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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】浴槽洗浄ノズル
(51)【国際特許分類】
   A47K 3/00 20060101AFI20240201BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20240201BHJP
   F16L 5/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
F16J15/10 S
F16J15/10 U
F16L5/00 N
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020160878
(22)【出願日】2020-09-25
(65)【公開番号】P2022053964
(43)【公開日】2022-04-06
【審査請求日】2023-05-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
(72)【発明者】
【氏名】三谷 恭平
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-180559(JP,A)
【文献】特開2000-184977(JP,A)
【文献】特開平10-276922(JP,A)
【文献】実開昭61-34232(JP,U)
【文献】米国特許第4383341(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/00
F16J 15/10
F16L 5/00
B05B 1/00 - 3/18
B05B 7/00 - 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽底壁に開設された貫通孔を介して浴槽底壁を挟持するように取り付けられる浴槽洗浄ノズルであって、
浴槽底壁外側に設けられる第1ノズル受けと、
浴槽底壁内側に設けられ、貫通孔を介して第1ノズル受けとねじ締結する第2ノズル受けと、
少なくとも浴槽底壁外側の貫通孔の周縁部に設けられ、第1ノズル受けと第2ノズル受けとをねじ締結することにより浴槽底壁外側の貫通孔の周縁部と第1ノズル受けとの間をシールする弾性変形可能な第1シール部材と、
湯水を噴射する噴射口が設けられたノズル頭部、及びノズル頭部から下方に延び、第2ノズル受けに上方から挿入されるノズル筒部を有し、第2ノズル受けとねじ締結するノズル本体と、
ノズル本体と第2ノズル受けとの間に設けられ、ノズル本体と第2ノズル受けとをねじ締結するときにノズル本体の第2ノズル受けへのねじ締結量を調整する締結量調整手段と、を備える浴槽洗浄ノズル。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽洗浄ノズルにおいて、
ノズル本体は、ノズル側雄ねじ部を有し、
第1ノズル受けは、第1雌ねじ部を有し、
第2ノズル受けは、ノズル側雄ねじ部とねじ締結する第2雌ねじ部と、第1ノズル受けの第1雌ねじ部とねじ締結する第2雄ねじ部とを有する浴槽洗浄ノズル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の洗浄ノズルにおいて、
締結量調整手段は、ノズル本体と第2ノズル受けとをねじ締結することによりノズル本体と第2ノズル受けとの間をシールする弾性変形可能な第2シール部材を有し、
第2シール部材は、ノズル本体の第2ノズル受けへのねじ締結に伴う第2シール部材の回動を規制する回動規制部を有する浴槽洗浄ノズル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽洗浄ノズルに関する。特に、本発明は、浴槽底壁への浴槽洗浄ノズルの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽底壁の貫通孔に取り付けられた浴槽洗浄ノズルから浴槽内へ湯水を噴射させて浴槽内壁面に付着した汚れを洗い落とす浴槽洗浄装置が知られている。