(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】小径、高強度、低伸度、耐クリープ性かつ耐摩耗性の編組構造
(51)【国際特許分類】
A61L 17/04 20060101AFI20240201BHJP
A61L 17/10 20060101ALI20240201BHJP
A61L 27/16 20060101ALI20240201BHJP
A61L 27/18 20060101ALI20240201BHJP
A61F 2/08 20060101ALI20240201BHJP
D07B 1/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61L17/04
A61L17/10
A61L27/16
A61L27/18
A61F2/08
D07B1/04
(21)【出願番号】P 2020552014
(86)(22)【出願日】2019-03-29
(86)【国際出願番号】 US2019024822
(87)【国際公開番号】W WO2019191580
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-15
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515256855
【氏名又は名称】アテックス テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001379
【氏名又は名称】弁理士法人大島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジェサップ、マーク・ウェスリー
(72)【発明者】
【氏名】ファン フル、ポール・ルイス
【審査官】石井 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-277793(JP,A)
【文献】特開平05-184660(JP,A)
【文献】特開2011-019903(JP,A)
【文献】特開2005-177500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 15/00-33/18
A61F 2/00- 2/80
D07B 1/00- 9/00
D01F 1/00- 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
編組構造であって、
少なくとも1本のヤーンを有するコアであって、前記少なくとも1本のヤーンは、
液晶ポリマー、アラミドポリマーまたはそれらの組み合わせを含む、該コアと、
前記コアの周囲に編組されたシースであって、前記シースが複数の超高分子量ポリオレフィンのヤーンを含み、当該編組構造が60μm~650μmの範囲の全体直径を有する
、該シースと、を含むことを特徴とする編組構造。
【請求項2】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記シースは2本~48本の前記ヤーンを含み、前記シース内の複数の前記ヤーンのそれぞれは1本~72本のフィラメントを含むことを特徴とする編組構造。
【請求項3】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記シースは少なくとも2つのシース層を含むことを特徴とする編組構造。
【請求項4】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記コアの前記ヤーンは、3本~96本のフィラメントを含むことを特徴とする編組構造。
【請求項5】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記超高分子量ポリオレフィンは、少なくとも500,000g/molの重量平均分子量を有する超高分子量ポリエチレンを含むことを特徴とする編組構造。
【請求項6】
請求項1に記載の編組構造であって、
当該編組構造が、15分後に8%未満の伸びであるクリープを示すことを特徴とする編組構造。
【請求項7】
請求項1に記載の編組構造であって、
当該編組構造は、前記編組構造に200gの重量を加えた状態で半径1mmの金属エッジを横切るように、前記編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計40サイクルにわたって反復させた後に耐摩耗性を示し、
当該編組構造には、反復後のリニアインチ(1インチは2.54cm)あたり50未満の破損フィラメントが含まれることを特徴とする編組構造。
【請求項8】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記編組構造が、22.2N~266.9Nの範囲の破断荷重を示すことを特徴とする編組構造。
【請求項9】
請求項1に記載の編組構造であって、
当該編組構造が、2%~5.5%の範囲の破断伸度を示すことを特徴とする編組構造。
【請求項10】
請求項1に記載の編組構造であって、
当該編組構造が、1.75N/mm~15.8N/mmの範囲の剛性を示すことを特徴とする編組構造。
【請求項11】
請求項1に記載の編組構造であって、
当該編組構造が、550MPa~2710MPaの範囲の引張強度を示すことを特徴とする編組構造。
【請求項12】
請求項1に記載の編組構造であって、
当該編組構造が、1インチ(2.54cm)あたり10~90のヨコ糸を含むことを特徴とする編組構造。
【請求項13】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記シースの前記ヤーンは、1インチ(2.54cm)あたり0~12ツイストを含むことを特徴とする編組構造。
【請求項14】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記コアの前記ヤーンは、1インチ(2.54cm)あたり0~2ツイストを含むことを特徴とする編組構造。
【請求項15】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記シース内の複数の前記ヤーンのそれぞれは、8~125デニールの範囲の線密度を有することを特徴とする編組構造。
【請求項16】
請求項1に記載の編組構造であって、
前記コア内の前記ヤーンは、8~1110デニールの範囲の線密度を有することを特徴とする編組構造。
【請求項17】
請求項1に記載の編組構造を含む、医療機器用の作動ケーブル、縫合糸、耐荷重性の整形外科用途、人工腱もしくは人工靭帯、組織修復及び作動ケーブル用の構成要素、または固定装置。
【請求項18】
編組構造であって、
少なくとも1本のヤーンを有するコアであって、前記少なくとも1本のヤーンは、
液晶ポリマー、アラミドポリマーまたはそれらの組み合わせを含む、該コアと、
前記コアの周囲に編組されたシースであって、前記シースが複数の超高分子量ポリオレフィンのヤーンを含み、
当該編組構造が60μm~650μmの範囲の全体直径を有し、当該編組構造は、前記編組構造に200gの重量を加えた状態で半径1mmの金属エッジを横切るように、前記編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計40サイクルにわたって反復させた後に耐摩耗性を示し、当該編組構造には、反復後のリニアインチ(2.54cm)あたり50未満の破損フィラメントが含まれる、該シースと、を含むことを特徴とする編組構造。
【請求項19】
編組構造であって、
少なくとも1本のヤーンを有するコアであって、前記少なくとも1本のヤーンは、
液晶ポリマー、アラミドポリマーまたはそれらの組み合わせを含む、該コアと、
前記コアの周囲に編組されたシースであって、前記シースが複数の超高分子量ポリオレフィンヤーンを含み、
当該編組構造が60μm~650μmの範囲の全体直径を有し、当該編組構造が15分後に8%未満の伸びであるクリープを示す該シースと、を含むことを特徴とする編組構造。
【請求項20】
請求項1、
18または19に記載の編組構造であって、
前記コアが30μm~
333μmの範囲の全体直径を有することを特徴とする編組構造。
【請求項21】
請求項1、
18または19に記載の編組構造であって、
前記コアが、8~125デニールの範囲の線密度を有することを特徴とする編組構造。
【請求項22】
請求項1、
18または19に記載の編組構造であって、
前記コアが、8~125デニールの範囲の線密度を有することを特徴とする編組構造。
【請求項23】
