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特許7429690誘導電力伝達パッド及びそれを冷却するための冷却方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】誘導電力伝達パッド及びそれを冷却するための冷却方法
(51)【国際特許分類】
   H01F 38/14 20060101AFI20240201BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20240201BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20240201BHJP
   B60L 53/12 20190101ALI20240201BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20240201BHJP
【FI】
H01F38/14
B60M7/00 X
B60L5/00 B
B60L53/12
H02J50/10
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021517269
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019076145
(87)【国際公開番号】W WO2020064989
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-06-08
(31)【優先権主張番号】1815941.8
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516149435
【氏名又は名称】ボンバルディアー プリモーフ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Bombardier Primove GmbH
【住所又は居所原語表記】Eichhornstrasse 3, 10785 Berlin, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100106404
【弁理士】
【氏名又は名称】江森 健二
(74)【代理人】
【識別番号】100112977
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 有子
(72)【発明者】
【氏名】ジーモン ヴェヒスラー
(72)【発明者】
【氏名】ローマン グント
(72)【発明者】
【氏名】ロベルト ツァインスキ
(72)【発明者】
【氏名】ドミニク アンダース
【審査官】井上 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-222956(JP,A)
【文献】国際公開第2014/200024(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/026805(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0047769(US,A1)
【文献】特開2018-148723(JP,A)
【文献】特開平09-215211(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0251035(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0160572(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0288898(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0074720(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1879656(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01F 38/14
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 53/12
H02J 50/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘導電力伝達パッド(10)であって、
誘導電力伝達中に電磁場を生成又は受信するための一次導体構成(36)と、
前記誘導電力伝達中に、気流(22)を生成するように構成された気流生成システム(37)と、を備え、
前記気流(22)が、内部気流として、空気を、前記誘導電力伝達パッド(10)の周囲から吸い込み、前記誘導電力伝達パッド(10)の内部の空間(40、48)を通って、気流出口部(60)を介して、前記誘導電力伝達パッド(10)の周囲に戻すように方向付けられており、
前記誘導電力伝達パッド(10)の周囲に戻すように方向付けられた前記気流(22)の少なくとも一部が、外側表面の気流として、前記空気を、二次導体構成を備えたデバイス(13)に面する前記誘導電力伝達パッド(10)の表面に沿って、前記周囲に流すように方向付けられており、
下記構成a1)又はb1)を有することを特徴とする誘導電力伝達パッド(10)。
a1)前記一次導体構成(36)が、電磁場を生成する構成である場合に、前記二次導体構成が、前記一次導体構成(36)によって生成された電磁場を受信する構成
b1)前記一次導体構成(36)が、電磁場を受信する構成である場合に、前記二次導体構成が、前記一次導体構成(36)によって受信される電磁場を生成する構成
【請求項2】
前記周囲に流れ込む前記気流(22)の少なくとも一部の流れ方向が、前記一次導体構成(36)を含む平面又は前記一次導体構成(36)と平行に延びる平面に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項3】
動作時に、前記流れ方向が、前記誘導電力伝達パッド(10)のエッジ部に向かって傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項4】
前記気流(22)の少なくとも一部が、前記二次導体構成を備えた前記デバイス(13)に向かって流れるように方向付けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項5】
前記気流(22)の少なくとも一部が、前記誘導電力伝達パッド(10)の外側部としての、前記二次導体構成を備えたデバイス(13)に面する前記一次導体構成(36)の表面に沿って、少なくとも部分的に流れるように方向付けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項6】
前記気流生成システム(37)が、前記気流(22)を前記周囲に向けるための少なくとも1つの前記気流出口部(60)を備え、前記気流出口部(60)が、閉口状態と開口状態との間で駆動可能なフラップ(62)を備えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項7】
静止部(12)と、可動部(18)と、当該可動部(18)を駆動軸(z)に沿って前記静止部(12)に対して相対的に駆動させるための駆動機構(30)と、を備え、前記フラップ(62)は、前記可動部(18)の動きに応じて前記開口状態と、前記閉口状態との間で駆動可能であることを特徴とする請求項6に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項8】
前記フラップ(62)を前記開口状態と前記閉口状態との間で駆動させるために、前記フラップ(62)が、前記静止部(12)に対して選択的に静止するか、又は前記静止部(12)から離れて駆動するように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項9】
前記フラップ(62)が、前記開口状態にバイアスされていることを特徴とする請求項6~8のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項10】
前記フラップ(62)が、前記気流(22)の少なくとも一部を定義された向きで前記周囲に導くための導風構造(80)を備えることを特徴とする請求項6~9のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項11】
前記導風構造(80)が、前記気流出口部(60)の断面と比較して、前記気流(22)を広げるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項12】
前記導風構造(80)が、前記気流(22)の少なくとも一部を、前記誘導電力伝達パッド(10)の反対側のエッジ部に向けるように構成されていることを特徴とする請求項10に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項13】
