(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】建物変化検出装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/16 20240101AFI20240201BHJP
【FI】
G06Q50/16
(21)【出願番号】P 2023184369
(22)【出願日】2023-10-27
【審査請求日】2023-10-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522304338
【氏名又は名称】マイクロベース株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128451
【氏名又は名称】安田 隆一
(72)【発明者】
【氏名】仙石 裕明
(72)【発明者】
【氏名】淡島 大晴
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-033584(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113792667(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-2011773(KR,B1)
【文献】中国特許出願公開第116778094(CN,A)
【文献】特開2007-034808(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第113469052(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第114549992(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06T 1/00- 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像
と前記複数の建物の形状情報を有する既存のポリゴンデータとに基づいて、前記建物画像に含まれる前記建物を認識し、該認識した建物に基づいて、前記建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成する画像分割部と、
前記建物単位画像に対して高解像度化処理を施す高解像度処理部と、
時間的に異なる時点で撮影された
建物を含む複数の画像と該複数の画像にそれぞれ含まれる建物の変化の情報との関係を予め機械学習して得られた学習済みモデルに対して、時間的に異なる時点で撮影され、前記高解像度化処理が施された同一場所の前記建物単位画像を入力することによって、建物の変化の情報を検出する変化検出部とを備えた建物変化検出装置。
【請求項2】
複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像に対して高解像度化処理を施す高解像度処理部と、
前記高解像度化処理の施された建物画像
と前記複数の建物の形状情報を有する既存のポリゴンデータとに基づいて、前記建物画像に含まれる前記建物を認識し、該認識した建物に基づいて、前記高解像度化処理の施された建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成する画像分割部と、
時間的に異なる時点で撮影された
建物を含む複数の画像と該複数の画像にそれぞれ含まれる建物の変化の情報との関係を予め機械学習して得られた学習済みモデルに対して、時間的に異なる時点で撮影され、前記高解像度化処理が施された同一場所の前記建物単位画像を入力することによって、建物の変化の情報を検出する変化検出部とを備えた建物変化検出装置。
【請求項3】
前記画像分割部が、前記建物単位画像のサイズとして、前記建物画像に含まれる建物のサイズよりも大きいサイズを決定する請求項1または2記載の建物変化検出装置。
【請求項4】
前記変化検出部が、前記高解像度化処理が施された同一場所の建物単位画像に対して、画像の明るさに関する標準化処理を施し、該標準化処理が施された同一場所の建物単位画像を前記学習済みモデルに入力する請求項1または2記載の建物変化検出装置。
【請求項5】
前記高解像度化処理が、超解像である請求項1または2記載の建物変化検出装置。
【請求項6】
前記変化検出部による結果に基いて、撮影対象の建物の築年代を判定する築年代判定部を備えた請求項1または2記載の建物変化検出装置。
【請求項7】
複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像
と前記複数の建物の形状情報を有する既存のポリゴンデータとに基づいて、前記建物画像に含まれる前記建物を認識し、該認識した建物に基づいて、前記建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成し、
前記建物単位画像に対して高解像度化処理を施し、
時間的に異なる時点で撮影された
建物を含む複数の画像と該複数の画像にそれぞれ含まれる建物の変化の情報との関係を予め機械学習して得られた学習済みモデルに対して、時間的に異なる時点で撮影され、前記高解像度化処理が施された同一場所の前記建物単位画像を入力することによって、建物の変化の情報を検出する建物変化検出方法。
【請求項8】
複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像に対して高解像度化処理を施し、
前記高解像度化処理の施された建物画像
