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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】無線装置、サーバ及び無線通信方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 64/00 20090101AFI20240201BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20240201BHJP
【FI】
H04W64/00 130
H04W88/02 140
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021552566
(86)(22)【出願日】2020-03-27
(86)【国際出願番号】 JP2020013921
(87)【国際公開番号】W WO2021192199
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】501440684
【氏名又は名称】ソフトバンク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】飯田 基貴
(72)【発明者】
【氏名】野町 真規
(72)【発明者】
【氏名】小野 敦久
(72)【発明者】
【氏名】近藤 充弘
(72)【発明者】
【氏名】野口 和人
(72)【発明者】
【氏名】福元 志郎
(72)【発明者】
【氏名】阿部 達朗
【審査官】倉本 敦史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0335416(US,A1)
【文献】特表2014-531841(JP,A)
【文献】特表2018-528692(JP,A)
【文献】国際公開第2020/003896(WO,A1)
【文献】特表2019-536024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアンテナを備えた無線装置の位置推定を行うサーバであって、
前記複数のアンテナのうちでオンとなるアンテナが異なる複数のアンテナパターンのうち少なくとも一つを選択して受信された下り参照信号を用いて測定された測定情報を受信し、又は、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンで送信された上り参照信号を用いて測定情報を測定する通信部と、
選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンについての前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行う推定部と、
を備え
前記推定部は、異なる前記アンテナパターン毎の前記無線装置と各基地局との間の伝播路の状態に基づいて重み付けされた前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行う、
サーバ。
【請求項2】
複数のアンテナを備えた無線装置の位置推定を行うサーバであって、
前記複数のアンテナのうちでオンとなるアンテナが異なる複数のアンテナパターンのうち少なくとも一つを選択して受信された下り参照信号を用いて測定された測定情報を受信し、又は、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンで送信された上り参照信号を用いて測定情報を測定する通信部と、
選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンについての前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行う推定部と、
を備え、
前記推定部は、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンによって決まるオンとされているアンテナでは伝播路の状態が悪いが前記オンとされているアンテナとは異なる他のアンテナでは伝播路の状態がよい場合には前記オンとされているアンテナと前記他のアンテナとの前記無線装置における既知の相対位置により前記測定情報に基づく前記無線装置の推定位置を補完することで、前記無線装置の位置推定を行う、
ーバ。
【請求項3】
前記推定部は、異なる前記アンテナパターン毎の前記無線装置と各基地局との間の伝播路の状態に基づいて重み付けされた前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行う、
請求項に記載のサーバ。
【請求項4】
前記複数のアンテナパターンのうち少なくとも一つを選択する選択部を備え、
前記通信部は、前記複数のアンテナパターンのうち少なくとも一つを前記無線装置に選択させるアンテナパターンに関する情報を前記無線装置に送信する、
請求項から請求項のいずれかに記載のサーバ。
【請求項5】
複数のアンテナを備える無線装置の位置推定のための無線通信方法であって、
前記複数のアンテナのうちでオンとなるアンテナが異なる複数のアンテナパターンのうち少なくとも一つを選択して受信された下り参照信号を用いて測定された測定情報を受信し、又は、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンで送信された上り参照信号を用いて測定情報を測定するステップと、
選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンについての前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行うステップであって、異なる前記アンテナパターン毎の前記無線装置と各基地局との間の伝播路の状態に基づいて重み付けされた前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行うステップと、
を有する無線通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置、サーバ及び無線通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際標準化団体である3GPP(Third Generation Partnership Project)では、第4世代(Fourth Generation:4G)無線アクセス技術(Radio Access Technology:RAT)としてLTE-Advancedが策定されている(例えば、非特許文献1)。近年では、LTE-Advancedに準拠した無線通信ネットワークの運用も進められている。
【0003】
このような無線通信ネットワークの一つとして、例えば、半径数百メートルから数十キロメートルのカバレッジを有するセル(以下、マクロセルともいう)と、マクロセルよりも小さいカバレッジを有する一以上のセル(以下、スモールセルともいう)とを用いた構成がある。このように、カバレッジが異なる複数のセルを連携させた構成は、ヘテロジニアスネットワーク(Heterogeneous Network:HetNet)とも呼ばれる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【文献】3GPP TS 36.300 V10.12.0 (2015-01)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
セル(例えば、スモールセル)を形成する無線装置は、近年小型化されており、設置、取り外し、持ち運び等が容易となっている。このような無線装置の位置を示す位置情報は、現状、当該無線装置の設置場所において通信事業者の人によって測定され、サーバに登録される。このため、当該位置情報が誤って登録される恐れがある。また、位置情報が示す位置とは異なる位置に、ユーザ等によって無線装置が移動される恐れもある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、無線装置の位置を適切に管理可能とする無線装置、サーバ及び無線通信方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の側面に係るサーバは、複数のアンテナを備えた無線装置の位置推定を行うサーバであって、前記複数のアンテナのうちでオンとなるアンテナが異なる複数のアンテナパターンのうち少なくとも一つを選択して受信された下り参照信号を用いて測定された測定情報を受信し、又は、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンで送信された上り参照信号を用いて測定情報を測定する通信部と、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンについての前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行う推定部と、を備え、前記推定部は、異なる前記アンテナパターン毎の前記無線装置と各基地局との間の伝播路の状態に基づいて重み付けされた前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行う
