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  • 特許-視標提示装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】視標提示装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 3/06 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A61B3/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020027037
(22)【出願日】2020-02-20
(65)【公開番号】P2021129813
(43)【公開日】2021-09-09
【審査請求日】2023-02-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000220343
【氏名又は名称】株式会社トプコン
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】柳 英一
【審査官】渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-165805(JP,A)
【文献】実開平02-111118(JP,U)
【文献】特表2007-535695(JP,A)
【文献】特開平07-168541(JP,A)
【文献】特開2020-022107(JP,A)
【文献】特開2012-165806(JP,A)
【文献】国際公開第2007/034593(WO,A1)
【文献】特開2002-191558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 3/00 - 3/18
G09G 5/10 - 5/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
階調レベルを変更可能であって、前記階調レベルに応じて、背景に対して所定のコントラストで視標を表示する視標表示部と、
前記階調レベルを設定し、前記コントラストを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記コントラストの目標値及び前記視標表示部の周辺温度を取得し、前記背景又は前記視標を形成する視標領域のうちの一方の階調レベルを固定し、前記背景又は前記視標領域のうちの他方の階調レベルを前記目標値及び前記周辺温度に基づいて決定した階調レベルに変更する
ことを特徴とする視標提示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された視標提示装置において、
前記コントラストと前記階調レベルとの対応関係を規定するテーブルを、所定の温度帯ごとに記憶したメモリを備え、
前記制御部は、前記周辺温度が該当する温度帯を判定し、
前記周辺温度が該当すると判定された温度帯に紐づけられたテーブルを前記メモリから選択し、
前記目標値と選択したテーブルに基づいて前記階調レベルを決定する
ことを特徴とする視標提示装置。
【請求項3】
請求項1に記載された視標提示装置において、
前記コントラストと前記階調レベルとの基本的な対応関係を規定するテーブルと、所定の温度帯ごとに設定した前記階調レベルの補正値と、を記憶したメモリを有し、
前記制御部は、前記周辺温度が該当する温度帯を判定し、
前記周辺温度が該当すると判定された温度帯に紐づけられた前記階調レベルの補正値を前記メモリから読み出し、
前記目標値と前記テーブルに基づいて基礎階調レベルを読み出し、
前記階調レベルの補正値と前記基礎階調レベルに基づいて前記階調レベルを決定する ことを特徴とする視標提示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3の何れか一項に記載された視標提示装置において、
前記制御部は、前記周辺温度を検出する温度検出装置が検出した検出値を、通信によって取得する温度取得部を有する
ことを特徴とする視標提示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視標提示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、被検眼のコントラスト感度を求めるコントラスト検査を行う際、背景に対する視標のコントラストを変更して被検者に提示する視標提示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-136569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の視標提示装置では、視標を液晶ディスプレイによって表示するが、液晶ディスプレイの輝度は、一般的に周辺温度に依存して変動することが分かっている。つまり、一般的な液晶ディスプレイでは、周辺温度が低いほど透過率が高くなって輝度が上がり、周辺温度が高いほど透過率が低くなって輝度が下がる傾向がある。そのため、周辺温度によっては所望のコントラストで視標を表示できないという問題が生じる。
