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特許7429657幹細胞の培養物から取得されるインプラントを製造する方法及びデバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】幹細胞の培養物から取得されるインプラントを製造する方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/071 20100101AFI20240201BHJP
   C12N 5/074 20100101ALI20240201BHJP
   C12N 5/0735 20100101ALI20240201BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C12N5/071
C12N5/074
C12N5/0735
C12M3/00 Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2020572629
(86)(22)【出願日】2019-03-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-07-26
(86)【国際出願番号】 FR2019050529
(87)【国際公開番号】W WO2019175497
(87)【国際公開日】2019-09-19
【審査請求日】2022-03-01
(31)【優先権主張番号】18/52114
(32)【優先日】2018-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】520352919
【氏名又は名称】サントル デチュード デ セリュール スーシュ(シーイーシーエス)
【氏名又は名称原語表記】CENTRE D’ETUDE DES CELLULES SOUCHES (CECS)
【住所又は居所原語表記】28, rue Henri Desbrueres, F-91100 CORBEIL-ESSONNES, FRANCE
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100159385
【弁理士】
【氏名又は名称】甲斐 伸二
(74)【代理人】
【識別番号】100163407
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 裕輔
(74)【代理人】
【識別番号】100166936
【弁理士】
【氏名又は名称】稲本 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100174883
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 雅己
(74)【代理人】
【識別番号】100213849
【弁理士】
【氏名又は名称】澄川 広司
(72)【発明者】
【氏名】ベン エンバレク、カリム
(72)【発明者】
【氏名】ハーベラー、ウォルター
(72)【発明者】
【氏名】モンヴィル、クリステル
【審査官】小林 薫
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-115262(JP,A)
【文献】特開2012-143220(JP,A)
【文献】特開2012-161433(JP,A)
【文献】特開2012-213390(JP,A)
【文献】特表2009-523417(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0158999(US,A1)
【文献】国際公開第1994/021204(WO,A1)
【文献】J. Neurosci. Methods, 2010, Vol.190, pp.63-70
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00-7/08
C12M 1/00-3/10
A61F 2/00;2/02-2/80;3/00-4/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜(34)上に細胞培養物(73)を含むインプラント(70)を製造する方法であって、
前記膜を支持体(30)に固定するステップと、
前記膜の上方及び下方に、制御された高さを有する2つの空間(38, 39)が設けられるように、ハウジング(10)のハウジング凹部(16)内に前記支持体を配置するステップと、
注入温度より低い輸送温度でゲルに転換可能な液体を前記両空間に注入するステップと、
前記ハウジングを前記輸送温度にして、前記膜と、該膜の2つの対向面上に制御された厚さを有する2つのゲル層(71, 72)とを含むインプラントを形成するステップと
を含む方法。
【請求項2】
