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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】熱管理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/427 20060101AFI20240201BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 10/6568 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 10/651 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 10/6557 20140101ALI20240201BHJP
   H01M 50/204 20210101ALI20240201BHJP
   H01M 50/249 20210101ALI20240201BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01L23/46 B
H01M10/625
H01M10/6556
H01M10/615
H01M10/613
H01M10/6569
H01M10/6568
H01M10/651
H01M10/6557
H01M50/204 401H
H01M50/249
F28D15/02 M
F28D15/02 101H
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021525368
(86)(22)【出願日】2019-07-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 EP2019069161
(87)【国際公開番号】W WO2020016251
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】1811746.5
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521023883
【氏名又は名称】フリント エンジニアリング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FLINT ENGINEERING LTD
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】レスター、スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】ジョウハラ、フサム
【審査官】金田 孝之
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0130969(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0252238(US,A1)
【文献】国際公開第2018/047536(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/34 -23/473
H01M 10/52 -10/667
H01M 50/20 -50/298
F28D 15/00 -15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気部品と、
前記電気部品に熱結合される1つ以上のパネルであって、各パネルは前記パネルの周りに作動流体を搬送する複数の通路を備え、前記作動流体が熱エネルギを密閉されたシステムの周りに伝達するように構成されるように、前記1つ以上のパネルが前記密閉されたシステムを気密的に形成するように配置される、1つ以上のパネルと、
複数の前記パネルの少なくとも一つと熱伝達を行う熱交換器機構であって、複数の前記パネルを介して、熱エネルギを前記電気部品に伝達し、および/または、前記電気部品から伝達する前記熱交換器機構と
を備えており、
前記1つ以上のパネルのそれぞれに関して、前記複数の通路は、1つ以上の一次通路および1つ以上の二次通路を備えており、
前記システムは気密的に密閉されたシステムを形成する複数のパネルを備え、前記複数のパネルは前記電気部品の周りに配置されており、
前記複数のパネルは、前記一次通路を介して互いに流体的に結合されている
システム。
【請求項2】
