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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】トラック用荷箱及びダンプトラック
(51)【国際特許分類】
   B60P 1/28 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B60P1/28 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020058056
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021154913
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000163095
【氏名又は名称】極東開発工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】荒井 佑介
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩司
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 直人
【審査官】山本 賢明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06637808(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 1/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トラック用荷箱であって、
前記トラック用荷箱は、本体部と、延長部とを有し、
前記本体部は、本体側底部と本体側側壁部とを有し、
前記本体側底部と前記本体側側壁部との間にアール部又は傾斜部を有し、
前記延長部は、少なくとも延長側底部を有し、前記延長側底部は、前記本体側底部と連続するもの又は切り離されたものであって、前記本体側底部と略同一平面を形成し、
前記本体部の前記アール部又は前記傾斜部の端部と、前記延長側底部との間に、漏れ止め部材が設けられ
前記漏れ止め部材は、前記アール部又は前記傾斜部と略合致するアール形状部又は傾斜形状部を有することを特徴とするトラック用荷箱。
【請求項2】
前記漏れ止め部材は、板状であり、他の部材に固定される固定部を有することを特徴とする請求項に記載のトラック用荷箱。
【請求項3】
前記延長側底部は、前記本体部と連続するものであり、前記延長側底部は、前記本体部と同一の板体を加工して作られたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のトラック用荷箱。
【請求項4】
前記延長部は延長側側壁部を有し、当該延長側側壁部は、前記延長側底部の側面側に配されていることを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のトラック用荷箱。
【請求項5】
前記トラック用荷箱は、ダンプトラックに装着されるものであって、水平姿勢と傾斜姿勢とに姿勢変更するものであり、前記本体部の後端側を開閉するテールゲートを有し、
前記テールゲートは、下部を中心として回動し、封鎖姿勢と解放姿勢とに姿勢変更するものであって、
前記テールゲートは、前記荷箱の姿勢変更に連動して動作し、前記解放姿勢の際には、前記テールゲートの表面が前記本体側底部と略同一平面を形成し、前記テールゲートが、前記延長部として機能することを特徴とする請求項1~のいずれかに記載のトラック用荷箱。
【請求項6】
自走する車体車両部と、請求項1~のいずれかに記載のトラック用荷箱と、前記トラック用荷箱を前記水平姿勢と前記傾斜姿勢に姿勢変更する姿勢変更手段とを有することを特徴とするダンプトラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トラック用荷箱に関するものでる。また本発明は、トラック用荷箱が搭載されたダンプトラックに関するものである。
【背景技術】
【0002】
土砂等を運搬する車両として、ダンプトラックが知られている。
ダンプトラックは、車両に、トラック用荷箱が搭載されたものである。ダンプトラックの多くは、ダンプトラック用荷箱の後端部にテールゲートを有している。
土砂等の積載物を排出する際には、ダンプトラック用荷箱の前端部を上昇させ、ダンプトラック用荷箱を傾斜させる。この排出動作に連動して、テールゲートが下部を中心として回動し、テールゲートを封鎖姿勢から解放姿勢に姿勢を変更するものが知られている。
ダンプトラックは、走行中の場合は、テールゲートが封鎖姿勢を維持してダンプトラック用荷箱に積荷を保持でき、ダンプトラック用荷箱を傾斜させた場合はテールゲートが解放姿勢になって砂などの積荷をスムーズに排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-203325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
