(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-31
(45)【発行日】2024-02-08
(54)【発明の名称】決定論的に制御された加湿システム
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
A61M16/16 A
(21)【出願番号】P 2022128522
(22)【出願日】2022-08-10
(62)【分割の表示】P 2020170647の分割
【原出願日】2015-09-03
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2014-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、ウィリアム、バージェス
(72)【発明者】
【氏名】ディーン、アントニー、バーカー
(72)【発明者】
【氏名】ライス、アディーブ、ハーメズ
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル、マイケル、ローソン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート、スチュアート、カートン
(72)【発明者】
【氏名】ケビン、ピーター、オドネル
【審査官】関本 達基
(56)【参考文献】
【文献】特表2008-544784(JP,A)
【文献】特開平02-193680(JP,A)
【文献】特表2014-508551(JP,A)
【文献】国際公開第2014/045668(WO,A1)
【文献】特表2010-529400(JP,A)
【文献】特表2014-519916(JP,A)
【文献】特開2006-242455(JP,A)
【文献】米国特許第04523638(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウィッキング要素を介して液体を拡散させるように構成されマイクロチャネルを備えたウィッキング要素を備える表面でオーバモールドされたプリント回路基板(PCB)またはエッチング箔を備え、呼吸加湿システム内で、患者に送達されるガスを加湿するために前記液体を気化させるヒータ素子であって、前記マイクロチャネルはガス通路に通じる開放面を備え、前記ヒータ素子は、使用時に、加湿されるガスが前記表面に実質的に平行に流れ、かつ、前記ウィッキング要素に接触して、前記マイクロチャネルから蒸発した液体を拾い上げて加湿される、ヒータ素子。
【請求項2】
前記マイクロチャネルは親水性コーティングされた表面を備える、請求項1に記載のヒータ素子。
【請求項3】
前記マイクロチャネルは、オーバモールドの前記表面に設けられ、或るパターンで配置されたマイクロスケールの溝を備え、あるいは、前記表面が、単一方向にのみ延在するマイクロチャネルを有し、あるいは、前記マイクロチャネルが単一点から放射状に分散されている、請求項1または2に記載のヒータ素子。
【請求項4】
前記マイクロチャネルが、主チャネルの第2組に接続された分散チャネルの第1組を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のヒータ素子。
【請求項5】
前記分散チャネルの数が前記主チャネルの数未満である、請求項4に記載のヒータ素子。
【請求項6】
前記マイクロチャネルは、1~1000μmの深さを備え、あるいは、前記マイクロチャネルは、1~1000μmの幅を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のヒータ素子。
【請求項7】
前記オーバモールドは、熱可塑性材料を備え、あるいは、当該ヒータ素子は、モジュールゾーンを備え、あるいは、当該ヒータ素子は、液体を予熱するように構成された第1ゾーンと前記液体を気化させるように構成された第2ゾーンとを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のヒータ素子。
【請求項8】
当該ヒータ素子は、抵抗配線を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載のヒータ素子。
【請求項9】
当該ヒータ素子は、液体が導入される位置の近くにおいて大きな密度の抵抗配線を備え、前記液体が気化される領域の周りにおいて小さな密度の抵抗配線を備える、請求項8に記載のヒータ素子。
【請求項10】
前記PCBは、前記抵抗配線を備える、請求項8に記載のヒータ素子。
【請求項11】
前記ヒータ素子は、前記ヒータ素子の前記表面の温度を測定する1または複数のセンサを含む、請求項1から10のいずれか一項に記載のヒータ素子。
【請求項12】
前記1または複数のセンサはサーミスタである、請求項11に記載のヒータ素子。
【請求項13】
呼吸加湿システムであって、ハウジングと、
前記呼吸加湿システム内にガスを受け入れるように構成されたガス入口と、
前記呼吸加湿システムから出て患者に加湿ガスを送達するように構成されたガス出口と、
前記呼吸加湿システム内に液体を受け入れられることを可能にするように構成された1つまたは複数の液体入口と、
前記呼吸加湿システムに電力を供給しかつ前記呼吸加湿システムのさまざまな構成要素と通信するように構成された電気コネクタと、
ウィッキング要素を介して液体を拡散させるように構成されマイクロチャネルを備えたウィッキング要素を備える表面でオーバモールドされたプリント回路基板(PCB)またはエッチング箔を備え、前記ガスを加湿するために前記液体を気化させるように構成されたヒータ素子であって、前記マイクロチャネルは、ガス通路に通じる開放面を備え、前記ヒータ素子は、使用時に、加湿されるガスが前記表面に実質的に平行に流れ、かつ、前記ウィッキング要素に接触して、前記マイクロチャネルから蒸発した液体を拾い上げて加湿される、ヒータ素子と、を備える、呼吸加湿システム。
【請求項14】
前記ハウジングは、ガス流路を画定し、前記ガスは、前記ガス入口において当該呼吸加湿システムに入り、内壁によって下流に向けられ、該内壁の底部の開口部により前記ガスは前記内壁の他方の側に進むことができ、そこで、前記ガスは、前記ガス出口において上方にかつ当該呼吸加湿システムから出るように向けられる、請求項13に記載の呼吸加湿システム。
【請求項15】
前記ヒータ素子は、当該呼吸加湿システムの接点領域と嵌合するように配置された接点領域を備え、
前記ハウジングは、前記ガス流路内に内部バッフルを含む、請求項14に記載の呼吸加湿システム。
【請求項16】
当該呼吸加湿システムは、前記ガス入口と接続するように適合されたガス流れ発生器をさらに備える、請求項13から15のいずれか一項に記載の呼吸加湿システム。
【請求項17】
前記ガス流れ発生器は、ブロワを備える、請求項16に記載の呼吸加湿システム。
【請求項18】
前記ガス入口の位置と前記ガス出口の位置との間に延在している前記ガス
通路であって、前記ガス入口の位置と前記ガス出口の位置との間に加湿位置を含む前記ガス
通路と、
前記
液体を保持するように構成された
液体リザーバとをさらに備える、請求項13から17のいずれか一項に記載の呼吸加湿システム。
【請求項19】
前記
液体リザーバおよび前記ウィッキング要素と
液体連通する計量機構であって、前記
液体リザーバから前記ウィッキング要素への前記
液体を計量するように構成された計量機構、をさらに備え、
前記ウィッキング要素が、前記計量される
液体を前記表面の少なくとも一部に分散させるように構成されている、請求項18に記載の呼吸加湿システム。
【請求項20】
供給ガスを計測する入口露点温度センサをさらに備え、前記供給ガスは、前記呼吸加湿システムの前記ガス入口に提供され、前記計量機構は、前記供給ガスの前記受け取られた入口露点温度測定値に基づいて前記
液体リザーバから前記ウィッキング要素への前記
液体を計量するように構成されている、請求項19に記載の呼吸加湿システム。
【請求項21】
前記供給ガスを計測する入口ガス流センサをさらに備え、前記計量機構は、前記供給ガスの前記受け取られたガス流量測定値に基づいて前記
液体リザーバから前記ウィッキング要素への前記
液体を計量するように構成されている、請求項20に記載の呼吸加湿システム。
【請求項22】
前記
ガス通路内の前記ガス入口の位置と前記加湿位置との間に配置され、ガス
通路圧力レベルを計測する圧力センサをさらに備え、前記計量機構は、前記受け取られたガス
通路圧力レベル測定値に基づいて前記
液体リザーバから前記ウィッキング要素への前記
液体を計量するように構成されている、
請求項19から21のいずれか一項に記載の呼吸加湿システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願とともに提出された出願データシートにおいて外国または国内の優先権主張が特定されているありとあらゆる出願は、37 CFR 1.57に基づいて参照により本明細書に組み込まれる。本出願は、2014年9月3日に出願された米国仮特許出願第62/045,358号明細書および2015年9月2日に出願された米国仮特許出願第62/213,534号明細書からの優先権を主張し、それらの出願の各々の内容は、全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、加湿ガス療法に関する。より詳細には、本開示は、加湿ガス療法で使用される加湿システムに関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸器疾患、たとえば慢性閉塞性肺疾患(COPD)に取り組んでいる患者は、有効な呼吸を行うことが困難である場合がある。こうした困難は、肺組織の破壊、末梢気道の機能障害、唾液の過剰な蓄積、感染、遺伝性疾患または心不全を含む、種々の原因の結果である可能性がある。呼吸器疾患によっては、患者の換気を促進することができる療法を提供することが有用である。状況によっては、ガス源と、患者の気道にガスを送るために使用することができるインタフェースと、ガス源とインタフェースとの間に延在する導管とを含む呼吸療法システムを、患者に対して提供することができる。ガス源から患者の気道に送達されるガスは、適切な換気を促進するのに役立つことができる。ガス源は、たとえば、空気および/または吸気に好適な別のガス、たとえば酸素または酸化窒素の容器、導管を通してインタフェースまでガスを推進させることができる機械的ブロワ、または両方の何らかの組合せを含むことができる。呼吸療法システムは、患者の快適さを向上させかつ/または患者の呼吸器疾患の予後を改善するように、呼吸療法システムを通るガスを加湿しかつ加熱することができるガス加湿器を含むことができる。ガス加湿器は、水リザーバと、リザーバ内の水を加熱する加熱素子とを含むことができる。水が加熱されると、水蒸気が形成され、それは、ガス加湿器を通るガスの流れに合流することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のガス加湿器は、低温・乾燥ガス療法の不快感を緩和するのには有用であるが、通常、蒸気の発生が適切に加湿されたガスを提供するために許容可能なレベルに達する前に、リザーバ内の水のすべてまたは過剰な水を加熱しなければならないように構成されている。場合によっては、加湿器に電源を入れてから十分な水蒸気の発生を開始するために30分間かかる可能性がある。さらに、従来のガス加湿器は、入力条件の変化に適切に応答することができない可能性があり、または、一部にはリザーバ内の水の熱慣性が高いために、機能的に不十分な応答を示す可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、水のリザーバまたは余分な水の加熱を必要としない水気化システムを提供する。所望の量の水が迅速に気化するのを可能にし、したがって、システムまたは環境の変化に対する応答時間を改善しウォームアップ期間を大幅に短縮する実施形態が開示される。
【0006】
本開示の第1態様によれば、患者の気道に提供される前にガス通路を通るガスを加湿する呼吸加湿システムは、制御された液体流を提供する液体流量制御部と、ガス通路内に配置されかつガス通路を通るガスを加湿するように構成された加熱面を含む加熱システムであって、制御された液体流を受け取り、約30℃~約99.9℃の所定温度で加熱面を維持するように構成された加熱システムと、加熱システムにおいて受け取られる制御された液体流を調節するように液体流量制御部に指示することにより、ガス通路を通るガスの湿度レベルの決定論的制御を提供する1つまたは複数のハードウェアプロセッサを含むことができる。
【0007】
加熱システムは、約35℃~約90℃、約40℃~約80℃、約45℃~約70℃、約45℃~60℃、約50℃~約60℃、または約50℃の所定温度で加熱面を維持するように構成することができる。
【0008】
液体は水であり得る。液体流量制御部は、計量システムを含むことができる。液体流量制御部はポンプであり得る。ポンプは容積型ポンプであり得る。容積型ポンプは、圧電ダイヤフラムポンプまたは蠕動ポンプであり得る。液体流量制御部は、重力送り装置等の圧力送り装置および制御弁であり得る。液体流量制御部は、液体流量制御部をプライミングされた状態で維持しかつ/またはシステムを汚染から保護するように構成された逆止弁を含むことができる。液体流量制御部は、ウィッキング(wicking)または毛管作用を用いるように構成することができる。呼吸加湿システムは、液体制御部が故障した場合に液体の流れを阻止するように安全弁を含むことができる。呼吸加湿システムは、液体リザーバを含むことができる。呼吸加湿システムは、液体リザーバと液体流量制御部との間に配置され、かつ重力駆動流が送達される液体流に影響を与えないように構成された流れ制限装置を含むことができる。流れ制限装置は、流路を制限する弾性突起であり得る。液体流量制御部は、開ループ構成のポンプであり得る。液体流量制御部は、閉ループ構成で流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータであり得る。液体流量制御部は、0mL/minから約10mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、0mL/minから約7mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、0mL/minから約5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、40μL/minから約4mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、70μL/minから約2.5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、所望の液体流量の約±15%の精度、所望の液体流量の約±10%の精度、所望の液体流量の約±6.5%の精度、所望の液体流量の約±5%の精度で制御された液体流を提供することができる。
【0009】
呼吸加湿システムは、流量センサを含むことができる。流量センサは、熱質量計であり得る。流量センサは、滴下カウンタ(drip feed counter)であり得る。流量センサは、差圧流量センサであり得る。
【0010】
1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、ガスの流量に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面からの水の気化速度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面の温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができ、加熱面の温度は一定温度で維持される。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面の温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができ、加熱面の温度は制御される。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、入口におけるガスの絶対圧力または気圧に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、入口におけるガスの露点温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面によって与えられるエンタルピーに基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱システムと相互作用する前のガスの温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱システムと相互作用する前のガスの相対湿度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面の有効加熱面積に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、ガスの圧力に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、ガス速度の関数に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、制御された液体流における液体の温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。呼吸加湿システムは、水温センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス通路の入口にガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルによって求められる液体流量を含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルによって求められるガス流量を含むことができる。呼吸加湿システムは、周囲圧力センサセンサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ヒータ表面にまたはその近くに配置された圧力センサセンサを含むことができる。呼吸加湿システムは、加熱面温度センサセンサを含むことができる。呼吸加湿システムは、加湿領域の上流に配置された周囲露点温度センサまたは周囲湿度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から上流に配置された周囲露点センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から下流に配置された周囲露点温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から下流に配置された露点温度センサと、ガス通路入口における温度センサとを含むことができる。呼吸加湿システムは、加熱システムの一部を形成する少なくとも1つの温度センサを含むことができる。少なくとも1つの温度センサを利用して、液体で浸されるヒータの割合を求めることができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器を含むことができる。ガス通路入口におけるガスの温度は、予熱器への電力の制御を介して開ループ式に制御することができる。呼吸加湿システムは液体予熱器を含むことができる。加熱面はウィッキング面を含むことができる。抵抗トレースまたはトラッキングを備えたPCBによって加熱面に熱を供給することができる。エッチング箔または1つもしくは複数のフレキシブルPCBによって加熱面に熱を供給することができる。電熱線によって熱を供給することができる。PTCセラミックによって熱を供給することができる。ペルチェ素子または熱電素子によって熱を供給することができる。加熱面をオーバモールドすることができ、オーバモールドに、ヒータ上に水を運ぶように構成されたマイクロチャネルを含めることができる。加熱面の表面温度は、加熱システムの抵抗または他の特徴付けを用いることによって少なくとも部分的に求めることができる。抵抗は、平均ヒータシステム温度を示すことができる。いくつかの構成では、ヒータの指定された領域において、それらの領域の電力密度が高くなるように相対的に密度の高い熱が提供されるように構成される。相対的に密度の高い熱は、給水の出口の近くであり得る。相対的に密度の高い熱は、水予熱領域に提供することができる。呼吸加湿システムは、ガス通路の出口に温度センサを含むことができる。
【0011】
本開示の別の態様によれば、加熱されかつ加湿された呼吸ガスを患者に提供する高効率呼吸加湿システムが記載される。呼吸加湿システムは、入口および出口を有する呼吸ガス通路であって、ガスが動作中に入口から出口まで流れる、呼吸ガス通路と、ガス流を加熱するように構成された予熱器と、予熱器とは別個でありかつ予熱器から下流に配置された加熱面であって、加熱面の面にわたって液体を運ぶように構成されたウィッキング機構を含み、運んでいる間および/または運んだ後に液体を加熱するようにさらに構成されている加熱面とを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流発生器を含むことができる。予熱器はガス加熱素子であり得る。ガス加熱素子は、特に、抵抗素子(たとえば、トレースまたはトラッキング)を含むPCB、エッチング箔フィルム、加熱コイルまたはPTC素子のうちの1つであり得る。呼吸加湿システムは、予熱器から下流に配置された温度センサを含むことができる。ガス加熱素子に提供される電力は、下流温度センサから得られる測定値に従って制御することができる。呼吸加湿システムは、予熱器から上流に配置された温度センサを含むことができる。ガス加熱素子に提供される電力は、ガス流量と上流温度センサから得られる測定値とに従って制御することができる。温度センサとして、ガス加熱素子の特徴付けを使用することができる。加熱面からの液体の気化速度に従って所望の下流温度を設定することができる。所望の下流温度は、実質的にすべての顕熱が予熱器によってガス流に供給されるのを確実にするために設定することができる。所望の下流温度は、出力露点温度より0℃~約5℃高く設定することができる。所望の下流温度は、所定の出力絶対湿度を得るように設定することができる。所望の下流温度は、所与の出力絶対湿度を得るように設定することができる。所望の下流温度は、約25℃から43℃、または約31℃から43℃、または約31℃から41℃、または約31℃から37℃、または約37℃に設定することができる。呼吸加湿システムは、液体流発生器を含むことができる。呼吸加湿システムは、液体流を予熱する装置を含むことができる。液体流を予熱する装置は、水が導入される位置において抵抗トラックの数を増加させることによってヒータ表面構造内に組み込むことができる。液体流を予熱する装置は、給水ラインにあり得る。ウィッキング機構は、特に、吸収性の布または紙、マイクロチャネル、親水性コーティング面、毛管もしくは接触ウィック(wick)または薄い多孔質媒体のうちの1つまたは複数であり得る。ウィッキング機構は、加熱面の上に液体を分散させるように構成された連結部(coupling)を含むことができる。連結部は、加熱面またはウィッキング機構に接合されるかまたは接触する1本のウィッキング媒体であり得る。連結部は、ウィッキング機構と鋭角を形成する第2面であり得る。連結部は、加熱面またはウィッキング機構と接触する空洞であり得る。連結部は、線源、点源、放射状源、または複数の線源、点源および放射状源、またはそれらの任意の組合せのうちの1つまたは複数であり得る。加熱面は、約30℃~約99.9℃、約35℃~約90℃、約40℃~約80℃、約45℃~約70℃、約45℃~60℃、約50℃~約60℃または約50℃の温度で維持することができる。ウィッキング機構は、液体送達管内に配置されるように機械的に構成することができる。呼吸加湿システムは、患者にガスを送達する吸気管内にあるようにまたはその一部であるように構成することができる。呼吸加湿システムは、フィルタを含むことができる。フィルタは、液体送達ラインにあり得る。フィルタは、ポンプから下流に配置することができる。フィルタは、加熱面への入口に配置することができる。フィルタは生物学的フィルタであり得る。呼吸加湿システムは、滅菌用のUV源を含むことができる。
【0012】
本開示の別の態様によれば、加熱されかつ加湿された呼吸ガスを患者に提供する呼吸加湿システムは、制御された液体流を提供する液体流量制御部と、制御された液体流を受け取り、加湿システムを通るガスを加湿するように構成された加熱面を含む加熱システムと、加熱面の表面温度を測定する1つまたは複数の温度センサと、液体流量制御部に対して、加熱システムにおいて受け取られる制御された液体流を調節するように指示し、加熱システムに対して、加熱面の表面温度を調節するように指示することにより、呼吸システムを通るガスの湿度レベルの決定論的制御を提供する1つまたは複数のハードウェアプロセッサであって、加熱面の表面温度を調節することにより、既知の気化領域を生成する制御が提供される、1つまたは複数のハードウェアプロセッサと、加熱面が少なくとも1つの領域において湿潤しているか否かを検出するように構成された1つまたは複数の液体センサとを含むことができる。1つまたは複数の液体センサは、加熱面が加熱面の2つ以上の領域において湿潤しているか否かを検出するように構成された少なくとも2つの液体センサであり得る。少なくとも2つの液体センサは2つの温度センサであり得る。1つまたは複数の液体センサは、加熱面に、その上に、それに隣接して、または近接して位置することができる。液体は水であり得る。