請求項1、
18または19に記載の編組構造であって、
前記超高分子量ポリオレフィンは、超高分子量ポリエチレンであり、
前記複数の高分子量ポリオレフィンヤーンのそれぞれは、8~125デニールの範囲の線密度を有することを特徴とする編組構造。
【請求項24】
請求項1、
18または19に記載の編組構造であって、
前記シースが、複数の超高分子量ポリオレフィンヤーンからなることを特徴とする編組構造。
【請求項25】
請求項1、
18または19に記載の編組構造であって、
前記シースは2本~48本の前記ヤーンを含み、
前記編組構造が、2%~5.5%の範囲の破断伸度を示し、
前記編組構造が、1インチ(2.54cm)あたり10~90のヨコ糸を含むことを特徴とする編組構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年3月29日に出願された米国仮特許出願第62/649,906号の優先権を主張し、その全内容は参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、概して編組構造に関し、より具体的には、耐クリープ性かつ耐摩耗性であると同時に高い強度及び低い伸度を有する小径の編組構造に関する。
【背景技術】
【0003】
編組構造は、医療分野において、縫合糸、耐荷重性の整形外科用途、人工腱/靭帯、固定装置、作動ケーブル、組織修復などのためにしばしば使用される。直径が小さいことが多くの用途に必要であるので、編組構造の他の特性は妥協される。例えば、小径(例えば、1mm未満、約500μm未満など)の編組構造を開発することは可能であるが、そのような構造を耐クリープ性及び/または耐摩耗性でもあるように設計することは困難であった。直径が小さく、伸びが小さく、強度が高い編組構造を開発する際にも、課題が生じている。
【0004】
このように、医療用途での使用に適していると同時に、所望の機械的特性(例えば、耐クリープ性、耐摩耗性、低伸度、及び/または高強度)を有する小径の編組構造が必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様及び利点は、以下の説明に部分的に記載されるか、もしくは説明から明らかであるか、または本発明の実施を通じて学習され得る。
【0006】
一態様では、本発明は、芳香族ポリマーを含むヤーンからなるコアと、コアの周囲に編組されたシースであって、シースが複数の超高分子量ポリオレフィンヤーンを含む該シースと、を含む編組構造を対象とする。さらに、編組構造は、約60μm~約650μmの範囲の全体直径を有する。
【0007】
1つの特定の実施形態では、芳香族ポリマーは、液晶ポリマー、アラミドポリマーまたはそれらの組み合わせを含み得る。
【0008】
さらに別の態様では、シースは2本~約48本のヤーンまたはキャリアを含み得、シース内の複数のヤーンまたはキャリアのそれぞれは1本~約72本のフィラメントを含み得る。
【0009】
さらに別の態様では、シースは少なくとも2つのシース層を含み得る。
【0010】
もう1つの態様では、ヤーンは、約3本~約96本のフィラメントを含み得る。
【0011】
さらなる態様では、コアは、単一のヤーンまたは少なくとも1つのヤーンを含み得る。さらに、コアが単一のヤーンを含む場合には、コアは少なくとも1つの追加のヤーンを含み得ることを理解されたい(例えば、単一のヤーンは、ヤーンが単一のヤーンとして機能する場合、2プライであり得る)。
【0012】
一態様では、コアは第1の直径を有し得、シースは第2の直径を有し得、第1の直径と第2の直径との比は約1:12~約7:10の範囲である。
【0013】
さらに別の態様では、超高分子量ポリオレフィンは、少なくとも約500,000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含み得る。
【0014】
さらに別の態様では、編組構造は、48.3cm(約19インチ)のホーングリップのゲージ長で約15分間、約22.2N(約5重量ポンド)の定荷重を負荷されたときに、約15.2mm(約0.60インチ)未満のクリープを示し得る。別の態様では、編組構造は、約15分後に8%未満の伸びであるクリープを示し得る。
【0015】
もう1つの態様では、編組構造は、編組構造に200gの重量を加えた状態で半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計40サイクルにわたって循環させた後、耐摩耗性を示し得、編組構造は、反復後、リニアインチあたり50未満の破損フィラメントを含み得る。
【0016】
追加の態様では、編組構造は、約22.2N~約266.9N(約5~約60重量ポンド)の範囲の破断荷重を示し得る。
【0017】
一態様では、編組構造は、約2%~約5.5%の範囲の破断伸度を示し得る。
【0018】
別の態様では、編組構造は、約1.75N/mm~約15.8N/mm(約10~約90重量ポンド/インチ)の範囲の剛性を示し得る。
【0019】
さらなる態様では、編組構造は、約550MPa~約2710MPa(約8.0×104~約3.9×105ポンド/平方インチ)の範囲の引張強度を示し得る。別の態様では、編組構造は、約15~約35g/デニールヤーンの範囲の強度を示し得る。
【0020】
さらに別の態様では、編組構造は、1インチあたり約10~約90のヨコ糸(約10~約90ピック/インチ)を含み得る。
【0021】
さらに別の態様では、シースヤーンは、1インチあたり約0~約12ツイスト(約0~約12TPI)を含み得る。
【0022】
もう1つの態様では、コアヤーンは、1インチあたり0~約2ツイスト(0~約2TPI)を含み得る。
【0023】
さらなる態様では、シース内の複数のヤーンのそれぞれは、約8~約125デニールの範囲の線密度を有し得る。
【0024】
もう1つの態様では、コア内のヤーンは、約8~約1110デニールの範囲の線密度を有し得る。
【0025】
別の態様では、本発明は、上記の編組構造を含む医療機器、縫合糸、耐荷重性の整形外科用途、人工腱、作動ケーブル、組織修復用構成要素または固定装置に関する。
【0026】
さらに別の態様では、本発明は、芳香族ポリマーを含むヤーンを有するコアと、コアの周囲に編組されたシースであって、シースが複数の超高分子量ポリオレフィンヤーンを含む該シースと、からなる編組構造を対象とする。さらに、編組構造は、約550MPa~約2710MPa(約8.0×104~約3.9×105ポンド/平方インチ)の範囲の引張強度を示し得る。別の態様では、編組構造は、約15~約35g/デニールヤーンの範囲の強度を示し得る。
【0027】
さらに別の態様では、本発明は、芳香族ポリマーを含むヤーンを有するコアと、コアの周囲に編組されたシースであって、シースが複数の超高分子量ポリオレフィンヤーンを含む該シースと、からなる編組構造を対象とする。さらに、編組構造は、48.3cm(約19インチ)のホーングリップのゲージ長で約15分間、約22.2N(約5重量ポンド)の定荷重を負荷されたときに、約15.2mm(約0.60インチ)未満のクリープを示し得る。別の態様では、編組構造は、約15分後に8%未満の伸びであるクリープを示し得る。
【0028】
本発明のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明及び添付の特許請求の範囲を参照することにより、よりよく理解されるようになるであろう。本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の実施形態を例示し、説明とともに、本発明の原理を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0029】
当業者に向けられた、その最良の形態を含む本発明の完全かつ実施可能な開示は、以下のような添付の図面を参照し、本明細書に記載されている。
【0030】
【
図3】5回の摩耗試験サイクル後の液晶ポリマーシースを有する編組構造の比較例の写真
【
図4】10回の摩耗試験サイクル後の液晶ポリマーシースを有する編組構造の比較例の写真
【
図5】20回の摩耗試験サイクル後の液晶ポリマーシースを有する編組構造の比較例の写真
【
図6】40回の摩耗試験サイクル後の液晶ポリマーシースを有する編組構造の比較例の写真
【
図7】5回の摩耗試験サイクル後の超高分子量ポリエチレンポリマーシースを有する本発明の編組構造の写真
【
図8】10回の摩耗試験サイクル後の超高分子量ポリエチレンポリマーシースを有する本発明の編組構造の写真
