(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】非水乳化組成物及び化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/63 20060101AFI20240201BHJP
A61K 8/31 20060101ALI20240201BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240201BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240201BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20240201BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20240201BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20240201BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61K8/63
A61K8/31
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/55
A61K8/06
A61K8/19
A61Q19/00
(21)【出願番号】P 2019175639
(22)【出願日】2019-09-26
【審査請求日】2022-09-22
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 販売日 平成30年12月9日以降 販売した場所 株式会社シーボンの別紙記載の各店舗 ウェブサイトの掲載日 平成30年12月26日以降 ウェブサイトのアドレス https://www.cbon.co.jp/net/products/series_bx.aspx https://www.cbon.co.jp/net/products/5xm.aspx https://www.cbon.co.jp/net/g/gA0001204/ 公開日 平成30年11月27日 公開場所 別紙1に記載の報道関係会社への配信 販売日 平成31年1月1日以降 販売した場所 株式会社シーボンの直営店106店舗及び代理店4店舗 ウェブサイトの掲載日 平成31年1月1日以降 ウェブサイトのアドレス https://www.cbon.co.jp/net/g/gA0001204/
(73)【特許権者】
【識別番号】397063833
【氏名又は名称】株式会社シーボン
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【氏名又は名称】松野 知紘
(72)【発明者】
【氏名】高橋 國次
(72)【発明者】
【氏名】加藤 未来
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 愛梨花
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 由利子
(72)【発明者】
【氏名】松▲崎▼ 由葵
(72)【発明者】
【氏名】木下 ももか
(72)【発明者】
【氏名】月本 竣司
【審査官】片山 真紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-157131(JP,A)
【文献】特開2018-203669(JP,A)
【文献】特開2002-205919(JP,A)
【文献】特開2018-027907(JP,A)
【文献】特開昭56-070826(JP,A)
【文献】特開2009-126791(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00-8/99、9/00-72、47/00-69
A61Q1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
0重量%超過2.3重量%未満のステロール類、
1.2重量%
以上12重量%以下のレシチン又はレシチン誘導体、
24.4重量%以上
35重量%以下の不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸とポリグリセリンとからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、
30重量%以上50重量%以下のグリセリン及び
20重量%以上35重量%以下の非極性油
を含む非水乳化組成物。
【請求項2】
ステロール類としてコレステロールを含有する、請求項1に記載の非水乳化組成物。
【請求項3】
レシチン誘導体としてリゾレシチンを含有する、請求項1又は2のいずれかに記載の非水乳化組成物。
【請求項4】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてモノオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10及びモノオレイン酸ポリグリセリル-5のいずれか1つ以上を含有する、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の非水乳化組成物。
【請求項5】
ステロール類として1.0重量%以上2.0重量%未満のコレステロールを含有し、
レシチン誘導体として2.0重量%
以上12重量%以下のリゾレシチンを含有する、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の非水乳化組成物。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の非水乳化組成物が1重量%以上30重量%以下で含まれることを特徴とする化粧料。
【請求項7】
炭酸を充填した請求項6に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステロール類を含む非水乳化組成物と、当該非水乳化組成物を含む化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
