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特許7429538電力アプリケーション向けの揮発性有機化合物制御リレー
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  • 特許-電力アプリケーション向けの揮発性有機化合物制御リレー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電力アプリケーション向けの揮発性有機化合物制御リレー
(51)【国際特許分類】
   H01H 50/04 20060101AFI20240201BHJP
   B64C 1/00 20060101ALI20240201BHJP
   H01H 50/06 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01H50/04 T
B64C1/00 A
H01H50/06 G
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2019560098
(86)(22)【出願日】2018-05-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-16
(86)【国際出願番号】 US2018030344
(87)【国際公開番号】W WO2018204299
(87)【国際公開日】2018-11-08
【審査請求日】2019-12-17
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-15
(31)【優先権主張番号】15/956,048
(32)【優先日】2018-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/501,842
(32)【優先日】2017-05-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517077810
【氏名又は名称】アストロニクス アドバンスド エレクトロニック システムズ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジュパー、ジェフリー、エー.
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】久島 弘太郎
【審判官】内田 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-257641(JP,A)
【文献】特開平9-323532(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0099137(US,A1)
【文献】特開2016-54074(JP,A)
【文献】特開平8-96280(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0120693(US,A1)
【文献】特開2016-91803(JP,A)
【文献】特開平5-52898(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 47/00-47/36
H01H 45/00-45/14
H01H 50/00-50/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子回路(42)への電力(50)を有効化および無効化するための切替リレー(10)であって、
ガス濃度を測定するためのガスセンサ(24)と、
通電されない場合の閉位置と、通電される場合の開位置とを有する、リレー(22)と、
前記ガスセンサ(24)および前記リレー(22)の両方と通信するマイクロコントローラ(26)であって、経時的に測定された複数のガス濃度の値を前記ガスセンサ(24)から受け取り、前記経時的に測定された複数のガス濃度の値に基づいて閾値レベルを確立し、取得したガス濃度の値が前記閾値レベルを超過したときに前記リレー(22)に通電し、これによって前記電子回路(42)を電源から絶縁するようにプログラムされた、前記マイクロコントローラ(26)と
を備えることを特徴とする、切替リレー(10)。
【請求項2】
前記ガスセンサ(24)は、揮発性有機化合物(VOC)の濃度を検出するのに有効であることを特徴とする、請求項1に記載の切替リレー(10)。
【請求項3】
前記ガスセンサ(24)は、周囲空気と気体連通(14)していることを特徴とする、請求項2に記載の切替リレー(10)。
【請求項4】
前記ガスセンサ(24)は、前記周囲空気を連続的に監視するようにプログラムされていることを特徴とする、請求項3に記載の切替リレー(10)。
【請求項5】
前記ガスセンサ(24)は、前記周囲空気を周期的に監視するようにプログラムされていることを特徴とする、請求項3に記載の切替リレー(10)。
【請求項6】
マイクロコントローラ(26)が前記ガスセンサ(24)に電気的に相互接続されていることをさらに特徴とする、請求項3に記載の切替リレー(10)。
【請求項7】
前記閾値レベルは、
公称レベルを決定するために前記経時的に測定された複数のガス濃度の値を取得することと、
前記公称レベルを所定の量だけ増加させることと、
によって確立されることを特徴とする、請求項に記載の切替リレー(10)。
【請求項8】
無線機(28)が前記マイクロコントローラ(26)と通信しており、前記無線機(28)は前記リレー(22)との無線通信を行うことをさらに特徴とする、請求項に記載の切替リレー(10)。
【請求項9】
前記リレー(22)は、通電されると開放して、前記電子回路(42)を前記電源(50)から絶縁する磁気コイル(36)を含むことを特徴とする、請求項3に記載の切替リレー(10)。
【請求項10】
前記周囲空気は航空機の客室からであることを特徴とする、請求項に記載の切替リレー(10)。
【請求項11】
揮発性有機化合物(VOC)レベルが所定の閾値レベルを超過したときに電子回路(42)を電源(50)から電気的に絶縁する方法であって、
VOCガスセンサ(24)と、通電されない場合の閉位置と、通電される場合の開位置とを有するリレー(22)と、前記VOCガスセンサ(24)および前記リレー(22)の両方と通信するマイクロコントローラ(26)とを有する切替リレー(10)を提供するステップと、
