(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】一体型リードを備えた小型圧力・力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 1/26 20060101AFI20240201BHJP
G01L 1/14 20060101ALI20240201BHJP
G01L 9/12 20060101ALI20240201BHJP
G01L 9/04 20060101ALN20240201BHJP
【FI】
G01L1/26 C
G01L1/14 J
G01L9/12
G01L9/04
(21)【出願番号】P 2021185094
(22)【出願日】2021-11-12
(62)【分割の表示】P 2018540839の分割
【原出願日】2017-02-03
【審査請求日】2021-12-09
(32)【優先日】2016-02-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】508130890
【氏名又は名称】ハッチンソン テクノロジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】HUTCHINSON TECHNOLOGY INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(72)【発明者】
【氏名】デイビス,マイケル ダブリュー.
(72)【発明者】
【氏名】ラドウィッグ,ピーター エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ラング,マシュー エス.
(72)【発明者】
【氏名】マイヤーズ,ディーン イー.
(72)【発明者】
【氏名】オルセン,クラーク ティー.
(72)【発明者】
【氏名】リーマー,ダグラス ピー.
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特表平9-503864(JP,A)
【文献】特開平4-106442(JP,A)
【文献】特開平10-239179(JP,A)
【文献】特開平4-289423(JP,A)
【文献】特開2001-174353(JP,A)
【文献】特開2003-322577(JP,A)
【文献】特開平3-42542(JP,A)
【文献】特開平4-204339(JP,A)
【文献】特開2007-64786(JP,A)
【文献】特開2012-145497(JP,A)
【文献】米国特許第4719538(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01L 1/00-1/26,5/00-27/02
H01L 29/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
感知素子を含むダイアフラム構造
であって、ベース部を含むとともに、空隙領域を画定するダイアフラム構造と、前記ベース部は全体的に金属からなる金属部材を含み、
前記ダイアフラム構造から延びるとともに、前記感知素子と電気的に接続された第1トレースおよび第2トレースを含むリード構造と、を備えた圧力・力センサにおいて、
前記第1トレースは第1電極に電気的に接続され、前記第2トレースは第2電極に電気的に接続され、
前記ダイアフラム構造と前記リード構造とは、共通の絶縁層と、
前記共通の絶縁層を通って前記第2電極を前記第2トレースに接続するビアと、前記絶縁層上にあるとともに前記感知素子の少なくとも一部および少なくとも前記第1トレースを含む共通の導体層とを備え
、前記絶縁層と前記感知素子の少なくとも一部を含む前記導体層は、前記ベース部上にあるとともに、前記空隙領域上に延在する、回路組立体を含む、圧力・力センサ。
【請求項2】
前記ベース部の前記金属部材はステンレス鋼部材である、請求項
1に記載のセンサ。
【請求項3】
前記導体層に含まれる前記感知素子の前記一部は
前記第1電極を含む、請求項
2に記載のセンサ。
【請求項4】
前記ベース部は可動部分を含み、前記
第1電極は前記可動部分上にある、請求項
3に記載のセンサ。
【請求項5】
前記ベース部は前記可動部分から延びるバネアーム部をさらに含む、請求項
4に記載のセンサ。
【請求項6】
前記感知素子は
前記第2電極
を含み、前記第2電極は前記第2トレースに接続される、請求項
2に記載のセンサ。
【請求項7】
絶縁層と、ダイアフラム部分におけるセンサ構造および前記センサ構造に接続されたリード部分における少なくとも1つのトレースを含む導体層とを含むダイアフラム部分およびリード部分を含む
回路組立体であって、前記少なくとも1つのトレースは、第1電極に電気的に接続された第1トレースと第2電極に電気的に接続された第2トレースとを含み、前記第2電極がビアによって前記絶縁層を通って前記第2トレースに接続された、回路組立体と、
ステンレス鋼部材を含むベース部と、を備えた圧力・力センサにおいて、
前記回路組立体の前記ダイアフラム部分は前記ベース部に取り付けられている、圧力・力センサ。
【請求項8】
前記ベース部の前記ステンレス鋼部材は可動部分を含み、前記回路組立体の前記ダイアフラム部分は前記ベース部に取り付けられている、請求項
7に記載のセンサ。
【請求項9】
前記ベース部の前記ステンレス鋼部材は前記可動
部分から延びるバネアーム部を含む、請求項
8に記載のセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、一体型リードを有する圧力・力センサと、該センサを製造するためのサブトラクティブ法、アディティブ法、および/またはセミアディティブ法とに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサおよび力センサ(例えば、容量式および歪ゲージ式)は既知のものであり、広範囲の用途に使用されている。しかしながら、改善された圧力センサおよび力センサが引き続き必要とされている。このような改善されたセンサの有利な特徴は、センサの効率的な大量生産を可能にする製造工程を使用できること、センサを広範囲の圧力および力において作動可能にする適切な設計空間特性、熱および湿度安定性、小型性および用途範囲への適応性を含み得る。
【発明の概要】
【0003】
本発明の一実施形態は、第1および第2電極を含むダイアフラム構造と、ダイアフラム構造の少なくとも一部と一体的に形成されるとともにダイアフラム構造から延び、第1および第2電極にそれぞれ電気的に接続される第1および第2トレースを含むリード構造とを備え、ダイアフラム構造とリード構造との両方の少なくとも一部は、絶縁ポリマー層(任意的に共通層)と、第1および第2トレースを含む絶縁ポリマー層上の導体層(任意的に共通層)とを含む、容量式圧力・力センサである。実施形態において、ダイアフラム構造は、空隙領域と、絶縁ポリマーの空隙領域上に延在する部分とを含み、電極の1つは、絶縁ポリマーの空隙領域上に延在する部分上にある。実施形態において、絶縁ポリマー上の電極はスパッタ導体層を含む。実施形態において、第1および第2トレースはスパッタ導体層を含み、第1および第2トレースを含む該導体層は、スパッタ導体層上にめっき層を含む。実施形態において、ダイアフラム構造および任意的にリード構造の少なくとも一部はベース部をさらに含み、該ベース部は空隙領域を画定し、絶縁ポリマーの空隙領域上に延在する部分がベース部の少なくとも一部の上に延在する。実施形態において、ベース部はステンレス鋼などの金属を含む(および任意にそれからなる)。実施形態において、ベース部は、空隙領域を画定する部分エッチングポケットを含む。実施形態において、スパッタ導体層およびトレースは、絶縁ポリマー層のベース部とは反対側(反対面)にある。実施形態は、トレースの1つを絶縁ポリマーを介して電極の1つに電気的に接続する少なくとも1つの導電性ビアをさらに含む。実施形態において、電極の1つは金属ベース部を含み、ビアはトレースの1つを金属ベース部に電気的に接続する。実施形態は、絶縁ポリマーをベース部に固定する接着層をさらに含む。
【0004】
本発明の他の実施形態は、空隙領域を画定するベース部材と、ベース部材上、任意的にベース部材の第1側に存在するとともに、空隙領域の第1側に延在する第1ダイアフラム部分絶縁ポリマー層と、第1ダイアフラム部分絶縁ポリマー層上であるとともに空隙領域上の電極を含む第1スパッタ導体層と、ベース部材上、任意的にベース部材の第2側に存在するとともに、空隙領域の第2側に延在する第2ダイアフラム部分絶縁ポリマー層と、第2ダイアフラム部分絶縁ポリマー層上であるとともに空隙領域上の電極を含む第2スパッタ導体層とを含むダイアフラム構造、ならびにダイアフラム構造と一体的に形成されるとともにダイアフラム構造から延在し、リード部分絶縁ポリマー層(任意的に第1ダイアフラム部分絶縁ポリマー層と共通する)と、リード部分絶縁ポリマー層上の第1および第2トレースとを含むリード構造を備え、第1および第2トレースはそれぞれ第1および第2電極に電気的に接続される、容量式圧力・力センサである。実施形態において、第1スパッタ導体層および第1トレースは、共通の絶縁ポリマー層の第1空隙領域およびベース