前記支持体(30)に固定されて前記ハウジング凹部(16)内に配置されている前記膜(34)及び前記2つのゲル層(71, 72)内の前記インプラント(70)を切り出すステップを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記膜(34)を受容している前記ハウジング(10)の前記ハウジング凹部(16)を摘出カバー(50)により閉じるステップであって、該摘出カバーは切断デバイス(60)を受容及びガイドするように構成され、該切断デバイスは該膜及び前記2つのゲル層(71, 72)内の前記インプラント(70)を切り出すように構成されている、ステップを含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記インプラント(70)が非対称形状を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記膜(34)の上方及び下方の前記両空間(38, 39)が、前記ハウジング凹部(16)の底部と該ハウジング凹部を閉じるよう構成された作製カバー(20)との間に形成される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ハウジング凹部(16)に注入された液体がゲル重合化するとき、前記作製カバー(20)を、該ハウジング凹部を密閉する輸送カバー(40)に交換するステップを含む請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記上方空間(38)に注入される液体及び前記下方空間(39)に注入される液体が、前記上方ゲル層(71)が前記下方ゲル層(72)より低い剛性となるように異なる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記膜上に配置された細胞が、多能性幹細胞、多能性成体幹細胞又は初代培養物若しくは細胞株に由来するか、又は移植領域の細胞タイプに対応するか、又は光受容体、神経節細胞、両極細胞、アマクリン細胞、網膜色素上皮細胞、内皮細胞のような異なるサブタイプの単層上皮細胞である、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
膜上の細胞培養物に由来するインプラントを製造するデバイスであって、
膜(34)を保持する支持体(30)と、
該膜と共に該支持体を受容するハウジング凹部(16)を備えるハウジング(10)であって、該膜の上方及び下方に、制御された高さを有する2つの空間(38, 39)を提供するハウジングと、
該両空間に、注入温度より低い輸送温度でゲルに転換可能な液体を注入するための2つの充填オリフィス(18, 28)と
を備え、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法を実施するよう構成されたデバイス。
【請求項10】
前記支持体(30)を受容した前記ハウジング凹部(16)を閉じるよう構成された作製カバー(20)を更に備えるデバイスであって、該作製カバーは前記膜(34)と共に前記上方空間(38)を画定し、前記下方空間(39)は該ハウジング凹部の底部及び該膜により画定され、該作製カバーは該上方空間に開口する充填オリフィス(28)を備え、前記ハウジングは該下方空間に開口する充填オリフィス(18)を備える、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記ハウジング凹部(16)を密閉するよう設けられた輸送カバー(40)を備える請求項9又は10に記載のデバイス。
【請求項12】
前記ハウジング凹部(16)を閉じるよう設けられた摘出カバー(50)を備えるデバイスであって、該摘出カバーは、前記膜(34)の培養細胞を含む膜片を切り出すよう構成された切断デバイス(60)を通すための管状延伸部(56)を備え、該膜片が前記インプラント(70)を形成する、請求項9~11のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項13】
前記2つの空間(38, 39)は、0.05mm~0.2mm又は0.13mm~0.17mmの高さを有する、請求項9~12のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項14】
前記膜支持体(30)は、大きい開口及び小さい開口を有する円錐台形状を有し、前記膜は、該小さい開口を閉じるように該支持体に取り付けられ、細胞培養は、該膜の1つの面であって該支持体の内部に配置される面上で行われる、請求項9~13のいずれか1項に記載のデバイス。
【請求項15】
前記切断デバイス(60)は、非対称形状の膜片を切り出すよう構成されている、請求項12に記載のデバイス。
【請求項16】
膜(34)上で培養された細胞のインプラントを製造するための、請求項9~15のいずれか1項に記載のデバイスの使用。
【請求項17】
前記膜(34)は、羊膜、ブルッフ膜、基底膜、コラーゲン及び/若しくはフィブリン線維のようなタンパク質線維のマトリクス、又は生分解性若しくは非生分解性である生体適合合成材料で作製された膜である、請求項16に記載のデバイスの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幹細胞、特に哺乳動物幹細胞又は眼細胞の取得を可能にする任意の他のタイプの細胞の培養物から取得される埋込可能移植片の製造に関する。具体的には、本発明は、網膜色素上皮及び神経網膜の疾患の治療に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
