IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三和シヤッター工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-ブラケット構造 図1
  • 特許-ブラケット構造 図2
  • 特許-ブラケット構造 図3
  • 特許-ブラケット構造 図4
  • 特許-ブラケット構造 図5
  • 特許-ブラケット構造 図6
  • 特許-ブラケット構造 図7
  • 特許-ブラケット構造 図8
  • 特許-ブラケット構造 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ブラケット構造
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20240201BHJP
   E06B 9/174 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E06B9/17 W
E06B9/174
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020089979
(22)【出願日】2020-05-22
(65)【公開番号】P2021183792
(43)【公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-04-27
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】赤塚 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】張 俊偉
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-44383(JP,A)
【文献】特開2018-44384(JP,A)
【文献】特開2019-82062(JP,A)
【文献】特開2005-280919(JP,A)
【文献】特開2010-156115(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 9/00-9/92
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
躯体に固定されるブラケットと、
前記ブラケットの面部との間に空間を形成するように当該ブラケットに固定される軸受板と、
からなり、
前記軸受板にはシャフトが回転自在に支持されると共に、前記シャフトの端部には、前記空間に位置してスプロケットが設けてあり、
前記ブラケットの面部には、当該面部から前記スプロケットが露出するように、前記スプロケットの外径よりも大きい径の開口が形成されている、
ブラケット構造。
【請求項2】
前記ブラケットの面部の外面には、前記開口を跨ぐように補強材が着脱可能に取り付けられている、
請求項1に記載のブラケット構造。
【請求項3】
前記ブラケットの面部に形成された前記開口は、前記ブラケットの面部の前端から中央部位にかけて切り欠き形成されており、
前記開口は、前記ブラケットの中央部位に位置し、前記スプロケットの外径よりも大きい径の大径部と、前記大径部よりも前側に位置する前側部と、を含み、
前記ブラケットの面部の外面には、前記開口の上側部位と下側部位を架け渡すように1つあるいは複数の補強材が取り付けられている、
請求項1、2いずれか1項に記載のブラケット構造。
【請求項4】
前記補強材は、
前記開口の前記前側部を跨ぐように前記ブラケットの面部の外面に取り付けられた第1補強材と、
前記開口の前記大径部を跨ぐように前記ブラケットの面部の外面に着脱可能に取り付けられた第2補強材と、
を含む、
請求項3に記載のブラケット構造。
【請求項5】
前記ブラケットと前記軸受板は、防振ゴムを介して連結されている、
請求項1~4いずれか1項に記載のブラケット構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シャッター装置において、シャッターカーテンを巻き取る巻取体の端部を支持するブラケット構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
