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特許7429730電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法
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  • 特許-電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法 図1
  • 特許-電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法 図2A
  • 特許-電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法 図2B
  • 特許-電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法 図2C
  • 特許-電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法 図3
  • 特許-電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20240201BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20240201BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240201BHJP
   H01M 10/44 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02J7/00 A
H02J7/10 H
H01M10/48 P
H01M10/44 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022076873
(22)【出願日】2022-05-09
(65)【公開番号】P2023071141
(43)【公開日】2023-05-22
【審査請求日】2022-05-09
(31)【優先権主張番号】110141748
(32)【優先日】2021-11-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】502361706
【氏名又は名称】技嘉科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Giga-Byte Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.6,Bau-Chiang Road, Hsin-Tien Dist. New Taipei City,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】スン,ペイ フアー
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-043027(JP,A)
【文献】米国特許第05606240(US,A)
【文献】特開平09-331635(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力調整回路に適合する給電モード設定方法であり、
検出期間において、前記電力調整回路を電力伝送状態で制御し、充電電流を検出して検出値を取得すること、
前記検出値がトリクル充電(TC)範囲、定電圧(CV)範囲、および定電流(CC)範囲のいずれにあるかを判断すること、
前記検出値が前記TC範囲にある場合、第1の期間の間、前記電力調整回路を電力オフ状態に調整すること、
前記検出値が前記CV範囲にある場合、第2の期間の間、前記電力調整回路を前記電力伝送状態に維持すること、および、
前記検出値が前記CC範囲にある場合、第3の期間の間、前記電力調整回路を前記電力伝送状態に維持することを含み、
前記TC範囲内の値は前記CV範囲内の値よりも小さく、前記CV範囲内の前記値は前記CC範囲内の値よりも小さ
前記第1の期間は前記第3の期間よりも長く、前記第3の期間は前記第2の期間よりも長い、給電モード設定方法。
【請求項2】
前記検出値が前記TC範囲、前記CV範囲、および前記CC範囲のいずれにあるかを判断する前に、前記TC範囲と前記CV範囲の間の第1の境界値および前記CV範囲と前記CC範囲の間の第2の境界値を設定する命令を受け取ることをさらに含む、請求項1に記載の給電モード設定方法。
