IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社三菱東京UFJ銀行の特許一覧

特許7429569ワークフロー管理システムおよび統合システム
<>
  • 特許-ワークフロー管理システムおよび統合システム 図1
  • 特許-ワークフロー管理システムおよび統合システム 図2
  • 特許-ワークフロー管理システムおよび統合システム 図3A
  • 特許-ワークフロー管理システムおよび統合システム 図3B
  • 特許-ワークフロー管理システムおよび統合システム 図3C
  • 特許-ワークフロー管理システムおよび統合システム 図4
  • 特許-ワークフロー管理システムおよび統合システム 図5
  • 特許-ワークフロー管理システムおよび統合システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ワークフロー管理システムおよび統合システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20240201BHJP
【FI】
G06Q40/02
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020041251
(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公開番号】P2021144343
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】598049322
【氏名又は名称】株式会社三菱UFJ銀行
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】堀木 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】有田 大樹
【審査官】平井 嗣人
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-514120(JP,A)
【文献】特表2016-520221(JP,A)
【文献】特開2001-243366(JP,A)
【文献】特開2004-054799(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀行を介する取引における複数のタスク処理を順次実行するワークフローシステムと、前記取引が規制される対象の全てが示された全量リストに基づき、前記取引に関連する文字列情報を含むスクリーニング情報に対してスクリーニング処理を実行し、前記スクリーニング処理の判定情報を生成するスクリーニングシステムと、が接続されるワークフロー管理システムであって、
前記ワークフローシステムおよび前記スクリーニングシステムと情報の送受信を行う通信部と、
前記通信部によって受信された前記判定情報に基づき、前記ワークフローシステムの前記タスク処理の実行を決定する管理部と、を含み、
前記管理部は、前記判定情報を判定し、前記スクリーニング情報が取引規制対象を含まない情報であるとき、前記通信部を介して口座情報を含むワークフローシステム記帳情報を前記ワークフローシステムに送信するように決定するワークフロー管理システム。
【請求項2】
前記管理部は、前記判定情報を判定し、前記スクリーニング情報が前記取引規制対象を含む情報であるとき、前記通信部を介して前記ワークフローシステム記帳情報を送信しないように決定する請求項1に記載のワークフロー管理システム。
【請求項3】
前記スクリーニングシステムは、さらに、前記全量リストのうちの更新された対象のみを含む差分リストに基づき、前記スクリーニング情報に対してスクリーニング処理を実行し、前記全量リストに基づく前記スクリーニング処理および前記差分リストに基づく前記スクリーニング処理の前記判定情報を生成し、
前記管理部は、前記判定情報を判定し、前記全量リストに基づく前記スクリーニング処理および前記差分リストに基づく前記スクリーニング処理のいずれにおいても前記スクリーニング情報が前記取引規制対象を含まない情報であるとき、前記通信部を介して口座情報を含むワークフローシステム記帳情報を前記ワークフローシステムに送信するように決定する請求項1に記載のワークフロー管理システム。
【請求項4】
前記全量リストは、経済制裁の対象者を含む制裁者リストである、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のワークフロー管理システム。
【請求項5】
記スクリーニング情報は、輸出国の情報を含む請求項乃至請求項のいずれか一項に記載のワークフロー管理システム。
【請求項6】
記スクリーニング情報は、信用状に記載された情報を含む請求項乃至請求項のいずれか一項に記載のワークフロー管理システム。
【請求項7】
前記複数のタスク処理の1つは、前記銀行に対する為替手形の決済である請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のワークフロー管理システム。
【請求項8】
銀行を介する取引における複数のタスク処理を順次実行するワークフロー処理部を含むワークフローシステムと、
前記取引に関連する文字列情報を含むスクリーニング情報に対してスクリーニング処理を実行するスクリーニング処理部を含むスクリーニングシステムと、
前記ワークフローシステムおよび前記スクリーニングシステムと接続されるワークフロー管理システムと、を含む統合システムであって、
前記ワークフロー管理システムは、
前記ワークフローシステムおよび前記スクリーニングシステムと情報の送受信を行う通信部と、
記ワークフローシステムの前記タスク処理の実行を決定する管理部と、を含み、
前記スクリーニング処理部は、前記取引が規制される対象の全てが示された全量リストに基づき、前記スクリーニング情報に対してスクリーニング処理を実行し、前記スクリーニング情報が前記全量リストの対象を含まない情報であるとき、前記スクリーニング情報が取引規制対象を含まないことを示す第1判定情報を生成し、前記ワークフロー管理システムに前記第1判定情報を送信し、
前記管理部は、前記通信部によって前記第1判定情報が受信されたとき、前記通信部を介して口座情報を含むワークフローシステム記帳情報を前記ワークフローシステムに送信するように決定し、
前記ワークフローシステムは、受信した前記ワークフローシステム記帳情報を用いて前記タスク処理を実行する統合システム。
【請求項9】
前記スクリーニング処理部は、前記スクリーニング情報が前記全量リストの対象を含む情報であるとき、前記スクリーニング情報が前記取引規制対象を含むことを示す第2判定情報を生成し、前記ワークフロー管理システムに前記第2判定情報を送信する請求項8に記載の統合システム。
【請求項10】
前記管理部は、前記通信部によって前記第2判定情報が受信されたとき、前記ワークフローシステム記帳情報を前記ワークフローシステムに送信しないように決定する請求項9に記載の統合システム。
【請求項11】
前記スクリーニング処理部は、さらに、前記全量リストのうちの更新された対象のみを含む差分リストに基づき、前記スクリーニング情報に対してスクリーニング処理を実行する、請求項8に記載の統合システム。
