徐々に前記主立坑に近づく方向に順次採掘することであることを特徴とする請求項に記載の深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法。
【請求項8】
前記ストリップ採掘区の採掘長さは20m以上であることを特徴とする請求項1に記載の深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は深海ハイドレートの採掘方法に関し、特に深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然ガスハイドレートは、天然ガスと水から低温高圧条件下に形成された氷のようなケージ型結晶化合物であり、高緯度極地凍土層と海洋湖などの深水地層に広く分布し、貯蔵量が大きく、エネルギー密度が高いなどの特徴があり、潜在エネルギーと見なされる。そのうち、メタンのエネルギー密度(通常では単位岩石体積当たりのメタン体積)は大きく、石炭と黒色頁岩の10倍、天然ガスの2.5倍である。
【0003】
天然ガスハイドレートは、自然界において大陸、島の斜面地帯、活動的と受動的大陸縁辺部の隆起部、極地大陸棚、海洋及びいくつかの内陸湖の深水環境に広く分布している。天然ガスハイドレートの形成条件は、温度が一般的に10℃未満の低温と、圧力が一般的に10MPaより高い高圧と、十分な天然ガス(炭化水素類、メタンを主とする)のガス源と、有利なハイドレート賦存空間である。
【0004】
天然ガスハイドレートは、主に海底の弱いセメント堆積岩にならない透水係数が小さいばらばらになった粒子の孔に分布していて、既存の試掘報道によると、現在既存の採掘方法は採掘効率が低すぎて、商業採掘の生産条件に達することができず、採掘効率を向上させるには既存の坑井の配置を変える必要があると同時に、坑井パターンの配置費用をできるだけ下げることも考慮しなければならない。貯蔵層の埋蔵が浅いか、地層の安定性が悪い場合は、合理的に採掘区域を分割し、穴の中の天然ガスハイドレートの分解による上覆蔽層への影響をできるだけ小さくするために、井戸の配置方式を最適化しなければならない。そのため、天然ガスハイドレートの採掘効率を高め、且つ天然ガスハイドレートの採掘による海底地層の変形を効果的に制御することができる工業採掘方法が必要である。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法を提供することにあり、海域の天然ガスハイドレートの採掘効率の低下及び天然ガスハイドレートの採掘による海底地層変形の問題を解決し、深海天然ガスハイドレートの採掘効率を高める。
【0006】
上記目的を実現するために、本発明は、以下の技術的手段を提供し、
以下の手順を含む深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法であり、
天然ガスハイドレートが所在する区域を決定し、前記区域内の天然ガスハイドレートの地層透水係数、地層温度及び粒度組成地質パラメータを分析するS1と、
前記区域内の掘削場所を決定し、海上採掘プラットフォームを架設し、前記海上採掘プラットフォームは、主立坑を介して覆蔽層を貫通し、前記区域内に引き伸ばすS2と、
採掘推進工法及び採掘区の長さを決定し、前記主立坑を中心として、前記区域内に対称にストリップ採掘区を開設するS3と、
前記ストリップ採掘区において採掘立坑掘削施工手順を完成し、且つ採掘装置、砂防装置及び配管を配置するS4と、
前記ストリップ採掘区の回収方式を決定し、採掘方式を選択するS5と、
前記ストリップ採掘区内の先行採掘区域のガス生産量が低下すると、前記ストリップ採掘区を切り替えて未採掘区域の採掘作業を行うS6。
【0007】
S2において、前記覆蔽層は海水層の下にあり、前記主立坑は、前記覆蔽層を貫通して且つデザイン層位に配置される。
【0008】
前記デザイン層位は、前記天然ガスハイドレートの貯蔵層の上下境界位置である。
【0009】
前記ストリップ採掘区は、上回収水平坑井、下エネルギー供給水平坑井及び採掘立坑を含み、前記上回収水平坑井と下エネルギー供給水平坑井は、それぞれ前記天然ガスハイドレートの貯蔵層の上下境界位置に配置される。
