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特許74296962本の吸引ラインを備えた医療用洗浄ポンプ
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  • 特許-2本の吸引ラインを備えた医療用洗浄ポンプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】2本の吸引ラインを備えた医療用洗浄ポンプ
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/00 20060101AFI20240201BHJP
   A61B 17/3205 20060101ALI20240201BHJP
   A61B 17/32 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61M1/00 140
A61B17/3205
A61B17/32
A61M1/00 135
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021525748
(86)(22)【出願日】2019-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-15
(86)【国際出願番号】 DE2019000312
(87)【国際公開番号】W WO2020114534
(87)【国際公開日】2020-06-11
【審査請求日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】102018009537.2
(32)【優先日】2018-12-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019004629.3
(32)【優先日】2019-07-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】518248192
【氏名又は名称】ヴェー.オー.エム. ワールド オブ メディシン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ハンガー,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】タルティヴェル,ルシール
(72)【発明者】
【氏名】カルステンス,ジャン ヘンドリック
(72)【発明者】
【氏名】マイク,プレスナー
(72)【発明者】
【氏名】シュヌットゲン,スタン
(72)【発明者】
【氏名】ラス,オリバー
(72)【発明者】
【氏名】クリストマン,トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ゲルバート,ニルス
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-086905(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0267779(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0133149(US,A1)
【文献】特表2004-535246(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/00
A61B 17/3205
A61B 17/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体腔(K)を洗浄するためのデバイスであって、
(i)洗浄液のための貯蔵容器(1)と、
(ii)供給ライン(2)と、
(iii)制御されたローラホイールポンプ(3)と、
(iv)制御された真空ポンプ(4)と、
(v)第1の吸引ライン(6)を備えた第1の医療器具(5)と、
(vi)第2の吸引ライン(8)を備えた第2の医療器具(7)と
vii)第1の吸引ライン(6)における第1のピンチバルブ(11)と、
viii)第2の吸引ライン(8)における第2のピンチバルブ(12)と、
ix)前記第1の吸引ライン(6)、前記第2の吸引ライン(8)、及び前記制御された真空ポンプ(4)に接続された、廃棄容器(13)と
を備え、
前記第1のピンチバルブ(11)及び前記第2のピンチバルブ(12)は、逆並行に連結され
2つのピンチバルブ(11、12)がギアラック(14、15)にそれぞれ取り付けられたピンチ要素によって形成されるように、逆並行の連結が行われること、及び、2つの前記ギアラックがギアホイール(16)によって互いに連結されることで、逆並行で動かされるように行なわれることを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
スロットル(10)を備えた第3の吸引ライン(9)をさらに備え、
前記廃棄容器(13)は、前記第3の吸引ライン(9)に接続されることを特徴とする、請求項1に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体腔を流体で洗浄するためのデバイスに関する。この流体は、体腔からの2本のラインによって、ポンプで送られる。それぞれのポンプ容量は、制御可能なピンチバルブを介して調整される。これら2つのピンチバルブは、逆並行で連結される。
【背景技術】
【0002】
