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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】トルクコンバータ
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/134 20060101AFI20240201BHJP
   F16H 45/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F16F15/134 A
F16F15/134 D
F16H45/02 Y
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021018264
(22)【出願日】2021-02-08
(65)【公開番号】P2022121098
(43)【公開日】2022-08-19
【審査請求日】2022-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000138521
【氏名又は名称】株式会社ユタカ技研
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】弁理士法人はなぶさ特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110002192
【氏名又は名称】弁理士法人落合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡本 浩司
【審査官】鵜飼 博人
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-207188(JP,A)
【文献】特開2015-098930(JP,A)
【文献】特開2017-155832(JP,A)
【文献】特開2001-108018(JP,A)
【文献】特開2018-004048(JP,A)
【文献】実開平03-022130(JP,U)
【文献】国際公開第2014/119685(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/087677(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/134
F16H 45/02
F16D 11/00- 23/14
B60G 1/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力軸(23)に接続されるポンプインペラ(11)と、出力軸(27)に接続されて前記ポンプインペラ(11)に対向配置されるタービンランナ(12)と、前記ポンプインペラ(11)及び前記タービンランナ(12)の内周部間に配置されるステータ(13)とを有する流体伝動機構、並びに前記入力軸(23)をロックアップクラッチ(L)とダンパ機能付き伝動装置(T)とを介して前記出力軸(27)に直結させる機械伝動機構を備えて、前記ロックアップクラッチ(L)の断・接切換えに基づいて流体伝動と機械伝動とを切換可能としたトルクコンバータであって、
前記ダンパ機能付き伝動装置(T)は、前記ロックアップクラッチ(L)に接続された入力回転体(60)と、前記出力軸(27)に接続された出力回転体(80)とを備えていて、前記入力回転体(60)から前記出力回転体(80)へ伝動可能な動力伝達経路(46)に、前記入力回転体(60)及び前記出力回転体(80)間に配置される中間回転体(70)と、その中間回転体(70)及び前記入力回転体(60)間を接続する一次ダンパばね(S1)と、前記中間回転体(70)及び前記出力回転体(80)間を接続する二次ダンパばね(S2)とを備え、前記一次ダンパばね(S1)及び前記二次ダンパばね(S2)が前記中間回転体(70)と同心の同一仮想円上に配列され、前記入力回転体(60)及び前記中間回転体(70)の相互間には、その相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第1ストッパ機構(ST1)が介設され、また前記出力回転体(80)及び前記中間回転体(70)の相互間には、その相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第2ストッパ機構(ST2)が介設されるトルクコンバータにおいて、
前記中間回転体(70)の内周部には、前記一次ダンパばね(S1)及び前記二次ダンパばね(S2)を受ける第1ばね受け部(70s)を有する複数の第1ばね受け突起(71)が径方向内向きに設けられて、該第1ばね受け突起(71)に、前記第1ばね受け部(70s)よりも径方向内方側に延出するストッパ突起部(74)が連設され、
前記第2ストッパ機構(ST2)は、前記出力回転体(80)の外周部に凹設される係合溝部(83)と、その係合溝部(83)内に周方向移動可能に受容される前記ストッパ突起部(74)とで構成されて、前記第1ばね受け部(70s)よりも径方向内方側に配置され、
前記タービンランナ(12)を前記出力軸(27)に接続すべく、前記タービンランナ(12)の径方向内端が前記出力回転体(80)に複数のリベット部材(53)で締結されて、前記出力回転体(80)における前記リベット部材(53)の締結位置は、前記出力回転体(80)の軸線に直交する投影面で見て、前記係合溝部(83)の底面を通る仮想円と重なる位置にあることを特徴とするトルクコンバータ。
【請求項2】
前記入力回転体(60)は、リング板状の前記中間回転体(70)を軸方向に挟む第1,第2支持板(61,62)と、その第1,第2支持板(61,62)間を結合する複数のリベット(63)とを備え、
前記第1ストッパ機構(ST1)は、少なくとも一部の前記リベット(63)の中間軸部(63m)と、前記中間回転体(70)の内周部に設けられて、前記入力回転体(60)及び前記中間回転体(70)相互の加速時・減速時における各相対回転限界を規定するように前記中間軸部(63m)に係合可能な軸部受け面(73)とを有することを特徴とする、請求項1に記載のトルクコンバータ
【請求項3】
円環状の前記中間回転体(70)の内周部には、前記複数の第1ばね受け突起(71)が周方向に間隔をおいて設けられると共に、その各々の第1ばね受け突起(71)に、前記ストッパ突起部(74)が連設され、
円環状の前記出力回転体(80)の外周部には、前記一次ダンパばね(S1)及び前記二次ダンパばね(S2)を受ける第2ばね受け部(80s)を有する複数の第2ばね受け突起(82)が径方向外向きに且つ周方向に前記複数の第1ばね受け突起(71)と交互に並ぶように設けられ、
前記係合溝部(83)は、周方向で隣り合う前記第2ばね受け突起(82)の中間位置に凹設されて、前記中間回転体(70)及び前記出力回転体(80)相互の加速時・減速時における各相対回転限界を規定するように前記ストッパ突起部(74)が前記係合溝部(83)の周方向両内端部に係合可能であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のトルクコンバータ
【請求項4】
前記ストッパ突起部(74)の先部が前記係合溝部(83)の内底面に摺動可能に接触し、該接触により前記中間回転体(70)が前記出力回転体(80)に対し径方向に位置決め可能であることを特徴とする、請求項3に記載のトルクコンバータ
