(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】シールド剤およびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
C07C 275/16 20060101AFI20240201BHJP
C07F 9/38 20060101ALI20240201BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240201BHJP
A61K 47/24 20060101ALI20240201BHJP
A61K 51/04 20060101ALI20240201BHJP
A61P 13/08 20060101ALI20240201BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240201BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C07C275/16 CSP
C07F9/38 D CSP
A61K47/18
A61K47/24
A61K51/04 100
A61P13/08
A61P35/00
A61P35/04
A61K51/04 310
(21)【出願番号】P 2021515616
(86)(22)【出願日】2019-09-19
(86)【国際出願番号】 US2019051903
(87)【国際公開番号】W WO2020061293
(87)【国際公開日】2020-03-26
【審査請求日】2022-09-16
(32)【優先日】2018-09-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508347801
【氏名又は名称】エンドサイト・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ENDOCYTE, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ポール・リーモン
(72)【発明者】
【氏名】イオンチョ・ラドスラヴォフ・ヴラホフ
【審査官】柳本 航佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0226141(US,A1)
【文献】特表2017-530109(JP,A)
【文献】特表2020-530007(JP,A)
【文献】Theranostics,2016年,Vol.6, No.6, pp.849-861
【文献】Pavel Majer et al.,Discovery of Orally Available Prodrugs of the Glutamate Carboxypeptidase II(GCPII) Inhibitor 2-Phosphonomethylpentanedioic Acid (2-PMPA),Journal of Medicinal Chemistry,2016年,59巻,2810-2819頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 275/00-275/70
C07F 9/00- 9/94
A61K 47/18
A61K 47/24
A61K 51/04
A61P 13/08
A61P 35/00
A61P 35/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次から成る群から選択される化合物。
【化1】
【化2】
【請求項2】
治療有効量の放射性標識治療剤を含み、有効量の
、次から成る群から選択されるシールド剤と組み合わせて投与される、癌を処置するための組成物。
【化3】
【化4】
【請求項3】
放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
放射性標識治療剤が化合物Ia-Luである、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
放射性標識治療剤が化合物Ia-Acである、請求項2に記載の組成物。
【請求項6】
癌が前立腺癌である、請求項2
~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
癌が転移性前立腺癌である、請求項2~
6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、請求項2~
7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物を含み、治療有効量の放射性標識治療剤と組み合わせて投与される、癌を処置するための組成物。
【請求項10】
放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
放射性標識治療剤が化合物Ia-Luである、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
放射性標識治療剤が化合物Ia-Acである、請求項9に記載の組成物。
【請求項13】
癌が前立腺癌である、請求項9
~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
癌が転移性前立腺癌である、請求項9~
13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、請求項9~
14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
治療有効量の放射性標識治療剤と組み合わせて患者における癌を処置するための医薬
であって、
請求項1に記載の化合物
を含む、医薬。
【請求項17】
放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、請求項
16に記載の
医薬。
【請求項18】
放射性標識治療剤が化合物Ia-Luである、請求項16に記載の医薬。
【請求項19】
放射性標識治療剤が化合物Ia-Acである、請求項16に記載の医薬。
【請求項20】
癌が前立腺癌である、請求項
16~19のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項21】
癌が転移性前立腺癌である、請求項
16~
20のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項22】
癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、請求項
16~
21のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項23】
有効量の造影剤コンジュゲートを含み、有効量の
、次から成る群から選択されるシールド剤と組み合わせて投与される、患者における癌を造影するための組成物。
【化5】
【化6】
【請求項24】
造影剤が
99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは
67Gaもしくは
68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である、請求項
23に記載の組成物。
【請求項25】
癌が前立腺癌である、請求項
23または
24に記載の組成物。
【請求項26】
癌が転移性前立腺癌である、請求項
23~
25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項27】
癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、請求項
23~
26のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項28】
請求項1に記載の化合物を含み、有効量の造影剤コンジュゲートと組み合わせて投与される、癌を造影するための組成物。
【請求項29】
造影剤コンジュゲートが
99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは
67Gaもしくは
68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である請求項
28に記載の組成物。
【請求項30】
癌が前立腺癌である請求項
28または
29に記載の組成物。
【請求項31】
癌が転移性前立腺癌である、請求項
28~
30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、請求項
28~
31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
有効量の造影剤コンジュゲートと組み合わせて患者における癌を造影するための医薬
であって、
請求項1に記載の化合物
を含む、医薬。
【請求項34】
造影剤コンジュゲートが
99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは
67Gaもしくは
68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である、請求項
33に記載の
医薬。
【請求項35】
癌が前立腺癌である、請求項
33または
34に記載の
医薬。
【請求項36】
癌が転移性前立腺癌である、請求項
33~
35のいずれか一項に記載の
医薬。
【請求項37】
癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、請求項
33~
36のいずれか一項に記載の
医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、合衆国法典第35編、第119条(e)の下、2018年9月21日に出願された米国仮出願番号第62/734,690号の優先権を主張するものであり、その全体の開示は参照により本明細書に包含させる。
【0002】
技術分野
本発明は、PSMA療法のためのシールド剤として有用な化合物に関する。本発明は、1以上の放射線治療剤と1以上のシールド剤の組合せを用いた、癌を発現するPSMAの処置方法に関する。本発明は、放射性核種を含む1以上の造影剤と1以上のシールド剤の組合せを用いた造影方法に関する。本発明はまた、シールド剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
前立腺特異的膜抗原(PSMA)は、約110kDの分子量を有するII型細胞表面膜結合糖タンパク質であり、細胞内セグメント(アミノ酸1~18)、膜貫通ドメイン(アミノ酸19~43)および広域の細胞外ドメイン(アミノ酸44~750)を含む。細胞内セグメントおよび膜貫通ドメインの機能は、現在のところ重要ではないと考えられているが、細胞外ドメインはいくつかの異なる活動に関与している。PSMAは中枢神経系において役割を果たし、そこでN-アセチル-アスパルチルグルタミン酸(NAAG)をグルタミンとN-アセチルアスパラギン酸に代謝する。従って、時々N-アセチルアルファ結合酸性ジペプチダーゼ(NAALADase)とも称される。PSMAは、ポリγグルタミン酸型葉酸からγ結合グルタミン酸を、およびペプチドおよび小分子からα結合グルタミン酸を除去する近位小腸におけるその役割のため、時々葉酸加水分解酵素(FOLH I)またはグルタミン酸カルボキシペプチダーゼ(GCP II)とも称される。
【0004】
PSMAは、主に前立腺癌細胞におけるその高い発現レベルのために命名されている;しかしながら、前立腺癌細胞におけるその特定の機能は解明されないままである。PSMA発現はヒトに非常に限定され、唾液線組織、腎臓組織、小腸および大腸の少数の細胞にのみ存在する。PSMAは腎臓、近位小腸および唾液腺のようなヒト体内の他の臓器と比較すると、悪性前立腺組織において過剰発現する。より高いPSMA発現は、悪性度の高い転移性かつ去勢抵抗性の疾患に関連する。前立腺癌における腫瘍発現は、典型的に、100~1,000倍高い。多くの他の膜結合タンパク質とは異なり、PSMAはビタミン受容体のような細胞表面結合受容体と同様の様式で、細胞への迅速な内部移行を受ける。PSMAはクラスリン被覆ピットを介して内部移行され、その後細胞表面に再循環されるかまたはリソソームに移動できる。PSMAの二量体および単量体形態は相互変換可能であることが示唆されているが、相互変換の直接的な証拠は議論されているところである。たとえそうであっても、PSMAの二量体のみが酵素活性を有し、単量体は有さない。
【0005】
PSMAはまた、甲状腺癌、腎明細胞癌、膀胱の移行上皮癌、結腸腺癌、神経内分泌癌、多形神経膠芽腫、悪性黒色腫、膵管癌、非小細胞肺癌および軟組織肉腫、乳癌のような他の腫瘍の血管新生において発現する。これらの癌は、広範囲の種々の組織学的サブタイプ、増殖速度および細胞周期時間を有する広範な腫瘍を表す。いくつかの場合において、癌は多様な放射線抵抗性を有する正常組織の中に埋め込まれている。さらに、大型の蓄積物の低酸素領域もまた、放射線抵抗性をもたらし得る。これらのおよび他の因子は、従来の外部照射療法に対して種々の固有の反応をもたらすことが知られている
【0006】
前立腺細胞の細胞表面上のPSMA活性は、現在も研究中であるが、本発明者らにより、PSMAは、このような前立腺細胞に対する薬物化合物を含む生物学的に活性な薬剤または生物学的に活性な薬剤の組合せ剤の選択的および/または特異的送達のための実行可能な標的を代表すると認識された。あるこのような薬物化合物は、式I
【化1】
の化合物であり、ここで、
177Luは本化合物と錯体を形成してI-Luとなるか、
225Acは化合物Iと錯体を形成してI-Acとなり、これは国際公開第2015/055318号に記載のとおり、癌の処置に有用である。化合物I-LuおよびI-Acは、実施例3および実施例5に記載の化合物I-LuおよびI-Acの製造について参照により包含させる国際公開第2015/055318号に記載の方法に従って製造され得る。
【0007】
別のこのような薬物化合物は、化合物Ia((3S,10S,14S)-3-[(ナフタレン-2-イル)メチル]-1,4,12-トリオキソ-1-[(1R,4S)-4-[[2-[4,7,10-トリス(カルボキシメチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル]アセトアミド]メチル]シクロヘキシル]-2,5,11,13-テトラアザヘキサデカン-10,14,16-トリカルボン酸とも称される)
【化2】