【
図9】20回の摩耗試験サイクル後の超高分子量ポリエチレンポリマーシースを有する本発明の編組構造の写真
【
図10】40回の摩耗試験サイクル後の超高分子量ポリエチレンポリマーシースを有する本発明の編組構造の写真
【発明を実施するための形態】
【0031】
ここで、本発明の実施形態を詳細に参照し、その1以上の例を図面に示す。各実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を説明するものとして提供される。事実、本発明の範囲または精神から逸脱することなく、本発明に様々な修正及び変形を行うことができることは当業者には明らかであろう。例えば、一実施形態の一部として図示または説明されている特徴を別の実施形態とともに使用して、さらに別の実施形態を生み出すことができる。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲及びそれらの均等物の範囲内に入るような修正及び変形などを包含することが意図されている。
【0032】
一般に、本発明は、コア及びシースを含む編組構造に関する。コアは、芳香族ポリマー(例えば、液晶ポリマー、アラミドポリマーまたはそれらの組み合わせ)から形成されたヤーンを含み、コアの周囲には、複数の超高分子量ポリオレフィンヤーンを含むシースが編組されている。いくつかの実施形態ではコアは単一のヤーンであり得るが、他の実施形態ではコアは2以上のヤーンを含み得ることが理解されるべきである。シースは、約60~約650μmの範囲の全体直径を有する。編組構造は、小径であるにもかかわらず、耐クリープ性及び耐摩耗性を有すると同時に、低い伸度、高い破断荷重、及び高い剛性を示し得る。編組構造は、縫合糸、耐荷重性の整形外科用途、人工腱/人口靭帯、固定装置、医療機器用の作動ケーブル、組織修復用構成要素などの医療用途で使用され得る。
【0033】
ここで図面を参照すると、
図1は、本発明によって企図される編組構造100の側面図を示し、
図2は、線C-Cで得られた編組構造100の断面図を示す。編組構造100は、シース104に囲まれたコア102を含み、1x1のパターンで編組されている。しかしながら、当該技術分野で知られている他の編組パターンを代替的に使用することができる(例えば、1x2、2x2など)。コア102は一本鎖のヤーンを含むことができ、ヤーンは約3~約96フィラメントであり、例えば約4~約84フィラメント、例えば約5~約72フィラメント、例えば約6~約60フィラメントである。
図1及び2に示される1つの特定の実施形態では、コア102は単一のヤーンを含むことができる。しかしながら、コア102は複数のヤーン(例えば、少なくとも1本の追加のヤーン)を含むことができ、コア102は約2本~約10本のヤーン(例えば約2~約8本、例えば約2~約6本、例えば約4~約8本、例えば約4~約6本)を含み得、ヤーンは編組されてもよく、または編組されなくてもよいことも理解されたい。シース104は、2本~約48本のヤーン(例えば3本~約24本のヤーン、例えば約4本~約16本のヤーン)を含むことができる。
【0034】
シースヤーン及び/またはコアヤーンは、ツイスト(ねじれ)を含んでも含まなくてもよく、もしくは意図的なツイストを含まなくてもよく、または意図しないツイストを含んでもよいことも理解されたい。ヤーンのツイストには、1インチあたり0~2の意図的なツイストまたは意図しないツイスト(例えば1インチあたり0~0.75の意図的なツイストまたは意図しないツイスト、例えば0~0.5の意図的なツイストまたは意図しないツイスト、例えば1インチあたり0~0.25の意図的なツイストまたは意図しないツイスト)が含まれ得る。意図しないツイストには、通常の製造プロセス中にヤーンに蓄積するツイストが含まれ得ることを理解されたい。意図しないツイストの非限定的な例は、ヤーンがスプール上で巻き付けられるか、または紡がれるともたらされるツイストである。
【0035】
一方、シース104は、コア102の周囲に巻かれた複数のS撚りのヤーン106またはZ撚りのヤーン108を含み得る。編組構造の製造中、機械的ヤーンキャリアの一部分は時計回り方向に移動することができ、キャリアの残りの部分は反時計回り方向に移動することができる。非限定的な例では、キャリアの半分は時計回り方向に移動し、キャリアの残りの半分は反時計回り方向に移動する。機械的ヤーンキャリアが編組構造の周囲を移動すると、ヤーンが各キャリアから引き抜かれ、編組点に集められる。シースヤーンは、機械の周囲のキャリアの動きに起因して、自然に、または意図せずにツイストし得る。最適な編組強度及び最小の編組クリープのために、ヤーンフィラメントは、編組構造の周囲を時計回りに移動するSツイストのシースヤーンと、編組構造の周囲を反時計回りに移動するZツイストのシースヤーンとを使用して、編組構造と略平行に保たれる必要がある。
【0036】
換言すれば、シース104のヤーンは、S方向及びZ方向の両方でツイストを示し得る。例えば、シース104のヤーンは、時計回りに編組された1~約12(例えば約2~約10、例えば約3~約8)のSまたはZ撚りのヤーン106と、反時計回りに編組された1~約12(例えば約2~約10、例えば約3~約8)の対向するSまたはZ撚りのヤーン108とを含み得る。換言すれば、シースは2~約48本のヤーン(例えば約4~約24本のヤーン、例えば約6本~約16本のヤーン)を含み得、ヤーンの半分は時計回り方向にコアの周囲に巻き付けられ、ヤーンの半分は反時計回り方向にコアの周囲に巻き付けられる。
【0037】
図2に示される1つの特定の実施形態では、シース104は、3つのSまたはZ撚りのヤーン110、114及び118と、3つの対向するSまたはZ撚りのヤーン112、116及び120とを含み得る。さらに、S、Zもしくはツイストされていない(Untwisted)ヤーン106の時計回りのキャリア、またはS、Zもしくはツイストされていない(Untwisted)ヤーン108の反時計回りのキャリアは、1~約72フィラメント(例えば2~約60フィラメント、例えば約4~約48フィラメント、例えば約6~約36フィラメント)を含み得る。編組構造100の全体的な剛性及び可撓性は、ヤーンフィラメントの数に基づいて最適化され得る。一実施形態では、ヤーンフィラメントの数を増やすことによって、編組構造100の耐摩耗性を向上させることができる。
【0038】
さらに、編組構造100は、例えば約145μm~約650μm(約0.0057インチ~約0.026インチ)、例えば約215μm~約625μm(約0.0085インチ~約0.025インチ)、例えば約230μm~約600μm(約0.0090インチ~約0.024インチ)、例えば約245μm~約575μm(約0.0095インチ~約0.023インチ)、例えば約300μm~約400μm(約0.0118インチ~約0.016インチ)など、約60μm~約650μm(約0.0024インチ~約0.026インチ)の範囲の全体直径D1を有し得る。
【0039】
一方、コア102は、例えば約36μm~約116μm(約0.0014インチ~約0.0046インチ)、例えば約40μm~約112μm(約0.0016インチ~約0.0044インチ)、例えば約46μm~約108μm(約0.0018インチ~約0.0042インチ)など、約30μm~約333μm(約0.0012インチ~約0.031インチ)の範囲の直径D2を有し得るが、個々のシースのヤーン110、112、114、116、118及び120はそれぞれ、例えば約66μm~約148μm(約0.0026インチ~約0.0058インチ)例えば約60μm~約142μm(約0.0024インチ~約0.0056インチ)、例えば約76μm~約138μm(約0.0030インチ~約0.0054インチ)など、約30μm~約152μm(約0.0013インチ~約0.0060インチ)の範囲の直径D3を有し得る。
【0040】
1つの特定の実施形態では、コア102の直径D2と、シース104のヤーン110、112、114、116、118及び120のそれぞれの直径D3との比(D2:D3)は、約1:12~約7:10(例えば約1:8~約2:3、例えば1:4~約1:2、例えば1:3~約4:10)の範囲であり得る。特定の理論によって制限されることを意図することなく、本発明者らは、コア102及びシース104のために使用される材料などの他の特性と併せてコア102の直径D2とシース104の各ヤーンの直径D3との間のこのようなバランスを発見し、これにより、編組構造の機械的特性(例えば、耐クリープ性、耐摩耗性、低伸度、高強度など)を犠牲にすることなく、縫合糸または他の医療用途(例えば、作動ケーブル)として使用され得る小径の編組構造100が得られた。
