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特許7429533天井部用枠材の取り付け構造および取り付け方法
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  • 特許-天井部用枠材の取り付け構造および取り付け方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】天井部用枠材の取り付け構造および取り付け方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 9/30 20060101AFI20240201BHJP
   E04B 9/16 20060101ALI20240201BHJP
   E04B 1/348 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E04B9/30 B
E04B9/16 B
E04B1/348 L
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019235535
(22)【出願日】2019-12-26
(65)【公開番号】P2021102906
(43)【公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 栄俊
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 正史
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】実開平07-010142(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 9/00 - 9/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨材と天材とを備え、骨材に係止部を備えた支持部材を設け、該係止部に、天材に設けた係止受け部を係止することで天井部の枠組みをするように構成した天井部用枠材において、
前記支持部材を、係止部が骨材から離間する下動位置と近接する上動位置とに移動可能になるよう骨材に対して上下移動自在に案内するための案内手段と、上動位置に移動した支持部材を骨材に固定するための固定手段とが設けられた構成にするにあたり、
骨材には補助部材が設けられ、支持部材は、該補助部材を介して骨材に上下移動自在に案内され、
補助部材には、上下方向に長い案内孔部が形成され、
支持部材は、案内孔部に上下方向移動自在に嵌入する突状部が形成され、
補助部材は、骨材に対して間隙を存する状態で設けられ、該間隙は、案内孔部を貫通した突状部の先端側部位の配設スペースとなっていることを特徴とする天井部用枠材の取り付け構造。
【請求項2】
補助部材は、案内孔部が形成された案内面部と、該案内面部から骨材側に向けて延出していて案内面部と骨材とのあいだの間隙を形成するための延出部とを備えて構成されていることを特徴とする請求項記載の天井部用枠材の取り付け構造。
【請求項3】
天井部を、骨材と天材とを備え、骨材に、係止部を備えた支持部材を設け、該係止部に、天材に設けた係止受け部を係止することで天井部の枠組みをするように構成した天井部用枠材の取り付け方法において、
上下方向に長い案内孔部が案内面部に形成された補助部材を、案内面部が骨材とのあいだに間隙を存する状態で骨材に取り付ける工程、
前記案内孔部に、支持部材に設けた突状部を、該突状部の案内孔部を貫通した先端側部位が前記間隙に嵌入して該間隙を先端側部位の配設スペースとする状態で上下方向移動自在に組み込む工程、
該支持部材を、係止部が骨材から離間する下動位置に位置せしめる工程、
該下動位置に位置する係止部に天材を取り付ける工程、
前記天材が取り付けられた支持部材を上動位置に移動せしめた後、該支持部材を骨材側に固定する工程、
が順次実行されることを特徴とする天井部用枠材の取り付け方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレハブ建屋等の建屋の天井部を構成するための天井用枠材の取り付け構造および取り付け方法の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビル等の建設現場や、工場等の屋社内に、プレハブ建屋等の簡易的な建屋を建て付けることがあり、このような建屋の天井部を建て付ける場合に、天井部の周縁部に設けられる梁材(縁材)に、複数の骨材を例えば縦方向に並列状に設け、該骨材に対して天材(軽天材)を横方向に並列状に設けて縦横方向に枠組みをし、そして天材に天井板を取り付けるようにして天井部を構成するようにしたものが知られている(例えば特許文献1参照。)。