前記1つ以上の一次通路は、前記1つ以上の二次通路が延在する方向と直交する方向に延在する、請求項に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数のパネルは前記電気部品を実質的に取り囲むように配置される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数のパネルは、前記電気部品が配置されるキャビティを画定するボックスを形成するように配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項5】
前記一次通路はそれぞれの接合部材を介して流体的に結合され、各接合部材は前記一次通路の断面積より大きい断面積の1つ以上の通路を有する、請求項1~4のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項6】
前記接合部材は前記複数のパネルに機械的に結合するようにさらに配置される、請求項に記載のシステム。
【請求項7】
前記システムは前記電気部品に熱結合された2つのパネルを備え、各パネルは気密的に密閉されたシステムを形成するように配置され、かつ前記熱交換器機構と熱伝達するように配置される、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項8】
前記作動流体は液相および気相の両方の作動流体を備え、前記作動流体は、前記密閉されたシステムのある位置で液体が蒸発し、前記密閉されたシステムの異なる位置で前記液体が凝縮することによって、前記密閉されたシステムの周りに熱エネルギを伝達するように構成される、請求項1~7のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項9】
前記作動流体が水である、請求項1~8のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項10】
前記電気部品がバッテリであり、任意選択的にバッテリが複数のバッテリセルを備える、請求項1~9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
熱交換器を介して流体を注入するように配置される、1つ以上の流体ポンプをさらに備える、請求項1~10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
加熱流体を提供するためのヒートタンクであって、能動的な加熱動作モードにおいて、前記1つ以上の流体ポンプは前記熱交換器の第1注入口を介して前記加熱流体を注入するよう配置される、ヒートタンクをさらに備える、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
冷却流体を提供するための低温貯蔵装置であって、能動的な冷却動作モードにおいて、前記1つ以上の流体ポンプは前記熱交換器の第2注入口を介して前記冷却流体を注入するよう配置される、低温貯蔵装置をさらに備える、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記流体が冷媒である、請求項11~13のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項15】
前記熱交換器機構が熱電素子を備える、請求項1~14のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1項に記載のシステムを備える車両であって、任意選択的に、前記車両が電気車両である、車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は電気部品、任意選択的にはバッテリまたは別の蓄電装置などの電気部品の熱管理システムに関連する。任意選択的に、この出願は電気車両のバッテリの熱管理システムに関連する。
【背景技術】
【0002】
バッテリおよび他の電気部品または装置は最適な動作温度を有し、この範囲外での機能はその部品または装置の性能および安全性に影響を与える可能性がある。例えば、電力を一貫して供給するバッテリの出力能力は、バッテリの低温時に妨げられる。同様に、バッテリはまた高温時に性能の低下を示し、例えば、熱暴走の結果として場合によっては発火し得ることが知られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、バッテリの温度制御のための熱管理システムを提供することが望まれる。そのようなシステムはまた、電気部品を一定温度に維持することが好ましい他の用途において有用性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
