(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】コーティングされた金属基板
(51)【国際特許分類】
B32B 15/08 20060101AFI20240201BHJP
B05D 7/14 20060101ALI20240201BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20240201BHJP
G01B 7/16 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B32B15/08 U
B05D7/14 P
B05D7/24 303B
B05D7/24 302Z
B05D7/24 301R
B05D7/14 C
B05D7/24 302S
B05D7/24 302T
B05D7/24 302U
B05D7/24 302V
B05D7/24 302X
B05D7/24 302Y
B05D7/24 302Q
B05D7/24 302P
G01B7/16 R
(21)【出願番号】P 2020569775
(86)(22)【出願日】2019-06-11
(86)【国際出願番号】 IB2019054846
(87)【国際公開番号】W WO2019239304
(87)【国際公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-03
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2018/054428
(32)【優先日】2018-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アルバレス-アルバレス,アベル
(72)【発明者】
【氏名】ペレス・ビダル,オスカル
(72)【発明者】
【氏名】ロドリゲス・マルティネス,カルロス・ハビエル
(72)【発明者】
【氏名】ノリエガ・ペレス,ダビド
(72)【発明者】
【氏名】フェルナンデス・アルバレス,ホセ・パウリーノ
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-040211(JP,A)
【文献】特開2016-120704(JP,A)
【文献】特開2010-005838(JP,A)
【文献】特開2017-119846(JP,A)
【文献】特開2017-141444(JP,A)
【文献】特表2011-510905(JP,A)
【文献】特開2017-178979(JP,A)
【文献】特表2017-512747(JP,A)
【文献】特表2018-515409(JP,A)
【文献】特表2016-507404(JP,A)
【文献】特開2013-035966(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0344701(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0291733(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0060120(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第107236286(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0071678(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 1/00 - 43/00
B05D 1/00 - 7/26
C09D 1/00 - 10/00
C09D 101/00 - 201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非導電性プライマーで直接コーティングされた金属基板を含むひずみ検知デバイスであって、当該非導電性プライマーが、少なくとも片側上で、還元型酸化グラフェン及び熱硬化性ポリマーを含む塗料で少なくとも部分的にコーティングされており、
当該金属基板は、鋼板であり、
当該還元型酸化グラフェンは、1つ以上の層を含んで形成されるナノプレートレットの形態であり、
当該還元型酸化グラフェンの横方向のサイズは、40~80μmの間であり、
該横方向のサイズは、還元型酸化グラフェンの層の最大の長さであり、
当該還元型酸化グラフェン中の酸素の重量パーセントは、2~10%の間であり、
当該塗料中の当該還元型酸化グラフェンの濃度が0.5~4重量%の間であり、
当該非導電性プライマーは、ポリ(メチルメタクリレート)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素、加硫ゴム、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ポリイソシアヌレート、フラン樹脂、シリコーン樹
脂及びビニルエステル樹脂又はそれらの混合物の中から選択されるポリマーから作製される、
ひずみ検知デバイス。
【請求項2】
前記還元型酸化グラフェンの横方向のサイズが60~80μmの間である、請求項1に記載のひずみ検知デバイス。
【請求項3】