【0013】
液体流量制御部は計量システムであり得る。液体流量制御部は、ポンプを含むことができる。ポンプは、容積型ポンプであり得る。容積型ポンプは、圧電ダイヤフラムポンプまたは蠕動ポンプであり得る。液体流量制御部は、重力送り装置等の圧力送り装置、および制御弁であり得る。液体流量制御部は、液体流量制御部をプライミングされた状態で維持しかつ/または逆流の機会を低減させるように構成された逆止弁を含むことができる。液体流量制御部は、ウィッキングまたは毛管作用を用いるように構成することができる。呼吸加湿システムは、液体制御部が故障した場合に液体の流れを阻止するように安全弁を含むことができる。呼吸加湿システムは、液体リザーバを含むことができる。呼吸加湿システムは、液体リザーバと液体流量制御部との間に配置され、かつ重力駆動流が送達される液体流に影響を与えないように構成された流れ制限装置を含むことができる。流れ制限装置は、流路を制限する弾性突起であり得る。液体流量制御部は、開ループ構成のポンプであり得る。液体流量制御部は、閉ループ構成で流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータであり得る。ポンプは圧電ポンプであり得る。流量センサは熱質量計であり得る。液体流量制御部は、0mL/minから10mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、0mL/minから7mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、0mL/minから5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、40μL/minから4mL/minの範囲、または70μL/minから2.5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。液体流量制御部は、所望の液体流量の約±15%の精度、所望の液体流量の約±10%の精度、所望の液体流量の約±6.5%の精度、所望の液体流量の約±5%の精度で制御された液体流を提供することができる。
【0014】
1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、ガスの流量に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面からの水の気化速度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面の温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができ、加熱面の温度は一定温度で維持される。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面の温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができ、加熱面の温度は制御される。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、入口におけるガスの絶対圧力または気圧に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、入口におけるガスの露点温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面によって与えられるエンタルピーに基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱システムと相互作用する前のガスの温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱システムと相互作用する前のガスの相対湿度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、加熱面の有効加熱面積に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、ガスの圧力に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、ガス速度の関数に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサは、制御された液体流における液体の温度に基づいて湿度レベルの決定論的制御を提供することができる。呼吸加湿システムは、水温センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス通路の入口にガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルによって求められる液体流量を含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルによって求められるガス流量を含むことができる。呼吸加湿システムは、周囲圧力センサセンサを含むことができる。呼吸加湿システムは、加湿領域の上流に配置された周囲露点温度センサまたは周囲湿度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から上流に配置された周囲露点センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から下流に配置された周囲露点温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から下流に配置された露点温度センサと、ガス通路入口における温度センサとを含むことができる。呼吸加湿システムは、加熱システムの一部を形成する少なくとも1つの温度センサを含むことができる。少なくとも1つの温度センサを利用して、液体で浸されるヒータの割合を求めることができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器を含むことができる。ガス通路入口におけるガスの温度は、予熱器への電力の制御を介して開ループ式に制御することができる。呼吸加湿システムは液体予熱器を含むことができる。1つまたは複数の液体センサを用いて、加熱面の上に液体があふれるのを防止することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサにより、1つまたは複数の液体センサを用いて、呼吸システムを通るガスの湿度レベルの決定論的制御を調整することができる。1つまたは複数のハードウェアプロセッサにより、1つまたは複数の液体センサを用いて、加熱面の気化面積を調節することができる。1つまたは複数の液体センサは温度センサであり得る。1つまたは複数の液体センサは、抵抗センサまたは容量センサであり得る。
【0015】
本開示の別の態様によれば、呼吸加湿システム用のヒータプレートは、マイクロチャネルを備える表面とオーバモールドされたプリント回路基板(PCB)またはエッチング箔を含む。表面は、単一方向にのみ延在するマイクロチャネルを有することができる。マイクロチャネルは、主チャネルの第2組に接続された分散チャネルの第1組を含むことができる。分散チャネルの数は、主チャネルの数未満であり得る。マイクロチャネルは、単一点から放射状に分散させることができる。加熱システムは、本明細書に記載した呼吸加湿システムのうちの任意のものと使用することができる。
【0016】
本開示の別の態様によれば、患者の気道に提供される前にガス通路を通るガスを加湿する呼吸加湿システムであって、呼吸加湿システムは、制御された液体流を提供する液体流量制御部と、制御された液体流を受け取り、加湿システムを通るガスを加湿するように構成された加熱面を含む加熱システムであって、加熱面が、その表面にわたって液体を運ぶように構成されている、呼吸システムと、通路において加熱システムの上流に配置されたガス予熱器とを含む。呼吸加湿システムは、液体制御部から制御された液体流を受け取り、液体を加熱面に分散させるように構成された連結部を含むことができる。呼吸加湿システムは、患者にガスを送達する吸気管と一列に並んでいるように構成することができる。呼吸加湿システムは、患者にガスを送達する吸気管内にあるように構成することができる。液体は水であり得る。呼吸加湿システムは、フィルタを含むことができる。フィルタは、液体送達ラインにあり得る。フィルタは、ポンプから下流に配置することができる。フィルタは、加熱面に対する入口に配置することができる。フィルタは生物学的フィルタであり得る。呼吸加湿システムは、滅菌用のUV源を含むことができる。
【0017】
液体流量制御部は、計量システムを含むことができる。液体流量制御部はポンプであり得る。ポンプは容積型ポンプであり得る。容積型ポンプは、圧電ダイヤフラムポンプまたは蠕動ポンプであり得る。液体流量制御部は、重力送り装置等の圧力送り装置、および制御弁を備えることができる。液体流量制御部は、液体流量制御部をプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁を含むことができる。液体流量制御部は、ウィッキングまたは毛管作用を用いるように構成することができる。呼吸加湿システムは、液体制御部が故障した場合に液体の流れを阻止するように安全弁をさらに含むことができる。呼吸加湿システムは、液体リザーバを含むことができる。呼吸加湿システムは、液体リザーバと液体流量制御部との間に配置され、かつ重力駆動流が送達される液体流に影響を与えないように構成された流れ制限装置を含むことができる。流れ制限装置は、流路を制限する弾性突起であり得る。液体流量制御部は、開ループ構成のポンプであり得る。液体流量制御部は、閉ループ構成で流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータであり得る。液体流量制御部は、0mL/minから約10mL/minの範囲の連続した液体流を提供することができる。液体流量制御部は、0mL/minから約7mL/minの範囲の連続した液体流を提供することができる。液体流量制御部は、0mL/minから約5mL/minの範囲の連続した液体流を提供することができる。液体流量制御部は、40μL/minから約4mL/minの範囲、または70μL/minから約2.5mL/minの範囲の連続した液体流を提供することができる。液体流量制御部は、所望の液体流量の約±15%の精度、所望の液体流量の約±10%の精度、所望の液体流量の約±6.5%の精度、所望の液体流量の約±5%の精度で制御された液体流を提供することができる。
【0018】
加熱システムは、マイクロチャネルを備える表面とオーバモールドされたプリント回路基板(PCB)またはエッチング箔を備えるヒータプレートを含むことができる。表面は、単一方向にのみ延在するマイクロチャネルを有することができる。マイクロチャネルは、主チャネルの第2組に接続された分散チャネルの第1組を含むことができる。分散チャネルの数は、主チャネルの数未満であり得る。マイクロチャネルは、単一点から放射状に分散させることができる。連結部は、繊維性ポリマー、多孔性ポリマーまたは焼結ポリマーであり得る。加熱面はガス流に浸漬させることができる。加熱面はモジュールゾーンを含むことができる。
【0019】
本開示の別の態様によれば、呼吸加湿システムは、制御された液体流を提供する液体流量制御部と、ガス通路内に配置されかつガス通路を通るガスを加湿するように構成された加熱面を含む加熱システムであって、制御された液体流を受け取り、約30℃~約99.9℃の所定温度で前記加熱面を維持するように構成された加熱システムとを含み、システムの電力出力の約80%~99.9%が、液体の熱に伝達される。加熱面は、約35℃~約90℃、約45℃~約70℃、約45℃~約60℃、約50℃~約60℃の温度、または約50℃の温度で維持されるように構成することができる。いくつかの構成では、システムの電力出力の約85%~99.99%が、液体における熱に伝達され、システムの電力出力の約90%~99.99%が、液体における熱に伝達され、システムの電力出力の約95%~99.99%が、液体における熱に伝達され、システムの電力出力の約98%が、液体における熱に伝達される。液体は水であり得る。呼吸加湿システムは、本明細書に記載した呼吸加湿システムのうちの任意ものとして構成することができる。
【0020】
本開示の別の態様によれば、患者の気道に提供される前にガス通路を通るガスを加湿する呼吸加湿システムは、ガス流を加熱し、かつ加湿領域の上流に配置された装置と、液体流発生器と、ガス通路内に配置されかつかつガス通路を通るガスを加湿するように構成された加熱面を含む加熱システムであって、約30℃~約99.9℃の所定温度で加熱面を維持するように構成された加熱システムとを含む。加熱システムは、約35℃~約90℃の所定温度で加熱面を維持するように構成することができる。加熱システムは、約40℃~約80℃の所定温度で加熱面を維持するように構成することができる。加熱システムは、約45℃~約70℃の所定温度で加熱面を維持するように構成することができる。加熱システムは、約45℃~約60℃の所定温度で加熱面を維持するように構成することができる。加熱システムは、約50℃~約60℃の所定温度で加熱面を維持するように構成することができる。加熱システムは、約50℃の所定温度で加熱面を維持するように構成することができる。装置は予熱器であり得る。予熱器は、ガス加熱素子を含むことができる。ガス予熱素子は、特に、抵抗素子を含むPCB、エッチング箔フィルム、加熱コイルまたはPTC素子のうちの1つであり得る。呼吸加湿システムは、予熱器から下流に配置された温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、下流温度センサから得られる測定値に従って制御することができる。呼吸加湿システムは、予熱器から上流に配置された温度センサを含むことができる。ガス加熱素子に提供される電力は、空気流量と上流温度センサから得られる測定値とに従って制御することができる。温度センサとして、ガス加熱素子の特徴付けを使用することができる。加熱面の気化速度に従って、予熱器の後の所望の下流温度を設定することができる。所望の下流温度は、実質的にすべての顕熱が予熱器によって供給されるのを確実にするために設定することができる。所望の下流温度は、出力温度より0℃~約5℃高く設定することができる。所望の下流温度は、所与の出力相対湿度を得るように設定することができる。所望の下流温度は、所与の出力絶対湿度を得るように設定することができる。所望の下流温度は、約25℃から43℃、または約31℃から43℃、または約31℃から41℃、または約31℃から37℃、または約37℃に設定することができる。呼吸加湿システムは、液体流を予熱する装置を含むことができる。液体流を予熱する装置は、水が導入される場所において抵抗加熱トラックの数を増加させることによって加熱構造内に組み込むことができる。液体流を予熱する装置は、液体供給ラインにあり得る。
【0021】
本開示の別の態様によれば、呼吸加湿システムにおける、加熱源への水流の制御による湿度の決定論的制御について記載される。湿度レベルの決定論的制御は、ガスの流量に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、加熱面からの水の気化速度に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、加熱面の温度に基づくことができ、ヒータ面の温度は一定温度に維持される。湿度レベルの決定論的制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は制御される。湿度レベルの決定論的制御は、入口におけるガスの絶対圧力または気圧に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、入口におけるガスの露点温度に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、加熱面によって与えられるエンタルピーに基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、加熱システムと相互作用する前のガスの温度に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、加熱システムと相互作用する前のガスの相対湿度に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、加熱面の有効加熱面積に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、ガスの圧力に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、ガス速度の関数に基づくことができる。湿度レベルの決定論的制御は、制御された液体流における液体の温度に基づくことができる。決定論的制御は、上述した入力のうちの2つ以上の組合せに基づくことができ、上記入力のすべての組合せが本開示の範囲内にある。決定論的制御は、加熱源への水流の制御およびガスの流量の組合せに基づくことができる。決定論的制御は、加熱源への水量の制御、ガスの流量、および入口におけるガスの露点温度の組合せに基づくことができる。決定論的制御は、加熱源への水流の制御、ガスの流量、および入口におけるガスの絶対圧力または気圧の組合せに基づくことができる。決定論的制御は、加熱源に対する水流の制御、ガスの流量、入口におけるガスの絶対圧力または気圧、入口におけるガスの露点温度の組合せに基づくことができる。呼吸加湿システムは、水温センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス通路の入口にガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルによって求められる液体流量を含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルによって求められるガス流量を含むことができる。呼吸加湿システムは、周囲圧力センサセンサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ヒータ面にまたはその近くに配置された圧力センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、加熱面温度センサセンサを含むことができる。呼吸加湿システムは、加湿領域の上流に配置された周囲露点温度センサまたは周囲湿度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から上流に配置された周囲露点センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から下流に配置された周囲露点温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器から下流に配置された露点温度センサと、ガス通路入口における温度センサとを含むことができる。呼吸加湿システムは、加熱システムの一部を形成する少なくとも1つの温度センサを含むことができる。少なくとも1つの温度センサを利用して、液体で浸される(覆われる)ヒータ表面積の割合を求めることができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器を含むことができる。ガス通路入口におけるガスの温度は、予熱器への電力の制御を介して開ループ式に制御することができる。呼吸加湿システムは液体予熱器を含むことができる。加熱面は、ウィッキング面を含むことができる。抵抗トレースまたはトラッキングを備えたPCBによって加熱面に熱を供給することができる。エッチング箔または1つもしくは複数のフレキシブルPCBによって加熱面に熱を供給することができる。電熱線によって熱を供給することができる。PTCセラミックによって熱を供給することができる。ペルチェ素子または熱電素子によって熱を供給することができる。加熱面は、水等の液体を導くように構成されたマイクロチャネルを含むオーバモールドであり得る。加熱面の表面温度は、加熱システムの抵抗または他の特徴付けを用いることによって少なくとも部分的に求めることができる。抵抗は、平均ヒータシステム温度を示すことができる。いくつかの構成では、加熱システムは、ヒータの指定された領域において、それらの領域の電力密度が高くなるように相対的に密度の高い熱が提供されるように構成される。相対的に密度の高い熱は、給水の出口の近くであり得る。相対的に密度の高い熱は、水予熱領域に提供することができる。呼吸加湿システムは、ガス通路の出口に温度センサを含むことができる。
【0022】
本開示の別の態様によれば、インライン加湿を提供する呼吸加湿システムが提供される。インライン加湿により、ガス流路内に加湿が発生することができ、それにより、加湿システムは、たとえば、吸気管内、部分的に吸気管内、または吸気管の端部に配置することができる。
【0023】
本開示の別の態様によれば、ガスが流れることができるガス流路であって、入口位置と出口位置との間に延在しかつ入口位置と出口位置との間に加湿位置を含むガス流路と、ガス流路と流体連通する加熱面であって、温度範囲内で維持されるように構成された加熱面と、加熱面への水の流れを制御するように構成された水流量制御部とを含む呼吸加湿システムであって、使用時、出口位置におけるガスの湿度レベルが、加熱面への水流量の制御によって決定論的に制御される、呼吸加湿システムが提供される。
【0024】
水流量制御部は、計量機構を含むことができる。計量機構は、ポンプをさらに含むことができる。ポンプは、たとえば、圧電ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、マイクロポンプまたはプログレッシブキャビティポンプ等、容積型ポンプであり得る。ポンプはまた、制御弁と直列である圧力送り装置でもあり得る。圧力源は重力であり得る。呼吸加湿システムは、計量機構と流体連通している導管を有することができ、導管は、計量機構に水を運ぶように構成されている。導管は、計量機構をプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁を有することができる。導管はまた、ポンプをプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁も有することができる。計量機構は、毛管作用を採用して、ウィッキング要素にかつ/または加熱面に水を制御可能に計量供給するウィッキング構造を含むことができる。導管はまた、計量機構に通じる導管内に、圧力逃し弁等の安全弁も有することができる。呼吸加湿システムは、水を保持するように構成されているリザーバを有することができる。呼吸加湿システムはまた、重力駆動流が水流路に影響を与えないようにリザーバと計量機構との間に配置される流れ制限装置も有することができる。流れ制限装置は、流路を圧搾するかまたは他の方法で制限する弾性突起であり得る。水流量制御部は、開ループ構成におけるポンプであり得る。水流量制御部は、閉ループ構成で流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータであり得る。水流量制御部は、水流量制御部は、0mL/minから約5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、0mL/minから約7mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、0mL/minから約5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、約40μL/minから約4mL/minの範囲、または約70μL/minから約2.5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、約40μL/minから約4mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、約40μL/minから約4mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、約70μL/minから約2.5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、約±15%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±10%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±6.5%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±5%の精度で水の流量を提供することができる。
【0025】
加熱面は流量センサを有することができる。流量センサは熱質量計であり得る。流量センサは滴下カウンタであり得る。流量センサは差圧流量センサであり得る。
【0026】