【0008】
本発明の他の側面に係るサーバは、複数のアンテナを備えた無線装置の位置推定を行うサーバであって、前記複数のアンテナのうちでオンとなるアンテナが異なる複数のアンテナパターンのうち少なくとも一つを選択して受信された下り参照信号を用いて測定された測定情報を受信し、又は、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンで送信された上り参照信号を用いて測定情報を測定する通信部と、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンについての前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行う推定部と、を備え、前記推定部は、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンによって決まるオンとされているアンテナでは伝播路の状態が悪いが前記オンとされているアンテナとは異なる他のアンテナでは伝播路の状態がよい場合には前記オンとされているアンテナと前記他のアンテナとの前記無線装置内における既知の相対位置により前記測定情報に基づく前記無線装置の推定位置を補完することで、前記無線装置の位置推定を行う
【0009】
本発明の他の側面に係る無線通信方法は、前記複数のアンテナのうちでオンとなるアンテナが異なる複数のアンテナパターンのうち少なくとも一つを選択して受信された下り参照信号を用いて測定された測定情報を受信し、又は、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンで送信された上り参照信号を用いて測定情報を測定するステップと、選択された少なくとも一つの前記アンテナパターンについての前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行うステップであって、異なる前記アンテナパターン毎の前記無線装置と各基地局との間の伝播路の状態に基づいて重み付けされた前記測定情報に基づいて、前記無線装置の位置推定を行うステップと、を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、無線装置の位置を適切に管理できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る無線通信システムの概要を示す図である。
図2】本実施形態に係る下りベースの位置推定の一例を示す図である。
図3】本実施形態に係る上りベースの位置推定の一例を示す図である。
図4図4A及び4Bは、本実施形態に係るアンテナパターン毎の伝播路の一例を示す図である。
図5】本実施形態に係る複数のアンテナパターンを用いた下りベースの位置推定の一例を示す図である。
図6】本実施形態に係る複数のアンテナパターンを用いた上りベースの位置推定の一例を示す図である。
図7】本実施形態に係る複数のアンテナパターンの一例を示す図である。
図8】本実施形態に係る無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図9】本実施形態に係るスモールセル基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図10】本実施形態に係るマクロセル基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。
図11】本実施形態に係るロケーションサーバの機能ブロック構成の一例を示す図である。
図12】本実施形態に係る下りベースの位置推定動作の一例を示す図である。
図13】本実施形態に係る上りベースの位置推定動作の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有してもよい。
【0013】
(無線通信システムの概要)
図1は、本実施形態に係る無線通信システムの概要を示す図である。図1に示すように、無線通信システム1は、スモールセル基地局10A及び10Bと、マクロセル基地局20A~20Cと、コアネットワーク30と、ロケーションサーバ40と、端末50A及び50Bと、を含んでもよい。
【0014】
スモールセル基地局10A及び10Bは、セル(例えば、スモールセル)を形成する無線装置である。スモールセルは、マクロセルよりも小さいカバレッジを有するセルである。スモールセルは、例えば、ピコセル、フェムトセル、リレーセル等と呼ばれてもよい。また、スモールセル基地局10A及び10Bは、マクロセル基地局20A~20Cと比べて低電力であるため、低電力ノード(low-power node)と呼ばれてもよい。
【0015】
例えば、スモールセル基地局10Aは、マクロセル基地局20Aと端末50Aとの間の中継装置である。当該中継装置は、relay node(RN)、UE-Relay等とも呼ばれる。スモールセル基地局10Aは、アクセスリンクL1を介して端末50Aと通信し、バックホールリンクL2を介してマクロセル基地局20Aと通信する。スモールセル基地局10Aは、マクロセル基地局20Aを介してコアネットワーク30に接続される。図1に示すように、アクセスリンクL1及びバックホールリンクL2は、無線リンクであってもよい。
【0016】
当該スモールセル基地局10Aは、レイヤ2以下の処理(例えば、Radio Link Control(RLC)レイヤ、Medium Access Control(MAC)レイヤ、Physical(PHY)レイヤ等の処理)を行うRN(レイヤ2RN)であってもよいし、レイヤ3以下の処理(例えば、Radio Resource Control(RRC)レイヤ、RLCレイヤ、MACレイヤ、PHYレイヤ等の処理)を行うRN(レイヤ3RN)であってもよいし、単なるリピータであってもよい。
【0017】
レイヤ2RN及びレイヤ3RNは、マクロセル基地局20Aから受信した下り信号(downlink signal)又は端末50Aから受信した上り信号(uplink signal)に対してそれぞれ復調、復号及び誤り訂正等を行ってもよい。レイヤ2RN及びレイヤ3RNは、当該下り信号又は上り信号を再度符号化(coding)及び変調して、端末50Aに送信又はマクロセル基地局20Aに送信してもよい。
【0018】
一方、スモールセル基地局10Bは、基地局の一種であり、例えば、eNodeB(eNB)、pico eNB、Home eNB(HeNB)、gNodeB(gNB)、Distributed Unit(DU)、gNB-DU、Remote Radio Head(RRH)、Integrated Access and Backhaul/Backhauling(IAB)ノード等とも呼ばれる。スモールセル基地局10Bは、アクセスリンクL1を介して端末50Bと通信する。スモールセル基地局10Bは、バックホールリンクL2を介してマクロセル基地局20Bに接続されてもよい。バックホールリンクL2は、例えば、光回線等の有線バックホールであってもよいし、IABバックホール等の無線バックホールであってもよい。
【0019】
当該スモールセル基地局10Bは、マクロセル基地局20Bとのキャリアアグリゲーション(Carrier Aggregation:CA)又はデュアルコネクティビティ(Dual Connectivity:DC)により、端末50Bと通信を行ってもよい。なお、図示しないが、スモールセル基地局10Bは、マクロセル基地局20Bを介さずに、コアネットワーク30に接続されてもよい。
【0020】
マクロセル基地局20A~20Cは、マクロセルを形成する基地局である。マクロセルは、半径数百メートルから数十キロメートルのカバレッジを有するセルである。マクロセル基地局20A及び/又は20Bは、例えば、eNB、gNB、Donor eNodeB(DeNB)、Donor eNodeB(DeNB)、Master Node、Donor node等とも呼ばれる。
【0021】