部材とは反対側の、リード部分および第1ダイアフラム部分絶縁ポリマー層の第1面側にある。実施形態では、第1および第2トレースは第1スパッタ導体層を含む。実施形態では、ベース部材は、ステンレス鋼などの導電性金属を含む(および任意的にそれからなる)。第2スパッタ導体層は第2ダイアフラム部分絶縁ポリマー層の第1面側にあり、導電性金属ベース部材の一部の上に延在し、センサは、絶縁ポリマー層を介して第2トレースを導電性金属ベース部材に電気的に接続する導電性ビアをさらに含む。実施形態において、金属ベース部材は、第1部分および第2部分と、第1部分と第2部分とを機械的に(および任意に電気的に)接合するための固定構造、任意的に1つ以上の溶接部または接着剤とを含む。
【0005】
本発明の他の実施形態は、ベース部分(ステンレス鋼などの金属を任意的に含むかまたは任意的にそれからなる)と、ベース部の少なくとも一部の上のダイアフラム絶縁ポリマー層と、ダイアフラム絶縁ポリマー層上の第1導電性電極と、任意的にステンレス鋼の導
電性ダイアフラム電極と、導電性ダイアフラム電極をベース部分に接合する接着性絶縁ポリマー層と、第1導電性電極と導電性ダイアフラム電極との間の空隙領域とを含むダイア
フラム構造、ならびに、ダイアフラム構造と一体的に形成され、ダイアフラム絶縁ポリマー層と任意的に共通のリード絶縁ポリマー層と、リード絶縁ポリマー層上の第1および第2トレースとを含むリード構造とを備え、第1および第2トレースはそれぞれ第1導電性
電極および導電性ダイアフラム電極に電気的に接続される、容量式圧力・力センサである。実施形態は、接着性絶縁ポリマー層を介して第2トレースを導電性ダイアフラム電極に電気的に接続する導電性ビアをさらに含む。実施形態は、第1および第2トレース、ならびに任意的にセンサのいずれかおよびあらゆる他の部分上のポリマーカバーコートをさらに含む。実施形態はさらに、少なくともダイアフラム構造上に、封入コーティング、任意的にTi/SiO2の1つ以上、または非吸湿性ポリマーをさらに含む。
【0006】
本発明の他の実施形態は、1つ以上の歪ゲージを含むダイアフラム構造と、ダイアフラム構造の少なくとも一部と一体的に形成されるとともにダイアフラム構造から延在し、1つ以上の歪ゲージと電気的に接続される第1および第2、ならびに任意的にそれより多くのトレースを含むリード構造とを備え、ダイアフラム構造とリード構造との両方の少なくとも一部は、絶縁ポリマー層(任意的に共通層)と、第1および第2トレースを含む、絶縁ポリマー層上の導体層(任意的に共通層)と含む、歪ゲージ式圧力・力センサである。
【0007】
その他の実施形態は、センサを製造するための、アディティブ法、セミアディティブ法、および/またはサブトラクティブ法を含む。
【0008】
他の実施形態は、ダイアフラム構造およびリード構造の絶縁ポリマー層を共通して形成するステップと、共通の絶縁ポリマー層上に第1および第2トレースを形成するステップと、第1および第2トレースを有する共通の絶縁ポリマー層をダイアフラム構造の部品またはダイアフラム構造の部品が形成される材料の層に積層するステップ(つまり、ポリマー層をダイアフラム構造に積層する前にトレースを形成する)とを含むセンサを製造する方法を含む。実施形態では、第1および第2トレースを形成することには、絶縁ポリマー層上にシード層をスパッタリングすることと、シード層上に導電性金属をめっきすることとを含む。実施形態は、共通の絶縁ポリマー層上に電極または歪ゲージを形成することと、第1および第2トレースと電極または歪ゲージとを有する共通の絶縁ポリマー層をダイアフラム構造の部品またはダイアフラム構造の部品が形成される材料の層に積層すること(つまり、ポリマー層をダイアフラム構造に積層する前にトレースと電極または歪ゲージとを形成する)とをさらに含む。
【0009】
他の実施形態は、ダイアフラム構造の部品を形成するステップまたはダイアフラム構造の部品が形成される材料の層を提供するステップと、第1および第2トレースを有さない
共通のポリマー層をダイアフラム構造の部品またはダイアフラム構造の部品が形成される材料の層に積層するステップと、積層ステップ後に共通のポリマー層上に第1および第2トレースを形成するステップとを含むセンサの製造方法を含む。実施形態では、第1および第2トレースを形成することには、絶縁ポリマー層上にシード層をスパッタリングすることと、シード層上の導電性金属をめっきすることとを含む。実施形態は、共通の絶縁ポリマー層上に電極を形成することと、第1および第2トレースと電極とを有する共通の絶縁ポリマー層をダイアフラム構造の部品またはダイアフラム構造の部品が積層ステップ後に形成される材料の層に積層することとをさらに含む。
【0010】
他の実施形態は、ベース部分と、可動部分と、ベース部分に可動部分を接続するバネアーム部と、可動部分上の電極と、電極から延びるトレースとを含むダイアフラム構造を含む容量式圧力・力センサを含む。実施形態では、ベース部分、可動部分およびバネアーム部は、バネ金属層から形成され、センサはバネ金属層上の絶縁層を含み、トレースは絶縁層上にある。実施形態では、トレースおよび絶縁層は少なくとも1つのバネアーム部に沿って延びる。
【0011】
他の実施形態は、ダイアフラム部分とリード部分とを含む1つ以上のトレース部材を含み、各トレース部材は、任意的にステンレス鋼などのバネ金属であるベース層と、ベース層上の絶縁層と、絶縁層のベース層と反対側の導体層と、ダイアフラム部分の導体層の電極と、電極からリード部分上に延びる導体層のトレースとを含む、容量式圧力・力センサである。実施形態は、直前に記載のタイプの2つのトレース部材を含み、トレース部材のベース電極はダイアフラム部分において互いに対向するセンサを含む。実施形態では、ベース層は(例えばそれらの周囲で)接続される。実施形態は、ベース層同士の間のスペーサをさらに含む。実施形態は、上述のタイプの2つのトレース部材を含み、ベース層はキャビティを画定するように(例えば、それらの周囲で)接続され、トレース部材の1つの電極はキャビティから絶縁層とは反対側にある(すなわち、1つの電極はキャビティの外側にある)。実施形態は、上述のタイプのトレース部材と、キャビティを画定するためにダイアフラム部分の電極上のカンとを含む。実施形態において、カンは金属であり、電極として機能し、トレース部材の金属ベース部に電気的に接続される。実施形態では、トレース部材は、カンに電気的に接続されたトレースを含む。実施形態において、ダイアフラム構造は、ベース部分と、可動部分と、ベース部分に可動部分を接続するバネアーム部とを含む。実施形態では、ベース部分、可動部分およびバネアーム部はバネ金属層から形成される。実施形態は、電極上に比較的高い比誘電率および/またはエラストマーの材料の層をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】
図2において、
図2A~
図2Nは、センサの実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。
【
図3】
図3において、
図3A~
図3Iは、センサの実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。
【
図5】
図5において、
図5A~
図5Sは、センサの実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。
【
図6】
図6において、
図6A~
図6Kは、センサの実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。
【
図8】
図8において、
図8A~
図8Pは、センサの実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。
【
図9】
図9において、
図9A~
図9Lは、センサの実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。
【
図21】
図21において、
図21Aおよび
図21Bは、本発明の実施形態による、溶接されたベース部材を有する反転した2つのトレース組立体を有する他のセンサの等角図であり、
図21Aは、センサの第1または上側を示し、
図21Bは、センサの反対の第2または下側を示す。
【
図23】
図23において、
図23Aおよび
図23Bは、本発明の実施形態によるセンサの等角断面図であり、断面線はダイアフラム構造を通って延びる。
【
図24】
図24は、本発明の他の実施形態によるダイアフラム構造と一体型リード構造とを有する一体型リードおよびカンセンサの等角図である。
【
図25】
図25は、カンの一部が取り除かれてダイアフラム構造内のトレース部材の一部を露出させた、センサの詳細な等角図である。
【
図26】
図26は、センサのダイアフラム構造の一部の詳細な断面図である。
【
図27】
図27は、本発明の実施形態による他のセンサの部分切り欠き等角図である。
【
図28】
図28は、本発明の実施形態による他のセンサの等角図である。
【
図29】
図29は、本発明の実施形態による他のセンサの等角図である。
【
図30】
図30は、本発明の実施形態による他のセンサの等角図である。
【
図31】
図31は、本発明の実施形態によるダイアフラム構造および一体型リード構造を有する他のセンサの等角断面図である。
【
図33】
図33は、本発明の他の実施形態によるダイアフラム構造および一体型リード構造を有するセンサの等角断面図である。
【
図34】
図34は、トレース部材を取り外した状態のセンサの図である。
【
図35】
図35は、本発明のさらに別の実施形態によるセンサを示して記載する。
【
図36】
図36は、本発明のさらに別の実施形態によるセンサを示して記載する。
【
図44】