加熱面への水流量の制御は、ガス流路におけるガスの流量に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面からの水の気化速度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は一定温度で維持される。加熱面への水流量の制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は制御される。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるまたはその近くのガスの絶対圧力または気圧に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの露点温度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面によって与えられるエンタルピーに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面によって与えられる出力レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの温度に基づくことができる。入口位置におけるガスの露点温度は、温度センサおよび湿度センサによって与えられる情報を処理することによって導出することができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの露点温度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの相対湿度レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面における有効加熱面積に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、ガス流路内のガスの圧力レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、ガス流路を流れるガスの速度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、水流の温度に基づくことができる。呼吸加湿システムは、水温センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルに基づいて水流量を求めることができる。呼吸加湿システムは、モデルに基づいてガス流量を求めることができる。呼吸加湿システムは、周囲圧力センサを含むことができる。圧力センサは、ヒータ表面にまたはその近くに配置することができる。呼吸加湿システムは、加熱面の温度を測定するように構成された温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流路内の加湿位置の上流に配置された周囲露点温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流路内の加湿位置の上流に配置された周囲湿度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器を含むことができる。ガス流路内の入口位置と加湿位置との間に、ガス予熱器を配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に周囲露点センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に周囲湿度センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の下流に周囲露点センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の下流に周囲湿度センサを配置することができる。ガス流路の入口位置に配置された温度センサと組み合わせて、ガス流路内のガス予熱器の下流に、周囲露点温度センサを配置することができる。呼吸加湿システムは、少なくとも加熱面の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを含むことができる。少なくとも1つの温度センサは、水で浸される加熱面の割合を求めるように構成することができる。呼吸加湿システムは、開ループ式にガス予熱器への電力レベルを制御することにより、ガス流路の入口位置におけるガス温度を制御することができる。呼吸加湿システムは水予熱器を含むことができる。
【0027】
加熱面は、温度範囲で維持されるように構成することができる。温度範囲は、約30℃~約99.9℃であり得る。温度範囲は、約35℃~約90℃であり得る。温度範囲は、約40℃~約80℃であり得る。温度範囲は、約45℃~約70℃であり得る。温度範囲は、約45℃~約60℃であり得る。温度範囲は、約50℃~約60℃であり得る。加熱面は、約50℃の温度を維持するように構成することができる。加熱面は、ウィッキング面を含むことができる。加熱面は、加熱面に熱を与えるように構成された加熱素子を含むことができる。加熱素子は、回路基板であり得る。回路基板はプリント回路基板であり得る。回路基板は、フレキシブル回路基板であり得る。フレキシブル回路基板は、ポリマーから作製することができ、ポリマーは、シリコーン、ポリエステルまたはポリイミドであり得る。回路基板は、複数の抵抗トラック(トラッキングまたはトレース)を有することができる。抵抗トラックは銅であり得る。加熱素子はエッチング箔であり得る。加熱素子は電熱線であり得る。電熱線はニクロムであり得る。加熱素子は、正抵抗温度係数(PTC)セラミックであり得る。PTCセラミックはチタン酸バリウムであり得る。加熱素子は熱電素子であり得る。熱電素子は、ペルチェ素子であり得る。ウィッキング面は、回路基板上のオーバモールドによって提供することができ、オーバモールドはマイクロチャネルを有する。加熱面温度は、少なくとも一部には、加熱素子の抵抗レベルまたは他の特性を求めることによって測定することができる。加熱素子の抵抗レベルを用いて、加熱面の平均温度を示すことができる。加熱素子は、加熱素子の指定された領域に、加熱素子の他の領域に送達される電力密度と比較して高い電力密度を送達するように構成することができる。加熱素子の指定された相対的に密度の高い領域は、加熱面への給水の出口に位置することができる。加熱素子の指定された相対的に密度の高い領域は、加熱面の水予熱領域に位置することができる。呼吸加湿システムは、ガス通路の出口位置に温度センサを含むことができる。
【0028】
本開示の別の態様によれば、ガスが流れることができるガス流路であって、入口位置と出口位置との間に延在しかつ入口位置と出口位置との間に加湿位置を含むガス流路と、ガス流路内の入口と加湿位置との間に配置された予熱器と、加湿位置においてガス流路と流体連通する加熱面であって、加熱面に水を分散させるように構成されたウィッキング要素を有する加熱面とを備える呼吸加湿システムが提供される。
【0029】
呼吸加湿システムは、概してガス流路の入口位置から出口位置への方向に移動するようにガスを促進し、駆動し、または他の方法で移動させるように適合されたガス流発生器を有することができる。ガス予熱器は、ガス加熱素子を含むことができる。ガス加熱素子は、プリント回路基板であり得る。プリント回路基板は抵抗素子を有することができる。ガス加熱素子は、エッチング箔フィルムであり得る。ガス加熱素子は加熱コイルであり得る。ガス加熱素子はPTCセラミックであり得る。呼吸加湿システムは、温度センサを有することができる。ガス流路内のガス予熱器の下流に温度センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に温度センサを配置することができる。ガスの温度を求めるために、ガス加熱素子の特徴付け(たとえば、抵抗)を用いることができる。ガス加熱素子に送達される電力レベルの制御は、ガス流路内のガス予熱器の下流に配置された温度センサによって与えられる情報に基づくことができる。ガス加熱素子に送達される電力レベルの制御は、ガス流量センサにより、かつガス流路内のガス予熱器の上流に配置された温度センサにより与えられる情報に基づくことができる。ガスの所望の下流温度は、加熱面からの水の気化速度に基づくことができる。ガスの所望の下流温度は、実質的にすべての顕熱がガス予熱器によって供給されるのを確実にするように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置においてガスの所望の相対湿度を得るように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置におけるガスの所望温度より0℃~約5℃高く設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置における所望の露点温度であるように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、約25℃~約43℃、または約31℃~約43℃、または約31℃~約41℃、または約31℃~約37℃、または約37℃に設定することができる。加熱面は、加熱面に熱を与えるように構成された加熱素子を含むことができる。加熱素子は、複数の抵抗トラック(トラッキングまたはトレース)を含むことができる。呼吸加湿システムは、加熱面への水の流れを発生させるように構成された水流発生器を含むことができる。水流発生器はポンプを含むことができる。ポンプは、容積型ポンプであり得る。容積型ポンプは、圧電ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、マイクロポンプまたはプログレッシブキャビティポンプであり得る。呼吸加湿システムは、水を予熱する装置を含むことができる。水を予熱する装置は、水が導入される加熱面の領域に対応する加熱素子の1つまたは複数の領域において、抵抗トラックの密度、したがって加熱面に送達される電力密度を増大させることにより、加熱素子に組み込むことができる。呼吸加湿システムは、加熱面に水を送達するように構成された給水ラインを含むことができる。水を予熱する装置は、給水ラインに組み込むことができる。
【0030】
ウィッキング要素は吸収性布を含むことができる。ウィッキング要素は吸収性紙を含むことができる。ウィッキング要素はマイクロチャネルを含むことができる。ウィッキング要素は、親水性コーティング面を含むことができる。ウィッキング要素は、複数の毛管/接触ウィックを含むことができる。ウィッキング要素は、繊維性ポリマー、多孔性ポリマーまたは焼結ポリマー等、薄い多孔質媒体を含むことができる。ウィッキング要素は、加熱面に対する水分散のうちの幾分かを行う、連結部を含むかまたは連結部に結合することができる。連結部は、ウィッキング要素または加熱面に接合されるかまたは他の方法で接触する1本のウィッキング媒体であり得る。連結部は、多孔性ポリマーであり得る。連結部は布であり得る。連結部は紙であり得る。連結部は親水性コーティング部分であり得る。連結部は、ウィッキング要素と鋭角を形成する第2面であり得る。第2面はガラス板であり得る。連結部は、ウィッキング要素と接触する空洞であり得る。連結部は、線源によって実施することができる。連結部は、複数の線源によって実施することができる。連結部は、点源によって実施することができる。連結部は、複数の線源によって実施することができる。連結部は、放射状源によって実施することができる。連結部は、複数の放射状源によって実施することができる。連結部は、線源、点源および/または放射状源の組合せによって実施することができる。加熱面は、約30℃~約99.9℃の温度を維持するように適合させることができる。加熱面は、約35℃~約90℃の温度を維持するように適合させることができる。加熱面は、約40℃~約80℃の温度を維持するように適合させることができる。加熱面は、約45℃~約70℃の温度を維持するように適合させることができる。加熱面は、約45℃~約60℃の温度を維持するように適合させることができる。加熱面は、約50℃~約60℃の温度を維持するように適合させることができる。加熱面は、約50℃の温度を維持するように適合させることができる。呼吸加湿システムは、ウィッキング要素、加熱面および水流発生器が、ガス流路内に配置されるかまたはその一部として組み込まれるように、機械的に構成することができる。呼吸加湿システムは、水流発生器、連結部、ウィッキング要素および加熱面が、ガス流路内に配置されるかまたはその一部として組み込まれるように、機械的に構成することができる。呼吸加湿システムはフィルタを含むことができる。フィルタは、給水ライン内にあり得る。ポンプの下流にフィルタを配置することができる。加熱面への入口にフィルタを配置することができる。フィルタは生物学的フィルタであり得る。呼吸加湿システムは複数のフィルタを含むことができる。呼吸加湿システムは、給水ライン内のリザーバと水流発生器との間の第1フィルタと、給水ライン内の水流発生器と加熱面との間の第2フィルタとを含むことができる。呼吸加湿システムは、滅菌用の電磁放射線エミッタを含むことができる。電磁放射線エミッタは、UV光源であり得る。UV光源は、ランプまたは発光ダイオード(LED)であり得る。
【0031】
本開示の別の態様によれば、ガスが流れることができるガス流路であって、入口位置と出口位置との間に延在しかつ入口位置と出口位置との間に加湿位置を含むガス流路と、水流量で水を計量供給するように構成された水流計量システムと、加湿位置においてガス流路と流体連通する加熱面であって、水流計量システムによって提供される水を受け取り、かつ受け取った水を気化させるように構成された加熱面と、加熱面の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサと、加熱面の2つ以上の領域に、その上に、それに隣接してまたは近接して配置された2つ以上の液体センサであって、加熱面が2つ以上の領域において湿潤している場合を検出するように構成された2つ以上の流体センサと、加熱面への水流量を制御するように構成された水流量制御部とを備える呼吸加湿システムであって、使用時、呼吸加湿システムは、加熱面への水流量を制御することにより出口位置におけるガスの湿度レベルを制御する、呼吸加湿システムが提供される。
【0032】
水流計量システムはポンプを含むことができる。ポンプは、容積型ポンプであり得る。容積型ポンプは、圧電ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、マイクロポンプまたはプログレッシブキャビティポンプであり得る。ポンプは、制御弁と直列である、重力送り装置等の圧力送り装置でもあり得る。呼吸加湿システムは、水流計量システムと流体連通している導管を有することができ、導管は、水流計量システムに水を運ぶように構成されている。導管は、水流計量システムをプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁を有することができる。導管は、ポンプをプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁を有することができる。水流計量システムは、毛管作用を採用して、加熱面のウィッキング要素に水を制御可能に計量供給するウィッキング構造を含むことができる。導管は、水流計量システムに通じる導管内に、圧力逃し弁等の安全弁も有することができる。呼吸加湿システムは、水を保持するように構成されているリザーバを有することができる。呼吸加湿システムは、重力駆動流が水流路に影響を与えないようにリザーバと水流計量システムとの間に配置される流れ制限装置を有することができる。流れ制限装置は、流路を圧搾するかまたは他の方法で制限する弾性突起であり得る。水流計量システムは、開ループ構成におけるポンプであり得る。水流計量システムは、閉ループ構成で流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータであり得る。水流計量システムは、0mL/minから約5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流計量システムは、約40μL/minから約4mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流計量システムは、約70μL/minから約2.5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流計量システムは、約±15%の精度で水の流量を提供することができる。水流計量システムは、約±10%の精度で水の流量を提供することができる。水流計量システムは、約±6.5%の精度で水の流量を提供することができる。水流計量システムは、約±5%の精度で水の流量を提供することができる。
【0033】
加熱面への水流量の制御は、ガス流路におけるガスの流量に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面からの水の気化速度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は一定温度で維持される。加熱面への水流量の制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は制御される。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるまたはその近くのガスの絶対圧力または気圧に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの露点温度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面によって与えられるエンタルピーに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面によって与えられる出力レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの温度に基づくことができる。入口位置におけるガスの露点温度は、温度センサおよび湿度センサによって与えられる情報を処理することによって導出することができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの露点温度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの相対湿度レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面における有効加熱面積に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、ガス流路内のガスの圧力レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、ガス流路を流れるガスの速度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、水流の温度に基づくことができる。
【0034】
呼吸加湿システムは、水温センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルに基づいて水流量を求めることができる。呼吸加湿システムは、モデルに基づいてガス流量を求めることができる。呼吸加湿システムは、周囲圧力センサを含むことができる。圧力センサは、ヒータ表面にまたはその近くに配置することができる。呼吸加湿システムは、ガス流路内の加湿位置の上流に配置された周囲露点温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流路内の加湿位置の上流に配置された周囲湿度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器を含むことができる。ガス流路内の入口位置と加湿位置との間に、ガス予熱器を配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に周囲露点センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に周囲湿度センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の下流に周囲露点温度センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の下流に周囲湿度センサを配置することができる。ガス流路の入口位置に配置された温度センサと組み合わせて、ガス流路内のガス予熱器の下流に周囲露点温度センサを配置することができる。
【0035】
少なくとも1つの温度センサは、水で浸される加熱面の割合を求めるように構成することができる。呼吸加湿システムは、開ループ式にガス予熱器への電力レベルを制御することにより、ガス流路の入口位置におけるガス温度を制御することができる。呼吸加湿システムは水予熱器を含むことができる。加熱面から液体があふれるのを防止するために、2つ以上の流体センサを用いることができる。加熱面への水流量の制御は、2つ以上の流体センサによって与えられる情報に基づくことができる。2つ以上の流体センサを用いて、加熱面における気化面積を制御することができる。2つ以上の流体センサを排他的に用いて加熱面の気化面積を制御することができる。2つ以上の流体センサは温度センサであり得る。2つ以上の流体センサは抵抗センサまたは容量センサであり得る。
【0036】
本開示の別の態様によれば、呼吸加湿システム用のヒータプレートが提供され、ヒータプレートは複数の抵抗トラックを有し、ヒータプレートは、マイクロチャネルを含む面にオーバモールドされている。ヒータプレートは、プリント回路基板(PCB)を備えることができる。ヒータプレートは、エッチング箔を備えることができる。マイクロチャネルは、一方向に水流を向けるように構成された平行なチャネルの配置を含むことができる。オーバモールド面は、1組のウィッキングチャネルに接続された1組の分散チャネルを含むことができ、ウィッキングチャネルより少ない分散チャネルがある。マイクロチャネルは、単一点から放射状に分散させることができる。
【0037】
本開示の別の態様によれば、ガスが流れることができるガス流路であって、入口位置と出口位置との間に延在するガス流路と、ガス流路内に配置されたガス予熱器と、ガス流路内に配置されかつガス流路と流体連通している加湿アセンブリであって、ガスと流体連通している加熱面であって、加熱面に水を分散させるように構成されたウィッキング要素を有する加熱面、ウィッキング要素に水を分散させるように構成された連結部、連結部に流体連通している水流量制御部であって、連結部に水を計量供給するように構成され、ポンプおよび流量センサを備え、水流量を制御するように構成された水流量制御部を含む加湿アセンブリを備える呼吸療法システムであって、使用時、ウィッキング要素が、加熱面の少なくとも一部に計量供給された水を分散し、加熱面が、分散された水がガスに気化するようにする、呼吸療法システムが提供される。加熱面は、回路基板によって与えられる熱を有することができる。回路基板は、プリント回路基板であり得る。回路基板は、複数の抵抗トラックを有することができる。抵抗トラックは銅であり得る。ウィッキング面は、回路基板の上のオーバモールドによって提供することができる。オーバモールドは、マイクロチャネルを有することができる。オーバモールドは、熱可塑性材料であり得る。加熱面は、モジュールゾーンを有することができる。加熱面は、水を予熱するように構成された第1ゾーンと、水を気化させるように構成された第2ゾーンとを有することができる。
【0038】
水流量制御部は、計量機構を含むことができる。計量機構は、ポンプをさらに含むことができる。ポンプは、たとえば、圧電ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、マイクロポンプまたはプログレッシブキャビティポンプ等、容積型ポンプであり得る。ポンプはまた、制御弁と直列である、重力送り装置等の圧力送り装置でもあり得る。呼吸加湿システムは、計量機構と流体連通している導管を有することができ、導管は、計量機構に水を運ぶように構成されている。導管は、計量機構をプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁を有することができる。導管は、ポンプをプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁も有することができる。計量機構は、毛管作用を採用して、ウィッキング要素にかつ/または加熱面に水を制御可能に計量供給するウィッキング構造を含むことができる。導管はまた、計量機構に通じる導管内に、圧力逃し弁等の安全弁も有することができる。呼吸加湿システムは、水を保持するように構成されているリザーバを有することができる。呼吸加湿システムは、重力駆動流が水流路に影響を与えないようにリザーバと計量機構との間に配置される流れ制限装置も有することができる。流れ制限装置は、流路を圧搾するかまたは他の方法で制限する弾性突起であり得る。水流量制御部は、開ループ構成におけるポンプであり得る。水流量制御部は、閉ループ構成で流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータであり得る。水流量制御部は、0mL/minから約5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、約40μL/minから約4mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、約70μL/minから約2.5mL/minの範囲の連続した水流を提供することができる。水流量制御部は、約±15%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±10%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±6.5%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±5%の精度で水の流量を提供することができる。