【0041】
編組構造が医療機器とともに、医療機器内で、または医療機器と組み合わせて使用される用途では、コア102及びシース104の材料特性及び機械的特性が、編組構造及び編組構造を含む装置全体に影響を与える。一実施形態では、コア102の直径D2とシース104の直径D3とのバランスを利用することによって、編組構造100の好ましい全体直径が達成されて医療機器内の小さな指定のルーメンに適合し、さらに適切な強度及び耐クリープ性についての要件を満たすことができる。さらに、本発明の好ましい直径範囲よりも大きいコア102及びシース104を含む編組構造100は、特定の医療機器用途のために指定されたルーメン内に適合しない。さらに、本発明の好ましい範囲よりも高い引張強度を有する編組構造は、編組構造100を含む最終的な医療機器に損傷を与え得る。さらに、コア102を摩耗及びヤーンのずれから保護するために、コア102の直径D2及びシース104の直径D3は、コア102の周囲に1インチあたりの所望の数のヨコ糸(ピック)で適切なシース被覆を提供するように選択される。
【0042】
さらに、コア102及びシース104の線密度を制御して、編組構造の所望の特性を得ることができる。具体的には、コア102の線密度は、約8~約1110デニール(例えば約75~約125デニール、例えば約80~約120デニール)の範囲であり得る。さらに、シース104内の各ヤーンの線密度は、約8~約125デニール(例えば約25~約75デニール、例えば約30~約70デニール)の範囲であり得、シース104の全体的な線密度も、約8~約125デニール(例えば約25~約75デニール、例えば約30~約70デニール)の範囲であり得る。
【0043】
さらに、いくつかの実施形態では、コア102は、1インチあたり0ツイスト(0ツイスト/インチ)を有する単一のヤーンを含むが、単一または複数のヤーンが利用される場合、コア102のヤーンは、0ツイスト/インチ(0TPI)~約1TPI(例えば0~約2TPI、例えば0~約15TPI、例えば約4~約10TPI、例えば約5~約9TPI)を有し得る。さらに、シース104のヤーンは、0ツイスト/インチ(0TPI)~約1TPI(例えば0~約2TPI、例えば0~約15TPI、例えば3~約12TPI、例えば約4~約10TPI、例えば約5~約9TPI)を含むように形成され得る。編組構造のTPIは編組構造100の耐摩耗性に影響を与え、本発明の好ましいTPI範囲を使用することにより、引張強度を損なうことなく、編組構造の製造中の摩耗を最小限に抑えることができる。ツイストには、ヤーンがスプール上で巻き付けられるか、または紡がれるともたらされる意図しないツイスト、または製造プロセスによってヤーンに組み込まれる意図的なツイストが含まれ得る。
【0044】
さらに、編組構造100は、約10ピック/インチ(PPI)~約90ピック/インチ(例えば約12~約60PPI、例えば約14~約40PPI)を含み得る。好ましいPPI範囲を使用することにより、編組構造の低いクリープ、低い伸度、及び所望の剛性を達成することができる。例えば、好ましい範囲よりも大きいPPIは、望ましくない高いクリープ及び伸びをもたらし得、これにより、編組構造の剛性が所望の剛性の範囲外まで低下する。さらに、好ましい範囲よりも低いPPIを利用すると、望ましくない低いクリープ及び伸びがもたらされ、これにより、編組構造の剛性が所望の剛性の範囲外まで増加する。さらに、好ましい範囲よりも低いPPI値は最小のクリープを有する編組構造をもたらし得るが、この低いPPI値は、コアの周囲に適切なシースヤーン被覆を提供せず、その結果、耐摩耗性が低下する。
【0045】
上記のシース及びコアヤーンの特性の特定の組み合わせに基づいて、約60μm~約650μmの範囲の直径を有し、所望の耐摩耗性、耐クリープ性、破断荷重、180度屈曲での破断荷重、破断伸度、及び剛性を示す小径の編組構造を形成することができる。
【0046】
例えば、本発明の編組構造100は、ほつれをほとんどまたは全く示さないという点で耐摩耗性であり得る。一実施形態では、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計40サイクルにわたって反復させると、編組構造は、リニアインチあたり50未満の破損フィラメント(例えばリニアインチあたり25未満の破損フィラメント、例えばリニアインチあたり10未満の破損フィラメント、例えばリニアインチあたり5未満の破損フィラメントなど)を含む。
【0047】
さらに、本発明の編組構造100は、約22.2N(5重量ポンド)の一定の荷重を、約15分間、ホーングリップ上で、約19インチ(48.3cm)のゲージ長で負荷された場合、例えば約14.7mm(約0.58インチ)未満、例えば約14.2mm(約0.56インチ)未満、例えば約13.7mm(約0.54インチ)未満など、約15.2mm(約0.60インチ)未満のクリープを示し得る。1つの特定の実施形態では、クリープは、約0.0025mm(約0.001インチ)~約6.4mm(約0.25インチ)の範囲であり得る。
【0048】
さらに、本発明の編組構造100は、例えば約15分後に約7%未満の伸び、例えば約15分後に約6%未満の伸び、例えば約15分後に約4%未満の伸び、例えば約15分後に約3%未満の伸び、例えば約15分後に約2%未満の伸び、例えば約15分後に約1%未満の伸び、例えば約15分後に約0.5%未満の伸び、例えば約15分後に約0.25%未満の伸びなど、約15分後に約8%未満の伸びのクリープを示し得る。一実施形態では、編組構造100は、約15分後に約0.2%~約3%の間の伸びのクリープを示し得る。
【0049】
さらに、引張試験に供される場合、本発明の編組構造100は、例えば約33.4N(約7.5重量ポンド)~約222.4N(約50重量ポンド)、例えば約44.5N(約10重量ポンド)~約177.9N(約40重量ポンド)、例えば約55.6N(約12.5重量ポンド)~約133.4N(約30重量ポンド)など、約22.2N(約5重量ポンド)~約266.9N(約60重量ポンド)の範囲の破断荷重を示し得る。
【0050】
さらに、引張試験に供される場合、編組構造が、例えば約305μm(約0.012インチ)など、約229μm(約0.009インチ)~約381μm(約0.015インチ)の範囲の直径を有するピンまたはワイヤに巻き付けられているときには、本発明の編組構造100は、例えば約55.6N(約12.5重量ポンド)~約266.9N(約60重量ポンド)、例えば約66.7N(約15重量ポンド)~約222.4N(約50重量ポンド)など、約44.5N(約10重量ポンド)~約311.4N(約70重量ポンド)の範囲の180度屈曲での破断荷重を示し得る。
【0051】
さらに、引張試験に供される場合、本発明の編組構造100は、例えば約2.1%~約5%、例えば約2.2%~約4.75%、例えば約2.3%~約4.5%など、約2%~約5.5%の範囲の破断伸長または破断伸度を示し得る。
【0052】
さらに、引張試験に供される場合、本発明の編組構造100は、例えば約15重量ポンド/インチ(約2.6N/mm)~約85重量ポンド/インチ(約14.9N/mm)、例えば約20重量ポンド/インチ(約3.5N/mm)~約80重量ポンド/インチ(約14.0N/mm)、例えば約25重量ポンド/インチ(約4.4N/mm)~約75重量ポンド/インチ(約13.1N/mm)など、約10重量ポンド/インチ(約1.75N/mm)~約90重量ポンド/インチ(約15.8N/mm)の範囲の剛性を示し得る。
【0053】
さらに、引張試験に供される場合、編組構造は、例えば約1034MPa(約1.5×105ポンド/平方インチ)~約2068MPa(約3×105ポンド/平方インチ)、例えば約1103MPa(約1.6×105ポンド/平方インチ)~約1896MPa(約2.75×105ポンド/平方インチ)、例えば約1172MPa(約1.7×105ポンド/平方インチ)~約1723MPa(約2.5×105ポンド/平方インチ)など、約550MPa(約8.0×104ポンド/平方インチ)~約2710MPa(約3.9×105ポンド/平方インチ)の範囲の引張強度を示し得る。
【0054】
別の態様では、編組構造は、例えば約16g/デニールヤーン~約30g/デニールヤーン、例えば約18g/デニールヤーン~約25g/デニールヤーン、例えば約20g/デニールヤーン~約25g/デニールヤーン、例えば約22g/デニールヤーン~約25g/デニールヤーンなど、約15g/デニールヤーン~約35g/デニールヤーンの範囲の強度を示し得る。