システムは、添付されている従属請求項に含まれる任意の特徴とともに独立請求項1に従って提供される。
以下の記載において、電気部品の熱管理システムが提供される。当該システムは、電気部品と、熱交換器機構と、電気部品に熱結合された1つ以上のパネルとを備える。各パネルは、パネルの周りに作動流体を搬送する複数の通路を備える。1つ以上のパネルは、作動流体が密閉されたシステムの周りに熱エネルギを伝達するように構成されるように、1つ以上のパネルの内部で気密的に密閉されたシステムを形成するように流体的に結合される。熱交換器は、複数のパネルを介して電気部品におよび/または電気部品から熱エネルギを伝達するように複数のパネルのうちの少なくとも1つと熱伝達を行うように提供される。
【0005】
任意選択的に、電気部品は複数のバッテリセルを含むバッテリである。いくつかの配置において、バッテリは車両、例えば、電気車両のためのバッテリである。他の配置において、バッテリは例えば、家庭用または商業用のバッテリまたはエネルギ貯蔵のための貯蔵装置などの電力貯蔵のための据置バッテリであり得る。任意選択的に、電気部品は例えば、変圧器、コンデンサ、抵抗器、またはインダクタである。任意選択的に、電気部品は、熱発電機または装置、または任意の他の形態の発電機またはプロセッサであり得る。
【0006】
任意選択的に、作動流体は液相および気相の両方の作動流体を備え、作動流体は密閉されたシステムのある位置での液体の蒸発、および、密閉されたシステムの異なる位置での液体の凝縮によって、密閉されたシステムの周りに熱エネルギを伝達するように構成される。密閉されたシステムの一部が加熱されると、気化の潜熱吸収時に液体は蒸気となる。高温蒸気は、続いて密閉されたシステムの冷却部分を通り、そこで高温蒸気は凝縮し、密閉されたシステムに潜熱を放出する。凝縮した液体はその後、密閉されたシステムの高温部分に逆流し、気化-凝縮サイクルが繰り返される。気化の潜熱は通常、非常に大きいので、かなりの量の熱が密閉されたシステムの周りで伝達され得、1つ以上のパネルにわたって実質的に均一な温度分布が達成され得る。換言すれば、パネルはヒートパイプとして作動し得る。この作動流体は水、冷媒、アンモニア系作動流体、またはヒートパイプ用の任意の他の適切な作動流体であってよい。
【0007】
本明細書に記載されるシステムはバッテリなどの電気部品のその場での冷却および/または加熱を容易にし得る(例えば、車両内の車バッテリの冷却および/または加熱)。パネルのうちのそれぞれは、フラットヒートパイプ、すなわち熱吸収パネルとして作動し得る。1つ以上の個々のフラットヒートパイプとして、または電気部品の周りにボックスまたは他の構造を形成するように組み立てられ、電気部品の周りに1つ以上の(気密的に密閉された)熱吸収パネルを組み立てることによって、電気部品の周りの熱環境は、前記電気部品の性能を最大化するのに役立つように効率的かつ効果的に管理され得る。
【0008】
特に、1つ以上のパネルは、電気部品に熱結合されるとき、等温的に電気部品を冷却および/または加熱する等温表面を提供する。例えば、電気部品が複数のバッテリセルを備えるバッテリであるとき、本明細書に記載されるシステムは各バッテリセルが実質的に同じ温度で維持されるようにバッテリに/から熱を伝達し得る。換言すれば、温度は(実質的に)バッテリ全体にわたって一定であり、このことは例えばバッテリセルのうちのそれぞれからほぼ等しい電力の出力を容易にすることによってバッテリの性能を改善することを促進し得る。本システムはまた、バッテリの環境における温度変化からバッテリまたは他の電気部品を隔離することを促進し得、これは電気部品の性能の改善を容易にし得る。
【0009】
任意選択的に、本システムは単一の気密的に密閉されたシステムを形成するように流体的に結合された複数のパネルを備え、電気部品の周りに配置される。そのような配置は、単一のパネルよりも効率的に、電気部品に/から熱エネルギの伝達を提供することができる。任意選択的に、複数のパネルは、実質的に電気部品を取り囲むように配置される。一つの任意選択的配置において、複数のパネルは、電気部品が配置されるキャビティを画定するボックスを形成するように配置される。そのような電気部品の取り囲みは電気部品に/からより効率的な熱エネルギの伝達を提供することができ、したがって、電気部品の性能を改善する。
