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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】整髪用組成物及び整髪方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/9789 20170101AFI20240201BHJP
   A61K 8/31 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 8/89 20060101ALI20240201BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20240201BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61K8/9789
A61K8/31
A61K8/37
A61K8/89
A61K8/9794
A61Q5/06
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019009185
(22)【出願日】2019-01-23
(65)【公開番号】P2019163235
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-01-19
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-10
(31)【優先権主張番号】P 2018050974
(32)【優先日】2018-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592255176
【氏名又は名称】株式会社ミルボン
(74)【代理人】
【識別番号】100165685
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 信治
(72)【発明者】
【氏名】井口 亮
(72)【発明者】
【氏名】瀧野 雄介
【合議体】
【審判長】井上 典之
【審判官】宮崎 大輔
【審判官】齊藤 真由美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-179564(JP,A)
【文献】特開2018-83782(JP,A)
【文献】特開2016-188189(JP,A)
【文献】特開2020-94035(JP,A)
【文献】特開2020-37516(JP,A)
【文献】特開2007-230926(JP,A)
【文献】特開2012-25744(JP,A)
【文献】特開2017-100967(JP,A)
【文献】特開2012-149003(JP,A)
【文献】特開2009-19024(JP,A)
【文献】特開2009-19023(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)ヒマワリ種子ロウが4質量%以上又は(A2)ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウが2質量%以上、
(B)25℃で液状の油、及び
(C)ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル
が配合された整髪用組成物(但し、ヘアスティックを除く)。
【請求項2】
(B)25℃で液状の油が、液状の炭化水素、液状のエステル油、液状の油脂及び液状のシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の整髪用組成物。
【請求項3】
(B)25℃で液状の油の配合量が15質量%以上である請求項1又は請求項2に記載の整髪用組成物。
【請求項4】
(A1)ヒマワリ種子ロウが4質量%以上又は(A2)ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウが2質量%以上、
(B)25℃で液状の油、
(C)ノニオン界面活性剤、及び

が配合され、
前記(B)25℃で液状の油として、液状の炭化水素が30質量%以上、液状のエステル油が30質量%以上、液状の油脂が30質量%以上、又は液状のシリコーン油が30質量%以上の量で配合されており、
前記(C)ノニオン界面活性剤がポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステルであり、
前記水の配合量が15質量%以上である整髪用組成物(但し、ヘアスティックを除く)。
【請求項5】
前記(C)ノニオン界面活性剤がトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)である請求項4に記載の整髪用組成物。
【請求項6】
粘度が50Pa・S以上である請求項1~5のいずれか1項に記載の整髪用組成物。
【請求項7】
(A1)ヒマワリ種子ロウの配合量が25質量%以下であるか、又は(A2)ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウの配合量が25質量%以下である請求項1~6のいずれか1項に記載の整髪用組成物。
【請求項8】
剤型が固体状である請求項1~7のいずれか1項に記載の整髪用組成物。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1項に記載の整髪用組成物を用いた整髪方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪用組成物及び当該整髪用組成物を用いた整髪方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の成分が配合された整髪用組成物が、種々の整髪目的に応じて提供されている。上記整髪用組成物の一例として、カルナウバロウ等の成分を配合することによって髪を立ち上げる等の整髪性を向上させる技術(特許文献1)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-013125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、毛髪の束を形成させ、毛先にまとまりを付与するといった整髪性を向上させるために、毛髪同士の接着性を高めるロウや炭化水素等の固形油(25℃で固形状の油)が整髪用組成物に用いられることがある。しかし、上記固形油を配合しても、整髪用組成物の物性によっては、毛髪の束を形成させる等の整髪性の向上が不十分となる場合があり、所望の整髪性を得られないことがあった。特に、整髪用組成物の粘度が比較的低い場合に、毛髪の束を形成させ、毛先にまとまりを付与するといった整髪性が十分に発揮できないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みて、固形油を配合した整髪用組成物において、当該整髪用組成物の粘度を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等が上記課題に対して鋭意検討したところ、25℃で液状の油が配合された整髪用組成物に、固形油であるヒマワリ種子ロウを4質量%以上又はヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウを2質量%以上配合されたものとすれば、粘度をより高めた整髪用組成物が提供できることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明の整髪用組成物は、