の化合物であり、ここで、
177Luは該化合物Iaと錯体を形成してI-Luとなるか、
225Acは化合物と錯体を形成してIa-Acとなり、これは国際公開第2015/055318号に記載のとおり、癌の処置に有用である。化合物Ia-LuおよびIa-Acは、実施例3および実施例5に記載の化合物Ia-LuおよびIa-Acの製造について参照により包含させる国際公開第2015/055318号に記載の方法に従って製造され得る。
【0008】
化合物IまたはIaは、前立腺癌細胞の表面において発現するPSMA(前立腺特異的膜抗原)に特異的に結合する小分子として記載され得る。化合物IまたはIaは、ファーマコフォアリガンド、グルタミン酸-尿素-リシン;キレート剤、DOTA(177Luおよび225Acと錯体を形成できる);ならびにリガンドおよびキレート剤と結合したリンカーからなることを特徴とし得る。理論に縛られないが、尿素ベースのファーマコフォアリガンドは、薬剤が疾患部位でPSMAに結合し、PSMAによって内在化されることを可能にすると考えられる。さらに、I-Lu、I-Ac、Ia-LuまたはIa-Acの結合は、癌細胞内でリガンドおよびその結合した放射性カーゴの持続的な保持を提供し得るエンドサイトーシスを介した内在化をもたらし得ると考えられる。
【0009】
臨床で使用された以前の放射性リガンド療法(RLT)は甲状腺癌における131Iおよび骨転移の処置のための223ラジウムまたは89ストロンチウムのようなα放射線を放出する元素を含む。
【0010】
177Luは6.7日の半減期を有する。それは、約20~80個の細胞または0.5~2mmの組織を不規則に移動し、主に塩基損傷および一本鎖切断を引き起こす負に荷電したβ粒子(電子)から成る0.5MeVのエネルギーの組合せを放出する。高用量では、これらの病変は相互作用し、亜致死損傷(SLD)または潜在性致死損傷(PLD)を修復不能な致死損傷へと変換し得る。177Luはまた、造影に使用され得る113Kvおよび208kVの放射線を放出する。
【0011】
225Acは9.9日の半減期を有し、対照的に、8.38MVのエネルギーのα粒子を放出する。エネルギーの0.5%のみが142Kvのプロトン放射として放出される。従って放射粒子の大半は正に荷電し、β粒子の約8,000倍の大きさである。さらに、これらの粒子からのエネルギーは、比較的短距離(2~3個の細胞)にわたって蓄積される。その結果、修復不能な致死的損傷を示す複数の損傷部位を有する二本鎖切断の形で、高密度かつ重篤な組織損傷が存在する。これは高線エネルギー付与(LET)または高密度電離イオン化と称され、βの3~7倍の吸収線量をもたらす。
【0012】
いずれかの同位体(177Luまたは225Ac)により与えられた細胞損傷の種類は、各々の弾頭部の特徴の差異により異なると予想される。177Luは、より長い経路長の放射を提供するため、隣接する細胞への放射の送達において有効であり得る。一本鎖切断の大半は、特に、酸素存在下で、正常な組織修復のための最適な条件を提供する亜致死損傷(SLD)および/または潜在性致死損傷(PLD)を修復する機会を提供する。対照的に、225Acは極めて強く、高いLET放射線を送達し、正常組織の修復の可能性ははるかに限られている。α放射線の放射線生物学的有効性はβ照射の少なくとも5倍であり、投与量は生物学的有効性(RBE)を考慮しなければならない。225Ac療法では、与えられるDNA損傷の種類は酸素の存在を必要としないため、低酸素性腫瘍領域においてもまた、より効果的である。225Ac療法の可能性のある不利益は、短い経路長が2~4個の細胞の短距離内にのみ蓄積された大量の損傷性放射線をもたらし得ることである。
【0013】
別のこのような化合物は、PSMA-造影剤コンジュゲート2a((2R,5S,8S,12S,15S,29S,33S)-8-アミノ-12,15-ジベンジル-5-(カルボキシメチル)-1-メルカプト-4,7,11,14,17,26,31-ヘプタオキソ-3,6,10,13,16,25,30,32-オクタアザペンタトリアコンタン-2,29,33,35-テトラカルボン酸とも称される)
【化3】
である。
99mTc(または類似の放射性金属同位体)は、国際公開第2009/026177号に記載のとおりコンジュゲート2aと錯体を形成し得て、国際公開第2009/026177号に記載のとおり、患者の造影に有用である。PSMA造影剤コンジュゲート2aは、実施例に記載されるとおり、PSMA造影剤コンジュゲート2aの製造について参照により包含させる国際公開第2009/026177号に記載の方法に従って製造され得る。
【0014】
他のこのような化合物は、PSMA-造影剤コンジュゲート4(4,6,12,19-テトラアザドコサン-1,3,7-トリカルボン酸、22-[3-[[[2-[[[5-(2-カルボキシエチル)-2-ヒドロキシフェニル]メチル](カルボキシメチル)アミノ]エチル](カルボキシメチル)アミノ]メチル]-4-ヒドロキシ-フェニル]-5,13,20-トリオキソ-,(3S,7S)とも称される)
【化4】
であり、ここで
67Gaまたは
68Ga(または類似の放射性金属同位体)は、Eder M, Schafer M, Bauder-Wust U, Hull WE, Wangler C, Mier W, et al,
68Ga-complex lipophilicity and the targeting property of a urea-based PSMA inhibitor for PET imaging. Bioconjug Chem. 2012; 23: 688-97に記載のとおり、本コンジュゲートと錯体を形成し、癌の造影に有用である。PSMA造影剤コンジュゲート4は(Eder, 2012)に記載の方法に従って製造され得て、(Eder, 2012)は、実施例に記載のとおり、PSMA造影剤コンジュゲート4の製造について参照により包含させる。
【0015】
疾患の処置のための177Luおよび225Acまたは99mTcおよび67Gaまたは68Gaのような放射性核種を含むPSMAコンジュゲートの使用は、放射性核種のオフターゲット送達をもたらす。理論に縛られないが、このようなオフターゲット送達は、PSMAが発現されているPSMA発現癌細胞を含む組織において生じると考えられる。例えば、本明細書に記載されるような放射標識されたPSMA化合物および造影剤コンジュゲートを用いた生体内分布実験は、腎臓のような組織における放射性核種の蓄積を示す。放射標識されたPSMA化合物および造影剤コンジュゲートを用いて患者を処置または造影する方法において投与されるシールド剤として有用な化合物を開発することは有利である。
【発明の概要】
【0016】
いくつかの実施態様において、本発明は、PSMAのシールド剤として有用な化合物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、177Luまたは225Acのような放射性核種を含む治療有効量の化合物(放射性標識治療剤)を1以上の本発明のシールド剤と組み合わせて患者に投与することを含む、処置を必要とする患者における癌を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、99mTc、67Gaまたは68Gaのような放射性核種を含む有効量のコンジュゲート(造影剤コンジュゲート)を1以上の本発明のシールド剤と組み合わせて投与することを含む、患者における造影の方法を提供する。
【0017】
いくつかの実施態様において、本発明は、治療有効量の化合物Ia-LuまたはIa-Acを有効量のシールド剤、例えば、本明細書に記載のシールド剤と組み合わせて投与することを含む、患者における癌を処置する方法を提供する。いくつかの実施態様において、方法は、Ia-LuとIa-Acの組合せ剤を投与することを含む。
【0018】
いくつかの実施態様において、本発明は、有効量の造影剤コンジュゲート、例えば、67Ga、68Gaまたは99mTcのような放射性核種で標識された造影剤コンジュゲート3または4を、有効量のシールド剤、例えば、本明細書に記載のシールド剤と組み合わせて投与することを含む、患者を造影する方法を提供する。
【0019】
いくつかの実施態様において、本発明は、本明細書に記載のシールド剤のような有効量のシールド剤と組み合わせて患者における癌を処置するための、化合物Ia-LuまたはIa-Acの使用を提供する。いくつかの態様において、使用は、治療有効量の化合物Ia-Luおよび治療有効量の化合物Ia-Acの組合せ剤を患者に投与することを含む。
【0020】
いくつかの実施態様において、本発明は、患者を造影するための、有効量の本明細書に記載のシールド剤と組み合わせた67Ga、68Gaまたは99mTcのような放射性核種で標識された造影剤コンジュゲート3または4のような造影剤コンジュゲートの使用を提供する。
【0021】
いくつかの実施態様において、本発明は、患者における癌の処置に有用な医薬の製造における、本明細書に記載の有効量のシールド剤と組み合わせた化合物Ia-LuまたはIa-Acの使用を提供する。いくつかの態様において、医薬は、治療的に有効な化合物Ia-LuおよびIa-Acの組合せ剤を含む。
【0022】
いくつかの実施態様において、本発明は、患者の造影において有効量の本明細書に記載のシールド剤と組み合わせて使用するための医薬の製造における、67Ga、68Gaまたは99mTcのような放射性核種で標識された造影剤コンジュゲート3または4のような造影剤コンジュゲートの使用を提供する。
【0023】
これらの実施態様のいくつかの態様において、癌はPSMA発現性癌である。これらの実施態様のいくつかの態様において、化合物または造影剤コンジュゲートは少なくとも約98パーセント純粋である。いくつかの実施態様において、癌は神経膠腫、癌腫、肉腫、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、鼻咽頭癌、白血病、腺癌および骨髄腫から成る群から選択される。
【0024】
これらの実施態様のいくつかの態様において、癌は肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部の癌、首部の癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、転移乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌腫、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞性肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、転移性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)、甲状腺癌、膀胱の移行上皮癌、結腸腺癌、神経内分泌癌、多形神経膠芽腫、悪性黒色腫、膵管癌、慢性白血病、急性白血病、リンパ球性リンパ腫、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)腫瘍、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、神経膠腫、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および胃食道接合部腺癌から成る群から選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、癌は前立腺癌である。これらの実施態様のいくつかの態様において、癌は転移性前立腺癌である。
【0025】
これらの実施態様のいくつかの態様において、化合物I-LuまたはIa-LuとI-AcまたはIa-Acの組合せ剤は、非経腸投与形態で投与される。これらの実施態様のいくつかの態様において、非経腸投与形態は、皮内、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内および髄腔内から成る群から選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約2GBq~約13GBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約4GBq~約11GBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約5GBq~約10GBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約6GBq~約9GBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約6.5GBq~約8.5GBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約7GBq~約8GBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約7.4GBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約15GBq~約200GBqの範囲である。これらの実施態様のいくつかの態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約25GBq~約185GBqの範囲である。これらの実施態様のいくつかの態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約35GBq~約150GBqの範囲である。これらの実施態様のいくつかの態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約40GBq~約100GBqの範囲である。これらの実施態様のいくつかの態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約44GBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、対象の処置の最長期間は、約19~23か月である。
【0026】
これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約1MBq~約20MBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約4MBq~約14MBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約5MBq~約10MBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約6MBq~約8MBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約1MBq~約4MBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約2MBq~約3MBqである。これらの実施態様のいくつかの態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約2.5MBqである。
【0027】
他の態様において、本明細書に記載の方法および使用はさらに、癌によるPSMA発現の造影を含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、造影過程は投与過程の前に実施する。これらの実施態様のいくつかの態様において、造影過程は投与過程の後に実施する。これらの実施態様のいくつかの態様において、造影はSPECTイメージング、PETイメージング、IHCおよびFISHから成る群から選択されるイメージングにより実施される。
【0028】
これらの実施態様のいくつかの態様において、本明細書に記載の造影は、式2
【化5】
〔式中、
R’は水素であるか、またはR’はアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから成る群から選択され、それらの各々は場合により置換されていてよい〕
のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含み、ここで放射性核種が該コンジュゲートに結合している。
【0029】
これらの実施態様のいくつかの態様において、本明細書に記載の造影は、式3
【化6】
〔式中、
R’は水素であるか、またはR’はアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから成る群から選択され、それらの各々は場合により置換されていてよく、そしてここでMは放射性核種のカチオンである〕
のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を投与することを含む。これらの態様のいくつかの面において、コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩中のMはガリウム同位体、インジウム同位体、銅同位体、テクネチウム同位体およびレニウム同位体から成る群から選択される。これらの態様のいくつかの面において、コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩中のMはテクネチウム同位体である。
【0030】
これらの実施態様のいくつかの態様において、PSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは式2a
【化7】
のものまたはその薬学的に許容される塩であり、ここで放射性核種が該コンジュゲートに結合している。
【0031】
これらの実施態様のいくつかの態様において、PSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは式3a
【化8】
のものまたはその薬学的に許容される塩である。
【0032】
これらの実施態様のいくつかの態様において、本明細書に記載の造影は、式4
【化9】
のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含み、ここで放射性核種が該コンジュゲートに結合している。これらの実施態様のいくつかの態様において、放射性核種は
67Gaまたは
68Gaである。
【0033】
これらの実施態様のいくつかの態様において、本明細書に記載の造影は、処置の目的で投与された式I-LuまたはIa-Luの化合物を検出することを含む。
【0034】
他の態様において、本明細書に記載の方法および使用はさらに、造影により患者のPSMA状態を決定することを含む。これらの実施態様のいくつかの態様において、決定過程は、投与過程の前に行う。これらの実施態様のいくつかの態様において、決定過程は、投与過程の後に行う。これらの実施態様のいくつかの態様において、造影はSPECTイメージングである。これらの実施態様のいくつかの態様において、患者のPSMA状態は患者の臨床的利益と相関する。これらの実施態様のいくつかの態様において、臨床的利益は腫瘍増殖の阻害、疾患安定、部分奏功および完全奏功から成る群から選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、臨床的利益は疾患安定である。これらの実施態様のいくつかの態様において、PSMA陽性病変は、機能的に活性なPSMAを示す。
【0035】
これらの実施態様のいくつかの態様において、本明細書に記載の決定は、式2
【化10】
〔式中、
R’は水素であるか、またはR’はアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから成る群から選択され、それらの各々は場合により置換されていてよい〕
のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含み、ここで放射性核種が該コンジュゲートに結合している。
【0036】
これらの実施態様のいくつかの態様において、本明細書に記載の決定は、式3
【化11】
〔式中、
R’は水素であるか、またはR’はアルキル、アミノアルキル、カルボキシアルキル、ヒドロキシアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキルおよびヘテロアリールアルキルから成る群から選択され、それらの各々は場合により置換されていてよい〕
のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含み、ここで、Mは放射性核種のカチオンである。
【0037】
これらの実施態様のいくつかの態様において、コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩中のMは、ガリウム同位体、インジウム同位体、銅同位体、テクネチウム同位体およびレニウム同位体から成る群から選択される。これらの実施態様のいくつかの態様において、造影剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩中のMはテクネチウム同位体である。これらの実施態様のいくつかの態様において、PSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは、式2a
【化12】
のものまたはその薬学的に許容される塩であり、ここで放射性核種が該コンジュゲートに結合している。
【0038】
これらの実施態様のいくつかの態様において、PSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは、式3a
【化13】
のものまたはその薬学的に許容される塩である。
【0039】
これらの実施態様のいくつかの態様において、本明細書に記載の決定は、式4
【化14】
のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を患者に投与することを含み、ここで放射性核種が該コンジュゲートに結合している。これらの実施態様のいくつかの態様において、放射性核種は
67Gaまたは
68Gaである。
【0040】
これらの実施態様のいくつかの態様において、本明細書に記載の決定は、処置の目的で投与された式I-LuまたはIa-Luの化合物を検出することを含む。
【0041】
いくつかの実施態様において、本発明および本明細書に記載の多様な方法に関して有用なシールド剤は、
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
から成る群から選択される化合物であり得る。
【0042】
いくつかの実施態様において、本発明は、
【化19】
【化20】
から成る群から選択される化合物を提供する。
【0043】
特定の実施態様は、次に列挙する項により記載される:
1.次から成る群から選択される化合物。
【化21】
【化22】
【0044】
2.治療有効量の放射性標識治療剤を有効量のシールド剤と組み合わせて投与することを含む、患者における癌を処置する方法。
3.放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、項2に記載の方法。
4.癌が前立腺癌である、項2または3に記載の方法。
5.癌が転移性前立腺癌である、項2~4のいずれかに記載の方法。
6.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項2~4のいずれかに記載の方法。
【0045】
7.シールド剤が、
【化23】
【化24】
【化25】
から成る群から選択されるものである、項2~6のいずれかに記載の方法。
【0046】
8.シールド剤が、
【化26】
【化27】
から成る群から選択されるものである、項2~6のいずれかに記載の方法。
【0047】
9.次から成る群から選択される、治療有効量の放射性標識治療剤と組み合わせて処置を必要とする患者における癌を処置するための化合物。
【化28】
【化29】
【化30】
【0048】
10.放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、項9に記載の化合物。
11.癌が前立腺癌である、項9または10に記載の化合物。
12.癌が転移性前立腺癌である、項9~11のいずれかに記載の化合物。
13.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項9~11のいずれかに記載の化合物。
【0049】
14.治療有効量の放射性標識治療剤と組み合わせて患者における癌を処置するための医薬の製造における、次から成る群から選択される化合物の使用。
【化31】
【化32】
【化33】
【0050】
15.放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、項14に記載の使用。
16.癌が前立腺癌である、項14または15に記載の使用。
17.癌が転移性前立腺癌である、項14~16のいずれかに記載の使用。
18.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項14~16のいずれかに記載の使用。
19.有効量の造影剤コンジュゲートと組み合わせて有効量のシールド剤を投与することを含む、患者における癌を造影する方法。
20.造影剤が99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは67Gaもしくは68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である、項19に記載の方法。
21.癌が前立腺癌である、項19または20に記載の方法。
22.癌が転移性前立腺癌である、項19~21に記載の方法。
23.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項19~22に記載の方法。
【0051】
24.シールド剤が、
【化34】
【化35】
【化36】
から成る群から選択されるものである、項19~23のいずれかに記載の方法。
【0052】
25.シールド剤が、
【化37】
【化38】
から成る群から選択されるものである、項19~23のいずれかに記載の方法
【0053】
26.有効量の造影剤コンジュゲートと組み合わせて処置を必要とする患者における癌を造影するための、次から成る群から選択される化合物。
【化39】
【化40】
【化41】
【0054】
27.99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは67Gaもしくは68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である、項26に記載の化合物。
28.癌が前立腺癌である、項26または27に記載の化合物。
29.癌が転移性前立腺癌である、項26~28のいずれかに記載の化合物。
30.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項26~28のいずれかに記載の化合物。
【0055】
31.有効量の造影剤コンジュゲートと組み合わせて患者における癌を造影するための医薬の製造における、次から成る群から選択される化合物の使用。
【化42】
【化43】
【化44】
【0056】
32.99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは67Gaもしくは68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である、項31に記載の使用。
33.癌が前立腺癌である、項31または32に記載の使用。
34.癌が転移性前立腺癌である、項31~33のいずれかに記載の使用。
35.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項31~34のいずれかに記載の使用。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【
図1】0.5μmol/kgのシールド剤を共投与したまたはしていない、ヌードマウスにおける30nmol/kgの
99mTC造影剤コンジュゲート3aの生体内分布を示すグラフである。各組織についてのグラフにおいて、
99mTC造影剤コンジュゲート3a(左端の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1a(左から二番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1b(左から三番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1d(右から三番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1c(右から二番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1e(右端の棒)。
【
図2】10μmol/kgのシールド剤を共投与したまたはしていない、ヌードマウスにおける30nmol/kgの
