(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】有機膜形成装置、および有機膜の製造方法
(51)【国際特許分類】
F26B 25/00 20060101AFI20240201BHJP
F26B 5/04 20060101ALI20240201BHJP
B05C 9/14 20060101ALI20240201BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20240201BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240201BHJP
B05D 3/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F26B25/00 A
F26B5/04
B05C9/14
B05C11/00
B05D3/00 E
B05D3/02 Z
(21)【出願番号】P 2022109584
(22)【出願日】2022-07-07
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】P 2021114812
(32)【優先日】2021-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022082072
(32)【優先日】2022-05-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【氏名又は名称】市川 浩
(72)【発明者】
【氏名】高橋 崇史
(72)【発明者】
【氏名】磯 明典
【審査官】伊藤 紀史
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-205991(JP,A)
【文献】特開2019-184230(JP,A)
【文献】特開2019-184229(JP,A)
【文献】国際公開第2019/117250(WO,A1)
【文献】特開2015-092538(JP,A)
【文献】特表2004-502535(JP,A)
【文献】特開2011-056360(JP,A)
【文献】特開2004-317432(JP,A)
【文献】特開2003-124102(JP,A)
【文献】特開2003-124283(JP,A)
【文献】特開2008-141176(JP,A)
【文献】国際公開第2011/078309(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第110249409(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F26B 25/00
B05C 9/14
B05C 11/00
B05D 3/00
B05D 3/02
F26B 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気部により排気され、大気圧よりも低い所定圧力以下となったチャンバ内に支持されるワークを加熱処理した後に、加熱された前記ワークを冷却する工程を、順次前記ワークを搬入/搬出して連続的に実行する有機膜形成装置において、
前記ワークは、基板と、前記基板の上面に塗布された有機材料と溶媒とを含む溶液と、
を有し、
前記チャンバ内に支持された前記ワークに対向して設けられ、前記ワークを加熱する加熱部と、
前記加熱部に対して冷却ガスを供給する冷却部と、
前記加熱部、前記排気部および前記冷却部を制御するコントローラと、
を備え、
前記冷却部は、
酸素を含まない第1の冷却ガスを前記加熱部の内部に供給する第1のガス供給経路と、
酸素を含む第2の冷却ガスを前記加熱部の内部に供給する第2のガス供給経路と、
前記第1のガス供給経路および前記第2のガス供給経路が共用する共用部と、
前記第1のガス供給経路によって供給される前記第1の冷却ガスと前記第2のガス供給経路によって供給される前記第2の冷却ガスとを選択的に前記共用部に供給する第1のバルブと、
を有し、
前記コントローラは、
前記排気部により前記チャンバの内圧を前記所定圧力以下とするよう制御し、
前記チャンバの内圧が前記所定圧力以下となった後に、前記加熱部により前記ワークを閾値より高い温度である所定温度に加熱されるよう前記加熱部を制御し、
前記加熱部による加熱処理が完了した後、前記ワークが前記閾値より高い温度の場合、前記第1の冷却ガスを前記加熱部に供給するように前記第1のバルブを制御し、
前記第1の冷却ガスの供給によって前記ワークが前記閾値以下の温度となった場合、前記第2の冷却ガスを前記加熱部に供給するように前記第1のバルブを制御し、
前記チャンバの内圧が前記第1の冷却ガスおよび前記第2の冷却ガスの供給によって大気圧に戻った後に、前記チャンバか
ら処理
の完了した前記ワークを搬出することを開始してから、次に処理が行われるワークを前記チャンバに搬入し、次に処理が行われる前記ワークが前記加熱部によって昇温されるまでの間に、前記第1の冷却ガスを前記チャンバ内に供給するように前記第1のバルブを制御する有機膜形成装置。
【請求項2】
前記チャンバ内の酸素濃度を検出する酸素濃度計をさらに備え、
前記コントローラは、
前記ワークを前記チャンバ内に搬入後、前記チャンバ内を減圧し、
減圧された前記チャンバ内に前記第1の冷却ガスを供給し、
前記チャンバ内の酸素濃度を前記酸素濃度計で検出し、
検出した前記チャンバ内の酸素濃度の値が、閾値以下となってから前記加熱部に電力を供給する請求項1に記載の有機膜形成装置。
【請求項3】
前記冷却部は、前記共用部に、前記加熱部に供給する前記冷却ガスの供給と停止を制御する第2のバルブをさらに有する請求項1または請求項2に記載の有機膜形成装置。
【請求項4】
基板と前記基板の上面に塗布された有機材料と溶媒とを含む溶液とを有するワークに対する処理を順次前記ワークを搬入/搬出して連続的に実行する有機膜の製造方法において、
前記ワークを大気圧よりも減圧された所定圧力以下の雰囲気を維持可能
なチャンバ内に搬入するワーク搬入工程と、
大気圧よりも減圧された前記所定圧力以下の雰囲気において、前記ワークを加熱する工程と、
前記加熱を行うことで有機膜が形成されたワークを冷却する工程と、
前記有機膜が形成された前記ワークを搬出する工程と、
を備え、
前記ワークを加熱する工程においては、前記チャンバの内圧が前記所定圧力以下となった後に前記ワークに対向して設けられた加熱部により前記ワークが閾値よりも高い所定温度に加熱され、
前記ワークを冷却する工程において、
前記加熱部による加熱処理が完了した後、前記ワークが前記閾値より高い温度の場合には、前記加熱部に酸素を含まない第1の冷却ガスを供給し、
前記第1の冷却ガスの供給によって前記ワークが前記閾値以下の温度となった場合には、前記加熱部に酸素を含む第2の冷却ガスを供給し、
前記チャンバの内圧が前記第1の冷却ガスおよび前記第2の冷却ガスの供給によって前記チャンバの内圧が大気圧に戻った後に、前記ワークを搬出する工程を実行し、前記ワークを搬出する工程から、前記ワーク搬入工程までの間において、前記第1の冷却ガスを前記チャンバ内に供給する有機膜の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、有機膜形成装置、および有機膜の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機膜形成装置は、例えば、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバと、チャンバの内部に設けられ、ワークを加熱するヒータと、を備えている。この様な有機膜形成装置は、有機材料と溶媒を含む溶液が塗布された基板を、大気圧よりも減圧された雰囲気において加熱し、溶液に含まれている溶媒を蒸発させることで、有機膜を形成する(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
