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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】液体加熱装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 27/21 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A47J27/21 101J
A47J27/21 101D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019199855
(22)【出願日】2019-11-01
(65)【公開番号】P2021069856
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】519392498
【氏名又は名称】パーソルエクセルHRパートナーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100203862
【弁理士】
【氏名又は名称】西谷 香代子
(72)【発明者】
【氏名】本江 唱哲
【審査官】柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-170559(JP,A)
【文献】国際公開第2007/071568(WO,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0841071(KR,B1)
【文献】特開平09-201281(JP,A)
【文献】特開2004-329748(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02737832(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0188743(US,A1)
【文献】国際公開第98/005184(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0000980(US,A1)
【文献】登録実用新案第3106105(JP,U)
【文献】特開平08-182617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 27/21
A47J 27/00
H05B 6/12
H05B 6/10
A47J 36/02
A47J 36/16
F24H 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高周波電流が流される加熱コイルと、
前記加熱コイルが収容される筐体と、
前記筐体に設置でき、液体が溜められる容器と、
前記容器の底部に設けられ、前記容器内の液体を加熱する加熱体と、を備え、
前記加熱コイルは、当該加熱コイルの中央部が開口する円形ドーナツ板状を有し、
前記加熱体は、
円板状を有するとともに、上面と、当該上面と並行する下面とを含み、
前記上面と前記下面の双方が前記容器内の液体に接触するように、前記容器の底面部から離されて配置され、
前記容器が前記筐体に設置された状態において、前記加熱コイルからの電磁誘導により発熱し、
前記加熱体には、上下方向に見て前記加熱コイルの中央部と重なる前記加熱体の中央部のみに、前記下面側で発生した気泡が通過する複数の孔が形成され、
前記複数の孔における各孔の中心の真下には、前記加熱コイルが存在しない、
ことを特徴とする液体加熱装置。
【請求項2】
高周波電流が流される加熱コイルと、
前記加熱コイルが収容される筐体と、
前記筐体に設置でき、液体が溜められる容器と、
前記容器の底部に設けられ、前記容器内の液体を加熱する加熱体と、を備え、
前記加熱コイルは、当該加熱コイルの中央部が開口する円形ドーナツ板状を有し、
前記加熱体は、
円板状を有するとともに、上面と、当該上面と並行する下面とを含み、
前記上面と前記下面の双方が前記容器内の液体に接触するように、前記容器の底面部から離されて配置され、
前記容器が前記筐体に設置された状態において、前記加熱コイルからの電磁誘導により発熱し、
前記加熱体には、上下方向に見て前記加熱コイルの外周部と重なる前記加熱体の外周部のみに、前記下面側で発生した気泡が通過する複数の孔が形成され、
前記複数の孔は、前記加熱体における、前記加熱コイルの内周縁と外周縁の間の中心となる円周ライン上の位置には存在しない、
ことを特徴とする液体加熱装置。
【請求項3】
高周波電流が流される加熱コイルと、
前記加熱コイルが収容される筐体と、
前記筐体に設置でき、液体が溜められる容器と、
前記容器の底部に設けられ、前記容器内の液体を加熱する加熱体と、を備え、
前記加熱コイルは、当該加熱コイルの中央部が開口する円形ドーナツ板状を有し、
前記加熱体は、
円板状を有するとともに、上面と、当該上面と並行する下面とを含み、
前記上面と前記下面の双方が前記容器内の液体に接触するように、前記容器の底面部から離されて配置され、
前記容器が前記筐体に設置された状態において、前記加熱コイルからの電磁誘導により発熱し、
前記加熱体には、上下方向に見て前記加熱コイルの中心部および外周部とそれぞれ重なる前記加熱体の中央部および外周部のみに、前記下面側で発生した気泡が通過する複数の孔が形成され、