コアネットワーク30には、ロケーションサーバ40、端末50の移動(mobility)管理を行う装置(例えば、移動管理装置(Mobility Management Entity:MME)、アクセス移動管理装置(Access and Mobility Management Function:AMF)等)が設けられる。
【0022】
ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10A及び10Bの位置を推定するサーバである。ここで、当該位置は、2次元又は3次元の座標系の点であり、座標軸の値によって特定されてもよい。ロケーションサーバ40は、例えば、Evolved Serving Mobile Location Center(E-SMLC)等と呼ばれてもよい。また、ロケーションサーバ40は、マクロセル基地局20~20C、端末50A及び50Bの少なくとも一つの位置を推定してもよい。
【0023】
端末50A及び50Bは、例えば、スマートフォンや、パーソナルコンピュータ、車載端末、車載装置、静止装置等、所定の端末又は装置である。端末50A及び50Bは、User Equipment(UE)等と呼ばれてもよい。端末50A及び50Bは、移動型であってもよいし、固定型であってもよい。端末50A及び50Bは、例えば、LTE、LTE-Advanced及びNew Radio(NR)等の少なくとも一つの通信方式をサポートしてもよい。
【0024】
以下、スモールセル基地局10A及び10B、マクロセル基地局20A~20C、端末50A及び50Bをそれぞれ区別しない場合は、スモールセル基地局10、マクロセル基地局20、端末50と総称する。なお、図1は、例示にすぎず、無線通信システム1に含まれるスモールセル基地局10、マクロセル基地局20、端末50の数、構成等は図示するものに限られない。
【0025】
次に、以上のような無線通信システム1におけるスモールセル基地局10の位置推定について説明する。スモールセル基地局10の位置推定は、スモールセル基地局10によって受信又は送信される参照信号(Reference signal:RS)を用いて測定される情報(以下、測定情報という)に基づいて行われてもよい。当該RSは、下りRS(例えば、ポジショニング参照信号(Positioning reference signal:PRS))であってもよいし、又は、上りRS(例えば、サウンディング参照信号(Sounding Reference Signal:SRS))であってもよい。なお、位置推定は、ポジショニング(positioning)と言い換えられてもよい。
【0026】
<下りベースの位置推定>
下りベースの位置推定では、スモールセル基地局10で受信される下りRSを用いて測定される測定情報に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置が推定される。当該測定情報は、例えば、基準基地局(reference base station)からの下りRSと他の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)からの下りRSとの時間差を示す情報(Reference Signal Time Difference(RSTD)とも呼ばれる)であってもよい。下りベースの位置推定は、Observed Time Difference Of Arrival(OTDOA)、下りベースのポジショニング(Downlink based positioning)等とも呼ばれる。
【0027】
図2は、本実施形態に係る下りベースの位置推定の一例を示す図である。例えば、図2では、マクロセル基地局20A~20Cからの下りRSに基づいて測定される測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置が推定される。なお、図2では、マクロセル基地局20Aが、基準基地局として選択されるものとする。また、以下では、下りRSを用いて測定された測定情報の一例としてRSTDを説明するが、上記測定情報はこれに限られない。
【0028】
図2に示すように、スモールセル基地局10は、マクロセル基地局20Cからの下りRSの受信に関する時間(time)TCとマクロセル基地局20Aからの下りRSの受信に関する時間TAとの時間差であるRSTDCAと、マクロセル基地局20Bからの下りRSの受信に関する時間TBとマクロセル基地局20Aからの下りRSの受信に関する時間TAとの時間差であるRSTDBAとを測定する。スモールセル基地局10は、測定されたRSTDCA及びRSTDBAをロケーションサーバ40に送信する。
【0029】
ロケーションサーバ40は、RSTDCA及びRSTDBAに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。図2に示すように、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20A及び20Cの位置からRSTDCAが一致する関係にある点集合である双曲線DCAを求める。同様に、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20A及び20Bの位置からRSTDBAが一致する関係にある点集合である双曲線DBAを求める。RSTDCA及びRSTDBAの測定の誤差(error)がないとすると、双曲線DCA及びDBAの交点をスモールセル基地局10の位置として一意に決定できる。ただし、実際には、測定の誤差があるので、双曲線DCAは、最大で、正及び負の誤差の和NCA++NCA-だけずれる可能性がある。同様に、双曲線DBAは、最大で、正及び負の誤差の和NBA++NBA-だけずれる可能性がある。なお、マクロセル基地局20A~20Cの既知の位置とは、例えば、2次元又は3次元の座標系における点であり、座標によって示されてもよい。
【0030】
したがって、双曲線DCA及び双曲線DBAによって推定される位置は、最大誤差NCA++NCA-又はNBA++NBA-によって発生する範囲Rの任意の点となる。例えば、ロケーションサーバ40は、範囲R内の中間点、又は、マクロセル基地局20A~20Cとスモールセル基地局10との間の伝播路の状態に応じた重み付け及び/又は選択に基づいて、範囲R内のスモールセル基地局10の位置を決定する。
【0031】
<上りベースの位置推定>
上りベースの位置推定では、スモールセル基地局10から送信される上りRSを用いて測定される測定情報に基づいて、当該スモールセル基地局10の位置が推定される。当該測定情報は、例えば、他の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)における基準タイミングとスモールセル基地局10からの上りRSとの時間差を示す情報(Uplink-Relative Time of Arrival(UL-RTOA))とも呼ばれる)であってもよい。上りベースの位置推定は、Uplink Time Difference Of Arrival(UTDOA)、上りベースのポジショニング(Uplink based positioning)等とも呼ばれる。
【0032】
図3は、本実施形態に係る上りベースの位置推定の一例を示す図である。例えば、図3では、スモールセル基地局10からの上りRSを用いて測定される測定情報に基づいてスモールセル基地局10の位置が推定される。なお、以下では、上りRSを用いて測定された測定情報の一例としてUL-RTOAを説明するが、当該測定情報は、これに限られない。
【0033】
図3に示すように、マクロセル基地局20A、20B及び20Cは、それぞれ、スモールセル基地局10からの上りRSの受信に関する時間TA、TB及びTCと基準時間TREFとの時間差であるUL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACを測定する。マクロセル基地局20A、20B及び20Cは、それぞれ、測定されたUL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACをロケーションサーバ40に送信する。
【0034】
