(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】出隅部材及び換気構造体
(51)【国際特許分類】
E04D 13/15 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
E04D13/15 301Z
(21)【出願番号】P 2023119348
(22)【出願日】2023-07-21
【審査請求日】2023-07-27
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和4年10月26日、株式会社ハウゼコが、株式会社ハウゼコ 2023年版カタログの第24頁にて、神戸睦史が発明した出隅部材及び換気構造体を公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592114080
【氏名又は名称】株式会社ハウゼコ
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【氏名又は名称】山本 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100224650
【氏名又は名称】野口 晴加
(72)【発明者】
【氏名】神戸 睦史
【審査官】山口 敦司
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-136296(JP,A)
【文献】特開平08-082016(JP,A)
【文献】特開平10-018540(JP,A)
【文献】特開2012-140791(JP,A)
【文献】特開2017-133274(JP,A)
【文献】特開平07-207860(JP,A)
【文献】特開昭60-144450(JP,A)
【文献】特開2022-020898(JP,A)
【文献】実開昭61-037336(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04D 13/15
E04B 1/00
E04B 1/70
E04B 1/64
E04H 17/14
E04F 13/08
E04C 2/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パラペットの笠木下出隅部分において長手方向に延びる下地躯体の内部空間の通気を行う換気構造体であって、
前記下地躯体の短手方向に設置され、前記下地躯体の内部空間に連通するように前記下地躯体の短手方向に沿って所定間隔で複数の開口が形成された側面部を備える換気部材と、
前記下地躯体の短手方向と長手方向との出隅部分に設置される出隅部材とを備え、
前記下地躯体の短手方向をx方向とし、前記下地躯体の長手方向をy方向としたとき、
前記出隅部材は、設置状態において、垂直方向に延びると共に、前記換気部材の前記側面部の外面の一部に重なるように配置される矩形平板状の第1側板部と、
前記第1側板部の前記x方向の外方側端部に接続され、前記下地躯体の長手方向に沿って配置される矩形平板状の第2側板部と、
前記第1側板部の上端と前記第2側板部の上端とに接続され、前記下地躯体の上面部の一部を覆う天板部と、
前記第1側板部の下端と前記第2側板部の下端とに接続され、前記下地躯体に向かって延びる底板部とを備え、
前記第1側板部の前記x方向の長さは、前記第2側板部の前記y方向の長さよりも短く、前記換気部材の前記側面部の前記複数の開口の少なくとも一部を露出させる範囲の長さに設定される、
換気構造体。
【請求項2】
前記天板部は、内方側端部が前記下地躯体の上面部に固定される水平部と、前記水平部の外方側端部から外方に向かって斜め下方に延びる傾斜部とを備え、
前記底板部は、前記第1側板部及び前記第2側板部に向かって下り勾配の傾斜を有している、請求項1記載の
換気構造体。
【請求項3】
前記底板部の下面から下方に延び、前記下地躯体の側面部に固定される取付部とを更に備え、
前記天板部は、前記下地躯体の上面部に固定される、請求項1又は請求項2記載の
換気構造体。
【請求項4】
前記底板部と前記取付部とによって形成される隅部に、弾性的に圧縮可能な止水材が配置される、請求項3記載の
換気構造体。
【請求項5】
請求項1記載の換気構造体に用いられる、出隅部材。
【請求項6】
パラペットの笠木下出隅部分において長手方向に延びる下地躯体の内部空間の通気を行う換気構造体であって、
前記下地躯体の短手方向に設置される短手方向側換気部材と、
前記下地躯体の長手方向に設置される一対の長手方向側換気部材と、
前記短手方向側換気部材と一対の前記長手方向側換気部材とによって形成される2つの出隅部分を覆うようにそれぞれ設置される第1の出隅部材及び第2の出隅部材とを備え、
前記短手方向側換気部材は、前記下地躯体の内部空間に連通するように前記下地躯体の短手方向に沿って所定間隔で複数の開口が形成された短手方向側側面部を備え、
一対の前記長手方向側換気部材の各々は、前記下地躯体の内部空間に連通するように前記下地躯体の長手方向に沿って所定間隔で複数の通気口が形成された長手方向側側面部を備え、
前記第1の出隅部材は、前記下地躯体の短手方向をx方向とし、前記下地躯体の長手方向をy方向としたとき、設置状態において、垂直方向に延びると共に、前記短手方向側換気部材の前記短手方向側側面部の外面の一部に重なるように配置される矩形平板状の第1側板部と、
前記第1側板部の前記x方向の外方側端部に接続され、前記下地躯体の長手方向に沿って配置される矩形平板状の第2側板部とを備え、
前記第1側板部の前記x方向の長さが前記第2側板部の前記y方向の長さよりも短く、前記短手方向側換気部材の前記複数の開口の少なくとも一部を露出させる範囲の長さに設定される、換気構造体。
【請求項7】
前記第2の出隅部材は、設置状態において、垂直方向に延びると共に、前記短手方向側換気部材の前記短手方向側側面部の外面の一部に重なるように配置される矩形平板状の第1側板部と、