上記浴槽洗浄ノズルは、例えば、浴槽底壁外側に設けられ、湯水を供給する配管が接続されるノズル受けと、浴槽底壁内側に設けられ、湯水を噴射させる噴射口を有するノズル本体とを有し、ノズル受けとノズル本体とを貫通孔を介してねじ締結することにより、ノズル本体とノズル受けとで貫通孔の周縁部を挟持するように浴槽底壁に取り付けられている。また、貫通孔の周縁部には、ノズル受けの外周面と貫通孔の開口縁との間の隙間を通って浴槽底壁内側から浴槽底壁外側への水漏れを防止するためのシール部材が設けられており、ノズル本体とノズル受けとをねじ締結するときの締め付けにより、シール性が確保されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-70811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、浴槽内壁面全体を満遍なく洗浄するためには、浴槽の構造に合わせた湯水の噴射パターンとなるように、噴射口の位置を設定する必要がある。例えば、長方形状の浴槽の場合、浴槽の長手方向に広がった湯水の噴射パターンが得られるように噴射口の噴射角度が設定される。
【0005】
しかしながら、浴槽底壁上面には滑り止め用の凸部である多数のスリップパターンが形成される場合がある。そのため、特許文献1のような浴槽底壁外側に設けられたノズル受けと浴槽底壁内側に設けられたノズル本体とがねじ締結により接続される浴槽洗浄ノズルでは、貫通孔が開設される位置におけるスリップパターンの有無や凸部の高さによって、ノズル本体のノズル受けへのねじ締結量が異なってくる。その結果、浴槽ごとに浴槽に対する噴射口の位置がずれてきて、洗浄性能が低下するという問題がある。一方、特許文献1の浴槽洗浄ノズルでは、噴射口の位置を変更するためにノズル本体のねじ締結量を緩めると、シール性が低下するという問題がある。貫通孔の開設位置やスリップパターンの凸部の高さに応じた浴槽洗浄ノズルを用いることも考えられるが、浴槽ごとに浴槽洗浄ノズルを用意しなければならず、汎用性に劣る。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、シール性及び洗浄性能に優れ、高い汎用性を有する浴槽洗浄ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、
浴槽底壁に開設された貫通孔を介して浴槽底壁を挟持するように取り付けられる浴槽洗浄ノズルであって、
浴槽底壁外側に設けられる第1ノズル受けと、
浴槽底壁内側に設けられ、貫通孔を介して第1ノズル受けとねじ締結する第2ノズル受けと、
少なくとも浴槽底壁外側の貫通孔の周縁部に設けられ、第1ノズル受けと第2ノズル受けとをねじ締結することにより浴槽底壁外側の貫通孔の周縁部と第1ノズル受けとの間をシールする弾性変形可能な第1シール部材と、
湯水を噴射する噴射口が設けられたノズル頭部、及びノズル頭部から下方に延び、第2ノズル受けに上方から挿入されるノズル筒部を有し、第2ノズル受けとねじ締結するノズル本体と、
ノズル本体と第2ノズル受けとの間に設けられ、ノズル本体と第2ノズル受けとをねじ締結するときにノズル本体の第2ノズル受けへのねじ締結量を調整する締結量調整手段と、を備える浴槽洗浄ノズルが提供される。
【0008】
上記浴槽洗浄ノズルによれば、第1ノズル受けと第2ノズル受けとをねじ締結することにより浴槽底壁外側の貫通孔の周縁部と第1ノズル受けとの間が第1シール部材でシールされるから、スリップパターンによって浴槽底壁内側のシール性が不十分な場合でも、浴槽底壁外側でシール性を確保することができる。
【0009】
また、上記浴槽洗浄ノズルによれば、ノズル本体と第2ノズル受けとの間にはノズル本体の第2ノズル受けへのねじ締結量を調整する締結量調整手段が設けられているから、ノズル本体と第2ノズル受けとをねじ締結するときにノズル本体のねじ締結量を調整して噴射口を所定位置に設置することができる。これにより、貫通孔の開設位置やスリップパターンの凸部の高さに関わらず、洗浄性能を確保することができる。また、貫通孔の開設位置やスリップパターンの凸部の高さによる取付時の制限が緩和されるから、高い汎用性を付与することができる。
【0010】