【請求項12】
前記差分リストに基づく前記スクリーニング処理と、前記全量リストに基づく前記スクリーニング処理とは、同時に実行されない請求項11に記載の統合システム。
【請求項13】
記全量リストは、経済制裁の対象者を含む制裁者リストである請求項8乃至請求項12のいずれか一項に記載の統合システム。
【請求項14】
記スクリーニング情報は、輸出国の情報を含む請求項乃至請求項13のいずれか一項に記載の統合システム。
【請求項15】
記スクリーニング情報は、信用状に記載された情報を含む請求項乃至請求項13のいずれか一項に記載の統合システム。
【請求項16】
前記複数のタスク処理の1つは、前記銀行に対する為替手形の決済である請求項乃至請求項15のいずれか一項に記載の統合システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の判定情報に基づいてワークフローシステムのタスク処理を管理することができるワークフロー管理システム、ならびにワークフローシステムおよびワークフロー管理システムを含む統合システムに関する。特に、貿易取引において利用することができるワークフロー管理システムおよび統合システムに関する。
【背景技術】
【0002】
商品の輸出入における貿易取引においては、商品の輸送だけでなく、商品の輸送に至るまでの間に、商品の代金の支払いまたは書類の作成など、煩雑な事務手続きが必要とされる。貿易取引を円滑化するため、一定のルールに則った貿易取引が行われおり、信用状(L/C:Letter of Credit)を用いる貿易取引もその一つである。L/Cを用いる貿易取引においては、コストの削減を目的として電子化が進められており、さまざまなシステムが提案されている。例えば、特許文献1では、L/Cに基づいて、貿易取引に関する書類の管理情報を自動的に作成できるL/Cデータ処理システムが提案されている。また、特許文献2では、クライアントコンピュータを介してサーバコンピュータにアクセスすることで、貿易取引に関する情報の登録、更新、および閲覧などが可能なシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-295515号公報
【文献】特開2002-56069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、自動化されたシステムにおいても、貿易取引に関する情報を精査する作業は、作業者を介して行われることが多かった。特に、銀行は、勘定系システムに入力された貿易取引に関する情報に対して、経済制裁が行われている対象者(国を含む)であるか否かを逐一チェックする必要がある。この場合、作業者が、勘定系システムとは異なるスクリーニングシステムに貿易取引に関する情報を再度入力し、スクリーニングシステムで得られた判定情報を基に、作業者が判断して、勘定系システムのワークフローを進めていた。そのため、貿易取引に関する情報を勘定系システムだけでなく、スクリーニングシステムへも入力しなければならず、必ずしも効率化されたシステムではなかった。また、勘定系システムは自動化されているものの、勘定系システムのワークフローの進捗(次のタスク処理へ進むかどうかの判断)は、結局のところ、作業者に委ねられていると言わざるを得なかった。そのため、勘定系システムとスクリーニングシステムとが連動されたシステムが求められていた。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑み、所定の判定情報に基づいてワークフローシステムのタスク処理を管理することができるワークフロー管理システムを提供することを目的の一つとする。また、ワークフローシステムおよびワークフロー管理システムを含む統合システムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システムは、ワークフローシステムおよびスクリーニングシステムと接続し、スクリーニングシステムによるスクリーニング情報のスクリーニング処理が実行され、スクリーニングシステムからの判定情報に基づいてワークフローシステムにおけるタスク処理の実行を決定する。
【0007】
スクリーニングシステムによるスクリーニング処理において、スクリーニング情報をスクリーニングシステムに送信してもよい。
【0008】
ワークフローシステムにおいてタスク処理が実行されるとき、格納された少なくとも口座情報を含むワークフローシステム記帳情報をワークフローシステムに送信してもよい。
【0009】
スクリーニング情報は、輸出国の情報を含んでいてもよい。また、スクリーニング情報は、信用状に記載された情報を含んでいてもよい。
【0010】
本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システムは、複数のタスク処理を順次実行するワークフローシステムと、文字列が特定の名称を含むか否かを判定するスクリーニング処理を実行するスクリーニングシステムと、が接続されるワークフロー管理システムであって、ワークフロー管理システムは、格納された文字列からなる第1スクリーニング情報をスクリーニングシステムに送信し、スクリーニング処理の判定情報をスクリーニングシステムから受信する通信部と、判定情報に基づき、ワークフローシステムのタスク処理の実行を決定する管理部と、を含む。
【0011】
ワークフローシステムにおいてタスク処理が実行されるとき、通信部が、格納された少なくとも口座情報を含む第1ワークフローシステム記帳情報をワークフローシステムに送信してもよい。
【0012】
通信部は、さらに、格納された文字列を含む第2スクリーニング情報をスクリーニングシステムに送信してもよい。また、ワークフローシステムにおいてタスク処理が実行されるとき、通信部が、格納された少なくとも口座情報を含む第2ワークフローシステム記帳情報をワークフローシステムに送信してもよい。
【0013】
本発明の一実施形態に係る統合システムは、複数のタスク処理を順次実行するワークフローシステムと、文字列が特定の名称を含むか否かを判定するスクリーニング処理を実行するスクリーニングシステムと、ワークフローシステムおよびスクリーニングシステムと接続されるワークフロー管理システムと、を含む統合システムであって、ワークフロー管理システムは、格納された文字列からなる第1スクリーニング情報をスクリーニングシステムに送信し、スクリーニング処理の判定情報を受信する第1通信部と、判定情報に基づき、ワークフローシステムのタスク処理の実行を決定する管理部と、を含み、ワークフローシステムは、タスク処理を実行するワークフロー処理部、を含み、スクリーニングシステムは、第1スクリーニング情報を受信し、判定情報をワークフロー管理システムに送信する第3通信部と、スクリーニング処理を実行し、判定情報を生成するスクリーニング処理部と、を含む。
【0014】
ワークフローシステムにおいてタスク処理が実行されるとき、第1通信部が、格納された少なくとも口座情報を含む第1ワークフローシステム記帳情報をワークフローシステムに送信してもよい。
【0015】
スクリーニング処理は、格納された特定の名称を含む第1全量リストに基づき、第1スクリーニング情報に対して実行されてもよい。