巻取体が回転することでシャッターカーテンを開閉するシャッターにおいて、巻取体の長さ方向両端部を支持する左右のブラケット構造に防振機構を設け、シャッター開閉時の振動を低減する、いわゆる低振動シャッターが知られている。防振機構を備えたブラケット構造は、躯体に固定される第1部材と、シャフトを支持する第2部材と、を備え、第1部材と第2部材は、これらの部材の間に位置させた防振ゴムを介して連結されてブラケット構造を構成している(特許文献1参照)。なお、特許文献1に開示された巻取体はチューブラモータを備えたモータ内蔵型である。
【0003】
図9は、従来の防振機構を備えたブラケット構造の他の態様を示している。ブラケット構造は、躯体に固定されるブラケット5´と、巻取体の端部を支持する軸受板6´と、からなり、ブラケット5´と軸受板6´との間には防振ゴム7´が介装されている。ブラケット5´の面部50´と軸受板6´の面部60´との間には空間が形成されており、当該空間には図示しないスプロケットが位置するようになっている。巻取体とは別個に開閉機が用意され、ブラケット構造内部に位置するスプロケットと開閉機のスプロケットがチェーンによって伝動連結されている(類似の構造が特許文献2に記載されている)。ブラケット5´の面部50´には切り欠きが形成されているが、この切り欠きの大きさは、巻取体の取付時に、巻取体のシャフト端部ないしスプロケットの基部を受け入れ可能な程度の寸法であり、ブラケット5´の強度を確保できる程度の最小限の大きさとなっている。
【0004】
図9に示すようなブラケット構造では、ブラケット構造の外面には、ブラケット5´の面部50´が位置することになり、巻取体のシャフト廻りの点検やメンテナンス作業の妨げとなる。ブラケット5´の面部50´は切り欠きを備えるが、上述の通り、ブラケット5´の強度を落とさないように、切り欠きは最小限の大きさである。したがって、例えば、スプロケットを交換するためには、シャフト自体をブラケット構造から取り外して行う必要があった。特に、高頻度で使用されるシャッターでは、点検やメンテナンスが重要であるところ、シャフトを取り外すことなく、より簡便に点検やメンテナンスを行うことが望ましい。
【文献】特開2005-280919
【文献】特開2010-156115
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、開閉機との間の伝動系やシャフトの点検やメンテナンスを容易に行うことを可能とするブラケット構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するべく本発明が採用した技術手段は、
躯体に固定されるブラケットと、
前記ブラケットの面部との間に空間を形成するように当該ブラケットに固定される軸受板と、
からなり、
前記軸受板にはシャフトが回転自在に支持されると共に、前記シャフトの端部には、前記空間に位置してスプロケットが設けてあり、
前記ブラケットの面部には、当該面部から前記スプロケットが露出するように、前記スプロケットの外径よりも大きい径の開口が形成されている、
ブラケット構造、である。
後述する実施形態では、前記開口は、前記ブラケットの面部の前端まで延びているが、前記開口は大径の円形開口であってもよい。
【0007】
1つの態様では、前記ブラケットの面部の外面には、前記開口を跨ぐように補強材が着脱可能に取り付けられている。
補強材を着脱可能に取り付ける固定手段は、典型的には螺子(ボルトを含む)である。
着脱可能の補強材を設けることで、比較的大きい開口を形成することによるブラケットの強度低下を補完する一方、メンテナンスや点検時には、補強材を取り外すことで、前記開口からスプロケット全体を露出させることができる。
【0008】
1つの態様では、前記ブラケットの面部に形成された前記開口は、前記ブラケットの面部の前端から中央部位にかけて切り欠き形成されており、
前記開口は、前記ブラケットの中央部位に位置し、前記スプロケットの外径よりも大きい径の大径部と、前記大径部よりも前側に位置する前側部と、を含み、
前記ブラケットの面部の外面には、前記開口の上側部位と下側部位を架け渡すように1つあるいは複数の補強材が取り付けられている。