ロケーションサーバ40は、UL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。図3に示すように、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20Aの位置からUL-RTOAAが一致する関係にある点集合である円RAを求める。同様に、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20B及び20Cの位置からUL-RTOAB及びUL-RTOACが一致する関係にある点集合である円RB及びRCを求める。UL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACの測定の誤差がないとすると、円RA、RB及びRCの交点をスモールセル基地局10の位置として一意に決定できる。ただし、実際には、測定の誤差があるので、円RA、RB及びRCは、それぞれ、最大で、正及び負の誤差の和NA++NA-、NB++NB-及びNC++NC-だけずれる可能性がある。
【0035】
したがって、円RA、RB及びRCによって推定される位置は、最大誤差NA++NA-、NB++NB-又はNC++NC-によって発生する範囲Rの任意の点となる。例えば、ロケーションサーバ40は、範囲R内の中間点、又は、マクロセル基地局20A~20Cとスモールセル基地局10との間の伝播路の状態に応じた重み付け及び/又は選択に基づいて、範囲R内のスモールセル基地局10の位置を決定する。
【0036】
なお、図2及び図3では、位置推定の対象となるスモールセル基地局10以外の他のスモールセル基地局10は示されないが、これに限られない。図2においてマクロセル基地局20から送信される下りRSは、当該他のスモールセル基地局10から送信されてもよい。また、図3においてマクロセル基地局20で受信される上りRSは、他のスモールセル基地局10で受信されて測定されてもよい。
【0037】
以上のように、下りRSを用いて測定された測定情報(例えば、RSTD)、又は、上りRSを用いて測定された測定情報(例えば、UL-RTOA)に基づいて、スモールセル基地局10の位置が推定される。このような下りRS又は上りRSを用いたスモールセル基地局10の位置推定の手法では、端末50の位置推定の手法を流用できるので、スモールセル基地局10の位置の登録を簡便に自動化できる。
【0038】
しかしながら、上記下りRS又は上りRSを用いた位置推定の手法では、下りRS又は上りRSの伝播路の状態によって測定誤差が大きくなると、スモールセル基地局10の位置の推定精度が低下する恐れがある。一方、スモールセル基地局10は、複数のアンテナAを備える。このため、当該複数のアンテナAのうちでオンとなる一以上のアンテナAが異なる複数のアンテナパターンを切り替えることにより、下りRS又は上りRSの伝播路の状態が変化することが想定される。ここで、伝播路の状態とは、例えば、下りRS又は上りRSが伝播される伝播路の方向、当該伝播路の距離(すなわち、スモール基地局10とマクロセル基地局20との間の距離)及び当該伝播路の品質(例えば、パスロス、チャネル状態情報(CSI)、参照信号受信電力(RSRP)、参照信号受信品質(RSRQ)等)等の少なくとも一つを含んでもよい。
【0039】
そこで、本実施形態に係るスモールセル基地局10は、複数のアンテナAの各々のオン又はオフを制御して、複数のアンテナパターンを切り替えることにより、当該複数のアンテナパターンの各々で下りRSの受信又は上りRSの送信を行う。また、ロケーションサーバ40は、当該複数のアンテナパターンの各々で受信された下りRSを用いて測定された測定情報(例えば、RSTD)、又は、当該複数のアンテナパターンの各々で送信された上りRSを用いて測定された測定情報(例えば、UL-RTOA)に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。これにより、下りRS又は上りRSの複数の伝播路の状態を考慮できるので、スモールセル基地局10の位置の推定精度を向上できる。
【0040】
<複数のアンテナパターン>
次に、複数のアンテナパターンを用いたスモールセル基地局の位置推定の手法について説明する。図4A及び4Bは、本実施形態に係るアンテナパターン毎の伝播路の一例を示す図である。例えば、図4A及び4Bでは、スモールセル基地局10が4つのアンテナA1~A4を備えるが、スモールセル基地局10が備えるアンテナAの数はこれに限られない。図4Aでは、アンテナA1がオン及びアンテナA2~A4がオフであるアンテナパターン1が示され、図4Bでは、アンテナA3がオン及びアンテナA1、A2、A4がオフであるアンテナパターン3が示される。
【0041】
図4A及び4Bに示すように、アンテナパターン1でオンとなるアンテナA1とマクロセル基地局20A~20Cの各々との伝播路と、アンテナパターン3でオンとなるアンテナA3とマクロセル基地局20A~20Cの各々との伝播路とは異なる。このため、当該アンテナA1とマクロセル基地局20Cとの間の伝播路の状態が悪い(例えば、図4Aに示すように障害物の影響を受ける)場合、当該アンテナA3とマクロセル基地局20Cとの間の伝播路の状態は良い(例えば、図4Bに示すように障害物の影響を受けない)ことも想定される。この場合、アンテナパターン1に基づく推定位置を、アンテナパターン3に基づく推定位置と、スモールセル基地局10のアンテナA1及びA3間の既知の距離AD13とに基づいて、で補完することができる。
【0042】
≪下りベースの位置推定≫
図5は、本実施形態に係る複数のアンテナパターンを用いた下りベースの位置推定の一例を示す図である。なお、図5では、基準基地局をマクロセル基地局20Aとして、マクロセル基地局20C及び20Aからの下りRSを用いてアンテナパターン1でRSTDCA1が測定され、マクロセル基地局20B及び20Aからの下りRSを用いてアンテナパターン1でRSTDBA1が想定されるものとする。図2と同様に、RSTDCA1に基づく双曲線DCA1と、RSTDBA1に基づく双曲線DBA1と、が交わる範囲R1内で、スモールセル基地局10の位置が推定されるものとする。
【0043】
ここで、アンテナパターン1でオンになるアンテナA1とマクロセル基地局20Cの伝播路の状態が悪い場合(例えば、図4A参照)、RSTDCA1の誤差NCAが大きくなるので、範囲R1が拡大し、スモールセル基地局10の位置の推定精度が低下する恐れがある。そこで、スモールセル基地局10は、アンテナA1よりも伝播路の状態が良いアンテナA3をオンにするアンテナパターン3で、マクロセル基地局20C及び20Aからの下りRSを用いてRSTDCA3を測定してもよい。
【0044】
図5に示すように、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20A及び20Cの位置からRSTDCA3が一致する関係にある点集合である双曲線DCA3を求める。また、ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10内におけるアンテナA1及びA3の既知の距離AD13に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。例えば、図5では、RSTDCA3に基づく双曲線DCA3から距離AD13の点の集合である円C1が求められる。ロケーションサーバ40は、上記範囲R1と円C1とが交わる範囲R2を求め、当該範囲R2でスモールセル基地局10の推定位置を決定してもよい。
【0045】
このように、図5では、同じマクロセル基地局20A及び20Cからの下りRSを用いて異なるアンテナパターン1及び3で測定された複数のRSTDと、当該異なるアンテナパターン1及び3でオンとなるアンテナA1及びA3間の既知の距離AD13に基づいて、スモールセル基地局10の位置が推定される。これにより、単一のアンテナパターン1で推定された範囲R1よりも小さい範囲R2に、スモールセル基地局10の推定位置を絞ることができる。よって、スモールセル基地局10の推定精度を向上させることができる。
【0046】
≪上りベースの位置推定≫
図6は、本実施形態に係る複数のアンテナパターンを用いた上りベースの位置推定の一例を示す図である。なお、図6では、マクロセル基地局20A、20B及び20Cが、スモールセル基地局10からアンテナパターン1で送信された上りRSを用いてUL-RTOAA1、UL-RTOAB1及びUL-RTOAC1を測定するものとする。図3と同様に、UL-RTOAA1、UL-RTOAB1及びUL-RTOAC1に基づく円RA1、RB1及びRC1が交わる範囲R3内で、スモールセル基地局10の位置が推定されるものとする。
【0047】
ここで、アンテナパターン1でオンになるアンテナA1とマクロセル基地局20Cの伝播路の状態が悪い場合(例えば、図4A参照)、UL-RTOAA1の誤差NCAが大きくなるので、範囲R3が拡大し、スモールセル基地局10の位置の推定精度が低下する恐れがある。そこで、スモールセル基地局10は、アンテナA1よりも伝播路の状態が良いアンテナA3をオンにするアンテナパターン3で、上りRSを送信し、マクロセル基地局20A、20B及び20Cが、UL-RTOAA3、UL-RTOAB3及びUL-RTOAC3を測定してもよい。