図44は、センサの部分分解図であり、カバーコート層は表示されない。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態は、一体型リードを有する容量式および歪ゲージ式圧力・力センサを含む。添付の図面に詳細に示されているように、センサは、ダイアフラム構造と一体型リード構造とを含む。実施形態では、少なくとも絶縁ポリマー層はダイアフラム構造とリード構造との両方に共通である。実施形態において、ポリマー層および任意的にポリマー層上のトレースなどの構造は、同じ工程ステップによってともに形成することができる。少なくともリード構造上のトレースの一部およびダイアフラム構造上の電極の一部は、実施形態において同じ工程ステップによって形成することができる。他の実施形態では、ダイアフラム構造およびリード構造のポリマー層部分は共通ではなく、(互いに隣接していても)個別に形成することができる。
【0014】
リード構造は、可撓構造または可撓回路とすることができ、非金属(例えば、セラミックまたは他の絶縁材料)およびステンレス鋼または他のバネ金属などの金属を含むベース材料上に形成することができる。実施形態において、ダイアフラム構造もまた可撓性である。図示されるように、実施形態では、ダイアフラム構造は、2つのポリマー(例えばカプトン)部材、1つのポリマー部材と1つの金属(例えばステンレス鋼)部材、または2つの金属部材を含む。他の実施形態は、セラミックなどの他の材料から形成されたダイヤフラム構造を含む。
【0015】
センサは、フォトリソグラフィ(例えばパターン化されたおよび/またはパターン化されていないフォトレジストマスクの使用)に関連するウェット(例えば化学的)エッチングおよびドライ(例えばプラズマ)エッチング、電気めっきおよび無電解めっき、ならびにスパッタリング工程などの従来のアディティブ堆積法、セミアディティブ法、および/またはサブトラクティブ法と、積層法(例えば、接着剤の塗布によるならびに/または圧
力および/もしくは熱の適用による)とによって製造することができる。機械的加工方法(例えば、パンチおよび型を使用する)を使用することができる。接着層および他のポリマー層は、隣接する層にコーティングおよび硬化されるか、またはシートから切断されて隣接する層に積層されることができる。これらのタイプのアディティブ法およびサブトラクティブ法は、例えば、ステンレス鋼または他のベースもしくは基板(非金属ベースを含む)上のディスクドライブヘッドサスペンションの製造に関連して知られるとともに使用されており、「デュアルステージアクチュエーションディスクドライブサスペンション用低抵抗グランドジョイント(Low ResistanceGround Joints for Dual Stage Actuation Disk Drive Suspensions)」)という発明の名称のBennin等の米国特許第8,885
,299号明細書、「複数トレース構造を備えた一体型リードサスペンション(Integrated LeadSuspension with Multiple Trace Configurations)」という発明の名称のRice等の米国特許第8,169,746号明細書、「一体型リードサスペンションの多層グランドプレーン構造(Multi-LayerGround Plane Structures for Integrated Lead Suspensions)」という発明の名称のHentges等の米国特許第8,144,430号明細書、「一体型リードサスペンションの多層グランドプレーン構造(Multi-Layer GroundPlane Structures for Integrated Lead Suspensions)という発明の名称のHentges
等の米国特許第7,929,252号明細書、「サスペンション組立体用貴金属導電リード製造方法(Method forMaking Noble Metal Conductive Leads for Suspension Assemblies)」)という発明の名称のSwanson等の米国特許第7,388,733号明細
書、「一体型リードサスペンションのめっきグランド形体(Plated GroundFeatures for Integrated Lead Suspensions)」という発明の名称のPeltoma等の米国特許第7
,384,531号明細書である米国特許にて概して公開されており、これらのすべてはあらゆる目的のために言及により本明細書に援用される。
【0016】
実施形態において、トレース、電極および/または歪ゲージなどの構造は、ダイアフラム構造とリード構造とに共通の絶縁ポリマー層上に形成することができ、絶縁ポリマー層は、そうした構造(例えば、トレースおよび/または電極および/または歪ゲージ)が形成された後にダイアフラム構造の他の構成要素(または、そのような他のダイアフラム構成要素が形成される材料の層)に積層することができる。他の実施形態では、共通の絶縁ポリマー層は、トレース、歪ゲージおよび/または電極などの構造が共通の絶縁ポリマー層上に形成される前に、ダイアフラム構造の他の構成要素(またはそのような他のダイアフラム構成要素が形成される材料の層)上に形成することができる。ポリマー層およびその上の構造(例えば、トレースおよび/または電極)は、上述のタイプのサブトラクティブ法またはアディティブ法によって積層材料から形成することができる。めっき、はんだまたは導電性接着剤などによって形成されたものなどのビアタイプの電気接続を使用して、トレースをポリマー層の開口部を介して他の電気構造(例えば電極および/またはステンレス鋼構造)に電気的に接続することができる。他の実施形態(図示せず)は、デバイスの部分の端部の上または周りに延びて構造を電気的に相互接続するジャンパーを含む。以下に明示されるものに加えて使用され得る接続/接合技術には、非導電性エポキシ、導電性エポキシ、はんだ/焼結、レーザ溶接/抵抗溶接、圧着/機械加工、およびレーザ積層を含む。実施形態では、構造(例えばベース)部材用のステンレス鋼構成要素を有するものとして記載されているが、他の実施形態ではプラスチック射出成形ポリマーおよびセラミックなどの他の材料および方法が使用される。これらの材料は、コンデンサプレートおよび/または導電経路の構成を可能するために、または他の接合技術を可能にするために、選択的に金属化することができる。
【0017】
図1A、
図1B、
図1C、
図1D、
図1Eおよび
図1Fは、本発明の実施形態によるセンサ10の上面図、底面図、側面図、遠位端図、近位端図および詳細な等角断面図である。センサ10は、一重ダイアフラムの、部分的にエッチングされたキャビティデバイスであり、比較的低い圧力を感知するために使用することができる。図示されるように、セン
サ10は、ダイアフラム構造12と、ダイアフラム構造から延びる一体型リード構造14とを含む。ダイアフラム構造12は、空隙領域またはキャビティ18を有するベース部16を含む。実施形態では、ベース部16はステンレス鋼(SST)などの金属であり、キャビティ18は部分的にエッチングされたキャビティである。これらの実施形態では、金属ベース部は第1電極として機能することができる。他の実施形態では、ベース部は、セラミック材料などの他の材料から形成することができ、電極は、キャビティ内のベース部上に配置することができる。可撓性の絶縁ポリマー層20は、ベース部16およびキャビティ18上のダイアフラム部分22と、リード構造14上のリード部分24とを含む。ポリマー層20のダイアフラム部分22およびリード部分24は、例示の実施形態では共通するものであり、接着層26(任意選択的にアクリル系接着剤)および誘電体層22を含む。第2電極30は、ポリマー層20のダイアフラム部分22上に配置される。リードまたはトレース32Aおよび32Bは、ポリマー層20のリード部分24に沿って延在する。リード32Aは、第2電極30に電気的に接続される。リード32Bは、ポリマー層20を通る導電性ビア34によって、第1電極(例えば、
図1A~
図1Fに示す実施形態ではベース部16)に電気的に接続される。実施形態では、第2電極30はスパッタ金属層であり、トレース32Aおよび32Bのシード層と同じ工程ステップ時に形成することができる。デバイスを封入するために、センサの全部または一部の上にポリマーまたは他のコーティング層40を塗付することができる。トレース32Aおよび32Bは、シード層上にめっき金属層を含むことができる。センサ10の用途には、例えば、体液圧、血液感知、眼内感知および神経感知が含まれる。センサ10の第1および/もしくは第2電極ならびに/またはキャビティ18ならびに他の形体の領域が、デバイスの圧力および感度を決定するように構成することができる。
【0018】
図2A~
図2Nおよび
図3A~
図3Iは、センサ10の実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。特に、
図2Aは、ステンレス鋼(SST)層2000を示す。
図2Bは、ステンレス鋼層2000と該層の端部2002を示す。
図2Cは、ステンレス鋼層2000におけるエッチングされたキャビティ2004を示す。
図2Dは、ステンレス鋼層2000とエッチングされたキャビティ2004との詳細な図である。
図2Eは、ステンレス鋼層2000に塗布したポリマー層2006を示す。
図2Fは、エッチングされたステンレス鋼層2000上のポリマー層2006(接着層を含む)を示す。
図2Gは、エッチングされた周囲部/境界部2008と成形ビア開口部2010とを示す。
図2Hは、ビア開口部2010を示す詳細図である。