【請求項5】
前記中間回転体(70)の外周部にダイナミックダンパ(DD)が接続されることを特徴とする、請求項1~4の何れか1項に記載のトルクコンバータ
【請求項6】
前記一次ダンパばね(S1)のばね定数が、前記二次ダンパばね(S2)のばね定数よりも大きいことを特徴とする、請求項1~5の何れか1項に記載のトルクコンバータ
【請求項7】
前記第1ストッパ機構(ST1)で規定される前記入力回転体(60)及び前記中間回転体(70)相互の、加速時における相対回転の限界角度(θa)が、前記第2ストッパ機構(ST2)で規定される前記出力回転体(80)及び前記中間回転体(70)相互の、減速時における相対回転の限界角度(θb)よりも大きくなるように設定されることを特徴とする、請求項6に記載のトルクコンバータ
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力回転体から出力回転体へ伝動可能な動力伝達経路に、入力回転体及び出力回転体間に配置される中間回転体と、その中間回転体及び入力回転体間を接続する一次ダンパばねと、中間回転体及び出力回転体間を接続する二次ダンパばねとを備えたダンパ機能付き伝動装置を具備したトルクコンバータに関する。
【背景技術】
【0002】
上記ダンパ機能付き伝動装置として、例えば一次ダンパばね及び二次ダンパばねが中間回転体と同心の同一仮想円上に配列され、入力回転体及び中間回転体の相互間には、その相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第1ストッパ機構が介設され、また出力回転体及び中間回転体の相互間には、その相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第2ストッパ機構が介設される構造の伝動装置は、下記特許文献1にも示されるように従来公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-514078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが特許文献1のダンパ機能付き伝動装置では、第1,第2ストッパ機構の何れもが、一次ダンパばね及び二次ダンパばねの配列部位よりも径方向外方側に配備される。その関係で、出力回転体の外周部に径方向外向きに突設したばね受け突起の先部には、更に径方向外側に張り出すストッパ部を連設して、このストッパ部と、中間回転体の内周部に設けた係合溝部とで第2ストッパ機構を構成している。
【0005】
そのため、例えば、加速に伴い中間回転体が出力回転体に対し相対回転限界に達したときに第2ストッパ機構で受け止めるトルク負荷が、出力回転体の最外周端部(即ち自由端に相当する上記ストッパ部)に作用することになって、出力回転体側のばね受け突起の根元部分の応力が高くなる。従って、この根元部分を含む出力回転体に補強対策(例えば板厚増大等)を特別に施す必要があり、それだけ伝動装置のコスト増や重量増、大型化等の不都合を招く虞れがある。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、従来装置の上記不都合を簡単な構造で解決可能なダンパ機能付き伝動装置を具備したトルクコンバータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、入力軸に接続されるポンプインペラと、出力軸に接続されて前記ポンプインペラに対向配置されるタービンランナと、前記ポンプインペラ及び前記タービンランナの内周部間に配置されるステータとを有する流体伝動機構、並びに前記入力軸をロックアップクラッチとダンパ機能付き伝動装置とを介して前記出力軸に直結させる機械伝動機構を備えて、前記ロックアップクラッチの断・接切換えに基づいて流体伝動と機械伝動とを切換可能としたトルクコンバータであって、前記ダンパ機能付き伝動装置は、前記ロックアップクラッチに接続された入力回転体と、前記出力軸に接続された出力回転体とを備えていて、前記入力回転体から出力回転体へ伝動可能な動力伝達経路に、前記入力回転体及び前記出力回転体間に配置される中間回転体と、その中間回転体及び前記入力回転体間を接続する一次ダンパばねと、前記中間回転体及び前記出力回転体間を接続する二次ダンパばねとを備え、前記一次ダンパばね及び前記二次ダンパばねが前記中間回転体と同心の同一仮想円上に配列され、前記入力回転体及び前記中間回転体の相互間には、その相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第1ストッパ機構が介設され、また前記出力回転体及び前記中間回転体の相互間には、その相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第2ストッパ機構が介設されるトルクコンバータにおいて、前記中間回転体の内周部には、前記一次ダンパばね及び前記二次ダンパばねを受ける第1ばね受け部を有する複数の第1ばね受け突起が径方向内向きに設けられて、該第1ばね受け突起に、前記第1ばね受け部よりも径方向内方側に延出するストッパ突起部が連設され、前記第2ストッパ機構は、前記出力回転体の外周部に凹設される係合溝部と、その係合溝部内に周方向移動可能に受容される前記ストッパ突起部とで構成されて、前記第1ばね受け部よりも径方向内方側に配置され、前記タービンランナを前記出力軸に接続すべく、前記タービンランナの径方向内端が前記出力回転体に複数のリベット部材で締結されて、前記出力回転体における前記リベット部材の締結位置は、前記出力回転体の軸線に直交する投影面で見て、前記係合溝部の底面を通る仮想円と重なる位置にあることを第1の特徴とする。
【0008】
また本発明は、第1の特徴に加えて、前記入力回転体は、リング板状の前記中間回転体を軸方向に挟む第1,第2支持板と、その第1,第2支持板間を結合する複数のリベットとを備え、前記第1ストッパ機構は、少なくとも一部の前記リベットの中間軸部と、前記中間回転体の内周部に設けられて、入力回転体及び前記中間回転体相互の加速時・減速時における各相対回転限界を規定するように前記中間軸部に係合可能な軸部受け面とを有することを第2の特徴とする。
【0009】
また本発明は、第1又は第2の特徴に加えて、円環状の前記中間回転体の内周部には、前記複数の第1ばね受け突起が周方向に間隔をおいて設けられると共に、その各々の第1ばね受け突起に、前記ストッパ突起部が連設され、円環状の前記出力回転体の外周部には、前記一次ダンパばね及び前記二次ダンパばねを受ける第2ばね受け部を有する複数の第2ばね受け突起が径方向外向きに且つ周方向に前記複数の第1ばね受け突起と交互に並ぶように設けられ、前記係合溝部は、周方向で隣り合う前記第2ばね受け突起の中間位置に凹設されて、前記中間回転体及び前記出力回転体相互の加速時・減速時における各相対回転限界を規定するように前記ストッパ突起部が前記係合溝部の周方向両内端部に係合可能であることを第3の特徴とする。
【0010】
また本発明は、第3の特徴に加えて、前記ストッパ突起部の先部が前記係合溝部の内底面に摺動可能に接触し、該接触により前記中間回転体が前記出力回転体に対し径方向に位置決め可能であることを第4の特徴とする。