前記加熱体の中央部の前記複数の孔における各孔の中心の真下には、前記加熱コイルが存在せず、
前記加熱体の外周部の前記複数の孔は、前記加熱体における、前記加熱コイルの内周縁と外周縁の間の中心となる円周ライン上の位置には存在しない、
ことを特徴とする液体加熱装置。
【請求項4】
請求項1または3に記載の液体加熱装置において、
前記加熱体と前記容器の周面部との間には、全周に途切れることなく隙間が設けられ、
前記加熱体の中央は、支柱により、前記加熱体が前記底面部から離されるように支持され、
前記加熱体の中央部には、前記複数の孔が、前記支柱の周囲において周方向に沿うように形成されている、
ことを特徴とする液体加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気湯沸かし器等の液体加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱抵抗器を有し、水を入れて沸かすことができる本体と、本体が結合されるベースとを備え、本体の底部にメス型電気コネクタが設けられる一方、ベースにオス型電気コネクタが設けられ、これら電気コネクタを電気的に結合させることにより、ベース側から本体側へ加熱抵抗器に通電するための電力を供給するようにした湯沸しポットが、たとえば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-226555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の湯沸しポットでは、本体側のメス型電気コネクタが防水型となるように設けられてはいるものの、メス型電気コネクタの部分に水分が残った状態でオス型電気コネクタとの接続が行われたときのリスクを考えると、本体に多くの水を掛けたり本体を水の中に漬けたりして本体を外側までしっかりと洗浄することが行われにくかった。
【0005】
かかる課題に鑑み、本発明は、容器全体をしっかり洗浄することが可能な液体加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る液体加熱装置は、高周波電流が流される加熱コイルと、前記加熱コイルが収容される筐体と、前記筐体に設置でき、液体が溜められる容器と、前記容器の底部に設けられ、前記容器内の液体を加熱する加熱体と、を備える。ここで、前記加熱コイルは、当該加熱コイルの中央部が開口する円形ドーナツ板状を有する。前記加熱体は、円板状を有するとともに、上面と、当該上面と並行する下面とを含み、前記上面と前記下面の双方が前記容器内の液体に接触するように、前記容器の底面部から離されて配置され、前記容器が前記筐体に設置された状態において、前記加熱コイルからの電磁誘導により発熱する。前記加熱体には、上下方向に見て前記加熱コイルの中央部と重なる前記加熱体の中央部のみに、前記下面側で発生した気泡が通過する複数の孔が形成される。前記複数の孔における各孔の中心の真下には、前記加熱コイルが存在しない。
【0007】
上記の構成によれば、容器の外側に筐体との間の電気的な接続部分がないので、容器全体をしっかり水洗いすることが可能となる。また、加熱体の熱が水に直接伝達されるので、水の加熱効率が良くなる。さらに、加熱体の熱が水に効果的に伝達されるので、加熱体による水の加熱効率が一層良くなる。さらに、底面部と加熱体の間に気泡が残りにくくなるので、気泡により加熱体と水との接触が妨げられ難くなり、加熱体による水の加熱効率が向上する。
さらに、複数の孔は、加熱体の中央部のみに形成されており、この中央部は、加熱コイルがドーナツ板状であるために、加熱コイルからの電磁誘導によってうず電流が生じにくい。よって、複数の孔の形成による加熱体の発熱効率の低下が抑えられる。
【0008】
本発明の第2の態様に係る液体加熱装置は、高周波電流が流される加熱コイルと、前記加熱コイルが収容される筐体と、前記筐体に設置でき、液体が溜められる容器と、前記容器の底部に設けられ、前記容器内の液体を加熱する加熱体と、を備える。前記加熱コイルは、当該加熱コイルの中央部が開口する円形ドーナツ板状を有する。前記加熱体は、円板状を有するとともに、上面と、当該上面と並行する下面とを含み、前記上面と前記下面の双方が前記容器内の液体に接触するように、前記容器の底面部から離されて配置され、前記容器が前記筐体に設置された状態において、前記加熱コイルからの電磁誘導により発熱する。前記加熱体には、上下方向に見て前記加熱コイルの外周部と重なる前記加熱体の外周部のみに、前記下面側で発生した気泡が通過する複数の孔が形成される。前記複数の孔は、前記加熱体における、前記加熱コイルの内周縁と外周縁の間の中心となる円周ライン上の位置には存在しない。
【0009】
本発明の第3の態様に係る液体加熱装置は、高周波電流が流される加熱コイルと、前記加熱コイルが収容される筐体と、前記筐体に設置でき、液体が溜められる容器と、前記容器の底部に設けられ、前記容器内の液体を加熱する加熱体と、を備える。前記加熱コイルは、当該加熱コイルの中央部が開口する円形ドーナツ板状を有する。前記加熱体は、円板状を有するとともに、上面と、当該上面と並行する下面とを含み、前記上面と前記下面の双方が前記容器内の液体に接触するように、前記容器の底面部から離されて配置され、前記容器が前記筐体に設置された状態において、前記加熱コイルからの電磁誘導により発熱する。前記加熱体には、上下方向に見て前記加熱コイルの中心部および外周部とそれぞれ重なる前記加熱体の中央部および外周部のみに、前記下面側で発生した気泡が通過する複数の孔が形成される。前記加熱体の中央部の前記複数の孔における各孔の中心の真下には、前記加熱コイルが存在せず、前記加熱体の外周部の前記複数の孔は、前記加熱体における、前記加熱コイルの内周縁と外周縁の間の中心となる円周ライン上の位置には存在しない。