(A1)ヒマワリ種子ロウが4質量%以上又は(A2)ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウが2質量%以上、及び
(B)25℃で液状の油
が配合された整髪用組成物である。
【0008】
本発明の整髪用組成物は、粘度が50Pa・S以上であると、整髪性がより向上するため好ましい。
【0009】
本発明の整髪用組成物は、(A1)ヒマワリ種子ロウの配合量が25質量%以下であるか、又は(A2)ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウの配合量が25質量%以下であると、毛髪への塗布がより行いやすいため好ましい。
【0010】
本発明の整髪用組成物における(B)25℃で液状の油は、液状の炭化水素、液状のエステル油、液状の油脂又は液状のシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上であると、整髪後の毛髪の艶をより向上させるため好ましい。
【0011】
本発明の整髪用組成物は、(B)25℃で液状の油の配合量が15質量%以上であると、毛髪への塗布をより行いやすいため好ましい。
【0012】
本発明の整髪用組成物は、(C)ノニオン界面活性剤が配合されたものであれば、洗い落ちが優れるため好ましい。
【0013】
本発明の整髪用組成物は、剤型が固体状であると、整髪性の向上がより優れるため好ましい。
【0014】
本発明の整髪用組成物を用いた整髪方法は、整髪性に優れる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、整髪用組成物の粘度を高めることができる。また、本発明の整髪用組成物を用いた整髪方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例30、実施例5~7の整髪用組成物の偏光顕微鏡観察写真。
図2】実施例15~19の整髪用組成物の偏光顕微鏡観察写真。
図3】実施例5、実施例17、比較例10、比較例13~16の整髪用組成物の偏光顕微鏡観察写真。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に基づき、本発明を以下に説明する。
【0018】
本実施形態の整髪用組成物は、
(A1)ヒマワリ種子ロウが4質量%以上又は(A2)ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウが2質量%以上、及び
(B)25℃で液状の油
が配合された整髪用組成物である。
【0019】
以下の記載において、「ヒマワリ種子ロウ」を(A1)成分、「ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウ」を(A2)成分、「25℃で液状の油」を(B)成分とそれぞれ表記することがある。
【0020】
<(A1)成分、(A2)成分>
本実施形態の整髪用組成物は、(A1)成分であるヒマワリ種子ロウが4質量%以上又は(A2)成分であるヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウが2質量%以上、配合されたものである。
なお、本実施形態の整髪用組成物は、(A1)成分と(A2)成分の両方を配合されたものとして良い。そのため、本実施形態の整髪用組成物に対して、(A1)成分の配合量が4質量%以上を満たす限りにおいて(A2)成分が配合されたものであっても良く、又は(A2)成分の配合量が2質量%以上を満たす限りにおいて(A1)成分が配合されたものでっても良い
【0021】
[(A1)ヒマワリ種子ロウ]
本実施形態の整髪用組成物に配合されるヒマワリ種子ロウは、ヒマワリ(HELIANTHUS ANNUUS)の種子から得られたロウである。本実施形態の整髪用組成物にヒマワリ種子ロウを配合すれば、整髪用組成物の粘度向上に優れる。
【0022】
本実施形態の整髪用組成物に配合されるヒマワリ種子ロウの配合量は、4質量%以上である。ヒマワリ種子ロウの配合量を4質量%以上とすることで、整髪用組成物の粘度をより高めることができる。なお、整髪用組成物の粘度を高めることによって、整髪性をより向上させた整髪用組成物が実現可能となる。ここで、「整髪性」とは、毛髪の束を形成させ、毛先にまとまりを付与する整髪作用を意味する(以下、「整髪性」について同様の意味で用いる)。
【0023】
本実施形態の整髪用組成物に配合されるヒマワリ種子ロウの配合量の下限は、整髪用組成物の粘度をより高める観点から、4質量%以上であり、5質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、8質量%以上がさらに好ましく、9質量%以上が特に好ましい。
【0024】
本実施形態の整髪用組成物に配合されるヒマワリ種子ロウの配合量の上限は、特に限定されない。なお、上記配合量の上限は、毛髪への塗布をより行いやすいものとする観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0025】
[(A2)ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウ]
本実施形態の整髪用組成物に配合されるヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウは、コメヌカロウ(イネ(ORYZA SATIVA)の果皮、種皮、胚芽、糊粉層などから得られたロウ)のうちヨウ素価が3.0以下のものである。
本実施形態の整髪用組成物にヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウを配合すれば、整髪用組成物の粘度向上に優れる。なお、ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウとしては、コヨウ素価が2.0以下のコメヌカロウや、ヨウ素価が1.5以下のコメヌカロウを用いることができる。
【0026】
上記ヨウ素価とは、試料100gに結合するハロゲンの量をヨウ素(I)のg数をいう。本実施形態のヨウ素価は医薬部外品原料規格2006の一般試験法に定める「ヨウ素価測定法」により測定できる。
なお、ヨウ素価の値が小さいほど試料(コメヌカロウ)の不飽和基の量が少ない(二重結合の数が少ない)ことを示す。
【0027】
ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウは、市販品を用いてもよく、ヨウ素価が3.0よりも大きいコメヌカロウを公知の方法により精製してヨウ素価を3.0以下としたコメヌカロウを用いても良い。上記市販品としては、例えば、東亜化成株式会社製のTOWAX-3P3が挙げられる。
【0028】
本実施形態の整髪用組成物に配合されるヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウの配合量は、2質量%以上である。ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウの配合量を2質量%以上とすることで、整髪用組成物の粘度を高めることができる。なお、整髪用組成物の粘度を高めることによって、整髪性をより向上させた整髪用組成物が実現可能となる。
【0029】