1つの態様では、前記軸受板には、前記シャフトが挿通する挿通部に連通する溝部が前端から前記挿通部に向かって形成されており、前記シャフトを前端から前記挿通部に挿入可能となっており、
この時、必要に応じて、前記シャフトの端部を前記ブラケットの面部の前端から前記開口に挿入可能となっている。
【0009】
1つの態様では、前記補強材は、
前記開口の前記前側部を跨ぐように前記ブラケットの面部の外面に取り付けられた第1補強材と、
前記開口の前記大径部を跨ぐように前記ブラケットの面部の外面に着脱可能に取り付けられた第2補強材と、
を含む。
このものでは、メンテナンスや点検時には、第2補強材を取り外すことで、前記開口からスプロケット全体を露出させることができる一方、第1補強材はそのままなので、メンテナンスや点検時におけるブラケットの強度低下を可及的に小さくしている。
なお、前記補強材の数は、2つに限定されるものではなく、3本以上であってもよい。
【0010】
1つの態様では、前記ブラケットと前記軸受板は、防振ゴムを介して連結されている。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、躯体に固定されるブラケットと、前記ブラケットの面部との間に空間を形成するように当該ブラケットに固定される軸受板と、からなり、前記軸受板にはシャフトが回転自在に支持されると共に、前記シャフトの端部には、前記空間に位置してスプロケットが設けてあり、前記ブラケットの面部には、当該面部から前記スプロケットが露出するように、前記スプロケットの外径よりも大きい径の開口が形成されているので、シャフトをブラケット構造から取り外すことなく、ブラケットの面部の側方から、前記開口を介して、スプロケットの脱着、その他の点検及びメンテナンス作業が可能となっている。
スプロケットの外径よりも大きい径の開口は、前記ブラケットの面部の面積に占める割合が相対的に大きいため、ブラケットの強度の低下を招くおそれがあるが、前記ブラケットの面部に、前記開口を跨ぐように1つあるいは複数の補強材を設けることで、開口を形成することに起因するブラケットの強度低下を補完することができる。
また、補強材を着脱可能に設けることによって、補強材がスプロケットの脱着作業やその他の点検及びメンテナンス作業の妨げとなるような場合には、当該補強材を取り外すことで、スプロケットの脱着作業やその他の点検及びメンテナンス作業が可能となる。
この時、複数の補強材を設けると共に、その中の少なくとも1つの補強材がスプロケットの脱着作業の妨げることがない位置に設けることによって、補強材を取り外すことによるブラケットの強度低下を可及的に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】全開状態にあるシャッター装置の上方部位の正面図である。
図2】シャッター装置(シャッターカーテン省略)の縦断面図(開口部中央部位から駆動側に向かって見た図)である。
図3】駆動側ブラケット構造の平面図、内側から見た側面図、正面図である。
図4】駆動側ブラケット構造を構成するブラケットの部品図である。
図5】駆動側ブラケット構造を構成する軸受板の部品図である。
図6】駆動側ブラケット構造を外側から見た側面図であり、シャフト、スプロケットが図示されている。
図7】駆動側ブラケット構造の正面図であって、シャフト、スプロケット、ベアリングが図示されている。
図8図6の状態から、第2補強材を取り外した状態を示す図である。
図9】従来の防振機構を備えたブラケット構造を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、全開状態にあるシャッター装置の上方部位の正面図であり、図2は、シャッター装置(シャッターカーテン省略)の縦断面図(開口部中央部位から駆動側に向かって見た図)である。シャッター装置は、開口部を開閉するシャッターカーテン1と、開口部上方に設けられ、シャッターカーテン1の上端が取り付けられた巻取体2と、開口部の幅方向両端に立設され、シャッターカーテン1の幅方向両端部を受け入れて上下方向に案内するガイドレール3と、を備えている。開閉機Mによって巻取体2を第1の方向に回転させることで、シャッターカーテン1が巻取体2に巻き取られて開口部を開放し、開閉機Mによって巻取体2を第2の方向に回転させることで、シャッターカーテン1が巻取体2から繰り出されて開口部を閉鎖する。シャッターカーテン1は巻取体2に巻き取られた状態で天井内(もしくは、シャッターケース内)に収納される。
