(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】アライナ装置およびワークの位置ずれ補正方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/68 20060101AFI20240201BHJP
H01L 21/677 20060101ALI20240201BHJP
G01B 11/24 20060101ALN20240201BHJP
G01B 7/28 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
H01L21/68 G
H01L21/68 A
G01B11/24 K
G01B7/28 A
(21)【出願番号】P 2020057878
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000262
【氏名又は名称】株式会社ダイヘン
(74)【代理人】
【識別番号】100135389
【氏名又は名称】臼井 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100086380
【氏名又は名称】吉田 稔
(72)【発明者】
【氏名】音川 泰伸
(72)【発明者】
【氏名】奥田 将人
(72)【発明者】
【氏名】阪口 雄也
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-299421(JP,A)
【文献】特開2000-294619(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0070095(US,A1)
【文献】特開2014-060324(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/68
H01L 21/677
G01B 11/24
G01B 7/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが板状ワークを載置保持でき、上下方向に並ぶ複数のハンド体を有するロボットハンドと、
上記ロボットハンドによって搬送され、上記各ハンド体に載せられた板状ワークを各別に持ち上げ、かつ持ち上げた状態から持ち下げることができるワークリフト機構と、
下向きのセンサ面を有し、上記ワークリフト機構により上記センサ面に近接または接触させられた上記板状ワークの外形形状を検出することができ、上下方向に所定間隔を隔てて配置された複数のセンサと、
上記各センサにより取得された上記各板状ワークの外形形状から、当該各板状ワークの基準位置からのX、Yおよびθ方向の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段と、
上記位置ずれ量算出手段により算出されたX-Y方向の位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのX方向位置ずれ量およびY方向位置ずれ量を補正するX-Y方向位置ずれ量補正手段、および上記位置ずれ量算出手段により算出されたθ方向位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのθ方向の位置ずれ量を補正するθ方向位置ずれ量補正手段と、
を備えることを特徴とする、アライナ装置。
【請求項2】
上記X-Y方向位置ずれ量補正手段および上記θ方向位置ずれ量補正手段を制御する制御手段をさらに含む、請求項1に記載のアライナ装置。
【請求項3】
それぞれが板状ワークを載置保持でき、上下方向に並ぶ複数のハンド体を有するロボットハンドと、
上記ロボットハンドによって搬送され、上記各ハンド体に載せられた板状ワークを各別に持ち上げ、かつ持ち上げた状態から持ち下げることができるワークリフト機構と、
下向きのセンサ面を有し、上記ワークリフト機構により上記センサ面に近接または接触させられた上記板状ワークの外形形状を検出することができ、上下方向に所定間隔を隔てて配置された複数のセンサと、
上記各センサにより取得された上記各板状ワークの外形形状から、当該各板状ワークの基準位置からのX、Yおよびθ方向の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段と、
上記位置ずれ量算出手段により算出されたX-Y方向の位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのX方向位置ずれ量およびY方向位置ずれ量を補正するX-Y方向位置ずれ量補正手段、および上記位置ずれ量算出手段により算出されたθ方向位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのθ方向の位置ずれ量を補正するθ方向位置ずれ量補正手段と、
上記X-Y方向位置ずれ量補正手段および上記θ方向位置ずれ量補正手段を制御する制御手段と、
