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特許7429641ハイブリッドシンチレーション材料を製造するための重合組成物および関連するキット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ハイブリッドシンチレーション材料を製造するための重合組成物および関連するキット
(51)【国際特許分類】
   C09K 11/06 20060101AFI20240201BHJP
   G01T 1/20 20060101ALI20240201BHJP
   G01T 1/203 20060101ALI20240201BHJP
   C08K 5/01 20060101ALI20240201BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240201BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C09K11/06 601
G01T1/20 B
G01T1/203
C09K11/06 655
C09K11/06 610
C08K5/01
C08L101/00
C08F2/44 B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020534855
(86)(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-03-11
(86)【国際出願番号】 FR2018053496
(87)【国際公開番号】W WO2019122774
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2021-12-17
(31)【優先権主張番号】1763199
(32)【優先日】2017-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】513155611
【氏名又は名称】コミサーリャ ア レナジー アトミック エー オー エナジー アルタナティブ
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
【住所又は居所原語表記】25 rue Leblanc, Batiment Le Ponant D, F-75015 Paris France
(74)【代理人】
【識別番号】100133503
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 一哉
(72)【発明者】
【氏名】アメル, マチュー
【審査官】黒川 美陶
(56)【参考文献】
【文献】英国特許出願公告第01377703(GB,A)
【文献】国際公開第2017/156320(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/118533(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 11/00-11/89
G01T
C08L
C08F
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチックシンチレーション検出用ハイブリッド材料を製造するための重合組成物であって、
-ポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、
-液体蛍光性混合物であって、前記液体蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む液体蛍光性混合物と、
を含む、重合組成物。
【請求項2】
前記液体蛍光性混合物が96モル%~99.1モル%の前記主要一次蛍光色素分子を含む、請求項1に記載の重合組成物。
【請求項3】
前記液体蛍光性混合物が二次蛍光色素分子を含む、請求項1または2のいずれか一項に記載の重合組成物。
【請求項4】
前記二次蛍光色素分子が、重合組成物の重量に関して、0.002重量%~0.5重量%に含まれる重量濃度である、請求項3に記載の重合組成物。
【請求項5】
重合溶媒をさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の重合組成物。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか一項に記載の重合組成物の製造のための混合された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットであって、別々に、それらを組み立てる目的で、前記キットの以下の成分:
i)請求項1に定義されているとおりのポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、
ii)重合キット用蛍光性混合物であって、前記重合キット用蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度として、
i)95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む重合キット用蛍光性混合物と、
を含む、キット。
【請求項7】
-前記モノマー、前記オリゴマーまたはこれらの混合物を含有する第一の区画I)と、
-前記重合キット用蛍光性混合物を含有する第二の区画II)と、
を含む、請求項6に記載の混合された蛍光色素分子を有する即時使用可能キット。
【請求項8】
請求項3または4のいずれか一項に定義されているとおりの二次蛍光色素分子、重合溶媒またはこれらの混合物が、i)モノマー、オリゴマーもしくはこれらの混合物および/またはii)前記重合キット用蛍光性混合物と混合されている、請求項6または7のいずれか一項に記載の混合された蛍光色素分子を有する即時使用可能キット。
【請求項9】
プラスチックシンチレーション検出用ハイブリッド材料を製造するための重合組成物の製造用の分離された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットであって、
-ポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、
-液体蛍光性混合物であって、前記液体蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.4モル%~20モル%の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む液体蛍光性混合物と、
を含み、
分離された蛍光色素分子を有する前記即時使用可能キットが、別々に、それらを組み立てる目的で、以下のキットの成分:
i’)前記ポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、前記キット中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、80モル%~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子とを含む第一の重合混合物と、
ii’)前記ポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、前記キット中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、0.4モル%~20モル%の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子とを含む第二の重合混合物と、
を含む、キット。
【請求項10】
-前記第一の重合混合物を含有する第一の区画I’)と、
-前記第二の重合混合物を含有する第二の区画II’)と、
を含む、請求項9に記載の分離された蛍光色素分子を有する即時使用可能キット。
【請求項11】
前記第一の重合混合物および/または前記第二の重合混合物が、重合組成物の重量に関して、0.002重量%~0.5重量%に含まれる重量濃度である二次蛍光色素分子、重合溶媒またはこれらの混合物を含む、請求項9または10のいずれか一項に記載の分離された蛍光色素分子を有する即時使用可能キット。
【請求項12】
押出混合物の製造用ポリマーを有する即時使用可能キットであって、別々に、それらを組み立てる目的で、前記キットの以下の成分:
i’’)モノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物から形成された少なくとも1つの構成成分ポリマーを含むポリマーマトリックスを形成することが意図された重合された成分と、
ii’’)押出キット用蛍光性混合物であって、前記押出キット用蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.4モル%~20モル%の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む押出キット用蛍光性混合物と、
を含む、キット。
【請求項13】
-前記重合された成分を含有する第一の区画I’’)と、
-前記押出キット用液体蛍光性混合物を含有する第二の区画II’’)と、
を含む、請求項12に記載のポリマーを有する即時使用可能キット。
【請求項14】
重合組成物の重量に関して、0.002重量%~0.5重量%に含まれる重量濃度である二次蛍光色素分子、重合溶媒またはこれらの混合物が、i)前記重合された成分および/またはii)前記押出キット用蛍光性混合物と混合されている、請求項12または13のいずれか一項に記載のポリマーを有する即時使用可能キット。
【請求項15】
重合組成物の重量に関して、0.002重量%~0.5重量%に含まれる重量濃度である二次蛍光色素分子および/または重合溶媒を含有する二次区画、
をさらに含む、請求項12~14のいずれか一項に記載のポリマーを有する即時使用可能キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックシンチレーション技術による放射能の測定の分野に属する。
【0002】
本発明は、より具体的には、プラスチックシンチレーションによる測定用の材料、該材料を含むパーツおよびその関連する測定機器または装置の物品、重合組成物、該材料の製造のためのキット、関連する製造方法および前記機器を用いたプラスチックシンチレーションによる測定方法にも関する。
【背景技術】
【0003】
プラスチックシンチレーション測定では、とりわけ、物理学、地質学、生物学または医学において、年代決定、環境モニタリングまたは核兵器の不拡散の監視のために、1または複数の放射性物質の存在および/または量を測定する。
【0004】
実際には、放射線/物質相互作用から生じるエネルギーデポジットを、例えば、光電子増倍管などの増幅を有する光子-電子変換器によって測定することができる光放射(「放射線発光」放射として知られる。)へ変換する「プラスチックシンチレータ」として知られるシンチレーション材料へ、電離放射線または電離粒子(α粒子、電子、陽電子、光子、ニュートロンなど)を発する放射性物質が曝露される。
【0005】
プラスチックシンチレータは、二十世紀中頃から公知である。プラスチックシンチレータは、例えば、“Moser,S.W.;Harder,W.F.;Hurlbut,C.R.;Kusner,M.R.;“Principles and practice of plastic scintillator design”,Radiat.Phys.Chem.,1993,vol.41,No.1/2,31-36”[参考文献1]および“Bertrand,G.H.V.;Hamel,M.;Sguerra,F.;“Current status on plastic scintillators modifications”,Chem.Eur.J.,2014,20,15660-15685”[参考文献2]などの文献中に記載されている。プラスチックシンチレータは、一般に、一次蛍光色素分子、実際には二次蛍光色素分子さえその中に挿入されるポリマーマトリックスの形態で与えられる。蛍光色素分子は、光子またはその他の入射粒子による励起後に可視蛍光を発することができる化学的化合物である。一次蛍光色素分子および二次蛍光色素分子は、シンチレーション検出を可能とする蛍光特性を有する芳香族分子(蛍光色素分子として知られる分子)によって構成される。
【0006】
ポリマーマトリックスの主な役割は、電離放射線のエネルギーまたは電離粒子のエネルギーを受容することができる支持体であることである。次いで形成される励起したおよび/または電離した実体の再結合後に、このエネルギーは放射線発光放射へ変換され、次いで、一次蛍光色素分子へ転移され、一次蛍光色素分子の検出を改善するために一次蛍光色素分子によって発せられた放射線の波長を増大させることができる二次蛍光色素分子へ必要に応じて転移される。
【0007】
フォスウィッチ型(フォスフォラスという用語とサンドイッチという用語の組み合わせによって得られたアングロサクソン系の造語であり、一般に、「サンドイッチシンチレータ」を意味するように翻訳される。)の特定のプラスチックシンチレータが、プラスチックシンチレータの開発の開始から文献“Wilkinson D.H.,“The Phoswich-A Multiple Phosphor”,Rev.Sci.Instrum.1952,23,414-417”[参考文献3]において提案された。
【0008】
新規シンチレーション特性を得る目的で、一方では、フォスウィッチシンチレータは、低速シンチレータ(一般的には、200n秒~1000n秒に含まれる高い蛍光減衰定数)を含む区画、および他方では、高速シンチレータ(一般的には、2n秒~7n秒のずっと低い蛍光減衰定数)を含む別の区画という少なくとも2つの区画を組み合わせる。
【0009】
それにもかかわらず、このようなシンチレータは、以下の課題の少なくとも1つを生じる。
-高速区画の蛍光減衰定数と低速区画の蛍光減衰定数との差が小さすぎ、そのため、これらの段階間のシンチレーションパルスの分離が電子的に可能でない;
-高速区画の蛍光減衰定数と低速区画の蛍光減衰定数との差が大きすぎ、低速シンチレータのシンチレーションパルスが、シンチレーションパルス捕捉機器の電子的バックグラウンドノイズ中に部分的にまたは完全に遮蔽され得、これは、誤った値の取得をもたらすことがある;
-発光シグナルが、低速区画の蛍光減衰定数の典型的にはおよそ6~10倍の期間にわたって捕捉される。フォスウィッチシンチレータとの相互作用における電離粒子の多重度または電離放射線の高強度に起因する高い計数率が生じると、シンチレーションパルスのパイルアップ(すなわち、同一の捕捉時間窓中に2つのパルスが存在すること)の確率が次第に高くなる。このため、いくつかのパルスが同じ捕捉時間窓内に出現することがあり得、これは、捕捉電子機器の飽和の現象によるパイルアップの拒絶をもたらし、したがって、計数率の過小評価をもたらす。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【文献】Moser,S.W.;Harder,W.F.;Hurlbut,C.R.;Kusner,M.R.;“Principles and practice of plastic scintillator design”,Radiat.Phys.Chem.,1993,vol.41,No.1/2,31-36
【文献】Bertrand,G.H.V.;Hamel,M.;Sguerra,F.;“Current status on plastic scintillators modifications”,Chem.Eur.J.,2014,20,15660-15685
【文献】Wilkinson D.H.,“The Phoswich-A Multiple Phosphor”,Rev.Sci.Instrum.1952,23,414-417
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、本発明の目的の1つは、「ハイブリッド材料」と称されるプラスチックシンチレータの構成成分材料の新規種類を提供することによって、上記欠点の1つまたは複数を回避または緩和することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、プラスチックシンチレーション測定用ハイブリッド材料であって、
-ポリマーマトリックスと、
-前記ポリマーマトリックス中に取り込まれた蛍光性混合物であって、前記取り込まれた蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、および非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2より大きい、典型的には0.2~1に含まれ、好適には0.5より大きい、典型的には0.5~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む蛍光性混合物と、
を含む(実際には、からなることさえある)、プラスチックシンチレーション用ハイブリッド材料に関する。
【0013】
本発明のハイブリッド材料は、とりわけ、この材料が以下に記載されている本発明にしたがって使用されるときには、とりわけ、パーツ、機器、装置の物品およびこれらの関連する方法に対して使用されるときには、ある種の化合物を除外することもできる。より具体的には、本発明のハイブリッド材料は、特に材料の総重量に関して、以下の化合物の1つまたは複数を含まない。
-重合開始剤、例えば、光開始剤、具体的には、TPO(2,4,6-トリメチルベンゾイル(ジフェニル)ホスフィンオキシド)、より具体的には0.5重量%のTPOなど。これは、重合を開始するための光開始剤の使用は、より低いシンチレーション収率を有する、実際には光子活性化源による光退色を受ける蛍光色素分子さえ含有するシンチレータをもたらし得るからであり、ならびに/または