【0010】
第1、第2および第3の態様に係る液体加熱装置において、前記加熱体と前記容器の周面部との間には、全周に途切れることなく隙間が設けられる。前記加熱体の中央は、支柱により、前記加熱体が前記底面部から離されるように支持される。前記加熱体の中央部には、前記複数の孔が、前記支柱の周囲において周方向に沿うように形成されている。
【0012】
本態様に係る液体加熱装置において、前記容器は、内側の壁部と外側の壁部とからなる二重壁構造を有するような構成とされ得る。
【0013】
上記の構成によれば、容器内の水が加熱されたときに、容器の外面に熱が伝わりにくく、容器の外面が熱くなりにくい。
【0014】
お、特許請求の範囲において、「筐体に設置」とは、筐体に載置されるなど、電磁誘導が生じる限りにおいて、筐体の上方や側方などに、筐体と接触または近接するように置かれることを意味する。
【発明の効果】
【0015】
以上のとおり、本発明によれば、容器全体をしっかり洗浄することが可能な液体加熱装置を提供できる。
【0016】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1(a)は、第1実施形態に係る、電気湯沸かし器の斜視図であり、図1(b)は、第1実施形態に係る、容器の平面図である。
図2図2は、第1実施形態に係る、電気湯沸かし器の断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係る、ベースの構成を示すブロック図である。
図4図4(a)は、第2実施形態に係る、電気湯沸かし器の斜視図であり、図4(b)は、第2実施形態に係る、容器の平面図である。
図5図5は、第2実施形態に係る、電気湯沸かし器の断面図である。
図6図6(a)および(b)は、それぞれ、変更例に係る、ネジ式の固定構造を示す、蓋の付いた容器の断面図および容器の平面図である。
図7図7(a)および(b)は、それぞれ、変更例に係る、嵌め込み式の固定構造を示す、蓋の付いた容器の断面図および容器の平面図である。
図8図8(a)および(b)は、変更例に係る、蓋の付いた容器の断面図である。
図9図9(a)および(b)は、変更例に係る、蓋の付いた容器の断面図である。
図10図10(a)は、変更例に係る、容器の底部の断面図であり、図10(b)ないし(d)は、変更例に係る、加熱体の平面図である。
図11図11(a)および(b)は、それぞれ、変更例に係る、蓋が付いた容器の斜視図および断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の液体加熱装置の一実施形態である電気湯沸かし器について、図面を参照して説明する。
【0019】
<第1実施形態>
図1(a)は、第1実施形態に係る、電気湯沸かし器1の斜視図であり、図1(b)は、第1実施形態に係る、容器100の平面図である。図2は、第1実施形態に係る、電気湯沸かし器1の断面図である。図3は、第1実施形態に係る、ベース300の構成を示すブロック図である。なお、図2では、便宜上、温度検出器330が断面で描かれていない。
【0020】
電気湯沸かし器1は、水(加熱対象の液体)が溜められる容器100と、容器100の給水口103を塞ぐ蓋200と、容器100が載せられるベース300と、を備えている。
【0021】
容器100は、たとえば、ガラス、特に耐熱性ガラスにより形成され、円形の底面部101と、円筒状の周面部102とを含み、上面が給水口103となるように開口する。周面部102は、テーパを有し、上方に向かってやや拡がる。周面部102には、後側に、環状の取っ手104が形成されており、前側の上端部に、容器100から水を注ぐための注ぎ口105が形成されている。なお、容器100は、ガラス以外の材料、たとえば、セラミックや樹脂により形成されてもよく、その材料は、耐熱性を有することが望ましい。
【0022】
容器100の底部には、容器100内の水を加熱するための加熱体110が設けられる。加熱体110は、たとえば、ステンレスにより形成され、円板状を有し、上面111と上面111と並行する(背向する)下面112とを含む。加熱体110は、加熱体110と一体に形成された円柱状の支柱120によって、容器100の底面部101から少し離れるように支持されている。これにより、容器100内に水が溜められたとき、加熱体110の上面111と下面112の双方が水に接触する。
【0023】
加熱体110の中心は、底面部101の中心と一致する。加熱体110の直径は、容器100の内径よりも小さくされており、加熱体110と周面部102との間には隙間が設けられている。容器100内に水が入れられたとき、この隙間から加熱体110の下側に水が流れ込む。
【0024】