有機膜が形成された基板は、処理が行われたチャンバなどの内部から取り出され、次工程などに搬送される。加熱して有機膜を形成した場合、基板の温度が高くなるので、温度の高い基板をチャンバから取り出したり、搬送したりするのは困難である。また、高温で取り出すと有機膜が酸化して機能を満たさなくなる可能性もある。したがって、基板を冷却する必要がある。
【0004】
この場合、チャンバの内部に冷却ガスを供給し、冷却ガスを基板に吹きかけることで基板を冷却する方法が考えられる。ところが、有機膜を形成する際には、250℃~600℃程度の極めて高い温度での処理が必要となる。そのため、基板が搬送可能な温度となるまでに消費される冷却ガスの量が膨大となる。また、250℃~600℃程度の有機膜は、反応性が高い。そのため、冷却ガス中に酸素が含まれていると有機膜が酸化してしまう。有機膜の酸化を防ぐため、冷却ガスとして不活性ガスを冷却中ずっと使用すると、コストも増大する。
【0005】
そこで、有機膜が形成されたワークの冷却にかかるコストを低減し、且つ、有機膜の品質を維持することができる技術の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、有機膜が形成されたワークの冷却にかかるコストを低減し、且つ、有機膜の品質を維持することができる有機膜形成装置、および有機膜の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る有機膜形成装置は、排気部により排気され、大気圧よりも低い所定圧力以下となったチャンバ内に支持されるワークを加熱処理した後に、加熱された前記ワークを冷却する工程を、順次前記ワークを搬入/搬出して連続的に実行する有機膜形成装置において、前記ワークは、基板と、前記基板の上面に塗布された有機材料と溶媒とを含む溶液と、を有し、前記チャンバ内に支持された前記ワークに対向して設けられ、前記ワークを加熱する加熱部と、前記加熱部に対して冷却ガスを供給する冷却部と、前記加熱部、前記排気部および前記冷却部を制御するコントローラと、を備え、前記冷却部は、酸素を含まない第1の冷却ガスを前記加熱部の内部に供給する第1のガス供給経路と、酸素を含む第2の冷却ガスを前記加熱部の内部に供給する第2のガス供給経路と、前記第1のガス供給経路および前記第2のガス供給経路が共用する共用部と、前記第1のガス供給経路によって供給される前記第1の冷却ガスと前記第2のガス供給経路によって供給される前記第2の冷却ガスとを選択的に前記共用部に供給する第1のバルブと、を有し、前記コントローラは、前記排気部により前記チャンバの内圧を前記所定圧力以下とするよう制御し、前記チャンバの内圧が前記所定圧力以下となった後に、前記加熱部により前記ワークを閾値より高い温度である所定温度に加熱されるよう前記加熱部を制御し、前記加熱部による加熱処理が完了した後、前記ワークが前記閾値より高い温度の場合、前記第1の冷却ガスを前記加熱部に供給するように前記第1のバルブを制御し、前記第1の冷却ガスの供給によって前記ワークが前記閾値以下の温度となった場合、前記第2の冷却ガスを前記加熱部に供給するように前記第1のバルブを制御し、前記チャンバの内圧が前記第1の冷却ガスおよび前記第2の冷却ガスの供給によって大気圧に戻った後に、前記チャンバから処理の完了した前記ワークを搬出することを開始してから、次に処理が行われるワークを前記チャンバに搬入し、次に処理が行われる前記ワークが前記加熱部によって昇温されるまでの間に、前記第1の冷却ガスを前記チャンバ内に供給するように前記第1のバルブを制御する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態によれば、有機膜が形成されたワークの冷却にかかるコストを低減し、且つ、有機膜の品質を維持することができる有機膜形成装置、および有機膜の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施の形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式斜視図である。
【
図2】ワークの処理工程および冷却ガスの供給タイミングを例示するためのグラフである。
【
図3】本実施の形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式断面図である。
【
図4】他の実施形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式斜視図である。
【
図5】他の実施形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式斜視図である。
【
図6】他の実施形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式断面図である。
【
図7】他の実施形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、実施の形態について例示をする。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0012】
図1は、本実施の形態に係る有機膜形成装置1を例示するための模式斜視図である。
図3は、本実施の形態に係る有機膜形成装置1を例示するための模式断面図である。
なお、
図1中のX方向、Y方向、およびZ方向は、互いに直交する三方向を表している。本明細書における上下方向は、Z方向とすることができる。また、煩雑となるのを避けるために、
図3は、チャンバ10の内部に設けられる要素などを省略して描いている。
【0013】
有機膜を形成する前のワーク100は、基板と、基板の上面に塗布された溶液と、を有する。
基板は、例えば、ガラス基板や半導体ウェーハなどとすることができる。ただし、基板は、例示をしたものに限定されるわけではない。
溶液は、例えば、有機材料と溶剤を含んでいる。有機材料は、溶剤により溶解が可能なものであれば特に限定はない。溶液は、例えば、ポリアミド酸を含むワニスなどとすることができる。ただし、溶液は、例示をしたものに限定されるわけではない。また、液体が仮焼成されて半硬化状態(流れない状態)も含む。
【0014】
図1に示すように、有機膜形成装置1には、例えば、チャンバ10、排気部20、処理部30、冷却部40、およびコントローラ60が設けられている。
【0015】
コントローラ60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの演算部と、メモリなどの記憶部とを備えている。コントローラ60は、例えば、コンピュータなどとすることができる。コントローラ60は、記憶部に格納されている制御プログラムに基づいて、有機膜形成装置1に設けられた各要素の動作を制御する。
【0016】