-15%のナフタレン、1.5%のPPO、0.08%のPOPOP、0.5%のTPOおよび残りはTMPTA(エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレート);ならびに/または
-10%のナフタレン、0.1%のPPO、0.1%のPOPOPおよび残りはポリスチレン;ならびに/または
-例えば、鉛、スズ、ビスマスまたはこれらの混合物から選択される金属元素を含む金属化合物(すなわち、無機または有機金属化合物)。このような金属元素は、シンチレーション収率を低下させ得る;ならびに/または
-二次蛍光色素分子。
【0014】
これらの化合物の除外の1つまたは複数は、以下に記載されているとおりの、重合組成物および/または本発明の即時使用可能キットにも当てはまり得る。
【0015】
蛍光量子収率測定に適した非極性溶媒は、例えば、シクロヘキサン、トルエン、ジクロロメタン、キシレンまたは任意のキシレン異性体である。
【0016】
本発明によるプラスチックシンチレーション測定用材料は、本明細書においては、「プラスチックシンチレータ」という表現によっても表され得る。本発明によるプラスチックシンチレーション測定用材料は、その蛍光減衰定数が、高速プラスチックシンチレータの蛍光減衰定数と低速プラスチックシンチレータの蛍光減衰定数の中間にあるので、「ハイブリッド」として知られる。有利には、さらに、この定数の値は、10n秒~90n秒(好適には、15n秒~80n秒)に含まれる中間範囲において、ハイブリッド材料の製造の間に最適に選択することができ、本発明者が知る限り、これらの両端の間にある値については、現在市販されている古典的シンチレータによって得られない。この定数の値は、具体的には、25n秒~75n秒、より具体的には、28n秒~70n秒の間で選択することができる。
【0017】
ハイブリッド材料の蛍光減衰定数の時間のこの可変性は、おそらくは、特定の蛍光性混合物の使用によって与えられる。この混合物は、とりわけ、主要一次蛍光色素分子としてのナフタレンおよび特定の光物理学的特性を有する追加的一次蛍光色素分子を組み合わせて選択することを特徴とし、これら2つの一次蛍光色素分子間の規定の濃度比の選択も特徴とする。
【0018】
予想外のことに、実施例によって示されるように、主要一次蛍光色素分子と追加的一次蛍光色素分子は、追加的一次蛍光色素分子に対して低下した濃度範囲を使用しながら、蛍光減衰定数を極めて大幅に変動するように相乗的に作用する。さらに、本質的にこれら2つの一次蛍光色素分子間のこの組み合わせを必要とする、このシステムの相対的な単純さは、破壊的なまたは高価な可能性があるさらなる分子の追加を回避する。これらの有利な特性のために、本発明のハイブリッド材料は、工業的規模において、適度なコストで容易に製造することができるプラスチックシンチレーション測定用の特に効果的な材料となる。
【0019】
本分野の技術水準がたどってきた改良経路に反して、本発明は、上記欠点の少なくとも1つを克服するために、新規ポリマーマトリックスの使用、プラスチックシンチレータへの添加物の添加、または一次蛍光色素分子としての分子の新規ファミリー(「量子ドット」、有機金属錯体、ナノ粒子など)の開発からはならず、ハイブリッド材料の利用を可能にする本発明の蛍光性混合物を特定する。したがって、本発明に係るプラスチックシンチレーション測定用材料に必要な特徴の全ては、本質的に、ポリマーマトリックスおよび取り込まれた蛍光性混合物に限定され得る。したがって、最適化された放射線発光放射および蛍光減衰定数を得る目的で一次蛍光色素分子と二次蛍光色素分子の適切な割合を極めて正確に決定する困難さから免れることにより、プラスチックシンチレータの組成は簡略化される。したがって、上述のように、特定の実施形態によると、本発明のハイブリッド材料は、二次蛍光色素分子を含まない。
【0020】
ポリマーマトリックスの全部または一部を構成するポリマーの鎖は不安定であり、プラスチックシンチレータの異なる構成成分に運動の自由度を許容するので、分子的スケールでは、本発明のプラスチックシンチレータは、擬液体とみなすことができる。巨視的なスケールでは、プラスチックシンチレータは、それにもかかわらず、シンチレーション検出用パーツを製造するために十分な機械的強度を保持する。
【0021】
本発明は、単独でまたは技術的に可能な組み合わせのいずれか1つにしたがって、以下の主題および/または特徴によって完結する。
【0022】
本発明の本説明において、「含むこと(to comprise)」、「取り込むこと(to incorporate)」、「含むこと(to include)」、「含有すること(to contain)」などの動詞およびその結合型は非限定的な用語であり、したがって、これらの用語の後に記載された当初の要素および/または工程に追加される追加的要素および/または工程の存在を除外しない。しかしながら、これらの非限定的な用語は、いずれの他のものも除外して、当初の要素および/または工程のみが対象とされる特定の実施形態がさらに対象とされ、この場合には、非限定的な用語は、限定的な用語「からなること(to consist of)」、「構成すること(to constitute)」、「構成すること(to compose of)」およびその結合型をさらに対象とする。
【0023】
要素または工程に対する不定冠詞「a」または「an」の使用は、別段の言及がなければ、「1または複数の」という表現で代替できるように、複数の要素または工程の存在を除外しない。
【0024】
特許請求の範囲中の括弧内にあるいずれの参照符号も、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0025】
材料/要素に対する「本明細書に記載されている代替的形態の1または複数にしたがって」という表現は、とりわけ、この材料の構成成分およびそれが含有し得る任意のさらなる化学的実体の化学的組成および/または割合に関する代替的形態を表し、とりわけ、この要素またはこの要素の構成成分部分要素の化学的組成、構造、形状、空間中での配置および/または化学的組成に関する代替的形態を表す。これらの代替的形態は、例えば、特許請求の範囲中に示されているものである。
【0026】
さらに、別段の記載がなければ、
-両端の値は、表記されているパラメータ中の範囲に含まれ;
-誤差の限界が表記されている場合を除き、記載された値に対する不確実性の限界は、表記された最終的な数字に対する最大誤差が、四捨五入に関する慣例から推定されるようにしなければならない例えば、3.5という測定に対しては、誤差の限界は3.45~3.54であり;
-表記されている温度は、大気圧での実施が考えられており;
-プラスチックシンチレータの成分の重量百分率はいずれも、プラスチックシンチレータの総重量を表し、残りはポリマーマトリックスによって構成される。
【0027】
本発明のハイブリッド材料のポリマーマトリックスは、モノマーまたはオリゴマー(それ自体、モノマーの重合から生じ得る)の重合から生じる、反復単位を含む少なくとも1つのポリマーから完全にまたは部分的に構成される。したがって、反復単位の化学的構造は、モノマーの化学的構造と類似しており、モノマーの構造が重合反応によって改変されているに過ぎない。本明細書において、ポリマーは、それぞれ、ホモポリマーまたはコポリマー、すなわち、同一のまたは異なる化学的構造の反復単位を含むことができるポリマーを表記し得る一般的な用語である。
【0028】
モノマーまたはオリゴマーは、例えば、少なくとも1つの、芳香族基(とりわけ、その光物理学的特性を使用するため)、(メタ)アクリル基(すなわち、アクリル基またはメタクリル基)またはビニル基を含む。重合可能な基は、不飽和エチレン炭素-炭素二重結合を含む基、例えば、(メタ)アクリル基またはビニル基などであり得る。さらに、この重合可能な基は、ラジカル重合にしたがって重合可能でなければならない。
【0029】
より具体的には、少なくとも1つのモノマーは、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-メチルナフタレン、N-ビニルカルバゾール、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルから選択することができ、実際には、さらに一般的には、その直鎖または分岐アルキル基が1~20の炭素原子を含むメタクリル酸アルキルから選択することができる。
【0030】
好ましくは、モノマーは、対応するホモポリマーを形成するためにスチレンまたはビニルトルエンである。
【0031】
有利には、モノマーは、特異的な蛍光の特性を有する分子、例えば、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-メチルナフタレン、N-ビニルカルバゾールまたはこれらの混合物からより具体的に選択することができる。
【0032】
特定の実施形態によれば、本発明のハイブリッド材料のポリマーマトリックスは、トリアクリレートおよび/またはトリメタクリレート基を含むモノマーまたはオリゴマーの重合から得られる反復単位を含む少なくとも1つのポリマーを完全にまたは部分的に含まず、これは、例えば、TMPTA(エトキシル化されたトリメチロールプロパントリアクリレート)、特に、エトキシル化された(15)TMPTAなどのポリマーをポリマーマトリックスから除外する。有利には、これにより、脆弱な機械的特性を有するポリマーを除外することが可能になる。
【0033】
ポリマーマトリックスは、とりわけ、機械的および/またはシンチレーション特性を改善するために、ポリマー鎖が架橋する架橋によって互いに連結されている(例えば、架橋剤を用いて)少なくとも1つの架橋されたポリマーから完全にまたは部分的に(好ましくは、10重量%を超える、ポリマーマトリックス中のポリマー)構成されることができる。架橋剤は、重合後に、2つのポリマー鎖間に架橋を形成することができる少なくとも2つの重合可能な官能基を含むモノマーであり得る。架橋剤は、ジビニルベンゼン、ジアクリル酸アルキルまたはジメタクリル酸アルキルから選択することができ、これら最後の2つの炭化水素鎖は2~20の炭素原子を含有する。
【0034】
好ましくは、架橋剤は、ジメタクリル酸1,4-ブタンジイルまたはジビニルベンゼンである。
【0035】
架橋されたポリマーの重合後には、上記した反復単位を除けば、得られたコポリマーは、架橋剤の重合から生じる反復単位を含むことができる。
【0036】
ポリマーマトリックス中に取り込まれた蛍光性混合物である本発明のハイブリッド材料の他の主要構成成分の1つに関しては、ハイブリッド材料は、ハイブリッド材料の総重量に関して1重量%~25重量%の取り込まれた蛍光性混合物、実際には、1重量%~5重量%の取り込まれた蛍光性混合物を含むことができる。25重量%の濃度を上回ると、滲出、すなわち、プラスチックシンチレータからの蛍光性混合物の発汗が起こり得る。
【0037】
ハイブリッド材料中に取り込まれた蛍光性混合物の重量濃度は、ポリマーマトリックスの重量を決定することによって容易に計算することができる。
【0038】
当業者の方法の1つは、以下のとおりである:重合媒体中のモノマーおよびオリゴマーのモル濃度は予め知られており、またはUV分光光度法などの定量的測定方法によって決定することができる。対応する重量濃度は、続いて、分子量から計算される。実際には、モノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物は、予め測定することができるが、一般的には95%超、実際には98%超、実際には一般的には100%に等しい重合収率にしたがってポリマーマトリックスを形成する。その結果、ポリマーマトリックス中に存在するモノマーのおよびオリゴマーの重量による割合は、予め決定された重量濃度を乗じたこの反応収率に等しい。したがって、当業者は、当業者の一般的な知識を用いて、ハイブリッド材料の構成成分の全てについて、重量濃度をモル濃度に容易に変換することができる。
【0039】
取り込まれた蛍光性混合物の、主要一次蛍光色素分子の、追加的一次蛍光色素分子の、二次蛍光色素分子の、または追加的化合物の重量百分率またはモル百分率は、例えば、固体核磁気共鳴(NMR)などの分析技術によって、ハイブリッド材料中で事後的に決定することができる。別の技術は、プラスチックシンチレータをジクロロメタン中に溶解すること、ポリマーマトリックスの構成成分ポリマーをメタノールから沈殿させること、その濃度を測定することが所望されている分子を回収するために、得られた混合物をろ過すること、次いで、この分子の特定の構成成分原子の検出を用いる元素分析によって、分子を定量することに存する。
【0040】
ポリマーマトリックス中への蛍光性混合物の取り込みは、いくつかの実施形態にしたがって実施することができる。特に、主要一次蛍光色素分子、追加的一次蛍光色素分子またはこれらの混合物から選択された少なくとも1つの蛍光性分子は、ポリマーマトリックス中へのこの分子の分散によってまたはグラフティングによってポリマーマトリックス中に取り込まれることができる。グラフティングの場合には、蛍光性分子(一般的には、追加的一次蛍光色素分子)は、ポリマーマトリックスに共有結合される。この共有結合は、例えば、ポリマーマトリックス、すなわち、少なくとも1つの重合可能な官能基を含む蛍光性分子の重合による製造の間に形成される。
【0041】
必要に応じて、本発明のハイブリッド材料は、本発明のハイブリッド材料を用いたプラスチックシンチレーション測定に対して著しい影響を有しない、またはその特性のいくつかを改善する1または複数の物質を含有することができる。取り込まれた蛍光性混合物と同様、これらの物質は、一般的には、ハイブリッド材料中に均一にまたは不均一に分散されている。
【0042】
本発明のハイブリッド材料の減衰定数は、取り込まれた蛍光性混合物の減衰定数によって与えられる。したがって、取り込まれた蛍光性混合物は、したがってハイブリッド材料は、10n秒~90n秒に含まれる、実際には15n秒~80n秒に含まれる、有利には30n秒~80n秒、具体的には25n秒~75n秒、より具体的には28n秒~70n秒に含まれる蛍光減衰定数を有することができる。
【0043】
好適には、取り込まれた蛍光性混合物は、90モル%~99.1モル%の主要一次蛍光色素分子(より具体的には、90.0モル%~99.1モル%の主要一次蛍光色素分子、したがって、0.9モル%~10.0モル%の追加的一次蛍光色素分子)、より好適には、96モル%~99.1モル%の主要一次蛍光色素分子(より具体的には、96.0モル%~99.1モル%の主要一次蛍光色素分子、したがって、0.9モル%~4.0モル%の追加的一次蛍光色素分子)を含み、この適切に選択された濃度の主要一次蛍光色素分子および相補的濃度の追加的一次蛍光色素分子は、これらの濃度範囲において、それぞれ、16n秒~74n秒、より好適には30n秒~70n秒に含まれ得る蛍光減衰定数を取り込まれた蛍光性混合物に対して、したがって、ハイブリッド材料に対して付与する。
【0044】
好ましくは、取り込まれた蛍光性混合物は、i)95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、ii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含む。この濃度範囲によると、本発明のハイブリッド材料の蛍光減衰定数は、25n秒~75n秒、より具体的には28n秒~70n秒に含まれ得る。
【0045】
したがって、一次蛍光色素分子のこれらの好適な濃度範囲は、増加する高い蛍光減衰定数をハイブリッド材料に対して付与することができる。そのため、このようなハイブリッド材料は、β粒子とγ線間の識別を改善するために、フォスウィッチ型のプラスチックシンチレーションによる検出用機器中の、必要に応じて高速プラスチックシンチレータ区画と組み合わされたハイブリッドプラスチックシンチレータ区画の組成に有利に関与することができる。さらに、一次蛍光色素分子のこれらの好適な濃度範囲は、本発明のハイブリッド材料のシンチレーション収率と可変性の適切な折衷に相当する。
【0046】
例えば、取り込まれた蛍光性混合物(混合物の残りは、追加的一次蛍光色素分子によって構成されている。)中の主要一次蛍光色素分子の可変モル濃度は、ハイブリッド材料に対して、以下の蛍光減衰定数を必要に応じて付与することができる。
-86%のモル濃度:15n秒;
-95.6%のモル濃度:28n秒;
-96%のモル濃度:35n秒;
-99%のモル濃度:80n秒;
-100%のモル濃度:90n秒。
【0047】
好適には、追加的一次蛍光色素分子は、1n秒~10n秒に含まれる蛍光減衰定数(一般に、「τ」と表記される。)を有し、その重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率は0.5~1に含まれる。
【0048】
本明細書において、重心は、検討されている放射線のより大きな振幅のバンドの半値全幅の中央に対する波長を表す。光吸収スペクトルは、UV/可視分光光度計を用いて測定することができ、蛍光発光スペクトルは、分光蛍光光度計を用いて測定することができる。
【0049】
蛍光減衰定数は、光ルミネセンス強度の経時的変動に対応する。蛍光減衰定数は、例えば、以下のインターネットアドレスからオンラインで入手可能な文献“M.Wahl,“Time-Correlated Single Photon Counting”,M.Wahl,Technical instructions from PicoQuant,2014”[参考文献4]:
“https://www.picoquant.com/images/uploads/page/files/7253/technote_tcspc.pdf”、
および研究“D.V.O’Connor,D.Phillips,“Time Correlated Single Photon Counting”,Academic Press,New York,1984,pages 25 to 34”[参考文献5]に記載されているように、時間相関単一光子計数によって測定される。
【0050】