と前記複数の建物の形状情報を有する既存のポリゴンデータとに基づいて、前記建物画像に含まれる前記建物を認識し、該認識した建物に基づいて、前記高解像度化処理の施された建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成し、
時間的に異なる時点で撮影された
建物を含む複数の画像と該複数の画像にそれぞれ含まれる建物の変化の情報との関係を予め機械学習して得られた学習済みモデルに対して、時間的に異なる時点で撮影され、前記高解像度化処理が施された同一場所の前記建物単位画像を入力することによって、建物の変化の情報を検出する建物変化検出方法。
【請求項9】
複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像
と前記複数の建物の形状情報を有する既存のポリゴンデータとに基づいて、前記建物画像に含まれる前記建物を認識し、該認識した建物に基づいて、前記建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成するステップと、
前記建物単位画像に対して高解像度化処理を施すステップと、
時間的に異なる時点で撮影された
建物を含む複数の画像と該複数の画像にそれぞれ含まれる建物の変化の情報との関係を予め機械学習して得られた学習済みモデルに対して、時間的に異なる時点で撮影され、前記高解像度化処理が施された同一場所の前記建物単位画像を入力することによって、建物の変化の情報を検出するステップとをコンピュータに実行させる建物変化検出プログラム。
【請求項10】
複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像に対して高解像度化処理を施すステップと、
前記高解像度化処理の施された建物画像
と前記複数の建物の形状情報を有する既存のポリゴンデータとに基づいて、前記建物画像に含まれる前記建物を認識し、該認識した建物に基づいて、前記高解像度化処理の施された建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成するステップと、
時間的に異なる時点で撮影された
建物を含む複数の画像と該複数の画像にそれぞれ含まれる建物の変化の情報との関係を予め機械学習して得られた学習済みモデルに対して、時間的に異なる時点で撮影され、前記高解像度化処理が施された同一場所の前記建物単位画像を入力することによって、建物の変化の情報を検出するステップとをコンピュータに実行させる建物変化検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物を上空から撮影した2次元の建物画像に基づいて、建物の変化の情報を検出する建物変化検出装置、方法およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、建物の築年代を把握することが重要視されている。建物の築年代が分かれば、震災リスクのある建物の判定が行いやすくなり、被災時における建物倒壊や火災などの被害想定を行いやすくなる。また、建物の築年代が古いほど不全空き家や特定空き家になりやすい傾向があり、旧耐震の古い建物が分かり、適切な管理や効率的な周知ができるようになることで空き家対策に活用することができる。
【0003】
建物の空き家管理ができれば、周辺インフラの工事計画策定などに用いることができる。また、空き家管理は、管理不全空き家や特定空き家の発生を防止するという意味でも非常に重要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現状、上述した建物の築年代の情報を蓄積したデータベースなどは存在しないため、建物の築年代を把握することは非常に困難である。
また、上述したようなデータベースを作ろうとした場合、非常にコストがかかる。また、自治体などが管理する固定資産台帳などの建物の情報は、基本的に個人情報であるため、入手自体が困難である。さらに、未登記の建物もあり、このような建物の情報を得ることはできない。
【0006】
また、建物の築年代を位置情報付きで網羅的かつ広域的に把握するには、古い年代の地図か航空写真のいずれかから読み取ることができる。
【0007】
しかしながら、地図の多くは縮尺や手書きの関係で、実在の建物とはずれや歪みなどが入り、大まかな場所を把握することはできても、正確性にかける。航空写真はずれや歪みは比較的小さく、全国的に整備された有用な資料といえる。ただし、低解像度であることが多い。
【0008】
なお、特許文献1では、エネルギー消費量の測定履歴情報に基づいて空家種別を判定して、地図上の所定エリア毎の空家率を空家率マップとして生成する技術が提案されているが、建物の築年代を判定する技術については、何も提案されていない。