例えば、コントローラ60は、有機膜形成装置1に設けられた排気部20、およびヒータ32aを制御する。コントローラ60は、排気部20を制御してチャンバ10の内圧が所定の値以下となった後に、ヒータ32aに電力を印加する。例えば、コントローラ60は、排気部20を制御してチャンバ10の内圧が、チャンバ内の酸素濃度が所定の濃度100ppm以下となる圧力となった後に、ヒータ32aに電力を印加することができる。
【0017】
チャンバ10は、大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能な気密構造を有している。チャンバ10は、箱状を呈している。チャンバ10の外観形状には特に限定はない。チャンバ10の外観形状は、例えば、直方体とすることができる。チャンバ10は、例えば、ステンレスなどの金属から形成することができる。また、チャンバ10には酸素濃度を検出する酸素濃度計21cが設けられている。
チャンバ10は、本体10a、扉13および蓋15を有する。
【0018】
Y方向において、本体10aの一方の端部にはフランジ11を設けることができる。フランジ11には、Oリングなどのシール材12を設けることができる。チャンバ10の、フランジ11が設けられた側の開口11aは、扉13により開閉可能となっている。図示しない駆動装置により、扉13がフランジ11(シール材12)に押し付けられることで、チャンバ10の開口11aが気密になるように閉鎖される。図示しない駆動装置により、扉13がフランジ11から離隔することで、チャンバ10の開口11aが解放され、開口11aを介したワーク100の搬入または搬出が可能となる。
【0019】
Y方向において、本体10aの他方の端部にはフランジ14を設けることができる。フランジ14には、Oリングなどのシール材12を設けることができる。チャンバ10の、フランジ14が設けられた側の開口は、蓋15により開閉可能となっている。例えば、蓋15は、ネジなどの締結部材を用いてフランジ14に着脱可能に設けることができる。メンテナンスなどを行う際には、蓋15を取り外すことで、チャンバ10の、フランジ14が設けられた側の開口を露出させる。
【0020】
チャンバ10の外壁、および扉13の外面には冷却部16を設けることができる。冷却部16には、図示しない冷却水供給部が接続されている。冷却部16は、例えば、ウォータージャケット(Water Jacket)とすることができる。冷却部16が設けられていれば、チャンバ10の外壁の温度や、扉13の外面の温度が所定の温度よりも高くなるのを抑制することができる。
【0021】
排気部20は、チャンバ10の内部を排気する。排気部20は、例えば、第1の排気部21、第2の排気部22、および第3の排気部23を有する。
第1の排気部21は、例えば、チャンバ10の底面に設けられた排気口17に接続されている。
第1の排気部21は、例えば、排気ポンプ21aと、圧力制御部21bとを有する。
排気ポンプ21aは、大気圧から所定の圧力まで粗引き排気を行う排気ポンプとすることができる。そのため、排気ポンプ21aは、後述する排気ポンプ22aよりも排気量が多い。排気ポンプ21aは、例えば、ドライ真空ポンプなどとすることができる。
【0022】
圧力制御部21bは、例えば、排気口17と排気ポンプ21aとの間に設けられている。圧力制御部21bは、チャンバ10の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、チャンバ10の内圧が所定の圧力となるように制御する。圧力制御部21bは、例えば、APC(Auto Pressure Controller)などとすることができる。
【0023】
なお、排気口17と圧力制御部21bとの間には、排気された昇華物をトラップするためのコールドトラップ24が設けられている。また、排気口17とコールドトラップ24との間にバルブ25が設けられている。バルブ25は、後述の冷却工程において、第1の排気部21とチャンバ10を仕切るためのバルブである。
【0024】
第2の排気部22は、例えば、チャンバ10の底面に設けられた排気口18に接続されている。なお、排気口18は本実施形態においては2つ設けられているが、1つでも3つ以上設けられていても良い。
第2の排気部22は、例えば、排気ポンプ22aと、圧力制御部22bを有する。
排気ポンプ22aは、排気ポンプ21aによる粗引き排気の後、さらに低い所定の圧力まで排気を行う。排気ポンプ22aは、例えば、高真空の分子流領域まで排気可能な排気能力を有する。例えば、排気ポンプ22aは、ターボ分子ポンプ(TMP:Turbo Molecular Pump)などとすることができる。
【0025】
圧力制御部22bは、例えば、排気口18と排気ポンプ22aとの間に設けられている。圧力制御部22bは、チャンバ10の内圧を検出する図示しない真空計などの出力に基づいて、チャンバ10の内圧が所定の圧力となるように制御する。圧力制御部22bは、例えば、APCなどとすることができる。なお、排気口18と圧力制御部21bとの間には、第1の排気部21と同様に、コールドトラップ24およびバルブ25を設けることができる。
【0026】
第3の排気部23は、排気口18と第2の排気部22のバルブ25との間に接続されている。第3の排気部23は、工場の排気系に接続されている。第3の排気部23は、例えばステンレスなどの配管とすることができる。第3の排気部は、排気口18と工場の排気系との間にバルブ25が設けられている。
【0027】
処理部30は、例えば、フレーム31、加熱部32、支持部33、均熱部34、均熱板支持部35、および、カバー36を有する。
処理部30の内部には、処理領域30aおよび処理領域30bが設けられている。処理領域30a、30bは、ワーク100に処理を施す空間となる。ワーク100は、処理領域30a、30bの内部に支持される。処理領域30bは、処理領域30aの上方に設けられている。なお、2つの処理領域が設けられる場合を例示したが、これに限定されるわけではない。1つの処理領域のみが設けられるようにすることもできるし、3つ以上の処理領域が設けられるようにすることもできる。本実施の形態においては、一例として、2つの処理領域が設けられる場合を例示するが、1つの処理領域、および、3つ以上の処理領域が設けられる場合も同様に考えることができる。
【0028】
処理領域30a、30bは、加熱部32と加熱部32との間に設けられている。処理領域30a、30bは、均熱部34(上部均熱板34a、下部均熱板34b、側部均熱板34c、側部均熱板34d)により囲まれている。
【0029】
後述するように、均熱部34は、複数の均熱板によって構成されている。そのため、均熱部34は、密閉構造ではない。そのため、チャンバ10の内壁と処理部30との間の空間の圧力が減圧されると、処理領域30a、30bの内部の空間も減圧される。
【0030】
チャンバ10の内壁と処理部30との間の空間の圧力が減圧されていれば、処理領域30a、30bから外部に放出される熱を抑制することができる。すなわち、加熱効率や蓄熱効率を向上させることができる。そのため、後述するヒータ32aに印加する電力を低減させることができる。また、ヒータ32aに印加する電力を低減させることができれば、ヒータ32aの温度が所定の温度以上となるのを抑制することができるので、ヒータ32aの寿命を長くすることができる。
【0031】
フレーム31は、細長い板材や形鋼などからなる骨組み構造を有している。フレーム31の外観形状は、チャンバ10の外観形状と同様とすることができる。フレーム31の外観形状は、例えば、直方体とすることができる。