【0048】
図6に示すように、ロケーションサーバ40は、既知のマクロセル基地局20Cの位置からUL-RTOAC3が一致する関係にある点集合である円RC3を求める。また、ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10内におけるアンテナA1及びA3の既知の距離AD13に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。例えば、図6では、UL-RTOAC3に基づく円R3から距離AD13の点の集合である円C2が求められる。ロケーションサーバ40は、上記範囲R3と円C2とが交わる範囲R4を求め、当該範囲R4でスモールセル基地局10の推定位置を決定してもよい。
【0049】
このように、図6では、異なるアンテナパターン1及び3で送信された上りRSに基づいてマクロセル基地局20Cで測定された複数のUL-RTOAと、当該異なるアンテナパターン1及び3でオンとなるアンテナA1及びA3間の既知の距離AD13に基づいて、スモールセル基地局10の位置が推定される。これにより、単一のアンテナパターン1で推定された範囲R3よりも小さい範囲R4に、スモールセル基地局10の推定位置を絞ることができる。よって、スモールセル基地局10の推定精度を向上させることができる。
【0050】
なお、図4~6では、アンテナパターン1及び3を用いたスモールセル基地局の位置推定の手法について例示したが、スモールセル基地局10の位置推定に用いられる複数のアンテナパターンはこれに限られない。
【0051】
図7は、本実施形態に係る複数のアンテナパターンの一例を示す図である。図7に示すように、アンテナパターンは、スモールセル基地局10が備える複数のアンテナA(例えば、図7では、アンテナA1~A4)の各々のオン又はオフの組み合わせである。複数のアンテナパターン間では、オンとなる一以上のアンテナAのセット(アンテナセットともいう)が異なる。
【0052】
例えば、アンテナパターン1~4間では、オンとなる一つのアンテナAが異なる。また、アンテナパターン5~8間では、オンとなる二つのアンテナAが異なる。このように、複数のアンテナパターンでは、オンとなるアンテナセットが異なればよい。
【0053】
図4~6で説明したように、スモールセル基地局10の位置推定に異なるアンテナパターンで受信された下りRS又は送信された上りRSが用いられる場合、当該異なるアンテナパターンでオンとなるアンテナ間の距離に基づいて、当該位置推定が行われる。
【0054】
例えば、図7のアンテナパターン1及び2を用いる場合、アンテナA1及びA2の距離が考慮される。また、アンテナパターン2及び3を用いる場合、アンテナA2及びA3の距離が考慮される。また、アンテナパターン2及び4を用いる場合、アンテナA2及びA4の距離が考慮される。また、アンテナパターン3及び4を用いる場合は、アンテナA3及びA4の距離が考慮される。このように、アンテナパターンのペア毎に位置推定に用いるアンテナ間の距離が定められてもよい。
【0055】
また、アンテナパターン5及び6を用いる場合、アンテナA1及びA2を含むアンテナセットS1と、アンテナA3及びA4を含むアンテナセットS2との距離が考慮されてもよい。同様に、アンテナパターン7及び8を用いる場合、アンテナA1及びA4を含むアンテナセットS3と、アンテナA2及びA3を含むアンテナセットS4との距離が考慮されてもよい。
【0056】
以上のように、オンとなる一以上のアンテナが異なる複数のアンテナパターンの各々を用いて下りRSの受信又は上りRSの送信を行うことにより、スモールセル基地局10と他の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)との間の複数の測定情報を考慮できるので、スモールセル基地局10の位置の推定精度を向上できる。
【0057】
(無線通信システムの詳細構成)
次に、以上のような無線通信システム1の各装置の詳細構成について説明する。なお、以下の構成は、本実施形態の説明において必要な構成を示すためのものであり、各装置が図示以外の機能ブロックを備えることを排除するものではない。
【0058】
<ハードウェア構成>
図8は、本実施形態に係る無線通信システム内の各装置のハードウェア構成の一例を示す図である。無線通信システム1内の各装置(例えば、スモールセル基地局10、マクロセル基地局20又はロケーションサーバ40)は、プロセッサ10a、メモリ10b、記憶装置10c、有線又は無線通信を行う通信装置10d、入力操作を受け付ける入力装置10e、情報の出力を行う出力装置10f及び一以上のアンテナAを少なくとも有する。
【0059】
プロセッサ10aは、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、無線通信システム1内の各装置を制御する。プロセッサ10aは、各装置を制御する制御部を構成してもよい。
【0060】
メモリ10bは、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)及び/又はRAM(Random Access Memory)等から構成される。
【0061】
記憶装置10cは、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)及び/又はeMMC(embedded Multi Media Card)等のストレージから構成される。
【0062】
通信装置10dは、有線及び/又は無線ネットワークを介して通信を行う装置であり、例えば、ネットワークカード、通信モジュールなどである。また、通信装置10dには、アンプ、無線信号に関する処理を行うRF(Radio Frequency)装置と、ベースバンド信号処理を行うBB(BaseBand)装置とを含んでいてもよい。
【0063】
RF装置は、例えば、BB装置から受信したデジタルベースバンド信号に対して、D/A変換、変調、周波数変換、電力増幅等を行うことで、アンテナAから送信する無線信号を生成する。また、RF装置は、アンテナAから受信した無線信号に対して、周波数変換、復調、A/D変換等を行うことでデジタルベースバンド信号を生成してBB装置に送信する。BB装置は、デジタルベースバンド信号をIPパケットに変換する処理、及び、IPパケットをデジタルベースバンド信号に変換する処理を行う。
【0064】
入力装置10eは、例えば、キーボード、タッチパネル、マウス及び/又はマイク等である。出力装置10fは、例えば、ディスプレイ及び/又はスピーカ等である。
【0065】
<機能ブロック構成>
≪スモールセル基地局≫
図9は、本実施形態に係るスモールセル基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。図9に示すように、スモールセル基地局10は、アンテナ部11a~11dと、制御部12と、通信部13と、測定部14と、を備える。なお、上りベースの位置推定の場合、測定部14は省略されてもよい。
【0066】
また、図9では、4つのアンテナ部11a~11dが示されるが、スモールセル基地局10の備えるアンテナ部11の数は4に限られず、2以上であればよい。アンテナ部11a~11d及びアンテナ部11a~11dが備えるアンテナA1~A4を区別しない場合は、アンテナ部11及びアンテナAと総称する。
【0067】
各アンテナ部(antenna unit)11は、アンテナAを含んで構成される。当該アンテナAは、一つ又は複数のアンテナ素子(antenna element)で構成されてもよい。当該アンテナAは、複数のアンテナ素子を含むアンテナパネルで構成されてもよい。また、各アンテナ部11は、アンテナAのオン又はオフを切り替えるスイッチを備えてもよい。
【0068】
制御部12は、各アンテナ部11のアンテナAのオン又はオフを制御してもよい。制御部12は、各アンテナAのオン又はオフを制御して、複数のアンテナAのうちでオンとなる一以上のアンテナAが異なる複数のアンテナパターン(例えば、図7)を切り替えてもよい。
【0069】