【0014】
巻取体2は、開口幅方向に延びるシャフト20を備えており、シャフト20の長さ方向両端は、左右のブラケット組立体ないしブラケット構造4A、4Bに支持されている。具体的には、シャフト20の一方の端部は駆動側ブラケット構造4Aに支持されており、他方の端部は従動側ブラケット構造4Bに支持されている。シャフト20の一方の端部には従動側のスプロケット21が設けてある。スプロケット21は、周囲に歯が形成された円板部210と、筒状の基部211と、から一体形成されており、基部211には、基部211と一体で回転するようにシャフト20が受け入れられている。駆動側ブラケット構造4Aには、ベアリング23が設けてあり、ベアリング23の挿通孔24には、シャフト20が回転自在に挿通されている。
【0015】
従動側のスプロケット21に対向して開閉機Mの駆動側のスプロケット22が配置されており、従動側のスプロケット21と駆動側のスプロケット22は、チェーン等の伝動要素(図示せず)によって伝動連結されている。開閉機Mの駆動によって駆動側のスプロケット22が回転すると、伝動要素を介して、シャフト20の一方の端部のスプロケット21が回転して、スプロケット21とシャフト20が一体で回転することで巻取体2が回転する。
【0016】
図3に示すように、本実施形態に係る駆動側ブラケット構造4Aは、ブラケット5と、ブラケット5に固定される軸受板6と、ブラケット5と軸受板6の間に設けた防振ゴム7A、7Bと、から組立てられており、駆動側ブラケット構造4Aは、ブラケット5を介して躯体Wに取り付けられる。
【0017】
図4に示すように、ブラケット5は、前端から中央部位にかけて開口Cが形成された概ね方形状の面部50と、面部50の後端から面部50に対して垂直に延びる後辺51と、面部50の上端から面部に対して垂直に延びる上辺52と、面部50の下端から面部に対して垂直に延びる下辺53と、からなる。ブラケット5は、後辺51を躯体Wに当接させて固定することで躯体Wに対して持ち出し状に取り付けられる。躯体Wにブラケット5が固定された状態において、面部50及び後辺51は垂直状に延びており、上辺52及び下辺53は水平状に延びている。本実施形態に係るブラケット5では、後辺51の幅寸法は、上辺52及び下辺53の幅寸法よりも大きく、後辺51は、上辺52及び下辺53の幅からはみ出した部位を備えており、当該はみ出し部位に取付孔510が形成されており、はみ出し部位において躯体Wに固定される。なお、ブラケット5は、他の部位においても溶接によって躯体Wに固定されている。
【0018】
開口Cは、ブラケット5の面部50を、前端から中央部位にかけて切り欠くことで形成されている。ブラケット5の面部50の前端は、開口Cを挟んで上側の上側前端500と、下側の下側前端501と、からなり、上側前端500の下端から後方に向かって水平状に開口Cの上側縁部502が形成されており、下側前端501の上端から後方に向かって水平状に開口Cの下側縁部503が形成されており、上側縁部502と下側縁部503の後方には、半円状の湾曲縁部504が形成されている。
【0019】
図4において、湾曲縁部504で囲まれた半円状の領域は、スプロケット21の径よりも大径の円形状の領域である大径部C1の半部を構成しており、大径部C1の他方の半部が点線で示されている。すなわち、本実施形態に係る開口Cは、スプロケット21の外径よりも大きい径の大径部C1と、大径部C1から面部50の前端に向かって大径部C1と連続状に一体で切り欠き形成された前側部C2と、からなる。本実施形態では、前側部C2の高さ寸法(上側縁部502と下側縁503間の距離)は、大径部C1の径と同じであるが、これには限定されない。
【0020】
図5に示すように、軸受板6は、概ね方形状の面部60と、面部60の後端から面部60に対して垂直に延びる後辺61と、面部の上端から面部に対して垂直に延びる上辺62と、面部の下端から面部に対して垂直に延びる下辺63と、からなる。上辺62には、前後方向に複数の孔が形成されており、上辺62の下面には、孔に対応してナットN2が固定されている。下辺63には、前後方向に複数の孔が形成されており、下辺63の上面には、孔に対応してナットN1が固定されている。