本実施形態の整髪用組成物に配合されるヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウの配合量の下限は、整髪用組成物の粘度をより高める観点から、2質量%以上であり、4質量%以上が好ましく、6質量%以上がより好ましく、7質量%以上がさらに好ましい。
【0030】
本実施形態の整髪用組成物に配合されるヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウの配合量の上限は、特に限定されない。なお、上記配合量の上限は、毛髪への塗布をより行いやすいものとする観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下がさらに好ましい。
【0031】
<(B)成分>
本実施形態の整髪用組成物は、(B)成分である25℃で液状の油が配合されたものである。本実施形態の整髪用組成物に1種又は2種以上の25℃で液状の油を配合することによって、整髪後の毛髪の艶が向上する。ここで「液状」とは、25℃で流動性を示すものを意味する。また、「25℃で液状の油」とは、25℃で流動性を示す油を意味し、特に融点20℃以下の油であると良い。
【0032】
(B)成分は、液状の炭化水素、液状のエステル油、液状の油脂、液状のシリコーン油、液状の高級脂肪酸、及び液状の高級アルコールから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
本実施形態の整髪用組成物において、(B)成分は、整髪後の毛髪の艶をより向上させる観点から、液状の炭化水素、液状のエステル油、液状の油脂及び液状のシリコーン油から選ばれる1種又は2種以上を用いると良い。
【0033】
[液状の炭化水素]
本実施形態の整髪用組成物には、(B)成分として、液状の炭化水素を1種又は2種以上配合することができる。
前記液状の炭化水素の具体例としては、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィン、水添ファルネセン、液状である炭素数20以下のアルカンの混合物(例えば、(C9-12)アルカン、(C10-13)アルカン、(C13,14)アルカン、(C13-15)アルカン等)、ポリブテン、イソドデカン等が挙げられる。
【0034】
[液状のエステル油]
本実施形態の整髪用組成物には、(B)成分として、液状のエステル油を1種又は2種以上配合することができる。液状のエステル油の具体例としては、例えば、直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとの液状のエステル、直鎖又は分岐脂肪酸と多価アルコールとの液状のエステル、液状の1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸との液状のエステル、ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとの液状のエステル等が挙げられる。
【0035】
前記直鎖又は分岐脂肪酸と1価の直鎖又は分岐アルコールとの液状のエステルとしては、直鎖脂肪酸と1価の直鎖アルコールとの液状のエステル、直鎖脂肪酸と1価の分岐アルコールとの液状のエステル、分岐脂肪酸と1価の直鎖アルコールとの液状のエステル、分岐脂肪酸と1価の分岐アルコールとの液状のエステルが挙げられる。
前記直鎖脂肪酸と1価の直鎖アルコールとの液状のエステルとしては、例えば、カプリル酸セチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、オレイン酸オレイル、ミリスチン酸デシル等が挙げられる。
前記直鎖脂肪酸と1価の分岐アルコールとの液状のエステルとしては、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、リノール酸イソプロピル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸2-ヘキシルデシル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸2-オクチルドデシル、リシノール酸2-オクチルドデシル等が挙げられる。
前記分岐脂肪酸と1価の直鎖アルコールとの液状のエステルとしては、例えば、イソステアリン酸エチル、2-エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル等が挙げられる。
前記分岐脂肪酸と1価の分岐アルコールとの液状のエステルとしては、例えば、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、ネオペンタン酸2-オクチルドデシル、2-エチルヘキサン酸2-ヘキシルデシル、2-エチルヘキサン酸イソステアリル、イソノナン酸2-エチルヘキシル、イソノナン酸イソノニル、ジメチルオクタン酸2-ヘキシルデシル、ジメチルオクタン酸2-オクチルドデシル、イソパルミチン酸2-エチルヘキシル、イソステアリン酸2-ヘキシルデシル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸2-オクチルドデシル等が挙げられる。
【0036】
前記直鎖又は分岐脂肪酸と多価アルコールとの液状のエステルとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(トリカプリル酸グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル(ジラウリン酸PG、ジイソステアリン酸PG等)、ペンタエリスリトールエステル(テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリトリット、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル等)等が挙げられる。
【0037】
前記1価の直鎖又は分岐アルコールと1価又は多価のカルボン酸との液状のエステルとしては、例えば、乳酸エステル(乳酸ラウリル、乳酸イソステアリル、乳酸2-オクチルドデシル等)、炭酸エステル(炭酸ジカプリリル、炭酸ジエチルヘキシル等)、クエン酸エステル(クエン酸トリ2-エチルヘキシル、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリ2-オクチルドデシル等)、リンゴ酸エステル(リンゴ酸ジステアリル等)、コハク酸エステル(コハク酸ジ2-エチルヘキシル、コハク酸ジエトキシエチル等)、アジピン酸エステル(アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ2-エチルヘキシル等)、セバシン酸エステル(セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジブチルオクチル等)、安息香酸エステル(安息香酸アルキル(C12-15)、安息香酸イソステアリル等)等が挙げられる。
前記ヒドロキシル基を有する直鎖又は分岐脂肪酸と直鎖又は分岐脂肪酸とのエステル化合物と1価の直鎖又は分岐アルコールとの液状のエステルとしては、例えば、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
【0038】
[液状の油脂]