【0055】
次に、編組構造の様々な構成要素についてより詳細に説明する。
【0056】
I.コア
【0057】
本発明によれば、編組構造のコアは、単一の芳香族ポリマーヤーンを含み得る。例えば、芳香族ポリマーは、液晶ポリマー、アラミド(Aramid)ポリマーまたはそれらの組み合わせを含み得る。「液晶ポリマー」または「LCP」という用語は、溶融状態(例えば、サーモトロピック・ネマチック状態)において液晶挙動を示すことを可能にする棒状構造を有し得るポリマーを指す。ポリマーは、芳香族単位(例えば、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドなど)を含むことができ、全芳香族である(例えば、芳香族単位のみを含む)か、または部分芳香族である(例えば、芳香族単位と、脂環式単位などの他の単位とを含む)。ポリマーはまた、本質的に全結晶性または半結晶性であり得る。いくつかの実施形態では、適切なサーモトロピック液晶ポリマーは、例えば、芳香族ポリエステル(例えば、液晶芳香族ポリエステルまたは液晶ポリエステル)、芳香族ポリ(エステルアミド)、芳香族ポリ(エステルカーボネート)、芳香族ポリアミドなどを含んでもよく、同様に、1以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族アミン、芳香族ジアミンなど、及び、それらの組み合わせから形成される繰り返し単位を含んでもよい。
【0058】
例えば、芳香族ポリエステルは、(1)2以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸;(2)少なくとも1つの芳香族ヒドロキシカルボン酸、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、及び少なくとも1つの芳香族ジオール;及び/または(3)少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、及び少なくとも1つの芳香族ジオール;から得られる。適切な芳香族ヒドロキシカルボン酸の例には、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4'-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4'-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3'-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4'-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、並びに、それらのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基が含まれる。適切な芳香族ジカルボン酸の例には、テレフタル酸;イソフタル酸;2,6-ナフタレンジカルボン酸;ジフェニルエーテル-4,4'-ジカルボン酸;1,6-ナフタレンジカルボン酸;2,7-ナフタレンジカルボン酸;4,4'-ジカルボキシビフェニル;ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル;ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン;ビス(4-カルボキシフェニル)エタン;ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル;ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、並びに、それらのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基が含まれる。適切な芳香族ジオールの例には、ヒドロキノン;レゾルシノール;2,6-ジヒドロキシナフタレン;2,7-ジヒドロキシナフタレン;1,6-ジヒドロキシナフタレン;4,4'-ジヒドロキシビフェニル;3,3'-ジヒドロキシビフェニル;3,4'-ジヒドロキシビフェニル;4,4'-ジヒドロキシビフェニルエーテル;ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、並びに、それらのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基が含まれる。1つの特定の実施形態では、芳香族ポリエステルは、4-ヒドロキシ安息香酸及び2,6-ヒドロキシナフトエ酸に由来する。4-ヒドロキシ安息香酸に由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約45%から約85%(例えば、73%)を構成してもよく、2,6-ヒドロキシナフトエ酸に由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約15%から約55%(例えば、27%)を構成してもよい。これら及び他の芳香族ポリエステルの合成及び構造は、米国特許第4,161,470号;同第4,473,682号;同第4,522,974号;同第4,375,530号;同第4,318,841号;同第4,256,624号;同第4,219,461号;同第4,083,829号;同第4,184,996号;同第4,279,803号;同第4,337,190号;同第4,355,134号;同第4,429,105号;同第4,393,191号;同第4,421,908号;同第4,434,262号;及び同第5,541,240号明細書にさらに詳細に記載される。
【0059】
同様に、液晶ポリエステルアミドは、(1)少なくとも1つの芳香族ヒドロキシカルボン酸及び少なくとも1つの芳香族アミノカルボン酸;(2)少なくとも1つの芳香族ヒドロキシカルボン酸、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、並びに、任意選択でフェノール性ヒドロキシ基を有する少なくとも1つの芳香族アミン及び/またはジアミン;(3)少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、並びに、任意選択でフェノール性ヒドロキシ基を有する少なくとも1つの芳香族アミン及び/またはジアミン;から得られる。適切な芳香族アミン及びジアミンには、例えば、3-アミノフェノール;4-アミノフェノール;1,4-フェニレンジアミン;1,3-フェニレンジアミンなど、並びにそれらのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基が含まれる。1つの特定の実施形態では、芳香族ポリエステルアミドは、2,6-ヒドロキシナフトエ酸、テレフタル酸、及び4-アミノフェノールに由来する。2,6-ヒドロキシナフトエ酸に由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約35%~約85%(例えば、60%)を構成してもよく、テレフタル酸に由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約5%~約50%(例えば、20%)を構成してもよく、4-アミノフェノールに由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約5%~約50%(例えば、20%)を構成してもよい。別の実施形態では、芳香族ポリエステルアミドは、2,6-ヒドロキシナフトエ酸、4-ヒドロキシ安息香酸及び4-アミノフェノールに由来するモノマー単位、並びに他の任意のモノマー(例えば、4,4'-ジヒドロキシビフェニル及び/またはテレフタル酸)を含む。これら及び他の芳香族ポリ(エステルアミド)の合成及び構造は、米国特許第4,339,375号;同第4,355,132号;同第4,351,917号;同第4,330,457号;同第4,351,918号;及び同第5,204,443号明細書にさらに詳細に記載され得る。
【0060】
一方、「アラミドポリマー」という用語は、芳香族ポリアミドとして知られているポリマーのクラスを指す。このようなポリマーは、通常、アミン基とカルボン酸ハロゲン化物基との間の反応によって作成される。本発明によって企図される適切なアラミドポリマーの例には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド及びp-フェニレンテレフタルアミドが含まれる。