図2Iは、めっきされたトレース2012と任意的に電極とを示す。
図2Iに示す構造上には、ビアコンタクトを形成することができる。
図2Iはまた、電極およびトレース用のスパッタリングされたシード層2014をも示す。
図2Jは、(めっきされた)ビアコンタクト2016、めっきされたトレース2018、およびシード層2020を示す。
図2Kは、塗布されたカバーコートおよび/または封入材料を示す。
図2Lは、カバーコート/封入材料2022を有する構造を示す。
図2Nは、ステンレス鋼層2000と、ステンレス鋼ベース部のエッチング/形成を示す。
図3Aはステンレス鋼ベース層を示す。
図3Bは、ステンレス鋼キャビティ部分エッチングを示す。
図3Cは、積層誘電体/接着剤を示す。
図3Dは、ステンレス鋼へのビアのレーザ切断を示す。
図3Eは、スパッタリングされたシード層を示す。
図3Fは、めっきされた導体トレースを示す。
図3Gは、エッチングされたシード層を示す。
図3Hは、コーティング/エッチングされた誘電体カバーコートを示す。
図3Iは、エッチングされたベースステンレス鋼を示す。
【0019】
図4A、
図4B、
図4C、
図4D、
図4Eおよび
図4Fは、本発明の実施形態によるセンサ110の上面図、底面図、側面図、遠位端図、近位端図および詳細な等角断面図である。センサ110は、実施形態において、二重ダイアフラムの溶接およびエッチングされたデバイスであり、比較的低い圧力を感知するために使用することができる。図示するように、センサ110は、ダイアフラム構造112と一体型リード構造114とを含む。ダ
イアフラム構造112は、第1ダイアフラム部分111と第2ダイアフラム部分113とを有し、空隙領域またはキャビティ118を画定するリング状または他の形状のベース部材116を含む。例示の実施形態では、ベース部材116は、それぞれステンレス鋼(SST)であり得る第1部分115および第2部分117から形成される。可撓性で絶縁性のポリマー層120は、ベース部材116の第1部分115上であるとともにキャビティ118上(すなわち、第1ダイアフラム部分111上)の第1ダイアフラム部分122と、リード構造114上のリード部分124とを含む。ポリマー層120のダイアフラム部分122およびリード部分124は、例示の実施形態では共通する。第1電極129は、第1ダイアフラム部分111上に配置され、例示の実施形態では、ポリマー層120のキャビティ118とは反対側にある。他の実施形態では、第1電極129は、ポリマー層120のキャビティ118に面する側にある。第1リードまたはトレース132Aは、リード構造114からダイアフラム構造112へとポリマー層120上に延在し、第1電極129に電気的に接続する。第2リードまたはトレース132Bは、リード構造114からダイアフラム構造112へとポリマー層120上に延在し、ポリマー層120を通る導電性ビア134によってベース部材116の第1部分115に電気的に接続される。実施形態において、第1電極129はスパッタ金属層であり、トレース132Aおよび132Bのためのシード層と同じ工程ステップ時に形成することができる。デバイスを封入するためにセンサの全部または一部にポリマーまたは他のカバーコートまたはコーティング層140を塗付することができる。トレース132Aおよび132Bは、シード層上にめっきされた金属層を含むことができる。
【0020】
第2ダイアフラム部分123は、ベース部材116の第2部分117上であるとともにキャビティ118上の絶縁ポリマー層150を含む。第2電極130は、第2ダイアフラム部分123上に位置し、ポリマー層150のキャビティ118に面する側にある。この実施形態では、第2電極130も、ベース部材116の部分117と接触するように延びている。ベース部材116の第1部分115と第2部分117とは(例えば、131などの溶接または導電性接着剤によって)接合される。第2電極130は、ビア134およびベース部材116(または任意的に他の構造)を介してトレース132Bに電気的に接続される。他の実施形態では、第2電極130は、ポリマー層150のキャビティ118とは反対側に位置し、他のコンタクト構造によって132Bなどのトレースに電気的に接続される。実施形態において、第1ダイアフラム部分122およびリード構造114は、第2ダイアフラム部分123とは別に形成され、上述のようなベース部材116の部分115と部分117とを接合することによってともに組み立てられる。センサ110の全部または一部を、Tiおよび/もしくはSiO2などの生体適合性材料または他の材料にて(例えばスパッタリングによって)被覆または封入して、キャビティ118内への湿気/ガスの移動を防止または最小限に抑えることができる。カバーコート層140の代わりに、またはカバーコート層もしくは封入層に加えて、センサー110の全部または一部をパリレンなどのポリマーに封入することによって、ガスおよび/または湿気バリアを形成することができる。センサ110は比較的小さい(例えばセンサ10と比較して)が、同等の感度を提供することができる。設計変数として、ベース部材部分、ポリマー層およびカバーコートの厚さおよびサイズを含むことができる。
【0021】
図5A~
図5Sおよび
図6A~
図6Kは、センサ110の実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。特に
図5Aはステンレス鋼層2030を示す。
図5Bは、ステンレス鋼層2030と該ステンレス鋼層の端部2032を示す。
図5Cは、ポリマー層の塗布/形成を示す。
図5Dはポリマー層2034を示す。
図5Eは、第1ダイアフラム部分およびリード構造上におけるポリマー層の境界およびビア開口部2036の形成を示す。
図5Fはビア開口部2036を示す。
図5Gはシード層2038のスパッタリングを示す。
図5Hはシード層2038を示す。
図5Iはトレースのめっきを示す。
図5Kはカバーコートの塗布を示す。
図5Mは、ダイアフラム構造の第1
ダイアフラム部分のベース部材の形成を示す。
図5Oは、ダイアフラム構造の第2ダイアフラム部分の製造と、第1ダイアフラム部分とリード構造とへの取り付けを示す。
図5Pは電極2040を示す。
図5Qは溶接部2042を示す。
図5Rはデバイスの封入を示す。
図6Aは、ベース金属(ステンレス鋼またはその他のもの)を示す。
図6Bは、誘電体(感光性またはその他のもの)のコーティングを示す。
図6Cは誘電体のエッチングを示す。
図6Dはシード層のスパッタリングを示す。
図6Eは導体トレースのめっきを示す。
図6Fはシード層のエッチングを示す。
図6Gは、誘電体カバーコートのコーティング/エッチングを示す。
図6Hはステンレス鋼のエッチングを示す。
図6Iは、下部ダイアフラムおよびマウント上のシード層のスパッタリングを示す(めっきされた導体/カバーコートのない上部と同様に作製される)。
図6Jはレーザ溶接を示す。
図6Kは、湿気/ガスバリア(PVDパリレンまたはスパッタリングされた金属)の塗布を示す。
【0022】
図7A、
図7B、
図7C、
図7D、
図7E、
図7F、および
図7Gは、本発明の実施形態によるセンサ210の上面図、底面図、側面図、遠位端図、近位端図および詳細な等角断面図である。センサ210は、比較的高い圧力の用途に使用することができる。図示するように、センサ210は、ダイアフラム構造212と一体型リード構造214を含む。ダイアフラム構造212はベース部216を含む。実施形態では、ベース部216はステンレス鋼(SST)などの金属である。可撓性で絶縁性の(すなわち誘電体の)ポリマー層220は、ベース部216上のダイアフラム部分222と、リード構造214上のリード部分224とを含む。ポリマー層220のダイアフラム部分222およびリード部分224は、例示の実施形態では共通する。第1電極229は、ポリマー層220のベース部216と反対側に位置する。リードまたはトレース232Aおよび232Bは、ポリマー層220のリード部分224に沿って延びる。リード232Aは、第1電極229に電気的に接続される。ダイアフラム構造212はまた、ダイアフラム部分222上で、接着性絶縁ポリマー層219によってベース部216および任意の中間層(例示の実施形態ではポリマー層220)に接合される部材230を含む。キャビティ218は、ダイアフラム構造212においてベース部216(および電極229)と部材230との間で画定される。実施形態において、部材230はステンレス鋼などの金属である。これらの実施形態では、部材230は第2電極として機能することができる。リード232Bは、接着性ポリマー層219を通る導電性ビア234によって、第2電極(例えば、
図7A~
図7Fに示す実施形態では部材230)に電気的に接続される。他の実施形態では、部材230は、セラミック材料などの他の材料から形成されることができ、電極はキャビティ内の部材上に配置することができる。実施形態では、第1電極229は、スパッタリングされるとともに任意的にめっきされた金属層を含み、トレース232Aおよび232Bと同じ工程ステップ時にポリマー層220上に形成することができる。上述したようなカバーコート層および/または封入層は、センサ210の全部または一部上に塗布することができる。センサ210は、デバイスの感度および圧力範囲などのパラメータを決定するために有利に使用することができる広範な設計変数を提供する。例として、部分的にエッチングされた領域、ベース部216および部材230の厚さを含む厚さを決定することができる。電極229とトレース232Aおよび232Bとを形成するスパッタリングおよび/もしくはめっきされた導体層、ポリマー層220ならびに/または接着性ポリマー層の厚さも、これらの目的のために決定することができる。例示の実施形態には部材230上のボタンを含み、ボタンの高さは、部材のたわみを自己で制限するために使用することができる。ダイアフラム構造212の堅牢性により、温度およびバックグラウンド圧力の変化によるドリフトを除去することができる。硬質ベース部216を有する実施形態は、他の構造に比較的効率的かつ効果的に取り付けることができる。さらに他の実施形態では、電極229は、ベース部216上の部分的にエッチングされたメサと置き換えられ、ベース部216は電極として使用される。