【0010】
任意選択的に、本システムは電気部品に熱結合された2つのパネルを備え、各パネルは個々の気密的に密閉されたシステムを形成するように配置され、熱交換器機構と熱伝達して配置される。例えば、2つのパネルは電気部品の両側に提供され、熱交換器がその2つのパネル間に延在する一側に配置されてよい。この配置は効率的な熱エネルギの伝達を提供することができると同時に、本システムのより単純で安価な製造および組み立てを容易にする。
【0011】
任意選択的に、各パネルは、(気密的に密閉されたシステムを形成するようにパネルがどのように配置されるかに関わらず)1つ以上の一次通路および1つ以上の二次通路を備える。任意選択的に、一次通路の断面積は、二次通路の断面積の50%~200%であってよい。各一次通路は任意選択的に二次通路のうちのいずれかの断面積よりも大きい断面積を有し、これにより気密的に密閉されたシステムの周りの作動流体の流れの改善を容易にし得、パネルと電気部品との間の熱交換プロセスの効率を改善し得る。任意選択的に、本システム使用時に二次チャネルが(概ね)水平にまたは(概ね)垂直に走るように複数のパネルは配向される。
【0012】
一次通路は、二次通路と流体連通する。任意選択的に、1つ以上の一次通路は、1つ以上の二次通路が延在する方向と直交する方向に延在する。この配置は、システムの周りの流体の流れの改善を容易にし得る。任意選択的に、1つ以上の二次通路は二次通路の一側に1つ以上の突出した特徴を備える。この突出した特徴は通路に縦方向に延在する1つ以上のリブを含み得る。ここで1つ以上のリブのうちの少なくともいくつかは、概して三角であってよく、および/または1つ以上のリブのうちの少なくともいくつかは、概して四角であってよい。
【0013】
1つより多いパネルが気密的に密閉されたシステムを形成するために使用されるとき、複数のパネルのうちのそれぞれは、それぞれのパネルの一次通路を介して互いに流体的に結合され得る。いくつかの配置において、複数のパネルは流体的および機械的の両方で直接結合されてよい。他の配置において、パネルを機械的に結合する接合部材が提供されてよく、一次通路はそれぞれの接合部材を介して流体的に結合され、各接合部材は一次通路の断面積よりも大きい断面積の1つ以上の通路を有する。この配置はパネルのより単純な製造および組み立て、ならびに密閉されたシステムの周りの改善された流体の流れを容易にすることを可能にする。したがって、パネル間のより効率的な伝熱が提供され得る。
【0014】
任意選択的に、1つ以上の二次通路がパネルの内部のキャビティとして形成されるように、各パネルの本体が押し出し材料から形成され、すなわちパネルの押し出しによって製造される。そのようなパネルは製造することが簡単で安価であり得、押し出しプロセスは各パネルの断面が簡単に製造されることを可能にする。このプロセスはまた、例えば上記の突出部などのパネル内の二次通路の複雑な断面形状の提供を容易にすることができる。任意選択的に、各パネルは、アルミニウムまたはアルミニウム合金の押し出しから形成される。任意選択的に、各パネルは、各パネルの一次通路を画定するか、または画定に寄与する1つ以上のマニホールドをさらに備える。マニホールドは、二次通路を介して一次通路を流体的に結合させるように、各パネルの本体の縁に結合されてよい。
【0015】
任意選択的に、システムは、熱交換器を介して流体を注入するよう配置される1つ以上の流体ポンプをさらに備える。流体は水または冷媒などの別の流体であってよい。任意選択的に、システムは加熱流体を提供するためのヒートタンク(能動的な加熱動作モードにおいて、1つ以上の流体ポンプは、熱交換器の少なくとも1つの注入口のうちの第1注入口を介して加熱流体を注入するよう配置される)および/または冷却流体を提供するための低温貯蔵装置(能動的な冷却動作モードにおいて、1つ以上の流体ポンプは、熱交換器の少なくとも1つの注入口のうちの第2注入口を介して冷却流体を注入するよう配置される)をさらに備える。任意の適切な加熱および/または冷却流体が提供されてよい。この配置は寒冷時期に電気部品の加熱および温暖時期に電気部品の冷却を容易にし得、電気部品のより安定した動作温度を提供できる。前記部品の性能は、したがって改善され得る。そのような加熱および/または冷却は、例えば、システムが車両に配備されたとき、本明細書に記載のシステムの環境ですでに提供されている既存のシステムによって容易にされてよい。これは効率を改善し得る。
【0016】