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑み、簡易かつ低コストで建物の築年代の判定などを行うことができる建物変化検出装置、方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の建物変化検出装置は、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成する画像分割部と、建物単位画像に対して高解像度化処理を施す高解像度処理部と、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理が施された同一場所の建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出する変化検出部とを備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の建物変化検出装置によれば、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成し、建物単位画像に対して高解像度化処理を施し、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理が施された同一場所の建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出するようにしたので、その建物の変化の情報を用いて、簡易かつ低コストで建物の築年代の判定などを行うことができる。
【0012】
また、本発明の建物変化検出装置によれば、高解像度化処理を施すようにしたので、たとえば建物画像が古い年代の画像であって、低解像度な画像であったとしても、高精度に建物の変化の情報を検出することができる。すなわち、古い年代の建物画像からも建物の築年代の判定が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の建物変化検出装置の一実施形態を用いた築年代判定システムの概略構成を示す図
【
図2】建物単位画像のサイズの決定方法を説明するための図
【
図3】建物の変化を検出するために用いる学習済みモデルの生成方法を説明するためのフローチャート
【
図4】
図1に示す築年代判定システムの処理の流れを説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の建物変化検出装置の一実施形態を用いた築年代判定システムについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の築年代判定システム1の概略構成図である。
【0015】
本実施形態の築年代判定システム1は、
図1に示すように、建物変化検出装置10と、表示装置20と、入力装置30を備えている。建物変化検出装置10と表示装置20との間および建物変化検出装置10と入力装置30との間は通信可能に接続されている。
【0016】
建物変化検出装置10は、画像分割部11と、高解像度処理部12と、変化検出部13と、築年代判定部14とを備えている。
【0017】
画像分割部11は、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像を取得し、その取得した建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成する。本実施形態の画像分割部11は、建物画像として、時間的に異なる時点で撮影された複数の建物画像を取得する。画像分割部11は、たとえば1980年代に撮影された建物画像と2022年に撮影された建物画像など年代が異なる建物画像を取得する。
【0018】
そして、本実施形態の画像分割部11は、建物画像に基づいて、個々の建物を認識し、その認識した建物のサイズに基づいて、建物単位画像のサイズを決定する。
【0019】
具体的には、画像分割部11は、たとえば同じ場所を撮影した航空画像などから生成された複数の建物のポリゴンデータを取得し、そのポリゴンデータから個々の建物を認識する。ポリゴンデータについては、既に公知なものを利用することができる。
【0020】
そして、画像分割部11は、
図2に示すように、各建物のサイズW1、W2の1.5倍の大きさW3,W4を求め、建物単位画像のサイズとする。すなわち、各建物単位画像のサイズは、各建物のサイズよりも大きいサイズで決定される。なお、隣接する建物同士が比較的近い場合には、隣接する建物の建物単位画像同士で一部重複することになる。
【0021】
高解像度処理部12は、分割後の各建物単位画像に対して、高解像度化処理を施す。建物画像としては、たとえば航空画像や衛星画像などが用いられるが、1980年代などに撮影された過去の建物画像は、現在とは撮影機器などが異なるため、低解像度の建物画像であり、後述する建物の変化の情報の検出精度が低下するおそれがある。そこで、本実施形態では、建物単位画像に対して高解像度化処理を施して建物の変化の情報の検出精度を向上させる。
【0022】
高解像度化処理としては、超解像の技術を用いることが好ましく、たとえばSwinIRやSwin2SRを用いることができる。たとえば32×32ピクセルの建物単位画像を64×64ピクセルの4倍の解像度にする。ただし、高解像度化処理としてはこれに限らず、その他の処理を用いるようにしてもよい。
【0023】
変化検出部13は、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理の施された同一場所の建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出する。
【0024】
本実施形態の変化検出部13は、まず、各建物単位画像に対して標準化処理を施す。本実施形態における標準化処理とは、暗い建物単位画像や明るすぎる建物単位画像を、通常の明るさと同じ建物単位画像に変換する処理である。具体的は、本実施形態の変化検出部13は、標準化処理として、各建物単位画像について、画素値の平均値がゼロ、分散が1となる標準化処理を施す。
【0025】