を備え、
上記ワークリフト機構は、上記板状ワークを下方から支持するピンを有し、上記X-Y方向位置ずれ量補正手段は、上記ワークリフト機構の上記ピンを、上記X方向位置ずれ量および上記Y方向位置ずれ量に基づいてX-Y方向に移動させることにより補正を行い、上記θ方向位置ずれ量補正手段は、上記各板状ワークを支持する上記ワークリフト機構の上記ピンを、上記θ方向位置ずれ量に基づいてθ方向に回転させることにより補正を行うことを特徴とする、アライナ装置。
【請求項4】
それぞれが板状ワークを載置保持でき、上下方向に並ぶ複数のハンド体を有するロボットハンドと、上記ロボットハンドによって搬送され、上記各ハンド体に載せられた板状ワークを各別に持ち上げ、かつ持ち上げた状態から持ち下げることができるワークリフト機構と、下向きのセンサ面を有し、上記ワークリフト機構により上記センサ面に近接または接触させられた上記板状ワークの外形形状を検出することができ、上下方向に所定間隔を 隔てて配置された複数のセンサと、
上記各センサにより取得された上記各板状ワークの外形形状から、当該各板状ワークの基準位置からのX、Yおよびθ方向の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段と、
上記位置ずれ量算出手段により算出されたX-Y方向の位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのX方向位置ずれ量およびY方向位置ずれ量を補正するX-Y方向位置ずれ量補正手段、および上記位置ずれ量算出手段により算出されたθ方向位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのθ方向の位置ずれ量を補正するθ方向位置ずれ量補正手段と、
上記X-Y方向位置ずれ量補正手段および上記θ方向位置ずれ量補正手段を制御する制御手段と、
を備え、
上記ワークリフト機構は、上記板状ワークを下方から支持するピンを有し、上記X-Y方向位置ずれ量補正手段は、上記ワークリフト機構の上記ピンを、上記X方向位置ずれ量および上記Y方向位置ずれ量に基づいてX-Y方向に移動させることにより補正を行い、上記θ方向位置ずれ量補正手段は、上記各板状ワークを支持する上記ワークリフト機構の上記ピンを、上記θ方向位置ずれ量に基づいてθ方向に回転させることにより補正を行う、アライナ装置を用いた板状ワークの位置ずれ補正方法であって、
上記ハンド体上に載る板状ワークが上記各センサの上方における補正基準位置に位置するように、上記ロボットハンドを移動させる板状ワーク搬入ステップ、
上記ワークリフト機構の上記ピンを上昇させることにより上記板状ワークを上記各ハンド体から持ち上げて上記板状ワークを上記センサに近接または接触させる板状ワーク持ち上げステップ、
上記各センサにより、上記各板状ワークの外形形状をそれぞれ取得する外形形状取得ステップ、
上記取得された外形形状から、上記板状ワークの基準位置からのX、Yおよびθ方向の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出ステップ、
上記ワークリフト機構の上記ピンを下降させて上記板状ワークを上記各ハンド
体の上位に位置させるように上記板状ワーク
を持ち下げ、上記位置ずれ量算出手段により算出されたθ方向の位置ずれ量に基づき、上記ピンを回転させるθ方向位置補正ステップ、
上記X、Yおよびθ方向の位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークが上記各ハンド体上の基準位置に載るように、上記ワークリフト機構の上記ピンをX-Y方向に移動させるXY方向位置補正ステップ、
上記ワークリフト機構の上記ピンを下降させることにより上記X-Y方向位置補正
ステップ後の上記板状ワークを持ち下げて対応するハンド体に移載する補正後移載ステップ、
を含むことを特徴とする、板状ワークの位置ずれ補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アライナ装置およびワークの位置ずれ補正方法に関し、詳しくは、半導体ウエハなどの板状ワークの基準位置に対する位置ずれ量を検出し、検出された位置ずれ量にもとづいて板状ワークの位置を補正する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体プロセスにおいて、例えばロードロックチャンバに搬入されたウエハは、搬送ロボットにより処理チャンバに搬入される。処理チャンバ内で処理をする内容によっては、ウエハを処理チャンバ内の基準位置に正確に搬入する必要があるが、そのために従来は、ワークを処理チャンバに搬入する前の段階において、例えば特許文献1に示されるアライナ装置を介在させている。このアライナ装置は、ウエハの平面方向(X-Y方向)および回転方向(θ方向)の位置ずれ量を検出することができるように構成されており、この位置ずれ量情報を用いることにより、搬送ロボットがX-Y方向およびθ方向の位置ずれを補正しつつウエハを処理チャンバ内の基準位置に搬送することができる。