蛍光量子収率は、ハイブリッド材料によって吸収される光子の量当たりに発せられる発光光子の割合に対応する。好ましくは、蛍光量子収率の値は、絶対的な測定方法、すなわち、第三の化合物および較正関数を伴わない方法に従って得られる。例えば、蛍光量子収率の値は、分光蛍光光度計のモジュールとして積分球を用いて測定される。絶対値の測定に関しては、文献“Rohwer,L.S.,Martin,J.E.;“Measuring the absolute quantum efficiency of luminescent materials”,J.Lumin.,2005,115,pages77-90”[参考文献6]を参照し得る。
【0051】
蛍光量子収率の値は、相対的測定方法にしたがって取得することも可能であり、その原理は、以下のとおりである。すなわち、第三の化合物の絶対的蛍光量子収率を知ること、絶対的測定の値は、単純な3の法則によって得られる。例えば、積分球なしに、試料の相対的測定によって、蛍光量子収率を決定することができる(以下のインターネットアドレス:https://www.nist.gov/sites/default/files/documents/srm/SP260-64.PDFからオンラインで入手可能な文献“Velapoli,R.A.,;Mielenz,K.D.,“A Fluorescence Standard Reference Material:Quinine Sulfate Dihydrate”,Appl.Opt.,1981,20,1718”[参考文献7])では、例えば、第三の化合物として硫酸キニーネの参照溶液が使用されている。)。
【0052】
一般的には、絶対的測定方法および相対的測定方法によって得られる値は同一であるか、または類似している。
【0053】
有利には、二次蛍光色素分子との相互作用効果が最適となるように、追加的一次蛍光色素分子は、その重心が355nm~365nmに含まれる波長にある、典型的には、およそ360nmに中心がある蛍光発光スペクトルを有することができる。
【0054】
時間相関単一光子計数は、光発光化合物またはその混合物の蛍光減衰定数の測定を可能にする分光法技術である。時間相関単一光子計数は、急速に減少する光線(観察されるべき引き換えに発せられる発光放射線に関して急速に減少する)を用いて蛍光色素分子または蛍光性混合物を励起すること、および次いで、光電子増倍管に連結された単色光分光器を用いて、光ルミネセンスの結果を観察することに存する。本発明のハイブリッド材料は、より具体的には、シンチレーションパルスの任意のパイルアップを防ぐために、低い周波数(典型的には、最大1MHz)で励起される。
【0055】
好適には、追加的一次蛍光色素分子は、
-オキサゾール(例えば、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)など)および/または
-3~6のフェニル環を含み、そのうち少なくとも1つのフェニル環が、オルト、メタまたは好ましくはパラ位に少なくとも1つの置換基(例えば、好ましくは1~10の炭素原子、好適には1~4の炭素原子を含む、直鎖または分岐の、好ましくは飽和の、アルキル置換基R)を必要に応じて含む炭化水素(すなわち、ヘテロ原子を有さない)である多環式芳香族化合物、例えば、p-テルフェニル(pTP)、m-テルフェニル(mTP)、p-クアテルフェニル、ビフェニル、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、4-イソプロピルビフェニル、p-セキシフェニルもしくはこれらの混合物など;および/または
-オキサジアゾール、例えば、2-フェニル-5-(4-ビフェニル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、2-(4’-(t-ブチル)フェニル)-5-(4’’-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(ブチル-PBD)もしくはこれらの混合物など;および/または
-アントラセンのファミリーの化合物、アントラセン、メタクリル酸9-アントラセニルもしくはこれらの混合物など;および/または
-ビニル基によって置換されたナフタレン(1-ビニルナフタレンまたは2-ビニルナフタレンなど)、上に定義されているとおりのR置換基によって置換されたナフタレン(例えば、1-メチルナフタレンなど)もしくはこれらの混合物;および/または
-カルバゾール、例えば、N-ビニルカルバゾール、N-エチルカルバゾール、N-(2-エチルヘキシル)カルバゾールもしくはこれらの混合物など;および/または
-テトラフェニルブタジエン
などの少なくとも1つの化合物から選択される。
【0056】
より具体的には、追加的一次蛍光色素分子は、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、p-テルフェニル(pTP)、実際にはm-テルフェニル(mTP)またはこれらの混合物である。
【0057】
上に示されているように、追加的一次蛍光色素分子は、例えば、追加的一次蛍光色素分子によって保有されるビニル、アリル、アクリルまたはメタクリル官能基の重合を介して、ポリマーマトリックスに共有結合され得る。例として、ポリマーマトリックスとのコポリマーを形成するために共有結合する目的で、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-メチルナフタレンまたはN-ビニルカルバゾールを使用することができる。
【0058】
取り込まれた蛍光性混合物は、二次蛍光色素分子をさらに含み得る。二次蛍光色素分子は、放射線発光放射の検出をさらに改善する。
【0059】
ハイブリッド材料の重量に関する二次蛍光色素分子の重量濃度は、0.002重量%~0.5重量%、好適には0.01重量%~0.2重量%、より好適には0.01重量%~0.1重量%に含まれ得る。
【0060】
例として、二次蛍光色素分子は、l,4-ジ[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン、l,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン、1,4-ビス(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン、9,10-ジフェニルアントラセンまたはこれらの混合物から選択され得る。ポリマーマトリックスは、次いで、ハイブリッド材料の重量に関して、0.002重量%~0.2重量%の二次蛍光色素分子を含む。
【0061】
第一の実施形態によれば、二次蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および405nm~460nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれるように選択することができる。したがって、二次蛍光色素分子は、1,4-ビス(5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(ジメチルPOPOP)、ビス-メチルスチリルベンゼン(ビス-MSB)、9,10-ジフェニルアントラセン(9,10-DPA)またはこれらの混合物から選択され得る。これらの二次蛍光色素分子の分子構造が、以下に図示されている。
【化1】
【0062】
第二の実施形態によれば、二次蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および460nm~550nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれるように選択することができる。次いで、二次蛍光色素分子は、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン151、クマリン314、クマリン334、3-ヒドロキシフラボンまたはこれらの混合物から選択することができる。これらの二次蛍光色素分子の分子構造が、以下に図示されている。
【化2】
【0063】
第三の実施形態によれば、第二の蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および550nm~630nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれるように選択することができる。二次蛍光色素分子は、それ故、ナイルレッド、ローダミンBまたはその塩の1つ、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン(DCM)、ピロメテン580、N-アルキルまたはN-アルキルまたはN-アリールペリレンジイミドの任意の分子(例えば、N,N’-ビス(2,5-ジ(tert-ブチル)フェニル)-3,4,9,10-ペリレンジカルボキシイミドなど)から選択することができる。これらの二次蛍光色素分子の分子構造が、以下に図示されている。
【化3】
【0064】
本発明は、とりわけ、この材料に対して記載されている代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりであり得る本発明のハイブリッド材料の、重合媒体を介した重合による製造方法にも関する。
【0065】
重合によるハイブリッド材料の製造方法は、以下の連続する工程:
a)重合媒体であって
-とりわけこのポリマーマトリックスに対して記載されている代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりであり得るポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、
-液体蛍光性混合物であって、液体蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1に含まれる、好適には0.5~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む液体蛍光性混合物と、
を含む重合媒体を用意すること、
b)ハイブリッド材料を得るために、前記重合媒体を重合すること、
を含む。
【0066】
ポリマーの前駆体(すなわち、上記モノマーおよび/またはオリゴマーなどの前駆体)の重合の工程b)の間に、主要一次蛍光色素分子および追加的一次蛍光色素分子ならびに重合媒体中に存在する任意の他の化合物は、一般的には、形成されているポリマーマトリックス中に均一に捕捉および分布される。
【0067】
その結果、本明細書において、「液体蛍光性混合物」は、主要一次蛍光色素分子と追加的一次蛍光色素分子を含み、工程b)を実施する前に重合媒体中に含有されている蛍光性混合物である。
【0068】
「取り込まれた蛍光性混合物」は、主要一次蛍光色素分子と追加的一次蛍光色素分子を含み、例えば、グラフティングまたは分散によって、重合工程b)の後にハイブリッド材料中に取り込まれる蛍光性混合物を表す。
【0069】
「押出用蛍光性混合物」は、ポリマーマトリックスを形成することが意図される重合された成分をさらに含有する押出混合物中に含有されている、主要一次蛍光色素分子と追加的一次蛍光色素分子とを含む蛍光性混合物を表す。
【0070】
重合媒体は、一般的には、溶媒を含まない。そのため、この製造方法は、「バルク重合」方法である。
【0071】
これにも関わらず、必要に応じて、重合媒体は重合溶媒をさらに含むことができる。そのため、この製造方法は、一般的に、溶媒を環流して実施される。重合媒体の溶媒は、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ベンゼン、テトラクロロメタンまたはこれらの混合物から選択することができる。
【0072】
モノマーまたはオリゴマーは、少なくとも1つの、芳香族基、(メタ)アクリル基またはビニル基を含むことができる。少なくとも1つのモノマーは、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-メチルナフタレン、N-ビニルカルバゾール、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルから選択することができる。
【0073】
重合媒体は、それに関する限り、1重量%~25重量%(実際には、1重量%~5重量%)の液体蛍光性混合物を含むことができる。
【0074】
液体蛍光性混合物は、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%(実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の主要一次蛍光色素分子、実際にはi)95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、ii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含むことができる。
【0075】
重合媒体は、ハイブリッド材料に対して特定の特性を与えるためにまたは特定の特性を改善するために、ハイブリッド材料中に取り込まれることが意図される少なくとも1つの化学的実体(例えば、二次蛍光色素分子)と、および/または重合工程b)の間に消費または修飾されることが意図される少なくとも1つの実体(例えば、架橋剤、重合開始剤)とをさらに含むことができる。
【0076】
重合媒体は、
-典型的には、0.002重量%~0.5重量%、実際には、0.002重量%~0.2重量%に含まれる重量濃度にしたがう二次蛍光色素分子と;および/または
-典型的には、0.1重量%~20重量%(より具体的には、20.0重量%)、実際には、0.001重量%~1重量%に含まれる重量濃度にしたがう架橋剤と;および/または
-典型的には、0.001重量%~1重量%の濃度にしたがう重合開始剤と、
を含むことができる。
【0077】
追加的一次蛍光色素分子、二次蛍光色素分子および/または架橋剤も、本明細書に記載されている代替的形態の1または複数にしたがって定義されているとおりであり得る。
【0078】
工程b)による重合反応は、当業者によって普通に使用される条件にしたがって実施することができる。
【0079】
したがって、工程b)による重合反応は、ラジカル重合を開始するために、重合開始剤、とりわけ光開始剤を用いて開始することができる。好ましくは、光開始剤は、例えば、TPOなどの紫外線照射下で活性化され得る光開始剤ではない。紫外線光開始剤は、残存化合物を生成し得、またはプラスチックシンチレーション材料のその他の化合物を修飾し得、これは優れたシンチレーション収率にとって有害なこの材料の光退色をもたらす。
【0080】
好ましくは、このような問題を可能な限り回避するために、本発明において使用される光開始剤は、可視光放射下で活性化され得る。例えば、国際公開第2013076281号[参考文献8]に記されているように、重合開始剤は、過酸化物化合物(例えば、過酸化ベンゾイル)、ニトリル化合物(例えば、アゾ(ビス)イソブチロニトリル(AIBN))またはこれらの混合物から選択することができる。
【0081】
とりわけメタクリレートモノマーを用いて、重合反応が実施される場合、重合反応は、重合媒体を適切な温度(一般的には、40℃~140℃に含まれる)まで加熱することによって、または重合媒体に2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノンを重合開始剤としてドープし、次いで、(例えば、355nmの波長で)紫外線下で照射を実施することによって誘導することができる。スチレンモノマーの存在下での重合反応は、典型的には、40℃~140℃で加熱することによって、熱的に誘導することができる。
【0082】
本発明の重合によるハイブリッド材料の製造方法は、重合工程b)の間に、重合媒体が(重合が完了するのに十分な期間、一般的には24時間)100℃~140℃に含まれる重合温度に加熱され、次いで、(一般的には、周囲温度、典型的には20℃に到達するために)ハイブリッド材料が得られるまで、10℃~20℃/日の速度にしたがって冷却されるような方法であり得る。
【0083】
例えば、重合媒体は、140℃で24時間加熱され得、次いで、20℃に戻るまで、20℃/日の速度にしたがって冷却され得る。
【0084】
本発明の重合媒体を介した重合による製造方法の工程a)およびb)は、本明細書に定義されているとおりのパーツまたはこのパーツのプレフォームを得るために、鋳型中で実施することができる。
【0085】
重合媒体を介した重合による本発明の製造方法は、本明細書に定義されているとおりのパーツを得るために、ハイブリッド材料またはパーツのプレフォームがその間に機械加工される工程c)をさらに含むことができる。この機械加工工程は、例えば、(例えば、旋盤上で)表面を精密研削し、次いで、表面を研磨することに存する。
【0086】
本発明は、とりわけ、重合媒体を介したハイブリッド材料の重合による製造方法に対して記載されている代替的形態の1または複数にしたがう重合媒体を介したハイブリッド材料の重合による製造方法によって取得されるまたは取得可能なハイブリッド材料にも関する。
【0087】
本発明は、ハイブリッド材料に対して本明細書において記載されている代替的形態の1または複数にしたがって定義され得るハイブリッド材料を含むプラスチックシンチレーション検出用パーツにも関する。
【0088】
一般的には、プラスチックシンチレーション検出用パーツは、したがって、
-ポリマーマトリックスと、
-前記ポリマーマトリックス中に取り込まれた蛍光性混合物であって、前記取り込まれた蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その発光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nm(実際には、355nm~365nm)に含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1(実際には、0.5~1)に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む蛍光性混合物と、