また、上記浴槽洗浄ノズルによれば、第1ノズル受けと第2ノズル受けとはねじ締結により接続され、第1ノズル受けとの間でシール性を確保する第1シール部材は弾性変形可能であるから、第1ノズル受けと第2ノズル受けの位置を調整しながら第1ノズル受けと第2ノズル受けとをねじ締結することができる。これにより、より柔軟に噴射口を所定位置に設置することができ、洗浄性能を確保することができる。
【0011】
好ましくは、上記浴槽洗浄ノズルにおいて、
ノズル本体は、ノズル側雄ねじ部を有し、
第1ノズル受けは、第1雌ねじ部を有し、
第2ノズル受けは、ノズル側雄ねじ部とねじ締結する第2雌ねじ部と、第1ノズル受けの第1雌ねじ部とねじ締結する第2雄ねじ部とを有する。
【0012】
上記浴槽洗浄ノズルによれば、ノズル本体に雌ねじ部を形成する場合よりも、浴槽洗浄ノズルの大きさをコンパクトにすることができる。
【0013】
好ましくは、上記浴槽洗浄ノズルにおいて、
締結量調整手段は、ノズル本体と第2ノズル受けとをねじ締結することによりノズル本体と第2ノズル受けとの間をシールする弾性変形可能な第2シール部材を有し、
第2シール部材は、ノズル本体の第2ノズル受けへのねじ締結に伴う第2シール部材の回動を規制する回動規制部を有する。
【0014】
上記浴槽洗浄ノズルによれば、締結量調整手段はノズル本体と第2ノズル受けとの間をシールする弾性変形可能な第2シール部材を有しているから、ノズル本体と第2ノズル受けとをねじ締結するときに第2シール部材の圧縮範囲内で噴射口が所定位置に設置されるようにノズル本体のねじ締結量を調整することができる。また、上記浴槽洗浄ノズルによれば、第2シール部材は回動規制部を有するから、第2シール部材を圧縮させてノズル本体と第2ノズル受けとをねじ締結するときにノズル本体の回動に伴う第2シール部材の変形を防止することができる。これにより、適切に噴射口を所定位置に設置することができる。
【発明の効果】
【0015】
以上のように、本発明によれば、シール性及び洗浄性能に優れ、高い汎用性を有する洗浄ノズルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る浴槽洗浄システムの一例を示す概略斜視図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る浴槽洗浄ノズルの一例を示す概略分解斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態に係る浴槽洗浄ノズルの一例を示す概略縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係る浴槽洗浄システムは、浴槽2と、湯水を生成する給湯器3と、給湯器3で加熱生成された湯水を洗浄液と混合して浴槽洗浄ノズル6に供給する浴槽洗浄装置4と、給湯器3や浴槽洗浄装置4の動作を設定指示する操作端末5とを有する。
【0018】
本実施の形態の浴槽2は、平面視略長方形状を有する。浴槽2の短辺側の1つの浴槽側壁21には、浴槽2内の風呂水を給湯器3との間で循環させるための注湯口部となる浴槽金具25が設けられている。また、浴槽底壁23には、浴槽2内の風呂水や浴槽洗浄運転時に浴槽2内に噴射される湯水等を外部に排出させるための排水口20が開設されている。排水口20には、排水口20を閉塞可能な排水栓24が設けられている。さらに、浴槽底壁23の前後及び左右の中央部には、貫通孔50が開設されており、貫通孔50には、浴槽洗浄装置4から供給される湯水等を浴槽内壁面に向けて噴射させる浴槽洗浄ノズル6が取り付けられている。なお、本明細書では、浴槽2の長辺方向を左右方向、短辺方向を前後方向、高さ方向を上下方向という。
【0019】
浴槽底壁23上面の貫通孔50の周囲には、滑り止めとして、多数の略円形状の凸部23a(図3参照)が所定の間隔、離間して配置されたスリップパターンが形成されている。凸部は、通常、0.2~3mm程度の高さを有する。浴槽金具25には、戻り配管13及び往き配管14が接続されている。浴槽洗浄ノズル6には、洗浄配管15が接続されている。
【0020】
浴槽洗浄装置4は、洗浄液を貯留可能な洗浄液タンク40と、給湯器3から給湯配管12に導出された湯水を洗浄配管15へ導く出湯管路41と、洗浄液タンク40内の洗浄液を出湯管路41へ導く洗浄液混合管路42とを備えており、出湯管路41の上流端に給湯配管12が接続され、下流端に洗浄配管15が接続されている。