【0003】
一方、半導体プロセスにおける搬送のタクト時間を短縮するために、例えば特許文献2に示されるような多段式ハンドを装備する搬送ロボットが提案されるにいたっている。このような多段式ハンドを装備する搬送ロボットによれば、一度の搬送操作により複数枚のウエハを搬送できるため、ロードロックチャンバや処理チャンバ等を、所定間隔をあけて複数枚のウエハを積層保持できるように構成することにより、搬送タクト時間を一挙に短縮することができる。
【0004】
しかしながら、処理チャンバ内での処理の内容が、ウエハを基準位置に正確に配置して行う必要がある場合、特許文献1に示されるような従来のアライメント装置は1枚ずつのウエハの位置ずれ量を検出できるにすぎないため、多段式ハンドを装備した搬送ロボットを用いた搬送タクト時間の短縮は、事実上不可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2015-195328号公報
【文献】特開2013-135099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、複数枚のワークの位置ずれ量を検出することができるように構成したアライナ装置を提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0008】
本発明の第1の側面により提供されるアライナ装置は、それぞれが板状ワークを載置保持でき、上下方向に並ぶ複数のハンド体を有するロボットハンドと、上記ロボットハンドによって搬送され、上記各ハンド体に載せられた板状ワークを各別に持ち上げ、かつ持ち上げた状態から持ち下げることができるワークリフト機構と、下向きのセンサ面を有し、上記ワークリフト機構により上記センサ面に近接または接触させられた上記板状ワークの外形形状を検出することができ、上下方向に所定間隔を隔てて配置された複数のセンサと、上記各センサにより取得された上記各板状ワークの外形形状から、当該各板状ワークの基準位置からのX、Yおよびθ方向の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段と、上記位置ずれ量算出手段により算出されたX-Y方向の位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのX方向位置ずれ量およびY方向位置ずれ量を補正するX-Y方向位置ずれ量補正手段、および上記位置ずれ量算出手段により算出されたθ方向位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのθ方向の位置ずれ量を補正するθ方向位置ずれ量補正手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
好ましい実施の形態では、上記X-Y方向位置ずれ量補正手段および上記θ方向位置ずれ量補正手段を制御する制御手段をさらに含む。
【0010】
好ましい実施の形態では、上記ワークリフト機構は、上記板状ワークを下方から支持するピンを有し、上記X-Y方向位置ずれ量補正手段は、上記ワークリフト機構の上記ピンを、上記X方向位置ずれ量および上記Y方向位置ずれ量に基づいてX-Y方向に移動させることにより補正を行い、上記θ方向位置ずれ量補正手段は、上記各板状ワークを支持する上記ワークリフト機構の上記ピンを、上記θ方向位置ずれ量に基づいてθ方向に回転させることにより補正を行う。
【0011】
本発明の第2の側面により提供される板状ワークの位置ずれ補正方法は、それぞれが板状ワークを載置保持でき、上下方向に並ぶ複数のハンド体を有するロボットハンドと、上記ロボットハンドによって搬送され、上記各ハンド体に載せられた板状ワークを各別に持ち上げ、かつ持ち上げた状態から持ち下げることができるワークリフト機構と、下向きのセンサ面を有し、上記ワークリフト機構により上記センサ面に近接または接触させられた上記板状ワークの外形形状を検出することができ、上下方向に所定間隔を隔てて配置された複数のセンサと、上記各センサにより取得された上記各板状ワークの外形形状から、当該各板状ワークの基準位置からのX、Yおよびθ方向の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段と、上記位置ずれ量算出手段により算出されたX-Y方向の位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのX方向位置ずれ量およびY方向位置ずれ量を補正するX-Y方向位置ずれ量補正手段、および上記位置ずれ量算出手段により算出されたθ方向位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークについてのθ方向の位置ずれ量を補正するθ方向位置ずれ量補正手段と、上記X-Y方向位置ずれ量補正手段および上記θ方向位置ずれ量補正手段を制御する制御手段と、を備え、上記ワークリフト機構は、上記板状ワークを下方から支持するピンを有し、上記X-Y方向位置ずれ量補正手段は、上記ワークリフト機構の上記ピンを、上記X方向位置ずれ量および上記Y方向位置ずれ量に基づいてX-Y方向に移動させることにより補正を行い、上記θ方向位置ずれ量補正手段は、上記各板状ワークを支持する上記ワークリフト機構の上記ピンを、上記θ方向位置ずれ量に基づいてθ方向に回転させることにより補正を行う、アライナ装置を用いた板状ワークの位置ずれ補正方法であって、