前記熱硬化性ポリマーが、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素、加硫ゴム、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ポリイソシアヌレート、フラン樹脂、シリコーン樹
脂及びビニルエステル樹脂又はそれらの混合物の中から選択される、請求項1又は2に記載のひずみ検知デバイス。
【請求項4】
前記非導電性プライマーが、ストリップ状の塗料でコーティングされて、塗装された非導電性プライマーの部分と塗装されていない非導電性プライマーの部分とを交互に形成する、請求項1~3のいずれか一項に記載のひずみ検知デバイス。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載の金属基板を含むひずみ検知デバイスの製造方法であって、連続する以下のステップ、
A.金属基板上に非導電性プライマーを堆積するステップ、
B.前記金属基板上に予め堆積された前記非導電性プライマー上に、還元型酸化グラフェン、熱硬化性モノマー、硬化剤及び任意選択的に溶媒を含む混合物を堆積するステップ、並びに
C.硬化ステップ
を含み、
当該金属基板は、鋼板であり、
当該還元型酸化グラフェンは、1つ以上の層を含んで形成されるナノプレートレットの形態であり、
当該還元型酸化グラフェンの横方向のサイズは、40~80μmの間であり、
該横方向のサイズは、還元型酸化グラフェンの層の最大の長さであり、
当該還元型酸化グラフェン中の酸素の重量パーセントは、2~10%の間であり、
堆積した塗料中の当該還元型酸化グラフェンの濃度が0.5~4重量%の間であり、
当該非導電性プライマーは、ポリ(メチルメタクリレート)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素、加硫ゴム、尿素-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、ポリイミド、ビスマレイミド樹脂、シアン酸エステル樹脂、ポリイソシアヌレート、フラン樹脂、シリコーン樹
脂及びビニルエステル樹脂又はそれらの混合物の中から選択されるポリマーから作製される、
方法。
【請求項6】
ステップB)において、前記溶媒が、キシレン、n-ブタノール、エチルベンゼン、ナフサ、n-ブチルアセテート、トルエン、イソプロパノール、環状炭化水素及びベンジルアルコール又はそれらの混合物の中から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1~4のいずれか一項に記載の、又は請求項5若しくは6に従って入手可能な、金属基板を含むひずみ検知デバイス用いてひずみ変形を検出する方法であって、以下の連続するステップ、
1.電子システムを使用して、少なくとも部分的に塗料でコーティングされた非導電性プライマーで直接コーティングされた前記金属基板に電圧を印加するステップ、
2.少なくとも部分的に塗料でコーティングされた非導電性プライマーで直接コーティングされた前記金属基板の変形後の電気抵抗変化を測定するステップ、
を含む、方法。
【請求項8】
ステップ1)において、電子システムが電源システムを備える、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非導電性プライマーで直接コーティングされた金属基板であって、非導電性プライマーが還元型酸化グラフェン及び熱硬化性ポリマーを含む塗料で少なくとも部分的にコーティングされた金属基板、このコーティングされた金属基板の製造方法、ひずみ変形を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特にオフショア産業、電子産業及びエネルギー産業に適している。
【0003】
高速道路、建物、橋、飛行機又は船などの構造物の状態を監視したり、地震又は台風といった自然災害などの極限状況で発生する欠陥を早期に検出したりするためには、非常に感度の高いひずみ検知デバイスが大いに必要である。そのため、圧電素子の研究が進んでいる。
【0004】
しかしながら、圧電素子のほとんどは壊れやすいセラミック材料であり、柔軟なひずみセンサとして使用することは困難である。フレキシブル基板上に圧電素子を形成するには、主に特別な製造工程が必要である。
【0005】
米国特許出願第2014291733号は、フレキシブル基板;フレキシブル基板上に形成されたゲート電極;ゲート電極を覆い、可撓性材料で形成された部分を含むように構成されたゲート絶縁層;ゲート絶縁層上の、ひずみを検知するための還元型酸化グラフェン(R-GO)で形成された活性層;並びに活性層上に形成されたソース電極及びドレイン電極を備えるひずみ検知デバイスを開示している。
【0006】