【0011】
また本発明は、第1~第4の何れかの特徴に加えて、前記中間回転体の外周部にダイナミックダンパが接続されることを第5の特徴とする。
【0012】
また本発明は、第1~第5の何れかの特徴に加えて、前記一次ダンパばねのばね定数が、前記二次ダンパばねのばね定数よりも大きいことを第6の特徴とする。
【0013】
また本発明は、第6の特徴に加えて、前記第1ストッパ機構で規定される前記出力回転体及び前記中間回転体相互の、加速時における相対回転の限界角度が、前記第2ストッパ機構で規定される前記出力回転体及び前記中間回転体相互の、減速時における相対回転の限界角度よりも大きくなるように設定されることを第7の特徴としている。
【0014】
なお実施形態のリベット53は本発明のリベット部材に対応する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の第1の特徴によれば、出力回転体及び中間回転体の相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第2ストッパ機構が、中間回転体の内周部に設けられた第1ばね受け部から径方向内方側に延出するストッパ突起部と、出力回転体の外周部に凹設されて、ストッパ突起部を周方向移動可能に受容する係合溝部とで構成されて、一次ダンパばね及び二次ダンパばねを受けるばね受け部よりも径方向内方側に配置されるので、加速に伴い中間回転体が出力回転体に対し相対回転限界に達したときに第2ストッパ機構で受け止めるトルク負荷が、出力回転体の比較的内周寄りの部位に作用することになって、そのトルク負荷に起因して出力回転体に局部的に生じる応力を低減できる。これにより、出力回転体は、荷重負担が軽減されて、特別な補強対策(例えば板厚増大等)が不要となり、伝動装置のコスト節減や重量軽減、小型化に寄与することができる。しかも、第1ばね受け突起に連設したストッパ突起部は、これが係合溝部内に受容されることで、出力回転体と径方向に重なり合う配置となるため、伝動装置を径方向により小型化することができる。また、ロックアップクラッチにより流体伝動と機械伝動を切換え可能なトルクコンバータが、このような効果を有したダンパ機能付き伝動装置を機械伝動のために具備するので、トルクコンバータの構造簡素化や軽量且つ小型化、コスト節減に寄与することができる。
【0016】
また第2の特徴によれば、入力回転体は、リング板状の中間回転体を軸方向に挟む第1,第2支持板と、その第1,第2支持板間を結合する複数のリベットとを備え、第1ストッパ機構は、リベットの中間軸部と、中間回転体の内周部に設けられて、入力回転体及び中間回転体相互の加速時・減速時における各相対回転限界を規定するように中間軸部に係合可能な軸部受け面とを有するので、入力回転体及び中間回転体を、それらの板厚増大を抑えて軸方向にコンパクトな組立体とすることができ、伝動装置の更なる小型化に寄与することができる。しかも第1,第2支持板間の連結手段(リベット)が第1ストッパ機構の一部を兼ねるから、構造簡素化や部品点数の削減に寄与することができる。
【0017】
また第3の特徴によれば、円環状の中間回転体の内周部には、一次ダンパばね及び二次ダンパばねを受ける第1ばね受け部を有する複数の第1ばね受け突起が径方向内向きに且つ周方向に間隔をおいて設けられると共に、その各々の第1ばね受け突起に、第1ばね受け部よりも径方向内方側に延出するストッパ突起部が連設され、円環状の出力回転体の外周部には、一次ダンパばね及び二次ダンパばねを受ける第2ばね受け部を有する複数の第2ばね受け突起が径方向外向きに且つ周方向に複数の第1ばね受け突起と交互に並ぶように設けられ、第2ストッパ機構は、周方向で隣り合う第2ばね受け突起の中間位置で出力回転体の外周部に凹設される係合溝部と、その係合溝部内に周方向移動可能に受容されるストッパ突起部とを有していて、中間回転体及び出力回転体相互の加速時・減速時における各相対回転限界を規定するようにストッパ突起部が係合溝部の周方向両内端部に係合可能である。これにより、伝動装置を径方向により小型化することができる。
【0018】
また第4の特徴によれば、ストッパ突起部の先部が係合溝部の内底面に摺動可能に接触し、該接触により中間回転体が出力回転体に対し径方向に位置決め可能であるので、第2ストッパ機構の一部であるストッパ突起が、中間回転体の出力回転体に対する径方向位置決め手段を兼ねることとなり、それだけ構造簡素化や部品点数の削減に寄与することができる。
【0019】
また第5の特徴によれば、中間回転体の外周部にダイナミックダンパが接続されるので、ダイナミックダンパの特設に伴う軸方向寸法増を極力抑制しながら、ダイナミックダンパを以て伝動装置の減衰性能をより高めることができる。
【0020】
また第6の特徴によれば、一次ダンパばねのばね定数が、二次ダンパばねのばね定数よりも大きいので、加速に伴い中間回転体が出力回転体に対し相対回転限界に達したときに、第2ストッパ機構でトルク負荷が受け止められると共に、それまでに弾性変形した低剛性の二次ダンパばねの変形荷重が出力回転体のばね受け部で受け止められる。これにより、該ばね受け部と第2ストッパ機構とで荷重分散が図られる上、二次ダンパばねの上記変形荷重も比較的低くできることから、出力回転体の発生応力の更なる低減に寄与することができる。これに対し、減速時に第2ストッパ機構がストッパ作動する際に出力回転体のばね受け部に作用する一次ダンパばねの変形荷重は、同ばねの剛性が高い場合の方がより大きくなってダンパ性能上、不利となるが、一般的な自動車用ダンパ装置で発生するトルクや頻度は、加速時の方が減速時よりも高いため、一次ダンパばねを高剛性として加速時に出力回転体の応力低減を達成可能とした第6の特徴は、より優位となる。
【0021】
また第7の特徴によれば、第1ストッパ機構で規定される入力回転体及び中間回転体相互の、加速時における相対回転の限界角度が、第2ストッパ機構で規定される出力回転体及び中間回転体相互の、減速時における相対回転の限界角度よりも大きいので、減速時には高剛性の一次ダンパばねの限界圧縮量を加速時よりも減らし、限界圧縮後の更なる荷重は第2ストッパ機構で受け止めることで、出力回転体側のばね受け突起の根元部における応力を効果的に低減可能となる。これにより、出力回転体の発生応力の更なる低減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態に係るダンパ機能付き伝動装置を内蔵したトルクコンバータの縦断面図(図2の1-1線に沿う拡大断面図)
図2図1の2-2線矢視方向で見た、トルクコンバータの全体断面図
図3】前記伝動装置の要部、特に一次・二次ダンパばね及びダイナミックダンパばねの支持部を示す拡大断面図(図2の3A矢視部に対応する断面図)であって、そのうち(A)は第1実施形態を示し、また(B)は第2実施形態を示す
図4】加速時における伝動装置各部の動作変化態様を示す要部側面図であって、(1)は中間回転体が入力回転体・出力回転体に対し中立位置にある状態を示し、(2)は、中間回転体が出力回転体に対し相対回転限界に到達(即ち第2ストッパ機構がストッパ作動)して二次ダンパばねの弾性変形が終了した状態を示し、(3)は、入力回転体が中間回転体に対し相対回転限界に到達(即ち第1ストッパ機構がストッパ作動)して一次ダンパばねの弾性変形が終了した状態を示す