本実施形態の整髪用組成物には、(B)成分として、液状の油脂を1種又は2種以上配合することができる。前記液状の油脂の具体例としては、例えば、コメヌカ油、ホホバ油、シア脂、ローズヒップ油、ヒマワリ種子油、綿実油、アルガン油、ツバキ油、サザンカ油、アボカド油、アーモンド油、オリーブ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、トウモロコシ油、ナタネ油、パーム油、ヒマシ油、グレープシード油、ヤシ油、杏仁油、硬化油等の植物油;オレンジラフィー油等の動物油;が挙げられる。
【0039】
[液状のシリコーン油]
本実施形態の整髪用組成物には、(B)成分として、液状のシリコーン油を1種又は2種以上配合することができる。前記液状のシリコーン油の具体例としては、ジメチルシリコーン、ジメチコノール、環状シリコーン(デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、ポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、メチルフェニルシリコーン等が挙げられる。
【0040】
[液状の高級脂肪酸]
本実施形態の整髪用組成物には、(B)成分として、液状の高級脂肪酸を1種又は2種以上配合することができる。液状の高級脂肪酸としては、炭素数8~20の液状の高級脂肪酸を用いると良い。そのような液状の高級脂肪酸の具体例としては、カプリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。なお、(B)成分として高級脂肪酸を配合する場合、その配合量は、整髪中のきしみのある指通りを抑制する観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
【0041】
[液状の高級アルコール]
本実施形態の整髪用組成物には、(B)成分として、液状の高級アルコールを1種又は2種以上配合することができる。液状の高級アルコールとしては、炭素数が12~24の液状の高級アルコールを用いると良い。そのような液状の高級アルコールの具体例としては、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、イソセチルアルコール、ドデシルヘキサデカノール、イソステアリルアルコール、テトラデシルオクタデカノール等が挙げられる。なお、(B)成分として高級アルコールを配合する場合、その配合量は、整髪中のきしみのある指通りを抑制する観点から、10質量%以下が好ましく、8質量%以下がより好ましい。
【0042】
本実施形態の整髪用組成物における(B)成分である25℃で液状の油の配合量は、特に限定されない。なお、(B)成分の配合量の下限は、整髪後の毛髪の艶をより向上させる観点から、15質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上がさらに好ましく、70質量%以上が特に好ましい。また、(B)成分の配合量の上限は、より優れた整髪性を付与する観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下がさらに好ましい。
【0043】
本実施形態の整髪用組成物における(A1)成分の配合量に対する(B)成分の配合量の質量比[(B)/(A1)]は特に限定されない。なお、整髪後の毛髪の艶をより向上させる観点から、前記[(B)/(A1)]の下限値は、0.5以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。また、前記[(B)/(A1)]の上限値は、整髪性をより向上させる観点から、24以下が好ましく、20以下がより好ましく、15以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましい。
【0044】
本実施形態の整髪用組成物における(A2)成分の配合量に対する(B)成分の配合量の質量比[(B)/(A2)]は特に限定されない。なお、整髪後の毛髪の艶をより向上させる観点から、前記[(B)/(A2)]の下限値は、0.5以上が好ましく、1.5以上がより好ましく、2.0以上がさらに好ましい。また、前記[(B)/(A2)]の上限値は、整髪性をより向上させる観点から、49以下が好ましく、32以下がより好ましく、20以下がさらに好ましい、13以下が特に好ましい。
【0045】
<任意成分>
本実施形態の整髪用組成物に配合される上記(A1)成分、(A2)成分及び(B)成分以外の任意成分は、公知の整髪用組成物に配合される成分の中から、整髪用組成物の用途、目的に応じて適宜に選定される。上記任意成分としては、ノニオン界面活性剤((C)成分)、アニオン界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン界面活性剤、水、多価アルコール、糖類、25℃で固形の油(例えば、炭化水素、ロウ、エステル油、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン油等)、高分子化合物、アミノ酸、動植物抽出物、微生物由来物、無機化合物、粉体、酸、アルカリ、香料、防腐剤、金属イオン封鎖剤、紫外線吸収剤等である。
【0046】
本実施形態の整髪用組成物は、(C)成分としてノニオン界面活性剤が配合されたものとして良い。このノニオン界面活性剤の配合により、洗い落ちが優れた整髪用組成物が実現できる。
【0047】
ノニオン界面活性剤は、1種又は2種以上を配合することができる。ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトールテトラ脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、グリセリンアルキルエーテル、ポリグリセリンアルキルエーテル、アルキルグルコシド、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルアルカノールアミド等が挙げられる。これらのうち、洗い落ちにより優れる観点から、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル(例えば、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)等)が好ましい。
【0048】
ノニオン界面活性剤が配合されたものとする場合、整髪後の毛髪のベタツキのある手触りを抑える観点から、配合量の上限は15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、8質量%以下がさらに好ましい。また、ノニオン界面活性剤の配合量の下限は、整髪用組成物の洗い落ちにより優れる観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上がさらに好ましい。
【0049】
本実施形態の整髪用組成物は、水が配合されたものとして良い。本実施形態の整髪用組成物に水を配合すれば、整髪用組成物を塗布した後の手のべたつきを低減することができる。水の配合量の下限は上記べたつきをより低減できる観点から、5質量%以上が好ましく、15質量%以上が好ましい。また、水の配合量の上限は整髪後の時間経過に伴って毛髪がパサパサした見た目の状態(乾燥したような状態)となることを抑える観点から、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
【0050】
本実施形態の整髪用組成物は、25℃で固形の油が配合されていても良い。ここで、「固形」とは、25℃で流動性を有さないものを意味する。また、「25℃で固形の油」とは、25℃で流動性を有さない油を意味し、特に融点40℃以上の油であると良い。