前記気流生成システム(37)が、前記誘導電力伝達パッド(10)の動作中に電磁場を生成するための一次導体構成(36)と、前記誘導電力伝達パッド(10)のベースプレートとの間の空間(40)を介して前記気流(22)を生成するように構成されていることを特徴とする請求項1~12のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッド(10)。
【請求項14】
誘導電力伝達構成(11)であって、
請求項1~13のいずれか一項に記載の誘導電力伝達パッド(10)と、前記二次導体構成を含むデバイス(13)と、を備えており、
前記気流(22)の少なくとも一部が、前記デバイス(13)と前記誘導電力伝達パッド(10)との間の自由空間を介して導かれることを特徴とする誘導電力伝達構成(11)。
【請求項15】
誘導電力伝達パッド(10)を冷却するための冷却方法であって、
前記誘導電力伝達パッド(10)が、誘導電力伝達中に電磁場を生成又は受信するための一次導体構成(36)と、前記誘導電力伝達中に、気流(22)を生成するように構成された気流生成システム(37)と、を備えるとともに、下記構成a2)又はb2)を有しており、
a2)前記一次導体構成(36)が、電磁場を生成する構成であり、二次導体構成が、前記一次導体構成(36)によって生成された電磁場を受信する構成
b2)前記一次導体構成(36)が、電磁場を受信する構成であり、前記二次導体構成が、前記一次導体構成(36)によって受信される電磁場を生成する構成
前記気流を、内部気流として、前記誘導電力伝達パッド(10)の周囲から空気を吸い込み、当該空気を前記誘導電力伝達パッド(10)の内部の空間(40、48)に流し、前記空気を、気流出口部(60)を介して、前記誘導電力伝達パッド(10)の周囲に戻るように方向付ける工程と、
前記誘導電力伝達パッド(10)の周囲に戻すように方向付けられた前記気流の少なくとも一部を、外側表面の気流として、前記空気を、二次導体構成を備えたデバイス(13)に面する前記誘導電力伝達パッド(10)の表面に沿って、前記周囲に流れるように方向付ける工程と、を有することを特徴とする誘導電力伝達パッド(10)を冷却するための冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘導電力伝達パッド(以下、冷却システムと称する場合がある。)及びそれを冷却するための冷却方法に関する。
より具体的には、気流生成システムを含む誘導電力伝達パッド、誘導電力伝達構成、及び、特に気流を介して誘導電力伝達パッドを冷却するための冷却方法や冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車、特に走路拘束型車両、及び/又は路面走行用自動車は、誘導電力伝達によって伝達される電気エネルギーによって作動可能である。
そのような車両は、交流電磁界を受信し、電磁誘導によって交流電流を生成するように適合された受信装置を含む、車両の牽引システム又は牽引システムの一部でありえる所定回路構成を備えている。
更に、そのような車両は、交流(AC)を直流(DC)に変換するための整流器を備えることが好ましい。この場合、DCは、トラクションバッテリーの充電や電気機械の操作に使用することができ、後者の場合、DCは、インバーターによってACに変換可能である。
【0003】
誘導電力伝達は、例えば、2つの導体構成を使用して実行され、より具体的に、三相導体巻線の第1セット及び第2セットの形で使用される。
又、導体は一般的にケーブルであってもよい。そして、第1セットの一次側導体構成(以下、第1の一次側導体構成と称する場合があり、単に、一次導体構成と称する場合がある。)は、地面に設置されて、一次導体巻線構成、又は一次導体巻線構造を形成し、沿線電力変換器(wayside power converter、WPC)によって給電することが好ましい。
又、第2セットの二次側導体構成(以下、第2の二次側導体構成と称する場合があり、単に、二次導体構成と称する場合がある。)は、二次導体巻線構成、又は二次導体巻線構造、又は二次ユニットを形成し、車両に取り付けられる。
例えば、路面走行用自動車の場合、その複数の台車のうちの一部の下に、二次導体構成を車両の下に取り付けることが好ましい。又、自動車の場合、二次導体構成を、車両のシャーシの下側等に取り付けることが好ましい。
二次導体構成、又は一般的に、二次側は、ピックアップ構成又は受信機と呼ばれることが多い。
そして、一次導体構成及び二次導体構成は、電気エネルギーを車両に伝達するための高周波変圧器を形成する。
この電気エネルギーの伝達は、静的状態(車両の動きがない場合)と動的状態(車両が動いている場合)において行うことができる。
【0004】
又、誘導電力伝達に関し、静止部と可動部を含む誘導電力伝達パッドが最新技術として知られている。
例えば、特許文献1(WO2015/128450A1)において、静止部と可動部を含む誘導電力伝達パッドが開示されている。
そして、可動部は、一次導体構成を備え、その可動部は、静止部から持ち上げられる(伸長される)か、又は静止部の近くに移動される(収縮される)ことによって、収縮状態と伸長状態との間で移動可能である。又、伸長状態では、一次導体構成と二次導体構成との間のエアギャップが、収縮状態と比較して減少する。更に、収縮状態では、誘導電力伝達パッドの寸法が、伸長状態と比較して減少する。
従って、誘導電力伝達パッドは、伸長状態と比較した場合、障害物になりにくくなる可能性がある。
【0005】
このような誘導電力伝達パッドの可動部は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)などの電子部品が配置されている、少なくとも1つの電子ハウジングを備えていてもよい。これらの電子部品は熱を発生する。
更に、発生した熱は、可動部と二次側(例えば、電力が誘導的に伝達される車両によって形成される)との間で、減少したエアギャップ内に集中する可能性がある。
どちらの場合も、誘導電力伝達パッドの部品が過熱のため破損するおそれがある。
しかしながら、本発明は、可動部を備えた誘導電力伝達パッドに限定されず、例えば、非可動導体構成又は少なくとも非可動一次導体構成を有する誘導電力伝達パッドについても、効力が及ぶものとする。
【0006】
加えて、又は代わりに、誘導電力伝達パッドは、電線でできた少なくとも1つのコイルを備えており、かかる少なくとも1つのコイルは、エネルギーを対応物に伝達する電磁場を受信又は生成するように適合することが好ましい。
従って、少なくとも1つのコイルが電磁界を受け取る場合、電圧が1つ又は複数のコイルに誘導される。そして、特に、本発明は、この種の電力伝達パッドに関する。
よって、少なくとも1つのコイルの動作中、すなわち、エネルギー伝達中に電磁場が生成又は受信されている間、それぞれのコイルに電流が流れ、熱が生成される。
【0007】
これまでは、誘導電力伝達パッド内又は誘導電力伝達パッドで発生する熱を、熱伝導又は熱放射によって、周囲に放散すれば十分であると考えられてきた。
しかしながら、全ての場合においては、熱伝導又は熱放射による周囲への放熱だけでは、十分ではない可能性があることが見出されている。
【0008】
よって、本発明の目的は、誘導電力伝達パッドにおける熱の放散性(以下、冷却性と称する場合がある。)を主として改善することである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】WO2015/128450A1
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち、本発明の目的は、添付されている特許請求の範囲に記載された独立請求項の技術的事項に従って、所定装置、所定構成、及び所定方法によって解決することができる。
又、有利な実施形態における技術的事項は、特許請求の範囲の従属請求項として定義され、記載されている。
更に、背景技術に関する説明の導入部分で言及された技術的特徴は、他に既に言及されていないか、又は明白でない限り、個別に又はそれらの任意の組み合わせでもって、現在開示されている解決策において、含めて提供することができる。
【0011】
本発明の基本的な考え方によれば、誘導電力伝達パッドは、誘導電力伝達中に、ただし、任意選択でその前後においても、気流(以下、空気流と称する場合がある。)を生成するように構成されており、生成された気流は、周囲に向けられる。
例えば、気流は、誘導電力伝達パッドから周囲に向けられる。それにより、例えば、誘導電力伝達中に蓄積される可能性のある、加熱された所定体積を有する空気を除去することができる。
又、例えば、そのような熱の蓄積は、誘導電力伝達パッドと、二次ユニットと、の間の空間又はエアギャップで発生する可能性がある。
追加的又は代替的に、気流を使用して、誘導電力伝達パッドの内部から空気を周囲に運ぶことによって、発熱を加熱された空気として除去することができる。
これは又、誘導電力伝達パッドの内部から除去された空気を置き換え、周囲から空気を吸い込む効果を生み出す可能性がある。
このようにして、冷却効果を発揮する、誘導電力伝達パッドを通過し、特に少なくともその可動部を通る気流を作り出すことができる。