99mTC造影剤コンジュゲート3aの生体内分布を示すグラフである。各組織についてのグラフにおいて、
99mTC造影剤コンジュゲート3a(左端の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1j(左から二番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1k(中央の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1f(右から二番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+競合剤PMPA(右端の棒)。
【
図3】0.5μmol/kgのシールド剤を共投与したまたはしていない、ヌードマウスにおける30nmol/kgの
99mTC造影剤コンジュゲート3aの生体内分布を示すグラフである。各組織についてのグラフにおいて、
99mTC造影剤コンジュゲート3a(左端の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物JHU-2545(E1)(左から二番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物JHU-2545(E2)(左から三番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1l(E1)(右から三番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1l(E2)(右から二番目の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+1μmol/kgの化合物1f(右端の棒)。
【
図4】1μmol/kgのシールド剤を共投与したまたはしていない、ヌードマウスにおける30nmol/kgの
99mTC造影剤コンジュゲート3aの生体内分布を示すグラフである。各組織についてのグラフにおいて、
99mTC造影剤コンジュゲート3a(左の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1a(右の棒)。
【
図5】1μmol/kgのシールド剤を共投与したまたはしていない、ヌードマウスにおける30nmol/kgの
99mTC造影剤コンジュゲート3aの生体内分布を示すグラフである。各組織についてのグラフにおいて、
99mTC造影剤コンジュゲート3a(左の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1d(右の棒)。
【
図6】10μmol/kgのシールド剤を共投与したまたはしていない、ヌードマウスにおける30nmol/kgの
67Ga-Iaの生体内分布を示すグラフである。各組織についてのグラフにおいて、
67Ga-Ia(左端の棒)、
67Ga-Ia+化合物1i(左から二番目の棒)、
67Ga-Ia+化合物1g(中央の棒)、
67Ga-Ia+化合物1h(右から二番目の棒)、
67Ga-Ia+競合剤PMPA(右端の棒)。
【
図7】多様な処置前用量(μmol/kg)の本発明のシールド剤でのヌードマウスにおける
99mTC造影剤コンジュゲート3aの腫瘍および腎臓の生体内分布(腫瘍/腎臓またはT/K比)を示すグラフである。(▲)
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1a;(■)
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1d;(▼)
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1n。
【
図8】1μmol/kgのシールド剤を共投与した、22RV1腫瘍を有するヌードマウスにおける30nmol/kgの
99mTC造影剤コンジュゲート3aの4時間での生体内分布を示すグラフである。グラフはシールド剤1dのS-エナンチオマーがR-エナンチオマーより活性であり、向上した
99mTC造影剤コンジュゲート3a腫瘍/腎臓比を提供したことを示す。各組織についてのグラフにおいて、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1d(S-エナンチオマー)(左の棒)、
99mTC造影剤コンジュゲート3a+化合物1d(R-エナンチオマー)(右の棒)。
【
図9】1μmol/kgのシールド剤を共投与したまたはしていない、LNCaP腫瘍を有するヌードマウスにおける30nmol/kgのIa-Luの4時間での生体内分布を示すグラフである。グラフはシールド剤1d(S-エナンチオマー)およびシールド剤1mの両方が向上したIa-Lu腫瘍/腎臓比を提供したことを示す。各組織についてのグラフにおいて、Ia-Lu単独(左の棒)、Ia-Lu+化合物1m(中央の棒)、Ia-Lu+化合物1d(S-エナンチオマー)(右の棒)。
【発明を実施するための形態】
【0058】
定義
本明細書において使用される「機能的に活性なPSMA」とは、PSMAリガンドに結合する細胞膜結合糖タンパク質を意味する。参照により本明細書に包含させる米国特許公報番号US2010/0324008A1号に記載されるようなPSMAリガンドは、当業者に既知であることが理解される。
【0059】
本明細書において使用される「臨床的利益」とは、化合物I-LuまたはIa-Luと化合物I-AcまたはIa-Acの組合せ剤を用いた処置に対する患者の奏功を意味し、奏功は、米国食品医薬品局により規定されている数ある臨床的利益の中で、特に患者の全生存、化合物I-LuまたはIa-Luと化合物I-AcまたはIa-Acの組合せ剤の4以上の治療サイクル(例えば4週間の治療)を受ける能力、腫瘍増殖の阻害、疾患安定、部分奏功および/または完全奏功を含む。
【0060】
本明細書において使用される「腫瘍増殖の阻害」とは、化合物I-LuまたはIa-Luと化合物I-AcまたはIa-Acの組合せ剤を用いた療法の経過中の腫瘍サイズの減少、腫瘍の完全な消失または患者の腫瘍の30%未満増殖を意味する。
【0061】
本明細書において使用される「疾患安定」とは、化合物I-LuまたはIa-Luと化合物I-AcまたはIa-Acの組合せ剤を用いた療法の経過中、患者において疾患の実質的な進行が全くないことを意味する。
【0062】
本明細書において使用される「部分奏功」とは、化合物I-LuまたはIa-Luと化合物I-AcまたはIa-Acの組合せ剤で処置した患者における、腫瘍サイズの30%以上の減少を意味する。
【0063】
本明細書において使用される「完全奏功」とは、化合物I-LuまたはIa-Luと化合物I-AcまたはIa-Acの組合せ剤で処置した患者における、検出可能な疾患の消失を意味する。
【0064】
本明細書において使用される「先の処置」とは、当該技術分野で知られている、少なくとも一の先の治療で患者を処置したことを意味する。先の処置は、限定されないが、化学療法剤、手術、放射線療法、免疫療法、光力学療法、幹細胞療法、温熱療法などを含む、当業者に知られている処置のいずれかであり得ると理解される。先の処置は、限定されないが、アビラテロン、オルテロネル、ガレテロン、セビテロネル、アパルタミド、エンザルタミド、パリホスファミド、5-フルオロウラシル、カペシタビン、ペメトレキセド、シスプラチン、カルボプラチン、ゲムシタビン、パクリタキセル、ビノレルビン、エリブリン、ドセタキセル、シクロホスファミド、ドキソルビシン、レゴラフェニブおよびそれらの組合せを用いた処置を含む、全身療法を含み得る。
【0065】
本明細書において使用される用語「アルキル」は、場合により分岐していてよい炭素原子鎖を含む。ある実施態様において、アルキルは有利に限定された長さであり、C1~C24、C1~C12、C1~C8、C1~C6およびC1~C4を含むとさらに理解される。具体的には、C1~C8、C1~C6およびC1~C4を含む、そのような特に限定された長さのアルキル基は低級アルキルと称され得る。本明細書においては、より短いアルキル、アルケニルおよび/またはアルキニル基は化合物により低い親油性を付加でき、そしてその結果異なる薬物動態的挙動を有すると理解される。いくつかの実施態様において、それぞれの場合において、アルキルという記述は本明細書において定義されるアルキル、および任意には低級アルキルを示すと理解される。具体的なアルキル基は、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチルなどを含む。本明細書において使用される「カルボキシアルキル」基は、本明細書に記載の「アルキル」基と「カルボキシ」基の組合せを含む。本明細書において使用される「ヒドロキシアルキル」基は、本明細書に記載の「アルキル」基と「ヒドロキシ」基の組合せを含む。本明細書において使用される「アミノアルキル」基は、本明細書に記載の「アルキル」基と「アミノ」基の組合せを含む。
【0066】
本明細書において使用される用語「ヘテロアルキル」は炭素および少なくとも一ヘテロ原子の両方を含み、かつ任意に分岐していてよい原子鎖を含む。具体的なヘテロ原子は窒素、酸素および硫黄を含む。あるバリエーションにおいて、具体的なヘテロ原子はまた、リンおよびセレンを含む。
【0067】
本明細書において使用される用語「アリール」は6~14員環炭素原子を有する単環式および多環式芳香族炭素環式基を含み、それらの各々は場合により置換されていてよい。本明細書に記載の具体的な芳香族炭素環式基は、限定されないが、フェニル、ナフチルなどを含む。本明細書において使用される用語「ヘテロアリール」は5~10員環原子を有する芳香族ヘテロ環式基を含み、それらの各々は場合により置換されていてよい。具体的な芳香族ヘテロ環式基は、限定されないが、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、テトラジニル、キノリニル、キナゾリニル、キノキサリニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアジアゾリル、トリアゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンズチアゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンズイソチアゾリルなどを含む。本発明によると、用語「ヘテロアリールアルキル」は本明細書に記載の「アルキル」基と本明細書に記載の「ヘテロアリール」基の組合せを含む。本明細書において使用される用語「アリールアルキル」は、本明細書に記載の「アルキル」基と本明細書に記載の「アリール」基の組合せ、例えばベンジル基を含む。
【0068】
本明細書において使用される用語「場合により置換されていてよい」は、場合により置換される基上の、水素原子の他の官能基での置換を含む。このような他の官能基は、具体的に、限定されないが、アミノ、ヒドロキシル、ハロ、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、ニトロ、スルホン酸およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体などを含む。具体的に、アミノ、ヒドロキシル、チオール、アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、アリール、アリールアルキル、アリールヘテロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリールアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキルおよび/またはスルホン酸のいずれも、場合により置換される。
【0069】
本明細書で使用される用語「投与」は、限定されないが、経口(po)、静脈内(iv)、筋肉内(im)、皮下(sc)、経皮、吸入、口腔、眼、舌下、膣、直腸などを含む、本明細書に記載の本明細書に記載の化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートを患者に導入する全ての手段を含む。本明細書に記載の化合物I-LuまたはIa-Luと化合物I-AcまたはIa-Acの組合せ剤および/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは、慣用の無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバントおよび溶媒を含む、単位投与形態および/または製剤で投与できる。
【0070】
本明細書において使用される「ベクレル」とは、当業者により一般に理解されるようなSI由来の放射活性単位を意味する。1ベクレルは1秒あたり1個の核が崩壊する放射性物質の量として定義される。従って、ベクレルは毎秒、s-1と同等である。ベクレルは、1グラムのラジウム-226の活性に基づく非SI放射活性単位である、以前のキュリー(Ci)の後続として、当業者に既知である。キュリーは3.7. 1010s-1または37GBqとして定義される。
【0071】
本明細書において使用される「キュリー」または「Ci」とは、当業者により一般に知られるように、フランス国の物理学者であり、化学者であるマリ・キュリーにちなんで命名された放射活性単位を意味する。接頭語ミリおよびマイクロはメートル法に由来し、それぞれ.001および.000001を表す。従って、ミリキュリー(mCi)は、.001キュリーである。マイクロキュリー(μCi)は.000001キュリーである。
【0072】
詳細な説明
上記の概要で提供された番号付きの項またはそれらのいずれかの組合せの実施態様は、本特許出願の詳細な説明の節に記載のいずれかの実施態様との組合せを企図する。
【0073】
ある実施態様において、本明細書に記載の方法は、ヒト臨床医学的および獣医学的用途の両方について使用され得る。その結果、「患者」は本明細書に記載のシールド剤と組み合わせて本明細書に記載の化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートを投与され得、かつ患者はヒトであり得、または獣医学的用途の場合、実験動物、農業用動物、家庭動物または野生動物であり得る。ある態様において、患者はヒト、齧歯類(例えば、マウス、ラット、ハムスターなど)、ウサギ、サル、チンパンジーのような実験動物、イヌ、ネコおよびウサギのような家庭動物、ウシ、ウマ、ブタ、ヒツジ、ヤギのような農業用動物およびクマ、パンダ、ライオン、トラ、ヒョウ、ゾウ、シマウマ、キリン、ゴリラ、イルカおよびクジラのような捕獲された野生動物であり得る。