【0021】
洗浄液混合管路42は、上流端が洗浄液タンク40の洗浄液排出口に接続され、下流端が出湯管路41の中間部に合流接続されている。また、洗浄液混合管路42には、洗浄液タンク40から出湯管路41への洗浄液の導出を遮断可能な洗浄液開閉弁43が配設されている。
【0022】
出湯管路41における洗浄液混合管路42の合流部44より上流側には、逆流防止弁45と、出湯開閉弁46と、湯量センサ47と、流量調整弁48とが下流側よりこの順序で配設されている。
【0023】
合流部44は、略中央が縮径するベンチュリ管構造となっており、洗浄液混合管路42は、合流部44の縮径部に連結されている。従って、洗浄液開閉弁43が開かれた状態において、洗浄液タンク40内の洗浄液は、出湯管路41に導入された湯水が合流部44の縮径部を流通する際の負圧によって出湯管路41に引き込まれ、湯水と混合される。
【0024】
図2は、浴槽洗浄ノズル6の概略分解斜視図、図3は、浴槽底壁23の貫通孔50の周縁部を示す概略縦断面図である。浴槽洗浄ノズル6は、浴槽底壁23外側に設けられる第1ノズル受け61と、浴槽底壁23内側に設けられる第2ノズル受け62と、浴槽底壁23内側及び外側から貫通孔50の周縁部を挟み込むように貫通孔50の開口縁に嵌め込まれる環状の第1シール部材64と、ノズル本体66と、ノズル本体66と第2ノズル受け62との間に設けられる環状の第2シール部材68と、第2ノズル受け62と第1シール部材64との間に設けられる環状の滑りシート69とを有する。
【0025】
第1ノズル受け61は、上方及び側方に開口部を有する側方視略L字状の樹脂部材からなる。第1ノズル受け61は、第1ノズル受け61が浴槽底壁23外側の貫通孔50の周縁部に添設されたとき、上端部が貫通孔50の下方開口部から上方に挿通される円筒状の第1ねじ筒部610と、第1ねじ筒部610の下端から側方に延び、洗浄配管15と接続される継手部615とを有する。第1ねじ筒部610は、外周面から径方向外方に延びる第1フランジ部612を有する。第1フランジ部612は、貫通孔50の開口径よりも大きな外径を有し、第1フランジ部612よりも上方の第1ねじ筒部610は、貫通孔50の開口径よりも若干小さな外径を有する。また、第1ねじ筒部610の周壁の内面には、後述する第2ノズル受け62の第2雄ねじ部621とねじ締結する第1雌ねじ部611が形成されている。第1フランジ部612は上面が平坦に形成され、第1ねじ筒部610が下方から貫通孔50に挿通されると、上面が浴槽底壁23外側の貫通孔50の周縁部に配置される後述する第1シール部材64の下方鍔部642の下面に当接するように形成されている。
【0026】
第2ノズル受け62は、上方及び下方に開口部を有する側方視略T字状の樹脂部材からなる。第2ノズル受け62は、浴槽底壁23内側の貫通孔50の周縁部に配置される環状の第2フランジ部622と、第2フランジ部622の内方側から下方に延びる第2ねじ筒部620とを有する。第2ねじ筒部620は、第1ねじ筒部610の内径と略同一の外径を有する。第2ねじ筒部620の周壁の外面には第1雌ねじ部611とねじ締結する第2雄ねじ部621が形成されており、第2ねじ筒部620の周壁の内面には、後述するノズル本体66のノズル側雄ねじ部661とねじ締結する第2雌ねじ部623が形成されている。
【0027】
第2フランジ部622の下面には、上方に凹の浅い略円環状の凹部が形成されており、凹部の上面は平坦に形成されている。また、第2フランジ部622は、第2ねじ筒部620が上方から第1ねじ筒部610に挿通されると、凹部に後述する第1シール部材64の上方鍔部641及び滑りシート69が収容され、凹部の上面が滑りシート69の上面に当接するように形成されている。また、第2フランジ部622の上方開口部周縁には、上方及び径方向内方に開放する下方に凹の凹部625が形成されている。凹部625は、後述する第2シール部材68の外周縁と略同一の変形四角形状の外周端を有しており、第2シール部材68を収容する第2シール部材収容部として機能する。
【0028】