次に、変化検出部13は、建物を含む複数の画像を予め機械学習して得られた学習済みモデルに対して、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理の施された同一場所の2つの建物単位画像を入力し、各建物単位画像の特徴量を比較することによって、建物の変化の情報を検出する。具体的には、変化検出部13は、建物の変化の情報として、各建物単位画像の特徴量の変化確率を算出する。
【0026】
機械学習の手法としては、たとえばResNetを用いることが好ましい。
図3は、本実施形態の学習済みモデルを生成する方法を説明するためのフローチャートである。
【0027】
図3に示すように、学習済みモデルを生成する際には、上述した変化確率を算出する場合と同様に、建物画像を分割して建物単位画像を生成する(S10)。そして、建物単位画像に対して高解像度化処理を施した後(S12)、標準化処理を施す(S14)。
次いで、高解像度化処理および標準化処理済みの建物単位画像に対してデータ拡張処理を施すことによって、機械学習に使用する建物単位画像の数を増加させる(S16)。具体的には、たとえば建物単位画像に対して回転処理(たとえば90°)を施したり、建物単位画像の一部を切り取る処理を施したりする。建物単位画像の一部を切り取る処理としては、たとえば建物単位画像の周囲を切り取る処理を施す。切り取る周囲の幅としては、たとえばランダムに画素数を変化させて複数の幅を決定し、種々の幅の周囲を切り取った複数の建物単位画像を生成することが望ましい。
【0028】
そして、時間的に異なる時点に撮影されたデータ拡張処理済みの複数の建物単位画像を用いて機械学習し、上述した変化確率を出力する学習済みモデルを生成する(S18)。
【0029】
なお、学習済みモデルを生成する際、何もなかった場所に建物が建ったことを検出可能なように、建物を含む建物単位画像の他に、畑や田んぼなどを含む建物無しの画像を機械学習させるようにすることが好ましい。
【0030】
また、学習済みモデルは、変化検出部13において生成するようにしてもよいし、予め生成された学習済みモデルを記憶しておくようにしてもよい。また、建物変化検出装置10とは異なる外部装置に学習済みモデルを記憶して使用するようにしてもよい。
【0031】
築年代判定部14は、変化検出部13によって検出された建物の変化の情報に基づいて、建物の築年代の判定を行う。本実施形態の築年代判定部14は、変化検出部13によって検出された変化確率が予め設定された閾値以上の2つの建物単位画像(建物画像)を特定し、その2つの建物単位画像(建物画像)が撮影された撮影年を特定する。なお、各建物画像には、それぞれ撮影年が紐付けされており、画像分割部11によって各建物画像とともに取得されて記憶されている。
【0032】
そして、築年代判定部14は、2つの建物単位画像の撮影年に基づいて、2つの建物単位画像に含まれる建物の築年代を判定する。具体的には、築年代判定部14は、たとえば一方の建物単位画像の撮影年が2023年であり、他方の建物単位画像の撮影年が2020年である場合には、築年代は、2020年~2023年の間であると判定する。
【0033】
築年代判定部14によって判定した築年代を用いて、たとえば空き家予測を行うようにしてもよい。具体的には、現在の年代から予め設定された閾値よりも過去である場合には、その建物単位画像に含まれる建物は空き家であると予測するようにしてもよい。具体的には、築年代判定部14は、現在の年代が2023年である場合、判定した築年代が、30年以上前の1993年である場合には、その建物単位画像に含まれる建物は、現在空き家であると予測するようにしてもよい。
【0034】
また、現在の年代から予め設定された閾値よりも過去でない場合、すなわち比較的新しい築年代である場合には、その建物単位画像に含まれる建物は、その築年代に対して40年以上の所定年数を加算した年代に空き家になると予測するようにしてもよい。具体的には、判定した築年代が、2000年である場合には、その建物単位画像に含まれる建物は、2040年に空き家になると予測するようにしてもよい。
【0035】
なお、本実施形態においては、築年代判定部14が、特徴量の変化確率が大きい2つの建物単位画像(建物画像)の撮影年に基づいて、建物の築年代を判定するようにしたが、別の実施形態として、たとえば変化検出部13において、建物敷地内の植物繁茂状態の変化による建物の変化情報を検出するようにしてもよい。この場合、植物繁茂状態が異なる複数の建物単位画像を用いて学習済みモデルを生成し、この学習済みモデルに対して同一場所の2つの建物単位画像を入力することによって、植物繁茂によって建物の状態が変化しているか否か(たとえば建物敷地内の植物が繁茂して建物を覆っている状態であるか否か)を出力させるようにすればよい。このように植物繁茂状態による建物(管理不全空き
家)の変化情報を検出することによって、上述したように建物の空き家予測をしたり、空き家の管理を行うようにしてもよい。
【0036】
建物変化検出装置10は、コンピュータから構成され、CPU(Central Processing Unit)またはGPU(Graphics Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの半導体メモリやハードディスクなどのストレージ、並びに通信I/F(Interface)などを備えている。
【0037】
建物変化検出装置10のストレージには、本発明の建物変化検出プログラムの一実施形態がインストールされている。この建物変化検出プログラムが、建物変化検出装置10が備えるCPUまたはGPUによって起動されることによって、建物変化検出装置10の上述した各部の機能が実行される。
【0038】