【0039】
加熱面は、温度範囲で維持されるように構成することができる。温度範囲は、約30℃~約99.9℃であり得る。温度範囲は、約35℃~約90℃であり得る。温度範囲は、約40℃~約80℃であり得る。温度範囲は、約45℃~約70℃であり得る。温度範囲は、約45℃~約60℃であり得る。温度範囲は、約50℃~約60℃であり得る。加熱面は、約50℃の温度を維持するように構成することができる。加熱面は、ウィッキング面を含むことができる。加熱面は、加熱面に熱を与えるように構成された加熱素子を含むことができる。加熱素子は、回路基板であり得る。回路基板はプリント回路基板であり得る。回路基板は、フレキシブル回路基板であり得る。フレキシブル回路基板は、ポリマーから作製することができ得る。ポリマーは、シリコーン、ポリエステルまたはポリイミドであり得る。回路基板は、複数の抵抗トラックを有することができる。抵抗トラックは銅であり得る。加熱素子はエッチング箔であり得る。加熱素子は電熱線であり得る。電熱線はニクロムであり得る。加熱素子は、正抵抗温度係数(PTC)セラミックであり得る。PTCセラミックはチタン酸バリウムであり得る。加熱素子は熱電素子であり得る。熱電素子は、ペルチェ素子であり得る。ウィッキング面は、回路基板上のオーバモールドによって提供することができ、オーバモールドはマイクロチャネルを有する。加熱面温度は、少なくとも一部には、加熱素子の抵抗レベルまたは他の特性を求めることによって測定することができる。加熱素子の抵抗レベルを用いて、加熱面の平均温度を示すことができる。加熱素子は、加熱素子の指定された領域に、加熱素子の他の領域に送達される電力密度と比較して高い電力密度を送達するように構成することができる。加熱素子の指定された相対的に密度の高い領域は、加熱面への給水の出口の近くに位置することができる。加熱素子の指定された相対的に密度の高い領域は、加熱面の水予熱領域に位置することができる。呼吸加湿システムは、ガス通路の出口位置に温度センサを含むことができる。
【0040】
呼吸加湿システムは、概してガス流路の入口位置から出口位置への方向に移動するようにガスを促進し、駆動し、または他の方法で移動させるように適合されたガス流発生器を有することができる。ガス予熱器は、ガス加熱素子を含むことができる。ガス加熱素子は、プリント回路基板であり得る。プリント回路基板は抵抗素子を有することができる。ガス加熱素子は、エッチング箔フィルムであり得る。ガス加熱素子は加熱コイルであり得る。ガス加熱素子はPTCセラミックであり得る。呼吸加湿システムは、温度センサを有することができる。ガス流路内のガス予熱器の下流に温度センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に温度センサを配置することができる。ガスの温度を求めるために、ガス加熱素子の特徴付け(たとえば、抵抗)を用いることができる。ガス加熱素子に送達される電力レベルの制御は、ガス流路内のガス予熱器の下流に配置された温度センサによって与えられる情報に基づくことができる。ガス加熱素子に送達される電力レベルの制御は、ガス流センサにより、かつガス流路内のガス予熱器の上流に配置された温度センサにより与えられる情報に基づくことができる。ガスの所望の下流温度は、加熱面からの水の気化速度に基づいて求めることができる。ガスの所望の下流温度は、実質的にすべての顕熱がガス予熱器によって供給されるのを確実にするように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置においてガスの所望の相対湿度レベルを得るように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置においてガスの所望の相対湿度レベルを得るように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置におけるガスの所望温度より0℃~約5℃高く設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置における所望の露点温度であるように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、約25℃~約43℃、または約31℃~約43℃、または約31℃~約41℃、または約31℃~約37℃、または約37℃に設定することができる。
【0041】
呼吸加湿システムは、フィルタを含むことができる。フィルタは、給水ラインにあり得る。フィルタは、ポンプの下流に配置することができる。フィルタは、加熱面への入口に配置することができる。フィルタは生物学的フィルタであり得る。呼吸加湿システムは複数のフィルタを含むことができる。呼吸加湿システムは、給水ラインにおけるリザーバと水流発生器との間の第1フィルタと、水流発生器と加熱面との間の第2フィルタとを含むことができる。呼吸加湿システムは滅菌用の電磁放射線エミッタを含むことができる。電磁放射線エミッタは、UV光源であり得る。UV光源は、ランプまたは発光ダイオード(LED)であり得る。
【0042】
本開示の別の態様によれば、水を気化させるように構成された呼吸加湿システムが提供され、呼吸加湿システムは電力を出力するように構成され、出力電力は水における熱に伝達される。呼吸加湿システムは、電力出力の約80%~約99.9%が水における熱に伝達されるように構成することができる。呼吸加湿システムは、電力出力の約85%~約99.9%が水における熱に伝達されるように構成することができる。呼吸加湿システムは、電力出力の約90%~約99.9%が水における熱に伝達されるように構成することができる。呼吸加湿システムは、電力出力の約98%が水における熱に伝達されるように構成することができる。加熱面は、約30℃~99.9℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約35℃~90℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約40℃~80℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約45℃~70℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約45℃~60℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約50℃~60℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約50℃の温度で維持するように適合させることができる。
【0043】
本開示の別の態様によれば、ガスが流れることができるガス流路であって、入口位置と出口位置との間に延在し、入口位置と出口位置との間に加湿位置を含むガス流路と、ガス流路内の入口と加湿位置との間に配置されたガス予熱器と、加湿位置においてガス流路と流体連通している加熱面と、加熱面と流体連通している水流発生器であって、加熱面に水を計量供給するように構成された水流発生器とを備える、呼吸加湿システムが提供される。
【0044】
加熱面は、約30℃~約99.9℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約35℃~約90℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約40℃~約80℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約45℃~約70℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約45℃~約60℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約50℃~約60℃の温度で維持するように適合させることができる。加熱面は、約50℃の温度で維持するように適合させることができる。
【0045】
呼吸加湿システムは、概してガス流路の入口位置から出口位置への方向に移動するようにガスを促進し、駆動し、または他の方法で移動させるように適合されたガス流発生器を有することができる。ガス予熱器は、ガス加熱素子を含むことができる。ガス加熱素子は、プリント回路基板であり得る。プリント回路基板は抵抗素子を有することができる。ガス加熱素子は、エッチング箔フィルムであり得る。ガス加熱素子は加熱コイルであり得る。ガス加熱素子はPTCセラミックであり得る。呼吸加湿システムは、温度センサを有することができる。ガス流路内のガス予熱器の下流に温度センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に温度センサを配置することができる。ガスの温度を求めるために、ガス加熱素子の特徴付け(たとえば、抵抗)を用いることができる。ガス加熱素子に送達される電力レベルの制御は、ガス流路内のガス予熱器の下流に配置された温度センサによって提供される温度に基づくことができる。ガス加熱素子に送達される電力レベルの制御は、ガス流センサにより、かつガス流路内のガス予熱器の上流に配置された温度センサによって与えられる情報に基づくことができる。ガスの所望の下流温度は、加熱面からの水の気化速度に基づくことができる。ガスの所望の下流温度は、実質的にすべての顕熱がガス予熱器によって供給されるのを確実にするように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置においてガスの所望の相対湿度を得るように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置におけるガスの所望温度より0℃~約5℃高く設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置における所望の露点温度であるように設定することができる。ガスの所望の下流温度は、約25℃~約43℃、または約31℃~約43℃、または約31℃~約41℃、または約31℃~約37℃、または約37℃に設定することができる。加熱面は、加熱面に熱を与えるように構成された加熱素子を含むことができる。加熱素子は、複数の抵抗トラックを含むことができる。
【0046】
水流発生器は、ポンプを含むことができる。ポンプは、容積型ポンプであり得る。容積型ポンプは、圧電ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、マイクロポンプまたはプログレッシブキャビティポンプであり得る。呼吸加湿システムは、水を予熱する装置を含むことができる。水を予熱する装置は、水が導入される加熱面の領域に対応する加熱素子の1つまたは複数の領域において、抵抗トラック(トレースまたはトラッキング)の密度、したがって、加熱面に送達される電力密度を増大させることにより、加熱素子に組み込むことができる。呼吸加湿システムは、加熱面に水を送達するように構成された給水ラインを含むことができる。水を予熱する装置は、給水ラインに組み込むことができる。
【0047】
本開示の別の態様によれば、ガスが流れることができるガス流路であって、入口位置と出口位置との間に延在するガス流路と、ガス流路と流体連通する加熱面と、加熱面に送達される水の水流量を制御するように構成された水流量制御部とを備える呼吸加湿システムであって、使用時、出口位置におけるガスの湿度レベルが、水流量を制御することによって決定論的に制御される、呼吸加湿システムが提供される。呼吸加湿システムは、水流量センサを含むことができる。水流量の制御は、ガス流路におけるガスの流量に基づくことができる。水流量の制御は、加熱面からの水の気化速度に基づくことができる。水流量の制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は一定温度で維持される。水流量の制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は制御される。水流量の制御は、入口位置におけるまたはその近くのガスの絶対圧力または気圧に基づくことができる。水流量の制御は、入口位置におけるガスの露点温度に基づくことができる。入口位置におけるガスの露点温度は、温度センサおよび湿度センサによって与えられる情報を処理することによって導出することができる。水流量の制御は、加熱面によって与えられるエンタルピーに基づくことができる。水流量の制御は、加熱面によって与えられる出力レベルに基づくことができる。水流量の制御は、入口位置におけるガスの温度に基づくことができる。水流量の制御は、入口位置におけるガスの相対湿度レベルに基づくことができる。水流量の制御は、加熱面における有効加熱面積に基づくことができる。水流量の制御は、ガス流路内のガスの圧力レベルに基づくことができる。水流量の制御は、ガス流路を流れるガスの速度に基づくことができる。水流量の制御は、水流の温度に基づくことができる。呼吸加湿システムは、水温センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流量センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、モデルに基づいて水流量を求めることができる。呼吸加湿システムは、モデルに基づいてガス流量を求めることができる。呼吸加湿システムは、圧力センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、周囲圧力センサを含むことができる。圧力センサは、ヒータ表面にまたはその近くに配置することができる。呼吸加湿システムは、加熱面の温度を測定するように構成された温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流路内の加湿位置の上流に配置された周囲露点温度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス流路内の加湿位置の上流に配置された周囲湿度センサを含むことができる。呼吸加湿システムは、ガス予熱器を含むことができる。ガス流路内の入口位置の近くにガス予熱器を配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に周囲露点センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の上流に周囲湿度センサを配置することができる。ガス流路内のガス予熱器の下流に周囲湿度センサを配置することができる。ガス流路の入口位置に配置された温度センサと組み合わせて、ガス流路内のガス予熱器の下流に周囲露点温度センサを配置することができる。呼吸加湿システムは、少なくとも加熱面の温度を測定するように構成された少なくとも1つの温度センサを含むことができる。少なくとも1つの温度センサは、水で浸される加熱面の割合を求めるように構成することができる。呼吸加湿システムは、開ループ式にガス予熱器への電力レベルを制御することにより、ガス流路の入口位置におけるまたはその近くのガス温度を制御することができる。呼吸加湿システムは水予熱器を含むことができる。
【0048】
本開示の別に態様によれば、呼吸療法システムの吸気管内に配置された加湿システムが提供される。
【0049】
ここで、本開示のさまざまな実施形態について、添付図面を参照して、単に例示的な例として説明する。図面において、同様の要素は同様の参照数字を有する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1A-E】呼吸療法システムのさまざまな実施形態の概略図である。
【
図2A】本開示の実施形態による全体的な制御システムの機能ブロック図である。
【
図2B】本開示の実施形態による入口および予熱制御サブシステムの機能ブロック図である。
【
図2C】本開示の実施形態による水流制御サブシステムの機能ブロック図である。
【
図2D】本開示の実施形態による被加熱面制御サブシステムの機能ブロック図である。
【
図2E】本開示の実施形態による全体制御部の機能ブロック図である。
【
図3A】本開示の一実施形態による一体型加湿システム例の概略斜視図である。
【
図3B】
図3Aの加湿システムの空気流を示す概略縦断面図である。
【
図3C】
図3Aの加湿システムの水流を示す概略縦断面図である。
【
図3E-F】流れ発生システムとともに使用されるように設置された加湿システム300を示す。
【
図4A】本開示の実施形態によるプリント回路基板加熱素子の概略斜視図である。
【
図4B】本開示の実施形態によるプリント回路基板加熱素子の概略上面図である。
【
図4C】本開示の実施形態によるプリント回路基板加熱素子の部分概略上面図である。
【
図4D】本開示の実施形態によるエッチング箔加熱素子の2つの実施形態の概略上面図を示す。
【
図4E】丸められた形態のエッチング箔加熱素子の実施形態を示す。
【
図5A】本開示の実施形態による格子構造マイクロチャネル水分散パターンを示す概略図である。
【
図5B】本開示の実施形態による放射状マイクロチャネル水分散パターンを示す概略図である。
【
図6A】本開示の実施形態による連結部の例を含む部分呼吸加湿システムの概略軸方向断面斜視図である。
【
図6B】連結部例を含む
図6Aの呼吸加湿システムの概略断面斜視図である。
【
図6C】連結部例を含む
図6Aの加湿システムの概略側面図である。
【
図6D】
図6Aの加湿システムの概略軸方向組立斜視図である。
【
図7】本開示の実施形態による加熱面の縁の上に巻き付けられた分配管連結部の概略斜視図である。
【
図8】本開示の実施形態による多孔質媒体連結部の概略図である。
【
図9A】本開示の実施形態による放射状連結部の概略斜視図である。
【
図10A】本開示の実施形態によるサンドイッチ連結部の概略斜視図である。
【
図10C】本開示の実施形態による加湿ハウジングに取り付けられた
図10Aのサンドイッチ連結部の概略断面図である。
【
図10D】本開示の実施形態による、プリント回路基板加熱素子を含む加湿ハウジングに取り付けられた
図10Aのサンドイッチ連結部の概略断面図である。
【
図11A】本開示の実施形態による呼吸加湿システムの露点温度精度のプロットである。
【
図11B】本開示の実施形態による呼吸加湿システムの空気流量にわたる露点温度誤差のプロットである。
【
図12A】本開示の実施形態による加湿システムの代替実施形態の概略斜視図である。
【
図13】本開示の一実施形態によるインライン加湿システムの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下の説明は、本質的に単に例示的なものであり、本開示、その応用または使用を限定するようには決して意図されていない。明確にする目的で、図面において同様の要素を識別するために同じ参照番号を使用する。しかしながら、便宜上、本開示のいくつかの図に存在しまたは参照数字が付けられているいくつかの特徴は、本開示の他の図には図示されず参照数字が付けられていない。文脈において明確な別段の要求がない限り、これらの省略は、1つの図の図面から省略された特徴が他の図に関連するかまたはそこで具現化されている開示された方法、装置およびシステムの構成において等しく組み込むかまたは実施することができない、ということを意味するようには解釈されるべきではない。逆に、文脈において明確な別段の要求がない限り、本開示のいくつかの図においていくつかの特徴が存在することは、こうした図に関連するかまたはそこで具現化されている開示された方法、装置およびシステムが必ずこれらの特徴を含まなければならないことを意味する、と想定されるべきではない。
【0052】
本開示のいくつかの特徴、態様および利点は、オンデマンド加湿器の具現化を含み、そこでは、開ループおよび決定論的構成において、必要な量の水(または他の加湿流体)が、加熱面の上に計量供給され、蒸発し、予熱されたガス源と混合されて、所望の湿度レベルをもたらす。有利には、開示される加湿制御システム、デバイスおよび方法を採用することにより、供給流体全体を一度に加熱するか、または、液体のチャンバ等、本来過剰な量の液体を加熱するのとは対照的に、必要に応じて、ガス流路と流体連通している加熱素子の上に、割り当てられた水を堆積させることができる。例示的には、入口ガス流量、入口ガス露点温度および/またはガス流路圧力レベルを測定することにより、加熱面に対する液体の流体流量を求め、患者に送達されるガスの所望の出力湿度および温度レベル(または、出口露点温度)を達成するように制御することができる。
【0053】
図1Aを参照すると、呼吸療法システム100の限定しない例示的な構成が示されている。図示する構成では、呼吸療法システム100は、流れ発生器120を含む。流れ発生器120は、たとえば、呼吸療法システム100を通してガスを推進するように適合されたブロワ121を有することができる。ブロワ121を用いて推進されるガスは、たとえば、呼吸療法システム100の外側の環境から受け取られた空気(たとえば、「周囲空気」もしくは「周囲ガス」)および/または呼吸療法システム100と連通しているガス容器(たとえば、
図1Eにおけるガスリザーバ137を参照)からのガスを含むことができる。流れ発生器120からのガスは、ガスに水分を追加するように適合された呼吸加湿システム101にかつ/またはそこを通るように向けられる。呼吸加湿システム101は、流れ発生器120および/または別のガス源からガスを受け取り、患者インタフェース122等の出口にガスを導くように適合されたガス流路102(本明細書では、「呼吸管」または「吸気管」と呼ぶ場合もある)を含む。
図1Aの最上部において
【数1】
ベクトルを用いて示すように、使用時、ガスは、概して流れ発生器120から(たとえば、ガス流路102を通って)呼吸加湿システム101まで、かつ呼吸加湿システム101から(たとえば、ガス流路102を通って)出口または患者インタフェース122まで、下流方向に移動することができる。
【0054】
図1Aに示す限定しない例示的な構成をさらに参照すると、呼吸加湿システム101は、使用時に流体を収容する流体リザーバ106を含む。この文脈における「流体」は、呼吸ガスを加湿するのに好適な液体または流動固体を指すものとし、たとえば水を含むことができる。流体は、水より揮発性である添加物を含む水であり得る。流体リザーバ106は、計量機構(本明細書では、液体流制御部または水流量制御部とも呼ぶ)110に流体的にまたは他の方法で物理的に連結されている。計量機構110は、流体リザーバ106から、ガス流路102に、またはガス流路102の外側であるがガス流路102と空気連通して位置する加湿ハウジング115に、流体を計量供給するように構成されている。計量機構110は、ポンプをさらに含むことができる。ポンプは、たとえば、圧電ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、マイクロポンプまたはプログレッシブキャビティポンプ等、容積型ポンプであり得る。ポンプはまた、(たとえば、
図1Dに示しかつ後述するように)制御弁と直列である重力送り装置等、圧力送り装置でもあり得る。計量機構は、ウィッキング構造を含むことができ、それは、毛管作用を採用してウィッキング要素にかつ/または加熱面に水を制御可能に計量供給する。
【0055】
水流量制御部によって、計量機構110を制御することができる。水流量制御部は、開ループ構成のポンプであり得る。水流量制御部は、閉ループ構成で流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータであり得る。いくつかの構成では、開ループ構成においてポンプとして構成された水流量制御部が好ましく、それは、より単純であり、1つの部品(ポンプ)のみを必要とするためである。しかしながら、開ループ構成におけるポンプは、水を正確に送達することができない可能性があるが、精度が必須ではない条件下では依然として有用である可能性がある。したがって、他の構成では、より高い精度が望まれる場合、閉ループ構成において流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータを使用することができる。この構成では、ポンプは精密である必要はないため、ポンプの選択はそれほど重要ではない可能性があり、専用の流量センサを用いて精度が制御される。閉ループ構成において流量センサと直列であるポンプまたは流れアクチュエータに対する別の利点は、2つの独立した流れの指標(ポンプ設定および検知される流量)を提供し、それによりシステムに対して安全性の層が追加される(たとえば、ポンプおよびセンサが正しく動作していることを検証するために、それらを互いに比較することができる)。
【0056】
水流量制御部は、0mL/minから約10mL/minの範囲で連続した水の流れを提供することができる。水流量制御部は、0mL/minから約7mL/minの範囲で連続した水の流れを提供することができる。水流量制御部は、0mL/minから約5mL/minの範囲で連続した水の流れを提供することができる。水流量制御部は、約40μL/minから約4mL/minの範囲で連続した水の流れを提供することができる。水流量制御部は、約70μL/minから約2.5mL/minの範囲で連続した水の流れを提供することができる。水流量制御部は、約±15%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±10%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±6.5%の精度で水の流量を提供することができる。水流量制御部は、約±5%の精度で水の流量を提供することができる。