前記第2の出隅部材の第1側板部の前記x方向の外方側端部に接続され、前記下地躯体の長手方向に沿って配置される矩形平板状の第2側板部とを備え、
前記第2の出隅部材の前記第1側板部の前記x方向の長さが前記第2側板部の前記y方向の長さよりも長い、請求項6記載の換気構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は出隅部材及び換気構造体に関し、特に、パラペット等の笠木を備える構造体の出隅部分に配置される出隅部材、及び、これを用いて構築される換気構造体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、塀、バルコニー手摺、パラペット等の下地躯体(立上り躯体)に設置され、笠木下の下地躯体内部の換気を行うために用いられる換気構造体が存在する。
【0003】
図14は、従来の換気構造体の全体構造を示す概略斜視図である。
【0004】
従来の換気構造体104は、下地躯体100に沿って長尺状の笠木下換気部材110が設置されると共に、入隅部分には入隅部材、出隅部分には出隅部材111が隅部分を覆うように設置されている。又、笠木下換気部材110の側面部113には下地躯体100の内部空間に連通する開口114が形成されている。これによって、笠木下の下地躯体内部における通気性能を発揮する構成となっている。
【0005】
軒側以外の三方にパラペットを立ち上げたパラペット屋根住宅等では、パラペット端部において短手方向の対向する出隅同士が近接する場合がある。従来の換気構造体104は、このような幅の狭いパラペット端部であっても、下地躯体100の長手方向においては、笠木下換気部材110の開口114を介して通気可能な状態となっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、下地躯体100の短手方向においては、出隅部材111a、111bによって短手方向側に設置された笠木下換気部材の開口が塞がれるため、パラペット端部における通気性能の信頼性が十分とは言えない。そのため、パラペット端部において暖められて湿った空気が滞留する虞があった。
【0007】
又、パラペット端部の幅に合わせて出隅部材の長さを現場で加工しようとすると、完成度が施工者の習熟度に左右される。
【0008】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、パラペット端部の幅に関わらず容易に設置できる出隅部材及びこれを用いた換気構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、パラペットの笠木下出隅部分において長手方向に延びる下地躯体の内部空間の通気を行う換気構造体であって、下地躯体の短手方向に設置され、下地躯体の内部空間に連通するように下地躯体の短手方向に沿って所定間隔で複数の開口が形成された側面部を備える換気部材と、下地躯体の短手方向と長手方向との出隅部分に設置される出隅部材とを備え、下地躯体の短手方向をx方向とし、下地躯体の長手方向をy方向としたとき、出隅部材は、設置状態において、垂直方向に延びると共に、換気部材の側面部の外面の一部に重なるように配置される矩形平板状の第1側板部と、第1側板部のx方向の外方側端部に接続され、下地躯体の長手方向に沿って配置される矩形平板状の第2側板部と、第1側板部の上端と第2側板部の上端とに接続され、下地躯体の上面部の一部を覆う天板部と、第1側板部の下端と第2側板部の下端とに接続され、下地躯体に向かって延びる底板部とを備え、第1側板部のx方向の長さは、第2側板部のy方向の長さよりも短く、換気部材の側面部の複数の開口の少なくとも一部を露出させる範囲の長さに設定されるものである。
【0010】
このように構成すると、幅の狭いパラペットへの出隅部材の設置が容易となる。又、換気部材の露出した開口を介して通気可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、天板部は、内方側端部が下地躯体の上面部に固定される水平部と、水平部の外方側端部から外方に向かって斜め下方に延びる傾斜部とを備え、底板部は、第1側板部及び第2側板部に向かって下り勾配の傾斜を有しているものである。
【0012】
このように構成すると、出隅部材の内部に浸入した雨水が外方側に向かう。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、底板部の下面から下方に延び、下地躯体の側面部に固定される取付部とを更に備え、天板部は、下地躯体の上面部に固定されるものである。
【0014】
このように構成すると、出隅部材が天板部及び取付部の2箇所で下地躯体に固定される。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、底板部と取付部とによって形成される隅部に、弾性的に圧縮可能な止水材が配置されるものである。
【0018】
このように構成すると、取付部の表面に外装材を配置する際に、外装材が止水材を圧縮変形させる。
請求項5記載の発明は、請求項1記載の換気構造体に用いられる、出隅部材である。
このように構成すると、幅の狭いパラペットへの出隅部材の設置が容易となる。
【0019】
請求項6記載の発明は、パラペットの笠木下出隅部分において長手方向に延びる下地躯体の内部空間の通気を行う換気構造体であって、下地躯体の短手方向に設置される短手方向側換気部材と、下地躯体の長手方向に設置される一対の長手方向側換気部材と、短手方向側換気部材と一対の長手方向側換気部材とによって形成される2つの出隅部分を覆うようにそれぞれ設置される第1の出隅部材及び第2の出隅部材とを備え、短手方向側換気部材は、下地躯体の内部空間に連通するように下地躯体の短手方向に沿って所定間隔で複数の開口が形成された短手方向側側面部を備え、一対の長手方向側換気部材の各々は、下地躯体の内部空間に連通するように下地躯体の長手方向に沿って所定間隔で複数の通気口が形成された長手方向側側面部を備え、第1の出隅部材は、下地躯体の短手方向をx方向とし、下地躯体の長手方向をy方向としたとき、設置状態において、垂直方向に延びると共に、短手方向側換気部材の短手方向側側面部の外面の一部に重なるように配置される矩形平板状の第1側板部と、第1側板部のx方向の外方側端部に接続され、下地躯体の長手方向に沿って配置される矩形平板状の第2側板部とを備え、第1側板部のx方向の長さが第2側板部のy方向の長さよりも短く、短手方向側換気部材の複数の開口の少なくとも一部を露出させる範囲の長さに設定されるものである。