しかしながら、このデバイスは多くの要素で構成されているため、工業規模での製造は非常に複雑である。さらに、このデバイスは、可撓性又は弾性の電子デバイスに適用することができる。それにもかかわらず、鋼などの金属基板には適合しない。実際、例えばエネルギー及びオフショア産業では、風力タービンのひずみ変形を監視して、欠陥、又は亀裂(特に溶接領域で重要)、孔食、非常に高い負荷(風力タービン若しくはブレードの位置決め制御などによって回避することにより、風力タービンの寿命を延ばすことができる)などの重大な状況を早期に検出する必要がある。最後に、還元型酸化グラフェンの活性層を形成する方法では、ハマー法によるグラファイト剥離方法によって形成された酸化グラフェンナノシートの酸化グラフェン水溶液(0.2mg/mL)を使用して、酸化グラフェンをゲート絶縁層に吸着させる。吸着されネットワーク化された酸化グラフェン層は、約40℃で18時間、ヒドラジン水和物蒸気にさらされ、それにより還元され、それにより活性層であるR-GO層を形成する。しかしながら、還元型酸化グラフェンの形成は非常に長く、吸収技術は付着の問題を引き起こし、ひずみ検出の品質を低下させる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許公開第2014/0291733号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は、金属基板のひずみ変形を検出及び監視するための容易なシステムを提供することである。また、検出感度の高いシステムを提供することによって、金属基板の寿命を改善することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
これは、請求項1に記載のコーティングされた金属基板を提供することによって達成される。コーティングされた鋼基板はまた、請求項2~16の任意の特徴を含むことができる。
【0010】
本発明はまた、請求項17~23に記載のコーティングされた金属基板の製造方法を包含する。
【0011】
本発明はまた、請求項24~25に記載の、コーティングされた金属基板を用いてひずみ変形を検出する方法を包含する。
【0012】
最後に、本発明は、請求項26に記載のコーティングされた金属基板の使用を包含する。
【0013】
以下の用語が定義される。
【0014】
-還元型酸化グラフェンとは、還元された酸化グラフェンを意味する。還元型酸化グラフェンは、ケトン基、カルボキシル基、エポキシ基及びヒドロキシル基を含むいくつかの酸素官能基を有するグラフェンの1つ又はいくつかの層を含み、
-バイオポリマーは、生物によって生成されるポリマーであり、言い換えれば、ポリマー生体分子である。バイオポリマーには、共有結合してより大きな構造を形成するモノマー単位が含まれている。
【0015】
本発明の他の特徴及び利点は、以下の本発明の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0016】
本発明を説明するために、特に以下の図面を参照して、非限定的な例の様々な実施形態及び試行について説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明による還元型酸化グラフェンの1つのナノプレートレットの例を示す。
【
図2】本発明による還元型酸化グラフェンのいくつかのナノプレートレットの例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、非導電性プライマーで直接コーティングされた金属基板であって、非導電性プライマーの少なくとも片側が、還元型酸化グラフェン及び熱硬化性ポリマーを含む塗料で少なくとも部分的にコーティングされた金属基板に関する。
【0019】
理論に縛られることを望まないが、還元型酸化グラフェン及び熱硬化性ポリマーを含む塗料は、非導電性プライマー上によく付着し、コーティングされた金属基板の寿命を延ばし、非常に重要なことに、センサへの荷重伝達を向上させるように思われる。実際、還元型酸化グラフェンは、塗料中に高度に分散しており、検出品質の向上につながると考えられる。最後に、非導電性プライマー上に堆積した塗料は、ひずみ変形の迅速な検出を可能にする簡単でシンプルなシステムである。
【0020】
還元型酸化グラフェンは、特許出願PCT/IB2017/000348又はPCT/IB2018/053416に開示されているように、キッシュグラファイトから製造することができる。PCT/IB2018/053643に開示されているように、電極スクラップからも製造することができる。
【0021】
好ましくは、非導電性プライマーは、両側にコーティングされている。
【0022】
好ましい実施形態では、コーティングされた金属基板は保護層で覆われている。保護層は熱硬化性ポリマーで作製することができる。この場合、コーティングされた非導電性基板は腐食などから保護される。
【0023】
好ましくは、還元型酸化グラフェンの横方向のサイズは、1~80μmの間、より好ましくは40~80μmの間、有利には60~80μmの間である。
【0024】
好ましくは、還元型酸化グラフェン中の酸素の重量パーセントは、2~20%の間であり、好ましくは2~10%の間である。実際に、理論に縛られることを望まないが、酸素の割合が塗料の導電率及び電気抵抗に役割を果たすと考えられる。
【0025】
好ましくは、還元型酸化グラフェンは、バイオポリマーによって官能化されていない。実際に、理論に縛られることを望まないが、バイオポリマーはひずみ変形検出の感度を低下させる可能性があると考えられる。
【0026】
好ましくは、還元型酸化グラフェンは、1つ以上のナノプレートレットの形態である。実際に、理論に縛られることを望まないが、ナノプレートレットは電気が流れる塗料中の経路を容易に形成できるように思われるため、還元型酸化グラフェンの形態が検出に役割を果たし得ると考えられる。