【0057】
計量システム110を含む水流量制御部は、加熱素子114の表面が完全に湿潤した(浸された)ことを確実にするように構成することができる。完全に湿潤した表面により、湿度の決定論的制御の改善を可能にすることができる。湿潤した表面はまた、水は乾燥面の上を移動する場合より湿潤面の上を迅速に移動するため、湿度をより迅速に上昇させることができることも意味する。
【0058】
水制御部または計量装置110において、任意の容積型ポンプを使用することができる。容積型ポンプは、固定量の水を押しのけることによって作用し、概して、すぐれた精度をもたらす。たとえば、蠕動、ダイヤフラム、ベーン、プランジャ等、種々の容積型ポンプのうちの任意のものが適しており、これらの大部分を、本明細書において企図される流量で作業するようにスケーリングすることができる。しかしながら、圧電マイクロポンプ(アクチュエータとして圧電素子を用いる小型ダイヤフラムポンプ(および蠕動ポンプ(ローラを用いて一定速度で管を通して水を絞り出す)は、多くが、本明細書に記載するシステムに対して好適なサイズ、価格、動作範囲および電力等ですでに市販されているため、特に有利であり得る。さらに、ポンプの代わりに、制御弁(
図1Dを参照)と直列の、重力送り装置等の圧力送り装置、および/またはウィッキング/毛管作用を使用することができる。いくつかの構成では、電磁-流体力学ポンプを使用することができる。
【0059】
水流量制御部が流量センサを含む場合、いくつかの構成では、流量センサは熱質量計であり得る。これらのセンサは、液体を加熱し、加熱するために必要な電力(たとえば、加熱フロービーズ)もしくは導入された温度勾配、またはこれに対する何らかの変動を測定することによって、作用する。別法として、流量センサに対して、滴下装置(たとえば、点滴において流量を測定する一般的な方法であるように液滴を計数する)、狭窄部にわたる圧力低下を測定して流量を計算する差圧センサ、および/または容積型ポンプと同じ原理を用いて流量を検知する容積型センサを代わりに用いるか、またはそれによって補助することができる。限定しない例として、好適なポンプは、Bartels Mikrotechnikから入手可能なmp6マイクロポンプである。液体流量センサ例は、Sinsironから入手可能なLG16であり、そのデータシートは、http:/www.sensirion.com/fileadmin/user_upload/customers/sensirion/Dokumente/LiquidFlow/Sensirion_Liquid_Flow_LG16_Datasheet_V3.pdfにおいて入手可能であり、参照により本明細書に組み込まれる。
【0060】
流体リザーバ106は、第1流体導管108を介して計量機構110に接続されている。第1導管108は、計量機構をプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁を有することができる。第1導管108は、ポンプをプライミングされた状態で維持するように構成された逆止弁も有することができる。第1導管108はまた、ポンプまたは水制御部の故障の場合に液体の流れを阻止するように、計量機構に通じる導管内に、圧力逃し弁等の安全弁も有することができる。呼吸加湿システム101はまた、重力駆動流が水流路に影響を与えないように、リザーバ106と計量機構110との間に配置された流れ制限装置も有することができる。流れ制限装置は、流路を圧搾するかまたは他の方法で制限する弾性突起であり得る。計量機構110は、第2流体導管112を通して加湿ハウジング115に流体を計量供給する。特に、計量供給された流体は、加湿ハウジング115への入口116を通って加湿ハウジング115に入ることができる。
【0061】
加熱装置114は、加湿ハウジング115内に、加湿ハウジング115に、またはその近くに存在することができる。加熱装置114は、計量供給された流体を加熱装置114に分配するように構成されたウィッキング要素を有することができる。いくつかの構成では、ウィッキング要素は、計量供給された流体を、加熱装置114の表面にわたって均一に運ぶように構成されている。加熱装置114は、計量供給された流体を、使用時に呼吸療法システム100によってガス流に閉じ込められるように、蒸発させるように構成することができる。加熱装置114は、加熱面をある温度範囲で維持するように構成することができる。温度範囲は、約30℃~約99.9℃であり得る。温度範囲は、約35℃~約90℃であり得る。温度範囲は、約40℃~約80℃であり得る。温度範囲は、約45℃~約70℃であり得る。温度範囲は、約45℃~約60℃であり得る。温度範囲は、約50℃~約60℃であり得る。加熱面は、約50℃の温度を維持するように構成することができる。「約」は、本明細書では、たとえば±3℃等、指定された温度の許容範囲内にあるように理解されるべきである。加熱面は、ウィッキング面を含むことができる。加熱面は、加熱面に熱を与えるように構成された加熱素子を含むことができる。加熱素子は、回路基板であり得る。回路基板は、(たとえば、
図4A~
図4Cを参照して図示し後述するように)プリント回路基板であり得る。回路基板は、フレキシブル回路基板であり得る。フレキシブル回路基板は、アルミニウム-ポリイミドから作製され得る。回路基板は、複数の抵抗トラックを有することができる。抵抗トラックは銅であり得る。加熱素子は、(たとえば、
図4D~
図4Eを参照して図示し後述するように)エッチング箔であり得る。加熱素子は、電熱線であり得る。電熱線はニクロムであり得る。加熱素子は、正抵抗温度係数(PTC)セラミックであり得る。PTCセラミックは、チタン酸バリウムであり得る。加熱素子は、熱電素子であり得る。熱電素子は、ペルチェ素子であり得る。ウィッキング面は、回路基板の上のオーバモールドによって提供することができ、オーバモールドはマイクロチャネルを有する。加熱面温度は、少なくとも一部には、加熱素子の抵抗レベルまたは他の特性を求めることによって、測定することができる。加熱素子の抵抗レベルを用いて、加熱面の平均温度を示すことができる。加熱素子は、(たとえば、
図4Cを参照して説明するように)加熱素子の指定された領域において、加熱素子の他の領域に送達される電力密度に比較して、より高い電力密度を送達するように配置することができる。加熱素子の指定された相対的に高い密度領域は、加熱面に対する給水の出口に位置することができる。加熱素子の指定された相対的に高い密度領域は、加熱面の水予熱領域に位置することができる。
【0062】
呼吸療法システム100または呼吸加湿システム101の構成要素は、限定されないが、流れ発生器120、計量機構110および/または加熱装置114を含む、呼吸療法システム100または呼吸加湿システム101の構成要素の動作を制御することができる、コントローラ118を含むことができる。
【0063】
計量機構110は、加湿ハウジング115にかつ/または加熱装置114に計量供給速度で流体を計量供給するかまたは割り当てるように構成することができ、計量供給速度は、ガス流路102における過度の水分蓄積の可能性を低減させるかまたはなくすように注意しながら、ガスが、呼吸加湿システム101を用いる患者によって必要とされるかまたは望まれるガス加湿のレベルを表す、所定の、計算された、または推定された湿度レベルに達するように、ガス流路102を通るガスの含水量を上昇させる速度である。これを実施するために、一例では、コントローラ118は、(a)ガス流路102を通るガスの測定された流量、(b)加湿ハウジング115の上流のガスの湿度に対応する測定された水分値、(c)ガス流路102内の圧力レベルに対応する測定された圧力レベル、または(d)それらの組合せに基づいて、計量機構110の計量供給速度を制御することができる。コントローラ118は、(a)ガス流路102を通るガスの測定された流量および(b)加湿ハウジング115の上流のガスの湿度に対応する測定された水分値、または(a)ガス流路102を通るガスの測定された流量および(c)ガス流路102内の圧力レベルに対応する測定された圧力レベルに基づく等、測定された入力(a)~(c)のうちの1つまたは複数の組合せに基づいて、計量機構110の計量供給速度を制御することができる。
【0064】
いくつかの構成では、計量機構110の計量供給速度は、コントローラ118によって直接計算することができる。例示的には、限定しない例として、流路102を通るガスの流量が20L/minであると判断され、呼吸加湿システム101から出るガスの所望の出力湿度が、44mg/Lであると判断された場合、システムに入るガスの湿度がゼロであったと仮定した場合(すなわち、ガスは完全に乾燥していた場合)、ガス流路102内のガスに対して、0.88g/minの流体(20L/min×0.044g/L)を追加する必要がある。そして、呼吸加湿システム101に入るガスの(想定された、推定された、計算されたまたは測定された)湿度に対応して、補正係数を計算することができる。したがって、特に流体を迅速に気化させることができる場合、計量機構110の計量供給速度は、0.88g/minに設定することができ、それは、加湿ハウジング115の上流のガスまたは呼吸療法システム100の外側に存在する周囲ガスの想定された、推定された、計算されたまたは測定された湿度から導出された補正係数によって調整される。
【0065】
ガスの所望の出力湿度(たとえば、相対湿度(RH)=100%もしくは絶対湿度(AH)=44mg/L)および/または所望の出力温度(たとえば、37℃もしくは98.6F)は、呼吸加湿装置101の使用者が、たとえば、呼吸療法システム100のハウジング103に位置するユーザインタフェース105を通して、またはリモート制御モジュールを用いて、入力することができる。ユーザインタフェース105は、たとえば、1つまたは複数のボタン、つまみ、ダイヤル、キーボード、スイッチ、レバー、タッチスクリーン、スピーカ、ディスプレイおよび/または他の入力もしくは出力モジュールを含むことができ、それにより、使用者は、呼吸療法システム100または呼吸加湿システム101の構成要素を制御するように、データおよび/または入力コマンドを見るために使用することができる。
【0066】
呼吸療法システム100または呼吸加湿システム101は、決定論的または開ループ制御を含むことができる。後述する
図2A~
図2Eを参照して、さまざまな制御システムについてより詳細に説明する。一般に、決定論的制御は、いくつかの入力変数を制御することにより、たとえば、加熱面への水流を制御することにより、オンデマンド加湿を可能にすることができる。いくつかの構成では、加熱面への水流量の制御は、ガス流路内のガスの流量に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面からの水の気化速度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は、一定温度で維持される。加熱面への水流量の制御は、加熱面の温度に基づくことができ、加熱面の温度は制御される。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるまたはその近くのガスの絶対圧力または気圧に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの露点温度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面に与えられるエンタルピーに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面によって与えられる出力レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの温度に基づくことができる。入口位置におけるガスの露点温度は、温度センサおよび湿度センサによって与えられる情報を処理することによって導出することができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの露点温度に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、入口位置におけるガスの相対湿度レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、加熱面の有効加熱面積に基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、ガス流路内のガスの圧力レベルに基づくことができる。加熱面への水流量の制御は、ガス流路内を流れるガスの速度に基づくことができる加熱面への水流量の制御は、水流の温度に基づくことができる。
図1Eを参照して図示し後述するように、呼吸療法システム100および/または(呼吸加湿システム101を含む)その構成要素は、これらの変数を測定する多数のセンサを含むことができる。
【0067】
図示する構成は、限定するように解釈されるべきではなく、呼吸療法システム100および(呼吸加湿システム101を含む)その構成要素に対する他の多くの構成が企図される。呼吸療法システム100の構成要素の構成に対する追加の詳細について以下に記載する。
【0068】
第1流体導管108および第2流体導管112は、呼吸加湿システム101のさまざまな構成要素に流体を連通させるように構成することができる。
図1Aに示すように、第1流体導管108は、流体リザーバ106からの流体を計量機構110に流体連通させるように構成することができ、第2流体導管112は、計量機構110からの流体を加湿ハウジング115に流体連通させるように構成することができる。いくつかの構成では、第1流体導管108および/または第2流体導管112は任意選択的である。たとえば、流体リザーバ106が、計量機構110と直接流体連通している場合、第1流体導管108は存在する必要はない。同様に、計量機構110が加湿領域115と直接流体連通している場合、第2流体導管112は存在する必要はない。
【0069】
図1Eに示すように、第1流体導管108および/または第2流体導管112は、流体リザーバ106から出る流体から汚染物質、不純物または他の望ましくない物質を除去するように構成された1つまたは複数のフィルタ128をさらに備えることができる。フィルタ128は、そうしたことを行うように構成された、第1導管108および/または第2導管112の流体流路内に配置されかつ/または精密ろ過、限外ろ過または逆浸透で使用されるように構成された、透過性または半透過性膜を含む、任意の構造を含むことができる。第1導管108および/または第2導管112に1つまたは複数のフィルタ128が存在することは、呼吸加湿システム101の使用者が、加湿ハウジング115内に導入された流体の品質が許容可能なレベルであることを確実にするのに役立つことができる。フィルタ128のうちの1つまたは複数が、非常に長い期間使用されている場合、フィルタ128、ならびに/または第1導管108および/もしくは第2導管112を交換することができる。たとえば、第1導管108および/または第2導管112の中または上に位置する化学的色変化インジケータを介して、使用者に対してフィルタ128の寿命を示すことができ、または、フィルタ128は、ガスおよび/または流体に対する長期の露出のために経時的に色を変化させることができる。フィルタ218は、加湿液の予備的分配器としての役割を果たすことができる。
【0070】
上述したように、計量機構110は、流体リザーバ106からの流体を加湿ハウジング115に計量供給する役割を果たすことができる。計量機構110は、たとえば、たとえば第1導管108および/または第2導管112に沿って流体リザーバ106から加湿ハウジング115まで流体を能動的に移送することができる流体容積(fluid displacement)ポンプを含むことができる。いくつかの実施形態では、計量機構110は、逆に作動するか、または加湿ハウジング115から流体を引き出すように作用することができる。流体容積ポンプは、たとえば、圧電ダイヤフラムポンプ、蠕動ポンプ、マイクロポンプまたはプログレッシブキャビティポンプ等、容積型ポンプを含むことができる。
【0071】
図1Bに示すように、システムは、インライン加湿器として具現化することができる。この実施形態では、加湿システム101は、任意の流れ発生システムと使用されるように呼吸回路に対する追加装置とすることができ、または、周囲空気を使用し、ガス流を発生させるために通常の患者の呼吸に依存する、独立型加湿器とすることができる。
【0072】
図1Cにおいて論証するように、いくつかの構成では、ガス流路102の外側に加熱装置114を配置することができる。たとえば、加熱装置114は、別個のコンパートメント124内に存在することができる。コンパートメント124は、ガス流路102に物理的に連結することができ、または、ガス流路102から流体的に隔離することができる。コンパートメント124とガス流路102との間に配置された半透過性膜126を使用することにより、ガス流路102からコンパートメント124を流体的に隔離することができる。いくつかの構成では、半透過性膜126は、流体が通過するのを可能にしないが、気化した流体が通過するのを可能にする(したがって、気化した流体がガス流路102を通るガスと合流するのを可能にする)ことができる。半透過性膜と使用するのに好適な材料の例としては、パーフルオロ化ポリマーまたは細孔のあるポリマーが挙げられ、ともに全体として参照により本明細書に組み込まれる、2001年5月8日に出願され「Expiratory Limit for a Breathing Circuit」と題する、本出願と共通の所有者が所有する米国特許第6,769,431号明細書、および2010年12月22日に出願され「Components for Medical Circuits」と題する米国特許出願第13/517,925号明細書に記載されている管で使用されているもの等の材料が挙げられる。使用時、流体は、出口116を通してコンパートメント124に計量供給され、加熱装置114(コンパートメント124内にさらに配置することができる)を用いて気化され、半透過性膜126を通されて、ガス流路102を通る下流に移動するガスと合流することができる。ガス流路102から出口116を流体的に隔離することにより、たとえば、液体の水がガス流路102内に存在する可能性を低減させることができる。
【0073】
計量機構110は、必ずしもポンプを含む必要はなく、単に、流体を加湿ハウジング115に所定の、所望のまたは調節された量で割り当てるように構成された構造を含むことができることが理解されるべきである。たとえば、
図1Dにおいて論証するように、流体リザーバ106を、ガス流路102および/または加湿ハウジング115の上方に垂直に吊り下げることができる。流体リザーバ106は、電気機械弁150と連通することができ、電気機械弁150は、コントローラ118によって生成された信号に応答して、流体リザーバ106から第2流体導管112を通る加湿ハウジング115への流体の通過を制御するように部分的にまたは完全に開閉することができる。
【0074】
いくつかの構成では、第2流体導管112は存在しない場合があり、流体リザーバ106は、電気機械弁150と協働して、流体を加湿領域115に(かつ/または加熱装置114のまたはその近くの位置に)直接移送することができる。限定されないが、微小電気機械システムセンサすなわちMEMSセンサ等の流体流センサを用いて、電気機械弁150または第2流体導管112を通る流体流量を求めることができる。流体流量センサからの信号またはそこから導出される値を用いて、たとえば、閉ループ制御を介して電気機械弁150の動作を制御することができる。
図1Dでは、流体リザーバ106は、ガス流路102の垂直方向上方にあるように示されているが、いくつかの構成では、流体リザーバ106は、ガス流路102と同じかまたはガス流路102より低い高さにある場合がある。電気機械弁150と組み合わせて流体を計量供給するように、他の力が流体リザーバ106に作用することができる。たとえば、呼吸加湿システム101は、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101を通るガスの力を用いて流体がリザーバ106から押し出されるように構成することができる。いくつかの構成では、ガスは、流体リザーバ106内の流体に直接作用することができる。いくつかの構成では、流体リザーバ106から流体を押し出す(たとえば、流れ発生器120からまたは別個のガス源からのガスによって充填された)流体充填パウチによって、流体リザーバ106に対して加圧することができる。パウチによって与えられる圧力は、たとえばばねまたは他の機械的機構によって生成される付勢力を用いて制御することができる。
【0075】
いくつかの実施形態では、加熱装置114は、加熱装置114の上または近くで計量供給される流体に熱を伝達して、流体の気化とガス流路102を通るガス流への閉じ込めを促進するように構成することができる。加熱装置114の特定の形態は限定されず、呼吸加湿システム101と使用される種々の多くの加熱装置を構想することができる。いくつかの構成では、加熱装置114は、電気エネルギーが加えられると抵抗加熱することができる加熱プレートまたは加熱素子を含むことができる。抵抗加熱プレートは、導電性金属材料から構成することができるが、導電性プラスチックから作製される場合もある。
【0076】
コントローラ118は、システム100、101の制御可能な構成要素の動作を指示するように構成されたマイクロプロセッサまたは他の何らかのアーキテクチャを含むことができる。いくつかの構成では、1つのコントローラ118が、限定されないが、計量機構110、加熱装置114および/または流れ発生器120を含む、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101のすべての制御可能な構成要素の動作を制御することができる。コントローラ118は、限定されないが、流れ発生器120、呼吸加湿システム101、ハウジング103および/またはガス流路102を含む、呼吸療法システム100の構成要素の中、上またはその近くに物理的に存在することができる。いくつかの構成では、コントローラ118は、呼吸療法システム100から物理的に別個であり得る。たとえば、コントローラ118は、リモートコンピュータ、タブレット、携帯電話、スマートウォッチまたは別のデバイスに位置することができ、コントローラ118は、呼吸療法システム100の制御可能な構成要素の動作をリモートで指示することができる。いくつかの構成では、複数のコントローラを用いて、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101の制御可能な構成要素を制御することができる。複数のコントローラは、各々、システム100、101の一方または両方の1つまたは複数の制御可能な構成要素の排他的な制御に向けることができる。いくつかの構成では、複数のコントローラによって、システム100、101のうちの一方または両方の1つまたは複数の制御可能な構成要素の制御を処理することができる。複数のコントローラは、互いに通信するように構成することができる。
【0077】
上述したまたは本明細書の別の場所に記載した機能に従ってコントローラ118を介して(たとえば、測定された流量値、水分値および/または圧力値を用いることにより、たとえば、後述する
図2A~
図2Eの記載を参照)、計量機構110の計量供給速度を制御するために、想定された、推定された、計算されたまたは測定された信号および値を求めることができる。いくつかの構成では、後述するように、信号および/または値を求めることができる。
【0078】
ガス流路102を通るガスの流量を表すために、所定値を選択することができる。限定しない例として、ガス流路102を通るガスの流量は、40L/minであるように想定することができる。
【0079】
ガス流路102を通るガスの流量に対応するガス流量値は、種々の手段によって推定しまたは近似することができる。場合によっては、流れ発生器120は機械的ブロワ121を含む。たとえば、1つまたは複数の関連する変換器を含む(たとえば、
図1Eに示すような)モータ検知モジュール130を用いて、ブロワ121のモータのモータ速度、モータトルクおよび/またはモータ電流を求めることができる。モータ検知モジュール130によって出力される信号、またはそこから導出される値のうちの1つまたは複数は、ルックアップテーブルまたは方程式への入力とすることができ、それらのうちのいずれも、たとえば、実験的に求められた入力および出力の組に基づいて、推定されたまたは近似されたガス流量値を返すことができる。
【0080】
ガス流路102内に配置されたガス流量センサ134(
図1Eを参照)によって、ガス流路102を通るガスの流量を表す流量信号を生成することができる。ガス流量センサ134によって生成される信号を処理して、ガス流量値に変換することができる。
【0081】
加湿ハウジング115の上流のガスの相対湿度または絶対湿度を表すように、所定値を選択することができる。例示的には、限定しない例として、加湿ハウジング115の上流のガスの相対湿度は、50%であると想定することができ、または加湿ハウジング115の上流のガスの絶対湿度は、15mg/Lであると想定することができる。
【0082】
ガス流路102を通るガスの温度および相対湿度を検知するかまたは他の方法で推定するかもしくは求めることができる場合、たとえば、Clausius-Clapeyron(クラウジウス・クラペイロン)の式を用いて、ガスの露点温度を導出することができる。加湿ハウジング115の上流のガスの温度および圧力を検知するかまたは他の方法で推定するかもしくは求めることができる場合、相対湿度値を絶対湿度値に変換することができる。