【0012】
具体的には、誘導電力伝達パッドであって、誘導電力伝達時に電磁界を生成又は受信するための導体構成、すなわち、一次又は二次導体構成と、誘導電力伝達時に気流を生成するように構成された気流生成システムとを備え、気流は誘導電力伝達パッドの周囲に向けられることを特徴とする誘導電力伝達パッドが提案される。
【0013】
ここで、導体構成は、前述の既知の例のいずれかに従って構成することが好ましく、例えば、一次導体構成である場合、個々の、すなわち導体固有の交流によってエネルギーを与えられる3つの導体のセットを含み、電流は、好ましくは、互いに位相オフセットされている。
【0014】
又、気流生成システムは、気流を生成するために、ファン、ポンプ、又は一般的な圧力差発生手段などの気流生成ユニットを備えることが好ましい。
その上、以下に詳述するように、気流生成システムは又、ダクト、チャネル(通路)、導風構造、気流入口部及び/又は気流出口部、又は一般的に、所望の方法で気流を生成及び/又は誘導するための任意の要件を含んでいることが好ましい。
【0015】
又、誘導電力伝達パッドの周囲に関し、一般的には、誘導電力伝達パッドが配置されている周囲によって形成されえる領域であるが、例えば、サービスステーション、ワークショップ、ガレージ、道路セクション、又は駐車場等の周辺が該当する。
もちろん、例えば、車両への誘導電力伝達中は、これらの周囲は、車両及び/又はその二次ユニットによって少なくとも部分的に形成され、占有されることが好ましい。
【0016】
又、気流は、誘導電力伝達パッドの内部から周囲に向けられることが好ましく、又は誘導電力伝達パッドの外側部分から周囲に向けられることが好ましい。
気流の少なくとも一部の方向は、誘導電力伝達パッドから離れるように向けられるように選択されることが好ましい。
追加的又は代替的に、気流の少なくとも一部の方向は、誘導電力伝達パッドの一部に沿って、例えば、誘導電力伝達パッドの外側又は外面に沿って、例えば、さらなるデバイスに面しながら、及び/又は可動部の上面に沿って流れるように向けられるように選択されることが好ましい。
【0017】
一般に、上述した気流は、気流生成システムによって生成される空気の体積流量によって形成された空気の流れであるが、及び/又はそのように形成された空気の流れとして定義される。
【0018】
又、気流の少なくとも一部は、例えば、後述する送風口を構成する平面と比較して、及び/又は当該送風口の断面と比較して、実質的に直交するように周囲に向けられていることが好ましい。
このようにして、気流は、対向する車両又は導体構成を備えた別の装置に向けられ、例えば、望ましい方法で迂回することが好ましい。
より具体的には、気流は、誘導電力伝達パッドの外側面又は外面の少なくとも一部に沿って流れるように、及び/又は可動部の上側に沿って流れるようにして迂回することが好ましい。
【0019】
本発明の誘導電力伝達パッド及び冷却方法の一実施形態によれば、周囲に流入する気流の少なくとも一部の流れ方向が、導体構成を含む平面又は導体構成と平行に延びる平面、及び/又は上述の移動軸と直交するように延びる平面に対して傾斜していることが好ましい。
又、追加的又は代替的に、かかる平面は、後述の気流出口部、可動部の上側、又は、可動部と静止部が延びる又は平行に延びる平面のうち、少なくとも1つを含むことが好ましい。
又、かかる平面は、水平空間平面に対応するか、又は平行に延びることが好ましい。
なお、導体構成は、物理的には3次元であるが、通常、その巻線及び/又は曲がりくねったコースが主に又は完全に形成される平面を有することに留意されたい。
従って、かかる平面は、導体構成の平面と呼ばれることがある。
【0020】
更に、平面は、誘導電力伝達パッドと、電磁場を生成又は受信するそれぞれの他の導体構成を含むデバイスとの間に平行に延びるか、又は空間、すなわち、エアギャップを含むことが好ましい。
更に、誘導電力伝達の場合、誘導電力伝達パッドは、例えば、最大磁束を有する磁力線を基準にして、平面に直交して延びる方向に、電力を伝達することが好ましい。
【0021】
気流として空気が流れる方向は、例えば、平面内に沿うか、あるいは、平面に対して、少なくとも40°、少なくとも60°、少なくとも75°、又は少なくとも80°の角度(傾斜)をなすことが好ましい。
【0022】
従って、本発明において、気流の少なくとも一部に言及すると、その部分は、例えば、全体容積(100%)の少なくとも20%、少なくとも40%、少なくとも60%、又は少なくとも80%の気流の体積占有率を備えていることが好ましい。
そして、例えば、気流の定義された期間及び期間中の気流によって構成され、例えば、気流出口部などの定義された断面を通って流れる総空気量を基準にして、構成されることが好ましい。
【0023】
又、傾斜しているため、気流は、特に誘導電力伝達パッドの少なくとも一部に沿って、特に可動部の上側に沿って、流れを達成するように、望ましい方法で方向付けられることが好ましい。
又、追加的又は代替的に、傾けることで、気流を、更なる導体構成を含む更なるユニット(二次ユニット)又は更なるデバイスに向けるのに役立つため、例えば、可動部と二次ユニットとの間のエアギャップを通って流れるように、望ましい方法で偏向させることが好ましい。
【0024】
この本発明の説明において、流れる方向は、誘導電力伝達パッド、特に任意の可動部の、好ましくは反対のエッジ部又は本明細書で同義的に使用されるエッジ領域に向かって傾斜することが好ましい。
言い換えると、動作中、流れ方向は、誘導電力伝達パッドのエッジ部に向かって傾斜することが好ましい。
具体的には、気流は、誘導電力伝達パッドの定義された部分、特に可動部、例えば、エッジ部又は中央部で、周囲から開始する及び/又は周囲に入ることが好ましい。
そして、エッジ部に向かって傾斜しているため、気流が、誘導電力伝達パッドに沿って少なくとも部分的に流れることが保証され、それによって、局所的に蓄積された可能性のある加熱された空気を除去することが好ましい。
一例ではあるが、誘導電力伝達パッド、及び特に可動部又は少なくともその上側は、例えば、長方形又は多角形の形状又はフットプリントで設計されることによって、少なくとも2対の対向するエッジ部を有する。
【0025】
誘導電力伝達パッド及び冷却方法の一例では、気流の少なくとも一部が、電磁場を生成又は受信するかのそれぞれの他方のために構成された導体構成を含むデバイスに向けられる。例えば、気流の少なくとも一部は、電力伝達パッドによって誘導的に充電されるデバイス、又は誘導電力伝達パッドを備えたデバイスを誘導的に充電するデバイス等に向けられる。
車両などの上記のデバイスは、例えば、二次ユニットを備えることが好ましい。
上記のように、このようにして、デバイスを使用して、所望の方法で気流を偏向させることが好ましい。例えば、誘導電力伝達パッドの少なくとも一部に沿って、特にその任意の可動部に沿って、及び/又は誘導電力伝達パッドとデバイスとの間のエアギャップを通して誘導され、それによってそこに蓄積された加熱空気を除去することが好ましい。
これは、例えば、気流出口部を、所望の又は複雑な方法で必ずしも適合させたり配置したりする必要なしに、所望の方法で気流を向ける単純かつ効率的な方法を表している。
【0026】
誘導電力伝達パッド及び冷却方法の更なる実施形態によれば、気流の少なくとも一部は、電磁場を生成するか受信するかのそれぞれの他方に形成された導体構成を備えたデバイスに面している誘導電力伝達パッドの側面又は表面の外側部に沿って、例えば、任意の可動部の上側に沿って、流れるように向けられる。
これは、例えば、気流出口部から流れ出るときに、その一部が前記側の一部に沿って直接流れるように気流を向けることを含むことが好ましい。
又、追加的又は代替的に、気流の少なくとも一部を、デバイス等の偏向構造体へ向け、当該偏向構造体が気流を上記側面に沿って導くように偏向することで、同様のことが達成されることが好ましい。
このようにして、上記側面又はそれに隣接して蓄積する熱を効果的に除去することができる。そして、蓄積する熱を効果的に除去することで、例えば、誘導電力伝達パッドの損傷を回避することが好ましい。
【0027】
なお、一般的に知られている方法では、更なる導体構成を備えたデバイスは、一般的に、少なくとも誘導電力伝達の間、誘導電力伝達パッドの反対側に配置されることが好ましいことにも留意されたい。
【0028】
又、誘導電力伝達パッド及び方法のさらなる開発において、気流生成システムは、気流を周囲に向けるための気流出口部を備えることが好ましい。
かかる気流出口部は、周囲への少なくとも1つの開口部を含む可能性があり、開口部の断面の法線は、周囲に向けられる気流の流れ方向を規定することが好ましい。
そして、追加的又は代替的に、流れの方向は、後述するフラップによって定義されるか、又は少なくとも影響を受けることが好ましい。
【0029】
すなわち、気流出口部は、気流の少なくとも一部が周囲に向かって流れる誘導電力伝達パッドの内部空間、例えば、ダクト、チャネル、自由空間などで形成されるか又はそれらを備えている内部空間に接続されていることが好ましい。