第1シール部材64は、弾性変形可能な側方視略I字状で環状のゴム部材からなる。第1シール部材64は、上方開口部周縁から径方向外方に延びる上方鍔部641と下方開口部周縁から径方向外方に延びる下方鍔部642とを有する。上方鍔部641と下方鍔部642との間には、浴槽底壁23の厚さよりも若干小さな高さの溝が形成されている。第1シール部材64は、上方鍔部641を浴槽底壁23内側の貫通孔50の周縁部に係止させ、下方鍔部642を浴槽底壁23外側の貫通孔50の周縁部に係止させることにより、貫通孔50の開口縁に嵌め込まれる。
【0029】
滑りシート69は、第1シール部材64の上方鍔部641と略同形状を有する扁平な環状の樹脂部材からなる。滑りシート69は、上面が既述した第2ノズル受け62の第2フランジ部622の凹部の上面に、下面が第1シール部材64の上方鍔部641の上面に当接するように形成されている。これにより、第1ノズル受け61と第2ノズル受け62とをねじ締結するときに、第2ノズル受け62による第1シール部材64の変形を防止することができる。
【0030】
ノズル本体66は、上方及び下方に開口部を有する側方視略T字状の樹脂部材からなる。ノズル本体66は、噴射口665が設けられたノズル頭部662と、ノズル頭部662の内方側から下方に延びるノズル筒部660とを有する。ノズル頭部662は、第2ノズル受け62の第2ねじ筒部620の内径よりも大きな外径を有する。また、ノズル頭部662は、下面が平坦に形成され、ノズル本体66のノズル筒部660を第2ノズル受け62の第2ねじ筒部620に上方から挿通させると、下面が後述する第2シール部材68の上面に当接するように形成されている。ノズル筒部660は、第2ねじ筒部620の内径と略同一の外径を有する。また、ノズル筒部660の周壁の外面には、第2ノズル受け62の第2ねじ筒部620の周壁の内面に形成された第2雌ねじ部623とねじ締結するノズル側雄ねじ部661が形成されている。
【0031】
ノズル頭部662の上面は略球面状に形成され、その中央に噴射口665が形成されている。また、噴射口665の周縁部には、一対の溝部668が噴射口665を中心に対向するように形成されている。噴射口665は、ノズル筒部660内に連通する下端から上方に向かって略円錐状に広がっている。また、噴射口665の下端は略小円形状に形成されており、噴射口665の上端は略楕円形状に形成されている。このため、噴射口665の上端の楕円の長軸の延びる方向と長辺側の浴槽側壁21の延びる方向とが一定の角度範囲内で並列するようにノズル本体66を位置決めすることにより、浴槽内壁面全体に満遍なく湯水を噴射させることができる。溝部668は、噴射口665の上端の楕円の長軸から径方向外方に向かって延びるように形成されている。従って、溝部668は、ノズル本体66を第2ノズル受け62にねじ締結するときの噴射口665の位置を決定するためのマーカとして利用することができる。
【0032】
ノズル筒部660の内部には、下端部から上方に延びる円筒状の下方流路と、下方流路の上端と連通し、噴射口665に連通する円錐台状の上方流路とが形成されている。下方流路内には、噴射口665の中央から湯水を噴射させるための中央孔と、噴射口665から湯水を螺旋状に噴射させるための複数の螺旋溝(図示せず)とを有するワーラー67が圧入されている。
【0033】
第2シール部材68は、弾性変形可能な扁平な環状のゴム部材からなる。第2シール部材68は、略円形状の内周縁と、平面視変形四角形状の外周縁とを有する。第2シール部材68は、第2ねじ筒部620の内径と略同一の内径を有する。また、第2シール部材68の外周縁は、4か所の頂部681で径方向外方に突出している。第2シール部材68は、既述した第2ノズル受け62に形成された凹部625に収容されたとき、4つの頂部681が凹部625の外周端に形成された角部にそれぞれ係止される。
【0034】
次に、本実施の形態の浴槽洗浄ノズル6の浴槽底壁23への取付方法について説明する。ここでは、スリップパターンの隣接する凸部23a間の間隔よりも大きな開口径を有する貫通孔50が開設された浴槽底壁23への浴槽洗浄ノズル6の取付方法について説明するが、凸部23aのない位置に貫通孔50を開設した場合でも同様である。
【0035】