【0061】
1つの特定の実施形態では、芳香族ポリマーは、約96デニール~約105デニールの範囲の線密度を有する、1インチあたりの撚り数がゼロである単一のヤーンを有するコア102に形成され得る。ヤーンはまた、約36~約72のフィラメントを含み得、約90μm~約105μm(約0.0036インチ~約0.0041インチ)の範囲の直径を有し得る。さらに、コア102の単一のヤーンは、約2.1%~約2.5%の範囲の%伸び(破断伸度)を示し得る。さらに、ヤーンは、約21g/デニール~約28g/デニールの範囲の強度を示し得、約2016g~約2940gの範囲の最大荷重(maximum force)を有し得る。
【0062】
別の特定の実施形態では、芳香族ポリマーは、約21デニール~約29デニールの範囲の線密度を有する、1インチあたりの巻数がゼロである単一のヤーンを有するコア102に形成され得る。ヤーンはまた、2~約12本のフィラメントを含み得、約46μm~約56μm(約0.0018インチ~約0.0022インチ)の範囲の直径を有し得る。さらに、コア102の単一のヤーンは、約3%~約5%の範囲の%伸び(破断伸度)を示し得る。さらに、ヤーンは、約20g/デニール~約40g/デニールの範囲の強度を示し得、約600g~約950gの範囲の最大荷重を有し得る。
【0063】
II.シース
【0064】
本発明によれば、編組構造のシースは、高分子量ポリオレフィンなどの高分子量ポリマーから形成された複数のシースヤーンを含み得る。
【0065】
1つの特定の実施形態では、シースは、少なくとも約500,000グラム/モル(g/mol)の重量平均分子量(Mw)を有し得る超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)ポリマーから形成された複数のシースヤーンを含み得る。いくつかの実施形態では、UHMWPEポリマーの平均分子量は、例えば約1,000,000g/mol~約8,000,000g/mol、例えば約1,000,000g/mol~約6,000,000g/mol、例えば約2,000,000g/mol~約4,000,000g/molなど、約500,000g/mol~約10,000,000g/molの範囲であり得る。
【0066】
さらに、UHMWPEポリマーは、エチレンのホモポリマー、またはエチレンと少なくとも1つのコモノマーとのコポリマーであり得る。UHMWPEコポリマーを形成するために使用され得る適切なコモノマーには、これらに限定しないが、例えば3~20個の炭素原子を有するアルファオレフィンまたは環状オレフィンが含まれる。適切なコモノマーの非限定的な例には、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、シクロヘキセン、及び最大20個の炭素原子を有するジエン(例えば、ブタジエンまたは1,4-ヘキサジエン)が含まれる。コモノマーは、約0.001モル%~約10モル%、約0.01モル%~約5モル%、または約0.1モル%~約1モル%の量でUHMWPEコポリマー中に存在し得る。
【0067】
1つの特定の実施形態では、シース104は、1インチあたり6~7の撚り数(6~7TPI)を有する6つのUHMWPEヤーンを含み得、各ヤーンは、約40デニール~約60デニールの範囲の線密度を有し、シース104の全体の線密度もまた、約40デニール~約60デニールの範囲である。シース104内の各ヤーンはまた、約20~約35のフィラメントを含み得、約76μm~約94μm(約0.0030インチ~約0.0037インチ)の範囲の直径を有し得る。さらに、シース104内の各ヤーンは、約1.3%~約7%の範囲の%伸び(破断伸度)を示し得る。さらに、各ヤーンは、約25g/デニール~約51g/デニールの範囲の強度を示し得る、約1150g~約3036gの範囲の最大荷重を有し得る。
【0068】
1つの特定の実施形態では、シース104は、4~24のねじれのないUHMWPEヤーンを含み得、各ヤーンは、約40デニール~約60デニールの範囲の線密度を有し、シース104の全体の線密度もまた、約25デニール~約120デニールの範囲である。シース104内の各ヤーンはまた、約16~約42のフィラメントを含み得、約76μm~約132μm(約0.0030インチ~約0.0052インチ)の範囲の直径を有し得る。さらに、シース104内の各ヤーンは、約2%~約5%の範囲の%伸び(破断伸度)を示し得る。さらに、各ヤーンは、約20g/デニール~約55g/デニールの範囲の強度を示し得、約650g~約4500gの範囲の最大荷重を有し得る。
【0069】
別の実施形態では、シース104内のヤーンは、高分子量ポリオレフィンに加えて別のポリマーを含み得る。例えば、シース104内の1以上のヤーンは高分子量ポリオレフィンと追加のポリマーとの混紡を含み得るか、または、1以上のヤーンは追加のポリマーのみから形成され得る。一実施形態では、追加のポリマーは芳香族ポリマーであり得る。例えば、芳香族ポリマーは、液晶ポリマー、アラミドポリマーまたはそれらの組み合わせを含み得る。「液晶ポリマー」または「LCP」という用語は、溶融状態(例えば、サーモトロピック・ネマチック状態)において液晶挙動を示すことを可能にする棒状構造を有し得るポリマーを指す。ポリマーは、芳香族単位(例えば、芳香族ポリエステル、芳香族ポリエステルアミドなど)を含むことができ、全芳香族である(例えば、芳香族単位のみを含む)か、または部分芳香族である(例えば、芳香族単位と、脂環式単位などの他の単位とを含む)。ポリマーはまた、本質的に全結晶性または半結晶性であり得る。いくつかの実施形態では、適切なサーモトロピック液晶ポリマーは、例えば、芳香族ポリエステル(例えば、液晶芳香族ポリエステルまたは液晶ポリエステル)、芳香族ポリ(エステルアミド)、芳香族ポリ(エステルカーボネート)、芳香族ポリアミドなどを含んでもよく、同様に、1以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオール、芳香族アミノカルボン酸、芳香族アミン、芳香族ジアミンなど、及び、それらの組み合わせから形成される繰り返し単位を含んでもよい。
【0070】
例えば、芳香族ポリエステルは、(1)2以上の芳香族ヒドロキシカルボン酸;(2)少なくとも1つの芳香族ヒドロキシカルボン酸、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、及び少なくとも1つの芳香族ジオール;及び/または(3)少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、及び少なくとも1つの芳香族ジオール;から得られる。適切な芳香族ヒドロキシカルボン酸の例には、4-ヒドロキシ安息香酸;4-ヒドロキシ-4'-ビフェニルカルボン酸;2-ヒドロキシ-6-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-5-ナフトエ酸;3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸;2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸;4'-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;3'-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸;4'-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸など、並びに、それらのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基が含まれる。適切な芳香族ジカルボン酸の例には、テレフタル酸;イソフタル酸;2,6-ナフタレンジカルボン酸;ジフェニルエーテル-4,4'-ジカルボン酸;1,6-ナフタレンジカルボン酸;2,7-ナフタレンジカルボン酸;4,4'-ジカルボキシビフェニル;ビス(4-カルボキシフェニル)エーテル;ビス(4-カルボキシフェニル)ブタン;ビス(4-カルボキシフェニル)エタン;ビス(3-カルボキシフェニル)エーテル;ビス(3-カルボキシフェニル)エタンなど、並びに、それらのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基が含まれる。