【請求項3】
電力調整回路であり、
検出期間の間、充電電流を検出して検出値を取得する検出モジュール、
前記検出モジュールに連結され、前記検出値を受け取り、前記検出値がトリクル充電(TC)範囲、定電圧(CV)範囲、および定電流(CC)範囲のいずれにあるかを判断する制御モジュール、および
前記制御モジュールに連結され、前記制御モジュールから命令を受け取って電力伝送状態または電力オフ状態で前記電力調整回路を制御する操作モジュールを備え、
前記TC範囲内の値は前記CV範囲内の値よりも小さく、前記CV範囲内の前記値は前記CC範囲内の値よりも小さく、
前記制御モジュールは、
前記検出期間において前記操作モジュールに命令して前記電力伝送状態で前記電力調整回路を制御させ、
前記制御モジュールによって前記検出値が前記TC範囲にあると判断された場合、第1の期間の間、前記電力調整回路を前記電力オフ状態に調整し、
前記制御モジュールによって前記検出値が前記CV範囲にあると判断された場合、第2の期間の間、前記電力調整回路を前記電力伝送状態で維持し、
前記制御モジュールによって前記検出値が前記CC範囲にあると判断された場合、第3の期間の間、前記電力調整回路を前記電力伝送状態で維持
前記第1の期間は前記第3の期間よりも長く、前記第3の期間は前記第2の期間よりも長い、電力調整回路。
【請求項4】
前記検出モジュール、前記制御モジュール、および前記操作モジュールは、受電端と給電端の間で連結され、
前記受電端と前記給電端の間に連結されて前記受電端と前記給電端の間を選択的に短絡させる状態制御素子をさらに含む、請求項に記載の電力調整回路。
【請求項5】
電源に連結し、前記電源によって提供される電力を充電電流に変換し、前記充電電流を出力するように構成される変換モジュール、および
変前記換モジュールに連結される前記検出モジュールを備える請求項に記載の前記電力調整回路を備える充電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法に関し、より具体的には、過充電を防止可能な電力調整回路、充電装置、および、これらの給電モード設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、リチウムバッテリが損傷する要因として主に二つが挙げられている。これらのうち一つは過放電であり、過放電では、リチウムバッテリは、その電圧が3.0ボルト未満といった標準電圧(通常、3.7ボルト)よりも大幅に低くなるまで微電流を徐々に放電する。過放電は、これらのリチウムバッテリが使用される電子デバイスの再起動を完全に不可能にしてしまうだけでなく、リチウムバッテリに恒久的な損傷を引き起こすことがある。他の一つは過充電であり、過充電では、リチウムバッテリが既に完全に充電された後にさらに充電される。過充電は、リチウムバッテリの充電サイクル数の実質的な増大を引き起こすことがあるため、その寿命を著しく低下させる。リチウムバッテリが著しく過充電されると、リチウムバッテリの膨張、変形、さらには爆発さえ生じる恐れが高い。
【0003】
現在、コンピュータ市場では、ラップトップ型コンピュータのほとんどが内蔵リチウムバッテリを有しており、充電器を介して充電される。充電器は、通常、一般的なDCアダプタまたはUSB-C充電器でもよい。一般的な使用においては、ユーザは、一旦外部電源を電源ケーブルを介してラップトップ型コンピュータに接続すると電源供給に関してなんら更なる操作を行なわないことが多く、ラップトップ型コンピュータをデスクトップコンピュータと見做してしまう。このため、内蔵されたリチウムバッテリが完全に充電されたにもかかわらず、通常、外部電源からの電源ケーブルはラップトップコンピュータに接続された状態を維持しており、ラップトップコンピュータに電源を供給する。短時間の過充電はリチウムバッテリに実質的な損傷を引き起こさないかも知れないものの、このような使用習慣の状況下では、リチウムバッテリは10日さらには1ヶ月といった長期間に亘って連続的に充電されてしまい、その寿命が大きく低下する。
【0004】