を含むハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成される。
【0089】
このパーツは、プラスチックシンチレーション検出用機器のユニット(例えば、光ファイバーなど)またはサブユニット(例えば、フォスウィッチ型の検出器のハイブリッド区画)であり得る。
【0090】
パーツの全部または一部を構成するハイブリッド材料のポリマーマトリックスは、少なくとも1つの、芳香族基、(メタ)アクリル基もしくはビニル基を含むモノマーの重合から生じる反復単位を含む少なくとも1つのポリマーから完全にもしくは部分的に構成され得、および/または少なくとも1つの架橋されたポリマーから完全にもしくは部分的に構成され得る。
【0091】
ポリマーマトリックスを形成することが意図される少なくともモノマーは、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-メチルナフタレン、N-ビニルカルバゾール、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルから選択される。好ましくは、モノマーは、スチレンまたはビニルトルエンである。
【0092】
本発明のプラスチックシンチレーション検出用パーツは、必要に応じて組み合わされる、以下の代替的形態にしたがって提供され得る。
-ハイブリッド材料は、1重量%~25重量%(実際には、1重量%~5重量%)の取り込まれた蛍光性混合物を含み、および/または;
取り込まれた蛍光性混合物は、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%(実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の主要一次蛍光色素分子を含み、および/または;実際には、ナフタレンからなる、95.6モル%~99.1モル%の主要一次蛍光色素分子と、ii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含み;
-追加的一次蛍光色素分子は、ポリマーマトリックスに共有結合されており、および/または;
-追加的一次蛍光色素分子は、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、p-テルフェニル(pTP)、m-テルフェニル(mTP)、ビフェニル、2-フェニル-5-(4-ビフェニリル-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、2-(4’-(t-ブチル)フェニル)-5-(4’’-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(ブチル-PBD)、アントラセン、p-クアテルフェニル、テトラフェニルブタジエン、N-エチルカルバゾール、N-(2-エチルヘキシル)カルバゾール、4-イソプロピルビフェニル、p-セキシフェニル、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-メチルナフタレン、N-ビニルカルバゾール、メタクリル酸9-アントラセニルもしくはこれらの混合物から選択され、追加的一次蛍光色素分子は、好ましくは、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、p-テルフェニル(pTP)、実際には、m-テルフェニル(mTP)もしくはこれらの混合物である。
【0093】
パーツのハイブリッド材料の取り込まれた蛍光性混合物は、例えば、ハイブリッド材料の重量に関して、0.002重量%~0.5重量%、実際には0.01重量%~0.2重量%に含まれる二次蛍光色素分子の重量濃度で、二次蛍光色素分子をさらに含むことができる。
【0094】
一次蛍光色素分子は、l,4-ジ[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン、l,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン、1,4-ビス(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン、9,10-ジフェニルアントラセンまたはこれらの混合物から選択され得る。
【0095】
第一の実施形態によれば、二次蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および405nm~460nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれる。
【0096】
この場合には、二次蛍光色素分子は、1,4-ビス(5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(ジメチルPOPOP)、ビス-メチルスチリルベンゼン(ビス-MSB)、9,10-ジフェニルアントラセン(9,10-DPA)またはこれらの混合物から選択され得る。
【0097】
第二の実施形態によれば、二次蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および460nm~550nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれる。
【0098】
この場合には、二次蛍光色素分子は、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン151、クマリン314、クマリン334、3-ヒドロキシフラボンまたはこれらの混合物から選択することができる。
【0099】
第三の実施形態によれば、二次蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および550nm~630nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれる。
【0100】
この場合には、二次蛍光色素分子は、ナイルレッド、ローダミンBまたはその塩の1つ、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン、ピロメテン580またはN-アルキルもしくはN-アリールペリレンジイミドから選択することができる。
【0101】
主要一次蛍光色素分子および追加的一次蛍光色素分子間の相対的割合が変動する可能性の故に、ハイブリッド材料(したがって、プラスチックシンチレーション検出用パーツ)は、10n秒~90n秒(実際には、15n秒~80n秒)、具体的には25n秒~75n秒、より具体的には28n秒~70n秒に含まれる蛍光減衰定数を有することができる。
【0102】
パーツは、多様な形状、例えば、平行六面体形状または円筒形状を有することができる。
【0103】
平行六面体形状のパーツは、例えば、プラスチックシンチレーション検出用機器中に取り込まれることが可能なプラスチックシンチレータ区画である。
【0104】
パーツが円筒形状を有し、例えば、プラスチックシンチレータ支柱の組成に関与する場合、パーツは正方形または長方形の断面を有することができる。
【0105】
円筒形状のパーツが、例えば、シンチレーション光ファイバーである場合(この場合には、ハイブリッド材料は、架橋されていない少なくとも1つのポリマーから完全にまたは部分的に構成されるポリマーマトリックスを含む)、パーツは円形、楕円形または六角形の断面を有することができる。
【0106】
光ファイバーは、光の屈折特性を活用する導波管である。光ファイバーは、一般に、被覆によって囲まれた殻から構成される。ファイバーの殻は、被覆よりわずかに高い屈折率(数千分の一の差)を有する。したがって、光は、全内部反射によって、殻を構成する内部ファイバーの材料と被覆材料との間の界面において、複数回完全に反射される。
【0107】
本発明のパーツとしてのシンチレーション光ファイバー10は、完全にまたは部分的にハイブリッド材料から構成されたポリマーファイバー11であって、ポリマーファイバーを被覆しおよびその屈折率が前記ハイブリッド材料の屈折率より小さい光ファイバー用被覆材料から完全にまたは部分的に構成されている被覆12が設けられておりまたは設けられておらず、前記ハイブリッド材料が架橋されていない少なくとも1つのポリマーから完全にまたは部分的に構成されたポリマーマトリックスを含むポリマーファイバー11を備えることができる。
【0108】
ファイバーの束を与えるために、いくつかのシンチレーション光ファイバーを組み合わせることができる。
【0109】
被覆の存在は必須ではない。例えば、パーツの目的がα粒子を検出することである場合、シンチレーション光ファイバーは、入射放射線のエネルギーが被覆によって大きく吸収されるのを防ぐために、専ら被覆を欠くポリマー内部ファイバーから構成される。
【0110】
それにもかかわらず、一般的には、シンチレーション光ファイバーは被覆を備え、その被覆材料は、光ファイバー、特にシンチレーション光ファイバーに対して通常使用される材料である。例えば、被覆材料は、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸ベンジル)、ポリ(メタクリル酸トリフルオロメチル)、ポリ(メタクリル酸トリフルオロエチル)またはこれらの混合物から選択される。
【0111】
本発明は、ハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成されるプラスチックシンチレーション検出用パーツの押出による製造方法であって、前記パーツが、本明細書に記載されている代替的形態の1または複数にしたがって定義されているとおりであることが可能であり、以下の連続する工程:
a’)押出混合物であって、
-とりわけ、記載されている代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりのポリマーマトリックスを形成することが意図された重合された成分と、ただし、ポリマーマトリックスが、少なくとも1つの架橋されたポリマーから完全にまたは部分的に(好ましくは、ポリマーマトリックス中の10重量%を超えるポリマー)構成される場合を除き;
-押出用蛍光性混合物であって、押出用蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%(実際には、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%、実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と;
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む押出用蛍光性混合物と、
を含む押出混合物を用意すること、
b’)170℃~200℃に含まれる押出温度での押出雰囲気下で、ハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成されるパーツを得るために金型を通じて押出混合物を押出すこと、
を含む、製造方法にも関する。
【0112】
押出用蛍光性混合物は、i)95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子およびii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子も含むことができる。
【0113】
押出による製造方法は、本質的に、熱によって軟化されまたは溶融状態になった時点で、金型を通じて継続的に強制されている重合された成分を変形する方法であり、金型は、該方法の終結時に得られるポリマーベースの賦形された要素に形状を与える。押出法は当業者に周知であり、例えば、文献“Techniques de l’ingenieur,Extrusion-extrusion monovis(partie 1),Reference AM3650,publication de 2002”[Techniques of the Engineer,Extrusion-single-screw extrusion(part 1),Reference AM3650,publication of 2002][参考文献9]に記載されている。
【0114】
使用できる重合された成分は、ガラス転移温度に依存する押出のために必要とされる温度でポリマーが分解されないように、熱的安定性を示す1または複数のポリマーから形成される。その化学的組成は、ポリマーマトリックスのものと同一である。
【0115】
重合された成分は、一般に、固体形態、特に、顆粒の形態である。
【0116】
押出工程b’)は、押出機(例えば、一軸、二軸または多軸型の押出機)または共混錬機を用いて実施することができる。典型的には、金型は、押出機の排出口に配置される。
【0117】
押出雰囲気は、押出混合物に関して化学的に不活性であり得る。このような雰囲気は、得られたポリマーマトリックスの酸化を制限し、または防止する。押出雰囲気は、例えば、窒素または例えば、アルゴンなどの希ガスを含む。
【0118】
典型的には、本発明の押出方法は、大気圧において、ナフタレンの蒸発温度である218℃未満の押出温度で、ただし、重合された成分を軟化または融解するのに十分に高い温度で、例えば、170℃~200℃に含まれる押出温度で実施される。
【0119】
押出工程b’)は、(例えば、一軸、二軸または多軸型の)押出機または共混錬機を用いて実施することができる。
【0120】
本発明は、ハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成されるプラスチックシンチレーション検出用パーツの重合による製造方法であって、前記パーツが、本明細書に記載されている代替的形態の1または複数にしたがって定義されているとおりであることが可能であり、以下の連続する工程:
a)第一の鋳型中に、第一の重合媒体であって、
-本明細書に記載されている代替的形態の1または複数にしたがって定義されているとおりのポリマーマトリックス(とりわけ、ポリマーマトリックスが、少なくとも1つの架橋されたポリマーから完全にまたは部分的に構成されている場合)の少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、
-液体蛍光性混合物であって、液体蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む液体蛍光性混合物と、
を含む第一の重合媒体を用意すること、
b)パーツを直接得るために、またはパーツを得るために続いて修飾される(例えば、とりわけプレフォームを線引きすることによって機械加工される)パーツのプレフォームを得るために、第一の重合媒体を重合すること、
にしたがう重合媒体を介した少なくとも1つの重合を含む、方法にも関する。
【0121】
重合によるパーツの製造方法において、蛍光性混合物は、第一の重合媒体においてモノマーおよび/またはオリゴマーと混合されるので、液体である。
【0122】
鋳型の内部容積は、平行六面体形状または円筒形状を有することができる。円筒形状は、円形、楕円形、六角形、正方形または長方形の断面であり得る。
【0123】
鋳型の内部容積が平行六面体形状である場合、重合による製造方法は、工程b)の終結時に得られる平行六面体形状のパーツが本明細書に定義されているとおりのプラスチックシンチレータ区画であるように、およびプラスチックシンチレーション検出用機器中に取り込まれることが可能であるように、できる。
【0124】
この場合には、平行六面体形状のプラスチックシンチレータ区画は、適宜、必要に応じて行われる精密研削工程後に、重合による製造方法の終結時に直接得ることができる。
【0125】
鋳型の内部容積が円筒形状を有する場合、重合による製造方法は、パーツがその代替的形態の1または複数にしたがって本明細書において定義されるとおりであり得る被覆を欠いたシンチレーション光ファイバー10であるように、工程b)の終結時にパーツのプレフォームとして円筒状の棒が得られるようにすることができ、前記方法は、重合工程b)の後に実施される以下の追加の工程:
c)ハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成されるポリマーファイバー11を、被覆を欠いたシンチレーション光ファイバー10として得るために、ファイバー線引き塔中で、パーツのプレフォームを加熱することによって軟化し、次いで線引きすること、
を含む。
【0126】
または、鋳型の内部容積が円筒形状を有する場合、重合による製造方法は、パーツが代替的形態の1または複数にしたがって本明細書において定義されるとおりであり得る被覆12が設けられたシンチレーション光ファイバー10であるように、工程b)の終結時にパーツの第一のプレフォームとして円筒状の棒が得られるようにすることができ、前記方法は、工程b)の後に実施される以下の追加の工程:
-b1)前記パーツの前記第一のプレフォームを第二の円筒状鋳型中に配置し、次いで、前記第二の円筒状鋳型の内側面と前記パーツの前記第一のプレフォームの外側面とによって定められる自由容積を、被覆材料の屈折率がハイブリッド材料の屈折率より小さい光ファイバー用被覆材料の前駆体を含む第二の重合媒体で満たすこと、
-b2)前記パーツの第二のプレフォーム(パリソンを構成する)を得るために、前記パーツの前記第一のプレフォームを覆う被覆材料を形成するために前記第二の重合媒体を重合すること、
c)被覆12が設けられたシンチレーション光ファイバー10として、ハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成されたおよびポリマーファイバー11を被覆する被覆12が設けられたポリマーファイバー11を得るために、ファイバー線引き塔中で、前記パーツの前記第二のプレフォームを加熱によって軟化し、次いで線引きすること、
を含む。
【0127】