図5】減速時における伝動装置各部の動作変化態様を示す要部側面図であって、(1)は図4(1)と同じく中間回転体が前記中立位置にある状態を示し、(2)は、入力回転体が中間回転体に対し相対回転限界に到達(即ち第1ストッパ機構がストッパ作動)して二次ダンパばねの弾性変形が終了した状態を示し、(3)は、中間回転体が出力回転体に対し相対回転限界に到達(即ち第2ストッパ機構がストッパ作動)して二次ダンパばねの弾性変形が終了した状態を示し、(4)は、入力回転体が中間回転体・出力回転体に対する相対回転を停止した状態のまま減速トルクが更に増大した状態を示す
図6】入力回転体の出力回転体に対する相対回転角度を横軸とし、且つ入力回転体が受けるトルクを縦軸とした実施形態の特性図であって、図4及び図5で各状態を示す小特性図を繋ぎ併せたものを示す(但し、図6の点線は、中間回転体・出力回転体相互の、加速時における相対回転限界角度と減速時における相対回転限界角度とを同等に設定した比較例の、実施形態とは異なる特性部分を示す)
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づき説明する。
【0025】
先ず、第1実施形態を、図1図2及び図3(A)を参照しながら説明する。図1において、ロックアップ機構付きトルクコンバータTCは、ポンプインペラ11と、このポンプインペラ11に対向して配置されるタービンランナ12と、ポンプインペラ11およびタービンランナ12の内周部間に配置されるステータ13とを備え、ポンプインペラ11、タービンランナ12およびステータ13間には、矢印14で示すように作動オイルを循環させる循環回路15が形成される。
【0026】
トルクコンバータTCは、後述するように、ロックアップクラッチLの断・接切換えに基づいて流体伝動と機械伝動を切換可能に構成されており、特に機械伝動を本発明に係るダンパ機能付き伝動装置Tが担う構造となっている。本明細書では、先ず、流体伝動のための構造例について説明する。
【0027】
前記ポンプインペラ11は、椀状のポンプシェル16と、ポンプシェル16の内面に設けられる複数のポンプブレード17と、それらのポンプブレード17を連結するポンプコアリング18と、ポンプシェル16の内周部に例えば溶接によって固定されるポンプハブ19とを有する。そのポンプハブ19には、トルクコンバータTCに作動オイルを供給するオイルポンプ(図示せず)が連動、連結される。
【0028】
またポンプシェル16の外周部には、タービンランナ12を外側から覆う椀状の伝動カバー20が溶接によって結合されており、この伝動カバー20の外周部にボス21が固着され、ボス21には駆動板22が締結される。また駆動板22には、車両用エンジンEのクランクシャフト23が同軸に締結されており、従って、ポンプインペラ11には、車両用エンジンEから回転動力が入力される。
【0029】
前記タービンランナ12は、椀状のタービンシェル24と、タービンシェル24の内面に設けられる複数のタービンブレード25と、それらのタービンブレード25を連結するタービンコアリング26とを有する。タービンシェル24の内周部は、後述するリング板状の出力回転体80を介して出力ハブ29に結合される。
【0030】
車両用エンジンEからの回転動力を図示しないミッションに伝達する出力軸27は、これの中心部を縦通する油路100を有しており、この油路100には、後述するロックアップクラッチLの作動油圧を油路100に対し給排制御可能な不図示の油圧制御回路が接続される。また出力軸27の先端部は、前記伝動カバー20の中心部に連設した有底円筒状の支持筒部20a内に環状空隙49を挟んで受容され、その環状空隙49は上記油路100に常時連通している。
【0031】
出力軸27の外周には、ポンプハブ19から離間し且つ出力回転体80の内周部に溶接した出力ハブ29がスプライン嵌合されると共に、出力ハブ29の側面にニードルスラストベアリング30を介して隣接する円環状のカバーハブ44が、軸受ブッシュ47を介して回転自在に嵌合、支持される。尚、軸受ブッシュ47は、カバーハブ44の内周に固定(例えば圧入)される。
【0032】
カバーハブ44は、放射状に延びる複数の油溝44aを外側面に有しており、その外側面の外周端が伝動カバー20の内周部内面に溶接される。したがって、出力軸27の先端部は、軸受ブッシュ47及びカバーハブ44を介して伝動カバー20に回転自在に支持される。
【0033】
前記ステータ13は、ポンプハブ19および出力ハブ29間に配置されるステータハブ31と、このステータハブ31の外周に設けられる複数のステータブレード32と、それらのステータブレード32の外周を連結するステータコアリング33とを有する。ポンプハブ19とステータハブ31との間にはスラストベアリング34が介装され、また出力ハブ29(直接的にはタービンシェル24)とステータハブ31との間にはスラストベアリング35が介装される。
【0034】
ステータハブ31と、出力ハブ29とともに回転する出力軸27を相対回転自在に囲繞するステータシャフト36との間には、一方向クラッチ37が介設され、ステータシャフト36は、ミッションケース(図示せず)に回転不能に支持される。伝動カバー20およびタービンシェル24間には、前記した循環回路15に連通するクラッチ室38が形成される。そのクラッチ室38には、伝動カバー20の回転動力を入力側に受けるロックアップクラッチLと、このロックアップクラッチLの出力側と出力軸27間を機械的に伝動可能な動力伝達経路46を有するダンパ機能付き伝動装置Tとが配設される。
【0035】
ロックアップクラッチLは、前記したカバーハブ44に軸方向摺動可能且つ油密に嵌合、支持されて伝動カバー20の内面に近接、対向するクラッチピストン43と、伝動カバー20の内面に固着(溶接)したクラッチアウタLoと、クラッチアウタLoに同心状に囲繞され且つ後述する入力回転体60に固定されるクラッチインナLiと、クラッチアウタLo及びクラッチインナLi間に介設される摩擦連結機構Lmとを備える。クラッチアウタLoの内周面には、クラッチピストン43の外周部が軸方向摺動可能且つ油密に嵌合される。
【0036】
摩擦連結機構Lmは、従来周知の多板式摩擦クラッチ機構と同様、クラッチアウタLoに相対回転不能に且つ所定の制限された範囲で軸方向摺動可能に支持される複数の摩擦板及び受圧板と、クラッチインナLiに相対回転不能に且つ軸方向摺動可能に支持される複数の摩擦板とを有する。そして、クラッチピストン43をクラッチオン側、即ち摩擦連結機構Lm側に移動(図1で右動)させることで、上記摩擦板相互が圧接されてロックアップクラッチLが接続状態となり、またクラッチピストン43を上記と反対側、即ちクラッチオフ側に移動(図1で左動)させることで摩擦板相互の圧接力が解放されて、ロックアップクラッチLが非接続状態となる。
【0037】
尚、ロックアップクラッチLは、実施形態のような多板式摩擦クラッチに限定されず、種々の摩擦クラッチ、例えば単板式摩擦クラッチも実施可能である。
【0038】
ところで前記クラッチ室38内は、クラッチピストン43によって、タービンランナ12側に在って循環油路15に連通する内側室38aと、伝動カバー20側に在って循環油路15には連通しない外側室38bとに区画される。その内側室38aには、前記した摩擦連結機構Lm及びダンパ機能付き伝動装置Tが収容される。