【0023】
図8A~
図8Pおよび
図9A~
図9Lは、センサ210の実施形態を製造するために使
用することができる工程ステップのシーケンスを示す。特に、
図9Aは、ベースステンレス鋼を示している。
図9Bは部分エッチングを示す。
図9Cは誘電体のコーティングを示す。
図9Dは、誘電体のエッチング/現像を示す。
図9Eはシード層のスパッタリングを示す。
図9Fは導体のめっきを示す。
図9Gはシード層のエッチングを示す。
図9Hはプレカットシート接着剤の積層を示す。
図9Iは、導電性エポキシのビア孔への塗布を示す。
図9Jは、上部ステンレス鋼の積層と接着剤およびエポキシの硬化を示す。
図9Kは、力コンセントレータ形体の部分エッチングの任意的なステップを示す。
図9Lは、ステンレス鋼のエッチングおよびシート接着剤のレーザ切断を示す。
【0024】
図10A、
図10B、
図10C、
図10D、
図10Eおよび
図10Fは、本発明の実施形態によるクラスタセンサ310の上面図、底面図、側面図、遠位端図、近位端図および等角図である。
図11A~
図11Oおよび
図12A~
図12Iは、センサ310の実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。センサ310は3軸センサであり、これは、共通のダイアフラム構造312とリード構造314とに一体化されたセンサ210の構造および動作と同様の構造および動作を有する複数(すなわち3つ)のセンサを含む。センサ210の特徴と同様のセンサ310の所定の特徴は、同様の参照符号によって示されている。実施形態では、センサ310は、一重のステンレス鋼(SST)ダイアフラム構造を有し、比較的高い圧力の用途に使用することができる。センサの実施形態は、共通ベース部316と、電極3291、3292および3293と、トレース332A1、332A2、332A3および323Bとを有するポリマー層320とを含む。トレース323Bは、導電性ビアによってダイアフラム部材330に接続されることができる。上述したようなカバーコート層および/または封入層を、センサ310の全部または一部上に塗布することができる。センサ310は、センサ10、110および210に関連して上述したものと同様の工程を用いて製造することができる。
【0025】
特に、
図11Aはステンレス鋼層2050を示す。
図11Bは、ステンレス鋼層2050と端部2052とを示す。
図11Cは、電極用メサを形成するためのステンレス鋼層の部分エッチングを示す。
図11Dは、ポリマー層2054の塗布を示す。
図11Fは、メサ上の電極と、電極へのトレースとの形成を示す。
図11Iは、開口部による導電性ビア2056と、接着層を塗布と、ビア開口部の形成とを示す。
図11Jは上部ステンレス鋼層の適用を示す。
図11Kは、上部ステンレス鋼層2058を示す。
図11Lは、ボタンを形成するためのステンレス鋼層の部分エッチングを示す。
図11Oは上層からの余剰分の除去を示す。
図12Aは、ベースステンレス鋼を示す。
図12Bは、ステンレス鋼の部分エッチングの任意のステップを示す。
図12Cは、誘電体層のコーティング/エッチングを示す。
図12Dは、シード層のスパッタリングと導体のめっきとを示す。
図12Eは、プレカットシート接着剤の積層を示す。
図12Fは、上部ステンレス鋼の積層と接着剤/エポキシの硬化を示す。
図12Gは、力コンセントレータ形体の部分エッチングを示す。
図12Hは、ステンレス鋼層のエッチングを示す。
図12Iは、シート接着剤の最終形状へのレーザ切断を示す。
【0026】
図13A、
図13B、
図13C、
図13D、
図13Eおよび
図13Fは、本発明の実施形態によるクラスタセンサ410の上面図、底面図、側面図、遠位端図、および近位端図である。センサ310と同様に、センサ410は、共通のダイアフラム構造412とリード構造414とに一体化されたセンサ210の構造および動作と同様の構造および動作を有する複数(すなわち4つ)のセンサを含む。センサ410における少なくともいくつかの個々のセンサーの形体は、異なるサイズ(例えば、直径および/または厚さ)を有し、異なるセンサが異なる感度で動作することを可能にする。センサ210の特徴と同様のセンサ410の所定の特徴は、同様の参照符号によって示されている。上述したようなカバーコート層および/または封入層を、センサ410の全部または一部上に塗布することができる。センサ410は、センサ10,110,210および310と関連して上述した
ものと同様の工程を用いて製造することができる。
【0027】
図14A~
図14Qおよび
図15A~
図15Jは、センサ410の実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。特に、
図14Aおよび
図14Bはステンレス鋼層を示す。
図14Cはポリマー層2060の塗布を示す。
図14Eは電極およびトレースの形成を示す。
図14Gは、接着層の塗布とビア開口部の形成とを示す。
図14Iは、ビアコンタクト2062と、ビアコンタクトのめっきとを示す。
図14Jはビアコンタクト2062を示す。
図14Kは、上部ステンレス鋼層の適用を示す。
図14Mは、上部ステンレス鋼層の部分エッチングを示す。
図14Oは、余剰の上部ステンレス鋼層と下部ステンレス鋼層とを除去することを示す。
図15Aはベースステンレス鋼を示す。
図15Bは誘電体層のコーティングを示す。
図15Cはシード層のスパッタリングを示す。
図15Dは導体のめっきを示す。
図15Eはシード層のエッチングを示す。
図15Fは、プレカットシート接着剤の積層を示す。
図15Gは、導電性エポキシのビア孔への塗布を示す。
図15Jは、ステンレス鋼のエッチングとシート接着剤のレーザ切断とを示す。
【0028】
図16A、
図16B、
図16C、
図16D、
図16Eおよび
図16Fは、本発明の実施形態によるセンサ510の上面図、底面図、側面図、遠位端図、近位端図および詳細な等角断面図である。センサ510は、内部シード層封入部および電極を有する接着スペーサを有する二重ダイアフラムデバイスである。センサ510はセンサ110に類似しており、類似の特徴は同様の参照符号で示されている。図示するように、センサ510は、ダイアフラム構造512と一体型リード構造514とを含む。ダイアフラム構造512は、第1ダイアフラムセクションまたは部分511と第2ダイアフラムセクションまたは部分513とを有し、空隙領域またはキャビティ18を画定するリング状または他の形状のベース部材516を含む。例示の実施形態では、ベース部材516は、それぞれステンレス鋼(SST)であり得る第1部分515および第2部分517から形成される。可撓性で絶縁性のポリマー層520は、ベース部材516の第1部分515上であるとともにキャビティ518上(すなわち、第1ダイアフラム部分511上)の第1ダイアフラム部分522と、リード構造514上のリード部分524とを含む。ポリマー層520のダイアフラム部分522およびリード部分524は、例示の実施形態では共通する。第1電極529は、第1ダイアフラム部分511上に配置され、例示の実施形態では、ポリマー層520のキャビティ518と面する側にある。他の実施形態では、第1電極529は、ポリマー層520のキャビティ518と反対側にある。第1リードまたはトレース532Aは、リード構造514からダイアフラム構造512へとポリマー層520上に延在し、第1電極529に(ベース部516の第1部分515を介して)電気的に接続する。第2リードまたはトレース532Bは、リード構造514からダイアフラム構造512へとポリマー層520上に延在し、ポリマー層520、第1部分515、ならびに接着および絶縁ポリマー層519を通る導電性ビア534によってベース部材516の第2部分517に電気的に接続される。実施形態において、第1電極529はスパッタ金属層である。デバイスを封入するために、ポリマー層または他のカバーコート層またはコーティング層540をセンサの全部または一部上に塗布することができる。トレース532Aおよび532Bはシード層上のめっき金属層を含むことができる。
【0029】
第2ダイアフラム部分513は、ベース部材516の第2部分517上であるとともにキャビティ518上の絶縁ポリマー層550を含む。第2電極530は、第2ダイアフラム部分513上に位置し、ポリマー層550のキャビティ518に面する側にある。この実施形態では、第2電極530はまた、ベース部材516の部分517と接触するように延びている。ベース部材516の第1部分515および第2部分517は、接着性ポリマー層519によって接合される。第2電極530は、ビア534(はんだまたは導電性接着剤などの導体材料541を含む)を介してトレース532Bに電気的に接続される。他