【0074】
種々の態様において、本明細書に記載の癌は、良性腫瘍および悪性腫瘍を含む腫瘍形成性の癌細胞集団であり得、または癌は非腫瘍形成性であり得る。癌は自然に、もしくは患者の生殖系列または体細胞変異に存在する変異のような過程によって生じ得、または癌は化学的、ウイルス的または放射線的に誘発され得る。本明細書に記載の発明に適用できる癌は、限定されないが、神経膠腫、癌腫、肉腫、リンパ腫、黒色腫、中皮腫、鼻咽頭癌、白血病、腺癌および骨髄腫を含む。
【0075】
いくつかの態様において、癌は肺癌、骨癌、膵臓癌、皮膚癌、頭部の癌、首部の癌、皮膚黒色腫、眼内黒色腫、子宮癌、卵巣癌、子宮内膜癌、直腸癌、胃癌、結腸癌、乳癌、トリプルネガティブ乳癌、転移乳癌、卵管癌、子宮内膜の癌腫、子宮頸癌、膣癌、外陰癌、ホジキン病、食道癌、小腸癌、内分泌系癌、甲状腺癌、副甲状腺癌、非小細胞性肺癌、副腎癌、軟組織肉腫、尿道癌、陰茎癌、前立腺癌、慢性白血病、急性白血病、リンパ球性リンパ腫、胸膜中皮腫、膀胱癌、バーキットリンパ腫、尿管癌、腎臓癌、腎細胞癌、腎盂癌、中枢神経系(CNS)腫瘍、原発性CNSリンパ腫、脊髄軸腫瘍、神経膠腫、脳幹神経膠腫、下垂体腺腫および胃食道接合部腺癌であり得る。
【0076】
化合物Iaは、式
【化45】
を有し、ここで、
177LuはIa-Luにおいて本化合物と錯体を形成し、
225AcはIa-Acにおいて本化合物と錯体を形成する。
【0077】
他の実施態様において、PETイメージング、SPECTイメージングなどにより検出可能な様々なPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートのいずれかが使用され得る。イメージングの正確な方法は、本明細書に記載の造影剤に限定されない。集合的に、本明細書に記載の、造影に有用なPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは、式により記載されるそれらおよびPETイメージング、SPECTイメージングなどに有用な物質を含み、「PSMAリガンド-造影剤コンジュゲート」と称される。
【0078】
本発明に関して有用なシールド剤は、本明細書に記載の放射標識された化合物びPSMAへのオフターゲット結合を遮断することができる任意のシールド剤であり得る。適切なシールド剤は、限定されないが、米国特許公報US2017/0226141号、Majer, P. et al., "Discovery of Orally Available Prodrugs of the Glutamate Carboxypeptidase II (GCPII) Inhibitor 2-Phosphonomethylpentanedoic Acid (2-PMPA) " J. Med. Chem., 59, 2810-2819 (2016)およびNedelcovych M. et al., "Enhanced Brain Delivery of 2-(Phosphonomethyl)pentanedioic Acid Following Intranasal Administration of Its γ-Substituted Ester" Mol. Pharmaceutics, 14, 3248-3257 (2017)に記載のものを含み、これらの開示は参照により包含させる。シールド剤の適切な例は、限定されないが、表1に示すものを含む。
【表1-1】
【0079】
【0080】
ある実施態様において、本明細書に記載の化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは癌細胞上に発現したPSMAに結合する。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のシールド剤はPSMAに結合する。ある具体的な態様において、化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは、癌細胞上のPSMAの優先的発現(または過剰発現)のため、正常細胞と比較して、癌細胞上のPSMAに差別的に結合できる。いくつかの実施態様において、本明細書に記載のシールド剤は、化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの、例えば、肝細胞上で発現したPSMAへのオフターゲット結合を阻害できる。
【0081】
いくつかの実施態様において、本明細書に記載の化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは1以上の薬学的に許容される担体と結合した製剤として投与され得る。担体の選択は、特定の投与方法、溶解度および安定性への担体の影響、ならびに投与形態の性質のような因子に極めて依存する。本明細書に記載の化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの送達に適切な医薬組成物およびそれらの製造方法は、当業者に容易に明らかである。さらに、本明細書に記載のシールド剤は、1以上の薬学的に許容される担体と結合した製剤であり得る。担体の選択は、特定の投与方法、溶解度および安定性への担体の影響、ならびに投与形態の性質のような因子に極めて依存する。このような組成物およびそれらの製造方法は、例えば、参照により本出願に包含させる、Remington: The Science & Practice of Pharmacy, 21th Edition (Lippincott Williams & Wilkins, 2005)において見ることができる。
【0082】
ある具体的な態様において、薬学的に許容される担体は、生理学的に互換性のある任意かつ全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗細菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤など、ならびにそれらの組合せを含む。いくつかの態様において、担体は非経腸投与に適当である。薬学的に許容される担体は、無菌の注射可能な溶液または分散剤のその場での製造のための、無菌水溶液もしくは分散剤および無菌粉末を含む。追加の活性化合物もまた、本発明の組成物に包含させることができる。
【0083】
種々の実施態様において、液体製剤は懸濁液および溶液を含んでよい。このような製剤は担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロースまたは適当な油、ならびに1以上の乳化剤および/または懸濁化剤を含む。液体製剤もまた、固体の再構成により製造され得る。
【0084】
ある実施態様において、水性懸濁液は、適切な賦形剤を有する混合剤中に活性物質を含み得る。そのような賦形剤は懸濁化剤、例えば、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントおよびアカシアガム;天然に存在するフォスファチド、例えばレシチンであり得る分散剤または湿潤剤;アルキレンオキシドと脂肪酸の縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート;エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール;ポリオキシエチレンソルビトールモノオレートのような、エチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合生成物;またはエチレンオキシドと、脂肪酸とヘキシトール無水物に由来する部分エステルの縮合生成物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートである。水性懸濁液はまた、1以上の防腐剤、例えば、アスコルビン酸、エチル、n-プロピルまたはp-ヒドロキシベンゾエート;または1以上の着色剤を含む。
【0085】
ある具体的な実施態様において、水の添加による水性懸濁液の製造に適当な分散粉末および顆粒は、分散剤または湿潤剤、懸濁化剤ならびに1以上の防腐剤との混合剤に活性成分を提供する。さらなる賦形剤、例えば、着色剤もまた存在し得る。
【0086】
適切な乳化剤は天然に存在するガム、例えば、アカシアガムまたはトラガカント;天然に存在するフォスファチド、例えば、大豆レシチン;および脂肪酸とヘキシトールに由来する部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレートを含むエステル、ならびに前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレートであり得る。
【0087】
他の実施態様において、例えば、糖、マンニトールのようなポリアルコール、ソルビトールまたは塩化ナトリウムのような等張物質は、組成物中に含まれ得る。注射可能な組成物の長期吸収は、組成物中に吸収を遅らせる物質、例えばモノステアレート塩およびゼラチンを包含させることによりもたらされ得る。
【0088】
経口投与の具体的な形式は、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ剤などを含む。
【0089】
本発明に記載の癌の種類、投与経路および/または化合物I-LuまたはI-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートが局所的にまたは全身的に投与されるかどうかにより、約1MBq~約4MBqの範囲のI-AcまたはIa-Acの範囲に入る用量を含む広範囲の許容される用量がここで企図される。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの許容される投与量は、約2GBq~約13GBqの範囲に入る用量を含む単位GBqで、ここで企図される。用量は単回または分割でよく、かつq.d.、b.i.d.、t.i.d.または隔日、隔週(b.i.w.)、1週間に1回、1ヶ月に1回、四半期に1回などを含めて、広範なプロトコルに従って投与され得る。これらの各場合において、本明細書に記載の治療有効量は、投与の例に対応するか、あるいは、または投与プロトコルにより決定されるように、毎日、毎週、毎月、または四半期毎の総用量に対応すると理解される。いくつかの実施態様において、式I-LuまたはIa-LuとI-AcまたはIa-Acの組合せ剤は、1回、または週1回、または2週間に1回、または3週間に1回、または4週間に1回、または5週間に1回、または6週間に1回、または7週間に1回、または8週間に1回などの独立したスケジュールで投与され得る。
【0090】
ある態様において、本明細書に記載の化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは血流中、筋肉中または内臓器官中に直接投与してよい。そのような適当な非経口投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、硬膜外、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、腫瘍内、筋肉内および皮下送達を含む。非経口投与のための適当な手段は、有針(マイクロニードルを含む)注射器、無針注射器および点滴技術を含む。
【0091】
ある具体的な態様において、非経腸製剤は典型的に、塩、炭水化物および緩衝剤(好ましくは、pH3~9)のような担体または賦形剤を含み得る水溶液であるが、いくつかの用途について、それらは無菌水、発熱性物質除去水のような、適当な溶媒と共に結合に使用される無菌非水性溶液としてまたは乾燥形態としてより適当に製剤され得る。他の態様において、本明細書に記載のいずれかの液体製剤は、本明細書に記載の化合物1またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの非経口投与に適用できる。無菌条件下での非経腸製剤の調製、例えば、無菌条件下での凍結乾燥による調製は、当業者に周知の標準的な調剤技術を用いて容易に達成できる。ある態様において、非経腸投与製剤の調製に使用される化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの溶解度は、溶解度向上物質の取り込みのような適切な製剤技術により、上昇し得る。
【0092】
種々の実施態様において、非経腸投与のための製剤は即時のおよび/または改良された放出用に製剤され得る。ある具体的な態様において、本発明の活性物質(すなわち、化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲート)徐放製剤、例えば徐放ポリマーを含む組成物で投与できる。活性な化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは、インプラントおよびマイクロカプセル化送達系を含む、制御放出製剤のような急速放出に対して化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートを保護する担体を用いて調製できる。エチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、ポリ乳酸、およびポリ乳糖共重合体、ポリグリコール共重合体(PGLA)のような生分解性、生体適合性ポリマーを使用できる。そのような製剤の調製方法は一般に当業者に知られている。別の実施態様において、本明細書に記載の化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートまたは化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートを含む組成物は、適切な場合に連続的に投与してよい。
【0093】
ある実施態様において、キットが提供される。化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートが本明細書に記載のシールド剤と組み合わせて投与されるならば、2以上の医薬組成物が組成物の連続投与または共投与に適当なキットの形態で配合され得る。そのようなキットは2以上の別個の医薬組成物を含み、このようなキットは、少なくとも一方が化合物I-LuまたはI-Lu、I-AcまたはIa-Acおよび/または本明細書に記載のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートを含み、他方が少なくとも1個の本明細書に記載のシールド剤を含む2以上の別個の医薬組成物、および組成物を別個に保持するための手段、例えば、分割容器または分割ホイルパケットを含む。別の実施態様において、患者選択および/または患者処置における使用のための指示を提供するラベルを有する容器内に、1以上の本明細書に記載の化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートおよび少なくとも1個の本明細書に記載のシールド剤を含む組成物が提供される。