【0032】
加熱部32は、複数設けられている。加熱部32は、処理領域30a、30bの下部、および処理領域30a、30bの上部に設けることができる。処理領域30a、30bの下部に設けられた加熱部32は、下部加熱部(第2の加熱部の一例に相当する)となる。処理領域30a、30bの上部に設けられた加熱部32は、上部加熱部(第1の加熱部の一例に相当する)となる。下部加熱部は、上部加熱部と対向している。なお、複数の処理領域が上下方向に重ねて設けられる場合には、下側の処理領域に設けられた上部加熱部は、上側の処理領域に設けられた下部加熱部と兼用することができる。
【0033】
加熱部32は、チャンバ10の内部に設けられ、ワーク100を加熱する。
例えば、処理領域30aに支持されたワーク100の下面(裏面)は、処理領域30aの下部に設けられた加熱部32により加熱される。処理領域30aに支持されたワーク100の上面(表面)は、処理領域30aと処理領域30bとにより兼用される加熱部32により加熱される。
【0034】
処理領域30bに支持されたワーク100の下面(裏面)は、処理領域30aと処理領域30bとにより兼用される加熱部32により加熱される。処理領域30bに支持されたワーク100の上面(表面)は、処理領域30bの上部に設けられた加熱部32により加熱される。
【0035】
複数の加熱部32のそれぞれは、少なくとも1つのヒータ32aと、一対のホルダ32bを有する。なお、以下においては、複数のヒータ32aが設けられる場合を説明する。
ヒータ32aは、棒状を呈し、一対のホルダ32bの間をY方向に延びている。複数のヒータ32aは、X方向に並べて設けることができる。複数のヒータ32aは、例えば、等間隔に設けることができる。ヒータ32aは、例えば、シーズヒータ、遠赤外線ヒータ、遠赤外線ランプ、セラミックヒータ、カートリッジヒータなどとすることができる。また、各種ヒータを石英カバーで覆うこともできる。
【0036】
なお、本明細書においては、石英カバーで覆われた各種ヒータをも含めて「棒状のヒータ」と称する。また、「棒状」の断面形状には限定がなく、例えば、円柱状や角柱状なども含まれる。
また、ヒータ32aは、例示をしたものに限定されるわけではない。例えば、ヒータ32aは、放射による熱エネルギーを利用するものであればよい。
【0037】
上部加熱部および下部加熱部における複数のヒータ32aの仕様、数、間隔などは、加熱する溶液の組成(溶液の加熱温度)、ワーク100の大きさなどに応じて適宜決定することができる。複数のヒータ32aの仕様、数、間隔などは、シミュレーションや実験などを行うことで適宜決定することができる。
【0038】
また、複数のヒータ32aが設けられた空間は、ホルダ32b、上部均熱板34a、下部均熱板34b、側部均熱板34c、および側部均熱板34dにより囲まれている。そのため、複数のヒータ32aが設けられた空間に冷却部40から冷却ガスを供給することで、複数のヒータ32a、上部均熱板34a、下部均熱板34b、側部均熱板34c、および側部均熱板34dを冷却することができる。なお、上部均熱板34a同士の間、下部均熱板34b同士の間には隙間が設けられている。そのため、後述する冷却部40から、複数のヒータ32aが設けられた空間に供給された冷却ガスの一部が処理領域30aあるいは、処理領域30bに流入する。
【0039】
一対のホルダ32bは、X方向(例えば、処理領域30a、30bの長手方向)に延びている。一対のホルダ32bは、Y方向において、互いに対向している。一方のホルダ32bは、フレーム31の、扉13側の端面に固定されている。他方のホルダ32bは、フレーム31の、扉13側とは反対側の端面に固定されている。一対のホルダ32bは、例えば、ネジなどの締結部材を用いてフレーム31に固定することができる。一対のホルダ32bは、ヒータ32aの端部近傍の非発熱部を保持する。一対のホルダ32bは、例えば、細長い金属の板材や形鋼などから形成することができる。一対のホルダ32bの材料には特に限定はないが、耐熱性と耐食性を有する材料とすることが好ましい。一対のホルダ32bの材料は、例えば、ステンレスなどとすることができる。
【0040】
支持部33は、チャンバ10の内部に設けられ、ワーク100を支持する。例えば、支持部33は、上部加熱部と下部加熱部との間にワーク100を支持する。支持部33は、複数設けることができる。複数の支持部33は、処理領域30aの下部、および、処理領域30bの下部に設けられている。複数の支持部33は、棒状体とすることができる。
【0041】
複数の支持部33の一方の端部(上方の端部)は、ワーク100の下面(裏面)に接触する。そのため、複数の支持部33の一方の端部の形状は、半球状などとすることが好ましい。
【0042】
ワーク100は、大気圧よりも減圧された雰囲気において、放射による熱エネルギーにより加熱される。したがって、上部加熱部からワーク100の上面までの距離、及び下部加熱部からワーク100の下面までの距離は、放射による熱エネルギーがワーク100に到達できる距離となっている。
【0043】
複数の支持部33の他方の端部(下方の端部)は、例えば、一対のフレーム31の間に架け渡された複数の棒状部材または板状部材などに固定することができる。
【0044】
複数の支持部33の数、配置、間隔などは、ワーク100の大きさや剛性(撓み)などに応じて適宜変更することができる。
複数の支持部33の材料には特に限定はないが、耐熱性と耐食性を有する材料とすることが好ましい。複数の支持部33の材料は、例えば、ステンレスなどとすることができる。
【0045】
均熱部34は、複数の上部均熱板34a(第1の均熱板の一例に相当する)、複数の下部均熱板34b(第2の均熱板の一例に相当する)、複数の側部均熱板34c、および、複数の側部均熱板34dを有する。複数の上部均熱板34a、複数の下部均熱板34b、複数の側部均熱板34c、および、複数の側部均熱板34dは、板状を呈している。
【0046】
複数の上部均熱板34aは、上部加熱部において下部加熱部側(ワーク100側)に設けられている。複数の上部均熱板34aは、複数のヒータ32aと離隔して設けられている。複数の上部均熱板34aは、X方向に並べて設けられている。複数の上部均熱板34a同士の間には隙間が設けられている。前述したように、この隙間を介して、処理領域30a、30bの空間の圧力を減圧することができる。
【0047】
複数の下部均熱板34bは、下部加熱部において上部加熱部側(ワーク100側)に設けられている。複数の下部均熱板34bは、複数のヒータ32aと離隔して設けられている。複数の下部均熱板34bは、X方向に並べて設けられている。複数の下部均熱板34b同士の間には隙間が設けられている。前述したように、この隙間を介して、処理領域30a、30bの空間の圧力を減圧することができる。
【0048】
側部均熱板34cは、X方向において、処理領域30a、30bの両側の側部のそれぞれに設けられている。側部均熱板34cは、カバー36の内側に設けることができる。また、前述したように、側部均熱板34cは、上部均熱板34aあるいは、下部均熱板34bとの間に隙間が設けられている。この隙間を介して、処理領域30a、30bの空間の圧力を減圧することができる。
【0049】