まず、貫通孔50の開口縁に第1シール部材64を嵌め込む。これにより、上方鍔部641が浴槽底壁23内側の貫通孔50の周縁部の上面に当接し、下方鍔部642が浴槽底壁23外側の貫通孔50の周縁部の下面に当接する。次に、第1ねじ筒部610の上端が貫通孔50内に位置し、第1フランジ部612が第1シール部材64の下方鍔部642と対向するように、第1ノズル受け61を浴槽底壁23外側の貫通孔50の周縁部に配設する。
【0036】
次いで、第1シール部材64の上方鍔部641上に滑りシート69を載置させた状態で上方から第2ノズル受け62の第2ねじ筒部620を第1ノズル受け61の第1ねじ筒部610に挿通させ、第2ねじ筒部620の周壁の外面に形成された第2雄ねじ部621を第1ねじ筒部610の周壁の内面に形成された第1雌ねじ部611に螺合させていく。これにより、第1ノズル受け61の第1ねじ筒部610の外周面から径方向外方に延びる第1フランジ部612が、浴槽底壁23外側の貫通孔50の周縁部に当接する第1シール部材64の下方鍔部642を下方から押圧し、第2ノズル受け62の第2フランジ部622が浴槽底壁23内側の貫通孔50の周縁部に当接する第1シール部材64の上方鍔部641を滑りシート69を介して上方から押圧して、第1ノズル受け61と第2ノズル受け62とで第1シール部材64を介して浴槽底壁23を挟み込む。このとき、第2フランジ部622や第1シール部材64の上方鍔部641がスリップパターンの凸部23a上に乗り上げると、第2フランジ部622と浴槽底壁23内側の貫通孔50の周縁部との間のシール性が低下する虞がある。
【0037】
しかしながら、本実施の形態によれば、第1ノズル受け61と第2ノズル受け62とをねじ締結させると、浴槽底壁23外側に位置する第1ノズル受け61の第1フランジ部612は第1シール部材64の下方鍔部642を押圧するから、両者が液密に固定される。これにより、スリップパターンの凸部23aによって浴槽底壁23内側の貫通孔50の周縁部のシール性が低下した場合でも、第1ノズル受け61の外周面を伝って浴槽底壁23内側から浴槽底壁23外側への水の漏洩を防止することができる。また、第2フランジ部622と浴槽底壁23内側の貫通孔50の周縁部との間のシール性が低下して水が浴槽洗浄ノズル6内に浸入しても、浴槽洗浄ノズル6の流路内に流れ込むから、浴槽底壁23外側への水の漏洩を防止することができる。
【0038】
上記のようにして、第1ノズル受け61と第2ノズル受け62とで浴槽底壁23が挟持された状態で、第2シール部材68を第2ノズル受け62の上面に設けられた凹部625に収容させる。そして、上方からノズル本体66のノズル筒部660を第2ノズル受け62の第2ねじ筒部620に挿通させ、ノズル筒部660の周壁の外面に形成されたノズル側雄ねじ部661を第2ねじ筒部620の周壁の内面に形成された第2雌ねじ部623に螺合させていく。これにより、第1ノズル受け61とノズル本体66とが連通して、湯水の流路が形成される。また、ノズル頭部662が第2シール部材68を押圧して、ノズル本体66と第2ノズル受け62とが液密に固定される。なお、図3から理解されるように、湯水は、第1ノズル受け61からノズル筒部660を通って上方に流れるため、流路内を流れる湯水の圧力はノズル本体66と第2ノズル受け62とのねじ締結部に主に作用し、第1ノズル受け61と第2ノズル受け62とのねじ締結部には作用し難い。従って、第1ノズル受け61と第2ノズル受け62との締結は湯水の圧力の影響を受け難いから、確実に水の漏洩を防止することができる。また、ノズル本体66と第2ノズル受け62との締結が緩んでも、浴槽底壁23内側の水は浴槽洗浄ノズル6の流路内に流れ込むから、浴槽底壁23外側への水漏れを防止することができる。
【0039】
また、既述したように、貫通孔50が開設される位置におけるスリップパターンの有無や凸部23aの高さによって、浴槽底壁23内側に設けられる第2ノズル受け62の上下位置が異なってくる。そのため、貫通孔50の開設位置や凸部23aの高さによって第2ノズル受け62の第2ねじ筒部620を第1ノズル受け61の第1ねじ筒部610にねじ締結させたときの第2雄ねじ部621の第1雌ねじ部611へのねじ締結量が異なってくる。従って、特許文献1のように、浴槽底壁23内側に設けられるノズル本体を直接、浴槽底壁23外側に設けられるノズル受けにねじ締結する浴槽洗浄ノズルでは、シール性を確保するためにノズル本体を最終締結位置までねじ込んだときに貫通孔50の開設位置や凸部23aの高さによって浴槽2に対する噴射口665の取付角度が異なってくるため、洗浄性能が低下する。