網膜は、眼の後面を裏打ちし、レンズにより形成された像を受容し、該像を視神経により脳に伝達される神経インパルスに変換する感覚層である。網膜は、その生存及び適正な機能に必要である網膜色素上皮と非常に重要に相互作用する神経組織である。黄斑は、網膜の中央部を構成するが、異なる色及び細密な視覚的詳細を知覚することができる光受容体に富む。したがって、黄斑は、特に顔の認識及び読取に重要である。
多くの疾患が網膜色素上皮又は神経網膜に影響して視覚損傷に至ることがあり、失明にまで至ることもある。とりわけ、遺伝性又は加齢性黄斑変性症、黄斑変性及び網膜色素変性症が挙げられる。網膜上皮又は神経網膜はまた、外傷又は感染起源の病変を示し得る。最近の研究は、網膜への損傷が、網膜下腔への網膜色素上皮細胞又は網膜細胞の移植により遅延し、停止し又は修復しさえすることがあり、これら疾患により引き起こされる視覚能力の低下を予防し又は神経網膜細胞移植物の例では視覚能力を改善し得ることを示しているようである。
【0003】
網膜を保存しようとして、種々の形態の移植片又は移植技法が提案されている。最近になって、多能性幹細胞の分化により得られる網膜色素上皮細胞の膜上での培養物の移植によって有望な結果が得られている。
この膜からインプラントを作製するためには、当該膜を培養培地から取り出し、両側をゼラチン層で覆わなければならない。このため、ゼラチン層を事前に薄くし、「ビブラトーム」と呼ばれる適切な切削装置を用いて上方の層を除去することにより均一にする。次いで、膜を薄化ゼラチン層上に配置する。ゼラチン層を、切削装置を用いて下方の層を除去することにより所望の厚さまで再度薄くする。最後に、一滴の液体ゼラチン(37℃±10℃)を膜上で培養する細胞に注ぐ。ゼラチンは低温で重合する。次いで、重合化ゼラチンの2つの層に挟まれた膜を保存し、そのまま使用部位まで搬送する。膜は、移植時、実質的に所望の形状に手作業で、通常顕微鏡下にて切断しなければならない。
【0004】
移植は、通常、インプラントの寸法より小さい径を有するニードルを備えたシリンジを用いて行われる。その結果、インプラントは、ニードルを通過して丸まる。
この製造プロセスは非常に複雑であり、膜上で直接行う多くの手作業による操作(膜が保護されない)を必要とすることが分かる。このことは、細胞培養物の変化及び汚染という多くのリスクを生じる。膜の両側のゼラチン層もまた、厚さが変化し、更には不均一であることが判明した。実際、切削装置の精密性は不十分であると判明し、上方ゼラチン層の形成に用いるプロセスにより、一般に、凸状の層が作製される。切削装置もまた煩雑である。このような厚さのバラツキは、インプラントが注入ニードルから排出されたときに丸まったままとなるリスクを生じる。網膜色素上皮細胞の例では、インプラントは網膜下に挿入すべきである。したがって、インプラントは網膜下に配置されたときに厚すぎることは回避すべきである。更に、膜は培養物支持体から分離されるので、膜のどちら側に培養物が存在するかを視認することは困難である。インプラントが移植手術後に誤った側で配置されるという重大なリスクが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、培養物の変化及び汚染のリスクを排除しつつインプラントを製造する簡単な方法を提供することが望まれる。また、インプラントは制御された厚さを有することが望まれる。インプラントは、特に手作業による操作に関わりなく、制御された寸法を有することも望ましい。更に、移植時のインプラント誤配置をなくすことも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態は、膜上に細胞培養物を含むインプラントを製造する方法であって、前記膜を支持体に固定するステップと、前記膜の上方及び下方に、制御された高さを有する2つの空間が設けられるように、ハウジング凹部内に前記支持体を配置するステップと、注入温度より低い輸送温度でゲルに転換可能な液体を前記両空間に注入するステップと、前記ハウジングを前記輸送温度にして、前記膜と、該膜の2つの対向面上に制御された厚さを有する2つのゲル層とを含むインプラントを形成するステップとを含む方法に関する。
【0007】
1つの実施形態によれば、本方法は、前記膜及び前記2つのゲル層内の前記インプラントを切り出すステップであって、該膜は前記支持体に固定され、前記ハウジング凹部内に配置されるステップを含む。
1つの実施形態によれば、本方法は、前記膜を受容する前記ハウジングの前記ハウジング凹部を摘出カバーにより閉じるステップであって、該摘出カバーは、該膜及び前記2つのゲル層内の前記インプラントを切り出すように構成された切断デバイス(60)を受容しガイドするように構成されている、ステップを含む。
1つの実施形態によれば、インプラントは非対称形状を有する。