コレステロール等のステロール類は、ヒトの細胞間脂質を構成する成分の一つであり、脂肪酸や水とともにラメラ構造をなし、肌のバリア機能を司っている。さまざまな原因によりこの細胞脂質が減少すると、肌はバリア機能を失い、角層の水分保持能の低下や乾燥落屑性変化などが生じる。このため、コレステロール等のステロール類は、減少した細胞間脂質を補う目的で、従来より化粧品に利用されている。
【0003】
しかしながら、コレステロール等のステロール類は、結晶性が非常に高いことから、その利用方法が制限されていた。例えば、油分等に溶解させることで安定的に配合する場合は、ある程度の油分量が必要であり、剤型は乳液やクリーム剤型などに限定される。油分量の少ない剤型に配合しようとする場合は、界面活性剤の量が多くなるため、安全性に懸念がある場合があった。また高圧乳化機などの特殊な機械力を用いて安定分散する方法も検討されているが、生産コストが上がってしまう等の問題があった。
【0004】
これまでの乳化製剤へのコレステロールル等のステロール類の配合技術として、複数の界面活性剤とエタノールを組み合わせることで、ステロール類を安定的に可溶化した技術が報告されている(特許文献1)。しかしながら、この技術で用いているポリオキシエチレン系の界面活性剤・アニオン界面活性剤・エタノールは、配合量によっては皮膚刺激性がある等、安全性の面で懸念があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、強度の機械的外力を負荷することなく、ステロール類を安定的に配合した、低コストで安全性の高い非水乳化組成物及び化粧料を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による非水乳化組成物は、
0重量%超過2.3重量%未満のステロール類、
0重量%超過13重量%以下のレシチン又はレシチン誘導体、
20重量%以上40重量%以下の不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸とポリグリセリンとからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、
3価以上の多価アルコール及び
非極性油
を含んでもよい。
【0008】
本発明による非水乳化組成物において、
ステロール類としてコレステロールを含有してもよい。
【0009】
本発明による非水乳化組成物において、
レシチン誘導体としてリゾレシチンを含有してもよい。
【0010】
本発明による非水乳化組成物において、
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてモノオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10及びモノオレイン酸ポリグリセリル-5のいずれか1つ以上を含有してもよい。
【0011】
本発明による非水乳化組成物において、
ステロール類として1.0重量%以上2.0重量%未満のコレステロールを含有し、
レシチン誘導体として2.0重量%12重量%以下のリゾレシチンを含有してもよい。
【0012】
本発明による化粧料は、
前述したいずれかの非水乳化組成物を1重量%以上30重量%以下で含んでもよい。
【0013】
本発明による化粧料には、
炭酸が充填されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
0重量%超過2.3重量%未満のステロール類、0重量%超過13重量%以下のレシチン又はレシチン誘導体、20重量%以上40重量%以下の不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸とポリグリセリンとからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、3価以上の多価アルコール及び非極性油を含有する非水乳化組成物を採用した場合には、強度の機械的外力を負荷することなく、ステロール類を安定的に配合した、低コストで安全性の高い非水乳化組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本実施の形態の化粧料は、皮膚に利用される皮膚外用品であってもよく、化粧水や美白剤等の化粧液であってもよい。本実施の形態の化粧料は、非水乳化組成物と水相成分を含有してもよい。化粧料は炭酸を充填したエアゾールからなってもよい。
【0016】
化粧料において非水乳化組成物は1重量%以上30重量%以下で含有されてもよい。下限値としては3重量%であることが好ましく、5重量%であることがより好ましい。上値としては20重量%であることが好ましく、18重量%であることがより好ましい。なお、本実施の形態における数値は四捨五入した結果の数値を示しており、以下でも同様である。
【0017】
非水乳化組成物は、0重量%超過2.3重量%未満のステロール類、0重量%超過13重量%以下のレシチン又はレシチン誘導体、20重量%以上40重量%以下の不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸とポリグリセリンとからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、3価以上の多価アルコール及び非極性油を含有してもよい。このような組成からなる非水乳化組成物を採用した場合には、強度の機械的外力を負荷することなく、ステロール類を安定的に配合した、低コストで安全性の高い非水乳化組成物を提供できる。また、このような非水乳化組成物を採用することで、安定性が高く低粘度の化粧料を提供することもできる。
【0018】
非水乳化組成物において、0.5重量%以上2.3重量%未満のステロール類が含まれることが好ましい。下限値としては1.0重量%であることがより好ましい。上限値としては2.2重量%であることがより好ましく、2.0重量%であることがさらに好ましい。