任意選択的に、熱交換器機構は、熱電素子を備える。流体チャネルの可動部分のないソリッドステートの熱交換器の使用は、より強固な熱交換器を提供することを可能にし、例えば、車両に再設備するなど、いくつかの用途において有利な場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本明細書に記載されるシステムの一例の斜視図。
図2図1のシステムの複数のパネルの斜視図。
図3A】本明細書に記載される2つのパネルの一例の斜視図。
図3B図3Aのパネルの断面を示す図。
図3C図3Bの横断面の一部分を示す図。
図3D図3Aのパネルの横断面を示す図。
図4】パネルを構成する部品を概略的に示す図。
図5図1のシステムの熱交換器の一例の斜視図。
図6図1のシステムの例示的な実施例を概略的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、電気部品102の熱管理のためのシステム100が記載される。任意選択的に、システム100は車両140内に提供されてよい(図6参照)。車両140は電気車両であってよい。それに代えて、システム100は、例えば家庭用または商業用の用途におけるバッテリまたは他のエネルギ貯蔵装置の熱管理システムなどの静的または固定的配置であってよい。
【0019】
システム100は1つ以上のパネル106を備える。各パネル106は、パネルの周りに作動流体を搬送する複数の通路を備える。これらの通路はパネルの内部にあり、すなわちパネル106内のキャビティ内に形成される。各パネル106の通路から形成される密閉されたシステムの周りに作動流体が熱エネルギを伝達するように構成されるように、1つ以上のパネルが気密的に密閉されたシステムを形成するように配置される。
【0020】
いくつかの配置において、1つのパネルが提供されてよい。それに代えて、2つ以上のパネルが別個の気密的に密閉されたシステムを形成するように他方のパネルから独立して、または、それを通って作動流体が搬送され得る1つ以上の気密的に密閉されたシステムを形成するように任意の適切な構成で互いに流体結合して配置されて、提供されてよい。例えば、2つのパネルが電気部品102の長辺に独立して配置されてよく、また4つのパネルがバンドで電気部品を取り囲むように配置されてよい(すなわち、その部品の2つの長辺上および2つの短辺上の両方に提供される)。これらの4つのパネルは独立した密閉されたシステムを備えてよく、または作動流体が中を循環する1つ以上の密閉されたシステムを形成するように接合されてよい。
【0021】
1つ以上のパネル106は、電気部品102に対して、または電気部品102から、熱エネルギを伝達するために電気部品102に熱結合される。以下の記載において、電気部品102は複数のバッテリセル104を備えるバッテリ102であるが、システム100は、例えばプロセッサまたは他の電気システムの部品の冷却など、その場での冷却(または加熱)を必要とする任意の他の適切な電気部品の熱管理のために用いられてよい。例えば、システム100は、発電機またはプロセッサまたは変圧器、コンデンサ、抵抗器、またはインダクタなどの電気部品のその場での冷却(または加熱)のために用いられ得る。
【0022】
システム100は、パネル106を介してバッテリなどの電気部品102に、および/または電気部品102から熱エネルギを伝達するように、少なくとも1つのパネル106と熱伝達する熱交換器機構108をさらに備える。1つ以上のパネル106は、放熱グリスまたはゲルを使用して熱交換器機構108に熱結合されてよい。熱交換器は、その後、パネル106のうちの1つの上に機械的に固定されてよい。永久的な結合のために、熱接着剤が代わりに使用されてよい。
【0023】
以下の記載において、作動流体は液相および気相の作動流体からなり、作動流体は、密閉されたシステムのある位置における液体の蒸発および密閉されたシステムの異なる位置における液体の凝縮を通して、密閉されたシステムの周りに熱エネルギを伝達するように構成される。換言すれば、作動流体は受動的に密閉されたシステムの周りに循環する。パネルは、したがって、密閉されたシステムの周りに熱エネルギを伝達するための熱パイプとして作動する。本明細書に記載されるシステムにおいて使用される作動流体は、例えば、水またはアンモニアであってよい。しかしながら、水、アンモニア、アセトン、アルコールおよびそれらの混合物を含む、使用される多くの作動流体があり、これらの有効性は、パネルが使用される条件によって決められる。当業者は、任意の組の所与の動作条件と温度作動範囲について、適切な流体を特定することができるであろう。