【0008】
1つの実施形態によれば、前記膜の上方及び下方の両空間は、前記ハウジング凹部の底と該ハウジング凹部を閉じるよう構成された作製カバーとの間に形成される。1つの実施形態によれば、本方法は、前記ハウジング内に注入された液体が重合してゲル化するとき、前記作製カバーを、該ハウジング凹部を密閉する輸送カバーに交換するステップを含んでなる。
1つの実施形態によれば、前記上方空間に注入される液体及び前記下方空間に注入される液体は、前記上方ゲル層が前記下方ゲル層より低い剛性となるように異なっている。
【0009】
1つの実施形態によれば、前記膜上に配置される細胞は、多能性幹細胞若しくは多能性成体幹細胞に由来するか、又は初代培養物若しくは細胞株から取得されるか、又は移植領域の細胞タイプに相当するか、又は異なるサブタイプの単層上皮細胞、例えば光受容体、神経節細胞、両極細胞、アマクリン細胞、網膜色素上皮細胞、内皮細胞である。本発明の移植に用いるヒト多能性幹細胞は、ヒト胚の破壊を必要としない。
実施形態はまた、膜上の細胞培養物からインプラントを製造するデバイスに関するともいえ、該デバイスは、膜を保持する支持体と、該膜と共に該支持体を受容するハウジング凹部を備えるハウジングであって、該ハウジング凹部は、該膜の上方及び下方に、制御された高さを有する2つの空間を提供する、ハウジングと、前記2つの空間に、注入温度より低い輸送温度でゲルに転換可能な液体を注入するための充填オリフィスとを備え、本発明に従う方法を実施するよう構成される。
【0010】
1つの実施形態によれば、本デバイスは、前記支持体を受容した前記ハウジング凹部を閉じるよう構成された作製カバーを備え、該作製カバーは前記膜と共に前記上方空間を画定し、前記下方空間は該ハウジングの底部と該膜とにより画定され、該作製カバーは前記上方空間に開口する充填オリフィスを備え、前記ハウジングは前記下方空間に開口する充填オリフィスを備える。
1つの実施形態によれば、本デバイスは、前記ハウジング凹部を密閉するよう設けられた輸送カバーを備える。
1つの実施形態によれば、本デバイスは、前記ハウジング凹部を閉じるよう設けられた摘出カバーを備え、該摘出カバーは、培養細胞を含む膜片を切り出すよう構成された切断デバイスを通すための導路を備え、切断された膜片がインプラントを形成する。
【0011】
1つの実施形態によれば、本デバイスは、次の特徴:前記2つの空間は0.05~0.2mm又は0.13~0.17mmの高さを有すること;前記インプラントは10~20mm2の面積を有すること;前記膜は、羊膜、ブルッフ膜、基底膜、コラーゲン及び/若しくはフィブリン線維のようなタンパク質線維のマトリクス、又は生分解性若しくは非生分解性である生体適合合成材料で作製された膜であること;ゲルに転換する前記液体は、人体の内部温度で液体である天然又は合成の生体適合性ヒドロゲルであること;前記膜支持体は、大きい開口及び小さい開口を有する円錐台形状を有し、前記膜は、該小さい開口を閉じるように該支持体に取り付けられ、細胞培養は、該膜の1つの面であって該支持体の内部に配置される面上で行われ、前記切断デバイスは、非対称形状の膜片を切り出すよう構成されていること の少なくとも1つを備える。
【0012】
実施形態はまた、膜上で培養された細胞のインプラントを製造するための、上記デバイスの使用に関するともいえる。
本発明の実施形態の例を、下記で、添付の図面に関連して説明する(ただし、それらに限定されない)。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、1つの実施形態に従う細胞培養物支持体デバイスの斜視図である。
図2図2は、1つの実施形態に従う細胞培養物支持体デバイスの軸断面図である。
図3図3は、1つの実施形態に従う細胞培養物取扱デバイスの上面図である。
図4図4は、1つの実施形態に従う細胞培養物取扱デバイスの側面図である。
図5図5は、1つの実施形態に従う細胞培養物取扱デバイスの下面図である。
図6図6は、1つの実施形態に従う取扱デバイスに固定されるよう構成された、インプラント作製カバーの上面図である。
図7図7は、1つの実施形態に従う取扱デバイスに固定されるよう構成された、インプラント作製カバーの側面図である。
図8図8は、図6に示す作製カバーの側面断面図(断面BB)である。
図9図9は、図6に示す作製カバー(断面CC)と組み合わされた図3に示す取扱デバイス(断面AA)の分解側面断面図である。
図10図10は、図6に示す作製カバー(断面CC)と組み合わされた図3に示す取扱デバイス(断面AA)の非分解側面断面図である。
図10A図10Aは、作製カバーと組み合わされた取扱デバイスの一部の詳細な輪郭断面図である。
図11図11は、1つの実施形態に従う取扱デバイスに取り付けられるよう構成された輸送カバーの上面図である。
図12図12は、図11に示す輸送カバーの側面断面図(断面DD)である。
図13図13は、輸送カバー(断面DD)と組み合わされた図3に示す取扱デバイス(断面AA)の断面図である。
図14図14は、1つの実施形態に従うインプラント摘出カバーの上面図である。