これは、例えば、その内部の電気部品によって生成された熱及び/又は、電線の少なくとも1つのコイルを流れる少なくとも1つの電流によって発生した熱を除去するために、気流が誘導電力伝達パッドの内部を部分的に拡張したり、流れたりする後述の実施形態に関連していることが好ましい。
【0030】
又、一例では、気流出口部は可動部に配置されていることが好ましい。
このようにすると、気流は、さらなる導体を含むデバイスの近く、及び/又は当該デバイスと可動部との間のエアギャップ近くを流れることが好ましい。
【0031】
具体的には、気流出口部は、電磁界を生成するか、又は受信するかのそれぞれの他方に対応して形成されている更なる導体構成を備えたデバイスに面する可動部の上側、又は一般的には、可動部の外側あるいは可動部の外側表面に配置されたり、又は隣接していたりすることが好ましい。
更に、気流出口部は、外側又は外表面のエッジ部に配置されることが好ましい。
この場合、可動部の広い領域及び/又は外側又は外表面を気流で覆うように、気流の少なくとも一部を反対側のエッジ部に向けることが特に好ましい場合がある。
更に、気流は、反対側のエッジ部以外の他のエッジ部、例えば、気流出口部を備えたエッジ部に対してある角度、例えば、直交して延びるエッジ部にも到達するように広げられることが好ましい。
これは又、気流によって広い領域をカバーするのに役立ち、従って効果的な除熱による冷却を可能にする。
【0032】
更に、気流出口部は、閉口状態と少なくとも1つの開口状態との間で、又は、言い換えれば、閉じた設定と開いた設定との間、又は閉じた位置と開いた位置との間で、移動可能なフラップを備えることも好ましい。
閉口状態では、フラップは、気流が周囲に向けられるのを妨げることが好ましく、すなわち、気流が周囲に到達しない、及び/又は誘導電力伝達パッドの内部空間から出ない状態となる。
一方、開口状態では、逆のことが当てはまり、フラップに大きく邪魔されることなく、気流が周囲に向けられることが好ましい。
すなわち、閉口状態は、誘導電力伝達パッドの非アクティブ状態で特に想定されえるが、例えば、非伝達状態で、電磁界を生成又は受信していないときである。又、閉口状態の場合、可動部を引っ込めることが好ましい。
又、開口状態は、誘導電力伝達パッドのアクティブ状態で特に想定されることが好ましいが、例えば、誘導電力伝達を実施するとき、及び/又は電磁場を生成又は受信するときである。この場合、可動部を伸ばすことが好ましい。
【0033】
又、フラップを開口状態とすることで、効果的な気流の生成を実現することが好ましい。逆に、閉口状態にすることで、汚れやほこりなどの異物(微粒子)が気流出口部に侵入し、誘導電力伝達パッドの内部空間に到達することを防ぐことが好ましい。
従って、誘導電力伝達パッドの内部汚染のリスクを回避するために、誘導電力伝達が行われない場合には、一般的に、フラップを選択的に閉じることが好ましい。
一方、誘導電力伝達が行われる場合には、その際に発生する熱を補償するために、フラップは選択的に開かれるか、あるいは開かれたままにすることが好ましい。
【0034】
フラップは、可動部の動きに応じて、又は別の言い方をすれば、機能として、開口状態と閉口状態との間で移動可能であることが好ましく、又は移動することが好ましい。
上記のように、可動部の伸長状態ではフラップを開くことが好ましく、収縮状態ではフラップを閉じることが好ましい。
開口状態と閉口状態との間の変化は、伸長状態と収縮状態との間の動きによって少なくとも間接的に引き起こされることが好ましく、及び/又は一般的に、そのような動きの間に行われることが好ましい。
例えば、この状況で生成される力及び/又は発生する相対運動を使用して、フラップを開閉することも好ましい。
又、例えば、フラップの一部は、閉口状態と開口状態との間の変化を達成するために、かかる移動中に生成された力に選択的に接触させられることが好ましく、又は選択的にさらされることが好ましい。これは通常、システムの複雑さを軽減し、必要に応じてフラップを確実に開閉できるようにするのに役立つことになる。
【0035】
又、フラップの閉口状態と開口状態との間の変化は、専用のアクチュエータなしで、すなわち、当該変化を達成するための力及び/又は動きを提供することを主な目的とするアクチュエータなしで、達成することが好ましいと一般的には考えられる。
むしろ、可動部の動きを引き起こすためにアクチュエータによって生成される力及び/又は動きを使用して、フラップを開閉することも好ましい。
従って、フラップは、後述するように、バイアス部材、ベローズ、又は静止部の領域など、他の要件やユニットが作用したときのみ開閉する受動システムとして設計することが好ましい。
しかしながら、フラップのためのアクチュエータを提供することは、本発明の明細書に記載した発明において等しく可能である。
【0036】
具体的には、フラップを開口状態と閉口状態との間で移動させるために、フラップは、例えば、閉口状態を達成するために、静止部に対して選択的に載っていたり、例えば、開口状態を達成するために、静止部から持ち上げられたり移動させられたりするように構成されていることが好ましい。
従って、静止部に対して載っているためには、例えば可動部を動かして収縮状態にする際に、フラップを引っ張るか、又は強制的に静止部に接触させることが好ましい。
又、フラップを静止部から持ち上げるために、可動部をその伸長状態に移動させることが好ましく、それによってフラップと静止部の間の距離を増加させる。
静止部、特にそのフレーム又はリム部に載っているとき、フラップは、好ましくはその閉口状態をとるように、回転軸周りに傾けることが好ましい。
静止部から持ち上げられるとき、フラップは、好ましくはその開口状態をとるように、閉口状態をとるときとは反対の挙動で回転することが好ましい。
【0037】
更に、フラップは、静止部の剛性部及び、可動部と静止部を接続するベローズの少なくとも一方に対して静止するように構成されていることが好ましい。
かかるベローズは、一般的には、変形可能及び/又は伸縮可能なベローズであることが好ましく、可動部の伸縮に応じて伸縮可能であることが好ましい。
当該ベローズの可動部に面するか又はそれに接続されている上側のリップ又は取り付け部は、フラップが選択的に静止し、それによって好ましくは閉じた位置に強制される一部分を提供することが好ましい。従って、静止部の剛性部は、変形不可能な部分によって提供されることが好ましいが、金属又はプラスチック材料で構成されていることが好ましい。
一例では、剛性部は、少なくとも収縮状態にあるときに、可動部を受け止める、及び/又は部分的に囲むフレーム又はリム部によって提供される。
【0038】
又、特定の実施形態によれば、硬度等が硬いコンポーネント(部品1)と柔軟なコンポーネント(部品2)の2つのコンポーネントから構成されることが好ましい。
少なくとも一方のコンポーネント、特に両方のコンポーネントは、射出成形によって製造されることが好ましい。
又、2つのコンポーネントを備えた本発明の実施形態は、アセンブリの公差を補償するための弾性変形可能な要素をフラップと組み合わせることができ、及び/又はフラップに統合することができるという利点を有する。
あるいは、フラップは、例えばゴム製の単一の弾性変形可能な部品として実現さることが好ましい。
【0039】
又、追加的又は代替的に、フラップは開口状態にバイアスされるが好ましい。
これは、少なくとも1つのバイアス部材として、バネを備えたフラップによって達成されることが好ましい。
一例ではあるが、バイアス部材は、ねじりバネである。従って、例えば、バイアス部材は、脚バネであることが好ましい。バネの一方の脚部は、少なくとも選択的に、静止部、ベローズ、又はフラップなどに接触することが好ましく、脚部を規定の方法で動かすと、バネを選択的に圧縮し、フラップをその閉口位置に押し込む。
一方、可動部を伸長状態にすると、脚部は変形していない状態に戻り、フラップが開くことになる。
これは更に、システムの複雑さを軽減するのに役立つことになる。すなわち、フラップを操作するための追加のアクチュエータを提供するのと比較して、必要に応じてフラップを確実に開閉するのに役立つことになる。
【0040】
更に、開口状態にあるとき、フラップとフラップを受け入れる気流出口部の開口部との間に通路を形成することが好ましく、かかる通路は、汚れ又はほこりなどの微粒子状の物質が、誘導電力伝達パッドの第1の領域から、第1の領域とは別の領域へ通過することを可能にする。
例えば、フラップを受け入れる開口部によって定義される断面は、フラップがその開口状態にあるときに少なくとも部分的に遮られないようになっていてもよく、特に、物質が通過しえる、好ましくは直線的な軸に沿って延びるチャネル状の通路を定義してもよい。
具体的には、通路は、可動部の上側から、上側とは反対側で、静止部に面する下側まで延びることが好ましい。
例えば、後述する導風構造に巻き込まれることによって、フラップ又はその上に蓄積した汚れ又はほこりは、閉塞を回避するために、通路を通過し、その結果、気流出口部から除去されることが好ましい。
【0041】