上記ハンド体上に載る板状ワークが上記各センサの上方における補正基準位置に位置するように、上記ロボットハンドを移動させる板状ワーク搬入ステップ、
上記ワークリフト機構の上記ピンを上昇させることにより上記板状ワークを上記各ハンド体から持ち上げて上記板状ワークを上記センサに近接または接触させる板状ワーク持ち上げステップ、
上記各センサにより、上記各板状ワークの外形形状をそれぞれ取得する外形形状取得ステップ、
上記取得された外形形状から、上記板状ワークの基準位置からのX、Yおよびθ方向の位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出ステップ、
上記ワークリフト機構の上記ピンを下降させて上記板状ワークを上記各ハンドの上位に位置させるように板状ワーク持ち下げ、上記位置ずれ量算出手段により算出されたθ方向の位置ずれ量に基づき、上記ピンを回転させるθ方向位置補正ステップ、
上記X、Yおよびθ方向の位置ずれ量に基づき、上記各板状ワークが上記各ハンド体上の基準位置に載るように、上記ワークリフト機構の上記ピンをX-Y方向に移動させるXY方向位置補正ステップ、
上記ワークリフト機構の上記ピンを下降させることにより上記X-Y方向位置補正後の上記板状ワークを持ち下げて対応するハンド体に移載する補正後移載ステップ、
を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記構成のアライナ装置によれば、板状ワークの外形形状を平面的なセンサ面を有するセンサにより取得し、こうして取得された外形形状の像から板状ワークの基準位置からの位置ずれ量を算出することができる。したがって、板状ワークの位置ずれ量を検出するための物理的構成を薄状に構成することができる。
【0013】
そのため、上記構成のアライナ装置は、多段式のロボットハンドにより搬送される複数枚の板状ワークに対する位置ずれ量の検出および位置ずれ補正を一括して行うようにすることが可能となり、例えば半導体プロセスにおける位置ずれ補正を含めた半導体ウエハの搬送タクト時間を一挙に短縮することができる。
【0014】
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係るアライナ装置の全体斜視図である。
【
図2】
図1に示すアライナ装置の平面的模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るアライナ装置の構成を示すブロック図である。
【
図4】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための縦断面図である。
【
図5】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための縦断面図である。
【
図7】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための縦断面図である。
【
図9】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための平面的模式図である。
【
図10】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための平面的模式図である。
【
図11】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための縦断面図である。
【
図13】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための平面的模式図である。
【
図14】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための縦断面図である。
【
図16】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための縦断面図である。
【
図18】
図1に示すアライナ装置の作動状態説を説明するための縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1~
図4は、本発明の一実施形態に係るアライナ装置A1を示す。
【0018】
図1~