【0016】
スクリーニング処理は、格納された特定の名称を含む第1全量リストに基づき、第1スクリーニング情報に対して実行されてもよい。第1全量リストは、取引が規制される対象を示した制裁者リストであってもよい。
【0017】
第1通信部は、さらに、文字列からなる第2スクリーニング情報をスクリーニングシステムに送信してもよい。ワークフローシステムにおいてタスク処理が実行されるとき、第1通信部が、格納された少なくとも口座情報を含む第2ワークフローシステム記帳情報をワークフローシステムに送信してもよい。
【0018】
スクリーニング処理は、第1全量リストから更新され、格納された特定の名称を含む第2全量リストに基づき、第2スクリーニング情報に対して実行され、第1全量リストと第2全量リストとの差分であって、格納された特定の名称を含む差分リストに基づき、第1スクリーニング情報および第2スクリーニング情報に対して実行されてもよい。また、差分リストに基づくスクリーニング処理と、第2全量リストに基づくスクリーニング処理とは、同時に実行されなくてもよい。さらに、第1全量リストおよび第2全量リストの各々は、経済制裁の対象者を含む制裁者リストであってもよい。
【0019】
第1スクリーニング情報は、輸出国の情報を含んでいてもよい。また、第1スクリーニング情報は、信用状に記載された情報を含んでいてもよい。
【0020】
特定の名称は、国名であってもよい。
【0021】
複数のタスク処理の1つは、銀行に対する為替手形の決済であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】L/C取引を用いる貿易取引を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システム、ならびにワークフロー管理システムと接続されるワークフローシステムおよびスクリーニングシステムを示すブロック図である。
図3A】第1記憶部に含まれる情報を示すブロック図である。
図3B】第2記憶部に含まれる情報を示すブロック図である。
図3C】第3記憶部に含まれるリストを示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システムを利用し、ワークフローシステムのタスク処理を管理する方法を示すフローチャート図である。
図5】本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システムを利用した輸出地銀行の決済を示すフローチャート図である。
図6】本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システムを利用し、スクリーニングシステムでのスクリーニング処理を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。以下に示す実施形態は本発明の実施形態の一例であって、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるものではない。すなわち、以下に説明する複数の実施形態に公知の技術を適用して変形をして、様々な態様で実施をすることが可能である。
【0024】
本明細書において、各構成に付記される「第1」、「第2」、「第3」、または「第4」などの文字は、各構成を区別するために用いられる便宜的な標識であり、特段の説明がない限り、それ以上の意味を有さない。
【0025】
本明細書において、「ネットワーク」とは、複数のコンピュータを有線または無線によって接続し、相互に通信可能な状態にするシステムをいい、例えば、インターネットまたはイントラネットなどをいう。
【0026】
本明細書において、「ワークフローシステム」とは、コンピュータを使用し、予め定められた作業手順(ワークフロー)に従って電子化された書類を処理することができるシステムをいう。勘定系システムは、ワークフローシステムに含まれる。
【0027】
本明細書において、「タスク」とは、ワークフローに割り当てられた各々の作業内容をいう。
【0028】
本明細書において、「スクリーニングシステム」とは、コンピュータを使用し、一定範囲の情報に特定の情報が含まれているか否かを判定することができるシステムをいう。
【0029】
本明細書において、「信用状(L/C:Letter of Credit)」とは、輸出者と取引銀行に対し、輸入者の代金支払能力に問題がないことを保証するために輸入者の取引銀行が発行するものである。なお、L/Cに基づく取引を、L/C取引という。
【0030】
本明細書において、「制裁者リスト」とは、取引が規制される対象を示したリストをいう。制裁者リストには、例えば、米財務省特定国籍業者(SDN)リスト、部門別制裁者リスト、または海外制裁逃避者リストが含まれる。また、制裁者リストの対象は、国、法人、または個人である。
【0031】
図1を参照して、貿易取引の概要について説明する。なお、図1は、貿易取引の一例であって、貿易取引は図1に限定されるものではない。
【0032】
図1は、L/C取引を用いる貿易取引を示すブロック図である。図1に示すように、貿易取引は、取引の開始から完了までに複数のステップを含む。具体的には、図1に示す貿易取引は、売買契約ステップ(S101)、L/Cの発行依頼ステップ(S102)、L/Cの発行および送付ステップ(S103)、L/Cの通知ステップ(S104)、商品の積込みステップ(S105)、船積書類の送付ステップ(S106)、船積書類の提示および代金の受取ステップ(S107)、船積書類の送付ステップ(S108)、船積書類の引渡しステップ(S109)、船積書類の提示ステップ(S110)、および商品の引渡しステップ(S111)を含む。以下、各ステップについて説明する。
【0033】
売買契約ステップ(S101)は、輸入者と輸出者との間で、商品の売買契約を締結するステップである。すなわち、輸入者と輸出者との売買契約が締結されることで、図1に示す貿易取引が開始される。なお、L/C取引において、輸入者は申請者と、輸出者は受益者という場合がある。
【0034】
L/Cの発行依頼ステップ(S102)は、売買契約の中でL/C取引で合意した場合、輸入者が、L/C発行依頼書を作成し、輸入地銀行に対して輸出者へのL/C発行を依頼するステップである。なお、輸入地銀行は、輸入取引の仲介を行う。
【0035】
L/Cの発行および送付ステップ(S103)は、輸入地銀行が、依頼された内容のL/Cを発行し、輸出地銀行にL/Cを送付するステップである。なお、輸出地銀行は、輸出取引の仲介を行う。
【0036】
L/Cの通知ステップ(S104)は、輸出地銀行が、輸出者に、輸出地銀行から送付されたL/Cを通知するステップである。輸出者がL/Cを受け取ることにより、輸入者の代金支払いが輸入地銀行によって保証されることとなり、商品の輸出入が円滑化される。
【0037】
商品の積込みステップ(S105)は、輸出者が、L/Cの内容に記載された商品を船会社に引渡し、船会社が、船舶に商品を積み込むステップである。すなわち、商品は、船会社によって輸送される。なお、輸送手段は船舶に限られず、例えば、航空機であってもよい。
【0038】