ところがこのものは、骨材に対する天材の取り付け構造が具体的に開示されておらず不明であるが、このような取り付け構造として、例えば逆L字形をした支持部材を骨材に取り付け、該支持部材の下端部に設けたフック状の係止部に天材を係止することで、天材を支持部材を介して骨材に取り付けできるようにしたものが知られている(例えば特許文献2、3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-257804号公報
【文献】実用新案登録第3007981号公報
【文献】特開2014-15799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが前記従来のものは、支持部材の下端部に設けた係止部に対して、天材に設けた係止受け部が上側から乗り越える状態で係止するようにして取り付けることとなり、この場合に、骨材の下端縁部と天材の上端縁部とのあいだに隙間のない状態で取付けることが難しくて作業性が悪く、作業者人数も複数が必要になる等の問題があり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、骨材と天材とを備え、骨材に係止部を備えた支持部材を設け、該係止部に、天材に設けた係止受け部を係止することで天井部の枠組みをするように構成した天井部用枠材において、前記支持部材を、係止部が骨材から離間する下動位置と近接する上動位置とに移動可能になるよう骨材に対して上下移動自在に案内するための案内手段と、上動位置に移動した支持部材を骨材に固定するための固定手段とが設けられた構成にするにあたり、骨材には補助部材が設けられ、支持部材は、該補助部材を介して骨材に上下移動自在に案内され、補助部材には、上下方向に長い案内孔部が形成され、支持部材は、案内孔部に上下方向移動自在に嵌入する突状部が形成され、補助部材は、骨材に対して間隙を存する状態で設けられ、該間隙は、案内孔部を貫通した突状部の先端側部位の配設スペースとなっていることを特徴とする天井部用枠材の取り付け構造である。
請求項2の発明は、補助部材は、案内孔部が形成された案内面部と、該案内面部から骨材側に向けて延出していて案内面部と骨材とのあいだの間隙を形成するための延出部とを備えて構成されていることを特徴とする請求項記載の天井部用枠材の取り付け構造である。
請求項3の発明は、天井部を、骨材と天材とを備え、骨材に、係止部を備えた支持部材を設け、該係止部に、天材に設けた係止受け部を係止することで天井部の枠組みをするように構成した天井部用枠材の取り付け方法において、上下方向に長い案内孔部が案内面部に形成された補助部材を、案内面部が骨材とのあいだに間隙を存する状態で骨材に取り付ける工程、前記案内孔部に、支持部材に設けた突状部を、該突状部の案内孔部を貫通した先端側部位が前記間隙に嵌入して該間隙を先端側部位の配設スペースとする状態で上下方向移動自在に組み込む工程、該支持部材を、係止部が骨材から離間する下動位置に位置せしめる工程、
該下動位置に位置する係止部に天材を取り付ける工程、前記天材が取り付けられた支持部材を上動位置に移動せしめた後、該支持部材を骨材側に固定する工程、が順次実行されることを特徴とする天井部用枠材の取り付け方法である。
【発明の効果】
【0006】
請求項1またはの発明とすることにより、支持部材を骨材に対して下動位置に位置した状態で天材の取り付けができ、そして該天材が取り付けられた状態の支持部材を、上動位置に移動させたものを骨材側に固定することで、天材の取り付け作業が容易かつ簡単になって作業性が向上し、作業者数の人数も減少できることになる。
しかも骨材に設けられる補助部材を介して支持部材が上下移動自在に案内されるため、骨材自体に支持部材を案内するための配慮をする必要がなく、骨材の構造が複雑化することがない。
さらに支持部材の上下移動の案内が、補助部材に設けた上下方向に長い案内孔部でなされることになって構造が複雑になることがない。
そのうえ補助部材に設けた案内孔部に嵌入した突状部は、骨材と補助部材との間に設けられる間隙が突状部先端部位の配設スペースとなっているため、骨材に影響されることなく支持部材の上下移動ができることになって作業性が向上する。
