(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】跳ね出し壁構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/56 20060101AFI20240201BHJP
E04B 1/24 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E04B2/56 603Z
E04B1/24 E
E04B2/56 604A
E04B2/56 621H
(21)【出願番号】P 2020096991
(22)【出願日】2020-06-03
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】中条 貴大
(72)【発明者】
【氏名】池内 邦江
(72)【発明者】
【氏名】佐分利 和宏
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-275865(JP,A)
【文献】特開平9-125567(JP,A)
【文献】特開平9-203218(JP,A)
【文献】特開2016-44509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/56
E04B 1/00、1/24
E04B 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端部を前方へ張り出させる片持ち状態で支持柱に支持された上下一対の片持ち梁と、
前方側端部を当該片持ち梁の先端部よりも前方に位置させる跳ね出し状態で前記上下一対の片持ち梁に支持された跳ね出し壁部材と、を備えた跳ね出し壁構造であって、
前記上下一対の片持ち梁のうちの一方側に位置する第1片持ち梁に対して前記跳ね出し壁部材を固定する第1固定部が、前記跳ね出し壁部材の面内方向及び面外方向での変位を阻止する構成を有し、
前記上下一対の片持ち梁のうちの他方側に位置する第2片持ち梁に対して前記跳ね出し壁部材を固定する第2固定部が、前記跳ね出し壁部材の面内方向での変位を許容しながら面外方向での変位を阻止する構成を有する跳ね出し壁構造。
【請求項2】
前記片持ち梁として、上階側に設けられた上階側片持ち梁と、その下階側に設けられた下階側片持ち梁と、当該上階側片持ち梁と当該下階側片持ち梁との中間に設けられた中間片持ち梁と、を備え、
前記上下一対の片持ち梁としての前記上階側片持ち梁及び前記中間片持ち梁に支持された上側跳ね出し壁部材と、前記上下一対の片持ち梁としての前記中間片持ち梁及び前記下階側片持ち梁に支持された下側跳ね出し壁部材と、を分離して備えた請求項1に記載の跳ね出し壁構造。
【請求項3】
前記支持柱が前記跳ね出し壁部材の後方側端部よりも後方に設けられている請求項1又は2に記載の跳ね出し壁構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、先端部を前方へ張り出させる片持ち状態で支持柱に支持された上下一対の片持ち梁と、前方側端部を当該片持ち梁の先端部よりも前方に位置させる跳ね出し状態で前記上下一対の片持ち梁に支持された跳ね出し壁部材と、を備えた跳ね出し壁構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の跳ね出し壁構造として、跳ね出し部に形成した耐震壁を有する建築物が知られている(例えば特許文献1を参照。)。
かかる特許文献1の建築物では、外柱(2)と梁(6)が形成する構面の外方の2階以上に片持ち梁(3)を設け、上下一対の片持ち梁(3)に対して跳ね出し壁部材としての耐震壁(20)を支持させている。
このような従来の跳ね出し壁構造では、一般的に、跳ね出し状態で支持される跳ね出し壁部材の回転を拘束し、更には跳ね出し壁部材を耐震壁として機能させるべく、上下一対の片持ち梁に対して跳ね出し壁部材を固定する上下の固定部において跳ね出し壁部材の変位は完全に阻止される構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上下の固定部において跳ね出し壁部材の変位を完全に阻止する構成を採用すると、特に大型の跳ね出し壁部材を比較的スパンが大きい上下一対の片持ち梁に対して跳ね出し状態で支持させる場合では、地震時等における上下一対の片持ち梁の跳ね出し壁部材の面内方向に沿った相対変位によって、上下夫々の固定部と跳ね出し壁部材との間に非常に大きな力が作用する。よって、そのように作用する力による固定部や跳ね出し壁部材の損傷を回避するために、跳ね出し壁部材の大型化は困難であった。