制御部12は、当該複数のアンテナパターンを選択してもよい。上記複数のアンテナパターンを示す情報(アンテナパターン情報)が後述する通信部13によってロケーションサーバ40から受信される場合に、当該アンテナパターン情報が示す複数のアンテナパターンを選択してもよい。又は、制御部12は、例えば、スモールセル基地局10と他の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)との間の多くの伝播路の状態に基づいて、複数のアンテナパターンを選択し、後述する通信部13に当該選択されたアンテナパターンを示す情報をロケーションサーバ40に送信させてもよい。また、制御部12は、予め定められた全アンテナパターンを選択して、当該全アンテナパターンを順に試行してもよい。
【0070】
通信部13は、アクセスリンクL1を介して端末50との間で、下り信号の送信及び/又は上り信号の受信を行う。また、通信部13は、バックホールリンクL2を介してマクロセル基地局20との間で、下り信号の受信及び/又は上り信号の送信を行う。
【0071】
また、通信部13は、ロケーションサーバ40との通信用のプロトコルを介して、ロケーションサーバ40と通信を行ってもよい。当該プロトコルは、例えば、LTE positioning Protocol(LPP)、LPP Annex(LPPa)、又は、LPP Extensions(LPPe)等の位置推定に関するプロトコルであってもよい。例えば、通信部13は、当該プロトコルを介して、上記複数のアンテナパターンを示す情報(アンテナパターン情報)を受信又は送信してもよい。
【0072】
具体的には、通信部13は、下りベースの位置推定に関する通信を行うOTDOA通信部131、及び、上りベースの位置推定に関する通信を行うUTDOA通信部132の少なくとも一つを含んでもよい。
【0073】
OTDOA通信部131は、上記複数のアンテナパターンの各々で、スモールセル基地局10の位置推定用の測定情報(例えば、RSTD)の測定に用いられる下りRS(例えば、PRS)を受信する。具体的には、OTDOA通信部131は、各アンテナパターンで、複数のセルそれぞれで送信される複数の下りRSを受信してもよい。当該複数のセルは、一以上のマクロセル基地局20及び/又は他の一以上のスモールセル基地局10によって形成されてもよい。
【0074】
また、OTDOA通信部131は、測定部14による測定を支援(assist)する情報(支援情報)をロケーションサーバ40から受信してもよい。支援情報は、例えば、測定対象の下りRSを送信するセルに関する情報(例えば、セルID等)、下りRSの構成(configuration)情報(例えば、タイミング、周期、無線リソース等)等を含んでもよい。
【0075】
また、OTDOA通信部131は、上記複数のアンテナパターンの各々で受信された下りRSを用いて測定された測定情報(例えば、RSTD)をロケーションサーバ40に送信してもよい。
【0076】
UTDOA通信部132は、上記複数のアンテナパターンの各々で、スモールセル基地局10の位置推定用の測定情報(例えば、UL-RTOA)の測定に用いられる上りRS(例えば、SRS)を送信する。例えば、UTDOA通信部132は、アンテナパターン毎に異なる無線リソース(例えば、時間リソース及び/又は周波数リソース)で、当該上りRSを送信してもよい。また、UTDOA通信部132は、上りRSの送信に使用するアンテナパターンを予めマクロセル基地局20に明示的に通知してもよい。
【0077】
測定部14は、OTDOA通信部131で受信された下りRSに基づいて、測定情報(例えば、RSTD)を測定する。具体的には、測定部14は、複数のセルで受信された下りRSの時間差(例えば、図2参照)を当該測定情報として、各アンテナパターンで測定してもよい。
【0078】
なお、アンテナ部11は、例えば、アンテナA及び通信装置10dにより実現されてもよい。制御部12は、プロセッサ10aが、記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。通信部13及び測定部14は、例えば通信装置10dにより実現されてもよいし、通信装置10dに加えてプロセッサ10aが記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムを格納した記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記憶媒体(Non-transitory computer readable medium)であってもよい。非一時的な記憶媒体は、特に限定されないが、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリ、又はCD-ROM(Compact Disc ROM)等の記憶媒体であってもよい。
【0079】
≪マクロセル基地局≫
図10は、本実施形態に係るマクロセル基地局の機能ブロック構成の一例を示す図である。図10に示すように、マクロセル基地局20は、通信部21と、測定部22と、制御部23と、を備える。なお、下りベースの位置推定の場合、測定部22は省略されてもよい。
【0080】
通信部21は、アクセスリンクL1を介して端末50との間で、下り信号の送信及び/又は上り信号の受信を行う。また、通信部21は、バックホールリンクL2を介してスモールセル基地局10との間で、下り信号の送信及び/又は上り信号の受信を行う。
【0081】
また、通信部21は、ロケーションサーバ40との通信用のプロトコル(例えば、LPPa)を介して、ロケーションサーバ40と通信を行ってもよい。例えば、通信部21は、当該プロトコルを介して、上記アンテナパターン情報を受信してもよい。
【0082】
具体的には、通信部21は、下りベースの位置推定に関する通信を行うOTDOA通信部211、及び、上りベースの位置推定に関する通信を行うUTDOA通信部212の少なくとも一つを含んでもよい。
【0083】
OTDOA通信部211は、スモールセル基地局10の位置推定用の測定情報(例えば、RSTD)の測定に用いられる下りRS(例えば、PRS)を送信する。例えば、OTDOA通信部211は、アンテナパターン毎に異なる無線リソース(例えば、時間リソース及び/又は周波数リソース)で、当該下りRSを送信してもよい。
【0084】
UTDOA通信部212は、複数のアンテナパターンの各々でスモールセル基地局10から送信された上りRS(例えば、SRS)を受信する。当該上りRSの送信に用いられたアンテナパターンは、例えば、当該上りRSが送信される無線リソース(例えば、時間リソース及び/又は周波数リソース)に基づいて認識されてもよい。
【0085】
また、UTDOA通信部212は、測定部22による測定を支援する支援情報をロケーションサーバ40から受信してもよい。当該支援情報は、例えば、測定対象の上りRSに関する情報(例えば、タイミング、周期、無線リソース等)等を含んでもよい。
【0086】
測定部22は、UTDOA通信部212で受信された上りRSに基づいて、測定情報(例えば、UL-RTOA)を測定する。具体的には、測定部22は、基準時間と上りRSの時間差(例えば、図3参照)を当該測定情報として、各アンテナパターンで測定してもよい。測定部22は、例えば、位置測定ユニット(Location Measurement Unit:LMU)で構成されてもよい。
【0087】
制御部23は、マクロセル基地局20を制御する。具体的には、制御部23は、通信部21による通信及び/又は測定部22による測定を制御してもよい。
【0088】
なお、通信部21及び測定部22は、例えば通信装置10dにより実現されてもよいし、通信装置10dに加えてプロセッサ10aが記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、上記記憶媒体に格納されていてもよい。
【0089】
≪ロケーションサーバ≫
図11は、本実施形態に係るロケーションサーバの機能ブロック構成の一例を示す図である。図11に示すように、ロケーションサーバ40は、記憶部41と、通信部42と、推定部43と、選択部44とを備える。なお、スモールセル基地局10で複数のアンテナパターンが選択される場合、選択部44は省略されてもよい。
【0090】
記憶部41は、スモールセル基地局10の位置推定に用いられる情報を記憶する。当該情報は、例えば、以下の少なくとも一つを示す情報を含んでもよい。
・位置推定対象のスモールセル基地局10以外の他の基地局(例えば、マクロセル基地局20A~20C、他のスモールセル基地局10)の位置
・位置推定対象のスモールセル基地局10が備える二つのアンテナA間の距離(又は、二つのアンテナセット間の距離)
・各アンテナパターンにおける伝播路の状態
【0091】
通信部42は、所定のプロトコル(例えば、LPP、LPPa又はLPPe等)を用いて、スモールセル基地局10、マクロセル基地局20及び端末50の少なくとも一つとの通信を行う。例えば、通信部42は、上記伝播路の状態を示す情報(伝播路情報)をスモールセル基地局10又はマクロセル基地局20から受信してもよい。