側部均熱板34dは、Y方向において、処理領域30a、30bの両側の側部のそれぞれに設けられている。扉13側に設けられる側部均熱板34dは、カバー36と間隔をあけて扉13に設けることができる。蓋15側に設けられる側部均熱板34dは、カバー36の内側に設けることができる。また、前述したように、側部均熱板34dは、上部均熱板34aあるいは、下部均熱板34bとの間に隙間が設けられている。この隙間を介して、処理領域30a、30bの空間の圧力を減圧することができる。
【0050】
本実施形態では、上部均熱板34a同士の間、および下部均熱板34b同士の間などに設けられた隙間は、上部均熱板34a(下部均熱板34b)と側部均熱板34cとの間、および上部均熱板34a(下部均熱板34b)と側部均熱板34dとの間に設けられた隙間よりも大きくなるように形成されている。その理由については後述する。
【0051】
前述したように、複数のヒータ32aは、棒状を呈し、所定の間隔を空けて並べて設けられている。棒状を呈する複数のヒータ32aを用いてワーク100を直接加熱すると、加熱されたワーク100の温度の面内分布にばらつきが生じる。
【0052】
ワーク100の温度の面内分布にばらつきが生じると、形成された有機膜の品質が低下するおそれがある。例えば、温度が高くなった部分に泡が発生したり、温度が高くなった部分において有機膜の組成が変化したりするおそれがある。
【0053】
本実施の形態に係る有機膜形成装置1には、前述した複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bが設けられている。そのため、複数のヒータ32aから放射された熱は、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bに入射し、これらの内部を面方向に伝搬しながらワーク100に向けて放射される。その結果、ワーク100の温度に面内分布にばらつきが生じるのを抑制することができ、ひいては形成された有機膜の品質を向上させることができる。
【0054】
複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bは、入射した熱を面方向に伝搬させるので、これらの材料は、熱伝導率の高い材料とすることが好ましい。複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bは、例えば、アルミニウム、銅、ステンレスなどとすることができる。なお、アルミニウムや銅などの酸化しやすい材料を用いる場合には、酸化しにくい材料を含む層を表面に設けることが好ましい。
【0055】
複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bから放射された熱の一部は、処理領域の側方に向かう。そのため、処理領域の側部には、前述した側部均熱板34c、34dが設けられている。側部均熱板34c、34dに入射した熱は、側部均熱板34c、34dを面方向に伝搬しながら、その一部がワーク100に向けて放射される。そのため、ワーク100の加熱効率を向上させることができる。
【0056】
側部均熱板34c、34dの材料は、前述した上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの材料と同じとすることができる。
【0057】
なお、以上においては、複数の上部均熱板34aおよび複数の下部均熱板34bが、X方向に並べて設けられる場合を例示したが、上部均熱板34aおよび下部均熱板34bの少なくとも一方は、単一の板状部材とすることもできる。
【0058】
複数の均熱板支持部35は、X方向に並べて設けられている。均熱板支持部35は、上部均熱板34a同士の間の直下に設けることができる。複数の均熱板支持部35は、ネジなどの締結部材を用いて一対のホルダ32bに固定することができる。隣り合う均熱板支持部35は、上部均熱板34aの両端を着脱自在に支持する。なお、複数の下部均熱板34bを支持する複数の均熱板支持部35も同様の構成を有することができる。
【0059】
カバー36は、板状を呈し、フレーム31の上面、底面、および側面を覆っている。すなわち、カバー36によりフレーム31の内部が覆われている。ただし、扉13側のカバー36は、例えば、扉13に設けることができる。
【0060】
カバー36は処理領域30a、30bを囲っているが、フレーム31の上面と側面の境目、フレーム31の側面と底面の境目、扉13の付近には、隙間が設けられている。
【0061】
また、フレーム31の上面および底面に設けられるカバー36は複数に分割されている。また、分割されたカバー36同士の間には隙間が設けられている。すなわち、処理部30(処理領域30a、処理領域30b)の内部空間は、これらの隙間を介して、チャンバ10の内部空間に連通している。そのため、処理領域30a、30bの圧力が、チャンバ10の内壁とカバー36との間の空間の圧力と同じとなるようにすることができる。カバー36は、例えば、ステンレスなどから形成することができる。
【0062】
冷却部40は、加熱部32が設けられた領域に冷却ガスを供給する。例えば、冷却部40は、冷却ガスGにより、処理領域30a、30bを囲む均熱部34を冷却し、冷却された均熱部34により高温状態にあるワーク100を間接的に冷却する。また、例えば、冷却部40は、上部均熱板34a同士の隙間、あるいは、下部均熱板34b同士の隙間からワーク100に冷却ガスを供給して、高温状態にあるワーク100を直接的に冷却することもできる。
つまり、冷却部40は、ワーク100を、間接的および直接的に冷却することができる。
【0063】
冷却部40は、例えば、第1のガス供給経路40aと、第2のガス供給経路40bと、有する。
まず、第1のガス供給経路40aについて説明する。第1のガス供給経路40aは、後述する冷却工程において、加熱部32が設けられた領域に冷却ガスG1を供給する。第1のガス供給経路40aは、ノズル41、ガス源42、ガス制御部43および切替バルブ54を有する。
【0064】
図1に示すように、ノズル41は、複数のヒータ32aが設けられた空間に接続することができる。ノズル41は、例えば、カバー36を貫通し、側部均熱板34cやフレーム31などに取り付けることができる。ノズル41は、Y方向において、複数個設けることができる(
図3参照)。なお、ノズル41の数や配置は適宜変更することができる。例えば、X方向において、処理部30の一方の側にノズル41を設けることもできるし、処理部30の両側にノズル41を設けることもできる。例えば、複数のノズル41をY方向に並べて設けることもできる。
【0065】
ガス源42は、ノズル41に第1の冷却ガスに相当する冷却ガスG1を供給する。ガス源42は、例えば、高圧ガスボンベ、工場配管などとすることができる。また、ガス源42は、複数設けることもできる。
【0066】
冷却ガスG1は、加熱されたワーク100と反応し難いガスとすることが好ましい。冷却ガスG1は、例えば、窒素ガス、希ガスなどとすることができる。希ガスは、例えば、アルゴンガスやヘリウムガスなどである。冷却ガスG1が窒素ガスであれば、ランニングコストの低減を図ることができる。ヘリウムガスの熱伝導率は高いので、冷却ガスG1としてヘリウムガスを用いれば、冷却時間の短縮を図ることができる。
冷却ガスG1の温度は、例えば、室温(例えば、25℃)以下とすることができる。
【0067】