図1は、還元型酸化グラフェンの1つのナノプレートレットの例を示す。横方向のサイズはX軸を通る層の最大の長さを意味し、厚さはZ軸を通る層の高さを意味し、ナノプレートレットの幅はY軸を介して示される。
図2は、還元型酸化グラフェンのいくつかのナノプレートレットの例を示す。
【0027】
好ましくは、還元型酸化グラフェンは、300m
2
/gr未満、より好ましくは290m
2
/gr未満の表面積を有する。好ましくは、還元型酸化グラフェンは、200m
2
/grを超える表面積を有する。表面積が300m
2
/gr以上の場合、塗料の感度が高すぎてバックグラウンドノイズも検出されるため、非導電性基板の漏れ検出の品質は低下するように思われる。
【0028】
有利には、塗料の厚さは1mm未満、好ましくは25~500ミクロンの間である。
【0029】
好ましくは、塗料中の還元型酸化グラフェンの濃度は、0.05~10重量%の間、好ましくは0.05~7重量%の間、有利には0.5~4重量%の間である。実際に、理論に縛られることを望まないが、上記の濃度で還元型酸化グラフェンを有することは、上記の範囲では熱硬化性樹脂の内部に形成されたナノ粒子のネットワークの導電性が変形に対してより感度が高く、より小さなひずみを検出することができるため、ひずみの場合の検出感度をさらに改善すると思われる。
【0030】
好ましくは、塗料は熱可塑性ポリマーを含まない。特に、塗料はアクリルポリマーを含まない。実際、熱可塑性樹脂は塗料の粘度を高め、還元型酸化グラフェンの分散が悪くなるため、コーティングされた金属基板の品質が低下すると考えられる。
【0031】
有利には、熱硬化性ポリマーは、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素/ポリウレタン、加硫ゴム、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン、ポリイミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、ポリシアヌレート、フラン、シリコーン樹脂、チオライト及びビニルエステル樹脂又はその混合物の中から選択される。
【0032】
好ましくは、ポリマーのモル質量分布は1300以下であり、有利には、700~1200の間である。
【0033】
好ましくは、非導電性プライマーはポリマーでできている。
【0034】
好ましい実施形態では、ポリマーは、ポリ(メチルメタクリレート)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン、ポリ尿素/ポリウレタン、加硫ゴム、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン、ポリイミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、ポリシアヌレート、フラン、シリコーン樹脂、チオライト及びビニルエステル樹脂又はそれらの混合物の中から選択される。
【0035】
好ましくは、非導電性プライマーは、ポリ-4-ビニルフェノール、ポリエーテルスルホン又はポリジメチルシロキサンを含まない。実際に、理論に縛られることを望まないが、これらのポリマーの存在は検出感度を低下させる可能性があると考えられる。
【0036】
好ましくは、金属基板は、アルミニウム、鋼、ステンレス鋼、銅、鉄、銅合金、チタン、コバルト、金属複合材料若しくはニッケル又はそれらの混合物から選択される。
【0037】
有利には、塗料は二酸化チタン又は銅を含まない。
【0038】
好ましくは、非導電性プライマーは、塗料ストリップでコーティングされて、塗装された非導電性プライマーと塗装されていない非導電性プライマーとを交互に形成する。
【0039】
別の実施形態では、非導電性プライマーは、塗料の1つの完全な層でコーティングされている。
【0040】
本発明の第2の目的は、本発明による金属基板の製造方法であって、連続する以下のステップ、
A.金属基板に非導電性プライマーを堆積するステップ、
B.上記金属基板上に予め堆積された上記非導電性プライマー上に、還元型酸化グラフェン、熱硬化性モノマー、硬化剤及び任意選択的に溶媒を含む混合物を堆積するステップ、並びに
C.硬化ステップ
を含む方法である。
【0041】
好ましくは、ステップB)において、混合ステップは、
i.還元型酸化グラフェンと熱硬化性ベースポリマー及び任意選択的に溶媒とを混合するステップ、
ii.硬化剤を添加するステップ、
iii.ステップB)で得られた混合物を混合するステップ
を実行する。
【0042】
好ましくは、ステップA)において、非導電性プライマーを堆積するステップは、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フィルムコータ、コイルコーティング、ブラシコーティング又はスパチュラコーティングによって実行される。
【0043】
好ましくは、ステップB)において、溶媒は、キシレン、n-ブタノール、エチルベンゼン、ナフサ溶媒、n-ブチルアセテート、トルエン、環状炭化水素、イソプロパノール及びベンジルアルコール又はそれらの混合物の中から選択される。
【0044】