加熱体110は、ユーザがドライバー等の工具を用いることなく取り外しが可能となるように、即ちユーザにより着脱可能に、容器100の底面部101に固定される。本実施形態では、磁石130を用いた固定構造が採用されている。即ち、底面部101の中央には、扁平な円柱状を有する磁石130が、その上側が底面部101から突出するように取り付けられており、支柱120の下面に形成された凹部121に、磁石130の突出部分が嵌り込む。磁石130の磁力により、加熱体110が底面部101から上方に外れないように固定される。加熱体110の上面には、中央に円柱状の摘まみ部140が形成されており、ユーザが、この摘まみ部140を持って、磁石130の磁力よりも大きな力で加熱体110を持ち上げることにより、加熱体110を容器100から取り外すことができる。これにより、加熱体110の下面112および容器100の底面部101の内面の洗浄が容易となる。
【0025】
上記のように磁石130を用いた固定構造が採られる場合、加熱体110には、磁石130に吸着可能なフェライト系やマルテンサイト系のステンレスが用いられる。
【0026】
なお、加熱体110は、ステンレス以外の導電性と耐腐食性に優れる金属材料により形成されてもよい。
【0027】
蓋200は、たとえば、ガラス、特に耐熱ガラスにより形成され、円盤状を有し、その周面が容器100の周面部102のテーパ形状に対応するテーパ形状を有する。蓋200の上面は外周部を残して曲面状に凹んでおり、凹み201の中央に、取っ手202が形成されている。なお、蓋200は、ガラス以外の材料、たとえば、樹脂、特に耐熱性の樹脂により形成されてもよい。蓋200は容器100の給水口103から上方に取り外すことでき、これによって、給水口103が開放される。
【0028】
ベース300は、筐体310と、筐体310内に収容される加熱コイル320および温度検出器330と、を備えている。
【0029】
筐体310は、上下方向に扁平なほぼ直方体状を有し、上面が開放されたケース311と、ケース311の上面を覆う、トッププレートであるカバー312とにより構成されている。筐体310、即ちケース311とカバー312は、たとえば、ガラスにより形成される。載置面である筐体310の上面には、容器100をベース300、即ち筐体310に載置するときの位置を示す目印部として、円形のマーク313が描かれている。マーク313の直径は、容器100の底面部101の直径とほぼ同じに(僅かに大きく)されている。容器100は、マーク313に合わせて載置される。また、筐体310の上面には、マーク313に替えて、上面から僅かに凹む円形の凹部が目印部として形成されてもよい。なお、筐体310は、ほぼ直方体の形状でなくてもよく、たとえば、ほぼ円柱形状であってもよい。
【0030】
加熱コイル320は、渦巻き状に巻かれたコイルにより、ドーナツ板状に形成されている。加熱コイル320は、その中心位置がカバー312の中央となるように、カバー312に近接させて筐体310内に配置されている。加熱コイル320は、たとえば、図示しない取付部材を介してカバー312の裏面に取り付けられる。
【0031】
加熱コイル320の中心は、マーク313の中心、即ち筐体310の上面の中心と一致する。このため、容器100が、マーク313に合わせるように筐体310の上面の中心に置かれたとき、加熱コイル320の中心と加熱体110の中心とが一致する。ここで、加熱体110の直径は、加熱コイル320の直径よりも大きくされている。よって、容器100が筐体310の上面の中心から多少ずれて置かれても、加熱コイル320が加熱体110の領域に収まるため、安定した誘導加熱効率が得られる。
【0032】
また、容器100がベース300に載置された状態において、加熱体110と加熱コイル320は平行な状態となる。即ち、加熱体110と加熱コイル320は、これらが並ぶ方向(上下方向)から見たときに、任意の位置において距離が一定となっている。これにより、加熱体110全体の加熱効率を安定させることができる。なお、たとえば、容器100の底面部101の内面が凹曲面状となり、それに合わせるように加熱板110が凹曲面の板状とされた場合、加熱コイル320も、上下方向から見たときに、任意の位置において距離が一定となるように凹曲面のドーナツ板状とされ得る。即ち、加熱板110がどのような形状となっても、それに合わせて、加熱コイル320は、加熱板110と加熱コイル320が並ぶ方向から見たときに、任意の位置において距離が一定となるような形状とされることが望ましい。
【0033】
温度検出器330は、カバー312の裏面の中央に取り付けられている。温度検出器330は、サーミスタを有し、容器100内に溜められた水(湯)の温度を、容器100の底面部101およびカバー312を介して間接的に検出し、容器100内の水の温度に応じた検出信号(電圧信号)を出力する。
【0034】
図3に示すように、ベース300は、加熱コイル320および温度検出器330の他、運転スイッチ340、制御部350およびインバータ360を備えている。
【0035】
運転スイッチ340は、たとえば、筐体310の側面に配置され、湯沸し運転を開始するために操作される。制御部350は、マイクロコンピュータ等を備え、運転スイッチ340からの操作信号および温度検出器330からの検出信号に基づいて加熱コイル320への通電を制御する。インバータ360は、制御部350からの制御信号に従って、加熱コイル320に高周波電流(高周波の交流電流)を供給する。たとえば、交流電流の周波数は、20kHz~90kHzの範囲の中から選定され得る。