【0020】
このように構成すると、短手方向の対向する出隅同士が近接したパラペットに出隅部材を設置した場合であっても、短手方向側換気部材の露出した開口を介して通気可能となる。
【0021】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の構成において、第2の出隅部材は、設置状態において、垂直方向に延びると共に、短手方向側換気部材の短手方向側側面部の外面の一部に重なるように配置される矩形平板状の第1側板部と、第2の出隅部材の第1側板部のx方向の外方側端部に接続され、下地躯体の長手方向に沿って配置される矩形平板状の第2側板部とを備え、第2の出隅部材の第1側板部のx方向の長さが第2側板部のy方向の長さよりも長いものである。
【0022】
このように構成すると、第1の出隅部材及び第2の出隅部材の第1側板部の内面と短手方向側換気部材の短手方向側側面部の外面とが密着する。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、幅の狭いパラペットへの出隅部材の設置が容易となるため、使用勝手が向上する。又、換気部材の露出した開口を介して通気可能となるため、下地躯体の短手方向における通気性能の信頼性が向上する。
【0024】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、出隅部材の内部に浸入した雨水が外方側に向かうため、下地躯体の内部への雨水の浸入を防止する。
【0025】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、出隅部材が天板部及び取付部の2箇所で下地躯体に固定されるため、出隅部材の取付状態が強固で安定したものになる。
【0027】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、取付部の表面に外装材を配置する際に、外装材が止水材を圧縮変形させるため、出隅部材と外装材との間の隙間を水密的に閉塞して、信頼性に優れた止水構造を形成できる。
請求項5記載の発明は、幅の狭いパラペットへの出隅部材の設置が容易となるため、使用勝手が向上する。
【0028】
請求項6記載の発明は、短手方向の対向する出隅同士が近接したパラペットに出隅部材を設置した場合であっても、短手方向側換気部材の露出した開口を介して通気可能となるため、パラペット端部における通気性能の信頼性が向上する。
【0029】
請求項7記載の発明は、請求項6記載の発明の効果に加えて、第1の出隅部材及び第2の出隅部材の第1側板部の内面と短手方向側換気部材の短手方向側側面部の外面とが密着するため、通気性能を確保しつつ、取付状態が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】この発明の実施の形態による換気構造体の外観形状を示す概略斜視図である。
【
図2】
図1で示した換気構造体の長手方向側換気部材の外観形状を示す概略斜視図である。
【
図3】
図1で示した換気構造体の第1の出隅部材の組立て前の状態を示す展開図である。
【
図4】
図1で示した第1の出隅部材の外観形状を示す概略斜視図である。
【
図5】
図4に示した出隅部材のV方向矢視図である。
【
図6】
図4に示した出隅部材のVI方向矢視図である。
【
図7】
図4で示したVII-VIIラインの拡大端面図である。
【
図8】
図1で示した第2の出隅部材の外観形状を示す概略斜視図である。
【
図9】
図1で示した長手方向側換気部材の設置状態を示す概略図である。
【
図10】
図1で示した換気構造体の使用状態を示す概略斜視図である。
【
図11】
図1で示した換気構造体の使用状態を示す平面図である。
【
図12】
図11で示したXII-XIIラインの概略拡大断面図である。
【
図13】
図11で示したXIII-XIIIラインの概略拡大断面図である。
【
図14】従来の換気構造体の全体構造を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
図1は、この発明の実施の形態による換気構造体の外観形状を示す概略斜視図である。
【0032】
図1を参照して、換気構造体4は、塀、バルコニー手摺、パラペット等の木材からなる下地躯体50に設置されている。尚、下地躯体50は、長手方向に延び、上面部51と、側面部52とを有し、これらの内側が通気用の中空の内部空間となっている。
【0033】
尚、以下では、説明の都合上、下地躯体50の短手方向(
図1のx方向)をx方向と言い、下地躯体50の長手方向(
図1のy方向)をy方向と言うことがある。
【0034】
換気構造体4は、パラペット等の笠木下出隅部分において、長手方向に延びる下地躯体50の内部空間に連通するように下地躯体50の短手方向に設置される換気部材(短手方向側換気部材)2と、下地躯体50の長手方向に設置される一対の長手方向側換気部材3a、3bと、短手方向側換気部材2と一対の長手方向側換気部材3a、3bとによって形成される2つの出隅部分を覆うようにそれぞれ設置される出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)とを備える。
【0035】