【0021】
駆動側ブラケット構造4Aにおいて、軸受板6は、面部60がブラケット5の面部50と離間対向し、上辺62がブラケット5の上辺52の下側に位置して対向し、下辺63がブラケット5の下辺53の上側に位置して対向し、後辺61がブラケット5の後辺51に近接した状態で、ブラケット5に固定されている。ブラケット5と軸受板6の連結構造の詳細については後述する。
【0022】
躯体Wに駆動側ブラケット構造4Aが固定された状態において、面部60及び後辺61は垂直状に延びており、上辺62及び下辺63は水平状に延びている。軸受板6の面部60の前端側には、開閉機Mの取付プレート60Aが固定されており、面部60から前方に延びる取付プレート60Aに開閉機Mが取り付けられている(図2参照)。
【0023】
軸受板6の面部60には、前端から中央部位にかけて水平状に切り欠かれており、水平状に延びる溝部Gが形成されている。面部60の中央部位において、溝部Gの奥側領域はシャフト20の挿通部G1となっており、挿通部G1の周囲にベアリング23が固定されるようになっている。軸受板6の面部にベアリング23が固定された状態において、溝部Gの奥側部位に、ベアリング23のシャフト20の挿通孔24(図3参照)が位置するようになっている。駆動側ブラケット構造4Aにおいて、ブラケット5の面部50の大径部C1の中心と軸受板6の面部60の挿通孔24の中心は一致しており、巻取体2において、これらの中心はシャフト20の中心と一致している。
【0024】
軸受板6の前端は、溝部Gを挟んで上側の上側前端600と、下側の下側前端601と、からなり、上側前端600の下端から後方に向かって水平状に溝部Gの上側縁部602が形成されており、下側前端601の上端から後方に向かって水平状に溝部Gの下側縁部603が形成されており、上側縁部602と下側縁部603の後方には、湾曲縁部604が形成されている。上側縁部602及び下側縁部603の後端と、湾曲縁部604と、で囲まれたシャフト20の挿通部G1内にシャフト20の挿通孔24が位置するように、ベアリング23が面部60に固定される。
【0025】
本実施形態において、ブラケット5の高さ寸法(上辺52と下辺53間の距離)は、軸受板6(上辺62と下辺63間の距離)よりも大きい。ブラケット5の面部50の幅寸法は、軸受板6の面部60の幅寸法よりも僅かに大きい。ブラケット5と軸受板6は、ブラケット5の面部50と軸受板6の面部60を離間対向させて、ブラケット5の面部50と軸受板6の面部60の間に空間を形成するように固定されている。ブラケット5と軸受板6との間には防振ゴム7A、7Bが設けてあり、ブラケット5と軸受板6が直接接触しないようになっている。すなわち、駆動側ブラケット構造4Aは、防振ゴム7A、7Bを用いた防振構造を備えている。
【0026】
本実施形態では、ブラケット5の下辺53と軸受板6の下辺63との間には下側の防振ゴム7Aが介装されている。防振ゴム7Aは所定厚さを備え、軸受板6の面部60の全幅(後端から前端)に延びる長尺の板状体であり、幅方向を水平に向けた水平姿勢で設けられる。軸受板6の下辺63は、ブラケット5の下辺53の上に載置した防振ゴム7Aの上に載っており、下辺63と下辺53とは、下辺63と下辺53の間に防振ゴム7を挟んだ状態で、固定具(本実施形態ではボルトB1とナットN1)によって固定されている。固定具は、軸受板6の面部60の幅方向に亘って複数箇所(図示の例では、3箇所)に設けられる。
【0027】
軸受板6の上辺62とブラケット5の上辺52は離間対向している。軸受板6の上辺62には、連結部材8が固定されている。連結部材8は、軸受板6の面部60の全幅(後端から前端)に延びる長尺状の部材である。連結部材8は、水平片80と垂直片81から断面視L形状を備えており、水平片80を軸受板6の上辺62に載せた状態で、固定具(本実施形態ではボルトB2とナットN2)によって固定されている。固定具は、軸受板6の面部60の幅方向に亘って複数箇所(図示の例では、3箇所)に設けられる。