【0036】
次に、上記の構成に基づく、電気湯沸かし器1の動作について説明する。
【0037】
ユーザは、水が溜められた容器100を、ベース300、即ち筐体310の上面に載置して、運転スイッチ340を操作する。運転スイッチ340からの操作信号を受けて、制御部350が湯沸し運転を開始する。即ち、制御部350がインバータ360を駆動し、インバータ360から高周波電流が加熱コイル320に供給される。加熱コイル320からの電磁誘導により、容器100内の加熱体110にうず電流が生じ、加熱体110が発熱する。これにより、容器100内の水が加熱される。このとき、加熱体110は水に接触するため、加熱体110の熱が水に直接伝達され、水の加熱効率が良くなる。特に、加熱体110は、上面111と下面112の双方が水に接触するため、加熱体110の熱が水に効果的に伝達される。よって、水の加熱効率が一層良くなる。
【0038】
容器100内の水の温度が高くなると、加熱体110の上面111と下面112の部分で水の気化による気泡が発生する。加熱体110は、上面111での発熱より下面112の発熱が大きくなり、下面112側で気泡が発生しやすくなる。加熱体110の上面111で発生した気泡はそのまま上昇する。一方、加熱体110の下面112で発生した気泡は、加熱体110と容器100の周面部102との間の隙間を通って上昇し、加熱体110と容器100の底面部101との間から逃げる。
【0039】
容器100内の水が沸騰し、即ち湯が沸いて、容器100内の水の温度が沸騰温度に達すると、温度検出器330は、沸騰温度に相関するカバー312の温度を検出し、カバー312の温度、即ち沸騰温度に応じた検出信号を制御部350へ出力する。この検出信号が入力されると、制御部350は、インバータ360の駆動を停止することにより、加熱コイル320への通電を停止する。これにより、加熱体110による水の加熱が停止する。
【0040】
こうして、湯沸し運転が終了する。ユーザは、容器100をベース300から離脱させて、容器100内の湯を使用する。
【0041】
<第1実施形態の効果>
本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
【0042】
電気湯沸かし器1は、筐体310に収容された加熱コイル320からの電磁誘導により、容器100の底部に設けられた加熱体110が発熱し、容器100内の水が加熱される構成とされている。このため、容器100の外側に筐体310との間の電気的な接続部分がないので、容器100全体をしっかり水洗いすることが可能となる。
【0043】
また、加熱体110が容器100内に溜められた水に接触するような構成とされているので、加熱体110の熱が水に直接伝達され、水の加熱効率が良くなる。
【0044】
さらに、加熱体110は、上面111と下面112の双方が水に接触するような構成とされているので、加熱体110の熱が水に効果的に伝達される。よって、加熱体110による水の加熱効率が一層良くなる。
【0045】
<第2実施形態>
図4(a)は、第2実施形態に係る、電気湯沸かし器2の斜視図であり、図4(b)は、第2実施形態に係る、容器500の平面図である。図5は、第2実施形態に係る、電気湯沸かし器2の断面図である。なお、図5では、便宜上、温度検出器730が断面で描かれていない。
【0046】
電気湯沸かし器2は、水(加熱対象の液体)が溜められる容器500と、容器500の給水口503を塞ぐ蓋600と、容器500が載せられるベース700と、を備えている。
【0047】
容器500は、たとえば、ガラス、特に耐熱性ガラスにより形成され、円形の底面部501と、円筒状の周面部502とを含み、上面が給水口503となるように開口する。容器500は、ガラス以外の材料、たとえば、セラミックや樹脂により形成されてもよく、その材料は、耐熱性を有することが望ましい。
【0048】
容器500の底部には、容器500内の水を加熱するための加熱体510が設けられる。加熱体510は、たとえば、ステンレスにより形成され、円筒状を有し、内周面511と内周面511と並行する外周面512とを含む。外周面512は、容器500の周面部502と対向する。加熱体510は、その上端が容器500の中央部まで達する高さを有している。
【0049】
加熱体510は、ネジ止め、接着等の固定方法により容器500に固定することができる。加熱体510は、上記第1実施形態の加熱体110と同様、ユーザがドライバー等の工具を用いることなく取り外しが可能となるように、着脱可能な構成とされてもよい。
【0050】
加熱体510の外径は、容器500の内径よりも小さくされており、加熱体510の外周面512と容器500の周面部502との間には、隙間が形成される。これにより、容器500内に水が溜められたとき、加熱体510の内周面511と外周面512の双方が水に接触する。
【0051】
なお、加熱体510は、ステンレス以外の導電性と耐腐食性に優れる金属材料により形成されてもよい。
【0052】
蓋600は、たとえば、ガラス、特に耐熱ガラスにより形成され、円盤状を有する。蓋600の上面は外周部を残して曲面状に凹んでおり、凹み601の中央に、取っ手602が形成されている。なお、蓋600は、ガラス以外の材料、たとえば、樹脂、特に耐熱性の樹脂により形成されてもよい。図8に図示されていないが、容器500の周面部502には、蓋600が容器500の上端部に留めるために、内側に僅かに膨出して蓋600を支える環状の膨出部が設けられる。