適切な芳香族ジオールの例には、ヒドロキノン;レゾルシノール;2,6-ジヒドロキシナフタレン;2,7-ジヒドロキシナフタレン;1,6-ジヒドロキシナフタレン;4,4'-ジヒドロキシビフェニル;3,3'-ジヒドロキシビフェニル;3,4'-ジヒドロキシビフェニル;4,4'-ジヒドロキシビフェニルエーテル;ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンなど、並びに、それらのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基が含まれる。1つの特定の実施形態では、芳香族ポリエステルは、4-ヒドロキシ安息香酸及び2,6-ヒドロキシナフトエ酸に由来する。4-ヒドロキシ安息香酸に由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約45%~約85%(例えば、73%)を構成してもよく、2,6-ヒドロキシナフトエ酸に由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約15%~約55%(例えば、27%)を構成してもよい。これら及び他の芳香族ポリエステルの合成及び構造は、米国特許第4,161,470号;同第4,473,682号;同第4,522,974号;同第4,375,530号;同第4,318,841号;同第4,256,624号;同第4,219,461号;同第4,083,829号;同第4,184,996号;同第4,279,803号;同第4,337,190号;同第4,355,134号;同第4,429,105号;同第4,393,191号;同第4,421,908号;同第4,434,262号;及び同第5,541,240号明細書にさらに詳細に記載される。
【0071】
同様に、液晶ポリエステルアミドは、(1)少なくとも1つの芳香族ヒドロキシカルボン酸及び少なくとも1つの芳香族アミノカルボン酸;(2)少なくとも1つの芳香族ヒドロキシカルボン酸、少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、並びに、任意選択でフェノール性ヒドロキシ基を有する少なくとも1つの芳香族アミン及び/またはジアミン;(3)少なくとも1つの芳香族ジカルボン酸、並びに、任意選択でフェノール性ヒドロキシ基を有する少なくとも1つの芳香族アミン及び/またはジアミン;から得られる。適切な芳香族アミン及びジアミンには、例えば、3-アミノフェノール;4-アミノフェノール;1,4-フェニレンジアミン;1,3-フェニレンジアミンなど、並びにそれらのアルキル、アルコキシ、アリール及びハロゲン置換基が含まれる。1つの特定の実施形態では、芳香族ポリエステルアミドは、2,6-ヒドロキシナフトエ酸、テレフタル酸、及び4-アミノフェノールに由来する。2,6-ヒドロキシナフトエ酸に由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約35%~約85%(例えば、60%)を構成してもよく、テレフタル酸に由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約5%~約50%(例えば、20%)を構成してもよく、4-アミノフェノールに由来するモノマー単位は、モルベースでポリマーの約5%~約50%(例えば、20%)を構成してもよい。別の実施形態では、芳香族ポリエステルアミドは、2,6-ヒドロキシナフトエ酸、4-ヒドロキシ安息香酸及び4-アミノフェノールに由来するモノマー単位、並びに他の任意のモノマー(例えば、4,4'-ジヒドロキシビフェニル及び/またはテレフタル酸)を含む。これら及び他の芳香族ポリ(エステルアミド)の合成及び構造は、米国特許第4,339,375号;同第4,355,132号;同第4,351,917号;同第4,330,457号;同第4,351,918号;及び同第5,204,443号明細書にさらに詳細に記載され得る。
【0072】
一方、「アラミドポリマー」という用語は、芳香族ポリアミドとして知られているポリマーのクラスを指す。このようなポリマーは、通常、アミン基とカルボン酸ハロゲン化物基との間の反応によって作成される。本発明によって企図される適切なアラミドポリマーの例には、ポリメタフェニレンイソフタルアミド及びp-フェニレンテレフタルアミドが含まれる。
【0073】
しかしながら、所望の耐摩耗性を達成するために、追加のポリマーは、例えばシース104の総重量の約2.5重量%未満の量、例えばシース104の総重量の約1重量%未満の量など、シース104の総重量の約5重量%未満の量で存在するべきであることを理解されたい。
【0074】
III.用途
【0075】
本発明の編組構造は、様々な医療用途に利用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、編組構造は、縫合材料として利用され得る。さらに、他の実施形態では、編組構造は、医療機器の作動ケーブルとして使用され得る。さらに、編組構造は、当業者に知られている他の任意の用途に使用され得る。例えば、編組構造は、耐荷重性の整形外科用途、人工腱/人口靭帯、固定装置、作動ケーブル、組織修復用構成要素などで使用され得る。
【0076】
本発明は、以下の実施例を参照することにより、よりよく理解することができる。
【0077】
実施例
【0078】
比較例C1a-C17と実施例1a-4及びS1-S5とを含むいくつかの編組構造を以下の表1-1及び表1-2に示すように形成すると、編組構造は表1及び表1-2に要約された物理的特性及び機械的特性を示した。各特性を決定するために使用される特定の試験手順に関する詳細を以下に示す。
【0079】
試験手順
【0080】
1.シースヤーンの1インチあたりのツイスト数(TPI)を、手動ねじり試験機で直接解撚法(direct untwist method)を使用して測定した。
【0081】
2.編組直径を、30gの重りを編組構造に適用しながらレーザマイクロメータを使用して測定した。
【0082】
3.1インチあたりのピック数(PPI)を、編組構造を拡大しながら電子測定システムを使用して測定した。
【0083】
4.破断荷重を、軸方向に張力を加えた状態で、万能機械試験システムを使用して編組構造が破断したときの張力を測定することによって決定した。
【0084】
5.180度屈曲での破断荷重を、万能機械試験システムを使用して、直径約305μm(0.012インチ)のワイヤまたはピン上で180度曲げたときに編組構造が破断した張力を測定することによって決定した。
【0085】
6.引張強度(UTS)を、以下の式に従って決定した。
【0086】
UTS=破断荷重/(3.14×(編組構造の半径)2)
【0087】
7.破断伸度を、万能機械試験システムを使用して、破断点での編組構造の伸び率を計算して決定した。
【0088】
8.剛性を、以下の式に従って決定した。
【0089】
剛性=破断荷重/破断伸度
【0090】
9.クリープを、編組構造の伸び量及び伸び率を測定することによって計算した。編組構造を、1つの試験グリップにおいて両方の編組端が互いに平行であるようにそれ自体から両側に垂れ下げ、二重編組構造を作成した。この二重編組構造を、一定の約22.2N(5重量ポンド)で、約15分間、48.3cm(約19インチ)のゲージ長のホーングリップで試験した後、約15分での編組構造の伸びに、試験ゲージ長対試験ゲージ長よりも長い設定比率を乗算してこの値を正規化した。
【0091】
10.以下に基づいて、「優れた」、「適切な」または「悪い」という耐摩耗性の等級付けを得た:編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、各サンプルの編組構造を、後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計40サイクルにわたって反復させ、1インチの編組構造あたりの破損したフィラメントの数を測定し、破損したフィラメントが10未満である編組構造には「優れた」という等級を付し、破損したフィラメントが10-50である編組構造には「適切な」という等級を付し、破損したフィラメントが50より多い編組構造には「悪い」という等級を付した。
【0092】
【0093】
【0094】
シースヤーンの説明及びコアヤーンの説明の列の上付き文字の説明
【0095】
A 45-55デニール;24フィラメント;0.002467-0.002934インチの直径;2.3-3.1%の伸び;22-33の強度(g/デニール);990-1815gの最大荷重;11-13TPI。
【0096】