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、片持ち状態で支持柱に支持された上下一対の片持ち梁に対して跳ね出し壁部材を跳ね出し状態で支持させてなる跳ね出し壁構造において、地震時における固定部及び跳ね出し壁部材の損傷を抑制し、跳ね出し壁部材の大型化を実現可能な技術を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1特徴構成は、先端部を前方へ張り出させる片持ち状態で支持柱に支持された上下一対の片持ち梁と、
前方側端部を当該片持ち梁の先端部よりも前方に位置させる跳ね出し状態で前記上下一対の片持ち梁に支持された跳ね出し壁部材と、を備えた跳ね出し壁構造であって、
前記上下一対の片持ち梁のうちの一方側に位置する第1片持ち梁に対して前記跳ね出し壁部材を固定する第1固定部が、前記跳ね出し壁部材の面内方向及び面外方向での変位を阻止する構成を有し、
前記上下一対の片持ち梁のうちの他方側に位置する第2片持ち梁に対して前記跳ね出し壁部材を固定する第2固定部が、前記跳ね出し壁部材の面内方向での変位を許容しながら面外方向での変位を阻止する構成を有する点にある。
【0006】
本構成によれば、跳ね出し壁部材の面外方向での変位を第1固定部及び第2固定部により阻止しながら、跳ね出し壁部材の面内方向での変位が第1固定部を支点として第2固定部で水平方向に変位させる形態で許容されることになる。よって、地震時等により上下一対の片持ち梁の跳ね出し壁部材の面内方向に沿った相対変位が生じた場合であっても、第1固定部及び第2固定部の夫々と跳ね出し壁部材との間に大きな力が作用することを回避することができるので、大型の跳ね出し壁部材を比較的スパンが大きい上下一対の片持ち梁に対して跳ね出し状態で支持させるような構成を採用することができる。
従って、本発明により、片持ち状態で支持柱に支持された上下一対の片持ち梁に対して跳ね出し壁部材を跳ね出し状態で支持させてなる跳ね出し壁構造において、地震時における固定部及び跳ね出し壁部材の損傷を抑制し、跳ね出し壁部材の大型化を実現可能な技術を提供することができる。
【0007】
本発明の第2特徴構成は、前記片持ち梁として、上階側に設けられた上階側片持ち梁と、その下階側に設けられた下階側片持ち梁と、当該上階側片持ち梁と当該下階側片持ち梁との中間に設けられた中間片持ち梁と、を備え、
前記上下一対の片持ち梁としての前記上階側片持ち梁及び前記中間片持ち梁に支持された上側跳ね出し壁部材と、前記上下一対の片持ち梁としての前記中間片持ち梁及び前記下階側片持ち梁に支持された下側跳ね出し壁部材と、を分離して備えた点にある。
【0008】
本構成によれば、上階側片持ち梁と下階側片持ち梁との中間に中間片持ち梁を設け、その中間片持ち梁の上下夫々に上側跳ね出し壁部材と下側跳ね出し壁部材とを分離して設けることができる。このような構成を採用することにより、上下一対の片持ち梁としての上階側片持ち梁及び下階側片持ち梁に支持された一枚の跳ね出し壁部材を設ける場合と比較して、跳ね出し壁部材の上下幅を小さくして、それを支持する上下一対の片持ち梁の間隔を狭くすることができるので、第2片持ち梁に対して跳ね出し壁部材を固定する第2固定部において許容される跳ね出し壁部材の面内方向での変位を許容範囲内に収めることができる。
【0009】
本発明の第3特徴構成は、前記支持柱が前記跳ね出し壁部材の後方側端部よりも後方に設けられている点にある。
【0010】
本構成によれば、例えば建物の構造上の理由で支持柱の位置が制限される場合であっても、支持柱に片持ち状態で支持された上下一対の片持ち梁に対して、その支持柱よりも前方に後方側端部を位置させて前方側端部を前方に大きく跳ね出させる跳ね出し状態で跳ね出し壁部材を支持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図3】
図2に示す跳ね出し壁構造部分における固定部の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の建物100は5階建ての建物として構成されている。建物100の2階以上の各階及び屋上のスラブ3は、躯体外壁部1よりも前後方向及び正面(
図1の左下側の面)から見て右側の側方に庇状に跳ね出された形状を有する。
躯体外壁部1においてスラブ3が跳ね出された側には窓(図示省略)などが設けられており、その外周部には、例えばルーバータイプのカーテンウォール35が設けられている。そして、2階及び屋上のスラブ30は、そのカーテンウォール35よりも外方に跳ね出された形状を有する。
【0013】
建物100の正面から見て左側の側壁には、上述した2階及び屋上のスラブ30と同様に、当該側壁を前後に延長した状態で前後に跳ね出された跳ね出し壁構造101を有する。
以下、この跳ね出し壁構造101の詳細構成について、
図2及び
図3を参照して説明を加える。
【0014】
跳ね出し壁構造101は、プレキャストコンクリート造の跳ね出し壁部材8の複数を上下に並設し、それらを複数の片持ち梁5で支持して構成されている。