【0094】
ある態様において、必要に応じて、上記成分の1つまたは組合せを用いて必要な量の活性物質を適切な溶媒に含ませ、続いてろ過滅菌することにより無菌注射溶液を製造できる。一般に、分散剤は分散媒体および上記に記載のいずれかの追加成分を含む無菌溶媒に化合物I-Lu、またはI-Lu、I-Ac、またはIa-Acおよび/またはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートを含ませることにより調製する。無菌注射溶液の製造用の無菌粉末の場合、好ましい製造方法は、活性成分に加えて以前に無菌ろ過したその溶液から何らかの追加の望ましい成分の粉末を得る真空乾燥および凍結乾燥であるか、またはこれらの成分は一緒に無菌ろ過してよい。
【0095】
組成物は溶液、マイクロエマルジョン、リポソームまたは高薬物濃度に適当な他の秩序構造として製剤化できる。担体は例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコールなど)および適当なそれらの混合物であり得る。ある態様において、例えば、レシチンのようなコーティング剤の使用により、分散剤の場合に必要とされる粒子径の維持により、および界面活性剤の使用により、適切な流動性を維持できる。
【0096】
化合物I-LuまたはIa-LuおよびI-AcまたはIa-Acの用量レベルは、それぞれ、GBqおよびMBqで測定され得る。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約2GBq~約20GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約2GBq~約13GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約4GBq~約11GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約5GBq~約10GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約6GBq~約9GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約6GBq~約8GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約6.5GBq~約8.5GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約7GBq~約8GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、約7.4GBqである。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約15GBq~約200GBqの範囲である。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約25GBq~約185GBqの範囲である。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約35GBq~約150GBqの範囲である。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約40GBq~約100GBqの範囲である。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、約44GBqである。いくつかの実施態様において、対象の処置の最長期間は、約19~23か月である。
【0097】
いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、2GBq~20GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、2GBq~13GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、4GBq~11GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、5GBq~10GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、6GBq~9GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、6GBq~8GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、6.5GBq~8.5GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、7GBq~8GBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-LuまたはIa-Luは、7.4GBqである。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、15GBq~200GBqの範囲である。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、25GBq~185GBqの範囲である。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、35GBq~150GBqの範囲である。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、40GBq~100GBqの範囲である。いくつかの実施態様において、I-LuまたはIa-Luの総用量は、44GBqである。いくつかの実施態様において、対象の処置の最長期間は、約19~23か月である。
【0098】
いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約1MBq~約20MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約1MBq~約10MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約4MBq~約14MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約5MBq~約10MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約6MBq~約8MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約5MBq~約7MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約1MBq~約4MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約2MBq~約3MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約5MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、約2.5MBqである。
【0099】
いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、1MBq~20MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、1MBq~10MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、4MBq~14MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、5MBq~10MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、6MBq~8MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、5MBq~7MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、1MBq~4MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、2MBq~3MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、5MBqである。いくつかの実施態様において、治療有効量のI-AcまたはIa-Acは、2.5MBqである。
【0100】
本明細書に記載のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲート、化合物I-Lu、I-Ac、Ia-LuおよびIa-Acおよびシールド剤は1以上の不斉中心を含んでよく、またはその代わりに複数の立体異性体として存在できてもよい。従って、本発明はエナンチオマー、ジアステレオマーならびにエナンチオマー的にまたはジアステレオマー的に富化された混合物のような、純粋な立体異性体ならびに立体異性体の混合物を含むと解されるべきである。本明細書に記載のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲート、化合物I-Lu、I-Ac、Ia-LuおよびIa-Acおよびシールド剤は幾何異性体として存在できる場合がある。従って、本発明は純粋な幾何異性体または幾何異性体の混合物を含むと解されるべきである。例えば、シールド剤1cは式
【化46】
のものである。
【0101】
当業者は、シールド剤1cがキラル中心を有し、従って2つのエナンチオマー形態で存在し得ることを認識する。当業者は、シールド剤1cの2つのエナンチオマー形態が
【化47】
であることを認識する。
【0102】
上記で示されたシールド剤1cの開示はまた、シールド剤1cのR-エナンチオマーおよびS-エナンチオマーの開示を含むことが理解される。同様に、他のシールド剤、PSMAリガンド-造影剤および化合物I-Lu、I-Ac、Ia-LuおよびIa-Acの開示もまた、これらのそれぞれのエナンチオマー、ジアステレオマーなどの開示を含む。
【0103】
本明細書に記載のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートおよび化合物I-Lu、I-Ac、Ia-LuおよびIa-Acおよびシールド剤は、水和物形態を含めて、非溶媒和物形態ならびに溶媒和物形態として存在し得ると理解される。一般的に、媒和物形態は非溶媒和物形態と等価であり、かつ本発明の範囲内に包含される。本明細書に記載のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートおよび化合物I-Lu、I-Ac、Ia-LuおよびIa-Acおよびシールド剤は多結晶形態または非晶質形態で存在し得る。一般的に、全ての物理的形態は本発明により企図される使用について等価であり、かつ本発明の範囲内であることを目的としている。
【0104】
別の実施態様において、化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acの投与のための組成物および/または投与形態は、少なくとも約90%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%、または約99.5%の純度の化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acから製造される。別の実施態様において、化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acの投与のための組成物および/または投与形態は、少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%の純度の化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acから製造される。
【0105】
別の態様において、PSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの投与のための組成物および/または投与形態は、少なくとも約90%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%、または約99.5%の純度のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートから製造される。別の態様において、PSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの投与のための組成物および/または投与形態は、PSMAリガンド-造影剤コンジュゲート少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%の純度のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートから製造される。
【0106】
別の態様において、放射性標識PSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの投与のための組成物および/または投与形態は、少なくとも約90%、または約95%、または約96%、または約97%、または約98%、または約99%、または約99.5%の放射化学的純度のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートから製造される。別の態様において、PSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの投与のための組成物および/または投与形態は、少なくとも90%、または少なくとも95%、または少なくとも96%、または少なくとも97%、または少なくとも98%、または少なくとも99%、または少なくとも99.5%の放射化学的純度のPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートから製造される。
【0107】