請求項の発明とすることにより、突状部先端部位の配設スペースとなる隙間が、案内面部から延出した延出部によって維持されるため、安定した取り付け作業ができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】建屋の正面図である。
図2】建屋の平面図である。
図3】建屋の天井板を省略した状態を示す斜視図である。
図4】建屋の骨材部位の縦断面図である。
図5】(A)(B)は骨材部位の縦断面図、正面図である。
図6】骨材部位の斜視図である。
図7】(A)(B)(C)は天材を取り付けるための手順を示す作用説明図である。
図8】(A)(B)は支持部材を取り付ける状態を示す作用説明図である。
図9】(A)(B)(C)(D)(E)は補助部材の正面図、平面図、底面図、側面図、斜視図である。
図10】(A)(B)(C)(D)(E)は支持部材の正面図、平面図、底面図、側面図、斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図面において、1は工場等の大建屋内に別途設置される管理室や休憩室等の建屋であって、該建屋1はプレハブ式のものであって、壁板部2と天井部3とを備え、正面の壁板部2には出入り口となる開口部Eが設けられ、該開口部Eを開閉するため引き戸式の戸体4が設けられている。そしてこのものでは天井部3に本発明が実施されており、以下、これについて詳述する。
【0009】
前記天井部3は、四周枠構造となった梁材5の前後間(左右間であってもよい。)に補強材となる骨材6が左右方向に間隙を存する状態で複数本が設けられ、これら骨材6の上下両側部の同位置に天材7、8が前後方向に間隙を存する状態で複数本が設けられ、これら骨材6、天材7、8によって平面視で縦横枠組み形成されたものとなり、そして天材7、8に天井板9がそれぞれ設けられることで二重板状の天井部3が構成されている。
【0010】
前記骨材6は中空状の四角柱構造となっており、上面部6aには、逆L字形をした補助部材10の上片部10aがビス10bを介して固定されている。
補助部材10は、前記上片部10aの前端縁部から、骨材6の前面部6bに対して間隙Sを有する状態で下方に向けて切曲した案内面部(縦面部)10cが設けられるが、該案内面部10cの左右両端縁部からは、対向する骨材前面部6b側に向けて切曲することで延出され、先端縁が骨材前面部6bに当接することにより案内面部10cが骨材前面部6b側に変位するのを規制して前記間隙Sを維持するための延出部10dが設けられている。
【0011】
一方、11は下側の天材7を支持するための支持部材であって、該支持部材11は、案内面部10cに当接状に対向する状態で設けられるが、左右両端縁部の下端部に、J字形になったフック状の係止部11aが設けられている。
さらに支持部材11の左右両端縁部には、係止部11aよりも上側に位置する状態で案内面部10c側に向けて突出する突状部11bが切曲形成されている。
また天材7は、跨片部7aとその両側の脚片部7bとを備えることで側面視で凵字形をしているが、脚片部7bの上端縁部には、逆J字形をしたフック状の係止受け部7cが形成されている。そして天材7は、該係止受け部7cを支持部材11の係止部11aに上側から乗り越える状態で係止することで支持部材11に取り付けられるようになっている。
【0012】
前記案内面部10cには、支持部材11に設けた逆J字形をしたフック状の突状部11bが嵌入する案内孔部10eが形成されているが、該案内孔部10eは上下方向に長い長孔であって、突状部11bを案内孔部10eに嵌入した状態では、支持部材11は、前記間隙Sが突状部11bの嵌入した先端部の配設スペース(移動スペース)となって補助部材10に対して上下方向移動自在に支持されるように設定されている。
そして突状部11bが案内孔部10eの下端縁に位置した下動位置に位置させた状態では、突状部11bが案内孔部10eに仮保持状に保持されることになり、この姿勢では、係止部11aは骨材6の下面部6cに対して下側に離間して隙間を存する状態になるように設定され、これによって前述した係止受け部7cを係止部11aに係止する天材7の取り付け作業が容易に行うことができるように設定されている。
【0013】
そしてこのように天材7が取り付けられた支持部材11を、突状部11bを案内孔部10eに案内させる状態で上動せしめ、天材7の上端縁部、具体的には係止受け部7cの上端縁部が骨材6の下面部6cに当接する上動位置にまで移動させた状態で、ビス12を支持部材11に設けたビス孔11cから案内面部10cに設けたビス孔10fに螺入することで、支持部材11を補助部材10に固定することができ、このようにして天材7を、骨材6に対して隙間がない状態での取付けができるようになっている。