また、上下に並設された跳ね出し壁部材8の間の隙間において躯体外壁部1の外面に対応する箇所には、外部から建物100内への雨水の侵入を防止するために段状に構成された雨水侵入防止部36が設けられている。
【0015】
夫々の片持ち梁5は、建物100の正面から見て左側の隅柱である鉄骨造の支持柱2に対し、その先端部5aを前方へ張り出させる片持ち状態で支持されたH形鋼で構成されている。
夫々の跳ね出し壁部材8は、その前方側端部8aを片持ち梁5の先端部5aよりも前方に位置させる跳ね出し状態で、上下一対の片持ち梁5に支持されている。
【0016】
図3に示すように、跳ね出し壁構造101において、夫々の跳ね出し壁部材8を支持する上下一対の片持ち梁5は、当該跳ね出し壁部材8の上端側部分に位置する上端側片持ち梁5X(第1片持ち梁の一例)と、当該跳ね出し壁部材8の下端側部分に位置する下端側片持ち梁5Y(第2片持ち梁の一例)とからなる。上端側片持ち梁5Xには、当該上端側片持ち梁5Xに跳ね出し壁部材8の上端側部分を固定する上端側固定部10(第1固定部の一例)が設けられており、一方、下端側片持ち梁5Yには、当該下端側片持ち梁5Yに対して跳ね出し壁部材8の下端側部分を固定する下端側固定部20(第2固定部の一例)が設けられている。
【0017】
上端側固定部10は、H形鋼からなる上端側片持ち梁5Xの下フランジの下面に溶接等により接合された固定用ブラケット11と、その固定用ブラケット11に形成されたボルト孔11aに角座金13を介在させて挿通されるボルトBとを有する。そして、その上端側固定部10のボルトBを跳ね出し壁部材8に埋め込まれためねじ(図示省略)に螺合することで、当該跳ね出し壁部材8の上端側部分を上端側片持ち梁5Xに固定することができる。
また、上端側固定部10において、固定用ブラケット11に形成されたボルト孔11aは、挿通されるボルトBの径方向への移動を阻止可能な大きさの丸孔形状に形成される。または、当該ボルトBが挿通される角座金13の周縁部は、固定用ブラケット11に溶接により接合される。
このような構成により、上端側固定部10は、跳ね出し壁部材8の上端側部分を固定した状態において、当該跳ね出し壁部材8の面内方向及び面外方向での変位を阻止する構成を有するものとなる。
尚、本実施形態において、上端側片持ち梁5Xの下フランジの下面に2個の固定用ブラケット11を並設し、夫々の固定用ブラケット11において4つのボルト孔11aを四方に配置したが、固定用ブラケット11やボルト孔11aの個数については、負担すべき荷重等の設計条件に応じて適宜変更可能である。
【0018】
一方、下端側固定部20は、H形鋼からなる下端側片持ち梁5Yの上フランジの上面に溶接等により接合されたH形鋼からなるベース部材17と、そのベース部材17の上フランジの上面にボルト等により接合された固定用ブラケット21と、その固定用ブラケット21に形成されたボルト孔21aに角座金13を介在させて挿通されるボルトBとを有する。そして、その下端側固定部20のボルトBを跳ね出し壁部材8に埋め込まれためねじ(図示省略)に螺合することで、当該跳ね出し壁部材8の下端側部分を下端側片持ち梁5Yに固定することができる。
また、下端側固定部20において、固定用ブラケット21に形成されたボルト孔21aは、挿通されるボルトBの径方向のうちの水平方向への移動を許容可能な大きさの跳ね出し壁部材8の跳ね出し方向(前後方向)に沿って長い長孔形状に形成されている。
このような構成により、下端側固定部20は、跳ね出し壁部材8の下端側部分を固定した状態において、当該跳ね出し壁部材8の面内方向での変位を許容しながら面外方向での変位を阻止する構成を有するものとなる。
尚、本実施形態において、下端側片持ち梁5Yに固定されたベース部材17の上フランジの上面に2個の固定用ブラケット21を並設し、夫々の固定用ブラケット21において2つのボルト孔11aを横並びに配置したが、固定用ブラケット21やボルト孔21aの個数については、負担すべき荷等の設計条件に応じて適宜変更可能である。
【0019】
即ち、跳ね出し壁部材8の面外方向での変位が、上端側固定部10及び下端側固定部20により阻止されることになる。一方、跳ね出し壁部材8の面内方向での変位が、上端側固定部10を支点として下端側固定部20で水平方向に変位させる形態で許容されることになる。
よって、地震時等により上下一対の片持ち梁5X,5Yの跳ね出し壁部材8の面内方向に沿った相対変位が生じた場合に、上端側固定部10及び下端側固定部20の夫々と跳ね出し壁部材8との間に大きな力が作用することを回避することができる。このことで、大型の跳ね出し壁部材8を比較的スパンが大きい上下一対の片持ち梁5X,5Yに対して跳ね出し状態で支持させるような構成が採用されている。
【0020】
また、
図3に示すように、上端側片持ち梁5Xの先端部5aには、跳ね出し壁部材8をボルトBにて仮固定するための仮固定用ブラケット6が設けられている。