これら2つの代替法において、円筒の鋳型の内部容積は、例えば、円形断面 を有する。そのため、鋳型は、2cm~10cmに含まれる内径(典型的には、5cm)および/または10cm~100cmに含まれる長手方向の長さ(典型的には、50cm)を有することができる。これらの大きさは、一般的に、パリソンまたはパーツのプレフォームとしての円筒状の棒の大きさに対応する。
【0128】
例えば、被覆材料の前駆体は、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸トリフルオロメチル、メタクリル酸トリフルオロエチルまたはこれらの混合物から選択される。
【0129】
パーツのプレフォームまたはパリソンは、一般的には、ファイバー線引き塔上に垂直に配置される。工程c)が終結すると、被覆が設けられたまたは設けられていないシンチレーション光ファイバーは、重量測定塔ファイバー線引きによって、一般に回収される。
【0130】
重合工程b)および/またはb1)の間に、第一の重合媒体は、(例えば、12時間~24時間の期間、とりわけ140℃で1日)100℃~140℃に含まれる第一の重合温度に加熱され得、次いで、パーツまたはパーツのプレフォームが得られるまで、10℃~20℃/日の重合温度の降下にしたがって冷却され得る。冷却は、一般に、20℃の周囲温度に達するまで継続される。
【0131】
重合工程b2)の間に、第二の重合媒体は、(例えば、8~10日の期間、とりわけ60℃で10日)50℃~70℃に含まれる第二の重合温度に加熱され得、次いで、パーツまたはパーツのプレフォームが得られるまで、10℃~20℃/日の重合温度の降下にしたがって冷却され得る。冷却は、一般に、25℃の周囲温度に達するまで継続される。
【0132】
軟化させるための加熱操作は、それに関する限り、150℃~190℃に含まれる温度で、工程c)の間に実施することができる。
【0133】
パーツのプレフォームは、線引き工程c)を実施する直前に精密研削することができる。例えば、円筒状の棒は、短い長さにわたってその上端部分および下端部分を切断することによって精密研削される。平行六面体形状のパーツの上面、すなわち、最終的に周囲の大気との軽接触している面も、短い長さにわたって上端部分を切断し、次いで研磨することによって精密研削することができる。
【0134】
重合の製造方法の終結時に、シンチレーション光ファイバーは、以下のようであることができる。
-ポリマーファイバー11の直径が、50μm~1mmに含まれる、および/または;
-被覆12の厚さが、1μm~20μmに含まれる、および/または;
-シンチレーション光ファイバーの長さが0.1~2kmに含まれる。
【0135】
第一の重合媒体および/または第二の重合媒体は、例えば、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、クロロベンゼン、ベンゼン、テトラクロロメタンまたはこれらの混合物から選択される重合溶媒を含むことができる。
【0136】
それぞれ、押出によるパーツの製造方法または重合によるパーツの製造方法に関して、押出用蛍光性混合物または液体蛍光性混合物は、以下のとおりであり得る。
-90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%(実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の主要一次蛍光色素分子、および/もしくは;実際には、i)95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、したがってii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含む;
-追加的一次蛍光色素分子は、0.5~1に含まれる非極性溶媒中での蛍光量子収率を有する、ならびに/または;
-とりわけ、記載されている代替的形態の1または複数にしたがって本明細書に定義されているとおりの、二次蛍光色素分子を含む。
【0137】
本発明は、ハイブリッドプラスチックシンチレータ要素としてプラスチックシンチレーション検出用パーツ(本明細書に記載されている代替的形態の1または複数にしたがって定義することができる)を備えるプラスチックシンチレーション検出用機器であって、前記パーツが、一般的に、
-ポリマーマトリックスと、
-前記ポリマーマトリックス中に取り込まれた蛍光性混合物であって、前記取り込まれた蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1(実際には、0.5~1)に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む蛍光性混合物と、
を含むハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成され;電子捕捉モジュールが、前記パーツが電離放射線または電離粒子と接触したときに前記パーツによって発せられる放射線発光放射を収集することが可能であるように、前記パーツが前記電子捕捉モジュールに連結されている、プラスチックシンチレーション検出用機器にも関する。
【0138】
パーツの全部または一部を構成するハイブリッド材料のポリマーマトリックスは、少なくとも1つの、芳香族基、(メタ)アクリル基もしくはビニル基を含むモノマーの重合から生じる反復単位を含む少なくとも1つのポリマーから完全にもしくは部分的に構成され得、および/または少なくとも1つの架橋されたポリマーから完全にもしくは部分的に構成され得る。
【0139】
ポリマーマトリックスを形成することが意図される少なくとも1つのモノマーは、スチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-メチルナフタレン、N-ビニルカルバゾール、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルから選択することができる。好ましくは、モノマーは、スチレンまたはビニルトルエンである。
【0140】
本発明のプラスチックシンチレーション検出用機器中に組み込まれたパーツの全部または一部を構成するハイブリッド材料は、必要に応じて組み合わされる、以下の代替的形態にしたがって提供することができる。
-ハイブリッド材料は、1重量%~25重量%(実際には、1重量%~5重量%)の取り込まれた蛍光性混合物を含み、および/または;
-取り込まれた蛍光性混合物は、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%(実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の主要一次蛍光色素分子を含み;実際には、i)95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、ii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含み;および/または
-追加的一次蛍光色素分子は、ポリマーマトリックスに共有結合されており、および/または;
-追加的一次蛍光色素分子は、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、p-テルフェニル(pTP)、m-テルフェニル(mTP)、ビフェニル、2-フェニル-5-(4-ビフェニリル-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、2-(4’-(t-ブチル)フェニル)-5-(4’’-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(ブチル-PBD)、アントラセン、p-クアテルフェニル、テトラフェニルブタジエン、N-エチルカルバゾール、N-(2-エチルヘキシル)カルバゾール、4-イソプロピルビフェニル、p-セキシフェニル、1-ビニルビフェニル、2-ビニルビフェニル、1-ビニルナフタレン、2-ビニルナフタレン、1-メチルナフタレン、N-ビニルカルバゾール、メタクリル酸9-アントラセニルもしくはこれらの混合物から選択され、追加的一次蛍光色素分子は、好ましくは、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、p-テルフェニル(pTP)、実際には、m-テルフェニル(mTP)もしくはこれらの混合物である。
【0141】
パーツのハイブリッド材料の取り込まれた蛍光性混合物は、例えば、0.002重量%~0.5重量%、実際には0.01重量%~0.2重量%に含まれる、二次蛍光色素分子のハイブリッド材料の重量に関する重量濃度で、さらに二次蛍光色素分子を含むことができる。
【0142】
一次蛍光色素分子は、l,4-ジ[2-(5-フェニルオキサゾリル)]ベンゼン、l,4-ビス(2-メチルスチリル)ベンゼン、1,4-ビス(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン、9,10-ジフェニルアントラセンまたはこれらの混合物から選択され得る。
【0143】
第一の実施形態によれば、二次蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および405nm~460nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれる。
【0144】
この場合には、二次蛍光色素分子は、1,4-ビス(5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(POPOP)、1,4-ビス(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(ジメチルPOPOP)、ビス-メチルスチリルベンゼン(ビス-MSB)、9,10-ジフェニルアントラセン(9,10-DPA)またはこれらの混合物から選択され得る。
【0145】
第二の実施形態によれば、二次蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および460nm~550nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれる。
【0146】
この場合には、二次蛍光色素分子は、クマリン6、クマリン7、クマリン30、クマリン102、クマリン151、クマリン314、クマリン334、3-ヒドロキシフラボンまたはこれらの混合物から選択することができる。
【0147】
第三の実施形態によれば、二次蛍光色素分子は、その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および550nm~630nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトルを有し、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.5~1に含まれる。
【0148】
この場合には、二次蛍光色素分子は、ナイルレッド、ローダミンBまたはその塩の1つ、4-(ジシアノメチレン)-2-メチル-6-(4-ジメチルアミノスチリル)-4H-ピラン、ピロメテン580またはN-アルキルもしくはN-アリールペリレンジイミドから選択することができる。
【0149】
主要一次蛍光色素分子および追加的一次蛍光色素分子間の相対的割合が変動する可能性の故に、ハイブリッド材料(したがって、プラスチックシンチレーション検出用パーツおよびこれを組み込む機器)は、10n秒~90n秒(実際には、15n秒~80n秒)、具体的には25n秒~75n秒、より具体的には28n秒~70n秒に含まれる蛍光減衰定数を有することができる。
【0150】
機器のパーツは、多様な形状、例えば、平行六面体形状または円筒形状を有することができる。
【0151】
平行六面体形状のパーツは、例えば、プラスチックシンチレーション検出用機器中に取り込まれることが可能なプラスチックシンチレータ区画である。
【0152】
パーツが円筒形状を有し、例えば、プラスチックシンチレータ支柱の組成に関与する場合、パーツは正方形または長方形の断面を有することができる。
【0153】
円筒形状のパーツが、例えば、シンチレーション光ファイバーである場合(この場合には、ハイブリッド材料は、架橋されていない少なくとも1つのポリマーから完全にまたは部分的に構成されるポリマーマトリックスを含む)、パーツは円形、楕円形または六角形の断面を有することができる。
【0154】
本発明のパーツとしてのシンチレーション光ファイバー10は、完全にまたは部分的にハイブリッド材料から構成されたポリマーファイバー11であって、ポリマーファイバーを被覆しおよびその屈折率が前記ハイブリッド材料の屈折率より小さい光ファイバー用被覆材料から完全にまたは部分的に構成されている被覆12が設けられておりまたは設けられておらず、前記ハイブリッド材料が架橋されていない少なくとも1つのポリマーから完全にまたは部分的に構成されたポリマーマトリックスを含むポリマーファイバー11を備えることができる。
【0155】
ファイバーの束を与えるために、いくつかのシンチレーション光ファイバーを組み合わせることができる。
【0156】
被覆の存在は必須ではない。例えば、パーツの目的がα粒子を検出することである場合、シンチレーション光ファイバーは、入射放射線のエネルギーが被覆によって大きく吸収されるのを防ぐために、専ら被覆を欠くポリマー内部ファイバーから構成される。
【0157】
それにもかかわらず、一般的には、シンチレーション光ファイバーは被覆を備え、その被覆材料は、光ファイバー、特にシンチレーション光ファイバーに対して通常使用される材料である。例えば、被覆材料は、ポリ(メタクリル酸メチル)、ポリ(メタクリル酸ベンジル)、ポリ(メタクリル酸トリフルオロメチル)、ポリ(メタクリル酸トリフルオロエチル)またはこれらの混合物から選択される。
【0158】
プラスチックシンチレータ要素としてのパーツと捕捉モジュール間の連結は、放射線発光放射がパーツから発生するパーツの部分と捕捉モジュールを接触させることによって、一般に実施される。
【0159】
第一の実施形態によれば、プラスチックシンチレーション検出用機器は、ハイブリッドプラスチックシンチレータ要素が第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1であり、該機器は、その蛍光減衰定数が第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1の蛍光減衰定数より小さい第二の高速プラスチックシンチレータ要素2をさらに備え、これらのプラスチックシンチレータ要素1および2がプラスチックシンチレータ組立品を形成するような機器である。好ましくは、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1は、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子のモル濃度が95.6%~99,1%に含まれる場合に、その蛍光減衰定数がハイブリッド材料に対する上記範囲の1つの中に含まれる(例えば、10n秒~90n秒、実際には、15n秒~80n秒に含まれる、有利には30n秒~80n秒、特に70n秒~80n秒;または25n秒~75n秒、実際には28n秒~70n秒に含まれる)ハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成される。機器は、好適には、例えば、各プラスチックシンチレータ要素がプラスチックシンチレータ区画であるフォスウィッチ型の機器である。
【0160】
しかしながら、記載されている本発明は、フォスウィッチ型のプラスチックシンチレータ検出器中にハイブリッド材料を取り込むことに限定されない。当業者が所定のおよび最適化された蛍光減衰定数を有するプラスチックシンチレータを必要とする限り、それが有利である。
【0161】
第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1は、第二の高速プラスチックシンチレータ要素2と直接接触させることができる。
【0162】
別の代替手段によれば、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1は、結合層5を介して第二の高速プラスチックシンチレータ要素2と接触している。したがって、プラスチックシンチレータ組立品は、さらに結合層を含む。
【0163】
プラスチックシンチレータ要素が平行六面体形状である場合には、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素および第二の高速プラスチックシンチレータ要素は、通例、これらの面の1つ、好ましくは最も大きな表面積の面または同一の表面積の面を介して互いに接触する。
【0164】
プラスチックシンチレータ要素が円筒形状である場合には、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素および第二の高速プラスチックシンチレータ要素は、通例、一般的に接触の点で同一の表面積を有するこれらの円形の面を介して互いに接触する。
【0165】
プラスチックシンチレーション検出用機器に関して電離放射線または電離粒子の伝播の方向を基準として、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素は、区別なく、上流のプラスチックシンチレータ要素または下流のプラスチックシンチレータ要素であり得、その場合、第二の高速プラスチックシンチレータ要素は、それぞれ、下流または上流のプラスチックシンチレータ要素である。
【0166】
機器に関して電離放射線または電離粒子の伝播の方向を基準として、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1は、好ましくは、上流のプラスチックシンチレータ要素であり、第二の高速プラスチックシンチレータ要素2は、下流のプラスチックシンチレータ要素である。