【0083】
加湿ハウジング115の上流または呼吸療法システム100の外側に配置された(たとえば、
図1Eに示すような)湿度センサ136によって、加湿ハウジング115の上流のガス、または呼吸療法システム100の外側の周囲ガスの相対湿度または絶対湿度を表す水分信号を生成することができる。湿度センサ136によって生成される信号を処理して、水分値に変換することができる。
【0084】
ガス流路102内において加湿ハウジング115の下流に、さまざまなセンサモジュールを配置することも可能である。
図1Eにおいて論証するように、センサモジュールは、たとえば、流量センサ138、(たとえば、絶対湿度センサおよび/または相対湿度センサを含む)湿度センサ140、温度センサ141および/または圧力センサ142を含むことができる。コントローラ118によって、これらのセンサのうちの1つまたは複数を用いて、ガス流発生器120の動作の制御(たとえば、ブロワ121のモータ速度を含む)、加熱装置114の熱出力の制御、計量機構110の計量供給速度の制御および/または他の何らかの構成要素の動作の制御を含む、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101の構成要素の制御を容易にすることができる。
【0085】
また、
図1Eにおいて論証するように、ガス流路102内にガス濃度センサ135を配置することができる。ガス濃度センサ135は、ガス流における1種または複数種のガスの濃度を検知するように構成することができる。ガス濃度センサ135は、たとえば酸素を検知するように適合された超音波センサを含むことができる。検知されるガスとしては、たとえば、ガス濃度調整弁139を通してガスリザーバ137からガス流路102に導入される、酸素、酸化窒素、二酸化炭素および/またはヘリオックスを挙げることができる。ガス濃度センサ135は、ガス濃度センサ135によって生成されるガス濃度信号を用いて、(たとえば、ユーザインタフェース105を介してユーザによって入力される)所定の所望のガス濃度に基づいて、ガス濃度調整弁139を(たとえば、閉ループ制御を介して)制御することができる。
【0086】
いくつかの構成では、
図1Eにおいて論証するように、流体センサ117は、患者が過熱ガスでやけどするのを回避するのに役立つ安全処置として、加湿ハウジング115および/または加熱装置114と通信することができる。例示的には、加湿ハウジング115内においてかつ/または加熱装置114の中もしくは上において流体の存在を検出すると、信号を発生するように、流体センサ117を構成することができる。コントローラ118は、流体センサ117によって発せられる信号を用いて、計量機構110の動作および/または加熱装置114の動作を制御することができる。たとえば、計量機構110の計量供給速度および/または加熱装置114の熱出力を、流体センサ117によって生成される信号の関数に設定することができる。加熱装置は、加湿流体のフィルムで覆われるように意図されているため、信号が、加湿ハウジング115の中もしくは近くにおける、または加熱装置のモジュール領域における流体の存在を示さない場合、計量機構110の計量供給速度を上昇させることができる。同様に、ガスを安全でない温度まで加熱するのを回避するように、信号が、加湿ハウジング115の中もしくは近くにおける、または加熱装置のモジュール領域における流体の存在を示さない場合、加熱装置114の熱出力を低減させるかまたはゼロに設定することができる。したがって、流体が、加湿領域115内にかつ/または加熱装置114の加熱面に、本来こうした位置に存在することが期待される場合に(たとえば、計量機構110がプラスの速度で流体を計量供給しようとしている場合)存在しないと判断された場合、計量機構110および/または加熱装置114の制御に役立つように、流体センサ117を使用することができる。いくつかの構成では、呼吸療法システム100または(呼吸加湿システム101を含む)その構成要素は、こうした判断時に警告を発生するかまたは(たとえば、ユーザインタフェース105を介して)使用者にメッセージを伝えて、(たとえば、流体リザーバ106を補充することにより)状況を是正するべきであることを使用者に知らせるように構成することができる。
【0087】
いくつかの構成では、加湿システムは、表面温度を測定する別個のセンサと、表面が湿潤しているか否かを測定する他のセンサ(たとえば、温度センサであり得るが、抵抗センサもしくは容量センサ等、他の任意の水検出器でもあり得る、好ましくは、加熱素子114の縁の/その近くの流体センサ117)を含むことができるが、他の構成では、制御アルゴリズムを用いて、所望の気化(湿潤)領域を達成するように表面温度を設定することができる。アルゴリズムは、システム測定値(後述するように、ガス流量、水流量等)およびモデル(たとえば、ドルトンの蒸発則)に基づくことができる。したがって、流体センサ117は、過充填を防止する安全機構として、かつ(表面が浸されていることが分かる校正点を与えることにより)アルゴリズムを補正/調整する手段としての役割を果たすことができる。したがって、単一のゾーンまたは選択された複数のゾーンが湿潤している可能性があり、単一のゾーンまたはそれらの選択されたゾーンに電力を供給することができるように、モジュール式構成を提供するように、システムを構成することができる。この場合もまた、モジュール式システムは、制御アルゴリズムを用いてシステム測定値に基づいて制御することができる。別個のセンサを用いて、表面温度を測定し、他のセンサを用いて、表面が湿潤しているか否かを測定することができる。閉じたフィードバック制御において流体センサ117を用いて、選択された1つまたは複数のゾーンへの水の計量供給を制御することができ、または別法として、制御アルゴリズムは、選択された1つまたは複数のゾーンへの水の計量供給を制御するモデルを用いることができ、それにより、流体センサ117は、過充填を防止する安全機構として、かつ(表面が浸されていることが分かる校正点を与えることにより)アルゴリズムを補正/調整する手段としての役割を果たすことができる。
【0088】
いくつかの構成では、流体センサ117は、容量流体センサを含むことができる。加熱装置114の加熱面が存在する場合、容量流体センサは、たとえば、加熱面の両側に配置された一対の導電性センス電極を含むことができる。導電性センス電極が回路内に接続され、電圧が印可される場合、回路の静電容量は、水の存在または不在に応じて変化する。回路の静電容量は、たとえば、標準AC測定回路を用いて測定することができる。流体の存在を判断するために、超音波または光レベル検知システムを含む他の多くの検知システムも用いることができる。
【0089】
コントローラ118により、さまざまなセンサモジュールを利用して、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101のさまざまな構成要素を制御することができる。センサモジュールは、圧力、ガス流量、温度、絶対湿度、相対湿度、エンタルピー、ガス組成、酸素濃度、二酸化炭素濃度、周囲温度および/または周囲湿度を含む、ガス流路102内、または呼吸療法システム100の中、周囲または近くの他の場所(ガス入口123、ガス出口127、患者インタフェース内もしくはその近く、または、加湿ハウジング115の上流および/もしくは下流を含む)におけるガスのさまざまな特性を検出する1つまたは複数のセンサを含むことができる。これらのセンサおよび/またはセンサモジュールのうちの1つまたは複数を用いて、たとえば、流れ発生器120の制御(流れ発生器120によって下流に促進されるガスの圧力および/または流量の制御を含む)、加熱装置114の熱出力の制御(加熱装置の温度の制御を含む)、および/または計量機構110の計量供給速度の制御(計量機構110に印可される電力および/または電流の制御を含む)を容易にすることができる。
【0090】
いくつかの構成では、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101を用いる患者の呼吸活動は、上述したまたは本開示の別の場所に記載したセンサまたは検知モジュールのうちの1つまたは複数を用いて求め、推定し、または計算することができる。コントローラ118は、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101のさまざまな構成要素を制御することができ、それにより、構成要素は、求められた呼吸活動または呼吸状態に基づいて動作する。例示的には、限定しない例として、患者が吸気していると判断されたときにのみ励起されるように、または実質的な量の流体を気化させるように、加熱装置114を構成することができる。患者が吸気していると判断されたときにのみ、流体を計量供給するように、計量機構110を構成することができる。患者が吸気していると判断されたときにのみ、流れを発生させ、または発生した流れを増大させるように、流れ発生器120を構成することができる。
【0091】
さらに、構成要素が、動作の2値状態に限定されるのではなく、患者の、求められた瞬間的な呼吸活動または呼吸状態と同期して作用するように、構成要素を制御することができる。たとえば、加熱装置114は、吸気の開始時に比較的低い温度出力を有し、吸気のピーク時の最大値に向かって熱出力を増大させ、その後、吸気の終了に向かって熱出力を低減させるように構成することができる。計量機構110は、吸気の開始時に比較的少量の流体を計量供給し、吸気のピーク時の最大値に向かって計量供給速度を徐々に上昇させ、その後、吸気の終了に向かって速度を低下させることができる。流れ発生器120は、吸気の開始時に比較的低い流量でガスを発生するかまたは促進し、吸気のピーク時の最大値に向かってガスの流量を徐々に増大させ、その後、吸気の終了に向かって流量を低減させるように構成することができる。システム100、101のうちの一方または両方の他の構成要素を同様に制御することができる。
【0092】
いくつかの構成では、流れ発生器120は、たとえば、圧縮ガス(たとえば、空気、酸素等)の供給源または容器を含むことができる。容器が使用される場合、容器は、容器から出るガスの流れを制御するように調整することができる弁を含むことができる。いくつかの構成では、流れ発生器120は、ブロワ121の代わりにこうした圧縮ガス源および/または別のガス源を使用することができる。いくつかの構成では、流れ発生器120は、ブロワ121と合わせて、こうした圧縮ガス源および/または別のガス源を使用することができる。ブロワ121は、電動ブロワもしくはベローズ機構、またはガス流を発生させるように適合された他の何らかの構造を含むことができる。いくつかの構成では、流れ発生器120は、ガス入口123を通して雰囲気ガスを引き込むことができる。いくつかの構成では、ガス入口123を通して雰囲気ガスを引き込むとともに、同じガス入口123を通してまたは異なるガス入口(図示せず)を通して他のガス(たとえば、酸素、酸化窒素、二酸化炭素等)を受け入れるように、流れ発生器120を適合させることができる。いくつかの構成では、
図1Bにおいて論証するように、流れ発生器120は存在しない場合があり、非加圧周囲空気のみが加湿され出口/患者インタフェース122に導かれるように、呼吸療法システム100を構成することができる。
【0093】
いくつかの構成では、
図1Eにおいて論証するように、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101は、(たとえば、ガス流路102内に配置された)電磁放射線エミッタ151を備えることができる。エミッタ151は、紫外線光源(たとえば、UV LED)、マイクロ波エミッタ、またはガス流路を滅菌するように構成された他の何らかの放射線エミッタを含むことができる。ガスが呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101を通過する際に通る通路を滅菌する手段により、望ましくない病原体の導入による患者の感染の問題を低減させることができる。
【0094】
いくつかの構成では、
図1Eにおいて論証するように、呼吸療法システム100および/または呼吸加湿システム101は、ガス加熱領域132を含むことができる。ガス加熱領域132は、加湿ハウジング115に達する前のガス流路102を通過するガスを予熱することができる。ガスが加湿される前に予熱される場合、加湿の効率を向上させることができる。ガス加熱領域132は、たとえば、ガス流路102の内壁および/または外壁の中に、上に、周囲にまたは近くに存在する1つまたは複数の抵抗加熱線を含むことができる。たとえば、本開示の別の場所に記載するような加熱装置114の熱出力の制御と同様に、センサ信号を用いてガス加熱領域132の熱出力を制御することができるコントローラ118によって、ガス加熱領域132を制御することができ、かつガス加熱領域132はそうしたコントローラ118と電気通信することができる。コントローラ118は、ガス加熱領域132の温度および/または熱出力を制御することができ、それにより、ガスは、約31℃~約43℃の温度で、ガス出口127、患者インタフェース122に、または患者に到達する。場合によっては、ガス加熱領域132がガス出口127または患者インタフェース122から遠い場合、ガス加熱領域132は、(ガスがたとえばガス流路102に沿って進む際の温度損失により)ガスがガス出口127、患者インタフェース122または患者に所望の温度で到達するように、約37℃~約43℃より高い温度までガスを加熱することができる。正確な温度をみつけるために、呼吸療法システム100を通るガスの温度損失を、理論的にまたは実験的にモデル化することができる。約25℃から約43℃、または約31℃から約43℃、または約31℃から約41℃、または約31℃から約37℃の範囲のガスが、概して、患者に使用するために快適であるとみなされる。
【0095】
ガス加熱領域は、ガス加熱素子を含むことができるガス予熱器を含むことができる。ガス加熱素子は、プリント回路基板であり得る。プリント回路基板は、抵抗素子を有することができる。ガス加熱素子は、エッチング箔フィルムであり得る(たとえば、
図4Dおよび
図4Eを参照)。ガス加熱素子は、加熱コイルであり得る。ガス加熱素子は、PTCセラミックであり得る。呼吸加湿システム100は、温度センサを有することができる。温度センサは、ガス流路内のガス予熱器の下流に配置することができる。ガス予熱器の下流に配置された温度センサの代わりにまたはそれに加えて、ガス流路内のガス予熱器の上流に、温度センサを配置することができる。ガス加熱素子の特徴付けを用いて、ガスの温度を求めることができる。ガス加熱素子に送達される電力レベルの制御は、ガス流路内のガス予熱器の下流に配置された温度センサによって与えられる情報に基づくことができる。ガス加熱素子に送達される電力レベルの制御は、ガス流量センサによって、かつガス流路内のガス予熱器の上流に配置された温度センサによって与えられる情報に基づくことができる。加熱面からの水の気化速度に基づいて、ガスの所望の下流温度を求めることができる。実質的にすべての顕熱がガス予熱器に供給されるのを確実にするように、ガスの所望の下流温度を設定することができる。出口位置においてガスの所望の相対湿度レベルが得られるように、ガスの所望の下流温度を設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置におけるガスの所望の温度より0℃~約5℃高く設定することができる。ガスの所望の下流温度は、出口位置における所望の露点温度であるように設定することができる。所望の下流温度は、約25℃から約43℃、または約31℃から約43℃、または約31℃から約41℃、または約31℃から約37℃、または約37℃に設定することができる。加熱面は、加熱面に熱を与えるように構成された加熱素子を含むことができる。加熱素子は、複数の抵抗トラックを含むことができる。抵抗素子は、プリント回路基板であり得る。プリント回路基板は、抵抗素子を有することができる。ガス加熱素子は、エッチング箔フィルムであり得る(たとえば、
図4Dおよび
図4Eを参照)。
【0096】
図2A~
図2Eは、本開示のさまざまな制御機能を示す機能ブロック図である。いくつかの構成では、本明細書に記載する制御機能により、加湿システムの決定論的なまたは開ループ制御が可能になる。すなわち、所定の湿度を達成するために必要な水の流量を計算し、その量の水をヒータに与えることができる。ヒータは、与えられる水を気化させて所望の露点温度を得ることができる。決定論的制御は、出ていく湿度または他の何らかの間接的な変数を測定し、所定の露点温度を達成するためにこれを閉ループコントローラにフィードバックする(多くの従来の加湿システムに存在する)必要を、排除することができる。いくつかの構成では、本明細書に記載する制御機能により、適量の水、または他の加湿液のみを正確な時点で気化させ、正確な湿度を精密に生成する加湿システムが可能になる。本明細書に記載する制御機能は、本明細書に記載する呼吸加湿システムのうちの任意のものに含められるように、組み合わせるかまたは他の方法で変更することができる。いくつかの構成では、ヒータ面への水流を合わせて制御することによる湿度の決定論的制御により、比較的低温ヒータでヒータ面を加熱することができる。
【0097】
決定論的制御では、以下の式から、所望の露点温度を生成するために表面の上に与えられる水流量を計算することができる。
【0098】
以下の式で用いられる記号は、各変数に対する関連する単位も提供する表1を参照することによって理解することができる。さらに、下付き文字a、bが添付された記号は、位置bにおける構成要素aを示す。下付き文字a、i、sおよびoは、それぞれ、周囲、入口、表面(ヒータプレート)および出口を指し、下付き文字w、wvおよびairは、それぞれ、水、水蒸気および乾燥空気を指す。したがって、たとえば、Qair,iは、入口における空気の質量流量を示す。方程式1~6は、定常状態において(または、等価的に、変数のすべてが瞬時に応答するという仮定に基づいて)書かれていることに留意するべきである。
【0099】
【0100】
決定論的制御に対して、以下の式から、所望の露点を生成するために表面の上に与えられる水流量を計算することができる。
【数2】
【0101】
式中、h
sは比湿である。表面からの水の気化速度は、以下の式によってモデル化される。
【数3】
【0102】
式中、Aは表面の面積であり、kは任意の特定の表面に対して求められる定数であり、f(v)はガス速度の経験的に求められた関数である。気化に必要な電力P
lおよび水を加熱するために必要な電力P
wは、以下によって与えられる。
【数4】
空気に必要な電力P
airおよび水蒸気に必要な電力P
wvは、以下によって与えられる。
【数5】
【0103】
式1~3は、システムの決定論的または開ループ制御の全体的な概念、すなわち、所定の露点温度を達成するために必要な水の量を表す。与えられる表現において、Qair,i、Qw、Td,iおよびpの測定値が与えられると、出力における露点温度Td,oを完全に求めることができる。
【0104】
異なる入力または出力(たとえば、出口における絶対湿度もしくは相対湿度、または入口もしくは異なる位置における容積流量等)が使用されるように、置換または並べ替えを行うことができる。入力変数のうちのいくつかの測定を行うのを回避することができる。適切な仮定(たとえば、pを計算するための既知の高度)を行うことができる場合、または導入された誤差が許容可能であった場合(たとえば、Td,i<<Td,oである場合、その影響は小さい)、Td,iおよびpは、完全に未測定とすることができる。Qair,iまたはQwは主因子であるため、それらの測定なしに進むことはできない可能性がある。測定のうちのいくつかが直接行われないことが可能である。たとえば、Td,iを直接測定する必要はなく、代わりに、Td,iを計算するためにTiおよびΦi(入口におけるRH)のセンサ測定値を用いることができる。同じことは他の変数にも言える。
【0105】
式1~6は、システムを通して圧力が一定であると仮定しているが、この仮定を回避するように式を修正することができる。圧力は、システム全体を通して著しく変化する可能性がある(たとえば、カニューレの両端の圧力降下)が、気化面およびセンサに近接する圧力は、通常、非常に一定に近く、いくつかの構成ではこうした補正は不要となる。
【0106】
式4を用いて、気化面に対する面積および温度要件を計算し、制御応答に対してシステムをモデル化することができる。それは、ドルトンの蒸発則に基づき、先の式とは異なり、半経験的である。したがって、完全には等価ではない他の式を使用することができる。特に、式4を用いて、システムの設計および制御の両方に対して、所与のAに対してTsを計算しもしくはその逆も可能であり、または、Qwに対する独立した検査を計算することができる。概して、式4は、入ってくるガスの温度が気化速度にそれほど影響を与えないことを意味する。しかしながら、入ってくるガスの温度が気化速度に影響を与える2つの機構があり、それは状況によっては重要である可能性がある。第1に、入ってくる温度は相対湿度Φを変化させる。td,oがTsに近い場合、これは重要である可能性がある。第2のより重要な機構は、熱の交換にある。Ti<Td,oである場合、水蒸気は空気を加熱しなければならず、Td,oより高くガス温度を上昇させるために水蒸気に十分な顕熱がない場合、その一部は、潜熱を解放するように凝縮しなければならない。これは、正味気化速度を考慮したとき、主な問題である可能性があり、表面は気化を容易に駆動することができるが、低温の空気は迅速に蒸気を凝縮する。これは、表面温度を上昇させることによって回避することができる。この問題は、気化の性質によってさらに悪化する。表面の近くに境界層が存在するため、水はガス全体に迅速に気化することができず、そのため、水は、境界層内で気化し、その後、(層流で)ガスを横切って拡散するか、または(乱流で)混合されなければならない。境界層における蒸気は、表面温度で飽和して、さらなる気化を阻止する可能性があるため、主な制限因子のうちの1つは、表面における気化速度ではなく、蒸気が境界層から拡散されるかまたは移動する速度である。したがって、蒸気と空気との間の熱交換は境界において発生し、凝縮を阻止するために蒸気の方が高温でなければならない(潜熱の大部分はアクセス可能ではないため)。これらの影響は、水を気化させるシステムの物理的能力と気化モデルの妥当性との両方を妨げる。
【0107】
式5および6を用いて、電力要件が計算され、制御応答に対してシステムがモデル化される。これらの式は、100%効率を仮定し、それは厳密には真でない可能性があるが、試験により、本明細書に開示するシステムが非常に効率的であることが示された。これが真ではないシステムでは、精度および簡易性を犠牲にして、適切な補正を行わなければならない。式5および6を用いて、電力入力に対する独立した検査を計算することができる(たとえば、エンタルピーを制限するため)。それらはまた、制御に、たとえば、開ループ制御にまたは補正フィードバックとして用いることも可能である。
【0108】
これらの式は直接使用され許容可能な結果が得られたが、式1~6は定常状態でのみ正確であるため、ロバストかつ安定したシステムを実施するにはさらなる考慮事項が必要である可能性がある。たとえば、水流量を考慮すると、水の有限体積は、気化面に存在しなければならず、したがって、水の気化速度は、水の流量と直ちに等しくはなく、それは、この隠れた「バッファ変数」によって一時的な差がもたらされる可能性があるためである。
【0109】
有益な例として有限水膜厚さを考慮すると、表面の上の水の質量がm
w=Aρ
wt
wであり、t
wが水厚さ(一定であると仮定)である場合、第1近似(ヒータプレートは気化のための電力のみを供給すると仮定する)に対して、以下のようになる。
【数6】
【0110】
式9は、気化している水と比較して表面に達している水の差を考慮することによって得られ、式10は、同様に、気化によって消費される電力より小さい、表面に送達された電力を考慮することによって得られる。したがって、表面温度と気化面積は、時間変化しかつ非線形であるように結合され、式1~3の原理にのみ依存する極度に単純なコントローラは、上記系が安定化している場合にのみ、所望の湿度を直接生成する。これは、重要な不安定性の可能性を強調し、それらは、個々に考慮される場合にのみ1次系であるが、組み合わされると、変動するかまたは不安定である可能性がある。
【0111】
水に対して、ρ
w=1000kgm
-3でありl=2.26MJkg
-1と仮定し、(プロトタイプシステムを試験することによって得られた妥当な計算に基づいて)点A=30cm
-2およびT
s=70℃で動作して、k=1μLmin
-1cm
-2kPa
-1であり、t
w=10μmであり、Q
w=0.9mLmin-1であり、T
d,i=15℃であり、Φ=75%であり、f(v)=1であり、m
s=0.025であり、c
p,s=400Jkg
-1K
-1であり、P
s=34Wと仮定する場合、p
sat(T
s)を1.353T
s-63.28に線形化することができ、そこから、系を以下のように表すことができる。
【数7】
そして、系のヤコビ行列は
【数8】
となる。または、動作点では
【数9】
となる。
【0112】
I
oの固有値は-18.3および0.0006であり、それは、系が不安定であることを示す。この不安定性の理由は、系が一定の電力で駆動される、すなわち、何らかの不整合により水が過剰になるかまたは不足し、それぞれ表面を完全に浸すかまたは乾燥させることになるためである。電力項に対して比例フィードバックを導入することにより、表面温度に対する式は以下のようになる。