【0014】
前述したように本実施の形態では、骨材6に下側天材7だけでなく、上側天材8も取付けられる構成になっており、この場合の取り付け構成としては、前記下側天材7の取り付け構成を天地逆のものとしても実施することができるが、上側天材8は、骨材上面部6aに乗せた状態(骨材6との間で隙間がない状態)で仮保持(載置)できるものであるため、本実施の形態では、支持部材13としては突状部11bがない平板状のものとし、そして前記支持部材13がセットされた天材8を骨材上面部6aに乗せた状態とし、支持部材13を補助部材10にビス12を介して固定するように設定されている。
【0015】
叙述の如く構成された本実施の形態において、天井部3を、骨材6と上下天材7、8によって枠組みするよう組み付けるにあたり、下側天材7を組み付ける場合、骨材6に係止部11aを備えた支持部材11を設け、該係止部11aに、天材7に設けた係止受け部7cを係止することになるが、この場合、前記支持部材11は、係止部11aが骨材6の下面部6cから離間する下動位置と近接する上動位置とに移動自在になるよう骨材6に対して上下移動自在に構成されているため、支持部材11を下動位置にセットした状態では、係止部11aが骨材6の下面部6cから離間した状態になって天材7を支持部材に取付けることが容易にできることになる。このように天材7が取り付けられた状態の支持部材11を上動位置に移動し、この状態でビス12を介して支持部材11を骨材6側に固定することで、天材7の係止受け部7cが骨材6の下面部6cとの間に隙間のない状態で固定されることになり、隙間がない分、天井板9を高くできるだけでなく、天材7をガタが生じたりすることなく安定した取り付けができることになる。
【0016】
しかもこの場合に、骨材6に補助部材10が設けられ、支持部材11は、該補助部材10を介して骨材6に上下移動自在に案内される構成になっているため、骨材6自体に支持部材11を案内するための配慮をする必要がなく、骨材の構造が複雑化することがない。しかも天材7が設けられた支持部材11は、前記上動姿勢にしたものをビス12を介して補助部材10に固定することで、該補助部材10を介して骨材6に固定されることになるから、補助部材10が支持部材11の案内部材と固定部材とに兼用されることになり、構造の簡略化が図れることになる。
そしてこの場合に、支持部材11を上下案内するものが、補助部材10に設けた上下方向に長い案内孔部10eにより構成されるため、補助部材10の構造も格別に複雑になることもない。
【0017】
しかも支持部材11は、該支持部材11に設けた突状部11bが案内孔部10eに上下移動自在に嵌入する構成になっているが、該嵌入した状態の突状部11bの先端部位は、骨材6の前面部6bと案内面部10cとの間に設けられる間隙Sが前記突状部11bの先端部位の配設スペースとなっているため、骨材6に当接したりして影響されるようなことがなく、この結果、支持部材11の上下移動が円滑にできることになって作業性が向上する。
そのうえこの間隙Sは、案内孔部10eが形成された案内面部10cから骨材6側に向けて延出する延出部10dによって維持されるため、案内面部10cが骨材6側に変形したりすることが回避され、安定した取り付け作業ができることになる。
【0018】
尚、本発明は前記実施の形態に限定されないものであることは勿論であって、補助部材10のないものであっても実施することができる。この場合、骨材6自体に、前記実施の形態の案内孔部に相当するものを形成するとともに、上動位置に移動した支持部材11を直接骨材6に固定するように構成することで実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明は、プレハブ建屋等の建屋の天井部を構成するための天井用枠材の取り付け構造および取り付け方法に利用することができる。
【符号の説明】
【0020】
3 天井部
6 骨材
7 下側天材
7c 係止受け部
10 補助部材
10c 案内面部
10d 延出部
10e 案内孔部
10f ビス孔
11 支持部材
11a 係止部
11b 突状部
12 ビス
13 支持部材
S 間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10