【0028】
連結部材8の水平片80が軸受板6の上辺62に固定された状態において、水平片80の側(面部60から離れる側)の端部は、後辺61の端縁を超えて延出しており、水平片80の外側の端部から垂下する垂直片81は軸受板6には接触しておらず、また、垂直片81はブラケット5の面部50の上方部位と離間対向している。連結部材8の垂直片81とブラケット5の面部50の上方部位は、その間に上側の防振ゴム7Bを挟んだ状態で、固定具として例示するボルトB3で固定されている。防振ゴム7Bは、軸受板6の面部60の全幅(後端から前端)に延びる長尺の板状体であり、幅方向を垂直に向けた姿勢で設けられる。固定具は、軸受板6の面部60の幅方向に亘って複数箇所(図示の例では、4箇所)設けられる。本実施形態では、前側の2本のボルトB3は、それぞれ、第1補強材9A、第2補強材9Bの固定具を兼用している。本明細書では、防振ゴム7Bを設けるためのボルトを総称してボルトB3と呼ぶが、必要に応じて、第1補強材9Aの上側部位を固定するボルトB3をボルトB3、第2補強材9Bの上側部位を固定するボルトB3をB3として識別する(図3図6図7)。
【0029】
図6に示すように、ブラケット5の面部50の外面には、面部50における開口Cの上側部位と下側部位を架け渡すように2本の第1補強材9A、第2補強材9Bが取り付けられている。本実施形態に係る第1補強材9A、第2補強材9Bは細幅の板材であり、面部50の幅方向(ブラケット5の前後方向)に離間して平行に取り付けられている。第1補強材9Aは第2補強材9Bに対して前側に位置しており、すなわち、第2補強材9Bは第1補強材9Aに対して後側に位置している。
【0030】
第1補強材9Aは、開口Cの前側部C2に位置して、上側部位と下側部位を架け渡すように面部60に取り付けられている。駆動側ブラケット構造4Aの側面視において、第1補強材9Aは、スプロケット21よりも前側に位置して前側部C2を跨ぐように取り付けられており、スプロケット21とは重なっていない(図6図8参照)。したがって、第1補強材9Aは、スプロケット21の脱着作業の妨げにならない。
【0031】
第1補強材9Aの上端部位は、ボルトB3によって面部60に固定されている。B3は、第1補強材9A、面部50、防振ゴム7Bを挿通して、連結部材8の垂直片81に形成された雌螺子に着脱可能に固定される。第1補強材9Aの下端部位は、固定具(本実施形態ではボルトB4とナットN4)によって、面部50に着脱可能に固定されている。本実施形態では、ボルトB3は、ブラケット5の面部50と連結部材8の垂直片81を防振ゴム7Bを挟んで固定する固定具と、第1補強材9Aの上端部位を面部50に固定する固定具を兼ねている。防振ゴム7Bを設けるためのボルトB3とは別個の固定具によって、第1補強材9Aの上端部位を面部50に固定するものでもよい。
【0032】
第2補強材9Bは、開口Cの大径部C1の前側部位に位置して、上側部位と下側部位を架け渡すように面部50に取り付けられている。駆動側ブラケット構造4Aの側面視において、第2補強材9Bは、スプロケット21の前側部位に位置して大径部C1の前側部位を跨ぐように取り付けられており、スプロケット21の前側部位と重なっている(図6参照)。
【0033】
第2補強材9Bの上端部位は、ボルトB3によって面部50に着脱可能に固定されている。ボルトB3は、第2補強材9B、面部50、防振ゴム7Bを挿通して、連結部材8の垂直片81に形成された雌螺子に着脱可能に固定される。第2補強材9Bの下端部位は、固定具(本実施形態ではボルトB4とナットN4)によって、面部50に着脱可能に固定されている。本実施形態では、ボルトB3は、ブラケット5の面部50と連結部材8の垂直片81を防振ゴム7Bを挟んで固定する固定具と、第2補強材9Bの上端部位を面部50に固定する固定具を兼ねている。防振ゴム7Bを設けるためのボルトB3とは別個の固定具によって、第2補強材9Bの上端部位を面部50に着脱可能に固定するものでもよい。
【0034】