の実施形態では、第2電極530は、ポリマー層520のキャビティ518とは反対側に配置され、他のコンタクト構造によって532Bなどのトレースに電気的に接続される。実施形態では、第1ダイアフラム部分522およびリード構造514は、第2ダイアフラム部分513とは別に形成され、接着性ポリマー層519を使用してベース部材516の部分515と部分517とを接合することによって共に組み立てられる。センサ510の全部または一部を、Tiおよび/もしくはSiO2などの生体適合性材料または他の材料にて(例えばスパッタリングによって)被覆または封入して、キャビティ518内への湿気/ガスの移動を防止または最小限に抑えることができる。カバーコート層540の代わりに、またはカバーコート層もしくは封入層に加えて、センサ510の全部または一部をパリレンなどのポリマーに封入することによって、ガスおよび/または湿気バリアを形成することができる。設計変数として、ベース部材部分、ポリマー層およびカバーコートの厚さおよびサイズを含むことができる。
【0030】
図17A~
図17MMおよび
図18A~
図18Nは、センサ510の実施形態を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスを示す。特に、
図17Aは、ステンレス鋼層2070と(リード構造とともに形成された)第1ダイアフラム部分とを示す。
図17Cは、ポリマー層の塗布を示す。
図17Eは第1ダイアフラム部分を示す。
図17Eはまた、ポリマー層のパターニングとビア開口部の形成とを示す。
図17Hは、シード層2072のスパッタリングを示す。
図17Jは、トレースのめっきと、シード層のエッチングとを示す。
図17Rは誘電体カバーコートの塗布を示す。
図17Uは、第1ダイアフラム部分とリード部分、ステンレス鋼層のエッチング、およびステンレス鋼アイランド2074を示す。
図17Vはステンレス鋼アイランド2074を示す。
図17Wは、第2ダイアフラム部分への電気的コンタクトのためのステンレス鋼アイランド2074を示す。
図17DDは、接着層2076と接着層の積層とを示す。
図17EEは接着層2076を示す。
図17GGは、第2ダイアフラム部分2078と、第1ダイアフラム部分への第2ダイアフラム部分の積層とを示す。
図17HHは、第2ダイアフラム部分2078とリード構造2080とを示す。
図17JJは、ビアと第2ダイアフラム部分とへの導体2082の適用を示す。
図18Aは、第1ダイアフラム部分用ベースステンレス鋼を示す。
図18Bは、ダイアフラム構造とリード構造とに共通の誘電体およびポリマー層2084の塗布を示す。
図18Cは誘電体のエッチングおよび現像を示す。
図18Dはシード層のスパッタリングを示す。
図18Eは、導体トレースのめっきを示す。
図18Fは、シード層のエッチング、第1ダイアフラム電極へのトレース2086、第1ダイアフラム電極へのビアコンタクト2088(ステンレス鋼層を介して)、および第2ダイアフラム構造へのビア用開口部2090を示す。
図18Gは誘電体カバーコートのコーティングを示す。
図18Hは、誘電体カバーコートのエッチング/現像を示す。
図18Iは、第2ダイアフラム構造とステンレス鋼アイランド2094とのコンタクト用開口部2092を示す。
図18Jは、キャビティシード層のスパッタリングと、第1ダイアフラム構造のスパッタ導体層/電極2096とを示す。
図18Kはシード層の選択的なエッチングを示す。
図18Lは、接着層2098と接着層の積層とを示す。
図18Mは、(導体/カバーコートなしで上部と同様に作製された)下部ダイアフラムの積層と第1ダイアフラム構造へのトレース3000を示す。
図18Nは、はんだ/導電性エポキシの塗布、第2ダイヤフラム部分上の電極へのトレース3002、第2ダイヤフラム部分の電極であるスパッタ導体層3004、ステンレス鋼3006を示す。
【0031】
図19A、
図19B、
図19C、
図19D、
図19Eおよび
図19Fは、本発明の実施形態による歪ゲージ式センサ610の上面図、底面図、側面図、遠位端図、近位端図および詳細な等角断面図である。図示するように、センサ610は、ダイアフラム構造612と、ダイアフラム構造から延びる一体型リード構造614とを含む。ダイアフラム構造612は、空隙領域またはキャビティ618を有するベース部616を含む。実施形態において、ベース部616はステンレス鋼(SST)などの金属であり、ステンレス鋼部材6
15および617から形成される。ダイアフラム部分622およびリード部分624を有するポリマー層620上に、一対の歪ゲージ部材660および616(他の実施形態はそれより多いかまたは少ない歪ゲージ部材を有する)が形成されている。リードまたはトレース632は、ポリマー層620のリード部分624上に延在し、歪ゲージ部材660および662に電気的に接続されている。図示するように、歪ゲージ部材660は、ダイヤフラム構造612の可動部分上(例えばキャビティ618上)に配置される。センサ662は、センサ610の非可動領域または静止領域上(例えばキャビティ618上ではない)に配置され、例示の実施形態ではリード構造614の近傍に示されている。センサ610は、センサ10、110、210、310、410、510に関連して上述したものと同様の工程を用いて製造することができる。
図20A~
図20Uは、センサ610を製造するために使用することができる工程ステップのシーケンスの実施形態を示す。
【0032】
図21Aおよび
図21Bは、本発明の実施形態による、溶接されたベース部材を有する反転した2つのトレース組立体を有するセンサ710の等角図である。
図21Aは、センサ710の第1または上側を示し、
図21Bは、センサの反対側の第2または下側を示す。センサ710は、ダイアフラム構造712と、ダイアフラム構造から延びる一体型リード構造714とを含む。
図22Aおよび
図22Bは、実施形態によるセンサ710の分解図であり、
図22Aは、センサ部品をその上部または上側から示し、
図22Bは、センサ部品をその下部または下側から示す。
図22Aおよび
図22Bに示す実施形態では、センサ710は、ダイアフラム部分711およびリード部分713を有する第1または上部の部品または組立体と、ダイアフラム部分715およびリード部分717を有する第2または下部の部品または組立体とを含む。
図23Aおよび
図23Bは、本発明の実施形態によるセンサ710の等角断面図であり、断面線はダイアフラム構造72を通って延びる。
図23Aは若干上から見下ろした図であり、
図23Bは若干下から見上げた図である(終端リードが見てとれる)。
【0033】
上部組立体のダイアフラム部分711は、非金属またはステンレス鋼などの金属から形成されたダイアフラム部材を含み、外側またはベース部分730と、バネアーム部734によってベース部分に取り付けられた内側可動部分733とを含む。実施形態では、ダイアフラム部分711の部材は、(例えばエッチングによって)ステンレス鋼などの単一のバネ金属のシートから一体型部材として形成される。第1導電性電極729は可動部分732の内表面に配置され、ポリイミドまたは他の絶縁層720によってダイアフラム部材(実施形態では部材は導電性材料から形成される)から電気的に分離される。リード部分713は絶縁層720から形成され得るベース部材を含む。リードまたはトレース732は、例示の実施形態ではバネアーム部734を横切る長さを含んで、リード部分713から電極729まで延び、絶縁層720によってダイアフラム部材から電気的に分離される。他の実施形態(図示せず)では、トレースは、バネアーム部とバネアーム部間の間隙とを横切って電極729に延びる。
【0034】
下部組立体のダイアフラム部分715は、非金属またはステンレス鋼などの金属から形成することができ、環状部材として示されるベース部分750と、絶縁層752と、絶縁層のベース部分とは反対側の第2電極754とを含む。リード部分717は、絶縁層752から形成することができるベース部と、電極754まで延びるリードまたはトレース756とを含む。
図23Aおよび23Bに示すように、ダイアフラム部分711のベース部分730は、ダイアフラム部分715のベース部分750に(例えばそれらの周囲において溶接または接着剤によって)接合されて、ダイアフラム構造712の空隙領域またはキャビティ718を画定する。
図22Aに示されるように、下部組立体のベース部分750は、上部組立体のリード部分713が延在可能な間隙760を含むことができる。接着剤または他の材料を塗付して、上部組立体と下部組立体との組み立て後に間隙760とリード部分713との間の任意の空間をシールすることができる。他の実施形態では、ダイア
フラム構造712はシールされない。実施形態は、導電材料層から形成された電極729および754ならびにトレース732および756などの構造の一部または全部の上に絶縁カバーコートを含むことができる。そのようなカバーコートは、加えられた圧力が電極間に干渉を生じさせる場合に、電気的短絡、センサの損傷、および範囲外容量を防止することができる。カバーコートはまた、導体表面の電解的劣化および/または酸化劣化を防止することによってセンサ710の安定性を高めることができる。
【0035】