また、本実施形態においては、CPUまたはGPUによって建物変化検出プログラムを実行することによって上述した各部の機能を実行するようにしたが、建物変化検出プログラムが実行する一部の機能または全部の機能をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)、その他の電気回路などのハードウェアから構成するようにしてもよい。
【0039】
また、本実施形態において、変化検出部13において、学習済みモデルを用いて建物の変化の情報を検出するようにしたが、高解像度処理部12における高解像度化処理(超解像の処理)と変化検出部13における建物の変化の検出処理とを1つの学習済みモデルにて行うようにしてもよい。
【0040】
表示装置20は、液晶ディスプレイなどを有し、上述したように建物変化検出装置10において判定された各建物の築年代や予測された空き家の情報を表示する。
【0041】
入力装置30は、キーボードやマウスなどを有し、ユーザは、入力装置30を用いて、建物画像の入力指示などを行う。
【0042】
次に、本実施形態の築年代判定システム1の処理の流れについて説明する。
図4は、築年代判定システム1の処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【0043】
まず、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像であって、時間的に異なる時点で撮影された複数の建物画像を取得し(S30)、その取得した建物画像を分割して複数の建物単位画像を生成する(S32)。
【0044】
次に、分割後の各建物単位画像に対して、高解像度化処理を施した後(S34)、標準化処理を施す(S36)。
そして、時間的に異なる時点で撮影された建物画像から生成された同一場所の建物を含む建物単位画像を学習済みモデルに対してそれぞれを入力し、学習済みモデルから出力された各建物単位画像の特徴量の変化確率を算出する(S38)。
【0045】
続いて、算出した変化確率が予め設定された閾値以上の2つの建物単位画像を特定し、その2つの建物単位画像が撮影された撮影年を特定し、その撮影年に基づいて、2つの建物単位画像に含まれる建物の築年代を判定する(S40)。
【0046】
そして、建物毎に判定された築年代の情報が、表示装置20に出力されて表示される(S42)。
【0047】
上記実施形態の築年代判定システム1によれば、2次元の建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成し、その建物単位画像に対して高解像度化処理を施し、時間的に異なる時点で撮影された建物画像から生成された同一の建物を含む建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出するようにしたので、その建物の変化の情報を用いて、簡易かつ低コストで建物の築年代の判定を行うことができる。
【0048】
また、建物単位画像に対して高解像度化処理を施すようにしたので、たとえば建物画像が古い画像であって、低解像度な画像であったとしても、高精度に建物の変化の情報を検出することができる。
【0049】
なお、上記実施形態の築年代判定システム1においては、建物画像を建物単位画像に分割した後、各建物単位画像に対して高解像度化処理を施すようにしたが、分割処理と高解像度化処理の順番については、逆でもよい。すなわち、建物画像に対して高解像度化処理を施した後、その高解像度化処理が施された建物画像を分割して、建物単位画像を生成するようにしてもよい。
【0050】
また、上記実施形態の築年代判定システム1においては、建物を含む複数の画像を予め機械学習して得られた学習済みモデルを用いて建物の変化の情報を検出するようにしたので、簡易な手法によって高精度に建物の変化の情報を検出することができる。
【0051】
また、上記実施形態の築年代判定システム1においては、建物画像に含まれる建物のサイズに基づいて、建物単位画像のサイズを決定するようにしたので、高精度に建物の変化の情報を検出することができる。
【0052】
具体的には、上空から撮影した建物画像においては、その中心部分については、ほぼ真上から撮影されているので、建物や道路の形状がほぼ正確に表現されるが、たとえば建物画像の4隅の部分においては、建物や道路を斜めから撮影していることになるので、建物の大きさや道路の幅などが正確ではない。このような建物画像を単純に適当なサイズで分割したのでは、建物全体を含む建物単位画像を生成できない可能性があり、建物の変化の情報の検出精度が低下する可能性がある。また、建物そのものだけでなく、その周辺も含んだ方が建物の変化の情報の検出精度が向上する場合がある。
【0053】
そこで、本実施形態では、建物画像に含まれる建物のサイズに基づいて、建物単位画像のサイズを決定するようにしたので、たとえば大きめのサイズとすることによって、建物全体を確実に含み、その周辺も含む建物単位画像を生成することができ、建物の変化の情報の検出精度を向上させることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階でその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成することができる。たとえば実施形態に示される全構成要素を適宜組み合わせても良い。このような、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能であることはもちろんである。
【0055】