25℃で固形の油として、例えば、25℃で固形の炭化水素、ロウ、エステル油、油脂、高級脂肪酸、高級アルコール又はシリコーン油等が挙げられ、これらの中から1種又は2種以上を配合して良い。なお、25℃で固形の油として、より整髪性を向上させる観点から、25℃で固形の炭化水素及び25℃で固形のロウから選ばれる1種又は2種以上が配合されても良い。
【0051】
上記25℃で固形の炭化水素は、炭素と水素からなる化合物で固形のものである。本実施形態の整髪用組成物に25℃で固形の炭化水素を1種又は2種以上を配合して良い。25℃で固形の炭化水素としては、例えば、マイクロクリスタリンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィン等が挙げられる。
上記25℃で固形のロウは、高級脂肪酸と高級アルコールのエステルを主成分とする固体のものである。本実施形態の整髪用組成物に25℃で固形のロウを1種又は2種以上を配合して良い。25℃で固形のロウとしては、例えば、ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、モクロウ、モンタンロウ、コメヌカロウ((A2)成分を除く)が挙げられる。
【0052】
25℃で固形の油として、25℃で固形の炭化水素及びロウから選ばれる1種又は2種以上が配合される場合、その配合量(25℃で固形の炭化水素及び25℃で固形のロウのうちのいずれか一方のみを用いる場合は、その量であり、両方を用いる場合は、それらの合計量である。)の下限は、整髪性を向上させる観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。また、その配合量の上限は、毛髪のベタツキを低減させる観点から、25質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましい。
【0053】
本実施形態の整髪用組成物は、粉体の配合について任意であるが、整髪後の毛髪の艶をより向上させる観点から、粉体の配合量が10質量%以下とするか、又は粉体を配合しないことが好ましい。なお、粉体を配合する場合は、整髪後の毛髪の艶をより向上させる観点から、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましい。上記粉体の具体例としては、体質粉体(粘土鉱物、合成無機粉体、有機天然粉体、有機合成粉体等)、表面処理粉体、シリコーン粉体、二酸化ケイ素、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。
【0054】
本実施形態の整髪用組成物は、整髪用組成物の細菌の繁殖を抑えるために、防腐剤及び金属イオン封鎖剤が配合されたものとして良い。
防腐剤としては、防腐剤に用いられる公知の成分を採用すればよく、例えば、安息香酸又はその塩、パラベン類又はその塩、ソルビン酸又はその塩、フェノキシエタノールなどの芳香族アルコール等が挙げられる(防腐剤の配合量は、例えば、0.01質量%以上0.8質量以下である)。
金属イオン封鎖剤としては、金属イオン封鎖剤に用いられる公知の成分を採用すればよく、例えば、エデト酸又はその塩、ジエチレントリアミン五酢酸又はその塩、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸又はその塩、ヒドロキシエタンジホスホン酸又はその塩等が挙げられる(金属イオン封鎖剤の配合量は、例えば、0.01質量%以上0.1質量以下である)。
【0055】
<整髪用組成物>
本実施形態の整髪用組成物は、整髪に用いられる組成物である。なお、「整髪」とは、髪を整えることをいう。
【0056】
(製造方法)
本実施形態の整髪用組成物の製造方法としては、公知の整髪用組成物の製造方法を採用すれば良い。製造方法の一例としては、例えば、所定量の(A1)成分のヒマワリ種子ロウ、又は所定量の(A2)成分のヨウ素価3.0以下のコメヌカロウと、所定量の(B)成分の25℃で液状の油とを、(A1)成分又は(A2)成分の融点以上に加熱してから混合し、その後常温に冷却する方法がある。
【0057】
(剤型)
本実施形態の整髪用組成物の剤型は、特に限定されないが、例えば、固体状、ペースト状、ワックス状、ゲル状が挙げられる。なお、整髪性をより向上させる観点から、固体状の剤型とするのが好ましい。ここで固体状の剤型とは、流動性をもたないが応力を加えると変形するものを意味する。
【0058】
上記剤型の形態は、特に限定されないが、例えば、無水、O/W型エマルジョン、W/O/W型エマルジョン、W/O型エマルジョンが挙げられる。
【0059】
(整髪用組成物の種類)
本実施形態に係る整髪用組成物の種類は、例えば、ヘアクリーム、ヘアバーム、ヘアワックス等が挙げられる。
【0060】
(粘度)
本実施形態の整髪用組成物における粘度は、レオメーター〔例えば、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stress 6000」(商品名)〕を使用し、測定温度:25℃、コーンプレートセンサーの直径:35mm、コーンプレートセンサーの傾斜角:2°の条件で、フローカーブモードにおいて、測定時間300秒でせん断速度を0.01s-1から100s-1に変化させた際の、せん断速度1s-1における測定値を採用する。
【0061】
本実施形態の整髪用組成物の粘度の値は、特に限定されない。なお、整髪用組成物の粘度の下限値については、整髪性をより向上させる観点から、50Pa・S以上が好ましく、100Pa・S以上がより好ましく、150Pa・S以上がさらに好ましい。また、整髪用組成物の粘度の上限値については、毛髪への塗布をより行いやすいものとする観点から、10000Pa・S以下が好ましく、8000Pa・S以下がより好ましく、2500Pa・S以下がさらに好ましい。
【0062】
(使用方法)
本実施形態の整髪用組成物の使用方法は、整髪目的に応じて、整髪用組成物の公知の使用方法を採用すれば良い。そのため、整髪用組成物を塗布し所望の毛髪形状に整髪した後に、当該整髪用組成物を洗い流さない使用方法として良い。
使用方法の例としては、以下が挙げられる。
・乾燥した毛髪に本実施形態の整髪用組成物を塗布し、手や櫛等の器具で所望の毛髪形状に整髪した後、当該整髪用組成物を洗い流さない使用方法。
・水で濡れた毛髪に本実施形態の整髪用組成物を塗布し、手や櫛等の器具で所望の毛髪形状に整髪した後、当該整髪用組成物を洗い流さずに毛髪を乾燥させる使用方法。
【0063】
(整髪方法)
上記の使用方法によって、本実施形態の整髪用組成物を用いれば、毛髪を所望の毛髪形状に整髪することが可能となる。所望の毛髪形状とするために、毛髪に本実施形態の整髪用組成物を塗布する前又は塗布した後にヘアアイロン等の公知の整髪用器具を用いても良い。
【実施例
【0064】
以下、実施例に基づき本発明を詳述するが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるものではない。
【0065】
(整髪用組成物の調製)
実施例1~29、比較例1~17の整髪用組成物を、公知の整髪用組成物の製造方法により、表1~12に示す成分と混合して調製した。
なお、表5~12に示すコメヌカロウ(※1)は、(A2)成分に該当するものであり、東亜化成株式会社製の商品名TOWAX-3P3を用いた(ヨウ素価は1.0であった)。また、表5~8に示すコメヌカロウ(※2)は、(A2)成分に該当しないコメヌカロウを用いた(ヨウ素価は5.4であった)。