【0092】
また、通信部42は、後述する選択部44で選択される複数のアンテナパターンを示すアンテナパターン情報を、スモールセル基地局10に送信してもよい。又は、通信部42は、スモールセル基地局10で選択された複数のアンテナパターンを示すアンテナパターン情報を受信してもよい。
【0093】
また、通信部42は、下りベースの位置推定に関する通信を行うOTDOA通信部421、及び、上りベースの位置推定に関する通信を行うUTDOA通信部422の少なくとも一つを含んでもよい。
【0094】
OTDOA通信部421は、スモールセル基地局10で受信された下りRSを用いて測定された測定情報(例えば、RSTD)をスモールセル基地局10から受信してもよい。当該測定情報は、上記複数のアンテナパターンの各々に対応してもよい。また、OTDOA通信部421は、当該測定情報の測定用の支援情報をスモールセル基地局10に送信してもよい。
【0095】
UTDOA通信部422は、スモールセル基地局10から送信された上りRSを用いて測定された測定情報(例えば、UL-RTOA)をマクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10から受信してもよい。当該測定情報は、上記複数のアンテナパターンの各々に対応してもよい。また、UTDOA通信部422は、当該測定情報の測定用の支援情報をマクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10に送信してもよい。
【0096】
推定部43は、OTDOA通信部421で受信された測定情報(例えば、RSTD)又はUTDOA通信部422で受信された測定情報(例えば、UL-RTOA)に基づいて、スモールセル基地局10の位置推定を行う。具体的には、推定部43は、スモールセル基地局10で切り替えられる複数のアンテナパターンの少なくとも一つについての上記推定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置推定を行ってもよい。
【0097】
具体的には、推定部43は、複数のアンテナパターンにそれぞれ対応する複数の測定情報と、当該複数のアンテナパターンでオンになるアンテナ間の距離とに基づいて、スモールセル基地局10の位置推定を行ってもよい。例えば、図4-6で説明したように、スモールセル基地局10においてアンテナパターン1及び3が切り替えられる場合に、推定部43は、当該アンテナパターン1及び3に対応する測定情報と、当該アンテナパターン1及び3でオンとなるアンテナA1及びA3の距離AD13とに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。
【0098】
また、推定部43は、アンテナパターン毎のスモールセル基地局10と上記他の基地局との間の伝播路の状態に基づいて、各アンテナパターンに対応する測定情報に重み付けしてもよい。推定部43は、重み付けされた測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。例えば、図4A及び4Bで説明したように、アンテナパターン1との他の基地局との伝播路の状態がアンテナパターン3よりも悪い場合、アンテナパターン3に対応する測定情報にアンテナパターン1よりも大きい重み係数が乗算されてもよい。
【0099】
選択部44は、スモールセル基地局10の複数のアンテナパターンを選択する。例えば、選択部44は、例えば、スモールセル基地局10と他の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)との間の伝播路の状態に基づいて、複数のアンテナパターンを選択してもよい。通信部42は、当該選択されたアンテナパターンを示す情報をスモールセル基地局10に送信してもよい。また、選択部44は、予め定められた全アンテナパターンを選択し、通信部42は、当該全アンテナパターンを示す情報をスモールセル基地局10に送信してもよい。
【0100】
なお、通信部42は、例えば通信装置10dにより実現されてもよいし、通信装置10dに加えてプロセッサ10aが記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。記憶部41は、記憶装置10cにより実現されてもよい。推定部43及び選択部44は、プロセッサ10aが、記憶装置10cに記憶されたプログラムを実行することにより実現されてもよい。プログラムを実行する場合、当該プログラムは、上記記憶媒体に格納されていてもよい。
【0101】
(無線通信システムの動作)
次に、以上のように構成される無線通信システム1の動作について説明する。
【0102】
<下りベースの位置推定動作>
図12は、本実施形態に係る下りベースの位置推定動作の一例を示す図である。図12では、マクロセル基地局20A~20Cからの下りRSに基づいてスモールセル基地局10の位置を推定する一例を説明する。なお、上記の通り、下りRSは、マクロセル基地局20に限られず、他のスモールセル基地局10から送信されてもよい。また、図12では、下りRSを用いて測定される測定情報は、RSTDであるものとするが、これに限られない。
【0103】
また、本動作は、ロケーションサーバ40からの要求情報に応じて開始されてもよい。当該要求情報は、例えば、スモールセル基地局10における測定を要求する情報であってもよい。又は、スモールセル基地局10が所定の条件を満たす場合に開始されてもよい。当該所定の条件は、例えば、スモールセル基地局10の移動が検出される場合等であってもよい。また、本動作の開始前においてスモールセル基地局10は、下りRSの測定用に上記支援情報をロケーションサーバ40から取得しているものとする。また、本動作の開始前にiは初期化されているものとする。
【0104】
ステップS101において、スモールセル基地局10は、下りRSの測定用のM(M≧2)個のアンテナパターンを選択する。例えば、スモールセル基地局10は、ロケーションサーバ40から通知されるM個のアンテナパターンを示すアンテナパターン情報に基づいて、M個のアンテナパターンを選択してもよい。当該アンテナパターン情報は、例えば、上記支援情報又は上記要求情報に含まれてもよい。又は、スモールセル基地局10自身が、複数のアンテナパターンを選択してもよい。又は、スモールセル基地局10は、全てのアンテナパターン(例えば、図7では、アンテナパターン1~8)を選択してもよい。
【0105】
ステップS102において、スモールセル基地局10は、ステップS102で選択されたM個のアンテナパターンのうち、i番目のアンテナパターン(1≦i≦M)に従って、各アンテナAのオン又はオフを制御する。
【0106】
ステップS103において、スモールセル基地局10は、i番目のアンテナパターンで、マクロセル基地局20A~20Cからの下りRSを受信する。
【0107】
ステップS104において、スモールセル基地局10は、i番目のアンテナパターンで受信された下りRSに基づいて、少なくとも一つのRSTDを測定する。
【0108】
ステップS105において、スモールセル基地局10は、アンテナパターンの添え字iを1カウントアップし、カウントアップされたiがステップS101で選択されたアンテナパターンの数Mを超えるか否かを判定する。i≦Mである場合、本動作は、ステップS102に戻り、i>Mである場合、本動作は、ステップS106に進む。ここでは、本動作の開始前に初期化されるiの初期値は1であるものとするが、これに限られない。例えば、iの初期値が0である場合、ステップS105において、iがM-1を超えるか否か(i>M-1であるか否か)が判定されてもよい。
【0109】
ステップS106において、スモールセル基地局10は、M個のアンテナパターンそれぞれを用いた測定結果を示す測定情報をロケーションサーバ40に送信する。当該測定情報は、M個のアンテナパターンの各々で測定された一以上のRSTDと、M個のアンテナパターンの各々を示す情報(例えば、M個のアンテナパターンID)を含んでもよい。
【0110】
ステップS107において、ロケーションサーバ40は、スモールセル基地局10から受信した測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。具体的には、ロケーションサーバ40は、M個のアンテナパターンのうちの少なくとも一つで測定されたRSTDに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。
【0111】