図3に示すように、当該アライナ装置A1は、ロボットハンド1と協働して作動し、上下方向に所定間隔を開けて配置された複数のセンサ31,32,33…と、ワークリフト機構5と、各センサ31,32,33…からのワーク外縁形状情報に基づきワークWa,Wb,Wc…の基準位置に対する位置ずれ量を算出する位置ずれ量算出手段6と、X-Y方向位置ずれ補正手段81と、θ方向位置ずれ量補正手段82と、制御手段7と、を備える。
【0019】
ロボットハンド1は、例えば多関節ロボットのエンドアーム(図示略)に設置された支持体12に上下方向に等間隔で並ぶ複数のハンド体131,132,133…を設けた構造を有する。ハンド体131,132,133…は、ワークとしての半導体ウエハWa,Wb,Wc…を上面に載せて保持できるようになっている。ハンド体131,132,133…はまた、上下に隣り合うハンド体間の間隔を変更できるものであってもよいし、変更できないものであってもよい。ロボットハンド1は、マニピュレータ(図示略)の制御により、少なくとも、各ハンド体131,132,133…を水平姿勢にしつつ、平面方向(X-Y方向)に移動できる機能を有する。なお、ハンド体131,132,133…の平面形状は、
図1、
図2に表れているように、二股フォーク状となっている。ハンド体131,132,133…はまた、好ましくは、上面に載せられた半導体ウエハWa,Wb,Wc…を真空圧により吸着できるように構成される。なお、ハンド体131,132,133…の形状は、限定されず、三又フォーク状その他の形状であってもよい。
【0020】
センサ31,32,33…は、接触または近接非接触により、その下位に位置する平面的な対象物の外形を像として捉えることができる機能を有するものが採用される。各センサ31,32,33…は、支柱414などの枠体4に支持されたセンサテーブル41a,41b,41c…の下面に、センサ面311,321,331…を下向きにして取り付けられている。このようなセンサ31,32,33…の例としては、例えば、タッチパネルに採用されているように、静電式に対象物の存在を認識する技術を利用したもの、あるいは、CCD等の撮像素子を複数個平面的に配列したもの、等がある。
【0021】
本発明では、後記するように、センサ31,32,33…は、半導体ウエハWa,Wb,Wc…の外形形状を認識することができればよいため、当該半導体ウエハWa,Wb,Wc…のX-Y方向の位置ずれの可能性の範囲内で当該半導体ウエハの外形を認識するに十分な平面的形状を有しておればよい。すなわち、各センサ31,32,33…は、
図2に表れているように円形であってもよいし、矩形あるいはドーナツ形状であってもよい。
【0022】
ワークリフト機構5は、ピン51,52,53…を昇降させて、このピン51,52,53…により下方から支持された半導体ウエハWa,Wb,Wc…を昇降させる機能、ピン51,52,53…をX-Y方向に移動させる機能、および、ピン51,52,53…を垂直軸を中心として回転させる機能を有している。そのため、ピン51,52,53…を先端に有するアーム511,521,531…を支持ベース512,522,532…の内部において昇降機構(図示略)に連携され、この昇降機構はX方向およびY方向のアクチュエータ(図示略)に連携されている。さらに、支持ベース512,522,532…内においてアーム511,521,531…の基端に設置されたモータ(図示略)の回転をアーム511,521,531…内に組み込まれたベルト・プーリ伝動機構(図示略)を介するなどしてピン51,52,53…を回転できるように構成されている。ピン51,52,53…は、通常時、平面視においてセンサテーブル41a,41b,41c…の中心に位置しているとともに、アーム511,521,531…はセンサテーブルの下方を通ってセンサテーブル41a,41b,41c…の外部に延び、支持ベース512,522,532…に至っている。ピン51,52,53…はまた、半導体ウエハWa,Wb,Wc…を安定的に載置保持できる大きさの円形上面を有している。ピン51,52,53…はさらに、好ましくはこれらに載置保持される半導体ウエハWa,Wb,Wc…を真空圧により吸着できるように構成される。なお、本実施形態では、ピン51,52,53…をX-Y方向に移動させる機能が本発明におけるX-Y方向位置ずれ量補正手段81に、ピン51,52,53…を垂直軸を中心として回転させる機能が本発明におけるθ方向位置ずれ量補正手段82に、それぞれ相当する。
【0023】
ところで、半導体ウエハWa,Wb,Wc…は、
図1、
図2に示すように、通常、円形の板状をしており、その外周には、周方向の回転姿勢を検出するためのノッチWa1またはオリエンテーションフラットと呼ばれる切欠き部(図示せず)が形成されている。半導体プロセスにおいて、このような半導体ウエハWa,Wb,Wc…は、処理チャンバに搬入されて所定の処理がなされるが、処理の内容によっては、当該半導体ウエハWa,Wb,Wc…を、X-Y方向およびθ方向の基準位置に正確に位置づける必要がある。本発明は、このような場合において、多段式のロボットハンド1が複数枚の半導体ウエハWa,Wb,Wc…を一括して処理チャンバに搬入する以前の段階において、位置ずれの補正を行うことができるようにするものである。