誘導電力伝達パッド及びその冷却方法の更なる実施形態によれば、フラップ、及び/又はフラップを受け入れる開口部、及び/又は当該開口部を備えた空気ダクトは、気流の少なくとも一部を、定義された方法や、定義された方向で周囲に導くための導風構造を備えることが好ましい。
かかる導風構造は、少なくとも1つのガイドプレート、デフレクタープレート又はバッフルプレートを備えていることが好ましい。
一例ではあるが、導風構造は、互いに異なる方向に向けられた複数のそれぞれのプレートを備えていることが好ましい。
具体的には、フラップ(又は開口部)のエッジ部又はその近くで、プレートは、当該エッジ部に向かって傾斜し、特に、フラップの中央部及び/又は導風構造の中央プレートから離れるように傾斜していることが好ましい。
言い換えれば、導風構造のプレートは、フラップの中央部分又はフラップの外側エッジ部への開口部から見たときに、好ましくは連続的に、外向きに広がる又は傾斜する配置を規定するように配向されていることが好ましい。
【0042】
このように、プレートを備えていない他の導風構造によっても、導風構造は、一般に、気流出口部の断面に比べて気流を広げるように構成されていることが好ましい。
従って、広い領域を気流で覆うことができ、効果的な除熱による冷却が達成される。
【0043】
前述のように、一般的に、気流の少なくとも一部を、誘導電力伝達パッドの反対側のエッジ部に向けることが好ましく、特に、フラップが配置されているエッジ部分とは異なる一対の反対側のエッジ部に向けることが好ましい場合がある。
これらのエッジ部は、フラップを備えるエッジ部に対してある角度で延びることが好ましい。
反対側のエッジ部に向かう気流のそのような拡大は、上記の導風構造によって達成されることが好ましい。
具体的には、かかる導風構造は、気流の一部を第1のエッジ部に、別の部分を第2のエッジ部に誘導することが好ましく、かかるエッジ部は、好ましくは互いに反対に配置され、又、フラップを備えるエッジ部とは異なるエッジ部や、フラップを備えるエッジ部と正対するエッジ部であることが好ましい。
【0044】
本発明の誘導電力伝達パッド及びその冷却方法のさらなる実施形態によれば、気流生成システムは、誘導電力伝達パッドの少なくとも一部、特に可動部の少なくとも一部を介して、誘導電力伝達パッドの周囲に気流を生成するために、又は、言い換えれば、拡大させるように気流を生成するために構成されていることが好ましい
言い換えれば、気流生成システムは、誘導電力伝達パッドの少なくとも一部の内部及び/又はそれを通って流れる内部気流を生成するように構成されていることが好ましい。
そうするためには、それは内部空間内で循環されるか、又は後述するように、外部から吸い込まれ、次に再び周囲に戻すように向けられることが好ましい。
【0045】
気流が流れる内部空間は、静止部と可動部との間の空間を備えていてもよく、例えば、好ましくは、静止部と可動部の両方に接続されたベローズによって囲まれていてもよい。そのような空間内では、電気部品が熱源となる場合がある。
従って、本実施形態は、気流によって内部空間から熱を取り除くのに役立ってもよく、好ましくは、代わりにそれを周囲に誘導又は伝達するのに役立ってもよい。
【0046】
特に、誘導電力伝達パッドは、アルミニウム製のハウジングを備えていてもよく、ここで、ハウジングは、ハウジングの内部からハウジングの外部に熱を伝導する。
更に、ハウジングは、パッドの乾燥領域とパッドの湿潤領域とを分ける役割を果たすことが好ましい。水分や水などの液体が、パッドの周囲からパッドの湿った領域に入る可能性がある。特に、誘導電力伝達パッドの動作を制御しえるパッドの少なくとも1つの電子ユニットの領域とヒートシンク、すなわち、周囲、特にパッドの周囲との間で分離を行うことが好ましい。例えば、強制的な気流生成のためのファンは、ハウジングの外部及び/又は湿潤領域に配置されることが好ましい。
【0047】
特に、この明細書の説明において、気流生成システムは、周囲から誘導電力伝達パッドへの気流を生成するように構成されていることが好ましい。
例えば、ファン又は異なる圧力(差)を生成ユニットによって、空気が、例えば、上記の気流出口部とは異なる少なくとも1つの気流入口部を介して、内部空間に吸い込まれることが好ましい。
更に、空気は、誘導電力伝達パッドの少なくとも一部を通って流れ、その後、再び周囲に戻されることが好ましい。
従って、周囲からのより冷たい空気は、誘導電力伝達パッドを通して導かれ、及び/又は誘導電力伝達パッド内に蓄積された加熱空気は、誘導電力伝達パッドから搬出されることが好ましい。
どちらの場合も、誘導電力伝達パッドの効果的な冷却を実現することが好ましい。
気流入口部及び気流出口は、一般的に、誘導電力伝達パッド内の自由空間によって、及び/又はそこに形成された専用の通路又はチャネル、例えば、ダクト又はパイプによって部分的に囲まれて接続されることが好ましい。
【0048】
誘導電力伝達パッドは、一般的に、少なくとも1つの空気入口部を、例えば、床又は当該パッドが取り付けられている装置に面する下側に備えていることが好ましい。
【0049】
一例によれば、周囲からの気流が、下記1)~3)の経路のうちの少なくとも1つを介して誘導電力伝達パッドに入ることが好ましい。そして、それぞれが気流入口部の一例を表している。
1)静止部に設けられた少なくとも1つの開口部、特に可動部とは反対側に面する静止部の下側に設けられた開口部。
2)可動部と静止部を連結する、好ましくは変形可能及び/又は収縮・伸長可能なベローズの少なくとも1つの開口部。
3)可動部に設けられた少なくとも1つの開口部、特に外側カバーと、当該外側カバーによって覆われる可動部の構造体との間に設けられた開口部。
【0050】
開口部は、例えば、貫通穴の形で提供され、円形の断面形状を有することが好ましい。あるいは、開口部は、スリット又はギャップの形で提供されることが好ましい。
又、開口部の直径、長さ、及び/又は幅は、数ミリメートルに制限されることが好ましい。
より具体的には、開口部の直径等の少なくとも2つは、20mm未満、10mm未満、又は5mm未満である。
このようにして、誘導電力伝達パッドの内部に汚れが入るリスクを低減すことが好ましい。
但し、これは、静止部の下側の開口部には適用されない場合がある。この場合、下側と静止部が置かれている床や設置面との間の距離が小さいことで、例えば、20mm未満、10mm未満、又は5mm未満とすることで、誘導電力伝達パッドの内部に汚れが入るリスクを抑えられることが好ましい。
【0051】
誘導電力伝達パッド及びその冷却方法のさらなる例によれば、気流生成システムは、少なくとも1つのファン、例えば、遠心ファン、又は別の言い方をすれば、ブロワーを備えることが好ましい。
かかるファンは、空気を加速するためのインペラを備え、それによって気流を生成することが好ましい。
又、ファンは、空間又はダクト内に配置してもよく、それは、少なくとも1つの気流出口部に接続され、好ましくは、誘導電力伝達パッドの気流入口部にも接続される。すなわち、流体伝導的な方法で、又は言い換えれば、ファンと気流出口部及び気流入口部との間で空気が運ばれるように接続される。
かかるファンは、必要な気流を生成するためのコンパクトで信頼性が高く安価な手段となりえる。
【0052】
ファンは、周囲から空気を吸い込み、その空気を周囲に戻すことで、周囲への空気の流れを作り出すように構成されていることが好ましい。
このような構成とすることで、誘導電力伝達パッド内に配置された場合、吸い込まれ後の空気を、誘導電力伝達パッドを通して、例えば、気流出口部に向かって運ぶことができる。
又、ファンが局所的に空気の量を加速し、その結果、空気がファンに向かって吸引又は引き込まれたりすることで圧力差が生じ、吸引効果を得ることができる。
【0053】
又、ファンは、静止部に面する可動部の下側に配置されることが好ましい。
かかる下側は、例えば、後述するベースプレートによって形成されることが好ましい。開口部又はダクトは、下側を通って延びるか、又は下側に接続されることが好ましく、その結果、空気は、可動部の上側及び/又はベースプレートと、例えば、電磁界の生成及び/又は受信するための導体構成との間の空間を通過することが好ましい。
このようにして、特に内部空間から、可動部の上側にある気流出口部に向かって、所望の気流を効果的に生成する、ファンの空間効率の良い配置が達成される。
【0054】
誘導電力伝達パッド及びその冷却方法のさらなる実施形態では、気流生成システムは、誘導電力伝達デバイス内の気流を気流出口部に向けて導くための少なくとも1つの導風構造を備える。
又、導風構造は、ダクト、チャネル、通路、及び/又は少なくとも1つのバッフルプレート、デフレクタープレート又はガイドプレートを備えていることが好ましい。
又、導風構造は、任意の気流入口部から気流出口部及び/又はファンに気流を向けるように構成されていることが好ましい。
同様に、導風構造は、気流をファンから気流出口部に向けるように構成されていることが好ましい。
そうすることにより、気流を、熱源に近い領域及び/又は過熱が懸念される領域から熱を効果的に除去するように誘導することが好ましい。
又、導風構造は、例えば、ファン又は同様の気流生成手段を配置することに関して自由度を増加させることが好ましい。