【0010】
S5において、前記採掘方式は、降圧採掘または熱注入採掘である。
【0011】
前記降圧採掘は、具体的に、前記下エネルギー供給水平坑井を通じて前記採掘立坑の周囲を降圧し、分解によって発生した天然ガスは、前記上回収水平坑井及び主立坑を通じて前記海上採掘プラットフォームに輸送される。
【0012】
前記熱注入採掘は、具体的に、前記下エネルギー供給水平坑井を通じて前記採掘立坑に高温流体を注入し、水蒸気刺激法を実行し、分解によって発生した天然ガスは、前記上部回収水平坑井及び主立坑を通じて前記海上採掘プラットフォームに輸送される。
【0013】
S5において、前記回収手順は、前記ストリップ採掘区が前記主立坑を中心として、両側採掘区を同時に順次前進式採掘し、両側採掘区を同時に順次後退式採掘し、両側採掘区を同時に間隔前進式採掘し、両側採掘区を同時に間隔後退式採掘し、片側交互に順次前進式採掘し、片側交互に順次後退式採掘し、片側交互に間隔前進式採掘または片側交互に間隔後退式採掘する。
【0014】
前記前進式採掘は、前記採掘立坑から徐々に前記主立坑から離れた方向に順次採掘することであり、前記後退式採掘は、前記採掘立坑から徐々に前記主立坑に近づく方向に順次採掘することである。
【0015】
前記ストリップ採掘区の採掘長さは20m以上である。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の技術効果を有し、本発明は、水平坑井と立坑を組み合わせて配置し、主立坑を中心として左右対称にストリップ採掘区を配置し、前記ストリップ採掘区は、下エネルギー供給水平坑井、採掘立坑、上回収水平坑井と主立坑から構成され、生産能力の要求に応じて、両側採掘区を同時に採掘するか、または片側交互に採掘することができ、同側の採掘区も生産能力の要求に応じて同時に採掘するか、または間隔で片側交互に採掘することができ、井戸の安定性と受力の均一性を保証するためである。該深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法は、設計の考え方がはっきりして、施工方法が簡単で操作しやすく、深海天然ガスハイドレートの採掘効率を効果的に向上させ、単一坑井のガス生産効率を保証し、我が国が深海天然ガスハイドレートの商業採掘を早期に実現するために有益な技術参考と指導を提供することができ、本技術分野で広範な普及と応用価値を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
本発明の実施形態または先行技術における技術的態様をより明確に説明するために、以下では実施形態において使用する必要がある図面を簡単に説明する。明らかに、以下の説明における図面は本発明のいくつかの実施形態にすぎず、当業者にとっては、創造的な労働性を払わずに、これらの図面に基づいて他の図面を得ることもできる。
図1】本発明の採掘方法の施工図である。
図2】本発明の両側採掘区の同時に間隔後退式採掘を示す図である。
図3】本発明の両側採掘区の同時に間隔前進式採掘を示す図である。
図4】本発明の両側採掘区の同時に順次後退式採掘を示す図である。
図5】本発明の両側採掘区の同時に順次前進式採掘を示す図である。
図6】本発明の片側交互に順次後退式採掘を示す図である。
図7】本発明の片側交互に順次前進式採掘を示す図である。
図8】本発明の片側交互に間隔前進式採掘を示す図である。
図9】本発明の片側交互に間隔後退式採掘を示す図である。
【0018】
以下、本発明の実施形態における図面に関連して、本発明の実施形態における技術的態様を明確に、完全に説明する。明らかに、説明された実施形態は本発明の一部の実施形態にすぎず、すべての実施形態ではない。本発明における実施形態に基づいて、当業者が創造的な労働を行うことなく取得した他のすべての実施形態は、本発明の保護の範囲に属する。
【0019】
本発明の上述の目的、特徴及び利点をより明確にわかりやすくするために、以下に添付図面及び具体的な実施形態を結合して本発明をさらに詳細に説明する。