ガス制御部43は、ノズル41とガス源42との間に設けられている。ガス制御部43は、例えば、冷却ガスの供給と停止や、冷却ガスの流速および流量の少なくともいずれかの制御を行うことができる。
【0068】
また、冷却ガスG1の供給タイミングは、ワーク100に対する加熱処理が完了した後とすることができる。なお、加熱処理の完了とは、有機膜が形成される温度を所定時間維持した後とすることができる。
【0069】
切替バルブ54は、第1のガス供給経路40aと第2のガス供給経路40bとを接続し、加熱部32が設けられた領域に冷却ガスG1または冷却ガスG2のどちらかを供給することを選択可能とするためのバルブ(第1のバルブの一例に相当する。)である。切替バルブ54は、ノズル41とガス制御部43との間であって、チャンバ10の外部に設けられる。
【0070】
次に、第2のガス供給経路40bについて説明する。第2のガス供給経路40bは、冷却工程において、加熱部32が設けられた領域に冷却ガスG1とは異なる冷却ガスG2を供給するために設けられている。これにより、冷却ガスG1の供給によって閾値となる温度まで冷却されたワーク100を冷却ガスG1に代わって冷却する。
【0071】
第2のガス供給経路40bは、例えば、ノズル41、ガス源52、ガス制御部53、および切替バルブ54を有する。この場合、第2のガス供給経路40bは、第1のガス供給経路40aと切替バルブ54を介して接続されている。
【0072】
ガス源52は、複数のノズル41に第2の冷却ガスに相当する冷却ガスG2を供給する。ガス源52は、例えば、高圧ガスボンベ、工場配管などとすることができる。また、ガス源52は、複数設けることもできる。
【0073】
冷却ガスG2は、例えば、クリーンドライエア(CDA)とすることができる。冷却ガスG2がクリーンドライエアであれば、ランニングコストの低減を図ることができる。また、例えば、クリーンルーム内の外気を工場配管からフィルタを通して導入するようにしてもよい。
冷却ガスG2の温度は、例えば、室温(例えば、25℃)とすることができる。
【0074】
ガス制御部53は、切替バルブ54とガス源52との間に設けられている。ガス制御部53は、例えば、冷却ガスG2の供給と、供給の停止とを制御することができる。また、ガス制御部53は、例えば、冷却ガスG2の流速および流量の少なくともいずれかの制御を行うこともできる。冷却ガスG2の流速や流量は、チャンバ10の大きさや、ノズル41の形状、数、配置などに応じて適宜変更することができる。冷却ガスG2の流速や流量は、例えば、実験やシミュレーションを行うことで適宜求めることができる。
【0075】
切替バルブ54とノズル41とを接続する配管は、第1のガス供給経路40aと第2のガス供給経路40bとが共用する部分であり、以下、この配管を共用部と呼ぶ。
【0076】
次に、有機膜形成装置1の動作について例示をする。
図2は、ワーク100の処理工程を例示するためのグラフである。
図2に示すように、有機膜の形成工程は、ワークの搬入工程と、昇温工程と、加熱処理工程と、冷却工程、ワークの搬出工程とを含む。
【0077】
まず、ワークの搬入工程では、開閉扉13がフランジ11から離隔し、ワーク100がチャンバ10の内部空間に搬入される。ワークの搬入工程と同時に第1のガス供給経路40aから冷却ガスG1をチャンバ10の内部空間に供給する。チャンバ10の内部空間にワーク100が搬入されると、排気部20によりチャンバ10の内部空間が所定の圧力まで減圧される。
【0078】
チャンバ10の内部空間が所定の圧力まで減圧されると、コントローラ60によってヒータ32aに電力が印加される。すると、
図2に示すように、ワーク100の温度が上昇する。ワーク100の温度が上昇する工程を昇温工程と呼ぶ。本実施形態では、昇温工程が二回(昇温工程(1)、(2))実施される。なお、所定の圧力は、溶液中のポリアミド酸がチャンバ10の内部空間に残留する酸素と反応して酸化されない圧力であればよい。所定の圧力は、例えば、1×10
-2 ~100Paとすればよい。つまり、第2の排気部22で排気することは、必ずしも必要ではなく、第1の排気部21で排気が開始された後、チャンバ10の内部空間が10~100Paの範囲内の圧力となったら、加熱部32によるワーク100の加熱を開始するようにしてもよい。
【0079】
昇温工程の後、加熱処理工程が行われる。加熱処理工程は、所定の温度を所定時間維持する工程である。本実施形態では、加熱処理工程(1)および加熱処理工程(2)を設けることができる。
加熱処理工程(1)は、例えば、第1の温度でワーク100を所定時間加熱し、溶液に含まれている水分やガスなどを排出させる工程とすることができる。第1の温度は、例えば、100℃~200℃とすればよい。
【0080】
加熱処理工程(1)を実施することで、溶液に含まれている水分やガスが完成品である有機膜に含まれることを防ぐことができる。なお、溶液の成分などによっては第1の加熱処理工程は、温度を変えて複数回実施することもできるし、第1の加熱処理工程を省くこともできる。
【0081】
加熱処理工程(2)は、溶液が塗布された基板(ワーク100)を、所定の圧力および温度(第2の温度)で所定時間維持し、有機膜を形成する工程である。第2の温度は、イミド化が起きる温度とすればよく、例えば、300℃以上とすればよい。本実施形態では、分子鎖の充填度の高い有機膜を得るため、400℃~600℃で加熱処理工程(2)を実施している。
【0082】
冷却工程は、有機膜が形成されたワーク100の温度を低下させる工程である。本実施形態では加熱処理工程(2)の後に行われる。冷却工程では、ワーク100の温度が閾値よりも高い温度の場合は、第1のガス供給経路40aから冷却ガスG1が供給され、ワーク100の温度が閾値以下となったら、第2のガス供給経路40bから冷却ガスG2が供給される。なお、冷却ガスG1から冷却ガスG2に切替える温度(閾値)は、材料によって異なるので適宜設定する。閾値は、例えば、150℃~250℃の範囲内の温度である。ワーク100は、搬出可能な温度まで冷却される。例えば、搬出されるワーク100の温度が常温であれば、ワーク100の搬出が容易である。ところが、ワーク100を搬出するたびにワーク100の温度を常温にすると、次のワーク100を昇温させる時間が長くなる。すなわち、生産性が低下するおそれがある。搬出するワーク100の温度は、例えば、50℃~120℃とすればよい。この搬出温度を第3の温度とする。
【0083】
コントローラ60は、第1の排気部21のバルブ25を閉じる。そして、冷却部40を制御して、複数のヒータ32aが設けられた空間に冷却ガスG1または冷却ガスG2を供給することで、間接的および直接的にワーク100の温度を低下させる。
【0084】
そのため、上部均熱板34a同士の間、および下部均熱板34b同士の間などに設けられた隙間は、上部均熱板34a(下部均熱板34b)と側部均熱板34cとの間、および上部均熱板34a(下部均熱板34b)と側部均熱板34dとの間に設けられた隙間よりも大きい。このようにすることで、冷却部40が冷却ガスG1または冷却ガスG2を供給する場合、ワーク100に向かう冷却ガスG1または冷却ガスG2の量を増加させることができる。また、処理領域30a、30bから排気される冷却ガスG1または冷却ガスG2の量を減少させることができる。したがって、ワーク100を効率的に冷却することができる。
【0085】