本明細書に記載の化合物I-Lu、I-Ac、Ia-LuおよびIa-AcまたはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートの純度は、高圧または高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、核磁気共鳴分光法、TLC、UV吸光度分光法、蛍光分光法などのような種々のクロマトグラフィーまたはスペクトル技術を含む、いずれかの慣用の技術を用いて測定できる。
【0108】
別の実施態様において、本明細書に記載の化合物I-Lu、I-Ac、Ia-LuおよびIa-AcまたはPSMAリガンド-造影剤コンジュゲートは、無菌容器または無菌パッケージで提供される。
【0109】
ある態様において、化合物I-LuまたはIa-Luと化合物I-AcまたはIa-Acの組合せ剤を用いた処置についての患者の臨床的利益は、全生存率(OS)として特徴付けられる。本明細書において使用される用語「全生存率(OS)」とは、無作為化の日から任意の原因による死亡の日までの時間を意味する。
【0110】
ある態様において、化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acを用いた処置についての患者の臨床的利益は、固形腫瘍における応答評価(RECIST)基準を利用することで特徴付けることができる。具体的に、全ての標的病変の最長直径の測定値を考慮して、当該基準は元のWHOハンドブック(3)から適合させた;完全奏功(CR)-全ての標的病変の消失;部分奏功(PR)-ベースライン最長径和を基準として、標的病変の最長径和における少なくとも30%の減少;疾患安定(SD)-処置の開始以来最小の最長径和を基準として、部分奏功として条件付けるための十分な縮小も、疾患進行として条件付けるための十分な増加もない;疾患進行(PD)-処置の開始以来、記録した最小の最長径和を基準として、病変の最長径和における少なくとも20%の増加または1以上の新たな病変の出現。別の面において、全疾患応答率(ORR)は臨床的利益であり得、最良のCRまたはPRの奏功を達成した患者の割合として計算される。全病勢コントロール率(DCR)はもう一つの臨床的利益であり得、最良のCR、PR、またはSDの奏功を達成した患者の割合として計算される。いくつかの実施態様において、応答は、RECIST v1.1基準により測定された病勢コントロール率(DCR)であり得る。
【0111】
別の実施態様において、化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acを用いた処置に対する患者の臨床的利益は、放射線学的無増悪生存期間(rPFS)として特徴付けられ得る。本明細書に記載の「無増悪生存期間(rPFS)」は、無作為化の日からProstate Cancer Working Group 3 (PCWG3) Guidelinesに示される放射線学的な疾患進行の日または何らかの原因による死亡までの期間を意味する。例えば、Scher HI, Morris MJ, Stadler WM, Higano C, Basch E, Fizazi K, et al. Trial Design and Objectives for Castration-Resistant Prostate Cancer: Updated Recommendations from the Prostate Cancer Clinical Trials Work Group 3. J Clin Oncol 2016;34(12):1402-18を参照。別の態様において、化合物1を用いた処置に対する患者の臨床的利益は、最初の症候性骨格事象(SSE)までの期間を意味する。臨床的に重要な病的骨折、骨に対する手術または放射線、または脊髄圧迫を意味すると理解される。本明細書において使用される「最初の症候性骨格事象までの期間」とは、無作為化の日から、最初の新しい症候性病的骨折、脊髄圧迫、腫瘍関連整形外科的介入、または骨痛を軽減するための放射線療法の必要性のいずれかが最初に生じた日までを意味する。
【0112】
ある具体的な例において、全生存は、患者がプロトコル処置を受けた初日(C1D1)から患者の死亡日までの日数として定義した、ある患者の死亡までの期間である。事象が患者が治験薬を服用中に起こったか、または治験薬を中止した後に起こったかどうかにかかわらず、全ての死亡事象を含み得る。患者が死亡しなかったならば、その後当該データは最後の治験来院、または最後の連絡日、または患者が生存していたことが知られていた最後の日の、いずれか遅い日に打ち切ることができる。
【0113】
あるいは、化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acを用いた処置の結果として、患者の臨床的利益を、例えば、化合物で処置した後、患者のフォローアップイメージングを通して、患者において特定できる腫瘍増殖の阻害として特徴付けることができる。例えば、腫瘍増殖の阻害は、本明細書に記載のいずれかの造影技術による化合物I-Lu、Ia-Lu、I-AcまたはIa-Acの投与後に患者における腫瘍サイズを測定することにより特徴付けることができ、腫瘍増殖の阻害は、腫瘍サイズ安定または腫瘍サイズ減少により示唆される。腫瘍増殖の阻害の特定は、種々の技術を使用することで達成でき、そして本明細書に記載の造影方法(例えばCT、MRI、PETイメージング、SPECTイメージングまたは胸部X線)に限定されないと理解される。
【0114】
詳細な説明および発明の概要に記載の実施態様は、そのような実施形態が互いに矛盾しない範囲で、以下の番号を付した各項と組み合わせられ得る。
1.次から成る群から選択される化合物。
【化48】
【化49】
【0115】
2.治療有効量の放射性標識治療剤を有効量のシールド剤と組み合わせて投与することを含む、患者における癌を処置する方法。
3.放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、項2に記載の方法。
4.癌が前立腺癌である、項2または3に記載の方法。
5.癌が転移性前立腺癌である、項2~4のいずれかに記載の方法。
6.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項2~4のいずれかに記載の方法。
【0116】
7.シールド剤が、
【化50】
【化51】
【化52】
から成る群から選択される、項2~6のいずれかに記載の方法。
【0117】
8.シールド剤が、
【化53】
【化54】
【化55】
から成る群から選択される、項2~6のいずれかに記載の方法。
【0118】
9.治療有効量の放射性標識治療剤と組み合わせて処置を必要とする患者における癌を処置するための、次から成る群から選択される化合物。
【化56】
【化57】
【化58】
【0119】
10.放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、項9に記載の化合物。
11.癌が前立腺癌である、項9または10に記載の化合物。
12.癌が転移性前立腺癌である、項9~11のいずれかに記載の化合物。
13.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項9~11のいずれかに記載の化合物。
【0120】
14.治療有効量の放射性標識治療剤と組み合わせて患者における癌を処置するための医薬の製造における、次から成る群から選択される化合物の使用。
【化59】
【化60】
【化61】
【0121】
15.放射性標識治療剤が化合物Ia-LuまたはIa-Acである、項14に記載の使用。
16.癌が前立腺癌である、項14または15に記載の使用。
17.癌が転移性前立腺癌である、項14~16のいずれかに記載の使用。
18.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項14~16のいずれかに記載の使用。
19.有効量のシールド剤と組み合わせて有効量の造影剤コンジュゲートを投与することを含む、患者における癌を造影する方法。
20.造影剤が99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは67Gaもしくは68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である、項19に記載の方法。
21.癌が前立腺癌である、項19または20に記載の方法。
22.癌が転移性前立腺癌である、項19~21のいずれかに記載の方法。
23.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項19~22のいずれかに記載の方法。
【0122】
24.シールド剤が、
【化62】
【化63】
【化64】
から成る群から選択される、項19~23のいずれかに記載の方法。
【0123】
25.シールド剤が、
【化65】
【化66】
から成る群から選択される、項19~23のいずれかに記載の方法。
【0124】
26.有効量の造影剤コンジュゲートと組み合わせて処置を必要とする患者における癌を造影するための、次から成る群から選択される化合物。
【化67】
【化68】
【化69】
【0125】
27.造影剤コンジュゲートが99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは67Gaもしくは68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である、項26に記載の化合物。
28.癌が前立腺癌である、項26または27に記載の化合物。
29.癌が転移性前立腺癌である、項26~28のいずれか一項に記載の化合物。
30.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項26~28のいずれか一項に記載の化合物。
【0126】
31.有効量の造影剤コンジュゲートと組み合わせて患者における癌を処置するための医薬の製造における、次から成る群から選択される化合物。
【化70】
【化71】
【化72】
【0127】
32.造影剤コンジュゲートが99mTc標識された造影剤コンジュゲート3aまたは67Gaもしくは68Ga標識された造影剤コンジュゲート4である、項31に記載の使用。
33.癌が前立腺癌である、項31または32に記載の使用。
34.癌が転移性前立腺癌である、項31~33のいずれか一項に記載の使用。
35.癌が転移性去勢抵抗性前立腺癌である、項31~34のいずれか一項に記載の使用。
【0128】
別の実施態様において、本明細書に記載の方法は、次の実施例を含む。実施例はさらに、本発明の多様な実施態様のさらなる特徴を示す。しかしながら、実施例は例示的なものであり、本発明の他の実施態様を限定するものとして解釈されるべきではないと理解されるべきである。さらに、他の種類の実施例は本発明の多様な実施例に含まれることが認識される。さらに、本明細書に記載される全ての範囲、例えば、多様な実施例に関する範囲は、典型的なものであり、限定することを意図するものではないと理解される。当業者は、下限値および上限値、例えば約1~約20は、下限値および上限値に含まれる全ての可能性のある値を含み、かつ、下限値および上限値に含まれる一組の可能性のある値により利用可能な、全ての可能性のある値の範囲を含むことを理解する。
【実施例】
【0129】
実施例1:化合物1aの製造
【化73】
工程1:(S)-1-ベンジル 5-オクチル 2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタンジオエートの製造:
撹拌したBoc-Glu-OBn(1.00g、2.96mmol、1.00当量)、n-オクタニルアルコール(699μL、4.44mmol、1.50当量)、DIPEA(1.54mL、8.88mmol、3.00当量)、DMAP(36.2mg、0.296mmol、10mol%)の29.6mL DCM溶液にHATU(1.35g、3.55mmol、1.20当量)を添加した。反応物を室温で5時間維持した後、100mLのDCMで希釈し、30mLの2M HCl(水性)、30mLの水、30mLの塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過した。溶液を減圧下で濃縮した。所望の生成物をシリカクロマトグラフィー(石油エーテル中、5~85% EtOAc)によりさらに精製し、白色固体(1.04g、81.1%)を得た。
【0130】
1-オクタノールの代わりに1-ブタノールおよび1-ドデカノールを用いて、同様の方法に従ってシールド剤1mおよび1nをそれぞれ製造した。
【0131】
工程2:(S)-ジベンジル 2-((フェノキシカルボニル)アミノ)ペンタンジオエートの製造:
100mL丸底フラスコ中、0℃で、L-グルタミン酸ジベンジル パラ-トルエンスルホネート(5.00g、10.0mmol、1.00当量)および4-ニトロフェニル クロロホルメート(1.64g、10.5mmol、1.05当量)を30.3mLのジクロロメタンに溶解し、アルゴン下で30分間撹拌した。0℃でジイソプロピルエチルアミン(3.80mL、22.0mmol、2.20当量)を滴下添加し、反応混合物を5分間撹拌し、室温まで昇温させ、さらに30分間撹拌した。その後、反応混合物を濃明黄色の油状物まで濃縮した。生成物をシリカクロマトグラフィー(石油エーテル中、0~55% 酢酸エチル)によりさらに精製し、所望の生成物を白色固体(3.54g、78.1%)として得た。
【0132】
工程3:(S)-ジベンジル 2-(3-((S)-1-(ベンジルオキシ)-5-(オクチルオキシ)-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)ペンタンジオエートの製造:
(S)-1-ベンジル 5-オクチル 2-((tert-ブトキシカルボニル)アミノ)ペンタンジオエート(500mg、1.11mmol、1.00当量)を乾燥DCM(5.00mL)に溶解した。溶液を0℃まで冷却し、TFA(5.00mL)を添加し、反応混合物をゆっくりと室温まで昇温させ、30分間撹拌した。DCMおよびTFAを減圧下で濃縮し、残渣をトルエン(2mL×3)に溶解し、痕跡量のTFAを共沸させた。粗生成物を2.22mLのDCMに溶解し、0℃で、2.22mLのDCMに溶解したEC3517(496mg、1.11mmol、1.00当量)の撹拌溶液にゆっくりと添加した。0℃でジイソプロピルエチルアミン(424μL、2.44mmol、2.20当量)を滴下添加し、反応混合物を30分間撹拌した後、室温まで昇温させた。反応混合物を室温で1時間撹拌した後、反応物を減圧下で濃縮した。50mLの水から生成物をDMC(25mL×3)で抽出した。合わせた有機層を塩水(25mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(石油エーテル中、10~100% EtOAc)によりさらに精製し、所望の生成物を濃色油状物(678mg、87.0%)として得た。