【0005】
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、背景に対して所望のコントラストで視標を表示することができる視標提示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の視標提示装置は、階調レベルを変更可能であって、前記階調レベルに応じて、背景に対して所定のコントラストで視標を表示する視標表示部と、前記階調レベルを設定し、前記コントラストを制御する制御部と、を備えている。そして、前記制御部は、前記コントラストの目標値及び前記視標表示部の周辺温度を取得し、前記背景又は前記視標を形成する視標領域のうちの一方の階調レベルを固定し、前記背景又は前記視標領域のうちの他方の階調レベルを前記目標値及び前記周辺温度に基づいて決定した階調レベルに変更する。
【発明の効果】
【0007】
このように構成された視標提示装置では、背景に対して所望のコントラストで視標を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施例1の視標提示装置の全体構成を示す説明図である。
図2】(a)は高レベルのコントラストで示された視標の模式図であり、(b)は中レベルのコントラストで示された視標の模式図であり、(c)は低レベルのコントラスで示された視標の模式図である。
図3】所定の温度帯ごとに区分けされたコントラストと階調レベルとの対応関係を規定するテーブルの説明図である。
図4】コントラストと階調レベルとの基本的な対応関係を規定するテーブルと、温度帯ごとに設定された階調レベルの補正値を規定するテーブルの説明図である。
図5】実施例1の視標提示装置の変形例の全体構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の視標提示装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
以下、実施例1の視標提示装置10の構成を、図1図3に基づいて説明する。
【0011】
実施例1の視標提示装置10は、背景に対する視標のコントラストを適宜変更して被検者Hに提示する装置であり、被検眼Eのコントラスト感度を求めるコントラスト検査に使用される。ここで、「コントラスト」とは、画像領域100において視標(例えばランドルト環)を形成する視標領域101と背景102との間の輝度(明るさ)の比である(図2(a)~(c)参照)。コントラストは、下記式(1)によって求めることができる。
C(%)=100×(W-B)/(W+B) …(1)
ここで、C:コントラスト
B:視標領域の輝度(明るさ)
W:背景の輝度(明るさ) である。
【0012】
コントラストが異なることで、図2(a)~(c)に示すように、提示された視標の見え方が異なる。つまり、高レベルのコントラスト(例えば100%)の場合では、図2(a)に示すように、視標領域101の輝度と背景102の輝度との比が大きくなり、視標は比較的鮮明に見える。そして、中レベルのコントラスト(例えば50%)、低レベルのコントラスト(例えば25%)と、コントラストが低くなるほど、図2(b)、(c)に示すように、視標領域101の輝度と背景102の輝度との比が小さくなり、視標の判別がしにくくなる。
【0013】
実施例1の視標提示装置10は、図1に示すように、筐体11と、視標提示光学系12と、メモリ13と、操作部14と、温度センサ15と、制御部16と、を備えている。
【0014】
筐体11は、視標提示光学系12やメモリ13、制御部16等を内蔵し、検眼テーブル(不図示)等に据え置かれる。この筐体11の前面(被検者H側)には、被検者Hが視標を視認するための窓部11aが形成されている。
【0015】
視標提示光学系12は、表示部12a(視標表示部)と、第1反射ミラー12bと、レンズ12cと、第2反射ミラー12dと、を備えている。
【0016】
ここで、表示部12aは、階調レベルに応じて、背景に対して所定のコントラストで任意の指標を表示する液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)である。視標提示光学系12では、表示部12aからの光束を第1反射ミラー12bによってレンズ12cに向けて反射し、このレンズ12cによって屈折して、被検眼Eからの遠用検眼距離に視標の虚像iを結像する。そして、レンズ12cを透過した光束を第2反射ミラー12dによって反射することで、被検眼Eの前方の遠用検眼距離に視標を提示する。被検者Hは、筐体11に形成された窓部11aを介して視標を視認する。