【0024】
他の配置において、作動流体は、蒸発および/または凝縮メカニズムなしに密閉されたシステムの周りに、単に熱エネルギを伝達するように配置されることも考えられる。例えば、作動流体は水または冷媒であってよく、熱交換器機構は、例えば、ポンプまたはコンプレッサによって、密閉されたシステムの周りに前記作動流体を能動的に循環するように配置されてよい。
【0025】
図2を参照してさらに記載されるように、いくつかの例において、パネル106はバッテリ102のセル104を実質的に取り囲むように配置され得ることが理解され得る。特に、パネル106は、バッテリ102または任意の他の適切な電気部品が配置され得る1つ以上のキャビティ107を画定するボックスを形成するように配置される。パネル106によって形成されるボックスは、任意の適切な形態または形状を取ってよいことが理解されるであろう。いくつかの配置において、キャビティ107はパネル106によって全体的に囲まれてよく、他の配置において、図2に示されるボックスは、複数の側面において開いていてよい。より少ないパネルは、キャビティ107の内側の電気部品102のより簡単な取り付けを提供し得、当該システムの製造のコストおよび複雑性を減少させる場合もある。例えば、上記のように、2つの独立したパネルが使用されてよいか、または、一群の4つのパネルが使用されてよい。
【0026】
図3A~3Dを参照して、パネルの構造がより詳細に記載される。接合部材110によって互いに機械的および流体的に結合される2つのパネル106a,106bがここに記載されるが、2つより多いパネルが提供されてよいこと、または、接合部材110が省略されてよく、パネル106a,106bが機械的および流体的の両方で互いに直接結合されてよいことが理解されるであろう。
【0027】
図3Bおよび3Cを参照して、パネル106aおよび接合部材110の断面N-Nが記載され、その断面の詳細は部分Rにおいてさらに例示される。パネル106aは2つの一次通路112および複数の二次通路114を備え、一次通路および二次通路は流体連通することが理解され得る。いくつかの配置において、二次通路は、一次通路112が延在する方向に対して概ね直交する方向に延在する。いくつかの配置において、1つ以上の一次通路のうちのそれぞれは、1つ以上の二次通路のうちのそれぞれの断面積よりも大きい断面積を有し得るが、二次通路内の突出部または他の特徴の包含によって提供される面積の増加によって二次通路114の断面積は、一次通路の断面積より大きくてもよいことが理解されるであろう。
【0028】
図3Cおよび3Dに示されるように、接合部材110はこの配置において二次通路114と平行な方向に延在する通路116を備える(図3Dにおいて、二次通路114および通路116はページから外方に延在する)。二次通路112は、通路区画117によって通路116に対して流体的に結合される。接合部材110は、パネル106aの二次通路112を、106bの対応する二次通路に流体的に結合する通路118(図3Cにおいて示されるように、ここではページから外方に延在する)をさらに備える。換言すれば、パネル106aおよび106bは、接合部材110の通路116,117,118を介して二次通路112を通って互いに流体的に結合され得る。
【0029】
各接合部材110の通路116,117,188は、一次通路の断面積よりも大きい断面積を有する。この配置は、パネルのより単純な製造および組み立て、ならびに密閉されたシステムの周りの改善された流体の流れを容易にすることを提供する場合がある。特に、接合部材の通路が一次通路112の直径より大きい直径を有するとき、流体は部分Rおよび図3Dにおいて示されるように、コーナの周りでより効果的に流れる可能性がある。流体は、したがって2つのパネル106a,106の間により効果的に流れ得る。したがって、より効果的なパネル間の伝熱が提供される場合がある。
【0030】
図3Dは、また、二次通路114の断面の一例を示し、その特徴は、パネル106a,10bの本体の材料と、その本体内の二次通路114を画定するキャビティとの間の増加した表面積を提供し得る。これらの二次通路の形状は、以前に出願された英国特許出願第1410924.3号(英国特許出願公開第2527338号明細書)の図4に関してより詳細に記載され、その出願の図4および付随する記載はこれにより、これらの通路の形状に関して参照により本明細書に援用される。