【0133】
工程4:(S)-2-(3-((S)-1-カルボキシ-4-(オクチルオキシ)-4-オキソブチル)ウレイド)ペンタン二酸(1a)の製造:
(S)-ジベンジル 2-(3-((S)-1-(ベンジルオキシ)-5-(オクチルオキシ)-1,5-ジオキソペンタン-2-イル)ウレイド)ペンタンジオエート(441mg、0.628mmol、1.00当量)の精製物を6.28mLのTHF/メタノール(3:2)に溶解した。強いアルゴン気流下、10% Pd/C(66.6mg、0.0628mmol、10mol%)を添加した。上部空間を脱気し、アルゴン、水素(×2)を再充填した。その後、反応混合物を室温で6時間撹拌した。粗生成物を45μm ナイロン/ファイバーグラス膜によりろ過し、濃縮した。生成物を逆相クロマトグラフ(0.1% TFA 水性緩衝液中、0~30% ACN)によりさらに精製した。2日間の凍結乾燥後、所望の生成物を白色固体(210mg、77.3%)として得た。
【0134】
実施例2:化合物1cの製造
【化74】
工程1:5-(3-(ベンジルオキシ)プロピル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオンの製造:
0℃で、3-ヒドロキシベンジルプロピオン酸(2.00g、10.3mmol、1.00当量)、メルドラム酸(2.08g、14.4mmol、1.40当量)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)(5.01mL、28.8mmol、2.8当量)、4-(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)(159mg、1.30mmol、10mol%)の103mL DCM溶液にジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(2.66g、12.9mmol、1.25当量)を分割して、1時間かけて添加した。反応物を室温まで昇温させ、室温で一晩(16時間)撹拌する。白色沈殿をろ過し、ろ液を10% KHSO
4(水性)で3回洗浄し、塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、ろ過した。-10℃で、酢酸(7.08mL、124mmol、12当量)溶液を用いて溶液を酸性化し、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH
4)(584mg、15.45mmol、1.5当量)を1時間かけて分割して添加した。反応混合物を-10℃で一晩(16時間)撹拌し、塩水で洗浄し、Na
2SO
4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。所望の生成物をシリカクロマトグラフィー(石油エーテル中、5~50% EtOAc)によりさらに精製し、白色固体(2.47g、82%)を得た。LC/MSおよび
1H NMRスペクトル解析は、所望の生成物の指定された構造と一致した。
【0135】
工程2:tert-ブチル 5-(ベンジルオキシ)-2-メチレンペンタノエートの製造:
5-(3-(ベンジルオキシ)プロピル)-2,2-ジメチル-1,3-ジオキサン-4,6-ジオン(1.25g、4.28mmol、1.00当量)およびエッシェンモーザー塩(ヨウ化N,N-ジメチルメチレンイミニウム)(1.97g、10.7 17.2mmol、2.50当量)を乾燥丸底フラスコに添加した。上部を脱気し、アルゴンを再充填した。42.8mLの無水tert-ブチル アルコール(tBuOH)をその固体に添加した。反応混合物を65℃に加熱し、30分間撹拌する。反応物を高真空下で濃縮し、残渣をシリカカラムに充填し、クロマトグラフィー(石油エーテル中、0~80% EtOAc)により精製し、所望の生成物を透明油状物(856mg、72.5%)として得た。LC/MSおよび1H NMRスペクトル解析は、所望の生成物の指定された構造と一致した。
【0136】
工程3:tert-ブチル 5-(ベンジルオキシ)-2-((ジエトキシホスホリル)メチル)ペンタノエートの製造:
0℃で、トリメチルアルミニウムの2M ヘキサン溶液(5.80mL、2.90mmol、1.00当量)を、撹拌した亜リン酸ジエチル(373μL、2.90mmol、1.00当量)の41.4mL ジクロロメタン(DCM)溶液に添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した。tert-ブチル 5-(ベンジルオキシ)-2-メチレンペンタノエート(800mg、2.90mmol、1.00当量)の7.25mL ジクロロメタン溶液をゆっくりと添加し、その後反応混合物を室温まで昇温させた。反応混合物を室温で一晩(17時間)撹拌した。反応物を10mLの2M HCl(水性)でクエンチし、ジエチルエーテル(10mL×3)で抽出した。有機層を合わせ、水、塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、減圧下で濃縮した。生成物をシリカクロマトグラフィー(石油エーテル中、10~85% EtOAc)でさらに精製し、所望の生成物を透明油状物(906mg、79.7%)として得た。LC/MSおよび1H NMRスペクトル解析は、所望の生成物の指定された構造と一致した。
【0137】
工程4:tert-ブチル 2-((ジエトキシホスホリル)メチル)-5-ヒドロキシペンタノエートの製造:
tert-ブチル 5-(ベンジルオキシ)-2-((ジエトキシホスホリル)メチル)ペンタノエート(450mg、1.09mmol、1.00当量)を10.9mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、アルゴンを溶液に15分間バブリングした。強いアルゴン気流下、10% Pd/C(57.7mg、0.055mmol、5mol%)を添加した。上部空間を脱気し、アルゴン、水素(×2)を再充填した。その後、反応混合物を室温で4時間撹拌した。反応混合物をセライトのパッドでろ過し、10mLのジクロロメタンで洗浄した。その後、溶液を濃縮し、残渣を高真空下で1時間保持し、所望の生成物を無色油状物として得た。粗生成物をさらに精製することなく使用した。
【0138】
工程4:5-(tert-ブトキシ)-4-((ジエトキシホスホリル)メチル)-5-オキソペンチル ノナノエートの製造:
撹拌したノナン酸(130μL、0.743mmol、1.20当量)、tert-ブチル 2-((ジエトキシホスホリル)メチル)-5-ヒドロキシペンタノエート(200mg、0.619mmol、1.00当量)、DIPEA(301μL、1.73mmol、2.8当量)、DMAP(8.0mg、0.0619mmol、10mol%)の7.43mL DCM溶液にHATU(306mg、0.805mmol、1.30当量)を添加した。反応物を室温で5時間撹拌した後、20mLのDCMで希釈し、10mLの2M HCl(水性)、10mLの水、10mLの塩水で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、ろ過した。溶液を減圧下で濃縮した。所望の生成物をシリカクロマトグラフィー(石油エーテル中、5~75% EtOAc)によりさらに精製し、白色固体(255mg、58.5%)を得た。LC/MSおよび1H NMRスペクトル解析は、所望の生成物の指定された構造と一致した。
【0139】
工程6:5-(ノナノイルオキシ)-2-(ホスホノメチル)ペンタン酸(1c)の製造:
0℃で、撹拌した5-(tert-ブトキシ)-4-((ジエトキシホスホリル)メチル)-5-オキソペンチル ノナノエート(200mg、0.432mmol、1.00当量)の2.2mL DCM溶液に2.2mLのトリフルオロ酢酸(TFA)をゆっくりと添加した。反応物を室温まで昇温させ、2時間撹拌した。溶媒を減圧下で蒸発させ、残渣をトルエンに取り込み、高真空下で濃縮(×3)した。粗生成物を4.32mLの無水DCMに溶解し、0℃でブロモトリメチルシラン(342μL、2.59mmol、6.00当量)を滴下添加した。反応混合物を0℃で1時間撹拌し、その後ゆっくりと室温まで昇温させた。その後、それを一晩(12時間)撹拌し、減圧下で濃縮し、残渣をトルエンに取り込み、高真空下で濃縮(×3)した。得られた残渣をACN/H2O(4:1、5mL)に溶解し、30分間撹拌した。反応物を濃縮し、C18カラムに充填し、逆相クロマトグラフ(0.1% TFA水性緩衝液中、0~35%ACN)。凍結乾燥2日後、所望の生成物を無色油状物(94mg、62.0%)として得た。LC/MSおよび1H NMRスペクトル解析は、所望の生成物の指定された構造と一致した。
【0140】
実施例3:化合物1dの製造
【化75】
工程1:1-(tert-ブチル)-5-ドデシル-2-((ジエトキシホスホリル)メチル)ペンタンジオエート(1-3):
Nedelcovych 2017に記載の方法に従って製造した化合物1(0.092g、0.27mM)の乾燥DCM(3mL)溶液に1-ドデカノール(0.101g、0.54mM)およびDIPEA(0.142mL、0.82mM)をそれぞれ添加した。HATU(0.124g、0.33mM)およびDMAP(3.32mg、0.03mM)を添加した。反応物をRTで1時間撹拌した。LCMS解析(20mM NH
4HCO
3、pH 7.4)は、反応が完了したことを示した。反応混合物を濃縮し、乾燥させた。残渣をコンビフラッシュ(SiO
2)カラムを用いて、石油エーテル中、0~100% 酢酸エチルで溶出させて精製し、純粋な1-3(0.107g、78%)を得た。
【0141】
工程2:5-ドデコキシ-2-(tert-ブトキシカルボニル)-5-オキソペンチルホスホン酸(1-4):
アルゴン雰囲気下、0℃で1-3(0.096g、0.19mM)の乾燥DCM(3mL)溶液にTMSBr(0.116g、0.76mM)を5分間かけて極めてゆっくりと添加した。反応物を2時間かけてRTに昇温させ、18時間撹拌した。LCMS解析(20mM NH4HCO3、pH 7.4)は、反応が完了したことを示した。DCMを除去し、TMSBrをトルエン(3×3mL)と共沸させ、乾燥させた。残渣をアセトニトリル/水(5:1;6mL)に溶解し、RTで30分間撹拌した。減圧下で濃縮し、トルエン(3×3mL)と共沸させ、乾燥させた。粗生成物des-エチル 1-4(0.086g、定量的)を直接次の反応に使用した。
【0142】
工程3:5-ドデコキシ-5-オキソ-2-(ホスホノメチル)ペンタン酸(1d)の合成:
0℃で、des-エチル1-4(0.086g、0.19mM)の乾燥DCM(2mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(2mL)を5分間かけて極めてゆっくりと添加した。反応物をRTまで昇温させ、2時間撹拌した。LCMS解析(20mM NH4HCO3、pH 7.4)は、反応が完了したことを示した。TFA/DCMを除去し、乾燥させた。残渣をDMSOに溶解し、バイオタージカラム(C18;0~50% アセトニトリルおよび0.1% TFA水溶液)で精製した。純粋なフラクションを合わせ、アセトニトリルを除去し、凍結乾燥させ、1d(0.062g、83%)を得た。
【0143】
1-ドデカノールの代わりに1-オクタノールを使用したことを除いて、化合物1dと同様の方法に従って化合物1bを製造した。
【0144】
実施例4:化合物1eの製造
【化76】
工程1:1-(tert-ブチル)-2-((ジエトキシホスホリル)メチル)-5-(オクチルアミノ)-5-オキソペンタノエート(1-1)の製造:
上記で引用されたNedelcovych 2017に記載の方法に従って製造した化合物1(0.100g、0.30mM)の乾燥DCM(3mL)溶液に1-オクチルアミン(0.077g、0.59mM)およびDIPEA(0.155mL、0.892mM)をそれぞれ添加した。HATU(0.135g、0.36mM)を添加した。反応物を昇温させ、RTで1時間撹拌した。LCMS解析(20mM NH
4HCO
3、pH 7.4)は、反応が完了したことを示した。反応混合物を濃縮し、乾燥させた。残渣をコンビフラッシュ(SiO
2)カラムを用いて、石油エーテル中、0~100% 酢酸エチルで溶出し、純粋な1-1(0.088g、66%)を得た。
【0145】
工程2:5-(オクチルアミノ)-2-(tert-ブトキシカルボニル)-5-オキソペンチルホスホン酸(1-2)の製造:
アルゴン雰囲気下、0℃で化合物1-1(0.088g、0.20mM)の乾燥DCM(3mL)溶液にTMSBr(0.119g、0.78mM)を5分間かけて、極めてゆっくりと添加した。反応物を2時間かけてRTまで昇温させ、24時間撹拌した。LCMS解析(20mM NH4HCO3、pH 7.4)は、反応が完了したことを示した。DCMを除去し、TMSBrをトルエン(3×5mL)と共沸させ、乾燥させた。残渣をアセトニトリル/水(5:1;6mL)に溶解し、RTで30分間撹拌した。減圧下で濃縮し、トルエン(3×5mL)と共沸させ、乾燥させた、粗生成物の化合物1-2(0.077g、定量的)を、次の反応に直接使用した。
【0146】
工程3:5-(オクチルアミノ)-5-オキソ-2-(ホスホノメチル)ペンタン酸(1e)の製造:
0℃で、des-エチル1-2(0.077g、0.20mM)の乾燥DCM(2.5mL)溶液にトリフルオロ酢酸(2.5mL)を5分間かけて極めてゆっくりと添加した。反応物をRTまで昇温させ、20時間撹拌した。LCMS解析(20mM NH4HCO3、pH 7.4)は、反応が完了したことを示した。TFA/DCMを除去し、乾燥させた。残渣をDMSOに溶解し、バイオタージカラム(C18;0~50% アセトニトリルおよび0.1% TFA水溶液)で精製した。純粋なフラクションを合わせ、アセトニトリルを除去し、凍結乾燥させ、化合物1e(0.040g、60%)を得た。
【0147】
生物学的実施例:
実施例5:本発明のシールド剤の生体内分布
本発明のシールド剤を、本発明の造影剤と組み合わせて投与し、生体内分布を解析した。結果を
図1~
図9に示す。