【0024】
位置ずれ量算出手段6は、各センサ31,32,33…によってそれぞれ画像として取得された半導体ウエハWa,Wb,Wc…の外形形状から、当該半導体ウエハWa,Wb,Wc…の基準位置からのX-Y方向およびθ方向の位置ずれ量を算出する。具体的には、
図10に示すように、半導体ウエハWa,Wb,Wc…の画像の中心、例えば、半導体ウエハの画像Wa’,Wb’,Wc’…における外周円の中心O1の、半導体ウエハWa,Wb,Wc…の中心が位置するべき基準位置C1からのX方向およびY方向のずれ量δxa,δxb,δxc…、δya,δyb,δyc…を算出するとともに、画像Wa’,Wb’,Wc’…におけるノッチWa1の、半導体ウエハWa,Wb,Wc…のノッチWa1が位置するべき基準位置N1からのθ方向のずれ量δθa,δθb,δθc…を算出する。
【0025】
上記構成のアライナ装置A1は、例えば次のように作動させることができる。
【0026】
図4に示すように、ピン51,52,53…はセンサテーブル41a,41b,41c…に対して所定の最下動位置にあり、それらの回転中心は、平面的に一致させられている。各ハンド体131,132,133…に半導体ウエハWa,Wb,Wc…が載置保持されたロボットハンド1がX方向に沿って移動して、
図5、
図6に示すように各ハンド体131,132,133…が補正基準位置まで進入し、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…を各センサ31,32,33…の下方に位置づける。このときの各半導体ウエハWa,Wb,Wc…は、多段式カセット(図示略)やロードロックチャンバ(図示略)から一括して搬送されてきたものであり、各ハンド体131,132,133…に対し、X-Y方向およびθ方向に、区々に位置ずれした状態にある。なお、
図5、
図6に示す状態において、各ハンド体131,132,133…上に半導体ウエハWa,Wb,Wc…が位置するべき基準位置C1は、ピン51,52,53…の回転中心と一致させられている。
【0027】
次に、
図7、
図8に示すように、ピン51,52,53…を上昇させて各半導体ウエハWa,Wb,Wc…を各ハンド体131,132,133…から持ち上げ、各センサ31,32,33…の下面に近接させる。すなわち、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…の表面の汚染を避けるため、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…を各センサ31,32,33…に接触させない。なお、各ハンド体131,132,133…からピン51,52,53…に半導体ウエハWa,Wb,Wc…が移載される際には、各ハンド131,132,133…の半導体ウエハWa,Wb,Wc…に対する吸着がオフとされ、ピン51,52,53…の半導体ウエハWa,Wb,Wc…に対する吸着がオンとされる。この状態において、各センサ31,32,33…は、上記したように各半導体ウエハWa,Wb,Wc…の外形形状を画像データとして取得する。この画像データを受け取った位置ずれ量算出手段6は、上記したように、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…につき、基準位置C1,N1からのX方向の位置ずれ量δxa,δxb,δxc…、Y方向の位置ずれ量δya,δyb,δyc…およびθ方向の位置ずれ量δθa,δθb,δθc…を算出する(
図9、
図10)。
【0028】
次に、
図11、
図12に示すように、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…を保持したままのピン51,52,53…を所定距離下降させる。この状態において、半導体ウエハWa,Wb,Wc…は各ハンド体131,132,133…からその上位に離間させられている。次いで
図13に示すように各半導体ウエハWa,Wb,Wc…のθ方向の位置ずれ量δθa,δθb,δθc…に対応させてピン51,52,53…を回転させ、各ノッチWa1が各半導体ウエハWa,Wb,Wc…の中心O1を通るX方向上に位置するようにする。これにより、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…のθ方向の位置ずれ量δθa,δθb,δθc…が補正される。
【0029】
続いて、次のようにして各半導体ウエハWa,Wb,Wc…のX-Y方向の位置ずれ量が補正されるが、θ方向の位置ずれ量δθa,δθb,δθc…の補正後のX-Y方向の位置ずれ量は、
図10に示した初期位置ずれ量δxa,δxb,δxc…、δya,δyb,δyc…ではなく、
図13、
図14、