【0039】
一方、外側室38bは、クラッチピストン43の受圧室として機能し、そこに不図示の油圧制御装置から前記油路100、環状空隙49及び油溝44aを経てクラッチ作動油が導入されると、その作動油でクラッチピストン43を前記クラッチオン側に駆動、保持可能であり、また、クラッチ作動油が外側室38b(クラッチ受圧室)より排出されると、クラッチピストン43は、内側室38aの油圧に押されて前記クラッチオフ側に後退可能となる。
【0040】
また出力軸27及びステータシャフト36間には入口油路101が画成され、この入口油路101は、ステータシャフト36の横孔から、ステータシャフト36と一方向クラッチ37のインナ部とのスプライン嵌合部(特にスプラインの欠歯部分)を経て、前記した循環油路15及び内側室38aの各内周部に通じる。一方、ポンプハブ19およびステータシャフト36間には、循環回路15の内周部に通じる出口油路102が画成される。それら入口油路101及び出口油路102は、不図示の油循環装置に接続されており、これにより、トルクコンバータTCの作動中は、入口油路101から内側室38a及び循環回路15を経て出口油路102に戻る油の流動が継続され、内側室38a及び循環回路15内は常に油で満たされる。
【0041】
例えば、車両用エンジンEのアイドリング時や極低速運転域では、外側室38b(クラッチ受圧室)にはクラッチ作動油が供給されず、クラッチピストン43は前記クラッチオフ側にある。従って、摩擦連結機構Lmの摩擦板相互が相対回転可能な非圧接状態にあり、ロックアップクラッチLは非接続状態となっている。この状態では、ポンプインペラ11およびタービンランナ12の相対回転は許容されており、車両用エンジンEによってポンプインペラ11が回転駆動されることで、循環回路15内の作動油が、矢印14で示すように、ポンプインペラ11、タービンランナ12、ステータ13の順に循環回路15内を循環し、ポンプインペラ11の回転トルクがタービンランナ12、出力回転体80及び出力ハブ29を介して出力軸27に伝達される。
【0042】
一方、ポンプインペラ11およびタービンランナ12間でトルクの増幅作用が生じている状態では、それに伴う反力がステータ13で負担され、ステータ13は、一方向クラッチ37のロック作用によって固定される。またトルク増幅作用を終えたときに、ステータ13は、ステータ13が受けるトルク方向の反転によって一方向クラッチ37を空転させながらポンプインペラ11およびタービンランナ12とともに同一方向に回転する。
【0043】
このようにしてトルクコンバータTCがカップリング状態となったとき、もしくはカップリング状態に近づいたときには、その状態を検出したセンサの出力に基づいて作動する不図示の油圧制御回路から、クラッチ作動油が出力軸27内の油路100等を経て外側室38b(クラッチ受圧室)に導入される。これにより、クラッチピストン43が伝動カバー20から離れる側(即ち前記クラッチオン側)に押圧されて、摩擦連結機構Lmを摩擦結合状態に切換え、ロックアップクラッチLが接続状態となる。
【0044】
ロックアップクラッチLが接続状態となったときに、車両用エンジンEから伝動カバー20に伝わる回転動力は、ロックアップクラッチLからクラッチ室38(内側室38a)内のダンパ機能付き伝動装置Tを経て出力軸27に機械的に伝達される。
【0045】
そして、この伝動装置Tは、これの動力伝達経路46において、クラッチインナLiに固定される入力回転体60と、その入力回転体60に一次ダンパばねS1を介して接続される中間回転体70と、中間回転体70に二次ダンパばねS2を介して接続される出力回転体80とを備える。
【0046】
而して、入力回転体60、中間回転体70及び出力回転体80は、出力軸27に対し同心状に配置され且つ互いに相対回転可能に構成される。また第1,第2ダンパばねS1,S2は、出力軸27の軸線を中心とした(従って中間回転体70と同心の)同一仮想円上に交互に配列される。尚、本明細書で「周方向」とは、出力軸27の軸線(即ち出力回転体80等の回転軸線)を中心とした円周方向をいい、また「径方向」とは、該軸線を中心とした半径方向をいい、また「軸方向」とは、該軸線に沿う方向をいう。
【0047】
入力回転体60は、リング板状に形成される中間回転体70を回転摺動可能に挟む第1,第2支持板61,62をクラッチインナLiと共に固定(より具体的には複数のリベット63で結合)されて構成される。各リベット63には、第1,第2支持板61,62間のスペーサとして機能する円筒のカラー64が嵌合、固定され、そのカラー64は、これが入力回転体60と一体的に回転する際に、中間回転体70の円弧状内周面に沿って移動可能である。
【0048】
第1支持板61の内周端部は、径方向内方側に長く延びていて、出力ハブ29の外周に同心状に嵌合、支持される。また第1,第2支持板61,62の径方向中間部は、周方向に延びる円弧状の開口61o,62oを各々有する。そして、その開口61o,62oの径方向内,外周縁部がそれぞれ軸方向外側に切り起こされており、その切り起こし部が、第1,第2ダンパばねS1,S2を両側より抱持するばねホルダ部61h,62hを構成する。上記開口61o,62oの周方向両内端縁部は、第1,第2ダンパばねS1,S2の対応する一端部を当接、支持するばね受け60sとして機能する。
【0049】
中間回転体70の内周部には、周方向に間隔をおいて複数の第1ばね受け突起71が径方向内向きに一体に突設される。そして、各々の第1ばね受け突起71の、周方向で両側端面が、一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2の対応する各他端部を当接、支持するばね受け70sとなり、そのばね受け70sは第1ばね受け部の一例である。また第1ばね受け突起71の先部には、ばね受け70s(従って一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2)よりも径方向内方側に延びるストッパ突起部74が一体に連設される。
【0050】
また中間回転体70の内周部(より具体的には第1ばね受け突起71の根元部分)には、一部のリベット63の中間軸部63mにカラー64を介して係合可能な、対をなす凹状の軸部受け面73が設けられる。そして、その軸部受け面73にカラー64を介してリベット63の中間軸部63m係合させることで、入力回転体60に対する中間回転体70の相対回転角を所定の制限された範囲内に規制可能である。
【0051】
而して、軸部受け面73と、リベット63の中間軸部63m及びカラー64とは、互いに協働して入力回転体60に対する中間回転体70の相対回転角を規定値以下に規制(即ち相対回転限界を規定)する第1ストッパ機構ST1を構成し、この第1ストッパ機構ST1によれば、加速時には一次ダンパばねS1の過度の変形が抑制され、また減速時には二次ダンパばねS2の過度の変形が抑制される。
【0052】
尚、実施形態では、リベット63の中間軸部63mにスペーサとして機能するカラー64を嵌合、固定して、カラー64を介して中間軸部63mを軸部受け面73に係合させるものを例示したが、カラー64を省略して、リベット63の拡径した中間軸部63mを軸部受け面73に直接係合させてもよい。或いはまた、カラー64に代えて、ローラをリベット63の中間軸部63mに回転可能に嵌合、支持させてもよい。