本実施形態では、第1補強材9A、第2補強材9Bは、共に、ブラケット5の面部50に対して着脱可能に取り付けられているが、少なくとも、第2補強材9Bがブラケット5の面部50に対して着脱可能に取り付けられていればよい。したがって、第1補強材9Aの上端部位、下端部位の連結手段は限定されず、例えば、面部50に対して溶接するものでもよい。本実施形態に係る第1補強材9Aと第2補強材9Bは同一部材であるが、第1補強材9Aと第2補強材9Bの幅寸法を異ならしめてもよい。第1補強材9A、第2補強材9Bに比べて大きい強度を備えた幅広の補強材を着脱可能に設けてもよい。また、3本以上の補強材を設け、少なくとも1本を面部50に対して着脱可能としてもよい。
【0035】
図3図7を参照しつつ、駆動側ブラケット構造4Aの構成について説明したが、本実施形態に係る従動側ブラケット構造4Bは、駆動側ブラケット構造4Aと実質的に同じ構成を備えている。具体的には、本実施形態に係る駆動側ブラケット構造4Bは、躯体に固定されるブラケット5と、ブラケット5に固定される軸受板6と、ブラケット5と軸受板6の間に設けた防振ゴム7A、7Bとから組立てられており、防振ゴム7A、7Bを用いた防振構造を備えている。駆動側ブラケット構造4Aについての説明は、従動側ブラケット構造4Bの説明に援用することができる。なお、従動側ブラケット構造4Bの構成は、駆動側ブラケット構造4Aと異なっていてもよい。例えば、従動側ブラケット構造4Bのブラケット5は開口を備えていなくてもよい。本発明において、従動側ブラケット構造の構成は限定されない。
【0036】
躯体Wに持ち出し状に固定された左右のブラケット構造4A、4Bに対する巻取体2の取り付けについて説明する。巻取体2は、正面から左右のブラケット構造4A、4Bに取り付けられる。具体的には、左右のブラケット構造4A、4Bの軸受板6の面部60に形成された溝部Gの高さ寸法は、シャフト20の外径よりも少し大きく(図7参照)、巻取体2を、正面からシャフト20を溝部Gに挿入することで左右のブラケット構造4A、4Bに支持させる。巻取体2の一方の端部(駆動側の端部)には、シャフト20上にスプロケット21が固定されており、スプロケット21に隣接してベアリング23が設けてある。巻取体2を正面から左右のブラケット構造4A、4Bに支持させる際に、左右方向(開口幅方向ないし巻取体の長さ方向)に少し移動させる場合があり得るが、駆動側ブラケット4Aのブラケット5の面部50には、開口Cの前側部C2(いわば溝部)が形成されているので、巻取体2が駆動側にズレた場合であっても、シャフト20の端部ないしスプロケット21の基部211が正面から開口Cに挿入される。本実施形態では、開口Cの前側部C2の高さ寸法(上側縁部502と下側縁503間の距離)は、大径部C1の径と同じであるが、大径部C1の径よりも小さくてもよく、例えば、スプロケット21の筒状の基部211の外径よりも少し大きい寸法でもよい。
【0037】
本実施形態に係る駆動側ブラケット構造4Aにおいて、例えば、スプロケット21の点検やメンテナンス、交換の必要が生じた場合には、ブラケット5の面部50の外面に取り付けられている第2補強材9Bの固定具(上側のボルトB3、下側のボルトB4)を取り外すことで、開口Cの大径部C1全体を開放させて、スプロケット21全体を大径部C1から露出させる。この状態において、大径部C1を介して、駆動側ブララケット構造4Aの側方からスプロケット21を脱着することができ、シャフト20を駆動側ブラケット構造4Aから取り外すような場合に比べて、スプロケット21の点検、メンテナンスの作業性が格段に向上する。また、第2補強材9Bを取り外した状態であっても、第1補強材9Aはブラケット5の面部50に連結されたままなので、メンテナンスや点検時におけるブラケット5の強度低下を可及的に小さくしている。また、大径部C1は、駆動側ブラケット構造4Aの側面に位置して大きく開放しているため、スプロケット21の脱着作業以外の点検やメンテナンス作業の作業性も向上する。
【符号の説明】
【0038】
2 巻取体
20 シャフト
21 スプロケット
23 ベアリング
24 挿通孔
4A 駆動側ブラケット構造
4B 従動側ブラケット構造
5 ブラケット
6 軸受板
7A、7B 防振ゴム
8 連結部材
9A 第1補強材
9B 第2補強材
C 開口
C1 大径部
C2 前側部
G 溝部
G1 シャフトの挿通部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9