この理由は、気流出口部又は気流入口部は、それらの間の相対変位を、導風構造によって、補正されえるからである。
すなわち、所望の方法で空気を導くことを可能にする導風構造によって、関連するユニットと部分との間のオフセットを補償することを可能にする。
【0055】
又、誘導電力伝達パッド、より正確には、可動部は、導体構成、及び特に導体構成のベアリング部材と誘導電力伝達パッドのベースプレート、特に可動部のベースプレートとの間の自由な空間を備えていることが好ましい。
従って、気流生成システムは、例えば、可動部内の自由な空間を通して、特に導体構成と可動部のベースプレートとの間に気流を生成するように構成されていることが好ましい。
かかるベースプレートは、アルミニウムなどの金属材料で構成されていることが好ましい。
ベースプレートは、一次導体構成によって生成される電磁場から周囲を少なくとも部分的に遮蔽するために、電磁遮蔽効果を提供することが好ましい。
ベースプレートは、一般的に知られている方法で、一次導体構成によって生成された磁束を導くように、フェライト構成を運ぶことが好ましい。
【0056】
又、追加的又は代替的に、フェライト構成は、導体構成の近くに配置されることが好ましく、又は導体構成又は導体構成の例えば、板状のベアリング部材と係合することが好ましい。すなわち、例えば、導体構成のギャップの内部まで延ばされる。
又、この空間は、例えば好ましくは移動軸に直交して、導体構成及び/又はベースプレートの少なくとも一部に沿って延びるギャップ又はチャネルによって形成される。
一例ではあるが、導体構成及びベースプレートは、一般に、互いに距離を置いて配置されるか、又は導体構成及びベースプレートのうちの少なくとも1つは、当該部材間に空間を提供するためのスペーサー、例えば、突起を備えることが好ましい。
【0057】
導体構成のベアリング部材は、プラスチック材料、及び一般的に非金属材料で構成されていることが好ましい。
一般的に、ベアリング部材は、所望の方法で導体構成を支持及び/又は導くことに役立つことが好ましい。
そうするために、ベアリング部材は、導体構成の少なくとも一部を受け入れるために、例えば、凹部又はチャネルの形態をした受け入れセクションを備えていることが好ましい。
【0058】
上述したように、ファンは、ベースプレートの下側に配置され、導風構造、例えば、ダクト、開口部、又はチャネルの形態によって、当該ベースプレートを介して、ベースプレートと導体構成との間の空間に気流を導くように構成することが好ましい。
なお、導体構成は、一般的に、ベースプレートの上側の反対側に配置されることが好ましいことに留意されたい。
【0059】
本発明は更に、前述又は以下のいずれかの態様に従った誘導電力伝達パッドと、電磁場を生成するか又は受信するかのそれぞれの他方のために構成された導体構成を備えたデバイス、例えば、誘導電力伝達パッドによって電力が誘導的に伝達されるデバイスとを含む、誘導電力伝達のための構成に関する。
従って、当該構成によれば、気流の少なくとも一部は、例えば、誘導電力伝達パッドから、デバイスと誘導電力伝達パッドとの間の自由空間を通って方向付けられ、及び/又は、当該デバイスに向けられ、それによって偏向されることになる。
この偏向は、気流を所望の方法で、特に、例えば誘導電力伝達パッドの可動部とデバイスとの間に形成されたエアギャップの少なくとも1つのセクションに向けて、及び/又は当該エアギャップを介して誘導することが好ましい。
又、これは、誘導電力伝達のための構成の効果的な冷却を促進するのに役立つことが好ましい。
更に、電力伝達を達成するために誘導電力伝達パッドの反対側に通常配置されるデバイスを利用することで、気流を所望の方法で誘導するための簡単で安価な解決策が見出されている。すなわち、導風機能が少なくとも部分的にデバイスによって提供されるため、複雑な導風構造は必ずしも必要ではなく、及び/又は、気流出口部の位置決めにはより多くの自由度が与えられる。
【0060】
本発明は更に、誘導電力伝達パッドの冷却方法に関する。誘導電力伝達パッドは、誘導電力伝達中に電磁場を生成又は受信するための導体構成を備えており、この冷却方法は、誘導電力伝達中に、誘導電力伝達パッドの周囲に向けられた気流を生成する工程を含むことが好ましい。
【0061】
この冷却方法は、前述又は後述で議論された相互作用、動作状態、及び機能のいずれかを提供するために、任意のさらなるステップ、任意の開発、又は任意のさらなる特徴を備えていることが好ましい。
具体的には、デバイスの特徴に関する前述の又は後述の説明及び開発のいずれかが、同等の方法の特徴にも適用されることが好ましい。
一般的に、この方法は、前又は後の態様のいずれかによる誘導電力伝達パッド又は構成を用いて実現及び/又は実行することが好ましい。
具体的には、この方法は、誘導電力伝達パッドと二次導体構成を含むデバイスとの間に形成されたエアギャップに向かって及び/又はその中に気流を偏向させる工程を更に含むことが好ましい。
【0062】
例えば、この方法は、下記工程(1)~(4)のうちの少なくとも1つを含んでいることが好ましい。
(1)気流の少なくとも一部を、電磁場を生成又は受信するそれぞれの他方のための導体構成を含むデバイスに向ける工程
(2)誘導電力伝達パッドと当該デバイスとの間の空間、例えば、エアギャップを通して気流の少なくとも一部を導く工程
(3)気流の少なくとも一部を誘導電力伝達パッドの表面(当該表面は好ましくは上記デバイスに面している)に沿って導く工程
(4)気流の少なくとも一部を誘導電力伝達パッドの内部を通して、特にその可動部分を通して導く工程
【0063】
以下においては、本発明の実施形態を、添付の概略図を参照して説明する。それらの種類及び/又は機能に関して互いに対応する特徴は、図全体を通して同じ参照記号を割り当てられる場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1図1は、本発明の一実施形態によるかかる誘導電力伝達パッドの概略的な断面図である。
図2図2は、概略的に示された図1の動作原理を実行する方法を説明するために供する詳細な断面図である。
図3図3は、図2による、かかる誘導電力伝達パッドによって、二次ユニットの誘導充電プロセス中に生成された気流を説明するために供する図である。
図4図4は、図3にかかる誘導電力伝達パッドの詳細な側面図である。
図5図5は、図2にかかる誘導電力伝達パッドの閉口状態のフラップを示す説明するために供する詳細な断面図である。
図6図6は、図5にかかる誘導電力伝達パッドの開口状態のフラップを説明するために供する図である。
図7図7は、図5及び図6にかかる誘導電力伝達パッドのフラップの詳細な構造を説明するために供する図である。
図8図8は、図5にかかる誘導電力伝達パッドの閉口状態のフラップを開放位置へと付勢する構造を説明するために供す図である。
【発明を実施するための形態】
【0065】
以下では、本発明の方法の実施形態にかかる誘導電力伝達パッド10(以下、単にパッド10と称する場合がある。)及び構成11(以下、誘導電力伝達構成11と称する場合がある。)について説明する。
すなわち、図3に、一次導体構成(図示せず。)を含む誘導電力伝達パッド10と、二次導体構成(図示せず。)を含むデバイス13と、を備えた構成11が示されている。そして、かかるデバイス13は、自動車などの車両であり、当該車両の床下のセクション15のみが示されている。
【0066】
又、誘導電力伝達パッド10の基本設計としては、既知の構成とすることが好ましい。
具体的には、電力線を受け入れるための接続セクション14と、可動部18を受け入れるための長方形の凹部16とを有する床に取り付けられた静止部12が示されている。
そして、可動部18も同様に長方形の形状であり、誘導充電されるデバイス13に面する上側20、すなわち、上側表面又は外側表面)を有している。
【0067】
又、誘導電力伝達パッド10は、デバイス13の下側に取り付けられ、床面に向かって延在している構成である。
このように構成することで、デバイス13は、追加的又は代替的に、一次ユニットを携行することができ、誘導電力伝達パッド10は、二次ユニットを形成することが好ましい。
そして、誘導電力伝達パッド10は、可動部18又は可動導体構成が無い構成とすることが好ましい。
この場合(但し、これに限定されない)、後述するフラップ62は、当該フラップ62に作用するアクチュエータによって開閉できることが好ましい。
【0068】
ここで、図3において、座標系は、x-y平面を、例えば、静止部12と可動部18の設置跡と平行する、及び/又は重なる水平空間平面として示している。そして、z軸を、可動部18の移動軸にあたる垂直空間軸(すなわち、重力に沿った軸であり、重力とは反対の方向を向いている。)として示している。更に、図3では、可動部は、デバイス13を誘導充電し、更に、複数の細い線で示される気流22を提供する状態である伸長状態で示されている。
すなわち、電力伝達の方向(つまり、最大の磁束を持つ磁力線の方向。)もz軸に沿って伸びた状態になっている。
【0069】