【0066】
(実施例1~4、比較例1)
調製した実施例1~4、比較例1の整髪用組成物を用いて、次に示す評価を行った。
【0067】
(評価)
実施例1~4、比較例1の整髪用組成物について、レオメーターによる「粘度測定」を行った。粘度測定は、HAAKE社製の応力制御型レオメーター「Rheo Stress 6000」を使用し、測定条件として、測定温度:25℃、コーンプレートセンサーの直径:35mm、コーンプレートセンサーの傾斜角:2°の条件で、フローカーブモードにおいて、測定時間300秒でせん断速度を0.01s-1から100s-1に変化させた際の、せん断速度1s-1における測定値を求めた。なお、組成物の外観の評価において「分離」と評価された比較例1は、粘度の測定値が正しく得られないことが考えられたため、粘度測定しなかった。
また、実施例1~4、比較例1の整髪用組成物について、「保存安定性」及び「外観」の評価を、下記の評価方法及び評価基準に基づいて行った。
【0068】
(保存安定性の評価方法)
調製した実施例1~4、比較例1の整髪用組成物を保存容器(50gの整髪用組成物が収容可能な透明の密閉ジャー容器)にそれぞれ約30g収容し、50℃の恒温器内に静置し1ヶ月間保存した。1ヶ月経過後、実施例1~4、比較例1の整髪用組成物を収容した各保存容器を50℃の恒温器から取り出した後、すぐに保存容器の蓋を開けた際の各整髪用組成物の状態を、下記評価基準に従って目視観察した。
【0069】
(保存安定性の評価基準)
○:整髪用組成物の表面に油浮きが見られない。
×:整髪用組成物の表面に油浮きが見られる。
【0070】
(外観の評価方法)
前記保存容器に収容した調製直後の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物を、下記評価基準に従って目視観察した。
【0071】
(外観の評価基準)
固形状:整髪用組成物を収容した容器を約45度の斜め方向に傾けた後、直後から3秒経過までの間に整髪用組成物が流動しない。
液状:整髪用組成物を収容した容器を約45度の斜め方向に傾けた後、直後から3秒経過までの間に整髪用組成物が流動する。
分離:容器に収容した整髪用組成物が分離(固体状の組成物と液体状の組成物が不均一に分離して存在している)。
【0072】
(評価結果)
下記表1に、配合した成分と共に、実施例1~4、比較例1の整髪用組成物の評価結果を示す。表1における各成分の数値は質量%である。また、粘度の評価における「-」の表記は未測定であることを表す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1に示す結果から、(A1)成分であるヒマワリ種子ロウが4質量%以上及び(B)成分が配合されている実施例1~4の整髪用組成物は、比較例1の整髪用組成物と比べて、整髪用組成物の粘度が向上していることがわかる。なお、分離していた比較例1を収容した容器を約45度の斜め方向に傾けた後、直後から3秒経過までの間に比較例1の整髪用組成物が流動したことから、比較例1は実施例1~4に比べて粘度が低かった。
また、表1に示す結果から、実施例2~4の整髪用組成物は、実施例1及び比較例1の整髪用組成物と比べて、50℃1ヶ月における保存安定性に優れる結果であったことが理解できる。
【0075】
(実施例5~13)
調製した実施例5~13の整髪用組成物を用いて、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「粘度測定」、「保存安定性」及び「外観」の評価を行った。
【0076】
(評価結果)
下記表2に、配合した成分と共に、実施例5~10の整髪用組成物の評価結果を示す。また、下記表3に、配合した成分と共に、実施例11~13の整髪用組成物の評価結果を示す。なお、表2、3における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。
【0077】
【表2】
【0078】
【表3】
【0079】
表2、3に示す結果から、(A1)成分であるヒマワリ種子ロウが4質量%以上であり、(B)成分として流動パラフィン、パルミチン酸2-エチルヘキシル又はデカメチルシクロペンタシロキサンを用いた場合において、ヒマワリ種子ロウの配合量が多くなれば、粘度が高まる傾向であることが理解できる(実施例5~7、実施例8~10、実施例11~13の各比較)。
また、表2、3に示す結果から、実施例5~13の整髪用組成物は、50℃1ヶ月における保存安定性に優れる結果であったことが分かる。
【0080】
(実施例2、比較例2~6)
調製した実施例2、比較例2~6の整髪用組成物を用いて、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「粘度測定」、「保存安定性」及び「外観」の評価を行った。
なお、比較例2は、外観の評価において「分離」と評価されたため、比較例1と同様に、粘度測定しなかった。
【0081】
(評価結果)
下記表4に、配合した成分と共に、実施例2、比較例2~6の整髪用組成物の評価結果を示す。表4における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。また、粘度の評価における「-」の表記は未測定であることを表す。
【0082】
【表4】
【0083】
表4に示す結果から、比較例3~6の整髪用組成物は、実施例2に比べて、粘度が低かった。なお、分離していた比較例2を収容した容器を約45度の斜め方向に傾けた後、直後から3秒経過までの間に比較例2の整髪用組成物が流動したことから、比較例2は実施例2に比べて粘度が低かった。よって、ヒマワリ種子ロウを5質量%配合した整髪用組成物(実施例2)は、ヒマワリ種子ロウ以外の固形油を配合した整髪用組成物(比較例2~6)に比べて、整髪用組成物の粘度を高めるのに優れることが理解できる。
また、表4に示す結果から、比較例2~6の整髪用組成物は、実施例1に比べて、50℃ 1ヶ月における保存安定性に劣ることが理解できる。
【0084】
(実施例14~19、比較例7)
調製した実施例14~19、比較例7の整髪用組成物を用いて、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「粘度測定」、「保存安定性」及び「外観」の評価を行った。なお、実施例15における保存安定性の評価結果が「×」であったため、実施例14及び比較例7については、保存安定性の評価を行っていない。
【0085】
(評価結果)
下記表5に、配合した成分と共に、実施例14~19、比較例7の整髪用組成物の評価結果を示す。表5における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。また、保存安定性(50℃1ヶ月)の評価における「-」の表記は未評価であることを表す(比較例7、実施例14)。
【0086】
【表5】
【0087】
表5に示す結果から、(A2)成分であるヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウが2質量%以上及び(B)成分が配合されている実施例14~19の整髪用組成物は、比較例7の整髪用組成物と比べて、整髪用組成物の粘度が向上していることがわかる。