【0017】
「階調レベル」とは、表示部12aにて表示可能な色の濃度の段階数であり、実施例1では256階調とする。表示部12aは、この階調レベルを変更可能な階調変更機能を有している。そして、表示部12aでは、画像領域100内の背景102の階調レベルが、最も明るい(透過率が高い)状態(白色)となる255階調に固定される一方、視標を形成する視標領域101の階調レベルが変更される。これにより、背景102に対する視標のコントラストが制御される。つまり、視標のコントラストは、視標領域101の階調レベルに対応して決まる。
【0018】
また、この表示部12aは、周辺温度に依存して輝度が変動する。すなわち、この表示部12aは、周辺温度が低温であるほど透過率が高くなって輝度が上がり、画像領域100が白くなる傾向がある。また、表示部12aは、周辺温度が高温であるほど透過率が低くなって輝度が下がり、画像領域100が暗くなる傾向がある。そのため、視標領域101の階調レベルが同一であっても、周辺温度が異なることで、背景102に対する視標のコントラストが変化する。なお、「周辺温度」とは、表示部12aの周囲の雰囲気温度であり、筐体11の内部の温度や、表示部12aを駆動制御する回路基板の温度、視標提示装置10が設置された環境(室内)の温度を含む。
【0019】
メモリ13は、制御部16が処理を実行するためのプログラムや各種の情報等を予め記憶すると共に、制御部16の処理によって得られた各種の情報等を記憶する記憶媒体である。このメモリ13は、背景102に対する視標のコントラストと、視標領域101の階調レベルとの対応関係を規定するテーブル(以下、「コントラスト-階調テーブル」という)を、所定の温度帯ごとに記憶している。すなわち、図3に示す例では、温度帯が「温度帯A(18℃~35℃)」、「温度帯B(18℃以下)」、「温度帯C(35℃以上)」に区分けされている。そして、温度帯Aには、周辺温度が18℃~35℃のときの視標のコントラストと階調レベルとの対応関係を規定した「コントラスト-階調テーブルT1」が紐づけられている。また、温度帯Bには、周辺温度が18℃以下のときの視標のコントラストと階調レベルとの対応関係を規定した「コントラスト-階調テーブルT2」が紐づけられている。さらに、温度帯Cには、周辺温度が35℃以上のときの視標のコントラストと階調レベルとの対応関係を規定した「コントラスト-階調テーブルT3」が紐づけられている。なお、温度帯の区分けは、図3に示す例に限らず、もっと細かく設定したり、高温帯と低温帯の二段階に区分けしたりしてもよい。
【0020】
操作部14は、ユーザである検者が操作するユーザインターフェイスであり、情報や操作指示の入力を行うための機能を備える。この操作部14は、筐体11に設けられたボタン、キー、コントロールレバーや、制御部16と通信可能なパーソナルコンピュータや携帯端末等の操作デバイス(マウス、キーボード、トラックパッド、ボタン、タッチパネル等)を含む。また、この操作部14は、音声に基づいて操作や入力を行うためのプロセッサ及びコンピュータプログラムを含んでもよい。操作部14を介して入力された情報や操作指示は、制御部16に入力される。
【0021】
温度センサ15は、表示部12aの周辺温度を検出するセンサであり、ここではサーミスタによって構成されている。なお、サーミスタは、温度の変化によって抵抗値が変化する電子部品である。サーミスタの抵抗値を測定することで温度を検知することが可能である。温度センサ15は、筐体11の内部の表示部12aの近傍位置に配置され、表示部12aの周囲の雰囲気温度を検知する。また、温度センサ15は、表示部12aを駆動制御する回路基板に設けられ、この回路基板の温度を検出するようにしてもよいし、視標提示装置10が設定された室内に設けられて、室温を検出するようにしてもよい。温度センサ15によって検出された表示部12aの周辺温度の検出値は、制御部16に入力される。
【0022】
制御部16は、視標のコントラストの目標値と、表示部12aの周辺温度を取得し、表示部12aの表示を制御する演算装置である。すなわち、制御部16には、操作部14を介して被検者Hに提示する視標のコントラストの目標値が入力されると共に、温度センサ15によって検出された表示部12aの周辺温度が入力される。また、この制御部16は、メモリ13に記憶された情報を適宜読み出し可能である。そして、制御部16は、視標のコントラストの目標値及び周辺温度を取得すると、この目標値と周辺温度に基づいてメモリ13に記憶されたテーブルを検索し、視標のコントラストを目標値に一致させる階調レベルを設定する。
【0023】