【0020】
以下の手順を含む深海天然ガスハイドレートストリップ区域分割採掘方法であり、
天然ガスハイドレートが所在する区域を決定し、前記区域内の天然ガスハイドレートの地層透水係数、地層温度及び粒度組成地質パラメータを分析するS1と、
前記区域内の掘削場所を決定し、海上採掘プラットフォーム1を架設し、前記海上採掘プラットフォーム1は、主立坑3を介して覆蔽層4を貫通し、且つ前記区域内に引き伸ばすS2と、
採掘推進工法及び採掘区の長さを決定し、前記主立坑3を中心として、前記区域内に対称にストリップ採掘区を開設するS3と、
前記ストリップ採掘区において採掘立坑掘削施工手順を完成し、且つ採掘装置、砂防装置及び配管を配置するS4と、
前記ストリップ採掘区の回収方式を決定し、採掘方式を選択するS5と、
前記ストリップ採掘区内の先行採掘区域のガス生産量が低下すると、前記ストリップ採掘区を切り替えて未採掘区域の採掘作業を行うS6。
【0021】
S2において、前記覆蔽層4は海水層2の下にあり、前記主立坑3は、前記覆蔽層4を貫通して且つデザイン層位に配置される。
【0022】
前記デザイン層位は、前記天然ガスハイドレートの貯蔵層8の上下境界位置である。
【0023】
前記ストリップ採掘区は、上回収水平坑井5、下エネルギー供給水平坑井7及び採掘立坑6を含み、前記上回収水平坑井5と下エネルギー供給水平坑井は7、それぞれ前記天然ガスハイドレートの貯蔵層8の上下境界位置に配置される。
【0024】
S5において、前記採掘方式は、降圧採掘または熱注入採掘である。
【0025】
前記降圧採掘は、具体的に、前記下エネルギー供給水平坑井7を通じて前記採掘立坑6の周囲を降圧し、分解によって発生した天然ガスは前記上回収水平坑井5及び主立坑3を通じて前記海上採掘プラットフォームに輸送される。
【0026】
前記熱注入採掘は、具体的に、前記下エネルギー供給水平坑井7を通じて前記採掘立坑6に高温流体を注入し、水蒸気刺激法を実行し、分解によって発生した天然ガスは、前記上部回収水平坑井5及び主立坑3を通じて前記海上採掘プラットフォームに輸送される。
【0027】
S5において、前記回収手順は、前記ストリップ採掘区が前記主立坑を中心とする両側採掘区を同時に順次前進式採掘し、両側採掘区を同時に順次後退式採掘し、両側採掘区を同時に間隔前進式採掘し、両側採掘区を同時に間隔後退式採掘し、片側交互に順次前進式採掘し、片側交互に順次後退式採掘し、片側交互に間隔前進式採掘または片側交互に間隔後退式採掘する。
【0028】
前記前進式採掘は、前記採掘立坑6から徐々に前記主立坑3から離れた方向に順次採掘することであり、前記後退式採掘は、前記採掘立坑6から徐々に前記主立坑3に近づく方向に順次採掘することである。
【0029】
前記ストリップ採掘区の採掘長さは20m以上である。
【0030】
本発明の一つの実施形態において、天然ガスハイドレートが所在する区域は一般的に海域の地底に賦存され、海水層2と天然ガスハイドレート貯蔵層8の間に、海水と粒子孔が混在する覆蔽層4が混在し、天然ガスハイドレート貯蔵層8の底部はより深層の下部地層9である。
【0031】
さらに、本発明が従来技術と異なるのは、本発明におけるストリップ採掘区が実際に主立坑3に関して対称する2つの採掘区であること。2つの採掘区はそれぞれ両側の採掘立坑6とその頂部と底部の上回収水平坑井5と下エネルギー供給水平坑井7によって接続されている。上回収水平坑井5と下エネルギー供給水平坑井7はそれぞれ回収とエネルギー供給に用いられる。従来技術で水平坑井を1つだけ開設する方式と異なり、機能分割により採掘効率を高め、ガス生産効率を保証する。
【0032】
さらに、上回収水平坑井5に、砂防装置が配置されている。天然ガスハイドレートの採掘による海底地層の変形沈降を緩和し、深海天然ガスハイドレートの採掘過程における海底地層の安定性を効果的に向上させ、採掘水による井戸砂出し事故の発生を軽減することができる。
【0033】
本発明の実施形態において、採掘分解区域10はそれぞれ実採掘選択区域である。
【0034】
さらに、本発明はまず回収手順を決定し、さらに採掘区を選択して採掘を行い、具体的な採掘手順は以下の実施形態にそれぞれ説明する。