船積書類の送付ステップ(S106)は、船会社が、L/Cに記載された契約条件を満たしていることを証明する船積書類を作成し、送付するステップである。船積書類は、例えば、船荷証券、保険証券、または商業送り状などを含む。
【0039】
船積書類の提示および代金の受取ステップ(S107)は、輸出者が、送付された船積書類を輸出地銀行に提示し、輸出地銀行から商品の代金を受け取るステップである。
【0040】
船積書類の送付ステップ(S108)は、輸出地銀行が、輸入地銀行に船積書類を送付し、輸出者に支払った商品の代金の相当額を輸入地銀行から受け取るステップである。
【0041】
船積書類の引渡しステップ(S109)は、輸入地銀行が、輸入者に船積書類を引き渡し、輸出地銀行に支払った商品の代金の相当額を輸入者から受け取るステップである。
【0042】
積荷書類の提示ステップ(S110)は、輸入者が、船会社に船積書類を提示するステップである。具体的には、輸入者は、船会社に船積書類のうち船荷証券を提示する。
【0043】
商品の引渡しステップ(S111)は、船会社が、提示された船積書類を基に、輸入者に商品を引き渡すステップである。輸入者が商品を受け取ることで、図1に示す貿易取引が完了する。
【0044】
商品の代金の支払いについては、為替手形を用いた取引(為替手形取引)で行うことができる。すなわち、船積書類に為替手形を付けた為替手形取引で商品の代金を支払うことができる。為替手形取引の場合、船積書類の提示および代金の受取ステップ(S107)において、輸出者は、輸出地銀行に為替手形を提出し、輸出地銀行から商品の代金を受け取る。また、船積書類の送付ステップ(S108)において、輸出地銀行が、輸入地銀行に為替手形を送付し、輸出地銀行と輸入地銀行との間で銀行間決済を行う。また、船積書類の引渡しステップ(S109)において、輸入地銀行が、輸入者に為替手形の代金決済を行う。
【0045】
以上説明したように、貿易取引には、複数のステップが含まれるとともに、各ステップにおける処理を円滑に行うためのワークフローが存在する。例えば、L/Cの発行依頼ステップ(S102)からL/Cの発行および送付ステップ(S103)までの間には、輸入地銀行においては、L/Cの発行依頼を受け付けるタスク、L/Cの発行依頼書を確認するタスク、L/Cを作成するタスク、L/Cの内容を確認するタスク、L/Cを発行を決済するタスク、またはL/Cを送付するタスクなどが含まれる。輸出地銀行においても、同様に、複数のタスクを含むワークフローが存在する。ワークフローに含まれるタスクは、1つであってもよく、複数であってもよい。また、ワークフローは、L/Cの発行依頼ステップ(S102)からL/Cの発行および送付ステップ(S103)までのように連続するステップ間におけるタスクに限られない。連続しないステップを組み合わせたワークフローとすることもできる。ワークフローに含まれるタスクは、自由に設定することができる。
【0046】
ワークフローに含まれる各タスクは、ワークフローシステムを利用して処理される。本実施形態に係るワークフロー管理システムは、ワークフローシステムのタスク処理を管理することができる。例えば、ワークフロー管理システムは、ワークフローシステムとは異なる別のシステムの判定情報を基づいてワークフローシステムのタスク処理を管理することができる。言い換えると、ワークフロー管理システムによって、ワークフローシステムを別のシステムと連動させ、ワークフローシステムのタスク処理を実行することができる。また、ワークフロー管理システムは、複数のワークフローシステムを連動させることもできる。
【0047】
以下では、貿易取引で利用されるワークフローシステムを管理することができるワークフロー管理システムについて説明するが、本実施形態に係るワークフロー管理システムは、貿易取引以外のワークフローシステムに対しても適用することができる。
【0048】
L/C取引を用いる貿易取引は、輸入者と輸出者との間で銀行が取引の仲介を行う。貿易取引には、上述したL/C取引を用いる貿易取引以外にも、L/C取引を用いない貿易取引または外国為替送金を用いる貿易取引がある。しかし、いずれの場合であっても、輸入者と輸出者との間で銀行が取引の仲介を行う。そこで、図2を参照して、銀行における貿易取引のワークフローシステムに対して適用することができるワークフロー管理システムについて説明する。
【0049】
図2は、本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システム100、ならびにワークフロー管理システム100と接続されるワークフローシステム200およびスクリーニングシステム300を示すブロック図である。図2に示すワークフロー管理システム100は、スクリーニングシステム300の判定情報を基にして、ワークフローシステム200のタスク処理を管理することができる。言い換えると、ワークフロー管理システム100は、ワークフローシステム200のタスクを次のタスクへ進めるために、スクリーニングシステム300の判定情報を利用するということもできる。なお、以下では、ワークフロー管理システム100、ワークフローシステム200、およびスクリーニングシステム300をまとめて統合システム10として説明する場合がある。
【0050】
図2に示すように、ワークフロー管理システム100は、ワークフローシステム200およびスクリーニングシステム300とネットワークを介して接続されている。また、ワークフロー管理システム100は、複数の作業者端末400-1、400-2、・・・、400-nとネットワークを介して接続されている。なお、複数の作業者端末400-1、400-2、・・・、400-nを特に区別しない場合は、以下では、作業者端末400として説明する。
【0051】
ワークフロー管理システム100、ワークフローシステム200、およびスクリーニングシステム300のそれぞれは、例えば、サーバである。サーバは、例えば、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータなどのコンピュータであり、演算手段として中央演算処理装置(CPU)および記憶手段としてランダムアクセスメモリ(RAM)を含む。なお、ワークフロー管理システム100、ワークフローシステム200、およびスクリーニングシステム300は、統合システム10とした1つのサーバであってもよく、ワークフロー管理システム100、ワークフローシステム200、およびスクリーニングシステム300のそれぞれが1つのサーバであってもよい。
【0052】
ワークフロー管理システム100は、第1通信部110、管理部120、処理部130、および第1記憶部140を含む。また、ワークフローシステム200は、第2通信部210、ワークフロー処理部220、および第2記憶部230を含む。また、スクリーニングシステム300は、第3通信部310、スクリーニング処理部320、および第3記憶部330を含む。
【0053】
管理部120、処理部130、ワークフロー処理部220、およびスクリーニング処理部320は、CPUおよびRAMを用いて、プログラムに基づく処理を実行することができる。なお、ワークフロー処理部220は、タスク処理のプログラムを実行することができ、スクリーニング処理部320は、スクリーニング処理のプログラムを実行することができる。