旧来のトラック用荷箱は、トラック用荷箱の下隅の形状が矩形形状である。即ち、トラック用荷箱の下隅は、角状となっている。そのためトラック用荷箱を傾斜させても、下隅に土砂等が付着して残り、完全には土砂等の積荷を掃き落とすことができない場合があった。
【0005】
この問題を解決する手段が、特許文献1に開示されている。
特許文献1には、土砂等の積荷の付着を防ぐために、トラック用荷箱100の下隅にアールを設けた構成が開示されている。
図10は、特許文献1におけるトラック用荷箱100の後方部を示す断面図である。トラック用荷箱100は、本体側底部62と本体側側壁部63とを有している。
【0006】
図10に示すように、特許文献1に開示されたトラック用荷箱100は、下隅、つまり本体側側壁部63の下端部の形状がアール形状である。この構成を採用することにより、トラック用荷箱100の下隅に付着する土砂等の積荷の付着を防止することができる。
一方、本願発明者らは、トラック用荷箱の後端部に延長側底部を有するものを開発した。この構成により、積荷を円滑に排出することができる。
続いて、本願発明者らは、特許文献1の構成である下隅のアールと本願発明者らが開発した延長側底部とを組み合わせた。
【0007】
その結果、予期しない不具合が生じた。
即ち、トラック用荷箱2の下隅にアールを設け、さらにトラック用荷箱の後端部に延長側底部を設けると、走行中に土砂等が零れ落ちる場合があった。
本発明は、この新たな課題を解決することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために開発された本発明の一つの態様は、トラック用荷箱であって、前記トラック用荷箱は、本体部と、延長部とを有し、前記本体部は、本体側底部と本体側側壁部とを有し、前記本体側底部と前記本体側側壁部との間にアール部又は傾斜部を有し、前記延長部は、少なくとも延長側底部を有し、前記延長側底部は、前記本体側底部と連続するもの又は切り離されたものであって、前記本体側底部と略同一平面を形成し、前記本体部の前記アール部又は前記傾斜部の端部と、前記延長側底部との間に、漏れ止め部材が設けられていることを特徴とするトラック用荷箱である。
【0009】
本態様のトラック用荷箱は、本体部のアール部又は傾斜部の端部と、延長側底部との間に、漏れ止め部材が設けられている。
漏れ止め部材は、本体部のアール部又は傾斜部の隙間を塞ぐものである。このことによって、隙間から砂などの積荷が漏れるのを防止できる。
【0010】
好ましい態様は、前記漏れ止め部材は、前記アール部又は前記傾斜部と略合致するアール形状部又は傾斜形状部を有することを特徴とする上記トラック用荷箱である。
【0011】
本態様によれば、本体部のアール部又は前記傾斜部と、漏れ止め部材のアール形状部又は傾斜形状部が密着するので、両者の隙間を少なくでき、荷積みの漏れを防止できる。
【0012】
さらに好ましい態様は、前記漏れ止め部材は、板状であり、他の部材に固定される固定部を有することを特徴とする上記トラック用荷箱である。
【0013】
本態様によれば、前記漏れ止め部材を確実に固定し、ずれを防止することができる。
【0014】
さらに好ましい態様は、前記延長側底部は、前記本体部と連続するものであり、前記延長側底部は、前記本体部と同一の板体を加工して作られたものであることを特徴とする上記トラック用荷箱である。
【0015】
本態様によれば、同一の板体を用いることで、前記本体部と前記延長側低部とを簡単に早く作製できる。
【0016】
さらに好ましい態様は、前記延長部は延長側側壁部を有し、当該延長側側壁部は、前記延長側底部の側面側に配されていることを特徴とする上記トラック用荷箱である。
【0017】
本態様によれば、延長側底部の側面側に延長側側壁部を有することで、積荷を円滑に排出することができる。
【0018】
さらに好ましい態様は、前記トラック用荷箱は、ダンプトラックに装着されるものであって、水平姿勢と傾斜姿勢とに姿勢変更するものであり、前記本体部の後端側を開閉するテールゲートを有し、前記テールゲートは、下部を中心として回動し、封鎖姿勢と解放姿勢とに姿勢変更するものであって、前記テールゲートは、前記荷箱の姿勢変更に連動して動作し、前記解放姿勢の際には、前記テールゲートの表面が前記本体側底部と略同一平面を形成し、前記テールゲートが、前記延長部として機能することを特徴とする上記トラック用荷箱である。
【0019】
本態様のトラック用荷箱では、トラック用荷箱の姿勢である水平姿勢と傾斜姿勢に連動して、前記テールゲートが動作する。そのため、確実に、封鎖姿勢と解放姿勢をとることが可能となる。
【0020】
好ましい態様は、自走する車体車両部と、上記のいずれかに記載のトラック用荷箱と、前記トラック用荷箱を前記水平姿勢と前記傾斜姿勢に姿勢変更する姿勢変更手段とを有することを特徴とするダンプトラックである。