また、跳ね出し壁部材8の下端側部分には、下端側片持ち梁5Yに固定されたベース部材17に対する跳ね出し壁部材8の垂直位置を調整するための垂直位置調整部25と、同ベース部材17に対する跳ね出し壁部材8の水平位置を調整するための水平位置調整部26が設けられている。尚、これら位置調整部25,26は、跳ね出し壁部材8に固定されたブラケットに取り付けた押しボルトによりベース部材17を押し込んで当該ベース部材17との距離を調整可能に構成されている。
【0021】
そして、跳ね出し壁部材8を設置する際には、当該跳ね出し壁部材8を上端側固定部10及び下端側固定部20で本固定する前に、上端側片持ち梁5Xに設けられた仮固定用ブラケット6に跳ね出し壁部材8をボルトBにて仮固定した上で、垂直位置調整部25及び水平位置調整部26にて跳ね出し壁部材8の姿勢を調整することができる。
尚、跳ね出し壁部材8を上端側固定部10及び下端側固定部20で本固定した後は、これら仮固定用ブラケット6、垂直位置調整部25、及び水平位置調整部26は取り外すことができる。
【0022】
図2に示すように、跳ね出し壁構造101において、上階側のスラブ3を支持する上階側片持ち梁5Aと下階側のスラブ3を支持する下階側片持ち梁5Cとが片持ち梁5として設けられており、それら上階側片持ち梁5Aと当該下階側片持ち梁5Cとの中間の略中央には、中間片持ち梁5Bが片持ち梁5として設けられている。
そして、上下一対の片持ち梁5としての上階側片持ち梁5A及び中間片持ち梁5Bに支持された上側跳ね出し壁部材8Aと、上下一対の片持ち梁5としての中間片持ち梁5B及び下階側片持ち梁5Cに支持された下側跳ね出し壁部材8Bとが分離して設けられている。
この構成により、上階側片持ち梁5A及び下階側片持ち梁5Cに支持された一枚の跳ね出し壁部材を設ける場合と比較して、跳ね出し壁部材8の上下幅が小さくなると共に、それを支持する上下一対の片持ち梁5の間隔が狭くなる。よって、下端側固定部20において許容される跳ね出し壁部材8の面内方向での変位を許容範囲内に収めることができる。
【0023】
図2及び
図3に示すように、片持ち梁5を支持する支持柱2が跳ね出し壁部材8の後方側端部8bよりも後方に設けられている。この構成により、例えば建物100の構造上の理由で支持柱2の位置が制限される場合であっても、支持柱2に片持ち状態で支持された上下一対の片持ち梁5に対して、その支持柱2よりも前方に後方側端部8bを位置させて前方側端部8aを前方に大きく跳ね出させる跳ね出し状態で、跳ね出し壁部材8を支持させることができる。
【0024】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0025】
(1)上記実施形態では、
図3に示すように、上端側片持ち梁5Xに対して跳ね出し壁部材8を固定する上端側固定部10を跳ね出し壁部材8の面内方向及び面外方向での変位を阻止する構成とし、下端側片持ち梁5Yに対して跳ね出し壁部材8を固定する下端側固定部20を跳ね出し壁部材8の面内方向での変位を許容しながら面外方向での変位を阻止する構成としたが、逆に、上端側固定部10を跳ね出し壁部材8の面内方向での変位を許容しながら面外方向での変位を阻止する構成とし、下端側固定部20を跳ね出し壁部材8の面内方向及び面外方向での変位を阻止する構成としても構わない。
【0026】
(2)上記実施形態では、
図2に示すように、上階側片持ち梁5Aと下階側片持ち梁5Cとの中間に中間片持ち梁5Bを設けて、上階側片持ち梁5A及び中間片持ち梁5Bに支持された上側跳ね出し壁部材8Aと、中間片持ち梁5B及び下階側片持ち梁5Cに支持された下側跳ね出し壁部材8Bとを分離して備えたが、このような中間片持ち梁5Bを設けずに、上階側片持ち梁5A及び下階側片持ち梁5Cで一枚の跳ね出し壁部材8を支持するように構成しても構わない。
【0027】
(3)上記実施形態では、支持柱2の前方に跳ね出し壁部材8の後方側端部8bを位置させたが、支持柱2と重なる位置又はそれよりも後方に跳ね出し壁部材8の後方側端部8bを位置させて、支持柱2の側面に添わせる状態で跳ね出し壁部材8を設けても構わない。
【0028】
(4)上記実施形態では、建物100の正面から見て左側の側壁を跳ね出し壁構造101として構成したが、建物において跳ね出し壁構造を設ける箇所については適宜変更しても構わない。
【符号の説明】
【0029】
2 支持柱
5 片持ち梁
5A 上階側片持ち梁
5B 中間片持ち梁
5C 下階側片持ち梁
5X 上端側片持ち梁(第1片持ち梁)
5Y 下端側片持ち梁(第2片持ち梁)
5a 先端部
8 跳ね出し壁部材
8A 上側跳ね出し壁部材
8B 下側跳ね出し壁部材
8a 前方側端部
8b 後方側端部
10 上端側固定部(第1固定部)
20 下端側固定部(第2固定部)
100 建物
101 跳ね出し壁構造