【0054】
第1通信部110、第2通信部210、および第3通信部310は、情報を送受信することができ、例えば、通信インターフェースである。
【0055】
第1記憶部140、第2記憶部230、および第3記憶部330は、情報を格納することができ、例えば、ソリッドステートドライブ(SSD)またはハードディスクドライブ(HDD)などのメモリまたはストレージである。
【0056】
なお、CPU、メモリ、ストレージ、および通信インターフェースのそれぞれは、通信バスによって電気的に接続されている。
【0057】
作業者端末400は、例えば、コンピュータである。具体的には、作業者端末400は、パーソナルコンピュータ(ラップトップを含む)、タブレット、またはスマートフォンなどである。
【0058】
作業者端末400は、通信部410、処理部420、表示部430、および操作部440を含む。
【0059】
処理部420は、CPUおよびRAMを用いて、プログラムに基づく処理を実行することができる。
【0060】
通信部410は、情報を送受信することができ、例えば、通信インターフェースである。
【0061】
表示部430は、情報を視覚的に表示することができ、例えば、ディスプレイである。
【0062】
操作部440は、情報を入力でき、例えば、キーボード、マウス、またはタッチパネルなどのユーザーインターフェースである。
【0063】
以下、ワークフロー管理システム100、ワークフローシステム200、スクリーニングシステム300、および作業者端末400のそれぞれの構成について説明する。
【0064】
始めに、図3A図3Cを参照して、第1記憶部140、第2記憶部230、および第3記憶部330に格納される(または登録される)情報またはリストについて説明する。
【0065】
図3A図3B、および図3Cのそれぞれは、第1記憶部140に含まれる情報、第2記憶部230に含まれる情報、および第3記憶部330に含まれるリストを示すブロック図である。
【0066】
図3Aに示すように、第1記憶部140は、管理情報141、ワークフローシステム記帳情報142、およびスクリーニング情報143を格納することができる。管理情報141は、ワークフローシステム200のタスク処理を管理するために必要となる情報である。ワークフローシステム記帳情報142は、ワークフローシステム200のタスク処理において必要となる情報である。スクリーニング情報は、スクリーニングシステム300のスクリーニング処理において必要となる情報である。スクリーニング情報は、文字列からなるものであってもよく、文字列および数字列からなるものであってもよい。
【0067】
具体的には、第1記憶部140には、管理情報141として、管理番号、親取引番号、取引番号、ワークフローステータス、またはスクリーニングステータスなどの情報が格納されている。また、ワークフローシステム記帳情報142として、取引番号/種別または口座情報などの情報が格納されている。また、スクリーニング情報143として、輸出国、輸出港、輸出者、船会社、または商品などの情報が格納されている。スクリーニング情報143は、L/Cに記載された情報であってもよい。
【0068】
図3Bに示すように、第2記憶部230は、ワークフローシステム記帳情報231を格納することができる。ワークフローシステム記帳情報231は、ワークフローシステム200のタスク処理において必要となる情報である。具体的には、第2記憶部230には、ワークフローシステム記帳情報231として、取引番号/種別または口座情報などが格納されている。ワークフローシステム記帳情報231は、ワークフローシステム記帳情報142と同じ内容の情報である。基本的には、作業者端末400を介してワークフロー管理システム100に入力されたワークフローシステム記帳情報142は、ワークフローシステム記帳情報231として、ワークフローシステム200の第2記憶部230に格納される。なお、第1記憶部140に格納されるワークフローシステム記帳情報142と、第2記憶部230に格納されるワークフローシステム記帳情報231とは、データ形式が同じであってもよく、異なっていてもよい。例えば、ワークフローシステム記帳情報142はJSON形式とし、ワークフローシステム記帳情報231はXML形式としてもよい。
【0069】
図3Cに示すように、第3記憶部330は、制裁者リスト331を格納することができる。制裁者リスト331は、制裁者リストの対象の全てを含む全量リスト332と、制裁者リストの更新された対象のみを含む差分リスト333とを含む。具体的には、第3記憶部330には、全量リスト332および差分リスト333として、名前または国などの特定の名称が格納されている。
【0070】
なお、第1記憶部140、第2記憶部230、および第3記憶部330に格納される情報は、一時的に格納される情報であってもよく、永続的に格納される情報であってもよい。
【0071】
次に、図4を参照して、第1通信部110、管理部120、処理部130、第2通信部210、ワークフロー処理部220、第3通信部310、スクリーニング処理部320、通信部410、処理部420、表示部430、および操作部440について説明する。
【0072】
図4は、本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システム100を利用し、ワークフローシステム200のタスク処理を管理する方法を示すフローチャート図である。具体的には、図4は、ワークフローシステム200における1つのタスク処理を示すフローチャート図である。図4では、便宜上、ステップS201~ステップS220に分けて説明するが、ステップ数またはステップの分類はこれに限られない。図4に示すステップ以外のステップが追加されてもよい。
【0073】
なお、図4には図示しないが、スクリーニングシステム300の第3記憶部330は、制裁者リスト331を格納している。制裁者リスト331は、自動で取得されてもよく、作業者によって入力されてもよい。制裁者リスト331は、基本的には、全量リスト332として格納されるが、取得(入力)前に制裁者リスト331が存在していた場合、取得(入力)前の制裁者リスト331と取得(入力)後の制裁者リスト331との差分を、差分リスト333として第3記憶部330に格納される。自動で制裁者リスト331を取得する場合、制裁者リスト331が設定した時間に更新されるようにしてもよい。
【0074】
ステップS202では、作業者端末400が、ワークフロー管理システム100と接続し、操作部440を用いて、ワークフローシステム記帳情報142およびスクリーニング情報143が入力される。また、管理情報141が入力されてもよく、ワークフローにおけるタスク処理の順序に応じて自動で管理情報141が更新されるようにしてもよい。なお、この時点では、管理情報141のワークフローシステム200の状態を表すワークフローステータスおよびスクリーニングシステム300の状態を表すスクリーニングステータスは、要確認を意味する「Hold」または処理中を意味する「Processing」を示していてもよい。
【0075】