【数10】
【0113】
【0114】
そして、固有多項式は、λ
2+λ(α+18.31)+3.05(α+15.29)-46.11=0であり、以下の固有値になる。
【数12】
そこから、λ<0(安定性)に対してα>0.0033であることを示すことができる。そのため、わずかな量のフィードバックであっても、少なくともこの動作点においてシステムは安定化する。
【0115】
面積は直接測定することが困難であるため、これが観測可能状態であるか否かを検査することは価値がある。系は非線形であるため、これは評価することが困難であるが、T
sに対する式は以下のように再度表すことができる。
【数13】
【0116】
【0117】
これは、非公式に、面積は観測可能状態であり、他の測定値はすべて既知であり、何らかの制限で面積を検知しようとする代わりに、経時的に式を積分して連続的にAを計算することができる。当然ながら、表面が浸されているときを検知することができるシステムを設計することが依然として望ましい可能性があるが、こうしたモデルにより、ハード制限を飛び出すのではなく、面積を平滑に制御することができる。
【0118】
複数の要因によって制御応答時間が制限される。第1基本制限は、過渡状態の間の気化面のダイナミクスである。これは、エンタルピーを考慮するために、また呼吸毎の湿度制御を実施しているときにも、非常に重要である。
【0119】
表面温度が一定に保持される場合、湿度を制御するように気化面積を変化させることができる。それは、(水を圧送することにより)能動的に増大することができるが、(気化により)受動的にしか縮小することができず、したがって、水の「溜まり」を気化させるためにかかる時間に対して下方応答が制限される。たとえば、空気流量が20Lmin-1から10Lmin-1まで低下する場合、初期気化速度は、名目状態(37℃露点温度等)では0.7mLmin-1になる。面積が最初は20cm2であり、(露点温度を維持するために)10cm2まで低下し、水膜が10μm厚さである場合、面積を縮小するために、0.1mLの余分な水を気化させなければならない。ポンプのスイッチが切られている場合であっても、最低限縮小する(0.7mLmin-1で0.1mL)ために最短8.6秒かかり、それは、面積が縮小する際に気化速度もまた低下するためであり、その間にポンプのスイッチが入れられる場合、応答はさらに低速になる。
【0120】
気化面積が一定に保持される場合、表面温度は変化しなければならず、制限はこの場合もまた受動冷却である。10μmの膜がある40cm2プレートが0.4gの水を保持し、10Lmin-1での気化に必要な潜在電力は約13Wである可能性があり、水温を20℃低下させるために33.5Jが必要であり、それは、先のシナリオと同様に、この間、ヒータプレートのスイッチは切られていると想定し、表面の温度が低下するに従って気化速度が低下するという事実は無視すると、2.6秒に対応する。
【0121】
マイクロチャネルであっても、10μmは達成するには困難な水厚さである可能性があり、ウィッキング紙または布の場合、より妥当な計算は、0.1mm以上の範囲であり、その結果、応答時間が比例的に長くなる。
【0122】
いくつかの構成では、呼吸毎のタイプの加湿器を設計するには、水の薄い膜が必要であり、そうでなければ、応答時間に対して表面温度を妥協しなければならない(小さい気化面積をもたらすために表面温度が高くなる)。極端には、こうした妥協により、表面が非常に高温になり(>100℃)、それにより、水が沸騰し、患者の安全性および材料の適合性の問題がもたらされる。
【0123】
応答時間に影響を与える他の要因は、ヒータプレートの熱質量および抵抗である。ヒータプレートの熱質量は、水と同様に起因し、気化によって受動的に冷却する時間が必要である。熱抵抗の上昇は、ヒータ素子温度が高くなることを意味し、それにより、(より大きい温度変化を必要とすることにより)熱質量の影響が悪化する。
【0124】
式1~3は、水のすべてが気化すると仮定して水流量を計算する。いくつかの構成では、制御システムの目標は、水のすべてが気化するのを確実にし、過渡応答を改善し、システムの他の態様を制御するということである。いくつかの構成では、これには、独立した出力と同程度の数の独立した入力が必要である可能性があり、そうでなければ、システムは制御可能でなくなる。出口において湿度を制御することのみが望まれる、最も基本的なシナリオでは、その場合、水流量等、1つの関連する制御入力で十分である。しかしながら、出口において温度を制御することも望まれる場合、別の制御入力が必要であり、たとえば、これは、ヒータプレートに送達される電力であり得る。しかしながら、ヒータプレート温度を所定範囲内で維持することが望まれる場合、これには、別の制御入力が必要である。さらなる入力は、入ってくる空気を予熱するために二次ヒータを追加することであり得る。
【0125】
いくつかの構成では、空気を予熱する概念が重要である場合がある。システムの目標は、出口における湿度を求めることであるが、温度を求めることができることもまた、凝縮を阻止するために望ましい。上で説明したように、ヒータプレートに送達される電力により、これを行うことができるが、気化面からの熱を用いることにより、2つの問題(水を気化させることおよび空気を加熱すること)が複雑になる。空気を予熱することにより、これらの2つの問題が分離され、以下を含むいくつかの利点がもたらされる。
【0126】
より容易な制御:潜熱および顕熱は独立して追加されるため、略独立してそれらを制御することができる。結合された制御システムは、より複雑でありロバストでなくなる。
【0127】
気化の改善:気化方程式を参照して上で説明したように、加温されたガス(すなわち、Ti>Td,o)に水が気化することは、低温ガス(すなわち、Ti<Td,o)に気化するより容易であり、かつモデル化することが容易である。
【0128】
表面温度の低下:気化の改善から、加温ガスによって表面温度の低下が可能になり、表面温度を独立して制御することができる。
【0129】
電力:空気が予熱されているため、ヒータプレートに対する負荷が低減し、それにより、加熱を駆動するために必要な温度が低くなり、温度が低くなるため効率が向上するという連鎖反応がもたらされる。
【0130】
エンタルピー/安全性:システムにおけるエンタルピーの大部分は、水蒸気における潜熱として供給され、熱が別個に追加されることにより、依然として、出口におけるガスが飽和しない(凝縮を防止するため)ことを確実にすることができる一方で、エンタルピーが限界内に維持されるのをより容易に確実にすることができる。予熱のないシステムでは、エンタルピーを制限する唯一の方法は、潜熱ではなく顕熱を低減させるか否かに対するいかなる直接的な制御もなしに(したがって、凝縮がもたらされる)、総電力を制限することである。
【0131】
同様に、システムはまた、水流を予熱することも含むことができる。これは、水源を加熱する、水供給ラインを加熱する、またはヒータプレートに特別なゾーンを有する(たとえば、水は、気化領域に達する前に水予熱器の上に運ばれ、または初期領域はより高い電力密度を有する)ことによって行うことができる。
【0132】
いくつかの構成では、ガスを予熱することにより、潜熱および顕熱をシステムに別個に提供することができる。顕熱は予熱器によって提供することができ、潜熱は水蒸気によって提供することができる。その結果、ヒータプレートをより低温で維持することができ、それには、患者の安全性等の利点がある。より具体的には、送達されるエンタルピーにおけるオーバシュートが低減するため、より低い温度によって安全性が向上し、たとえば、37℃の表面は、37℃より高い露点温度で蒸気を発生させず、このため、患者がやけどによる被害を決して受けない。
【0133】
潜熱および顕熱を分離する1つの補助的な結果は、気化面の被加熱部分を水で浸された状態で維持することが望ましくなるということであり、すなわち、加熱面の非加熱部分が露出する場合、それは空気を加熱する原因となり、この場合もまた、制御タスクを複雑にする。その理由で、物理的な手段(温度低下、導体の短絡、静電容量)によるか、または先に提示されたモデルにより、水が表面の端部に達したときを検知する方法を含むことが望ましい場合がある。これはまた、システムのフラッディングを防止するための安全機構としても有用である。
【0134】
図2Aは、呼吸加湿システム101の全体的な制御トポロジを示し、既知の量の空気に既知の量の水を足すことにより既知の湿度になるという基本的な制御原理を非常に単純な形態で示す。水および温度を制御することにより、加熱面からガスへの水の気化速度を有効に制御することができる。いくつかの構成では、単に他の入力変数の関数であるため、気化流量を測定する必要はない。たとえば、所望の気化速度に基づいて水の流量を設定することができる。いくつかの構成では、照合として表面温度および電力に基づいて実際に発生している気化を計算することができる。図示する制御トポロジでは、水は、液体流量調整器内に入力され、ヒータプレート制御部に通される。空気および/またはガスは、ヒータプレート制御部に通される前に、調整および検査のための入口に受け入れられる。ヒータプレート制御部は、入ってくる水ならびに空気および/またはガスの既知の(たとえば、センサによって直接または間接的に求められた)パラメータから、露点温度T
d,oを計算する。
【0135】
図2Aに表されている入口調整および検査は、ガス供給位置においてまたはその近くに、ガス流路の入口ガス周囲湿度、入口ガス流量、入口ガス温度および圧力レベルを測定するように構成された1つまたは複数の入口センサを含む、入口サブシステムを含むことができる。ガスがガス流路に入りかつガス流路を通過する際にガスを所望の(所定の)温度まで予熱して、加湿位置に所望の温度で達するように、ガス供給位置においてまたはその近くに、入口ガスヒータも設けることができる。ガスを別個に予熱することにより、加湿領域における加熱素子に送達されるエネルギーを用いて加湿流体を気化させることができ、それにより、ガス流路において、(ガス予熱器から顕熱を供給することにより)ガスを加熱する機能と(加熱素子から潜熱を提供することにより)ガスを加湿する機能とを分離することができる。有利には、このように機能を分離することにより、呼吸加湿システムの動作をより安全かつ効率的にするより低い温度レベルに対応する、より低い電力レベルで、加熱素子を動作させることができる。さらに、加熱されるガスの温度を迅速に変化させることができ、それにより、システムは、流体リザーバ全体、または必要なものを超える著しい体積を加熱するシステムより、変化に対する応答性が向上する。
【0136】
図2Aに表されている液体流量制御部は、流体が加湿領域に、より具体的には加熱素子に計量供給されるときの速度をモニタリングして制御する加湿流体流量制御サブシステムを含むことができる。流体流量センサが、加湿流体の流量を測定し、測定値を流体流量制御部に提供する。制御部は、測定された流体流量を(事前に定義し、推定し、または決定論的に導出することができる)所望の流体流量と比較し、それに従って、計量機構に対する電力レベルを調節する。いくつかの実施形態では、加湿流体は、気化するために加熱素子に送達される前に予熱され、それにより、加熱素子が加湿流体を気化させるために必要な潜熱の量が低減する。流体リザーバを加熱すること、流体供給ラインを加熱すること、または気化領域に達する前に加熱素子に特別な流体予熱ゾーンを有することを含む、加湿流体を予熱するさまざまなモードを使用することができる。いくつかの実施形態によれば、加湿流体の逆流を防止するために、流体供給ライン内の計量機構の前に逆止弁が配置される。いくつかの実施形態では、ポンプ故障とともに他のあり得る原因によるライン内の圧力を解放するために、流体供給ライン内の計量機構の前に、安全弁が配置される。
【0137】
図2Aに表されているヒータプレート制御部は、加熱素子の温度をモニタリングしかつ制御する加熱面サブシステムを含むことができる。加熱面は、加熱面によって与えられる熱エネルギーによって加湿流体が分散されかつ気化する領域を含む。加熱面の少なくとも一部にウィッキング要素が設けられる。ウィッキング要素は、流体を気化させるために熱を送達する、加熱面のうちの1つまたは複数の部分にわたり、加湿流体の層(層は厚さを有する)を受け入れかつ分散させるように構成されている。ウィッキング要素は、マイクロ流体チャネルを含む、紙、布、マイクロファイバまたは微細構造体を含むことができる。加熱面は、いくつか挙げると、加熱プレート、抵抗加熱プレート、または抵抗トラックを有する回路基板を含むことができる。いくつかの実施形態では、加熱面は、熱可塑性材料でオーバモールドされている回路基板である。いくつかの実施形態では、複数の加熱面またはゾーンを使用することができる。各加熱面は、同じ温度レベルで維持される場合もあれば異なる温度レベルで維持される場合もある。加熱面温度センサが、加熱面と熱接触し、加熱面温度制御部と通信する。同様に加熱面温度制御部と通信する表面ヒータが、加熱面の構成に応じて、加熱面、又は複数の加熱面もしくはゾーンの温度を制御するように構成されている。
【0138】
図2B~
図2Dは、本明細書に記載するように加湿システムを決定論的に制御するように、
図2Eの全体制御部の構成とともに動作するさまざまな制御サブシステムの構成を示す。
【0139】
図2Bは、本開示の実施形態による入口および予熱制御サブシステムの機能ブロック図である。予熱器は必須ではないが、いくつかの構成では含まれる場合がある。入口センサの代わりに、等価な測定値または上で説明したような適切な仮定および/もしくは計算を用いることができる。いくつかの構成では、T
iはまた、電力方程式を用いて開ループ式に制御することも可能である。いくつかの構成では、加湿の前の任意の場所で、周囲湿度T
d,iを検知することができるが、予熱器の前が好ましい。予熱器の後に配置される場合、入口センサT
iと併合することができる。
【0140】
図2Bの入口および予熱制御サブシステムは、入口センサ(たとえば、
図1Eに関して上述したセンサ)を用いてセンサ内に入ってくる空気および/またはガスを測定して、周囲湿度T
d,i、入ってくるガス流量Q
iおよび入ってくるガス圧力Pを求めることができる。上述したように、その後、ガスを予熱器で加熱することができるが、すべての実施形態において必須ではない。予熱器の下流の入口温度センサが、加熱されたガスの温度T
iを測定し、測定値を予熱制御部に提供する。予熱制御部は、T
iを、後述する
図2Eの全体制御部によって求められる計算された温度T
i,setと比較し、それに従って温度を調整するように予熱器に信号を送ることができる。
【0141】
図2Cは、本開示の実施形態による水流制御サブシステムの機能ブロック図である。いくつかの構成では、十分に適切に特徴付けられかつ安定したポンプが使用される場合、流量センサおよびフィードバック(液体流量制御部)を省略することができる。本明細書の別の場所で記載したように、サブシステムは水予熱器も含むことができる。水の逆流を防止するために、ポンプの前に逆止弁を使用することも可能である。ポンプが故障しやすい場合、ポンプの前に安全弁を使用することも可能である。システムはまた、受動水量計および流量センサ、たとえば、ポンプの代わりに重力送り装置等の圧力送り装置および比例弁もまた備えることができる。
【0142】
図2Cの構成では、水は、水源から水ポンプに入る。水ポンプは、システム内に水を圧送することができる。水ポンプは、上述したポンプのうちの任意のものであり得る。ポンプから下流に水流センサが配置され、水の流量Q
wを測定し、流量Q
wは液体流量制御部に出力される。液体流量制御部はフィードバックループを提供し、それにより、Q
wの比較、および計算された水流量Q
w,setに基づいて、水ポンプが調整される。計算された水流量Q
w,setは、後述するように、
図2Eの全体システム制御部によって求められる。
【0143】
図2Dは、本開示の実施形態による加熱面制御サブシステムの機能ブロック図である。1つの面しか示していないが、複数の面を使用することができる。複数の表面加熱ゾーンおよび複数の温度センサがあり得る。いくつかの構成では、2つの加熱ゾーンおよび温度センサがある。制御に役立つように、出口温度センサも含めることができる。表面ヒータの抵抗または他の特徴付けを用いることにより、表面温度センサを置き換えるかまたは補完することができる。たとえば、現実施態様では、銅トラッキングの抵抗は、平均ヒータ温度を示す。いくつかの構成では、表面温度センサは、真の表面温度に可能な限り近い測定値を与えることが好ましい場合があり、それは上述した気化モデルに対して利益となる。
【0144】
図2Dの例示する構成では、水流およびガス流、たとえば
図2Bおよび
図2Cのサブシステムの出力は、表面の上に送られる。表面は、本明細書を通して記載するように加熱源であり得る。表面は、1つまたは複数の表面温度センサを含み、それは、表面温度T
sの測定値を表面温度制御部に与える。表面温度制御部は、フィードバックおよび制御機構を提供し、それにより、表面と熱連通している表面ヒータが調整される。表面温度制御部は、T
sを計算された表面温度T
s,setと比較することができる。計算された表面温度T
s,setは、後述する
図2Eの全体システム制御部によって求められる。
【0145】
図2Eは、本開示の実施形態による全体制御部の機能ブロック図である。
図2Eは、
図2B~
図2Dの上記3つの制御部を結合する全体制御部の例を示す。
図2Eに示すように、いくつかの構成では、出口露点温度に対して閉ループフィードバックはなく、それは、図が、制御が単に入力に基づく開ループ設定点であることを示すためである。入力変数は、2つの群に分割されて、一方の群T
d,i、Q
i、pおよびT
d,o,setが制御部に対して基本であり、より単純な制御部では他方の群を省略することができることを示す。最も基本的な制御部では、基本的な系方程式にしたがって3つの出力変数を設定することができ、言い換えれば、Q
w,setは、式1~3によって求めることができ、T
i,setは、所望のガス入口温度に対する所望の出力に設定することができ、T
s,setは、式4によって求めることができる。いくつかの構成では、P
air、P
sおよび他の任意の追加の変数は、使用されないか、または系が検査する際にのみ使用される。
【0146】
図3Aは、本開示の一実施形態による、一例としての一体型加湿システム300の概略斜視図である。
図3Bは、加湿システム300の空気流を示す概略縦断面図である。
図3Cは、加湿システム300の水流を示す概略縦断面図である。
図3Dは、加湿システム300の概略横断面図である。いくつかの構成では、加湿システム300は、周囲空気を使用しかつガスの流れを発生させるために通常の患者の呼吸に頼る、独立型加湿器であり得る。いくつかの構成では、加湿システム300は、任意の流れ発生システム、たとえば人工呼吸器と使用するために呼吸回路に対する追加装置であり得る。
図3Eおよび
図3Fは、一体型システムにおいて流れ発生システムと使用するために設置された加湿システム300を示す。
【0147】
図3Aに示すように、加湿システム300は、ハウジング303、ガス入口331、ガス出口333を含む。ガス入口331は、加湿システム300内にガスを受け入れるように構成されている。いくつかの構成では、ガス入口331は、ガス入口管、流れ発生システムまたは他のガス源に接続するように適合されている。ガス出口333は、加湿システム300から出て患者に加湿ガスを送達するように構成されている。いくつかの構成では、ガス出口333は、ガス出口管、たとえば、患者インタフェース(たとえば、カニューレ)に接続された呼吸管に接続するように適合されている。加湿システム300はまた、水流量制御部から加湿システム300内に受け入れられる水を可能にするように構成された1つまたは複数の水入口308も含む。いくつかの実施形態では、加湿システム300は、水用の入口および出口を含む。いくつかの実施形態では、加湿システム300は、入口のみを含み、それは、システムに入力されるすべての水がガスを加湿するために気化するためである。加湿システム300はまた、システムに電力を供給しかつシステムのさまざまな構成要素と通信するための電気コネクタ351も含む。加湿システムはまた、加熱された呼吸管および内蔵センサに電力を提供する役割も果たすことができ、それにより、この設計は、電力または通信を必要とする下流のシステム構成要素に対するコンジットとして作用する。
【0148】
図3Bは、
図3Aの加湿ハウジングの空気流を示す概略縦断面図である。
図3Bに示すように、ハウジング303はガス流路338を画定する。この構成では、ガスは、ガス入口331において加湿システム300に入り、内壁337によって下流に向けられる。内壁337の底部の開口部338により、ガスは内壁337の他方の側に進むことができ、そこで、ガスは、ガス出口333において上方にかつ加湿システム300から出るように向けられる。ハウジング303は、内部バッフル305を含むことができる。流路335に沿って、ガスは、加熱素子314から気化する気化水によって加湿される。
図3Aにおいて、加熱素子314は、ガス入口331を通して部分的に見ることができ、
図3Cおよび
図3Dにおいて加熱素子314の断面図が見える。加熱素子314の構成例については、後述する
図4A~
図4Cに関して加熱素子400として説明する。
【0149】
図3Cは、
図3Aの加湿ハウジングの水流を示す概略縦断面図である。図示する構成では、入口308に入る水は、加熱素子314と接触するように流路318を通して分散される。図示する構成では、流路318は、内壁337内に部分的に位置している。
【0150】
図3Dは、
図3Aの加湿ハウジングの概略横断面図である。
図3Dに示すように、加熱素子314は、第1方向においてハウジング303を分割し、内壁337は、第1方向と直交する第2方向においてハウジング303を分割する。したがって、加熱素子314は、流路内に浸漬される。いくつかの構成では、これは、表面積を有効に2倍にし、電力効率を劇的に向上させ、表面温度測定をより正確にし、ハウジング303が比較的低温で(したがって安全に)維持されるのを可能にするため、好ましい。
図3Dの実施形態では、バッフル305は、空気流路に含まれる。
【0151】
図3Eおよび
図3Fは、流れ発生システム390の実施形態で使用されるように設置された加湿システム300を示す。流れ発生システム390は、外部ガス源と加湿システム300のガス入口331に接続するように適合させることができるガス出口393とに接続するガス入口391を含むことができる。図示する構成では、流れ発生システム390は、複数の入力操作部395を含む。いくつかの構成では、流れ発生システム390は、Auckland、NZのFisher & Paykel Healthcareから入手可能なAirvoであり得る。
【0152】
図4Aは、本開示の実施形態による加熱素子400の概略斜視図である。
図4Bは、加熱素子400の概略上面図である。
図4Cは、加熱素子400の部分概略上面図である。いくつかの構成では、
図3A~
図3Fに関して上述した加湿システム300の加熱装置314として、または本明細書に記載した他の任意の加熱装置(たとえば、
図1A~
図1Eの加熱装置114)として、プリント回路基板加熱素子400を使用することができる。
【0153】
加熱素子400は、加熱を提供するプリント回路基板401を含むことができる。プリント回路基板401は、複数の抵抗トラック411を有することができる。抵抗トラック411は銅であり得る。加熱素子400の外面は、ウィッキング面を含むことができる。ウィッキング面は、プリント回路基板401の上のオーバモールドによって設けることができる。オーバモールドは、マイクロチャネルを有することができる(マイクロチャネルについてはより詳細に後述する)。オーバモールドは、熱可塑性材料であり得る。加熱素子400はモジュールゾーンを有することができる。たとえば、図示する実施形態では、抵抗トラック411は3つのモジュールゾーン403、405A、405Bに分割される。いくつかの構成では、モジュールゾーン405Aおよび405Bは直列に接続されている。いくつかの構成では、加熱素子400は、
図4Cに関連して記載するように、水を予熱するように構成された第1ゾーンと、水を気化させるように構成された第2ゾーンとを有することができる。単一ゾーンが湿潤している可能性があり、その単一ゾーンに電力を供給することができる。これは、制御部における順応性を与える。別法として、ヒータ表面全体に電力を供給することができ、隔離されたゾーンを操作するのではなく、ヒータ表面全体を湿潤した状態で維持することができる。
【0154】
図4Bに示すように、加熱素子400は、(電力伝達または通信用の)電気接点457を含むことができ、それを用いて、呼吸加湿システムの追加の構成要素に電力を供給することができる。たとえば、電気接点457は、加熱呼吸管(HBT)に電力を提供することができる。別の例として、電気接点457を用いて、追加のセンサ(たとえば、温度センサ、圧力センサ、または本明細書に記載するような他のセンサ)に電力を供給するかまたはそれと通信することができる。
【0155】
マイクロチャネルは、ウィッキング面を提供することができる。ウィッキング面は、ガスの予熱と相乗的に作用して、加熱面が比較的低温で維持されるのを可能にすることができる。これは、温度が低いほど、必要な蒸気フラックスを発生させるために必要な表面積が大きくなり、面積が大きいほど、気化のために加熱面のより多くを採用するように液体を拡散させるより効率的な機構が必要である。