【0167】
機器が薄いプラスチックシンチレータ要素および厚い高速シンチレータ要素を備えるように、プラスチックシンチレータ要素1および2は異なる厚さを有することができる。したがって、いずれの配置も可能であり、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素は、薄いプラスチックシンチレータ要素または厚いプラスチックシンチレータ要素であり得る。
【0168】
好ましくは、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素の厚さは、第二の高速プラスチックシンチレータ要素の厚さより薄い。したがって、β/γ識別を促進する目的の本発明の好適な実施形態によれば、機器は、薄い第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1と厚い第二の高速プラスチックシンチレータ要素2とを備えることができる。好ましくは、この時、機器は、機器に関して電離放射線または電離粒子の伝播の方向Rを基準として、第一の薄いハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1を上流に、第二の厚い高速プラスチックシンチレータ要素2を下流に備える。
【0169】
薄いプラスチックシンチレータ要素は、10μm~1mm、例えば、50μm~1mm、好ましくは100μm~500μmの厚さを有することができ、厚いプラスチックシンチレータ要素は、1mm~数cmの範囲、例えば、1mm~10cm、好ましくは3mm~5cmの厚さを有することができる。
【0170】
第二の高速プラスチックシンチレータ要素2は、1n秒~7n秒に含まれる蛍光減衰定数を有することができる。
【0171】
第二の高速プラスチックシンチレータ要素2は、とりわけ、このポリマーマトリックスに対して記載されている代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりであり得るポリマーマトリックスと、および/または2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、p-テルフェニル(pTP)、m-テルフェニル(mTP)、ビフェニル、2-フェニル-5-(4-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(PBD)、2-(4’-(t-ブチル)フェニル)-5-(4’’-ビフェニリル)-1,3,4-オキサジアゾール(ブチル-PBD)、アントラセンまたはこれらの混合物から選択される高速一次蛍光色素分子とを含むことができる。好ましくは、高速一次蛍光色素分子は、2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)、p-テルフェニル(pTP)、実際にはm-テルフェニル(mTP)またはこれらの混合物である。
【0172】
第二の高速プラスチックシンチレータ要素2は、とりわけ、記載されている代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりであり得る二次蛍光色素分子を含むことができる。
【0173】
第二の実施形態によれば、本発明のプラスチックシンチレーション検出用機器は、単一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素(「単一区画」プラスチックシンチレーション機器)を備えることができる。そのサンプリング周波数が250MHz未満である電子捕捉モジュールに連結されている場合に、このような単一区画機器は有利であり、ナイキスト-シャノンの定理によれば、単一のハイブリッドプラスチックシンチレータを用いて得られるような長いパルスは、電子機器のナノ秒当たりのポイント数が限られているような捕捉モジュールを用いてより良好に説明される。
【0174】
一般的には、いずれの実施形態であっても、パーツは、光インターフェース層6によって、すなわち、光結合によって、電子捕捉モジュールに連結することができる。
【0175】
光インターフェース層は、とりわけ、プラスチックシンチレータ要素から発せられる放射線を、特に下流の位置に通過することを許容するという特性を有する。この層は、例えば、グリス、接着剤、ジェル、セメント、弾性化合物、シリコーン化合物またはこれらの混合物から選択される、当業者に公知の材料から完全にまたは部分的に構成され得る。
【0176】
パーツと電子捕捉モジュールの間の連結は、直接的にまたはハイブリッドプラスチックシンチレータ要素を介して間接的に実施され得る。
【0177】
例えば、この連結は、一般的には、単一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素用である。
【0178】
他方、ハイブリッドプラスチックシンチレータ要素との連結は、フォスウィッチシンチレータの場合には間接的である、すなわち、下流の高速プラスチックシンチレータ要素は、これら2つのパーツの間に介在され、電子捕捉モジュールと直接接触されるべき唯一のものである。
【0179】
電子捕捉モジュールに関しては、電子捕捉モジュールは、例えば、光電子増倍管、光ダイオード、電荷結合素子CCDカメラまたはCMOSセンサーから選択される光検出器3を含むことができる。
【0180】
電子捕捉モジュールは、機器に関して電離放射線または電離粒子の伝播の方向を基準として、ハイブリッドプラスチックシンチレータ要素としてのパーツの、単一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素の、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1の、または第二の高速プラスチックシンチレータ要素2の下流に配置することができる。
【0181】
電子捕捉モジュールは、標準的なシンチレーション物質によって、エネルギーに関して較正することができる。
【0182】
本発明は、電離放射線の検出用携帯式計器、ウォークスルー型スキャナまたはCCD(「Charge-Coupled Device」の英語での頭文字)検出器によって構成される、その代替的形態の1または複数にしたがって本明細書において定義されているとおりの機器を備えるプラスチックシンチレーション検出用装置の物品にも関する。
【0183】
本発明は、その代替的形態の1または複数にしたがって本明細書に定義されているとおりのプラスチックシンチレーション検出用機器の製造方法であって、電子捕捉モジュールが、パーツが電離放射線または電離粒子と接触されたときに前記パーツによって発せられる放射線発光放射を収集することが可能であるように、ハイブリッドプラスチックシンチレータ要素としてのパーツが前記電子捕捉モジュールに(直接的にまたは間接的に)連結されている、方法にも関する。
【0184】
この製造方法は、前記機器がプラスチックシンチレータ組立品を含むようにすることができ、前記方法は、以下の連続する工程:
a’’)パーツとしての第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1を用意すること、およびその蛍光減衰定数が第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1の蛍光減衰定数より小さい第二の高速プラスチックシンチレータ要素2を用意すること、;これらのプラスチックシンチレータ要素の各々が、他方のプラスチックシンチレータ要素の大きさと同じ大きさの研磨された表面をさらに有し;
b’’)プラスチックシンチレータ組立品を得るために、それらの研磨された表面を介して、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1と第二の高速プラスチックシンチレータ要素2を連結すること;
c’’)電子捕捉モジュールが、プラスチックシンチレータ組立品が電離放射線または電離粒子と接触されたときにプラスチックシンチレータ組立品によって発せられる放射線発光放射を収集することが可能であるように、前記パーツを備えるプラスチックシンチレータ組立品を電子捕捉モジュールに連結すること;
を含む。
【0185】
第一の実施形態によれば、機器の製造方法は、熱結合による自己連結の方法である、すなわち、連結による結合の工程b’’)は、その表面を軟化させるために、第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1のおよび第二の高速プラスチックシンチレータ要素2の研磨された表面を加熱することによって実施することができ、続いて、これらの表面を連結するために、これらの表面は互いに対して押圧される。
【0186】
第二の実施形態によれば、プラスチックシンチレータ組立品を備える機器の製造方法は、分子自己連結方法(すなわち、インサイチュで自己)であり、該方法は、以下の連続する工程:
a’’’)パーツとしての第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1によって、またはその蛍光減衰定数が第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1の蛍光減衰定数より小さい第二の高速プラスチックシンチレータ要素2によって構成されたプラスチックシンチレータ要素が、工程a’’’)の終結時にプラスチックシンチレータ組立品を得るために、重合支持体を構成する他方のプラスチックシンチレータ要素上での重合によってインサイチュで製造され、
b’’’)電子捕捉モジュールが、プラスチックシンチレータ組立品が電離放射線または電離粒子と接触されたときにプラスチックシンチレータ組立品によって発せられる放射線発光放射を収集することが可能であるように、前記パーツを備えるプラスチックシンチレータ組立品が電子捕捉モジュールに連結される;
を含む。
【0187】
工程b’’)によるプラスチックシンチレータ要素1および2間の連結、および/または電子捕捉モジュールが、工程c’’)もしくはb’’’)によってプラスチックシンチレータ組立品と連結される、もしくはその代替的形態の1または複数にしたがって本明細書に定義されているとおりの単一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素と連結される連結は、光インターフェース層6によって実施することができる。
【0188】
光インターフェース層6は、光セメント(例えば、EJ-500タイプ)、連結用の「連結」溶媒(一般的には、例えば、イソプロパノールまたは1-ブタノールなどのアルコール)、または好ましくは、光グリス(例えば、RTV141Aタイプの)であり得る。
【0189】
このインターフェース層は、一般的には、1μm~10μmの厚さを有する。
【0190】
本発明は、プラスチックシンチレーション測定方法にも関し、該方法は、以下の連続する工程:
i)機器中に含まれるパーツが(パーツが含有するハイブリッド材料によって)放射線発光放射を発するために、とりわけその代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりのプラスチックシンチレーション検出用機器が電離放射線または電離粒子と接触され;
ii)機器の電子捕捉モジュールを用いて、放射線発光放射が測定される;
を含む。
【0191】
好適には、測定される放射線発光放射の減衰の持続期間は、10n秒~90n秒、より好適には15n秒~80n秒、より好適には30n秒~80n秒、具体的には25n秒~75n秒、より具体的には28n秒~70n秒に含まれる。
【0192】
電離放射線または電離粒子は、γ線、X線、β粒子、α粒子または中性子を発する放射性物質から生じ得る。適切であれば、放射性物質は、いくつかの種類の電離放射線または電離粒子を発することができる。したがって、有利には、γ線およびβ粒子は、本発明のシンチレーション測定法での測定工程b)の間に異なるパルスの形状によって区別することができる。
【0193】
この曝露から生じる放射線発光放射は、光検出器、例えば、光電子増倍管、光ダイオード、電荷結合素子(CCD;Charge-Coupled Device)カメラ、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor;相補型金属酸化膜半導体)センサーまたは捕捉が電気信号に変換される他の任意の光子検出器から選択される光検出器などを用いて、工程ii)にしたがって測定することができる。
【0194】
本発明の好適な実施形態によれば、前記測定方法は、プラスチックシンチレーションにおいて通常実施されるように、工程ii)にしたがって、放射性物質の存在および/または量が放射線発光放射の測定から決定される工程iii)を含むことができる。例として、文献“Techniques de l‘ingenieur,Mesures de radioactivite par scintillation liquide,Reference p2552,publication du 10/03/2004”[Techniques of the Engineer,Measurements of radioactivity by liquid scintillation,Reference p2552,publication of 10/03/2004][参考文献10]のプラスチックシンチレーションを類推することによって、定性的および/または定量的測定工程iii)が説明される。
【0195】
定量的決定は、とりわけ、放射能源の活性を測定することができる。定量的決定は、較正曲線から実施することができる。
【0196】
この曲線は、例えば、既知の放射性物質に対して発せられた放射線発光放射から生じる光子の数がこの放射性物質に対する入射放射線のエネルギーと相関付けられるような曲線である。そのため、立体角から、放射能源とプラスチックシンチレータ間の距離から、および本発明のプラスチックシンチレータを用いる測定方法によって検出される活性から、放射能源の活性を定量することが可能である。
【0197】
本発明は、プラスチックシンチレーション検出用ハイブリッド材料(その代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書において定義されている)を製造するための重合組成物であって、
-代替的形態の1または複数にしたがって本明細書において定義されているとおりのポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、
-液体蛍光性混合物であって、液体蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%(実際には、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%、実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と;
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1(実際には、0.5~1)に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む液体蛍光性混合物と、
を含む、重合組成物にも関する。
【0198】
本発明の重合組成物の特定の実施形態によれば、液体蛍光性混合物は、i)95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、ii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含むことができる。
【0199】
以下に記載されている即時使用可能キットは、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子のモル濃度と追加的一次蛍光色素分子のモル濃度とが、これらが製造を可能にする重合組成物または押出混合物中でのこれらの一次蛍光色素分子の濃度にとって適切であるようなキットであり得、キット中でのこれらのモル濃度は、一般に、このような製造操作の終結時に保存されることが知られている。
【0200】
モノマー、オリゴマーおよびこれらの混合物は、少なくとも1つの、芳香族基、(メタ)アクリル基またはビニル基を含むことができる。
【0201】
液体蛍光性混合物は、その代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりの二次蛍光色素分子を含むことができる。
【0202】
したがって、これらの代替的形態のいくつかによれば、二次蛍光色素分子は、
-その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および405nm~460nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトル、ならびに0.5~1に含まれる非極性溶媒中でのその蛍光量子収率、または
-その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および460nm~550nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトル、ならびに0.5~1に含まれる非極性溶媒中でのその蛍光量子収率、または
-その重心がそれぞれ330nm~380nmに含まれる波長および550nm~630nmに含まれる波長にある光吸収スペクトルおよび蛍光発光スペクトル、ならびに0.5~1に含まれる非極性溶媒中でのその蛍光量子収率、
を有することができる。
【0203】
二次蛍光色素分子は、重合組成物に関して、0.002重量%~0.5重量%に含まれる重量濃度であり得る。
【0204】
重合組成物は、1重量%~25重量%の液体蛍光性混合物を含むことができる。
【0205】
重合組成物は、重合溶媒もさらに含むことができる。
【0206】