以下、実施例1の視標提示装置10の作用を説明する。
【0024】
実施例1の視標提示装置10において、背景102に対して所定のコントラストで視標を表示して被検者Hに提示するには、まず、検者は、被検者Hの応答に応じて操作部14を操作し、被検者Hに提示する視標のコントラストの目標値を制御部16に入力する。
【0025】
続いて、温度センサ15は、表示部12aの周辺温度を検出する。なお、この温度センサ15による周辺温度の検出は常時行われていてもよいし、操作部14を介して指示を入力することで行ってもよい。表示部12aの周辺温度の検出値は、制御部16に入力される。
【0026】
制御部16は、視標のコントラストの目標値及び周辺温度の検出値が入力され、目標値及び周辺温度を取得した後、取得した周辺温度が、メモリ13に記憶されたコントラスト-階調テーブルを区分する温度帯の何れに該当するのかを判定する。すなわち、温度センサ15によって検出された周辺温度が例えば25℃である場合には、制御部16は、図3に示す例では、周辺温度(25℃)が該当する温度帯が「温度帯A」であると判定する。
【0027】
制御部16は、周辺温度が該当する温度帯を判定した後、この周辺温度が該当すると判定された温度帯に紐づけられたコントラスト-階調テーブルを選択する。すなわち、周辺温度が「温度帯A」に該当すると判断された場合には、制御部16は、図3に示す例では、「コントラスト-階調テーブルT1」を選択する。
【0028】
そして、制御部16は、選択したコントラスト-階調テーブルと、入力されたコントラストの目標値に基づいて階調レベルを決定する。つまり、「コントラスト-階調テーブルT1」が選択され、コントラストの目標値として例えば50%が入力された場合には、制御部16は、図3に示す例では、階調レベルを80階調に決定する。
【0029】
制御部16は、階調レベルを決定した後、視標領域101の階調レベルを自身が決定した階調レベル(80階調)に設定し、表示部12aにおいて視標を表示させる。なお、このとき、背景102の階調レベルは、最も明るい状態(白色)となる255階調に固定される。この結果、背景102に対する視標のコントラストは50%となる。
【0030】
続いて、温度センサ15によって検出された表示部12aの周辺温度が、例えば10℃である場合を説明する。
【0031】
表示部12aの周辺温度が10℃である場合、液晶ディスプレイである表示部12aでは、周辺温度が25℃のときよりも透過率が高くなって、画像領域100の輝度が上がる傾向がある。
【0032】
ここで、表示部12aの周辺温度を考慮せず、視標領域101の階調レベルを周辺温度が25℃の場合と同じ階調レベル(80階調)に設定した場合を考える。この場合、周辺温度が25℃のときよりも画像領域100の輝度が上がる傾向があるため、視標領域101が必要以上に明るくなり、50%のコントラストを得ることができない。
【0033】
これに対し、実施例1の視標提示装置10では、制御部16にて、周辺温度がメモリ13に記憶されたコントラスト-階調テーブルを区分する温度帯の何れに該当するかを判断する際、図3に示す例では、周辺温度(10℃)が該当する温度帯が「温度帯B」であると判断する。
【0034】
そして、制御部16は、周辺温度(10℃)が該当する温度帯(温度帯B)に紐づけられたコントラスト-階調テーブルである「コントラスト-階調テーブルT2」を選択する。続いて、制御部16は、この選択した「コントラスト-階調テーブルT2」と、入力されたコントラストの目標値に基づいて階調レベルを決定する。つまり、「コントラスト-階調テーブルT2」が選択され、コントラストの目標値として例えば50%が入力された場合には、図3に示す例では、階調レベルは82階調に決定される。
【0035】
制御部16は、階調レベルを決定した後、視標領域101の階調レベルを自身が決定した階調レベル(82階調)に設定し、表示部12aにおいて視標を表示させる。このとき、背景102の階調レベルは、最も明るい状態(白色)となる255階調に固定される。この結果、表示部12aの周辺温度が比較的低温で、輝度が高い環境下であっても、視標領域101の階調レベルが82階調に設定されていることで、背景102に対する視標のコントラストを50%として表示することができる。
【0036】
さらに、温度センサ15によって検出された表示部12aの周辺温度が、例えば40℃である場合には、制御部16は、図3に示す例では、周辺温度(40℃)が該当する温度帯が「温度帯C」であると判断する。
【0037】
そして、制御部16は、周辺温度(40℃)が該当する温度帯(温度帯C)に紐づけられたコントラスト-階調テーブルである「コントラスト-階調テーブルT3」を選択する。そして、選択した「コントラスト-階調テーブルT3」と、入力されたコントラストの目標値(例えば50%)に基づいて階調レベルを決定する。図3に示す例では、階調レベルは79階調に決定される。