この出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の具体的な設置状態について説明する前に、換気構造体4を構成する長手方向側換気部材3及び短手方向側換気部材2について説明する。まず、長手方向側換気部材3について説明する。
【0036】
図2は、
図1で示した換気構造体の長手方向側換気部材の外観形状を示す概略斜視図である。
【0037】
図1及び
図2を参照して、長手方向側換気部材3は、正面視長尺の矩形形状のガルバリウム鋼板(登録商標)等の鋼板素材からなる平板を短手方向に折り曲げて形成され、
図1で示す設置状態において、下地躯体50の上面部51に取り付けられる天面部61と、天面部61の下部に設けられ、内部に通気路を有し、通気路と外気とを連通させる通気口65を備える本体部62と、本体部62の内側に設けられ、通気口65から浸入する雨水を衝突させる障壁部63と、本体部62の下面から下方へ延びる取付板部64とから主に構成されている。
【0038】
本体部62は、天面部61の一端部から垂下する側面部(長手方向側側面部)66と、側面部66の下端から取付板部64の上端まで延びる底面部67とを備え、障壁部63は、取付板部64の上端から底面部67に対し鋭角を成して側面部66へ向かって延びるように形成されている。側面部66には、下地躯体50の内部空間に連通するように下地躯体50の長手方向に沿って所定間隔で複数の通気口65が形成されている。
【0039】
天面部61は、自由端側の主部68と、主部68に対しわずかな角度で折れ曲がる側面部66側の傾斜面部69とを含む。
【0040】
底面部67は、取付板部64との成す角度が直角よりもわずかに小さく設定され、これにより、側面部66へ向かって緩やかに下る角度の排水勾配が付与される。
【0041】
次に、短手方向側換気部材2について説明する。
【0042】
図1を再度参照して、短手方向側換気部材2の基本的な構造は、上述した長手方向側換気部材3と同様であり、下地躯体50の短手方向の長さに対応するように長尺状の換気部材を切って用いられる。又、側面部(短手方向側側面部)76には、下地躯体50の内部空間に連通するように下地躯体50の短手方向に沿って所定間隔で複数の開口75が形成されている。開口75は、パラペット端部において暖められて湿った空気が滞留しないように換気するために設けられている。
【0043】
次に、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)について説明する。
【0044】
図3は、
図1で示した換気構造体の第1の出隅部材の組立て前の状態を示す展開図であり、
図4は、
図1で示した第1の出隅部材の外観形状を示す概略斜視図であり、
図5は、
図4に示した出隅部材のV方向矢視図であり、
図6は、
図4に示した出隅部材のVI方向矢視図であり、
図7は、
図4で示したVII-VIIラインの拡大端面図である。尚、
図4から
図7で示す組立て後の出隅部材の上下方向は、設置状態の上下方向と同一である。
【0045】
図3を参照して、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)は、ガルバリウム鋼板等の1枚の金属板を
図3で示すような形状に打ち抜いたブランク板(金属製板材)30を折り曲げて形成されている。
【0046】
まず、第1の出隅部材1について説明する。
【0047】
図1、及び、
図4から
図7を参照して、第1の出隅部材1は、設置状態において、垂直方向に延びると共に、短手方向側換気部材2の側面部76の外面の一部に重なるように配置される矩形平板状の第1側板部11と、第1側板部11のx方向の外方(設置状態における屋外方向)側端部に接続され、下地躯体50の長手方向に沿って配置される矩形平板状の第2側板部12と、第1側板部11の上端と第2側板部12の上端とに接続され、下地躯体50の上面部51の一部を覆う天板部13と、第1側板部11の下端と第2側板部12の下端とに接続され、下地躯体50に向かって延びる底板部14と、底板部14の下面から下方に延びる取付部15とから主に構成されている。第1側板部11のx方向の長さW1は、第2側板部12のy方向の長さW2よりも短く、短手方向側換気部材2の側面部76の複数の開口75の少なくとも一部を露出させる範囲の長さに設定されている。
【0048】
天板部13は、平面視L字形状を有し、内方(
図7の左方向であり、設置状態における屋内方向、及び、平面視における下地躯体中央の方向)側端部が下地躯体50の上面部51に固定される水平部16と、水平部16の外方(
図7の右方向であり、設置状態における屋外方向)側端部から外方に向かって斜め下方に延びる傾斜部17とを備える。
【0049】
図5から
図7を参照して、底板部14は、取付部15との成す角度が直角よりもわずかに小さく設定され、これにより第1側板部11及び第2側板部12に向かって下り勾配の傾斜を有している。又、傾斜部17及び底板部14は互いに平行に配置され、各々は外方(設置状態における屋外方向)に向かって斜め下方に傾斜している。
【0050】
取付部15は、底板部14の内方(設置状態における屋内方向)側端部に接続され、垂直下方に延びる。
【0051】
底板部14と取付部15とによって形成される隅部には、止水材18が配置される。止水材18は、弾性変形可能であって不透水性を有し、長期間にわたり劣化しにくい材料から成り、例えばエチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)が用いられる。
【0052】
これらのように構成した効果については後述する。
【0053】
次に、第2の出隅部材10について説明する。
【0054】
図8は、
図1で示した第2の出隅部材の外観形状を示す概略斜視図である。
【0055】