図15に示すように、半導体ウエハWa,Wb,Wc…の中心O1が各ピン51,52,53…の回転に伴ってピン51,52,53…回転中心(ハンド体131,132,133…に対する基準位置)C1を中心としてδθa,δθb,δθc…だけ回転したことにより演算される二次位置ずれ量δxa’,δxb’,δxc’…、δya’,δyb’,δyc’…となる。
【0030】
次に、
図16、
図17に示すように、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…を載置保持したままのピン51,52,53…を、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…の二次位置ずれ量δxa’,δxb’,δxc’…、δya’,δyb’,δyc’…に対応させて、XおよびY方向にδxa’,δxb’,δxc’…、δya’,δyb’,δyc’…だけ移動させた後、
図18、
図19に示すように、ピン51,52,53…を下降させ、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…を対応するハンド体131,132,133…に受け渡す。このような半導体ウエハWa,Wb,Wc…の受け渡しの際、ピン51,52,53…の半導体ウエハWa,Wb,Wc…に対する吸着がオフとされ、各ハンド体131,132,133…の半導体ウエハWa,Wb,Wc…に対する吸着がオンとされる。このような操作は、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…に対して一斉に行うことができる。この状態において、各ハンド体131,132,133…に受け渡された半導体ウエハWa,Wb,Wc…は、各ハンド体131,132,133…に対してX、Y、θ方向すべての方向についての基準位置に位置させられることになる。
図18、
図19に示す状態において、各ハンド体131,132,133…に載る半導体ウエハWa,Wb,Wc…は、各ハンド体131,132,133…に対してその基準位置C1に位置することになる。
【0031】
以後、ロボットハンド1は、各ハンド体131,132,133…のX-Y方向の基準位置に半導体ウエハWa,Wb,Wc…を載置保持した状態で、枠体4から退避し、複数の半導体ウエハWa,Wb,Wc…を所定の次工程へと搬送することができる。
【0032】
以上述べたように、上記構成のアライナ装置A1によれば、板状ワークとしての半導体ウエハWa,Wb,Wc…の外形形状を平面的なセンサ面311,321,331…を有するセンサ31,32,33…により取得し、こうして取得された外形形状の像から半導体ウエハWa,Wb,Wc…の基準位置からのX方向の位置ずれ量δxa,δxb,δxc…、Y方向の位置ずれ量δya,δyb,δyc…およびθ方向の位置ずれ量δθa,δθb,δθc…を算出することができる。したがって、半導体ウエハWa,Wb,Wc…の位置ずれ量を検出するための物理的構成を薄状に構成することができる。
【0033】
そのため、多段式のロボットハンド1により搬送される複数枚の半導体ウエハWa,Wb,Wc…に対する位置ずれ量の検出および位置ずれ補正を一括して行うようにすることが可能となり、半導体プロセスにおける位置ずれ補正を含めた半導体ウエハWa,Wb,Wc…の搬送タクト時間を一挙に短縮することができる。
【0034】
もちろん、本発明の範囲は上述した実施形態に限定されることはなく、各請求項に記載した事項の範囲内でのあらゆる変更は、すべて本発明の範囲に含まれる。
【0035】
さらに、上述した実施形態では、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…の表面の汚染を避けるため、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…を各センサ31,32,33…に接触させないようにしたが、接触してもよい場合は、各半導体ウエハWa,Wb,Wc…を各センサ31,32,33…に接触させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
A1,A2,A3:アライナ装置、Wa,Wb,Wc…:半導体ウエハ(ワーク)、Wa’,Wb’,Wc’:半導体ウエハの画像、O1:画像中心、C1:中心基準位置、N1:ノッチ基準位置、δxa,δxb,δxc…:X方向位置ずれ量、δya,δyb,δyc…:Y方向位置ずれ量、δθa,δθb,δθc…:θ方向位置ずれ量、1:ロボットハンド、12:支持体、131,132,133…:ハンド体、31,32,33…:センサ、311,321,331…:センサ面、4:枠体、41a,41b,41c…:センサテーブル、5:ワークリフト機構:51,52,53…:ピン、511,521,531…:アーム、512,522,532…:支持ベース、6:位置ずれ量算出手段、7:制御装置、81:X-Y方向位置ずれ量補正手段、82:θ方向位置ずれ量補正手段