ダイアフラム構造712の構成(バネアーム部734による可動部分372のサスペンションまたは支持など)は、センサ710の動作時に電極729と電極754との間の平行性を維持するのに利用される。特に、トレース732がバネアーム部734に沿って延在する場合、バネ金属層上の絶縁層720およびトレース732の導体層からバネバイアスを低減することができる。これにより、測定の精度および再現性を高めることができる。バネアーム部の堅牢性は、所望の圧力範囲に調整することができる。非限定的な例として、実施形態では、電極729および754の外径は約0.44mmであり、基部730および750の外径は約1.04mmである。トレース732および756は、約0.03mmの幅とすることができる。ステンレス鋼層部分は、約35μmの厚さとすることができる。絶縁層はポリイミドであり、厚さは約710μmとすることができる。いずれのカバーコートも約5μmの厚さとすることができる。銅または他の導体層に形成された電極729および754ならびにトレース732および756などの構造は、約10μmの厚さであり得る。ダイアフラム構造712または部分711もしくは715は、エポキシで被覆されるか、またはセンサが取り付けられる他の構造に固定されることができる。
【0036】
図24は、本発明の実施形態によるダイアフラム構造812と一体型リード構造814とを有する一体型リードおよびカンセンサ810の等角図である。図示するように、センサ810は回路またはトレース部材813およびカン850を含む。
図25は、カン850の一部が取り除かれてダイアフラム構造812内のトレース部材813の一部を露出させた、詳細な等角図である。
図26は、ダイアフラム構造812の一部の詳細な断面図である。トレース部材813は、ダイアフラム部分811とリード部分803とを含む。トレース部材813は、金属(例えばステンレス鋼)ダイアフラム部材またはベース部826、ポリイミドまたは他の絶縁層820、および導体層828から形成される。トレース部材813のダイアフラム部分811は、ベース部826上で、絶縁層820によってベース部826から電気的に分離された導体層828の電極829を含む。実施形態において、金および/またはニッケルを電極829および/または導体層828のその他の部分上にめっきすることができる。トレース部材813のリード構造814は、電極829に延在する導体層828のトレース832を含む。トレース832は、絶縁層820によってベース部826から電気的に分離されている。実施形態において、ダイアフラムベース部826は、センサ810の動作時に電極829およびベース部の隣接部分の動きを可能にする(すなわちアコーディオン様効果を提供することによって)、1つ以上の環状凹部(部分的にエッチングされ得る)を含む。カン850は、例示の実施形態では金属部材(例えばステンレス鋼)であり、ダイアフラム構造812の空隙またはキャビティ818を画定する。カン850は、機械的および電気的にベース部826に(例えば溶接または導電性接着剤によって)接続され、第2電極として機能し、リード構造814のベース層826は、リターングランド経路(すなわち第2電気リード)として機能する。
図84に示すように、リード構造は、カン850の間隙860から延びる。空隙860は、実施形態ではシールされている。
【0037】
図27は、本発明の実施形態によるセンサ810’の部分切り欠き等角図である。センサ810’は、電極829’上に材料860の層を有する。材料860は、キャビティ818’を部分的に充填するとともに、圧縮下での膨張を許容する比較的高い比誘電率および/または比較的低いデュロメータ硬さのエラストマー材料を有する材料とすることがで
きる。実施形態では、例えば、材料160は、TiO2添加シリコンである。材料160を除いて、センサ110’は、上述したセンサ110と同じか、または類似していてもよい。
【0038】
図28~30は、本発明の実施形態によるセンサ810’’の等角図である。センサ810’’は、ダイアフラム構造812’’および一体型リード構造814’’を含む。トレース部材813’’の一体型リード構造814’’は、ダイアフラム構造812’’に延在するとともに、電極として機能するカン850’’に(例えば導電性接着剤によって)電気的に接続する導体層828’’のトレース833を含む。トレース832’’と同様に、トレース833は絶縁層820’’によってベース部826’’から電気的に分離されている。トレース833に関連するリード構造を除いて、センサ810’’は、上述したセンサ810および810’と同じか、または類似していてもよい(例えば、センサ810’’は、電極829’’上に高い比誘電率エラストマー材料の層を有することができる)。
【0039】
図31は、本発明の実施形態によるダイアフラム構造912および一体型リード構造914を有するセンサ910の等角断面図である。
図32は、
図31に示すセンサ910の分解図である。センサ910は、それぞれがダイアフラム部分911とリード部分903とを有する2つのトレース部材913を含む。トレース部材913は、上述したトレース部材813と同じか、または類似していてもよく、導体層928の電極929に接続されたトレース932を含み、導体層は絶縁層920によってベース層926から電気的に分離されている。トレース部材913は、空隙またはキャビティ918を画定するように、電極929を互いに対向させて(例えば、溶接または接着剤によって)スペーサ965に接合される。スペーサ956は、金属、セラミック、ポリマーまたは他の材料であり得る。
【0040】
図33は、本発明の実施形態によるダイアフラム構造1012および一体型リード構造1014を有するセンサ1010の等角図である。センサ1010は、それぞれダイアフラム部分1011とリード部分1003とを有する2つのトレース部材1013A、1013Bを含む。
図34は、トレース部材1013Aを取り外した状態の
図33に示すセンサ1010の図である。トレース部材1013Aは、上述したトレース部材813と同じか、または類似していてもよい。トレース部材1013Bは、上述したトレース部材813と類似していてもよいが、おそらく
図34に最も良好に示されているように、ベース部材1026は、環状壁1027を設けるために、凹部またはポケット(例えば、ステンレス鋼層にエッチングされる)を含む。したがって、
図31および
図32の実施形態に示す965などの個別のスペーサ部品はキャビティ1018を設けるのに必要ではない。
【0041】
図35、
図36、
図37A、
図37B、
図38Aおよび
図38Bは、本発明のさらに別の実施形態によるセンサ1100を示すものである。図示するように、センサ1100は、ダイアフラム構造1112と一体型リード構造1114とを含む。ダイアフラム構造1112と一体型リード構造1114とを含むセンサ1100の部分は、回路またはトレース部材1113を含む。トレース部材1113には、電極として機能するステンレス鋼ディスクなどの部材1150が取り付けられている。ステンレス製のディスクが取り付けられて、平面図である
図36に示す構造が出来上がる。
図35は、上部ステンレス鋼1120、TSA+リングステンレス鋼1122、TSA+銅ビア1124およびコンデンサプレート1126、ならびにTSA+誘電体1128を示す断面図である。
図37A(底面図)および
図37B(平面図)は、銅(CU)1130およびポリイミド(PI)1132を含むTSA+ベース部品のみを示す。ビア接続部1134は、ステンレス鋼トロイド1136として作製される。
図38A(平面分解図)および38B(平面図)は、センサを完成させるために取り付けられたステンレス鋼ディスクを示す。
【0042】
図39Aおよび
図39Bは、本発明のさらに他の実施形態によるセンサ1210の等角図であり、センサの表側と裏側を示す。
図40および
図41は、概して
図39Aに示す側のセンサ1210の分解図である。
図42および
図43は、概して
図39Bに示される側のセンサ1210の分解図である。例示の実施形態では、センサ1210は、バネ板1213を有する第1または上部回路部分1211、第2または固定回路部分1215、および、ステンレス鋼または他の十分に硬質である材料であり得るベースバッカープレート1217を含む容量式デバイスである。他の実施形態には、(例えば、センサ1210が硬質表面に取り付けられる実施形態において)バッカープレート1217を含まない。センサ1210は、バネ板1213を含むダイアフラム構造1212と、ダイアフラム構造から延びる一体型リード構造1214とを含む。例示の実施形態では、上部回路部分1211と固定回路部分1215とのそれぞれは、ダイアフラム部分および一体型リード部分を含む。ダイアフラム構造1212は、空隙領域またはキャビティ1218を有するベース部1216を含む。例示の実施形態では、固定部分1215のダイアフラム部分におけるアーム部1219同士の間の空間である。バネ板1213の構成を除いて、センサ1210は、上述した他の実施形態と類似の特徴を有する。
【0043】
上部回路部分1211は、金属(例えばステンレス鋼)ベース層1220、ポリマーまたは他の誘電体の絶縁層1222、導体(例えば、スパッタクロム層または他のシード層上にめっきされた銅または銅合金)層1224、およびポリマーカバーコート1226を含む。
図45Aは、上部回路部分1211の導体層1224を示しており、これはダイアフラム部分のバネ板1213上の電極部分1224Aと、一体型リード部分上のリードまたはトレース部分1224Bとを含む。ポリマー層1222は、導体層1224の電極部分1224Aをベース層1220から電気的に絶縁するダイアフラム部分と、導体層のリード部分1224Bをベース層から電気的に絶縁するリード部分とを含む。例示の実施形態では、導体層1224は、カバーコート1226内に包埋されている。他の実施形態には、カバーコート1226の一部または全部を含まない。導体層1224の電極部分1224Aは、バネ板への力の印加に応じてバネ板1213とともに動く電極として機能する。ポリマー層1222のダイアフラム部分とリード部分とは共通であり、導体層1224の電極部分1224Aとリード部分1224Bとは共通である(例えば、同じ製造ステップ時に作製される)。導体層1224のアーム部分1224Cおよび1224Dにより、上部回路部分1211の関連部分の高さが、センサ1210の他の部品に対して維持される。