又、図3には、軸A-Aも含まれている。そして、図1は、軸A-Aに沿った誘導電力伝達パッド10の概略断面図を示し、一方、図2は、図3の右側に示される誘導電力伝達パッド10のエッジ部の近くの斜めの切断面に沿った、より詳細な断面図を示す。
【0070】
又、図1では、床に取り付けられた静止部12と、可動部18を受け入れるための凹部16が再び見られる。静止部12は、床に面するその下側に円筒形の脚部24を備えている。
かかる脚部24は、床面から離れた位置に静止部12のベース部材26を離間させ、それにより、静止部12の下にギャップ、又は別の言い方をすれば、空間を形成している。
【0071】
又、可動部18と静止部12は、可動部18と静止部12との間の中間空間を取り囲み、可動部18の伸長及び収縮に従って移動する(すなわち、伸長されたり収納されたり、別の言い方をすれば、折りたたんだり広がったりする)変形可能なベローズ28によって互いに接続されている。
【0072】
又、図1において、シザーリフトとアクチュエータ(図示せず。)とを含む移動機構30は、伸長状態を想定しており、すなわち、可動部18を、静止部12から離して凹部16の外に持ち上げている。
そして、移動機構30は、可動部18のアルミニウムのベースプレート32に接続されている。
かかるベースプレート32は、可動部18の一次導体構成36によって生成及び/又は受信される電磁場に対するシールドとして機能する。
更に、ベースプレート32は、図示しないものの、所望の方法で磁束を誘導するフェライト構成を備えていることが好ましい。
【0073】
又、一次導体構成36は、ベースプレート32の上に配置されている。
ここで、一次導体構成36をベースプレート32に接続するための接続手段は、図1には示されていない。
又、一次導体構成36の上方には、パッドから二次導体構成(図示せず)へのエネルギー伝達中に、パッド10の上方の領域にある異物、特に導電性の物体を検出するための検出器構成34が設けられている。
かかる検出器構成34は、電気回路を実現するプリント回路基板を備えていることが好ましい。
又、一次導体構成36、検出器構成34、及びベースプレート32は、一般的に、互いに平行に延びるとともに、水平空間平面に平行に、及び/又は図3に示される移動軸zに直交して延びている。
【0074】
又、本発明のこの実施形態によれば、ベースプレート32と一次導体構成36との間に、具体的に示されていないスペーサーによって作成される、自由空間40(以下、内部自由空間40、又は単に空間40と称する場合がある。)が存在する。
かかる自由空間40は、以下で示される気流22の内部のための通路又はダクトとして機能する。
【0075】
又、可動部18は、プラスチック材料で構成されており、可動部18の上側20を形成するカバー部材(外側カバー)41を更に備えている。
このカバー部材41は、同様に、ベースプレート32、一次導体構成36、及び検出器構成34とほぼ平行に延在し、環境の影響から保護する。
【0076】
更に、ベースプレート32の下側には、遠心ファン42(以下、単にファン42と称する場合がある。)で構成された気流生成システム37が示されている。当該ファン42は、図1の多数の矢印で示すように、気流22を形成する。
具体的には、ファン42は、誘導電力伝達パッド10の周囲から空気を吸い込むように構成されており、誘導電力伝達パッド10の内部の一部を流れ、定義された、すなわち具体的に方向付けられた方法で再び周囲に戻る気流22が生成されるようになっている。特に、ファン42は、パッド10の濡れた部分に配置されるため、防水性を有するものとする。好ましくは、ファン42又は本発明に関連して使用される他のファンは、国際保護マーク67(International Protection Marking 67)に準拠しており、汚れや液体の侵入に対して保護されている。
【0077】
そのために、誘導電力伝達パッド10は、多数の空気入口部44を備えている。第1のタイプの空気入口部44は、静止部12の下側に設けられた少なくとも1つの開口部46によって提供される。
当該開口部46(貫通孔の形態)は、ベローズ28によって囲まれた静止部12と可動部18、より具体的にはそのベースプレート32との間の内部空間48への通路を形成する。
静止部12の床とベース部材26との間に空間40によって形成された隙間により、図1の矢印で示された空気は、開口部46を通って内部空間48に流れ込むことが好ましく、より具体的には、ファン42によって当該空間48に吸い込まれることが好ましい。
【0078】
又、それぞれの矢印で示すように、ベローズ28に設けられた開口部50を介して内部空間48に空気が吸い込まれ、当該開口部50は空気入口部44としても機能する。
【0079】
更に別の種類の空気入口部44は、図1の平面に直交して延びるギャップ52によって、カバー部材41とベースプレート32の図1における左外側エッジ部との間に設けられている。
しかしながら、このギャップの位置、すなわち、カバー部材41とベースプレート32との間に部位で形成されているギャップの位置は、必須の事項ではない。
ギャップ52も同様に、空気が誘導電力伝達パッドに入ることを可能にし、具体的には、ベースプレート32と一次導体構成36との間の空間40に入ることを可能にする。
そのため、空気は、図示の例では、ギャップ52に比べて可動部18の離れた部分、言い換えれば、反対側のエッジに近い部分に配置されたファン42に向かって流れることが好ましい。
【0080】
少なくともベローズ28のギャップ52と開口部50は、誘導電力伝達パッド10の内部に汚れが入り込む危険性を抑えるような寸法になっている。
例えば、ギャップ52の幅は20mm以下、好ましくは10mm以下に制限され、一方、開口部50の直径は10mm以下、好ましくは5mm以下に制限されている。
又、静止部12の下側の開口部46は、床と静止部12の下側との間の隙間の大きさを規定する脚部24によって汚染のリスクが低減されるため、比較して、より大きなサイズで寸法設定することが好ましい。
例えば、開口部46は、直径又は、例えば長方形の形状を備えている場合には、数センチの長さ又は幅を有していることが好ましく、例えば、少なくとも5cm又は少なくとも15cmの長さ又は幅を有していることが好ましい。
【0081】
ファン42に話を戻すと、内部空間48に入った空気は、ファン42によって、チャネル、例えば、パイプによって提供される形態の導風構造54を介して、自由空間40に、ひいてはベースプレート32の他方の側に搬送される。
そこから、詳細は後述するが、具体的に図示されないフラップ62からなる空気出口部60(以下、気流出口部60と称する場合がある。)に向かって流れる(例えば図2を参照)。
ここで、空気出口部60は、可動部18の第1端部に配置されている。そして、上側20に矢印で示されているように、気流22はその後、上側20に沿って可動部18の反対側のエッジ領域に向かって流れることで継続し、その結果、上側20の大部分を覆うことが好ましい。
このようにして、誘導電力伝達パッド10の内部空間48から熱を除去するとともに、自由空間40からも熱を除去することができるので、誘導電力伝達パッド10のコンポーネントを冷却することができる。
【0082】
図2では、図1に模式的に示された動作原理に基づいている実際の誘導電力伝達パッド10の例が示されている。
ここでも静止部12が示されており、その下側には脚部24が構成されている。
又、凹部16は、可動部18が少なくともその収縮位置にあるときに、当該可動部18を受け入れる様子が示されている。
更に、図2では可動部18と同様に延伸されたベローズ28を再び確認できる。
その上更に、図2では、可動部18のカバー部材41、検出器構成34、一次導体構成36、及びベースプレート32が示されている。
ここで、再度、カバー部材41とベースプレート32との間のギャップ52を見ることができ、そこから空気が入ることが好ましい。
同様に、可動部18を通る空気の流れを可能にするこれらの部材間の自由空間40も示されている。
更に、ベースプレート32の下側に設けられたファン42と、自由空間40に空気を通過させる導風構造54が示されている。
なお、移動機構30は、図1の模式図と比較して、図の平面内に90°回転している。すなわち、垂直軸を中心に90°だけ回転している。
【0083】
図1と比較して、フラップ62がよく見えるようになっている。
まず、気流出口部60は、確かに可動部18の外側エッジ領域、具体的にはギャップ52とは反対側のエッジ領域に配置されていることが分かる(但し、これは必須ではない)。
又、気流出口部60は、カバー部材41に設けられたフラップ62を受け入れる開口部64を構成していることが分かる。
フラップ62は、フラップ62の閉口状態において、開口部64を閉鎖することで、自由空間40と周囲との間の通路を遮断する上側部66を有している。
又、フラップ62は、後述するように、静止部12と相互作用して、可動部18の動きに応じてフラップ62を選択的に開閉する下側部68を更に備えている。
上側部66と下側部68との間の位置で、フラップ62は、回転可能な方法で、可動部18、例えば、ベースプレート32又はカバー部材41内の受け入れセクションに受け入れられる連結部材として機能する特に図示されていないピンを備えている。