また、表5に示す結果から、実施例16~19の整髪用組成物は、実施例15の整髪用組成物と比べて、50℃1ヶ月における保存安定性に優れる結果であったことが理解できる。なお、ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウが2質量%と3質量%である実施例14、実施例15の外観は、固形状であったが表面にわずかな油浮きが認められたため、固形状(やや分離)と評価した。比較例7の外観は、液状の評価であったが組成物の表面にわずかな油浮きが認められたため液状(やや分離)と評価した。
【0088】
(比較例8~12)
調製した比較例8~12の整髪用組成物を用いて、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「外観」の評価を行った。なお、比較例8~12の外観が分離していたため、「粘度測定」及び「保存安定性」の評価は行っていない。
【0089】
(評価結果)
下記表6に、配合した成分と共に、比較例8~12の整髪用組成物の評価結果を示す。表6における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。また、粘度と保存安定性(50℃1ヶ月)の評価における「-」の表記は未評価であることを表す。
【0090】
【表6】
【0091】
表6に示す結果から、(A2)成分に該当しないヨウ素価が3.0よりも大きいコメヌカロウが3質量%以上及び(B)成分が配合されている比較例8~12の整髪用組成物は、分離していた。なお、分離していた比較例8~12を収容した容器を約45度の斜め方向に傾けた後、直後から3秒経過までの間に比較例8~12の整髪用組成物が流動したことから、比較例8~12は実施例14~19に比べて粘度が低かった。
【0092】
(実施例5、17、比較例10、13~17)
調製した実施例5、17、比較例10、13~17の整髪用組成物を用いて、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「粘度測定」、「保存安定性」及び「外観」の評価を行った。なお、比較例10は、外観が分離していたため、「粘度測定」及び「保存安定性」の評価は行っていない。
【0093】
(評価結果)
下記表7、8に、配合した成分と共に、実施例5、17、比較例10、13~17の整髪用組成物の評価結果を示す。表7、8における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。また、粘度と保存安定性(50℃1ヶ月)の評価における「-」の表記は未評価であることを表す。
【0094】
【表7】
【0095】
【表8】
【0096】
表7、8に示す結果から、比較例13~17の整髪用組成物は、実施例5、17に比べて、粘度が低かった。また、分離していた比較例10を収容した容器を約45度の斜め方向に傾けた後、直後から3秒経過までの間に比較例10の整髪用組成物が流動したことから、比較例10は実施例5、17に比べて粘度が低かった。よって、(A1)成分であるヒマワリ種子ロウを5質量%配合した整髪用組成物(実施例5)及び(A2)成分であるヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウを5質量%配合した整髪用組成物(実施例17)は、他のロウ類や炭化水素を5質量%配合した整髪用組成物(比較例10、13~17)に比べて、整髪用組成物の粘度を高めるのに優れることが理解できる。
また、表7、8に示す結果から、比較例13~17の整髪用組成物は、実施例5、17に比べて、保存安定性に劣る結果であったことが理解できる。
なお、カルナバロウ又はキャンデリラロウが配合された比較例13、14の外観は、整髪用組成物の表面にわずかな油浮きが認められたため、固形状(やや分離)と評価した。
【0097】
(実施例20、21)
調製した実施例20、21の整髪用組成物を用いて、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「保存安定性」及び「外観」の評価を行った。さらに、下記に示す「洗い落ち」、「べたつき」の評価を行った。なお、実施例20、21の整髪用組成物の粘度は、50Pa・S以上であった。
【0098】
(洗い落ち、べたつきの評価)
実施例20、21の整髪用組成物について、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「保存安定性」及び「外観」の評価を行った。また、「洗い落ち」、「べたつき」の評価を、下記の評価方法及び評価基準に基づいて行った。
【0099】
(洗い落ちの評価方法)
調製した実施例20、21の整髪用組成物を、1gとり両手の掌に伸ばし広げた。その後、掌を水道水の流水にて5秒間水洗し、両手の掌からの整髪用組成物の洗い落ち(掌の油性感の少なさ)を、下記評価基準に従って官能評価した。なお、上記評価は、整髪用組成物の評価を日常的に行っている者3人で評価し、合議により評価結果を得た。なお、評価の基準とした整髪用組成物は、実施例20を用いた。
【0100】
(洗い落ちの評価基準)
○ :基準に比べて、整髪用組成物の洗い落ちに優れる(基準よりも、掌の油性感が少ない)。
同等:整髪用組成物の洗い落ちが基準と同等(掌の油性感が基準と同等)。
× :基準に比べて、整髪用組成物の洗い落ちに劣る(基準よりも、掌の油性感が多い)。
【0101】
(べたつきの評価方法)
調製した実施例20、21を、1gとり両手の掌に伸ばし広げた。一方の掌をもう一方の手の指で触った際のべたつきの程度を、下記評価基準に従って官能評価した。なお、評価の基準とした整髪用組成物は、実施例20を用いた。
【0102】
(べたつきの評価基準)
○ :基準に比べて、掌のべたつきが少ない。
同等:基準に比べて、掌のべたつきが同等。
× :基準に比べて、掌のべたつきが多い。
【0103】
(評価結果)
下記表9に、配合した成分と共に、実施例20、21の整髪用組成物の評価結果を示す。表9における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。ここで、実施例21に配合されたトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)における20E.O.は、ポリオキシエチレンの平均付加モル数が20であることを表す(下記表10~12の実施例21~23、26においても同様の意味)。
【0104】
【表9】
【0105】
表9に示す結果から、実施例21の整髪用組成物は、実施例20の整髪用組成物に比べて、洗い落ちに優れていた。そのため、ノニオン界面活性剤であるトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)の配合により、洗い落ちに優れることが理解できる。
【0106】
(実施例22、23)
調製した実施例22、23の整髪用組成物を用いて、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「外観」の評価を行うとともに、表9の実施例20、21の整髪用組成物と同様に「洗い落ち」、「べたつき」の評価を行った(評価の基準とした整髪用組成物は、実施例22)。なお、実施例22、23の整髪用組成物の粘度は、50Pa・S以上であった。
【0107】
(評価結果)
下記表10に、配合した成分と共に、実施例22、23の整髪用組成物の評価結果を示す。表10における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。
【0108】
【表10】