内視鏡検査、特に治療的介入において液体洗浄を実施することが知られている。本明細書では、体腔(例えば関節腔、膀胱、または子宮)は、液体(例えば生理食塩水)を用いて洗浄される。この目的のため、貯蔵容器からの洗浄液は、例えばローラホイールポンプなどのポンプを介して体腔の中に送られ得る。最も簡単な事例において、洗浄液は、体腔から開口部を通して再び流出し得る。しかし通常は、吸引ポンプを利用して洗浄液を再びポンプで排出させる。このような最小侵襲介入の典型的な過程において、自己吸引ラインを各々が有する、切開、除去、または萎縮のための別の医療デバイスの使用が提供される。これら全ての吸引ラインが開けられたとき、体腔を膨張させるための圧力を作り出すことはできない。通常、体壁の切開部は可能な限り少なくするべきであり、そのため1本の供給ラインが複数の吸引ラインに組み合わされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
体腔(例えば膝もしくは肩関節、膀胱、子宮、または他の人工体腔)の治療的介入において、2つの医療器具、すなわちシェーバ及び高周波(HF)切除デバイスが使用されることが多い。さらに、両方の医療器具が吸引ラインに接続されるとき、有利であることが判っている。本明細書における課題は、吸引容量の制御である。一方で、吸引された液体の体積は、流入する体積に相当する必要がある。そうでなければ必要な体腔の膨張が保証されないか、または体腔内の圧力が増加し、それによって、組織の損傷が生じるからである。他方で、特にそれぞれの器具の出口ラインを介して、その体積をポンプで出すよう実施することは、合理的である。
【0004】
さらに、ソレノイドコイルまたはリニアソレノイドを有する、所謂ピンチバルブで、吸引ラインをスタンプによって押し込み、それによって閉じることが最新技術である。これは、膨張のために使用される媒体がデバイスに接触しない条件を満たし、それによって媒体は無菌管を介して体腔に到達する。しかし、ソレノイドコイルが管を押し付ける力は、速度と正比例する。すなわち、高い切り替え周波数を用いると、管と管材料との当接部において大きい荷重が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下で説明する医療デバイスは、簡単な方法で上記の目標を解決できることを保証する。供給したものと正確に同じ体積が、体腔からポンプで排出される。さらに、ポンプによる排出は、主に、個々で作動される器具の出口ラインを介して行なわれる。
【0006】
さらに、改善されたピンチバルブ制御が開発された。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の医療用洗浄ポンプの概略構成図である。
図2】ピンチバルブの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によるデバイスは、ここで参照される図1及び図2において説明する。
【0009】
本発明によるデバイスに関連して、まずは、洗浄液のための貯蔵容器が設置される。この貯蔵容器からの供給ラインは、制御されたローラホイールポンプに通じ、体腔の中に入る。供給ラインのローラホイールへの連結は、先行技術で公知である、対応したカートリッジによって好適に行なわれる。体腔からの吸引のため、制御された真空ポンプが役立つ。2つの医療器具(例えばシェーバ及び高周波切除デバイス)の各々は、吸引ラインを備える。これら2本のラインには、各々ピンチバルブが設けられ、これは以下でより詳細に説明する。出口ラインは、ピンチバルブの後方に流れる方向で、貯蔵容器の中に通じる。この貯蔵容器は、制御された真空ポンプに接続される。貯蔵容器は、吸い出された液体をその中に集積して、吸い出された液体が真空ポンプに到達しないように設定される。
【0010】
通常、さらに別のラインが、体腔と貯蔵容器との間に設定される。この追加のラインは、非常に少ない洗浄液(合計体積フローの10%未満)しか吸い出されない場合のために、スロットルを含む。体積フローのスロットル調整は、対応して減少する管径によって行なわれ得る。追加のラインは、一定のフローを生じさせるよう、発生する少量の出血及び組織のデブリを排出するため、ならびに、それによって流体で満たされた体腔の中における良好な視野を可能にするための役割のみを担う。
【0011】
説明した医療デバイスの重要な要素は、ピンチバルブである。ピンチバルブは、他方のラインが完全に閉じられたときに、一方のラインが完全に開けられるような方法で、互いに連結される。この目的のため、ギアホイールを介して2つのギアラックを駆動させる、ステッパモータが役立つ。2つのギアラックは、ギアホイールにおいて、それぞれ互いに対して反対側に位置付けられ、それによって他方のギアラックがデバイスに入るとき、一方のギアラックがデバイスを出る(逆並行動作)。2本の管は、各々締め付けデバイスに位置付けられる。締め付けデバイスは、同時に、ピンチデバイスとして役立つギアラックのための、当接部としての役割を担う。ステッパモータを制御することによって、洗浄液が吸い出されるラインを選択することができる。それぞれの端部位置において、吸引は、一方のラインを介して完全となるか、または他方のラインを介して完全となるか(体積フロー率100:0または0:100)、のいずれかで行なわれる。しかし、例えば液体フローが、80:20または60:40の率で分割された中間位置も可能である。
【0012】
ギアラックに堅固に接続されたピンチ要素は、締め付ける管部分に作用し、先行技術のように、管の内腔を変形させ、さらには閉じる圧力を加える。
【0013】