重合組成物は、上に記載されているとおりに、ハイブリッド材料またはパーツの製造方法において使用することができる。
【0207】
本発明は、(その代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりの)重合組成物の製造のための混合された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットであって、別々に、それらを組み立てる目的で、キットの以下の成分:
i)ポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、
ii)重合キット用蛍光性混合物であって、重合キット用蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度として、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1(実際には、0.5~1)に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む液体蛍光性混合物と、
を含む、重合組成物にも関する。
【0208】
その成分の組成および割合に関して、重合キット用蛍光性混合物は、上記されている液体蛍光性混合物と同一である。しかしながら、溶媒を含まない場合には、固体形態であって、液体形態でないという事実においてのみ、液体蛍光性混合物と異なる。
【0209】
混合された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットは、
-モノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物を含有する第一の区画I)と;
-重合キット用蛍光性混合物を含有する第二の区画II)と;
を含むことができる。
【0210】
重合キット用蛍光性混合物は、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%(実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の主要一次蛍光色素分子を含有することができる。重合キット用蛍光性混合物は、キットの成分の1重量%~25重量%に相当することができる。
【0211】
本発明の特定の実施形態によれば、重合キット用蛍光性混合物は、95.6モル%~99.1モル%の、i)ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、ii)0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含むことができる。
【0212】
混合された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットは、その代替的形態の1または複数にしたがって本明細書において定義されているとおりの二次蛍光色素分子、重合溶媒またはこれらの混合物が、i)モノマー、オリゴマーもしくはこれらの混合物および/またはii)重合キット用蛍光性混合物と混合されているようなキットであり得る。
【0213】
典型的には、二次蛍光色素分子は、必要であれば、何らかの希釈の現象を防ぐために、i)モノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物と、およびii)重合キット用蛍光性混合物と、同じモル濃度で混合することができる。
【0214】
典型的には、重合溶媒は、モノマーおよびオリゴマーと混合することができる。
【0215】
本発明は、(その代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりの)重合組成物の製造のための分離された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットであって、別々に、それらを組み立てる目的で、キットの以下の成分:
i’)その代替的形態の1または複数にしたがって本明細書に定義されているとおりのポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物を含む第一の重合混合物と;およびキット中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99,6モル%(実際には、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%、実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と;
ii’)その代替的形態の1または複数にしたがって本明細書に定義されているとおりのポリマーマトリックスの少なくとも1つの構成成分ポリマーを形成することが意図されたモノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物を含む第二の重合混合物と;およびキット中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1(実際には、0.5~1)に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む、キットにも関する。
【0216】
したがって、本発明の特定の実施形態によれば、
-第一の重合混合物は、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子を含むことができ、第二の重合混合物は、0.9モル%~10モル%(より具体的には、10.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子を含むことができ;
-第一の重合混合物は、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子を含むことができ、第二の重合混合物は、4モル%(より具体的には、4.0モル%))~0.9モル%の追加的一次蛍光色素分子を含むことができる。
【0217】
本発明の別の特定の実施形態によれば、第一の重合混合物は、95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子を含むことができ、第二の重合混合物は0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子を含むことができる。
【0218】
分離された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットは、
-第一の重合混合物を含有する第一の区画I’)と;
-第二の重合混合物を含有する第二の区画II’)と、
を含むことができる。
【0219】
第一の重合混合物および/または第二の重合混合物は、その代替的形態の1または複数にしたがって本明細書に定義されているとおりの二次蛍光色素分子、重合溶媒またはこれらの混合物を含むことができる。
【0220】
分離された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットの混合された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットに関しては、
-モノマー、オリゴマーまたはこれらの混合物は、キットの成分の75重量%~99重量%に相当することができ、および/または;
-主要一次蛍光色素分子は、キットの成分の1重量%~25重量%に相当することができ、および/または;
それぞれIII)架橋剤または重合開始剤を含有する少なくとも1つの補助的区画をさらに含むことができる。
【0221】
混合された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットまたは分離された蛍光色素分子を有する即時使用可能キットは、追加的一次蛍光色素分子がキットの成分の0.006重量%~5重量%に相当することができるようなキットであり得る。これは、第一の重合混合物中の主要一次蛍光色素分子の濃度は、モノマーまたはオリゴマーに関して、1重量%~25重量%に含まれることができるためであり、上に示されているとおり、ポリマーマトリックス中の滲出の事後的現象を防止するために、これが当てはまる。第二の重合混合物中の追加的一次蛍光色素分子の濃度は、モノマーまたはオリゴマーに関して、25重量%であることもできる、すなわち、最大割合の追加的一次蛍光色素分子([c]max=20%)とともに最大の主要一次蛍光色素分子([c]max=25%)を有する混合物の場合には、25%×20%=5%の最大濃度。最小濃度に対する同じ計算は、1%×0.6%=0.006%である。
【0222】
本発明は、(その代替的形態の1または複数にしたがって、本明細書に定義されているとおりの)押出混合物の製造のためのポリマーを有する即時使用可能キットであって、別々に、それらを組み立てる目的で、キットの以下の成分:
i’’)その代替的形態の1または複数にしたがって本明細書において定義されているとおりのポリマーマトリックスを形成することが意図される(必要に応じて顆粒の形態の)重合された成分;
ii’)押出キット用蛍光性混合物であって、押出キット用蛍光性混合物中の一次蛍光色素分子の総モル数に関するモル濃度で、
i)80モル%(より具体的には、80.0モル%)~99.6モル%(実際には、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%、実際には、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%)の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と;
ii)0.4モル%~20モル%(より具体的には、20.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子であって、その光吸収スペクトルの重心および蛍光発光スペクトルの重心がそれぞれ250nm~340nmに含まれる波長および330nm~380nmに含まれる波長を有し、その蛍光減衰定数が1n秒~10n秒に含まれ、非極性溶媒中でのその蛍光量子収率が0.2~1(実際には、0.5~1)に含まれる追加的一次蛍光色素分子と、
を含む押出キット用蛍光性混合物と、
を含む、キットにも関する。
【0223】
したがって、本発明の特定の実施形態によれば、
-押出キット用蛍光性混合物は、90モル%(より具体的には、90.0モル%)~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、0.9モル%~10モル%(より具体的には、10.0モル%)の追加的一次蛍光色素分子とを含むことができ;
-押出キット用蛍光性混合物は、96モル%(より具体的には、96.0モル%)~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、4モル%(より具体的には、4.0モル%)~0.9モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含むことができる。
【0224】
本発明の別の特定の実施形態によれば、押出キット用蛍光性混合物は、95.6モル%~99.1モル%の、ナフタレンからなる主要一次蛍光色素分子と、0.9モル%~4.4モル%の追加的一次蛍光色素分子とを含むことができる。
【0225】
重合された成分は、ポリマーマトリックスと同一の化学的組成を有する。重合された成分は、ポリマーマトリックスのようなバルク形態ではなく、分散された形態、例えば、顆粒の形態であるという事実において本質的にポリマーマトリックスと異なる。
【0226】
ポリマーを有する即時使用可能キットは、
-重合された成分を含有する第一の区画I’’)と、
-押出キット用液体蛍光性混合物を含有する第二の区画II’’)と、
を含むことができる。
【0227】
ポリマーを有する即時使用可能キットは、その代替的形態の1または複数にしたがって本明細書において定義されているとおりの二次蛍光色素分子、重合溶媒またはこれらの混合物が、i)重合された成分および/またはii)押出キット用蛍光性混合物と混合されているようなキットであり得る。
【0228】
ポリマーを有する即時使用可能キットは、さらに、
-二次蛍光色素分子および/または重合溶媒を含有する第二の区画
も含むことができる。
【0229】
各キットは、所望の蛍光減衰定数を得るために、主要一次蛍光色素分子と追加的一次蛍光色素分子の間で産生されるべき混合物のチャートを与える指示書を備えることができる。
【0230】
本発明の重合組成物をその後製造する目的で、とりわけ、同時、別個または時間的に広がって使用する目的で、各キットの成分を組み立てることができる。
【0231】
ここで、添付の図面1~8を参照しながら、例示として、限定を加えることなく、本発明の具体的な実施形態をたどる記載において本発明の他の主題、特徴および利点を明記する。
【図面の簡単な説明】
【0232】
図1図1は、主要一次蛍光色素分子と追加的一次蛍光色素分子間の割合が異なり、および二次蛍光色素分子の必要に応じた添加が異なるハイブリッド材料に対して蛍光減衰定数が測定され、また、比較のために、追加的一次蛍光色素分子を含有しない材料に対しても蛍光減衰定数が測定される表を表す。
図2図2Aは、図1のデータによる追加的一次蛍光色素分子に対する主要一次蛍光色素分子のモル割合の関数としての、蛍光減衰定数中央値単指数関数τの変化を表す。図2Aは、即時使用可能キットとともに供給される指示書に表示されるチャートを表し得る。比較として、図2Bは、追加的一次蛍光色素分子に対する本発明のものとは異なる主要一次蛍光色素分子のモル割合の関数としての、蛍光減衰定数中央値単指数関数τの変化を表す。
図3図3は、異なるプラスチックシンチレータに対するパルスプロファイル、すなわち、それらの応答における、n秒で表された時間の関数としてのカウント/秒の数の変化を表す。パルス記録プロファイルが、これらのプロファイル上に重ね合わされている。
図4図4は、本発明のプラスチックシンチレータおよび市販の低速プラスチックシンチレータのエネルギースペクトルを表す。
図5図5は、結合層なしの、本発明のプラスチックシンチレーション用「フォスウィッチ」型の機器の断面図を表す。
図6図6は、結合層ありの、本発明のプラスチックシンチレーション用「フォスウィッチ」型の機器の断面図を表す。
図7図7は、図6の機器の代替的形態を表す。
図8】被覆が設けられたシンチレーション光ファイバーの模式図を表す。
【発明を実施するための形態】
【0233】
特定の実施形態の説明
別段の記載がなければ、実施例は、大気圧および周囲温度で実施される。
【0234】
1.本発明のプラスチックシンチレーション測定用ハイブリッド材料の製造
1.1.二次蛍光色素分子を有するプラスチックシンチレータの製造の実施例1
続いてスチレン(80mL、すなわち、94.78重量%)が添加される、蛍光性分子(主要一次蛍光色素分子として5重量%(3.624g)のナフタレン+追加的一次蛍光色素分子として0.2重量%(183mg)の2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO)および二次蛍光色素分子として0.02重量%(15.2mg)の9,10-ジフェニルアントラセン(DPA))を含む液体混合物を、予め不活性アルゴン雰囲気下で乾燥された一口丸底フラスコ中に導入する。
【0235】
真空下低温条件下での5回の脱気後(「凍結-ポンプ-融解(freeze-pump-thaw)」法)、周囲温度に戻した得られた重合媒体を、プラスチックシンチレータに最終的な形状を与えることができる鋳型中に注ぐ。
【0236】
不活性アルゴン雰囲気下において、140℃で5日間、密封された鋳型を加熱した後、プラスチックシンチレータを鋳型から取り出し、精密研削し、次いで研磨した。
【0237】
1.2.二次蛍光色素分子を有するプラスチックシンチレータの製造の実施例2
続いてスチレン(80mL、94.78重量%)が添加される、蛍光性分子(主要一次蛍光色素分子として5重量%のナフタレン(3.624g)+0.2重量%の2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO、183mg)および二次蛍光色素分子として0.02重量%の1,4-ビス(4-メチル-5-フェニル-2-オキサゾリル)ベンゼン(ジメチルPOPOP、15.2mg))を含む液体混合物を、予め不活性アルゴン雰囲気下で乾燥された一口丸底フラスコ中に導入する。
【0238】
真空下低温条件下での5回の脱気後、周囲温度に戻した得られた重合媒体を鋳型中に注ぐ。
【0239】
不活性アルゴン雰囲気下において、140℃で5日間、密封された鋳型を加熱した後、プラスチックシンチレータを鋳型から取り出し、精密研削し、次いで研磨した。
【0240】
1.3.架橋されたポリマーマトリックスと二次蛍光色素分子を有するプラスチックシンチレータの製造の実施例3
続いて、架橋剤として、80重量%のスチレン(64mL)、次いで、14.78重量%のジメタクリル酸1,4-ブタンジイル(10.3mL)
が添加される、蛍光性分子(一次蛍光色素分子として5重量%のナフタレン(3.624g)+0.2重量%の2,5-ジフェニルオキサゾール(PPO、183mg)および二次蛍光色素分子として0.02重量%の9,10-ジフェニルアントラセン(DPA、15.2mg))を含む液体混合物を、予め不活性アルゴン雰囲気下で乾燥された一口丸底フラスコ中に導入する。
【0241】
真空下低温条件下での5回の脱気後、周囲温度に戻した得られた重合媒体を鋳型中に注ぐ。
不活性アルゴン雰囲気下において、65℃で10日間、密封された鋳型を加熱した後、プラスチックシンチレータを鋳型から取り出し、精密研削し、次いで研磨した。
【0242】
2.一次蛍光色素分子間の可変割合を有する様々なプラスチックシンチレータの製造。
前記実施例に開示されているものと同様の製造方法にしたがって、図1の表中に明記されている特徴にしたがい、プラスチックシンチレータを製造する。