【0031】
二次通路114が水平に(または概ね水平に)または垂直に(または概ね垂直に)配置されて、パネル106は水平または垂直に位置決めされ得る。図3A~3Dを参照して記載される複数の例において、二次通路114は(凝縮した作動流体がパネル106の底部に落下するように二次通路が垂直に配向される場合ではなく)パネルを横切る二次通路の断面内で作動流体の凝縮および蒸発が発生するように、概ね水平に位置するように配置される。内部圧力および温度勾配の変化は、以下により詳細に記載されるように、密閉されたシステムの周りの作動流体の運動を容易にし得る。当業者は、二次通路114の任意の適切な配向が提供されてよいことを理解するであろう。
【0032】
図4を参照して、各パネル106は押出または他の適切な製造プロセスによって製造されてよいことが理解されるであろう。例えば、各パネル106の本体132は押し出しアルミニウムまたは押し出しアルミニウム合金から形成されてよい。押し出しは形成される二次通路114の複雑な形状を可能にすることができ、その形状は作動流体の相転移の改善を容易にする場合があり、したがって、伝熱の改善を容易にする場合がある。アルミニウムはまた、比較的安価で良好な防食性を有し、製造プロセスにおける作業が簡単である。アルミニウム押し出し内の構造強度により、パネル106を備えるシステム100が車両、任意選択的に電気車両に組み込まれたとき、パネルは車両にライティ(righty)を提供するように使用され得る。それに代えて、アルミニウム合金または鋼などの別の金属が使用されてよい。
【0033】
任意選択的に、各パネルは、各パネルの一次通路112を画定するか、または画定に寄与する1つ以上のマニホールド134をさらに備える。マニホールド134は、実質的に直線形である。マニホールド134はパネル本体132と同じ材料から形成され、二次通路を介して一次通路を流体的に結合させるように各パネルの本体の縁に結合されてよい。特に、複数の二次通路114は、マニホールド134によってパネルボディ132の各端において共通して終結させられ、マニホールド134は、それらの通路をシールし、ひいては液密および気密チャンバを形成する。締まりばめ、溶接または接着はパネル106内の密閉されたチャンバを形成するプロセスにおいてマニホールドをパネル本体132上に組むために使用され得る。パネル本体132のいずれかの端に単一のシールのみが必要とされるので、パネル本体132内での二次通路114の形成、および、マニホールド134の使用は、複数の通路の比較的簡単なシールを容易にし得る。有利なことに、パネル本体132上のマニホールド134の機械的取り付けは、またシールを形成する。
【0034】
図5を参照して、システム100によって要求されるときに電気部品102に対して熱エネルギの除去または送達を行うため、直接的にまたは間接的に流体と接続される熱交換器機構108が記載される。本明細書に記載される熱交換器機構108は、アルミニウムで作られた低温側プレート120と、高温側プレート124と、低温側と高温側とを分離し、熱電モジュールを含む発泡断熱材124とを備える、熱電アセンブリ(すなわちペルチェ装置)である。高温側プレート124は、流体を受けるためのチャネルを備える。流体は、例えば、電気部品102から過剰な熱を吸収するため、パネル106を介して熱交換器機構108が熱結合されるヒートシンクと流体連通してよい。
【0035】
他の配置において、熱交換器機構は熱電アセンブリでなくてよい。代わりに、熱交換器108は任意の他の適切な形態の熱交換器機構であってよい。例えば、熱交換器機構は、パネル上方の冷気/熱気の通過、または熱交換器機構を通り抜ける熱流体を備え得る。当業者は、システム100の特定の用途に適切な熱交換器をどのように選択するか理解するであろう。例えば、システム100が車両内に組み込まれるとき、車両が動くときパネル上方に空気を送り込むチャネルを配置することによって、パネルの受動的冷却が提供され得る。また、上述したように、作動流体が冷媒または水または同様のものであるとき、熱交換機構は、システムと周囲環境との間で熱交換することに加えて、密閉されたシステム内に前記流体を能動的に循環するよう配置されてよい。
【0036】
図6を参照して説明すると、熱交換器機構108はシステム100の1つ以上の流体ポンプ126と流体連通してよく、流体ポンプ126は、複数のパネル106を介して電気部品102に、および/または、電気部品102から熱エネルギを伝達するため、熱交換器108を介して流体を注入するように配置される。任意選択的に熱交換器に提供される流体は冷媒である。