例えば、図5では、ロケーションサーバ40は、アンテナパターン1のRSTDCA1及びRSTDBA1と、アンテナパターン3のRSTDCAと、アンテナパターン1でオンとなるアンテナA1及びアンテナパターン3でオンとなるアンテナA3との距離とに基づいて、スモールセル基地局10の推定位置の範囲R2を決定する。
【0112】
<上りベースの位置推定動作>
図13は、本実施形態に係る上りベースの位置推定動作の一例を示す図である。図13では、スモールセル基地局10からの上りRSに基づいて当該スモールセル基地局10の位置を推定する一例を説明する。なお、上記の通り、上りRSは、マクロセル基地局20に限られず、他のスモールセル基地局10で受信及び測定されてもよい。また、図13では、上りRSを用いて測定される測定情報は、UL-RTOAであるものとするが、これに限られない。
【0113】
また、図13において、上りRSの構成情報(例えば、タイミング、周期、無線リソース等)がマクロセル基地局20A~20Cのいずれかによってスモールセル基地局10に設定(configure)されていてもよい。当該構成情報は、上りRSの測定用の支援情報として、ロケーションサーバ40からマクロセル基地局20A~20Cに通知されてもよいし、又は、マクロセル基地局20A~20Cのいずれかからロケーションサーバ40に通知されてもよい。
【0114】
また、本動作は、ロケーションサーバ40からの要求情報に応じて開始されてもよい。当該要求情報は、例えば、ロケーションサーバ40によって選択されたマクロセル基地局20A~20C(のLMU)における測定を要求する情報であってもよい。又は、スモールセル基地局10が所定の条件を満たす場合に開始されてもよい。当該所定の条件は、例えば、スモールセル基地局10の移動が検出される場合等であってもよい。また、本動作の開始前にiは初期化されているものとする。
【0115】
図13のステップS201及びS202は、図12のステップS101及びS102と同様である。ステップS203において、スモールセル基地局10は、i番目のアンテナパターンを用いて、上りRSを送信する。
【0116】
ステップS204において、マクロセル基地局20A~20Cは、それぞれ、i番目のアンテナパターンで送信された上りRSに基づいて、UL-RTOAを測定する。
【0117】
ステップS205において、スモールセル基地局10は、アンテナパターンの添え字iを1カウントアップし、カウントアップされたiがステップS101で選択されたアンテナパターンの数Mを超えるか否かを判定する。i≦Mである場合、本動作は、ステップS202に戻り、i>Mである場合、本動作は、ステップS206に進む。ここでは、本動作の開始前に初期化されるiの初期値は1であるものとするが、これに限られない。例えば、iの初期値が0である場合、ステップS105において、iがM-1を超えるか否か(i>M-1であるか否か)が判定されてもよい。
【0118】
ステップS206において、マクロセル基地局20A~20Cは、それぞれ、M個のアンテナパターンそれぞれを用いた測定結果を示す測定情報をロケーションサーバ40に送信する。当該測定情報は、M個のアンテナパターンの各々で測定されたUL-RTOAと、M個のアンテナパターンの各々を示す情報(例えば、M個のアンテナパターンID)を含んでもよい。
【0119】
ステップS207において、ロケーションサーバ40は、マクロセル基地局20A~20Cから受信した測定情報に基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定する。具体的には、ロケーションサーバ40は、M個のアンテナパターンのうちの少なくとも一つで測定されたUL-RTOAに基づいて、スモールセル基地局10の位置を推定してもよい。
【0120】
例えば、図6では、ロケーションサーバ40は、アンテナパターン1のUL-RTOAA、UL-RTOAB及びUL-RTOACと、アンテナパターン3のUL-RTOACと、アンテナパターン1でオンとなるアンテナA1及びアンテナパターン3でオンとなるアンテナA3との距離とに基づいて、スモールセル基地局10の推定位置の範囲R4を決定する。
【0121】
以上のように、オンとなる一以上のアンテナが異なる複数のアンテナパターンの各々を用いて下りRSの受信又は上りRSの送信を行うことにより、スモールセル基地局10と他の基地局(マクロセル基地局20又は他のスモールセル基地局10)との間の複数の測定情報を考慮できるので、スモールセル基地局10の位置の推定精度を向上できる。
【0122】
(その他の実施形態)
なお、上記実施形態は、スモールセル基地局10の位置の正誤確認と組み合わせられてもよい。例えば、上記位置の推定対象となるスモールセル基地局10以外の他の基地局、又は、コアネットワーク30上のサーバ(例えば、ロケーションサーバ40)は、以下の少なくとも一つに基づいて求められる位置と、上記実施形態で位置推定されたスモールセル基地局10の位置と、の比較結果に基づいて、上記実施形態で推定された位置の正誤を判定してもよい。
・GPS信号に基づいて決定されたスモールセル基地局10の位置
・他の通信方式(例えば、WiFi(登録商標)又はBluetooth(登録商標))のアクセスポイントの測位機能(例えば、Wi-Fi CERTIFIED Location)によって求められたスモールセル基地局10の位置
・周辺セルの情報(例えば、ネットワークスクリーニングの結果)
・Ncellテーブルに登録されたセルの変動
・スモールセル基地局10に割り当てられたインターネットプロトコル(IP)情報(例えば、IPアドレス)
【0123】
また、上記実施形態は、スモールセル基地局10の位置の移動検出と組み合わせられてもよい。例えば、上記位置の推定対象となるスモールセル基地局10自身、当該スモールセル基地局10以外の他の基地局、又は、コアネットワーク30上のサーバ(例えば、ロケーションサーバ40)は、以下の少なくとも一つに基づいて、上記実施形態で位置推定されたスモールセル基地局10の移動を検出してもよい。
・GPS信号に基づいて決定されたスモールセル基地局10の位置
・他の通信方式(例えば、Wi-Fi(登録商標)又はBluetooth(登録商標))のアクセスポイントの測位機能(例えば、Wi-Fi CERTIFIED Location)によって求められたスモールセル基地局10の位置
・周辺セルの情報(例えば、ネットワークスクリーニングの結果)
・Ncellテーブルに登録されたセルの変動
・スモールセル基地局10に割り当てられたインターネットプロトコル(IP)情報(例えば、IPアドレス)
・スモールセル基地局10が備えるセンサで検出される情報(センサ情報)
・スモールセル基地局10の電源の状態又は稼働状況を示す情報(稼働情報)
【0124】
上記センサ情報を検出するセンサは、例えば、ジャイロセンサ、明かりセンサ又はスイッチセンサであってもよい。例えば、スモールセル基地局10内部に設けられたジャイロセンサ等)により、スモールセル基地局10の加速度又は姿勢の変化等がセンサ情報として検出されてもよい。また、スモールセル基地局10の底部等の接触面に設けられた明かりセンサにより、接触面の明暗の変化等がセンサ情報として検出されてもよい。また、スモールセル基地局10の底部等の接触面に設けられたスイッチセンサにより、スイッチの変動が上記センサ情報として検出されてもよい。
【0125】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態で説明したフローチャート、シーケンス、実施形態が備える各要素並びにその配置、材料、条件、形状及びサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換し又は組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0126】
1…無線通信システム、10…スモールセル基地局、20…マクロセル基地局、30…コアネットワーク、40…ロケーションサーバ、50…端末、10a…プロセッサ、10b…メモリ、10c…記憶装置、10d…通信装置、10e…入力装置、10f…出力装置、A…アンテナ、11…アンテナ部、12…制御部、13…通信部、131…OTDOA通信部、132…UTDOA通信部、14…測定部、21…通信部、211…OTDOA通信部、212…UTDOA通信部、22…測定部、41…記憶部、42…通信部、421…OTDOA通信部、422…UTDOA通信部、43…推定部、44…選択部
図1
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図13