【0044】
固定回路部分1215は、金属または他の材料(例えばセラミック)のベース層1230、ポリマーまたは他の誘電体の絶縁層1232、導体層1234、およびポリマーカバーコート1236を含む。
図45Bは、固定回路部分1215の導体層1234を示しており、これはダイアフラム部分上の電極部分1234Aと、一体型リード部分のリードまたはトレース部分1234Bとを含む。
図44はセンサ1210の部分分解図であり、バッカープレート1217は構造の他の部分から分離されて示され、カバーコートは導体層1234を示すために表示されない。ポリマー層1232は、導体層1234の電極部分1234Aをベース層1230から電気的に絶縁するダイアフラム部分と、導体層のリード部分1234Bをベース層から電気的に絶縁するリード部分とを含む。非導電材料のベース層を有する本発明の実施形態には、ポリマー層1232を含む必要はない。例示の実施形態では、導体層1234は、カバーコート1236内に包埋されている。他の実施形態は、カバーコート1236の一部または全部を含まない。導体層1234の電極部分1234Aは電極として機能する。ポリマー層1232のダイアフラム部分とリード部分とは共通であり、導体層1234の電極部分1234Aとリード部分1234Bとは共通である。導体層1234のアーム部分1234Cおよび1234Dは、固定回路部分1215の関連部分の高さを、センサ1210の他の部品に対して維持する。上部回路部分12
11、固定配線部分1215、およびバッカープレート1217(この要素を有する実施形態における)は、接着剤、溶接、もしくは他の構造または手法によって接合されることができる。センサ1210の特徴は、上述したセンサの他の実施形態における対応する特徴のものと同様であり、同様の製造工程を用いて製造することができる。
【0045】
図46Aおよび
図46Cは、本発明の追加の実施形態によるセンサ1310の平面および底面の等角図である。
図46Bは、センサ1310の断面図である。図示するように、センサ1310は、静止ベースまたはリード構造1314から延びるバネ板部分1313を含む歪ゲージデバイスである。第1または上部歪ゲージ回路1360は、バネ板部分1313の第1または上部表面に配置され、リード構造1314上に延びるリード1332を有する。同様に、第2または底部歪ゲージ回路1362は、バネ板部分1313の第2または底部表面に配置され、リード構造1314上に延びるリード1333を有する。歪ゲージ回路1360および1362は、実施形態において鏡面関係にある。歪みゲージ回路1360および1362ならびに関連するリード1332および1333は、コンスタンタンなどのめっき金属とすることができる。例示の実施形態では、バネ板およびリード構造は、ステンレス鋼などのバネ金属ベース層1316を含むが、他の実施形態は、ポリマーまたはセラミックなどの他の材料を使用する。したがって、バネ板部分1313は、圧力または力の印加に応じるダイアフラム構造として機能する。上部回路1360および底部回路1362の両方は、蛇行する長さの大部分がベース構造または層1316の可動バネ板部分1313に延在するように蛇行形状に配置されている。導電性金属ベース層1316を有するとして示されるものなどの実施形態において、絶縁ポリマーの層1320は、金属ベース層を回路1360および1362から分離することができる。歪ゲージ回路1360および1362のリード1332および1333上の端子(電気パッド)はそれぞれ、ベース構造の静止領域に配置されてもよく、または一体型リード構造1314のさらに下方に延びてもよい。センサ1310は、上述のものと同様の工程を用いて製造することができる。上述のセンサと同様に、歪ゲージ回路1360および1362ならびに関連するポリマー絶縁層1320は、バネ板(すなわちダイアフラム)部分1313およびリード構造1314に共通である。
【0046】
二重歪ゲージセンサ1310の実施形態では、歪ゲージ回路1360および1362の両方がダイアフラム構造の可動バネ板領域1313に配置される。バネ板領域1313が動くかまたはたわむと、一方の歪ゲージ素子(例えば1360)に張力がかかるとともに、他方側の歪ゲージ素子(たとえば1362)が圧縮される。2つの歪ゲージセンサ1310の利点は、第1および第2歪ゲージ素子がホイートストンブリッジ信号処理回路(図示せず)の隣接する脚部に接続されているとき、熱出力(温度変化による信号誤差)を最小限にすることができることである。ホイートストーンブリッジ回路は既知のものであり、一般に、張力または圧縮力を受けた歪ゲージ素子内で生じる小さな抵抗変化(例えばミリオーム)を測定するために使用される。両方の歪ゲージ素子が能動的に動いて、ホイートストンブリッジ信号出力に寄与する同様の絶対抵抗変化をもたらすので、1310などのセンサは所定の動き変位に対して有意に高い信号出力(例えば2倍の高さ)を生成することができる。
【0047】
本明細書に記載された本発明の実施形態(例えば、
図21~
図45に関連して)は、上述および援用された米国仮特許出願第62/290,789号明細書に記載のセンサ(すなわち、
図1~
図20に関連して記載されたセンサ)の1つ以上の特徴を含み得る。同様に、(例えば、
図21~
図45に関連して)本明細書に開示されたセンサの1つ以上の特徴を、米国仮特許出願第62/290,789号明細書に記載のセンサ(すなわち、
図1~
図20に関連して記載されたセンサ)に援用することができる。例えば、ダイアフラム構造内のバネアーム部支持ダイアフラム部材と高比誘電率材料の一方または両方を、
図1~
図20に関連して本明細書に記載したセンサに組み込むことができる。さらに、実施形
態に関連して本明細書に記載した特徴(例えば、バネアーム部、高誘電体層材料、めっきおよびカバーコートを有するダイアフラム部材)は、任意のまたはすべての他の実施形態に組み込むことができる。
【0048】
本発明の実施形態は、ダイアフラム部材内の重なり合う圧縮可能な電極領域内にはない他の導体や誘電体の間に存在する寄生(ゼロ印加圧力)容量による静電容量オフセット、ノイズおよびドリフトを低減する。圧力による寄生容量の変化が低減される。電圧ソースとシンク導体との間の分離距離は、横方向と縦方向とで増大する。ソースとシンク導体および他の金属表面との間の分離距離を増大させることができる。他の実施形態(図示せず)は、ダイアフラム部材金属層の一方または両方を接地グランド、供給信号グランドまたは静電容量ブリッジジャンクションにルーティングされた第3導体トレースに延在させて接続することによって、寄生容量を低減することができる。重なり合う圧縮可能な電極の間の高比誘電率材料の使用と、圧力ダイアフラムを収縮させない導電性表面間の低比誘電率材料(ダイアフラム間隙材料以下)の使用と、平行な導電板および重なり合う空間とによって、センサの動作を高める。印加圧力に対する静電容量の変化が増大する。平行な導電板の間の材料の比誘電率を高めると、印加圧力に対する感度が向上する。また、圧縮性エラストマー(低ヤング率または硬度)と高比誘電率(例えば50)を有するTiO2などの半導電性粒子との複合体の使用により、性能が向上する。組み立て部品の数は、バネ金属などのベース部上に絶縁性および導電性の材料層から形成される集積回路部材を使用することによって比較的少なく抑えることができる。
【0049】
センサは、カテーテルや内視鏡などの医療機器に組み込むことができる。例えば、センサは、カテーテルや内視鏡の遠位端または先端に組み込まれて、軸方向および/またはデバイスの側面から加えられるデバイスにおける圧力を感知することができる。他の実施形態では、センサは、自動車、航空宇宙、工業、鉱物抽出、海中および地熱などの用途に使用される。さらに他の用途には、(例えばジョイスティックの)位置を決定する差力センサなどの位置センサが含まれる。センサは、高温および/または過酷な環境もしくは腐食性の環境に良好に適応することができる。またセンサは、非常に小型(例えば、薄い、または低いZ高さを有する)とすることができる。例えば、センサの実施形態は、直径が100μmから1000μmから5000μmの範囲であり得るが、より大きいまたは小さいセンサが検討される。これらのタイプのセンサでは、誘電体絶縁層の厚さは3~10μmの範囲であり、スパッタ導体層の厚さは1~50μmの範囲であり、ステンレス鋼層の厚さは12~500μmの範囲であり、トレースは10μmにもなる薄さにすることができる。これらの構造はまた、利用可能な工程の制約およびパラメータ、ならびに所望の特性(例えば、デバイスの所望の圧力/力検出範囲)などの要因に基づいて、より厚くまたはより薄くすることもできる。センサは可撓性とすることができる。
【0050】
本発明は好ましい実施形態に関して記載されているが、当業者であれば、本発明の意図および範囲から逸脱することなく、形態および詳細に変更を加えることができることを認識するであろう。例えば、種々の実施形態の特徴は、他の実施形態の特徴と組み合わせることができる。