【0035】
(実施形態1)
天然ガスハイドレートが所在する区域の地層透水係数、地層温度及び粒度組成地質パラメータを分析し、海水層の高さ、適当な主立坑3の架設場所、覆蔽層4の厚さ、ストリップ採掘区が主立坑3に関して対称する長さ範囲について決定し、具体的なデータは海水深さ800m、覆蔽層厚さ200m、地層透水係数1.5×10-4cm/s、地層圧12MPa、地層粒子平均粒子径500μm。
【0036】
上記パラメータに基づいて、海上採掘プラットフォーム1と主立坑3を架設する。主立坑3を、覆蔽層4を貫通して覆蔽層4と天然ガスハイドレート貯蔵層8との接合する高さまで建設し、且つ天然ガスハイドレート貯蔵層8まで下方に延設する。上記パラメータによる、海水深さ800m、覆蔽層厚さ200m、地層透水係数1.5×10-4cm/s、地層圧12MPa、地層粒子平均粒子径500μm。主立坑3の直径は2m、上回収水平坑井5と下エネルギー供給の直径は0.5m、各側のストリップ採掘区の長さは20m、主立坑3を中心に5mごとに一つの採掘立坑を架設して各採掘ストリップを確定する。
【0037】
さらに、図2のように、採掘立坑6を通じてストリップ採掘区を採掘する。採掘方向を同時に間隔後退式採掘に決定する。立坑と水平坑井を組み合わせて、採掘立坑6を通じて階段採掘区を採掘する。その具体的な採掘手順は、主立坑3を中心として左右対称に順次間隔を置いて、階段採掘区の縁から主立坑3側に近づく方向へ、両側の採掘立坑6を通じて主立坑3に近い階段採掘区域の天然ガスハイドレートを分解する。
【0038】
降圧採掘方法を選択する場合、採掘立坑6内の流体圧力を下げ、分解によって発生した天然ガスは、上回収水平坑井5を通じて主立坑3に集めて採掘プラットフォーム1に輸送される。熱注入採掘方法を選択する場合、下エネルギー供給水平坑井7を通じて採掘立坑6内に高温流体を注入して水蒸気刺激法を実行し、分解によって発生した天然ガスは、上回収水平坑井5及び主立坑3を通じて採掘プラットフォーム1に輸送される。
【0039】
さらに、後退式採掘により、まず上記採掘立坑6を用いて主立坑3の両側のストリップ採掘区の縁に近い2つの採掘ストリップを採掘し、下エネルギー供給水平坑井7を通じて主立坑3から離れた採掘立坑6内部の流体圧力を低下させ、分解によって発生した天然ガスは、上回収水平坑井5及び主立坑3を通じて海上採掘プラットフォーム1に輸送される。
【0040】
さらに、上記採掘区の縁に近い2つの採掘ストリップの生産能力が明らかに低下し商業採掘を満たすことができない場合、ストリップ採掘区の縁から主立坑3の方へ、1つの採掘ストリップを隔てて次の作業採掘ストリップに対して採掘作業を行い、このような間隔採掘は採掘による海底地層の沈降を効果的に減少させることができ、海底地質災害が発生しやすい採掘区域に対して良好な予防作用を持つ。
【0041】
(実施形態2)
本実施形態と実施形態1の違いは、図3のように、採掘方式が間隔前進式採掘を示す図であり、まず上記採掘立井6を利用して主立坑3の両側に隣接する2つの採掘ストリップを採掘し、下エネルギー供給水平坑井7を通じて主立坑3側から離れた採掘立井6内の流体圧力を低下させ、分解によって発生した天然ガスは、上回収水平坑井5及び主立坑3を通じて海上採掘プラットフォーム1に輸送される。
【0042】
さらに、主立坑3の両側に隣接する2つの採掘ストリップの生産能力が明らかに減少して商業採掘を満たすことができない場合、主立坑3からストリップ採掘区の縁方向へ、1つの採掘ストリップを隔てて次の作業採掘ストリップに対して採掘作業を行い、このように間隔採掘はできるだけ速くガス生産を実現でき、かつこのような間隔採掘は採掘による海底地層の沈降を効果的に減少させることができ、海底地質災害が発生しやすい採掘区域に対して良好な予防作用を持つ。
【0043】
本実施形態と実施形態1の効果の違いは、ストリップを採掘する手順が逆であり、且つ構造が実施形態1と比べて比較的に複雑ではなく、ガス生産の時間と周期が短縮され、また、本実施形態は、実施形態1と比較して、ガス生産の経済的利益を迅速に達成することができる。