第2の出隅部材10は、基本的に第1の出隅部材と同一の形状であるが、設置する向きが異なっている。第2の出隅部材10は、設置状態において、垂直方向に延びると共に、短手方向側換気部材2の側面部76の外面の一部に重なるように配置される矩形平板状の第1側板部21と、第1側板部21のx方向の外方(設置状態における屋外方向)側端部に接続され、下地躯体50の長手方向に沿って配置される矩形平板状の第2側板部22と、第1側板部21の上端と第2側板部22の上端とに接続され、下地躯体50の上面部51の一部を覆う天板部23と、第1側板部21の下端と第2側板部22の下端とに接続され、下地躯体50に向かって延びる底板部24と、底板部24の下面から下方に延びる取付部25とから主に構成されている。
【0056】
又、第1の出隅部材1と同様に、天板部23は、平面視L字形状を有し、内方側端部が下地躯体50の上面部51に固定される水平部26と、水平部26の外方側端部から外方に向かって斜め下方に延びる傾斜部27とを備える。
【0057】
底板部24は、取付部25との成す角度が直角よりもわずかに小さく設定され、これにより第1側板部21及び第2側板部22に向かって下り勾配の傾斜を有している。又、傾斜部27及び底板部24は互いに平行に配置され、各々は外方(設置状態における屋外方向)に向かって斜め下方に傾斜している。
【0058】
取付部25は、底板部24の内方(設置状態における屋内方向)側端部に接続され、垂直下方に延びる。
【0059】
底板部24と取付部25とによって形成される隅部には、弾性変形可能な止水材28が配置される。
【0060】
上述したように、第2の出隅部材10は、第1の出隅部材1と設置する向きが異なっている。即ち、第1の出隅部材1の第1側板部11に相当する側の面(第2の出隅部材10における第2側板部22)を下地躯体50の長手方向側に配置し、第1の出隅部材1の第2側板部12に相当する側の面(第2の出隅部材10における第1側板部21)を下地躯体50の短手方向側に配置するように設置する。そして、第2の出隅部材10の第1側板部21のx方向の長さW3は、第2側板部22のy方向の長さW4よりも長く、短手方向側換気部材2の側面部76の複数の開口75の少なくとも一部を露出させる範囲の長さに設定されている。
【0061】
次に、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の具体的な組立て手順について説明する。
【0062】
図3から
図6を再度参照して、ブランク板30は、組立て後の出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の第1側板部に相当する第1側板部相当部31と、第2側板部に相当する第2側板部相当部32と、天板部の水平部に相当する水平部相当部36a、36bと、天板部の傾斜部に相当する傾斜部相当部37a、37bと、底板部に相当する底板部相当部34a、34bと、取付部に相当する取付部相当部35a、35bとから主に構成されている。
【0063】
まず、
図3で示すブランク板30の第1側板部相当部31及び第2側板部相当部32を底板部相当部34a、34bとの接続部分に沿って垂直方向に立ち上げると共に、底板部相当部34a、34bが第1側板部相当部31及び第2側板部相当部32に対して約3°上方に傾斜するように折り曲げる。
【0064】
次に、傾斜部相当部37a、37bを第1側板部相当部31及び第2側板部相当部32との接続部分に沿って底面部相当部34a、34bと平行に配置するように折り曲げる。そして、水平部相当部36a、36bを傾斜部相当部37a、37bとの接続部分に沿って水平方向に折り曲げる。
【0065】
次に、取付部相当部35a、35bを底板部相当部34a、34bとの接続部分に沿って垂直下方に折り曲げる。
【0066】
次に、第1側板部相当部31を第2側板部相当部32との接続部分に沿って平面視直角方向に折り曲げる。その際、第2側板部相当部32に接続される側の傾斜部相当部37bの一部から延出する重ね代38は、第1側板部31に接続される側の傾斜部相当部37aの裏側に配置させる。又、第1側板部相当部31に接続される側の水平部相当部36aの一部から延出する重ね代39は、水平部相当部36bの裏側に配置させると共に、第2側板部相当部に接続される側の水平部相当部36bの一部から延出する折り曲げ片43を重ね代39の下方に折り曲げる。更に、第1側板部相当部31に接続される側の底板部相当部34aの一部から延出する重ね代40は、第2側板部相当部32に接続される側の底板部相当部34bの裏側に配置させる。更に、第1側板部相当部31に接続される側の取付部35aの一部から延出する重ね代41は、第2側板部相当部32に接続される側の取付部35bの裏側に配置させる。更に、第2側板部相当部32に接続される側の取付部35bの一部から延出する重ね代42a、42bは、第1側板部相当部31に接続される側の取付部35aの表側に配置させると共に、第1側板部相当部31に接続される側の取付部35aの一部から延出する折り曲げ片44を重ね代42bを挟んで上方に折り曲げる。
【0067】
最後に、底板部14と取付部15とによって形成される隅部に止水材18を接着剤等で取り付けて、
図4から
図6で示す第1の出隅部材1が完成する。
【0068】
尚、上述の組立て手順は一例を示すものであり、前後しても構わない。
【0069】
次に、
図1で示した換気構造体4の施工方法について説明する。
【0070】
図9は、
図1で示した長手方向側換気部材の設置状態を示す概略図であり、
図10は、
図1で示した換気構造体の使用状態を示す概略斜視図であり、
図11は、
図1で示した換気構造体の使用状態を示す平面図であり、
図12は、
図11で示したXII-XIIラインの概略拡大断面図であり、
図13は、
図11で示したXIII-XIIIラインの概略拡大断面図である。
【0071】
図9から
図13を参照して、まず下地躯体50における側面部52の表面を、防水紙等の透湿性を有する防水シート53で覆った後、上面部51を含む上部領域を、防水性能がより高い鞍掛シート54で覆う。そして、下地躯体50の側面部52に防水シート53及び鞍掛シート54を介して胴縁55を施工する。