【0053】
ベース700は、筐体710と、筐体710内に収容される加熱コイル720および温度検出器730と、を備えている。
【0054】
筐体710は、たとえば、樹脂により形成され、中空の有底円筒状を有する。容器500は、筐体710の凹部711内に収容され、凹部711の底面に載置される。
【0055】
加熱コイル720は、円筒状に巻かれたコイルにより構成され、凹部711の周囲を囲むように筐体710内に配置される。容器500がベース700、即ち筐体710に載置されると、加熱体510と加熱コイル720とが容器500の周面部502を挟んで向かい合う。なお、加熱体510の長さ(上下方向の寸法)は、加熱コイル720の長さ(上下方向の寸法)より大きくされている。
【0056】
温度検出器730は、筐体710の底部の収容空間であって、凹部711の底面に背向する面の中央に取り付けられる。温度検出器730は、第1実施形態の温度検出器330と同じものである。
【0057】
さらに、ベース700は、第1実施形態のベース300と同様、図3に示す、運転スイッチ340、制御部350およびインバータ360を備えている。運転スイッチ340は、筐体710の外周面に設けることができ、制御部350およびインバータ360は、温度検出器730と同じく、筐体710の底部の収容空間に配置することができる。
【0058】
本実施形態の電気湯沸かし器2においても、上記第1実施形態の電気湯沸かし器1と同様の湯沸し運転を行うことができる。
【0059】
湯沸し運転において、加熱コイル720に高周波電流が供給されると、加熱コイル720からの電磁誘導により、容器500内の加熱体510が発熱する。これにより、容器500内の水が加熱される。このとき、加熱体510は水に接触するため、加熱体510の熱が水に直接伝達され、水の加熱効率が良くなる。特に、加熱体510は、内周面511と外周面512の双方が水に接触するため、加熱体510の熱が水に効果的に伝達される。よって、水の加熱効率が一層良くなる。
【0060】
<第2実施形態の効果>
本実施形態によれば、上記第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0061】
<変更例>
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記第1実施形態および第2実施形態に限定されるものではなく、また、本発明の適用例も、上記実施形態の他に、種々の変更が可能である。
【0062】
たとえば、上記第1実施形態では、加熱体110を着脱可能に容器100の底面部101に固定するために、磁石130を用いた固定構造が採用された。しかしながら、加熱体110の固定構造は、上記のものに限られない。たとえば、以下の図6(a)、(b)および図7(a)、(b)に示すような加熱体110の固定構造が採られてもよい。
【0063】
図6(a)および(b)は、それぞれ、変更例に係る、ネジ式の固定構造を示す、蓋200の付いた容器100の断面図および容器100の平面図である。
【0064】
本変更例では、加熱体110を固定するための固定具150が容器100に備えられている。固定具150は、金属、樹脂等で形成され、円柱状の摘まみ部151と、摘まみ部151の下面中央に設けられたネジ部152とで構成されている。ネジ部152には、雄ネジが形成されている。
【0065】
加熱体110を支える支柱120は、容器100の底面部101と一体形成されており、この支柱120の上面に、雌ネジが形成されたネジ孔122が設けられている。加熱体110には、中心に、貫通孔113が形成されている。
【0066】
加熱体110は、貫通孔113を通された固定具150のネジ部152が支柱120のネジ孔122に止められることにより、支柱120、即ち容器100に固定される。加熱体110を容器100に対して着脱する際、ユーザは、固定具150の摘まみ部151を持ってネジ部152を締め付けたり緩めたりでき、ドライバー等の工具を用いることなく、加熱体110の着脱を容易に行うことができる。
【0067】
図7(a)および(b)は、それぞれ、変更例に係る、嵌め込み式の固定構造を示す、蓋200の付いた容器100の断面図および容器100の平面図である。
【0068】
本変更例では、固定具160が加熱体110の中央部に取り付けられている。固定具160は、円柱状の摘まみ部161と、摘まみ部161の下方に設けられた嵌込部162とで構成されている。摘まみ部161と嵌込部162の間に加熱体110が挟まれて固定される。嵌込部162には、入口部の径が奥部の径より小さい断面T字状の円形の嵌込凹部163が形成されている。
【0069】
加熱体110を支える支柱120は、容器100の底面部101と一体形成されており、この支柱120が、嵌込部162の嵌込凹部163に対応するように断面T字の円柱形状を有している。
【0070】