ステップS203では、表示部430に、管理情報141、ワークフローシステム記帳情報142、およびスクリーニング情報143を表示する。作業者端末400は、ワークフロー管理システム100と接続されているため、表示部430の表示は、ワークフロー管理システム100の画面の仕様となる。ただし、ワークフロー管理システム100の画面の仕様は、ワークフローシステム200の画面の仕様をベースにすることができる。例えば、ワークフロー管理システム100の画面の仕様は、ワークフローシステム200の画面の仕様において必要な項目を抜き出したものであってもよい。
【0076】
ステップS204では、通信部410が、管理情報141、ワークフローシステム記帳情報142、およびスクリーニング情報143を、ワークフロー管理システム100に送信する。
【0077】
ステップS205では、第1通信部110が、管理情報141、ワークフローシステム記帳情報142、およびスクリーニング情報143を受信する。
【0078】
ステップS206では、第1記憶部140が、管理情報141、ワークフローシステム記帳情報142、およびスクリーニング情報143を格納する。
【0079】
ステップS207では、第1通信部110が、スクリーニング情報143を、スクリーニングシステム300に送信する。本実施形態に係るワークフロー管理システム100は、作業者端末400で入力したスクリーニング情報143をスクリーニングシステム300に自動的に送信することができるため、スクリーニングシステム300で、再度スクリーニング情報143を入力する必要はない。そのため、作業者の作業負担を減らし、作業効率が向上する。
【0080】
ステップS208では、第3通信部310が、スクリーニング情報143を受信する。
【0081】
ステップS209では、スクリーニング処理部320が、全量リスト332に基づき、スクリーニング情報143に対してスクリーニング処理を実行する。具体的には、スクリーニング処理部320が、スクリーニング情報143の中に、全量リスト332の名前または国などが含まれているかどうかを判定する。また、差分リスト333に基づき、スクリーニング情報143に対してスクリーニング処理を実行してもよい。
【0082】
ステップS210では、スクリーニング処理部320が、スクリーニング処理に基づき、判定情報を生成する。判定情報は、スクリーニング情報143の中に、全量リスト332の名前または国などが含まれているか否かである。
【0083】
ステップS211では、第3通信部310が、生成された判定情報をワークフロー管理システム100に送信する。
【0084】
ステップS212では、第1通信部110が、判定情報を受信する。
【0085】
ステップS213では、管理部120が、判定情報を基に判定を行う。すなわち、管理部120は、判定情報に基づき、ワークフローシステムのタスク処理の実行を決定する。管理部120は、スクリーニング情報143の中に、全量リスト332の名前または国などが含まれていない場合、判定を「Passed」とする。一方、管理部120は、スクリーニング情報143の中に、全量リスト332の名前または国などが含まれている場合、判定を「Failed」とする。
【0086】
ステップS214では、管理部120が、管理情報141を更新する。具体的には、管理情報141のスクリーニングステータスを「Passed」または「Failed」とする。
【0087】
ステップS215では、スクリーニングステータスが「Passed」および「Failed」のいずれの場合であっても、第1通信部110は、管理情報141を作業者端末400に送信する。また、スクリーニングステータスが「Passed」である場合、第1通信部110は、ワークフローシステム記帳情報142をワークフローシステム200に送信する。その際、処理部130によってワークフローシステム記帳情報142のデータ形式を変換してもよい。一方、スクリーニングステータスが「Failed」である場合、ワークフロー管理システム100の処理は終了する。
【0088】
ステップS216では、通信部410が、管理情報141を受信する。
【0089】
ステップS217では、表示部430が、管理情報141を表示する。なお、処理部420によって、管理情報141の一部の情報を抽出してもよい。例えば、処理部420によって、スクリーニングステータスのみを抽出し、スクリーニングステータスのみを更新して表示してもよい。
【0090】
ステップS218では、第2通信部210が、ワークフローシステム記帳情報142を受信する。
【0091】
ステップS219では、第2記憶部230が、ワークフローシステム記帳情報142を格納(記帳)する。
【0092】
ステップS220では、ワークフロー処理部220が、所定のタスク処理を実行する。タスク処理の実行後、ワークフローシステム200の処理は終了する。
【0093】
次に、図5を参照して、複数のタスク処理を含むワークフローの具体例を説明する。
【0094】
図5は、本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システムを利用した輸出地銀行の決済を示すフローチャート図である。図1に示す輸出地銀行に着目すると、輸出地銀行は、L/C発行および送付ステップ(S103)において、輸入地銀行からL/Cを受理する。また、輸出地銀行は、L/Cの通知ステップ(S104)において、輸出者に受理したL/Cを送付する。次に、輸出地銀行は、船積書類の提示および代金の受取ステップ(S107)において、輸出者から為替手形を買い取り、輸出者に商品の代金を支払う。また、輸出地銀行は、船積書類の送付ステップ(S108)において、輸入地銀行との間で為替手形の決済を行う。実際には、輸出地銀行で為替手形の修正を行うことがあるため、図5では、為替手形の修正を含めたワークフローを示している。すなわち、図5は、輸出地銀行における輸出取引のワークフローを示している。具体的には、図5に示す輸出地銀行における輸出取引のワークフローは、L/Cの接受におけるタスク処理のステップ(S310)、為替手形の実行におけるタスク処理のステップ(S320)、為替手形の修正におけるタスク処理のステップ(S330)、および為替手形の決済におけるタスク処理のステップ(S340)を含む。
【0095】
L/Cの接受におけるタスク処理のステップ(S310)では、輸出地銀行は、発行したL/Cを受理し、L/Cを精査し、輸出者に受理したL/Cを送付する。為替手形の実行におけるタスク処理のステップ(S320)では、輸出地銀行は、輸出者から提示された船積書類を精査し、為替手形を買い取り、輸出者に商品の代金を支払う。為替手形の修正におけるタスク処理のステップ(S330)では、銀行間決済をするために為替手形について部分的な訂正が行われる。為替手形の決済におけるタスク処理のステップ(S340)では、輸入地銀行との間で為替手形の決済が行われる。いずれのステップにおいても、ワークフローシステム200におけるタスクを次のタスクへと進めるためのトリガーとして、ワークフロー管理システム100の判定を利用することができる。すなわち、ワークフロー管理システム100を介して、ワークフローシステム200とスクリーニングシステム300とを連動させ、スクリーニングシステム300の判定情報に基づいてワークフローシステム200のタスク処理を管理することができる。
【0096】