B 45-56デニール;25フィラメント;0.003188-0.003557インチの直径;2-7%の伸び;22-47の強度(g/デニール);990-2632gの最大荷重;1-5TPI。
【0097】
C 47-55デニール;24フィラメント;0.002521-0.002934インチの直径;3-4.5%の伸び;21.5-38.4の強度(g/デニール);1010.5-2113.1gの最大荷重;0TPI。
【0098】
D 45-55デニール;24フィラメント;0.002521-0.002934インチの直径;3-5%の伸び;20-40の強度(g/デニール);900-2200gの最大荷重;5-9TPI。
【0099】
E 46-56デニール;25フィラメント;0.003224-0.003557インチの直径;2-7%の伸び;25-45の強度(g/デニール);1150-2520gの最大荷重;5-9TPI。
【0100】
F 46-57デニール;20フィラメント;0.003224-0.003588インチの直径;1.9-4.7%の伸び;28-48の強度(g/デニール);1288-2736gの最大荷重;5-9TPI。
【0101】
G 40-60デニール;31-35フィラメント;0.003006-0.003682インチの直径;1.3-5%の伸び;37.4-50.6の強度(g/デニール);1496-3036gの最大荷重;5-9TPI。
【0102】
H 94-105デニール;48フィラメント;0.003566-0.004054インチの直径;2.5-4.5%の伸び;22-36の強度(g/デニール);2068-3780gの最大荷重;0TPI。
【0103】
I 96-105デニール;48フィラメント;0.003604-0.004054インチの直径;2.1-2.5%の伸び;21-28の強度(g/デニール);2016-2940gの最大荷重;0TPI。
【0104】
J 90-110デニール;40-48フィラメント;0.004509-0.004985インチの直径;2.1-4.5%の伸び;28.5-41.2の強度(g/デニール);2565.9-4535.3gの最大荷重;0TPI。
【0105】
K 92-114デニール;40フィラメント;0.004559-0.005075インチの直径;1.9-4.7%の伸び;28-48の強度(g/デニール);2576-5472gの最大荷重;0TPI。
【0106】
L 45-56デニール;25フィラメント;0.003188-0.003557インチの直径;2.3-4.5%の伸び;28-40の強度(g/デニール);1260-2240gの最大荷重;0TPI。
【0107】
M 25-35デニール;16フィラメント;0.00303-0.00403インチの直径;2-5%の伸び;20-55の強度(g/デニール);650-1700gの最大荷重;0TPI。
【0108】
N 35-45デニール;27フィラメント;0.002357-0.002673インチの直径;19-45%の伸び;3.8-5.2の強度(g/デニール);130-235gの最大荷重;0TPI。
【0109】
O 80-120デニール;41フィラメント;0.004251-0.00520658インチの直径;2.5-4.5%の伸び;25-45の強度(g/デニール);2500-4500gの最大荷重;0TPI。
【0110】
P 21-29デニール;6フィラメント;0.001839-0.00220275インチの直径;3-5%の伸び;20-40の強度(g/デニール);600-950gの最大荷重。
【0111】
議論
【0112】
様々な編組構造と、それによってもたらされる物理的特性及び機械的特性とをまとめている上記の表1に示すように、比較サンプルC1-C17は医療用途で使用するための編組構造に必要な小径を有しているが、比較サンプルC1-C17のうち、すべてのカテゴリで最も好ましい機械的特性を示したものはなかった。例えば、比較サンプルC4、C8、C9及びC13は、高い破断伸度率を示し、C11及びC12は低い引張強度を示し、サンプルC1a、C1b、C1c、C2a、C2b、C2c、C3、C6、C7、C10、C11及びC17は、編組構造に200gの重量を適用した状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方に20mm及び前方に20mm、合計40サイクルにわたって反復させた後、編組構造がほつれることから明らかなように、不十分な耐摩耗性を示した。
【0113】
一方、驚くべきことに、サンプル1a、1b、1c、2、3及び4、並びにサンプルS1、S2、S3、S4及びS5の編組構造の特定の構成は、通常及び180度の屈曲試験構成において耐摩耗性であり、高い破断荷重、低い破断伸度、高い剛性、低いクリープ値を示し、これらはすべて、縫合糸または作動ケーブルの用途における使用に適した小径を有し、約876MPa(1.27x105ポンド/平方インチ)~約1930MPa(2.80x105ポンド/平方インチ)の範囲の高い引張強度を維持していた。別の態様では、編組構造は、約15~約35g/デニールヤーンの範囲の強度を示し得る。
【0114】
他の編組構造と比較した、本発明の編組構造の改善された耐摩耗性を実証するために、
図3-10を、より詳細に議論する。具体的には、
図3は、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計5サイクル反復させた後の、比較例C1a-C3、C6-C7及びC10のような液晶ポリマーシースを有する編組構造の写真である;
図4は、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計10サイクル反復させた後の、比較例C1a-C3、C6-C7及びC10のような液晶ポリマーシースを有する編組構造の写真である;
図5は、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計20サイクル反復させた後の、比較例C1a-C3、C6-C7及びC10のような液晶ポリマーシースを有する編組構造の写真である;
図6は、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計40サイクル反復させた後の、比較例C1a-C3、C6-C7及びC10のような液晶ポリマーシースを有する編組構造の写真である。図示のように、わずか5サイクル後でも比較例C1a-C3、C6-C7及びC10のような編組構造はほつれを示し、ほつれは40サイクル後にさらに顕著になり、比較例C1a-C3、C6-C7及びC10の編組構造が耐摩耗性を欠いていることを示している。
【0115】
一方、
図7は、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計5サイクル反復させた後の、実施例1a-4及びS1-S5のような超高分子量ポリエチレンポリマーシースを有する編組構造の写真である;
図8は、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計10サイクル反復させた後の、実施例1a-4及びS1-S5のような超高分子量ポリエチレンポリマーシースを有する編組構造の写真である;
図9は、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計20サイクル反復させた後の、実施例1a-4及びS1-S5のような超高分子量ポリエチレンポリマーシースを有する編組構造の写真である;
図10は、編組構造に200gの重量を加えた状態で、半径1mmの金属エッジを横切るように、編組構造を後方方向に20mm及び前方方向に20mm、合計40サイクル反復させた後の、実施例1a-4及びS1-S5のような超高分子量ポリエチレンポリマーシースを有する編組構造の写真である。図示のように、40サイクル後でも、実施例1a-4及びS1-S5のような編組構造はほつれを示さず、本発明の編組構造が耐摩耗性であることを示している。
【0116】
この書面による説明は、実施例を使用して最良の形態を含む本発明を開示し、任意の装置またはシステムの作成及び使用、並びに任意の組み込まれた方法の実行を含む、当業者による本発明の実施を可能にする。本発明の特許性のある範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の例を含み得る。そのような他の例は、特許請求の範囲の文言上の用語と異ならない構造要素を含む場合、または特許請求の範囲の文言上の用語と実質的に異なる同等の構造要素を含む場合、クレームの範囲内にあることを意図している。