【0021】
上記した態様によれば、前記本体部の前記アール部又は前記傾斜部の端部と、前記延長側底部との間に、漏れ止め部材が設けられている。漏れ止め部材は、本体部のアール部又は傾斜部の隙間を塞ぐ。このことによって、隙間から砂などの積荷を漏れるのを防止できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、漏れ止め部材により、本体部のアール部又は傾斜部の隙間を塞ぎ、隙間から砂などの積荷が漏れるのを防止できる。また、積荷を円滑に排出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態のダンプトラックを模式的に示した全体の斜視図である。
図2】本発明の実施形態のダンプトラックの後方から見たトラック用荷箱の斜視図である。
図3】本発明の実施形態のダンプトラックの後方から見たトラック用荷箱の分解斜視図である。
図4】本発明の実施形態の本体部端部の一例を示す断面図であり、(a)は下隅にアール部を有する態様を表し、(b)は下隅に傾斜部を有する態様を示す。
図5】本発明の実施形態の漏れ止め部材の一例を示す正面図である。
図6】本発明の実施形態の本体部及び延長部の作製方法の一例を示す斜視図である。
図7】本発明の実施形態のトラック用荷箱の動作図である。
図8】本発明の実施形態のテールゲートの動作図であり、(a)はトラック用荷箱が水平姿勢を示し、(b)は傾斜姿勢を示す。
図9】本発明の実施形態のトラック用荷箱の変形例の斜視図である。
図10】本発明の従来技術のトラック用荷箱の後方部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本実施形態の特徴的構成の説明に先立って、トラック用荷箱の概要について説明する。
図1は、本実施形態のダンプトラック1の全体を模式的に示した全体の斜視図である。図1に示すように、ダンプトラック1は、車体3にトラック用荷箱2を積載したものである。トラック用荷箱2は、本体側前部11、本体側底部12、本体側側壁部13、テールゲート6で囲まれ、上方が解放された箱であり、砂などを積むことができる。
【0025】
図2は、ダンプトラック1の後方から見たトラック用荷箱2の斜視図を表す。トラック用荷箱2は、奥側から手前側に、本体部10、延長部20、テールゲート6の順に配置されている。延長部20は、本体部10から積み荷を排出する経路の末端部を構成するものである。
延長部20は、延長側底部22と延長側側壁部23とを有している。延長側底部22の表面は、平面である。
【0026】
図3は、トラック用荷箱後方の分解斜視図である。本体部10は、荷物、土砂などの積荷を載置または保持する部材である。本体部10は、本体側前部11(図1参照)、本体側底部12、本体側側壁部13を有している。本体側底部12は、本体部10の底面を構成する部分である。本体側側壁部13は、本体部10の左右の側面を構成する部分である。本体部10は、底と側面とが覆われ、後端側と上面が解放された箱である。
【0027】
本体側底部12は、本体部10の底面の平面部分である。本体側底部12の好ましい一例として、トラック用荷箱2に積荷を載置可能な強度の板厚の板体で構成されている。
本体側側壁部13は、本体側底部12と交差する方向に立ち上がり、立設した姿勢で設けられている。
【0028】
図3の拡大図に示すように、本体側側壁部13は、側壁主部14と側壁下端部15とを有する。側壁主部14は、本体側底部12に対して、ほぼ垂直である。側壁下端部15は、本体側底部12の平面部分と接触する部分から側壁主部14の平面部分になるまでの部分である。
図4(a)に示すように、側壁下端部15は曲面であり、アール部になっている。また、図4(b)に示すように、側壁下端部15の一例は、傾斜部になっていてもよい。
【0029】
本実施形態では、本体側底部12と本体側側壁部13は、一枚の鋼板を曲げ加工して作られたものであり、継ぎ目なく連続している。
なお、本体側底部12と本体側側壁部13は、溶接等によって接合されたものであってもよい。あるいは、両者の接合部の一部または全部が切り離されていてもよい。
本体側底部12は、相当の強度を有する板厚の鋼板で作られていることが望ましい。
【0030】
なお、本実施形態のトラック用荷箱2は、特許文献1の構成である下隅のアールと本願発明者らが開発した延長側底部とを組み合わせものであると言える。
図2に示すように、延長部20は、延長側底部22と、延長側底部22の側面に設けられた延長側側壁部23を有している。
延長側底部22は、本体側底部12の延長部であり、延長側底部22の表面は、本体側底部12と略同一の平面を構成する。
本実施形態では、延長側底部22と延長側側壁部23は別体のものであり、延長側側壁部23は直方体の箱状に形成され、車幅方向に延設された支持部材(図示せず)によって、延長側底部22の両側部に立設されている。
【0031】