図15図15は、1つの実施形態に従う摘出カバー(図14に示す断面EE)及び切断デバイス(図17に示す断面FF)を備えた取扱デバイス(図3に示す断面AA)の分解側面断面図である。
図16図16は、1つの実施形態に従う摘出カバー(図14に示す断面EE)及び切断デバイス(図17に示す断面FF)を備えた取扱デバイス(図3に示す断面AA)の非分解側面断面図である。
図17図17は、切断デバイスの下端及び摘出カバーの下端(一部)の詳細な下面図である。
図18図18は、1つの実施形態に従う方法により得られるインプラントの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び2は、1つの実施形態に従う細胞培養物支持体デバイス30を示す。支持体デバイス30は、例えば円形断面を有する、円錐台形状の管状部材31を備え、該管状部材にリング32が嵌合する。よって、管状部材31は、2つの端部に、異なる径又は幅を有する2つの開口を有する。図1及び2には、より小さい幅の開口が下方に示されている。
クラウン(冠状部材)32もまた円錐台形状を有し、その断面は管状部材31のものと同一形状を有する。クラウン32のより広い開口部の縁には、軸方向に伸びるピン33が備わっていてもよい。ピンにより、管状部材31に正しい方向で嵌合するようにクラウン32の開口を識別することが容易となる。
【0015】
クラウン32の幅は、クラウンが、管状部材31のより小さい幅の開口から、管状部材31の一部のみにわたってスライド可能なような幅である。細胞は、支持体デバイス30に(管状部材31及びクラウン32に挟持されて)固定された膜34上で培養される。よって、膜34上の細胞は管状部材31の内側に配置され、管状部材のより小さい幅の開口は、膜34により閉じられる。細胞培養は、管状部材31の端部に膜34を取り付けることにより達成することができる。
図1及び2の例では、支持体デバイスは円形断面を有するが、他の任意の断面形状(例えば正方形、多角形、長方形など)も企図され得る。
【0016】
膜34は50~100μmの厚さを有し得、天然又は合成の材料から作製され得る。よって、膜は、羊膜、ブルッフ膜、基底膜、コラーゲン及び/又はフィブリン線維のようなタンパク質線維のマトリクスで作製され得る。膜はまた、生分解性又は非生分解性である生体適合合成材料(例えば生分解性ポリマー)で作製され得る。培養物中の細胞が選択した膜に接着することが重要である。
1つの例示的実施形態によれば、培養物中の細胞は、剥離羊膜上に配置後4週間培養されたヒト多能性幹細胞から取得された網膜色素上皮細胞である。
【0017】
図3~5は、1つの実施形態に従う細胞培養物取扱デバイス10を示す。取扱デバイス10は、支持体デバイス30及び膜34を受容するよう設けられたハウジング凹部16と、特にハウジング凹部16が支持体デバイス30を含むとき、ハウジング凹部16を閉鎖することができるカバーを封鎖する手段15及び固定する手段13とを備える。取扱デバイス10はまた、ハウジング凹部16の底に設けられた充填オリフィス18を備える。ハウジング凹部16の底はまた、環状リム17を有する。
図3~5の例では、取扱デバイス10は、ハウジング凹部16と一体化したプレート11を備える。ハウジング凹部16は、管状の外縁12と、プレート11に平行な円環状の平坦上縁12aと、平坦上縁12aが軸方向に延びた環状リブ14とを備える円筒形状を有する。ハウジング凹部16はまた、リブ14の内側に、ハウジング凹部16を囲む環状溝15を備える。
図3~5の例では、固定手段13は、平坦上縁12aに設けられ、各々が異なる幅の2つの部分を含む、環状円弧の形態の開口13を備える。
【0018】
図6~8は、1つの実施形態に従う取扱デバイス10に固定されるよう構成されたインプラント作製カバー20を示す。作製カバー20は、外側には外側リング(クラウン)21まで、内側には(上方プレート22の下面側に同軸に延びる)管状延伸部26まで拡がる円環状の上方プレート22を備える。作製カバー20はまた、取扱デバイス10の固定手段13と協働する、カバー下側に延びる固定手段23を備える。管状延伸部26は、充填オリフィス28を備えた、上方プレート22と平行に延びる底27を有する。作製カバー20はまた、取扱デバイス10に形成された環状溝15と協働する、カバー下側に延びる環状リブ29を備える。
【0019】
図6~8の例では、固定手段23は、開口13の最も幅広な部分に同時に嵌合するよう設けられたフック形態を有する。フック23は、取扱デバイス10に関して軸回りの作製カバー20の回転運動により繋止するよう設計された半径方向部分まで延びる軸方向部分を有する。図5は、開口13の最も幅広な部分に嵌合し(実線)、開口13の最も幅狭な部分で係止する(点線;ロック位置)フック23を示す。手によるカバー20の回転を容易にするため、外側リング21にはノッチ25を設けることができる。開口24は、製造上の理由から、上方プレート22にフック23の半径方向部分の真上に形成することができる。オリフィス28は、管状延伸部26の内部を、漏斗形態の導路28aまで延びることができる。
【0020】