【0053】
尚また、軸部受け面73は、実施形態では第1ばね受け突起71の根元部分(特に周方向両側面)に凹曲面状に形成したものを例示したが、第1ばね受け突起71の形態や位置によっては、第1ばね受け突起71とは独立した軸部受け面を中間回転体70の内周部に、カラー64(中間軸部63m)に対し係合可能として設けてもよい。
【0054】
出力回転体80の内周部には出力ハブ29が嵌合、固定(例えば溶接)され、またタービンシェル24の内周端寄り中間部が出力回転体80に複数のリベット53で固定される。また出力回転体80の外周部には、周方向に間隔をおいて複数の第2ばね受け突起82が径方向外向きに一体に突設されており、各々の第2ばね受け突起82の、周方向で両側端面が、一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2の前記一端部を当接、支持するばね受け80sとなる。このばね受け80sは、第2ばね受け部の一例である。
【0055】
第2ばね受け突起82の径方向外端面は側面視で円弧状に形成され、その外端面に対し一部の前記カラー64が径方向で相互に近接又は当接するように配置される。
【0056】
更に出力回転体80の外周部には、周方向で隣り合う第2ばね受け突起82の中間位置で、第1ばね受け突起71先部のストッパ突起部74と係合可能な係合溝部83が形成される。そのストッパ突起部74と係合溝部83との係合により、出力回転体80に対する中間回転体70の相対回転角を所定の制限された範囲内に規制(即ち相対回転限界を規定)可能である。而して、ストッパ突起部74及び係合溝部83は、互いに協働して出力回転体80に対する中間回転体70の相対回転角を規定値以下に規制する第2ストッパ機構ST2を構成し、この第2ストッパ機構ST2によれば、加速時には二次ダンパばねS2の過度の変形が抑制され、また減速時には一次ダンパばねS1の過度の変形が抑制される。
【0057】
またストッパ突起部74の先端面と係合溝部83の底面とは摺動可能に当接する。その当接により、出力回転体80と中間回転体70の相互の径方向位置決めが行われ、かくして中間回転体70が出力回転体80に対し相対回転可能に且つ同心状に保持される。
【0058】
また実施形態の第1,第2ストッパ機構ST1,ST2は、後述するように、第1ストッパ機構ST1で規定される入力回転体60及び中間回転体70相互の、加速時における相対回転の限界角度θa(図4(1)を参照)が、出力回転体80及び中間回転体70相互の、減速時における相対回転の限界角度θb(図5(1)を参照)よりも大きくなるように設定される。
【0059】
ところで、実施形態のダンパ機能付き伝動装置Tには、中間回転体70に連動連結されるダイナミックダンパDDが付設される。このダイナミックダンパDDは、慣性回転体40と、それに固定(例えばリベット48で結合)される慣性重錘Wと、慣性回転体40及び中間回転体70間に介装されて周方向に間隔をおいて配置される複数のダイナミックダンパばねS3とを備える。慣性回転体40は、中間回転体70を相互間に回転摺動可能に挟み且つ内周が入力回転体60の第1,第2支持板61,62外周に回転可能に同心嵌合する第1,第2保持板41,42を有する。第1,第2保持板41,42の相互間は、複数のリベット48で結合される。
【0060】
第1,第2保持板41,42は、慣性回転体40の周方向に延びる円弧状の開口41o,42oを有しており、その開口41o,42oの径方向外周縁部がそれぞれ軸方向外側に切り起こされて、第1,第2ダンパばねS1,S2を両側より抱持するばねホルダ部41h,42hを構成する。上記開口41o,42oの周方向両内端縁部は、ダイナミックダンパばねS3の対応する両端部を当接、支持する第1ばね受け面40sとして機能する。そのばね受け面40sに対応して中間回転体70にも複数の円弧状開口70oが設けられ、その開口70oの周方向両内端縁部は、ダイナミックダンパばねS3の対応する両端部を支持する第2ばね受け面72sとして機能する。
【0061】
また第1保持板41の内面には、中間回転体70の外周部に設けた径方向外向きの複数の回り止め突起70tとそれぞれ係合可能な複数の係合凹部41aが形成される。その回り止め突起70tを係合凹部41aに係合させることで、中間回転体70に対する慣性回転体40の相対回転角を所定の制限された範囲内に規制(即ち相対回転限界を規定)可能である。
【0062】
而して、回り止め突起70t及び係合凹部41aは、互いに協働して中間回転体70に対する慣性回転体40の相対回転角を規定値以下に規制する第3ストッパ機構ST3を構成し、これによりダイナミックダンパばねS3の過度の変形が抑制される。
【0063】
また特に第1実施形態では、ロックアップクラッチLが非接続状態(即ち動力伝達経路46が非伝動状態)にある場合に、図3(A)で明らかなように、ダイナミックダンパばねS3を圧縮した状態(即ちダイナミックダンパばねS3に対し所定のプリセット荷重、即ち予圧が付与された状態)で、ダイナミックダンパばねS3の両端部が前記した第1,第2ばね受け面40s,72sの何れとも当接(より具体的には圧接)状態にある。この場合、慣性回転体40の周方向で相対向する第1ばね受け面40sの相互間の長さをaとし、また相対向する第2ばね受け面72sの相互間の長さをbとし、ダイナミックダンパばねS3の自由状態での長さをsとすれば、s>a=bの関係を満たすように各々の長さa,b,sが設定される。この第1実施形態によれば、ダイナミックダンパばねS3に上記プリセット荷重を付与した効果によってダイナミックダンパDDの減衰領域を拡張可能となる利点がある。
【0064】
これに対し、図3(B)に例示した第2実施形態では、ロックアップクラッチLが非接続状態にある場合に、ダイナミックダンパばねS3の両端部が前記第1,第2ばね受け面40s,72sの何れか一方(図示例では第2ばね受け面72s)に、ダイナミックダンパばねS3を圧縮した状態(即ちダイナミックダンパばねS3に対し所定のプリセット荷重、即ち予圧が付与された状態)で当接し、またその何れか他方(図示例では第1ばね受け面40s)と、ダイナミックダンパばねS3の両端部との間には、バックラッシュ即ち回転方向の所定の隙間C(即ち図3(B)で、a-bに相当)が設定される。即ち、この第2実施形態では、上記した長さa,b,sが、s>a>bの関係を満たすように設定される。そして、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様、ダイナミックダンパDDの減衰領域を拡張可能となることは元より、上記バックラッシュ効果により、拡張した減衰領域の減衰ピークが入力トルクの大小で大きくずれ動いてばらつくのを抑制可能となる利点がある。
【0065】
また以上説明した第1,第2実施形態において、一次ダンパばねS1のばね定数をk1とし、二次ダンパばねS2のばね定数をk2としたときに、k1がk2よりも大きく設定(例えば、k1/k2で定義されるばね剛性比が1よりも大きく且つ5以下の範囲内に設定)される。
【0066】
次に第1実施形態の作用について、図4図6も併せて参照して、説明する。
【0067】