これにより、フラップ62は、図2の平面に直交する水平方向の空間軸を中心に回転し、開口状態と閉口状態の間で変化することができる。
【0084】
図2に示される開放状態では、フラップ62は、内部自由空間40から周囲への空気の通過を可能にする。更に、フラップ62の少なくとも上側部66は、いくつかのバッフルプレートの形態の特に図示されていない導風構造を備えている。
これらは、気流出口部60から流出する気流22が水平な空間面に対して傾斜し、少なくとも部分的に可動部18の反対側のエッジ部に向かって誘導されるように配向されている。
図1に関して説明したように、この結果、気流22が可動部18の広い領域、特にその上側20を横切って流れることになる。
【0085】
更に、図3に見られるように、フラップ62の導風構造は、気流出口部60から出る気流22を広げるのに役立つ。
具体的には、気流22は、このようにして、可動部18のうち、互いに対向するが、気流出口部60が配置されたエッジ領域に対して斜めに延びるエッジ領域に少なくとも部分的に導かれる。
このように、気流22は全体的にV字型又は三角形の形状をしており、気流出口部60を起点として連続的に幅が大きくなっている。
こうすることで、上側20の広い範囲をカバーすることが好ましい。
そのためには、フラップ62内のアウターバッフルプレートを、気流22が広がる方向のそれぞれの反対側のエッジ領域に向けて傾けることが好ましい。
一方、フラップ62の中央部のバッフルプレート、すなわち、外側のバッフルプレートの間に位置するバッフルプレートは、より少ない角度で傾いていることが好ましく、及び/又は、直線的に向いていることも好ましい。
【0086】
図2を再度参照すると、開口状態で配置されると、開口部64とフラップ62の間に通路70が形成されることが好ましいと言える。
この通路70は、実質的に垂直に延びており、汚れがフラップ62を越えて可動部18の下の領域に垂直に通過することができ、それによって、上側20から可動部18の下側又は更に下側へと通過することが好ましい。
これにより、汚染によってフラップ62が閉塞したり、及び/又は気流出口部60の断面が縮小したりして、気流22が阻害されるリスクを抑えることが好ましい。
【0087】
以下、図4を参照すると、特に図示されていないフラップ62が配置された領域を構成する誘導電力伝達パッド10の部分的側面図が示されている。
図4では、静止部12、可動部18、及びその間に延びるベローズ28が示されている。
更に、気流出口部60を出た後の気流22の方向が示されている。まず、気流22の少なくとも一部は、可動部18の上側20に沿って流れるように導かれていることが分かる。
更に、気流22のさらなる部分は、水平方向の空間面に対して約80°の角度でデバイス13に向けられる。気流22のこの部分は、デバイス13の下側によって偏向され、フラップ62が配置されているエッジ領域とは反対の可動部18のエッジ領域に向けられる。
従って、総合的に言えば、気流が誘導電力伝達パッド10とデバイス13との間のエアギャップを流れることにより、当該ギャップに溜まっている可能性のある加熱された空気を除去することを意味する。これは更に、誘導電力伝達パッド10を冷却するか、又は少なくともその温度上昇を制限するのに役立ち、その結果、その部品の過熱のリスクを制限する。
【0088】
以下の図5~8を参照して、フラップ62の開閉機構について更に詳細に説明する。
より具体的には、図5では、フラップ62は、空気出口部60の開口部64を通る空気通路を、完全に遮断又は妨害する閉じた状態で示されている。
下側部68で、フラップ62が静止部12に対して静止していることが分かる。
これにより、力Fが発生し、フラップ62がピン(図5では図示せず。)を中心に回転し、閉じた状態になる。
なお、図5では、可動部18は、静止部12に引き寄せられた収縮状態となっていることに留意されたい。そうすることにより、フラップ62の下側部68は、静止部12に接触した状態になる。
【0089】
このようにして、下側部68は、カバー部材41の内側に接触させられ、言い換えれば、静止部12の上部剛性部、例えば、リム又はフレーム部分と、カバー部材41の内側との間に挟まれていることに留意すべきである。
これは、本明細書で論じられる実施形態のさらなる詳細な内容から独立している本発明の一般的な態様を表している。
更に、これにより、カバー部材41に対して、図示の例では、その外側エッジ部を安定させる効果が有利に得られる。
これは、例えば、車両が誘導電力伝達パッド10の上に誤って配置されている場合や、少なくとも1つの車輪でその上を走行した場合に役立つ。
【0090】
一方、フラップ62の上側部66は、カバー部材41の停止部、又は言い換えれば、開口部64のエッジ部に接触しているため、フラップ62が閉口状態になるように回転する量が制限されていることが好ましい。
【0091】
なお、図5及び図6においても、フラップ62の導風構造80を形成する上述のバッフルプレート81が部分的に見えることに留意すべきである。このバッフルプレート81の一部のみに、それぞれの参照符号が付されている。
【0092】
又、図5及び図6では、ベローズ28は概略的にしか図示されていないが、上述のように、実際には、可動部18と静止部12との間の空間を取り囲んでいる。
【0093】
又、図6では、可動部18は、前掲の図1~4と同様に、伸長状態で示されている。
従って、フラップ62が開口状態になっていることが好ましい。
具体的には、下側部68は、静止部12から持ち上げられたことで、静止部12と接触しなくなり、カバー部材41の内側に押し付けられなくなる。
開放状態に偏っているため、フラップ62は、図5に示した力Fがなくなるとすぐに、つまり、下側部68が静止部12から離れるとすぐに開く。念のため、フラップ62に沿って周囲に入る気流22の方向を示す矢印が示されている。
【0094】
又、図7には、フラップ62の背面図が示されている。その方向は図5の矢印Bに相当する。
又、フラップ62は、左右の端部において、水平方向に突出したカバー部材41の内側に設けられた受け入れセクション92において受け入れられたピン90を備えていることが分かる。
ピン90には、脚部バネ94の形をしたバイアス部材が配置されている。より具体的には、1つのピン90ごとに1つの脚部バネ94が配置されている。
図8に示すように、各脚部バネ94の1つの脚部95がフラップ62の内側に接触することで、フラップ62をその開放位置に付勢する。
しかしながら、図7及び8に示す可動部18の収縮状態では、フラップ62の下側部68は静止部12に接触し、それにより、脚部バネ94のバイアス力に抗して作用する図5の力Fに基づく推進力が生じることになる。
【0095】
要約すると、フラップ62は、このように、可動部18の動きに応じて、又はその機能として、専用のアクチュエータなしで開閉することが好ましい。代わりに、フラップ62は受動的なシステムとして設計されており、静止部12と選択的に接触したり、そこから持ち上げられたりすることにより、フラップ62に直接作用する追加の力又は動きを生成するアクチュエータ無しに開閉される。
【0096】
最後に、図7では、フラップ62の下側部68が静止部12に直接的に支えられていることが分かる。但し、これは必須ではない。
代わりに、ベローズ28の上リム部は、可動部18の上部に沿って、従ってフラップ62と静止部12との間に延在することが好ましい。
従って、フラップ62は、ベローズ28の当該リム部に対しても静止することが好ましい。ベローズ28の上リム部が延伸するであろうギャップが、図7に参照符号97で示されている。
【0097】
あるいは、ベローズ28及び、具体的にはそのリム部は、後述するフラップ62又は、少なくともその中央部102が配置されている位置に切り込みを有することが好ましい。
このようにして、フラップ62と静止部12を直接接触させることができるように、自由空間が提供されることが好ましい。
【0098】
図7に示すように、フラップ62、特に、静止部12に面する下側部68の下面には、段差のあるデザインを備えていることが好ましい。より正確には、ピン90に近い外側の水平エッジ部の少なくとも1つ、好ましくは両方において、段差100を、静止部12に対して局所的に距離を増加させるように設けることが好ましい。
具体的には、当該段差100は、静止部12と接触しないような寸法にすることが好ましい。
代わりに、当該段差100は、フラップ62の下側部68の中央部102を受け入れるための切り欠きに近いベローズ28の部分と重なっていてもよく、当該中央部102は、可動部18がその収縮状態にあるときに、静止部12に直接接触するように寸法が決められている。
従って、フラップ62が静止しえる要素(段差100及び/又は静止部12によるベローズ28のいずれか)に関して冗長性が設けられている。これにより、誘導電力伝達パッド10の単一部品の温度変形や想定外の公差が発生した場合でも、フラップ62を確実に閉じることができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8