【0038】
そして、制御部16は、視標領域101の階調レベルを自身が決定した階調レベル(79階調)に設定した上で、表示部12aにおいて視標を表示させる。この結果、表示部12aの周辺温度が比較的高温で、輝度が低い環境下であっても、視標領域101の階調レベルが79階調に設定されていることで、背景102に対する視標のコントラストを50%として表示することができる。
【0039】
このように、実施例1の視標提示装置10では、制御部16は、コントラストの目標値と表示部12aの周辺温度に基づいて、視標領域101の階調レベルを設定する。このため、表示部12aの輝度が周辺温度に依存して変動しても、背景102に対して所望のコントラストで視標を表示することができる。
【0040】
また、実施例1では、メモリ13に、所定の温度帯ごとにコントラスト-階調テーブルを記憶しておく。そして、制御部16は、周辺温度が該当する温度帯を判定したら、コントラストの目標値と、周辺温度が該当する温度帯に紐づけられたコントラスト-階調テーブルと、に基づいて、階調レベルを設定する。これにより、的確な階調レベルの設定を速やかに行うことができ、コントラスト検査を円滑に実施することができる。
【0041】
以上、本発明の視標提示装置10を実施例1に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、この実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0042】
実施例1の視標提示装置10では、メモリ13に、所定の温度帯ごとにコントラスト-階調テーブルを記憶し、周辺温度が該当する温度帯に紐づけられたコントラスト-階調テーブルを用いて階調レベルを設定する例を示した。しかしながら、これに限らない。
【0043】
図4に示すように、背景102に対する視標のコントラストと、視標領域101の階調レベルとの基本的な対応関係を規定するテーブル(以下、「コントラスト-階調基本テーブルTa」という)と、所定の温度帯ごとに予め設定した階調レベルの補正値を規定したテーブル(以下、「補正値テーブルTb」という)と、をメモリ13に記憶する。そして、コントラストの目標値と、コントラスト-階調基本テーブルTaと、温度帯ごとに予め設定した階調レベルの補正値と、に基づいて、制御部16が演算によって視標領域101の階調レベルを設定してもよい。
【0044】
すなわち、この場合、制御部16は、コントラストの目標値と表示部12aの周辺温度を取得した後、この周辺温度が、メモリ13に記憶された補正値テーブルTbにおいて補正値を区分する温度帯の何れに該当するのかを判定する。続いて、制御部16は、補正値テーブルTbから、周辺温度が該当すると判定された温度帯に対応する補正値を読み出す。さらに、制御部16は、メモリ13に記憶されたコントラスト-階調基本テーブルTaから、入力されたコントラストの目標値に対応する階調レベル(以下、「基礎階調レベル」という)を読み出す。そして、制御部16は、読み出した補正値で基礎階調レベルを補正する演算を行い、視標領域101の階調レベルを設定する。この場合には、メモリ13に記憶するデータ量を抑制しつつ、的確な階調レベルの設定を行うことができる。
【0045】
また、実施例1では、背景102の階調レベルを最も明るい状態(白色)となる255階調に固定した上で、視標を形成する視標領域101の階調レベルを変更することで、コントラストを制御する例を示した。しかしながら、これに限らない。背景102に対する視標のコントラストを所望のコントラストに設定すればよいため、例えば、視標領域101の階調レベルを固定し、背景102の階調レベルを変更することでコントラストを制御してもよい。また、視標領域101及び背景102の階調レベルをそれぞれ変更することでコントラストを制御してもよい。
【0046】
また、実施例1では、視標表示値10が温度センサ15を備える例を示したが、これに限らない。例えば、図5に示すように、制御部16が、視標表示装置10が配置された室内に設置されたエアコン20と通信可能な温度取得部16aを有していてもよい。このとき、制御部16は、温度取得部16aによって、エアコン20に設けられた温度センサ21(温度検出装置)が検出した室温(検出値)を通信によって取得する。そして、制御部16は、表示部12aの階調レベルを設定する際、温度取得部16aが取得した室温を表示部12aの周辺温度とする。
【符号の説明】
【0047】
10 視標提示装置
11 筐体
12 視標提示光学系
12a 表示部(視標表示部)
13 メモリ
14 操作部(目標入力部)
15 温度センサ(温度検出部)
16 制御部
図1
図2
図3
図4
図5