ここで、図6を参照して、複数のタスク処理を含むワークフローにおけるスクリーニング処理について説明する。
【0097】
図6は、本発明の一実施形態に係るワークフロー管理システム100を利用し、スクリーニングシステム300でのスクリーニング処理を示すブロック図である。
【0098】
ステップS310において、ワークフロー管理システム100の第1記憶部140には、第1スクリーニング情報143-1が格納されている。また、スクリーニングシステム300の第3記憶部330には、制裁者リスト331として、第1全量リスト332-1および第1差分リスト333-1が格納されている。ステップS310におけるタクトを処理する際に、制裁者リスト331に「A国」が登録されている場合、第3記憶部330には、第1全量リスト332-1として「A国」が格納される。ステップS310より前のタスクは存在しないため、第3記憶部330には、第1差分リスト333-1として何も格納されていない。
【0099】
ワークフロー管理システム100の第1通信部110は、第1スクリーニング情報143-1をスクリーニングシステム300に送信する。スクリーニングシステム300のスクリーニング処理部320は、第1全量リスト332-1に基づき、第1スクリーニング情報143-1に対してスクリーニング処理を実行する。すなわち、スクリーニング処理部320は、第1スクリーニング情報143-1の中に、第1全量リスト332-1の「A国」が含まれているかどうかを判定する。また、スクリーニングシステム300のスクリーニング処理部320は、第1差分リスト333-1に基づき、第1スクリーニング情報143-1に対してスクリーニング処理を実行する。すなわち、スクリーニング処理部320は、第1スクリーニング情報143-1の中に、第1差分リスト333-1の名前または国などが含まれているかどうかを判定する。第1スクリーニング情報143-1の中に、第1全量リスト332-1の「A国」または第1差分リスト333-1の国または名前などが含まれていない場合、スクリーニングステータスは「Passed」となる。一方、第1スクリーニング情報143-1の中に、第1全量リスト332-1の「A国」または第1差分リスト333-1の国または名前などが含まれている場合、スクリーニングステータスは「Failed」となる。
【0100】
ステップS320において、ワークフロー管理システム100の第1記憶部140には、第2スクリーニング情報143-2が格納されている。また、スクリーニングシステム300の第3記憶部330には、制裁者リスト331として、第2全量リスト332-2および第2差分リスト333-2が格納されている。ステップS320におけるタクトを処理する際に、制裁者リスト331に「A国」および「B国」が登録されている場合、第3記憶部330には、第2全量リスト332-2として「A国」および「B国」が格納される。第2差分リスト333-2は、1つ前のタスク処理で用いられた第1全量リスト332-1と第2全量リスト332-2との差分である。具体的には、第3記憶部330には、第2差分リスト333-2として「B国」が格納される。
【0101】
ワークフロー管理システム100の第1通信部110は、第1スクリーニング情報143-1および第2スクリーニング情報143-2をスクリーニングシステム300に送信する。スクリーニングシステム300のスクリーニング処理部320は、第2全量リスト332-2に基づき、第2スクリーニング情報143-2に対してスクリーニング処理を実行する。すなわち、スクリーニング処理部320は、第2スクリーニング情報143-2の中に、第2全量リスト332-2の「A国」または「B国」が含まれているかどうかを判定する。また、スクリーニングシステム300のスクリーニング処理部320は、第2差分リスト333-2に基づき、第1スクリーニング情報143-1および第2スクリーニング情報143-2に対してスクリーニング処理を実行する。すなわち、スクリーニング処理部320は、第1スクリーニング情報143-1および第2スクリーニング情報143-2の中に、第2差分リスト333-2の「B国」が含まれているかどうかを判定する。第2スクリーニング情報143-2の中に、第2全量リスト332-2の「A国」および「B国」が含まれておらず、かつ、第1スクリーニング情報143-1および第2スクリーニング情報143-2の中に、第2差分リスト333-2の「B国」が含まれていない場合、スクリーニングステータスは「Passed」となる。一方、第2スクリーニング情報143-2の中に、第2全量リスト332-2の「A国」および「B国」が含まれているか、または、第1スクリーニング情報143-1および第2スクリーニング情報143-2の中に、第2差分リスト333-2の「B国」が含まれている場合、スクリーニングステータスは「Failed」となる。
【0102】
ステップS330において、ワークフロー管理システム100の第1記憶部140には、第3スクリーニング情報143-3が格納されている。また、スクリーニングシステム300の第3記憶部330には、制裁者リスト331として、第3全量リスト332-3および第3差分リスト333-3が格納されている。ステップS330におけるタクトを処理する際に、制裁者リスト331に「A国」、「B国」、および「C国」が登録されている場合、第3記憶部330には、第3全量リスト332-3として「A国」、「B国」、および「C国」が格納される。第3差分リスト333-3は、1つ前のタスク処理で用いられた第2全量リスト332-2と第3全量リスト332-3との差分である。具体的には、第3記憶部330には、第3差分リスト333-3として「C国」が格納される。
【0103】
ワークフロー管理システム100の第1通信部110は、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、および第3スクリーニング情報143-3をスクリーニングシステム300に送信する。スクリーニングシステム300のスクリーニング処理部320は、第3全量リスト332-3に基づき、第3スクリーニング情報143-3に対してスクリーニング処理を実行する。すなわち、スクリーニング処理部320は、第3スクリーニング情報143-3の中に、第3全量リスト332-3の「A国」、「B国」、または「C国」が含まれているかどうかを判定する。また、スクリーニングシステム300のスクリーニング処理部320は、第3差分リスト333-3に基づき、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、および第3スクリーニング情報143-3に対してスクリーニング処理を実行する。すなわち、スクリーニング処理部320は、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、および第3スクリーニング情報143-3の中に、第3差分リスト333-3の「C国」が含まれているかどうかを判定する。第3スクリーニング情報143-3の中に、第3全量リスト332-3の「A国」、「B国」、および「C国」が含まれておらず、かつ、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、および第3スクリーニング情報143-3の中に、第3差分リスト333-3の「C国」が含まれていない場合、スクリーニングステータスは「Passed」となる。一方、第3スクリーニング情報143-3の中に、第3全量リスト332-3の「A国」、「B国」、および「C国」が含まれているか、または、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、および第3スクリーニング情報143-3の中に、第3差分リスト333-3の「C国」が含まれている場合、スクリーニングステータスは「Failed」となる。