さらに、従来のラップトップコンピュータの多くは取り外し可能なラッチ設計のリチウムバッテリを有しており、完全に充電されると容易に取り外すことができる。しかしながら、ユーザは過充電を防止するために適時にリチウムバッテリを取り外すことができるものの、リチウムバッテリを一度取り外すと、商業電源の停電や電源ケーブルが意図せず外れることによってラップトップコンピュータが異常シャットダウンしてしまい、その結果、ハードウェアまたはソフトウェアの破損が生じることがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記課題を解決するため、本開示は、電力調整回路、充電装置、およびこれらの給電モード設定方法を提供する。
【0006】
本開示の実施形態の一つによると、給電モード設定方法が開示され、給電モード設定方法は、検出期間において、電力調整回路を電力伝送状態で制御し、充電電流を検出して検出値を取得すること、検出値がトリクル充電(TC)範囲、定電圧(CV)範囲、および定電流(CC)範囲のいずれにあるかを判断すること、検出値がTC範囲にある場合、第1の期間の間、電力調整回路を電力オフ状態に調整すること、検出値がCV範囲にある場合、第2の期間の間、電力調整回路を電力伝送状態に維持すること、および検出値がCC範囲にある場合、第3の期間の間、電力調整回路を電力伝送状態に維持することを含み、TC範囲内の値はCV範囲内の値よりも小さく、CV範囲内の値はCC範囲内の値よりも小さい。
【0007】
本開示の他の実施形態によると、電力調整回路が開示され、電力調整回路は、検出期間において充電電流を検出して検出値を取得する検出モジュール、検出モジュールに連結され、検出値を受け取り、検出値がトリクル充電(TC)範囲、定電圧(CV)範囲、および定電流(CC)範囲のいずれにあるかを判断する制御モジュール、および制御モジュールに連結され、制御モジュールから命令を受け取って電力伝送状態または電力オフ状態で電力調整回路を制御する操作モジュールを備え、TC範囲内の値はCV範囲内の値よりも小さく、CV範囲内の値はCC範囲内の値よりも小さく、制御モジュールは、検出期間において操作モジュールに命令して電力伝送状態で電力調整回路を制御させ、制御モジュールによって検出値がTC範囲にあると判断された場合、第1の期間の間、電力調整回路を電力オフ状態に調整し、制御モジュールによって検出値がCV範囲にあると判断された場合、第2の期間の間、電力調整回路を電力伝送状態で維持し、制御モジュールによって検出値がCC範囲にあると判断された場合、第3の期間の間、電力調整回路を電力伝送状態で維持する。
【0008】
本開示のさらに他の実施形態によると、充電装置が開示され、充電装置は、電源に連結し、電源によって提供される電力を充電電流に変換し、充電電流を出力するように構成される変換モジュール、および、変換モジュールに連結される検出モジュールを備える上記電力調整回路を備える。
【0009】
上記記載を考慮すると、電子デバイスが過充電される、過放電される、あるいは電子デバイスが電源に接続された状況で他の異常な問題が発生することを防ぐため、本開示に係る電力調整回路、充電装置、およびこれらの給電モード設定方法は、充電電流を検出し、電力を制御して電子デバイスの充電システムに出力するように動作することで、電子デバイスのバッテリが過充電される、過放電される、または他の問題が発生する可能性を効果的に低減し、これにより、電子デバイスの使用習慣を変えることを要求しない電子デバイスの保護メカニズムを実現する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明は、以下に示す詳細な説明と添付した図面からより完全に理解することができるであろう。図面は、単に説明のためのものであり、したがって、発明を限定するものではない。
図1】本開示の実施形態の一つに係る電力調整回路を示すブロック図。
図2A】本電力調整回路の実施形態の一つが接続された電子デバイスのバッテリの充電電流を示す曲線。
図2B】本電力調整回路の実施形態の一つが接続された電子デバイスのバッテリの充電電圧を示す曲線。
図2C】本電力調整回路の実施形態の一つが接続された電子デバイスのバッテリの蓄電量を示す曲線。
図3】本開示の実施形態の一つに係る充電装置を示すブロック図。
図4】本開示の実施形態の一つに係る給電モード設定方法を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明において述べられる充電システムを有する「電子デバイス」は、ラップトップコンピュータ、スマートホン、パーソナルデジタルアシスタント、ナビゲーション機器、ゲーム操作盤、タブレットコンピュータ、またはこれらの装置の任意の組み合わせでもよいと理解するべきであり、これらに限定されるものではない。以下の議論では、より容易で深い理解のため、「電子デバイス」の例としてラップトップコンピュータを用いる。