また、有機膜が形成された直後においては、処理領域30a、30bからチャンバ10の内部に冷却ガスG1が拡散する速度は、遅い方が好ましい。処理領域30a、30bからチャンバ10の内部に冷却ガスG1が拡散する速度が遅いと、供給された冷却ガスG1により、昇華物がチャンバ10の内部で飛散するのを抑制することができる。そのため、有機膜が形成された直後においては、冷却ガスG1の供給量を少なくし、徐々に供給量を増加させることが好ましい。
【0086】
コントローラ60は、チャンバ10の内圧を検出する図示しない真空計の出力が大気圧と同じ圧力となったら、第2の排気部22のバルブ25を閉じ、第3の排気部23のバルブ25を開け、冷却ガスG1を常時排気する。
【0087】
コントローラ60は、不図示の温度計の検出値が閾値となったら切替バルブ54を制御し、複数のヒータ32aが設けられた空間に冷却ガスG2を供給する。このようにすることで、N2や希ガスの使用量を低減することができる。また、後述する搬出工程において、酸素濃度が高い状態で扉13を開けることができる。そのため、N2や希ガスによる酸欠のおそれが抑制される。
【0088】
ワークの搬出工程では、有機膜が形成されたワーク100の温度が第3の温度となったら、チャンバ10内に導入していた冷却ガスG2の供給を停止する。そして、開閉扉13がフランジ11から離隔し、上記ワーク100が搬出される。
【0089】
前述したように、有機膜が形成されたワーク100は、処理が行われたチャンバ10などの内部から取り出され、次工程などに搬送される。加熱して有機膜を形成した場合、ワーク100の温度が高くなるので、温度の高いワーク100をチャンバ10から取り出したり、搬送したりするのは困難である。また、高温で取り出すと有機膜が酸化して機能を満たさなくなる可能性もある。したがって、チャンバ10の内部に冷却ガスG1を供給し、ワーク100を冷却する必要がある。
【0090】
しかしながら、有機膜を形成する際には、250℃~600℃程度の極めて高い温度での処理が必要となる。そのため、ワーク100が搬送可能な温度となるまでに消費される冷却ガスG1の量が膨大となる。また、250℃~600℃程度の有機膜は、反応性が高い。そのため、冷却ガスG1中に酸素が含まれていると有機膜が酸化してしまう。しかしながら、有機膜の酸化を防ぐため、冷却ガスG1として不活性ガスを冷却中ずっと使用すると、コストも増大する。
【0091】
本発明者らは、鋭意研究した結果、有機膜(ワーク100)の温度が200℃前後であれば、冷却ガス中に酸素が含まれていたとしても、有機膜が酸化されることがないことを見出した。
【0092】
そこで、本発明者らは、有機膜(ワーク100)の温度が200℃以下となってから、冷却ガスG1から冷却ガスG2(CDA)に切り替える冷却工程を含む有機膜の形成工程を複数回実行した。すると、一部が酸化された有機膜が発生した。
本発明者らは、さらに鋭意研究した結果、ノズル41と切替バルブ54とを接続する配管(共用部)内に冷却工程で使用した冷却ガスG2が残留していることを突き止めた。
【0093】
本実施の形態に係る有機膜形成装置1は、チャンバ10の内部空間を減圧した後、ワーク100の加熱を行う。チャンバ10の内部空間を減圧する際に、共用部内も減圧されると考えられていた。しかし、実際には、共用部内に冷却工程で使用した冷却ガスG2が残留した。おそらく、ノズル41の冷却ガスG1あるいは冷却ガスG2を吐出する吐出口の径が小さいために、共用部内を十分排気することができないためと考えられる。
【0094】
そこで、本実施の形態に係る有機膜形成装置1は、処理済みのワーク100をチャンバ10から搬出することを開始してから、次に処理を行うワーク100をチャンバ10に搬入し、昇温するまでの間に、チャンバ10の内部に冷却ガスG1を供給する。このようにすることで、共用部内に残留する冷却ガスG2を排出することができる。
また、処理済みのワーク100の次に加熱処理工程(2)が行われたワーク100の冷却工程を開始する際に、共用部内に残留した冷却ガスG2がチャンバ10内に供給され、250℃以上のワーク100と接触することを防止することができる。
【0095】
ところで、ワーク搬出工程およびワーク搬入工程において、チャンバ10の内部空間は、外部雰囲気に開放される。そのため、共用部内を冷却ガスG1で置換したとしても、外部雰囲気中の空気がノズル41から上記配管内に侵入するおそれがある。したがって、ワーク搬入工程において、冷却ガスG1を供給することが好ましい。特に、全てのワーク100をチャンバ10内に搬入し、前扉13で開口11aを塞ぐ直前に行うのが好ましい。
【0096】
なお、冷却ガスG1を供給する時間は、上記配管内に残留した冷却ガスG2の濃度が有機膜の品質に悪影響を及ぼさない程度まで希釈される時間とすればよい。また、冷却ガスG1の供給量は、冷却工程で供給される量よりも少なくてよい。上記配管内に残留した冷却ガスG2の濃度が有機膜の品質に悪影響を及ぼさない程度まで希釈される時間や冷却ガスG1の供給量は、シミュレーションや実験などを行うことで適宜決定すればよい。
【0097】
また、チャンバ10の内部空間を減圧するのと同時に冷却ガスG1を供給してもよい。この場合も冷却ガスG1を供給する時間は、有機膜の品質に悪影響を及ぼさない程度まで希釈される時間とすればよい。
なお、本発明者らの得た知見によれば、チャンバ10内の酸素濃度が100ppm程度にまで下がれば、酸化反応を抑制することができる。この場合、酸素濃度が100ppmとなるチャンバ10の内圧は100Pa程度である。したがって、チャンバ10の内圧を1Pa未満まで減圧後、チャンバ10の内圧が100Pa以上とならないように冷却ガスG1を供給することが好ましい。冷却ガスG1の供給を行い、チャンバ10内の酸素濃度を酸素濃度計21cで検出する。酸素濃度が閾値以下となったら、ヒータ32aに電力を印加する。このようにすることで、有機膜の品質への悪影響を確実に抑制することができる。この場合、閾値は、0.1ppm~100ppmの範囲内の値である。
【0098】
図4は、他の実施形態に係る有機膜形成装置1aを例示するための模式斜視図である。
冷却部40は、切替バルブ54に代えて、2つのバルブ54a(第1のバルブの一例に相当する。)を有する。2つのバルブを有することで、2つの異なるガスをチャンバ10の内部に同時に供給することができる。そのため、チャンバ10の内部に供給できる冷却ガスの流量を増加させることができ、冷却工程の時間を短縮することができる。この場合、冷却ガスG1の供給量を冷却ガスG2の供給量よりも多くすることが好ましい。
【0099】
また、冷却部40は、各ノズル41に対し1つのバルブ54b(第2のバルブの一例に相当する。)を有する。このようにすることで、ノズル41毎に冷却ガスGの供給と停止を制御することが可能となる。
【0100】
有機膜形成装置1aの場合、
図4に示すA部の配管、バルブ54bおよびノズル41が共用部となる。有機膜形成装置1aでは、A部の配管内に冷却工程で用いた冷却ガスG2が残留する。前述の通り、共用部内に残留した冷却ガスG2は、ノズル41を介して排気部20から排気することが困難である。また、排気部20によってA部の配管内に残留する冷却ガスG2を排気しようとすると、チャンバ10内の密閉性が悪くなるおそれがある。
【0101】