【0040】
しかしながら、本実施の形態によれば、ノズル本体66は貫通孔50の周縁部の浴槽底壁23を挟持する第1ノズル受け61及び第2ノズル受け62とは別部品からなり、ノズル本体66と第2ノズル受け62との間には弾性変形可能な第2シール部材68が介設されているから、ノズル本体66と第2ノズル受け62とをねじ締結するときに第2シール部材68の圧縮範囲内においてノズル本体66のねじ締結量を調整しながら浴槽2に対して噴射口665が所定の取付角度となるようにノズル本体66を設置することができる。これにより、貫通孔50の開設位置やスリップパターンの凸部23aの高さに関わらず、優れた洗浄性能を確保することができる。また、上記したように、ノズル本体66と第2ノズル受け62との間のシール性が低下しても、水は浴槽洗浄ノズル6の流路内に流れ込むから、浴槽底壁23外側への水の漏洩を防止することができる。また、貫通孔50の開設位置やスリップパターンの凸部23aの高さによる取付時の制限が緩和されるから、高い汎用性を有する浴槽洗浄ノズル6を提供することができる。
【0041】
また、本実施の形態によれば、第1ノズル受け61と第2ノズル受け62とはねじ締結により接続され、第1ノズル受け61の第1フランジ部612及び第2ノズル受け62の第2フランジ部622が当接する第1シール部材64は弾性変形可能であるから、第1ノズル受け61と第2ノズル受け62とをねじ締結するときに第1ノズル受け61と第2ノズル受け62の位置を調整しながらねじ締結することができる。これにより、より柔軟に噴射口665を所定位置に設置することができ、優れた洗浄性能を確保することができる。
【0042】
また、第2シール部材68の外周縁は変形四角形状を有し、頂部681が第2ノズル受け62に設けられた凹部625の外周端に係止されるから、第2シール部材68を圧縮させてノズル本体66と第2ノズル受け62とをねじ締結するときにノズル本体66に伴う第2シール部材68の回動が規制される。すなわち、第2シール部材68の外周縁に形成された各頂部681は回動規制部として機能する。これにより、浴槽洗浄ノズル6の取付時の第2シール部材68の変形を防止して、適切に噴射口665を所定位置に設置することができる。なお、回動を規制できれば、頂部681は、第2シール部材68の外周縁に3箇所以下設けられてもよいし、5箇所以上設けられてもよい。
【0043】
なお、上記実施の形態では、ノズル側ねじ部としてノズル筒部660に雄ねじ部が形成されているが、雌ねじ部を形成してもよい。ただし、この場合、第2ノズル受け62には、ノズル筒部660の雌ねじ部とねじ締結する雄ねじ部を周壁の外面に、第1ノズル受け61とねじ締結する雌ねじ部を周壁の内面に有する第2ねじ筒部620がノズル筒部660よりも内方側に形成される。このため、ノズル筒部660と第1シール部材64との間に内方側の周壁と連結された他の周壁を設ける必要があり、径方向に配置される周壁が増加する。また、上記のように第1ノズル受け61の第1ねじ筒部610の周壁は、貫通孔50のより内方側に配置される。その結果、ノズル筒部660に雄ねじ部が形成されているときの流路幅と同じ流路幅を確保しようとすると、より大きな貫通孔50を形成する必要がある。従って、上記実施の形態のねじ締結構造とすることによって、よりコンパクトでシール性に優れる浴槽洗浄ノズル6を提供することができる。
【0044】
以上のように、本実施の形態によれば、シール性及び洗浄性能に優れ、高い汎用性を有する洗浄ノズルを提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
6 浴槽洗浄ノズル
23 底壁
50 貫通孔
61 第1ノズル受け
62 第2ノズル受け
64 第1シール部材
66 ノズル本体
68 第2シール部材
610 第1ねじ筒部
620 第2ねじ筒部
660 ノズル筒部
665 噴射口
図1
図2
図3