【0012】
本開示の実施形態の一つに係る電力調整回路を示すブロック図である図1を参照する。本実施形態では、電力調整回路100は、検出モジュール12、制御モジュール14、および操作モジュール16を備える。電力調整回路100は、さらに受電端Aと給電端Bを有し、電力調整回路100が受電端Aで充電電流を受け取った後、電力調整回路100はこの充電電流を出力電力として取り出し、給電端Bを介して電子デバイスへ送電する。さらに、図1の実線は、電力送電パスを示し、点線は検出モジュール12と制御モジュール14の間および制御モジュール14と操作モジュール16の間の信号伝送パスを示す。
【0013】
一つの実施形態では、検出期間中、検出モジュール12は受電端Aにおいて充電電流を検出して検出値を取得することができ、この検出期間中、電力調整回路100は電力伝送状態にある。この検出期間は、検出モジュール12が充電電流の量を検出するために十分な数ミリ秒(ms)または数マイクロ秒(μm)といった時間的長さを有することができるが、本開示はこれに限られない。
【0014】
制御モジュール14を明瞭に説明するため、図1および図2Aから図2Bを参照されたい。ここで、図2Aは本電力調整回路の実施形態の一つが接続された電子デバイスのバッテリの充電電流を示す曲線であり、図2Bはその充電電圧を示す曲線であり、図2Cはその蓄電量を示す曲線である。一つの実施形態では、制御モジュール14は検出モジュール12と連結され、上記検出値を受け取り、検出値が図2Aに示すトリクル充電(TC)範囲R1、定電圧(CV)範囲R2、および定電流(CC)範囲R3のいずれにあるかを判断することができる。一つの実施形態では、制御モジュール14は、マイクロ演算ユニット、マイクロ制御ユニット、中央演算ユニット(CPU)、他のプログラム可能な汎用または専用マイクロプロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、プログラマブルコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、または他の同様の構成の一つまたは複数の集積回路、あるいはこれらの組み合わせなどによって実現することができる。すなわち、制御モジュール14は、少なくとも以下で述べる計算を実行することが可能な構成である。
【0015】
本開示の電力調整回路100の操作例では、上記検出値がTC範囲R1内にあると制御モジュール14が判断した場合、制御モジュール14は操作モジュール16を第1の操作モードで制御し、電力の伝送が第1の期間において禁止される。すなわち、電力調整回路100は、第1の期間の間、電力オフ状態に留まる。具体的には、受電端Aにおいて検出される充電電流の値がTC範囲R1内にあって検出値が0.05A未満またはほぼ0といったような場合、給電端Bによって出力される出力電力を受け取る対象、すなわち、本実施形態における電子デバイスのバッテリがほぼ完全に充電されていることを意味している。電子デバイスのバッテリの過充電を防止するため、制御モジュール14は第1の操作モードに入って操作モジュール16を開くように操作し、出力電力を給電端Bにおいて停止する。電子デバイスは、第1の期間においてバッテリによって電力が与えられるので、この第1の期間は、バッテリの容量に従って、例えば2時間といったように設定することが好ましい。
【0016】
一つの実施形態では、上記検出値がCV内R2にあると制御モジュール14が判断した場合、制御モジュール14は操作モジュール16を第2の操作モードで制御し、第2の期間の間、電力の伝送が維持される。すなわち、電力調整回路100は、第2の期間の間、電力伝送状態に留まる。具体的には、受電端Aにおいて検出される充電電流の値がCV範囲R2内にあって検出値が0.05Aと1.5Aの間といったような場合、給電端Bによって出力される出力電力を受け取る対象は一定量の電気、例えばバッテリの容量の50%から90%の電気を蓄えたことを意味する。電子デバイスの充電システムは定電圧モードでバッテリを充電して一定期間の後にトリクル充電モードに入るので、この第2の期間もバッテリの容量に応じて例えば0.5時間といった長さに設定することが好ましい。
【0017】