【0019】
非水乳化組成物において、1.0重量%以上13重量%以下のレシチン又はレシチン誘導体が含まれることが好ましい。下限値としては1.2重量%であることがより好ましく、2.4重量%であることがさらに好ましい。上限値としては12重量%であることがより好ましい。
【0020】
非水乳化組成物に含まれる不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸とポリグリセリンとからなるポリグリセリン脂肪酸エステルの含有量は35重量%以下であることがより好ましく、30重量%以下であることがさらにより好ましい。分岐脂肪酸としては飽和脂肪酸を用いることが有益である。また脂肪酸の炭素数は18からなることが好ましい。
【0021】
非水乳化組成物において、30重量%以上50重量%以下の3価以上の多価アルコールが含まれることが好ましい。下限値としては33.0重量%であることがより好ましい。上限値としては42.0重量%であることが好ましい。
【0022】
非水乳化組成物において、20重量%以上35重量%以下の非極性油が含まれることが好ましい。下限値としては25重量%であることがより好ましい。上限値としては30重量%であることが好ましい。
【0023】
水相成分の主成分は精製水等の水であり、その他の成分として、電解質を含むことができ、パラオキシ安息香酸メチル、1,3-ブチレングリコール等を含むことができる。
【0024】
本実施の形態による化粧料は、添加剤等の成分を含有してもよい。このような添加剤としては、増粘剤、界面活性剤、保存剤、pH調整剤、キレート剤、安定剤、刺激軽減剤、防腐剤、着色剤、分散剤、香料、酸化防止剤、植物抽出液、ビタミン類、アミノ酸等を挙げることができる。
【0025】
ステロール類としては、例えば、コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸、シトステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、エルゴステロール等を挙げることができる。但し、ステロール類としてはコレステロールを用いることが好ましい。
【0026】
レシチン誘導体としては、水素添加レシチン、ヒドロキシレシチン、リゾレシチン、水素添加リゾレシチン、ヒドロキシリゾレシチン等を挙げることができる。但し、レシチン誘導体としてはリゾレシチンを用いることが好ましい。
【0027】
不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸とポリグリセリンとからなるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、オレイン酸ポリグリセリル、イソステアリン酸ポリグリセリル等を挙げることができ、より具体的には、モノオレイン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、モノオレイン酸ポリグリセリル-5、イソステアリン酸ポリグリセリル-5等を挙げることができる。
【0028】
3価以上の多価アルコールとしては濃グリセリン、ペンタエリスリトール等を挙げることができる。
【0029】
非極性油としては、スクワラン、流動イソパラフィン、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動パラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動パラフィン、重質流動イソパラフィン、水添ポリオレフィン、水添ポリイソブテン、水添ポリデセン等を挙げることができる。但し、非極性油としてはスクワランを用いることが好ましい。
【0030】
本実施の形態の化粧料は、溶媒を含有してもよく、溶媒としては例えば精製水を用いることができる。
【0031】
[実施例]
下記に示す表1では実施例1乃至3と比較例1乃至4を示している。表1の比較例1から比較例4までの間ではコレステロールの量が徐々に増える態様となっている。表1の上段で示される成分を含有する非水乳化組成物を含む化粧液の安定性評価を行った。より具体的には、表1の上段で示される成分を含有する非水乳化組成物を5重量%又は5重量%及び18重量%だけ含有させた化粧液の安定性を評価した。なお、実施例で用いた化粧液は、非水乳化組成物の他、パラオキシ安息香酸メチル、1,3-ブチレングリコール及び精製水を含有している。実施例1、2、3等では非水乳化組成物を5重量%だけ含有させた態様と18重量%だけ含有させた態様とでは同じ挙動を示した。このため非水乳化組成物を5重量%~18重量%で測定した場合には同様の結論を得られると考えられることから、表1ではそのように示している。表2以降でも同様である。
【表1】
【0032】
安定性評価の「目視」とは、室温(20℃~25℃)、0℃及び50℃における2週間後の安定性評価結果を目視で確認したものであり、析出物が無く半透明な場合に「〇」とし、白濁、クリーミング又は析出物が多い場合に「×」とした。
安定性評価の「濁度」とは、TECANを用いて、550nm波長で吸光度を測定して評価した結果である。吸光度が0.16未満の場合には「◎」とし、吸光度が0.16以上0.24未満の場合には「〇」とし、吸光度が0.24以上0.32未満場合には「△」とし、目視で不透明白濁又はクリーミングが生じている場合には「×」とした。
安定性評価の「炭酸充填」とは、炭酸充填して1ヶ月室温で置した場合にも分離が生じない場合には「〇」とし、炭酸充填して1ヶ月室温で置いた場合に分離が生じた場合には「×」とした。
安定性評価の「目視」、「濁度」及び「炭酸充填」の各々は水相成分を配合した際の試験結果である。表2以降でも同じ項目で評価を行っている。
【0033】
表1に示される結果から、前述したとおり、非水乳化組成物のうち0.5重量%以上2.3重量%未満のステロール類が含まれることが好ましいことを確認できる。また下限値としては1.0重量%であることがより好ましいことを確認できる。上限値としては2.2重量%であることがより好ましく、2.0重量%であることがさらにより好ましいことを確認できる。