【0109】
表10に示す結果から、実施例23の整髪用組成物は、実施例22の整髪用組成物に比べて、べたつきの評価が優れていた。そのため、水の配合により、べたつきの評価に優れることが理解できる。
【0110】
(実施例21、24~29)
調製した実施例21、24~29の整髪用組成物を用いて、表1の実施例1~4、比較例1の整髪用組成物と同様に「外観」の評価を行うとともに、表9の実施例20、21の整髪用組成物と同様に「洗い落ち」、「べたつき」の評価を行った。さらに、下記に示す「整髪性」の評価を行った。なお、実施例21、24~29の整髪用組成物の粘度は、50Pa・S以上であった。
【0111】
(整髪性の評価)
実施例21、24~29の整髪用組成物について、「整髪性」の評価を、下記の評価方法及び評価基準に基づいて行った。
【0112】
(整髪性の評価方法)
調製した実施例21、24~29を用いて整髪性の評価を次の通り行った。
ウィッグの毛髪を左右に分けて、左半分の毛髪に基準とした整髪用組成物を0.5g塗布し、右半分の毛髪に基準と異なる整髪用組成物を0.5g塗布し、左半分と右半分の毛髪をそれぞれ整髪した。そして、左半分の毛髪と右半分の毛髪について、毛髪の束を形成させたことによる毛先のまとまりを、下記評価基準に従って目視により官能評価した。なお、上記評価は、整髪用組成物の評価を日常的に行っている者3人で評価し、合議により評価結果を得た。なお、評価の基準とした整髪用組成物は、表11では実施例21を、表12では実施例26を用いた。
【0113】
(整髪性の評価基準)
○ :基準に比べて、整髪性(毛髪の束を形成させたことによる毛先のまとまり)に優れる。
同等:基準に比べて、整髪性(毛髪の束を形成させたことによる毛先のまとまり)が同等。
× :基準に比べて、整髪性(毛髪の束を形成させたことによる毛先のまとまり)に劣る。
【0114】
(評価結果)
下記表11、12に、配合した成分と共に、実施例21、24~29の整髪用組成物の評価結果を示す。表11、12における各成分の数値は質量%であり、「-」の表記は未配合であることを表す。ここで、表11の実施例22に配合されたポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(10E.O.)における「10E.O.」と、実施例23に配合されたポリオキシエチレンソルビットミツロウ(6E.O.)における「6E.O.」とは、ポリオキシエチレンの平均付加モル数がそれぞれ10と6であることを表す。
【0115】
【表11】
【0116】
表11に示す結果から、実施例21の整髪用組成物は、実施例24、25の整髪用組成物に比べて、洗い落ち、べたつき、整髪性の評価に優れていた。そのため、ノニオン界面活性剤の中でも、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)の配合により、洗い落ち、べたつき、整髪性の評価に優れることが理解できる。なお、実施例24、25の整髪用組成物は、表9に示す実施例20の整髪用組成物(ノニオン界面活性剤を未配合)に比べて、洗い落ちの評価が優れていた(実施例24、25の洗い落ちの評価「○」。基準:実施例20)。
【0117】
【表12】
【0118】
表12に示す結果から、実施例26の整髪用組成物は、実施例27~29の整髪用組成物に比べて、洗い落ち、べたつき、整髪性の評価に優れていた。そのため、ノニオン界面活性剤の中でも、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(20E.O.)の配合により、洗い落ち、べたつき、整髪性の評価に優れることが理解できる。なお、実施例27~29の整髪用組成物は、表9に示す実施例20の整髪用組成物(ノニオン界面活性剤を未配合)に比べて、洗い落ちの評価に優れていた(実施例27~29の洗い落ちの評価「○」。基準:実施例20)。
【0119】
(偏光顕微鏡観察)
調製した実施例5~7、実施例15~19、比較例10、比較例13~16の整髪用組成物と新たに調製した実施例30(公知の整髪用組成物の製造方法により、ヒマワリ種子ロウ4質量%と、流動パラフィン96質量%とを混合して調製)について、偏光顕微鏡を用いて観察した。
偏光顕微鏡観察は、実施例5~7、実施例15~19、実施例30、比較例10、比較例13~16の各整髪用組成物を、各スライドガラスに約0.5~1.5mgとって薄く延ばした後にカバーガラスをかけ、偏光顕微鏡(オリンパス社製:BX51)により400倍の倍率で偏光により室温で観察した。また、各整髪用組成物の観察像を写真撮影した。実施例5~7、実施例15~19、実施例30、比較例10、比較例13~16の整髪用組成物の顕微鏡観察像の写真を図1~3に示す。なお、図1~3に示す各写真の右下にあるバーの全長は5.0μmである。
【0120】
(顕微鏡観察の結果:図1
図1に示す結果から、実施例30、実施例5~7の整髪用組成物は、線状の結晶状物体の観察像が得られた。また、実施例30、5、6、7の順(ヒマワリ種子ロウの配合量がそれぞれ4、5、10、20質量%の順)で、線状の結晶状物体がより長く太い形状となり、線状の結晶状物体の分布状態がより密になる(線状の結晶状物体の量が多くなる)傾向が見られた。そのため、ヒマワリ種子ロウの配合量が多くなることにより、線状の結晶状物体が長く、太く、分布状態が密になるといえる。この線状の結晶状物体が長く、太く、分布状態が密になることにより、整髪用組成物の粘度がより高くなる傾向にあることが示唆される。
【0121】
(顕微鏡観察の結果:図2
図2に示す結果から、実施例15~19の整髪用組成物は、線状の結晶状物体の観察像が得られた。実施例15~19の順(ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウの配合量がそれぞれ3、4、5、10、20質量%の順)で、線状の結晶状物体の分布状態がより密になる(線状の結晶状物体の量が多くなる)傾向が見られた。そのため、ヨウ素価が3.0以下のコメヌカロウの配合量が多くなることにより、線状の結晶状物体が長く、太く、分布状態が密になるといえる。この線状の結晶状物体が長く、太く、分布状態が密になることにより、整髪用組成物の粘度がより高くなる傾向にあることが示唆される。
【0122】
(顕微鏡観察の結果:図3
図3に示す結果から、(A1)成分が配合された実施例5及び(A2)成分が配合された実施例17には線状の結晶状物体の観察像が得られたが、(A1)成分、(A2)成分以外の固形油が配合された比較例10、13~16の整髪用組成物は、いずれも線状の結晶状物体の観察像が得られなかった。
また、比較例10(ヨウ素価が5.4のコメヌカロウ配合)、比較例13(カルナバロウ配合)、比較例14(キャンデリラロウ配合)の整髪用組成物は、球体状の結晶状物体の観察像が得られたが、比較例15(ミツロウ配合)、比較例16(マイクロクリスタリンワックス配合)の整髪用組成物には結晶状物体が観察されなかった。
そのため、固形油((A1)成分、(A2)成分、及びそれ以外の固形油)の種類の違いによって、結晶状物体の形状が異なることにより、整髪用組成物の粘度を向上させる性質も異なる可能性が考えられる。
また、実施例17(ヨウ素価が1.0のコメヌカロウ配合)と比較例10(ヨウ素価が5.4のコメヌカロウ配合)の比較から、コメヌカロウのヨウ素価の違いにより結晶状物体の状態が異なっていた。この結晶状物体の状態の違いは、コメヌカロウの不飽和基の量の違いに起因する可能性が考えられる。
図1
図2
図3