図9及び10は、作製カバー20と組み合わされて支持体デバイス30を封入する取扱デバイス10のアセンブリを示す。これら図に示されるように、カバー20を取扱デバイス10に係止すると、支持体デバイス30全体をハウジング凹部16内に封入することができる。ハウジング凹部16の閉鎖時の密封性は、環状溝15に配置され、カバー20下側に形成された環状リブ29により圧迫されるO-リング35によって保証する。
図10Aは、ハウジング凹部16の底を、管状延伸部26の下端部27、支持体デバイス30の下端部及び細胞培養物を支持する膜34と共に詳細に示す。図10Aから明らかなように、ハウジング凹部16の底に形成された環状リム17が支持体デバイス30を保持するため、膜34はハウジング凹部16の底から離れ、ハウジング凹部16の底と膜との間に円板状空間39(ここに充填オリフィス18は開口する)を画定する。
【0021】
更に、管状延伸部26は、カバー20を取扱デバイス10に係止したとき、管状延伸部26の下端27が膜34の上面と接触する長さを有する。管状延伸部26の下端部27は、環状リム27aを有し、管状延伸部26の下端27と膜34との間に円板状空間38(ここに充填オリフィス28は開口する)が残る。
1つの実施形態によれば、空間38,39は、予め規定された高さを有し、ヒト身体内部の温度(約37℃)で液状であり、より低い温度で重合化する物質、例えば天然又は合成の生体適合性ヒドロゲルが充填される。
【0022】
1つの例示的実施形態によれば、空間38,39の一方に液状物質が充填され、次いで、取扱デバイス10が冷却され、液体が重合してゲルになる。他方の空間38,39に液状物質が充填され、取扱デバイス10は再度冷却される。例えばマイクロピペットを用いて、下方空間39がオリフィス18を通じて充填されると、当該空間に当初存在する空気は、環状リム17に形成されたノッチ17aを通じて排気される(図3)。上方空間38がオリフィス28を通じて充填されると、当該空間に存在する空気は、支持体デバイス30と管状延伸部26との間の空間を通じて排気される。
よって、取扱デバイス10は、作製カバー20との組合せにより、各々の側がゲル層で覆われ、移植する細胞を支持する膜34を含むインプラントの作製を可能にする。この操作は、膜34を支持体30から分離する必要がない。膜の各々の側でのゲルの厚さは、インプラントが丸まることを許容し、よって移植に用いられる直径1.8~2.2mmのシリンジニードルを通過可能なように規定され、固定される。膜34の各々の側でのゲルの厚さはまた、インプラントが、ニードルからの排出時に、操作なしで自ずと実質的に平板形状に復元するよう選択される。移植の前及び間にゲル状態である物質は、移植後、徐々に液状に転換して体液と混ざる。
【0023】
1つの実施形態において、先ず下方空間39に物質が充填された後、下方空間39に注入した物質が完全に重合する前に、上方空間38が充填される。2つのオリフィス18,28を通じて注入される物質の量は、膜34の膨らみを防止するよう調整することができる。上方空間38に注入する物質の濃度は、インプラントが、膜34の培養物支持側でより低い剛性を有するよう、したがって容易に膜34の(他方の側より)培養物支持側に向かって曲がるように、下方空間39に注入する物質の濃度より低くてもよい。
1つの例示的実施形態によれば、空間38,39の充填に用いる物質は、7℃より低い温度でゲル状態にあり、37℃で液体状態にあるゼラチンである。膜34の各側での空間38,39の高さ、すなわちゲル層の厚さは、0.05~0.2mm、好ましくは0.13~0.17mmである。オリフィス18,28の直径は1mm(±20%)であり得る。下方空間39に注入するゼラチンは、生理学的血清中で8%(±2%)の濃度に希釈し、4℃(±3℃)の温度で3分間放置して重合させる。完全な重合はこの温度で5分後に得られる。上方空間38に注入するゼラチンは、生理食塩水中で5%(±2%)の濃度に希釈する。その後、培養物を含む取扱デバイス10及びカバー20の全体を7℃未満の温度に5分間以上維持する。
【0024】
図11及び12は、1つの実施形態に従う取扱デバイス10に固定されるよう構成された輸送カバー40を示す。図13は、取扱デバイス10に固定された輸送カバー40を示す。必要な物質を空間38,39に注入し、該物質が冷却により重合してゲルになった後、作製カバー20を取り外して輸送カバー40と交換する。輸送カバー40は、支持体30と取扱デバイス10との組合せで、輸送中、特に振動下で、ゼラチン層が分離しないようインプラントを保護する。
特にゲル層を湿潤環境に維持するために、適切な液体を用いて、支持体30の管状部材31内のゲル層上方を予め充填することができる。この液体は、例えば、ヒト角膜の輸送に用いられる液体、例えばSTEM ALPHA社が販売するSTEM ALPHA. 1(登録商標)であり得る。よって、取扱デバイス10は、輸送カバーとの組合せにより、インプラントの移植部位への輸送及び移植までの低温(10℃未満)での維持を可能にする。
【0025】