トルクコンバータTCにおいて、ロックアップクラッチLが接続状態となった場合には、前述のようにエンジンEから伝動カバー20に伝わる回転動力が、ロックアップクラッチLから実施形態のダンパ機能付き伝動装置Tの動力伝達経路46を経て、出力軸27に機械的に伝達される。このとき、エンジンEの加速又は減速運転に伴い生じる回転変動や振動は、伝動装置Tが具備する一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2並びにダイナミックダンパDDで減衰、抑制される。
【0068】
この場合、特にダイナミックダンパDDでは、慣性回転体40がダイナミックダンパばねS3の弾性変形を伴って振動して、動力伝達経路46(即ちダイナミックダンパDDを除く主振動系)の振動エネルギを代替吸収できるため、その主振動系の振動に対する減衰効果が、ダイナミックダンパDD(即ち副振動系)の固有振動数に対応した減衰ピーク回転数付近で特に高められる。
【0069】
また特に図4は、加速時における伝動装置Tの各部(即ち入力回転体60、中間回転体70及び出力回転体80、並びに一次・二次ダンパばねS1,S2、及び第1,第2ストッパ機構ST1,ST2)の動作変化態様を示しており、また図5は、減速時における対応する伝動装置Tの各部の動作変化態様を示す。この場合、図4図5において入力回転体60は出力回転体80に対し、加速時には相対的に右回りに、また減速時には相対的に左回りにそれぞれ回転しようとする。
【0070】
而して、図4(1)及び図5(1)は、入力回転体60が加速側にも減速側にも相対トルクを受けず、即ち中間回転体70が入力回転体60・出力回転体80に対し中立位置にある状態を示しており、この中立位置は、一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2相互のバランス作用で規定される。
【0071】
そして、この図4(1)の中立状態で入力回転体60が加速トルクを受けると、入力回転体60は、一次ダンパばねS1、中間回転体70及び二次ダンパばねS2を介して(即ち両ダンパばねS1,S2を各々撓ませつつ)出力回転体80に対し右回りに相対回転しようとするが、その際に低剛性の二次ダンパばねS2の方が一次ダンパばねS1よりも大きく圧縮変形する。次いで、その相対回転が限界に到達(即ち第2ストッパ機構ST2がストッパ作動、より具体的にはストッパ突起部74が係合溝部83の一方の内端に係合)すると、それ以降の二次ダンパばねS2の弾性変形が終了して、図4(2)に示す状態となる。
【0072】
しかる後、入力回転体60が更に加速トルクを受けると、入力回転体60は、高剛性の一次ダンパばねS1を撓ませつつ、中間回転体70に対する相対回転限界に到達(即ち第1ストッパ機構ST1がストッパ作動、より具体的には中間軸部63mがカラー64を介して軸部受け面72に係合)すると、一次ダンパばねS1の弾性変形が終了して、図4(3)に示す状態となる。
【0073】
これに対し、図5(1)の中立状態で入力回転体60が減速トルクを受けると、入力回転体60は、二次ダンパばねS2、中間回転体70及び一次ダンパばねS1を介して(即ち両ダンパばねS1,S2を各々撓ませつつ)出力回転体80に対し左回りに相対回転しようとするが、その際に低剛性の二次ダンパばねS2の方が一次ダンパばねS1よりも大きく圧縮変形する。次いで、その相対回転が限界に到達(即ち第1ストッパ機構ST1がストッパ作動、より具体的には中間軸部63mがカラー64を介して軸部受け面72に係合)すると、二次ダンパばねS2の弾性変形が終了して図5(2)に示す状態となる。
【0074】
しかる後、入力回転体60が更に減速トルクを受けると、入力回転体60は、高剛性の一次ダンパばねS1を撓ませつつ、中間回転体70に対する相対回転限界に到達(即ち第2ストッパ機構ST2がストッパ作動、より具体的にはストッパ突起部74が係合溝部83の他方の内端に係合)すると、それ以降の二次ダンパばねS2の弾性変形が終了して図5(3)に示す状態となる。
【0075】
その後、入力回転体60が更に大きな減速トルクを受けても、入力回転体60は、第1,第2ストッパ機構ST1,ST2のストッパ作動により中間回転体70・出力回転体80に対する各相対回転を停止した状態のまま減速トルクが増大する形となり、この状態を図5(4)に示す。
【0076】
以上説明した実施形態の加速時および減速時における入力回転体の出力回転体に対する相対回転角度(横軸)と、入力回転体60が受けるトルクとの関係は、図6の実線で表される。
【0077】
尚、図6の点線は、中間回転体70・出力回転体80相互の、減速時における相対回転限界角度θbを、加速時における相対回転限界角度θaと同等に設定した比較例の、減速時後半の特性ラインを示す。この比較例では、図6の点線ラインからも明らかなように、減速時に第2ストッパ機構ST2がストッパ作動した時点で出力回転体80のばね受け部80sに作用する一次ダンパばねS1の圧縮変形量が、実施形態の圧縮変形量よりも大きくなるため、その変形荷重が実施例よりも増大することは明らかである。
【0078】
以上説明したように、実施形態のトルクコンバータTC、特にこれのロックアップクラッチLの接続状態で機械伝動を担うダンパ機能付き伝動装置Tは、入力回転体60及び出力回転体80間に介装された中間回転体70と、中間回転体70及び入力回転体60間を接続する一次ダンパばねS1と、中間回転体70及び出力回転体80間を接続する二次ダンパばねS2とを備える。そして、一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2が、中間回転体70と同心の同一仮想円上に配列され、入力回転体60及び中間回転体70の相互間には、その相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第1ストッパ機構ST1が介設され、出力回転体80及び中間回転体70の相互間には、その相互間の加速時・減速時における各相対回転限界を規定する第2ストッパ機構ST2が介設されるが、特に第2ストッパ機構ST2が、中間回転体70の、一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2を受ける第2ばね受け部70sよりも径方向内方側に配置される。
【0079】
これにより、加速に伴い中間回転体70が出力回転体80に対し相対回転限界に達したときに第2ストッパ機構ST2で受け止めるトルク負荷が、出力回転体80の比較的内周寄りの部位に作用することになるから、そのトルク負荷に起因して出力回転体80に局部的に生じる応力を効果的に低減できる。その結果、出力回転体80は、荷重負担が軽減されて、特別な補強対策(例えば板厚増大等)が不要となるため、その分、伝動装置Tのコスト節減や重量軽減、小型化を達成可能となる。
【0080】
また一次ダンパばねS1・二次ダンパばねS2が同一仮想円上に配列されることで、一次ダンパばねS1を二次ダンパばねS2と同等の径方向位置に配置できるため、伝動装置Tの径方向大型化を抑制する上で有利となる。
【0081】