好ましくは、ステップB)において、熱硬化性モノマーは、エポキシ樹脂、エステル、ウレタン、尿素/ポリウレタン、加硫ゴム、尿素-ホルムアルデヒド、メラミン樹脂、ベンゾオキサジン、イミド、ビスマレイミド、シアン酸エステル、シアヌレート、フラン、シリコーン樹脂、チオライト及びビニルエステル樹脂又はそれらの混合物から選択される。
【0045】
有利には、ステップB)において、硬化剤は、ポリアミド、ポリアミド、フェノール、アミン及び重付加イソシアネート又はそれらの混合物の中から選択される。
【0046】
好ましくは、ステップB)において、コーティングを堆積するステップは、スピンコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、フィルムコータ、コイルコーティング、ブラシコーティング又はスパチュラコーティングによって実行される。
【0047】
好ましくは、ステップC)において、硬化ステップは、室温で乾燥することによって実行される。
【0048】
本発明の第3の目的は、本発明によるコーティングされた金属基板を用いてひずみ変形を検出する方法であって、以下の連続するステップ、
1.電子システムを使用して少なくとも部分的に塗料でコーティングされた非導電性プライマーで直接コーティングされた金属基板に電圧を印加するステップ、
2.少なくとも部分的に塗料でコーティングされた非導電性プライマーで直接コーティングされた金属基板の変形後の電気抵抗変化を測定するステップ、
を含む方法である。
【0049】
理論に縛られることを望まないが、塗料において、還元型酸化グラフェンナノ粒子が導電性ネットワークを形成すると考えられる。材料にひずみがかかると、熱硬化性よりも強いネットワークの内部形状が重要な様式で変化する。その結果、塗料の電気抵抗が変化する。
【0050】
この場合、好ましくは、電気抵抗の相対的変化と機械的ひずみεとの比であるゲージ係数は5を超える。
【0051】
好ましくは、ステップ1)において、電子システムは、電源システムを含む。好ましくは、それはバッテリーである。
【0052】
最後に、本発明の最後の目的は、ひずみ変形を検出するために本発明による塗料で少なくとも部分的にコーティングされた非導電性プライマーで直接コーティングされた金属基板である。
【0053】
本発明は、情報提供のみを目的として実施された試行で説明される。それらは制限的ではない。
【実施例】
【0054】
[実施例1]
<導電率試験>
重量パーセントで以下の化学組成:0.0670%のC、0.4910%のMn、0.0220%のCu、0.0110%のSi、0.0100%のS、0.0110%のP、0.0180%のNi、0.0180%のCr、0.0480%のNbを有する鋼基板を、700~1200の間のモル質量分布を有するエポキシ熱硬化性樹脂、700以下のモル質量分布を有するビスフェノールA-(エピクロルヒドリン)エポキシ樹脂及びキシレンでコーティングした。
【0055】
異なるナノ粒子を、700~1200の間のモル質量分布を有するエポキシ樹脂、700以下のモル質量分布を有するビスフェノールA-(エピクロルヒドリン)エポキシ樹脂及びキシレンと混合した。DISPERMATと呼ばれるデバイスを使用して混合物を混合及び分散させた。次に、ポリアミドを含む硬化剤を混合物に加えてから混合した。混合物をポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)上に堆積させた。
【0056】
次に、バッテリーを含む電子システムを使用して、すべての試行に電圧(10V)を印加した。電気抵抗を測定した。表面積は、Brunauer-Emmett-Teller(BET)によって測定した。すべての試行の導電率を計算した。
【0057】
結果を以下の表1に示す。
【0058】
【0059】
試行1~4は、試行5及び6と比較して、高い導電率を示し、したがって漏れ及びひずみ変形を検出する感度が高いことを示す。
【0060】
[実施例2]
<ひずみ変形試験>
重量パーセントで以下の化学組成:0.0670%のC、0.4910%のMn、0.0220%のCu、0.0110%のSi、0.0100%のS、0.0110%のP、0.0180%のNi、0.0180%のCr、0.0480%のNbを有する鋼基板を、700~1200の間のモル質量分布を有するエポキシ熱硬化性樹脂、700以下のモル質量分布を有するビスフェノールA-(エピクロルヒドリン)エポキシ樹脂及びキシレンでコーティングした。
【0061】
異なるナノ粒子を、700~1200の間のモル質量分布を有するエポキシ樹脂、700以下のモル質量分布を有するビスフェノールA-(エピクロルヒドリン)エポキシ樹脂及びキシレンと混合した。DISPERMATと呼ばれるデバイスを使用して混合物を混合及び分散させた。次に、ポリアミドを含む硬化剤を混合物に加えてから混合した。混合物を、実施例1と同じ非導電性プライマー上に堆積させた。
【0062】
次に、すべての試行で引張荷重を加え、電気抵抗の相対的変化と機械的ひずみεの比であるゲージ係数を決定した。比較として、constantan(R)で得た従来のひずみゲージ感度を追加した。
【0063】
結果を以下の表2に示す。
【0064】
【0065】
試行7~10は、従来のひずみゲージと比較して、高いゲージ係数を示し、したがってひずみ変形を検出する感度が高いことを示す。