【0037】
いくつかの配置において、システム100は、ヒートタンク128および/または冷却流体を貯蔵するためのコールドタンクまたは他の低温貯蔵装置130をさらに備えてよい。ヒートタンク128は加熱流体を熱交換器108に提供するためであって、能動的な加熱動作モードにおいて、1つ以上の流体ポンプ126は、熱交換器の第1注入口128aを介して加熱流体を注入するよう配置される。低温貯蔵装置130は、熱交換器108に冷却流体を提供するためであって、能動的な冷却動作モードにおいて、1つ以上の流体ポンプ126は、熱交換器108の第2注入口130aを介して冷却流体を注入するよう配置される。
【0038】
電気部品を冷却するために、すなわち熱交換器108を介して電気部品102から周囲環境に熱を伝達するためにパネル106を使用するため、パネルよりも少なくとも数ケルビン低温の冷却流体(例えば液体または蒸気)が低温貯蔵装置130から熱交換器機構108に提供される。熱エネルギは、その後、熱交換器に熱結合されたパネル106から熱交換器に伝達される。熱エネルギのこの流れに応答して、作動流体がそれを通って循環する密閉されたシステムの一部が冷却され、パネル106の二次通路114内で気相の作動流体が凝縮することを引き起こす。凝縮時、蒸気は、作動流体が凝縮される通路に隣接するパネル106の材料に蓄えられた潜熱を放出する。この潜熱はその後熱交換器108を通ってシステムから取り除かれる。
【0039】
作動流体を凝縮させることは、また、低圧領域の形成を引き起こす。密閉されたシステムの他の部分からの蒸気は、その後密閉されたシステムのより低温で、より低圧の領域に移動し、重力および密閉されたシステム内の内部圧力(例えばパネル内の蒸発-凝縮サイクルから生じるガス圧から)の作用によって密閉されたシステムのより低温の区画から高温の部分へ、密閉されたシステムの周りに凝縮された液体の移動も引き起こす。密閉されたシステムの高温の部分の熱エネルギは作動流体を蒸発させ、蒸発の潜熱の吸収を通して作動流体を液体から蒸気に変える。この蒸発は、したがって、相転移のない加熱よりも多くの熱エネルギを使用する。加熱された蒸気は通路112,114に沿って密閉されたシステムの周りに、より低温で、より低圧の領域に移動し、熱交換器108近くの密閉されたシステムのより低温の部分で再び凝縮する。気化-凝縮サイクルはその後、再び繰り返され得る。当業者は、ヒートタンク128から熱交換器機構108に加熱流体を提供することによってパネル106が電気部品102を加温するように当該プロセスを逆にする方法を理解するであろう。
【0040】
上述の効果により、電気部品102との熱伝達を行うパネル106全体にわたって実質的に均等に熱エネルギが分配され、したがって、電気部品全体にわたっても熱エネルギが均等に分配され得る。したがって、システムの周りの異なる場所の間での温度の差異は、最小化される。また、本明細書に記載される作動流体によって伝達される熱エネルギの量は、パネル106と同等の重量およびサイズを有する安価な金属による伝導によって達成できる量よりも大幅に大きい。これは任意のウィッキング構造または材料を使用することなく達成される。したがって、よりエネルギ効率の高い電気部品の冷却が提供され得る。
【0041】
上記のシステム100の任意の実施例が、図6に示されるように、車両140内に実装されてよい。任意選択的に、車両140は電気車両または2つ以上の異なるタイプの動力を使用するハイブリッド車両である。例えば、ハイブリッド車両は、電気モータに動力を供給する発電機を駆動する内燃機関を使用してよい。車両140は、車、バス、電車、大型トラックまたは任意の他の適切な車両であってよい。それに代えて、システム100の上記のうちの任意の実施例は、例えば、家庭用または商業用の用途におけるバッテリまたは他のエネルギ貯蔵装置の熱管理システムとして、または発電機またはプロセッサまたは別の電気部品または装置のその場の熱管理のために、静的または固定的システム配置に実装されてよい。
【0042】
本明細書では、上記はシステムの様々な例を記載しているが、これらの記載は限定的な意味で考察されるべきではないことに留意されたい。むしろ、添付の特許請求の範囲で定義されるように、本発明の範囲から逸脱することなくなされ得るいくつかの変形および変更が存在する。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5
図6