輸送カバー40は、管状延伸部26を備えないことを除き、作製カバー20の形状と類似の形状を有する。よって、カバー40は、外側が外側リング41まで拡がる円板状の上方プレート42を備える。輸送カバー40はまた、取扱デバイス10の固定手段13と協働する形状を有する、カバー下側に延びる固定手段43を備える。輸送カバー40はまた、閉鎖時に、取扱デバイス10に形成された環状溝15に配置されたO-リング35と協働してハウジング凹部16を密封するように設けられた、カバー下側に延びる環状リブ47を備える。よって、ハウジング凹部16は密封され、充填オリフィス18はゲルにより閉鎖される。
図11~13の例では、固定手段43は、開口13の最も幅広な部分に同時に嵌合するよう設けられたフック形態を有する。フック43は、取扱デバイス10に関して軸回りの輸送カバー40の回転運動により開口13の最も幅狭な部分に繋止するよう設けられた半径方向部分まで延びる軸方向部分を有する。手によるカバー40の回転を容易にするため、外側リング41にはノッチ45を設けることができる。開口44は、製造上の理由から、上方プレート42にフック43の半径方向部分の真上に形成することができる。プレート42は、支持体30上部を確実に保持する環状リムをカバー内側に形成する環状溝48を備えていてもよい。
【0026】
図14は、1つの実施形態に従うインプラント摘出カバー50を示す。図15及び16は、1つの実施形態に従う、摘出カバー50及び切断デバイス60が取付られた取扱デバイス10を示す。移植部位で、輸送カバー40は取り外され、摘出カバー50と交換される。切断デバイス60が摘出カバー50内に挿入され、移植する細胞培養物を支持し両側がゲル層で覆われた膜片を切断してインプラントを取り出す。
摘出カバー50は、作製カバー20の形状に類似するが、下方管状延伸部26は、カバー50を貫通して切断デバイス60の通過を可能にする管状導路を形成する上方管状延伸部56に置き換わっている。よって、摘出カバー50は、外側リング51まで外側に拡がる円環状の上方プレート52を備える。摘出カバー50はまた、取扱デバイス10の固定手段13を協働する形状を有する、カバー下側に延びる固定手段53を備える。摘出カバー50はまた、閉鎖時に、取扱デバイス10に形成された環状溝15に配置されたO-リング35と協働してハウジング凹部16を密封するように設けられた、カバー下側に延びる環状リブ57を備える。環状リブ57は、支持体デバイス30の上部を受容するハウジング58を画定する。
【0027】
図14~16の例では、固定手段53は、開口13の最も幅広な部分に同時に嵌合するよう設けられたフック形態を有する。フック53は、取扱デバイス10に関して軸回りの摘出カバー50の回転運動により開口13の最も幅狭な部分に繋止するよう設計された半径方向部分まで延びる軸方向部分を有する。手によるカバー50の回転を容易にするため、外側リング51にはノッチ55を設けることができる。開口54は、製造上の理由から、上方プレート52にフック53の半径方向部分の真上に形成することができる。
上方管状延伸部56は、切断デバイス60を受容するように設けられる。切断デバイス60は、その下面が管状延伸部62として軸方向に延びる円板形の上方プレート61を備える。管状延伸部62には、軸方向に貫通し、肩部64を有する中央導路63が設けられ、肩部64に対して、切断ツール65が軸方向導路63の下方開口を通じて嵌合される。
【0028】
図15の例では、上方管状延伸部56は、切断デバイス60の角度方向がカバー50に対して正しい角度となるよう付勢するように軸方向導路63の内壁に形成された溝と協働するよう設けられた軸方向リブ69を備える。管状延伸部62は、軸方向タブ(舌部)66の自由端近傍に形成されたラグ(突起部)67を備えていてもよい。ラグ67は、カバー50内での切断デバイス60の行程の終時に、上方管状延伸部56に摩擦して後退するよう設けられる。よって、操作者は、プレート61を、上方管状延伸部56の上端に接するまで押圧するよう強いられる。このことにより、確実に、切断ツール65を、膜34及び2つのゲル層を貫通させることができる。事実、図16に示すように、プレート61が上方管状延伸部56の上端に接したとき、切断ツール65はハウジング凹部16の底と接触する。
【0029】
図17は、切断デバイス60の下端、特に、カバー50の半径方向溝59と協働する半径方向リブ69及び切断ツール65の形状をより詳細に示す。切断ツール65は、移植する細胞培養物を支持し両側がゲル層で覆われた膜35の膜片を切断するための鋭利な下端部を有する、管状のクッキー用抜型の形態である。切断ツール65は、インプラントのどちら側に細胞培養物が位置するかが分かるように非対称形状を有する膜片を切断するために用いられる。この構成により、インプラントを患者身体(特に表面に配置すべき場合)に正しく配置することができる。よって、摘出カバー50は、切断ツール65の誘導及び配向機能を提供する。
図17の例では、切断ツール65は、実質的に矩形であるが非対称形状となるように一角が除かれたインプラント片を切断するために用いられる。カバー50の半径方向溝59と半径方向リブ69との協働により得られる切断ツール65の配向は、切断ツールのブレード(刃)が充填オリフィス18から或る距離に位置するように規定することができる。