経時的に測定された複数のガス濃度の値を取得するための前記VOCガスセンサ(24)を用いて周囲空気を監視し、前記経時的に測定された複数のガス濃度の値に基づいて閾値レベルを確立するステップと、
前記周囲空気のVOCレベルが、前記閾値レベルを超過したときに前記リレー(22)に通電し、それにより前記リレー(22)を開放し前記電子回路を絶縁するステップと、
を含むことを特徴とする、方法。
【請求項12】
前記閾値レベルは、
公称レベルを決定するために前記経時的に測定された複数のガス濃度の値を取得することと、
前記公称レベルを所定の量だけ増加させることと、
によって確立されることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記周囲空気の前記監視は連続的であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記周囲空気の前記監視は周期的であることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記閾値レベルは、マイクロコントローラ(26)の不揮発性メモリ内に格納されることを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
前記マイクロコントローラ(26)は、電気的相互接続によって前記リレー(22)と通信することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記マイクロコントローラ(26)は電気的相互接続によって無線機(28)と通信し、前記無線機(28)は前記リレー(22)と無線通信することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記マイクロコントローラ(26)は、前記閾値レベルを超過したときに前記リレー(22)に信号を送信し、磁気コイル(36)に通電して前記リレー(22)を開放させ、これによって前記電子回路(42)を前記電源(50)から絶縁することを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ヒューズは、最終的にそのヒューズをクリアする短絡回路または過負荷を生じる回路に基づいて、ハウジング内の火災を消すように期待されることが多い。温度ヒューズおよび温度スイッチなどの他の機構もまた使用されてきたが、意図される機能を実行するために、熱応力のポイントは熱的に過応力を受ける部品に機械的に接続されなければならないため、結果は限定的である。多くの小さなイベントおよび過渡的イベントで発煙する可能性があるが、熱的制限または入力ヒューズのいずれかをトリップするのに十分な規模にはならないだろう。これにより、ユニットが完全に故障するようなときまで損傷または故障した製品を動作したままになり、多くの場合、故障装置の、航空機の客室などの狭い領域内の人員にさらなるストレスをかける。
【発明の概要】
【0002】
電子回路への電力を有効化および無効化するための切替リレーとして利用される揮発性有機化合物(VOC)制御リレーが、本明細書に開示される。このVOC制御リレーは、高電力および高電力または電圧の操作が過応力、予測不能な入力変動、熱的過応力、部品故障、不十分な設計慣例、およびその他の故障メカニズムによる故障の危険性をはらむ電力変換エレクトロニクスに、特に適している。
【0003】
VOC制御リレーの特徴は、単一のセンシングおよび電力制御装置にするために、小型化およびマイクロエレクトロニクスによって集積パッケージ内のセンサ、マイクロコントローラ、および電力リレーの集積を可能にすることである。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本明細書に記載されるVOC制御リレーの等角図である。
図2】VOC制御リレーの断面図である。
図3】VOC制御リレーのブロック図である。
図4】VOC制御リレーの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
図1は、ハウジング12およびガスポート14を有するVOC制御リレー10の等角図である。複数のリードは、VOC制御リレーと外部回路との間に電気的相互接続を提供する。これらのリードは、コントローラリード16およびリレーリード18を含む。
【0006】
図2は、VOC制御リレー10の断面図である。ハウジング12内には、コントローラ部20およびリレー部22が収容されている。コントローラ部20は、ガスセンサ24およびマイクロコントローラ26を含む。任意選択的に、無線機28が含まれてもよい。データおよび電力は、コントローラリード16に電気的に相互接続されたバス30を通じて供給される。ガスセンサ24およびマイクロコントローラ26は、リレー部22への電力入力から、またはリレーアセンブリとは別の二次回路から、電力供給され得る。ガスセンサ24およびマイクロコントローラ26への別個の電源を有する自己完結型電力リレー部22は、好適な一実施形態である。
【0007】
ガスセンサ24は、ガスポート14を通じてガス入力を受け取り、VOCのレベルを測定する。ガス入力は通常、周囲空気である。サンプリングは、故障イベントを適切に監視するためにシステムによって必要とされるように、連続的または周期的であり得る。VOCレベルは、VOCレベルを監視するためにマイクロコントローラ26と通信される。VOCの濃度およびVOC濃度の変化率に応じて、マイクロコントローラは任意選択的な無線機28を介して外部モニタにデータを送信する。プログラムされた閾値レベルを超過した場合、マイクロコントローラ26はリレー32を開放して管理対象ユニットからの電力を除去する。一例として、マイクロコントローラは、濃度で50%などの所定量だけ、環境に基づいてVOC濃度が公称レベルを超過したときに開放するように、リレーに指示してもよい。公称レベルは、ベースラインを確立するために、経時的にいくつかの測定値を取得することによって決定されてもよい。VOC濃度の上昇は、部品の過熱またはガス放出があるという兆候である。リレーを開放することで、管理対象装置から電力が除去される。一例として、ベースラインVOC濃度が480パーツパービリオン(ppb:十億分率)である場合、および濃度が700ppbを超えたという読み取りが行われたとき、リレーは電力を除去するように作動する。