【0044】
(実施形態3)
本実施形態と実施形態1の違いは、図4のように、両側採掘区の同時に順次後退式採掘を示す図であり、採掘区の縁に近い2つの採掘ストリップの生産能力が明らかに低下し商業採掘を満たすことができない場合、主立坑3に至るまで、順次立井3に近い方向に沿って採掘ストリップを相次いで採掘する。
【0045】
本実施形態と実施形態1の効果の違いは、採掘区域の地質条件が比較的良く、海底地層が比較的安定している場合に該実施形態方法を用いて採掘し、本実施形態は実施形態1に比べて、採掘システムの配置が比較的簡単で、採掘ガス量が相対的に大きく、経済効果が明らかである。
【0046】
(実施形態4)
本実施形態と実施形態1の違いは、図5のように、両側採掘区の同時に順次前進式採掘を示す図であり、主立坑3の両側に隣接する2つの採掘ストリップの生産能力が明らかに低下し商業採掘を満たすことができない場合に、ストリップ採掘区の境界に至るまで、順次主立坑3から離れた方向に沿って採掘ストリップを相次いで採掘する。
【0047】
本実施形態と実施形態2の効果の違いは、採掘区域の地質条件が比較的良く、海底地層が比較的安定している場合に該実施形態方法を用いて採掘することであり、本実施形態は実施形態2に比べて、採掘システムの配置が比較的簡単で、採掘ガス量が相対的に大きく、経済効果が明らかである。
【0048】
(実施形態5と6)
本実施形態と実施形態1の違いは、図6と7のように、それぞれ片側交互に順次後退式採掘と片側交互に順次前進式採掘であり、主立坑3の片側のみに沿って採掘立井を架設し、互いに隣接する採掘立井をいくつか開設し、それぞれ後退式採掘と前進式採掘を選択する。
【0049】
片側順次採掘と両側同時採掘の効果の違いは、採掘区域が両側同時に採掘ストリップを配置できない場合、または採掘条件が非常に良く、片側採掘だけで商業採掘目標を満たすことができる場合、片側に採掘ストリップを配置し、両側同時に採掘ストリップを配置するのに比べて、生産システムは極めて簡略化されている。
【0050】
(実施形態7と8)
本実施形態と実施形態1の違いは、図8と9のように、それぞれ片側交互に間隔前進式採掘と片側交互に間隔後退式採掘であり、主立坑3の片側のみに沿って採掘立井を架設し、いくつかの相互間隔の採掘立井を開設し、それぞれ後退式採掘と前進式採掘を選択する。
【0051】
片側間隔採掘と片側順次採掘の効果の違いは、間隔を置いて採掘ストリップに対して採掘作業を行い、片側間隔採掘と両側間隔採掘の効果の違いは、採掘区域が両側同時に採掘ストリップを配置できない場合、または採掘条件が非常に良く、片側採掘だけで商業採掘目標を満たすことができる場合、片側に採掘ストリップを配置し、両側同時に採掘ストリップを配置するのに比べて、生産システムは極めて簡略化される。
【0052】
本発明の説明において、用語「縦」、「横」、「上」、「下」、「前」、「後」、「左」、「右」、「縦」、「水平坑井」、「頂」、「底」、「内」、「外」などが示す方位または位置関係は、図面に示す方位または位置関係に基づくものであり、単に本発明の説明を容易にするために、指し示したり暗示したりするのではなく、指し示す装置や要素は特定の方位、特定の方位で構成され、動作されなければならないので、本発明に対する制限とは理解できない。
【0053】
以上述べた実施例は本発明の好ましい態様についてのみ説明したものであり、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の設計精神を逸脱することなく、当業者が本発明の技術方案に対して行った様々な変形及び改良は、いずれも本発明の特許請求の範囲で定められた保護範囲内に入るべきである。
【符号の説明】
【0054】
1、海上採掘プラットフォーム;2、海水層;3、主立坑;4、覆蔽層;5、上回収水平坑井;6、採掘立井;7、下エネルギー供給水平坑井;8、天然ガスハイドレート貯蔵層;9、下部地層;10、採掘分解区域。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9