また実施形態の入力回転体60は、リング板状の中間回転体70を軸方向に挟む第1,第2支持板61,62と、その第1,第2支持板61,62間を結合する複数のリベット63とを備え、第1ストッパ機構ST1は、リベット63の中間軸部63mと、中間回転体70の内周部に設けられて、入力回転体60及び中間回転体70相互の加速時・減速時における各相対回転限界を規定するように中間軸部63mに係合可能な軸部受け面73とを有している。これにより、入力回転体60及び中間回転体70を、それらの板厚増大を抑えて軸方向にコンパクトな組立体として取り扱い可能となり、伝動装置Tの更なる小型化が達成可能となる。しかも入力回転体60の第1,第2支持板61,62間を結合する連結手段(リベット63)が第1ストッパ機構ST1の一部を兼ねるから、構造簡素化や部品点数の削減が図られる。
【0082】
また実施形態において、円環状の中間回転体70の内周部には、一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2を受ける第1ばね受け部70sを有する複数の第1ばね受け突起71が径方向内向きに且つ周方向に間隔をおいて設けられると共に、その各々の第1ばね受け突起71に、第1ばね受け部70sよりも径方向内方側に延出するストッパ突起部74が連設される。一方、円環状の出力回転体80の外周部には、一次ダンパばねS1及び二次ダンパばねS2を受ける第2ばね受け部80sを有する複数の第2ばね受け突起82が径方向外向きに且つ周方向に複数の第1ばね受け突起71と交互に並ぶように設けられ、第2ストッパ機構ST2は、周方向で隣り合う第2ばね受け突起82の中間位置で出力回転体80の外周部に凹設される係合溝部83と、その係合溝部83内に周方向移動可能に受容されるストッパ突起部74とを有していて、中間回転体70及び出力回転体80相互の加速時・減速時における各相対回転限界を規定するようにストッパ突起部74が係合溝部83の周方向両内端部に係合可能である。これにより、第1ばね受け突起71に連設したストッパ突起部74は、これが係合溝部83内に受容されることで、出力回転体80と径方向に重なり合う配置となるため、伝動装置Tを径方向により小型化できる。
【0083】
しかも上記ストッパ突起部74の先部が係合溝部83の内底面に摺動可能に接触し、該接触により中間回転体70が出力回転体80に対し径方向に位置決め可能である。これにより、第2ストッパ機構ST2の一部であるストッパ突起部74が、中間回転体70の出力回転体80に対する径方向位置決め手段を兼ねることとなり、それだけ構造簡素化や部品点数の削減が図られる。
【0084】
また実施形態では、ダイナミックダンパDDが中間回転体70の外周部に接続されるため、ダイナミックダンパDDの特設に伴う軸方向寸法増を極力抑制しながら、そのダイナミックダンパDDを以て伝動装置Tの減衰性能をより高めることができる。
【0085】
更に実施形態では、一次ダンパばねS1のばね定数が、二次ダンパばねS2のばね定数よりも大きいので、加速に伴い中間回転体70が出力回転体80に対し図4(2)に示す如く相対回転限界に達したときに、第2ストッパ機構ST2でトルク負荷が受け止められると共に、それまでに弾性変形した比較的低剛性の二次ダンパばねS2の変形荷重が出力回転体80のばね受け部80sで受け止められる。これにより、そのばね受け部80sと第2ストッパ機構ST2とで荷重分散が図られ、その上、二次ダンパばねS2の上記変形荷重も低減されることから、出力回転体80の発生応力の更なる低減が図られる。
【0086】
これに対し、減速時に第2ストッパ機構ST2が図5(3)に示す如くストッパ作動する際に、出力回転体80のばね受け部80sに作用する一次ダンパばねS1の変形荷重は、同ばねS1の剛性が高い場合の方がより大きくなってダンパ強度上、不利となるが、一般的な自動車用トルクコンバータに含まれるダンパ装置で発生するトルクや頻度は、加速時の方が減速時よりも高いため、一次ダンパばねS1を比較的高剛性として特に加速時における出力回転体80の応力低減を達成可能とした本実施形態は、より優位となる。
【0087】
その上、実施形態では、第1ストッパ機構ST1で規定される入力回転体60及び中間回転体70相互の、加速時における相対回転の限界角度θa(図4(1)を参照)が、出力回転体80及び中間回転体70相互の、減速時における相対回転の限界角度θb(図5(1)を参照)よりも大きくなるように設定される。これにより、減速時には高剛性の一次ダンパばねS1の限界圧縮量を加速時よりも減らし、限界圧縮後の更なる荷重は第2ストッパ機構ST2で受け止めることにより、一次ダンパばねS1の圧縮荷重を受ける第2ばね受け突起82の根元部における応力を効果的に低減可能となる。従って、出力回転体80の発生応力の更なる低減が図られる。
【0088】
尚、第2ストッパ機構ST2が上記実施形態の如く減速時に少ない相対回転角度でストッパ作動することに伴い、減速・高トルク時のダンパ特性が悪化するが、一般的な自動車用トルクコンバータに含まれるダンパ装置では、減速高負荷運転の際のダンパ性能は必要ないことから、商品性を損なう虞れはない。
【0089】
更にまた実施形態では、ロックアップクラッチLにより流体伝動と機械伝動を切換え可能なトルクコンバータTCが、上記した格別顕著な作用効果を発揮し得るダンパ機能付き伝動装置Tを機械伝動のために具備するので、この伝動装置Tを含むトルクコンバータTCの構造簡素化や軽量且つ小型化、コスト節減が達成可能となる。
【0090】
以上第1実施形態の作用を説明したが、第2実施形態においても、基本的に第1実施形態と同等の作用を達成可能である。
【0091】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
【0092】
例えば、前記実施形態では、本発明のダンパ機能付き伝動装置として、自動車用のロックアップ機構付きトルクコンバータTCに内蔵されてロックアップクラッチLの接続状態でエンジンEから出力軸27側への機械伝動を担う伝動装置Tを例示したが、本発明のダンパ機能付き伝動装置は、トルクコンバータTC以外の種々の機械装置の動力伝達装置に適用してもよい。
【0093】
また前記実施形態では、ロックアップクラッチLが非接続状態(即ち動力伝達経路46が非伝動状態)にある場合に、図3で明らかなようにダイナミックダンパばねS3を圧縮状態(即ち同ばねS3に対し所定のプリセット荷重、即ち予圧が付与された状態)で、中間回転体70と慣性回転体40間にセットしたものを示したが、ダイナミックダンパばねS3を、これにプリセット荷重を付与しないで中間回転体70と慣性回転体40間にセットしてもよい。
【符号の説明】
【0094】
DD・・・・・ダイナミックダンパ
L・・・・・・ロックアップクラッチ
S1,S2・・一次ダンパばね,二次ダンパばね
ST1,ST2・・第1ストッパ機構,第2ストッパ機構
T・・・・・・ダンパ機能付き伝動装置
TC・・・・・トルクコンバータ
11・・・・・ポンプインペラ
12・・・・・タービンランナ
13・・・・・ステータ
23・・・・・入力軸
27・・・・・出力軸
40・・・・・慣性回転体
46・・・・・動力伝達経路
53・・・・・リベット部材
60,70,80・・入力回転体,中間回転体,出力回転体
61,62・・第1支持板,第2支持板
63,63m・・・リベット、中間軸部
70s,80s・・第1,第2ばね受け部としてのばね受け
71,82・・第1ばね受け突起,第2ばね受け突起
73・・・・・軸部受け面
74・・・・・ストッパ突起部
83・・・・・係合溝部
図1
図2
図3
図4
図5
図6