【0072】
次に、長手方向側換気部材3a、3bを下地躯体50の長手方向に設置し、短手方向側換気部材2を下地躯体50の短手方向に設置する。このとき、長手方向側換気部材3a、3b及び短手方向側換気部材2の天面部61、71を下地躯体50の上面部51に載置すると共に、取付板部64、74を胴縁55の表面に当接させる。このようにすると、短手方向側換気部材2と一対の長手方向側換気部材3a、3bとによって2つの出隅部分が形成される。
【0073】
これらの2つの出隅部分を覆うように出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)をそれぞれ設置する。まず、第1の出隅部材1を設置する。
図13を参照して、このとき、第1の出隅部材1の第1側板部11を下地躯体50の短手方向側に配置する。そして、第1の出隅部材1の天板部13を下地躯体50の出隅部分の上面部51に載置すると共に、取付部15を胴縁55bの表面に当接させる。
【0074】
次に、第2の出隅部材10を設置する。尚、第1の出隅部材1と第2の出隅部材10とは同一の形状を有しているが、第2の出隅部材10は第1の出隅部材1と設置する向きが異なっている。即ち、第1の出隅部材1の第1側板部11と同一の形状を有する面(第2の出隅部材10における第2側板部22)を下地躯体50の長手方向側に配置し、第1の出隅部材1の第2側板部12と同一の形状を有する面(第2の出隅部材10における第1側板部21)を下地躯体50の短手方向側に配置する。
図12及び
図13を参照して、第2の出隅部材10の天板部23を下地躯体50の出隅部分の上面部51に載置すると共に、取付部25を胴縁55aの表面に当接させる。このように第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10を設置すると、
図1に示すように出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の短手方向側端部は短手方向側換気部材2の外面の一部に重なり、長手方向側端部は長手方向側換気部材3a、3bの外面の一部に重なった状態になっている。
【0075】
そして、
図4に示すように第1の出隅部材1の第1側板部11のx方向の長さW1は第1の出隅部材10の第2側板部12のy方向の長さW2よりも短くなっている。一方、
図8に示すように第2の出隅部材10の第1側板部21のx方向の長さW3は第2の出隅部材10の第2側板部22のy方向の長さW4よりも長くなっている。又、
図1に示す設置状態において第1の出隅部材1の第1側板部11のx方向の長さと第2の出隅部材10の第1側板部21のx方向の長さを合計(W1+W3)しても、短手方向側換気部材2の側面部76の複数の開口75の少なくとも一部を露出させた状態になっている。
【0076】
次に、釘又はビス80bを、取付板部64b、74及び第1の出隅部材1の取付部15を挿通させて胴縁55bに打ち込み、取付板部64b、74及び取付部15を胴縁55bに固定する。そして、釘又はビス80aを、取付板部64a、74及び第2の出隅部材10の取付部25を挿通させて胴縁55aに打ち込み、取付板部64a、74及び取付部25を胴縁55aに固定する。これにより、長手方向側換気部材3a、3b、短手方向側換気部材2及び出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)が、下地躯体50の所定位置に取り付けられ、
図1に示すような換気構造体4を得ることができる。このように換気構造体4を設置することにより、短手方向の対向する出隅同士が近接したパラペットに出隅部材を設置した場合であっても、短手方向側換気部材2の露出した開口75を介して通気可能となるため、パラペット端部における通気性能の信頼性が向上する。又、第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10の第1側板部11、21の内面と短手方向側換気部材2の短手方向側側面部76の外面とが密着するため、通気性能を確保しつつ、取付状態が安定する。
【0077】
その後、外装材56a、56bを、胴縁55a、55bを介して下地躯体50の側方に装着する。このとき、外装材56a、56bの上端面及び背面の上端側で、取付部15、25の表面に配置した止水材18、28を弾性的に圧縮変形させる。このようにすると、止水材18、28が外装材56a、56bと取付部15、16との間を水密的に充填して止水構造を形成するので、この部分から下地躯体50への浸水が阻止される。
【0078】
更に、下地躯体50の上面部51において、短手方向側換気部材2及び長手方向側換気部材3における天面部61、71、及び、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)における天板部13、23の縁部を防水テープ等の防水材(不図示)で覆う。これにより、天面部61、71及び天板部13、23と鞍掛シート54との間の隙間から、下地躯体50側への漏水が生じるのを防止することができる。
【0079】
次に、下地躯体50の上面部51に、釘やビス等(不図示)を用いて笠木取付具57を固定する。
【0080】
最後に、笠木カバー58を、短手方向側換気部材2、長手方向側換気部材3及び出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の上面を覆うように、笠木取付具57に装着し、笠木エンド59を笠木カバー58の長手方向端部に装着すれば、換気構造体4の施工が完了する。
【0081】
次に、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の効果について説明する。
【0082】