【0243】
プラスチックシンチレータは、ポリマーマトリックスの化学組成(St=ポリスチレン;St/1,4=それぞれ、5対1の2つのモノマー間での重量割合で重合される、スチレンとジメタクリル酸1,4-ブタンジイルの混合物)と主要一次蛍光色素分子(ナフタレン):追加的一次蛍光色素分子(2,5-ジフェニルオキサゾール=PPO)のモル比とが異なる。各一次蛍光色素分子の重量濃度は、プラスチックシンチレータの総重量に関する百分率として示されており、したがって、残りは、当該重量百分率のポリマーマトリックス、他方の一次蛍光色素分子によって構成され、および図1の表には示されていない、二次蛍光色素分子として添加される0.02重量%の一定濃度の9,10-ジフェニルアントラセン(9,10-DPA)によっても構成される。
【0244】
蛍光の減衰定数τは、上記のように時間相関単一光子計数によって測定される。減衰定数τは、この事例では、一般的には、得られた値の双指数関数型の調整によって得られ、各指数成分に対する重み付け係数が括弧内に百分率として示されている。異なるプラスチックシンチレータ間での比較を容易にするために、双指数関数τは、以下の式にしたがって、中央値単指数関数τへ変換され、それに対する光パルスに関する測定の調整の質はχ二乗によって評価され、理想的にはできるだけ1に近くなるべきである。または、時間相関単一光子計数機器の市販の物品が、記録されたデータから中央値単指数関数τを自動的に計算し、実際には、双指数関数τさえ自動的に計算する。
【0245】
蛍光の中央値減衰定数単指数関数τは、以下の式から計算することができる。
(数1)
τ中央値=τ高速×%高速+τ低速×%低速
【0246】
百分率「%高速」および「%低速」は、高速および低速減衰の各重み付けを表す。これらは、中央値減衰の可能な限り最良の記述を与えるために調整される。これらの合計は、100%に等しい。
【0247】
したがって、図2Aは、ナフタレン/PPOモル比の関数として、蛍光減衰定数中央値単指数関数τ(中央値単指数関数τ)の変化を表す。図2Aは、追加的一次蛍光色素分子に対する主要一次蛍光色素分子のモル比の関数として、蛍光減衰定数の連続的な変化を明確に示す。この変化は、減少する指数関数の形態を有し、これは、主要一次蛍光色素分子と追加的一次蛍光色素分子の間での相乗効果の印である。このような相乗効果の不存在下では、モル比の関数としての時定数の変化は、100%での値と0%での値を直接結ぶ直線の形態であり、ある一次蛍光色素分子が別の一次蛍光色素分子によって単に徐々に置換されることを反映する。
【0248】
比較として、本発明によるナフタレン/PPO組み合わせの図2Aに記載の主要一次蛍光色素分子を、以下の分子構造によって示されているように、ナフタレンと同様、縮合芳香族化合物のファミリーに属する化合物であるピレンによって置き換えた。
【化4】
【0249】
図2Aの研究と同様にして、ピレン/PPOモル比の関数として、蛍光減衰定数中央値単指数関数τ(中央値単指数関数τ)の変化を研究する。結果は、図2Bによって例示されており、図2Bは、この変化が減少する指数関数の形態を絶対に有していないことを示している;したがて、本発明による主要一次蛍光色素分子と追加的一次蛍光色素分子の組み合わせとは異なり、ピレンとPPO間に相乗効果は存在しない。
【0250】
プラスチックシンチレーション測定用ハイブリッド材料を使用することの別の利点が図3によって実証されており、図3は、図中の指標によって参照された、プラスチックシンチレータに対して得られた応答パルスの種類を示す。
-高速(指標a):Eljen Technology社によって販売されている「Eljen EJ-200」参照シンチレータ;
-低速(指標b):Eljen Technology社によって販売されている「Eljen EJ-240」参照シンチレータ;
-ハイブリッド(指標c):本発明のハイブリッド材料を含む。
【0251】
使用された記録プロファイル(10カウント/秒のノイズを有する500n秒)が、これらの3つのプラスチックシンチレータのパルス上に重ね合わされている。
【0252】
図3は、高速区画と低速区画を備えるフォスウィッチプラスチックシンチレータと比較した、高速区画と本発明のハイブリッド区画とを備えるフォスウィッチプラスチックシンチレータの利点を実証する。例えば、10カウント/秒と推定される電子ノイズに関しては、ハイブリッド区画のハイブリッドパルスは、ハイブリッドパルスの振幅がより大きいことによって、低速区画の低速パルスより優れたシグナル対ノイズ比を有する。
【0253】
捕捉は、これらのパルスを記録するための時間窓の解放によって実施される。上に示されているように、一般に、この記録の期間は、最大の蛍光減衰定数より6~10倍大きくなるように選択され、この減衰定数は、各パルスについて、ナノ秒で表されたパルスの横軸上での幅に対応する。例えば、高活性の放射能源がフォスウィッチ機器に存在する場合など、計数率が高い場合には、したがって、低速区画の使用は、ずっと長い記録窓を使用することを伴い、そのため、いくつかのパルスが同じ時間窓に共存することができ(パイルアップ現象)、これらのパルスの識別が存在しない場合には、これは捕捉エラーに反映される。
【0254】
したがって、ハイブリッド区画のこれらの特性は、ハイブリッド区画(特に、ハイブリッド区画が最も薄い区画である場合)と高速区画とを備え、これら2つの区画の各々が、それぞれ、β粒子およびγ線を検出する「フォスウィッチ」機器を用いてγ線の環境中でβ粒子を識別するのに特に有利である。
【0255】
3.本発明の測定方法によるプラスチックシンチレーション中の放射性物質の定性的または定量的測定の例。
3.1.測定プロトコール。
二次蛍光色素分子がその中に取り込まれている本発明のハイブリッド材料を含むプラスチックシンチレータが、光グリスによって、電子捕捉モジュールの光検出器の機能を果たす光電子増倍管に接続されている。
【0256】
放射性物質への曝露後に、プラスチックシンチレータはシンチレーション光子を発し、シンチレーション光子は、高い電圧が供給される光電子増倍管によって、電気信号へ変換される。
【0257】
続いて、電気信号は、オシロスコープ、分光測定ソフトウェアまたは電子捕捉板を用いて捕捉され、次いで分析される。このようにして収集されたデータは、続いて、コンピュータによって処理される。
【0258】
この分析は、横軸上で、(出力エネルギーに由来する)チャネル、縦軸上で、カウント/秒の数に相当するエネルギースペクトルヒストグラムをもたらす。既知エネルギーのγ線放射源での較正後に、測定されるべき放射性物質のエネルギーが求められる。
【0259】
3.2.シンチレータを用いた定量的測定。
この測定プロトコールに基づき、6kBqに等しい4π活性の塩素36β放射能源を用いて、定量的測定を実施する。この源をプラスチックシンチレータの上側部分に配置する。
【0260】
49mmの直径および35mmの高さを有する円形断面の円筒状プラスチックシンチレータ(図1の表の参照記号F30B)は、高い電圧(Ortec556モデル)が供給される光電子増倍管(Hamamatsu H1949-51モデル)の光電陰極へ、Rhodorsil RTV141A光グリスを用いて連結される。光電子増倍管を離れる信号は、本発明者に固有の電子基盤によって回収され、次いで、デジタル化される。この基盤は、別の同等な電子基盤(例えば、CAEN DT5730Bモデル)またはオシロスコープ(例えば、Lecroy Waverunner 640Ziモデル)に置き換えることができる。
【0261】
第一の工程では、1つは[0~200keV]域、もう1つは[500~1.3MeV]域でγ線を放射する2つの放射能源によって、システム(シンチレータ+光電子増倍管)のエネルギー較正が実施される。このエネルギー較正は、コンプトン端の振幅の80%に対応するチャネルを特定することによって実施される。例えば、コンプトン端の縦軸が100カウント/秒に対応する場合、80カウント/秒でのコンプトン端の下降する勾配上の横軸が、(keVでの)コンプトン端のエネルギーをチャネルと結び付ける。
【0262】
第二の工程では、この較正が実施されており、塩素36β源がプラスチックシンチレータの上面に連結されている。エネルギースペクトルの分析は、2.1kBqの読まれた活性(したがって、入射放射線の70%が測定される固有効率)およびおよそ250keVに中心を有する光電ピークを与える。
【0263】
得られたハイブリッドプラスチックシンチレータのエネルギースペクトルが、図4(指標(c’))に表されている。比較として、得られたハイブリッドプラスチックシンチレータのエネルギースペクトルが、その測定された固有効率が54%である低速プラスチックシンチレータ(Eljen EJ-240スロー、Eljen Technology社によって販売されている-図4中の指標(b’))のエネルギースペクトルの上に重ね合わされている。
【0264】
4.本発明のプラスチックシンチレーション検出用機器の形状
放射線Rに関する縦軸に沿って、「フォスウィッチ」型の平行六面体形状のプラスチックシンチレータの断面図を表す図5および6を参照して、このような機器を記載する。したがって、別段の記載がなければ、ここに表されている機器の各パーツは、平行六面体形状である。これらの2つの図面において、同一の数字の参照番号は同じ要素を表す。
【0265】
4.1.結合層を有する機器。
図5によって例示されている第一の実施形態によれば、本発明のプラスチックシンチレーション検出機器Dは、本発明のハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成されている第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1である本発明のパーツと第二の高速プラスチックシンチレータ要素2とを備える。これらの要素は、フォスウィッチシンチレータ上の入射放射線の(または入射粒子の)伝播の方向Rに関して、それぞれ、上流および下流に位置している。慣例的に、したがって、これらの要素は、本明細書の以下では、「上流ハイブリッドシンチレータ1」および「下流高速シンチレータ2」と表される。図5によって例示されている構成では、上流ハイブリッドシンチレータ1は、「厚い」と表記される下流高速シンチレータ2より小さい長手方向の厚さを有するので、「薄い」と表記される。これらの特徴の全てを示す本発明のプラスチックシンチレーション検出用機器は、γ線とβ粒子との改善された識別を示す。
【0266】
上流ハイブリッドシンチレータ1および下流高速シンチレータ2は、機器の筐体または枠を構成することができる殻8中に、必要に応じて含有される。上流ハイブリッドシンチレータ1と下流高速シンチレータ2は、結合層5を形成する光インターフェース層によって互いに付着されている。
【0267】
結合層5は、一般的には、上流ハイブリッドシンチレータ1および下流高速シンチレータ2とは異なる層、例えば、付着層である。しかしながら、熱機械的加圧によって互いに結合された2つのシンチレータを含むプラスチックシンチレーション検出器に関しては、結合層5は、上流ハイブリッドシンチレータ材料1および下流高速シンチレータ2の溶融から生じる中間材料から構成された層であり得る。
【0268】
結合層5は、発光放射線を透過する光学層であり得る。結合層5は、光学分野で通常使用される、グリス、接着剤、ジェル、光セメント、弾性化合物またはシリコーン化合物から選択される結合物質から構成され得る。このような物質は、下流シンチレータを離れる光放射を通過させることができる。
【0269】
光検出器3(例えば、光電子増倍管など)は、光インターフェース層6によって、下流高速シンチレータ2に付着されている。光検出器3は、電離粒子または電離放射線のシンチレータ1および2との接触によって生じる放射線発光放射を収集することが可能である。
【0270】
まず、検出されるべき伝播Rの方向にしたがう入射放射線を受容する上流ハイブリッドシンチレータ1の面は、この場合には薄い金属層4で被覆されている。この金属層4は、上流シンチレータを光から隔離することによって、周囲の光も上流シンチレータと接触することを防ぎながら、入射放射線(または入射粒子)と接触する入口窓を構成する。上流および下流シンチレータの側面は、例えば、アルミニウム(アルミニウム処理されたマイラー、アルミニウム紙など)を含む反射物質から構成される、または、例えば、テフロン(登録商標)、酸化チタンTiOを基礎とする塗料、酸化マグネシウムMgOを基礎とする塗料またはMilliporeろ紙を含む散乱物質から構成される光反射器または拡散器7で被覆されている。
【0271】
4.2.結合層を有しない機器。
図6によって例示されている第二の実施形態によれば、本発明のプラスチックシンチレーション検出機器Dは、文献国際公開第2013076279号[参考文献11]に記載されているとおりの構造を有する。したがって、本発明のプラスチックシンチレーション検出機器Dは、図5に記載されている光インターフェース層5などの結合層を備えていない。本発明の結合層を有しないプラスチックシンチレーション検出用機器は、それにもかからず、本発明のハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成された第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素を含む点で、参考文献[8]に記載されているものとは異なる。
【0272】
図6によって例示されている結合層を有しない本発明のプラスチックシンチレーション検出機器Dは、本発明のハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成されている第一のハイブリッドプラスチックシンチレータ要素1と第二の高速プラスチックシンチレータ要素2とを備える。これらの要素は、フォスウィッチシンチレータ上の入射放射線の(または入射粒子の)伝播の方向Rに関して、それぞれ、上流および下流に位置している。図5によって例示されている構成では、上流ハイブリッドシンチレータ1は、「厚い」と言われる下流高速シンチレータ2より小さい長手方向の厚さを有するので、「薄い」と言われる。これらの特徴の全てを示す本発明のプラスチックシンチレーション検出用機器は、γ線とβ粒子との改善された識別を示す。
【0273】
上流ハイブリッドシンチレータ1および下流高速シンチレータ2は、直接接触しており、自己連結過程によって互いに付着されている。この連結過程において、第一の架橋されたプラスチックシンチレータが調製され、次いで、重合される。この第一の固体調合後に、第二のシンチレータを製造するために蛍光混合物を含有するモノマー溶液を第一のシンチレータ上に注ぎ、続いて、この組立品を加熱する。
【0274】
シンチレータ1および2は、機器の筐体または枠を構成することができる殻8中に、必要に応じて含有される。
【0275】
光検出器3(例えば、光電子増倍管など)は、光インターフェース層6によって、下流高速シンチレータ2に付着されている。光検出器3は、電離粒子または電離放射線のシンチレータ1および2との接触によって生じる放射線発光放射を収集することが可能である。
【0276】
まず、検出されるべき伝播Rの方向にしたがう入射放射線(または入射粒子)を受容する上流ハイブリッドシンチレータ1の面は、光不透過層9で被覆されている。この不透過層9は、周囲の光の上流シンチレータとの接触を制限しながら、入射放射線が接触する入口窓を構成する。
【0277】
上流および下流シンチレータの側面は、光反射器または拡散器7で被覆されている。光不透過層9は、β線およびγ線の通過に対して透過性である。光不透過層9は、例えば、マイラーなどの不透過物質から構成されている。
【0278】
上に示されているように、上流ハイブリッドシンチレータ1は、下流高速シンチレータ2より小さな厚さを有することができる。このような構成は、図7に表されている。
【0279】
4.3.シンチレーション光ファイバー。
図8は、円筒断面のシンチレーション光ファイバー10を表す。シンチレーション光ファイバー10は、本発明のハイブリッド材料から完全にまたは部分的に構成されたポリマーファイバー11を備える。ファイバーの内側コアを構成するポリマーファイバー11は、ポリマーファイバーを被覆し、被覆材料から完全にまたは部分的に構成された被覆12で被覆されている。
【0280】
本発明は、記載および表現された実施形態に限定されず、当業者であれば、数多くの代替的形態および改変に関する自己の一般的な知識を用いて、それらを組み合わせる方法およびそれらに寄与する方法を知悉しているであろう。
【0281】
本発明は、シンチレータが使用される分野、特に:
-例えば、製造中にパーツの物理的パラメータを測定するために、材料の非破壊的検査のために、敷地の入り口および出口地点での放射能のモニタリングのために、および放射性廃棄物のモニタリングのために、産業分野において、
-例えば、土壌の天然放射能の評価のために、地球物理学の分野において、
-基礎物理学、特に核物理学の分野において、
-例えば、重要なインフラの安全性、移動する物(荷物、コンテナ、乗り物など)のモニタリングのために、ならびに産業部門、原子力部門および医学部門の労働者を放射線から保護するために、物および人の安全の分野において、
-医療用画像化の分野において、
適用可能である。
【0282】
(参照文献)
[1] Moser, S.W.; Harder, W.F.; Hurlbut, C.R.; Kusner, M.R., “Principles and practice of plastic scintillator design”, Radiat. Phys. Chem., 1993, vol. 41, No. l/2, 31-36.
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[11] WO 2013076279.
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8