一つの実施形態では、上記検出値がCC範囲R3内にあると制御モジュール14が判断した場合、制御モジュール14は操作モジュール16を第3の操作モードで制御し、第3の期間の間、電力の伝送が維持される。すなわち、電力調整回路100は、第3の期間の間、電力伝送状態に留まる。具体的には、受電端Aにおいて検出される充電電流の値がCC範囲R3内にあって検出値が1.5Aよりも大きいといったような場合、給電端Bによって出力される出力電力を受け取る対象が枯渇しかけている、または電気が少ないことを意味する。電子デバイスの充電システムは定電流モードでバッテリを充電して一定期間の後に定電圧モードに入ることでバッテリの枯渇を防止するするので、この第3の期間もバッテリの容量に応じて例えば1時間といった長さに設定することが好ましい。
【0018】
制御モジュール14は、要求に応じて第1から第3の期間の長さを設定するだけでなく、要求に応じてTC範囲R1、CV範囲R2、CC範囲R3の隣り合う二つの間の境界値を設定することができる。具体的には、制御モジュール14は、TC範囲R1とCV範囲R2の間の第1の境界値BV1の値、およびCV範囲R2とCC範囲R3の間の第2の境界値BV2の値をバッテリの特性に基づいて設定する境界制御素子142を含むことができる。したがって、制御モジュール14が検出値を取得して検出値がどの範囲にあるかを判断する前に第1の境界値BV1と第2の境界値BV2を設定することができる。境界制御素子142は、二つの境界BV1とBV2を設定するためのマルチセクションDIPスイッチまたはスライドスイッチによって実現される物理的スイッチであってもよい。あるいは、境界制御素子142は、通信素子とソフトウェア操作インターフェースによって実現される仮想スイッチでもよい。通信素子は、無線周波数識別(RFID)、近距離通信(NFC)、またはブルートゥース(登録商標)などのデバイスでもよい。このため、本開示の電力調整回路100は、異なる仕様や特性を有するバッテリに適用しても過放電や過充電に対する保護を十分に行うことができる。
【0019】
制御モジュール14が第1、第2、または第3の操作モードの内容を完了する、すなわち、操作モジュール16を制御することによって第1の期間において電力の伝送を禁止する、第2の期間において電力の伝送を維持する、または第3の期間において電力の伝送を維持することを完了すると、制御モジュール14は、給電モード設定の次のステージを実行してもよい。具体的には、制御モジュール14が第1、第2、または第3の操作モードの内容を完了した後、制御モジュール14は検出モジュール12を再度制御して次の検出期間において充電電流の新たな検出値を取得し、操作モジュール16を制御するためにどのモードを使用すべきかをこの新たな検出値に基づいて判断してもよい。
【0020】
一つの実施形態では、操作モジュール16は電子スイッチ(図示しない)を含んでもよく、電子スイッチは、MOSFET、トランジスタ、リレー、DEPFET、DGMOFET、FREDFET、HEMT、IGBT、NOMFET、MODFET、OFET、または上記素子の組み合わせでもよい。この実施形態では、操作モジュール16は制御モジュール14に連結し、電力調整回路100が制御モジュール14の命令に従って電力を出力しているか否かを制御してもよい。すなわち、操作モジュール16の動作によって電力調整回路100が電力伝送モードにあるか電力オフ状態にあるかを決定してもよい。特に、操作モジュール16がトランジスタによって実現されている場合、制御モジュール14の命令によって操作モジュール16が制御されて飽和領域または遮断領域で動作する。
【0021】
一つの実施形態では、本開示の電力調整回路100は、受電端Aと給電端Bの間に連結される状態制御素子18をさらに含んでもよく、これにより、検出モジュール12、制御モジュール14、および操作モジュール16を含む直列回路が状態制御素子18と並列となる。この状態制御素子18は、制御モジュール14の命令が電力調整回路100の状態を実際に決定しているか否かを設定するために用いられる。例えば、状態制御素子18は、制御モジュール14が操作モジュール16に対して何ら命令を伝送しなくても電力調整回路100が電力伝送状態にあるよう、受電端Aと給電端Bの間を短絡するためのトグルスイッチでもよい。
【0022】