上述したように、出隅部材(第1の出隅部材1)は、第1側板部11のx方向の長さW1が第2側板部12のy方向の長さW2よりも短く設定されている。これによって、幅の狭いパラペットに出隅部材を設置する際に、パラペット端部の幅に合わせて出隅部材の長さを現場で加工する必要がなくなる。そのため、幅の狭いパラペットへの出隅部材の設置が容易となるため、使用勝手が向上する。
【0083】
そして、通気状態にあっては、
図12の矢印A1、A2で示すように、建物内の暖まった空気は図示しない小屋裏空間と連通している通気路を上り、短手方向側換気部材2の開口75の各々を介して外部へ排出される。又、
図13の矢印B1、B2で示すように、建物内の空気は長手方向側換気部材3の通気口65の各々を介しても外部へ排出される。一方、外部の空気が建物内に入り込む状況の場合には、図の矢印と反対の流れとなる。これによって、笠木内部(通気路上部)に空気が滞留することを防止し、結露や腐朽の発生を防止する。
【0084】
又、上述したように、出隅部材(第1の出隅部材1)は、設置状態において、第1側板部11のx方向の長さW1が短手方向側換気部材2の側面部76の複数の開口75の少なくとも一部を露出させる範囲の長さに設定されている。従って、
図1に示すように短手方向側換気部材2の開口75が出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)によって完全に塞がれることがなく、露出した開口75を介して通気可能となる。そのため、下地躯体50の短手方向における通気性能の信頼性が向上する。
【0085】
換言すると、換気構造体4は、パラペットの笠木下出隅部分において長手方向に延びる下地躯体50の短手方向に設置される短手方向側換気部材2と、下地躯体50の長手方向に設置される一対の長手方向側換気部材3a、3bと、短手方向側換気部材2と一対の長手方向側換気部材3a、3bとによって形成される2つの出隅部分を覆うようにそれぞれ設置される第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10とを備え、第1の出隅部材1は、第1側板部11のx方向の長さW1が第2側板部12のy方向の長さW2よりも短く、短手方向側換気部材2の複数の開口75の少なくとも一部を露出させる範囲の長さに設定されている。このように構成することで、短手方向の対向する出隅同士が近接したパラペットに出隅部材を設置した場合であっても、短手方向側換気部材2の露出した開口75を介して通気可能となる。そのため、パラペット端部における通気性能の信頼性が向上する。
【0086】
一方、雨水はパラペットに向けて上方からだけでなく、水平方向や斜め下方からも吹き込む。上述したように、底板部14、24と取付部15、25とによって形成される隅部に、弾性的に圧縮可能な止水材18、28が配置されることにより、取付部15、25の表面に配置された外装材56が止水材18、28を圧縮変形させる。そのため、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)と外装材56との間の隙間を水密的に閉塞して、信頼性に優れた止水構造を形成できる。
【0087】
又、水平方向や斜め下方から吹き込んだ雨水は主に短手方向側換気部材2の開口75の各々、長手方向側換気部材3の通気口65の各々を介して、換気部材内に一部が浸入する場合がある。その後、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の内部にも浸入する。しかしながら、上述したように、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の天板部13、23の傾斜部17、27及び底板部14、24は互いに平行に配置され、各々は外方(設置状態における屋外方向)に向かって下方に傾斜している。従って、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の内部に浸入した雨水が外方側(設置状態における屋外方向)に向かう。そのため、下地躯体50の内部への雨水の浸入を防止する。
【0088】
更に、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)は、下地躯体50の上面部51に固定される天板部13、23と、下地躯体50の側面部52に固定される取付部15、25とを備えることにより、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)が天板部13、23及び取付部15、25の2箇所で下地躯体50に固定される。そのため、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)の取付状態が強固で安定したものになる。
【0089】
更に、出隅部材(第1の出隅部材1及び第2の出隅部材10)は、所定形状に形成された1枚の金属製板材30を折り曲げることで形成されていることにより、部品点数が低減するため、コスト的に有利になる。
【0090】
尚、上記の実施の形態では、出隅部材の第1側板部、第2側板部及び底面部には開口が形成されていないが、第1側板部、第2側板部及び底面部、又はいずれかに開口が形成されていても良い。第1側板部、第2側板部及び底面部、又はいずれかに開口が形成されている場合には、出隅部材の開口を介して通気可能となるため、パラペット端部における通気性能の信頼性が更に向上する。
【0091】
又、上記の実施の形態では、第1側板部は第2側板部に対して平面視直角方向に接続されていたが、出隅部分を覆う形状であれば他の形状であっても良い。例えば、平面視で一部又は全部が湾曲していても良い。
【0092】
更に、上記の実施の形態では、第1側板部及び第2側板部は矩形平板状を有するものであったが、出隅部分を覆う形状であれば他の形状であっても良い。
【0093】
更に、上記の実施の形態では、天板部は平面視L字形状を有するものであったが、出隅部分の上面の一部を覆う形状であれば、他の形状であっても良い。
【0094】