【0034】
表1に示した態様と同様にして表2以降でも化粧液を作成した。下記に示す表2及び表3では実施例4乃至6と比較例5乃至9を示している。表2の比較例5から実施例6及び表3の比較例6から比較例9ではリゾレシチンの量が徐々に増える態様となっている。
【表2】
【表3】
【0035】
実施例1と表2及び表3に示される結果から、前述したとおり、非水乳化組成物のうち0重量%超過13重量%以下のレシチン又はレシチン誘導体が含まれることが好ましいことを確認できる。下限値としては1.2重量%であることがより好ましく、2.4重量%であることがさらに好ましいことを確認できる。上限値としては12重量%であることがより好ましいことを確認できる。
【0036】
下記に示す表4では実施例7乃至9と比較例10乃至12を示している。比較例10及び実施例7では、含有されるモノオレイン酸ポリグリセリル-10の量が異なる態様となっている。実施例8、実施例9、比較例11及び比較例12では活性剤の種類が各々異なる態様となっている。
【表4】
【0037】
実施例1と表4に示される結果から、前述したとおり、非水乳化組成物のうち20重量%以上30重量%以下の不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸とポリグリセリンとからなるポリグリセリン脂肪酸エステルが含まれることが好ましいことを確認できる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの含有値の下限値としては19.6重量%以下となると優れた安定性を実現できなかったことを確認できる。また不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸を用いず、ステアリン酸ポリグリセリル-10やジステアリン酸ポリグリセリル-10を用いた場合には優れた安定性を実現できなかったことを確認できる。
【0038】
下記に示す表5では比較例13乃至15を示している。比較例13乃至15では基材の種類が各々異なる態様となっている。
【表5】
【0039】
実施例1と表5に示される結果から、前述したとおり、3価以上の多価アルコール及び非極性油を含有する態様が好ましいことを確認できる。より具体的には、3価以上の多価アルコールではないジグリセリンを用いた場合や、非極性油ではないトリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルを用いた場合には優れた安定性を実現できなかったことを確認できる。
【0040】
なお、水相成分に含まれるパラオキシ安息香酸メチルとしては上野製薬株式会社製のメッキンス‐Mを利用し、1,3-ブチレングリコールとしては株式会社ダイセル 有機合成カンパニー製の1,3-BG UKグレードを利用した。
【0041】
非水乳化組成物に含まれるコレステロールとしては日本精化株式会社製のコレステロール JSQIを利用し、リゾレシチンとしては協和発酵バイオ製のリゾレシチン協和を利用し、モノオレイン酸ポリグリセリル-10としては日本サーファクタント工業株式会社製のNIKKOL Decaglyn 1-OVを利用し、イソステアリン酸ポリグリセリル-10としては阪本薬品工業株式会社製のSフェイス10G-1Sを利用し、モノオレイン酸ポリグリセリル-5としては太陽化学株式会社製のサンソフトA-171E-Cを利用し、ステアリン酸ポリグリセリル-10としては日本サーファクタント工業株式会社製のNIKKOL Decaglyn 1-SVを利用し、ジステアリン酸ポリグリセリル-10としては日本サーファクタント工業株式会社製のNIKKOL Decaglyn 2-SVを利用した。また、濃グリセリンとしては坂本薬品工業株式会社製の化粧品用濃グリセリンを利用し、1,3-ブチレングリコールとしては株式会社ダイセル 有機合成カンパニー製の1,3-BG UKグレードを利用し、ジグリセリンとしては阪本薬品工業株式会社製のジグリセリン801を利用し、スクワランとしてはマルハニチロ株式会社製のスクワランを利用し、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルとしては太陽化学株式会社製のサンファクトMCT-6を利用した。
【0042】
前述したように、本実施の形態の化粧料は炭酸を充填したエアゾールからなってもよい。このように炭酸を充填したエアゾールを採用する場合には肌の血流を促進することを期待できる。なお、炭酸を充填した場合にはpHが下がること等が理由で安定性が下がることがあるが、本実施の形態の化粧料を採用することで十分な安定性を実現できる。
【0043】
比較例11及び比較例12の組成において炭酸を充填させたものでは実施例1の態様で炭酸を充填した場合と比較して泡の大きさが明らかに大きなものとなった。また、下記の表のとおり比較例16としてPEG-60水添ヒマシ油40重量%、濃グリセリン58重量%及びラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)2重量%を準備し、炭酸を同様に充填したが、やはり泡の大きさは実施例1の態様で炭酸を充填した場合と比較して大きなものとなった。これらのことから、実施例1のように、0重量%超過2.3重量%未満のステロール類、0重量%超過13重量%以下のレシチン又はレシチン誘導体、20重量%以上40重量%以下の不飽和脂肪酸又は分岐脂肪酸からなる脂肪酸とポリグリセリンとからなるポリグリセリン脂肪酸エステル、3価以上の多価アルコール及び非極性油を含む非水乳化組成物を1重量%以上30重量%以下で含有する化粧料において、炭酸を充填した場合には、きめ細かな泡を提供することができることも確認できた。
【表6】
【0044】
上述した実施の形態及び実施例の記載は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎない。また、出願当初の特許請求の範囲の記載は本件特許明細書の範囲内で適宜変更することもでき、その範囲を拡張及び変更することもできる。