本発明に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0056】
(付記1)
本発明の建物変化検出装置は、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成する画像分割部と、建物単位画像に対して高解像度化処理を施す高解像度処理部と、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理の施された同一場所の建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出する変化検出部とを備える。
【0057】
(付記2)
本発明の建物変化検出装置は、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像に対して高解像度化処理を施す高解像度処理部と、高解像度化処理の施された建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成する画像分割部と、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理が施された同一場所の建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出する変化検出部とを備える。
【0058】
(付記3)
付記1記載の建物変化検出装置において、変化検出部は、建物を含む複数の画像を予め機械学習して得られた学習済みモデルに対して複数の建物単位画像を入力し、各建物単位画像の特徴量を比較することによって、建物の変化の情報を検出することができる。
【0059】
(付記4)
付記1または付記2記載の建物検出装置において、画像分割部は、建物単位画像のサイズとして、建物画像に含まれる建物のサイズよりも大きいサイズを決定することができる。
【0060】
(付記5)
付記1から付記3いずれかに記載の建物検出装置においては、変化検出部による結果に基いて、撮影対象の建物の築年代を判定する築年代判定部を備えることができる。
【0061】
(付記6)
本発明の建物変化検出方法は、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成し、建物単位画像に対して高解像度化処理を施し、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理が施された同一場所の建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出する。
【0062】
(付記7)
本発明の建物変化検出方法は、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像に対して高解像度化処理を施し、高解像度化処理の施された建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成し、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理が施された同一場所の建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出する。
【0063】
(付記8)
本発明の建物変化検出プログラムは、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成するステップと、建物単位画像に対して高解像度化処理を施すステップと、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理の施された建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出するステップとをコンピュータに実行させる。
【0064】
(付記9)
本発明の建物変化検出プログラムは、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像に対して高解像度化処理を施すステップと、高解像度化処理の施された建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成するステップと、時間的に異なる時点で撮影され、高解像度化処理が施された同一場所の建物単位画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出するステップとをコンピュータに実行させる。
【符号の説明】
【0065】
1 築年代判定システム
10 建物変化検出装置
11 画像分割部
12 高解像度処理部
13 変化検出部
14 築年代判定部
20 表示装置
30 入力装置
【要約】 (修正有)
【課題】簡易かつ低コストで現在または将来の空き家予測を行うことができる建物変化検出装置、方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】築年代判定システム1において、建物変化検出装置10は、複数の建物を上空から撮影した2次元の建物画像を予め設定された建物単位で分割して複数の建物単位画像を生成する画像分割部11と、建物単位画像に対して高解像度化処理を施して高解像度画像を生成する高解像度処理部12と、時間的に異なる時点で撮影された建物画像から生成された同一の建物を含む高解像度画像同士を比較して、建物の変化の情報を検出する変化検出部13と、検出した建物の変化の情報に基づいて、建物の築年代の判定を行う築年代判定部14と、を備える。
【選択図】
図1