本開示の実施形態の一つに係る充電装置を示すブロック図である図3を参照する。本実施形態では、変換モジュール32と電力調整回路34を含む充電装置300が示されており、電力調整回路34は図1に示された電力調整回路100によって実現されてよく、変換モジュール32は電力調整回路34の検出モジュール(図示しない)と連結される。一つの実施形態では、変換モジュール32は電源Cと連結されるように構成され、電源Cによって供給される電力を電力調整回路34の受電端Aが受け取る充電電流に変換してもよい。例えば、電源Cは100から240VのAC電力でよく、変換モジュール32は、このAC電力を5から24VのDC電力へ変換して受電端Aが受け取る充電電流として提供してもよい。なお、本開示は、上記AC電力とDC電力を上記値に制限するものではない。
【0023】
本開示の実施形態の一つに係る給電モード設定方法を示すフローチャートである図4を参照されたい。ステップS1では、検出期間において電力調整回路100は電力伝送状態であり、充電電流が検出されて充電電流に関連する検出値が取得される。具体的には、一つの実施形態では、検出期間において制御モジュール14は操作モジュール16を制御してオンとし、検出モジュール12は充電電流に対応する検出値を取得してもよい。
【0024】
ステップS2では、制御モジュール14は、検出値がTC範囲、CV範囲、およびCC範囲のいずれにあるかを判断する。ここで、(図2Aで示されるように)TC範囲内の値はCV範囲内の値より小さく、CV範囲内の値はCC範囲内の値よりも低い。
【0025】
検出値がTC範囲R1内であれば、ステップS3が実行される。ステップS3では、制御モジュール14は、電力の伝送が第1の期間中禁止される第1の操作モードで操作モジュール16を制御する。すなわち、電力調整回路100は第1の期間中電力オフ状態に留まる。電子デバイスのバッテリはほぼ完全に充電されているので、第1の期間は、通常使用において電子デバイスのバッテリが飽和状態から枯渇するのに必要な時間と比較して短い。例えば、電子デバイスが「CC-CV 0.5C(max) 4.20V、25℃でのカットオフが65mA」という充電仕様のノートブックコンピュータであれば、第1の期間は約2時間でよい。
【0026】
検出値がCV範囲R2内であれば、ステップS4が実行される。ステップS4では、制御モジュール14は、電力の伝送が第2の期間中維持される第2の操作モードで操作モジュール16を制御する。すなわち、電力調整回路100は第2の期間中電力伝送状態に留まる。電子デバイスのバッテリは一定量の電気を既に蓄えているので、第2の期間は、電子デバイスのバッテリがこの一定の電気量(例えば、バッテリの容量の約60%)から飽和するまでに必要な時間であり、通常第1の期間よりも短い。例えば、電子デバイスが上述した充電仕様のノートブックコンピュータであれば、上記第2の期間は約0.5時間でもよい。
【0027】
検出値がCC範囲R3内であれば、ステップS5が実行される。ステップS5では、制御モジュール14は、電力の伝送が第3の期間中維持される第3の操作モードで操作モジュール16を制御する。すなわち、電力調整回路100は第3の期間中電力伝送状態に留まる。電子デバイスのバッテリは空に近い、またはその電気の量が実際に低いので、第3の期間は、通常使用において電子デバイスのバッテリが空から飽和するのに必要な時間よりも短い。通常、第3の期間は第1の期間よりも短いが、第2の期間よりも長い。例えば、電子デバイスが上述した充電仕様のノートブックコンピュータであれば、第3の期間は約1時間でもよい。
【0028】
さらに、図4に示されるように、ステップS3からS5のいずれかが完了するとステップS1を再度実行し、バッテリの現有蓄電量に基づいて電子デバイスに電力をさらに供給するのが適切かどうかを判断してもよい。また、ステップS1が実行される前に、異なる種類のバッテリの要求に適合させるため、前もって命令を受信してTC範囲R1とCV範囲R2の間の第1の境界値BV1、およびCV範囲R2とCC範囲R3の間の第2の境界値BV2を設定してもよい。
【0029】
本開示の電力調整回路、充電装置、および給電モード設定方法の上記実施形態により、検出された充電電流に従って出力電力を制御することができる。すなわち、開示された装置と方法の実施形態を通じて電子デバイスのバッテリが充電される際、ユーザは、使用習慣を変えてまでバッテリの過充電や過放電、充電に起因する他の問題を防止する必要がない。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4