【0156】
いくつかの構成では、マイクロチャネルは、表面に形成された小さいスケール(たとえば、マイクロスケール)の溝であり得る。表面は、平坦である場合もあれば湾曲している場合もある。いくつかの構成では、マイクロチャネルは高秩序であり得る。いくつかの構成では、マイクロチャネルは、パターンで配置されている(たとえば、格子構造化パターンの一例を示す
図5A、放射状パターンの一例を示す
図5Bを参照、これらの例は限定するものではなく、他のパターンも可能である)。いくつかの構成では、マイクロチャネルの目的は、表面にわたって液体を拡散させ、それにより所与の体積に対してその表面積を増大させることである。いくつかの構成では、マイクロチャネルは、それらの長さに沿って実質的に均一な断面輪郭を有する。たとえば、マイクロチャネルは、円形もしくは半円形、楕円形または半楕円形、矩形、三角形(V字型)または台形の断面を有することができる。いくつかの構成では、マイクロチャネルは、丸い縁および/またはコーナを含むことができる。いくつかの構成では、マイクロチャネルは、マイクロチャネルの長さにわたって変化する可変断面輪郭を有することができる。たとえば、マイクロチャネルは、その長さに沿って深くなりかつ/または幅が広くなることができる。マイクロチャネルは、環境に通じる少なくとも1つの面を含む「開放」マイクロチャネルであり得る。たとえば、マイクロチャネルは、表面に形成されたV字型溝である場合があり、マイクロチャネルの中または上の液体は、そのVの少なくとも開放した面において環境に通じることができる。こうしたマイクロチャネルは、マイクロチャネルの開放面が気化した液体が通る場所を提供するため、液体の気化を促進することができる。たとえば、開放マイクロチャネルの開放面は、ガス通路に通じることができる。マイクロチャネルの上または中の液体は気化することができ、ガス通路を通って流れるガスに、気化した液体を閉じ込めることができる。いくつかの構成では、マイクロチャネルは、1~1000μmの範囲の深さ(高さとみなすことも可能である)を有することができる。いくつかの構成では、マイクロチャネルの深さは、20~200μmである。いくつかの構成では、マイクロチャネルの幅は1~1000μmであり得る。いくつかの構成では、マイクロチャネルの幅は20~200μmである。いくつかの構成では、マイクロチャネルの側壁の傾きは0~45度の範囲であり得る。本明細書で用いる側壁の傾きは、壁と垂直線との間(言い換えれば、壁と、マイクロチャネルが形成されている表面に対して垂直に延在する軸との間)で測定される。すなわち、0度の壁の傾きは、全体として垂直な壁を表す。たとえば、マイクロチャネルの側壁が0度の壁の傾きを含む場合、マイクロチャネルは実質的に正方形状である可能性があり、正方形の頂部が開放している可能性がある。別の例として、マイクロ溝の側壁が45度の壁の傾きを含む場合、傾いた側壁が直接交差する場合は実質的にV字型であり、側壁がマイクロチャネルの水平平坦底面と交差する場合は、実質的に台形形状である場合があり、マイクロチャネルの頂部は開放している可能性がある。いくつかの構成では、マイクロチャネルの側壁の傾きは5~20度の範囲であり得る。マイクロチャネルは、ウィッキング(毛管作用)により、または状況によってはチャネルを通る液体の重力流により、液体を拡散させることができる。いくつかの構成では、表面の上方に延在する突起によってマイクロチャネルを画定することができ、そこでは、マイクロチャネルは、突起の間の空間によって形成される。
【0157】
いくつかの構成では、加熱素子400は、加熱素子400の表面の温度を測定する1つまたは複数のセンサを含む。1つまたは複数のセンサはサーミスタ421であり得る。いくつかの構成では、加熱面温度は、少なくとも一部には、加熱素子400の抵抗レベルまたは他の特性を求めることによって計算することができる。加熱素子の抵抗レベルを用いて、加熱面の平均温度を示すことができる。加熱素子は、加熱素子の指定された領域において、加熱素子の他の領域に送達される電力密度と比較してより高い電力密度を送達するように構成することができる。加熱素子の指定された相対的に密度の高い領域は、加熱面に対する給水の出口に位置することができる。加熱素子の指定された相対的に密度の高い領域は、加熱面の水予熱領域に位置することができる。呼吸加湿システムは、ガス流路の出口位置に温度センサを含むことができ、それは、安全チェックとして作用することができる。
【0158】
抵抗トラック411および/またはセンサ、たとえばサーミスタ421は、プリント回路基板401の接点領域451に配置された電気接点452に電気的に接続することができる。接点領域451は、加湿システム300の電気コネクタ351を嵌合するように配置することができる。
【0159】
いくつかの構成では、加熱素子400は、水に幾分かの「予熱」を与えるように構成されている。これは、いくつかの構成では、単に水が導入される領域においてトラック(したがって電力)密度を増大させることによって、達成することができる。このゾーンは、小さい領域内で水を加熱するために必要な追加の量だけ増大した電力密度を有する。たとえば、
図4Cに示すように、水が位置408において加熱素子400に導入され、加熱素子の表面が、矢印の方向において加熱素子400にわたって水を運ぶように構成されている場合、加熱素子400は、位置418におけるかつその周囲(言い換えれば、水が導入される位置408の近く)の位置において密度の増大した抵抗トラッキング411を有し、位置428の周囲(言い換えれば、位置418から距離をおいた)位置において密度の低下した抵抗トラッキング411を含むことができる。
【0160】
潜熱および顕熱に必要な電力は、約
【数15】
である(式中、Lは気化の潜熱であり、c
pは水の比熱容量であり、
【数16】
は水流量であり、T
sは表面温度であり、T
wは水温度である)。そして、顕熱対潜熱の比は、
【数17】
である。水流量は相殺されるため、これは、電力密度のゾーンをプレートの残りより高い何らかの固定比で設計し、所望の効果を達成するために十分、一定である。T
s-T
wが著しい量、変化する可能性があるため、これは常に正確であるとは限らないが、いくつかの構成では、それは過度に正確である必要はない。
【0161】
水の予熱は、概して、空気を予熱することよりシステムの態様としては重要ではなく、それは、必要な全熱のより少ない成分であり(空気に比較して約半分)、気化に対する影響がより少なくかつ出ていくガスの状態に対する影響がわずかであるためである。それにも関わらず、いくつかの構成では、水を加熱することによりシステムにおける電力の最大9%が消費されるため、それはわずかとは言えない。予熱なしでは、これが与える影響は、水の温度が上昇する際に表面にわたって温度の勾配があり、それにより、それらの領域における気化速度が低下し、気化モデルがより複雑になる、ということである。
【0162】
水に対して予熱を提供する別のオプションは、給水ラインに(すなわち、ポンプ/流量センサと表面への連結部との間に)ヒータを含めるということであり、これは、水を加熱素子400の表面と同じ温度まで加熱する、水流と熱接触するPCT(正温度係数)素子、または加熱コイル、または他の任意のヒータであり得る。
【0163】
加熱素子400について水を加熱することに関して上述したが、たとえばガス予熱器として、ガスを加熱するために同様の加熱素子400を使用することも可能である。
【0164】
図4Dは、本開示の実施形態による加熱素子400A、400Bの2つの代替実施形態の概略上面図を示す。加熱素子400A、400Bは、エッチング箔フィルム401A、401Bを含むことができる。エッチング箔フィルム401A、401Bは、複数の抵抗トラッキング411A、411Bを含むことができる。加熱素子400A、400Bは、各々、電気接続451A、451Bも含むことができる。
【0165】
図4Eは、丸められた形態にある加熱素子400Aの実施形態を示す。
【0166】
いくつかの構成では、加湿システムは、加熱素子に加湿流体を送達するために、さまざまな構成要素、たとえば、分散および/またはウィッキングシステムを含む。いくつかの構成では、加熱素子表面にその表面全体にわたって水を送達する、言い換えれば、表面を水で浸すことが好ましい。分散/ウィッキングシステムは、流量を維持することができる必要があることを具現化することが重要である。いくつかの構成では、その分散手段が加熱素子を水で浸された状態で維持するのに十分高速に水を運ぶことができない場合、表面にわたって水を分散させることが十分でない。いくつかの構成では、最大5mLmin-1の液体流量を維持することが好ましい。
【0167】
分散および/またはウィッキングシステムは2つの部分、すなわち、表面にわたって水を分散させるウィッキング面と、1つまたは複数の箇所で表面に給水を接続する連結部とを含むことができる。連結部は、(たとえば、点ではなく領域または線にわたって水を結合することにより)水分散の幾分かも行うことができる。連結部およびウィッキングの両方に対して使用することができる技術としては、限定されないが、布/紙(たとえば、Kimberly-Clark Hydroknit)、マイクロチャネル、親水性コーティング(たとえば、Lotus Leaf Coating HydroPhil)、毛管/接触ウィック(カスタム設計)および/または多孔性ポリマー(たとえば、Porexファイバ)が挙げられる。
【0168】
連結部に対する要件は、表面の性質によって大きく決まる。表面が等方性である(全方向において同じものを運ぶ)場合、連結部は、単一の点において表面に水を結合するだけでよい。表面が異方性である(方向によって決まる)場合、これを考慮するために何らかの追加の特徴が必要となり、すなわち、ウィッキングが均一であることを確実にするために、何らかの領域にわたって水を実際に方向付ける必要がある。それはまた、表面の疎水性によっても決まり、親水性表面は、水を容易に吸収するため、連結部は、水を表面とゆるく接触させるだけでよいが、疎水性表面は、表面との接触面において、水が単に「転がり」落ちるだけであることを防止し、または加湿流体に対してより親和性の高い中間機構を提供するように、表面に対して水を「押し付ける」必要のある連結部が必要である。
【0169】
たとえば、ウィッキング面の布は、点源が十分であるように、等方性かつ本質的に親水性に非常に近い可能性がある。液体を送達する管を表面と接触させることは、(所定表面サイズまでかつ向きに応じて)流れを発生させるのに十分である可能性がある。いくつかの構成では、シリコーン等のいくつかの基板において、ウィッキング面は、チャネルの方向にのみ運ぶことができかつ親水性の不十分である、マイクロチャネルを備える。一方向に運びかつ/またはそれほど親水性ではない表面を用いる場合、水がマイクロチャネルによって引き離されるまで水を適所に保持し、他の(たとえば垂直)方向に沿って水を向けることも可能な、分散手段があることが有益である可能性がある。
【0170】
いくつかの構成では、ウィッキング面は、他の構成も可能であるが特に、一方向のみにおいて平行なチャネル、相対的に数の多い主チャネルに接続された分散チャネルのわずかな組、および/または単一点から放射状に分散されたチャネルを含むことができる、マイクロチャネル付き表面であり得る。ウィッキング面はまた、吸収性布もしくは紙、超親水性コーティング面、または薄い多孔質媒体でもあり得る。
【0171】
いくつかの構成では、連結部は、多孔性または繊維性ポリマーを含むことができる、表面に結合された1本のウィッキング媒体、すなわち、布/紙および/または親水性部分であり得る。連結部はまた、毛管作用によって水を引き出すウィッキング面と鋭角を形成する第2面とすることも可能であり、それは、表面に対して、低角度の、ガラススライド等の平坦なスライド、または別法として、接触点において低接触角度を形成する、表面に対する円形バーを含むことができる。ウィッキング面はまた、表面と接触する空洞も含むことができ、それは、表面の縁に沿って接続された表面C字型管と直接面し、かつそれに対して押圧される、水が供給される空洞を備えた平坦面を含むことができる。いくつかの構成では、これらの連結部方法のうちの任意のものは、線源(表面が異方性である場合に有用であり、たとえばマイクロチャネルであり、その場合、それは、表面の主ウィッキング方向に対して垂直であり、たとえば、チャネルを横切って位置する多孔性ポリマーの薄い部分である)、点源(表面が異方性であるかまたは内蔵水分散機構を含む場合に有用である)、放射状源、または複数の線/点/放射状源(2つの別個のウィッキング面(たとえば、ヒータプレートの両面)があるか、または表面のウィッキング速度が単一源から表面を水で浸すのに不十分である場合に、有用である可能性がある)であり得る。
【0172】
ここで、ウィッキング表面および/または連結部の具体的な例について、限定ではなく例として記載する。
【0173】
図5Aは、本開示の実施形態による格子構造マイクロチャネル水分散パターン500aを示す概略図である。分散パター500aは、水入力領域501a、第1マイクロチャネル502aおよび第2マイクロチャネル503aを含む。第1マイクロチャネル502aは、第2マイクロチャネル503aに水を分散させる分散チャネルとしての役割を果たすことができる。第2マイクロチャネル503aは、表面にわたって水を分散させる。格子構造マイクロチャネル水分散パターン500aは、加熱素子400の表面に適用することができる。格子構造マイクロチャネル水分散パターン500aは、本明細書に記載するようなウィッキング要素の一例である。いくつかの構成では、第1マイクロチャネル502aは、第1方向に水を移動させ、第2マイクロチャネル503aは第1方向に対して直交する第2方向に水を移動させる。しかしながら、格子構造マイクロチャネル水分散パターン500aは、第2マイクロチャネル503aに対して他の位置で向けられた第1マイクロチャネル502aを含むように変更することができる。いくつかの構成では、格子構造マイクロチャネル水分散パターン500aは、第1マイクロチャネル502aのみまたは第2マイクロチャネル503aのみを含む。概して、格子構造マイクロチャネル水分散パターン500aは、マイクロチャネルが水を分散させるシステムであり、水は、いくつかの分散チャネルに供給され、分散チャネルは、表面の大部分にわたって運ぶ多くのチャネルに分割される。
【0174】
図5Bは、本開示の実施形態による放射状マイクロチャネル水分散パターン500bを示す。
図5Bは、蛍光染料を運ぶ放射状マイクロチャネルを示す映像から取得された静止画像である。蛍光染料は、中心点501bの上に滴下され、チャネルによって外側に運ばれた。放射状マイクロチャネル水分散パターン500bは、水が導入される中心点501bから放射状に広がるマイクロチャネルを含む。いくつかの構成では、チャネル密度を同じ状態で維持するために、マイクロチャネルは、中心点501bから放射状に広がるように分かれることができる。放射状マイクロチャネル水分散パターン500bはまた、円周方向に延在するマイクロチャネルも含むことができる。
【0175】
図6Aは、本開示の実施形態によるガラススライド連結部631を含む呼吸加湿システム600の概略軸方向断面斜視図である。
図6Bは、
図6Aの呼吸加湿システム600の概略側断面斜視図である。
図6Cは、
図6Aの呼吸加湿システム600の概略側面図である。
図6Dは、
図6Aの呼吸加湿システム600の概略軸方向組立斜視図である。ガラススライド連結部631は、接触角/毛管ライン分散板とみなすことができる。
【0176】
図示する実施形態では、呼吸加湿システム600は、ガス入口601とガス出口603とともに、それらの間に延在するガス流路605を含む。ガスは、入口601から出口603まで移動する際、流路605において加湿される。呼吸加湿システム600はまた、水源からシステム内に水を供給するように適合されたマイクロポンプ621も含む。水は、送水管入口621を介してマイクロポンプ621から流路605内に送達される。呼吸加湿システムは、ガラススライド連結部631をさらに含み、それは、加熱素子614の表面633に対して鋭角625で保持される(
図6Cを参照)。表面633は、矢印の方向にかつガラススライド631に対して垂直に延在するマイクロチャネルを含む。給水管623は、は、ガラススライド連結部631および表面633の交差部に配置されている。ガラススライド連結部631と表面633との間が鋭角625(
図6Cを参照)であるため、水は、その交差部に知って運ばれ、その後、マイクロチャネルによって表面633にわたって運ばれる。特に、対600は、一方の側においてのみヒータ素子614を露出させるが、いくつかの構成では、両方の側でヒータ素子614を露出させるように設計を変更することができる。呼吸加湿システム600はまた、ガス流路605内にハニカムガスディフューザ645も含むことができる。
【0177】
図7は、本開示の実施形態による、加熱素子714の縁の上に巻き付けられた分散管連結部700の概略斜視図である。この図は、連結器または分散器として使用されている管701を示す。管701は、加熱素子714の上にクリップ状に留まり、それにより、水は管701内に圧送される。管714が満たされると、水は、加熱素子714にわたって引き出される。特に、管連結部700は、加熱素子714の上面714aおよび底面714bの両方に水を分散させることができる。
【0178】
図8は、本開示の実施形態による多孔質媒体連結部800の概略図である。連結部800は、加熱素子814の表面に沿って延在する細切れストリップとして示されている。連結部は、たとえば、一片の布であり得る。水は、布の上に与えられて、マイクロチャネルに沿って分散される。いくつかの構成では、連結部800は、多孔性ポリマーまたは焼結ポリマー等、薄い多孔質媒体であり得る。
【0179】
図9Aは、本開示の実施形態による放射状連結部900の概略斜視図である。
図9Bは、
図9Aの放射状連結部900の概略断面斜視図である。放射状連結部900は、空洞/面連結部とみなすことができる。概して、連結部900は、加熱素子の表面に対して水を押し付ける。いくつかの構成では、連結部900は、十分に親水性または吸収性である表面によって作用するように構成されている。いくつかの構成では、連結部900は、複数の出口がある場合に、出口のバランスがとられるように、たとえば、水が単に1つの経路に偏って完全にその方向に流れることがないように、適合される。
【0180】
連結部900は、入口901において供給水を受け取り、それを加熱素子の中心において両側に放射状に供給する。
図9Bに示すように、水は、入口901から一続きのチャネル903を通って加熱素子(図示せず)まで流れる。連結部900は、複数の出口905を含むことができる。いくつかの構成では、連結部900はまた、加熱素子の孔を通って延在する中心チャネル907を通して他方の側の同様のシステムに水を送達する。
図9Bにおいて、水の流れを示すために矢印が追加されている。
【0181】
図10Aは、本開示の実施形態によるサンドイッチ連結部1000の概略斜視図である。
図10Bは、
図10Aのサンドイッチ連結部1000の概略断面斜視図である。連結部1000は、1つまたは複数の突出部1003を備えた本体1001を含む。突出部1003の内側に面する面の一方または各々に、水出口1005を配置することができる。
図10Bに示すように、連結部1000は、水入口1011と、水を水出口1005まで送達する内部流路とを含む。水の流れを示すために、
図10Bに矢印が追加されている。突出部1003の間に(
図10Cおよび
図10Dに示すような)加熱素子を配置され、出口1005から水を受け取ることができる。
【0182】
図10Cは、本開示の実施形態による、加湿ハウジング303に取り付けられた
図10Aのサンドイッチ連結部1000の概略断面図である。
図10Dは、本開示の実施形態による、プリント回路基板加熱素子400を含む加湿ハウジング303に取り付けられた
図10Aのサンドイッチ連結部1000の概略断面図である。ハウジング303は、
図3A~
図3Dに関して記載した加湿システム300のハウジング303と同様とすることができ、加熱素子400は、
図4A~
図4Cに関して記載した加熱素子400と同様とすることができる。
【0183】
本明細書に記載するような加湿システムの実施形態は、試験されており、達成可能な露点温度および制御精度に関して十分な結果をもたらす。たとえば、最大約45Lmin-1のガス流量に対してかつ海面で、Td=37℃の露点温度を達成することができ、それは、60Lmin-1の流量では約Td=35℃まで低下する。これは、利用される具体的なPCB設計によって達成可能な最大電力と一貫する。
【0184】
図11Aおよび
図11Bは、本開示の実施形態による呼吸加湿システムの精度性能を示す。システムは、上述したように、流量および露点の範囲にわたって開ループ制御モード下で動作し、出口において独立して露点温度が測定され、以下のように式3を反転させることにより、システムによって予測される露点温度が計算された。
【数18】
【0185】
図11Aは、試験された呼吸加湿の露点温度精度のプロットであり、予測された露点温度に対してプロットされた、測定された露点温度を示す。ヒータプレートが電力不足のために飽和した2つの点は、プロットにおいて見えないが、この状態は検出可能であるため無視することができる。点の大部分は、測定された露点温度の±2℃の範囲内である。
図11Bは、試験された呼吸加湿システムのガス流量にわたる露点温度誤差のプロットである。
【0186】
図12Aは、本開示の実施形態による加湿システム1200の代替実施形態の概略斜視図である。
図12Bは、
図12Aの加湿システム1200の概略断面図である。
図12Bに示すように、加湿システム1200は、上部層および底部層を含む。
図12Cは、
図12Aの加湿システム1200の上部層を示す概略断面図である。
図12Dは、
図12Aの加湿システムの底部層1200を示す概略断面図である。
【0187】
加湿システム1200は、ガス入口1201およびガス出口1202を含む。加湿システムは、ガス入口1201からガス出口1202までガスを移動させるように構成されたブロワ1231を含むことができる。入口1201および出口1202を流路によって接続することができる。流路内に、流量検知装置1251およびガス検知装置1281を配置することができる。加湿システム1200は、電力/通信コネクタ1203を含む。
【0188】
加湿システム1200は、本明細書において別の場所に記載するような加熱素子を受け入れるように構成されたヒータ面空洞1211を含むことができる。加熱面空洞はまた、加熱素子に水を与える連結部とともに構成することができる配水(water dosing)部1261も含む。配水部1261は、液体流モジュール1241、水入口1242、逆止弁1243およびマイクロポンプ1244と流体連通することができる。加湿システム1200は、ポート1272を介してアクセス可能な電子回路空洞1271も含むことができる。
【0189】
図13は、本開示の一実施形態によるインライン加湿システムの概略図である。
図13のインライン加湿システムは、入口と出口との間のガス通路内に予熱器およびヒータ(ヒータは被加熱面によって表されている)を含む。予熱器およびヒータの両方にヒータ制御部が接続されている。予熱器は、ヒータに達する前のガスを加熱する。ヒータはまた、ヒータ表面に水を分配する水制御部にも接続されている。水制御部によって与えられる水の量と、ヒータ制御部によって与えられる熱の量とは、本明細書に記載する原理に従って、水を気化させガスを加湿するように決定論的に制御することができる。システムの出口は、加熱呼吸管(HBT)、すなわち吸気または送達管に接続することができる。HBT用の必要な電力および検知システムは、加湿システムによって一体的に提供するか、または別個にもしくは外部で提供することができる。送達管の一部として加湿システムを含む利点は、簡易性、コストの削減、および必要に応じて交換されることを確実にすることによる品質制御である。
【0190】
上記説明は、本明細書で開示したシステム、装置および方法のいくつかの実施形態を詳述している。しかしながら、上述したことが文においていかに詳細に現れていても、システム、装置および方法を多くの方法で実施することができることが理解されよう。同様に上述したように、本発明のいくつかの特徴または態様について記載するときの特定の用語の使用は、その用語が、本明細書において、その用語が関連する技術の特徴または態様のいかなる具体的な特性も含むように制限されるように再定義されているものと意味するように解釈されるべきではないことが留意されるべきである。「約」または本明細書で用いる同様の用語は、指定された項目の許容範囲内にあることを意味するように理解されるべきであり、たとえば、℃に関して、約は、たとえば±3℃以内等、許容範囲内にあることを意味することができる。
【0191】
記載した技術の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更および変形を行うことができることが、当業者には理解されるであろう。こうした変更および変形は、実施形態の範囲内にあるように意図されている。一実施形態に含まれる要素は、他の実施形態と交換可能であり、すなわち、記載した実施形態からの1つまたは複数の要素は、他の記載した実施形態とともに任意の組合せで含めることができる、ということもまた、当業者には理解されるであろう。たとえば、本明細書に記載したかつ/または図面に記載したさまざまな構成要素のうちの任意のものを、結合し、交換し、または他の実施形態から排除することができる。