延長側側壁部23は、トラック用荷箱2の長手方向の後方に配置されていて、テールゲート6の少なくとも前方部分の側壁部としても機能する。延長側側壁部23は、延長側底部22における積荷の幅方向の移動を規制すると共に、テールゲート6の前方部分における積荷の幅方向の移動を規制できる。尚、テールゲート6の前方部分の側壁部を延長側側壁部23と別々に設けてもよい。
本実施形態のトラック用荷箱2は、延長側底部22と延長側側壁部23を有するので、本体部10からテールゲート6に積荷を導くことができる。
【0032】
テールゲート6について、説明する。
本実施形態のトラック用荷箱2では、ダンプトラック1が走行中の場合、本体部10に積荷を載置し、保持するために、テールゲート6は閉じている。即ちテールゲート6は、下部を中心として回動するものであり、閉鎖姿勢は、自由端側が上昇した状態であり、トラック用荷箱2の後端側が塞がれている。
一方、ダンプトラック1が停止中で積荷を排出する場合、テールゲート6は下降し、トラック用荷箱2の後端側が解放される。テールゲート6が解放姿勢であるとき、テールゲート6と延長側底部22は、略同一の平面を構成する。
テールゲート6は、相当の剛性を有する鋼板で作られている。
【0033】
前記した様に、延長側底部22を設けたことで、側壁下端部15のアール部に接する部材がなくなり、側壁下端部15のアール部と、延長側底部22の間に隙間50が生じる。
そこで、本実施形態のトラック用荷箱2では、図2図3に示すように、本体部10の外側に、漏れ止め部材9が装着されている。漏れ止め部材9は、図5に示すように、本体側側壁部13のアール部に略合致する蓋部92を有し、当該蓋部92を延長側底部22と側壁下端部15のアール部の間の隙間50に外側からあてがって、隙間50が封鎖されている。
【0034】
漏れ止め部材9は、隙間50から積荷が流出することを防ぐために、隙間50を埋めるものである。隙間50の形状は、略三角形状である。
【0035】
図5は、漏れ止め部材9の拡大図である。図5に示すように、漏れ止め部材9は、隙間50を塞ぐ蓋部92と、漏れ止め部材9を固定する固定部93とを有する。蓋部92は、板状部分の端面(厚み部分)に形成されている。即ち、漏れ止め部材9は、長方形の板状部材の一つの角を円弧状に切り欠いた形状である。
【0036】
蓋部92は、板の角の部分に相当する部位に、アール形状部91を有している。なお蓋部92は、アール形状に近似した傾斜形状部であってもよい。
アール形状部91は、側壁下端部15の端面に接するように取り付けられる。アール形状部91と、側壁下端部15との接合部は、密着状態であることが望ましいが、一部が離れていてもよいし、全部が離れていてもよい。また、蓋部92は、隙間50の形状より大きいサイズのものでもよい。
【0037】
固定部93は、例えば、トラック用荷箱2または車体3などの他の部材に固定される部分である。本実施例では、固定部93は延長側側壁部23および支持部材の前面に溶着されている。
漏れ止め部材9の好ましい一例としては、前記した様に長方形の板状のものがあげられる。しかしながら本発明はこの構成に限定されるものではなく、他の形状の板や、ブロック状のものであってもよい。
本実施形態では、本体部10のアール部の端部と、延長側底部22との間に、側面にアール形状が形成された漏れ止め部材9を設けたことで、隙間50から積荷の流出を防ぐことが可能となる。
【0038】
図6は、本体部10及び延長部20の作製方法の一例を説明するものである。具体的には、同一の板体から、本体部10と延長側底部22とを作製する方法を示す図である。図6に示すように、延長側底部22は、本体側底部12と連続するものであり、同一の板体によって、本体部10の一部で作られている。
【0039】
図6に示すように、同一の板体に、切込部分30を設ける。切込部分30を境として、本体部10と延長側底部22とに分かれる。切込部分30の位置は、例えば、板体の前方の端部から約48mmの位置である。切込部分30の長さLは、例えば、約30mmである。図6の矢印は、後方方向を示す。板体の切込部分30より前方部分を、例えば、半径34mmの曲率Rで折り曲げる。折り曲げられた板体は、本体側側壁部13となる。延長側底部22は、平面のままである。
【0040】
板体を折り曲げて作製した本体側側壁部13と延長側底部22との間に隙間50が生じる。本実施形態のトラック用荷箱2では、前記した様に、この隙間50を塞ぐために、漏れ止め部材9が配置されている。
以上のように、同一の板体から本体部10と延長部20とを作製する場合、本体部10と延長部20との間は、隙間のない連続した接合部である。尚、接合部を連続したものとしたが、接合部の一部または全部は、切り離されていてもよい。
【0041】
次に、本実施形態のトラック用荷箱2及びテールゲート6の動作について、図7を参照しながら説明する。図7は、ダンプトラック1の正面図である。図7に示すように、トラック用荷箱2は、車体3の上に載っている。トラック用荷箱2は、荷箱用ヒンジ5を中心として、上下方向に回動する。テールゲート6は、ダンプトラック1の後方に配置され、ゲートヒンジ4を中心として、回動する。