【0104】
ステップS340において、ワークフロー管理システム100の第1記憶部140には、第4スクリーニング情報143-4が格納されている。また、スクリーニングシステム300の第3記憶部330には、制裁者リスト331として、第4全量リスト332-4および第3差分リスト333-3が格納されている。ステップS340におけるタクトを処理する際に、制裁者リスト331に「A国」、「B国」、「C国」、および「D国」が登録されている場合、第3記憶部330には、第4全量リスト332-4として「A国」、「B国」、「C国」、および「D国」が格納される。第4差分リスト333-4は、1つ前のタスク処理で用いられた第3全量リスト332-3と第4全量リスト332-4との差分である。具体的には、第3記憶部330には、第4差分リスト333-4として「D国」が格納される。
【0105】
ワークフロー管理システム100の第1通信部110は、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、第3スクリーニング情報143-3、および第4スクリーニング情報143-4をスクリーニングシステム300に送信する。スクリーニングシステム300のスクリーニング処理部320は、第4全量リスト332-4に基づき、第4スクリーニング情報143-4に対してスクリーニング処理を実行する。すなわち、スクリーニング処理部320は、第4スクリーニング情報143-4の中に、第4全量リスト332-4の「A国」、「B国」、「C国」、または「D国」が含まれているかどうかを判定する。また、スクリーニングシステム300のスクリーニング処理部320は、第4差分リスト333-4に基づき、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、第3スクリーニング情報143-3、および第4スクリーニング情報143-4に対してスクリーニング処理を実行する。すなわち、スクリーニング処理部320は、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、第3スクリーニング情報143-3、および第4スクリーニング情報143-4の中に、第4差分リスト333-4の「D国」が含まれているかどうかを判定する。第4スクリーニング情報143-4の中に、第4全量リスト332-4の「A国」、「B国」、「C国」、および「D国」が含まれておらず、かつ、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、第3スクリーニング情報143-3、および第4スクリーニング情報143-4の中に、第4差分リスト333-4の「D国」が含まれていない場合、スクリーニングステータスは「Passed」となる。一方、第4スクリーニング情報143-4の中に、第4全量リスト332-4の「A国」、「B国」、「C国」、および「D国」が含まれているか、または、第1スクリーニング情報143-1、第2スクリーニング情報143-2、第3スクリーニング情報143-3、および第4スクリーニング情報143-4の中に、第4差分リスト333-4の「D国」が含まれている場合、スクリーニングステータスは「Failed」となる。
【0106】
以上の説明からわかるように、ワークフロー管理システム100を利用することにより、現在のスクリーニング情報143だけでなく、過去のスクリーニング情報143に対してもスクリーニング処理を行うことができる。また、過去のスクリーニング情報143に対しては、差分リスト333に基づいてスクリーニング処理を行うことができるため、スクリーニング処理にかかる時間を短縮することができる。
【0107】
また、全量リスト332に基づくスクリーニング処理と差分リスト333に基づくスクリーニング処理とは同時に実行されなくてもよい。例えば、全量リスト332に基づくスクリーニング処理を昼間に実行し、差分リスト333に基づくスクリーニング処理を夜間に実行することもできる。
【0108】
以上、本実施形態に係るワークフロー管理システム100または統合システム10によれば、スクリーニングシステム300の判定情報に基づいた客観的な判定を行い、ワークフローシステム200のタスク処理の可否を決定することができる。そのため、ワークフローのタスク処理の判定におけるばらつきが抑制される。また、過去のスクリーニング処理の履歴を残しておくことにより、過去にどのような制裁者リスト331でスクリーニング処理が行われたかを後で検索することが可能である。
【0109】
本発明の実施形態は、相互に矛盾しない限りにおいて、適宜構成を組み合わせて実施することができる。また、実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除、または設計変更を行ったもの、もしくは、工程の追加、省略、または条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0110】
上述した実施形態によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、または、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0111】
10:統合システム、 100:ワークフロー管理システム、 110:第1通信部、 120:管理部、 130:処理部、 140:第1記憶部、 141:管理情報、 142:ワークフローシステム記帳情報、 143:スクリーニング情報、 143-1:第1スクリーニング情報、 143-2:第2スクリーニング情報、 143-3:第3スクリーニング情報、 143-4:第4スクリーニング情報、 200:ワークフローシステム、 210:第2通信部、 220:ワークフロー処理部、 230:第2記憶部、 231:ワークフローシステム記帳情報、 300:スクリーニングシステム、 310:第3通信部、 320:スクリーニング処理部、 330:第3記憶部、 331:制裁者リスト、 332:全量リスト、 332-1:第1全量リスト、 332-2:第2全量リスト、 332-3:第3全量リスト、 332-4:第4全量リスト、 333:差分リスト、 333-1:第1差分リスト、 333-2:第2差分リスト、 333-3:第3差分リスト、 333-4:第4差分リスト、 400、400-1、400-2、400-n:作業者端末、 410:通信部、 420:処理部、 430:表示部、 440:操作部
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6