【0030】
図18は、切断デバイス60を用いた切断操作後に取得される、膜から摘出したインプラント70を示す。インプラント70は、膜34の一方の側をそれぞれ覆う2つのゲル層71,72及び膜34上の一方の側に形成された細胞培養物73を含む。
切断デバイス60を摘出カバー50から取り外すとき、切断されたインプラントが切断ツール65内に残る可能性があり得る。切断デバイス60及び切断ツール65は管状形状を有するので、プレート61及び軸方向導路63の上方開口を通じてロッド(その直径は肩部64の直径より小さい)を導入して、インプラント70を切断ツール65から押し出すことができる。インプラント70がハウジング凹部16内に残存する場合、スパチュラを用いてハウジング凹部16内から取り出すことができる。
【0031】
ヒト網膜色素上皮細胞のインプラントについては、切断ツール65により、膜34の2~6mm×1.2~4mm片、例えば5×3mm又は2.5×1.5mm片、すなわち面積10~20mm2、例えば15mm2の膜片に切断することができる(これら値は20%の割合で変化し得る)。この寸法により、膜34から、2~3十万の細胞を含むインプラントを摘出することができる。
こうして得られるインプラント70は、完全に制御された厚さ及び寸法を有する。移植時のインプラント70の摘出まで、その作製及び輸送を通じて、膜34は支持体30に固定されたままであることが理解される。このことにより、細胞培養物が損傷するリスクを回避できる。支持体と共に膜を含むハウジングが開いている期間は、カバーを交換するステップ及びインプラントを切断するステップに限定される。インプラント汚染リスクは限定的である。加えて、インプラント70を切断するまで膜は支持体30に固定されたままであり、インプラントが非対称形状で提供されることにより、移植手術まで、細胞培養物を支持する膜面を記憶し続けることができる。更に、上記の要素に加えて必要となり得るツールは、必要な場合に切断ツール65からインプラントを取り出すためのプッシュロッド、移植シリンジ、及びインプラントを捕えてシリンジ内に配置するためのスパチュラに限定される。
【0032】
本発明が種々の変形実施形態及び種々の応用に適用され得ることは当業者に明らかである。特に、本発明は、ゲル層がハウジング凹部とカバーとの間に規定されるハウジングに限定されない。実際、支持体から分離された膜が挿入される(制御された幅を有する)スロットを備えて設けられるハウジングの使用も提供され得る。
必ずしも、輸送カバーを備えなくてもよい。事実、ゲル層を鋳形するために用いられるケース(取扱デバイス10+作製カバー20)は密封バッグに配置して提供されてもよい。ゲル層は、ハウジングが十分に低温に維持される限りオリフィス18,28を通って流れることができない。オリフィス18,28を密封することも企図される。
また、必ずしも、摘出カバーを備えなくてもよい。事実、移植する膜片は、パンチを用いてハウジング凹部16から直接切断及び摘出することができる。膜片は、例えば手術用メス又はハサミを用いて切断することもできる。
また、必ずしも、インプラントは非対称形状を有しなくてもよい。細胞培養物を支持する膜面を特定できる他の方法を容易に想起することができる。よって、例えば、膜の2つの面の一方に形成されるゲル層を、2つのオリフィス18,28の一方を通して注入する液体に混ぜた染料で着色することができる。
【0033】
作製カバー20を用いるインプラントの製造及び膜切断後のインプラントの使用は、地理的に離れた場所で行うことができることに留意すべきである。したがって、膜を切断してインプラントを取り出すステップは行われなくてもよい。
例えばリム27a内(又は当該リムを除去することにより)及び支持体30の管状部材31内に側方通路を設けることにより、膜34の上方空間38及び下方空間39を同時に充填してもよい。この場合、2つのオリフィス18,28の一方のみが必要となる。
更に、作製デバイス10にカバー20,40,50を固定する手段は、記載したもの以外の任意の手段を想起することができる。よって、カバー20,40,50は、作製デバイス10にネジ止めされていてもよいし、挟持により固定されていてもよい。
本発明は、網膜色素上皮細胞インプラント以外のインプラントにも適用し得る。事実、本発明は、種々のサブタイプの網膜細胞の移植に適用可能であり、単独で又は組合せで用いることができる(例えば、網膜については、光受容体、神経節細胞、両極細胞、アマクリン細胞、網膜色素上皮細胞、内皮細胞)。これら細胞は、人工網膜を再構成するために単層又は多重層で組み合わせることができる。細胞は、特に、角膜の細胞又は他の任意のタイプの上皮細胞であり得る。より一般的には、本発明は、生体又は合成の膜上の単層の任意のタイプの上皮又は細胞培養物に適用可能である。
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図10-10A】
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