【0008】
VOCガスは、ハウジング12内に延在するガスポート14を通じて侵入し、そこで物質の含有量について分析される。この情報は、VOC粒子のグロス値をプログラム値に基づいて許容される最大値と比較するマイクロコントローラ26によって処理される。プログラム値は、システムの誤ったトリガーが発生しないことを保証するために、埃またはその他の有機化合物など、他の環境汚染物質のオフセットを含むことができる。トリップ値の設定は、工場で、または任意選択的な無線機28を使用して、行われることが可能である。この値は、監視している装置の場所で設定できる。無線機は、VOCレベルの連続的または周期的に監視された値を報告する。適切なガスセンサの1つは、CCS811ガスセンサソリューションとしてAMS USA Inc.(カリフォルニア州クパチーノ)から販売されている室内空気質を監視するための超低電力デジタルガスセンサなどのマイクロVOC集積回路である。
【0009】
リレー32は通常、第1のリレーリード18Aおよび第3のリレーリード18Cが電気的に相互接続され、VOC制御リレー10によって制御される装置が正常に機能するように、第1接触器34と電気的に接触して閉位置にある。VOCの閾値レベルを超過すると、磁気コイル36に電力供給されて、リレー32に第1接触器34との接触を遮断させて第2接触器38と接触させる。リレー32が第2接触器38と電気的に接触しているとき、第2のリレーリード18Bおよび第3のリレーリード18Cは電気的に相互接続されており、VOC制御リレー10によって制御される装置は電力を受け取らない。
【0010】
リレー32は、用途に応じて単極単投(SPST)リレーでも多極双投リレーでもよい。
【0011】
VOCレベルがプログラムされたレベルを超過したとマイクロコントローラ26が判断すると、マイクロコントローラ26はリレー部に信号を送り、これを開放にラッチするようにリレー32を「設定」させる。これにより、管理対象ユニットからの電力を除去する。ラッチングリレー32をリセットするには、第1接触器34と電気的に接触している通常の閉位置にリレー32を戻すために、追加の電気信号または機械的押しボタンが使用され得る。
【0012】
図1および図2は、リレー22として同じハウジング12内に収容されたガスセンサ24を示すが、代わりに、ガスセンサは別のハウジング内に収容され、リレーから離れた位置にあってもよい。その場合、ガスセンサとリレーとの間の通信は、いずれか適切な有線または無線通信システムによって行われる。
【0013】
図3は、一実施形態のブロック図描写である。電力は、電力バス138および電力戻り40線を介して供給される。電力は、用途に応じてAC電力でもDC電力でもよい。例示的な航空機の客室用途では、電力は通常、400HzでAC115ボルトである。選択した電力バス源に応じて、回路の微調整が必要とされる可能性がある。電力は、リレー部22の常閉第1接触器34を通じて管理対象装置42へ、リレー部22の電力出力48を通って供給される。VOCセンサ(ガスセンサ24)は、管理対象ユニット42内の空気質を連続的に監視する。VOC含有量は、集積回路間(I2C)インターフェース46を通じてマイクロコントローラ26によって要求される。測定が完了すると、VOCセンサ24はI2Cインターフェース46を介してマイクロコントローラ26にVOC含有量で応答する。マイクロコントローラ26は、応答の値がプログラムされた限界よりも大きいか否かを判断する。プログラムされた限界は、工場で設定されるか、または無線を通じてマイクロコントローラ26との無線インターフェースを通じてロードされてもよい。無線機が組み込まれたマイクロコントローラ26は、装置10をできるだけ小さく保つ設計方法である。
【0014】
図4は、部品から部品への電気的接続を概略的に示す。マイクロコントローラ26とセンサ24との間のI2Cインターフェース46は、これらの装置間の双方向通信を可能にする。マイクロコントローラおよびセンサの電力は、入力電力から取られる適切な電力供給源から得られる。この方法は、入力電力バス138電圧および選択された形態によって決定される。
【0015】
図4のJ1は、ファームウェアがマイクロコントローラ(26)U2にロードできるようにするためのプログラミングポートである。U1は、ユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースの5VDCをプログラミング中の動作のためにマイクロコントローラによって使用される安定化3.0VDCに変換するための、電圧調整器である。Y1は、ファームウェア命令を動作可能に実行するようにマイクロコントローラ命令サイクルタイミングの動作周波数を設定するための水晶発振器である。ロードされたファームウェアは、集積回路間(I2C)インターフェース46を通じてVOCセンサ24を監視するようになっている。マイクロコントローラ26は、取得された動作読み取り値と比較するための公称動作条件下のVOCセンサの公称値と共にファームウェアを格納するための、不揮発性メモリを収容する。
【0016】
マイクロコントローラがVOCセンサ24から、VOC値の劇的な増加を示す読み取り値を受信すると、マイクロコントローラは、発煙、加熱、またはガス放出イベントが発生していると判断する。ポートPF0を介したマイクロコントローラは、ポートをロジック1に設定してリレー制御K1を有効化する。次にK1は、リレー(22)LS1を開放状態に駆動し、管理対象ユニットへの電力52を除去する。故障時にのみリレーをオンに駆動することで、この回路の消費電力を削減する。オンまたはオフへの駆動、もしくはラッチ状態リレーの使用は、回路のわずかな変更によって行われてもよい。
【0017】
動作中のマイクロコントローラ26への電力は、電力入力50から得られる。マイクロコントローラ26およびVOCセンサ24、ならびにリレー駆動回路K1も動作させるための3.0VDCバイアス電源を生じるために、電力入力形態からの電力の変換が必要とされる。線間電圧からDC電圧への電力変換は、業界ではよく知られており、本開示には含まれない。
図1
図2
図3
図4