加熱体110は、固定具160の嵌込部162の嵌込凹部163に支柱120が嵌め込まれることにより、支柱120、即ち容器100に固定される。嵌込部162は、ゴム等の弾性材料により形成されており、支柱120に対して取り付けられる際または取り外される際、弾性により嵌込凹部163の入口部が拡がる。よって、ユーザは、固定具160の摘まみ部161を持って嵌込部162を支柱120に取り付けたり取り外したりすることにより、ドライバー等の工具を用いることなく、加熱体110の着脱を容易に行うことができる。
【0071】
さらに、上記実施形態1では、加熱体110が容器100の底面部101から浮くように配置され、加熱体110の上面111および下面112の双方が容器100に溜められた水に接触するような構成が採られた。しかしながら、容器100の底部における加熱体110の配置構成は、上記のものに限られない。
【0072】
たとえば、図8(a)および(b)に示すように、加熱体110の両表面のうち上面111のみが容器100内の水に接触するような構成が採られてもよい。
【0073】
図8(a)の変更例では、加熱体110が容器100の底面部101の内部にインサート成形されている。底面部101には、加熱体110の上面111を、その外周縁部分を除いて容器100の内部に露出させる円形の開口部106が形成されている。これにより、加熱体110は、上面の大部分が容器100に溜められた水に接触する。
【0074】
電気湯沸かし器1は、加熱コイル320による誘導加熱で加熱体110が発熱する構成であり、加熱体110の下面112にヒータが取り付けられないため、加熱体110の下面112側では、底面部101に、下面112を外部に露出させるような開口部等がなく、底面部101が完全に閉じられている。よって、加熱体110と底面部101との間に水封構造を設けなくてよく、容器100の構成が複雑になりにくい。
【0075】
図8(b)の変更例では、容器100において、加熱体110が、その下面112が底面部101に接触するように、底面部101上に配置されている。たとえば、容器100には、底部に環状の爪部107が設けられ、この爪部107に押さえられることにより、加熱体110が底面部101に固定される。加熱体110は、爪部107に係合する部分以外の上面111のほぼ全体が容器100に溜められた水に接触する。この構成では、加熱体110を容器100の底面部101に装着する際に爪部107が弾性変形しやすいよう、容器100が樹脂により形成されることが望ましい。
【0076】
また、図8(a)および(b)の変更例と同様、加熱体110の片面が水に接触する構成として、図9(a)に示すような加熱体110の配置構成が採られてもよい。
【0077】
図9(a)の変更例では、容器100の底部がステンレス等の誘導加熱可能な金属材料で形成され、加熱体110とされている。即ち、加熱体110が、容器100の底部と別に設けられるのではなく、容器100の底部として兼用されている。たとえば、図9(a)のように、加熱体110は、底面部110aと、底面部110aから立ち上がり、容器100の周面部102に結合される周面部110bとを含む。加熱体110の底面部110aの上面と周面部110bの内周面が容器100に溜められた水に接触する。なお、加熱体110は、底面部のみからなる構成とされてもよい。
【0078】
上記の図8(a)、(b)および図9(a)の構成においても、加熱体110の熱が水に直接伝達されるので、水の加熱効率が良くなる。
【0079】
さらに、上記のように、加熱体110の少なくとも1つの表面が容器100内の水に接触する構成が採られるのではなく、図9(b)に示すように、インサート成形により、加熱体110が容器100の底面部101の内部に完全に埋め込まれ、加熱体110が容器100内に露出せず水に接触しない構成が採られてもよい。
【0080】
さらには、第2実施形態の容器500において、図8(a)および(b)の構成と同様な構成として、加熱体510を、内周面511のみが容器500の内部に露出するように、外周面512を周面部502に接触させて、あるいは外周面512側を周面部502に埋め込んで配置する構成、図9(a)に示す構成と同様な構成として、加熱体510を容器500の底部として兼用する構成、および図9(b)に示す構成と同様な構成として、加熱体510を容器500の周面部502に埋め込んで容器500の内部に露出させない構成が採られてもよい。
【0081】
さらに、上記第1実施形態では、容器100内の水が加熱されたときに加熱体110の下面112側で発生した気泡は、加熱体110と容器100の周面部102との間の隙間を通ることにより、加熱体110の上方へ逃がされた。しかしながら、図10(a)ないし(d)に示すように、加熱体110の下面112側で発生した気泡が、底面部101と加熱体110の間からより逃げやすい構成が採られてもよい。
【0082】
図10(a)は、変更例に係る、容器100の底部の断面図であり、図10(b)は、変更例に係る、加熱体110の平面図である。なお、図10(b)には、便宜上、加熱コイル320の位置が一点鎖線により示されている。
【0083】