本発明の任意の特徴は、ギアホイールに設けられた位置センサであり、それは任意の時点で、ギアホイールの位置を絶対測定することを可能にする。本明細書において、停止状況においてさえ、位置を測定することができ、位置センサにおける動きを必要としないことは有利であり、それによって、締め付けられた管の内腔を部分的または短時間開けることになる。この特性は、本発明の別の特徴に利用される。すなわち、ギアホイールのための駆動制御は、閉鎖段階の過程で可変であり、それによって切り替え段階において、ギアラックは非常に迅速に動かすことができ、最終的な閉鎖までの締め付け段階、または締め付け段階の一部において、締め付けられる管にかかる定義された所定の圧力に相当する駆動力を伴う動きが生じる。これを実現するために、駆動デバイスは、本発明にも従って、使用されるモータ及びギアの組み合わせが、締め付けのために最小限必要とされる力を伴うように適応されるよう構成され、切り替え段階において最大限可能な速度を達成できる。
【0014】
本発明によると、最大限実現可能なピンチ力を得ることができるよう、モータ及びギアの組み合わせは選択される。増加する力伝達と、ギアの減少する移動速度とを結合することによって、全速力のモータで実現できる移動速度は、最大限実現可能なピンチ力の定義によって決定される。これは、使用される構成要素が大きすぎず、したがって可能な限りコスト効率の良い条件下にある。そのため本発明による選択ルールは、管を締め付けて管をしっかりと閉じるために、必要な圧力を生成できるように、ギアを動かすためのモータ及びギアの組み合わせの寸法を初めに測ることである。したがって、モータ及びギアの組み合わせの最大限実現された移動速度は、より強い圧力を生成するモータ及びギアの組み合わせのための移動速度よりも高くなる。必要な圧力は、締め付けられる管を閉鎖するまでの圧力測定によって決定することができる。
【0015】
任意で、位置センサは、ギアラックの1つにも取り付けられ得る。いくつかの位置センサを、(例えばギアラック及びギアホイール、または両方のギアラックに)利用することも可能である。
【0016】
本発明によるバルブ制御の利点は、管部分及び当接部の設計が、あまり堅牢ではなく、そのため低コスト材料を使用できるか、または材料を節約でき、同時に最大限迅速に吸引ラインの閉鎖を行なえるように、実施され得ることである。
【0017】
本発明によるバルブ制御は、位置センサによって判断されたギアラックの実際の位置が、移動速度に影響を与えるように実現される。移動速度は、ピンチ要素またはギアラックが、押し込められる管と接触しない段階において最大になる。駆動ユニットは、この最大移動速度に対して設計される。本発明の速度プロファイルによると、移動の最後の10~20%における50%の速度低下が、管が完全に押し込められるまで実施される。管の内腔を押し込める速度の低下によって、吸引ラインにおける圧力パルスは避けられ、管材料及び当接部は防護され、それによって管及びカートリッジ、または管を含んだ管挿入補助器具の耐用年数は延ばされる。これは、リニアソレノイドを用いた場合は不可能である。連続的な変化及びいくつかのステージを含む移動速度が変化するときの、移動速度低下のための種々の値、ならびに時点も、本発明に属する。
【0018】
本発明の趣旨の継続性は、管の接触前の短い移動のために移動速度は低下し、管の接触時に移動速度の上昇が生じて、その後ゼロ位置まで継続的に低下する、移動速度プロファイルである。ここで、管は完全に押し込められる。移動速度の上昇及び低下の任意の組み合わせを伴う他のプロファイルも、本発明に属する。
【0019】
処置の開始において、まずは、必要な圧力または必要な体腔の膨張が実現されるまで、ローラホイールポンプを介して洗浄液が体腔内にポンプで入れられる。必要な圧力が実現されたとき、吸引ポンプが作動され、ローラホイールポンプ及び吸引ポンプの動力は結合される。供給された液体だけポンプで入れられる。医療器具(例えばシェーバ及び高周波切除デバイス)を作動させる際に、ピンチバルブは、ポンプ容量が主にそれぞれの器具の出口ラインに進むよう、それぞれ調整される。シェーバが作動されるとき、シェーバに接続された出口ラインは開けられ、高周波切除デバイスに接続されたラインは閉じられる。その後の時間において他の医療デバイスが使用されるとき、他のラインは開けられ、かつ第1のラインは閉じられる。既に上述したように、開閉は部分的にも行ない得る。この場合、例えば吸引容量の80%が、作動された医療器具に接続された吸引ラインを通して行なわれ、その一方で吸引容量の20%が、他の器具を介して実行されることになる。手順の最後において、ローラホイールポンプを停止させ、洗浄液を可能な限り吸い出すまで吸引ポンプを作動させることが考えられる。
【符号の説明】
【0020】
1 洗浄液の貯蔵容器
2 供給ライン
3 制御されたローラホイールポンプ
4 制御された真空ポンプ
5 第1の医療器具
6 第1の吸引ライン
7 第2の医療器具
8 第2の吸引ライン
9 第3の吸引ライン(任意)
10 任意の第3の吸引ラインにおけるスロットル
11 第1のピンチバルブ
12 第2のピンチバルブ
13 廃棄容器
14 第1のピンチ要素を備えた第1のギアラック
15 第2のピンチ要素を備えた第2のギアラック
16 ギアホイール
17 挿入されかつ締め付けられた管20を備えた、第1のギアラックにおけるピンチ要素のための当接部
18 挿入され締め付けられていない管21を備えた、第2のギアラックにおけるピンチ要素のための当接部
19 位置センサ
図1
図2