そのため、処理済みのワーク100をチャンバ10から搬出し、次に処理を行うワーク100をチャンバ10に搬入するまでの間に、チャンバ10の内部に冷却ガスG1を供給する。このようにすることで、共用部内に残留する冷却ガスG2を排出することができる。したがって、有機膜形成装置1aは、有機膜が形成されたワーク100の冷却にかかるコストを低減し、かつ、有機膜の品質への悪影響を確実に抑制することができ、かつ、バルブ54bの破損を防止することができる。
【0102】
図5は、他の実施形態に係る有機膜形成装置1bを例示するための模式斜視図である。
図5に示すように、有機膜形成装置1bは、もう一つの冷却部140(第2の冷却部の一例に相当する。)をさらに有することができる。
【0103】
冷却部140は、処理領域30a、30bの内部にあるワーク100に冷却ガスを供給する。つまり、冷却部140は、ワーク100を直接的に冷却する。
冷却部140は、冷却部40同様、加熱部32が設けられた領域に冷却ガスG1を供給する第1の供給経路、加熱部32が設けられた領域に冷却ガスG2を供給する第2の供給経路および共用部を有する。冷却部140は、ノズル41に変えてノズル141を有する点で冷却部40と相違する。
【0104】
図6は、他の実施形態に係る有機膜形成装置1bを例示するための模式断面図である。
ノズル141は、処理領域30a、30bの内部に少なくとも1つ設けることができる。ノズル141は、例えば、蓋15およびカバー36を貫通し、側部均熱板34dやフレーム31などに取り付けることができる。本実施形態では、ワーク100の裏面に冷却ガスを供給できる位置にノズル141が取り付けられる。また、ノズル141は、X方向に複数個設けることができる。あるいは、ノズル141は、先端が閉塞された筒状とすることができる。そして、ノズル141の側面に複数の孔が設けられ、チャンバ10の側面か
ら挿入されるようにしてもよい。
【0105】
ワーク100を間接的および直接的に冷却する場合には、冷却工程において、ワーク100の温度が閾値より高い温度の場合、冷却ガスG1を加熱部32が設けられた領域に供給し、ワーク100の温度が閾値以下の場合、冷却ガスG2を加熱部32が設けられた領域に冷却部40および冷却部140から供給する。このようにすることで、実質的な冷却時間の短縮を図ることができる。
つまり、ワーク100の温度が閾値(200℃)を超え酸素と反応しやすい状況であるときには、酸素ガスを含まない(あるいは酸素濃度が有機膜の品質に悪影響を及ぼさない程度である)冷却ガスG1によってワーク100を冷却することによりワーク100の酸化を防ぎながらワーク100を冷却することができる。一方、ワーク100の温度が閾値以下であり酸素と反応しにくい状況にあるときには、酸素を含む冷却ガスG2によってワーク100を冷却することにより、コストを低減しながらワーク100を冷却することができるとともに、ワーク100を搬出時の酸欠を防ぐことができる。なお冷却ガスG2に含まれる酸素ガスは、N2や希ガスによる酸欠のおそれを抑制するのに十分な量であり、酸素中毒を起こすことのない濃度となる量であることが望ましい。
【0106】
図7は、他の実施形態に係る有機膜形成装置を例示するための模式斜視図である。
図1に例示をした有機膜形成装置には、切替バルブ54が設けられていた。しかしながら、
図7に示すように、切替バルブ54を設けずに、開閉バルブ541を、第1のガス供給経路40aと第2のガス供給経路40bとの共用部に設け、開閉バルブ543を第2のガス供給経路40bに設けるようにしても良い。
【0107】
この場合、ワーク100の連続処理を行う際の2回目以降の処理において、冷却ガスG1の供給を行うときに、ガス制御部43から開閉バルブ541の間の配管に残留する冷却ガスG2も一緒に供給されてしまうことになる。前述のとおり、冷却ガスG1の供給は、ワーク100の温度が高温であるとき(閾値よりも高い温度であるとき)に行うので、冷却ガスG1と一緒に残存する冷却ガスG2が供給されると、冷却ガスG2に含まれる酸素とワーク100が反応して、ワーク100が酸化してしまう。
【0108】
これを防ぐために、冷却ガスG1の供給前(開閉バルブ541を開ける前)に、排気バルブ542と開閉バルブ543を開けることによって、第2のガス供給経路40bと第1のガス供給経路40aの接続部分から開閉バルブ543の間に残留する冷却ガスG2を排気するようにする。これにより、第1のガス供給経路40aと第2のガス供給経路40bとの共用部に残存する冷却ガスG2が、チャンバに流れ込むことを確実に防止できる。
【0109】
また、第1のガス供給経路40aと第2のガス供給経路40bとの共用部、および第2のガス供給経路40bに残存する冷却ガスG2の排気は、排気部20による排気時に行うようにしても良い。つまり、排気部20による排気開始から、チャンバ10の内圧が所定の酸素濃度100ppm以下となる圧力となるまでの間(ヒータ32aによる加熱前までの間、あるいは、ワーク100が酸素と反応して酸化することのない温度となるまでの間)に、ガス制御部43、開閉バルブ541を開状態にするとともに、ガス制御部53、排気バルブ542、開閉バルブ543を閉状態として、冷却ガスG1を供給する。その後、開閉バルブ541、ガス制御部53を閉状態にするとともに、ガス制御部43、開閉バルブ543、排気バルブ542を開けて排気する。これにより、第1のガス供給経路40aと第2のガス供給経路40bとの共用部、および第2のガス供給経路40bは、冷却ガスG1によりパージされるので、冷却ガスG2が残留していない状態となる。また、以上のパージを複数回繰り返すことにより、より確実に、残留する冷却ガスG2を排気することがさらに好ましい。
【0110】
以上に説明した様に、本実施の形態に係る有機膜の製造方法は、基板と、前記基板の上面に塗布された有機材料と溶媒とを含む溶液と、を有するワークを大気圧よりも減圧された雰囲気を維持可能なチャンバ内に搬入するワーク搬入工程と、大気圧よりも減圧された雰囲気において、前記ワークを加熱する工程と、前記加熱を行うことで有機膜が形成されたワークを冷却する工程と、前記有機膜が形成された前記ワークを搬出する工程と、を備え、前記ワークを加熱する工程においては、第1の加熱部と、第2の加熱部と、の間の処理領域において前記ワークが加熱され、前記ワークを冷却する工程においては、前記ワークが200℃より高い温度の場合、前記第1の加熱部、および、前記第2の加熱部の少なくともいずれかの内部に加熱された前記ワークと反応し難い第1のガスを供給し、前記ワークが200℃以下の温度の場合、前記第1の加熱部、および、前記第2の加熱部の少なくともいずれかの内部にCDAを供給し、前記ワーク搬入工程においては、前記ワークを前記チャンバ内に搬入する際に、前記第1の冷却ガスを供給する。
【0111】
以上、実施の形態について例示をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
例えば、有機膜形成装置1の形状、寸法、配置などは、例示をしたものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
例えば、切替バルブ54とバルブ54bを組み合わせて用いてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1 有機膜形成装置、10 チャンバ、11a 開口、20 排気部、21c 酸素濃度計、30 処理部、30a 処理領域、30b 処理領域、32 加熱部、32a ヒータ、40 冷却部、52 ガス源、53 ガス制御部、54 切替バルブ、55 筐体、60 コントローラ、100 ワーク、G1 冷却ガス、G2 冷却ガス