本変更例では、加熱体110の中央部に、周方向に沿うように、複数の円形の孔114が形成されている。複数の孔114の中心の真下には、加熱コイル320が存在しない。この構成では、図10(a)に示すように、加熱体110の下面112側で発生した気泡が、加熱体110と容器100の周面部102との間の隙間だけでなく、複数の孔114を通過することにより、底面部101と加熱体110の間から加熱体110の上方へ逃がされる。よって、底面部101と加熱体110の間に気泡が残りにくくなるので、気泡により加熱体110と水との接触が妨げられ難くなり、加熱体110による水の加熱効率が向上する。しかも、複数の孔114は、加熱体110の中央部に形成されており、この中央部は、加熱コイル320がドーナツ板状であるために、加熱コイル320からの電磁誘導によってうず電流が生じにくい。よって、複数の孔114の形成による加熱体110の発熱効率の低下が抑えられる。
【0084】
図10(c)および(d)は、変更例に係る、加熱体110の他の構成を示す平面図である。なお、図10(c)および(d)には、便宜上、加熱コイル320の位置が一点鎖線により示されている。
【0085】
加熱体110の外周部は、加熱コイル320からの電磁誘導によってうず電流が生じにくい傾向にあり、発熱しにくい。よって、図10(c)に示すように、加熱体110の外周部に、周方向に沿うように複数の円形の孔115が形成されてもよい。また、図10(d)に示すように、加熱体110の中央部と外周部の双方に、それぞれ、複数の円形の孔114、115が形成されてもよい。これらの構成によっても、底面部101と加熱体110の間に気泡が残りにくくなるので、加熱体110による水の加熱効率が向上する。
【0086】
なお、上記の例では、複数の孔114,115が径方向には1列に形成されていたが、径方向に2列以上形成されてもよい。この場合、孔114、115の径は、上記の例よりも小さくされ得る。
【0087】
さらに、上記第1実施形態の容器100に替えて、図11に示す容器100Aが用いられてもよい。
【0088】
図11(a)および(b)は、それぞれ、変更例に係る、蓋200が付いた容器100Aの斜視図および断面図である。
【0089】
容器100Aは、二重壁構造を有し、底面部101が内側の壁部101a(以下、内底壁部101aと称する)と外側の壁部101b(以下、外底壁部101bと称する)とからなり、周面部102が内側の壁部102a(以下、内周壁部102aと称する)と外側の壁部102b(以下、外周壁部102bと称する)とからなる。内底壁部101aと外底壁部101bとの間および内周壁部102aと外周壁部102bとの間には、隙間が形成されており、空気層が介在している。容器100Aのその他の構成は、第1実施形態の容器100と同様である。なお、容器100Aにおいて、内底壁部101aと外底壁部101bとの間および内周壁部102aと外周壁部102bとの間の隙間に、これら壁部の間の断熱効果を高めるための断熱層を形成するために断熱材が入れられてもよい。また、断熱層として、内底壁部101aと外底壁部101bおよび内周壁部102aと外周壁部102bとの間の隙間を真空にして真空層を形成してもよく、また、隙間に大気圧よりも低圧の空気層を形成してもよい。
【0090】
容器100Aが用いられれば、容器100A内の水が加熱されたときに、容器100Aの外面に熱が伝わりにくく、外面が熱くなりにくい。
【0091】
なお、容器100Aの外底面には熱が伝わりにくいため、筐体310のカバー312は高温になりにくい。よって、カバー312は、ガラスよりも通常、熱に弱い樹脂により形成できる。カバー312が樹脂製とされた場合、コストの低減、軽量化、形状の多様化等を図ることが可能となる。
【0092】
さらに、上記第2実施形態では、ベース700が中空の有底円筒状に形成され、底部の収容空間に温度検出器730、制御部350およびインバータ360が配置された。しかしながら、ベース700が底部を有しない中空の円筒部と、円筒部に隣接して設けられる収納部とで構成され、円筒部に加熱コイル720が配置されるとともに、収納部に制御部350およびインバータ360が配置されるような構成が採られてもよい。この場合、電気湯沸かし器2は、ベース700がキッチン等に置かれた状態において、容器500が、ベース700上に載置されるのではなく、ベース700における円筒部の内側に設置されることになる。
【0093】
さらに、上記第1実施形態および上記第2実施形態では、電気湯沸かし器1、2は、湯を沸かす機能のみを備えるものであったが、電気湯沸かし器1、2が、湯を沸かす機能に加え、沸かした湯を保温する機能を備えていてもよい。
【0094】
さらに、上記第1実施形態および上記第2実施形態では、本発明の液体加熱装置が電気湯沸かし器1、2に適用された。しかしながら、本発明は、容器に溜められた液体を加熱する電気湯沸かし器以外の、容器に溜められた液体を加熱する液体加熱装置にも適用できる。たとえば、生成後に容器内のコーヒーが保温できるコーヒーメーカに適用できる。また、本発明が適用される液体加熱装置は、保温機能はあるが湯沸し機能がないものであってもよい。
【0095】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0096】
1 電気湯沸かし器(液体加熱装置)
2 電気湯沸かし器(液体加熱装置)
100 容器
100A 容器
101a 内側の壁部
101b 外側の壁部
102a 内側の壁部
102b 外側の壁部
110 加熱体
111 上面(第1の面)
112 下面(第2の面)
310 筺体
320 加熱コイル
350 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図11