更に、上記の実施の形態では、出隅部材は鋼板からなるものであったが、他の素材からなるものであっても良い。例えば、アルミニウムや合成樹脂からなるものが挙げられる。
【0095】
更に、上記の実施の形態では、短手方向側換気部材及び長手方向側換気部材は特定の構成を有するものであったが、これに限らず、他の構成によるものであっても良い。
【0096】
更に、上記の実施の形態では、傾斜部と底板部とは平行に配置されていたが、これらは平行に配置されていなくとも良い。
【0097】
更に、上記の実施の形態では、天板部は水平部と傾斜部とから構成されていたが、傾斜部はなくとも良い。又、全てが水平部でも良いし、全てが傾斜部でも良い。
【0098】
更に、上記の実施の形態では、取付部を備えていたが、取付部はなくとも良い。
【0099】
更に、上記の実施の形態では、天板部が下地躯体の上面部に固定されていたが、固定されていなくとも良い。
【0100】
更に、上記の実施の形態では、換気部材と外装材との間をEPDM製の止水材でシールしているが、弾性変形するものであれば他の素材であっても良い。又、設置する場所は底板部と取付部とによって形成される隅部でなくとも良い。更に、両者の間の隙間を、コーキング材等で充填する構成としても良い。
【0101】
更に、上記の実施の形態では、出隅部材の天板部及び換気部材の天面部の端部を防水材で覆う構成としたが、それらの下面を、接着剤や両面粘着テープ等で貼り付ける構成としても良い。
【0102】
更に、上記の実施の形態では、出隅部材は1枚の金属板から形成されるものであったが、他の方法によって製造しても良い。例えば、2枚以上の金属板を溶接等で組み合わせて形成されるものが挙げられる。
【0103】
更に、上記の実施の形態では、換気構造体は幅の狭いパラペットの笠木下出隅部分において用いられていたが、換気構造体は幅の広いパラペットの笠木下出隅部分においても用いることができる。
【0104】
更に、上記の実施の形態では、短手方向側換気部材は下地躯体内の空気を換気できる構造であれば他の構成であっても良い。例えば、底面部から換気する構造や天面部から換気する構造が挙げられる。
【0105】
更に、上記の実施の形態では、下地躯体の長手方向に長手方向側換気部材が設置されていたが、設置されていなくとも良い。又、長手方向の一部にのみ設置されていても良いし、長手方向に連続して設置されていても良い。
【0106】
更に、上記の実施の形態では、第1の出隅部材及び第2の出隅部材は互いに同一の形状であったが、同一の形状でなくても良い。同一の形状の場合、第1の出隅部材及び第2の出隅部材の規格を統一できるため、コスト的に有利となる。又、同一の形状にしない場合、例えば左右対称の形状(下地躯体の中央線に沿って第1の出隅部材と第2の出隅部材とが面対称となる形状)が挙げられる。その場合、短手方向側換気部材の開口の露出する範囲を更に大きくすることができるため、通気性能の信頼性が更に向上した換気構造体となる。
【0107】
更に、上記の実施の形態では、第2の出隅部材の第1側板部のx方向の長さW3は第2の出隅部材の第2側板部のy方向の長さW4よりも長く設定されていたが、W3とW4とは同じ長さであっても良く、第1側板部のx方向の長さW3が短手方向側換気部材の複数の開口の少なくとも一部を露出させる範囲の長さのものは本発明に含まれる。
【0108】
更に、上記の実施の形態では、第1の出隅部材の第2側板部のy方向の長さW2と第2の出隅部材の第1側板部のx方向の長さW3とは同じ長さに設定されているが、これらは同じ長さでなくても良い。第1の出隅部材の第1側板部のx方向の長さと第2の出隅部材の第1側板部のx方向の長さを合計した長さ(W1+W3)が短手方向側換気部材の複数の開口の少なくとも一部を露出させる範囲の長さであれば、第1側板部に対する第2側板部の長さの差異が第1の出隅部材と第2の出隅部材とで異なっていても良い。
【0109】
更に、上記の実施の形態では、短手方向側換気部材の短手方向側側面部に対して特定形状及び特定配置にて複数の開口が形成されていたが、他の形状及び配置にて形成されても良い。又、設置状態において出隅部材に重なる部分には開口が形成されていなくても良い。その場合、短手方向側換気部材の短手方向側側面部の複数の開口は全て露出することになるが、このようなものも本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1…第1の出隅部材
2…換気部材(短手方向側換気部材)
3…長手方向側換気部材
4…換気構造体
10…第2の出隅部材
11…第1側板部
12…第2側板部
13…天板部
14…底板部
15…取付部
16…水平部
17…傾斜部
18…止水材
21…第1側板部
22…第2側板部
30…金属製板材
50…下地躯体
51…上面部
52…側面部
65…通気口
66…長手方向側側面部
75…開口
76…短手方向側側面部
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
【要約】
【課題】 パラペット端部の幅に関わらず容易に設置できる出隅部材及びこれを用いた換気構造体を提供する。
【解決手段】 出隅部材1はパラペットの笠木下において、長手方向に延びる下地躯体50の短手方向に沿って設置される換気部材2と長手方向との出隅部分を覆うように設置される。出隅部材1は、垂直方向に延びる第1側板部11と、第1側板部の外方側端部に接続され、下地躯体50の長手方向に沿って配置される第2側板部12とを備える。換気部材2は下地躯体50の短手方向に沿って複数の開口75が形成された側面部76を備え、出隅部材1の第1側板部11は側面部76の外面の一部に重なるように配置されると共に、開口75を露出させる範囲の長さに設定される。このように構成すると、出隅部材をパラペット端部に容易に設置できると共に、換気部材2の露出した開口75を介して通気可能となるため、パラペット端部における通気性能の信頼性が向上する。
【選択図】
図1