【0042】
トラック用荷箱2は、車体3上に後方傾動可能に搭載されたものであり、車体3に回動可能に取り付けられた荷箱用ヒンジ5により支持されている。トラック用荷箱2は、図示を省略した油圧シリンダを含む傾動装置によって、水平姿勢から所定角度傾動され、傾斜姿勢をとることが可能である。一方、傾斜姿勢から水平姿勢への姿勢変更が可能である。以後、傾動装置のことを姿勢変更手段とも言う。
【0043】
図7において、実線で示した図は、ダンプトラック1が走行している場合などで、トラック用荷箱2が水平姿勢の状態を示す図である。この状態は、トラック用荷箱2をダンプトラック1に格納した状態である。この状態において、テールゲート6は、本体側底部12に対して斜め方向に傾斜起立しており、封鎖姿勢をとる。このことにより、トラック用荷箱2から土砂等の積荷が落ちるのを防止できる。
【0044】
一方、図7において、二点鎖線で示した図は、ダンプトラック1が停止している場合などで、トラック用荷箱2が、荷箱用ヒンジ5を中心として上昇し、傾斜姿勢の状態を示す図である。トラック用荷箱2が傾斜姿勢の場合、荷箱2の傾動に伴いテールゲート6は倒伏し、延長側底部22の表面とテールゲート6とは略同一平面となり、テールゲート6は解放姿勢を取り、トラック用荷箱2から土砂等の積荷を排出する。
【0045】
図8を参照して、トラック用荷箱2とテールゲート6との連動動作について、説明する。
図8(a)は、トラック用荷箱2が水平姿勢を示す図である。図8(a)に示すように、テールゲート6は、ブラケット部40の一端と連結している。ブラケット部40の他端は、連結部材41の一端と連結している。ブラケット部40は、ゲートヒンジ4を中心として回動する。ブラケット部40の回動に伴って、テールゲート6も回動する。
【0046】
連結部材41の他端は、アーム42の一端と連結している。アーム42の他端は、トラック用荷箱2の連結部44と連結している。アーム42は、車体3に配置されたローラ43を中心として回動する。
【0047】
図8(b)は、トラック用荷箱2が傾斜姿勢を示すものである。トラック用荷箱2は、図示を省略した油圧シリンダを含む傾動装置によって、水平姿勢から所定角度傾動され、傾斜姿勢となる。傾斜姿勢となる際、アーム42が、ローラ43を中心として、時計回りに回転する。アーム42が回転することで、アーム42の一端が、連結部材41を引っ張る。引っ張られた連結部材41が、ブラケット部40の他端を引っ張る。ブラケット部40の一端が、ゲートヒンジ4を中心として、テールゲート6を下降させる。この時、テールゲート6の表面と延長側底部22とは、略同一平面となる。
【0048】
次に、変形例について説明する。上記した実施形態と異なる点は、テールゲート6の一部が延長側底部22を兼ねる点である。図9に示すように、本体部10に近い側のテールゲート6の部分が、延長側底部22となっている。従って、本体部10には、延長部20が形成されていない。
【0049】
漏れ止め部材9は、本体部10とテールゲート6との間に配置される。ゲートヒンジ4は、延長側底部22となっているテールゲート6の下面に配置される。延長側側壁部23は、延長側底部22となっているテールゲート6を含む側壁部である。
【0050】
以上説明した実施形態では、トラック用荷箱2の下隅の断面形状が図4(a)に示すように、アール状であり、漏れ止め部材9の蓋部92は、トラック用荷箱2の下隅の形状に合致させるべく、アール状に成型されている。蓋部92を多角形(三角形)することによりトラック用荷箱2の下隅と微細な隙間を有していてもよく、その場合、溶接により微細な隙間を埋めればよい。
前記した様に、トラック用荷箱2の下隅の断面形状は、アール状に限定されるものではなく、例えば図4(b)に示すような傾斜状であってもよい。
トラック用荷箱2の下隅の断面形状が傾斜状である場合には、漏れ止め部材9の蓋部92は、これに合わせて傾斜状であることが望ましい。
トラック用荷箱2の下隅の断面形状は、他の多角形であってもよい。漏れ止め部材9の蓋部92は、これに合わせた多角形であることが望ましい。
なお多角形は、複数の傾斜が直列に繋がったものと言え、傾斜部の一形態である。
前記実施例では、トラック用荷箱2を車体3に枢支した例を示したが、トラック用荷箱2が独立し、車体3に設けた積込装置や荷役装置(フォークリフトまたはクレーン等)により車体3に積み降ろしするいわゆるコンテナに適用してもよい。
【0051】
1 ダンプトラック
2 トラック用荷箱
3 車体
4 ゲートヒンジ
5 荷箱用ヒンジ
6 テールゲート
9 漏れ止め部材
10 本体部
11 本体側前部
12 本体側底部
13 本体側側壁部
20 延長部
22 延長側底部
23 延長側側壁部
30 切込部分
50 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10